(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160683
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】送流装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/00 20060101AFI20241107BHJP
A61L 2/10 20060101ALN20241107BHJP
【FI】
A61L9/00 Z
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024019401
(22)【出願日】2024-02-13
(62)【分割の表示】P 2024019320の分割
【原出願日】2024-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2023075880
(32)【優先日】2023-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】510202167
【氏名又は名称】Next Innovation合同会社
(72)【発明者】
【氏名】道脇 裕
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
【Fターム(参考)】
4C058AA19
4C058AA20
4C058AA30
4C058BB06
4C058CC04
4C058KK02
4C058KK25
4C058KK46
4C180AA01
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH05
4C180HH17
4C180HH19
4C180MM08
(57)【要約】
【課題】簡易な構造によって、排出している流体の流速によって外部での流動の発生を抑制する手段を提供する。
【解決手段】
外部から流体を吸込み可能な吸込部と、吸い込んだ流体を通過させる流路と、上記流路を通過させた流体を排出する排出部を具える送流装置であって、上記排出部は、外周面に配した排出口に接続される排出路を有し、流体は、上記排出路から上記排出口へ複数の方向から流下し得、上記流下して来た流体は、上記排出口付近で互いに衝突することで勢いが減衰されながら、排出されることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から流体を吸込み可能な吸込部と、吸い込んだ流体を通過させる流路と、上記流路を通過させた流体を排出する排出部を具える送流装置であって、
上記排出部は、外周面に配した排出口に接続される排出路を有し、
流体は、上記排出路から上記排出口へ複数の方向から流下し得、
上記流下して来た流体は、上記排出口付近で互いに衝突することで勢いが減衰されながら、排出されることを特徴とする送流装置。
【請求項2】
前記排出部は、流体を径方向に排出することを特徴とする請求項1記載の送流装置。
【請求項3】
前記排出路は、略旋回形状を有し、
前記排出部には、前記排出路の旋回向きの上流側から下流側までに至る範囲で複数の方向から流体が流下し得ることを特徴とする請求項1記載の送流装置。
【請求項4】
前記排出路は、周方向に沿って複数配設されることを特徴とする請求項1記載の送流装置。
【請求項5】
前記排出口は、前記排出路毎に配設されることを特徴とする請求項4記載の送流装置。
【請求項6】
前記吸込部は、吸込んだ流体が通過する空気導入路を有し、
上記空気導入路は、横断面が略環状を成し、流体の通過方向に沿う少なくとも一部が湾曲し、
前記排出部は、総開口面積が上記空気導入路の横断面積以上であることを特徴とする請求項1記載の送流装置。
【請求項7】
前記吸込部は、中央部に配される圧損低減部と、該圧損低減部の周囲を囲繞する囲繞部を有し、
上記圧損低減部は、前記流体を吸込む方向に沿う中途部を拡径させた膨形部を有し、
上記囲繞部は、上記膨形部に対向する箇所の内周面を拡径させた拡形部を有し、
前記空気導入路は、上記圧損低減部と上記囲繞部との間隙によって形成されることを特徴とする請求項6記載の送流装置。
【請求項8】
前記吸込部は、中央部に配される圧損低減部と、該圧損低減部の周囲を囲繞する囲繞部を有し、
