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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160629
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】車両用情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075847
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】遠山 淳
(72)【発明者】
【氏名】赤穂 大輔
(72)【発明者】
【氏名】間庭 佑太
(72)【発明者】
【氏名】井澤 夏美
(72)【発明者】
【氏名】澤井 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 正彦
(72)【発明者】
【氏名】青木健一郎
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】一定条件下において全ての運転操作が可能なレベル3以上の自動運転が可能な車両において、運転者のみに所定の通知を行うことが可能な車両用情報処理装置を得る。
【解決手段】車両用情報処理装置は、一定条件下において全ての運転操作が可能な車両に適用される車両用情報処理装置であって、前記車両に設けられた認証装置が認証した認証情報と対応する携帯端末を特定する端末特定部と、特定された携帯端末から受信した情報に基づいて運転者が使用する運転者用端末を設定する運転者用端末設定部と、車両によって全ての運転操作が行われている自動運転状態において、所定の条件を満たす場合に運転者用端末に通知を行う通知部と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定条件下において全ての運転操作が可能な車両に適用される車両用情報処理装置であって、
前記車両に設けられた認証装置が認証した認証情報と対応する携帯端末を特定する端末特定部と、
特定された前記携帯端末から受信した情報に基づいて運転者が使用する運転者用端末を設定する運転者用端末設定部と、
車両によって全ての運転操作が行われている自動運転状態において、所定の条件を満たす場合に前記運転者用端末に通知を行う通知部と、
を有する車両用情報処理装置。
【請求項2】
前記運転者用端末設定部は、特定された前記携帯端末の中から所定のアプリケーションを通じて運転者である旨の信号を受信した際に、当該携帯端末を前記運転者用端末に設定する請求項1に記載の車両用情報処理装置。
【請求項3】
前記認証装置は、運転席を含む複数の座席周辺に設けられており、
前記運転者用端末設定部は、前記運転席に設けられた前記認証装置によって認証された認証情報と対応する携帯端末を運転者用端末に設定する請求項1に記載の車両用情報処理装置。
【請求項4】
前記認証装置は、乗員の指紋、声紋、虹彩及び顔の少なくとも1つを認証可能に構成されており、
前記端末特定部は、前記認証装置によって認証された認証情報に基づいて特定された乗員と対応する携帯端末を特定する請求項1に記載の車両用情報処理装置。
【請求項5】
前記運転者用端末設定部による運転者用端末の設定が行われるまでは自動運転状態への移行を制限する請求項1~4の何れか1項に記載の車両用情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、携帯端末と車両制御装置との間で通信を行い、自車両の運転者を監視する運転者監視システムが開示されている。この特許文献1の運転者監視システムでは、自車両の走行中に、自車両の運転者が携帯端末の表示画面を見ているかどうかを携帯端末のカメラよって撮影された画像に基づいて判定し、運転者が携帯端末の表示画面を見ていると判定された場合に警報を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-102252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された運転者監視システムでは、車内に複数の携帯端末が存在する場合、運転者の携帯端末を特定できないため、全ての携帯端末に対して警告を行うこととなり、煩わしい。
【0005】
本発明は、一定条件下において全ての運転操作が可能なレベル3以上の自動運転が可能な車両において、運転者のみに所定の通知を行うことが可能な車両用情報処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る車両用情報処理装置は、一定条件下において全ての運転操作が可能な車両に適用される車両用情報処理装置であって、前記車両に設けられた認証装置が認証した認証情報と対応する携帯端末を特定する端末特定部と、特定された前記携帯端末から受信した情報に基づいて運転者が使用する運転者用端末を設定する運転者用端末設定部と、車両によって全ての運転操作が行われている自動運転状態において、所定の条件を満たす場合に前記運転者用端末に通知を行う通知部と、を有する。
【0007】
