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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160580
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】増幅回路
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/02 20060101AFI20241107BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20241107BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
H03F1/02 188
H03F3/68 220
H03F3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075737
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅見 紘考
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA22
5J500AA41
5J500AA63
5J500AA64
5J500AA65
5J500AC36
5J500AC62
5J500AF15
5J500AH09
5J500AH12
5J500AH24
5J500AH29
5J500AH33
5J500AM08
5J500AM20
5J500AS14
5J500AT01
5J500AT05
5J500CK06
5J500CK07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】広帯域化することが可能な増幅回路を提供する。
【解決手段】増幅回路100は、入力信号Siを第1信号Si1と第2信号Si2とに分配する第1分配器18と、第1信号を増幅し、増幅した信号を第3信号So1として出力するコントロールアンプ10と、第2信号を増幅し、増幅した信号を第4信号So2として出力する補助アンプ11と、第3信号を用いて補助アンプの負荷を変調し、第3信号と第4信号とを合成し、合成した信号を出力信号として出力する負荷変調回路15cと、左手系線路を含むスタブと、を備え、動作帯域中のいずれかの周波数を基本波として、ノードからスタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、2倍波におけるインピーダンスがショートである第1箇所に位置し、3倍波におけるインピーダンスは、第1箇所から時計回りに回転し、インピーダンスがオープンである第2箇所より小さく回転した箇所に位置する。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を第1信号と第2信号とに分配する第1分配器と、
前記第1信号を増幅し、増幅した信号を第3信号として出力するコントロールアンプと、
前記第2信号を増幅し、増幅した信号を第4信号として出力する補助アンプと、
前記第3信号を用いて前記補助アンプの負荷を変調し、前記第3信号と前記第4信号とを合成し、合成した信号を出力信号として出力する負荷変調回路と、
前記コントロールアンプと、前記負荷変調回路とを接続する第1線路と、前記補助アンプと前記負荷変調回路とを接続する第2線路と、の少なくとも1つの線路内におけるノードに端が接続され、左手系線路を含むスタブと、
を備え、
動作帯域中のいずれかの周波数を基本波として、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、2倍波におけるインピーダンスがショートである第1箇所に位置し、3倍波におけるインピーダンスは、前記第1箇所から時計回りに回転し、インピーダンスがオープンである第2箇所より小さく回転した箇所に位置する増幅回路。
【請求項2】
前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、4倍波のインピーダンスは前記第1箇所から時計回りに回転し、前記第2箇所、または前記第2箇所より小さく回転した箇所に位置する請求項1に記載の増幅回路。
【請求項3】
前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、前記基本波のインピーダンスは前記第1箇所から反時計回りに回転し、前記第2箇所に位置する請求項1または2に記載の増幅回路。
【請求項4】
前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、前記基本波のインピーダンスは前記第1箇所から反時計回りに回転し、前記第2箇所より大きく回転した箇所に位置する請求項1または請求項2に記載の増幅回路。
【請求項5】
前記ノードは、前記第2線路内に設けられている請求項1または請求項2に記載の増幅回路。
【請求項6】
前記第2線路に、インピーダンスを整合させる整合回路は設けられていない請求項5に記載の増幅回路。
【請求項7】
前記第2信号を、第5信号と、前記第5信号より位相が90°遅れた第6信号と、に分配する第2分配器を備え、
前記補助アンプは、前記第5信号を増幅し、増幅した信号を第7信号として出力する第1アンプと、前記第6信号を増幅し、増幅した信号を第8信号として出力する第2アンプと、を含み、
前記負荷変調回路は、前記第7信号が入力する第1端と、前記第8信号が入力する第2端と、前記第2端の対角に位置し前記第3信号が入力する第3端と、前記第1端の対角に位置し前記出力信号を出力する第4端と、を備えるハイブリッドカプラを含む請求項1または請求項2に記載の増幅回路。
【請求項8】
前記負荷変調回路は、前記第4信号が入力する第1端と、前記第3信号が入力する第2端と、前記出力信号が出力する第3端と、を備え、前記第1端に入力した信号を前記第3端に通過させ前記第2端に通過させず、前記第2端に入力した信号を前記第1端に通過させ前記第3端に通過させない請求項1または請求項2に記載の増幅回路。
【請求項9】
前記左手系線路は、
前記ノードと前記スタブの先端との間に直列接続された第1キャパシタとシャント接続された第1インダクタとを含む第1セルと、
前記第1セルと前記スタブの先端との間に直列接続された第2キャパシタとシャント接続された第2インダクタとを含む第2セルと、
を備える請求項1または請求項2に記載の増幅回路。
【請求項10】
前記左手系線路は、
前記ノードと前記スタブの先端との間に直列接続された第1キャパシタとシャント接続された第1インダクタとを含む第1セルと、
前記第1セルと前記スタブの先端との間に直列接続された第2キャパシタとシャント接続された第2インダクタとを含む第2セルと、
前記第2セルと前記スタブの先端との間に直列接続された第3キャパシタとシャント接続された第3インダクタとを含む第3セルと、
を備える請求項1または請求項2に記載の増幅回路。
【請求項11】
入力信号を増幅して増幅された信号を出力端子に出力するアンプと、
前記アンプと前記出力端子との間の線路内のノードに端が接続され、左手系線路を含むスタブと、
を備え、
動作帯域中のいずれかの周波数を基本波として、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、2倍波におけるインピーダンスがショートである第1箇所に位置し、3倍波におけるインピーダンスは、前記第1箇所から時計回りに回転し、インピーダンスがオープンである第2箇所より小さく回転した箇所に位置する増幅回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波等の高周波信号を増幅する増幅回路のインピーダンス整合回路等に左手系線を用いることが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2012-518373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
増幅回路では、動作帯域の広帯域化が求められている。例えば、負荷変調型の増幅器では、動作帯域の広帯域化が可能となる。しかしながら、動作帯域の2倍波を処理する高調波処理回路の広帯域化が難しく、増幅回路の広帯域化が難しい。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みなされたものであり、広帯域化することが可能な増幅回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態は、入力信号を第1信号と第2信号とに分配する第1分配器と、前記第1信号を増幅し、増幅した信号を第3信号として出力するコントロールアンプと、前記第2信号を増幅し、増幅した信号を第4信号として出力する補助アンプと、前記第3信号を用いて前記補助アンプの負荷を変調し、前記第3信号と前記第4信号とを合成し、合成した信号を出力信号として出力する負荷変調回路と、前記コントロールアンプと、前記負荷変調回路とを接続する第1線路と、前記補助アンプと前記負荷変調回路とを接続する第2線路と、の少なくとも1つの線路内におけるノードに端が接続され、左手系線路を含むスタブと、を備え、動作帯域中のいずれかの周波数を基本波として、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、2倍波におけるインピーダンスがショートである第1箇所に位置し、3倍波におけるインピーダンスは、前記第1箇所から時計回りに回転し、インピーダンスがオープンである第2箇所より小さく回転した箇所に位置する増幅回路である。
【0007】
