(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160600
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】ドア駆動装置、ドア駆動装置の制御方法、及びドア駆動装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/63 20150101AFI20241107BHJP
【FI】
E05F15/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075784
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】来海 大輔
(72)【発明者】
【氏名】井上 卓也
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA00
2E052CA06
2E052DA05
2E052DB05
2E052EA02
2E052EB01
2E052EC02
2E052GA03
2E052GA08
2E052GB13
2E052GC03
2E052GC07
2E052GD09
2E052JA02
2E052JA06
(57)【要約】
【課題】ドア同士の停止タイミングを合わせるドア駆動装置、ドア駆動装置の制御方法、及びドア駆動装置の制御プログラムを提供する。
【解決手段】ドア駆動装置は、複数のドアをそれぞれ駆動する第1駆動部20A及び第2駆動部20Bと、第1駆動部20A及び第2駆動部20Bを同期制御する制御部11と、複数のドアが全開位置又は全閉位置にあるか否かを判断する判断部12と、を備える。制御部11は、複数のドアが開駆動又は閉駆動するように駆動部を制御しているときに一方のドアのみが全開位置又は全閉位置にあると判断部12が判断した場合、他方のドアの駆動を停止するように制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のドアをそれぞれ駆動する複数の駆動部と、
前記複数の駆動部を同期制御する制御部と、
前記複数のドアが全開位置又は全閉位置にあるか否かを判断する判断部と、を備え、
前記制御部は、前記複数のドアが開駆動又は閉駆動するように前記駆動部を制御しているときに一方のドアのみが前記全開位置又は前記全閉位置にあると前記判断部が判断した場合、他方のドアの駆動を停止するように制御する
ドア駆動装置。
【請求項2】
前記ドアに接触して開閉方向の前記ドアの移動を所定の位置で規制するストッパが備えられ、
前記判断部は、前記ストッパによって前記ドアの移動が規制されたときに前記全開位置又は前記全閉位置にあると判断する
請求項1に記載のドア駆動装置。
【請求項3】
前記制御部が行った駆動制御に関する情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記他方のドアの駆動を停止する停止制御を所定回数行ったときには、前記他方のドアの駆動部の制御を前記記憶部に記憶された前記停止制御に変更する
請求項1に記載のドア駆動装置。
【請求項4】
前記制御部が前記他方のドアの駆動を停止する停止制御を所定回数以上行ったときに外部に報知する報知部を備える
請求項1~3のいずれか一項に記載のドア駆動装置。
【請求項5】
複数のドアをそれぞれ駆動する複数の駆動部を同期制御する制御部を備えるドア駆動装置の制御方法であって、
前記複数の駆動部を駆動する駆動ステップと、
前記複数のドアが全開位置又は全閉位置にあるか否かを判断する判断ステップと、
一方のドアのみが前記全開位置又は前記全閉位置にあると判断したときに他方のドアの駆動を停止するように制御する停止制御ステップと、を含む
ドア駆動装置の制御方法。
【請求項6】
複数のドアをそれぞれ駆動する複数の駆動部を同期制御する制御部を備えるドア駆動装置の制御プログラムであって、
前記複数の駆動部を駆動する駆動ステップと、
前記複数のドアが全開位置又は全閉位置にあるか否かを判断する判断ステップと、
一方のドアのみが前記全開位置又は前記全閉位置にあると判断したときに他方のドアの駆動を停止するように制御する停止制御ステップと、をコンピュータが実行する