請求項1に係る車両用情報処理装置では、一定条件下において全ての運転操作が可能な車両に適用される。また、車両用情報処理装置の端末特定部は、車両に設けられた認証装置が認証した認証情報と対応する携帯端末を特定する。運転者用端末設定部は、特定された携帯端末から受信した情報に基づいて運転者が使用する運転者用端末を設定する。そして、通知部は、車両によって全ての運転操作が行われている自動運転状態において、所定の条件を満たす場合に運転者用端末に通知を行う。これにより、通知部から運転車両端末以外の端末に対して不必要な通知が行われることを抑制できる。また、運転車用端末に通知が行われることで、運転者が車両前方に注目していない状況であっても、手動運転への移行や車線変更の提案などを把握できる。なお、ここでいう「認証情報」とは、携帯端末を直接的に認証するための情報に限定されず、携帯端末を保有する乗員を認証するための生体情報などを広く含む概念である。
【0008】
請求項2に係る車両用情報処理装置は、請求項1において、前記運転者用端末設定部は、特定された前記携帯端末の中から所定のアプリケーションを通じて運転者である旨の信号を受信した際に、当該携帯端末を前記運転者用端末に設定する。
【0009】
請求項2に係る車両用情報処理装置では、特定された携帯端末の中から所定のアプリケーションを通じて運転者である旨の信号を受信した際に、当該携帯端末を運転者用端末に設定する。これにより、運転者が携帯端末のアプリケーションを通じて所定の操作を行うだけで運転者用端末を設定でき、車両での操作などを必要とせずに済む。
【0010】
請求項3に係る車両用情報処理装置は、請求項1において、前記認証装置は、運転席を含む複数の座席周辺に設けられており、前記運転者用端末設定部は、前記運転席に設けられた前記認証装置によって認証された認証情報と対応する携帯端末を運転者用端末に設定する。
【0011】
請求項3に係る車両用情報処理装置では、運転者が運転席に設けられた認証装置を用いて認証を行うだけで、容易に運転者用端末を設定することができる。
【0012】
請求項4に係る車両用情報処理装置は、請求項1において、前記認証装置は、乗員の指紋、声紋、虹彩及び顔の少なくとも1つを認証可能に構成されており、前記端末特定部は、前記認証装置によって認証された認証情報に基づいて特定された乗員と対応する携帯端末を特定する。
【0013】
請求項4に係る車両用情報処理装置では、乗員が認証装置を用いて、指紋、声紋、虹彩及び顔の少なくとも1つを認証することで、携帯端末を特定できる。これにより、携帯端末を用いることなく、携帯端末の特定を行うことができる。
【0014】
請求項5に係る車両用情報処理装置は、請求項1~4の何れか1項において、前記運転者用端末設定部による運転者用端末の設定が行われるまでは自動運転状態への移行を制限する。
【0015】
請求項5に係る車両用情報処理装置では、運転者用端末の設定が行われるまでの間、自動運転状態への移行を制限することにより、自動運転時の安全性を向上できる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係る車両用情報処理装置によれば、一定条件下において全ての運転操作が可能なレベル3以上の自動運転が可能な車両において、運転者のみに所定の通知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る車両用情報処理装置を含むシステム全体を概略的に示す概略図である。
図2】実施形態に係る車両のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】実施形態における携帯端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る車両用情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図5】実施形態における運転者用端末設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施形態に係る車両用情報処理装置10を備えたシステムSについて、図面を参照して説明する。
【0019】
図1に示されるように、本実施形態に係るシステムSは、車両用情報処理装置10及びサーバ12を含んで構成されている。車両用情報処理装置10及びサーバ12は、ネットワークNを介して接続されており、互いに通信可能とされている。また、ネットワークNを介して、複数の携帯端末14が車両用情報処理装置10と通信可能とされている。
【0020】
車両用情報処理装置10は、例えば車両Vに搭載されており、サーバ12及び携帯端末14との間で情報処理を行うように構成されている。なお、車両用情報処理装置10は、車両Vの外部に設けられてもよい。この場合、車両用情報処理装置10は、ネットワークNを介して車両Vに搭載された車載器等と通信可能に構成される。
【0021】
車両Vは、自動運転と手動運転とを切替え可能に構成されている。特に、本実施形態では、車両Vは、一定条件下において全ての運転操作が可能なレベル3以上の自動運転が可能となっている。
【0022】
