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特開2024-160581組電池用箱の製造方法及び組電池用箱
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160581
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】組電池用箱の製造方法及び組電池用箱
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/289 20210101AFI20241107BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20241107BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M50/291
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075739
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】322013937
【氏名又は名称】エナジーウィズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】草野 聡
(72)【発明者】
【氏名】田中 崇
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AS01
5H040AS06
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY05
5H040AY08
5H040JJ03
5H040NN01
(57)【要約】
【課題】蓄電池の収容に関する不具合の発生を抑制できる組電池用箱の製造方法及び組電池用箱を提供する。
【解決手段】組電池用箱1の製造方法は、互いに対向している第一面6a及び第二面6bを有する底部6において、第一面6aと第二面6bとを貫通する貫通穴6c,6d,6e,6fを設け、仕切部7の縁において、貫通穴6c,6d,6e,6fに挿入可能な凸部7c,7d,7e,7fを設け、底部6の貫通穴6c,6d,6e,6fに対して、第一面6a側から仕切部7の凸部7c,7d,7e,7fを挿入し、底部6の第二面6b側から、貫通穴6c,6d,6e,6fにおいて底部6と仕切部7とを溶接する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第一板材及び第二板材を含んで構成されている組電池用箱の製造方法であって、
互いに対向している第一面及び第二面を有する前記第一板材において、前記第一面と前記第二面とを貫通する貫通穴を設け、
前記第二板材の縁において、前記貫通穴に挿入可能な凸部を設け、
前記第一板材の前記貫通穴に対して、前記第一面側から前記第二板材の前記凸部を挿入し、前記第一板材の前記第二面側から、前記貫通穴において前記第一板材と前記第二板材とを溶接する、組電池用箱の製造方法。
【請求項2】
前記第二板材の前記凸部の長さは、前記第一板材の前記第一面と前記第二面との間の長さよりも短い、請求項1に記載の組電池用箱の製造方法。
【請求項3】
前記第一板材において複数の前記貫通穴を設け、
前記第二板材において複数の前記貫通穴のそれぞれに対応する複数の前記凸部を設け、
前記第一板材の複数の前記貫通穴に対して、前記第一面側から前記第二板材の複数の前記凸部を挿入し、前記第一板材の前記第二面側から、複数の前記貫通穴のそれぞれにおいて前記第一板材と前記第二板材とを溶接する、請求項1又は2に記載の組電池用箱の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の組電池用箱の製造方法によって製造された組電池用箱。
【請求項5】
互いに対向している第一面及び第二面を有する第一板材と、
前記第一板材の前記第一面に対して端面が対向するように配置される第二板材と、を備え、
前記第一板材と前記第二板材とが溶接部によって接合されており、
前記溶接部は、前記第一板材の前記第一面側に露出しておらず、前記第一板材の前記第二面側に露出している、組電池用箱。
【請求項6】
前記第一板材には、前記第一面と前記第二面とを貫通する貫通穴が設けられており、
前記第二板材の縁には、前記貫通穴に挿入される凸部が設けられており、
