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特開2024-160627光変調器集積型半導体レーザおよび半導体発光装置
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  • 特開-光変調器集積型半導体レーザおよび半導体発光装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160627
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】光変調器集積型半導体レーザおよび半導体発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02345 20210101AFI20241107BHJP
   H01S 5/026 20060101ALI20241107BHJP
   H01S 5/042 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
H01S5/02345
H01S5/026 616
H01S5/042 612
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075845
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】河村 浩充
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MA02
5F173MC20
5F173MD53
5F173MD59
5F173MD62
(57)【要約】
【課題】インピーダンス不整合による変調信号の損失が低減される、光変調器集積型半導体レーザおよび半導体発光装置を提供する。
【解決手段】光変調器集積型半導体レーザは、レーザ光を出力するレーザ部と、レーザ光を変調する光変調部と、光変調部へ変調信号を入力するための第1ワイヤに接続するための信号用パッドと、グランド電位を有する第2ワイヤに接続するための第1パッドとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出力するレーザ部と、
前記レーザ光を変調する光変調部と、
前記光変調部へ変調信号を入力するための第1ワイヤに接続するための信号用パッドと、
グランド電位を有する第2ワイヤに接続するための第1パッドと、
を備える、光変調器集積型半導体レーザ。
【請求項2】
前記グランド電位を含む第3ワイヤに接続するための第2パッドをさらに有する、請求項1に記載の光変調器集積型半導体レーザ。
【請求項3】
前記第1パッドおよび前記信号用パッドは、前記光変調部に設けられる、請求項1に記載の光変調器集積型半導体レーザ。
【請求項4】
請求項1または2に記載された光変調器集積型半導体レーザと、
前記光変調部に接続され、変調信号を伝送する伝送線路と、
を備え、
前記伝送線路は、
前記変調信号を伝送する信号線と、
グランド電位を含むグランド電位線と、
を有し、
前記信号用パッドと前記信号線とが前記第1ワイヤにより接続され、
前記信号用パッドの一方側に設けられた前記第1パッドと前記グランド電位線とが前記第2ワイヤにより接続される、半導体発光装置。
【請求項5】
第2パッドは前記信号用パッドの他方側に設けられる、請求項4に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記光変調部を挟んで前記伝送線路とは反対側に設けられ、前記変調信号の反射を低減する終端部と、
第4ワイヤと、
第5ワイヤと、
をさらに備え、
前記終端部は、
第1配線パターンと、
前記第1配線パターンに一端が接続される抵抗と、
前記抵抗の他端に接続される第2配線パターンと、
を有し、
前記第1配線パターンと前記信号用パッドとが前記第4ワイヤにより接続され、
前記第2配線パターンと前記第1パッドとが前記第5ワイヤにより接続される、請求項4に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
第6ワイヤをさらに備え、
前記信号用パッドの他方側に設けられた第2パッドをさらに有し、
前記第2配線パターンと前記第2パッドとが前記第6ワイヤにより接続される、請求項6に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記第2配線パターンは、前記抵抗と、前記第5ワイヤおよび前記第6ワイヤと、にのみ接続される、請求項7に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記第2配線パターンは、前記抵抗と、前記第5ワイヤと、にのみ接続される、請求項6に記載の半導体発光装置。
【請求項10】