本開示の一実施形態は、入力信号を増幅して増幅された信号を出力端子に出力するアンプと、前記アンプと前記出力端子との間の線路内のノードに端が接続され、左手系線路を含むスタブと、を備え、動作帯域中のいずれかの周波数を基本波として、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、2倍波におけるインピーダンスがショートである第1箇所に位置し、3倍波におけるインピーダンスは、前記第1箇所から時計回りに回転し、インピーダンスがオープンである第2箇所より小さく回転した箇所に位置する増幅回路である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、広帯域化することが可能な増幅回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1に係る増幅回路の回路図である。
図2図2は、実施例1におけるハイブリッドカプラの回路の例を示す回路図である。
図3図3は、比較例1に係る増幅回路の回路図である。
図4図4は、実施例1における高調波処理回路の例を示す回路図である。
図5図5は、右手系のλ/4オープンスタブおよびλ/8ショートスタブにおける位相に対する周波数を示す図である。
図6図6は、右手系のλ/4ショートスタブをノードN0から見たインピーダンスZを示すスミスチャートである。
図7図7は、右手系のλ/8オープンスタブをノードN0から見たインピーダンスZを示すスミスチャートである。
図8図8は、実施例1におけるスタブの回路図である。
図9図9は、スタブAおよびBにおける位相に対する周波数を示す図である。
図10図10は、スタブAをノードN0から見たインピーダンスZを示すスミスチャートである。
図11図11は、スタブBをノードN0から見たインピーダンスZを示すスミスチャートである。
図12図12は、λ/8オープンスタブ、スタブAおよびBを設けた線路の通過特性を示す図である。
図13図13は、スタブBおよびCにおける位相に対する周波数を示す図である。
図14図14は、スタブCをノードN0から見たインピーダンスZを示すスミスチャートである。
図15図15は、λ/8オープンスタブ、スタブBおよびCを設けた線路の通過特性を示す図である。λ/8オープンスタブおよびスタブCを示している。
図16図16は、シミュレーションにおけるλ/8オープンスタブ、スタブAおよびCを設けた線路の周波数に対する|S21|を示す図である。
図17図17は、実施例1の変形例1におけるスタブの回路図である。
図18図18は、スタブBおよびDにおける位相に対する周波数を示す図である。
図19図19は、実施例2に係る増幅回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の一実施形態は、入力信号を第1信号と第2信号とに分配する第1分配器と、前記第1信号を増幅し、増幅した信号を第3信号として出力するコントロールアンプと、前記第2信号を増幅し、増幅した信号を第4信号として出力する補助アンプと、前記第3信号を用いて前記補助アンプの負荷を変調し、前記第3信号と前記第4信号とを合成し、合成した信号を出力信号として出力する負荷変調回路と、前記コントロールアンプと、前記負荷変調回路とを接続する第1線路と、前記補助アンプと前記負荷変調回路とを接続する第2線路と、の少なくとも1つの線路内におけるノードに端が接続され、左手系線路を含むスタブと、を備え、動作帯域中のいずれかの周波数を基本波として、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、2倍波におけるインピーダンスがショートである第1箇所に位置し、3倍波におけるインピーダンスは、前記第1箇所から時計回りに回転し、インピーダンスがオープンである第2箇所より小さく回転した箇所に位置する増幅回路である。これにより、2倍波における減衰の帯域を広帯域化できる。また、基本波の挿入損失を抑制できる。よって、増幅回路の広帯域化が可能となる。
(2)上記(1)において、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、4倍波のインピーダンスは前記第1箇所から時計回りに回転し、前記第2箇所、または前記第2箇所より小さく回転した箇所に位置してもよい。これにより、2倍波における減衰の帯域を広帯域化できる。
(3)上記(1)または(2)において、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、前記基本波のインピーダンスは前記第1箇所から反時計回りに回転し、前記第2箇所に位置してもよい。これにより、基本波における挿入損失を抑制できる。
(4)上記(1)または(2)において、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、前記基本波のインピーダンスは前記第1箇所から反時計回りに回転し、前記第2箇所より大きく回転した箇所に位置してもよい。これにより、2倍波における減衰の帯域を広帯域化できる。
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記ノードは、前記第2線路内に設けられていてもよい。これにより、補助アンプが増幅した信号の2倍波を広帯域に抑圧できる。
(6)上記(5)において、前記第2線路に、インピーダンスを整合させる整合回路は設けられていなくてもよい。これにより、小型化が可能となる。
(7)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、前記第2信号を、第5信号と、前記第5信号より位相が90°遅れた第6信号と、に分配する第2分配器を備え、前記補助アンプは、前記第5信号を増幅し、増幅した信号を第7信号として出力する第1アンプと、前記第6信号を増幅し、増幅した信号を第8信号として出力する第2アンプと、を含み、前記負荷変調回路は、前記第7信号が入力する第1端と、前記第8信号が入力する第2端と、前記第2端の対角に位置し前記第3信号が入力する第3端と、前記第1端の対角に位置し前記出力信号を出力する第4端と、を備えるハイブリッドカプラを含むでもよい。これにより、負荷変調回路を広帯域化できる。
(8)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、前記負荷変調回路は、前記第4信号が入力する第1端と、前記第3信号が入力する第2端と、前記出力信号が出力する第3端と、を備え、前記第1端に入力した信号を前記第3端に通過させ前記第2端に通過させず、前記第2端に入力した信号を前記第1端に通過させ前記第3端に通過させなくてもよい。これにより、負荷変調回路を広帯域化できる。
(9)上記(1)から(8)のいずれかにおいて、前記左手系線路は、前記ノードと前記スタブの先端との間に直列接続された第1キャパシタとシャント接続された第1インダクタとを含む第1セルと、前記第1セルと前記スタブの先端との間に直列接続された第2キャパシタとシャント接続された第2インダクタとを含む第2セルと、を備える。これにより、増幅回路を広帯域化できる。
(10)上記(1)から(8)のいずれかにおいて、前記左手系線路は、前記ノードと前記スタブの先端との間に直列接続された第1キャパシタとシャント接続された第1インダクタとを含む第1セルと、前記第1セルと前記スタブの先端との間に直列接続された第2キャパシタとシャント接続された第2インダクタとを含む第2セルと、前記第2セルと前記スタブの先端との間に直列接続された第3キャパシタとシャント接続された第3インダクタとを含む第3セルと、を備えてもよい。これにより、増幅回路を広帯域化できる。
(11)本開示の一実施形態は、入力信号を増幅して増幅された信号を出力端子に出力するアンプと、前記アンプと前記出力端子との間の線路内のノードに端が接続され、左手系線路を含むスタブと、を備え、動作帯域中のいずれかの周波数を基本波として、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、2倍波におけるインピーダンスがショートである第1箇所に位置し、3倍波におけるインピーダンスは、前記第1箇所から時計回りに回転し、インピーダンスがオープンである第2箇所より小さく回転した箇所に位置する増幅回路である。これにより、増幅回路を広帯域化できる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態にかかる増幅回路の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0011】
移動体通信の基地局に用いられる増幅回路では、ドハティ増幅回路が用いられている。ドハティ増幅回路では、メインアンプとピークアンプとが増幅した高周波信号を合成する合成器において、λ/4線路を用いたインピーダンス変換器が用いられる。なお、λは動作帯域の波長である。このため、λ/4線路により、動作帯域が決まり、動作帯域を広帯域化することが難しい。負荷変調型増幅回路では、動作帯域を広帯域化することができる。しかしながら、高調波処理回路において2倍波の減衰の帯域を広帯域化できない。このため、負荷変調型増幅回路の動作帯域を広帯域化することが難しい。
【0012】
[実施例1]
実施例1は、LMBA(Load Modulated Balanced Amplifier)の例である。図1は、実施例1に係る増幅回路の回路図である。図1に示すように、実施例1の増幅回路100では、入力端子Tinと出力端子Toutとの間にコントロールアンプ10、補助アンプ11aおよび11bが並列に接続されている。入力端子Tinに入力信号Siとして高周波信号が入力する。増幅回路100が移動体通信の基地局に用いられる場合、高周波信号の周波数は例えば0.5GHz以上かつ10GHz以下である。分配器18(第1分配器)は入力端子Tinに入力した入力信号Siを信号Si1(第1信号)とSi2(第2信号)とに分配する。
【0013】