サーバ12には、種々のデータが記憶されている。本実施形態では一例として、サーバ12は、端末データベース16及び乗員データベース18を含んで構成されている。端末データベース16には、車両Vに持ち込まれる可能性がある複数の携帯端末14に関する情報が記憶されている。例えば、端末データベース16には、それぞれの携帯端末14の識別番号及び通知用アプリケーションなどの情報が記憶されている。
【0023】
乗員データベース18には、車両Vに乗車する可能性がある複数の乗員に関する情報が記憶されている。例えば、乗員データベース18には、それぞれの乗員の識別番号、乗員が保有する携帯端末の情報、運転免許証の有無に関する情報、及び生体情報などが記憶されている。生体情報は、指紋、声紋、虹彩及び顔の少なくとも一つを含む情報であるが、これに限定されず、生体情報として、静脈の情報などを含んでもよい。
【0024】
携帯端末14は、車両Vの乗員が車両Vに持ち込み可能な端末であり、携帯電話、スマートフォン、タブレット及びラップトップ型パーソナルコンピュータなどを含む。なお、図1には3台の携帯端末14が図示されているが、これに限定されず、4台以上の携帯端末14がネットワークNに接続されていてもよい。また逆に、2台以下の携帯端末14がネットワークNに接続されていてもよい。
【0025】
本実施形態のシステムSは以上のように構成されており、車両用情報処理装置10は、車両Vに設けられた認証装置32(図2参照)が認証した認証情報と対応する携帯端末を特定し、特定された携帯端末から受信した情報に基づいて運転者が使用する運転者用端末を設定する。さらに、車両用情報処理装置10は、車両Vによって全ての運転操作が行われている自動運転状態において、所定の条件を満たす場合に運転者用端末に通知を行うように構成されている。
【0026】
(車両Vのハードウェア構成)
図2に示されるように、車両Vに搭載されたシステムは通信バス11を備えており、通信バス11には、車両用情報処理装置10、認証装置32、車両走行状態検出センサ群34、自動運転ECU(Electronic Control Unit)42及び図示しない周辺状況取得デバイスなどが電気的に接続されている。
【0027】
車両用情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)20、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)24、ストレージ26及び通信インターフェース(通信I/F)28を含んで構成されている。各構成は、内部バス30を介して相互に通信可能に接続されている。
【0028】
CPU20は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20は、ROM22又はストレージ26からプログラムを読み出し、RAM24を作業領域としてプログラムを実行する。また、CPU20は、ROM22又はストレージ26に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0029】
ROM22は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM24は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ26は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する非一時的記録媒体である。本実施形態では、ROM22又はストレージ26には、種々の処理を行うためのプログラムなどが格納されている。
【0030】
通信I/F28は、車両用情報処理装置10がサーバ12及び携帯端末14などと通信するためのインターフェースであり、たとえば、CAN(Controller Area Network)、イーサネット(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)、Wi-Fi(登録商標)などの規格が用いられる。
【0031】
認証装置32は、運転席を含む複数の座席周辺に設けられており、本実施形態では一例として、全ての座席に対応する認証装置32が設けられている。また、認証装置32は、乗員の指紋、声紋、虹彩及び顔の少なくとも1つを認証可能に構成されている。例えば、認証装置32が指紋を認証する装置であれば、各座席と隣接するアームレストなどに指紋センサを設け、この指紋センサを含んで認証装置32が構成されてもよい。また、例えば、認証装置32が声紋を認証する装置であれば、各座席の周辺にそれぞれ座席から発生した音声を集音可能な指向性のマイクを配置し、指向性マイクを含んで認証装置32が構成されてもよい。さらに、例えば、認証装置32が虹彩又は顔を認証する装置であれば、各座席へ向けた光学カメラを配置し、この光学カメラを含んで認証装置32が構成されてもよい。認証装置32が認証した認証情報は、車両用情報処理装置10へ送信される。
【0032】
車両走行状態検出センサ群34は、車両Vの走行状態を取得するセンサとして、車両Vの操舵角を検出する舵角センサ36、車両Vの走行速度を検出する車速センサ38及び車両Vに加わる加速度を検出する加速度センサ40を含んでいる。
