(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160642
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】ロコモ測定システム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/00 20180101AFI20241107BHJP
A61B 5/22 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
G16H40/00
A61B5/22 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075864
(22)【出願日】2023-05-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2022年11月4日(金)・5日(土)に青森県弘前市上鞘師町24-1のホテルニューキャッスルで開催した第49回日本臨床バイオメカニクス学会に関与する展示スペースにおいて、ロコモ測定システムを展示した。
(71)【出願人】
【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
(71)【出願人】
【識別番号】000130293
【氏名又は名称】株式会社コムラ製作所
(71)【出願人】
【識別番号】592154798
【氏名又は名称】吉玉精鍍株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166073
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 秀治
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 鋼
(72)【発明者】
【氏名】小村 泰右
(72)【発明者】
【氏名】畝原 広美
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】被測者の身長を考慮して、座面高さを自動で設定することで手間がかからず、被測者個々の身長を考慮した正確な測定結果からロコモ年齢を推定することで、被測者の基礎移動機能を正しく評価する、ロコモ測定システムを提供する。
【解決手段】ノートパソコン1と電動昇降椅子2とを備えており、被測者Aの身長データ及び年齢のデータ入力手段11と、身長データに基づいて基準座面高を算出する座面高算出手段20と、算出された基準座面高に基づいて、自動で座面23を調節する座面高自動調節手段21を有し、座面23が水平であると共に、背もたれ22が座面23に対して垂直な電動昇降椅子2と、調節された電動昇降椅子2の座面23からの立ち上がりテストの結果入力手段13と、テスト結果によってロコモ年齢を算出するロコモ年齢算出手段14と、算出されたロコモ年齢を表示する表示手段15とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測者の身長データ及び年齢のデータ入力手段と、
身長データに基づいた基準座面高を算出する座面高算出手段と、
算出された基準座面高に基づいて、自動で座面を調節する座面高自動調節手段を有する椅子と、
調節された椅子の座面からの立ち上がりテストの結果入力手段と、
テスト結果によってロコモ年齢を算出するロコモ年齢算出手段と、
算出されたロコモ年齢を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする、ロコモ測定システム。
【請求項2】
被測者の身長データ及び年齢のデータ入力手段と、
身長データに基づいて基準座面高を算出する座面高算出手段と、
算出された基準座面高に基づいて、自動で座面を調節する座面高自動調節手段を有し、座面が水平であると共に、背もたれが座面に対して垂直な椅子と、
調節された椅子の座面からの立ち上がりテストの結果入力手段と、
テスト結果によってロコモ年齢を算出するロコモ年齢算出手段と、
算出されたロコモ年齢を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする、ロコモ測定システム。
【請求項3】
前記座面高算出手段が、
基準座面高を、身長×0.25-1.0(cm)の式により算出することを特徴とする、請求項1または2に記載のロコモ測定システム。
【請求項4】
前記座面高算出手段が、さらに、
基準座面高×0.75(cm)の式により算出する高さと、
基準座面高×0.50(cm)の式により算出する高さを算出することを特徴とする、請求項3に記載のロコモ測定システム。
【請求項5】
