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特開2024-160687少なくとも1つの熱分解法化合物の製造方法およびその方法で使用するのに適したバーナー
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  • 特開-少なくとも1つの熱分解法化合物の製造方法およびその方法で使用するのに適したバーナー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160687
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】少なくとも1つの熱分解法化合物の製造方法およびその方法で使用するのに適したバーナー
(51)【国際特許分類】
   C01B 13/24 20060101AFI20241107BHJP
   F23D 14/22 20060101ALI20241107BHJP
   F23C 99/00 20060101ALI20241107BHJP
   C01B 33/18 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
C01B13/24
F23D14/22 D
F23C99/00 301
C01B33/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024064680
(22)【出願日】2024-04-12
(31)【優先権主張番号】23169653.5
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランツ シュミット
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ガンプレシュト
(72)【発明者】
【氏名】マニナダア ポダパカ
(72)【発明者】
【氏名】セナダ シャアック
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】ローランド スキリング
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド イヒミグ
(72)【発明者】
【氏名】ニュー イルマズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョアキム エラズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィトルド カテリナク
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ライギン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱分解法化合物の製造において、バーナーの炎内で出発物質を効率的に混合する製造方法、当該方法で使用するのに適したバーナー、そのバーナーの作製方法、および少なくとも1つのバーナーを含む製造設備を提供する。
【解決手段】金属酸化物前駆体および半金属酸化物前駆体を燃焼させることにより、金属酸化物、半金属酸化物の熱分解法化合物を製造する方法であり、少なくとも1つのバーナーBを使用し、少なくとも4本の同心チューブ1、2、3、4を有するチューブ系Sを備え、前駆体化合物は、少なくとも1本のチューブにより互いに分離された少なくとも2本のチューブから供給され、酸素含有ガス流が、少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用されるチューブではない少なくとも1本のチューブから供給される、方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物前駆体および半金属酸化物前駆体を含む群から選択される少なくとも1つの前駆体化合物を燃焼させることにより、金属酸化物、半金属酸化物およびそれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1つの熱分解法化合物を製造する方法であり、
少なくとも1つのバーナー(B)を使用し、
前記少なくとも1つのバーナー(B)は、少なくとも4本の同心チューブ(1、2、3、4)を有するチューブ系(S)を備え、
前記第2チューブ(2)は、前記中央チューブ(1)の周りに配置され、前記第3チューブ(3)は、前記第2チューブ(2)の周りに配置され、前記第4チューブ(4)は、前記第3チューブ(3)の周りに配置され、
前記少なくとも1つの前駆体化合物は、少なくとも1本のチューブにより互いに分離された少なくとも2本のチューブから供給され、
酸素含有ガス流が、前記少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用されるチューブではない少なくとも1本のチューブから供給される、方法。
【請求項2】
水が前記チューブ系(S)の少なくとも1本のチューブから供給され、前記酸素含有ガス流が好ましくは前記水とともに1本のチューブから供給される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記バーナー(B)は、前記チューブ系(S)の周りに配置される少なくとも1つのジャケット(J)を備え、好ましくは前記バーナーの最外側チューブまたは前記ジャケット(J)から前駆体化合物は供給されない、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも4本のチューブは、平面で終端し、前記平面は、好ましくは前記チューブ系(S)の中心軸(A)に対し90°±10°の角度で配置される、請求項1~請求項3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記チューブ系(S)の前記中心軸に近いチューブの開口部の表面積は、前記軸から遠いチューブの開口部の表面積より小さいか、または同じである、請求項1~請求項4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも4本のチューブの断面は、ラウンド形状、好ましくは円形である、請求項1~請求項5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記酸素含有ガス流の供給に使用される少なくとも1本のチューブは、前記少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用される2本のチューブの間に配置される、請求項1~請求項6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
燃料ガスが少なくとも1本のチューブから供給され、そのチューブは、酸素含有ガス流の供給には使用されず、前記燃料ガスは、好ましくは、水素、メタン、エタン、プロパン、アセチレン、およびそれらの混合物を含む群から選択される、請求項1~請求項7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記バーナー(B)の前記中心軸(A)に垂直な前記バーナーの各同心チューブの開口部の断面積は、前記バーナーのすべての同心チューブの総断面積の1%~30%を占める、請求項1~請求項8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
水が、前記少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用されない少なくとも1本のチューブから供給され、前記バーナー内で使用される少なくとも1つの前駆体化合物に対する水のモル比が少なくとも0.1、好ましくは少なくとも0.3、より好ましくは0.3~5.0の範囲である、請求項1~請求項9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの前駆体化合物と、場合により前記燃料ガスとは、前記中央チューブ(1)から供給され、
前記酸素と、場合により水とは、前記第2チューブ(2)から供給され、
前記前駆体化合物と、場合により前記燃料ガスとは、前記第3チューブ(3)から供給され、
前記酸素と、場合により水とは、前記第4チューブ(4)から供給される、請求項1~請求項10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか一項記載の方法で使用するのに適し、
