(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160618
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】電動機
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20241107BHJP
H02K 5/20 20060101ALI20241107BHJP
H02K 1/20 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K5/20
H02K1/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075824
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】平野 覚
(72)【発明者】
【氏名】木村 恵太
【テーマコード(参考)】
5H601
5H605
5H609
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601BB20
5H601CC01
5H601CC14
5H601DD01
5H601DD11
5H601DD30
5H601GE02
5H601GE14
5H605AA01
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC01
5H605DD03
5H605DD13
5H605DD32
5H605EB34
5H609BB03
5H609BB19
5H609PP02
5H609QQ05
5H609QQ10
5H609RR36
5H609RR42
(57)【要約】
【課題】冷媒の攪拌ロスを抑制可能な電動機を提供する。
【解決手段】モータ1では、ハウジング20が、ステータ10の一端部13が当接される第1壁部21と、ステータ10の他端部14が当接される第2壁部22と、ステータ10の外周部11aに臨む側壁部23と、ステータ10の内周部11bと第1壁部21及び第2壁部22とによって形成された内側空間24と、外周部11aと第1壁部21及び第2壁部22とによって形成され内側空間24と分離された外側空間25と、を含む。冷媒流路30は、外側空間25におけるステータ10の一端部13側の第1領域31と、外側空間25におけるステータ10の他端部14側の第2領域32と、第1領域31と第2領域32とを連通するように、ステータ10の外周部11aに形成された複数の溝部33と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って延在するシャフトと、
前記シャフトに設けられたロータと、
前記ロータの周囲を取り囲むように設けられたステータと、
前記シャフトを回転可能に支持する軸受けと、
前記シャフト、前記ロータ、前記ステータ、及び前記軸受けを収容するハウジングと、
前記ハウジング内に形成され、冷媒が流通する冷媒流路と、
を備え、
前記ハウジングは、
前記ステータの前記第1方向の一端部が当接される第1壁部と、
前記ステータの前記第1方向の他端部が当接される第2壁部と、
前記ステータの外周部に臨む側壁部と、
前記ステータの内周部と前記第1壁部及び前記第2壁部とによって形成され、少なくとも前記ロータを収容する内側空間と、
前記ステータの外周部と前記第1壁部及び前記第2壁部とによって形成され、前記ステータの前記一端部と前記第1壁部との間、及び、前記ステータの前記他端部と前記第2壁部との間にシール材が介在されることで前記内側空間と分離された外側空間と、
を含み、
前記冷媒流路は、
前記外側空間における前記ステータの前記一端部側の第1領域と、
前記外側空間における前記ステータの前記他端部側の第2領域と、
前記第1方向に沿って延在して前記第1領域と前記第2領域とを連通するように、前記ステータの前記外周部に形成された複数の溝部と、を含む、
電動機。
【請求項2】
前記複数の溝部のそれぞれは、当該複数の溝部を規定するように前記ステータの前記外周部に形成された凸部の頂部が前記ハウジングの前記側壁部に当接されることにより、前記第1方向に交差する第2方向について閉じられている、
請求項1に記載の電動機。
【請求項3】
前記軸受けは、
前記第1壁部に埋設された第1軸受けと、
前記第2壁部に埋設された第2軸受けと、を含み、
前記冷媒流路は、
前記第1領域の一部と前記第1領域の別の一部とを前記第1軸受けを経由して連通するように前記第1壁部の内部に形成された第1連通路と、
前記第2領域の一部と前記第2領域の別の一部とを前記第2軸受けを経由して連通するように前記第2壁部の内部に形成された第2連通路と、を含む、