上記圧損低減部は、前記流体を吸込む方向に沿う中途部を縮径させた括れ部を有し、
上記囲繞部は、上記括れ部に対向する箇所の内周面を縮径させた縮径部を有し、
前記空気導入路は、上記圧損低減部と上記囲繞部との間隙によって形成されることを特徴とする請求項6記載の送流装置。
【請求項9】
前記圧損低減部は、略尖突形状の端部を有することを特徴とする請求項7又は8記載の送流装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から取り込んだ流体を内部で流動させる送流装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気吸込口を具えた筐体内に紫外線光源を配した抗ウイルス空調機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような抗ウイルス空調機は、空気吸込口の近傍にフィルタを設け、フィルタの後側に配置したチャンバに紫外線光源を設けている。従って筐体内に配置されたチャンバ内で紫外線が放出されており、紫外線を含む光が筐体の外側に漏れ出ることを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載された抗ウイルス空調機は、紫外線が漏出しないように筐体内部にチャンバを設けたり、フィルタを設けたりしているので、空気流路における空気の流れが悪くなってしまうという問題がある。また大容量の空調機等は、大量の空気を処理するために排出する空気の流量及び流速を大きいため、装置外側の周囲で圧力低下を引き起こして周囲で空気の流動を発生させてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、簡易な構造によって、排出している流体の流速によって外部での流動の発生を抑制する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の送流装置は、外部から流体を吸込み可能な吸込部と、吸い込んだ流体を通過させる流路と、上記流路を通過させた流体を排出する排出部を具える送流装置であって、上記排出部は、外周面に配した排出口に接続される排出路を有し、流体は、上記排出路から上記排出口へ複数の方向から流下し得、上記流下して来た流体は、上記排出口付近で互いに衝突することで勢いが減衰されながら、排出されることを特徴とする。
【0007】
また本発明の送流装置は、前記排出部が流体を径方向に排出することを特徴とする。
【0008】
また本発明の送流装置は、前記排出路が略旋回形状を有し、前記排出部には、前記排出路の旋回向きの上流側から下流側までに至る範囲で複数の方向から流体が流下し得ることを特徴とする。
【0009】
また本発明の送流装置は、前記排出路が周方向に沿って複数配設されることを特徴とする。
【0010】
また本発明の送流装置は、前記排出口が前記排出路毎に配設されることを特徴とする。
【0011】
また本発明の送流装置は、前記吸込部が吸込んだ流体が通過する空気導入路を有し、上記空気導入路は、横断面が略環状を成し、流体の通過方向に沿う少なくとも一部が湾曲し、前記排出部は、総開口面積が上記空気導入路の横断面積以上であることを特徴とする。
【0012】
また本発明の送流装置は、前記吸込部が中央部に配される圧損低減部と、該圧損低減部の周囲を囲繞する囲繞部を有し、上記圧損低減部は、前記流体を吸込む方向に沿う中途部を拡径させた膨形部を有し、上記囲繞部は、上記膨形部に対向する箇所の内周面を拡径させた拡形部を有し、前記空気導入路は、上記圧損低減部と上記囲繞部との間隙によって形成されることを特徴とする。
【0013】
また本発明の送流装置は、前記吸込部が中央部に配される圧損低減部と、該圧損低減部の周囲を囲繞する囲繞部を有し、上記圧損低減部は、前記流体を吸込む方向に沿う中途部を縮径させた括れ部を有し、上記囲繞部は、上記括れ部に対向する箇所の内周面を縮径させた縮径部を有し、前記空気導入路は、上記圧損低減部と上記囲繞部との間隙によって形成されることを特徴とする。
【0014】
