(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160658
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド増加促進剤、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/724 20060101AFI20241107BHJP
A61K 31/706 20060101ALI20241107BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20241107BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241107BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20241107BHJP
【FI】
A61K31/724
A61K31/706
A61P3/00
A61P43/00 121
A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075894
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】520163843
【氏名又は名称】株式会社ワールド機能性原料研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【弁理士】
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】王 建強
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB07
4B018LB08
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD18
4B018MD36
4B018ME14
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA01
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZC21
4C086ZC75
(57)【要約】
【課題】 本発明によれば、NAD+の増加を促進することができる。
【解決手段】本発明のNAD+増加促進剤は、シクロデキストリン及びニコチンアミドモノヌクレオチドを含む。また、本発明のNAD+増加促進剤の製造方法は、シクロデキストリン及びニコチンアミドモノヌクレオチドを混合する混合工程を含む。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロデキストリン及びニコチンアミドモノヌクレオチドを含むニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)増加促進剤。
【請求項2】
前記ニコチンアミドモノヌクレオチドが、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを含む、請求項1記載のNAD+増加促進剤。
【請求項3】
前記シクロデキストリンが、α‐シクロデキストリンを含む、請求項1記載のNAD+増加促進剤。
【請求項4】
液状組成物に用いるための、請求項1記載のNAD+増加促進剤。
【請求項5】
飲料に用いるための、請求項1記載のNAD+増加促進剤。
【請求項6】
シクロデキストリン及びニコチンアミドモノヌクレオチドを混合する混合工程を含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載のNAD+増加促進剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド増加促進剤、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ニコチンアミドモノヌクレオチド(以下、「NMN」という場合がある。)を摂取することで、加齢による退行性変化などが改善されることが種々の研究で示されている。このため、NMNは、飲食料品や医薬品、化粧品などの添加成分として注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、NMNを有効成分とする、健康補助食品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
NMNは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、「NAD+」という場合がある。)の前駆体物質として知られている。NAD+は、生体内における酸化還元反応の補酵素として働くだけでなく、老化を防ぐサーチュインの活性化にも関与することが明らかになっている。
【0006】
そこで、本発明は、NAD+の増加を促進することができる、NAD+増加促進剤、及びNAD+増加促進剤の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のNAD+増加促進剤は、シクロデキストリン及びニコチンアミドモノヌクレオチドを含む。
【0008】