【0033】
自動運転ECU42は、車両Vのスロットル開度を変更するスロットルACT44、制動力を変更するブレーキACT46、及び操舵装置による操舵量を変更する操舵ACT48と電気的に接続されている。自動運転ECU42は、車両Vの乗員による運転操作を伴わずに車両Vを自動的に走行させる自動運転処理を行うECUである。特に、本実施形態では、自動運転ECU42は、レベル3以上の自動運転処理が可能に構成されている。レベル3以上の自動運転時には、運転者は、運転操作から解放され、車両前方に注意を向ける必要が無くなる。このため、レベル3以上の自動運転時には、運転者は携帯端末14を操作することができる。
【0034】
自動運転ECU42は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリ、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部および通信I/F(Inter Face)を
含んでいる。記憶部には自動運転ソフトウェアが記憶されている。
【0035】
図示はしないが、車両Vは周辺状況取得デバイスを備えており、周辺状況取得デバイスは、通信バス11と電気的に接続されている。周辺状況取得デバイスは、車両Vが自動運転処理を行う際に車両Vの周辺情報を取得するためのセンサ群であり、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)装置、車載通信機、ナビゲーションシステム、レーダ装置及び周辺カメラなどを含んでいる。
【0036】
GNSS装置は、複数のGNSS衛星からGNSS信号を受信して車両Vの位置を測位する。車載通信機は、他の車両との間の車車間通信および路側機との間の路車間通信の少なくとも一方を行う通信装置である。ナビゲーションシステムは、地図情報を記憶する地図情報記憶部を含み、GNSS装置から得られる位置情報と地図情報記憶部に記憶された地図情報とに基づいて、車両Vの位置を地図上で表示する。レーダ装置は、車両Vの周囲に存在する歩行者や他車両等の物体を点群情報として検出し、検出した物体と車両Vの相対位置および相対速度を取得する。また、レーダ装置は、直近の複数回の探知結果に含まれる個々の物体との相対位置や相対速度の変化等に基づき、ノイズやガードレール等の路側物等を監視対象から除外し、歩行者や他車両等の特定物体を監視対象物体として追従監視する。周辺カメラは、車両Vの周囲を複数のカメラで撮影し、撮影した画像を出力する。
【0037】
(携帯端末14のハードウェア構成)
図3に示されるように、携帯端末14はそれぞれ、CPU52、ROM54、RAM56、ストレージ58、通信インターフェース(通信I/F)60及び入出力インターフェース(入出力I/F)62を含んで構成されている。各構成は、内部バス64を介して相互に通信可能に接続されている。
【0038】
CPU52は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU52は、ROM54又はストレージ58からプログラムを読み出し、RAM56を作業領域としてプログラムを実行する。また、CPU52は、ROM54又はストレージ58に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0039】
ROM54は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM56は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ58は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する非一時的記録媒体である。本実施形態では、ROM54又はストレージ58には、種々の処理を行うためのプログラムなどが格納されている。
【0040】
通信I/F60は、携帯端末14が車両用情報処理装置10などと通信するためのーフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)、Wi-Fi(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)及びNFC(Near field communication)などの規格が用いられる。
【0041】
入出力I/F62には、表示パネル66、スピーカ68、バイブレータ70及びGPS装置72が電気的に接続されている。表示パネル66は、所定の情報を表示させる。スピーカ68は、音を出力可能に構成されている。バイブレータ70は、所定の信号を受信した場合に振動する。GPS装置72は、GPS衛星からGPS信号を受信して携帯端末14の位置を測位する。
【0042】
(車両用情報処理装置10の機能構成)
車両用情報処理装置10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。車両用情報処理装置10が実現する機能構成について図4を参照して説明する。
