(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160661
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】竹集成材から成る建築構造材、建築構造及び建築物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/26 20060101AFI20241107BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
E04B1/26 G
E04B1/58 505L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075898
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】598158635
【氏名又は名称】株式会社日建ハウジングシステム
(71)【出願人】
【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
(71)【出願人】
【識別番号】523165226
【氏名又は名称】株式会社ハフニアムアーキテクツ
(74)【代理人】
【識別番号】100103399
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 清
(72)【発明者】
【氏名】古山 明義
(72)【発明者】
【氏名】松本 究
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 勝
(72)【発明者】
【氏名】鷹野 敦
(72)【発明者】
【氏名】福山 弘
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AA13
2E125AB16
2E125AC23
2E125CA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】竹集成材から成る柱部材、梁部材等の建築構造材、建築構造及びそれらを使用する建築物を提供する。
【解決手段】竹集成材から成る柱部材100は、正方形断面を呈する4本の長杆状部材111から構成される中間柱部材110と、十字状断面を呈する1本の短杆状部材121から構成される補強芯部材120と、から構成される。竹集成材から成る梁部材200は、長方形断面を呈する3枚の平板状部材211,212から構成される連結梁部材210と、長方形断面を呈する2枚の平板状部材221から構成される中間梁部材220と、から構成される。柱部材100と梁部材200とを前後左右に連結し、柱部材100を基礎300に設置し、さらに、柱部材100間に壁パネルを連結、設置し、梁部材200上に屋根材を設置して、東屋、日陰棚等として使用できる建築物を構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹集成材から成る柱部材であって、前記柱部材は、正方形断面を呈する4本の長杆状部材から構成される中間柱部材と、十字状断面を呈する1本の短杆状部材から構成される補強芯部材と、から構成されることを特徴とする建築構造材。
【請求項2】
竹集成材から成る梁部材であって、前記梁部材は、長方形断面を呈する3枚の平板状部材から構成される連結梁部材と、長方形断面を呈する2枚の平板状部材から構成される中間梁部材と、から構成されることを特徴とする建築構造材。
【請求項3】
請求項1に記載の柱部材と請求項2に記載の梁部材とを使用し、前記中間柱部材の上端部と前記連結梁部材の中間部とを接合させ、締結部材によって締結して、柱梁接合構造を構成したことを特徴とする建築構造。
【請求項4】
請求項1に記載の柱部材と請求項2に記載の梁部材とを使用し、前記柱部材と前記梁部材とを前後左右に連結して、請求項3に記載の柱梁接合構造を構成し、さらに、前記柱部材を基礎に設置して、構成したことを特徴とする建築物。
【請求項5】
請求項1に記載の柱部材と請求項2に記載の梁部材とを使用し、前記柱部材と前記梁部材とを前後左右に連結して、請求項3に記載の柱梁接合構造を構成し、さらに、前記柱部材を基礎に設置し、前記柱部材間に壁パネルを連結、設置し、前記梁部材上に屋根材を設置して、構成したことを特徴とする建築物。
【請求項6】
前記建築物は、東屋又は日陰棚であることを特徴とする請求項5に記載の建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹集成材から成る柱、梁、根太等の建築構造材、それらを組み合わせた建築構造、及び、それら建築構造材、建築構造を使用した建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、公園、庭園、展示会場、スポーツ施設等の比較的広い屋外空間においては、その利用者が適時周囲を眺望し、又は休憩するために、東屋、日陰棚(パーゴラ)等の建築物が設置されていることが多い。
【0003】
これら建築物は、簡単に組立てることができると共に、簡単に解体し、撤去できるように、又、その周囲環境と適合すると共に、利用者の精神衛生面を考慮して、木材から成る建築物とすることが多い。
【0004】
しかし、最近では、山林、森林等における樹木を大量に伐採し、木材として使用したために、植林による樹木の生長が間に合わず、木材資源が激減し、枯渇する恐れもあるという事情がある。
【0005】
一方で、従来、建築材料として竹材が使用されることは少なく、山林、森林等の周辺の竹林が放置されているか、何等使用されず伐採されることも多く、竹材資源は有効に利用されていない。
【0006】