信号Si1は位相調整回路17を通過しコントロールアンプ10に入力する。位相調整回路17は、信号So1と信号So2aおよびSo2bとの位相を調整する回路である。分配器18とコントロールアンプ10との間に、インピーダンスを整合させる整合回路が設けられていてもよい。コントロールアンプ10は、信号Si1を増幅し、増幅された信号を信号So1(第3信号)として出力する。コントロールアンプ10が増幅した信号So1は、高調波処理回路12および整合回路14を介し負荷変調回路15の端30cに出力される。整合回路14は、コントロールアンプ10から整合回路14を見たインピーダンスと整合回路14から負荷変調回路15を見たインピーダンスとを整合させる。コントロールアンプ10と負荷変調回路15との間の線路は線路26である。高調波処理回路12は、線路26を通過する信号So1のうち2倍波成分を抑圧する。
【0014】
分配器18が分配した信号Si2は、分配器16によりさらに信号Si2aとSi2bに分配される。分配器16は、例えばハイブリッドカプラである。端32aから32dはハイブリッドカプラの端子であり、端32aと32dとが対角の端子であり、端32bと端32cとが対角の端子である。端32aに入力した信号Si2は、端32cおよび32dにそれぞれ信号Si2aおよびSi2bとして出力される。信号Si2bは信号Si2aより90°位相が遅れている。信号Si2aとSi2bとの振幅はほぼ同じである。端32bは基準負荷Roにより終端されている。このように、分配器16(第2分配器)は、信号Si2を信号Si2a(第5信号)と、信号Si2aより位相が90°遅れた信号Si2b(第6信号)とを生成する。
【0015】
補助アンプ11a(第1アンプ)は、信号Si2aを増幅し、増幅した信号を信号So2a(第7信号)として出力する。補助アンプ11b(第2アンプ)は、信号Si2bを増幅し、増幅した信号を信号So2b(第8信号)として出力する。補助アンプ11aおよび11bはほぼ同じ大きさであり、補助アンプ11aおよび11bの動作点はほぼ同じである。分配器16と補助アンプ11aとの間および分配器16と補助アンプ11bとの間に、インピーダンスを整合させる整合回路が各々設けられていてもよい。補助アンプ11aと負荷変調回路15との間の線路は線路25aである。補助アンプ11bと負荷変調回路15との間の線路は線路25bである。高調波処理回路13aおよび13bは、線路25aおよび25bをそれぞれ通過する信号So2aおよびSo2bのうち2倍波成分をそれぞれ抑圧する。
【0016】
負荷変調回路15は、例えばハイブリッドカプラである。端30aから30dはハイブリッドカプラの端子であり、端30aと30dとが対角の端子であり、端30bと端30cとが対角の端子である。信号So2aおよびSo2bはそれぞれ端30aおよび30bに入力する。信号So1は端30cに入力する。端30dから出力信号Soが出力端子Toutに出力される。出力端子Toutは負荷抵抗RLを介し接地されている。負荷抵抗RLは例えば50Ωである。コントロールアンプ10および補助アンプ11aおよび11bにバイアス電圧を供給するバイアス回路の図示は省略されている。
【0017】
コントロールアンプ10、補助アンプ11aおよび11bは、例えばFET(Field Effect Transistor)であり、ソースは接地され、ゲートに高周波信号が入力し、ドレインから高周波信号が出力される。FETは、例えばGaN HEMT(Gallium Nitride High Electron Mobility Transistor)またはLDMOS(Laterally Diffused Metal Oxide Semiconductor)である。コントロールアンプ10、補助アンプ11aおよび11bにはそれぞれ多段のFETが設けられていてもよい。
【0018】
コントロールアンプ10は、AB級またはB級動作し、補助アンプ11aおよび11bはC級動作する。入力信号Siの入力電力が小さいときにはコントロールアンプ10が主に入力信号Siを増幅する。入力電力が大きくなると、コントロールアンプ10に加え、補助アンプ11aおよび11bが入力信号Siのピークを増幅する。これにより、コントロールアンプ10と補助アンプ11aおよび11bとが入力信号Siを増幅する。
【0019】
入力信号Siの電力が小さく、補助アンプ11aおよび11bが動作していないとき、端30cから負荷変調回路15に入力した信号So1は、端30aおよび30bにおいて各々信号So1/2に2分割される。端30bの信号So1/2の位相は、端30aの信号So1/2の位相より90°遅れている。信号So1/2は、端30aおよび30bにおいて反射される。信号So1/2は、端30dおいて合成される。端30aにおいて反射された信号So1/2の位相は端30bにおいて反射された信号So1/2の位相より90°遅くなる。これにより、端30dにおいて、2つの信号So1/2の位相が揃い、信号So1が合成される。合成された信号So1は、出力端子Toutに出力信号Soとして出力される。このとき、補助アンプ11aおよび11bから負荷変調回路15を見た反射係数は1より大きく、補助アンプ11aおよび11bの負荷インピーダンスは実質的に高い。
【0020】
入力信号Siの電力が大きく、補助アンプ11aおよび11bが動作するとき、信号So2bは信号So2aより位相が90°遅れている。端30bにおける信号So1/2は端30aにおける信号So1/2より位相が90°遅れている。これにより、位相調整回路17が、信号Si1の位相を適宜調整することで、端30aにおける信号So2aとSo1/2との位相が揃い、端30bにおける信号So2bとSo1/2との位相が揃う。端30aにおいて合成された信号So2a+So1/2と端30bにおいて合成された信号So2b+So1/2とは、端30dにおいて合成される。合成された信号So1+So2a+So2bは、出力端子Toutに出力信号Soとして出力される。このとき、補助アンプ11aおよび11bから負荷変調回路15を見た反射係数は、1より小さく、信号So2aおよびSo2bの振幅が大きいほど小さくなる。このため、補助アンプ11aおよび11bの負荷インピーダンスは実質的に低くなる。このように、負荷変調回路15は、補助アンプ11aおよび11bから負荷変調回路15を見た負荷インピーダンスを、信号So2aおよびSo2bの振幅に依存して変調させる。
【0021】
[負荷変調回路の例]
図2は、実施例1におけるハイブリッドカプラの回路の例を示す回路図である。図2に示すように、端30aと30bとの間、端30bと30dとの間、端30dと30cとの間、端30cと30aとの間に、伝送線路34が各々接続されている。伝送線路34は、電気長が基本波の波長λの1/4である。このように、ハイブリッドカプラとして、分布定数型ブランチラインカプラを用いることができる。ハイブリッドカプラには、キャパシタとインダクタを用いた集中乗数型ブランチラインカプラを用いてもよい。負荷変調回路15には、2本のλ/4線路を電磁界結合させた分布結合型カプラ、2本のインダクタを電磁界結合させた密巻コイルカプラを用いてもよい。分配器16には、ハイブリッドカプラ以外にも、ウィルキンソン型分配器とλ/4線路を用いてもよい。
【0022】
[比較例1]
比較例1として、ドハティ増幅回路を説明する。図3は、比較例1に係る増幅回路の回路図である。図3に示すように、比較例1の増幅回路110では、入力端子Tinと出力端子Toutとの間にメインアンプ10aとピークアンプ11cが並列に設けられている。分配器18は入力信号Siを信号Si1とSi2とに分配する。メインアンプ10aは位相調整回路17を通過した信号Si1を増幅し、増幅した信号So1を高調波処理回路12および整合回路14を介し合成器15aに出力する。ピークアンプ11cは信号Si2を増幅し、増幅した信号So2を高調波処理回路13および整合回路14aを介し合成器15aに出力する。合成器15aは信号So1とSo2を合成し、合成した信号を出力信号Soとして出力する。
【0023】
合成器15aは、インピーダンス変換器として、λ/4線路19aおよび19bを備えている。ピークアンプ11cの負荷インピーダンスは、λ/4線路19aおよび19bを用い変調される。この場合、周波数が変わると、λ/4線路の電気長がλ/4からずれるため動作帯域を広帯域化することが難しい。一例では、λ/4線路19aおよび19bを用いた合成器の比帯域は8%程度である。実施例1のようなLMBAでは、ハイブリッドカプラを用い、補助アンプ11aおよび11bの負荷インピーダンスを変調するため、動作帯域の広帯域化が可能となる。ハイブリッドカプラの比帯域は、例えば市販されているハイブリッドカプラにおいて最大で120%である。このように、LMBAでは、合成器を広帯域化することができる。
【0024】
[高調波処理回路の例]
図4は、実施例1における高調波処理回路の例を示す回路図である。図4に示すように、ノードN1とN2との間に線路26または25が設けられている。線路26または25内のノードN0にスタブ22の第1端が接続されている。
【0025】
[比較例2:右手系線路のスタブ]
比較例2として、高調波処理回路12、13aおよび13bに、右手系線路のスタブを用いた例を説明する。右手系線路は誘電率が正の材料からなる線路であり、伝送線路により形成されている。比較例1は、λ/8オープンスタブとλ/4ショートスタブである。λは基本波の波長である。図5は、右手系のλ/4オープンスタブおよびλ/8ショートスタブにおける位相に対する周波数を示す図である。横軸の位相は、ノードN0からスタブ22に出力された信号がスタブ22の先端に達したときの位相(すなわち、位相差)を示している。縦軸は、信号の周波数であり、DC(Dirct Current)、基本波、2倍波、3倍波および4倍波の周波数は、それぞれDC、fo、2fo、3foおよび4foである。実線はλ/4ショートスタブであり、破線は、λ/8オープンスタブである。
【0026】