少なくとも4本の同心チューブ(1、2、3、4)を有するチューブ系(S)を備えたバーナー(B)であり、
前記第2チューブ(2)は、前記中央チューブ(1)の周りに配置され、前記第3チューブ(3)は、前記第2チューブ(2)の周りに配置され、前記第4チューブ(4)は、前記第3チューブ(3)の周りに配置される、バーナー(B)。
【請求項13】
前記少なくとも4本のチューブ(1、2、3、4)は、前記各チューブの開口部から前記バーナーの内部に向かって、好ましくは前記中央チューブの中心軸(A)から角度(α)だけ、傾斜している、請求項12記載のバーナー(B)。
【請求項14】
請求項1~請求項11のいずれか一項記載の方法を実施するのに適し、
請求項12または請求項13記載の少なくとも1つのバーナーと、前記少なくとも1つの前駆化合物用の少なくとも1つの供給装置と、を備える製造設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの熱分解法化合物の製造方法と、当該方法で使用するのに適したバーナーおよびそのバーナーの作製方法と、少なくとも1つのバーナーを含む製造設備とに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる熱分解法、すなわち炎加水分解および炎熱分解は、二酸化ケイ素(シリカとも呼ばれる)、酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化チタン(チタニア)など、さまざまな用途に適した微細に分散した金属酸化物粉末および半金属酸化物粉末を製造するための確立された方法である。このような方法では、通常、水素またはその他の燃料ガスと酸素とを使用して炎を発生させ、揮発性の金属前駆体および半金属前駆体を対応する酸化物に転化する。
【0003】
一般的なバーナーでは、水素などの燃料ガスを、空気および金属前駆体または半金属前駆体と均一に混合し、炎内で対応する金属酸化物製品を製造するために使用する。このような一般的なバーナーの使用に関連する一般的な問題の1つは、水蒸気と四塩化ケイ素の組み合わせなど、互いに反応する成分を使用する際の柔軟性が低いこと、および爆発の可能性のある混合物を使用する際の柔軟性が低いことである。つまり、安全上の理由から、水素と酸素の濃度が制限され得ることである。
【0004】
英国特許出願公開第2049641号明細書は、炎加水分解によるシリカの調製方法を開示している。この方法は、水蒸気と、二酸化ケイ素前駆体との混合物を使用する。二酸化ケイ素前駆体は、バーナー内で生成され、炎と接する前に、装置の燃焼室で酸素と結合する。この方法では、すでに反応済みの原材料の堆積物がバーナーを塞ぐため、安定した長期運転は不可能である。
【0005】
米国特許出願公開第2004/253164号明細書は、二酸化ケイ素の調製方法と、この目的のための装置とを開示している。この出願で提示されているバーナーは、互いの周囲に配置された3本のチューブを有する。中央チューブは、蒸気の供給に使用され、中央チューブを完全に取り囲むジャケットチューブは、二酸化ケイ素前駆体、燃焼ガス、および酸素含有ガスの供給に使用される。この開示の図2から、蒸気を供給する中央チューブが、完全にジャケットチューブの内側にあるため、蒸気がジャケットチューブに導入され、反応がジャケットチューブ内でも起こることがわかる。水蒸気は、バーナーの反対側の開口部から燃焼室に入ることができる。提示されている結果から、炎中の混合効率がかなり低いことは明らかである。さらに、この方法を実施するには、使用される化合物が極めて特定の比率で必要とされるため、提案されている方法の有用性はいっそう限定される。
【0006】
米国特許出願公開第2009/0253851号明細書は、同心多管構造のバーナーを使用して、燃焼工程でのシリカ製造を記載している。オクタメチルシクロテトラシロキサンなどのシロキサン化合物が、酸素とともに中央パイプに供給され、燃料ガスが周囲の環状パイプに供給され、酸素含有ガスが第3パイプに供給される。このようにして製造されたシリカ粒子は、粗い粒子を含まず、粒度分布が狭いと報告されている。しかしながら、このバーナー形状では、製品を生成するために適用する必要がある非常に特定のガス比率からわかるように、ケイ素前駆体の混合効率がかなり限定される。
【0007】
米国特許出願公開第2005/129603号明細書は、ヒュームドシリカを製造するための、同心パイプの特別な組み合わせを備えたバーナーを開示している。四塩化ケイ素を供給するための中央パイプは、酸素を供給するためのパイプで囲まれており、酸素を供給するためのパイプは、水素を供給するための別のパイプで囲まれている。あるいは、図3では、四塩化ケイ素と酸素が中央パイプから供給され、水素が中央パイプを囲むパイプから供給されている。しかしながら、半金属前駆体を供給するこれらのパイプは、互いに同心ではなく、シリコン前駆体の混合は最適ではない。具体的には、この文献に記載されている方法では、水素と前駆体が別個に供給されるため、混合効率が悪い。
【0008】
米国特許出願公開第2004/216494号明細書は、3本の同心チューブを有するバーナーを開示している。中央チューブは、液体金属前駆体の供給に使用され、他の同心外側チューブは、燃焼支援ガスおよび/または不燃性ガスの供給に使用される。この場合も、金属前駆体または半金属前駆体が1本のパイプのみから供給されるため、混合効率が限定される。さらに、液体金属前駆体を使用すると、液体が微小な液滴として存在するため、混合効率がさらに限定される。
【0009】
先行技術において多くの試みが述べられているが、現在まで、バーナー内部での不要な堆積物の形成を効果的に回避するために、炎内で化合物を十分に混合することはまだ達成されていない。さらに、生成された金属酸化物または半金属酸化物の製品品質は、不十分な混合効率のために、理想からは程遠い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】英国特許出願公開第2049641号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/253164号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0253851号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/129603号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/216494号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、先行技術の欠点を克服することである。
すなわち、本発明の目的は、炎内で出発物質を効率的に混合する方法を提供することである。出発物質には、少なくとも1つの金属または半金属前駆体化合物、酸素および場合により水、燃料ガス、ならびに/または窒素などの不活性ガスが含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の目的は、
金属酸化物前駆体および半金属酸化物前駆体を含む群から選択される少なくとも1つの前駆体化合物を燃焼させることにより、金属酸化物、半金属酸化物およびそれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1つの熱分解法化合物を製造する方法であり、
少なくとも1つのバーナー(B)を使用し、
少なくとも1つのバーナーは、少なくとも4本の同心チューブ(1、2、3、4)を有するチューブ系(S)を備え、
第2チューブ(2)は、中央チューブ(1)の周りに配置され、第3チューブ(3)は、第2チューブ(2)の周りに配置され、第4チューブ(4)は、第3チューブ(3)の周りに配置され、
少なくとも1つの前駆体化合物は、少なくとも1本のチューブにより互いに分離された少なくとも2本のチューブから供給され、
酸素含有ガス流が、少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用されるチューブではない少なくとも1本のチューブから供給される、本発明による方法により解決される。
【0013】
本発明のさらなる利点は、本発明による方法により、工場の生産性が向上することである。工場の生産性(P)は、標準条件(圧力:1atm、温度:25℃(298K))での、使用される出発物質の体積に対する生成される熱分解法化合物の質量の比として測定され得る。
