(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160712
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】3次元モデル生成方法、3次元モデル生成プログラム、および3次元モデル生成装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20241108BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074075
(22)【出願日】2023-04-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-11-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和 5年 3月 3日、中部地方整備局高山国道事務所にて顧客説明により公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和 5年 3月17日、国土交通省関東地方整備局にて顧客説明により公開
(71)【出願人】
【識別番号】390034463
【氏名又は名称】株式会社オリエンタルコンサルタンツ
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】出本 剛史
(72)【発明者】
【氏名】水野 耕治
(72)【発明者】
【氏名】石井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】早川 典克
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】設計段階で作成した3次元モデルに基づいて、ICT建設機械に取り込むことができる3次元モデルを生成できること。
【解決手段】施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成方法であって、コンピュータの演算部が、設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得段階と、前記演算部が、前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルである施工段階モデルを生成する生成段階と、を少なくとも含んでいる、3次元モデル生成方法などを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成方法であって、
コンピュータの演算部が、設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得段階と、
前記演算部が、前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルである施工段階モデルを生成する生成段階と、を少なくとも含んでいる、3次元モデル生成方法。
【請求項2】
前記施工対象データは、施工段階における地形の変化に関するデータである地形変化データを含んでいる、
請求項1に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項3】
前記地形変化データは、前記施工対象に対して除根を行う前後のそれぞれの地形データを含んでいる、
請求項2に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項4】
前記施工対象データは、余盛の度合いに関するデータである余盛データを含んでいる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項5】
前記施工対象データは、前記施工対象の地質データを含んでいる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項6】
前記地質データは、土の種類もしくは含水比またはその両方のデータを含んでいる、
請求項5に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項7】
前記施工対象データは、前記施工対象における位置に関する位置データを含んでいる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項8】
前記演算部が、前記生成段階において、前記建設機械の仕様に関するデータである建設機械データに基づいて前記設計段階モデルを補正する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項9】
前記演算部が、前記生成段階において、前記建設機械データに基づいて、前記設計段階モデルを構成する要素を間引きする、
請求項8に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項10】
施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成プログラムであって、
設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得段階と、
前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルである施工段階モデルを生成する生成段階と、をコンピュータに実行させる、3次元モデル生成プログラム。
【請求項11】
施工対象を施工する建設機械の動作を制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成装置であって、
設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得部と、
