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特開2024-160708ガスを検出するためのセンサ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160708
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】ガスを検出するためのセンサ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20241107BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20241107BHJP
   G01N 21/3504 20140101ALI20241107BHJP
   G01N 21/03 20060101ALI20241107BHJP
   G01N 33/497 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
A61B5/1455
G01N21/01 B
G01N21/3504
G01N21/03 B
G01N33/497
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024132010
(22)【出願日】2024-08-08
(62)【分割の表示】P 2022537649の分割
【原出願日】2019-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】501204802
【氏名又は名称】センテック アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Sentec AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラドマン,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハー,ペーター・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ツムブルン,マルク
(72)【発明者】
【氏名】エングラー,マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ドロウディアン,アミールホセイン
(72)【発明者】
【氏名】デ・ランゲ,ビクトリア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】COなどの経皮的ガスを検出するためのセンサ、及びセンサを製造するための方法に関する。
【解決手段】センサ1は、放射を放出するための少なくとも1つの放射源3と、放射源3によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器4と、試料ガスを受け取るための少なくとも1つの測定チャンバ6とを備える。放射源3、検出器4、及び測定チャンバ6は、放射の少なくとも一部が測定チャンバ6を通過する経路に沿って伝播するように配置される。センサ1は、ケーシング7をさらに備え、放射源3、検出器4、測定チャンバ6が配置される。センサ1は、測定部位に向かって方向付け可能な接触面8を有し、センサ1は、ガスが接触面8から測定チャンバ6に移動することを可能にする少なくとも1つのガスアクセスチャネル9を有する。ケーシング7は、好ましくは10W/m/kを超える高い熱伝導率を有する、好ましくは金属材料を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを検出するためのセンサ(1)、特にCOなどの経皮的ガスを検出するためのセンサ(1)であって、
-放射を放出するための少なくとも1つの放射源(3)と、
-前記放射源(3)によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器(4)と、
-測定対象の前記ガスを受け入れるための少なくとも1つの測定チャンバ(6)と
を備え、
前記放射源(3)、前記検出器(4)、及び前記測定チャンバ(6)は、前記放射の少なくとも一部が前記測定チャンバ(6)を通過する経路に沿って伝播するように配置され、好ましくは、前記放射源(3)、前記検出器(4)、及び前記測定チャンバ(6)は、光学モジュール支持体(19)上又はその中に配置され、
前記センサ(1)は、ケーシング(7)をさらに備え、前記放射源(3)、前記検出器(4)、前記測定チャンバ(6)、及び任意選択的に前記光学モジュール支持体(19)は、前記ケーシング(7)内に配置され、
前記センサ(1)、特に前記ケーシング(7)は、測定部位に向かって方向付け可能な接触面(8)を有し、好ましくは、前記センサ(1)は、少なくとも1つのガスアクセスチャネル(9)、より好ましくは2つ又は3つのガスアクセスチャネル(9)を有し、測定対象の前記ガスが前記接触面(8)から前記測定チャンバ(6)に移動することを可能にし、
前記ケーシング(7)は、高い熱伝導率、好ましくは10W/m/kを超える熱伝導率を有する材料を含み、前記材料は、好ましくは金属又はセラミックである、センサ(1)。
【請求項2】
前記センサは、前記放射源(3)によって放出された放射を反射するためのミラー(5)を備え、前記ミラー(5)は、前記放射の少なくとも一部が前記ミラー(5)での反射を含む経路に沿って伝播するように配置され、好ましくは前記ミラーは、光学モジュール支持体(19)上又はその中に配置される、請求項1に記載のガスを検出するためのセンサ。
【請求項3】
ガスを検出するためのセンサ(1)、特に先行する請求項のいずれか1項に記載のセンサ、特にCOなどの経皮的ガスを検出するためのセンサ(1)であって、
-放射を放出するための少なくとも1つの放射源(3)と、
-前記源によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器(4)と、
-測定対象の前記ガスを受け入れるための少なくとも1つの測定チャンバ(6)と
を備え、
前記放射源(3)、前記検出器(4)、及び前記測定チャンバ(6)は、前記放射の少なくとも一部が前記測定チャンバ(6)を通過する経路に沿って伝播するように配置され、好ましくは、前記放射源(3)、前記検出器(4)、及び前記測定チャンバ(6)は、光学モジュール支持体(19)上又はその中に配置され、
前記センサ(1)はケーシング(7)をさらに備え、前記放射源(3)、前記検出器(4)、前記測定チャンバ(6)、及び任意選択的に前記光学モジュール支持体(19)は前記ケーシング(7)内に配置され、
前記センサ(1)、特に前記ケーシング(7)は、測定部位に向けて方向付け可能な接触面(8)を有し、
好ましくは、前記センサ(1)は、少なくとも1つのガスアクセスチャネル(9)、より好ましくは2つ又は3つのガスアクセスチャネル(9)を有し、測定対象の前記ガスが前記接触面(8)から前記測定チャンバ(6)に移動することを可能にし、前記放射源(3)は、放射源区画(10)内に配置され、
前記センサ(1)は、前記放射源区画(10)から環境(22)に通じる少なくとも1つの通気チャネル(11)を備える、センサ(1)。
【請求項4】
前記センサは、前記放射源(3)によって放射された放射を反射するためのミラー(5)を備え、前記ミラーは、前記放射の少なくとも一部が前記ミラー(5)での反射を含む経路に沿って伝播するように配置され、好ましくは前記ミラーは、光学モジュール支持体(19)上又はその中に配置される、請求項3に記載のガスを検出するためのセンサ(1)。
【請求項5】
前記センサ(1)は、前記通気チャネル(11)をシールするための通気チャネルシール(12)、特にプラグ、ディスク、又はキャップを備え、好ましくは前記通気チャネルシール(12)は液密である、請求項3又は4のいずれか1項に記載のセンサ(1)。
【請求項6】
前記通気チャネルシール(12)は、液体又はペーストとして適用可能であり、かつ固体のガス透過性材料、好ましくはポリマー、特にシリコーン、エポキシ、アクリル、シアノアクリレート、又はウレタン化合物に硬化する材料を含み、
及び/又は
前記通気チャネルシール(12)は、非多孔質であるがガス透過性材料、好ましくはシリコーン又はフルオロポリマー化合物を含み、
及び/又は
前記通気チャネルシール(12)は、多孔質材料、好ましくは焼結セラミック、焼結ポリマー、又は焼結金属を含み、
及び/又は
前記通気チャネルシール(12)は、細孔、空隙、又は穴を有する支持材料を含み、箔、膜、又はコーティングなどのガス透過性層をさらに備える、請求項5に記載のセンサ(1)。
【請求項7】
ガスを検出するためのセンサ(1)、特に先行する請求項のいずれか1項に記載のセンサ、特にCOなどの経皮的ガスを検出するためのセンサ(1)であって、
-放射を放出するための少なくとも1つの放射源(3)と、
-前記源によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器(4)と、
-前記放射を反射するための少なくとも1つのミラー(5)と、
-測定対象の前記ガスを受け入れるための少なくとも1つの測定チャンバ(6)と
を備え、
前記放射源(3)、前記検出器(4)、前記ミラー(5)、及び前記測定チャンバ(6)は、前記放射の少なくとも一部が、前記ミラー(5)での反射を含み、かつ前記測定チャンバ(6)を通過する経路に沿って伝播するように配置され、好ましくは前記測定源(3)、前記検出器(4)、前記ミラー(5)、及び前記測定チャンバ(6)は、光学モジュール支持体(19)上又はその中に配置され、
前記センサ(1)は、測定部位に向けて方向付け可能な接触面(8)を有し、
好ましくは、前記センサ(1)は、少なくとも1つのガスアクセスチャネル(9)、特に2つ又は3つのガスアクセスチャネル(9)を有し、測定対象の前記ガスが前記接触面(8)から前記測定チャンバ(6)に移動することを可能にし、
前記ミラー(5)は、前記接触面(8)から距離(13)を置いて配置され、
及び/又は
前記センサ(1)は、ケーシング(7)をさらに備え、前記ミラー(5)は、前記ケーシング(7)から距離(13)を置いて配置され、前記ミラー(5)は、前記ケーシング(7)から熱的に分離され、特に、前記ミラー(5)と前記ケーシング(7)との間に断熱層(15)が配置され、前記断熱層(15)は、好ましくは10W/m/k未満の低い熱伝導率を有する材料を含む、センサ(1)。
【請求項8】
ガスを検出するためのセンサ(1)、特に先行する請求項のいずれか1項に記載のセンサ、特にCOなどの経皮的ガスを検出するためのセンサ(1)であって、
-放射を放出するための少なくとも1つの放射源(3)と、
-前記源によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器(4)と、
-前記放射を反射するための少なくとも1つのミラー(5)と、
-測定対象の前記ガスを受け入れるための少なくとも1つの測定チャンバ(6)と
を備え、
前記放射源(3)、前記検出器(4)、前記ミラー(5)、及び前記測定チャンバ(6)は、前記放射の少なくとも一部が、前記ミラー(5)での反射を含み、かつ前記測定チャンバ(6)を通過する経路に沿って伝播するように配置され、好ましくは前記放射源(3)、前記検出器(4)、前記ミラー(5)、及び前記測定チャンバ(6)は、光学モジュール支持体(19)上又はその中に配置され、
前記センサ(1)は、測定部位に向けて方向付け可能な接触面(8)を有し、前記センサ(1)は、少なくとも1つのガスアクセスチャネル(9)、好ましくは2つ又は3つのガスアクセスチャネル(9)を有し、測定対象の前記ガスが前記接触面(8)から前記測定チャンバ(6)に移動することを可能にし、
前記少なくとも1つのガスアクセスチャネル(9)の壁は、前記ミラーの縁部から距離を置いて配置され、前記ミラー(5)を貫通しないように配置される、センサ(1)。
【請求項9】
前記ガスアクセスチャネル(9)は、前記ミラー(5)の内面の一部に沿って延びるように配置される、請求項8に記載のセンサ(1)。
【請求項10】
ガスを検出するためのセンサ(1)、特に先行する請求項のいずれか1項に記載のセンサ、特にCOなどの経皮的ガスを検出するためのセンサ(1)であって、
-放射を放出するための少なくとも1つの放射源(3)と、
-前記源によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器(4)と、
-前記放射を反射するための少なくとも1つのミラー(5)と、
-測定対象の前記ガスを受け入れるための少なくとも1つの測定チャンバ(6)と
を備え、
前記放射源(3)、前記検出器(4)、前記ミラー(5)、及び前記測定チャンバ(6)は、前記放射の少なくとも一部が、前記ミラー(5)での反射を含み、かつ前記測定チャンバ(6)を通過する経路に沿って伝播するように配置され、好ましくは前記放射源(3)、前記検出器(4)、前記ミラー(5)、及び前記測定チャンバ(6)は、光学モジュール支持体(19)上又はその中に配置され、
前記センサ(1)は、測定部位に向けて方向付け可能な接触面(8)を有し、
好ましくは、前記センサ(1)は、少なくとも1つのガスアクセスチャネル(9)、特に2つ又は3つのガスアクセスチャネル(9)を有し、測定対象の前記ガスが前記接触面(8)から前記測定チャンバ(6)に移動することを可能にし、
前記ミラー(5)は、好ましくは不活性、非多孔質、良好な熱伝導性、及び/又は測定放射のための高反射性である変形可能な材料を含み、特に前記変形可能な材料は、合金又は単一の化学元素、好ましくは高純度形態の単一の化学元素からなり、好ましくは前記変形可能な材料は、Au、Ag、Cu、Mo、W、及び/又はAlを主に含む、センサ(1)。