【0014】
【化1】
【0015】
生産性は、150g/m未満であってはならない。ただし、経済的な理由から、生産性は、少なくとも175g/m、理想的には200g/m以上であることが好ましい。生産性が上記のしきい値を下回ると、経済性がなくなり、1kgの熱分解法化合物を製造するのにより多くのエネルギーが必要になるため、このような方法は環境に優しくない。
【0016】
本発明のさらに別の利点は、本発明による方法により生成される熱分解法化合物の表面積(BET)が広範囲に及ぶことである。BET比表面積は、例えば少なくとも150g/mであり、BET比表面積が300g/m以上であることが好ましい。
【0017】
本発明による方法は、有利には、バーナー内部に堆積物が形成されないか、あるいは少なくとも著しく少ないため、長期間にわたって実施することができる。
【0018】
図1は、(側面図で)本発明によるバーナー(B)の部分断面を示す。バーナー(B)は、チューブ系(S)を有する。示されているチューブ系は、4 本の同心チューブ(1、2、3、4)を有し、第2チューブ(2)は、中央チューブ(1)の周りに配置され、中央チューブの上下に示されている。第3チューブ(3)は、第2チューブ(2)の周りに配置され、第2チューブ(2)の上下に示されている。第4チューブ(4)は、第3チューブ(3)の周りに配置され、第3チューブ(3)の上下に示されている。
【0019】
図2は、本発明の好ましい実施形態を示し、チューブ系の周囲に同心円状にジャケット(J)が配置された状態の図1のバーナーを示している。
【0020】
図3は、本発明の別の好ましいバーナーを示し、(側面図で)その部分断面を示している。このバーナー(B)は、6本の同心チューブ(1、2、3、4、5、6)を有するチューブ系(S)を備え、第2チューブ(2)は、中央チューブ(1)の周りに配置され、中央チューブの上下に示されている。第3チューブ(3)は、第2チューブ(2)の周りに配置され、第2チューブ(2)の上下に示されている。第4チューブ(4)は、第3チューブ(3)の周りに配置され、第3チューブ(3)の上下に示されている。第5チューブ(5)は、第4チューブ(3)の周りに配置され、第4チューブ(4)の上下に示されている。第6チューブ(6)は、第5チューブ(5)の周りに配置され、第5チューブ(5)の上下に示されている。
【0021】
図4は、本発明による好ましいバーナー(B)の断面を示し、このバーナーは、4本の同心チューブ(1、2、3、4)を有するチューブ系(S)と、ジャケット(J)とを備え、各チューブには、チューブのテーパ要素(側面図で、E1、E2、E3、E4、EJ)がある。テーパ要素E1はチューブ1に接続され、テーパ要素E2はチューブ2に接続され、テーパ要素E3はチューブ3に接続され、テーパ要素E4はチューブ4に接続され、テーパ要素EJはジャケット(J)に接続されている。テーパ要素の先端は、図の右側に示されている。さらに、図4には、テーパの度合いを示す角度α、α、α、α、αが示されている。角度α、α、α、α、αは、チューブ(1、2、3、4)およびジャケット(J)のチューブ壁(破線で示すw、w、w、w、w)の仮想延長線と、チューブのテーパ要素(E1、E2、E3、E4、EJ)により形成される実際のチューブ壁との間の角度である。
【0022】
図5は、本発明によるバーナーのチューブ系の正面図を示す。チューブ系のチューブ(1、2、3、4)と、チューブ系の周りに同心円状に配置されるジャケット(J)との開口部が示されている。
【0023】
図6は、従来技術の従来のバーナーを示す。この従来のバーナーは、以下で説明する比較例で使用された。このバーナーは、内管と外管で構成されている。
【0024】
図面では、化合物は、図の左側から右側に流れている。前述の図面は、実際の縮尺どおりに描かれていない。
【0025】
本発明の詳細な説明
本発明による方法により得られる前駆体化合物および熱分解法化合物
本発明による方法により、金属酸化物および半金属酸化物を含む群から選択される少なくとも1つの熱分解法化合物を形成することができる。少なくとも 1つの熱分解法金属酸化物は、適切な供給源、すなわち前駆体化合物から、燃焼により製造可能なすべての金属酸化物であり得る。少なくとも1つの熱分解法金属酸化物は、好ましくは、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ニオブ (Nb)、酸化タングステン(WO)、酸化鉄(例えば、FeO、Fe)、酸化セリウム(CeO)、およびそれらの混合物を含む群から選択される。
対応する金属酸化物は、酸化物中で金属が可能な限り最高の酸化状態で存在していることが好ましく、例えば、酸化セリウムの場合、CeO中のCe(IV)である。少なくとも1つの熱分解法金属酸化物は、より好ましくは、酸化アルミニウムおよび酸化チタンを含む群から選択される。
【0026】
本明細書の文脈における少なくとも1つの熱分解法半金属酸化物は、すべての半金属酸化物であり得、好ましくは、酸化ホウ素(B)、二酸化ケイ素(SiO、当技術分野ではシリカとも呼ばれる)、酸化ゲルマニウム(Ge)、およびそれらの混合物を含む群から選択される。対応する半金属酸化物は、酸化物中で半金属が可能な限り最高の酸化状態で存在していることが好ましく、例えば、酸化ケイ素の場合、SiO中のSi(IV)である。少なくとも1つの熱分解法半金属酸化物は、より好ましくは、二酸化ケイ素である。
【0027】
本発明による方法は、特に好ましくは、二酸化ケイ素、酸化チタンおよび酸化アルミニウムのうちの1つまたは複数を製造するために使用される。最も好ましくは、本発明による方法は、二酸化ケイ素の製造に使用される。
【0028】
得られる熱分解法化合物は、とりわけ、塗料またはコーティング、シリコーン、医薬品または化粧品、接着剤またはシーラント、トナー組成物の成分として、また液体系のレオロジー特性を改質するため、沈降防止剤として、粉末の流動性を向上するため、そしてシリコーン組成物の機械的または光学的特性を向上するために使用され得る。
【0029】
用語「熱分解法」とは、本明細書の文脈では、少なくとも1つの熱分解法化合物が炎中で生成されることを意味する。
【0030】
少なくとも1つの金属酸化物前駆体は、本発明による方法において、少なくとも1つの金属酸化物を製造するのに適したすべて金属化合物であり得る。少なくとも1つの金属酸化物前駆体は、好ましくは、当該金属酸化物を生成することができる塩または有機化合物である。適切な塩は、一般に、金属塩化物などの金属ハロゲン化物である。適切な有機化合物は、メトキシド(-O-CH)、エトキシド(-O-CH-CH)およびプロポキシド(-O-CH-CH-CHまたはO-CH(CH)などの金属アルコキシドである。当業者であれば、前述の化合物中の金属原子が異なる酸化状態であり得ることを認識している。これは本発明とは無関係であり、さまざまな酸化状態の金属化合物が制限なく使用され得る。例えば、本発明の方法を使用して製造される所望の金属酸化物が酸化チタンである場合、適切な前駆体化合物は、好ましくは、チタン-(IV)-塩化物(TiCl)、チタン-(IV)-イソ-プロポキシド(Ti(O-CH(CH)、およびチタン-(IV)-n-プロポキシド(Ti(O-CH-CH-CH)を含む群から選択される。目的金属酸化物が酸化アルミニウムである場合、適切な前駆体化合物は、好ましくは、塩化アルミニウム(AlCl)、アルミニウム-イソ-プロポキシド(Al(O-CH(CH)、およびアルミニウム-n-プロポキシド(Al(O-CH-CH-CH)を含む群から選択される。
【0031】
少なくとも1つの半金属酸化物前駆体は、本発明による方法において少なくとも1つの半金属酸化物を生成するのに適したすべての半金属化合物であってよい。少なくとも1つの半金属酸化物前駆体は、好ましくは、半金属塩化物(例えば、四塩化ケイ素(SiCl)、有機官能性半金属ハロゲン化物(例えば、メチルトリクロロシラン(MeSiCl)またはn-プロピルトリクロロシラン(C-SiCl))、H-官能性半金属ハロゲン化物(例えば、トリクロロシラン(H-SiCl))、有機官能性環状シロキサン(好ましくは、環を形成する3~8個のケイ素原子を有するもの、具体的にはオクタメチルシクロテトラシロキサン(D))、ならびに各メトキシド(-O-CH)、エトキシド(-O-CH-CH)およびプロポキシド(-O-CH-CH-CHまたは-O-CH(CHを含む半金属アルコキシドなどの半金属ハロゲン化物を含む群から選択される。本発明による方法において製造されるべき半金属酸化物としての二酸化ケイ素の場合、前駆体化合物は、好ましくは、四塩化ケイ素、テトラメトキシドケイ素(TMOS、Si(OMe))およびテトラエトキシドケイ素(TEOS、Si(OEt))を含む群から選択される。