【0043】
図4に示されるように、車両用情報処理装置10は、機能構成として、認証情報取得部80、端末特定部82、端末信号取得部84、免許情報取得部86、運転者用端末設定部88、車両情報取得部90及び通知部92を含んで構成されている。なお、各機能構成は、CPU20がROM22又はストレージ26に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0044】
認証情報取得部80は、認証装置32が認証した認証情報を取得する。例えば、認証装置32が指紋センサを含んでいれば、認証情報取得部80は、認証情報として指紋データに関する情報を取得する。また、認証装置32が指向性のマイクを含んでいれば、認証情報取得部80は、認証情報として音声データに関する情報を取得する。さらに、認証装置32が光学カメラを含んでいれば、認証情報取得部80は、認証情報として虹彩データ又は顔の形状などに関する情報を取得する。
【0045】
端末特定部82は、認証情報と対応する携帯端末を特定する。具体的には、端末特定部82は、認証装置32によって認証された認証情報に基づいて特定された乗員と対応する携帯端末14を特定する。すなわち、端末特定部82は、認証情報と乗員データベース18に記憶された乗員の情報とを照会することで、認証情報と一致する乗員を特定する。また、端末特定部82は、乗員を特定した後、乗員データベース18及び端末データベース16に記憶されたデータに基づいて、乗員が携帯している(乗員と対応する)携帯端末14を特定する。
【0046】
端末信号取得部84は、認証された携帯端末14から発信された所定の信号を取得する。例えば、特定された携帯端末14を用いて所定のアプリケーションを起動させた際に、携帯端末14から車両用情報処理装置10へ信号が送信され、端末信号取得部84が信号を取得してもよい。また、特定された携帯端末14を用いて所定のアプリケーションを起動した後、アプリケーションによって所定の操作を実行した場合に、携帯端末14から車両用情報処理装置10へ信号が送信され、端末信号取得部84が信号を取得してもよい。例えば、特定された携帯端末14の中から所定のアプリケーションを通じて運転者に登録する旨の操作を実行することで、端末信号取得部84が運転者である旨の信号を取得してもよい。
【0047】
免許情報取得部86は、認証情報と一致する乗員に対して運転免許証の有無に関する情報を参照する。具体的には、乗員データベース18に記憶された乗員の情報を照会することで、運転免許証の有無に関する情報を参照する。なお、年齢情報から運転免許証を取得可能な年齢未満であれば、運転免許証が無いと判断してもよい。
【0048】
運転者用端末設定部88は、端末特定部82によって特定された携帯端末14から受信した情報に基づいて運転者が使用する運転者用端末を設定する。具体的には、運転者用端末設定部88は、端末信号取得部84によって運転者である旨の信号を取得した携帯端末14を運転者用端末として設定する。このとき、運転者用端末設定部88は、運転免許証が無い乗員の携帯端末を運転者用端末の候補から除外してもよい。
【0049】
また、運転者用端末設定部88は、運転席に設けられた認証装置によって認証された携帯端末14を運転者用端末として設定してもよい。なお、本実施形態では一例として、運転者用端末設定部88による運転者用端末の設定が行われるまでは自動運転状態への移行を制限するように構成されている。すなわち、レベル3以上の自動運転へ切り替え可能な状態であっても、運転者用端末が設定されていない場合には、自動運転への切替えが行われない。また、運転者用端末のGPS情報に基づいて、運転者用端末が車両Vの車室内に存在しないことが判明した場合、自動運転への切替えが行われない。
【0050】
車両情報取得部90は、車両Vの走行状態などの情報を取得する。例えば、車両情報取得部90は、車両Vがレベル3以上の自動運転状態(車両によって全ての運転操作が行われている自動運転状態)であることを取得する。
【0051】
通知部92は、車両情報取得部90によって取得された車両Vの状態が所定の条件を満たす場合に、運転者用端末に通知を行う。例えば、通知部92は、車両Vがレベル3の自動運転状態からレベル2の自動運転状態へ移行するまでの距離又は時間が所定未満となった際に、運転者用端末に通知を行う。また、例えば、通知部92は、車両Vがレベル3の自動運転状態から手動運転へ移行するまでの距離又は時間が所定未満となった際に、運転者用端末に通知を行う。
【0052】
また、通知部92は、車両Vがレベル3の自動運転状態であって、車線変更、ルート変更及び追い越しなどの提案を行う際に、運転者用端末に通知を行ってもよい。他に、通知部92は、車両Vの燃料が少なくなった場合やバッテリ残量が少なくなった場合に運転者用端末に通知を行ってもよい。さらに、通知部92は、MRC(Minimum Risk Condition)に至るまでの車両Vの運動制御であるMRM(Minimum Risk Maneuver)の状態にシステムが遷移する際に、運転者用端末に通知を行ってもよい。