請求項1又は2に記載の電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動車両用モータの油冷却構造が記載されている。この油冷却構造は、ケースとケースの内側に嵌合されたステータコアを有するモータとを含む。ケースとステータコアとの間には、周方向の複数位置に軸方向に延びる油溝が形成される。油溝の各々の一端は、ステータコアの軸方向の後端面側が開放されるように形成された第1環状空間に通じており、第1環状空間を介してケース内部に開放されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の油冷却構造では、油導入ポートから導入された油を、油溝及び第1環状空間を介して、周方向の多くの部分からコイルエンドに向けて噴射することで、モータの冷却性の向上を図っている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の油冷却構造では、油がモータ全体に滴下される状態となる。このため、油がロータにかかると油の攪拌ロスが大きくなる問題がある。
【0006】
本開示は、冷媒の攪拌ロスを抑制可能な電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る電動機は、第1方向に沿って延在するシャフトと、シャフトに設けられたロータと、ロータの周囲を取り囲むように設けられたステータと、シャフトを回転可能に支持する軸受けと、シャフト、ロータ、ステータ、及び軸受けを収容するハウジングと、ハウジング内に形成され、冷媒が流通する冷媒流路と、を備え、ハウジングは、ステータの第1方向の一端部が当接される第1壁部と、ステータの第1方向の他端部が当接される第2壁部と、ステータの外周部に臨む側壁部と、ステータの内周部と第1壁部及び第2壁部とによって形成され、少なくともロータを収容する内側空間と、ステータの外周部と第1壁部及び第2壁部とによって形成され、ステータの一端部と第1壁部との間、及び、ステータの他端部と第2壁部との間にシール材が介在されることで内側空間と分離された外側空間と、を含み、冷媒流路は、外側空間におけるステータの一端部側の第1領域と、外側空間におけるステータの他端部側の第2領域と、第1方向に沿って延在して第1領域と第2領域とを連通するように、ステータの外周部に形成された複数の溝部と、を含む。
【0008】
この電動機においては、ハウジングが、ステータの第1方向の一端部が当接される第1壁部と、ステータの第1方向の他端部が当接される第2壁部と、ステータの外周部に臨む側壁部と、ステータの内周部と第1壁部及び第2壁部とによって形成され、少なくともロータを収容する内側空間と、ステータの外周部と第1壁部及び第2壁部とによって形成された外側空間と、を含む。外側空間は、ステータの一端部と第1壁部との間、及び、ステータの他端部と第2壁部との間にシール材が介在されることで内側空間と分離されている。そして、冷媒が流通する冷媒流路は、外側空間におけるステータの一端部側の第1領域と、外側空間におけるステータの他端部側の第2領域と、第1方向に沿って延在して第1領域と第2領域とを連通するように、ステータの外周部に形成された複数の溝部と、を含む。したがって、ハウジングの外側空間において、例えば第1領域から複数の溝部を介して第2領域に冷媒を流通させることにより、ステータの外周部に冷媒を循環させて効率的な冷却が可能となる。特に、ハウジングにおける冷媒が流通される外側空間と、ロータやシャフトの少なくとも一部が収容される内側空間とが、ステータの端部とハウジングの第1壁部及び第2壁部との間にシール材が介在されることによって分離されている(外側空間が内側空間に対して封止されている)。したがって、冷媒が内側空間に導入されてロータ等の回転体にかかることが避けられるため、冷媒の攪拌ロスが抑制される。
【0009】
本開示に係る電動機では、複数の溝部のそれぞれは、当該複数の溝部を規定するようにステータの外周部に形成された凸部の頂部がハウジングの側壁部に当接されることにより、第1方向に交差する第2方向について閉じられていてもよい。この場合、ステータの外周部の凸部の頂部がハウジングの側壁部に当接されることで溝部が閉じられて管状とされ、冷媒が効率的に流通させられる。特に、溝部を閉じるための別部材といった磁気回路的に機能しない部材が不要であるため、質量的な無駄を抑制することができる。
【0010】