【0032】
方法の制御を容易にするために、少なくとも1つの前駆体化合物は、方法条件(下記参照)下で液体または気体、より好ましくは気体であることが好ましい。当業者であれば、上記のリストからこの優先性を満たす適切な前駆体化合物を選択することができる。
【0033】
本発明による方法は、好ましくは、酸化アルミニウム、酸化チタンまたは二酸化ケイ素の製造に使用され、金属前駆体または半金属前駆体は、より好ましくは、塩化アルミニウム、アルミニウム-イソ-プロポキシド、アルミニウムn-プロポキシド、チタン-(IV)-塩化物、チタン-(IV)-イソ-プロポキシド、チタン-(IV)-n-プロポキシド、四塩化ケイ素、テトラメトキシドケイ素およびテトラエトキシドケイ素を含む群から選択される。本発明による方法は、最も好ましくは、二酸化ケイ素の製造に使用され、少なくとも1つの半金属前駆体は、四塩化ケイ素、メチルトリクロロシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメトキシドケイ素およびテトラエトキシドケイ素を含む群から選択される。
【0034】
当業者には、本発明による方法で製造されるべき熱分解法化合物には、対応する前駆体化合物が必要であることは明らかである。例えば、本発明による方法で酸化アルミニウムを製造する場合、酸化アルミニウム前駆体を使用する必要がある。
【0035】
本明細書の文脈における燃焼とは、とりわけ、酸素含有雰囲気中で炎を用いて化合物(本明細書では、少なくとも1つの熱分解法化合物前駆体)を酸化的に転化することを意味する。本発明による方法において、少なくとも1つの前駆体化合物は、炎によって燃焼され、炎は、好ましくは、バーナーの外側に位置し、バーナーと接している。この接触は、以下で説明するチューブ系から化合物を供給することにより確立される。
【0036】
チューブ系(S)
本発明による方法で使用されるべき少なくとも1つのバーナー(B)は、チューブ系(S)を有する。このチューブ系は、少なくとも4本の同心チューブ(1、2、3、4)を有する。用語「チューブ」および「パイプ」は、本明細書の文脈では、互換的に使用することができる。
【0037】
チューブ系(S)は、中央チューブ(1)を有する。この中央チューブ(1)は、好ましくは、チューブ系の中心軸(A)の周りに同心円状に、典型的にはチューブ系(S)全体にわたって配置される。
【0038】
第2チューブ(2)は、中央チューブ(1)の周りに配置される。したがって、中央チューブは、第2チューブ(2)に取り囲まれている。第2チューブ(2)は、好ましくは、(チューブ系(S)内の)中央チューブの全長にわたって、中央チューブ(1)の周りに配置される。一般に、他のチューブの周りに配置される(より外側の)チューブは、チューブ系内の取り囲まれたチューブの全長にわたって(より内側の)チューブの周りに配置されることが好ましい。第2チューブ(2)は、好ましくは、チューブ系の中心軸(A)の周りに同心円状に、典型的にはチューブ系(S)全体にわたって配置される。
【0039】
第3チューブ(3)は、第2チューブ(2)の周りに配置される。したがって、第2チューブ(2)は、第3チューブ(3)に取り囲まれている。第3チューブ(3)は、好ましくは、(チューブ系(S)内の)第2チューブの全長にわたって、第2チューブ(2)の周りに配置される。第3チューブ(3)は、好ましくは、チューブ系の中心軸(A)の周りに同心円状に、典型的にはチューブ系(S)全体にわたって配置される。
【0040】
第4チューブ(4)は、第3チューブ(3)の周りに配置される。したがって、第2チューブ(2)は、第3チューブ(3)に取り囲まれている。第4チューブ(4)は、好ましくは、(チューブ系(S)内の)第3チューブの全長にわたって、第3チューブ(3)の周りに配置される。第4チューブ(4)は、好ましくは、チューブ系の中心軸(A)の周りに同心円状に、典型的にはチューブ系(S)全体にわたって配置される。
【0041】
図3に示すように、チューブ系(S)は、好ましくは、第4チューブ(4)の周りに配置される第5チューブ(5)と、第5チューブ(5)の周りに配置される第6チューブ(6)とを有する。第5チューブ(5)は、好ましくは、(チューブ系(S)内の)第4チューブの全長にわたって、第4チューブ(4)の周りに配置される。
【0042】
第6チューブ(6)は、好ましくは、(チューブ系(S)内の)第5チューブの全長にわたって、第5チューブ(5)の周りに配置される。第5および第6チューブ(5、6)は、好ましくは、チューブ系の中心軸(A)の周りに同心円状に、典型的にはチューブ系(S)全体にわたって配置される。これにより、本発明による方法の混合効率がさらに向上する。
【0043】
チューブ系(S)のチューブの形状は、同心円状である限り、限定されない。形状は、ラウンド形(好ましくは円形)、長方形、または本発明による方法で使用されるその他の形状であり得る。好ましくは、少なくとも4本のチューブ (または4本を超えるチューブが含まれる場合は、チューブ系(S)のすべてのチューブ)の断面は、ラウンド形、好ましくは円形である(図4を参照)。あるいは、断面は、長方形(特に正方形)、星形、または花びら形のうちの1つまたは複数である。より好ましくは、チューブ系(S)のチューブは、ラウンド形であり、さらに好ましくは円形である。チューブ系(S)のすべてのチューブは、(本質的に)同じ形状であることが好ましい。例えば、すべてのチューブは、ラウンド形であってもよく、または好ましくはすべて円形である。
【0044】
チューブ系のチューブは、各開口部で終端している(図1図3では、チューブ系の右側に示されており、標識されていない)。チューブの開口部の外側では、少なくとも1つの金属酸化物前駆体および/または半金属前駆体の燃焼が、本発明の方法中に行われる。そのために、炎は、本発明による方法が実施されている限り、バーナーと接触している。
【0045】
好ましくは、チューブ系(S)の中心軸に近いチューブの開口部の表面積は、当該軸から遠い位置にあるチューブの開口部の表面積よりも小さいか同じであり、好ましくは小さい。好ましくは、中央チューブ(1)の開口部の表面積は、第2チューブ(2)の開口部の表面積と同じかそれより小さく、好ましくはそれより小さい。好ましくは、第2チューブ(2)の開口部の表面積は、第3チューブ(3)の開口部の表面積と同じかそれより小さく、好ましくはそれより小さい。好ましくは、第3チューブ(3)の開口部の表面積は、第4チューブ(4)の開口部の表面積と同じかそれより小さく、好ましくはそれより小さい。存在する場合、第5チューブ(t)の開口部の表面積は、第4チューブ(4)と比較して同じかそれより大きく、好ましくはそれより大きく、第6チューブ(6)の開口部の表面積は、第5チューブ(5)の表面積と比較して同じかそれより大きく、好ましくはそれより大きい。特に好ましくは、中央チューブ(1)の表面積は、第2チューブ(2)の表面積と同じかそれより小さく、好ましくはそれより小さく、第2チューブ(2)の表面積は、第3チューブ(3)の表面積と同じかそれより小さく、好ましくはそれより小さく、第3チューブ(3)の表面積は、第4チューブ(4)の表面積と同じかそれより小さく、好ましくはそれより小さい。
【0046】
好ましくは、チューブ系の各チューブの開口部の表面積は、すべてのチューブの総表面積の0.1~50%、より好ましくは1~30%を占める。各チューブの開口部の表面積は、好ましくは0.1~1000mm、より好ましくは0.25~250mm、さらに好ましくは0.5~100mmの範囲である。
【0047】
チューブ系の中心軸に近い各チューブの開口部の表面積は、当該軸から遠い各チューブの開口部の表面積以下であることが好ましい。より好ましくは、第2チューブ(2)の開口部の表面積は、中央チューブ(1)の開口部の表面積の1~25倍であり、第3チューブ(3)の開口部の表面積は、第2チューブ(2)の開口部の表面積の1~5倍であり、第4チューブ(4)の開口部の表面積は、第3チューブ(3)の開口部の表面積の1~4倍である。存在する場合、第5チューブ(5)の開口部の表面積は、第4チューブ(1)の開口部の表面積の1~2倍であり、第6チューブ(6)の開口部の表面積は、第5チューブ(5)の開口部の表面積の1~1.5倍である。