ドア駆動装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア駆動装置、ドア駆動装置の制御方法、及びドア駆動装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のドア駆動装置は、一対のプーリー間に巻き掛けたベルトを電動モータにより回動させ、該ベルトにドアのベルト掴みを連結して一対のドアを開閉動作させる。ドア駆動装置は、一対のプーリーそれぞれに電動モータの回転軸を直接連結して駆動させるとともに二つの電動モータを同期させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載のドア駆動装置では、ベルトを掛けられた一対のプーリーそれぞれを電動モータが同期して駆動することで、一対のドアの作動タイミングを合わせている。しかしながら、ベルト等で連結していない場合では、全開位置又は全閉位置がそれぞれのストッパの設置位置によって同じ駆動であっても停止タイミングがずれることがある。ストッパに限らず位置検知部によって全開位置又は停止位置を検出する場合も同様である。このため、一対のドア同士の停止タイミングや異なる開口のドア同士の停止タイミングを合わせることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するドア駆動装置は、複数のドアをそれぞれ駆動する複数の駆動部と、前記複数の駆動部を同期制御する制御部と、前記複数のドアが全開位置又は全閉位置にあるか否かを判断する判断部と、を備え、前記制御部は、前記複数のドアが開駆動又は閉駆動するように前記駆動部を制御しているときに一方のドアのみが前記全開位置又は前記全閉位置にあると前記判断部が判断した場合、他方のドアの駆動を停止するように制御する。
【0006】
上記構成によれば、一方のドアのみが全開位置又は全閉位置にあるということは他方は作動している。そこで、一方のドアのみが全開位置又は全閉位置にあると判断部が判断した場合、他方のドアが停止するように制御する。よって、ドアの移動を規制するストッパやドアの位置を検出する検出部の設置位置がずれていたとしても、ドア同士の停止タイミングを合わせることができる。
【0007】
上記ドア駆動装置について、前記ドアに接触して開閉方向の前記ドアの移動を所定の位置で規制するストッパが備えられ、前記判断部は、前記ストッパによって前記ドアの移動が規制されたときに前記全開位置又は前記全閉位置にあると判断することが好ましい。
【0008】
上記ドア駆動装置について、前記制御部が行った駆動制御に関する情報を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記他方のドアの駆動を停止する停止制御を所定回数行ったときには、前記記憶部に記憶された前記他方のドアの駆動部の制御を前記停止制御に変更することが好ましい。
【0009】
上記ドア駆動装置について、前記制御部が前記他方のドアの駆動を停止する停止制御を所定回数以上行ったときに外部に報知する報知部を備えることが好ましい。
【0010】
上記課題を解決するドア駆動装置について、複数のドアをそれぞれ駆動する複数の駆動部を同期制御する制御部を備えるドア駆動装置の制御方法であって、前記複数の駆動部を駆動する駆動ステップと、前記複数のドアが全開位置又は全閉位置にあるか否かを判断する判断ステップと、一方のドアのみが前記全開位置又は前記全閉位置にあると判断したときに他方のドアの駆動を停止するように制御する停止制御ステップと、を含む。
【0011】
上記方法によれば、一方のドアのみが全開位置又は全閉位置にあるということは他方は作動している。そこで、一方のドアのみが全開位置又は全閉位置にあると判断部が判断した場合、他方のドアが停止するように制御する。よって、ドアの移動を規制するストッパやドアの位置を検出する検出部の設置位置がずれていたとしても、ドア同士の停止タイミングを合わせることができる。
【0012】
上記課題を解決するドア駆動装置について、複数のドアをそれぞれ駆動する複数の駆動部を同期制御する制御部を備えるドア駆動装置の制御プログラムであって、前記複数の駆動部を駆動する駆動ステップと、前記複数のドアが全開位置又は全閉位置にあるか否かを判断する判断ステップと、一方のドアのみが前記全開位置又は前記全閉位置にあると判断したときに他方のドアの駆動を停止するように制御する停止制御ステップと、をコンピュータが実行することが好ましい。