そこで、竹材資源を有効活用するために、竹を薄肉矩形状の竹片に分割し、複数の竹片を積層、圧着して、竹集成材を製造し、これら竹集成材をさらに結合、接着して、床、壁等の建築構造材として使用することが提案されている(特許文献1、2及び3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-105408号公報
【特許文献2】特開2000-291236号公報
【特許文献3】特開平09-057714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1、2及び3に記載の竹集成材から成る建築構造材は、平板材料から構成する床、壁部材として使用するものであって、大きな圧縮力、剪断力が負荷される杆状材料から構成する柱、梁部材として使用するものではない。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するために為されたものであって、竹集成材から成る建築構造材であって、特に、大きな圧縮力、剪断力が負荷される杆状材料から構成する柱、梁部材等の建築構造材を提供することを目的とする。
【0010】
又、これら建築構造材を組み合わせた建築構造、及び、それら建築構造材、建築構造を使用した建築物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の建築構造材は、竹集成材から成る柱部材であって、前記柱部材は、正方形断面を呈する4本の長杆状部材から構成される中間柱部材と、十字状断面を呈する1本の短杆状部材から構成される補強芯部材と、から構成されることを特徴とする。
【0012】
又、本発明の建築構造材は、竹集成材から成る梁部材であって、前記梁部材は、長方形断面を呈する3枚の平板状部材から構成される連結梁部材と、長方形断面を呈する2枚の平板状部材から構成される中間梁部材と、から構成されることを特徴とする。
【0013】
又、上記目的を達成するため、本発明の建築構造は、前記柱部材と前記梁部材とは、前記中間柱部材の上端部と前記連結梁部材の中間部とを接合させ、締結部材によって締結して、柱梁接合構造を構成したことを特徴とする。
【0014】
さらに、上記目的を達成するため、本発明の建築物は、前記柱部材と前記梁部材とを使用し、前記柱部材と前記梁部材とを前後左右に連結して、前記柱梁接合構造を構成し、さらに、前記柱部材を基礎に設置して、構成したことを特徴とする。
【0015】
又、本発明の建築物は、前記柱部材と前記梁部材とを使用し、前記柱部材と前記梁部材とを前後左右に連結して、前記柱梁接合構造を構成し、さらに、前記柱部材を基礎に設置し、前記柱部材間に壁パネルを連結、設置し、前記梁部材上に屋根材を設置して、構成したことを特徴とする。
【0016】
ここで、前記建築物は、東屋又は日陰棚であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の建築構造材によれば、大きな圧縮力、剪断力が負荷される長杆状材料から構成する柱、梁部材等の竹集成材から成る建築構造材を提供することができる。
【0018】
又、本発明の建築構造によれば、上記建築構造材を良好に組み合わせ、連結することができ、それによって、それら建築構造材、建築構造を使用した建築物を好適に実現することができる。
【0019】
そして、本発明の建築物によれば、利用者が適時周囲を眺望し、休憩することができ、周囲環境と適合すると共に、利用者の精神衛生面を考慮した、東屋、日陰棚(パーゴラ)等の建築物を簡単に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の竹集成材から成る建築構造材としての柱部材及び梁部材の分解斜視図である。
【
図2】
図1に示す柱部材と基礎との接合部における斜視図である。
【
図3】
図1に示す柱部材と梁部材との接合部における斜視図である。
【
図4】
図1に示す柱部材を構成する補強芯部材の製作方法を示す説明図である。
【
図5】本発明の竹集成材から成る建築構造材を組み合わせた建築構造の斜視図である。
【
図6】本発明の竹集成材から成る建築構造材を組み合わせた建築構造の斜視図である。
【
図7】本発明の竹集成材から成る建築構造材及び建築構造を使用した建築物の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
先ず、本発明の竹集成材から成る建築構造材について、以下、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
本発明の竹集成材から成る建築構造材としての柱部材100は、
図1に示すように、中間柱部材110と、補強芯部材120と、から構成される。
【0023】
中間柱部材110は、
図1に示すように、正方形断面を呈する4本の長杆状部材111,111,111,111から構成され、これら長杆状部材111,111,111,111を、十字状断面を呈する間隙S11を保持させて配置したものである。
【0024】
補強芯部材120は、
図1に示すように、十字状断面を呈する1本の短杆状部材121から構成される。
【0025】
ここで、長杆状部材111は、竹集成材から成る部材であって、例えば、縦40mm×横40mm×長さ1,000mm,1,500mm,2,000mm等の寸法形状に成形してある。
【0026】
一方、短杆状部材121は、竹集成材から成る部材であって、例えば、
図4に示すように、縦28mm×横102mm×長さ1,800mmの平板材122において、その一端から中央に架けて、幅28mm×長さ900mmの相欠溝122aを形成する。
そして、それら2枚の平板材122を、相欠溝122aにおいて相欠継ぎし、ビス等の締結部材によって結合し、
図4に示すように、十字状断面を呈する1本の短杆状部材121を構成してある。
【0027】