本発明のNAD+増加促進剤の製造方法は、シクロデキストリン及びニコチンアミドモノヌクレオチドを混合する混合工程を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、NAD+の増加を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、線虫に対してNAD+増加促進剤又は剤を投与した際の、NAD+増加促進効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明について、例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により、なんら限定されない。
【0012】
[1.NAD+増加促進剤]
まず、本発明のNAD+増加促進剤について説明する。なお、本発明において「NAD+増加」とは、特に断りのない限り、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのうち、酸化型であるNAD+が生体内において増加することをいう。
【0013】
本発明のNAD+増加促進剤は、前述のとおり、シクロデキストリン及びニコチンアミドモノヌクレオチドを含む。
【0014】
前記CyDは、例えば、α-CyD、β-CyD、γ-CyD、δ-CyD、ε-CyD、ζ-CyD、η-CyD、及びθ-CyDのうち、少なくとも一つを含むものであってもよい。入手性の観点から、α-CyD、β-CyD、及びγ-CyDのうち、少なくとも一つを含むものが好ましく、水への溶解性の観点から、α-CyDを含むものであることがより好ましい。また、前記CyDは、前記CyDの誘導体又はその塩であってもよい。
【0015】
前記CyDの誘導体は、特に限定されず、例えば、アルキル化された誘導体、ヒドロキシアルキル化された誘導体、アルコキシアルキル化された誘導体、アセチル化された誘導体、第四級アンモニウム塩誘導体、カルボキシアルキル化された誘導体、マルトシル化された誘導体、グルコシル化された誘導体等があげられる。
【0016】
前記CyDの塩は、特に限定されず、例えば、酸付加塩及び塩基付加塩があげられる。前記酸付加塩は、例えば、無機酸又は有機酸のイオンを有する塩があげられる。前記無機酸は、例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等があげられる。前記有機酸は、例えば、酢酸、脂肪族モノ-およびジカルボン酸、脂肪族硫酸、芳香族硫酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヒドロキシナフトエ酸、乳酸、ラウリル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、o-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、シュウ酸、p-クロロベンゼンスルホン酸、フェニル置換アルカン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、第三級ブチル酢酸、トリメチル酢酸等があげられる。前記塩基付加塩は、例えば、無機塩基又は有機塩基のイオンを有する塩があげられる。前記無機塩基は、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等があげられる。前記有機塩基は、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、又はN-メチルグルカミン等があげられる。
【0017】
前記CyDは、いずれの方法で調製されたものであってもよい。例えば、シクロデキストリン糖転移酵素との反応を介してデンプンのアミロペクチンから生成する方法により、人工的に合成したCyDを精製したものを用いることができる。前記シクロデキストリン糖転移酵素は、例えば、前記シクロデキストリン糖転移酵素を産生する微生物を培養液で培養し、前記培養液から前記シクロデキストリン糖転移酵素を抽出することにより生産してもよい。前記シクロデキストリン糖転移酵素を産生する微生物としては、例えば、Bacillus属細菌などを使用することができる。前記デンプンとしては、例えば、ジャガイモ、トウモロコシ、モチトウモロコシ、及び小麦などを用いることができる。また、市販されている精製されたCyDを使用してもよい。
【0018】
前記NMNは、例えば、α-NMN及びβ-NMNのうち、少なくとも一つを含むものであってもよく、β-NMNを含むものであることが好ましい。また、前記NMNは、前記NMNの誘導体又はその塩であってもよい。
【0019】
前記NMNの誘導体は、特に限定されず、例えば、薬学的に許容されるものである。本発明において、「薬学的に許容される」とは、動物に投与したときにアレルギー反応等の有害な反応を生じないことを指す。
【0020】