【0048】
チューブ系(S)の外側では、チューブはそれぞれ、テーパ要素(E1、E2、E3、E4)に接続されているのが好ましい。各テーパ要素は、各チューブの開口部に位置する内部接続と、反対側の先端とを備えている。テーパ要素は、チューブの開口部に確実にフィットする。したがって、テーパ要素の内部接続は、それが接続されているチューブの開口部と同じ表面積を有する。テーパ要素は、その先端に向かって狭くなる(図4を参照)。したがって、チューブの開口部の表面積は、それぞれのテーパ要素の開口部の表面積よりも大きい。前述のチューブの開口部の表面積の比率は、テーパ要素の表面積の比率にも準用される。チューブ(1、2、3、4)のチューブ壁の仮想延長線(w、w、w、w図4では破線で例示されている)と、チューブのテーパ要素(E1、E2、E3、E4)によって形成される実際のチューブ壁との間の角度を形成する角度 α、α、α、αは、好ましくは2~45°、好ましくは5~30°、より好ましくは10~25°の範囲である。テーパ要素は、少なくとも1つの前駆体化合物の燃焼に使用される炎の近くに、バーナーの出口を形成する。テーパ要素は、有利には、混合効率を向上させる。
【0049】
チューブ系の少なくとも4本のチューブ、またはそれらに接続されるテーパ要素は、平面で終端することが好ましい。この平面は、チューブ系(S)の中心軸(A)に対して90°±10°の角度で配置されることが好ましい。より好ましくは、この平面は、中心軸(A)に対して直交して配置される。
【0050】
チューブの材料は、特に限定されない。ただし、適切な材料を選択する際は、本発明による方法を実施する際に炎がバーナーのすぐ近くにあることを念頭に置くことが重要である。したがって、安全上の理由から、比較的高い融点を有する非発火性材料が好ましい。好ましい材料は、鉄、鋼鉄などの鉄系合金、アルミニウム、およびアルミニウム系合金を含む群から選択される。鉄系合金は、合金の総重量に対し、少なくとも50重量%、典型的には90重量%の鉄を含む。通常使用される鉄合金は、インコネルおよびハステロイというブランド名で販売されている。同じことが、アルミニウム系合金にも準用される。この点では、鉄および鉄系合金が材料としてより好ましい。
【0051】
ガス供給
本発明による方法では、少なくとも1つの前駆体化合物および酸素含有ガス流は、チューブ系の種々のチューブから供給される。そのために、前述の化合物および以下に説明する化合物の供給源が提供され、チューブ系のそれぞれのチューブに接続される。したがって、バーナーは、対応する化合物を供給するように構成されている。接続は、チューブ、パイプ、ホースなど、必要に応じてバルブおよびタップまたは蛇口を含む、当業者に知られている従来の手段によって確立され得る。
【0052】
酸素含有ガス流は、少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用されていない少なくとも1つのチューブを通じて供給される。これにより、少なくとも1 つの前駆体化合物と酸素が混ざり、チューブ内でそれらが反応し得ることが防止される。チューブ内で熱分解法化合物が形成されると、チューブが詰まる可能性がある。さらに、反応の制御が困難になり、バーナーの爆発などの危険に加えて、製品の品質が低下する。
【0053】
本発明の一実施形態では、酸素含有ガス流は、ガス流の全体積を基準として、21体積%以上、好ましくは25~50体積%、より好ましくは30~40体積%の酸素を含む。好ましい代替物として、コストを節約し、本発明による方法を簡素化するために、酸素含有ガス流として空気が使用される。
【0054】
従来技術の標準的なバーナーは、安全上の理由から、35体積%を超える酸素含有量を使用することができない。それに対して、本発明による方法および本発明によるバーナーは、酸素含有量が50体積%以上から最大で100体積%である酸素含有ガス流を使用することができる。
【0055】
少なくとも1つの前駆体化合物は、少なくとも1つの他のチューブによって互いに分離された少なくとも2つのチューブを通じて供給される。少なくとも1つの他のチューブは、少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用される少なくとも1つのチューブの間に存在することが好ましい。したがって、少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用されるチューブ同士は、隣接していない。さらに好ましくは、少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用されるすべてのチューブは、少なくとも1つの他のチューブによって分離されている。したがって、少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用される隣接するチューブが存在しないことが好ましい。好ましくは、酸素含有ガス流の供給に使用される少なくとも1つのチューブは、少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用される2つのチューブの間に配置される。さらに好ましくは、少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用されるチューブを分離するために使用される他のすべてのチューブは、酸素含有ガス流を供給するために使用される。これにより、効率的な混合が実現され、したがって、最適な製品品質が得られる。
【0056】
好ましくは、水は、チューブ系の少なくとも1つのチューブを通じて供給される。バーナー内部での望ましくない反応を回避するために、少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用されるいずれのチューブにも水は供給されないことが好ましい。本発明による方法をさらに容易にするために、酸素含有ガス流は、水と一緒に、1本のチューブで供給されることが好ましい。好ましくは、この場合、酸素含有ガス流は空気である。したがって、水と空気を1本のチューブから一緒に供給することが好ましい。水がチューブを通じて供給される場合、好ましくは水蒸気として(したがって、気体形態で)供給される。少なくとも1つの前駆体化合物に対する水のモル比は、好ましくは少なくとも0.1、より好ましくは少なくとも0.3、さらに好ましくは0.3~5.0の範囲、さらに好ましくは1.0~2.0の範囲である。水を使用すると、有利には、非常に大きな表面積(大きなBET比表面積)を有する熱分解法化合物を生成しながら、工場の高い生産性が実現される。
【0057】
酸素含有ガス流および場合により水は、少なくとも1つの不活性ガスとともに供給されることが好ましい。少なくとも1つの不活性ガスは、好ましくは、窒素、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンまたはキセノンなど)、およびそれらの混合物を含む群から選択される。少なくとも1つの不活性ガスは、より好ましくは窒素である。少なくとも1つの不活性ガスの使用により、有利には、方法の安全性が向上する。
【0058】
少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用される2本のチューブを分離する1本のチューブは、酸素含有ガス流または酸素を含む混合物を供給するために使用されることが好ましい。少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用されるチューブは、それぞれ別の1本のチューブによって互いに分離され、前述のチューブを分離するすべてのチューブは、酸素含有ガス流または酸素を含む混合物を供給するために使用されることが特に好ましい。
【0059】
燃料ガスは、好ましくは、少なくとも1本のチューブを通じて供給され、このチューブは、酸素の供給には使用されない。燃料ガスは、好ましくは、水素、メタン、エタン、プロパン、アセチレン、およびそれらの混合物を含む群から選択される。燃料ガスは、より好ましくは水素である。
【0060】