【0013】
上記プログラムによれば、一方のドアのみが全開位置又は全閉位置にあるということは他方は作動している。そこで、一方のドアのみが全開位置又は全閉位置にあると判断部が判断した場合、他方のドアが停止するように制御する。よって、ドアの移動を規制するストッパやドアの位置を検出する検出部の設置位置がずれていたとしても、ドア同士の停止タイミングを合わせることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ドア同士の停止タイミングを合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ドア駆動装置の第1実施形態の構成を示す平面図である。
【
図2】同実施形態のドア駆動装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】同実施形態のドア駆動装置の駆動制御を示す図である。
【
図4】同実施形態のドア駆動装置の駆動制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図4を参照して、ドア駆動装置の第1実施形態について説明する。ドア駆動装置は、両開き戸を開閉駆動する装置である。
【0017】
図1に示すように、ドア駆動装置1は、ドア制御装置10と、第1駆動部20A及び第2駆動部20Bと、第1駆動機構30A及び第2駆動機構30Bと、を備える。ドア制御装置10は、第1駆動部20A及び第2駆動部20Bを制御して、第1ドア3及び第2ドア4を開閉する。第1駆動部20A及び第2駆動部20Bは、例えばモータであって、駆動力を出力する。第1駆動機構30Aは、第1駆動部20Aの動力を第1ドア3に伝達する。第2駆動機構30Bは、第2駆動部20Bの動力を第2ドア4に伝達する。
【0018】
第1駆動部20Aは、第1駆動軸22Aと、第1駆動アーム23Aと、第1規制板24Aと、第1全開ストッパ27Aと、第1全閉ストッパ28Aと、を備える。第1駆動軸22Aは、第1駆動部20Aによって回転される。第1駆動軸22Aには、第1駆動アーム23Aと第1規制板24Aとが一体に設けられている。第1駆動アーム23Aは、第1駆動軸22Aから両側に延びている。第1規制板24Aは、第1全開規制部25Aと第1全閉規制部26Aとを備えている。第1全開規制部25Aは、第1全開ストッパ27Aと接触する。第1全開ストッパ27Aは、第1ドア3に接触して開閉方向の第1ドア3の移動を所定の位置で規制する。すなわち、第1全開ストッパ27Aは、第1駆動軸22Aの回転を第1ドア3の全開位置で規制する。第1全閉規制部26Aは、第1全閉ストッパ28Aと接触する。第1全閉ストッパ28Aは、第1ドア3に接触して開閉方向の第1ドア3の移動を所定の位置で規制する。すなわち、第1全閉ストッパ28Aは、第1駆動軸22Aの回転を第1ドア3の全閉位置で規制する。第1全開ストッパ27A及び第1全閉ストッパ28Aは、例えばボルトである。
【0019】
第1駆動機構30Aは、第1連結棒31Aと、第1回転軸32Aと、第1回転アーム33Aと、を備える。第1連結棒31Aの一端は、第1駆動アーム23Aの一端に連結されている。第1連結棒31Aの他端は、第1回転アーム33Aに連結されている。第1回転アーム33Aは、第1回転軸32Aに固定されて、一体に回転する。第1回転軸32Aは、第1ドア3に固定されて一体に回転する。よって、第1回転アーム33A、第1回転軸32A、及び第1ドア3は、一体に回転する。
【0020】
第2駆動部20Bは、第2駆動軸22Bと、第2駆動アーム23Bと、第2規制板24Bと、第2全開ストッパ27Bと、第2全閉ストッパ28Bと、を備える。第2駆動軸22Bは、第2駆動部20Bによって回転される。第2駆動軸22Bには、第2駆動アーム23Bと第2規制板24Bとが一体に設けられている。第2駆動アーム23Bは、第2駆動軸22Bから両側に延びている。第2規制板24Bは、第2全開規制部25Bと第2全閉規制部26Bとを備えている。第2全開規制部25Bは、第2全開ストッパ27Bと接触する。第2全開ストッパ27Bは、第2ドア4に接触して開閉方向の第2ドア4の移動を所定の位置で規制する。すなわち、第2全開ストッパ27Bは、第2駆動軸22Bの回転を第2ドア4の全開位置で規制する。第2全閉規制部26Bは、第2全閉ストッパ28Bと接触する。第2全閉ストッパ28Bは、第2ドア4に接触して開閉方向の第2ドア4の移動を所定の位置で規制する。すなわち、第2全閉ストッパ28Bは、第2駆動軸22Bの回転を第2ドア4の全閉位置で規制する。第2全開ストッパ27B及び第2全閉ストッパ28Bは、例えばボルトである。