そして、柱部材100は、
図1に示すように、上下の中間柱部材110,110の連結部分の十字状断面を呈する間隙S11内に、十字状断面を呈する補強芯部材120を挿入させ、ビス等の締結部材によって締結し、連結して構成してある。
【0028】
本発明の竹集成材から成る建築構造材としての梁部材200は、
図1に示すように、連結梁部材210と、中間梁部材220と、から構成される。
【0029】
連結梁部材210は、
図1に示すように、長方形断面を呈する2枚の平板状部材211,211と,長方形断面を呈する1枚の平板状部材212から構成され、これら平板状部材211,211,212を、所定間隙S21,S21を保持させて配置したものである。
【0030】
中間梁部材220は、
図1に示すように、長方形断面を呈する2枚の平板状部材221,221から構成され、これら平板状部材221,221を、所定間隙S22を保持させて配置したものである。
【0031】
ここで、平板状部材211は、竹集成材から成る部材であって、例えば、横40mm×縦150mm×長さ2,000mmの寸法形状に形成してある。
又、平板状部材212は、例えば、横40mm×縦150mm×長さ2,000mmの寸法形状に形成してある。さらに、中央部の長さ108mm部分を若干切欠して、横34mmの幅狭切欠部212aを形成すると共に、両端部の長さ300mm部分を若干切欠して、横34mmの幅狭切欠部212b,212bを形成してある。
【0032】
又、平板状部材221は、竹集成材から成る部材であって、例えば、横40mm×縦150mm×長さ1,600mmの寸法形状に成形してある。
【0033】
そして、
図1及び
図3に示すように、連結梁部材210を構成する平板状部材211,211,212の両端部の所定間隙S21,S21に、中間梁部材220を構成する平板状部材221,221の一端部を挿入させ、ビス等の締結部材によって締結して、連結すれば、連結梁部材210に中間梁部材220を連結できて、梁部材200を構成することができる。
【0034】
さらに、
図1及び
図3に示すように、連結梁部材210を構成する平板状部材211,211,212の中央部の所定間隙S21,S21に、中間柱部材110を構成する長杆状部材111,111,111,111の上端部を挿通させ、ビス等の締結部材によって締結して、連結すれば、中間柱部材110に連結梁部材210を連結でき、柱部材100と梁部材200とを連結できて、柱梁接合構造を構成することができる。
【0035】
ここで、
図1に示すように、連結梁部材210を構成する平板状部材211,211,212の中央部において、それらの各上端部に、直交方向に幅40mm×深さ15mmの嵌合溝211c,211c,212cを形成するのが好ましい。
これによって、
図1及び
図3に示すように、上下に直交する連結梁部材210,210を、この嵌合溝211c,211c,212cにおいて嵌合させ、位置ずれなく、確実に連結することができる。
【0036】
柱部材100を基礎300に設置する際には、
図1及び
図2に示すように、基礎300にボルト等の締結部材によって締結、固着した設置部材310が使用される。
【0037】
設置部材310は、
図1及び
図2に示すように、中空箱体状を呈する台座体311上に十字状断面を呈する嵌合体312を固定、立設したものであって、嵌合体312の外側に嵌合部312a,312a,312a,312aを形成してある。
【0038】
そして、
図1及び
図2に示すように、嵌合体312の嵌合部312a,312a,312a,312aに、中間柱部材110の4本の長杆状部材111,111,111,111の下端部を挿入、当接させ、ボルト、ナット等の締結部材によって締結、固定すれば、柱部材100を基礎300に立設することができる。
【0039】
以上に説明したように、竹集成材から成る建築構造材としての柱部材100と梁部材200とを使用し、適宜敷地内に基礎300を構築し、その基礎300に設置部材310によって多数の柱部材100を立設し、
図5及び
図6に示すように、柱部材100と梁部材200とを前後左右に連結すれば、本発明の建築構造材から成る建築構造を構成することができる。
【0040】
そして、
図5及び
図6に示すように、隣接する柱部材100,100間に平板状の壁パネル400を連結、設置し、さらに、梁部材200上に竹集成材から成る垂木部材500を多数配設し、その上に平板状の屋根材600を固定、設置すれば、
図6に示すように、東屋、日陰棚(パーゴラ)等として使用できる建築物700を構成することができる。
【0041】
尚、壁パネル400、屋根材600は、従来の構造用合板を使用してもよいが、竹集成材から成る平板部材を使用すれば、より好適である。
【0042】
以上のように、本発明の竹集成材から成る建築構造材によれば、大きな圧縮力、剪断力が負荷される長杆状材料から構成する柱部材、梁部材等の竹集成材から成る建築構造材を提供することができる。
【0043】
又、本発明の建築構造によれば、上記建築構造材を良好に組み合わせ、連結することができ、それによって、それら建築構造材、建築構造を使用した建築物を好適に実現することができる。
【0044】
さらに、本発明の竹集成材から成る建築構造材及び建築構造によれば、比較的広い屋外空間に限らず、展示会場、スポーツ施設等の屋内空間においても、休憩施設、簡易店舗等を容易に構築することができ、使用後は、容易に解体、撤去することもできる。
【符号の説明】
【0045】
100 柱部材
110 中間柱部材
111 長杆状部材
120 補強芯部材
121 短杆状部材
200 梁部材
210 連結梁部材
211,212 平板状部材
220 中間梁部材
221 平板状部材
300 基礎
400 壁パネル
600 屋根材
700 建築物