燃料ガスは、少なくとも1つの不活性ガスとともに供給されることが好ましい。少なくとも1つの不活性ガスは、好ましくは、窒素、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、またはキセノンなど)、およびそれらの混合物を含む群から選択される。少なくとも1つの不活性ガスは、より好ましくは窒素である。少なくとも1つの不活性ガスの使用により、有利には、方法の安全性が向上する。
【0061】
燃料ガスとともに供給されるべき不活性ガスは、両方が存在する場合、酸素含有ガス流とともに供給される不活性ガスとは独立して選択される。
【0062】
少なくとも1つの前駆体化合物は、燃料ガスとともに供給されることが好ましい。より好ましくは、少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用されるすべてのチューブが、燃料ガスを供給するためにも使用される。
【0063】
少なくとも1つの前駆体化合物は、中央チューブ(1)および第3チューブ(3)を通じて供給されるのが特に好ましい。チューブ系が第5チューブ(5)と第6チューブ(6)を有する場合、少なくとも1つの前駆体化合物は、第5チューブ(5)から供給されるのが好ましい。次いで、少なくとも1つの前駆体化合物は、中央チューブ(1)、第3チューブ(3)、および第5チューブ(5)から供給される。
【0064】
バーナー(B)は、好ましくは、チューブ系(S)の周りに配置される少なくとも1つのジャケット(J)を有する。ジャケットは、好ましくは、チューブ系の周りに同心円状に配置される。ジャケットにより、炎の安定性が向上する。ジャケット(J)のバーナー開口部の断面積は、外側チューブ、すなわち第4チューブまたは第6チューブ(4、6)のバーナー開口部の断面積と同じか、それより大きい。
【0065】
バーナーの最外チューブまたはジャケット(J)から金属酸化物前駆体または半金属酸化物前駆体が供給されないことが好ましい。これは、不完全な燃焼につながり得る。ジャケット(J)は、開口部を有する。開口部の表面積は、好ましくは、ジャケットが直接取り囲んでいるチューブの表面積と同じか、それより大きく、好ましくはそれより大きい。バーナー(B)がジャケット(J)を有する場合、ジャケット(J)は、好ましくは、燃料ガス、より好ましくは水素の供給に使用される。
【0066】
チューブ(1)からの出発物質(すなわち、少なくとも1つの前駆体化合物、酸素含有ガス流、水、燃料ガス)またはそれらの混合物(必要に応じて、不活性ガスなどのさらなる化合物を含む)の平均排出速度(AEV)は、最大50%、より好ましくは最大40%、さらに好ましくは最大30%、互いに異なることが好ましい。出発物質の速度がより均一であるほど、炎中の混合がより効率的になり、したがって、製品品質が向上するという利点がある。したがって、使用される出発物質の平均速度はすべて(実質的に)同じであることがより好ましい。あらゆる出発物質の平均排出速度は、下記の式で得ることができる。
【0067】
【化2】
【0068】
チューブがテーパ要素を有する場合、上記の式では、チューブの開口部の表面積の代わりに、テーパ要素の表面積を使用しなければならない。AEVは、m×秒-1で測定され得る。1本のチューブから複数の化合物が供給される場合、これらの化合物の供給速度は、同一であることが好ましい。また、チューブからの出発物質の平均排出速度は、他のチューブからの化合物の平均排出速度と最大50%、好ましくは最大40%異なることが好ましい。
【0069】
前述の出発物質は、少なくとも1つの前駆体化合物について述べたのと同じ理由から、通常は流体、好ましくは気体である。本明細書の文脈における流体は、気体または液体である。気体により、バーナーを通る流れがより均一になり、炎中の混合効率をさらに高めることができるので、気体が好ましい。必要に応じて、バーナーは、特に水などの液体化合物が使用される場合に、化合物の温度を上昇させる手段を備える。本発明によるバーナー内の温度は、すべての出発物質が気体状になるように十分に高い温度に調整されることが好ましい。これに関連して適切な手段は、オーブン、抵抗炉、または加熱プレートであり得る。代替的に、またはそれに加えて、液体は、噴霧塗布装置により供給され得る。
【0070】
出発物質は、開口部を通じて、または存在する場合はテーパ要素の出口を通じて、バーナーから排出される。バーナーから排出された後、出発物質は、炎に供給され、炎中で反応し熱分解法化合物が生成される。本発明による方法では、炎中での非常に効率的な混合が実現されるため、使用される出発物質の大部分が所望の熱分解法化合物に転化され得る。これは、上記の工場の生産性(P)として測定され得る。
【0071】
バーナーは、バーナー室内に構成されることが好ましい。これにより、バーナーの外側から二次空気流を導入することができる。この二次空気は、バーナー室内での望ましくない堆積物の形成を防止する。
【0072】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの前駆体化合物および好ましくは燃料ガスが、中央チューブ(1)を通じて供給され、
酸素含有ガス流および好ましくは水が、第2チューブ(2)を通じて供給され、
前駆体化合物および好ましくは燃料ガスが、第3チューブ(3)を通じて供給され、かつ
酸素含有ガス流および好ましくは水が、第4チューブ(4)を通じて供給される。
【0073】
本発明のより好ましい実施形態において、少なくとも1つの前駆体化合物を燃焼させることにより、少なくとも1つの熱分解法化合物を製造する本発明による方法は、少なくとも1つのバーナー(B)を使用し、
少なくとも1つのバーナー(B)は、少なくとも4本の同心チューブ(1、2、3、4)を有するチューブ系(S)を備え、
第2チューブ(2)は、中央チューブ(1)の周りに配置され、第3チューブ(3)は、第2チューブ(2)の周りに配置され、第4チューブ(4)は、第3チューブ(3)の周りに配置され、
少なくとも1つの前駆体化合物は、少なくとも1本のチューブにより互いに分離された少なくとも2本のチューブから供給され、
酸素含有ガス流が、少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用されるチューブではない少なくとも1本のチューブから供給され、バーナーの最外側チューブまたはジャケット(J)から前駆体化合物は供給されない。
【0074】
本発明のよりいっそう好ましい実施形態において、少なくとも1つの前駆体化合物を燃焼させることにより、少なくとも1つの熱分解法化合物を製造する本発明による方法は、少なくとも1つのバーナー(B)を使用し、
少なくとも1つのバーナー(B)は、少なくとも6本の同心チューブ(1、2、3、4、5、6)を有するチューブ系(S)と、チューブ系(S)の周りに同心円状に配置される少なくとも1つのジャケット(J)と、を備え、
第2チューブ(2)は、中央チューブ(1)の周りに配置され、第3チューブ(3)は、第2チューブ(2)の周りに配置され、第4チューブ(4)は、第3チューブ(3)の周りに配置され、第5チューブ(5)は、第4チューブ(4)の周りに配置され、第6チューブ(6)は、第5チューブ(5)の周りに配置され、
少なくとも1つの前駆体化合物は、少なくとも1本のチューブにより互いに分離された少なくとも2本のチューブから供給され、
酸素含有ガス流および水が、少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用されるチューブではない少なくとも1本のチューブから供給され、バーナーの最外側チューブまたはジャケット(J)から前駆体化合物は供給されない。
【0075】
本発明の一実施形態において、金属酸化物前駆体および半金属酸化物前駆体を含む群から選択される少なくとも1つの前駆体化合物を燃焼させることにより、金属酸化物、半金属酸化物およびそれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1つの熱分解法化合物を製造する本発明による方法は、少なくとも1つのバーナー(B)を使用し、
少なくとも1つのバーナー(B)は、少なくとも4本の同心チューブ(1、2、3、4)を有するチューブ系(S)を備え、
第2チューブ(2)は、中央チューブ(1)の周りに配置され、第3チューブ(3)は、第2チューブ(2)の周りに配置され、第4チューブ(4)は、第3チューブ(3)の周りに配置され、
少なくとも1つの前駆体化合物は、少なくとも1本のチューブにより互いに分離された少なくとも2本のチューブから供給され、