【0021】
第2駆動機構30Bは、第2連結棒31Bと、第2回転軸32Bと、第2回転アーム33Bと、を備える。第2連結棒31Bの一端は、第2駆動アーム23Bの一端に連結されている。第2連結棒31Bの他端は、第2回転アーム33Bに連結されている。第2回転アーム33Bは、第2回転軸32Bに固定されて、一体に回転する。第2回転軸32Bは、第2ドア4に固定されて一体に回転する。よって、第2回転アーム33B、第2回転軸32B、及び第2ドア4は、一体に回転する。
【0022】
次に、
図2を参照して、ドア駆動装置1の電気的な構成について説明する。
図2に示すように、ドア制御装置10は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサとして構成し得る。ドア制御装置10すなわちプロセッサにより実行される処理には、制御方法が含まれる。制御方法は、後述する駆動ステップと判断ステップと停止制御ステップとを含む。なお、ドア制御装置10は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、またはその組み合わせを含む回路(circuitry)として構成してもよい。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。コンピュータ可読媒体に格納されたプログラムには制御プログラムが含まれる。制御プログラムは、駆動ステップと判断ステップと停止制御ステップとをドア制御装置10に実行させる。
【0023】
ドア制御装置10は、制御部11と、判断部12と、記憶部13と、報知部14と、を備える。制御部11は、第1駆動部20Aを制御して第1ドア3を開閉するとともに、第2駆動部20Bを制御して第2ドア4を開閉する。判断部12は、第1ドア3及び第2ドア4が開駆動のときには全開位置に、閉駆動のときには全閉位置にあるか否かを判断する。記憶部13は、第1駆動部20A及び第2駆動部20Bを駆動制御するための情報及び制御部11が行った駆動制御に関する情報を記憶する。報知部14は、音や光、表示等を用いて故障や異常を外部に報知する。
【0024】
ドア制御装置10は、操作端末40と通信可能であって、操作端末40によって施工者等がドアの制御に掛かる設定を操作可能である。操作端末40は、施工者等が報知された故障や異常を確認することができる。操作端末40は、後述する停止制御の有無を設定することができる。
【0025】
第1駆動部20Aは、第1検出部21Aを備える。第1検出部21Aは、例えば第1駆動部20Aの回転量を検出するエンコーダであって、パルスカウントを処理して、第1ドア3の駆動速度をドア制御装置10に出力する。第2駆動部20Bは、第2検出部21Bを備える。第2検出部21Bは、例えば第2駆動部20Bの回転量を検出するエンコーダであって、パルスカウントを処理して、第2ドア4の駆動速度をドア制御装置10に出力する。なお、第1検出部21A及び第2検出部21Bがパルスカウント等の検出値をドア制御装置10に出力して、ドア制御装置10が第1ドア3及び第2ドア4の駆動速度を算出してもよい。
【0026】
(開閉駆動)
次に、
図3を参照して、ドア駆動装置1による開閉駆動について説明する。
図3に示すように、制御部11は、加速制御状態、高速制御状態、減速制御状態、低速制御状態、停止制御状態の順で第1駆動部20A及び第2駆動部20Bを駆動する。制御部11は、開駆動及び閉駆動で同じように第1駆動部20A及び第2駆動部20Bを駆動する。
【0027】