前記第一板材の前記貫通穴に前記第二板材の前記凸部が挿入された状態で、前記貫通穴に前記溶接部が形成されている、請求項5に記載の組電池用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池用箱の製造方法及び組電池用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
組電池は、複数の蓄電池と、複数の蓄電池を収容する組電池用箱と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-146222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
組電池用箱は、金属の板部材を溶接によって接合することによって形成されている。組電池用箱は、例えば、底部と、四つの側部と、を含んで構成されている。組電池用箱において、側部は、底部に溶接されている。具体的には、側部の端面を底部に突き当てて、側部と底部とによって画成される隅部に溶接部を形成している。これにより、溶接部は、組電池用箱の内部(蓄電池が収容される部分)において、底部及び側部のそれぞれの表面よりも突出して形成される。この構成では、組電池用箱に蓄電池を収容するときに、隅部に形成された溶接部に蓄電池のケースの下端部等が接触してケースが破損したり、蓄電池が溶接部に接触することによって蓄電池が組電池用箱内に収まらなかったりし得る。
【0005】
本発明の一側面は、蓄電池の収容に関する不具合の発生を抑制できる組電池用箱の製造方法及び組電池用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一側面に係る組電池用箱の製造方法は、少なくとも第一板材及び第二板材を含んで構成されている組電池用箱の製造方法であって、互いに対向している第一面及び第二面を有する第一板材において、第一面と第二面とを貫通する貫通穴を設け、第二板材の縁において、貫通穴に挿入可能な凸部を設け、第一板材の貫通穴に対して、第一面側から第二板材の凸部を挿入し、第一板材の第二面側から、貫通穴において第一板材と第二板材とを溶接する。
【0007】
本発明の一側面に係る組電池用箱の製造方法では、第一板材に貫通穴を設け、第二板材に凸部を設ける。そして、第一板材の貫通穴に対して、第一面側から第二板材の凸部を挿入し、第一板材の第二面側から、貫通穴において第一板材と第二板材とを溶接する。これにより、溶接部は、第一板材の第一面側には形成されない。この製造方法では、組電池用箱の内側に溶接部を形成することなく、組電池用箱を製造することができる。そのため、第一板材と第二板材との隅部に形成された溶接部に蓄電池のケースの下端部等が接触してケースが破損したり、蓄電池が溶接部に接触することによって蓄電池が組電池用箱内に収まらなかったりすることを回避できる。したがって、蓄電池の収容に関する不具合の発生を抑制できる。
【0008】
(2)第二板材の凸部の長さは、第一板材の第一面と第二面との間の長さよりも短い、(1)に記載の組電池用箱の製造方法。この方法では、第二板材の凸部が第一板材の第二面から突出しないようにすることができる。
【0009】
(3)第一板材において複数の貫通穴を設け、第二板材において複数の貫通穴のそれぞれに対応する複数の凸部を設け、第一板材の複数の貫通穴に対して、第一面側から第二板材の複数の凸部を挿入し、第一板材の第二面側から、複数の貫通穴のそれぞれにおいて第一板材と第二板材とを溶接する、(1)又は(2)に記載の組電池用箱の製造方法。この方法では、複数の貫通穴において溶接部が形成されるため、第一板材と第二板材との接合強度を高めることができる。また、複数の貫通穴に複数の凸部を挿入するため、第一板材に対する第二板材の位置決めを容易に行うことができる。
【0010】
(4)本発明の一側面に係る組電池用箱は、(1)から(3)のいずれか一項に記載の組電池用箱の製造方法によって製造された組電用箱である。
【0011】
本発明の一側面に係る組電池用箱は、上記組電用箱の製造方法によって製造されるため、蓄電池の収容に関する不具合の発生を抑制できる。
【0012】
(5)本発明の一側面に係る組電池用箱は、互いに対向している第一面及び第二面を有する第一板材と、第一板材の第一面に対して端面が対向するように配置される第二板材と、を備え、第一板材と第二板材とが溶接部によって接合されており、溶接部は、第一板材の第一面側に露出しておらず、第一板材の第二面側に露出している。
【0013】
本発明の一側面に係る組電用箱では、溶接部は、第一板材の第一面側に露出しておらず、第一板材の第二面側に露出している。この構成では、第一部材の第二面が内面となるように組電池用箱を構成することにより、組電用箱の内部に溶接部が設けられない。そのため、溶接部に蓄電池のケースの下端部等が接触してケースが破損したり、蓄電池が溶接部に接触することによって蓄電池が組電池用箱内に収まらなかったりすることを回避できる。したがって、蓄電池の収容に関する不具合の発生を抑制できる。