酸素含有ガス流が、少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用されるチューブではない少なくとも1本のチューブから供給され、
少なくとも1つの前駆体化合物の供給に使用される少なくとも1本のチューブの間に、少なくとも1本の他のチューブが存在する。
【0076】
化合物の化学量論
λ値は、バーナーに供給される酸素の尺度であり、米国特許第6,063,354号明細書の第2欄、第35行目~第3欄、第48行目に記載されているように、少なくとも1つの前駆体化合物を完全に酸化するために必要な化学量論量である。計算には下記の式を使用できる。
λ=バーナーに供給される酸素[モル]/化学量論的に必要とされる酸素量[モル]
λ値は、より好ましくは1.0~2.0、さらに好ましくは1.0~1.8の範囲である。
【0077】
γ値は、チューブに供給される燃料ガス(好ましくは水素)の物質量を、少なくとも1つの前駆体化合物の完全な熱分解に必要な物質量で割ったものとして定義される。式は、下記の通りである。
γ=バーナーに供給される水素[モル]/化学量論的に必要とされる水素量[モル]
γ値の詳細は、上記の引用文献に記載されている。γ値は、好ましくは1.0~2.0、より好ましくは1.2~1.8の範囲である。
【0078】
ο値は、使用される水の物質量と、少なくとも1つの前駆体化合物の物質量との尺度である。計算には下記の式を使用できる。
ο=供給されるHO[モル]/前駆体化合物[モル]
【0079】
本発明の方法で使用されるパラメータと出発物質に応じて、本発明の方法が完了した後、熱分解法化合物は、後処理を施されることが好ましい。好ましい後処理は、得られた熱分解法化合物に付着した酸痕跡を除去することを目的とした脱酸工程である。酸痕跡は、典型的には、特にハロゲン化物を使用する場合、前駆体化合物の副反応から生じる。脱酸工程では、高温(例えば、600℃)で水蒸気により熱分解法化合物を処理する必要がある。
【0080】
本発明はさらに、本発明による方法に使用するのに適したバーナー(B)に関する。
バーナー(B)は、少なくとも4本の同心チューブ(1、2、3、4)を有するチューブ系(S)を備え、
第2チューブ(2)は、中央チューブ(1)の周りに配置され、第3チューブ(3)は、第2チューブ(2)の周りに配置され、第4チューブ(4)は、第3チューブ(3)の周りに配置される。通常、バーナー(B)は、少なくとも1つの前駆体化合物の供給源に接続され、少なくとも1本のチューブによって互いに分離された少なくとも2本の隣接しないチューブを通じて、前駆体化合物を供給するように構成されている。バーナーは、少なくとも1つの前駆体化合物を供給するように構成されていない少なくとも1本のチューブを通じて供給されるべき酸素または酸素と水を含む混合物の供給源に接続される。
好ましい実施形態では、少なくとも4本のチューブ(1、2、3、4)は、各チューブの開口部からバーナーの内部に向かって、好ましくは中央チューブの中心軸(A)から角度(α)だけ、傾斜している(図4を参照)。
【0081】
本発明による方法を説明する際に前述した特性は、本発明によるバーナーにも準用される。本明細書の簡潔さを向上させるために、これらの特性については、再掲載しない。
【0082】
方法におけるチューブが特定の化合物の供給に使用されると説明されている限りにおいて、バーナーのチューブは、当該化合物を供給するように構成される。
【0083】
本発明によるバーナーの製造方法は、下記の工程を含む。
a)少なくとも1つの溶融可能な粉末を準備する工程、
b)適切なレーザーを使用して、所定の領域で、少なくとも1つの溶融可能な粉末を溶融する工程。
この工程により、本発明によるバーナーが得られる。
【0084】
通常、前述の工程a)およびb)は、複数回繰り返され、バーナーは、追加の製造工程において層ごとに製造される。溶融可能な粉末は、粉末床の形で提供され得る。したがって、この方法は、当技術分野では、粉末床溶融と呼ばれることがある。
【0085】
溶融可能な粉末は、工程b)でレーザーによって溶融できる限り、限定されない。好ましい溶融可能な粉末は、金属および金属合金を含む群から選択される。さらに好ましくは、少なくとも1つの溶融可能な粉末は、鉄、鋼などの鉄系合金、、アルミニウム、およびアルミニウム系合金を含む群から選択される。
【0086】
溶融可能な粉末を溶融するのに適したすべてのレーザーを使用することができる。当業者であれば、ルーティン実験または自身の一般的な知識に基づいて、適切なレーザーを選択することができる。通常、有用なレーザーは、Nd:YAG、ダイオード、またはCOレーザーである。溶融は、溶融可能な粉末の酸化を防ぐために、通常、不活性雰囲気下で、例えばアルゴンまたはヘリウムを供給し、行われる。
【0087】
当業者であれば、ルーティン実験に基づいて、本発明によるバーナーの製造に適したパラメータを選択することができる。
【0088】
本発明は、本発明による少なくとも1つのバーナーと、少なくとも1つの前駆体化合物用の少なくとも1つの供給装置と、を備える、本発明の方法を実施するのに適した製造設備にも関する。
【0089】
適切な供給装置は、特に限定されない。例えば、供給装置は、圧縮ガス容器であってもよい。
【0090】
製造設備は、必要に応じて、バーナーを部分的に囲む風箱を備える。風箱は、バーナーから供給される化合物と周囲環境との混合を制限し、炎中での化合物の混合効率を向上させる役割を果たす。
【0091】
製造設備は、好ましくは、炎ホルダーを備える。炎ホルダーは、好ましくは、バーナーの外側に配置される。炎ホルダーは、炎ホルダーが炎を保持する場合、バーナーから放出される化合物によって支持されるのに十分近い位置に配置されることが好ましい。
【0092】
製造設備は、さらに好ましくは、形成された熱分解法化合物をバーナーから除去するための機械的手段を備える。この機械的手段は、ドクターブレードまたはブラシであってよい。
【0093】
製造設備は、好ましくは、燃焼室を備える。燃焼室では、主要な反応が起こっている。燃焼ガスの燃焼および高温加水分解。
【0094】
さらに、製造設備は、冷却炎チューブを備える。冷却炎チューブは、粒子の生成とプロセスガス(粒子を含む)の冷却とを目的としている。
【0095】
本発明を、以下の非限定的な例によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1】(側面図で)本発明によるバーナー(B)の部分断面を示す。
図2】本発明の好ましい実施形態を示し、チューブ系の周囲に同心円状にジャケット(J)が配置された状態の図1のバーナーを示している。
図3】本発明の別の好ましいバーナーを示し、(側面図で)その部分断面を示している。
図4】本発明による好ましいバーナー(B)の断面を示す。
図5】本発明によるバーナーのチューブ系の正面図を示す。
図6】従来技術の従来のバーナーを示す。
【実施例0097】
BET比表面積の測定は、DIN ISO 9277-2014-01に記載されているように行われる。
【0098】
第1バーナーを、従来のレーザーを使用した粉末床溶融法により作製した。バーナーの寸法は、表1aに示す通りであった。このバーナーは、以下に説明する実施例4~9で使用した。図6に示すバーナーは、比較例(1~3) で使用した。
表1a:典型的な実験(実験例1)に係るバーナー寸法+供給量
【0099】
【表1a】
【0100】
4本のチューブとジャケットを備える第2バーナーを、従来のレーザーを使用した粉末床溶融法により、第1バーナーと同様に作製した。バーナーの寸法は、表1bに示す通りであった。このバーナーは、実験例10および実験例11で使用した。
表1b:4本のパイプとジャケットバーナーとを備えた典型的な実験に係るバーナー寸法+供給量
【0101】
【表1b】
【0102】
実験例1(比較例)
図6に示すように、8.0kg/hのSiCl蒸気と、3.16m/hの水素と、7.6m/hの空気と混合物をバーナー内で予混合した。反応混合物をバーナーの開口部から燃焼室に導入し、点火し、燃焼させ、さらに冷却炎チューブに導入した。二次空気を、バーナーを有するバーナー室であって、バーナー自体の外側に導入した。粒子ガス混合物をさらに冷却し、生成されたヒュームドシリカ粉末をガスから分離し、従来の脱酸ユニット内で600℃の水蒸気を使用して脱酸した。ヒュームドシリカ粉末のBET比表面積を表2aに示す。
【0103】
実験例2(比較例)