本開示に係る電動機では、軸受けは、第1壁部に埋設された第1軸受けと、第2壁部に埋設された第2軸受けと、を含み、冷媒流路は、第1領域の一部と第1領域の別の一部とを第1軸受けを経由して連通するように第1壁部の内部に形成された第1連通路と、第2領域の一部と第2領域の別の一部とを第2軸受けを経由して連通するように第2壁部の内部に形成された第2連通路と、を含んでもよい。この場合、冷媒流路が、軸受けを経由する連通路を含む。このため、軸受けを冷却して軸受けの過熱を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、冷媒の攪拌ロスを抑制可能な電動機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るモータの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施形態に係るモータについて、図面を参照して説明する。各図の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。また、各図には、第1方向D1を規定する第1軸、第1方向D1に交差する第2方向D2を規定する第2軸、並びに、第1方向及び第2方向に交差する第3方向を規定する第3軸からなる座標系を示す。
【0014】
図1は、本実施形態に係るモータの概略断面図である。
図2は、
図1の領域ARの拡大断面図である。
図1,2に示されるモータ1(電動機)は、例えば、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、燃料電池車(FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)等の電動車に搭載され得る。
【0015】
モータ1は、シャフト3、ロータ5、第1軸受け9a、第2軸受け9b、ステータ10、及びハウジング20を備えている。シャフト3は、第1方向D1に沿って延在する棒状の部材である。シャフト3は、第1方向D1に沿って互いに離間して配置された第1軸受け9a及び第2軸受け9bによって、第1方向D1に沿った軸の周りに回転可能に支持されている。シャフト3は、モータ1が発生した回転力によって回転することで、例えば外部の機器に動力を伝達する部材である。
【0016】
ロータ5は、シャフト3に設けられている。ロータ5は、シャフト3と共に回転する円筒状の部材である。ロータ5は、例えば、内部にロータ磁界を形成するための永久磁石(同期機の場合)、もしくは、籠形状のアルミニウム(誘導機の場合)が配置されている。ロータ5は、当該ロータ磁界と、ステータ10によって形成されるステータ磁界との相互作用によって、シャフト3と連動して第1方向D1に沿った軸の周りに回転する。
【0017】
ステータ10は、第1方向D1に沿ってロータ5の周囲を取り囲むように設けられた筒状(ここでは円筒状)の部材である。ステータ10は、ステータコア11とコイル12とを含む。ステータコア11は、例えば、電磁鋼板を積層して溶接することによって構成され得る。ステータコア11には、ステータ磁界を形成するためのコイル12が巻回されている。
【0018】
第1方向D1におけるステータコア11の一端には、コイル12の一部であるコイルエンドが形成されて突出し、ステータ10の一端部13を構成している。また、第1方向D1におけるステータコア11の他端には、コイル12の一部であるコイルエンドが形成されて突出し、ステータ10の他端部14を構成している。ステータ10は、ステータボルト当の他の部材によってハウジング20に固定され得る。
【0019】
モータ1は、例えば三相交流モータである。この場合、コイル12は、ステータ10の周方向に沿って、U相、V相、及び、W相の各層に対応した複数の部分が配列されて構成され得る。なお、第2方向D2は、ステータ10の径方向であり、第3方向D3は、ステータ10の周方向である。
【0020】
ハウジング20は、シャフト3の一部(端部)、ロータ5、第1軸受け9a、第2軸受け9b、及びステータ10を収容している。ハウジング20は、第1壁部21、第2壁部22、及び側壁部23を含む。側壁部23は、筒状に形成されており、第1壁部21及び第2壁部22は、側壁部23の第1方向D1の両端を塞ぐように側壁部23に設けられている。本実施形態では、第2壁部22と側壁部23とは一体に形成されており、第1壁部21は、側壁部23及び第2壁部22とは別体に形成されると共に、側壁部23に取り付けられて一体化されている。
【0021】
第1壁部21には、ステータ10の第1方向D1の一端部13が当接されている。より具体的には、ステータ10の一端部13では、コイルエンドが例えば熱硬化性材料(一例として昭和電工製・リゴラック(登録商標)BMC)からなる樹脂部材15により被覆されており、当該コイルエンドが樹脂部材15及びシール材17を介して第1壁部21に当接されている。すなわち、ステータ10の一端部13と第1壁部21との間には、シール材17が介在されている。これにより、ステータ10の一端部13と第1壁部21との間が少なくとも液密に保持されている。