【0014】
(6)第一板材には、第一面と第二面とを貫通する貫通穴が設けられており、第二板材の縁には、貫通穴に挿入される凸部が設けられており、第一板材の貫通穴に第二板材の凸部が挿入された状態で、貫通穴に溶接部が形成されている、(5)に記載の組電池用箱。この構成では、溶接部が第一板材の第一面側に露出しないように、第一部材と第二部材とを接合できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一側面によれば、蓄電池の収容に関する不具合の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係る組電池用箱を備える組電池を示す概略平面図である。
図2図2は、組電池用箱の斜視図である。
図3図3は、底部の一部を示す図である。
図4図4は、仕切部を示す図である。
図5図5は、組電池用箱の断面構成を示す図である。
図6図6は、底部の第二面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
図1は、一実施形態に係る組電池用箱を備える組電池を示す概略平面図である。図1に示される組電池100は、同種類の単電池を複数有するパック電池であり、例えば自動車のバッテリー、停電時等に利用されるバックアップ用電源、及び、電動フォークリフト等の電動車(もしくは電気車)の主電源等に用いられる。組電池100は、電池群110と、組電池用箱1と、を有する。
【0019】
電池群110は、組電池用箱1に収容される複数の蓄電池120によって構成される。本実施形態では、合計24個の蓄電池120によって構成される。蓄電池120のそれぞれは、例えば、鉛蓄電池である。本実施形態では、蓄電池120は、例えば、クラッド式電極を備えるクラッド式鉛蓄電池である。蓄電池120は、電極群(図示省略)と、電極群を収容しているケース121と、電極群を構成する複数の負極(図示省略)に接続されている負極端子122と、電極群を構成する複数の正極(図示省略)に接続されている正極端子123と、を有している。ケース121において、負極端子122と正極端子123との間には、補水栓124が設けられる。
【0020】
電池群110は、複数の蓄電池120に加えて、複数の接続部材130と、外部装置に接続するための端子131,132と、を有する。複数の接続部材130のそれぞれは、隣り合う蓄電池120同士を電気的に接続するための部材である。接続部材130は、例えば、隣り合う蓄電池120の両方に接続される導電部(図示省略)と、当該導電部を保護する保護部(図示省略)と、を有する。
【0021】
本実施形態では、複数の接続部材130を用いることによって、電池群110に含まれる複数の蓄電池120は、互いに直列接続される。すなわち、接続部材130は、一方の蓄電池120の負極端子122(正極端子123)と、他方の蓄電池120の正極端子123(負極端子122)とを接続する。なお、複数の蓄電池120は、互いに並列接続されてもよい。また、電池群110には、直列接続と並列接続との両方がなされてもよい。
【0022】
図2は、組電池用箱1の斜視図である。図2に示されるように、組電池用箱1は、複数の蓄電池120を収容する収容空間Sを有する。図1及び図2に示されるように、組電池用箱1は、四つの側部2,3,4,5と、底部(第一板材)6と、仕切部(第二板材)7と、を有する。四つの側部2,3,4,5、底部6及び仕切部7のそれぞれは、板材であり、例えば金属板もしくは合金板によって形成される。側部5と底部6とは、1枚の金属板もしくは合金板を加工することによって形成されてもよいし、溶接等によって互いに一体化してもよい。
【0023】
四つの側部2,3,4,5は、枠体を構成している。側部2と側部3とは、互いに対向して配置される。側部4と側部5とは、互いに対向して配置される。以下では、側部2と側部3とが対向する方向を第一方向D1とし、側部4と側部5とが対向する方向を第二方向D2とする。第一方向D1及び第二方向D2に直交する方向を第三方向D3とする。本実施形態では、第三方向D3は上下方向(高さ方向)に相当し、且つ、第三方向D3から見ることは、平面視に相当する。
【0024】
本実施形態では、側部2,3,4,5は、第一方向D1又は第二方向D2から見て、長方形状を呈する。側部2,3,4,5は、平面視にて四角枠形状を呈する。側部2,3,4,5の形状は、これに限られない。側部2,3,4,5は、平面視にて多角枠形状を呈してもよいし、円枠形状を呈してもよいし、楕円枠形状呈してもよい。