【請求項11】
前記ミラー(5)は、接着剤又は他の固定部材なしで、好ましくは圧着によって前記ミラー(5)の非弾性変形によって取り付けられる、
請求項10に記載のセンサ(1)。
【請求項12】
ガスを検出するためのセンサ(1)、特に先行する請求項のいずれか1項に記載のセン
サ、特にCOなどの経皮的ガスを検出するためのセンサ(1)であって、
放射を放出するための少なくとも1つの放射源(3)と、
前記源によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器(4)と、
測定対象の前記ガスを受け入れるための少なくとも1つの測定チャンバ(6)と
を備え、
前記放射源(3)、前記検出器(4)、及び前記測定チャンバ(6)は、前記放射の少なくとも一部が前記測定チャンバ(6)を通過する経路に沿って伝播するように配置され、好ましくは、前記放射源(3)、前記検出器(4)、及び前記測定チャンバ(6)は、光学モジュール支持体(19)上又はその中に配置され、
前記センサ(1)は、測定部位に向けて方向付け可能な接触面(8)を有し、前記センサ(1)は、少なくとも1つのガスアクセスチャネル(9)、好ましくは2つ又は3つのガスアクセスチャネル(9)を有し、測定対象の前記ガスが前記接触面(8)から前記測定チャンバ(6)に移動することを可能にし、
前記ガスアクセスチャネル(9)はアクセス開口部(17)を備え、
前記アクセス開口部(17)は、測定対象の前記ガスに対して透過性であるが液密又は撥液性であるアクセス開口部シール(18)によって覆われ、
前記アクセス開口部(17)は、前記アクセス開口部シール(18)の表面が0.3mmを超えて前記接触面(8)の上方に立たないように、又は下方に位置しないように、前記センサ(1)の前記接触面(8)の近くに配置され、それによって、好ましくは滑らかな接触面が形成される、センサ(1)。
【請求項13】
前記アクセス開口部シール(18)は、穴を有するか又は多孔質である基板(38)と、ガス透過性コーティング(40)又は充填材とを含み、好ましくは基板(38)は、金属、セラミック、若しくはポリマー材料を含むか、又はそれらからなる、請求項12に記載のセンサ(1)。
【請求項14】
前記アクセス開口部シール(18)の前記基板(38)は突出部(39)を備え、前記透過性コーティング又は充填材(40)は少なくとも前記突出部(39)の間に配置され、前記突出部(39)の材料は、前記透過性コーティング(40)の材料よりも耐摩耗性が高い、請求項13に記載のセンサ(1)。
【請求項15】
前記アクセス開口部シール(18)は、好ましくは、ポッティング材料(37)に、好ましくはエポキシに埋め込むことによって機械的に固定される少なくとも1つのアンカー(36)を含む、請求項12から14のいずれか1項に記載のセンサ(1)。
【請求項16】
前記アクセス開口部シール(18)と前記ガスアクセスチャネル(9)の前記アクセス開口部(17)との間に液密膜(42)が配置される、請求項12から15のいずれか1項に記載のセンサ(1)。
【請求項17】
ガスアクセスチャネル(9)の断面積は、前記アクセス開口部(17)において少なくとも極大値を有し、好ましくは、そのアクセス開口部(17)に隣接する位置におけるガスアクセスチャネル(9)の断面積は、前記アクセス開口部(17)の前記断面積よりも小さく、好ましくは少なくとも2倍小さい、請求項12から16のいずれか1項に記載のセンサ(1)。
【請求項18】
前記アクセス開口部(17)は、前記ガスアクセスチャネル(9)から離れるように通じる浅い空洞(43)を備える、請求項12から17のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項19】
前記アクセス開口部シール(18)は、前記ガスアクセスチャネル(9)に向かって延びる浅い空洞(44)を備える、請求項12から18のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項20】
ガスを検出するためのセンサ(1)、特にCOなどの経皮的ガスを検出するためのセンサ(1)、及び特に先行する請求項のいずれか1項に記載のセンサであって、
前記センサ(1)は、
放射を放出するための少なくとも1つの放射源(3)と、
前記源によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器(4)と、
測定対象の前記ガスを受け入れるための少なくとも1つの測定チャンバ(6)と
を備え、
前記放射源(3)、前記検出器(4)、及び前記測定チャンバ(6)は、前記放射の少なくとも一部が前記測定チャンバ(6)を通過する経路に沿って伝播するように配置され、
前記センサ(1)は、光学モジュール支持体(19)を備え、その光学モジュール支持体(19)は、前記測定チャンバの一部を形成し、開口部(28)であって、特に前記測定チャンバ表面の少なくとも一部への反射コーティング(29)の付着を可能にする開口部を備え、前記センサ(1)は、好ましくは、反射コーティング(29)の付着後に前記開口部(28)を閉じることができる閉鎖構成要素を備え、好ましくは、ミラー(5)が前記閉鎖構成要素として使用される、センサ(1)。
【請求項21】
前記光学モジュール支持体(19)は、好ましくは少なくとも30W/m/kの高い熱伝導率を有する材料を含む、請求項20に記載のセンサ(1)。
【請求項22】
前記光学モジュール支持体(19)は、少なくとも1つのガスアクセスチャネル(9)の少なくとも一部を含み、測定対象の前記ガスが前記ガスアクセスチャネル(9)を通って前記測定チャンバ(6)に移動することを可能にする、請求項20から21のいずれか1項に記載のセンサ(1)。
【請求項23】
前記センサは、前記開口部(28)を閉じるための閉鎖構成要素、好ましくはミラー(5)を備え、前記光学モジュール支持体(19)は、前記開口部(28)の近くに取り付け及び封止ゾーン(30)を備え、良好な熱接触で前記光学モジュール支持体(19)への前記閉鎖構成要素の機械的取り付けを可能にする、請求項20から22のいずれか1項に記載のセンサ(1)。
【請求項24】
前記センサは、前記開口部(28)を閉じるための閉鎖構成要素、好ましくはミラー(5)を備え、前記光学モジュール支持体(19)は、前記閉鎖構成要素の横方向容積(32)を配置することができるアンダーカット(33)を備える、請求項20から23のいずれか1項に記載のセンサ(1)。
【請求項25】
前記光学モジュール支持体(19)は、
-真鍮、青銅、ステンレス鋼などの金属材料、又は純性若しくは合金化アルミニウム、銅、チタン、銀、若しくは金などの金属材料、
-酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、又は窒化アルミニウムなどのセラミック材料、及び
-エポキシ、PEEK、LCP、POM、又はABSなどのポリマー材料
の群から選択される材料から形成される、請求項20から24のいずれか1項に記載のセンサ(1)。
【請求項26】
前記センサは接触面(8)を有し、前記光学モジュール支持体(19)は、前記光学モジュール支持体のいかなる部分も前記接触面(8)の部分を形成しないようにケーシング(7)内に配置される、請求項20から25のいずれか1項に記載のセンサ(1)。
【請求項27】
前記センサは、測定チャンバ(6)を備え、前記測定チャンバ(6)は、その少なくとも一部が測定放射に対して高い反射率を有する表面、好ましくは反射コーティング(29)を含むそのような表面の少なくとも一部によって制限される、先行する請求項のいずれか1項に記載のセンサ(1)。
【請求項28】
センサ(1)、特に先行する請求項のいずれか1項に記載のセンサ(1)を製造するための方法であって、
-測定チャンバ(6)の少なくとも一部を露出させる開口部(28)を光学モジュール支持体(19)に設けるステップと、
-その開口部(28)を介して前記光学モジュール支持体(19)の少なくとも一部を少なくとも1つの反射コーティング(29)で覆うステップと、
-ミラー(5)の内面(24)の一部が前記測定チャンバ(6)の表面の一部を形成するように、前記反射コーティング(29)の適用後に前記ミラー(5)で前記開口部(28)を閉じるステップと、
-放射の少なくとも一部が前記ミラー(5)によって反射されるように、その放射を放出するための少なくとも1つの放射源(3)を提供及び配置するステップと
を含む、方法。
【請求項29】
前記ミラー(5)を取り付けるために、前記ミラー(5)が変形され、特に非弾性的に変形される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記放射源(3)によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器(4)を前記光学モジュール支持体(19)上又はその中に配置するさらなるステップを含み、
前記検出器(4)は、前記放射源(3)によって放出された前記放射の少なくとも一部が前記測定チャンバ(6)を通って伝播し、前記検出器(4)の検出面に衝突するように配置される、請求項28又は29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記光学モジュール支持体(19)内に少なくとも1つのガスアクセスチャネル(9)の少なくとも主要部分を設けるさらなるステップを含み、前記ガスアクセスチャネルは前記測定チャンバ(6)に通じている、請求項28から30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記ガスアクセスチャネル(9)のアクセス開口部(17)を、測定対象の前記ガスに対して透過性であるが液密又は少なくとも撥液性であるアクセス開口部シール(18)で覆うステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
測定部位に向かって方向付け可能な接触面(8)を有するケーシング(7)を設けるステップと、前記光学モジュール支持体(19)を前記ケーシング(7)内に配置するステップと、好ましくは、少なくとも部分的に前記光学モジュール支持体(19)内に位置する少なくとも1つのガスアクセスチャネル(9)にアクセス開口部シール(18)を設けるステップであって、前記アクセス開口部シール(18)は、前記ケーシング(7)の表面と滑らかな接触面(8)を形成するような、ステップと、をさらに含む、請求項28から32のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスを検出するためのセンサ、特にCOを検出するためのセンサ、及びセンサを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスを測定するための現在のシステムは、様々な測定原理を使用する。医療技術では、主に電気化学センサが、経皮的に拡散した、すなわちヒト患者又は動物の皮膚を通って拡散したガスの測定に使用される。経皮的COの測定のための現在のセンサは非常に感度が高く、良好な応答時間を示す。経皮的ガスの測定のための電気化学センサは、例えば国際公開第2008/132205号パンフレットから知られている。
【0003】
体外血液循環を伴う特定の臨床状況では、経皮的ガスセンサを使用することによって患者の血流から直接血液ガスを測定することがさらに可能である。
【0004】
経皮的ガスの測定のための光学センサは、例えば国際公開第2015/011103号パンフレットから知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
経皮的ガスは、ガスの混合物を指すことができる。経皮的ガスは、典型的には、CO、O、HO、N、及び麻酔ガスであり得る。
【0006】
経皮的ガスの代わりに、そのようなセンサは、非経皮的ガス、例えば体外血流からのガスの濃度を測定することもできる。本出願の文脈では、「試料ガス」という用語は、その起源に関係なくセンサによって測定することができるガスを指す。本明細書で使用される「測定対象ガス」という表現は、「試料ガス」という用語に相当する。
【0007】
本出願において、接触面という用語は、典型的には患者の皮膚又は血流を取り囲む血管である測定部位と直接又は間接的に接触するセンサの面を表すものとする。1つ又はいくつかの追加のガス透過性膜及び接触液又はゲルは、少なくとも測定中にセンサの接触面と測定部位との間に存在し得る。接触面は、典型的には、主にケーシングの表面の一部と、測定チャンバ内へのガス拡散を可能にする領域とによって形成される。例えば、接触面は、ケーシングの一部、ガスアクセスチャネルシールなどのガス透過性膜、及びエポキシなどのセンサアセンブリに関連するゾーンの表面の組み合わせによって形成されてもよい。接触面を有するケーシングは、センサが完全に組み立てられると、その特定の表面部分が接触面の少なくとも一部を形成するケーシングを意味する。
【0008】
経皮的ガス感知における主な技術的課題の1つは、ガスが組織及び皮膚を透過する速度が非常に低いという事実に関連する。したがって、経皮的ガスの測定のためのセンサが、測定チャンバ内のガスの濃度と皮膚内のそれぞれの濃度との平衡に依存する場合、許容可能な応答(平衡完了)時間を達成するためには、そのような測定チャンバの容積が極めて小さくなければならない。さらに、このような小さい測定チャンバを有する光学センサでは、十分な光強度で測定チャンバへと及び測定チャンバを通って光放射を導くことが課題である。別の制約は、典型的には成人患者の耳たぶ又は新生児の大腿部である測定部位の領域が小さいことである。
【0009】
通常、少量の試料ガスしか利用できないため、センサは、ガスの望ましくない漏れ又は