【0053】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0054】
本実施形態の車両用情報処理装置10による運転者用端末設定処理の一例について、図5に示されるフローチャートを用いて説明する。これらの表示処理は、CPU20がROM22又はストレージ26から表示プログラムを読み出して、RAM24に展開して実行することによって実行される。なお、本実施形態では、運転者用端末が設定されるまでの間、所定の周期で処理が実行される。
【0055】
(運転者用端末設定処理の一例)
CPU20は、ステップS102で認証情報を取得する。具体的には、CPU20は、認証情報取得部80の機能によって、認証装置32が認証した認証情報を取得する。
【0056】
CPU20は、ステップS104で携帯端末14を特定する。具体的には、CPU20は、端末特定部82の機能によって、認証装置32によって認証された認証情報に基づいて特定された乗員と対応する携帯端末14を特定する。
【0057】
CPU20は、ステップS106で免許証が有るか否かについて判定する。具体的には、CPU20は、特定された携帯端末14を保有する乗員に対して、免許情報取得部86の機能によって乗員データベース18に記憶された乗員の情報を照会し、運転免許証の情報が登録されていれば、ステップS108の処理へ移行する。また、CPU20は、乗員の運転免許証情報が登録されていない場合、ステップS112の処理へ移行し、携帯端末14に対して、運転免許証が登録されていないことを通知する。
【0058】
CPU20は、ステップS108で端末信号を受信したか否かについて判定する。具体的には、CPU20は、端末信号取得部84の機能によって認証された携帯端末14から発信された所定の信号を取得した場合、ステップS110の処理へ移行する。ここでいう所定の信号とは、例えば、運転者として登録する旨の信号である。一方、ステップS108で携帯端末14から発信された所定の信号を取得していない場合、運転者用端末は設定されずに処理を終了する。
【0059】
CPU20は、ステップS110で運転者用端末を設定する。具体的には、CPU20は、運転者用端末設定部88の機能によって、端末信号取得部84によって運転者である旨の信号を取得した携帯端末14を運転者用端末として設定する。そして、運転者用端末設定処理を終了する。
【0060】
なお、本実施形態では、運転者用端末設定処理によって運転者用端末が設定されたことを条件として、レベル3以上の自動運転が許可される。
【0061】
以上のように、本実施形態に係る車両用情報処理装置10によれば、通知部92の機能によって運転者用端末のみに所定の通知が行われるため、運転車両端末以外の端末に対して不必要な通知が行われることを抑制できる。また、運転車用端末に通知が行われることで、運転者が車両前方に注目していない状況であっても、手動運転への移行や車線変更の提案などを把握できる。
【0062】
また、本実施形態では、特定された携帯端末14の中から所定のアプリケーションを通じて運転者である旨の信号を受信した際に、当該携帯端末を運転者用端末に設定する。これにより、運転者が携帯端末のアプリケーションを通じて所定の操作を行うだけで運転者用端末を設定でき、車両Vでの操作などを必要とせずに済む。
【0063】
さらに、本実施形態では、運転者が運転席に設けられた認証装置32を用いて認証を行うことでも運転者用端末を設定することができる。これにより、容易に運転者用端末を設定することができる。
【0064】
特に、本実施形態では、乗員が認証装置32を用いて、指紋、声紋、虹彩及び顔の少なくとも1つを認証することで、携帯端末14を特定できる。これにより、認証時に携帯端末14を用意する必要がない。
【0065】
さらにまた、本実施形態では、免許情報取得部86の機能によって乗員の免許証の情報を取得することで、運転免許証が無い乗員の携帯端末14が運転者用端末に設定されるのを抑制できる。
【0066】
また、本実施形態では、運転者用端末の設定が行われるまでの間、自動運転状態への移行を制限することにより、自動運転時の安全性を向上できる。
【0067】
以上、実施形態に係る車両用情報処理装置10について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。上記実施形態では、運転免許証の有無についての情報を取得したが、これに限定されず、免許情報取得部86を備えていない構成でもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、運転者用端末設定部88による運転者用端末の設定が行われるまでは自動運転状態への移行を制限する構成としたが、これに限定されない。上記実施形態では、CPU20は、運転者用端末が設定されるまでの間、所定の周期で図5に示す一連の処理が実行されるが、CPU20が当該処理を実行するタイミングは、これに限られない。例えば、自動運転状態へ移行する際に、CPU20は、図5に示す一連の処理を行うことで、運転者用端末の設定を行ってもよい。また例えば、車両が停車状態から発進するときに、CPU20は、図5に示す一連の処理を行うことで、運転者用端末の設定を行ってもよい。より具体的には、車両のシフトポジションがパーキングからドライブまたはリバースへ切り替わったときに、CPU20は、図5に示す一連の処理を行ってもよい。