前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤは、互いに平行に設けられる、請求項4に記載の半導体発光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光変調器集積型半導体レーザおよび半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高周波回路および高周波回路を実装したモジュールと、通信機とに関する技術が公開されている。高周波回路は、高周波信号を伝送する信号線と容量を有する素子とを第一ボンディングワイヤで接続し、容量を有する素子とインピーダンス整合用の終端抵抗とを第二ボンディングワイヤで接続して構成される。高周波回路において、第一ボンディングワイヤ、第二ボンディングワイヤ、および容量を有する素子により形成される伝送線路の特性インピーダンスの大きさは、高周波信号の入力側の特性インピーダンスの大きさより大きい。また、高周波回路において、第一ボンディングワイヤのインダクタンスの大きさは、第二ボンディングワイヤのインダクタンスの大きさよりも小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-308130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光通信の高速化および大容量化に伴い、半導体発光装置の半導体発光素子の広帯域化が望まれる。しかし、素子の広帯域化により、入力インピーダンスの不整合が生じやすくなる。入力インピーダンスの不整合により、例えば半導体発光装置内部の伝送路の接続部において、入力された変調信号の損失が大きくなる。これにより、例えば変調信号が光変調素子に十分に伝達されないおそれが生じる。
【0005】
本開示は、インピーダンス不整合による変調信号の損失が低減される、光変調器集積型半導体レーザおよび半導体発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態による光変調器集積型半導体レーザは、活性領域を有し、レーザ光を出力するレーザ部と、変調領域を有し、レーザ光を変調する光変調部と、グランド電位を含むワイヤに接続するための第1パッドとを備える。光変調部は、変調領域において、入力された変調信号に基づきレーザ光を通過または遮断させる変調電極と、変調電極に接続され、変調信号を入力する別のワイヤに接続するための信号用パッドとを有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、インピーダンス不整合による変調信号の損失が低減される、光変調器集積型半導体レーザおよび半導体発光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係る送信用小型光デバイスを示す平面図である。
図2図2は、本開示の第1実施形態に係る送信用小型光回路を示す回路図である。
図3図3は、本開示の第1実施形態に係る半導体発光装置を示す斜視図である。
図4図4は、本開示の第1実施形態に係る半導体発光装置を示す平面図である。
図5図5は、図4に示されるV-V線に沿った断面図である。
図6図6は、第1変形例に係る半導体発光装置を示す斜視図である。
図7図7は、第1変形例に係る半導体発光装置を示す平面図である。
図8図8は、第2変形例に係る半導体発光装置を示す斜視図である。
図9図9は、第2変形例に係る半導体発光装置を示す平面図である。
図10図10は、第3変形例に係る半導体発光装置を示す斜視図である。
図11図11は、第3変形例に係る半導体発光装置を示す平面図である。
図12図12は、第4変形例に係る半導体発光装置を示す斜視図である。
図13図13は、第4変形例に係る半導体発光装置を示す平面図である。
図14図14は、比較例である半導体発光装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。[1]本開示の一実施形態による光変調器集積型半導体レーザは、レーザ光を出力するレーザ部と、レーザ光を変調する光変調部と、光変調部へ変調信号を入力するための第1ワイヤに接続するための信号用パッドと、グランド電位を有する第2ワイヤに接続するための第1パッドとを備える。
【0010】
上記[1]の光変調器集積型半導体レーザは、信号用パッドおよび第1パッドを備える。これにより、信号用パッドおよび第1パッドのそれぞれにワイヤを接続することができる。第1パッドに接続される第2ワイヤはグランド電位を含む。このため、信号用パッドに接続される第1ワイヤを通過する変調信号は、グランド電位と並びながら進行する。これにより、入力インピーダンスの不整合が低減される。したがって、インピーダンス不整合による変調信号の損失が低減される。
【0011】
[2]上記[1]の光変調器集積型半導体レーザは、グランド電位を含む第3ワイヤに接続するための第2パッドをさらに有してもよい。第2パッドに接続される第3ワイヤは、グランド電位を含む。このため、第1パッドと第2パッドとの間に配置される信号用パッドに接続される第1ワイヤを通過する変調信号は、グランド電位に挟まれる形態となる。これにより、入力インピーダンスの不整合がさらに低減される。したがって、インピーダンスの不整合による変調信号の損失がさらに低減される。
【0012】
[3]上記[1]の光変調器集積型半導体レーザにおいて、第1パッドおよび信号用パッドは、光変調部に設けられてもよい。これにより、第1パッドは、信号用パッドにより近い位置に配置される。したがって、変調信号が通過する第1ワイヤとグランド電位を含む第2ワイヤとの距離がより近くなり、入力インピーダンスの整合がさらに容易となる。
【0013】
[4]本開示の一実施形態による半導体発光装置は、上記[1]から[3]のうちいずれかの光変調器集積型半導体レーザと、光変調部に接続され、変調信号を伝送する伝送線路とを備える。伝送線路は、変調信号を伝送する信号線と、グランド電位を含むグランド電位線とを有する。信号用パッドと信号線とが第1ワイヤにより接続され、信号用パッドの一方側に設けられた第1パッドとグランド電位線とが第2ワイヤにより接続される。
【0014】