測定放射の吸収不良などの起こり得る外乱に対して非常に敏感である。
【0010】
本出願において、測定放射という用語は、放射源によって生成された放射を意味し、放射は測定チャンバを通って伝播し、検出器によって検出可能である。典型的には、測定チャンバを伝播する測定放射の少なくとも一部は、測定チャンバ内に存在する試料ガスによって吸収され得る。センサがCOを測定するためのセンサである場合、測定放射は、好ましくは3.5から4.5μmの範囲又はその範囲内の波長を有するが、他のガス又はCOの他の特性を測定するために他の波長又は波長帯域が使用されてもよい。
【0011】
試料ガスが測定チャンバ内に存在すると、測定放射の吸収、及び測定信号の吸収を引き起こす可能性がある。測定チャンバは、試料ガスが測定チャンバに出入りする必要がある(通常は小さい)位置を除いて、主にその閉じ込め面によって画定される。そのような位置では、材料表面が存在しなくてもよく、測定チャンバ境界は、ガスアクセス開口部がない場合に有すると予想される材料表面に対応する、隣接する材料表面の滑らかな延長部として画定される。
【0012】
測定チャンバは、典型的には、いくつかの構成要素の表面によって画定される。例えば、測定チャンバは、光学モジュール支持体、ミラー、放射入射窓及び放射出射窓の表面の一部によって形成されてもよい。
【0013】
ガスを検出するためのセンサは、測定チャンバの一部を形成し、かつ測定放射のために反射性である1つの面の少なくとも一部を有するミラーを備えることができる。ミラーは、例えば測定チャンバの表面のいくつかに表面コーティングを施した後に、適切な段階でアセンブリに追加することができる。このミラーは、試料ガスの原子及び分子を透過させるが液密であってもよいように、多孔質であってもよい。このような多孔質の液密ミラーがセンサの接触面の一部を形成する場合、経皮的ガスは皮膚表面から測定チャンバまで非常に短い距離だけ移動する必要があり、センサの応答時間を短く保つのに役立つため有利である。
【0014】
光学モジュール支持体は、センサ内に含まれてもよい。光学モジュール支持体は、放射源、検出器、波長感受性素子、ミラーのうちの少なくとも1つを担持してもよい。これらの構成要素は、光学モジュール支持体上又は内部に配置されてもよい。光学モジュール支持体はまた、測定チャンバの少なくとも一部を包含してもよい。このようなセンサ構成要素を備える光学モジュール支持体は、光学モジュールを構成する。光学モジュールはまた、さらなる構成要素又は特徴、例えば、放射入射窓及び放射出射窓、放射入射窓及び/又は放射出射窓に沿った放射窓シール、コーティング、接着剤、膜、又はガスアクセスチャネルを含むことができる。光学モジュールは、適切に接続及び駆動されると、測定放射を生成し、吸収測定信号を提供することができるように、光学測定ユニットとして機能することができる。光学モジュールは、単一パラメータセンサの基礎を形成してもよく、又は他の感知ユニット及び/又はさらなる光学モジュールと組み合わせてマルチパラメータセンサを形成してもよい。
【0015】
1つ又はいくつかのガスアクセスチャネルがセンサ内に存在してもよい。それらは、測定チャンバからセンサ表面、典型的にはセンサの接触面に通じる試料ガスの分子の拡散経路を形成する。測定中、ガスアクセスチャネルは、試料ガスが測定チャンバ内に又は測定チャンバから効率的に拡散できることを保証し、これにより、有用な応答時間内での周囲濃度(典型的には皮膚中の濃度)とガス濃度の平衡が可能になる。好ましくは、ガスアクセスチャネルは、試料ガスが容易にそれらを通って移動できるように、固体又は液体で完全には充填されていない。
【0016】
患者の測定中、測定チャンバ内に大量の湿度が存在する可能性がある。液体水は測定放射を吸収して偏向させる傾向があるので、測定チャンバ内の水凝縮は回避されなければならない。
【0017】
試料ガス混合物から水分子を捕捉し、湿度を低下させるために、水トラップをセンサ又はセンサの使い捨て部分に組み込むことができる。しかしながら、センサのサイズが小さいために組み立ては困難であり、水トラップは限られた容量しか有することができない。
【0018】
本発明の目的は、最新技術の欠点を回避すること、特に、少量のガス混合物中のガス種の濃度を決定するための、ガスを検出するための堅牢なセンサ、及び、特に、少量のガス混合物中のガス種の濃度を決定するための、ガスを検出するための方法であって、頻繁な較正が必要とされず、正確な結果が許容可能な応答時間内にもたらされ、製造が容易かつ安価であるセンサ及び方法を提供することである。
【0019】
この文脈における応答時間は、センサが患者に適用されて、安定した測定値の90%に達するのに必要な時間として理解される。許容可能な応答時間は、10分未満、好ましくは5分未満、より好ましくは2.5分未満である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によれば、これらの目的は、独立特許請求の範囲によるセンサ及び方法によって達成される。
【0021】
本発明の第1の態様によれば、ガス、好ましくは経皮的ガス、特にガス状COを検出するためのセンサが提供される。
【0022】
センサは、放射を放出するための少なくとも1つの放射源と、放射源によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器と、試料ガスを受け取るための少なくとも1つの測定チャンバとを備え、これらは、好ましくは光学モジュールを形成するために光学モジュール支持体上又は光学モジュール支持体内に配置される。
【0023】
放射源、検出器、及び測定チャンバは、放射の少なくとも一部が経路に沿って伝播するように配置される。経路は、測定チャンバを通過する。
【0024】
好ましくは、センサは、放射経路がミラーでの反射を含むように配置されたミラーをさらに備える。好ましくは、ミラーは、光学モジュール支持体の上又は中に、特に放射源及び検出器と同じ光学モジュール支持体の中に配置される。
【0025】
センサは、ケーシングをさらに備える。放射源、検出器、測定チャンバ、及び任意選択的に光学モジュール又はミラーなどのさらなる構成要素は、ケーシング内に配置される。センサ、特にケーシングは、測定部位に向けて方向付け可能であり、かつ経皮的測定中に患者の皮膚と密接に接触するように意図された接触面を有する。
【0026】
センサは、試料ガス、好ましくは経皮的ガスが接触面から測定チャンバ内に移動することを可能にする少なくとも1つのガスアクセスチャネルを備えることができる。好ましくは、センサは、1つを超えるガスアクセスチャネル、例えば2つ、3つ、又は4つのガスアクセスチャネルを備える。好ましくは、ガスアクセスチャネルの少なくとも一部は、光学モジュール支持体の上又は中に配置される。
【0027】
ケーシングは、高い熱伝導率を有する材料を含むか、又は完全にそれからなる。熱伝導率は、10W/m/kを超えることが好ましい。材料は、好ましくは金属又はセラミック
である。アルミニウム、銅、若しくはチタン合金、例えば真鍮などの金属合金、又はアルミナ、ジルコニア、シリコーン若しくは窒化ホウ素若しくは炭化ケイ素に基づくセラミックが特によく適している。
【0028】
ケーシングは、使用中に熱エネルギーを効率的に輸送するために使用することができる。熱エネルギーは、典型的には、発熱抵抗体などの制御可能な発熱体によって意図的に生成されるが、増幅器、マイクロプロセッサなどの他の構成要素によって生成された廃熱も、生成された熱エネルギーに寄与する。加熱要素及びさらなる構成要素によって生成された熱エネルギーは、測定部位で患者の皮膚を温めるためにセンサの接触面に輸送される必要がある。典型的には、そのような加熱要素及び他の発熱構成要素は、電力供給への近接性又はスペースの利用可能性などの理由で、接触面から離れた位置でセンサ内に配置される。良好な熱伝導性ケーシングは、発生した熱を、センサの内部ではなくケーシングを通って患者の皮膚に流す。これにより、センサ内の温度勾配が減少する。
【0029】
本発明の第2の態様によれば、ガス、好ましくは経皮的ガス、特にガス状COを検出するためのセンサが提供される。好ましくは、センサは、上述のようなセンサである。
【0030】
センサは、放射を放出するための少なくとも1つの放射源と、放射源によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器と、試料ガスを受け取るための少なくとも1つの測定チャンバとを備え、これらは、好ましくは光学モジュールを形成するために光学モジュール支持体上又は光学モジュール支持体内に配置される。
【0031】
放射源、検出器、及び測定チャンバは、放射の少なくとも一部が経路に沿って伝播するように配置される。経路は、測定チャンバを通過する。
【0032】
好ましくは、センサは、放射経路がミラーでの反射を含むように配置された放射源によって放出された放射を反射するためのミラーをさらに備える。好ましくは、ミラーは、光学モジュール支持体の上又は中に、特に放射源及び検出器と同じ光学モジュール支持体の中に配置される。
【0033】
センサは、ケーシングをさらに備える。放射源、検出器、測定チャンバ、及び任意選択的に光学モジュール又はミラーなどのさらなる構成要素は、ケーシング内に配置される。センサ、特にケーシングは、測定部位に向けて方向付け可能であり、かつ経皮的測定中に患者の皮膚と密接に接触するように意図された接触面を有する。
【0034】
センサは、試料ガス、好ましくは経皮的ガスが接触面から測定チャンバ内に移動することを可能にする少なくとも1つのガスアクセスチャネルを備えることができる。好ましくは、センサは、1つを超えるガスアクセスチャネル、例えば2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のガスアクセスチャネルを備える。ガスアクセスチャネルの直径及び容積が許す限り、数百又は数千などの多くのガスアクセスチャネルを実現することができる。
【0035】
放射源は、センサ内の放射源区画内、例えば光学モジュール支持体に形成された放射源区画内に配置される。放射源区画は、好ましくは、放射入射窓によって測定チャンバから分離される。放射源区画は、典型的にはガス充填されている。放射入射窓に沿った放射窓シールは、測定チャンバと放射源区画との間のガス交換を低減又は回避することができる。
【0036】
センサは、放射源区画から環境に通じる少なくとも1つの通気チャネルを備える。好ましくは、通気チャネルの少なくとも一部は、ケーシングを通って通じる。好ましくは、存在する場合、通気チャネルの少なくとも一部は、光学モジュール支持体を通って通じる。
【0037】
通気チャネルは、放射源区画内に関連する量の不要なガスが蓄積するリスクを低減する。例えば、放射入射窓に沿った漏れのある放射窓シールは、試料ガスが時間とともに測定チャンバから放射源区画内に拡散することを可能にし得る。さらに、例えば、放射源からの照射による接着剤の分解によって、又は放射源区画内又はその近くのセンサ構成要素からの揮発性原子又は分子のガス放出又は外方拡散によって、不要なガスが放射源区画内に発生する可能性がある。
【0038】
通気チャネルの存在は、環境との一定のガス交換を確実にし、不要なガスが放射源区画から逃げることを可能にし、したがって不偏測定を確実にする。不要なガスが放射源区画内に出現する速度は、不要なガスが環境内に消失する速度よりも遅くなければならない。前者の速度は通常低いため、後者の速度は特に高くする必要はない。
【0039】
通気チャネルは、チューブ、好ましくは鋼などの金属製又はポリマー製のチューブによって形成されてもよい。チューブは、放射源区画からセンサのケーシング壁を通って、又は代替的にセンサのケーシング又はキャップの開口部に通じてもよい。
【0040】
この態様の好ましい実施形態では、センサは、通気チャネルを封止するための通気チャネルシールを備える。通気チャネルシールは、ある程度ガス透過性であり、したがって、不要なガスが経時的に放射源区画から逃げることを可能にする。通気チャネルシールは、放射源の問題又は測定の失敗につながる可能性がある、塵埃又は粒子などの汚染物が通気チャネル及び放射源区画に入るのを防ぐ。好ましくは、通気チャネルシールは、液体及び塗布ゲルのような洗浄剤、汗又はアルコールも通常の臨床使用条件下で通気チャネル及び放射源区画に入ることが防止されるように、液密である。
【0041】
好ましくは、通気チャネルシールは、放射源区画内のガス、例えばCO及びHOが、1ヶ月未満、好ましくは数時間から数日以内に環境濃度と平衡することを可能にする。
【0042】
好ましくは、通気チャネルシールは、不要なガスが放射源区画から環境内に拡散する速度が、放射源区画内に不要なガスが現れる速度よりも実質的に高くなる(例えば、10倍)ように設計され、不要なガスは、例えば放射窓シールを通る測定チャンバからの拡散又は放射源区画内でのガス放出若しくは発生に起因して現れる。
【0043】
通気チャネルシールは、任意の適切な形状を有してもよい。好ましくは、プラグ、ディスク、又はキャップの形態で使用される。
【0044】
好ましくは、通気チャネルシールは、粘性液体又はペーストとして適用可能であり、固体のガス透過性材料に硬化する材料を含むか、又はそれから作製される。好ましくは、典型的には接着剤として入手可能なポリマー、特にシリコーン、エポキシ、アクリル、シアノアクリレート、又はウレタン化合物が使用される。
【0045】
追加的又は代替的に、通気チャネルシールは、固体の非多孔質のガス透過性材料を含んでもよく、又はそれから作製されてもよい。特に、固体材料は、シリコーン、フルオロポリマー、又はポリオレフィン化合物、例えばPDMS又はPTFE又はPPを含む。