また本発明の送流装置は、前記圧損低減部が略尖突形状の端部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構造によって、排出している流体の流速によって外部での流動の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図7】排出部における各空気の流動の向きを示す図である。
【
図8】排出される流体による影響を示し、(A)は従来の送流装置の場合の概念図、(B)は本発明の送流装置の場合の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の送流装置の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は本実施形態の送流装置1を示す斜視図、
図2は本実施形態の送流装置1を示す断面図である。送流装置1は、略筒形状の筐体4を具え、筐体4上端の吸込部2を介して吸い込んだ流体を、筐体4内に配された略筒形状の反射体20の内部空間を通過させ、筐体4下端の排出部6で排出する。
また送流装置1は、反射体20の内部で流体中の毒性対象、即ち流体と共に吸込んだ毒性対象を減消させる機能を有する。
【0018】
ここで流体とは、気体、液体、ゲル状体、スラリー状体、粉体等を含む概念である。毒性対象とは、細菌やウイルス等の病原微生物の他、有害分子を含んだホルムアルデヒドや亜硫酸ガス、亜硝酸ガス、臭気成分、揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)や全有機炭素(TOC:Total Organic Carbon)等を含むものであって少なくとも人体や環境に対して毒性を有し或いは有害とされ、流体と共に移動する対象物である。また毒性対象の減消とは、分解、不活化、滅菌等、毒性対象から毒性が無くなったこと、或いは略無くなったことを意味する。
【0019】
吸込部2は、平面視中央部に配した圧損低減部10、圧損低減部10を囲繞する囲繞部12等を有し、圧損低減部10周りに外部から流体を導入させるための導入路となる空間を設けている。
圧損低減部10は、筐体4の軸方向に沿う中途部を膨張させた膨形部14を有し、一端部(紫外線反射路8側の端部)から膨形部14にかけて徐々に外径が拡がり、膨形部14から先端部10a(他端部)にかけて徐々に縮径する。先端部10aは、鈍角或いは鋭角を成す略尖突形状を有する。
【0020】
即ち、圧損低減部10は、膨形部14を境界に先端部10aまでが略円錐形状であって基端部までが略逆円錐台形状を有する。尚、圧損低減部10は、膨形部14から先端部10aまでの形状を略角錐形状、略角錐台形状、略円錐台形状或いは、外表面に螺旋状の流路を有するものとしてもよい。膨形部14から一端部までの形状を略逆角錐台形状としてもよい。勿論、圧損低減部10は、その全体の形状がコーン形状等の略錐形状であってもよい。
【0021】
囲繞部12は、環状を有して軸方向に沿って内径の大きさが異なる形状を有する。囲繞部12は、開口側の一端部に狭窄形状の狭窄部16、膨形部14と径方向に対向する箇所に拡径部18をそれぞれ設けている。
【0022】
狭窄部16は、膨形部14の外径よりも小さく、且つ先端部10a近傍の外径よりも大きい内径を有する。拡径部18は、径方向に対向する膨形部14に対して所定の間隙を有するように、その内径が設定される。従って、囲繞部12は、吸込部2に流入する流体の流動を妨げないように、圧損低減部10に対して所定以上の間隙を有するようにその内径が設定されている。
尚、狭窄部16の位置は、一端部に限定されるものでは無く、流体の流動を妨げない位置であれば適宜設定し得る。例えば膨形部14よりも流体の流動方向の下流側に配することもあり得る。
【0023】
上記のように圧損低減部10及び囲繞部12を形成している為、導入路は、横断面が略環状を成す。また導入路は、流体の流下方向に沿う形状が少なくとも一部で湾曲する。具体的には、
図2に示すように膨形部14と拡径部18との間で画定される導入路の一部が略C字状に湾曲している。
【0024】
反射体20は、両端部を開口させた中空の略筒形状を有し、内部空間が紫外線反射路8として機能する。また反射体20の内部空間には、紫外線光源22が配され、該紫外線光源22によって紫外線反射路8内に紫外線領域を作出する。
【0025】