前記表示手段に、実年齢とロコモ年齢の差により選択されたメッセージを表示することを特徴とする、請求項4に記載のロコモ測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロコモ測定システムに関し、詳細には、電動昇降椅子を用いてロコモ年齢(登録商標)の測定を可能とする、ロコモ測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロコモティブシンドローム(運動器症候群、略称「ロコモ」)とは、2007年日本整形外科学会が提唱した人間の基礎移動機能(立ち上がる機能や歩く機能)の低下状況を示す用語である。
人間は、加齢と共に移動機能が低下していくが、その低下のペースが平均より顕著に早い場合は、ロコモが発症している可能性がある。
ロコモが発症すると、移動機能に障害が生じ、介護や支援が必要となることがある。
そのため、健康寿命の延伸、介護負担の軽減のため、ロコモの可能性の早期発見が極めて重要となる。
【0003】
そこで、ロコモ度を判断するために、40cm、30cm、20cm、10cmの座台から片脚又は両脚での立ち上がりの可否によって決定することが行われている。
該ロコモ度テストは、ロコモ度1が片脚で40cmの台から立てない、ロコモ度2が両脚で20cmの台から立てない、ロコモ度3が両脚で台から立てない、との基準で判断するものである。
そして、ロコモ度は1、2と3の段階で移動機能低下の程度を評価し、段階が高いほどその低下が著しいと判断されるものである。
【0004】
また、特許文献1には、人間の基礎運動能力の中で最も重要と思われる立ち上がり能力を運動器衰退の評価ファクターとして立ち上がりの姿勢を評価する成績値を定め、被測定者の加齢に伴う基礎運動能力の衰退の進行度合いを定量的に評価するために、高さ調節自在の立ち上がり能力測定用の椅子が記載されている。
【0005】
該特許文献1に記載の技術によると、高さ調節自在の立ち上がり能力測定用椅子を用いた立ち上がり能力評価システムにより、加齢に伴う人の基礎運動能力衰退の進行度合いを示すことと、ロコモ症状の深刻さを評価することができ、ロコモ予防を通して、健康な暮らしを実現し、介護の負担を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、高さの異なる座台を用いた技術は、被測者の体格を考慮したものではないので、測定結果に個人差があり、体格まで考慮して正確にロコモ度を判断することが困難である。
他方、特許文献1に記載の立ち上がり能力測定用椅子は、段階的に高さ調節を行うことで、被測者の体格を考慮することは可能であるが、段階的なので、被測者個々に正確に対応した高さ調整を行うことができず、また、座板の基準高さの測定と座板の段階的な高さ調節を人手を介して行う必要があるため、手間がかかるものであった。
【0008】
したがって、本発明の解決しようとする課題は、被測者の身長を考慮して、座面高さを自動で設定することで手間がかからず、被測者個々の身長を考慮した正確な測定結果からロコモ年齢を推定することで、被測者の基礎移動機能を正しく評価する、ロコモ測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題を解決するための手段は、下記のとおりである。
【0010】
第1に、
被測者の身長データ及び年齢のデータ入力手段と、
身長データに基づいた基準座面高を算出する座面高算出手段と、
算出された基準座面高に基づいて、自動で座面を調節する座面高自動調節手段を有する椅子と、
調節された椅子の座面からの立ち上がりテストの結果入力手段と、
テスト結果によってロコモ年齢を算出するロコモ年齢算出手段と、
算出されたロコモ年齢を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする、ロコモ測定システム。
【0011】
第2に、
被測者の身長データ及び年齢のデータ入力手段と、
身長データに基づいて基準座面高を算出する座面高算出手段と、
算出された基準座面高に基づいて、自動で座面を調節する座面高自動調節手段を有し、座面が水平であると共に、背もたれが座面に対して垂直な椅子と、
調節された椅子の座面からの立ち上がりテストの結果入力手段と、
テスト結果によってロコモ年齢を算出するロコモ年齢算出手段と、
算出されたロコモ年齢を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする、ロコモ測定システム。
【0012】
第3に、
前記座面高算出手段が、
基準座面高を、人間工学上最も良い椅子の高さの研究成果に基づいて、例えば、
身長×0.25-1.0(cm)の式により、算出すること、計算方法も柔軟に修正できることを特徴とする、前記第1または2に記載のロコモ測定システム。
本式は、人間工学の研究成果に鑑み、被測者各々の身長に合わせ、各自にとって最適な座面高を導き出すものである。
【0013】
第4に、
前記座面高算出手段が、さらに、
基準座面高×0.75(cm)の式により算出する高さと、