前記NMNの塩は、特に限定されず、例えば、酸付加塩及び塩基付加塩があげられる。前記酸付加塩は、例えば、無機酸又は有機酸のイオンを有する塩があげられる。前記無機酸は、例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等があげられる。前記有機酸は、例えば、酢酸、脂肪族モノ-およびジカルボン酸、脂肪族硫酸、芳香族硫酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヒドロキシナフトエ酸、乳酸、ラウリル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、o-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、シュウ酸、p-クロロベンゼンスルホン酸、フェニル置換アルカン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、第三級ブチル酢酸、トリメチル酢酸等があげられる。前記塩基付加塩は、例えば、無機塩基又は有機塩基のイオンを有する塩があげられる。前記無機塩基は、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等があげられる。前記有機塩基は、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミン等があげられる。
【0021】
前記NMNは、いずれの方法で調製されたものであってもよい。例えば、化学合成法、酵素法、発酵法等により、人工的に合成したNMNを精製したものを用いることができる。また、NMNは広く生体に存在する成分であるため、動物、植物、微生物などの天然原料から抽出・精製することによって得られたNMNを用いることもできる。また、市販されている精製されたNMNを使用してもよい。
【0022】
本発明のNAD+増加促進剤に含まれる前記NMNのモル濃度は、例えば、1mM以上、2mM以上、3mM以上、4mM以上、又は5mM以上であってもよく、20mM以下、15mM以下、10mM以下、8mM以下、又は6mM以下であってもよい。
【0023】
本発明のNAD+増加促進剤は、例えば、固形組成物又は液状組成物に用いるためのものであってもよい。なお、「固形組成物」とは、常温において固体である組成物を指す。「液状組成物」とは、常温において液体である組成物を指す。
【0024】
本発明のNAD+増加促進剤は、例えば、飲料、食料、サプリメント、一般食品、保健機能食品、特別用途食品、動物用の飼料、医薬品、又は医薬部外品等に用いるためのものであってもよい。
【0025】
前記サプリメントは、日本においては行政的な定義はないが、例えば、特定成分が凝縮された錠剤やカプセル形態の製品であり、例えば、飲料、食料、一般食品、前保健機能食品、特別用途食品等があげられる。前記サプリメントは、例えば、米国においてDietary Supplementと定義されるもの、欧州においてFood supplementと定義されるものを含みうる。
【0026】
前記一般食品は、例えば、栄養や保健機能に関する食品表示制度における栄養成分表示の基準で定められたものであり、いわゆる健康食品である。前記一般食品は、例えば、栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品等があげられる。
【0027】
前記保険機能食品は、例えば、栄養や保健機能に関する食品表示制度における栄養成分表示の基準で定められた、機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品等があげられる。
【0028】
前記特別用途食品には、例えば、栄養や保健機能に関する食品表示制度における栄養成分表示の基準で定められた、特定保健用食品、病者用食品、妊産婦、授乳婦用粉乳、乳児用調整乳、えん下困難者用食品等があげられる。
【0029】
本発明の組成物を前記飲料、前記食料、前記サプリメント、前記一般食品、前記保健機能食品、前記特別用途食品として提供する場合、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、ドリンク剤(溶液剤及び懸濁液剤が含まれる)等の形態としてもよい。また、例えば、清涼飲料、茶飲料、調味料、加工食品、デザート類、菓子(例えば、ガム、キャンディ、ゼリー)、乳製品(例えば、ヨーグルト、乳酸菌飲料等)等の形態として、種々の食品や飲料に混合させた状態で飲食用に提供してもよい。
【0030】
本発明の組成物を動物用の飼料として提供する場合、例えば、そのまま動物に摂取させてもよく、他の固形飼料や飲料水に混合させた状態で動物に摂取させてもよい。
【0031】
本発明の組成物を医薬品や医薬部外品として提供する場合、例えば、経口摂取される経口剤であってもよいし、対象部位に塗布される外用剤であってもよいし、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内等に投与する注射剤であってもよい。
【0032】
本発明の組成物である医薬品や医薬部外品が経口剤である場合、その形態としては、例えば、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、液状、ジェル状、ペースト状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、クッキー状、ケーキ状、チュアブル状、シロップ状、スティック状等があげられる。体重当たりの1日の摂取量は特に限定されず、使用態様や使用者の使用内容などに応じて適宜設定できる。体重当たりの1回の摂取量についても同様に特に限定されない。前記経口剤である場合、例えば、食前、食間、食後、食事と同時のいずれにおいて摂取しても良い。
【0033】