反射体20は、内周面の略全域に紫外線反射性の内周面を具える。従って、反射体20内部及び紫外線反射路8では、紫外線光源22から放出された紫外線が内周面によって高次(繰り返し連続して複数回)反射する。この結果、高密度且つ高線量の紫外線による紫外線領域が形成される。この紫外線領域では、紫外線の線量が紫外線光源22から照射された紫外線の数十倍以上に増幅され得る。
【0026】
このような内周面は、例えば、紫外線反射性を有する材料(例えば、アルミニウム等)によって成るものであってもよく、反射体20の内側に紫外線反射性の反射層を設けて成るものであってもよい。反射層は、例えば、高屈折率の材料、例えば、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、五酸化タンタル、酸化チタン、酸化ハフニウム(ハフニア)、酸化イットリウム、酸化亜鉛、五酸化ニオブ、酸化クロム、酸化アルミニウム等から選択される一種又は複数組み合わせて成すことが出来る。
【0027】
また反射層の形成方法は、特に限定するものではなく、例えば、真空蒸着やイオンプレーティングやスパッタリング等の物理的気相成長法(PVD法)、熱CVDやプラズマCVD等の化学的気相成長法(CVD法)、粉体塗装、溶剤塗装、印刷法、電気メッキ、無電解メッキ、電着塗装、水性塗装等、適宜の形成方法が有り得る。塗装においては、紫外線反射性の塗料(例えば、粒子状のシリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)等を含んだ塗料)を使用し得る。
【0028】
また、反射層は、高屈折率材料を多層化させて構成することが出来る。この場合に各層が同一材料によって成るものであってもよく、異なる材料によって成るものであってもよく、交互に相異なる材料を積層して構成してもよい。
【0029】
紫外線光源22は、例えば、殺菌灯、紫外線ランプ、紫外線LED等であって、紫外線反射路8の略全域に紫外線を照射し得るように配置される。また紫外線光源22の形状は、例えば直管形状、U字管形状、螺旋形状、球形状、バルーン形状等、適宜設定し得る。また紫外線光源22は、複数配置してもよく、少なくとも、紫外線反射路8内に流入してきた流体に紫外線を照射可能であれば、配置箇所や配置数は適宜設定し得る。
【0030】
図3は排出部6を示す概略平面図である。排出部6は、送流装置1の外周面に配した排出口に接続される複数の排出路を有する。即ち、紫外線反射路8の下方に配設され、流体を外部に排出するための排出口6a、排出路6bを複数具える。排出口6aは、筐体4の外周面における下部に位置し、周方向に沿って略等間隔に複数配される。各排出口6aには、排出路6bが接続され、紫外線反射路8を通過した空気を排出路6bによって排出口6aへと案内する。
【0031】
排出路6bは、排出部6内で立設された複数の壁部によって画定される。該壁部は、平面視において排出部6における略中央部から径方向外側に湾曲するように設けられると共に、下端部が排出口6aに接続するように鉛直方向に対して傾斜或いは湾曲している。従って、排出路6bは、排出部6における横断面中央部から径方向外向きに螺旋放射状に湾曲する。また排出路6bは、紫外線反射路8を通過してきた流体の流動を鉛直方向から徐々に径方向に向けて排出口6aへ案内する。
【0032】
尚、排出路6bの径方向外向きの螺旋は、後述するファン34の回転向きに沿うように設定される。例えば、ファン34が右回転するものである場合、排出路6aの螺旋向きは右方向に湾曲した形状に設定される。
各排出口6aの開口面積の総和である総開口面積は、少なくとも吸込部2の開口面積よりも大きくなるように設定される。また、各排出口6aの開口面積が吸込部2の開口面積よりも大きく設定してもよいことは言うまでもない。また、排出口6aの総開口面積を吸込部2の導入路の横断面積以上に設定することもあり得る。この総開口面積の設定や上記の排出部6の形状等によって吸込部2における流体の吸込み速度よりも排出口6aにおける流体の排出速度が遅くなるように図っている。
【0033】