【0046】
追加的又は代替的に、通気チャネルシールはまた、焼結セラミック、焼結ポリマー、又は焼結金属などの多孔質材料、特にPTFE、焼結鋼、又は焼結チタンなどの焼結フルオロポリマーを含んでもよい。
【0047】
追加的又は代替的に、通気チャネルシールはまた、細孔空隙又は穴を有する支持材料と
、箔、膜、又はコーティングなどのガス透過性層との組み合わせを含んでもよく、又はそれらから作製されてもよい。
【0048】
さらに好ましい実施形態では、検出器は検出器区画内に配置され、センサは、上述の放射源区画の通気チャネルと同様に、検出器区画から環境への通気チャネルを備えることができる。特に、検出器通気チャネルは、通気チャネルシールによって覆われてもよい。センサは、放射源通気チャネルの代わりに、又はそれに加えて、検出器通気チャネルを備えてもよい。
【0049】
これは、測定チャンバと検出器区画との間のガス交換をある程度遅らせるだけの放射窓シールが放射出射窓に沿って存在する場合に特に有用である。
【0050】
本発明の第3の態様によれば、ガス、好ましくは経皮的ガス、特にガス状COを検出するためのセンサが提供される。好ましくは、センサは、上述のようなセンサである。
【0051】
センサは、放射を放出するための少なくとも1つの放射源と、放射源によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器と、放射を反射するためのミラーと、試料ガスを受け取るための少なくとも1つの測定チャンバとを備え、これらは、好ましくは光学モジュールを形成するために光学モジュール支持体上又は光学モジュール支持体内に配置される。
【0052】
放射源、検出器、ミラー及び測定チャンバは、放射の少なくとも一部が経路に沿って伝播するように配置される。経路は、測定チャンバを通過し、ミラーでの反射を含む。
【0053】
センサは、測定部位に向けて方向付け可能であり、かつ経皮的測定中に患者の皮膚と密接するように意図された接触面を有する。
【0054】
センサは、試料ガス、好ましくは経皮的ガスが接触面から測定チャンバ内に移動することを可能にする少なくとも1つのガスアクセスチャネルを備えることができる。好ましくは、センサは、1つを超えるガスアクセスチャネル、例えば2つ、3つ、又は4つのガスアクセスチャネルを備える。
【0055】
ミラーは、接触面から離れて配置される。
ミラーが接触面に配置されていない場合、使用中にミラーは皮膚によって強く冷却されない。したがって、湿った試料ガスに接触する場合であっても、ミラーの表面上の結露のリスクが低減される。
【0056】
例えば、ミラーは、エポキシ又は他の何らかの材料の層上に配置されて、接触面がミラーからその層によって大部分又は完全に分離されてもよい。
【0057】
センサは、好ましくはケーシングを備える。光学モジュールなどのセンサ構成要素は、ケーシング内に配置される。接触面の少なくとも一部は、ケーシングの表面の一部によって形成されてもよい。ミラーは、ミラーと接触面とがケーシングの一部によって少なくとも分離されるように、ケーシングの一部に配置されてもよい。
【0058】
上記のような高い熱伝導率を有するケーシングは、特にセンサ内部が接触面よりも高い温度にある場合に、皮膚と測定チャンバ及び/又はミラーとの間の熱シールドとして作用することができる。これにより、患者の測定中、皮膚は、ミラーを直接冷却するのではなく、主にケーシングを冷却する。
【0059】
湿度の高い試料ガスの濃度を測定する場合、ミラーが測定チャンバ表面の残りの部分とほぼ同じ温度にあり、したがって接触面の温度の影響をあまり受けないため、測定チャンバ内、特にミラー上の結露のリスクが低減される。
【0060】
代替的又は追加的に、センサはケーシングをさらに備える。次いで、ミラーは、ケーシングから離れて配置される。ミラーは、ケーシングから熱的に切り離される。特に、ミラーとケーシングとの間に断熱層が配置されてもよい。
【0061】
絶縁層は、好ましくは低い、好ましくは10W/m/k未満、より好ましくは0.1W/m/k未満の熱伝導率の材料からなる。あるいは、絶縁層は、空気等のガスによって形成されてもよい。
【0062】
絶縁層は、試料ガスがせいぜいわずかな速度で絶縁層に吸収されるように、試料ガスに対する溶解度が低いことがさらに好ましい。
【0063】
絶縁層の好ましい材料には、エポキシなどのポリマー又は他のポッティング材料が含まれる。
【0064】
本発明の第4の態様によれば、ガス、好ましくは経皮的ガス、特にガス状COを検出するためのセンサが提供される。好ましくは、センサは、上述のようなセンサである。
【0065】
センサは、放射を放出するための少なくとも1つの放射源と、放射源によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器と、放射を反射するためのミラーと、試料ガスを受け取るための少なくとも1つの測定チャンバとを備え、これらは、好ましくは光学モジュールを形成するために光学モジュール支持体上又は光学モジュール支持体内に配置される。
【0066】
放射源、検出器、ミラー及び測定チャンバは、放射の少なくとも一部が経路に沿って伝播するように配置される。経路は、測定チャンバを通過し、ミラーでの反射を含む。
【0067】
センサは、測定部位に向けて方向付け可能であり、かつ経皮的測定中に患者の皮膚と密接するように意図された接触面を有する。
【0068】
センサは、試料ガス、好ましくは経皮的ガスが接触面から測定チャンバ内に移動することを可能にする少なくとも1つのガスアクセスチャネルを備える。好ましくは、センサは、1つを超えるガスアクセスチャネル、例えば2つ、3つ、又は4つのガスアクセスチャネルを備える。
【0069】
少なくとも1つのガスアクセスチャネルの壁は、ミラーの縁部から離れて配置され、ミラーを貫通しないように配置される。好ましくは、全てのガスアクセスチャネル壁は、ミラーの縁部から離れて配置され、ミラーを貫通しないように配置される。
【0070】
ガスアクセスチャネルがミラーを貫通してもミラーの周りを直接通ってもいない場合、センサ組み立て中のミラーの確実な取り付け及び封止はより容易である。例えば、ミラーが接着剤を使用して取り付けられる場合、接着剤がガスアクセスチャネル及び/又は測定チャンバに流入するリスクが低減される。ガスアクセスチャネル又は測定チャンバに流入する接着剤は、試料ガスの交換を妨げるか、又は阻止することさえあり、又は測定放射を過剰に吸収することがある。
【0071】
さらに、好ましくは上述のように、断熱層がミラーとケーシングとの間に配置される場
合、この断熱層を、硬化時に固体材料に変形する液体接着剤の形態、例えばエポキシ接着剤の形態で適用することが有益であり得る。
【0072】
接触面のガスアクセスチャネルの開口部は、好ましくは、ミラーを囲む閉じた線上、特に円上に配置される。これにより、センサの組み立て(特にミラーの取り付け)が簡略化され、延長されたガス収集領域からガスを収集することが可能になる。
【0073】
この態様の好ましい実施形態では、ガスアクセスチャネルの一部は、ミラーの一部に沿って、特にミラーの内面、すなわち測定チャンバに向けられた面の一部に沿って通じることができる。
【0074】
ガスアクセスチャネルの作成及びミラーの取り付けは、別個の独立したプロセスステップであってもよく、これにより、製造の複雑さ及び要求が低減され、製造された部品の信頼性が向上する。
【0075】
好ましくは、ガスアクセスチャネルは、測定チャンバから始まり、次いでミラーの内面に沿って延びるが、ミラーの縁部までは延びない。これにより、上述したように、ミラーを液密に封止することができる。ミラーの内面に沿って通じるガスアクセスチャネルの部分は、製造中及びミラーが取り付けられる前は良好にアクセス可能であり、これにより、ガスアクセスチャネルの測定チャンバへの小さな開口部の形成が可能になる。大きな開口部を設けると、チャネルへの測定放射が過剰に失われ、したがって測定信号品質が低下する。
【0076】
さらに、ミラーの内面に沿って導かれていないガスアクセスチャネルのこれらの部分は、好ましくは、高い熱伝導率を有する材料、例えば光学モジュール支持体のバルク材料を通って導かれる。次いで、ガスアクセスチャネル表面上のコールドスポットが結露を引き起こすリスクが低減される。
【0077】
好ましくは、ガスアクセスチャネル、測定チャンバ、及びミラーは、光学モジュール支持体の上又は中に配置される。
【0078】
好ましくは、高い熱伝導率を有する光学モジュール支持体が使用される。ミラーは、その光学モジュール支持体に取り付けられてもよく、ガスアクセスチャネルは、常に、光学モジュール支持体の表面又は内部を通っている。これにより、ガスアクセスチャネル及び測定チャンバの内面を均一な温度に保つことがより容易になる。
【0079】
本発明の第5の態様によれば、ガス、好ましくは経皮的ガス、特にガス状COを検出するためのセンサが提供される。好ましくは、センサは、上述のようなセンサである。
【0080】
センサは、放射を放出するための少なくとも1つの放射源と、放射源によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器と、放射を反射するためのミラーと、試料ガスを受け取るための少なくとも1つの測定チャンバとを備え、これらは、好ましくは光学モジュールを形成するために光学モジュール支持体上又は光学モジュール支持体内に配置される。
【0081】
放射源、検出器、ミラー及び測定チャンバは、放射の少なくとも一部が経路に沿って伝播するように配置される。経路は、測定チャンバを通過し、ミラーでの反射を含む。
【0082】
センサは、測定部位に向けて方向付け可能であり、かつ経皮的測定中に患者の皮膚と密接するように意図された接触面を有する。
【0083】
センサは、好ましくは、試料ガス、好ましくは経皮的ガスが接触面から測定チャンバ内に移動することを可能にする少なくとも1つのガスアクセスチャネルを備える。好ましくは、センサは、1つを超えるガスアクセスチャネル、例えば2つ、3つ、又は4つのガスアクセスチャネルを備える。
【0084】
ミラーは、変形可能な材料からなる。好ましくは、ミラーはさらに、測定放射に対して高反射性であり、不活性、非多孔質、及び/又は良好に熱伝導性であり、最も好ましくはこれらの特性の全てを有する。
【0085】
ミラーは、固体であるが変形可能な材料を含んでもよく、好ましくはそれからなってもよい。材料は、好ましくは100HV5未満、より好ましくは60HV5未満、最も好ましくは30HV5未満の硬度を有して比較的軟質であってもよい。次いで、材料は、比較的低い力で機械的及び塑性的に変形することができ、変形によるミラー取り付けを可能にする。好ましくは、変形可能ミラーは、150℃未満の温度、より好ましくはより低い温度、最も好ましくは室温で塑性変形することができる。
【0086】
ミラーは、好ましくは、少なくとも測定チャンバに向けられた面であるその内面において、測定放射に対して高い反射率を示す。好ましくは、測定放射の波長の範囲内の波長に対するミラーの反射率は、80%を超え、より好ましくは92%を超え、さらにより好ましくは97%を超える。
【0087】
ミラー材料は、好ましくは不活性であり、これは、材料が、経皮的ガス、試料ガス、水若しくは水蒸気、洗浄に関連するガス若しくは液体、特にアルコール若しくはアルコール性蒸気、又は周囲ガス、特に酸素と腐食又は化学的に反応しないことを確実にする。
【0088】
ミラー材料は、好ましくは良好に熱伝導性であり、好ましくは30W/m/kより高い、より好ましくは100W/m/kを超える、最も好ましくは200W/m/kを超える熱伝導率を有し、均一なミラー温度を保証する。理想的には、測定チャンバの一部を形成するミラーの内面の一部は、残りの測定チャンバ表面と同じ温度である。したがって、ミラーにコールドスポットはなく、ミラーの内面の結露が防止される。
【0089】
ミラーは、支持材料及び1つ又は複数のコーティングを含むことができる。例えば、支持体は、高い反射率を示すが、耐腐食性が制限された材料から構成されてもよく、その支持体は、測定放射を過度に吸収しない1つ又はいくつかの保護コーティング層でコーティングされる。別の例として、支持体は、高反射率を有する不活性材料の層でコーティングされた、又は測定放射を反射する1つ又は複数の干渉層でコーティングされた、低反射率を有する良好に変形可能な材料からなってもよい。
【0090】
ミラーは、好ましくは単一の材料からなる。ミラーが単一の材料からなる場合、ミラーの変形中にコーティングの一部の層間剥離及び測定チャンバの汚染のリスクはない。
【0091】
ミラー材料は、特にAu、Ag、Cu、Mo、W、又はAlのうちの少なくとも1つを含む。好ましくは、材料は、高純度形態のこれらの元素の1つからなる。材料はまた、これらの元素の1つを主成分とする高純度合金、例えばAu-Cu、Au-Ag、Au-Pd、Cu-Ag-Pd、又はAu-Cu-Pt-Ag合金であってもよい。特に、高純度Au(99%以上の純度)が好適な材料である。
【0092】
あるいは、ミラーは、コーティング、例えばAu又は干渉層を有するABS又はPOMなどの熱可塑性ポリマーを含むか又はそれからなってもよい。ポリマーは、例えば加熱ツ
ールを使用することによって、熱を加えることによって変形させることができる。
【0093】