本発明の組成物である医薬品や医薬部外品が外用剤である場合、その形態としては、例えば、ローション状、乳液状、ゲル状、クリーム状、軟膏状、粉末状、顆粒状等をあげられる。具体的には、化粧水、化粧クリーム、乳液、クリーム、パック、ヘアトニック、ヘアクリーム、シャンプー、ヘアリンス、トリートメント、ボディシャンプー、洗顔剤、石鹸、ファンデーション、白粉、口紅、リップグロス、頬紅、アイシャドー、整髪料、育毛剤、水性軟膏、油性軟膏、目薬、アイウォッシュ、シップ、ジェル等があげられる。使用量としては特に限定されず、使用対象個体の年齢、体重、体質、使用部位等の様々な要因を考慮して適宜選択することができる。対象者に適用する頻度としては特に限定されない。
【0034】
本発明の組成物である医薬品や医薬部外品が注射剤である場合、例えば、分散化剤、湿潤剤、又は/及び懸濁化剤を使用して調製することができる水性懸濁液剤または油懸濁液剤であってもよい。前記注射剤は、溶媒又は希釈液を用いて調製される溶液又は懸濁液の形態であってもよい。前記溶媒としては、例えば、滅菌水、リンゲル液、又は等張性生理食塩水溶液が用いられる。前記注射剤は、適切な溶液を用いて再構成する粉末であってもよい。前記注射剤は、その他の成分として、例えば、安定剤、pH調節剤、又は/及び界面活性剤を含んでいてもよい。前記注射剤は、例えば、単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態で提供されてもよい。前記注射剤の投与量は、例えば、その種類や形態、投与対象の年齢、性別、体重、症状の程度などに応じて、適宜決定することができる。また、前記注射剤の投与は、所望の投与量範囲内において、1日あたり単回で、又は数回に分けて行ってもよく、食前、食間、食後、又は食事と同時に投与されてもよい。
【0035】
本発明のNAD+増加促進剤は、他の成分を含んでいてもよい。前記他の成分としては、例えば、用途に応じて任意に選択することができる。前記他の成分としては、水や有機溶剤などの溶媒、賦形剤、結合剤、光沢剤、滑沢剤、安定剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、着色料、香料、甘味料、酸味料、及び/又は添加剤等があげられる。
【0036】
前記水は、例えば、精製水、熱水、イオン交換水等があげられる。前記水は、水道水等に特定の処理を施したものであってもよく、前記特定の処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、及び緩衝化等があげられる。
【0037】
前記有機溶剤は、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル等)、アルカン類(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等)、ハロゲン化アルカン類(例えば、クロロメタン、クロロエタン、クロロホルム、又は塩化メチレン等)からなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0038】
前記賦形剤は、例えば、乳糖水和物、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、マンニトール、及びバレイショデンプンからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0039】
前記結合剤は、例えば、結晶セルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポピドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、及びトウモロコシデンプンからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0040】
前記光沢剤は、例えば、シェラック、パラフィンワックス、及びミツロウからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0041】
前記滑沢剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、及びカルナウバロウからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0042】
前記安定剤及び増粘剤は、例えば、カラギナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、グァーガム、及びペクチンからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0043】
前記乳化剤は、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、サポニン、ショ糖脂肪酸エステル、及びレシチンからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0044】
前記酸化防止剤は、例えば、L-アスコルビン酸、エリソルビン酸、カテキン、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、及びブチルヒドロキシアニソールからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0045】