図6は、比較例2のλ/4ショートスタブをノードN0から見たインピーダンスZを示すスミスチャートである。スミスチャートの左端はショートの箇所50であり、右端はオープンの箇所51である。直線は実軸に対応する。円の中心は基準インピーダンスに対応し、円の外周は基準インピーダンスで規格化したインピーダンスZの絶対値(すなわち反射係数)が1に対応する。図6に示すように、DCの信号では、インピーダンスZは、ショートであり、箇所50に位置する。信号の周波数がDCから高くなると、矢印52aのように、インピーダンスZは時計回り(すなわち右回り)に角θ回転する。基本波foでは、ノードN0とスタブ22の先端との距離は位相に換算して90°に相当する。このとき、インピーダンスZはオープンの箇所51となる。さらに周波数が高くなると、矢印52bのように、インピーダンスZは時計回りに回転する。2倍波2foでは、ノードN0とスタブ22の先端との距離は位相に換算して180°に相当する。インピーダンスZはショートの箇所50となる。3倍波3foおよび4倍波4foでは、位相はそれぞれ270°および360°であり、インピーダンスZは、それぞれオープンの箇所51およびショートの箇所50に位置する。
【0027】
図7は、比較例2のλ/8オープンスタブをノードN0から見たインピーダンスZを示すスミスチャートである。図7に示すように、DCの信号では、インピーダンスZは、オープンであり、箇所51に位置する。信号の周波数がDCから高くなると、矢印52bのように、インピーダンスZは時計回りに角θ回転する。基本波foでは、ノードN0とスタブ22の先端との距離は位相に換算して45°に相当する。このとき、インピーダンスZはスミスチャートの下端に位置する。さらに周波数が高くなると、インピーダンスZは時計回り(すなわち右回り)に回転する。2倍波2foでは、ノードN0とスタブ22の先端との距離は位相に換算して90°に相当する。インピーダンスZはショートの箇所50となる。3倍波3foおよび4倍波4foでは、位相はそれぞれ135°および180°であり、インピーダンスZは、スミスチャートにおいてそれぞれ上端の位置およびオープンの箇所51に位置する。
【0028】
図5から図7のように、λ/4ショートスタブおよびλ/8オープンスタブでは、位相がそれぞれ90°および180°のとき、2倍波2foにおける、Z0からスタブ22を見たインピーダンスZをショートにできる。これにより、線路26、25aおよび25bを通過する2倍波2foの信号はノードN0において反射される。これにより、2倍波2f0の反射係数を大きくすることができる。
【0029】
しかし、λ/8オープンスタブでは、基本波foにおいて、インピーダンスZはオープンの箇所51に位置しない。これにより、線路26、25aおよび25bを伝送する基本波foの反射が生じ、損失が大きくなってしまう。λ/4ショートスタブでは、基本波foにおいて、インピーダンスはオープンの箇所51に位置する。λ/4ショートスタブでは、λ/8オープンスタブに対し、周波数に対する位相の変化が大きい。すなわち、周波数が変化すると、位相が大きく変化する。よって、λ/4ショートスタブでは、λ/8オープンスタブに比べ、帯域が狭くなってしまう。このように、高調波処理回路12および13に、λ/8オープンスタブを用いると、基本波foの周波数における損失が大きくなる。高調波処理回路12および13に、λ/4ショートスタブを用いると、2倍波を処理する帯域が狭くなってしまう。
【0030】
[左手系線路のスタブの説明]
図8は、実施例1におけるスタブの回路図である。左手系線路は誘電率が負の材料に相当する線路であり、キャパシタおよびインダクタを用いることで、疑似的に実現可能である。図8に示すように、スタブ22は、2個のセル24aおよび24bを備える左手系線路20を含む。セル24aは、直列接続されたキャパシタC1とシャント接続されたインダクタL1を備えている。セル24bは、直列接続されたキャパシタC2とシャント接続されたインダクタL2を備えている。スタブ22は、右手系線路21を含む。右手系線路21は、例えば伝送線路T1である。スタブ22は、右手系線路21を含まなくてもよい。しかし、ノードN0とセル24aとを接続するための伝送線路T1を設けると、スタブ22は右手系線路21を含むことになる。
【0031】
図9は、スタブAおよびBにおける位相に対する周波数を示す図である。スタブAは、比較例2に相当するスタブであり、スタブBは実施例1に相当するスタブである。図9に示すように、左手系線路では、位相が0°のとき、周波数は無限大である。右手系線路を含む線路では、右手系線路の影響により、周波数は有限となる。位相を負に大きくすると、周波数が低くなる。セルの個数がn個の左手系線路では、負次数共振を2n-1個設定することができる。-1次、-2次および-3次の共振は、位相がそれぞれ-90°、-180°および-270°において設定でき、位相が-360°のとき、周波数はDCとなる。位相が-90°、-180°および-270°における周波数は、キャパシタC1およびC2のキャパシタンス、並びに、インダクタL1およびL2のインダクタンスを適宜設定することで、任意に設定できる。
【0032】
スタブAでは、位相が-90°、-180°および-270°のときの周波数を、それぞれ3倍波3fo、2倍波2foおよび基本波foとなるように、設定する。スタブBでは、位相が-90°、-180°および-270°のときの周波数を、それぞれ4倍波4foより高い周波数、2倍波2foおよび基本波foとなるように、設定する。
【0033】
図10は、スタブAをノードN0から見たインピーダンスZを示すスミスチャートである。図10に示すように、位相が-90°のとき、3倍波3foにおいて、インピーダンスZはオープンの箇所51に位置している。周波数が低くなると、位相が負に大きくなる。矢印52cのように、インピーダンスZはスミスチャート上を反時計回り(すなわち左周り)に回転する。位相が-180°のとき、2倍波2foにおいて、インピーダンスZはショートの箇所50に位置している。周波数が低くなると、位相が負に大きくなる。矢印52dのように、インピーダンスZはスミスチャート上を反時計回りに回転する。位相が-270°のとき、基本波foにおいて、インピーダンスZはオープンの箇所51に位置している。さらに、周波数が低くなり、DCでは、位相が-360°となり、インピーダンスZはショートの箇所50に位置している。
【0034】
図11は、スタブBをノードN0から見たインピーダンスZを示すスミスチャートである。図11に示すように、位相が-90°のとき、4倍波4foより高い周波数において、インピーダンスZはオープンの箇所51に位置している。周波数が低くなると、位相が負に大きくなる。矢印52cのように、インピーダンスZはスミスチャート上を反時計回りに回転する。位相が-180°のとき、2倍波2foにおいて、インピーダンスZはショートの箇所50に位置している。4倍波4foおよび3倍波3foでは、位相は-90°と-180°の間であり、インピーダンスZは、スミスチャート上では、スミスチャートの上半分の外周付近に位置する。基本波foおよびDCにおけるインピーダンスZのスミスチャート上の位置は図10のスタブAと同じである。
【0035】
見方を変え、周波数がDCのときから周波数を高くしていくことを考える。DCでは、位相が-360°である。スミスチャート上では、インピーダンスZはショートの箇所50に位置する。周波数がDCから基本波foになると、インピーダンスZは、スミスチャート上を時計回りに角θ1回転する。角θ1は略180°である。周波数が基本波foから2倍波2foになると、インピーダンスZは、スミスチャート上を時計回りに角θ2回転する。角θ2は略180°である。周波数が2倍波2foから3倍波3foになると、インピーダンスZは、スミスチャート上を時計回りに角θ3回転する。角θ3は180°より小さく、例えば90°以下である。周波数が3倍波3foから4倍波4foになると、インピーダンスZは、スミスチャート上を時計回りに角θ4回転する。θ4は180°より小さく、例えば90°以下である。
【0036】
図9のように、スタブBでは、スタブAに比べ、2倍波2foにおいて、周波数に対する位相の変化を小さくできる。これにより、高調波処理回路12および13に、スタブBを用いると、2倍波を処理する帯域を広くできる。
【0037】
図12は、λ/8オープンスタブ、スタブAおよびBを設けた線路の通過特性を示す図である。横軸は、図4および図8において、ノードN1からN2を見た通過特性であり、ノードN1およびN2をそれぞれポート1およびポート2としたときの|S21|をdB表示した値に相当する。縦軸は周波数である。
【0038】
図12に示すように、λ/8オープンスタブ、スタブAおよびBでは、いずれも、2倍波2foにおいて、ノードN0からスタブ22を見たインピーダンスZがショートであり、|S21|は負に大きい。よって、ノードN1からN2に通過する信号はノードN0においてほとんど反射される。インピーダンスZがオープンのとき、ノードN1からN2に通過する信号はスタブ22の影響を受けず、|S21|はほぼ0となり、挿入損失が小さい。しかし、λ/8オープンスタブでは、オープンとなる周波数はDCと4倍波4foである。このため、基本波foでは、|S21|は負に大きくなる。よって、基本波foにおける挿入損失が大きくなる。
【0039】
スタブAでは、基本波foおよび3倍波3foにおいて、インピーダンスZはオープンである。よって、ノードN1からN2に通過する信号はスタブ22の影響を受けず、|S21|はほぼ0となり、挿入損失が小さい。しかし、図9のように、スタブAでは、2倍波2fo付近において、周波数に対する位相の変化が大きいため、|S21|を負に大きくできる帯域がλ/8より小さくなる。よって、2倍波2foを処理できる帯域が狭くなってしまう。
【0040】
スタブBでは、基本波foにおいて、インピーダンスZはオープンである。よって、ノードN1からN2に通過する信号はスタブ22の影響を受けず、|S21|はほぼ0となり、挿入損失が小さい。さらに、インピーダンスZがオープンとなる周波数は、4倍波4foより高い。このため、スタブBでは、2倍波2fo付近において、周波数に対する位相の変化を小さくできる。|S21|を負に大きくできる帯域がスタブAより広くなる。よって、2倍波2foを処理できる帯域をスタブAより大きくできる。
【0041】
[実施例1の変形例1]