基準座面高×0.50(cm)の式により算出する高さを算出することを特徴とする、前記第3に記載のロコモ測定システム。
【0014】
第5に、
前記表示手段に、実年齢とロコモ年齢の差により選択されたメッセージを表示することを特徴とする、前記第1~第4のいずれか一つに記載のロコモ測定システム。
【0015】
第6に、
前記表示手段に、入力したデータや測定の進行状態を表示することを特徴とする、前記第1~第5のいずれか一つに記載のロコモ測定システム。
【0016】
第7に、
データ記録手段を備えたことを特徴とする、前記第1~第6のいずれか一つに記載のロコモ測定システム。
【0017】
第8に、
通信手段を備えたことを特徴とする、前記第1~第7のいずれか一つに記載のロコモ測定システム。
【0018】
第9に、
自動化手段を備えたことを特徴とする、前記第1~第8のいずれか一つに記載のロコモ測定システム。
【0019】
[データ入力手段]
データ入力手段は、被測者の身長データ及び年齢を入力できるものであれば制限されず、更に性別や任意事項を入力できることが好ましく、ディスプレイが接続されたパーソナルコンピュータに接続可能なハードウェアによるキーボードやマウスによる入力や、ノートパソコンのキーボードやタッチパッドまたはマウスからの入力の他に、パーソナルコンピュータに接続されたタッチセンサ内蔵のディスプレイ画面やタブレットPC、スマートフォンの画面に、アプリやブラウザを利用したソフトウェアによるタッチ形式のテンキーやキーボードの表示画面等による入力で構築することができる。
また、マイクからの音声認識による入力等を採用することができる。
【0020】
[座面高算出手段]
座面高算出手段は、椅子側に設置する座面高さ計算専用の制御用シングルボードコンピュータによって実現可能なものであり、データ入力手段から入力されたデータに基づき、基準座面高を、身長×0.25-1.0(cm)の式により算出することに加え、基準座面高×0.75(cm)の式により基準座面高に対する75%の座面高と、基準座面高×0.50(cm)の式により基準座面高に対する50%の座面高を算出することができるものであるが、これらの高さの算出に限定されず、基準座面高に対する任意%の座面高を算出することもできる。
【0021】
[座面高自動調節手段を備えた椅子]
座面高自動調節手段を備えた椅子は、所定の座面高になるように、油圧シリンダ、エアシリンダ等の昇降機構により、座面が自動的に100~600mmの範囲において所望の高さに垂直移動するものである。
該椅子の座面は水平であり、立ち上がりテストにおける被測者の姿勢を正確に合わせるため、背もたれは座面に対して垂直に位置している。
該椅子は、被測者が座面に腰掛けて立ち上がりテストを行うものなので、手前側に被測者の体重が集中して荷重されても容易に転倒しないよう、重量バランスが考慮され構成されている。
【0022】
[結果入力手段]
立ち上がりテストの結果入力手段は、「立ち上がることができた」「立ち上がることができなかった」の二択を被測者が判断して選択し入力できるものであれば良い。
例えば、ディスプレイに接続されたパーソナルコンピュータに接続可能なハードウェアによるキーボードやマウスからの入力、ノートパソコンのキーボードやタッチパッドまたはマウスからの入力、パーソナルコンピュータに接続されたタッチセンサ内蔵のディスプレイの画面やタブレットPC、スマートフォンの画面に表示されるソフトウェアによるタッチ形式の入力画面からの入力、マイクからの音声認識による入力等を採用することができる。
ここで、椅子の座面に圧力感知センサを設け、両脚、右脚、左脚のいずれかの場合を入力したうえで、「立ち上がることができた」「立ち上がることができなかった」の二択を感知して判定し、そのオンオフ信号を送信可能とすることで、自動的に入力することもできる。
また、座面の手前側の縁部の左右にも、圧力感知センサを設けることで、両脚、右脚、左脚のいずれかであるか感知して判定し、各場合に応じた信号を送信することで自動的に入力することもできる。
【0023】
[ロコモ年齢算出手段]
ロコモ年齢算出手段は、例えば、特開2016-101242号公報に記載の手段に基づいて実現可能なものであり、結果入力手段により入力された入力値と、予め決めた評価値とに基づいて、被測定者の立ち上がり能力を、ロコモ年齢(登録商標)で評価するものである。
ここで、立ち上がり能力における測定値は、被測者が前記椅子に着座した状態から両脚で立ち上がれるか、片脚で立ち上がれるかに応じて重み付けがされている。
該重み付けは、立ち上がり難度の高い着座状態から立ち上がれたと判定したときの測定値を、立ち上がり難度の低い着座状態から立ち上がれたと判定されたときの前記測定値よりも高得点に設定して、評価する。
ロコモ年齢(登録商標)の算出は、次の手順により実施される。
まず、ロコモ成績Sを、数回の立ち上がりトライの結果により取得する。