上記[4]の半導体発光装置において、第1パッドは、第2ワイヤによってグランド電位線に接続される。これにより、グランド電位を含む第2ワイヤを光変調器集積型半導体レーザ上に設けることができる。信号線は、第1ワイヤに接続される。グランド電位線は、第2ワイヤに接続される。通常、伝送線路の信号線とグランド電位線とは並んで配置されるので、第1ワイヤと、第2ワイヤとは、互いに並んで配置されることとなる。このため、変調信号は、信号線を離れた後もグランド電位と並びながら進行する。これにより、信号線と第1ワイヤとのインピーダンスの不整合が低減される。したがって、変調信号のインピーダンス不整合による変調信号の損失が低減される。
【0015】
[5]上記[4]の半導体発光装置の第2パッドは、信号用パッドの他方側に設けられてもよい。例えば、第2パッドとグランド電位線とが第3ワイヤにより接続されると、第3ワイヤがグランド電位を含む。このため、第2ワイヤおよび第3ワイヤと並んで配置される第1ワイヤは、グランド電位に挟まれる形態となる。故に、第1ワイヤを通過する変調信号は、グランド電位に挟まれながら進行する。これにより、信号線と第1ワイヤとのインピーダンスの不整合がさらに低減される。したがって、変調信号のインピーダンス不整合による損失がさらに低減される。
【0016】
[6]上記[4]の半導体発光装置は、光変調部を挟んで伝送線路とは反対側に設けられ、変調信号の反射を低減する終端部と、第4ワイヤと、第5ワイヤとをさらに備えてもよい。終端部は、第1配線パターンと、第1配線パターンに一端が接続される抵抗と、抵抗の他端に接続される第2配線パターンとを有する。第1配線パターンと信号用パッドとが第4ワイヤにより接続される。第2配線パターンと第1パッドとが第5ワイヤにより接続される。その場合、第5ワイヤは、グランド電位を含む。また、第4ワイヤと、第5ワイヤとは、互いに並んで配置されることとなる。このため、第4ワイヤにより伝搬される変調信号は、グランド電位と並びながら進行する。これにより、第1ワイヤと第4ワイヤとのインピーダンスの不整合が低減される。したがって、変調信号のインピーダンス不整合による変調信号の損失がさらに低減される。
【0017】
[7]上記[6]の半導体発光装置は、第6ワイヤをさらに備え、信号用パッドの他方側に設けられた第2パッドをさらに有してもよい。第2配線パターンと第2パッドとが第6ワイヤにより接続される。その場合、第3ワイヤ及び第6ワイヤは、グランド電位を含む。このため、第2ワイヤおよび第3ワイヤと並んで配置される第1ワイヤは、グランド電位に挟まれる形態となる。同様に、第5ワイヤおよび第6ワイヤと並んで配置される第3ワイヤは、グランド電位に挟まれる形態となる。故に、第1ワイヤ及び第3ワイヤを通過する変調信号は、グランド電位に挟まれながら進行する。これにより、信号線、第1ワイヤ及び第3ワイヤのインピーダンスの不整合がさらに低減される。したがって、変調信号のインピーダンス不整合による変調信号の損失がさらに低減される。
【0018】
[8]上記[7]の半導体発光装置の第2配線パターンは、抵抗と、第5ワイヤおよび第6ワイヤと、にのみ接続されてもよい。これにより、グランドに帰還される電流は、第5ワイヤおよび第6のワイヤのみを通過する為、入力される変調電流の電流量とグランド電位を有するワイヤを流れる電流量とのバランスが保たれる事になる。この結果、入力インピーダンスの整合の精度が向上する効果が得られる。
【0019】
[9]上記[6]の半導体発光装置の第2配線パターンは、抵抗と、第5ワイヤと、にのみ接続されてもよい。これにより、グランドに帰還される電流は、第5ワイヤのみを通過する為、入力される変調電流の電流量とグランド電位を有するワイヤを流れる電流量とのバランスが保たれる事になる。この結果、入力インピーダンスの整合の精度が向上する効果が得られる。
【0020】
[10]上記[4]または[6]の半導体発光装置の第1ワイヤおよび第2ワイヤは、互いに平行に設けられてもよい。第1のワイヤと第2のワイヤとが互いに平行に設けられることで、信号線と第1ワイヤとのインピーダンス不整合の低減がさらに容易となる。したがって、インピーダンス不整合による変調信号の損失がさらに低減される。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の光変調器集積型半導体レーザおよび半導体発光装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、下記の説明において、接続されるとは、電気的に接続されることを意味し、明示する場合を除き、電気抵抗が実質的にゼロである導電線を介して接続される場合のほか、抵抗等の電子部品を介して接続される場合を含む。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係る送信用小型光デバイスA1を示す平面図である。図2は、送信用小型光デバイスA1に含まれる回路A2を示す回路図である。図3は、送信用小型光デバイスA1が備える半導体発光装置Aを示す斜視図である。図4は、半導体発光装置Aを示す平面図である。図1から図4を参照して、送信用小型光デバイスA1の構成を説明する。
【0023】