加速制御状態は、停止した状態から第1速度V1に加速される制御状態である。第1速度V1になった時間及び高速制御を開始する時間を第1時間T1とする。高速制御状態は、第1速度V1に維持される制御状態である。減速制御を開始する時間を第2時間T2とする。減速制御状態は、第1速度V1から第2速度V2に減速される制御状態である。第2速度V2になった時間及び低速制御を開始する時間を第3時間T3とする。低速制御状態は、第2速度V2に維持される制御状態である。停止制御を開始する時間を第4時間T4とする。低速制御状態を行う第3時間T3から第4時間T4までの領域をクッション領域とする。停止制御状態は、第2速度V2から減速して停止する制御状態である。
【0028】
制御部11は、第1駆動部20A及び第2駆動部20Bに対して同期制御を行う。制御部11は、第1駆動部20A及び第2駆動部20Bを同じ駆動パラメータで駆動させる。しかしながら、ストッパの設置位置、モータの特性、駆動機構の組み付け等によって停止タイミングにずれが発生することがある。そこで、制御部11は、一方のドアのみが全開位置又は全閉位置にあると判断部12が判断した場合、他方のドアの駆動を停止するように制御する。ここで、他方のドアを駆動停止する制御を「停止制御」という。停止制御としては、後述する押切動作の省略、電磁ブレーキ制御、ショートブレーキ制御、減速又は停止制御の制動力を上げる制御のいずれか、又は複数を組み合わせて行ってもよい。また、停止制御は、施工時や点検時のみ行ってもよいし、通常の駆動制御時に行ってもよい。停止制御の有無は、施工者が操作端末40で設定することができる。
【0029】
制御部11は、規制板がストッパに接触して駆動トルクが増加すると駆動を継続して接触した物が支障物でないことを確認する。この動作を押切という。判断部12は、制御部11が押切を行っても停止していることで全開位置又は全閉位置に位置していると判断する。なお、判断部12は、制御部11が押切を行わない場合には、駆動トルクが増加した時点で全開位置又は全閉位置に位置していると判断してもよい。
【0030】
制御部11は、他方のドアの駆動を停止する停止制御を所定回数行ったときには、停止制御を行った駆動部の制御を記憶部13に記憶された前記停止制御に変更する。
【0031】
判断部12は、他方のドアがクッション領域であるか否かを判断する。これは、他方のドアが大きくずれているときには停止させず、駆動させたほうがよいからである。制御部11は、他方のドアがクッション領域である、言い換えれば少し作動タイミングがずれているときに停止制御を行う。
【0032】
報知部14は、制御部11が他方のドアの駆動を停止する停止制御を所定回数以上行ったときに音や光、表示等を用いて外部に報知する。これにより、故障や異常を外部に報知することができる。
【0033】
(駆動制御)
次に、
図4を併せ参照して、上記ドア駆動装置1の駆動制御について説明する。駆動量を調整する際には、施工者が操作端末40を操作して、ドア駆動装置1を調整モードに変更する。
【0034】
まず、ドア制御装置10は、開駆動又は閉駆動を行う(ステップS1)。すなわち、制御部11は、同じ駆動情報で第1駆動部20A及び第2駆動部20Bをそれぞれ駆動制御する。ステップS1は、駆動ステップに相当する。
【0035】
次に、ドア制御装置10は、一方のドアのみ全開位置又は全閉位置であるか否かを判断する(ステップS2)。すなわち、判断部12は、第1ドア3及び第2ドア4が開駆動のときには全開位置に、閉駆動のときには全閉位置にあるか否かを駆動が停止したか否かによって判断する。ここでは、判断部12は、少なくとも一方のドアが全開位置又は全閉位置になるまで待機する。ステップS2は、判断ステップに相当する。
【0036】
そして、判断部12が両方のドアが全開位置又は全閉位置であると判断した場合には(ステップS2:NO)、正常に作動しているので停止制御を行わず、制御部11は処理を終了する。
【0037】
一方、判断部12は、一方のドアのみが全開位置又は全閉位置であると判断した場合には(ステップS2:YES)、他方のドアがクッション領域に位置するか否かを判断する(ステップS3)。すなわち、判断部12は、一方のドアに対する他方のドアの遅れが少しであって、停止しても問題ないか否かを判断する。
【0038】
そして、判断部12が他方のドアがクッション領域に位置しないと判断した場合には(ステップS3:NO)、ドア制御装置10は、駆動を継続してステップS7に移行する。