吸込部2と紫外線反射路8との間には、遮光フィルタ30aが配され、排出口6と紫外線反射路8との間には、遮光フィルタ30bが配される。遮光フィルタ30a、30bは、紫外線光源22から放出された紫外線が反射体20の外へ漏出するのを防ぐと共に、流体を通過させ得る構造を有する。例えば遮光フィルタ30a、30bは、四角形や六角形等の多角形の立体図形を隙間なく並べて成る構造体(ハニカムコア)等があり得る。
【0034】
ハニカムコアで成る遮光フィルタ30a、30bは、紫外線光源22から照射された紫外線を遮るように、各立体図形の中空孔が筐体4の軸方向に対して傾斜するように、配することが望ましい。例えば、紫外線反射路8側から吸込部2(或いは排出部6)側に向って中空孔が径方向内側に傾斜して延在するように、遮光フィルタ30a、30bを配することで、紫外線光源22から直接吸込部2又は排出部6に向って照射された紫外線等を遮断できる。
【0035】
また、遮光フィルタ30bよりも下流で且つ排出部6の上流にファン34が配設される。ファン34は、回転子に接続されたハブ部と、該ハブ部の外周面に配置されてハブ部の径方向外側に放射状に突出した複数枚の羽根を具える。ファン34の羽根は、表面に一又は複数のディンプルを有する構成としてもよい。
ファン34は、回転子からの回転駆動が伝達して回転し、送流装置1内部での流動を形成する。即ち、吸込部2を通して流体を装置1内部に流入させると共に、紫外線反射路8を経由させて内部の流体を排出部6から排出させるように流動を形成する。
【0036】
本実施形態の送流装置1は、ファン34を回転させることで、流体の流動を発生させて流体としての空気を吸込んで、毒性対象を減消させて当該空気を排出することができる。即ち、部屋等の所定空間に送流装置1を設置しファン34を回転させたときは、送流装置1は、当該所定空間の空気を吸込部2を介して誘引し、毒性対象を減消させて排出部6から排出する。
【0037】
ここで、
図4は空気の流動を示す概略図であり、矢印で示すように、空気は送流装置1の上部から送流装置1内に進入する。空気は、装置内部を下降して送流装置1の下部から排出される。
具体的に空気は、吸込部2において圧損低減部10の外周面に沿って流下する。即ち、空気は圧損低減部10と囲繞部12の間の間隙に進入し、膨形部14と拡径部18との間隙、遮光フィルタ30a等を通過して紫外線反射路8に進入する。
【0038】
紫外線反射路8に進入した空気は、紫外線領域内を排出部6に向って流下する。このとき空気中の毒性対象は、紫外線領域内で減消する。即ち、紫外線反射路8で作出されている紫外線領域内では、毒性対象が高密度且つ高線量の紫外線に晒される為、瞬時に分解及び/又は不活化及び/又は滅菌されて減消される。
【0039】
紫外線反射路8を流下した空気は、遮光フィルタ30bを通過して排出部6に進入する。排出部6において、空気は、排出路6bに沿って移動して排出口6aを介して排出される。このとき、空気は、ファン34を通過しながら、旋回流となって排出路6bに進行する。ここで
図5は排出路6bにおける流動方向を示す図であり、排出路6b内では
図5の矢印で示すように、排出路6bの形状に沿って空気が軸心側から外側に向って旋回状に流動する。即ち、排出路6bは、軸方向視(平面視)でファン34の回転方向に沿うようにカーブしており、ファン34を通過して旋回する空気を旋回の向きに沿って排出口6bまで案内する。
【0040】
なお、遮光フィルタ30bは排出部6上方で略全域に亘って設けられている。よって遮光フィルタ30bを通過する空気は、上記旋回向きの上流側から下流側に至る広い範囲で何れの位置からでも排出路6bに進入し得る。即ち、排出路6bを通過し得る気流は、
図7の矢印Aで示す旋回向きの上流側から進入して来て成る気流、矢印Bで示す上流と下流の間の中間領域に進入して来る気流、矢印Cで示す下流側から上流側に向かって進入して来る気流等があり得る。
【0041】
このように排出部6には、遮光フィルタ30bを通過した空気が様々な方向から流下して来る。その為、気流は、排出路6bから排出口6aへ複数の方向から流下し得、排出路6bにおいてはこれらの気流が互いに干渉し合うことで、排出口6aから排出される空気の流量は減少されずに流速が低下する。