図1に示すように、送信用小型光デバイスA1は、パッケージ509、基板501(チップ・オン・キャリア)、基板502(マウント・キャリア)、および基板503を備える。パッケージ509は、基板501、基板502、および基板503を収容する。基板503上には、配線パターン114、配線パターン115、配線パターン116、グランド電位線117および119、信号線118および120、配線パターン111、配線パターン112、並びにドライバIC504が設けられている。配線パターン114、配線パターン115、配線パターン116、グランド電位線117、信号線118、配線パターン111、並びに配線パターン112は、パッケージ509の一つの側壁から基板502に向けて延在しており、図示しない端子を介して、送信用小型光デバイスA1の外部の回路と接続される。基板501の材質は、例えば樹脂といった絶縁体である。配線パターン114、配線パターン115、配線パターン116、グランド電位線117および119、信号線118および120、配線パターン111、および配線パターン112の材質は、例えば金属である。信号線118は、送信用小型光デバイスA1の外部から入力された高周波の変調信号を伝搬する。グランド電位線117は、送信用小型光デバイスA1の外部から入力されたグランド電位(基準電位)を含む。信号線118およびグランド電位線117は、伝送線路を構成する。グランド電位線119および信号線121もまた、伝送線路を構成する。ドライバIC504の入力端子は、グランド電位線117および信号線118に接続される。ドライバIC504の出力端子は、グランド電位線119および信号線121に接続される。ドライバIC504は、信号線118からの変調信号を増幅し、増幅後の変調信号を信号線121に出力する。
【0024】
図2に示すように、基板502は、基板503と並んで配置されている。基板502には、配線パターン84、配線パターン85、配線パターン86、グランド電位線87、信号線88、サーミスタ506、モニタ用フォトダイオード507、およびレンズLが設けられている。配線パターン86は、ワイヤ96によって配線パターン116と接続されている。配線パターン85は、ワイヤ95によって配線パターン115と接続されている。配線パターン84は、ワイヤ94によって配線パターン114と接続されている。グランド電位線87は、ワイヤ97によってグランド電位線119と接続されている。信号線88は、ワイヤ98によって信号線121と接続されている。基板502の材質は、例えばセラミックといった絶縁体である。配線パターン84、配線パターン85、配線パターン86、グランド電位線87、および信号線88の材質は、例えば金属である。サーミスタ506は、配線パターン86上に設けられる。サーミスタ506は、温度に依存した抵抗値を示す。この抵抗値は、配線パターン86、ワイヤ96、および配線パターン116を介して、送信用小型光デバイスA1の外部回路により検出される。モニタ用フォトダイオード507は、配線パターン84とグランド電位線87と間に接続される。出射光Mの平均強度を一定にするため、モニタ用フォトダイオード507は、半導体発光装置Aの光変調器集積型半導体レーザA3(後述)から出射される背面光を検出する。モニタ用フォトダイオード507は、背面光の強度に応じた電気信号を、配線パターン84、ワイヤ94、および配線パターン114を介して、送信用小型光デバイスA1の外部回路に出力する。レンズLは、半導体発光装置Aの光出射端と光学的に結合され、光変調器集積型半導体レーザA3から出射される出射光Mを平行化(コリメート)する。
【0025】
基板502の裏側には、温度制御素子(TEC)508(図2にのみ示す)が設けられている。TEC508の一方の電極は、ワイヤ91によって配線パターン111に接続されている。TEC508の他方の電極は、ワイヤ92によって配線パターン112に接続されている。TEC508を駆動するための電力が、配線パターン111および配線パターン112を介して、送信用小型光デバイスA1の外部の回路から入力される。送信用小型光デバイスA1の外部の回路は、半導体発光装置Aの周辺温度すなわちサーミスタ506の抵抗値に基づいて、TEC508を駆動する電力の大きさを制御する。これにより、光変調器集積型半導体レーザA3の温度が所定の温度に維持され、半導体発光装置Aから出力される出射光Mの波長が所定の波長に維持される。
【0026】
基板501は、基板502上に配置されている。基板501には、グランド電位線66、配線パターン65、バイパスコンデンサ505、および半導体発光装置Aが設けられている。基板501の材質は、例えばセラミックといった絶縁体である。グランド電位線66および配線パターン65の材質は、例えば金属である。図3に示すように、半導体発光装置Aは、光変調器集積型半導体レーザA3、グランドパターン19、伝送線路200、および終端部300を有する。伝送線路200は、グランド電位線17および信号線18を含む。グランド電位線17は、信号線18に対して光変調器集積型半導体レーザA3側に設けられる。グランド電位線17および信号線18は、平面視にてL字型の形状を有する。グランドパターン19は、平面視にて長方形の形状を有する。グランド電位線17、信号線18、およびグランドパターン19の材質は、例えば金属である。グランドパターン19は、グランド電位線17と接続されている。グランド電位線17は、ワイヤ78によってグランド電位線87と接続されている。グランド電位線66は、グランドパターン19に対してグランド電位線17とは反対側に設けられる。サーミスタ506のグランド端子は、ワイヤ76によってグランド電位線66と接続されている。バイパスコンデンサ505は、グランド電位線66上に設けられている。バイパスコンデンサ505の下面電極は、グランド電位線66と接続されている。バイパスコンデンサ505の上面電極は、ワイヤ55によって配線パターン65と接続されている。
【0027】
光変調器集積型半導体レーザA3は、レーザ部1および光変調部100を含む。光変調器集積型半導体レーザA3は、グランドパターン19上に設けられている。レーザ部1は、活性領域を有し、該活性領域に電流が供給されることにより、時間的に一定の光強度を有するレーザ光を生成する。光変調部100は、レーザ部1から出力されたレーザ光を変調し、変調後の出射光Mを出力する。上述した背面光は、レーザ部1から光変調部100を経ずに出力されたレーザ光である。レーザ部1および光変調部100は、光変調器集積型半導体レーザA3において互いにモノリシックに形成されている。