【0025】
本実施形態では、底部6は、平面視にて長方形状を呈する。底部6の形状は、これに限られない。底部6は、平面視にて多角形状を呈してもよいし、円形状を呈してもよいし、楕円形状を呈してもよい。底部6は、第一面6aと、第二面6bと、を有する。第一面6aと第二面6bとは、互いに対向する。第一面6aは、底部6の内面を構成する。第二面6bは、底部6の外面を構成する。
【0026】
図3は、組電池用箱を製造する前の底部の一部を示す図である。図3に示されるように、底部6には、貫通穴6c,6d,6e,6fが設けられる。貫通穴6c,6d,6e,6fは、第一面6aと第二面6bとを貫通する。貫通穴6c,6d,6e,6fは、長方形状を呈する長穴である。貫通穴6c,6d,6e,6fは、第二方向D2において、所定の間隔をあけて配置される。貫通穴6c,6d,6e,6fには、仕切部7の後述する凸部7c,7d,7e,7fが挿入される。
【0027】
底部6には、排水用の開口部6g,6hが設けられる。開口部6g,6hは、第一面6aと第二面6bとを貫通する。開口部6gは、貫通穴6cと貫通穴6dとの間に配置される。開口部6hは、貫通穴6eと貫通穴6fとの間に配置される。開口部6g,6hの形状は限定されない。底部6には、開口部6g,6hに対向する位置に、環状部6i,6jが設けられる。環状部6i,6jは、円環状を呈する。環状部6i,6jは、底部6の第二面6bに固定される。環状部6i,6jは、例えば、底部6の第二面6bに溶接によって固定される。開口部6g,6hと環状部6i,6jとは連通する。
【0028】
仕切部7は、組電池用箱1の収容空間Sを二つの空間に区画する。図2に示されるように、本実施形態では、仕切部7の第三方向D3の長さは、側部2,3,4,5の第三方向D3の長さよりも短い。すなわち、仕切部7の上端部の高さ位置は、側部2,3,4,5の上端部の高さ位置よりも低い。仕切部7は、下端面7s1が底部6の第一面6aに対向するように配置される。仕切部7は、第二方向D2の一方の端面7s2が側部4の内面に対向するように配置される。仕切部7は、第二方向D2の他方の端面7s3が側部5の内面に対向するように配置される。
【0029】
図4に示されるように、仕切部7は、切欠部7a,7bを有する。切欠部7aは、第二方向D2の一方の端部で且つ下部に位置する角部に設けられる。切欠部7bは、第二方向D2の他方の端部で且つ下部に位置する角部に設けられる。
【0030】
仕切部7は、凸部7c,7d,7e,7fを有する。凸部7c,7d,7e,7fは、仕切部7の下縁に設けられる。凸部7c,7d,7e,7fは、第二方向D2において、所定の間隔をあけて配置される。図5に示されるように、凸部7c,7d,7e,7fは、底部6の貫通穴6c,6d,6e,6fに挿入可能に設けられる。すなわち、凸部7c,7d,7e,7fは、底部6の貫通穴6c,6d,6e,6fと同じ間隔で配置される。凸部7c,7d,7e,7fは、第一方向D1から見て、長方形状を呈する。凸部7c,7d,7e,7fの長さ(下縁からの突出量)は、底部6の第一面6aと第二面6bとの間の長さよりも短い。これにより、凸部7c,7d,7e,7fは、底部6の貫通穴6c,6d,6e,6fに挿入された状態において、底部6の第二面6bから突出しない。
【0031】
側部4,5と仕切部7とは、溶接によって接合される。側部4,5と仕切部7とは、側部4,5の内面と仕切部7の第二方向D2の端部に形成された溶接部によって接合される。底部6と仕切部7とは、溶接によって接合される。図5及び図6に示されるように、組電池用箱1では、底部6の貫通穴6c,6d,6e,6fに仕切部7の凸部7c,7d,7e,7fが挿入された状態で、貫通穴6c,6d,6e,6fに溶接部W1,W2,W3,W4が形成される。溶接部W1,W2,W3,W4は、底部6の第二面6bに露出している。溶接部W1,W2,W3,W4は、底部6の第一面6a側に露出していない。
【0032】
続いて、組電池用箱1の製造方法について説明する。最初に、側部2,3,4,5、底部6及び仕切部7を用意する。底部6には、貫通穴6c,6d,6e,6fを設ける。仕切部7には、凸部7c,7d,7e,7fを設ける。続いて、側部2,3,4,5と底部6とを接合する。本実施形態では、側部5と底部6とは、1枚の金属板もしくは合金板を加工することによって形成されている。そのため、本実施形態では、側部2,3,4と底部6とを溶接によって接合すると共に、側部2,3,4,5同士を溶接によって接合する。溶接としては、例えば、アーク溶接を用いることができる。