前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルである施工段階モデルを生成する生成部と、を少なくとも備えている、3次元モデル生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元モデル生成方法、3次元モデル生成プログラム、および3次元モデル生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設工事現場において、ICT(Information and Communication Technology)建設機械が活用されている。ICT建設機械とは、ICTを活用して、建設機械の自動運転化や自律化、センサ技術の導入、データ収集・分析などによって、建設現場の作業効率化や生産性向上、品質管理の向上、安全性の確保などを実現する建設機械である。
【0003】
たとえば、特許文献1では、施工作業における進捗管理の支援を実現する工事管理支援プログラムなどについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作成した3次元モデルをICT建設機械に取り込むことで、建設機械の動作を支援・制御することができる。
【0006】
しかし、様々な条件により、設計段階で作成した3次元モデルをICT建設機械に取り込むことが困難になっている。そのため、ICT建設機械に取り込む3次元モデルを別個に作成している。これにより、設計と異なる寸法の築造物が建設されたり、時間の浪費が生じたり、コストが増加したりするおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、設計段階で作成した3次元モデルに基づいて、ICT建設機械に取り込むことができる3次元モデルを生成できる3次元モデル生成方法、3次元モデル生成プログラム、および3次元モデル生成装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成方法であって、
コンピュータの演算部が、設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得段階と、
前記演算部が、前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルである施工段階モデルを生成する生成段階と、を少なくとも含んでいる、3次元モデル生成方法を提供する。
前記施工対象データは、施工段階における地形の変化に関するデータである地形変化データを含んでいてよい。
前記地形変化データは、前記施工対象に対して除根を行う前後のそれぞれの地形データを含んでいてよい。
前記施工対象データは、余盛の度合いに関するデータである余盛データを含んでいてよい。
前記施工対象データは、前記施工対象の地質データを含んでいてよい。
前記地質データは、土の種類もしくは含水比またはその両方のデータを含んでいてよい。
前記施工対象データは、前記施工対象における位置に関する位置データを含んでいてよい。
前記演算部が、前記生成段階において、前記建設機械の仕様に関するデータである建設機械データに基づいて前記設計段階モデルを補正してよい。
前記演算部が、前記生成段階において、前記建設機械データに基づいて、前記設計段階モデルを構成する要素を間引きしてよい。
また、本発明は、
施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成プログラムであって、
設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得段階と、
前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルである施工段階モデルを生成する生成段階と、をコンピュータに実行させる、3次元モデル生成プログラムを提供する。
また、本発明は、
施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成装置であって、
設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得部と、
前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルである施工段階モデルを生成する生成部と、を少なくとも備えている、3次元モデル生成装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設計段階で作成した3次元モデルに基づいて、ICT建設機械に取り込むことができる3次元モデルを生成できる3次元モデル生成方法、3次元モデル生成プログラム、および3次元モデル生成装置を提供できる。なお、本明細書中に記載した効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法の一例を示すフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法が用いる3次元モデルの一例を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法が用いる3次元モデルの一例を示す模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法が用いる3次元モデルの一例を示す模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法において表示する画面の一例である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法が用いるデータベースの一例である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法が用いるデータベースの一例である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法が用いる3次元モデルの一例を示す模式図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成装置100の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための好適な形態について、添付した図面を参照しつつ説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態を示したものであり、本発明の範囲がこれらの実施形態に限定されることはない。また、それぞれの実施形態は組み合わせることができる。