【0028】
レーザ部1は、光変調部100に対して基板503側に設けられる。レーザ部1は、活性領域を有し、レーザ光を出力する。レーザ部1は、駆動電極10と、パッド7と、パッド12とを表面に有する。駆動電極10は、レーザ共振方向(光変調部100の長手方向)に沿って延在し、活性領域に電流を供給する。パッド7は、駆動電極10に対して駆動電極10の延在方向と交差する方向に並んで配置され、駆動電極10と接続されている。パッド12は、駆動電極10に対してパッド7とは反対側に配置され、駆動電極10と接続されている。パッド7は、ワイヤ9によってバイパスコンデンサ505の上面電極と接続されている。これにより、送信用小型光デバイスA1の外部から、配線パターン115、配線パターン85、配線パターン65、バイパスコンデンサ505の上面電極、およびパッド7を介して、駆動電極10に駆動電流が供給される。ワイヤ9は、パッド7に代えて、パッド12と接続されてもよい。
【0029】
光変調部100は、変調電極2、パッド3(第1パッド)、およびパッド4(信号用パッド)を含む。光変調部100は、変調領域を有し、該変調領域への電流の供給に応じてレーザ光の透過または遮断を行うことにより、レーザ光を変調する。変調電極2は、変調領域に変調電流(変調信号)を供給する。これにより、変調電極2は、変調領域において、入力された変調信号に基づきレーザ光を通過または遮断させる。変調電極2は、平面視にてレーザ光の進行方向と同一方向に延在する。光変調器集積型半導体レーザA3の上面において、変調電極2はレーザ光の進行方向と直交する方向における中央に設けられている。
【0030】
グランド電位線17の一端は、ワイヤ77によってグランド電位線87と接続されている。信号線18の一端は、ワイヤ78によって信号線88と接続されている。グランド電位線17の他端は、ワイヤ15(第2ワイヤ)によってパッド3と接続されている。信号線18の他端は、ワイヤ16(第1ワイヤ)によってパッド4と接続されている。ワイヤ15およびワイヤ16は、例えばAuからなるボンディングワイヤである。ワイヤ15およびワイヤ16の断面の直径は、例えば25μmである。パッド4は、変調電極2と接続されている。パッド3は、パッド4に対してレーザ部1側(一方側)に設けられる。パッド3およびパッド4は、変調電極2に対して伝送線路200側に設けられる。パッド3は、変調電極2の長手方向に沿ってパッド4と並んで設けられる。パッド4は、光変調部100においてレーザ光の進行方向の中央に設けられる。パッド3およびパッド4は、膜状の形状を有し、平面視にて略長方形の形状を有する。パッド3およびパッド4の材質は金属であり、例えば金(Au)である。ワイヤ15は、ワイヤ16と並んで設けられる。図4に示すように、一例では、平面視にて、ワイヤ15およびワイヤ16は互いに平行に設けられる。ワイヤ15とワイヤ16との間隔は、例えば数十μmである。
【0031】
終端部300は、第1配線パターン33と、終端抵抗31と、第2配線パターン32とを有する。終端部300は、光変調部100を挟んで伝送線路200とは反対側に設けられ、変調信号の反射を低減する。終端抵抗31の一端は、第1配線パターン33に接続される。終端抵抗31の他端は、第2配線パターン32に接続される。第1配線パターン33とパッド4とがワイヤ35(第4ワイヤ)により接続される。第2配線パターン32とパッド3とがワイヤ34(第5ワイヤ)により接続される。ワイヤ34およびワイヤ35は、互いに平行に設けられる。ワイヤ34およびワイヤ35は、例えばボンディングワイヤである。ワイヤ34およびワイヤ35の断面の直径は、例えば25μmである。第2配線パターン32は、グランドパターン19に接続されることにより、グランド電位を含む。第1配線パターン33および第2配線パターン32は、膜状の形状を有し、平面視にて略長方形の形状を有する。第1配線パターン33および第2配線パターン32の材質は、例えば金(Au)である。終端抵抗31は、平面視にて長方形の形状を有する。終端抵抗31の抵抗値は、例えば50Ωである。
【0032】
図5は、図4に示されるV-V線に沿った断面図であって、レーザ光の進行方向に垂直な、光変調部100の断面を示す。光変調器集積型半導体レーザA3は、表面8および裏面11を有する。光変調部100は、表面8上に絶縁膜6を有する。パッド4およびパッド3は、絶縁膜6上に設けられる。パッド3は、パッド4と電気的に絶縁されている。パッド3とパッド4との間の抵抗値は、例えば数百Ω以上である。絶縁膜6の材質は、例えばSiNまたはSiOである。光変調部100は、変調電極2、パッド3、および絶縁膜6に加えて、p-InP層101と、光吸収層102と、一対の半絶縁InP領域103と、n-InP層104とを有する。光吸収層102およびp-InP層101はn-InP層104上に設けられ、光吸収層102はn-InP層104とp-InP層101との間に挟まれている。n-InP層104の一部と、光吸収層102と、p-InP層101とは、n-InP層104の残部の上にメサ状に形成され、該メサの両側面に一対の半絶縁InP領域103が隣接し、埋め込みメサ構造を形成している。裏面11上には、下部電極105が設けられる。下部電極105は、n-InP層104に接する。半絶縁InP層103の上面は、表面8を構成する。絶縁膜6は、中央部に開口を有し、変調電極2が該開口内に設けられる。変調電極2は、p-InP層101上に設けられ、p-InP層101と接する。n-InP層104は、下部クラッド層として機能する。p-InP層101は、上部クラッド層およびコンタクト層として機能する。