実施例1の変形例1として、スタブ22をスタブCとした例について説明する。図13は、スタブBおよびCにおける位相に対する周波数を示す図である。スタブCは、実施例1の変形例1に相当するスタブである。図13に示すように、スタブCでは、位相が-270°における-3次共振の周波数がDCと基本波foの間に位置する。このため、基本波foと2倍波2foとの間における周波数に対する位相の変化はスタブBより小さくなる。その他は図9と同じであり説明を省略する。
【0042】
図14は、スタブCをノードN0から見たインピーダンスZを示すスミスチャートである。図14に示すように、DCでは、インピーダンスZは、スミスチャート上においてショートの箇所50に位置する。周波数がDCから基本波foになると、インピーダンスZは、スミスチャート上を時計回りに角θ1回転する。角θ1は180°より大きい。DCと基本波foとの間の周波数において、インピーダンスZがオープンの箇所51に位置する。周波数が基本波foから2倍波2foになると、インピーダンスZは、スミスチャート上を時計回りに角θ2回転する。角θ2は180°より小さく、角θ1+θ2はほぼ360°である。2倍波2foの周波数において、インピーダンスZはショートの箇所50に位置する。周波数が2倍波2foから3倍波3foになると、インピーダンスZは、スミスチャート上を時計回りに角θ3回転する。角θ3は180°より小さく、例えば90°以下である。周波数が3倍波3foから4倍波4foになると、インピーダンスZは、スミスチャート上を時計回りに角θ4回転する。θ4は180°より小さく、例えば90°以下である。
【0043】
図15は、λ/8オープンスタブ、スタブBおよびCを設けた線路の通過特性を示す図である。図15に示すように、スタブCでは、基本波foにおいてインピーダンスZがオープンでないため、基本波foにおける|S21|が負に大きくなるものの、DCと基本波foの間において、インピーダンスZがオープンの箇所51に位置するため、基本波foにおける|S21|はλ/8オープンスタブより負に小さい。これにより、基本波foにおける挿入損失はλ/8オープンスタブより小さくなる。また、図13のように、スタブCでは、スタブBに比べ2倍波2foにおける周波数の変化に対する位相の変化を小さくできる。これにより、2倍波2foより低い周波数において、2倍波2foを減衰させる帯域を、スタブBより広帯域化できる。実施例1の変形例1のように、-3次共振の周波数はDCと基本波foとの間でもよい。
【0044】
[シミュレーション]
λ/8オープンスタブ、スタブAおよびスタブCについて、線路26、25aおよび25bの通過特性|S21|をシミュレーションした。
スタブAおよびCの条件は以下である。
スタブA
キャパシタC1:0.3pF
インダクタL1:4.7nH
キャパシタC2:0.1pF
インダクタL2:1nH
伝送線路T1:周波数が3.5GHzにおける特性インピーダンスは80Ω、電気長は、位相に換算し9°
スタブC
キャパシタC1:0.8pF
インダクタL1:2.2nH
キャパシタC2:0.4pF
インダクタL2:0.2nH
伝送線路T1:周波数が3.5GHzにおける特性インピーダンスは80Ω、電気長は、位相に換算し8°
【0045】
図16は、シミュレーションにおけるλ/8オープンスタブ、スタブAおよびCを設けた線路の周波数に対する|S21|を示す図である。横軸は、図4および図8において、線路26、25aおよび25bにノードN1から入力する高周波信号の周波数を示す。縦軸は、図4および図8において、ノードN1からN2への高周波信号の通過特性であり、|S21|である。帯域Boは基本波foの帯域であり、帯域2Boは2倍波2foの帯域である。図16に示すように、λ/8オープンスタブでは、帯域2Boの端において、|S21|は-8dB以下であり、帯域2Bo内の信号を抑圧する。しかし、帯域Boにおける|S21|は-2dB程度であり、挿入損失が大きくなる。スタブAでは、帯域Boにおける|S21|は、ほとんど0dBであり、挿入損失が小さい。しかし、帯域2Boの端における|S21|は-2dBであり、2倍波2foを抑圧する帯域が狭い。スタブCでは、帯域Boにおける|S21|は、ほとんど0dBであり、挿入損失が小さい。さらに、帯域2Boの端における|S21|は-7dBであり、λ/8オープンスタブと同程度にできる。シミュレーションでは、スタブCを用いた増幅回路において、動作帯域の中心周波数を3.7GHzとしたときにおける増幅回路の比帯域を27%とすることができた。
【0046】
[実施例1の変形例2]
実施例1の変形例2として、スタブ22をスタブDとした例について説明する。図17は、実施例1の変形例2におけるスタブの回路図である。図17に示すように、スタブDであるスタブ22は、3個のセル24aから24cの左手系線路20を含む。セル24cは、セル24bとスタブ22の先端との間に位置し、直列接続されたキャパシタC3とシャント接続されたインダクタL3を備えている。その他の構成は、実施例1の図8と同じであり説明を省略する。
【0047】
図18は、スタブBおよびDにおける位相に対する周波数を示す図である。図18に示すように、スタブDでは、セルの個数が3個であり、負次数共振を5個設定することができる。-3次、-4次および-5次の共振は、位相がそれぞれ-270°、-360°および-450°である。位相が-270°、-360°および-450°のときの周波数を、それぞれ4倍波4foより高い周波数、2倍波2foおよび基本波foとなるように、設定する。これにより、スタブDは、スタブBと同様に、2倍波2foを抑圧する帯域を広くでき、かつ基本波foの挿入損失を抑制できる。
【0048】
[実施例2]
図19は、実施例2に係る増幅回路の回路図である。図19に示すように、実施例2の増幅回路102では、分配器18(第1分配器)は入力端子Tinに入力した入力信号Siを信号Si1(第1信号)とSi2(第2信号)とに分配する。信号Si1はコントロールアンプ10に入力する。コントロールアンプ10は、信号Si1を増幅し、増幅された信号を信号So1(第3信号)として出力する。コントロールアンプ10が増幅した信号So1は、高調波処理回路12を通過し負荷変調回路15cの端30cに出力される。
【0049】
信号Si2は補助アンプ11に入力する。分配器18と補助アンプ11との間に、インピーダンスを整合させる整合回路が設けられていてもよい。補助アンプ11は、信号Si2を増幅し、増幅された信号を信号So2(第4信号)として出力する。補助アンプ11が増幅した信号So2は、高調波処理回路13を通過し負荷変調回路15cの端30aに出力される。負荷変調回路15cにおいて、信号So1とSo2が合成され、合成された信号が端30dから出力信号Soとして出力端子Toutから出力される。
【0050】
入力信号Siが小さく、補助アンプ11が動作していないとき、負荷変調回路15cから補助アンプ11を見たインピーダンスはほぼオープンである。このため、負荷変調回路15cの端30cに入力した信号So1は、端30aにおいて反射し、端30dから出力信号Soとして出力される。
【0051】
入力信号Siが大きく、補助アンプ11が動作しているとき、信号So2が端30aに入力し、信号So1は端30aで反射する。信号So2の電力が大きくなると反射率が小さくなる。これにより、補助アンプ11から負荷変調回路15cを見た負荷インピーダンスが小さくなる。このように、補助アンプ11の負荷が、信号So2の電力により実質的に調整される。すなわち、負荷変調回路15cは、信号So1を用いて補助アンプ11の負荷を変調し、信号So1とSo2とを合成し、合成した信号を出力する。これにより、信号So2の電力の大きさにより、負荷インピーダンスを補助アンプ11の特性が向上するように設定できる。
【0052】
このように動作する負荷変調回路15cとしては、例えば、端30aに入力した信号を端30dに通過させ、端30cには通過させず、端30cに入力した信号を端30aに通過させ、端30dに通過させず、端30dに入力した信号を端30cに通過させ、端30aに通過させないようなサーキュレータを用いることができる。
【0053】
実施例1、2およびその変形例によれば、図1および図19のように、スタブ22は、コントロールアンプ10と、負荷変調回路15および15cとを接続する線路26(第1線路)と、補助アンプ11と負荷変調回路15とを接続する線路25(第2線路)内と、の少なくとも1つの線路内におけるノードN1に端が接続されている。図8および図17のように、スタブ22は、左手系線路20を含む。
【0054】
図11および図14のスタブBおよびCのように、動作帯域中のいずれかの周波数を基本波foとして、ノードN0からスタブ22を見たインピーダンスZをスミスチャート上に表したとき、2倍波2foにおけるインピーダンスはショートである箇所50(第1箇所)に位置する。3倍波におけるインピーダンスZは箇所50から時計回りに回転し、オープンである箇所51(第2箇所)より小さく回転した箇所に位置する。これにより、図9および図13のスタブBおよびCのように、オープンの周波数が3倍波3foより大きくなる。よって、2倍波foにおける周波数に対する位相の変化を小さくできる。図12および図15のように、2倍波2foにおける減衰の帯域を広帯域化できる。また、基本波foの挿入損失を抑制できる。よって、増幅回路の広帯域化が可能となる。
【0055】
図11および図14において、3倍波3foにおけるインピーダンスZは箇所50から時計回りに135°以下の箇所に位置することができ、90°以下の箇所に位置することができる。これにより、図12および図15のように、2倍波2foにおける減衰の帯域を広帯域化できる。
【0056】
基本波foの周波数は、動作帯域中のいずれかの周波数であればよいが、動作帯域の中心の周波数としてもよい。
【0057】
図11および図14のスタブBおよびCのように、インピーダンスZをスミスチャート上に表したとき、4倍波4foのインピーダンスは箇所50から時計回りに回転し、箇所51または、箇所51より小さく回転した箇所に位置する。これにより、図9および図13のスタブBおよびCのように、オープンの周波数が4倍波4fo以上となる。よって、2倍波foにおける周波数の対する位相の変化をより小さくでき、図12および図15のように、2倍波2foにおける減衰の帯域を広帯域化できる。