【0012】
以下の実施形態の説明において、略平行、略直交のような「略」を伴った用語で構成を説明することがある。例えば、略平行とは、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、完全に平行な状態から例えば数%程度ずれた状態を含むことも意味する。他の「略」を伴った用語についても同様である。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0013】
本発明の説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施形態(3次元モデル生成方法の例)
2.第2の実施形態(3次元モデル生成プログラムの例)
3.第3の実施形態(3次元モデル生成装置の例)
【0014】
<1.第1の実施形態(3次元モデル生成方法の例)>
<(1)概要>
従来、築造物などの施工対象の設計段階において、施工対象を3次元モデルとして作成している。施工業者は、この3次元モデルに基づいて、施工対象を施工することができる。
【0015】
また、施工工事現場での施工において、ICT建設機械が活用されている。ICT建設機械が3次元モデルを取り込むことにより、自動運転化や自律化などが実現できる。
【0016】
しかし、様々な条件により、設計段階で作成した3次元モデルをICT建設機械に取り込むことが困難になっている。たとえば、除根などにより地形が変化すると、設計段階で作成した3次元モデルをICT建設機械に取り込んでも、設計段階から地形が変化しているため、正確に施工できないおそれがある。
【0017】
なお、除根とは、建設工事現場において、施工対象の基礎を作るために、土地に生えている木や根を取り除く作業のことである。除根を行うことで、土地の状態を整え、基礎の安定性や施工対象の安全性を確保できる。
【0018】
あるいは、たとえば盛土の上に建設機械が配置されるとき、盛土が転圧されて、盛土の上下方向の高さがわずかに小さくなることがある。このような場合でも、仕上げ寸法を確保するために、設計した寸法に対して、ある程度の余裕を持たせた余盛を行う必要がある。
【0019】
しかし、施工業者が、除根による地形の変化や、余盛を考慮して3次元モデルを修正することは困難である。従来、この修正には多くの工数を必要としている。たとえば、3次元モデルが点群で構成されているとき、複数の点の再作成が必要となる。
【0020】
このような理由により、現状は、施工業者がICT建設機械に取り込む3次元モデルを別個に作成している。つまり、設計段階で3次元モデルが新規に作成され、施工段階で3次元モデルが新規に作成されている。それぞれの段階で3次元モデルが別個に作成されることにより、たとえば、設計と異なる寸法の築造物が建設されたり、時間の浪費が生じたり、コストが増加したりするおそれがある。
【0021】
そこで、本発明は、設計段階で作成した3次元モデルに基づいて、ICT建設機械に取り込むことができる3次元モデルを生成できる3次元モデル生成方法を提供する。具体的には、施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成方法であって、コンピュータの演算部が、設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得段階と、前記演算部が、前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルである施工段階モデルを生成する生成段階と、を少なくとも含んでいる、3次元モデル生成方法を提供する。
【0022】
本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法の処理フローについて
図1を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法の一例を示すフローチャートである。
【0023】
図1に示されるとおり、まず、取得段階(ステップS1)において、コンピュータの演算部が、設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する。演算部は、たとえばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などで構成される。演算部は、たとえばプログラムを読み込むことで、以下に示す機能を実現する。
【0024】
3次元モデルは、BIM(Building Information Modeling)/CIM(Civil Information Modeling)で用いることができる。BIM/CIMは、土木工学の分野で使用される、3次元モデリングや情報共有を中心とした設計手法である。
【0025】
BIMは、建築に関する情報を3次元モデルとして管理し、施工対象のライフサイクル全体を通じて設計や施工、運用、保守などの工程を統合的に管理する手法である。BIMを使用することで、各工程の調整や施工対象の効率的な運用など、施工対象の全体最適化を図ることができる。
【0026】
BIM/CIMは、土木工学分野において、道路、橋、トンネル、ダムなどの建設物の情報を共有するために使用される手法である。BIM/CIMによって、建設物の全体最適化や、複数のプロジェクト間での情報共有が可能になる。