【0033】
以上の構成を備える半導体発光装置Aによって得られる効果について、図14の比較例と比較して説明する。ワイヤ15は、パッド3とグランド電位線17との間に接続される。これにより、グランド電位を含むワイヤ15をワイヤ16と並んで配置することができる。ワイヤ16とワイヤ15とが互いに並んで配置されるので、変調信号は、信号線18を離れた後もグランド電位と並びながら進行する。
【0034】
図14は、比較例である半導体発光装置Fを示す斜視図である。図14に示される半導体発光装置Fは、本実施形態の光変調部100に代えて、光変調部100Fを備える。また、半導体発光装置Fは、本実施形態のワイヤ15およびワイヤ34を備えていない。光変調部100Fは、パッド3を有しない点およびパッド4Fを有する点において光変調部100と相違し、その他の点において光変調部100と一致する。パッド4Fは、変調電極2に対してパッド4とは反対側に設けられ、変調電極2と接続されている。この比較例では、ワイヤ35はパッド4Fと接続されている。この比較例では、外部駆動回路から半導体発光装置Fに至る伝送線路210の特性インピーダンスの値と、終端抵抗31の値と、が近づくように設計することで高周波特性を改善する。しかし、伝送線路210のグランド電位線17およびグランド電位線23は、伝送線路210を含む領域aにのみ設けられ、光変調部100Fを含む領域bには設けられない。そのため、半導体発光装置Fに入力され、信号線18を離れてワイヤ16を進行する変調信号は、伝送線路210(領域a)と光変調部100F(領域b)との接続部以降、グランド電位線17およびグランド電位線23から離れて進行する。このため、入力インピーダンスが整合されにくくなり、信号線18と、ワイヤ16と、のインピーダンス不整合が大きくなる傾向がある。インピーダンス不整合が大きくなることにより、信号線18とワイヤ16との境界(変化点P)において、変調信号が反射し、変調信号の損失が大きくなる。そのため、変調信号が変調電極2に十分に伝達されないおそれが生じる。
【0035】
本開示の第1実施形態による半導体発光装置Aにおいては、上述したように、グランド電位を含むワイヤ16と、ワイヤ15とが、互いに並んで配置される。このため、変調信号は、信号線18を離れた後もグランド電位と並びながら進行する。これにより、ワイヤ16の特性インピーダンスが所定の値(例えば50Ω)に近づき、信号線18とワイヤ16とのインピーダンスの不整合が低減される。したがって、インピーダンス不整合による変調信号(例えば、数十GHz以上といった高周波領域の変調信号)の損失が低減される。また、ワイヤ34は、パッド3に接続されるので、グランド電位を含む。また、ワイヤ34と、ワイヤ35とは、互いに並んで配置されることとなる。このため、ワイヤ35により伝搬される変調信号は、グランド電位と並びながら進行する。これにより、ワイヤ35の特性インピーダンスが所定の値(例えば50Ω)に近づき、ワイヤ16とワイヤ35とのインピーダンスの不整合が低減される。したがって、インピーダンス不整合による変調信号の損失がさらに低減される。
【0036】
本実施形態のように、光変調部100は、表面8上に絶縁膜6を有し、パッド3およびパッド4は、絶縁膜6上に設けられてもよい。パッド3およびパッド4が絶縁膜6上に設けられることにより、パッド3およびパッド4を互いに電気的に絶縁することができる。これにより、パッド4に入力される変調信号のパッド3へのリークを防止することができる。したがって、パッド4に入力される変調信号を効率よく変調電極2に到達させることができる。
【0037】
本実施形態のように、パッド3は、パッド4と電気的に絶縁されてもよい。パッド3は、グランド電位を含む。そのため、パッド3とパッド4とを電気的に絶縁することにより、パッド4に入力される変調信号のパッド3へのリークを防止することができる。したがって、パッド4に入力される変調信号を効率よく変調電極2に到達させることができる。
【0038】
本実施形態のように、パッド3は、光変調部100に設けられてもよい。これにより、パッド3は、パッド4により近い位置に配置される。したがって、変調信号が通過するワイヤ16とグランド電位を含むワイヤ15との距離がより近くなり、入力インピーダンスの整合がさらに容易となる。
【0039】
本実施形態のように、ワイヤ15およびワイヤ16は、互いに平行に設けられてもよい。これにより、信号線18とワイヤ16とのインピーダンス不整合の低減がさらに容易となる。したがって、インピーダンス不整合による変調信号の損失がさらに低減される。
【0040】
(第1変形例)
図6は、第1変形例に係る半導体発光装置Bを示す斜視図である。図7は、半導体発光装置Bを示す平面図である。半導体発光装置Bは、以下の点において半導体発光装置Aと相違し、その他の点で同一である。半導体発光装置Bは、半導体発光装置Aの終端部300に代えて、終端部301を有する。終端部301は、第1配線パターン33と、終端抵抗31と、第2配線パターン32とを有する。第1実施形態と異なり、本変形例では、第2配線パターン32と、グランドパターン19とは、互いに接続されていない。第2配線パターン32と、グランドパターン19との間の抵抗値は、例えば数百Ω以上である。
【0041】
本変形例においては、第2配線パターン32とグランドパターン19とが互いに接続されていないので、終端抵抗31を通ってグランドに帰還される変調電流の全量がワイヤ34を通過する為、入力される変調電流の電流量とグランド電位を有するワイヤを流れる電流量とのバランスが保たれる事になる。この結果、入力インピーダンスの整合の精度が向上する効果が得られる。