この態様の好ましい実施形態では、ミラーは、ミラーの変形によって取り付けられる。このようにして、ミラーを迅速に単一のステップで取り付けることができる。接着剤などのさらなる組み立てステップ又は材料は必要ない。特に、ミラーは、ミラーの横方向容積からの材料が1つ又はいくつかの適切な窪み、好ましくはアンダーカットに変位するように、塑性変形、好ましくは圧着によって取り付けられる。好ましくは、ミラーは、光学モジュール支持体に取り付けられる。変形プロセスは、ミラーとホルダとの間、典型的にはミラーと光学モジュール支持体との間の緊密な接触をもたらすことができ、これにより熱エネルギーの効率的な交換が可能になり、したがって測定チャンバの全ての表面が均一な温度にあることが保証される。
【0094】
変形は、適切に形成されたスタンプダイを使用して圧力を加えることによって、ミラー変形を支持するために熱を加えることなく、又は熱を加えながら達成することができる。
【0095】
変形による取り付け後、ミラーと光学モジュール支持体との間の境界は、任意選択的に封止されてもよい。液密シールは、例えば、高粘度接着剤の適用によって達成することができる。
【0096】
本発明の第6の態様によれば、ガス、好ましくは経皮的ガス、特にガス状COを検出するためのセンサが提供される。好ましくは、センサは、上述のようなセンサである。
【0097】
センサは、放射を放出するための少なくとも1つの放射源と、放射源によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器と、試料ガスを受け取るための少なくとも1つの測定チャンバとを備え、これらは、好ましくは光学モジュールを形成するために光学モジュール支持体上又は光学モジュール支持体内に配置される。
【0098】
センサは、好ましくは光学モジュール支持体上又は光学モジュール支持体内に配置された、測定チャンバ境界の一部を画定するミラーをさらに備えることが好ましい。
【0099】
放射源、検出器、及び測定チャンバは、放射の少なくとも一部が経路に沿って伝播するように配置される。経路は、測定チャンバを通過する。
【0100】
センサは、測定部位に向けて方向付け可能であり、かつ経皮的測定中に患者の皮膚と密接するように意図された接触面を有する。
【0101】
センサは、試料ガス、好ましくは経皮的ガスが接触面から測定チャンバ内に移動することを可能にする少なくとも1つのガスアクセスチャネルを備える。好ましくは、センサは、1つを超えるガスアクセスチャネル、例えば2つ、3つ、又は4つのガスアクセスチャネルを備える。
【0102】
各ガスアクセスチャネルは、ガスアクセスチャネルの端部、具体的には接触面に向けられた端部の開口部であるアクセス開口部を有する。ガスアクセスチャネルの他方の開口部は、測定チャンバ内で終端する。アクセス開口部は、アクセス開口部の近くのそれぞれのガスアクセスチャネルと同じ断面を有することができる。あるいは、アクセス開口部はまた、その接触面端部に向かって拡大又は縮小してもよい。
【0103】
アクセス開口部は、センサの接触面の近くに位置する。アクセス開口部は、液密又は撥液性でありながら試料ガスに対して透過性であるアクセス開口部シールによって覆われている。
【0104】
アクセス開口部シールの表面は、センサが滑らかな接触面を有するように、ケーシングの表面と滑らかな平面を形成することが好ましい。あるいは、アクセス開口部シールの表面は、数ミリメートル以下、好ましくは0.3mm以下、より好ましくは0.1mm以下だけ接触面からわずかに突出する。あるいは、アクセス開口部シールの表面は、接触面によって形成された平面よりもわずかに、好ましくは0.3mm以下、より好ましくは0.1mm以下だけ下にある。
【0105】
ガスアクセスチャネルの少なくとも一部は、センサのケーシング内に配置されてもよく、アクセス開口部がケーシング壁内又はその近くに配置されるように形成されてもよい。
【0106】
アクセス開口部シールの表面が接触面と滑らかな平面を形成するか、又は接触面の上方又は下方にわずかにしか立っていない場合、洗浄が容易でありながら、接触ゲル、汗、粒子状物質、又は他の望ましくない物質などの汚染の蓄積が大幅に防止される。
【0107】
あるいは、いくつかのアクセス開口部は、1つのアクセス開口部シールによって覆われてもよい。例えば、全てのアクセス開口部は、単一のアクセス開口部シールによって覆われてもよい。
【0108】
この態様の好ましい実施形態では、アクセス開口部シールは、穴を有するか、又は任意選択的にガス透過性材料でコーティング又は浸透された多孔質構造を有するプレート又はディスク又は箔又はグリッド又はメッシュなどの基板を備えることができる。
【0109】
アクセス開口部シールは、表面を撥液性又は液密にする特別に設計された表面、例えば微細構造化表面又はプラズマ処理表面を有し得る。これは、アクセス開口部シールがコーティングを含まない場合に特に有用である。
【0110】
好ましくは、アクセス開口部シールは、穴又は他の開口部を含まないコーティングを含む。したがって、アクセス開口部シールは、基板の穴又は空隙にまたがってもよい。そのようなシールは、通常の使用条件下で液体又は他の汚染物がガスアクセスチャネルに入らせない。したがって、このようなアクセス開口部シールは、実際には液密である。好ましくは、コーティングは、センサの応答時間が短いままであるように、試料ガスに対して高い透過性を有する材料、例えば、PTFE、FEP、PFAなどのフルオロポリマー、又はさらなるフルオロポリマー、又はPP、PE、PMP、若しくはPBなどのポリオレフィン、又はPDMSなどのシリコーン、又は好ましくは熱可塑性及び低い結晶性を有するさらなるポリマーで作製される。
【0111】
そのようなコーティングは、基板の一方の面に存在してもよい。あるいは、コーティングは、基板の空隙及び開口部内に完全に又は部分的にさらに延在してもよい。例えば、コーティングは、基板内の層を固定することができる基板内の孔又は空隙の上部に延在してもよく、又はコーティングは、基板の片面又は両面を覆い、基板内の空隙及び孔に部分的又は完全に延在してもよい。
【0112】
あるいは、コーティングは、基板の穴又は空隙にのみ存在してもよく、基板面を覆うコーティングはない。この場合、コーティングは必ずしも連続層である必要はないが、好ましくは、コーティングは、液体又は粒子状物質がシールを貫通することができないように、基板材料もコーティング材料も貫通しないアクセス開口部シールを通る経路がなくなる程度まで基板内の全ての空隙を充填する。
【0113】
アクセス開口部シールが、基板も穴又は細孔を有する位置に細孔を有する非連続コーテ
ィングを含む場合、それは、試料ガスの透過性がいくらか又はゼロでさえある材料で作製されてもよい。このようなアクセス開口部シールは、特に十分な圧力が加えられたとき、及びコーティングに比較的大きな穴が存在するときに液体がシールを通過する可能性があるため、撥液性であるが液密ではない場合がある。しかしながら、通常の臨床使用中、これは、特に少なくとも使用中に、アクセス開口部シールと患者の皮膚上の測定部位との間に追加の保護膜が存在する場合、液体又は粒子の侵入からガスアクセスチャネルを十分に保護することができる。好ましくは、そのような不連続コーティングは、疎水性及び/又は疎油性である。
【0114】
アクセス開口部シールの基板は、好ましくは、金属、セラミック、又はポリマー材料を含むか、又はそれらからなる。好ましくは、基板は、良好な生体適合性を示す材料、例えば、ステンレス鋼、チタン合金、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ホウケイ酸ガラス若しくはソーダ石灰ガラスなどのガラス、又はPOM、ABS、エポキシ、PTFE、FEP、PFA、さらなるフルオロポリマー、PP、PE、PMP若しくはPBなどのポリマー、又はPDMSなどのシリコーンで作製されるか又はコーティングされる。
【0115】
特に液密ではなく撥液性のみである場合、アクセス開口部シールは、追加の膜、典型的には接触面上に広がる交換可能かつ非多孔質の膜と組み合わせて使用されてもよい。
【0116】
この態様のさらに好ましい実施形態では、アクセス開口部シールの基板は突出部を含み、コーティングは少なくとも突出部の間に配置される。突出部の材料は、コーティングの材料よりも耐摩耗性が高い。あるいは、突出部を有する基板ではなく、窪みを有する基板であってもよい。好ましくは、特にコーティングが非粘着特性を有する場合、コーティングが滑らかな表面を形成するように、コーティングは突出部も覆っている。
【0117】
患者への適用の間に、センサを洗浄する必要がある。繰り返しの洗浄又は拭き取りプロセスの避けられない研磨効果のために、アクセス開口部シールのコーティングは時間とともに影響を受け、損傷する可能性がある。突出部は、コーティングよりも耐摩耗性が高いため、突出部間のコーティングを保護する。基板の穴が突出部の間に位置する場合、穴を封止するコーティングの部分は無傷のままであり、したがって、コーティングの上部が摩耗しても封止機能は損なわれない。
【0118】
突出部は、アクセス開口部シールの基板上のヒロックによって形成されてもよく、基板の固有の部分であってもよい。ヒロックは、例えば、0.1μm~500μm、好ましくは数ミクロン~数十ミクロンだけ突出してもよく、例えば1μm~500μm、好ましくは数ミクロン~数十ミクロンの直径などの横方向の延長部を有してもよく、1μm~500μm、好ましくは数十ミクロン~約100ミクロンの間隔で配置されてもよい。
【0119】
あるいは、突出部は、Ra>1μmの表面粗さを有する粗面によって形成されてもよく、この場合、突出部のサイズ及び配置は不規則である。
【0120】
あるいは、突出部は、例えば、多数の窪みが材料に形成されたときに残る材料によって不規則な形状で形成されてもよい。例えば、窪みのサイズは円形であり、エッチングによって形成されてもよいが、相応に、窪みが形成されていない突出部が存在する。
【0121】
好ましくは、突出部は、アンダーカットが形成されるように形成され、コーティングを基板に固定するのに役立つ。これは、アクセス開口部シールをより耐久性のあるものにする。
【0122】
この態様のさらに好ましい実施形態では、アクセス開口部シールは、シールの機械的固
定を可能にする1つ又はいくつかの「L」又は「T」形状の脚部などの少なくとも1つのアンカーを含むことができる。例えば、アンカーは、ポッティング材料、好ましくはエポキシに埋め込まれてもよい。これは、シールが非粘着コーティングを含む場合に特に有用であり、接着を困難にすることによって確実な取り付けを可能にする。
【0123】
この態様のさらに好ましい実施形態では、アクセス開口部シールとガスアクセスチャネルのアクセス開口部との間に追加の液密膜を配置することができる。この手法は、アクセス開口部シールが多孔質であるか又は穴を含む場合に特に有益であるが、これは、膜が完全な液密性を保証する一方で、撥液表面がシールの基板の穴又は細孔の目詰まりを防止することができるからである。さらに、シールの基板は、下にある膜を機械的損傷から保護する。
【0124】
この態様のさらに好ましい実施形態では、ガスアクセスチャネルのアクセス開口部の断面積は、そのアクセス開口部に隣接するガスアクセスチャネルの一部の断面積よりも大きい。好ましくは、ガスアクセスチャネルがガスアクセス可能な容積全体に寄与し、ガスアクセス可能な容積が大きいとセンサ応答時間が長くなるため、ガスアクセスチャネルの断面積はかなり小さい。アクセス開口部は、好ましくは、比較的広い領域からガスアクセスチャネル内に試料ガスを拡散させることができるように、かなり広く(特にガスアクセスチャネルの断面積よりも広く)てもよく、これは応答時間を短縮するのに役立つ。アクセス開口部シールの面積は、好ましくは、シールとの界面におけるアクセス開口部と同様のサイズであるかより幅が広い。
【0125】
好ましくは、アクセス開口部の最大断面積は、そのアクセス開口部付近のガスアクセスチャネルの断面積よりも少なくとも2倍大きく、より好ましくは少なくとも5倍から50倍大きい。アクセス開口部シールの断面積は、好ましくはシールとの界面におけるアクセス開口部の断面積よりもわずかに大きいだけであり、好ましくは2倍未満である。
【0126】
さらに好ましい実施形態では、アクセス開口部は、ガスアクセスチャネルから離れるように延びる浅い空洞を含む星形、又は雪片形、又は格子状の構造を含むことができる。これらの空洞は、試料ガスがアクセス開口部シールを通って拡散した後、ガスアクセスチャネル内に試料ガスを導くのに役立つ。これは、例えば、アクセス開口部シールが光学モジュール支持体と密着している場合に、アクセス開口部シールが空洞及びガスアクセスチャネルを備える構成要素と密着しているときに特に有利である。密又は狭い接触は、ガス拡散を防止又は減速する。したがって、チャネル状の空洞は拡散ガスのための空間を提供し、センサ応答時間を短縮する。空洞はまた、異なる形状/構造を有してもよく、それらがガスアクセスチャネルに接続されている限り、それらは試料ガスをガスアクセスチャネルに導くのに役立つ。
【0127】
好ましくは、記載された空洞の深さは、500μm未満、より好ましくは100μm未満、最も好ましくは50μm未満である。
【0128】
さらに好ましい実施形態では、追加的又は代替的に、幅広又は格子状の浅い空洞、例えばアクセス開口部について上述した星形、雪片形、又は格子状の空洞をアクセス開口部シールに配置することができる。これは、これらの構造が光学モジュール又は対応する構成要素に加工される場合よりも製造が容易であり得る。
【0129】
例えば、アクセス開口部シールは、シールを組み立てた後にシールとアクセス開口部の周囲との間に小さな隙間が存在し、ガスアクセスチャネルへのガス拡散を促進するように、シール自体よりもわずかに狭い空洞を含むことができる。
【0130】
本発明の第7の態様によれば、ガス、好ましくは経皮的ガス、特にガス状COを検出するためのセンサが提供される。好ましくは、センサは、上述のようなセンサである。