【0058】
図11のスタブBのように、インピーダンスZをスミスチャート上に表したとき、基本波foのインピーダンスは箇所50から時計回りに回転し、箇所51に位置する。これにより、図9のスタブBのように、オープンの周波数が基本波foとなる。図12のスタブBのように、オープンの周波数をλ/8オープンスタブのオープンの周波数であるDCより基本波foの周波数に近づけることができる。これにより、基本波foにおける挿入損失を抑制できる。
【0059】
図14のスタブCのように、インピーダンスZをスミスチャート上に表したとき、基本波foのインピーダンスは箇所50から時計回りに回転し、箇所51より大きくかつ360°より小さく回転した箇所に位置する。これにより、図15のように、基本波foにおける挿入損失はスタブBよりやや大きいものの、2倍波における減衰の帯域を広帯域化できる。基本波foのインピーダンスは箇所50から時計回りに200°以上とすることができ、225°以上とすることができる。これにより、2倍波2foの減衰の帯域をより広帯域化できる。基本波foのインピーダンスは箇所50から時計回りに340°以下とすることができ、315°以下とすることができる。これにより、2倍波2foの減衰の帯域をより広帯域化できる。
【0060】
ショートの箇所50およびオープンの箇所51は、スミスチャート上において、厳密にショートおよびオープンの位置でなくてもよい。例えば、スミスチャートの外周を反射係数が1の円としたとき、スミスチャートを極座標を用い表し、スミスチャートの中心の動径を0、スミスチャートの外周の動径を1と設定する。スミスチャートの実軸上の右端の外周の位置を0°として、時計回りの角度を偏角と設定する。このとき、ショートの箇所50の動径は、例えば0.65以上かつ1.0以下であり、0.8以上かつ1.0以下である。偏角は、例えば135°以上かつ225°以下であり、160°以上かつ200°以下である。オープンの箇所51の動径は、例えば0.65以上かつ1.0以下であり、0.8以上かつ1.0以下である。偏角は、例えば45°以下かつ315°以上であり、20°以下かつ340°以上である。
【0061】
図8のように、左手系線路20は、セル24a(第1セル)とセル24b(第2セル)とを備える。セル24aは、ノードN0とスタブ22の先端との間に直列接続されたキャパシタC1(第1キャパシタ)とシャント接続されたインダクタL1(第1インダクタ)とを含む。セル24bは、セル24aとスタブ22の先端との間に直列接続されたキャパシタC2(第2キャパシタ)とシャント接続されたインダクタL2(第2インダクタ)とを含む。このように、セルを2個設けることで、3個の負次数共振を設定することができる。よって、増幅回路を広帯域化できる。
【0062】
図17のスタブDのように、左手系線路20は、セル24aおよび24bに加え、セル24c(第3セル)を備えてもよい。セル24cは、セル24bとスタブ22の先端との間に直列接続されたキャパシタC3(第3キャパシタ)とシャント接続されたインダクタL(第3インダクタ)とを含む。これにより、5個の負次数共振を設定することができる。スタブ22の小型化のためには、セルの個数は2個とすることができる。
【0063】
図1のように、スタブ22が接続されるノードN0は、線路25内に設けられている。これにより、補助アンプ11が増幅した信号So2内の2倍波を広帯域に抑圧することができる。
【0064】
λ/8オープンスタブを高調波処理回路13に用いる場合、図12のように、基本波foのおける挿入損失が大きくなる。このため、線路25内に、基本波foにおける挿入損失を抑制するために、インピーダンスを整合させる整合回路を設けることになる。一般的に増幅回路には、アンプの後段に整合回路を設ける。このため、アンプ後段の整合回路に基本波foにおける挿入損失を抑制するための機能を併用させることができる。よって、一般的な増幅回路では、高調波処理回路にλ/8オープンスタブを設けても、回路の制約は大きくない。一方、負荷変調型の増幅回路では、負荷変調回路15が補助アンプ11の負荷を変調するため、線路25に整合回路を設けなくてもよい。しかし、λ/8オープンスタブを高調波処理回路13に用いると、線路25に整合回路を設けることになり、回路構成は大型化してしまう。そこで、高調波処理回路13として、左手系線路を含むスタブ22を用いることで、線路25に整合回路を設けなくてもよくなる。よって、小型化が可能となる。
【0065】
実施例1では、図1および図2のように、負荷変調回路15は、信号So2aが入力する端30a(第1端)と、信号So2bが入力する端30b(第2端)と、端30bの対角に位置し信号So1が入力する端30c(第3端)と、端30aの対角に位置し出力端子Toutに接続された端30d(第4端)と、を備える。負荷変調回路15としてハイブリッドカプラを用いるLMBAでは、信号So1と信号So2aおよびSo2bとを合成する負荷変調回路15を広帯域化することができる。
【0066】
実施例2では、図19のように、負荷変調回路15cは、信号So2が入力する端30a(第1端)と、信号So1が入力する端30c(第2端)と、出力信号Soが入力する端30d(第3端)と、を備えている。負荷変調回路15cは、端30aに入力した信号を端30dに通過させ端30cに通過させず、端30cに入力した信号を端30aに通過させ端30dに通過させない。これにより、ハイブリッドカプラを用いなくても負荷変調回路15cを実現できるため小型化が可能となり、かつ信号So1と信号So2とを合成する負荷変調回路15cを広帯域化することができる。
【0067】
実施例1、2およびその変形例では、増幅回路として負荷変調型の増幅回路について説明したが、実施例1、2およびその変形例において説明したスタブは、負荷変調型の増幅回路以外の増幅回路に用いてもよい。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
10 コントロールアンプ
10a メインアンプ
11、11a、11b 補助アンプ
12、13、13a、13b 高調波処理回路
14、14a 整合回路
15、15c 負荷変調回路
15a 合成器
16、18 分配器
19a、19b λ/4線路
20 左手系線路
21 右手系線路
22 スタブ
25、25a、25b、26 線路
30a、30b、30c、30d、32a、32b、32c、32d 端
34 伝送線路
50、51 箇所
52a、52b、52c、52d 矢印
100、102、110 増幅回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を第1信号と第2信号とに分配する第1分配器と、
前記第1信号を増幅し、増幅した信号を第3信号として出力するコントロールアンプと、
前記第2信号を増幅し、増幅した信号を第4信号として出力する補助アンプと、
前記第3信号を用いて前記補助アンプの負荷を変調し、前記第3信号と前記第4信号とを合成し、合成した信号を出力信号として出力する負荷変調回路と、
前記コントロールアンプと、前記負荷変調回路とを接続する第1線路と、前記補助アンプと前記負荷変調回路とを接続する第2線路と、の少なくとも1つの線路内におけるノードに端が接続され、左手系線路を含むスタブと、
を備え、
動作帯域中のいずれかの周波数を基本波として、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、2倍波におけるインピーダンスがショートである第1箇所に位置し、3倍波におけるインピーダンスは、前記第1箇所から時計回りに回転し、インピーダンスがオープンである第2箇所より小さく回転した箇所に位置する増幅回路。
【請求項2】
前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、4倍波のインピーダンスは前記第1箇所から時計回りに回転し、前記第2箇所、または前記第2箇所より小さく回転した箇所に位置する請求項1に記載の増幅回路。
【請求項3】
前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、前記基本波のインピーダンスは前記第1箇所から時計回りに回転し、前記第2箇所に位置する請求項1または2に記載の増幅回路。
【請求項4】
前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、前記基本波のインピーダンスは前記第1箇所から時計回りに回転し、前記第2箇所より大きく回転した箇所に位置する請求項1または請求項2に記載の増幅回路。
【請求項5】
前記ノードは、前記第2線路内に設けられている請求項1または請求項2に記載の増幅回路。
【請求項6】
前記第2線路に、インピーダンスを整合させる整合回路は設けられていない請求項5に記載の増幅回路。
【請求項7】
前記第2信号を、第5信号と、前記第5信号より位相が90°遅れた第6信号と、に分配する第2分配器を備え、
前記補助アンプは、前記第5信号を増幅し、増幅した信号を第7信号として出力する第1アンプと、前記第6信号を増幅し、増幅した信号を第8信号として出力する第2アンプと、を含み、
前記負荷変調回路は、前記第7信号が入力する第1端と、前記第8信号が入力する第2端と、前記第2端の対角に位置し前記第3信号が入力する第3端と、前記第1端の対角に位置し前記出力信号を出力する第4端と、を備えるハイブリッドカプラを含む請求項1または請求項2に記載の増幅回路。
【請求項8】
前記負荷変調回路は、前記第4信号が入力する第1端と、前記第3信号が入力する第2端と、前記出力信号が出力する第3端と、を備え、前記第1端に入力した信号を前記第3端に通過させ前記第2端に通過させず、前記第2端に入力した信号を前記第1端に通過させ前記第3端に通過させない請求項1または請求項2に記載の増幅回路。
【請求項9】