【0042】
(第2変形例)
図8は、第2変形例に係る半導体発光装置Cを示す斜視図である。図9は、半導体発光装置Cを示す平面図である。半導体発光装置Cは、以下の点において半導体発光装置Aと相違し、その他の点で同一である。半導体発光装置Cは、上記実施形態の伝送線路200に代えて伝送線路210を備え、ワイヤ22(第3ワイヤ)をさらに備える。ワイヤ22は、ワイヤ15およびワイヤ16と平行に設けられる。ワイヤ22は、例えばボンディングワイヤである。ワイヤ22の断面の直径は、例えば25μmである。半導体発光装置Cの光変調器集積型半導体レーザA3は、上記実施形態の光変調部100に代えて、光変調部110を有する。光変調部110は、光変調部100の構成に加えて、パッド5(第2パッド)をさらに有する。パッド5は、パッド4に対してパッド3とは反対側(他方側)に設けられ、変調電極2の長手方向に沿って、パッド3およびパッド4と並んで設けられる。パッド5は、変調電極2に対して伝送線路210側に設けられる。伝送線路210は、上記実施形態のグランド電位線17および信号線18に加えて、グランド電位線23をさらに含む。信号線18は、グランド電位線17とグランド電位線23との間に設けられる。これにより、伝送線路210はコプレーナ線路を構成する。パッド5は、ワイヤ22によりグランド電位線23と接続される。パッド5は、膜状の形状を有し、平面視にて略長方形の形状を有する。パッド5の材質は、例えば金(Au)である。ワイヤ22は、ワイヤ16に対してワイヤ15とは反対側に設けられる。ワイヤ22は、ワイヤ16と並んで設けられる。一例では、平面視にて、ワイヤ16およびワイヤ22は互いに平行に設けられる。
【0043】
また、半導体発光装置Cは、終端部310と、ワイヤ36(第6ワイヤ)をさらに備える。ワイヤ34、ワイヤ35およびワイヤ36は、互いに平行に設けられる。ワイヤ34、ワイヤ35およびワイヤ36は、例えばボンディングワイヤである。ワイヤ34、ワイヤ35およびワイヤ36の断面の直径は、例えば25μmである。終端部310は、光変調部110に対して伝送線路210とは反対側に設けられ、変調信号の反射を低減する。終端部310は、第1配線パターン33と、終端抵抗31と、第2配線パターン52とを有する。第2配線パターン52は、平面視にてU字型を呈する。終端抵抗31の一端は、第1配線パターン33に接続される。終端抵抗31の他端は、第2配線パターン52の中央部に接続される。第1配線パターン33とパッド4とがワイヤ35により接続される。第2配線パターン52の一端とパッド3とがワイヤ34により接続される。第2配線パターン52の他端とパッド5とがワイヤ36により接続される。第2配線パターン52は、その一端および他端においてグランドパターン19に接続されることにより、グランド電位を含む。第1配線パターン33および第2配線パターン52の材質は、例えば金(Au)である。終端抵抗31は、平面視にて長方形の形状を有する。終端抵抗31の抵抗値は、例えば50Ωである。
【0044】
本変形例では、ワイヤ22がグランド電位線23とパッド5との間に接続される。このワイヤ22は、グランド電位を含む。このため、ワイヤ15およびワイヤ22と並んで配置されるワイヤ16は、グランド電位に挟まれる。この場合、ワイヤ16を通過する変調信号は、グランド電位に挟まれながら進行する。これにより、ワイヤ16の特性インピーダンスが所定の値(例えば50Ω)にさらに近づき、信号線18とワイヤ16とのインピーダンスの不整合がさらに低減される。したがって、インピーダンス不整合による変調信号(例えば、数十GHz以上といった高周波領域の変調信号)の損失がさらに低減される。ワイヤ34およびワイヤ36は、パッド3およびパッド5にそれぞれ接続されるので、グランド電位を含む。よって、ワイヤ34およびワイヤ36と並んで配置されるワイヤ35は、グランド電位に挟まれる形態となる。故に、ワイヤ35を通過する変調信号は、グランド電位に挟まれながら進行する。これにより、ワイヤ35の特性インピーダンスが所定の値(例えば50Ω)にさらに近づき、ワイヤ16及びワイヤ35のインピーダンスの不整合がさらに低減される。したがって、インピーダンス不整合による変調信号の損失がさらに低減される。
【0045】
(第3変形例)
図10は、第3変形例に係る半導体発光装置Dを示す斜視図である。図11は、半導体発光装置Dを示す平面図である。半導体発光装置Dは、以下の点において半導体発光装置Cと相違し、その他の点で同一である。半導体発光装置Dは、半導体発光装置Cの終端部310に代えて、終端部311を有する。終端部311は、第1配線パターン33と、終端抵抗31と、第2配線パターン54とを有する。第2変形例と異なり、本変形例では、第2配線パターン54と、グランドパターン19とは、互いに接続されていない。第2配線パターン54と、グランドパターン19との間の抵抗値は、例えば数百Ω以上である。
【0046】
本変形例においては、第2配線パターン52とグランドパターン19とが互いに接続されていないので、終端抵抗31を通ってグランドに帰還される変調電流の全量がワイヤ34またはワイヤ36を通過する為、入力される変調電流の電流量とグランド電位を有するワイヤを流れる電流量とのバランスが保たれる事になる。この結果、入力インピーダンスの整合の精度が向上する効果が得られる。
【0047】
(第4変形例)