【0131】
センサは、光学モジュール支持体を備える。光学モジュール支持体は、測定チャンバの少なくとも一部を形成する。さらなる表面は、残りの測定チャンバ境界を画定することができる。典型的には、センサの主測定チャンバ境界は、光学モジュール支持体、ミラー、並びに放射入射及び出射窓の表面部分によって形成される。
【0132】
光学モジュール支持体は、少なくとも1つの開口部、特に、測定チャンバ表面として機能する表面の少なくともいくつかの上に、好ましくは測定チャンバ表面として機能する光学モジュール支持体の少なくとも全ての表面上にコーティングを付着させることを可能にする開口部を有する。開口部は、典型的には、コーティングの確実な適用を可能にするのに十分な幅である。例えば、開口部の面積は、測定チャンバの最大断面と同様又はそれより広くてもよく、付着プロセス中のシャドーイングのリスクを低減する。
【0133】
センサは、好ましくは、光学モジュール支持体の前記開口部をコーティングの適用後に少なくとも部分的に閉じることができる閉鎖構成要素を備える。好ましくは、上述のようなミラーを閉鎖構成要素として使用することができる。好ましくは、閉鎖構成要素は、測定放射に対して、好ましくは90%を超える高い反射率を示す。例えば、ミラーは、その内面の一部が測定チャンバ表面の一部を形成するように取り付けられてもよい。好適には、閉鎖構成要素と光学モジュール支持体との間の小さな開放空間は、測定チャンバへのガス移動及び測定チャンバからのガス移動の目的のために開いたままであり得る。好ましくは、そのような小さな開放空間は、ガスアクセスチャネルの一部を形成する。
【0134】
センサは、好ましくは、少なくとも1つの放射入射窓を備える。放射入射窓は、好ましくは、光学モジュール支持体内に配置される。放射源は、放射入射窓の近くに、例えば、光学モジュール支持体に配置された部分的又は完全な放射源区画に取り付けることができ、検出器区画は、放射入射窓によって測定チャンバから分離される。
【0135】
センサは、好ましくは、少なくとも1つの放射出射窓を備える。放射出射窓は、好ましくは、光学モジュール支持体内に配置される。測定放射を検出するための検出器は、例えば、放射出射窓によって測定チャンバから分離された光学モジュール支持体が配置された部分的又は完全な検出器区画内で、放射出射窓の近くに取り付けられてもよい。
【0136】
光学モジュール支持体は、高い熱伝導率、好ましくは30W/m/kより高い、より好ましくは100W/m/kを超える、最も好ましくは200W/m/kを超える熱伝導率を有する材料を含むか、又はそれからなってもよい。これにより、光学モジュールの温度安定化がより容易になり、光学モジュール内の温度がより均一になる。
【0137】
この態様のさらに好ましい実施形態では、測定放射に対して反射性であるコーティングが適用される場合、光学モジュール支持体は、より低い反射率を有する材料から製造されてもよい。これにより、材料の選択が広がり、適用される製造プロセスに特に適した材料又は特に安価な材料から光学モジュール支持体を製造することが可能になる。
【0138】
測定チャンバ表面としても機能する光学モジュール支持体の表面の少なくともいくつかは、追加の緩衝層又はバリア層の有無にかかわらず、反射コーティングを受けることができる。好ましくは、反射コーティングは、好ましくは99%を超える純度のAg、Au、Cu、Al、W、又はMoを含む。好ましい付着方法は、電気めっき、PVD(スパッタリング、蒸着)、CVD、及びALDを含む。
【0139】
特に十分に不活性ではないコーティングの場合、少なくとも1つの保護層を反射コーティング上に付着させることができる。保護層は、例えば、測定放射に対して十分に透過性な酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は酸化アルミニウムを含むことができる。
【0140】
この態様のさらに好ましい実施形態では、光学モジュール支持体は、少なくとも1つのガスアクセスチャネルの少なくとも一部を備え、試料ガス、好ましくは経皮的ガスがガスアクセスチャネルを通って測定チャンバに出入りすることを可能にする。
【0141】
試料ガスは、典型的には、例えば皮膚からの拡散後にセンサの接触面に存在し、好ましくは1つ又は複数のガス透過性シール及び/又は各ガスアクセスチャネルを汚染及び目詰まりから保護する膜を介して、例えば上述のようなアクセス開口部シールを介して、ガスアクセスチャネル内に移動する。
【0142】
好適には、光学モジュール支持体は、少なくとも1つのガスアクセスチャネルの一部を備える。好ましくは、これは、センサの全てのガスアクセスチャネルの主要部分を含む。好ましくは、チャネル部分は接触面で終端せず、接触面の近くでのみ終端し、シールの表面が接触面の他の部分と同じレベルにあるようにチャネルのアクセス開口部上にアクセス開口部シールを組み立てることを可能にし、したがって窪み又は突出部のない滑らかな接触面を形成することを可能にする。
【0143】
このようにして、接触面の近くから測定チャンバに通じる1つ又は複数のガスアクセス経路が形成される。そのため、試料ガスの分子は、これらのガスアクセス経路に沿って、センサの環境から測定チャンバに、又はその逆に拡散することができる。
【0144】
光学モジュール支持体は、熱源及び/又は温度センサのための少なくとも1つの取り付け場所を備えることができ、これは光学モジュールの温度安定化を容易にする。
【0145】
したがって、光学モジュールは、光学モジュール支持体、放射源、検出器、測定チャンバ、及びガスアクセスチャネルなどのガス測定に必要なセンサの主要要素を備えることができる。このモジュールは、保護ハウジング及び患者へのインターフェースを提供するケーシング内に配置されてもよく、駆動及び読み出し電子機器に接続されてもよい。
【0146】
光学モジュール支持体は、ミラーなどの閉鎖構成要素で閉鎖される開口部を含むことができる。それは、その開口部の近くに取り付け及び封止ゾーンをさらに備える。
【0147】
取り付け及び封止ゾーンは、ガスアクセスチャネルが存在しない領域、典型的には閉鎖構成要素の縁部とガスアクセスチャネル又は測定チャンバ開口部などの開口部との間に配置される。例えば、ミラーを閉鎖構成要素として使用することができ、その縁部は、光学モジュール支持体のアンダーカットに配置されるように意図されている。この場合、取り付け及び封止ゾーンは、アンダーカットとガスアクセスチャネル開口部との間に配置される。
【0148】
そのような取り付け及び封止ゾーンは、光学モジュール支持体へのミラーの液密又は気密取り付けを容易にする。
【0149】
さらに、取り付け及び封止ゾーンは、閉鎖構成要素と光学モジュール支持体との間に良好な熱接触が確立されるように、光学モジュール支持体への閉鎖構成要素の機械的取り付けを可能にする。好ましくは、上述のようなミラーは、ミラー材料がアンダーカットに押し込まれ、したがってミラーと光学モジュール支持体との間の良好な機械的接触を保証し、それによって良好な熱接触を保証するように、例えば圧着によってアンダーカットへの
塑性変形によって光学モジュール支持体に取り付けられる。
【0150】
この態様のさらに好ましい実施形態では、光学モジュール支持体は、好ましくは上述の取り付け及び封止ゾーンの近く又はその中にアンダーカットを備え、好ましくは光学モジュールの開口部の周り全体に、例えば円形に通じるアンダーカットを備える。
【0151】
次いで、閉鎖構成要素、例えば上述のミラーを、塑性変形によって取り付けることができる。閉鎖構成要素は、接着剤などの高粘度液体、好ましくは液体がガスアクセスチャネル又は開口部にまったく流入できないように、光学モジュール支持体の開口部を封止することができる。
【0152】
あるいは、閉鎖構成要素は、好ましくは高粘度接着剤を使用して接着することによって取り付けられてもよい。
【0153】
この態様のさらに好ましい実施形態では、光学モジュール支持体は、アルミニウム、真鍮、青銅、銅、チタン、ステンレス鋼、銀、金などの金属材料から、又はそのような金属を主に含む合金から、又は酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、若しくは窒化アルミニウムなどのセラミック材料から、又はエポキシ、PEEK、LCP、POM、若しくはABSなどのポリマー材料から形成される。
【0154】
光学モジュール支持体は、穿孔、フライス削り、スタンピング、深絞り、浸食、研削又は研磨などの機械加工プロセス、レーザアブレーション又はレーザ溶融などのレーザを伴う光学プロセス、エッチングなどの化学プロセス、鋳造又は成形、レーザ溶融又はレーザ焼結又は熱焼結などの付加製造プロセス、ステレオリソグラフィ、又は2光子吸収を伴う3D印刷プロセス、又はそのようなプロセスの組み合わせによって製造することができる。
【0155】
この態様のさらに好ましい実施形態では、センサは接触面を有し、光学モジュール支持体は、光学モジュール支持体のいかなる部分も接触面の部分を形成しないように、ケーシング内に配置される。好ましくは、上述のような少なくともアクセス開口部シールが、センサの接触面と光学モジュール支持体との間に配置される。
【0156】
好ましくは、光学モジュール支持体は、ケーシングから熱的に分離される。絶縁層が、光学モジュール支持体の主要部分とケーシングとの間に配置されてもよい。層は、好ましくは10W/m/k未満、より好ましくは1W/m/k未満の低い熱伝導率を有する材料を含むか、又はそれからなってもよい。
【0157】
上述のようなセンサのうちの少なくとも1つの好ましい実施形態では、センサは測定チャンバを備え、測定チャンバは、測定放射に対する高い反射率を有する表面を有する。好ましくは、放射入射窓又は放射出射窓の表面を除く測定チャンバの全ての表面、例えば、光学モジュール支持体及びミラーの関連する表面は、高反射性である。
【0158】
好ましくは、測定放射の波長の範囲内の波長に対する測定チャンバ表面の反射率は、80%を超え、より好ましくは92%を超え、さらにより好ましくは97%を超える。
【0159】
好ましくは、測定チャンバの表面の少なくともいくつかは、反射コーティングでコーティングされる。これにより、不十分な反射率を有する材料を使用して、光学モジュール支持体又はミラーなどの構成要素を作成することが可能になる。1つ以上の保護コーティングを適用してもよい。このようにして、製造に特に適した材料又は安価な材料を選択することができる。
【0160】
上述のようなセンサのうちの少なくとも1つの好ましい実施形態では、光学モジュールとセンサのケーシングとの間の容積など、測定に必要とされないセンサ内の任意の空間は、ガスに対する溶解性がないか、又はほとんどない材料で充填されてもよい。これは、例えば、エポキシでポッティングすることによって達成され得る。ガスに対する溶解性がないか、又はほとんどない材料で空の空間を充填すると、漏れがあっても試料ガスの交換が少なくなる。
【0161】
同時に充填プロセスを使用して、上述のように、光学モジュール支持体とケーシングとの間に断熱層を形成することができる。
【0162】
上述のようなセンサのうちの少なくとも1つの好ましい実施形態では、放射源は、少なくとも2つの波長、好ましくは3.5~4.5μmの範囲の波長を有する放射を放出する。好ましくは、センサは、少なくとも2つの波長を分離するための波長感受性素子を備える。例えば、波長感受性素子は、干渉フィルタや吸収フィルタであってもよい。
【0163】
好ましくは、波長感受性素子は、検出器の検出面の近く、例えば検出面と放射出射窓との間に配置される。あるいは、波長感受性素子は、放射源の近く、例えば放射源と放射入射窓との間に配置されてもよい。あるいは、波長感受性素子は、放射入射窓若しくは放射出射窓によって、又は両方の組み合わせによって、例えば窓の適切な面のコーティングによって形成されてもよい。
【0164】
波長感知素子を検出器に組み込んで1つの構成要素を形成することが有利であり得る。
上述のようなセンサのうちの少なくとも1つの好ましい実施形態では、放射源は、放出された放射の少なくとも一部が複数の経路に沿って、少なくとも第1及び第2の経路に沿って測定チャンバを通って伝播するように配置される。経路の少なくとも1つは、ミラーでの反射を含む。検出器は、第1の経路に沿って伝播する放射が第1の検出面に衝突し、第2の経路に沿って伝播する放射が第2の検出面に衝突するように配置される。光路内に追加的に配置された波長感受性素子は、測定放射の波長を分離するのに役立ち得る。
【0165】
有利には、測定放射の少なくとも一部は、非結像方式で放射源から検出面に伝播する。
上述のようなセンサのうちの少なくとも1つの好ましい実施形態では、センサは、液体に曝され得ないセンサの領域を覆う追加の液密膜を備える。好ましくは、追加の膜は、センサの接触面の少なくとも一部を覆う。追加の膜は、センサのケーシングに取り付けられてもよい。
【0166】
追加の膜は交換可能であってもよい。
上述のセンサのうちの少なくとも1つの好ましい実施形態では、センサは、追加の膜のための受容界面を備える。受容界面は、好ましくは、ケーシング内に配置され、少なくともセンサの使用中に、追加の膜を接触面の少なくとも一部の上に配置することができるように形成される。例えば、追加の膜は、患者アプリケータに一体化することができ、その場合、追加の膜は、皮膚とケーシングとの直接接触を防止する使い捨ての膜とすることができる。あるいは、追加の膜は、1つ又は複数の連続測定のためにケーシングに取り付けられたままであり得る使い捨ての膜とすることができる。
【0167】