前記pH調整剤は、例えば、重曹、炭酸水素ナトリウム、クエン酸、乳酸、及び焼ミョウバンからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0046】
前記着色料は、例えば、アナトー色素、ウコン色素、カラメル色素、カロチン色素、クチナシ色素、カルミン酸色素、食用タール色素、銅クロロフィル、ベニコウジ色素、及びベニバナ色素からなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0047】
前記香料は、例えば、化学的に合成された香料、又は天然物から採った香料があげられる。前記香料は、前記化学的に合成された香料、及び天然物から採った香料を調合したものであってもよい。
【0048】
前記甘味料は、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、カンゾウ抽出物、キシリトール、サッカリン、ステビア、及びD-ソルビトールからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0049】
前記酸味料は、例えば、クエン酸、L-酒石酸、及び乳酸からなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0050】
前記添加剤は、例えば、前記他の成分としてあげられたもの以外の食品添加物、医薬品添加剤、医薬部外品の添加物等があげられる。
【0051】
本発明のNAD+増加促進剤は、例えば、ヒトやヒト以外の動物に使用してもよい。前記ヒト以外の動物としては、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ロバ、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、ラット、ハムスタ-、モルモット等の哺乳動物、又は線虫があげられる。
【0052】
本発明のNAD+増加促進剤に含まれる、前記CyDの重量(C)と前記NMNの重量(N)との重量比(C/N)は、特に制限されず、適宜設定することができるが、例えば、0.01以上、0.1以上、1以上、1.5以上、2以上、2.5以上、2.7以上、2.8以上、又は2.9以上であり、例えば、10000以下、1000以下、100以下、50以下、30以下、25以下、15以下、10以下、8以下、5以下、4以下、3.5以下、又は3以下である。
【0053】
[2.添加剤]
つぎに、NAD+増加促進剤に使用するための添加剤について説明する。前記添加剤は、例えば、ニコチンアミドモノヌクレオチドに添加する添加剤であって、シクロデキストリンを含む。
【0054】
前記NMNは、例えば、前述の本発明のNAD+増加促進剤において説明したNMNと同様であってもよい。また、前記CyDは、例えば、前述の本発明のNAD+増加促進剤において説明したCyDと同様であってもよい。
【0055】
前記添加剤は、例えば、前記NMNの安定化剤である。前記安定化剤における安定化とは、例えば、熱処理や中長期保存等に対する安定化である。前記熱処理は、熱処理温度が、例えば、40~200℃、60~150℃、80~100℃であり、熱処理時間が、例えば、1~180分、15~120分、30~60分である。前記中長期保存は、保存温度が、20~85℃、25~70℃、35~50℃であり、保存期間が、例えば、3時間~2か月、1日~1か月、3日~2週間である。
【0056】
前記添加剤は、他の成分を含んでいてもよい。前記他の成分としては、例えば、前述の本発明のNAD+増加促進剤において説明した他の成分と同様であってもよい。
【0057】
前記添加剤は、例えば、前記NMNの重量(N)に対して、任意の量を添加してもよい。例えば、前記CyDの重量(C)と前記NMNの重量(N)との重量比(C/N)が、0.01以上、0.1以上、1以上、1.5以上、2以上、2.5以上、2.7以上、2.8以上、又は2.9以上であり、例えば、10000以下、1000以下、100以下、50以下、30以下、25以下、15以下、10以下、8以下、5以下、4以下、3.5以下、又は3以下となるよう添加してもよい。
【0058】
[3.NAD+増加促進剤の製造方法]
つぎに、本発明のNAD+増加促進剤の製造方法について説明する。本発明のNAD+増加促進剤の製造方法は、前述のとおり、シクロデキストリン及びニコチンアミドモノヌクレオチドを混合する混合工程を含む。本発明の組成物の製造方法は、例えば、さらに、水を混合する混合工程を含む。
【0059】
前記NMNは、例えば、前述の本発明の組成物において説明したNMNと同様であってもよい。また、前記CyDは、例えば、前述の本発明の組成物において説明したCyDと同様であってもよい。さらに、前記水は、前述の本発明の組成物において説明した水と同様であってもよい。
【0060】
前記混合工程は、例えば、ヒトの手による混合であってもよいし、混合装置による混合であってもよい。前記混合装置は、例えば、ミキサー、プロペラ撹拌機等の一般的に使用される混合手段を使用することができる。
【0061】
本発明のNAD+増加促進剤の製造方法は、さらに、乾燥工程を含んでもよい。前記乾燥工程は、例えば、熱風乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、又は自然乾燥等があげられる。
【0062】