一方、判断部12が他方のドアがクッション領域に位置すると判断した場合には(ステップS3:YES)、ドア制御装置10は、他方のドアを停止制御する(ステップS4)。すなわち、制御部11は、他方のドアの駆動を停止するように制御する。よって、停止していない他方のドアを停止させることで両方のドアの全開位置又は全閉位置を合わせることができる。言い換えれば、両方のドアの停止タイミングを合わせることができる。ステップS4は、停止制御ステップに相当する。
【0039】
次に、ドア制御装置10は、停止制御が所定回数以上であるか否かを判断する(ステップS5)。すなわち、制御部11は、停止制御が所定回数以上であるか否かを判断することで慢性的に停止タイミングのずれが発生しているか否かを判断する。
【0040】
そして、制御部11は、停止制御が所定回数未満であると判断した場合には(ステップS5:NO)、正常に作動している可能性が高いので異常を報知せず、処理を終了する。
一方、制御部11は、停止制御が所定回数以上であると判断した場合には(ステップS5:YES)、制御情報を変更する(ステップS6)。すなわち、制御部11は、停止制御を行った駆動部の制御情報を調整制御の制御情報に変更する。制御部11は、記憶部13の制御情報を変更する。
【0041】
次に、ドア制御装置10は、異常を報知する(ステップS7)。すなわち、制御部11は、停止制御を所定回数以上行っていて、慢性的に停止タイミングのずれが発生しているので、報知部14が異常を報知して、処理を終了する。
【0042】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)一方のドアのみが全開位置又は全閉位置にあるということは他方は作動している。そこで、一方のドアのみが全開位置又は全閉位置にあると判断部12が判断した場合、他方のドアが停止するように制御する。よって、ドアの移動を規制するストッパの設置位置がずれていたとしても、ドア同士の停止タイミングを合わせることができる。
【0043】
(1-2)ストッパによるドアの移動の規制は駆動制御とは関係なく行われるため、ストッパの設置位置がずれていると停止タイミングがずれるおそれがある。そこで、一方のドアのみが全開位置又は全閉位置にあると判断部12が判断した場合、他方のドアが停止するように制御することでドア同士の停止タイミングを合わせることができる。
【0044】
(1-3)他方のドアの駆動を停止する停止制御を所定回数行うということは停止タイミングが明らかにずれている。そこで、他方のドアの駆動部の制御を記憶部13に記憶された停止制御に変更する。このため、停止タイミングを合わせた駆動制御を行うことができる。
【0045】
(1-4)停止制御を所定回数以上行ったということは異常等の可能性がある。そこで、停止制御を所定回数以上行ったときに報知部14が外部に報知する。このため、異常等を報知することができる。
【0046】
(第2実施形態)
以下、
図2を併せ参照して、ドア駆動装置の第2実施形態について説明する。この実施形態のドア駆動装置は、全開位置又は全閉位置に位置することを検出部が検出する点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0047】
図2に示すように、ドア駆動装置1は、第3検出部34Aと、第4検出部34Bとを備えている。第3検出部34Aは、第1ドア3が全開位置及び全閉位置の少なくとも一方に位置することを検出して、ドア制御装置10に出力する。第4検出部34Bは、第2ドア4が全開位置及び全閉位置の少なくとも一方に位置することを検出して、ドア制御装置10に出力する。第3検出部34A及び第4検出部34Bは、例えばリミットスイッチである。
【0048】
判断部12は、第3検出部34Aが検出すると、第1ドア3が全開位置又は全閉位置に位置すると判断する。同様に、判断部12は、第4検出部34Bが検出すると、第2ドア4が全開位置又は全閉位置に位置すると判断する。制御部11は、一方のドアのみが全開位置又は全閉位置にあると判断部12が判断したときに他方のドアの駆動を停止するように制御する。駆動軸においてストッパが接触することで全開位置と全閉位置とを判断するのではなく、ドアの実際の位置を検出して判断する。ストッパによる物理的な停止ではなく、電気的に検出可能なので容易に判断することができる。