ここで、ロコモ成績Sは、座面の高さと立ち上がり姿勢によって,特開2016-101242号公報に記載された内容を参考にして決められる。
そして、ロコモ年齢Aは、次式、
A=255-2.39Sにより算出される。
なお、ロコモ成績の測定過程とロコモ年齢の算出方法は、研究や統計結果の基づき更新されるものである。
【0024】
[表示手段]
表示手段は、算出されたロコモ年齢を表示する他に、入力したデータや測定の進行状態、実年齢とロコモ年齢の差により分析して選択されたアドバイスメッセージを画面表示するものであり、パーソナルコンピュータに接続されたディスプレイの画面、ノートパソコンのディスプレイの画面、タブレットPC、スマートフォンの画面に表示するものである。
【0025】
[データ記録手段]
データ記録手段は、入力された身長及び年齢や、性別、任意事項等の各種データに加え、座面高算出手段により算出された座面高データ、ロコモ年齢算出手段により算出されたロコモ年齢データ等を記録するものであり、パーソナルコンピュータ、タブレットPC、スマートフォンに内蔵されたメモリ等の記録媒体や外部接続の記録媒体に保存する他にも、ネットワークに接続されたオンラインストレージに記録することもできる。
【0026】
[通信手段]
通信手段は、入力された身長及び年齢や、性別、任意事項等の各種データに加え、座面高算出手段により算出された座面高データ、ロコモ年齢算出手段により算出されたロコモ年齢データ等をネットワークや有線無線通信を通じて、やり取りするものである。
通信手段とデータ記録手段とを組み合わせることで、被測者の同意を得て、測定結果を記録して、随時又は定期的に集約して、通信手段を用いて全国の各所で得られるデータを蓄積することで、全国規模のビッグデータの構築が可能となる。
該ビックデータは、健康促進対策と政策の制定や生活質の向上と維持に役立つことが期待できる。
[自動化手段]
自動化手段は、測定と記録手法のDX化によって測定の自動化と測定結果の分析と蓄積を実現するものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0028】
本発明のロコモ測定システムは、身長データに基づいた基準座面高を算出する座面高算出手段と、算出された基準座面高に基づいて、自動で座面を調節する座面高自動調節手段を有する椅子とを備えているので、被測者の身長を考慮して、座面高さを自動で設定するので手間がかからず、被測者個々の身長を考慮した正確な測定結果からロコモ年齢を推定することで、被測者の基礎移動機能を正しく評価することができる。
【0029】
また、PCやスマホ等で測定と結果と分析結果が表示して確認することで、健康管理に役立つことができる。
さらに、ビッグデータの構築によって、健康促進対策と政策の制定や生活質の向上と維持に役たつことが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施例のロコモ測定システムの概略図である。
【
図3】本発明の実施例における座面高算出手段による結果を示す画面である。
【
図4】本発明の実施例における結果入力画面である。
【
図5】本発明の実施例における次の段階の結果入力画面である。
【
図6】本発明の実施例におけるロコモ年齢算出手段による結果及びメッセージを示す画面である。
【
図7】本発明の実施例におけるアドバイスメッセージの設定画面である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
ここで、添付図面において同一の部材には同一符号を付しており、また重複した説明は省略されている。
なお、ここでの説明は本発明が実施される一形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【実施例0032】
図1に示すとおり、本実施例のロコモ測定システムは、ノートパソコン1と、電動昇降椅子2とを備えており、図示は省略する有線ケーブルによって、ノートパソコン1と電動昇降椅子2とはデータ通信可能に接続されているが、無線システムにより接続することもできる。
図1中、符号Aは、本実施例によるロコモ測定システムの被測者である。
【0033】
ノートパソコン1は、データ入力手段11、結果入力手段13、ロコモ年齢算出手段14、表示手段15、データ記録手段16、通信手段17、自動化手段18を備えている。
また、該ノートパソコン1には、図示は省略するが、入力デバイスとしてマウスが接続されている。
【0034】
電動昇降椅子2は、ノートパソコン1からの信号により、座面高算出手段20によって算出した座面23の高さに、図示は省略するエアシリンダで調節する座面高自動調節手段21を備えている。
該座面高自動調節手段21を備えた電動昇降椅子2は、水平な座面23に対して、立ち上がりテストにおける被測者Aの姿勢を正確に合わせるため、背もたれ22が垂直に位置している。