【0033】
続いて、底部6と仕切部7とを接合する。具体的には、底部6の貫通穴6c,6d,6e,6fに対して、底部6の第一面6a側から仕切部7の凸部7c,7d,7e,7fを挿入する。そして、底部6の第二面6b側から、貫通穴6c,6d,6e,6fにおいて底部6と仕切部7とを溶接する。具体的には、貫通穴6cと凸部7cとをアーク溶接によって溶接し、溶接部W1を形成する。同様に、貫通穴6d,6e,6fと凸部7d,7e,7fとをアーク溶接によって溶接し、溶接部W2,W3,W4を形成する。溶接部W1,W2,W3,W4が形成されることにより、貫通穴6c,6d,6e,6fが溶接部W1,W2,W3,W4によって埋設される。また、側部4,5と仕切部7とを溶接によって接合する。以上により、組電池用箱1が製造される。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係る組電池用箱1の製造方法では、底部6に貫通穴6c,6d,6e,6fを設け、仕切部7に凸部7c,7d,7e,7fを設ける。そして、底部6の貫通穴6c,6d,6e,6fに対して、第一面6a側から仕切部7の凸部7c,7d,7e,7fを挿入し、底部6の第二面6b側から、貫通穴6c,6d,6e,6fにおいて底部6と仕切部7とを溶接する。これにより、溶接部W1,W2,W3,W4は、底部6の第一面6a側には形成されない。この製造方法では、組電池用箱1の内側に溶接部を形成することなく、組電池用箱1を製造することができる。そのため、底部6と仕切部7との隅部に形成された溶接部に蓄電池120のケース121の下端部等が接触してケース121が破損したり、蓄電池120が溶接部に接触することによって蓄電池120が組電池用箱1内に収まらなかったりすることを回避できる。したがって、蓄電池120の収容に関する不具合の発生を抑制できる。
【0035】
本実施形態に係る組電池用箱1の製造方法では、仕切部7の凸部7c,7d,7e,7fの長さは、底部6の第一面6aと第二面6bとの間の長さよりも短い。この方法では、仕切部7の凸部7c,7d,7e,7fが底部6の第二面6bから突出しないようにすることができる。
【0036】
本実施形態に係る組電池用箱1の製造方法では、底部6において複数の貫通穴6c,6d,6e,6fを設け、仕切部7において複数の貫通穴6c,6d,6e,6fのそれぞれに対応する複数の凸部7c,7d,7e,7fを設けている。底部6の複数の貫通穴6c,6d,6e,6fに対して、第一面6a側から仕切部7の複数の凸部7c,7d,7e,7fを挿入し、底部6の第二面6b側から、複数の貫通穴6c,6d,6e,6fのそれぞれにおいて底部6と仕切部7とを溶接する。この方法では、複数の貫通穴6c,6d,6e,6fにおいて溶接部W1,W2,W3,W4が形成されるため、底部6と仕切部7との接合強度を高めることができる。また、複数の貫通穴6c,6d,6e,6fに複数の凸部7c,7d,7e,7fを挿入するため、底部6に対する仕切部7の位置決めを容易に行うことができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0038】
上記実施形態では、底部6に複数の貫通穴6c,6d,6e,6fを設け、仕切部7に複数の凸部7c,7d,7e,7fを設け、貫通穴6c,6d,6e,6fと凸部7c,7d,7e,7fとを溶接した溶接部W1,W2,W3,W4を形成する形態を一例に説明した。しかし、貫通穴及び凸部は、少なくとも一つ設けられればよい。
【0039】
上記実施形態では、底部6に貫通穴6c,6d,6e,6fを設けると共に、仕切部7に凸部7c,7d,7e,7fを設け、底部6と仕切部7とを溶接部W1,W2,W3,W4によって接合する形態を一例に説明した。しかし、側部2,3,4,5同士を、貫通穴及び凸部を設ける構成によって溶接部を形成して接合してもよいし、側部2,3,4,5と底部6とを、貫通穴及び凸部を設ける構成によって溶接部を形成して接合してもよい。
【0040】
上記実施形態では、溶接方法として、アーク溶接を用いる形態を一例に説明した。しかし、溶接方法としては、レーザー溶接、抵抗溶接等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…組電池用箱、6…底部(第一板材)、6a…第一面、6b…第二面、6c,6d,6e,6f…貫通穴、7…仕切部(第二板材)、7c,7d,7e,7f…凸部、7s1…下端面、W1,W2,W3,W4…溶接部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6