図12は、第4変形例に係る半導体発光装置Eを示す斜視図である。図13は、第4変形例に係る半導体発光装置Eを示す平面図である。半導体発光装置Eは、以下の点において半導体発光装置Dと相違し、その他の点で同一である。半導体発光装置Eの光変調器集積型半導体レーザA3は、光変調部110に代えて、光変調部120を備える。また、半導体発光装置Eは、ワイヤ34およびワイヤ36に代えて、ワイヤ41と、ワイヤ43と、ワイヤ44と、ワイヤ46とをさらに備える。ワイヤ41、ワイヤ43、ワイヤ44、およびワイヤ46は、例えばボンディングワイヤである。ワイヤ41、ワイヤ43、ワイヤ44、およびワイヤ46の断面の直径は、例えば25μmである。光変調部120は、パッド42と、パッド45とをさらに有する。パッド42およびパッド45は、変調電極2に対して終端部311側(言い換えると、変調電極2に対してパッド3およびパッド5とは反対側)に設けられている。パッド42およびパッド45は、変調電極2の長手方向に沿って並んで設けられている。パッド42は、パッド45に対してレーザ部1側に設けられている。パッド42およびパッド45の材質は、例えば金(Au)である。パッド42は、ワイヤ41により第2配線パターン54の一端と接続されるとともに、ワイヤ43によりパッド3と接続される。パッド45は、ワイヤ44により第2配線パターン54の他端と接続されるとともに、ワイヤ46によりパッド5と接続される。パッド42およびパッド45は、膜状の形状を有し、平面視にて略長方形の形状を有する。ワイヤ43およびワイヤ41と、ワイヤ35とは、平面視にて互いに平行に設けられている。ワイヤ35と、ワイヤ46およびワイヤ44とは、平面視にて互いに平行に設けられている。
【0048】
パッド42により、ワイヤ43およびワイヤ41と、ワイヤ35との距離を安定して維持することができる。パッド45により、ワイヤ44およびワイヤ46と、ワイヤ35との距離を安定して維持することができる。ワイヤ43、ワイヤ41、ワイヤ44、およびワイヤ46は、グランド電位を含む。よって、これらのワイヤと並んで配置されるワイヤ35は、グランド電位に挟まれる形態となる。故に、ワイヤ35を通過する変調信号は、グランド電位に挟まれながら進行する。これにより、ワイヤ35の特性インピーダンスが所定の値(例えば50Ω)にさらに近づき、ワイヤ16及びワイヤ35のインピーダンスの不整合がさらに低減される。したがって、インピーダンス不整合による変調信号の損失がさらに低減される。
【0049】
本開示による光変調器集積型半導体レーザおよび半導体発光装置は、上述した実施形態および各変形例に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態ではパッド3が光変調部100に設けられているが、パッド3の配置は光変調器集積型半導体レーザA3上において特に限定されない。例えば、パッド3はレーザ部1に設けられてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、パッド3が絶縁膜6上に設けられることにより、パッド3は光変調器集積型半導体レーザA3のグランド電位とは直接的に接続されていない。この形態に限られず、例えば、パッド3はn-InP層104上に設けられ、n-InP層104と接してもよい。パッド3はワイヤ15を通じてグランド電位に接続されるので、n-InP層104といったグランド電位を含む部分と接続される形態であっても、上述した効果を奏することができる。
【0051】
また、上記実施形態では、ワイヤ15とワイヤ16とが互いに平行である例を示したが、ワイヤ15とワイヤ16とは互いに平行でなくても良い。同様に、第1変形例において、ワイヤ22とワイヤ16とは互いに平行でなくても良い。その場合であっても、ワイヤ15とワイヤ16とが並んで(或いは、ワイヤ15とワイヤ22との間にワイヤ16が挟まれて)配置されることにより、上述した効果を奏することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、伝送線路200のグランド電位線17が信号線18と並んで基板502上に設けられる形態を例示したが、伝送線路の形態はこれに限られない。例えば、グランド電位線が基板501の裏面に設けられる、いわゆるマイクロストリップラインとして伝送線路が構成される場合であっても、上述した効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0053】
A1…送信用小型光デバイス
A2…回路
A3…光変調器集積型半導体レーザ
A,B,C,D,E,F…半導体発光装置
1…レーザ部
100,110,120…光変調部
200,210…伝送線路
300,301,310,311…終端部
2…変調電極
3,4,4F,5,7,42,45…パッド
6…絶縁膜
8…表面
9,15,16,22,34,35,36,41,43,44,46,55,76,77,78,91,92,94,95,96,97,98…ワイヤ
10…駆動電極
11…裏面
17,23,66,87,117,119…グランド電位線
18,88,118,121…信号線
19…グランドパターン
31…終端抵抗
32,52,54…第2配線パターン
33…第1配線パターン
M…出射光
L…レンズ
65,84,85,86,111,112,114,115,116…配線パターン
101…p-InP層
102…光吸収層
103…半絶縁InP層
104…n-InP層
105…下部電極
501,502,503…基板
504…ドライバIC
505…バイパスコンデンサ
506…サーミスタ
507…モニタ用フォトダイオード
508…温度制御素子(TEC)
509…パッケージ
a,b…領域
P…変化点

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14