【0027】
この3次元モデルは、様々な方法で作成できる。たとえば、市販のCAD(Computer-Aided Design)ソフトウェアを使用して、施工対象を3次元モデルとして作成できる。この3次元モデルの一例について
図2を参照しつつ説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法が用いる3次元モデルの一例を示す斜視図である。
【0028】
図2に示されるとおり、3次元モデルは、たとえば複数の点群から構成される三角形不規則ネットワーク(Triangulated Irregular Network:TIN)で表現されていてよい。TINは、不規則な点群から三角形の面を作り、その面の集合体で表現されている。これにより、地形の傾斜や高低差を表現することができる。なお、3次元モデルを構成する面の形状は三角形に限定されず、たとえば四角形、五角形などであってもよい。
【0029】
あるいは、ポリゴンモデリングを使用して、施工対象を3次元モデルとして作成してもよい。ポリゴンモデリングは、3次元モデルを作成するための手法の一つで、直接的に物体の形状を描画する方法である。
【0030】
あるいは、フォトグラメトリを使用して、施工対象を3次元モデルとして作成してもよい。フォトグラメトリは、写真を使用して3次元モデルを作成する手法である。複数の写真を撮影し、それぞれの写真の視点を揃えることで、物体の3次元形状を構築できる。
【0031】
図1の説明に戻る。次に、生成段階(ステップS2)において、演算部が、施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルである施工段階モデルを生成する。具体的な補正方法については後述する。
【0032】
本発明によれば、設計段階で作成した3次元モデルに基づいて、ICT建設機械に取り込むことができる3次元モデルを生成できる。これにより、設計段階と施工段階のそれぞれにおいて別個に3次元モデルを作成する必要がなくなる。その結果、作業品質および作業効率が向上し、作業コストが低減する。なお、この効果は、後述する他の実施形態においても同様に生じる。そのため、他の実施形態の説明においては、再度の記載を省略することがある。
【0033】
<(2)地形変化データ>
生成段階(ステップS2)において、設計段階モデルの補正に用いられる施工対象データは、施工段階における地形の変化に関するデータである地形変化データを含んでいることが好ましい。これにより、地形が変化しても、この変化に応じて3次元モデルを補正することにより、この3次元モデルをICT建設機械に取り込むことができる。
【0034】
地形が変化する要因は特に限定されない。たとえば、地震、洪水、台風、崩落などの自然災害により、地形が変化することがある。あるいは、地下水の過剰な汲み上げや地下採掘などによって、地盤が沈下することがある。あるいは、風化、浸食、堆積などの自然現象によって、地形が長期間に渡って変化することがある。
【0035】
特に、建設工事現場では、施工対象に対して除根を行うことが多い。除根を行うことで、土地の状態を整え、基礎の安定性や施工対象の安全性を確保できるが、地形が変化するおそれがある。
【0036】
そのため、地形変化データは、施工対象に対して除根を行う前後のそれぞれの地形データを含んでいることが好ましい。このことについて
図3を参照しつつ説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法が用いる3次元モデルの一例を示す模式図である。
図3Aは、この3次元モデルの斜視図である。
図3Bは、
図3AにおけるA-A断面図である。
【0037】
図3に示されるとおり、盛土が3次元モデルで表現されている。盛土とは、土や砂利、岩石、コンクリートなどの材料を使用して、地面を盛り上げることで、土地の高低差を均すための工事のことを指す。盛土は、主に道路、鉄道、河川などの交通インフラや築造物の基礎、防潮堤や堤防などの公共事業に利用される。盛土の目的は、地面の高低差を均し、建設物の安定性を確保することや、水害や地滑りなどの自然災害から建物を守ることなどが挙げられる。
【0038】
図3において、施工対象である盛土に対して除根を行う前の土地の標高である除根前標高H1と、除根を行った後の土地の標高である除根後標高H2と、が示されている。
【0039】
演算部は、除根前標高H1と除根後標高H2との差分に基づいて3次元モデルを補正する。具体的には、
図3Bに示されるとおり、演算部は、右側勾配面RSおよび左側勾配面LSのそれぞれを延伸する。つまり、3次元モデルの全体的な長さを補正する。これにより、この3次元モデルをICT建設機械に取り込むことができる。
【0040】
この地形変化データは、ユーザからの入力を受け付けることで取得することができる。たとえば、ユーザは、測量機器を使用して、除根後の施工工事現場の地面の高さなどを測量して、除根後の地形データを取得できる。演算部は、設計された除根前の地形データに含まれる除根前標高H1と、測量された除根後の地形データに含まれる除根後標高H2と、の差分に基づいて、3次元モデルを補正する。地面には起伏があるため、地面の位置に応じて除根前標高H1および除根後標高H2が変化している。演算部は、地面の位置ごとに適切に標高を補正することができる。
【0041】
あるいは、地形変化データは、演算部が自律的に演算することができる。このとき、たとえば機械学習が用いられてもよい。機械学習とは、データから自動的にパターンや規則性を学習し、予測や意思決定を行うためのアルゴリズムや手法のことである。機械学習の種類として、教師あり学習、教師なし学習、強化学習などが用いられることができる。
【0042】