【0049】
第2実施形態の駆動制御は、ドアが全開位置又は全閉位置に位置することを第3検出部34Aと第4検出部34Bとが検出する点が第1実施形態と異なり、他は第1実施形態の駆動制御と同様であるため、説明を割愛する。
【0050】
次に、第2実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-3)~(1-5)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(2-1)一方のドアのみが全開位置又は全閉位置にあるということは他方は作動している。そこで、一方のドアのみが全開位置又は全閉位置にあると判断部12が判断した場合、他方のドアが停止するように制御する。よって、ドアの位置を検出する検出部の設置位置がずれていたとしても、ドア同士の停止タイミングを合わせることができる。
【0051】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0052】
・上記各実施形態において、報知部14を省略してもよい。
・上記実施形態において、操作端末40を省略してもよい。
・上記各実施形態において、停止制御を所定回数行ったときに停止制御を行った駆動部の制御を前記停止制御に変更した。しかしながら、停止制御を1回行ったときに停止制御を行った駆動部の制御を前記停止制御に変更してもよい。また、駆動部の制御を変更せず、都度調整制御してもよい。
【0053】
・上記各実施形態では、1個の制御部11で2個の第1駆動部20A及び第2駆動部20Bを駆動制御した。しかしながら、駆動部毎に制御部を設けて、それぞれの制御部が駆動部を駆動制御してもよい。
【0054】
・上記各実施形態では、駆動部が開駆動及び閉駆動を行った。しかしながら、駆動部が開駆動と閉駆動とのいずれか一方のみを行ってもよい。
・上記各実施形態では、両開き戸を開閉駆動するドア駆動装置においてドア同士の停止タイミングを合わせるように停止制御を行った。しかしながら、折戸を開閉駆動するドア駆動装置においてドア同士の停止タイミングを合わせるように停止制御を行ってもよい。また、異なる開口のドアを開閉駆動する複数のドア駆動装置においてそれぞれの開口のドア同士の停止タイミングを合わせるように停止制御を行ってもよい。
【0055】
・上記各実施形態では、報知部14は、停止制御を所定回数以上行ったときに報知を行った。しかしながら、報知部14は、判断部12が複数のドアが全開位置にあると判断したタイミングの差が閾値以上であるときに外部に報知してもよい。この場合、施工者が調整モードで停止制御を行わない設定の下で自動ドア駆動装置を操作させ、複数のドアのそれぞれの全開位置又は全閉位置を判断部12に判定させる。複数のドアの全開位置又は全閉位置にあると判断されるタイミングの差が閾値以上であるということは異常等の可能性がある。そこで、調整制御を所定回数以上行ったときに報知部14が外部に報知する、このため、異常等を報知することができる。
【0056】
・上記各実施形態において、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【0057】
・上記各実施形態において、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0058】
1…ドア駆動装置
2…ケース
3…第1ドア
4…第2ドア
10…ドア制御装置
11…制御部
12…判断部
13…記憶部
14…報知部
20A…第1駆動部
20B…第2駆動部
21A…第1検出部
21B…第2検出部
22A…第1駆動軸
22B…第2駆動軸
23A…第1駆動アーム
23B…第2駆動アーム
24A…第1規制板
24B…第2規制板
25A…第1全開規制部
25B…第2全開規制部
26A…第1全閉規制部
26B…第2全閉規制部
27A…第1全開ストッパ
27B…第2全開ストッパ
28A…第1全閉ストッパ
28B…第2全閉ストッパ
30A…第1駆動機構
30B…第2駆動機構
31A…第1連結棒
31B…第2連結棒
32A…第1回転軸
32B…第2回転軸
33A…第1回転アーム
33B…第2回転アーム
34A…第3検出部
34B…第4検出部
40…操作端末