座面高自動調節手段21は、所定の座面高になるように、エアシリンダの昇降機構により、座面23が自動的に100~600mmの範囲において所望の高さに垂直移動する。
電動昇降椅子2は、被測者Aが座面23に腰掛けて立ち上がりテストを行うものなので、手前側に被測者Aの体重が集中して荷重されても容易に転倒しないよう、フレーム24の形状や部品の配置により、重量バランスが考慮されている。
【0035】
データ入力手段11として、ノートパソコン1のキーボード、マウス,タブレットPC、スマートフォンを用いて、被測者Aの身長データ、年齢、性別、体重、普段の運動の有無を入力する。
【0036】
座面高算出手段20は、座面高さ計算専用の制御用シングルボードコンピュータによって処理するものであり、入力されたデータに基づき基準座面高を、次式、
身長×0.25-1.0(cm)により算出する。
また、算出された基準座面高に基づき、次式、
基準座面高×0.75(cm)により、基準座面高に対する75%の座面高を算出すると共に、次式、
基準座面高×0.50(cm)の式により基準座面高に対する50%の座面高を算出する。
なお、基準座面高の計算式は後の研究成果で変更できることにする。
【0037】
立ち上がりテストの結果入力手段13は、「立ち上がることができた」「立ち上がることができなかった」の二択を被測者Aが判断して選択し、ノートパソコン1のキーボードやマウスを用いて入力する。
【0038】
ロコモ年齢算出手段14は、結果入力手段13により入力された入力値と、予め決めた評価値とに基づいて、被測定者Aの立ち上がり能力を、ロコモ年齢(登録商標)で評価する。
立ち上がり能力における測定値は、被測者Aが前記椅子2に着座した状態から両脚で立ち上がれるか、片脚で立ち上がれるかに応じて重み付けがされている。
該重み付けは、立ち上がり難度の高い着座状態から立ち上がれたと判定したときの測定値を、立ち上がり難度の低い着座状態から立ち上がれたと判定されたときの前記測定値よりも高得点に設定して、評価する。
まず、ロコモ成績Sを、数回の立ち上がりトライの結果により取得する。
そして、ロコモ年齢Aは、次式、
ロコモ年齢A=255-2.39Sにより算出する。
なお、ロコモ年齢の計算式は後の研究成果で変更できることにする。
【0039】
表示手段15は、算出されたロコモ年齢を表示する他に、入力したデータや測定の進行状態、実年齢とロコモ年齢の差により分析して選択されたアドバイスメッセージを、ノートパソコン1の画面に表示する。
【0040】
データ記録手段16は、入力された身長及び年齢や、性別、任意事項等の各種データに加え、座面高算出手段20により算出された座面高データ、ロコモ年齢算出手段14により算出されたロコモ年齢データ等を、ノートパソコン1に内蔵されている記録媒体に記録する他に、図示は省略するが、通信手段17を介してネットワークに接続されたオンラインストレージにも記録する。
【0041】
通信手段17は、入力された身長及び年齢や、性別、任意事項等の各種データに加え、座面高算出手段20により算出された座面高データ、ロコモ年齢算出手段14により算出されたロコモ年齢データ等を、有線もしくは無線接続によるネットワークを通じて、やり取りする。
【0042】
自動化手段18は、ノートパソコン1にインストールされたプログラムにより、測定と記録手法のDX化によって測定の自動化と測定結果の分析と蓄積を実現する。
【0043】
次に、本実施例のロコモ測定システムによるロコモ測定の流れについて説明する。
【0044】
図2に示すとおり、性別、年齢、身長をデータ入力手段11を用いて入力し、計測開始をクリックする。
【0045】
すると、座面高算出手段20より、基準座面高が、次式、
身長×0.25-1.0(cm)により算出され、座面の高さが電動昇降椅子の高さとして、
図3に示すとおり画面に表示されると共に、電動昇降椅子2の座面23が、座面高自動調節手段21により、第1段階の所定の高さに自動的に調節される。
【0046】
被測者Aが電動昇降椅子2に座り、高さを微調整した後に、第1段階における高さについて、片脚立ちで立ち上がることができるか否かを測定する。
【0047】
図4に示すとおり、第1段階の測定結果について、成功したか、失敗したかを選択して、結果入力手段13としてのマウスにより入力する。
【0048】
測定結果によっては、次の第2段階に移り、同様に測定し、第2段階の結果についても、
図5に示すとおり、成功したか、失敗したかを選択して、結果入力手段13としてのマウスにより入力する。
なお、測定結果によっては、図示は省略するが、第3段階に移り、同様に測定して、結果を入力する。
【0049】
数回の測定により、ロコモ年齢算出手段14によりロコモ年齢(登録商標)が算出され、
図6に示すとおり、メッセージと共に表示される。
【0050】
ここで、
図7に示すとおり、アドバイスメッセージ設定画面で、メッセージを入力することで、結果に基づいたアドバイスを表示させることもできる。