本発明のNAD+増加促進剤の製造方法において、例えば、前記CyDの重量(C)と前記NMNの重量(N)との重量比(C/N)は、0.01以上、0.1以上、1以上、1.5以上、2以上、2.5以上、2.7以上、2.8以上、又は2.9以上であり、例えば、10000以下、1000以下、100以下、50以下、30以下、25以下、15以下、10以下、8以下、5以下、4以下、3.5以下、又は3以下であってもよい。
【0063】
前記混合工程において、前記水を混合する工程を含む場合、前記CyDの重量(C)及び前記NMNの重量(N)の合計([C+N])と前記水の重量(W)との比率([C+N]/W)は、特に制限されず、適宜設定することができるが、例えば、0.001以上、0.005以上、0.01以上、0.05以上、0.1以上、0.5以上、1以上、2以上、3以上、4以上、又は4.5以上であり、例えば、2000以下、1500以下、1200以下、1100以下、1000以下、500以下、200以下、100以下、50以下、20以下、10以下、6以下、又は5以下である。なお、前記比率の計算において、例えば、前記水の体積が1mLである場合には、前記水の重量(W)は1gと仮定して計算することができる。
【実施例0064】
つぎに、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0065】
なお、本実施例では後述のとおり、HPLCを用いてNMNの残存率を求めたが、前記残存率を求める方法はこれに限定されない。例えば、質量分析計、分光光度計、X線分析装置、又は元素分析装置等の定量分析が可能な装置や手法等によって前記残存率を求めてもよい。
【0066】
(NAD+増加促進剤の調製)
[実施例1]
β-NMN及びα-CyDを重量比(C/N)2.95で配合した混合物にさらに精製水を比率([C+N]/W)4.9375で添加し、混合した後の混合物を室温で24時間減圧乾燥する工程により得られたNMN/CyD組成物を、組成物中のNMNが5mMとなるよう精製水と混合し、実施例1のNAD+増加促進剤を得た。
【0067】
[実施例2]
前記得られたNMN/CyD組成物を、組成物中のNMNが1mMとなるよう精製水と混合した以外は、実施例1と同様の方法とし、実施例2のNAD+増加促進剤を得た。
【0068】
[実施例3]
β-NMN及びα-CyDを重量比(C/N)2.95で配合した混合物にさらに精製水を比率([C+N]/W)4.9375で添加し、混合した後の混合物を室温で24時間減圧乾燥する工程により、NMN/CyD組成物を得た。得られたNMN/CyD組成物を、組成物中のNMNが5mMとなるよう、市販の栄養ドリンク剤Aと混合し、実施例3のNAD+増加促進剤を得た。
【0069】
[比較例1]
β-NMN及びα-CyDを用いなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例1の剤を得た。
【0070】
[比較例2]
β-NMNを精製水に溶解させて5mMに作製し、比較例2の剤を得た。
【0071】
[比較例3]
α-CyDを精製水に溶解させて5mMに作製し、比較例3の剤を得た。
【0072】
(NAD+増加の評価)
通常培地で3~4日間飼育した遺伝性早老症モデル線虫(Csa-1線虫)に対して、実施例1~3又は比較例1~3のいずれかのNAD+増加促進剤又は剤を投与し、その後続けて2~3日間飼育したあとの線虫体内のNAD+増加を評価した。なお、前記NAD+増加は、株式会社PromegaのNAD/NADH-Glo
TM Assay kit(品番:G9071)を用いて、線虫体内における酸化型(NAD+)と還元型(NADH)の比率(NAD+/NADH比)により評価を行った。その後、それぞれのNAD+増加促進剤又は剤を投与した評価結果の平均値を算出した。評価結果を
図1に示す。
【0073】
図1は、線虫に対してNAD+増加促進剤又は剤を投与した際の、線虫体内のNAD+/NADH比を示すグラフである。
【0074】
図1のとおり、実施例1~3のNAD+増加促進剤を使用したものは、比較例1~3と比べて、NAD+/NADH比が高かった。すなわち、実施例1~3のNAD+増加促進剤を使用したものは、NAD+の顕著な増加が認められた。特に、β-NMNのみを含む比較例2と比べた場合、β-NMN及びα-CyDを含む実施例1~3のNAD+増加促進剤を使用したものは、線虫体内のNAD+/NADH比が、実施例1で約152%、実施例3で約170%増加していた。実施例2でも同様に増加していた。
【0075】
<付記>
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
シクロデキストリン及びニコチンアミドモノヌクレオチドを含むNAD+増加促進剤。
(付記2)
前記ニコチンアミドモノヌクレオチドが、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを含む、付記1記載のNAD+増加促進剤。
(付記3)
前記シクロデキストリンが、α-シクロデキストリンを含む、付記1又は2記載のNAD+増加促進剤。
(付記4)
液状組成物に用いるための、付記1から3のいずれかに記載のNAD+増加促進剤。
(付記5)
飲料に用いるための、付記1から4のいずれかに記載のNAD+増加促進剤。
(付記6)
シクロデキストリン及びニコチンアミドモノヌクレオチドを混合する混合工程を含む、
付記1から5のいずれかに記載のNAD+増加促進剤の製造方法。