前記左手系線路は、
前記ノードと前記スタブの先端との間に直列接続された第1キャパシタとシャント接続された第1インダクタとを含む第1セルと、
前記第1セルと前記スタブの先端との間に直列接続された第2キャパシタとシャント接続された第2インダクタとを含む第2セルと、
を備える請求項1または請求項2に記載の増幅回路。
【請求項10】
前記左手系線路は、
前記ノードと前記スタブの先端との間に直列接続された第1キャパシタとシャント接続された第1インダクタとを含む第1セルと、
前記第1セルと前記スタブの先端との間に直列接続された第2キャパシタとシャント接続された第2インダクタとを含む第2セルと、
前記第2セルと前記スタブの先端との間に直列接続された第3キャパシタとシャント接続された第3インダクタとを含む第3セルと、
を備える請求項1または請求項2に記載の増幅回路。
【請求項11】
入力信号を増幅して増幅された信号を出力端子に出力するアンプと、
前記アンプと前記出力端子との間の線路内のノードに端が接続され、左手系線路を含むスタブと、
を備え、
動作帯域中のいずれかの周波数を基本波として、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、2倍波におけるインピーダンスがショートである第1箇所に位置し、3倍波におけるインピーダンスは、前記第1箇所から時計回りに回転し、インピーダンスがオープンである第2箇所より小さく回転した箇所に位置する増幅回路。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
図1図1は、実施例1に係る増幅回路の回路図である。
図2図2は、実施例1におけるハイブリッドカプラの回路の例を示す回路図である。
図3図3は、比較例1に係る増幅回路の回路図である。
図4図4は、実施例1における高調波処理回路の例を示す回路図である。
図5図5は、右手系のλ/4ショートスタブおよびλ/8オープンスタブにおける位相に対する周波数を示す図である。
図6図6は、右手系のλ/4ショートスタブをノードN0から見たインピーダンスZを示すスミスチャートである。
図7図7は、右手系のλ/8オープンスタブをノードN0から見たインピーダンスZを示すスミスチャートである。
図8図8は、実施例1におけるスタブの回路図である。
図9図9は、スタブAおよびBにおける位相に対する周波数を示す図である。
図10図10は、スタブAをノードN0から見たインピーダンスZを示すスミスチャートである。
図11図11は、スタブBをノードN0から見たインピーダンスZを示すスミスチャートである。
図12図12は、λ/8オープンスタブ、スタブAおよびBを設けた線路の通過特性を示す図である。
図13図13は、スタブBおよびCにおける位相に対する周波数を示す図である。
図14図14は、スタブCをノードN0から見たインピーダンスZを示すスミスチャートである。
図15図15は、λ/8オープンスタブ、スタブBおよびCを設けた線路の通過特性を示す図である
図16図16は、シミュレーションにおけるλ/8オープンスタブ、スタブAおよびCを設けた線路の周波数に対する|S21|を示す図である。
図17図17は、実施例1の変形例におけるスタブの回路図である。
図18図18は、スタブBおよびDにおける位相に対する周波数を示す図である。
図19図19は、実施例2に係る増幅回路の回路図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の一実施形態は、入力信号を第1信号と第2信号とに分配する第1分配器と、前記第1信号を増幅し、増幅した信号を第3信号として出力するコントロールアンプと、前記第2信号を増幅し、増幅した信号を第4信号として出力する補助アンプと、前記第3信号を用いて前記補助アンプの負荷を変調し、前記第3信号と前記第4信号とを合成し、合成した信号を出力信号として出力する負荷変調回路と、前記コントロールアンプと、前記負荷変調回路とを接続する第1線路と、前記補助アンプと前記負荷変調回路とを接続する第2線路と、の少なくとも1つの線路内におけるノードに端が接続され、左手系線路を含むスタブと、を備え、動作帯域中のいずれかの周波数を基本波として、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、2倍波におけるインピーダンスがショートである第1箇所に位置し、3倍波におけるインピーダンスは、前記第1箇所から時計回りに回転し、インピーダンスがオープンである第2箇所より小さく回転した箇所に位置する増幅回路である。これにより、2倍波における減衰の帯域を広帯域化できる。また、基本波の挿入損失を抑制できる。よって、増幅回路の広帯域化が可能となる。
(2)上記(1)において、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、4倍波のインピーダンスは前記第1箇所から時計回りに回転し、前記第2箇所、または前記第2箇所より小さく回転した箇所に位置してもよい。これにより、2倍波における減衰の帯域を広帯域化できる。
(3)上記(1)または(2)において、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、前記基本波のインピーダンスは前記第1箇所から時計回りに回転し、前記第2箇所に位置してもよい。これにより、基本波における挿入損失を抑制できる。
(4)上記(1)または(2)において、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、前記基本波のインピーダンスは前記第1箇所から時計回りに回転し、前記第2箇所より大きく回転した箇所に位置してもよい。これにより、2倍波における減衰の帯域を広帯域化できる。
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記ノードは、前記第2線路内に設けられていてもよい。これにより、補助アンプが増幅した信号の2倍波を広帯域に抑圧できる。
(6)上記(5)において、前記第2線路に、インピーダンスを整合させる整合回路は設けられていなくてもよい。これにより、小型化が可能となる。
(7)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、前記第2信号を、第5信号と、前記第5信号より位相が90°遅れた第6信号と、に分配する第2分配器を備え、前記補助アンプは、前記第5信号を増幅し、増幅した信号を第7信号として出力する第1アンプと、前記第6信号を増幅し、増幅した信号を第8信号として出力する第2アンプと、を含み、前記負荷変調回路は、前記第7信号が入力する第1端と、前記第8信号が入力する第2端と、前記第2端の対角に位置し前記第3信号が入力する第3端と、前記第1端の対角に位置し前記出力信号を出力する第4端と、を備えるハイブリッドカプラを含むでもよい。これにより、負荷変調回路を広帯域化できる。
(8)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、前記負荷変調回路は、前記第4信号が入力する第1端と、前記第3信号が入力する第2端と、前記出力信号が出力する第3端と、を備え、前記第1端に入力した信号を前記第3端に通過させ前記第2端に通過させず、前記第2端に入力した信号を前記第1端に通過させ前記第3端に通過させなくてもよい。これにより、負荷変調回路を広帯域化できる。
(9)上記(1)から(8)のいずれかにおいて、前記左手系線路は、前記ノードと前記スタブの先端との間に直列接続された第1キャパシタとシャント接続された第1インダクタとを含む第1セルと、前記第1セルと前記スタブの先端との間に直列接続された第2キャパシタとシャント接続された第2インダクタとを含む第2セルと、を備える。これにより、増幅回路を広帯域化できる。
(10)上記(1)から(8)のいずれかにおいて、前記左手系線路は、前記ノードと前記スタブの先端との間に直列接続された第1キャパシタとシャント接続された第1インダクタとを含む第1セルと、前記第1セルと前記スタブの先端との間に直列接続された第2キャパシタとシャント接続された第2インダクタとを含む第2セルと、前記第2セルと前記スタブの先端との間に直列接続された第3キャパシタとシャント接続された第3インダクタとを含む第3セルと、を備えてもよい。これにより、増幅回路を広帯域化できる。
(11)本開示の一実施形態は、入力信号を増幅して増幅された信号を出力端子に出力するアンプと、前記アンプと前記出力端子との間の線路内のノードに端が接続され、左手系線路を含むスタブと、を備え、動作帯域中のいずれかの周波数を基本波として、前記ノードから前記スタブを見たインピーダンスをスミスチャート上に表したとき、2倍波におけるインピーダンスがショートである第1箇所に位置し、3倍波におけるインピーダンスは、前記第1箇所から時計回りに回転し、インピーダンスがオープンである第2箇所より小さく回転した箇所に位置する増幅回路である。これにより、増幅回路を広帯域化できる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態にかかる増幅回路の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
分配器18が分配した信号Si2は、分配器16によりさらに信号Si2aとSi2bに分配される。分配器16は、例えばハイブリッドカプラである。端32aから32dはハイブリッドカプラの端子であり、端32aと32dとが対角の端子であり、端32bと端32cとが対角の端子である。端32aに入力した信号Si2は、端32cおよび32dにそれぞれ信号Si2aおよびSi2bとして出力される。信号Si2bは信号Si2aより90°位相が遅れている。信号Si2aとSi2bとの振幅はほぼ同じである。端32bは基準負荷Roにより終端されている。このように、分配器16(第2分配器)は、信号Si2から信号Si2a(第5信号)と、信号Si2aより位相が90°遅れた信号Si2b(第6信号)とを生成する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