教師あり学習のアルゴリズムとして、たとえば、ニューラルネットワーク、ランダムフォレスト、サポートベクターマシンなどが用いられることができる。教師なし学習のアルゴリズムとして、たとえば、主成分分析、クラスタリングなどのアルゴリズムが用いられることができる。強化学習のアルゴリズムとして、たとえば、Q学習、方策勾配法、強化学習ニューラルネットワークなどが用いられることができる。
【0043】
3次元モデルがTINで表現されている場合、TINを構成する点群のうち、任意の一つの点の位置を変更することは困難である。従来、任意の一つの点の位置を変更する場合、この点を一旦削除して、新規に点を再作成する必要がある。3次元モデルの全体的な長さを補正する場合、多くの点の再作成が必要となり、作業が煩雑になる。そのため、施工業者は、ICT建設機械に取り込む3次元モデルを新規に作成していた。たとえば、高さ5メートル、長さ500メートルの盛土の3次元モデルを新規に作成するのに約6日間を要していた。
【0044】
一方、本発明によれば、3次元モデルの全体的な長さを補正することができる。これにより、この3次元モデルをICT建設機械に取り込むことができる。上記の例である高さ5メートル、長さ500メートルの盛土の3次元モデルを補正するのに、約3時間で可能となる。
【0045】
<(3)余盛データ>
たとえば施工対象が盛土であるとき、盛土の施工において余盛が行われることがある。余盛とは、施工対象の仕上げ寸法を確保するために、盛土の寸法に余裕を持たせることである。たとえば、盛土の上に建設機械が配置されるとき、盛土が転圧されて、盛土の上下方向の高さがわずかに小さくなることがある。このような場合でも、仕上げ寸法を確保するために、余盛を行うことで盛土の寸法に余裕を持たせることが好ましい。
【0046】
この余盛について
図4を参照しつつ説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法が用いる3次元モデルの一例を示す模式図である。
図4に示されるとおり、盛土が3次元モデルで設計されており、この3次元モデルに対して、余盛が行われている。破線が、余盛が行われる前の盛土の形状である。盛土の右側勾配面RSおよび左側勾配面LSのそれぞれに、余盛が行われている。
【0047】
上述したように、本発明に係る演算部は、施工対象データに基づいて設計段階モデルを補正することにより、施工段階モデルを生成する。この施工対象データは、余盛の度合いに関するデータである余盛データを含んでいることが好ましい。演算部は、この余盛データに基づいて、設計段階モデルを補正することができる。
【0048】
この余盛の度合いに関するデータである余盛データは、ユーザからの入力を受け付けることで取得することができる。このことについて
図5を参照しつつ説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法において表示する画面の一例である。
【0049】
図5に示されるとおり、この画面を介して、施工ステップデータD1と、この施工ステップにおける余盛データD2と、を受け付けている。
【0050】
まず、施工ステップデータD1について説明する。施工ステップとは、施工工事現場において、一定の順序で段階的に実施する計画的な手順のことである。この画面では、4段階目の施工ステップが選択されている。
【0051】
次に、領域ごとの余盛データD2が入力可能になっている。「天端余盛部」の項目では、
図4に示される盛土の天端面TSに設ける余盛データが入力可能になっている。「起点側勾配余盛部」の項目では、
図4に示される盛土の手前側の面に設ける余盛データが入力可能になっている。「終点側勾配余盛部」の項目では、
図4に示される盛土の奥側の面に設ける余盛データが入力可能になっている。「右側勾配余盛部」の項目では、
図4に示される盛土の右側勾配面RS面に設ける余盛データが入力可能になっている。「左側勾配余盛部」の項目では、
図4に示される盛土の左側勾配面LSに設ける余盛データが入力可能になっている。
【0052】
演算部は、この余盛データに基づいて、設計段階モデルを構成する点群の位置を補正して、施工段階モデルを生成する。この施工段階モデルは、ICT建設機械に取り込むことができる。
【0053】
あるいは、余盛データは、演算部が自律的に演算することができる。このとき、たとえば機械学習が用いられてもよい。
【0054】
<(4)地質データ>
この余盛の度合いは、盛土の地質状況に影響される。たとえば、土の含水比が変わることで土の密度や体積が変化する。土の含水比とは、その土の重量に対する含まれる水分の重量の割合を示す指標である。
【0055】
土の密度は、たとえば土の含水比によって大きく影響を受ける。通常、土の含水比が高い場合、土の密度は低くなる。これは、水分が土粒子の間に入り込んで、土の間隙を広げるためである。一方、土の含水比が低い場合は、土の密度は高くなる。これは、水分が少ないため、土粒子がより密に詰まるためである。
【0056】
盛土に余盛を行うことで、土の含水比の変化に対応することができる。例えば、土の含水比が高くなった場合、土の密度が低下するため、余盛を行って土を追加することで密度を回復させることができる。
【0057】
盛土における土の密度や体積は、含水比のほかに、たとえば、土の種類によっても大きく影響を受ける。砂質土は粘土質土に比べて密度が低く、体積が大きくなる。あるいは、土の粒径によっても大きく影響を受ける。たとえば、粒径の小さい土は密度が高く、体積が小さくなる。
【0058】
上述したように、本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法は、演算部が、施工対象データに基づいて設計段階モデルを補正する。この施工対象データは、施工対象の地質データを含んでいることが好ましい。特には、地質データは、土の種類もしくは含水比またはその両方のデータを含んでいることが好ましい。演算部は、土の種類もしくは含水比またはその両方のデータに基づいて、設計段階モデルを補正することもできる。
【0059】