具体的には、矢印Aで示すような最上流側から排出路6bに進入して来た気流は、排出路6bによって旋回状を成すように流動が案内される。これに対し矢印Cで示すような最下流側で排出路6bに進入して来た気流は、旋回方向の下流側に存する排出部6の壁面に当たって逆向きに跳ね返って排出口6aへと流動する。また矢印Bに示すような中間領域で進入して来た気流は、紫外線反射路8の径方向に略平行な方向に流動する。このように矢印A~Cに示す気流は、各々が異なる方向に流れており、各方向で流動している空気が互いに衝突して勢いが減衰し、結果として流速を低下させた空気が排出口6aから排出されるようになる。換言すれば、流下して来た空気は、排出口6a付近で互いに衝突することで勢いが減衰されながら、排出される。
【0042】
以上説明したように、吸込部は空気(流体)の流動を維持しながらも、紫外線光源22からの紫外線を遮って外側に漏れるのを防止することが出来る。即ち、紫外線光源22で照射されて紫外線反射路8内で反射された紫外線が遮光フィルタ30の孔を通過した場合であっても膨形部14及び/又は狭窄部16によって遮り、外側に漏れるのを確実に防止することが出来る。結果、誤って紫外線光源を直視してしまうこと等を防止することが出来る。
【0043】
また、狭窄部16に径方向に対向する位置に、圧損低減部10の先端部10aを設け、膨形部14に径方向に対向する位置に囲繞部12の拡径部18を設けたことで、流体が通過する空間を確保している。これにより、吸込部2において生じ得る圧力損失の影響を低減し、流体の流量や流速の低下を抑制することができる。
【0044】
また、排出路6aが、空気が旋回している向きに合わせてカーブしているので、空気の圧力損失を低減し、排出される空気の流量や流速の低下を抑制することができる。
【0045】
尚、吸込部2は少なくとも紫外線を遮る形状を有するものであれば、圧損低減部10が流体を吸込む方向に沿う中途を縮径させた括れ部40を有し、囲繞部12が括れ部40に対向する箇所の内周面を縮径させた縮径部42を有するものであってもよい(例えば
図6(a)参照)。また、圧損低減部10は、尖突状の端部を有していない形状であってもよい(例えば
図6(b)参照)。尚、これらのような形状においては、内径を縮径させた縮形部42が内側に突出しているので、上述した狭窄部として機能する。
【0046】
また、本発明の送流装置1は、吸込部2から吸込む流体の速度に比して排出部6から排出される流体の速度が十分に遅くなるように構成されているので、排出流体による減圧が殆ど生じない。即ち、1738年ダニエル・ベルヌーイ氏(Daniel Bernoulli)によって発見されたベルヌーイの法則が示す通り、流体の速度が増加することで圧力が低下するという現象が生じない。従って、この現象が引き起こす排出流体によって送流装置1の周りの流体が引き込まれる流れ、即ち、送流装置1外側で吸込部2側の高さ位置から排出部6側の高さ位置に至る下向きのベクトルを持った流体の流れを生じさせることがない。
【0047】
ここで
図8は、排出される流体による影響を示し、(A)は排出流体の速度が吸込速度と同等以上の従来の送流装置の場合を示す概念図、(B)は本発明の送流装置1の場合を示す概念図である。従来の送流装置(単に従来装置という。)の排出口から排出される流体の速度が吸込口を通る流体の吸込み速度と同等以上(特に、十分に速い)の場合、排出口近傍を含んだ従来装置下側の所定範囲の空間(例えば、
図8(A)の点線で囲まれた空間)で圧力低下が起こる。即ち、上記所定範囲とその外側の範囲(例えば従来装置上側の範囲)とで圧力差が生じるので、従来装置の外側で、下向きの流動が発生する。従って、吸込口に向かう流体の内、一部流体は、上記圧力差により発生した
図8(A)に示すような下向きの流動によって装置内に到達せず、排出された流体側に引っ張られて、当該装置から離れる流れになってしまう。
これに対し、本発明の送流装置1を適用した場合、排出部6からは、吸込部2による吸込み速度よりも十分に流速を低下させて流体を排出している為、送流装置1の上部側と下部側とで殆ど圧力差が生じず、
図8(B)に示すように送流装置1の外側で下向きの流動を発生させること無く、吸込部2に向かう流体を殆ど全て吸い込むことができる。
【符号の説明】
【0048】
1…送流装置、2…吸込部、4…筐体、6…排出部、8…紫外線反射路、10…圧損低減部、12…囲繞部、14…膨形部、16…狭窄部、18…拡径部、20…反射体、22…紫外線光源。