上述のようなセンサのうちの少なくとも1つの好ましい実施形態では、センサは、小さな容積に適合するサイズ及び形状を有する。センサ(通信及び電源ケーブルなし及びコネクタなし)は、好ましくは、直径30mm及び高さ20mmの仮想円筒又は15cmの仮想容積に嵌合する。より好ましくは、センサは、直径20mm及び高さ16mmの円筒又は5cmの仮想容積に嵌合する。最も好ましくは、センサは、直径17mm及び高さ
13mmの円筒又は3cmの仮想容積に嵌合する。
【0168】
さらに、放射源から検出器までの光路に沿って伝播する全ての測定放射は、この容積に閉じ込められる。特に、測定放射をセンサの内外に導く光ファイバは、センサに接続されていない。
【0169】
好ましくは、放射源から測定チャンバを介する検出面までの最短完全光路、すなわち測定放射が続く最短経路の全長は、20mmを超えず、好ましくは10mmを超えず、最も好ましくは5mmを超えない。そのような小型化された設計は、経皮センサの製造に有利である。
【0170】
測定放射が続く最短の完全な光路は、測定チャンバのようなガスにアクセス可能な容積又は例えば放射入射窓と放射源との間の未充填空間を通るだけでなく、放射入射窓又は放射出射窓のような充填された(ガスにアクセスできない)容積も通る。好ましくは、ガスにアクセス可能な容積を通るこの経路の全ての部分の全長に対する、測定チャンバを通るこの最短の完全な光路の部分の長さは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは少なくとも75%である。このような設計により、測定結果の信頼性が向上する。
【0171】
さらに、センサは、好ましくは、センサ自体、最も好ましくは光学モジュール内でのみ測定放射を生成する。したがって、測定放射は、導波路などの手段を介してセンサに輸送されない。
【0172】
好ましくは、最初のウォームアップ段階の後、典型的な測定条件の間にセンサに送達される平均電力は、5W未満、より好ましくは2W未満、最も好ましくは1W未満である。
【0173】
好ましくは、センサの放射源は、広帯域の黒体タイプの放射を放出する熱放射体である。あるいは、放射源はまた、1つ又はいくつかのLED、例えば中間IR LED、又は波長可変若しくは非波長可変レーザからなってもよい。
【0174】
好ましくは、センサの放射検出器は、感光体又はフォトダイオード、(マイクロ)ボロメータ、又は高温計などの検出器である。検出器は、測定放射の波長に適した材料から作製される。
【0175】
本発明の第8の態様によれば、センサ、特に上述のセンサの製造方法が提供される。
光学モジュール支持体には、測定チャンバの少なくとも一部へのアクセスを提供する開口部が設けられている。次いで、光学モジュール支持体の少なくとも一部は、測定放射に対して高い反射率を有する少なくとも1つのコーティングでその開口部を通してコーティングされる。反射コーティングは、上述のような材料及び方法によって形成することができる。
【0176】
次いで、前記開口部は、ミラーの表面の少なくとも一部が測定チャンバ表面の一部を形成するように、ミラーで閉鎖される。
【0177】
放射を放出するための少なくとも1つの放射源が設けられ、その放射の少なくとも一部がミラーによって反射されるように配置される。
【0178】
好ましくは、ミラーは、変形によって、特に塑性変形によって取り付けられる。ミラーは、例えば、スタンプダイによって変形されてもよい。ミラーの縁部は、光学モジュール支持体のアンダーカットに押し込まれてもよく、これにより光学モジュール支持体に機械
的に固定される。
【0179】
有利には、本方法は、測定チャンバをセンサの放射源から分離する放射入射窓を光学モジュール支持体内に設けるさらなるステップを含む。放射源は、好ましくは、光学モジュール支持体内に配置された放射源区画内に取り付けられる。好ましくは、光学モジュール支持体は、測定チャンバを1つ又は複数のセンサの検出器から分離する放射出射窓をさらに備える。検出器は、好ましくは、光学モジュール支持体内に配置された検出器区画内に取り付けられる。
【0180】
好ましくは、少なくとも1つの放射源及び少なくとも1つの検出器は、放射源によって放出された放射の少なくとも一部が放射源から測定チャンバを通って検出器に向かって伝播し、ミラーによって反射されて検出器の検出面に衝突するように、光学モジュール支持体上又は光学モジュール支持体内に配置される。
【0181】
有利には、本方法は、光学モジュール支持体内に上述の少なくとも1つのガスアクセスチャネルの少なくとも主要部分を設けるさらなるステップを含む。
【0182】
本方法は、ガスアクセスチャネルのアクセス開口部を、試料ガスに対して透過性であるが液密又は少なくとも撥液性であるアクセス開口部シールで覆うさらなるステップを含むことができる。
【0183】
本方法は、上述のようにケーシングを設けるさらなるステップを含むことができる。光学モジュール支持体は、ケーシング内に配置されてもよい。
【0184】
本方法の好ましい実施形態では、光学モジュール支持体は、機械加工プロセス、光学若しくは化学プロセス、鋳造若しくは成形、付加製造プロセス、又はそのようなプロセスの組み合わせによって形成される。
【0185】
本発明を、好ましい実施形態及び以下の図面を参照してさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0186】
図1】本発明によるセンサの第1の例の概略断面図である。
図2】本発明によるセンサのさらなる例の概略断面図である。
図3】組み立て前の光学モジュール支持体の一部の概略断面図である。
図4】ミラーアセンブリを示す光学モジュール支持体の一部の概略断面図である。
図5】ミラー組み立て後の光学モジュールの一部の概略断面図である。
図6】本発明によるセンサのさらなる例の一部の概略断面図である。
図7】本発明によるセンサのさらなる例の一部の概略断面図である。
図8】本発明によるセンサのさらなる例の一部の概略断面図である。
図9】本発明によるセンサのさらなる例の一部の概略断面図である。
図10】本発明によるセンサのさらなる例の一部の概略断面図である。
図11】ガスアクセスチャネルのアクセス開口部の一例を示す、光学モジュールの一部の概略図である。
図12】ガスアクセスチャネルのアクセス開口部のさらなる例を示す、光学モジュールの一部の概略図である。
図13】本発明によるセンサのさらなる例の一部の概略断面図である。
図14】アクセス開口部シールの一例の概略断面図である。
図15】アクセス開口部シールのさらなる例の概略断面図である。
図16】アクセス開口部シールのさらなる例の概略断面図である。
図17】アクセス開口部シールのさらなる例の概略断面図である。
図18】アクセス開口部シールのさらなる例の概略断面図である。
図19】光学モジュールの一例の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0187】
同一の部品又は同じ機能を有する部品は、全ての図において同じ参照番号を有する。
図1は、ガスを検出するためのセンサ1、特に経皮的COを検出するためのセンサ1の概略断面図を示す。センサ1は、光学モジュール2を備える。光学モジュール2は、光学モジュール支持体19と、放射を放出するための熱放射体又はLEDの形態の放射源3と、放射源3によって放出された放射を検出するための赤外線光起電力又は光導電検出器の形態の検出器4と、干渉フィルタによって形成された波長感受性素子41と、放射を反射するためのミラー5と、試料ガスを受け取るための測定チャンバ6と、放射入射窓20と、放射出射窓21とを備える。
【0188】
光学モジュール支持体19は、例えば、銅合金、すなわち、100W/m/k以上の熱伝導率を有する材料で作製される。光学モジュール支持体19は、接触面8まで延びていない。
【0189】
ミラー5は、例えば、高反射性、変形性、不活性、非多孔質及び/又は良好に熱伝導性材料である金で形成される。これは、光学モジュール支持体19の開口部を閉じ、ミラー5と光学モジュール支持体19との間に良好な熱接触が確立されるように、塑性変形によって光学モジュール支持体19に取り付けられる。
【0190】
放射源3、検出器4、ミラー5及び測定チャンバ6は、放射の少なくとも一部がミラー5での反射を含む経路に沿って測定チャンバ6を通って伝播するように配置される。
【0191】
測定チャンバ6は、測定放射に対して高反射性の表面を有する。この実施形態では、高反射率は、例えば、これらの表面上の金の高反射率コーティングによって達成される。コーティングは、ミラー5を取り付ける前に、光学モジュール支持体19の開口部を通して適用することができる。
【0192】
センサ1は、光学モジュール2が配置されるケーシング7をさらに備える。ケーシング7は、好ましくは10W/m/kを超える高熱伝導率を有する金属材料(特に、銅合金、アルミニウム合金、又はチタン合金)で形成される。
【0193】
センサ1は、測定部位に向けて方向付け可能であり、経皮測定中に患者の皮膚と密接するように意図された接触面8を有する。
【0194】
センサ1は、ガスが接触面8から測定チャンバ6に移動することを可能にするガスアクセスチャネル9を有する。ガスアクセスチャネル9は、ミラー5を通りもミラー5の周りを直接通りもしないように配置される。ガスアクセスチャネル9は、接触面8の近くから測定チャンバ6に通じ、ミラー5の内面24(図4参照)の一部に沿って延びるように配置される。この部分は、ガスアクセスチャネル9がミラー5の縁部25に到達しないように選択される(同じく図4を参照)。ガスアクセスチャネル9は、主に光学モジュール支持体19内に配置される。
【0195】
放射源3は、放射源区画10内に配置される。
センサ1は、放射源区画10から環境22に通じる少なくとも1つの通気チャネル11を備える。
【0196】
センサ1は、放射源区画10内に閉じ込められたガスが環境22に逃げることを可能に
しながら、通気チャネル11を液体又は粒子から保護するための、液密であるがガス透過性の通気チャネルシール12を備える。シール12は、例えば、シリコーンなどのポリマーで作製される。
【0197】
検出器4は、検出器区画27内に配置される。
ミラー5は、接触面8から距離13を置いて配置され、ケーシング7の部分14によって覆われている。
【0198】
ミラー5は、ケーシング7から熱的に切り離される。例えばエポキシ製の断熱層15が、ミラー5とケーシング7の部分14との間に配置される。
【0199】
ガスアクセスチャネル9は、センサ1の接触面8の近くに配置されたアクセス開口部17で終端する。アクセス開口部17は、ガス透過性であるが液密又は撥液性であるアクセス開口部シール18によって覆われている。シールは、例えば、チタン、鋼、又はガラス製の基板と、フルオロポリマー、シリコーン、又はポリオレフィンなどのポリマーコーティングとによって形成される。さもなければ、アクセス開口部シール18とケーシング7との間の空の空間は、エポキシなどのポッティング材料37で充填される。アクセス開口部シール18及びポッティング材料37は、それらがケーシング7の部分とのかなり滑らかな接触面8を形成するように形成及び配置される。
【0200】
光学モジュール19とケーシング7との間などのセンサの内部の空の空間は、ポッティング材料16、特にエポキシでポッティングされる。
【0201】
センサ1は、湿潤環境又は湿度環境におけるセンサの信頼性が向上するように、少なくとも使用中に追加の膜26を備えることができる。追加の膜26は、センサ1のケーシング7に取り付けられ、交換可能である。
【0202】
センサは、センサの上部を閉じて保護する、好ましくはポリマーから作製されたカバー又はキャップ35をさらに含んでもよい。
【0203】
図2は、センサ1のさらなる例の概略断面図を示す。さらに、光学モジュール2は、測定チャンバ6と放射源区画10又は検出器区画27との間のガス交換を妨げるために、放射入射窓20及び放射出射窓21の少なくとも一部に沿って放射窓シール34を備える。
【0204】
センサ1は、光学モジュール支持体19を貫通する通気チャネル11をさらに備える。通気チャネル11は、放射源区画に由来する。通気チャネルシール12は、放射源区画10内に存在する不要なガスが放射源区画10からセンサの環境22に拡散することを可能にする。通気チャネル11は、ある程度まで通気チャネルシール12内に延在してもよい。
【0205】
図3は、組み立て前の光学モジュール支持体19の一部の概略断面図を示す。光学モジュール支持体19は、ガスアクセスチャネル9(図1参照)の主要部分を備える。光学モジュール支持体19は、測定チャンバ6の表面(図1参照)の重要な部分を画定する表面上への反射コーティング29の適用を可能にする開口部28を備える。
【0206】
反射コーティング29は、例えば、金、又は銀と保護コーティングとの組み合わせで作製される。これは、測定放射に対して反射性が高い。
【0207】
ミラー5(図4及び図5参照)によって覆われるべきであり、光学モジュール支持体19内のガスアクセスチャネル9の一部とアンダーカット33との間に位置する表面上の取
り付け及び封止ゾーン30が、光学モジュール支持体19上に設けられる。
【0208】
図4は、ミラー5を組み立てる方法を示す、光学モジュール支持体19の一部の概略断面図を示し、開口部28はミラー5で閉鎖されている。
【0209】
ミラー5は、ミラー5の縁部25がアンダーカット33の近くに位置し、ミラーの内面24がガスアクセスチャネル9の一部を覆うように、光学モジュール支持体19上に配置される。次に、ミラー5の塑性変形は、ミラーの横方向容積32からの材料がアンダーカット33内に変位するように、スタンプダイ31を用いてミラー5を押圧することによって達成される(図5参照)。
【0210】