【0022】
また、第2壁部22には、ステータ10の第1方向D1の他端部14が当接されている。より具体的には、ステータ10の他端部14では、コイルエンドが例えば熱硬化性材料(一例として昭和電工製・リゴラック(登録商標)BMC)からなる樹脂部材16により被覆されており、当該コイルエンドが樹脂部材16及びシール材17を介して第2壁部22に当接されている。すなわち、ステータ10の他端部14と第2壁部22との間には、シール材17が介在されている。これにより、ステータ10の他端部14と第2壁部22との間が少なくとも液密に保持されている。
【0023】
第1軸受け9aは、例えば、第1壁部21に設けられた凹部に嵌入されて保持されている。第2軸受け9bは、例えば、第2壁部22に設けられた凹部に嵌入されて保持されている。すなわち、第1軸受け9aは、少なくとも一部が第1壁部21に埋設されており、第2軸受け9bは、少なくとも一部が第2壁部22に埋設されている。
【0024】
ハウジング20は、内側空間24と外側空間25とを含む。内側空間24は、ステータ10の内周部11bと第1壁部21及び第2壁部22とによって形成され、シャフト3の一部、及びロータ5を収容している。外側空間25は、ステータ10の外周部11aと第1壁部21及び第2壁部22とによって形成されている。外側空間25は、ステータ10の一端部13と第1壁部21との間、及び、ステータ10の他端部14と第2壁部22との間にシール材17が介在されることで、内側空間24と分離されている(内側空間24に対して少なくとも液密に封止されている)。すなわち、ハウジング20では、第1壁部21と第2壁部22との間に形成される空間が、互いに封止されたステータ10の内側の空間と外側の空間とに区画されている。
【0025】
ここで、モータ1は、ハウジング20内に形成され、冷媒(例えばオイル等の液状の冷媒)が流通する冷媒流路30を備えている。冷媒流路30は、第1領域31、第2領域32、溝部33、第1連通路35、及び、第2連通路36を含む。第1領域31は、外側空間25におけるステータ10の一端部13側の領域である。第2領域32は、外側空間25におけるステータ10の他端部14側の領域である。
【0026】
溝部33は、第1方向D1に沿って延在して第1領域31と第2領域32とを連通するように、ステータ10の外周部11a(ここでは、ステータコア11の外表面)に複数形成されている。すなわち、第1方向D1における溝部33の一端は、第1領域31に通じており、第1方向D1における溝部33の他端は、第2領域32に通じている。溝部33は、ステータ10の周方向(第3方向D3)に沿って配列されている。
【0027】
第1連通路35は、第1領域31の一部と第1領域31の別の一部とを第1軸受け9aを経由して連通するように第1壁部21の内部に形成されている。第1領域31の一部及び別の一部とは、一例として、第1方向D1からみて第1領域31が円環状に形成されている場合、当該円環の中心を介して互いに対向する部分である。なお、第1連通路35を流通する冷媒が第1軸受け9aにおいて内側空間24に流入しないように、第1壁部21から第1軸受け9aにわたってシール材が設けられている。
【0028】
第2連通路36は、第2領域32の一部と第2領域32の別の一部とを第2軸受け9bを経由して連通するように第2壁部22の内部に形成されている。第2領域32の一部及び別の一部とは、一例として、第1方向D1からみて第2領域32が円環状に形成されている場合、当該円環の中心を介して互いに対向する部分である。なお、第2連通路36を流通する冷媒が第2軸受け9bにおいて内側空間24に流入しないように、第2壁部22から第2軸受け9bにわたってシール材が設けられている。
【0029】
以上のような冷媒流路30では、導入部7aから第1領域31に冷媒が導入されると、冷媒の一部が溝部33を通じて第2領域32に向けて流通すると共に、冷媒の残部が第1連通路35を通じて第1軸受け9aに向けて流通される。第2領域32に導出された冷媒は、第2領域32に設けられた排出部7bから外部に排出される。
【0030】
なお、