図6に示すように、8.0kg/hのSiCl蒸気と、3.16m/hの水素と、10.6m/hの空気との混合物をバーナー内で予混合した。反応混合物をバーナーの開口部から燃焼室に導入し、点火し、燃焼させ、さらに冷却炎チューブに導入した。二次空気を、バーナーを有するバーナー室にであって、バーナー自体の外側に導入した。粒子ガス混合物をさらに冷却し、生成されたヒュームドシリカ粉末をガスから分離し、従来の脱酸ユニット内で600℃の水蒸気を使用して脱酸した。ヒュームドシリカ粉末のBET比表面積を表2a に示す。
【0104】
実験例3(比較例)
図6に示すように、8.0kg/hのSiCl蒸気と、3.16m/hの水素と、13.6m/hの空気との混合物をバーナー内で予混合した。反応混合物をバーナーの開口部から燃焼室に導入し、点火し、燃焼させ、さらに冷却炎チューブに導入した。二次空気を、バーナーを有するバーナー室であって、バーナー自体の外側に導入した。粒子ガス混合物をさらに冷却され、生成されたヒュームドシリカ粉末をガスから分離し、従来の脱酸ユニット内で600℃の水蒸気を使用して脱酸した。ヒュームドシリカ粉末のBET比表面積を表2aに示す。
【0105】
実験例4(実施例):ラムダ増加
図2に示すように、8.0kg/hのSiCl蒸気と、3.16m/hの水素との混合物を別個にバーナーに導入した(ただし、6本の同心チューブを使用した)。さらに、7.6m/hの空気を別個にバーナーに導入した。二次空気を、バーナーを有するバーナー室であって、バーナー自体の外側に導入した。導入したガスをバーナーの出口で混合し、燃焼室で点火した。粒子ガス混合物をさらに冷却され、生成されたヒュームドシリカ粉末をガスから分離し、従来の脱酸ユニット内で600℃の水蒸気を使用して脱酸した。ヒュームドシリカ粉末のBET比表面積を表2aに示す。
【0106】
実験例5(実施例):ラムダ増加
図2に示すように、8.0kg/hのSiCl蒸気と 3.16m/hの水素との混合物を別個にバーナーに導入した(ただし、6本の同心チューブを使用した)。さらに、10.6m/hの空気を別個にバーナーに導入した。二次空気を、バーナーを有するバーナー室であって、バーナー自体の外側に導入した。導入したガスをバーナーの出口で混合し、燃焼室で点火した。粒子ガス混合物をさらに冷却し、形成されたヒュームドシリカ粉末をガスから分離し、従来の脱酸ユニット内で600℃の水蒸気を使用して脱酸した。ヒュームドシリカ粉末のBET比表面積を表2aに示す。
【0107】
実験例6(実施例):ラムダ増加
図2に示すように、8.0kg/hのSiCl蒸気と、3.16m/hの水素との混合物を別個にバーナーに導入した(ただし、6本の同心チューブを使用した)。さらに、13.6m/hの空気を別個にバーナーに導入した。二次空気を、バーナーを有するバーナー室であって、バーナー自体の外側に導入した。導入したガスをバーナーの出口で混合し、燃焼室で点火した。粒子ガス混合物をさらに冷却し、形成されたヒュームドシリカ粉末をガスから分離し、従来の脱酸ユニット内で600℃の水蒸気を使用して脱酸した。ヒュームドシリカ粉末のBET比表面積を表2aに示す。
【0108】
実験例7(実施例):オメガ増加
図2に示すように、8.0kg/hのSiCl蒸気と、3.16m/hの水素との混合物を別個にバーナーに導入した(ただし、6本の同心チューブを使用した)。さらに、7.6m/hの空気と、1kg/hの水蒸気との混合物を別個にバーナーに導入した。二次空気を、バーナーを有するバーナー室であって、バーナー自体の外側に導入した。導入したガスをバーナーの出口で混合し、燃焼室で点火した。粒子ガス混合物をさらに冷却し、形成されたヒュームドシリカ粉末をガスから分離し、従来の脱酸ユニット内で600℃の水蒸気を使用して脱酸した。ヒュームドシリカ粉末のBET比表面積を表2aに示す。
【0109】
実験例8(実施例):オメガ増加
図2に示すように、8.0kg/hのSiCl蒸気と、3.16m/hの水素との混合物を別個にバーナーに導入した(ただし、6本の同心チューブを使用した)。さらに、7.6m/hの空気と、1.5kg/hの水蒸気との混合物を別個にバーナーに導入した。二次空気を、バーナーを有するバーナー室であって、バーナー自体の外側に導入した。導入したガスをバーナーの出口で混合し、燃焼室で点火した。粒子ガス混合物をさらに冷却され、形成されたヒュームドシリカ粉末をガスから分離し、従来の脱酸ユニット内で600℃の水蒸気を使用して脱酸した。ヒュームドシリカ粉末のBET比表面積を表2aに示す。
【0110】
実験例9(実施例):オメガ増加
図2に示すように、8.0kg/hのSiCl蒸気と、3.16m/hの水素との混合物を別個にバーナーに導入した(ただし、6本の同心チューブを使用した)。さらに、7.6m/hの空気と、2.56kg/hの水蒸気との混合物を別個にバーナーに導入した。二次空気を、バーナーを有するバーナー室であって、バーナー自体の外側に導入した。導入したガスをバーナーの出口で混合し、燃焼室で点火した。粒子ガス混合物をさらに冷却し、形成されたヒュームドシリカ粉末をガスから分離し、従来の脱酸ユニット内で600℃の水蒸気を使用して脱酸した。ヒュームドシリカ粉末のBET比表面積を表2aに示す。
【0111】
実験例10(比較例):4本のパイプバーナーの混合不良
図2に示すように、3.0kg/hのSiCl蒸気と、0.2m/hの水素との混合物をバーナーの中央チューブに別個に導入した。さらに、2.9m/hの空気をバーナーに別個に導入した(チューブ2およびチューブ4)。1m/hの水素と、0.3m/hの窒素とを第3チューブに別個に導入し、同様の出口速度を確保した。二次空気を、バーナーを有するバーナー室であって、バーナー自体の外部に導入した。導入したガスをバーナーの出口で混合し、燃焼室で点火した。粒子ガス混合物をさらに冷却され、形成されたヒュームドシリカ粉末をガスから分離し、従来の脱酸ユニット内で600℃の水蒸気を使用して脱酸した。ヒュームドシリカ粉末のBET比表面積を表2bに示す。
【0112】
実験例11(実施例):4本のパイプバーナーの良好な混合
図2に示すように、1kg/hのSiCl蒸気と、0.16m/hの水素と、0.3m/hの窒素との混合物をバーナーの中央チューブに別個に導入した。さらに、2.9m/hの空気を別個にバーナーに導入した(チューブ2およびチューブ4)。2kg/hのSiCl蒸気と、1.04m/hの水素との混合物を第3チューブに別個に導入した。二次空気を、バーナーを有するバーナー室であって、バーナー自体の外側に導入した。導入したガスをバーナーの出口で混合し、燃焼室で点火した。粒子ガス混合物をさらに冷却し、形成されたヒュームドシリカ粉末をガスから分離し、従来の脱酸ユニット内で600℃の水蒸気を使用して脱酸した。ヒュームドシリカ粉末のBET比表面積を表 2bに示す。
表2a:実験例の比較
【0113】
【表2a】
【0114】
【表2b】
【0115】
*略語「Nm」は、本明細書の文脈では、標準条件(温度0℃、圧力1気圧)での立方メートル(m)での体積を指す。
【0116】
比較例1、2、3とまったく同じ総供給量でそれぞれ実施された本発明の実施例4、5、6では、工場の生産性を一定に保ちながら、製造されるシリカのBET表面積を大幅に増加させることができる。
【0117】
実施例1と比較した本発明の実施例7~9では、工場の生産性をわずかに低下させるだけで、はるかに高いBET比表面積を有するヒュームドシリカを製造することができる。比較例2および3では、より多くの空気(より高いラムダ)を使用することで、BET比表面積を増やすことができる。しかし、この場合、工場の生産性(ガス混合物1mあたりのSiOのg数)は、本発明の実施例よりも低い。したがって、本発明の方法では、工場の生産性を高め、および/または製造される熱分解法化合物のBET比表面積を増やすことができる。先行技術から知られ、かつ実験によって確認されているように、予混合炎のバーナー内で水を使用すると、実験中ずっと堆積物や詰まりが発生する。これは、本発明の実施例7~9の場合には、観察されなかった。
【0118】
本発明の実施例11では、比較例10で得られたヒュームドシリカと比較して、表面積が大きいヒュームドシリカの製造が可能である。比較例10では、中央チューブにのみSiCl/Hが供給される。これにより、混合が不良なり、BET表面積が小さくなり、製品の品質が不均一になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】