図5は、圧着によって光学モジュール支持体19上にミラー5を組み立てた後の光学モジュール2の一部の概略断面図を示す。
【0211】
ミラー5の横方向容積32は、光学モジュール支持体19のアンダーカット33内に変位され、それにより、前記ミラー5はアンダーカット33内に固定され、光学モジュール支持体19への良好な熱接触が達成される。
【0212】
ガスアクセスチャネル9の一部は、ミラーの内面24に沿って測定チャンバ6に通じている。
【0213】
図6は、センサ1のさらなる例の一部の概略断面図を示す。
少なくとも光学モジュール支持体19及びミラー5を備える光学モジュール2は、ケーシング7内に配置される。光学モジュール2とケーシング7との間、特にミラー5とケーシング7の部分14との間には、断熱層15が設けられている。
【0214】
ガスアクセスチャネル9は、測定チャンバ6からミラー5の内面24の一部に沿って、次いでミラー5の縁部の周りではなく光学モジュール支持体19を通ってセンサ1の接触面8の近くまで延びる。光学モジュール支持体19とケーシング7との間の間隙は、断熱層15として使用される材料とは異なるか又は同じであり得るポッティング材料37で充填される。ガスアクセスチャネル9のアクセス開口部17は、ガスアクセスチャネルの端部付近で広がっている。
【0215】
追加の膜26が、少なくとも使用中にセンサの接触面の近くに存在し、これにより、ガスアクセスチャネルが液体、ペースト、又は粒子などの汚染物で詰まるのを防ぐ。
【0216】
図7は、センサ1のさらなる例の一部の概略断面図を示す。
この実施形態では、ガスアクセスチャネル9のアクセス開口部17は、アクセス開口部シール18によって覆われている。アクセス開口部シール18とケーシング7との間の任意の空隙は、ポッティング材料37によってポッティングされる。ケーシング7、ポッティング材料37、及びアクセス開口部シール18は、滑らかな接触面8が形成されるように配置される。
【0217】
断熱エポキシ層15は、ミラーが接触面8から熱的に分離されるように、ミラー5とアクセス開口部シール18との間に配置される。
【0218】
アクセス開口部シール18は、ガスアクセスチャネル9のアクセス開口部17よりもはるかに広い。センサがそれらの個々のアクセス開口部を有する1つ又は複数のさらなるガスアクセスチャネルを有する場合、アクセス開口部シール18を使用して、そのようなさらなるアクセス開口部も覆って保護することができる。
【0219】
図8は、センサ1のさらなる例の一部の概略断面図を示す。
大部分が光学モジュール支持体19を通って延びるガスアクセスチャネル9は、接触面8の近くで終端する。ガスアクセスチャネル9のアクセス開口部17は、アクセス開口部17が覆われるアクセス開口部シール18に向かって広がっている。アクセス開口部17の拡大は、試料ガスがアクセス開口部シール18を通って拡散した後にガスアクセスチャネル9内に移動するのを助ける。
【0220】
アクセス開口部シール18は、アンカー36を含む。アンカー36は、機械的に固定されるように、ポッティング材料37、好ましくはエポキシに埋め込まれる。
【0221】
図9は、センサ1のさらなる例の一部の概略断面図を示す。
ガスアクセスチャネル9のアクセス開口部17は、例えばフルオロポリマー、シリコーン、又はポリオレフィンで作製された液密膜42で覆われており、これは、例えば金属、ガラス、又はセラミック基板及びポリマーコーティングで作製されたアクセス開口部シール18で覆われている。
【0222】
図10は、センサ1のさらなる例の一部の概略断面図を示す。
アクセス開口部17は、ガスアクセスチャネル9よりも広く、アクセス開口部シール18との界面に沿って延びる浅い空洞43を備える。この浅い空洞43は、試料ガスがアクセス開口部シール18を通って拡散した後にガスアクセスチャネル9内に移動するのを助ける。浅い空洞43又はアクセス開口部17は、アクセス開口部シール18の主要部分の下に存在するように形成されてもよい。
【0223】
図11は、光学モジュール支持体19の一部、具体的にはガスアクセスチャネル9のアクセス開口部17の一例の概略上面図を示す。アクセス開口部17は、ガスアクセスチャネル9の端部から星形のパターンで広がる浅い空洞43を含む。
【0224】
そのような星形の浅い空洞43は、アクセス開口部シール18がその面積の大部分にわたって機械的に支持されるが、円筒形の空洞では支持されないため、単純な浅い円筒形の空洞よりも有利である。これは、浅い空洞が広い領域にわたって広がる場合に特に関連する。
【0225】
図12は、光学モジュール支持体19の一部、具体的にはガスアクセスチャネル9のアクセス開口部17のさらなる例の概略上面図を示す。アクセス開口部17は、ガスアクセスチャネル9の端部の近傍に格子状パターンで配置された浅い空洞43を備える。
【0226】
浅い空洞43の格子状配置は、広い領域、すなわち大きなアクセス開口部シールについてもガスアクセスチャネル9に向かうガス移動を支援するが、浅い空洞43によって形成される追加のガスアクセス可能な容積は小さいままである。さらに、大きなアクセス開口部シールも、光学モジュール支持体19によって機械的に良好に支持されたままである。
【0227】
図13は、センサ1のさらなる例の一部の概略断面図を示す。
ガスアクセスチャネル9のアクセス開口部17は、ガスアクセスチャネル9の隣接部分よりも著しく広くない。
【0228】
アクセス開口部シール18は、アクセス開口部シール18との界面の一部に沿って延在する浅い空洞44を備える。この浅い空洞44は、上述したように(図10図12)、アクセス開口部17内の浅い空洞と同じ方法でアクセス開口部シール18を通って拡散した後に、試料ガスがガスアクセスチャネル9内に移動するのを助ける。浅い空洞44は、
星形若しくは格子状、又はガスアクセスチャネル9に向かう任意の他のパターンで、アクセス開口部シール18の主要部分に形成することができる。
【0229】
図14は、アクセス開口部シール18の一例の概略断面図を示す。
アクセス開口部シール18は、基板の上面から下面に通じる穴を含む基板38を備える。基板38は、突出部39を備える。
【0230】
ガス透過性コーティング40は、少なくとも突出部39の間に配置される。突出部39の材料は、例えば、チタン、鋼、ガラス、又は透過性コーティング40の材料よりも耐摩耗性が高いセラミックである。
【0231】
好ましくは、ガス透過性コーティング40はまた、突出部を覆う。これは、例えばコーティング40が非粘着性又は易洗浄性を有するフルオロポリマーである場合に特に有利である。
【0232】
図15は、アクセス開口部シール18のさらなる例の概略断面図を示す。
ここで、ガス透過性コーティング40は、少なくとも突出部39の間に、またある程度又は完全に穴の中に配置される。
【0233】
図16は、アクセス開口部シール18のさらなる例の概略断面図を示す。
基板38は、アクセス開口部シール18の上部のより大きな穴と、より大きな穴の底部からアクセス開口部シール18の下面に通じるより小さな穴とを含む。各大きな穴には、1つ又は複数の小さな穴があってもよい。より大きな穴は、アンダーカットが生成されるように円錐形に形成されてもよい。より大きな穴の間に、基板38は突出部39を備える。
【0234】
ガス透過性コーティング40は、より大きな穴内の少なくとも突出部39の間に配置される。したがって、より大きな穴のガス透過性コーティング40は、摩耗から保護されると同時に、より大きな穴の円錐形のために所定の位置に保持される。より小さい穴は、ガス透過性コーティング40がコーティングプロセス中にそれらの穴に容易に浸透しないほど直径が小さくてもよい。これにより、ガス透過性コーティング40の厚さを薄くすることができ、これにより、測定部位からガスアクセスチャネル内への試料ガスの拡散時間が短縮される。
【0235】
アクセス開口部シール18は、底面に浅い空洞43をさらに備え、これは小さい穴を接続し、完全に組み立てられたセンサ内のガスアクセスチャネルのアクセス開口部に通じる。浅い空洞43の形状は、円筒形、星形、格子状、又は他の任意の形状を有することができる。
【0236】
図17は、アクセス開口部シール18のさらなる例の概略断面図を示す。
アクセス開口部シール18は、溶融粒子によって形成された多孔質基板38を含む。基板の上面から底面に延びる直接チャネルは存在せず、又はそのようなチャネルはわずかしか存在しない。代わりに、多孔質基板38の構成要素間の多くの空隙が相互接続され、任意の形状の拡散チャネルを形成する。基板38の不規則な構造は、突出部39をもたらす。
【0237】
ガス透過性コーティング40は、少なくとも突出部39の間に配置される。突出部39の材料は、透過性コーティング40の材料よりも耐摩耗性が高い。ガス透過性コーティング40は、基板の空隙内に部分的に又は完全に延在してもよい。
【0238】
図18は、アクセス開口部シール18のさらなる例の概略断面図を示す。
上述のような材料で作製されたガス透過性コーティング40は、基板38の穴の中に、又はこれらの穴の少なくとも一部の中に配置される。基板38の材料は、透過性コーティング40の材料よりも耐摩耗性が高いため、基板はコーティングを損傷から保護する。
【0239】
図19は、光学モジュール2の一例の概略断面図を示す。光学モジュール2は、好ましくは良好な熱伝導性材料である銅合金から作製される光学モジュール支持体19を備える。光学モジュール支持体19には、上述したようにミラー5が取り付けられている。ガスアクセスチャネル9は、光学モジュール支持体19を通り、光学モジュール支持体19とミラー5の内面24との間を通っている。ガスアクセスチャネル9のアクセス開口部17に存在する試料ガスは、ミラー5の縁部の周りに直接通じない経路で測定チャンバ6内に拡散することができる。
【0240】
光学モジュール2は、放射入射窓20及び放射出射窓21をさらに備える。放射窓シール34は、測定チャンバ6を放射源区画10及び検出器区画27から分離し、これらは両方とも光学モジュール支持体19内に本質的に加工され、その結果、測定チャンバ6と放射源区画10又は検出器区画27との間のガス交換が強く制限される。放射源3によって放出された測定放射は、放射入射窓20を通って測定チャンバ6内に伝播することができ、そこでミラー5及び/又は測定チャンバ6の表面で反射を受ける。測定放射はさらに、放射出射窓21を通って波長感受性素子41を通って伝播することができ、その後、検出器4の検出面によって吸収されてもよい。放射は、非結像様式で伝播し得る。
【0241】
光学モジュール2は、放射源チャンバ10内に存在する不要なガスがそれを通って逃げることができる通気チャネル11の少なくとも一部をさらに備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-08-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを検出するためのセンサ(1)であって、
前記センサ(1)は、
放射を放出するための少なくとも1つの放射源(3)と、
前記放射源によって放出された放射を検出するための少なくとも1つの検出器(4)と、
測定対象の前記ガスを受け入れるための少なくとも1つの測定チャンバ(6)と
を備え、
前記放射源(3)、前記検出器(4)、及び前記測定チャンバ(6)は、前記放射の少なくとも一部が前記測定チャンバ(6)を通過する経路に沿って伝播するように配置され、
前記センサ(1)は、光学モジュール支持体(19)を備え、その光学モジュール支持体(19)は、前記測定チャンバの一部を形成し、開口部(28)を備え、前記センサは、前記開口部(28)を閉じるための閉鎖構成要素、すなわちミラー、を備え、
前記センサの主測定チャンバ境界は、光学モジュール支持体、ミラー、並びに放射入射及び出射窓の表面部分によって形成され、
前記ミラーと前記光学モジュール支持体との間の小さな開放空間は、前記測定チャンバへのガス移動及び前記測定チャンバからのガス移動の目的のために開いたままである、センサ(1)。
【請求項2】
前記光学モジュール支持体(19)は、少なくとも1つのガスアクセスチャネル(9)の少なくとも一部を含み、測定対象の前記ガスが前記ガスアクセスチャネル(9)を通って前記測定チャンバ(6)に移動することを可能にする、請求項1に記載のセンサ(1)。
【請求項3】
前記光学モジュール支持体(19)は、前記開口部(28)の近くに取り付け及び封止ゾーン(30)を備え、前記光学モジュール支持体(19)への前記閉鎖構成要素の機械的取り付けを可能にする、請求項1または2に記載のセンサ(1)。
【請求項4】
前記光学モジュール支持体(19)は、前記閉鎖構成要素の横方向容積(32)を配置することができるアンダーカット(33)を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサ(1)。
【請求項5】
前記光学モジュール支持体(19)は、
-金属材料、
-セラミック材料、及び
-ポリマー材料
の群から選択される材料から形成される、請求項1から4のいずれか1項に記載のセンサ(1)。
【請求項6】
前記センサは接触面(8)を有し、前記光学モジュール支持体(19)は、前記光学モジュール支持体のいかなる部分も前記接触面(8)の部分を形成しないようにケーシング(7)内に配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載のセンサ(1)。
【請求項7】
前記センサは、測定チャンバ(6)を備え、前記測定チャンバ(6)は、その少なくとも一部が測定放射に対して反射率を有する表面によって制限される、請求項1から6のいずれか1項に記載のセンサ(1)。
【外国語明細書】