図2に示されるように、ステータ10(ステータコア11)の外周部11aには、溝部33を規定する複数の凸部11pが、ステータ10の周方向(第3方向D3)に沿って配列されて形成されている。溝部33は、ステータ10の周方向に隣り合う一対の凸部11pによって形成される。そして、凸部11pの頂部(頂面)がハウジング20の側壁部23の内面23sに当接されることにより、溝部33のそれぞれが、ステータ10の径方向(第2方向D2)について閉じられている。これにより、溝部33のそれぞれが、第1方向D1に沿って延びる管状に形成される。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係るモータ1においては、ハウジング20が、ステータ10の第1方向D1の一端部13が当接される第1壁部21と、ステータ10の第1方向D1の他端部14が当接される第2壁部22と、ステータ10の外周部11aに臨む側壁部23と、ステータ10の内周部11bと第1壁部21及び第2壁部22とによって形成され、シャフト3の一部及びロータ5を収容する内側空間24と、ステータ10の外周部11aと第1壁部21及び第2壁部22とによって形成された外側空間25と、を含む。
【0032】
外側空間25は、ステータ10の一端部13と第1壁部21との間、及び、ステータ10の他端部14と第2壁部22との間にシール材17が介在されることで内側空間24と分離されている。そして、冷媒が流通する冷媒流路30は、外側空間25におけるステータ10の一端部13側の第1領域31と、外側空間25におけるステータ10の他端部14側の第2領域32と、第1方向D1に沿って延在して第1領域31と第2領域32とを連通するように、ステータ10の外周部11aに形成された複数の溝部33と、を含む。
【0033】
したがって、ハウジング20の外側空間25において、例えば第1領域31から複数の溝部33を介して第2領域32に冷媒を流通させることにより、ステータ10の外周部11aに冷媒を循環させて効率的な冷却が可能となる。特に、ハウジング20における冷媒が流通される外側空間25と、ロータ5やシャフト3の少なくとも一部が収容される内側空間24とが、ステータ10の端部とハウジング20の第1壁部21及び第2壁部22との間にシール材17が介在されることによって分離されている。したがって、冷媒が内側空間24に導入されてロータ5等の回転体にかかることが避けられるため、冷媒の攪拌ロスが抑制される。
【0034】
また、本実施形態に係るモータ1では、複数の溝部33のそれぞれは、当該複数の溝部33を規定するようにステータ10の外周部11aに形成された凸部11pの頂部がハウジング20の側壁部23に当接されることにより、第2方向D2について閉じられていている。このため、溝部33が閉じられて管状とされ、冷媒が効率的に流通させられる。特に、溝部33を閉じるための別部材といった磁気回路的に機能しない部材が不要であるため、質量的な無駄を抑制することができる。
【0035】
さらに、本実施形態に係るモータ1は、シャフト3を回転可能に支持する軸受けが、第1壁部21に埋設された第1軸受け9aと、第2壁部22に埋設された第2軸受け9bと、を含む。そして、冷媒流路30は、第1領域31の一部と第1領域31の別の一部とを第1軸受け9aを経由して連通するように第1壁部21の内部に形成された第1連通路35と、第2領域32の一部と第2領域32の別の一部とを第2軸受け9bを経由して連通するように第2壁部22の内部に形成された第2連通路36と、を含んでいる。このため、第1軸受け9a及び第2軸受け9bを冷却して過熱を抑制することが可能となる。
【0036】
以上の実施形態は、本発明の一形態を説明したものである。したがって、本発明は、上述したモータ1に限定されず、任意に変形され得る。
【0037】
例えば、上記実施形態では、ステータ10の外周部11aの凸部11pが側壁部23に当接することで、第2方向D2について溝部33が閉じられる形態について説明した。しかし、溝部33が予め閉じられて(管状に)形成されていてもよいし、凸部11pが側壁部23以外の部材に当接することで溝部33が閉じられてもよい。或いは、溝部33が第2方向D2に対して閉じられておらず、開放されていてもよい。
【0038】
さらに、上記実施形態では、冷媒流路30が、第1軸受け9aを経由するように第1壁部21内に設けられた第1連通路35と、第2軸受け9bを経由するように第2壁部22内に設けられた第2連通路36と、を含む形態について説明した。しかし、冷媒流路30は、第1連通路35及び第2連通路36を有していなくてもよいし、第1軸受け9a及び第2軸受け9bを経由しない別の流路をさらに備えていてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…モータ(電動機)、3…シャフト、5…ロータ、9a…第1軸受け、9b…第2軸受け、10…ステータ、11a…外周部、11b…内周部、11p…凸部、13…一端部、14…他端部、20…ハウジング、21…第1壁部、22…第2壁部、23…側壁部、30…冷媒流路、31…第1領域、32…第2領域、33…溝部、35…第1連通路、36…第2連通路。