【0069】
さらに、上記実施形態では、携帯端末14として、図3に示されるように表示パネル66、スピーカ68、バイブレータ70及びGPS装置72を備えた端末としたが、これに限定されない。例えば、乗員がスマートエントリーシステム(Smart entry system)の機能を備えたスマートキーを保持している場合、スマートキーと一緒に身に着けている腕時計などのデバイスを運転者用端末として設定し、このデバイスに対して通知を行う構成としてもよい。また、デジタルキーとして登録されている携帯端末14がある場合、乗員による運転者用端末の設定を必要とせずに、当該携帯端末14を運転者用端末として設定してもよい。
【0070】
さらに、上記実施形態でCPU20がプログラムを読み込んで実行した処理を、CPU20以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Spec Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上記処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせで実行してもよく、例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0071】
また、上記実施形態では、ストレージ26に種々のデータを記憶させる構成としたが、これに限定されない。例えば、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体を記憶部としてもよい。この場合、これらの記録媒体に各種プログラム及びデータなどが格納されることとなる。
【0072】
さらにまた、上記実施形態で説明した処理の流れは一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0073】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0074】
(付記1)
一定条件下において全ての運転操作が可能な車両に適用される車両用情報処理装置であって、
前記車両に設けられた認証装置が認証した認証情報と対応する携帯端末を特定する端末特定部と、
特定された前記携帯端末から受信した情報に基づいて運転者が使用する運転者用端末を設定する運転者用端末設定部と、
車両によって全ての運転操作が行われている自動運転状態において、所定の条件を満たす場合に前記運転者用端末に通知を行う通知部と、
を有する車両用情報処理装置。
(付記2)
前記運転者用端末設定部は、特定された前記携帯端末の中から所定のアプリケーションを通じて運転者である旨の信号を受信した際に、当該携帯端末を前記運転者用端末に設定する付記1に記載の車両用情報処理装置。
(付記3)
前記認証装置は、運転席を含む複数の座席周辺に設けられており、
前記運転者用端末設定部は、前記運転席に設けられた前記認証装置によって認証された認証情報と対応する携帯端末を運転者用端末に設定する付記1に記載の車両用情報処理装置。
(付記4)
前記認証装置は、乗員の指紋、声紋、虹彩及び顔の少なくとも1つを認証可能に構成されており、
前記端末特定部は、前記認証装置によって認証された認証情報に基づいて特定された乗員と対応する携帯端末を特定する付記1~付記3の何れか1に記載の車両用情報処理装置。
(付記5)
前記運転者用端末設定部は、前記認証情報に基づいて特定された乗員に対して運転免許証の有無に関する情報を参照し、運転免許証が無い乗員の携帯端末を運転者用端末の候補から除外する付記1~付記4の何れか1に記載の車両用情報処理装置。
(付記6)
前記運転者用端末設定部による運転者用端末の設定が行われるまでは自動運転状態への移行を制限する付記1~付記5の何れか1項に記載の車両用情報処理装置。
(付記7)
一定条件下において全ての運転操作が可能な車両に設けられた認証装置が認証した認証情報と対応する携帯端末を特定し、
特定された前記携帯端末から受信した情報に基づいて運転者が使用する運転者用端末を設定し、
車両によって全ての運転操作が行われている自動運転状態において、所定の条件を満たす場合に前記運転者用端末に通知を行う、
車両用情報処理方法。
(付記8)
一定条件下において全ての運転操作が可能な車両に設けられた認証装置が認証した認証情報と対応する携帯端末を特定し、
特定された前記携帯端末から受信した情報に基づいて運転者が使用する運転者用端末を設定し、
車両によって全ての運転操作が行われている自動運転状態において、所定の条件を満たす場合に前記運転者用端末に通知を行う、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0075】
10 車両用情報処理装置
32 認証装置
82 端末特定部
88 運転車両端末設定部
92 通知部
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5