コントロールアンプ10は、AB級またはB級動作し、補助アンプ11aおよび11bはC級動作する。入力信号Siの入力電力が小さいときにはコントロールアンプ10が主に入力信号Siを増幅する。入力電力Siが大きくなると、コントロールアンプ10に加え、補助アンプ11aおよび11bが入力信号Siのピークを増幅する。これにより、コントロールアンプ10と補助アンプ11aおよび11bとが入力信号Siを増幅する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
[比較例2:右手系線路のスタブ]
比較例2として、高調波処理回路12、13aおよび13bに、右手系線路のスタブを用いた例を説明する。右手系線路は誘電率が正の材料からなる線路であり、伝送線路により形成されている。比較例は、λ/8オープンスタブとλ/4ショートスタブである。λは基本波の波長である。図5は、右手系のλ/4ショートスタブおよびλ/8オープンスタブにおける位相に対する周波数を示す図である。横軸の位相は、ノードN0からスタブ22に出力された信号がスタブ22の先端に達したときの位相(すなわち、位相差)を示している。縦軸は、信号の周波数であり、DC(Dirct Current)、基本波、2倍波、3倍波および4倍波の周波数は、それぞれDC、fo、2fo、3foおよび4foである。実線はλ/4ショートスタブであり、破線は、λ/8オープンスタブである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
図5から図7のように、λ/4ショートスタブおよびλ/8オープンスタブでは、位相がそれぞれ90°および180°のとき、2倍波2foにおける、ノードN0からスタブ22を見たインピーダンスZをショートにできる。これにより、線路26、25aおよび25bを通過する2倍波2foの信号はノードN0において反射される。これにより、2倍波2fの反射係数を大きくすることができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
スタブAでは、基本波foおよび3倍波3foにおいて、インピーダンスZはオープンである。よって、ノードN1からN2に通過する信号はスタブ22の影響を受けず、|S21|はほぼ0となり、挿入損失が小さい。しかし、図9のように、スタブAでは、2倍波2fo付近において、周波数に対する位相の変化が大きいため、|S21|を負に大きくできる帯域がλ/8オープンスタブより小さくなる。よって、2倍波2foを処理できる帯域が狭くなってしまう。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
図15は、λ/8オープンスタブ、スタブBおよびCを設けた線路の通過特性を示す図である。図15に示すように、スタブCでは、基本波foにおいてインピーダンスZがオープンでないため、基本波foにおける|S21|が負に大きくなるものの、DCと基本波foの間において、インピーダンスZがオープンの箇所51に位置するため、基本波foにおける|S21|はλ/8オープンスタブより負に小さい。これにより、基本波foにおける挿入損失はλ/8オープンスタブより小さくなる。また、図13のように、スタブCでは、スタブBに比べ2倍波2foにおける周波数に対する位相の変化を小さくできる。これにより、2倍波2foより低い周波数において、2倍波2foを減衰させる帯域を、スタブBより広帯域化できる。実施例1の変形例1のように、-3次共振の周波数はDCと基本波foとの間でもよい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
[実施例1の変形例2]
実施例1の変形例2として、スタブ22をスタブDとした例について説明する。図17は、実施例1の変形例2におけるスタブの回路図である。図17に示すように、スタブDであるスタブ22は、3個のセル24aから24cを備える左手系線路20を含む。セル24cは、セル24bとスタブ22の先端との間に位置し、直列接続されたキャパシタC3とシャント接続されたインダクタL3を備えている。その他の構成は、実施例1の図8と同じであり説明を省略する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
入力信号Siの電力が小さく、補助アンプ11が動作していないとき、負荷変調回路15cから補助アンプ11を見たインピーダンスはほぼオープンである。このため、負荷変調回路15cの端30cに入力した信号So1は、端30aにおいて反射し、端30dから出力信号Soとして出力される。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
入力信号Siの電力が大きく、補助アンプ11が動作しているとき、信号So2が端30aに入力し、信号So1は端30aで反射する。信号So2の電力が大きくなると反射率が小さくなる。これにより、補助アンプ11から負荷変調回路15cを見た負荷インピーダンスが小さくなる。このように、補助アンプ11の負荷が、信号So2の電力により実質的に調整される。すなわち、負荷変調回路15cは、信号So1を用いて補助アンプ11の負荷を変調し、信号So1とSo2とを合成し、合成した信号を出力する。これにより、信号So2の電力の大きさにより、負荷インピーダンスを補助アンプ11の特性が向上するように設定できる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
実施例1、2およびその変形例によれば、図1および図19のように、スタブ22は、コントロールアンプ10と、負荷変調回路15または15cとを接続する線路26(第1線路)と、補助アンプ11と負荷変調回路15または15cとを接続する線路25(第2線路)内と、の少なくとも1つの線路内におけるノードN1に端が接続されている。図8および図17のように、スタブ22は、左手系線路20を含む。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
図11および図14のスタブBおよびCのように、動作帯域中のいずれかの周波数を基本波foとして、ノードN0からスタブ22を見たインピーダンスZをスミスチャート上に表したとき、2倍波2foにおけるインピーダンスはショートである箇所50(第1箇所)に位置する。3倍波3foにおけるインピーダンスZは箇所50から時計回りに回転し、オープンである箇所51(第2箇所)より小さく回転した箇所に位置する。これにより、図9および図13のスタブBおよびCのように、オープンの周波数が3倍波3foより大きくなる。よって、2倍波foにおける周波数に対する位相の変化を小さくできる。図12および図15のように、2倍波2foにおける減衰の帯域を広帯域化できる。また、基本波foの挿入損失を抑制できる。よって、増幅回路の広帯域化が可能となる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
図11および図14のスタブBおよびCのように、インピーダンスZをスミスチャート上に表したとき、4倍波4foのインピーダンスは箇所50から時計回りに回転し、箇所51または、箇所51より小さく回転した箇所に位置する。これにより、図9および図13のスタブBおよびCのように、オープンの周波数が4倍波4fo以上となる。よって、2倍波foにおける周波数の対する位相の変化をより小さくでき、図12および図15のように、2倍波2foにおける減衰の帯域を広帯域化できる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
図17のスタブDのように、左手系線路20は、セル24aおよび24bに加え、セル24c(第3セル)を備えてもよい。セル24cは、セル24bとスタブ22の先端との間に直列接続されたキャパシタC3(第3キャパシタ)とシャント接続されたインダクタL(第3インダクタ)とを含む。これにより、5個の負次数共振を設定することができる。スタブ22の小型化のためには、セルの個数は2個とすることができる。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
λ/8オープンスタブを高調波処理回路13に用いる場合、図12のように、基本波foおける挿入損失が大きくなる。このため、線路25内に、基本波foにおける挿入損失を抑制するために、インピーダンスを整合させる整合回路を設けることになる。一般的に増幅回路には、アンプの後段に整合回路を設ける。このため、アンプ後段の整合回路に、インピーダンスを整合させる機能と基本波foにおける挿入損失を抑制するための機能併有させることができる。よって、一般的な増幅回路では、高調波処理回路にλ/8オープンスタブを設けても、回路の制約は大きくない。一方、負荷変調型の増幅回路では、負荷変調回路15が補助アンプ11の負荷を変調するため、線路25に整合回路を設けなくてもよい。しかし、λ/8オープンスタブを高調波処理回路13に用いると、線路25に整合回路を設けることになり、回路構成は大型化してしまう。そこで、高調波処理回路13として、左手系線路を含むスタブ22を用いることで、線路25に整合回路を設けなくてもよくなる。よって、小型化が可能となる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
実施例2では、図19のように、負荷変調回路15cは、信号So2が入力する端30a(第1端)と、信号So1が入力する端30c(第2端)と、出力信号Soが出力する端30d(第3端)と、を備えている。負荷変調回路15cは、端30aに入力した信号を端30dに通過させ端30cに通過させず、端30cに入力した信号を端30aに通過させ端30dに通過させない。これにより、ハイブリッドカプラを用いなくても負荷変調回路15cを実現できるため小型化が可能となり、かつ信号So1と信号So2とを合成する負荷変調回路15cを広帯域化することができる。