土の種類もしくは含水比またはその両方のデータは、たとえばデータベースとして記録されていてよい。このことについて
図6を参照しつつ説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法が用いるデータベースの一例である。このデータベースは、たとえばコンピュータが備える記憶部が記憶していてよい。
【0060】
図6に示されるとおり、土の種類および含水比のそれぞれと、余盛の度合いと、が関連付けられている。土の種類の例として、砂利質土、砂質土、および粘土質土が示されている。砂利質土は、粒径が2.0~65mm程度の大粒子である。砂質土は、粒径が0.06~2.0mm程度の中粒子である。粘土質土は、粒径が0.001~0.002mm程度の微細な粒子である。余盛の度合いは、土の種類や含水比などに基づいて総合的に判断されることもできる。
【0061】
なお、このデータベースの例では、土の種類および含水比のそれぞれと、余盛の度合いと、が関連付けられているが、土の種類および含水比のうち一方と、余盛の度合いと、が関連付けられていてもよい。
【0062】
<(5)位置データ>
施工対象がたとえば盛土であるとき、盛土内部における応力や変形の分布に起因して、盛土内の位置に応じて余盛の度合いが異なる。盛土内部には、自重や外力によって発生する応力が存在し、盛土が変形する。この変形は、盛土の下部から上部にかけて段階的に生じるため、盛土内部においては変形量や変形速度が異なる。したがって、盛土内部における余裕の度合いを一律に設定するのではなく、盛土内の位置に合わせて適切な余盛の度合いを設定する必要がある。
【0063】
再び
図4を参照しつつ説明する。たとえば、盛土の天端面TS側の領域は、底面BS側の領域に比べて変形量や変形速度が大きいため、余盛の度合いを大きくする必要がある。一方、右側勾配面RSおよび左側勾配面LSのそれぞれは、底面BS側の領域と同様の変形量や変形速度で変形するため、余盛の度合いは底面BS側の領域と同じ程度で十分であると考えられる。このように、盛土内部の変形状況に応じて余盛の度合いを調整することで、施工物の安全性を高めることができる。
【0064】
たとえば、上述したように、盛土の上に建設機械が配置されるとき、盛土が転圧されて、盛土の上下方向の高さがわずかに小さくなることがある。そのため、
図4に示される盛土の天端面TSに設ける余盛の度合いは、右側勾配面RS面に設ける余盛の度合いよりも大きいことが好ましい。
【0065】
本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法は、演算部が、施工対象データに基づいて設計段階モデルを補正する。この施工対象データは、施工対象における位置に関する位置データを含んでいることが好ましい。これにより、演算部は、この位置データに応じて、余盛の度合いを変化させることができる。
【0066】
施工対象における位置に関する位置データは、たとえばデータベースとして記録されていてよい。このことについて
図7を参照しつつ説明する。
図7は、本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法が用いるデータベースの一例である。このデータベースは、たとえばコンピュータが備える記憶部が記憶していてよい。
【0067】
図7に示されるとおり、施工対象における位置と、余盛の度合いと、が関連付けられている。
【0068】
なお、一般的に、施工前に試験施工が行われる。試験施工は、現場で土を実際に盛り上げることである。これにより、盛土の高さや土の密度を調整するための最適な方法を見つけることができる。得られたデータをもとに、余盛の範囲や必要な土の量を算出し、本施工に移ることができる。
【0069】
本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法は、演算部が、試験施工で得られたデータに基づいて、設計段階モデルを補正してもよい。
【0070】
<(6)建設機械データ>
3次元モデルを取り込んだ建設機械が施工する際に、施工の精巧さは、建設機械の仕様に影響される。たとえば建設機械がバックホーであるとき、バックホーが備えているバケットのサイズより小さいサイズの凹凸を施工することが難しい。
【0071】
そこで、本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法は、演算部が、生成段階において、建設機械の仕様に関するデータである建設機械データに基づいて設計段階モデルを補正する。
【0072】
この建設機械データには、たとえば、建設機械が有する構成要素のそれぞれのサイズ、建設機械のパワー、建設機械が備えるセンサ、建設機械が有する通信機能などに関する情報が含まれる。センサには、たとえば、GPS、加速度センサ、気圧センサなどが含まれる。
【0073】
特には、演算部が、生成段階において、建設機械データに基づいて、設計段階モデルを構成する要素を間引きすることが好ましい。このことについて
図8を参照しつつ説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法が用いる3次元モデルの一例を示す模式図である。この3次元モデルは、設計段階モデルであり、複数の点群から構成されるTINで表現されている。
図8Aは、演算部が間引きする前の設計段階モデルを示している。
図8Bは、演算部が間引きした後の設計段階モデルを示している。
【0074】
図8Aに示されるとおり、補正前の設計段階モデルは、設計段階モデルを構成する要素である点群が密集している。そのため、精度が高く表現できているが、精度が高すぎて、建設機械が設計通りに動作できない場合がある。
【0075】
一方、
図8Bに示されるとおり、補正後の設計段階モデルは、設計段階モデルを構成する要素である点群が間引きされている。これにより、建設機械が設計通りに動作できる。
【0076】
たとえば、
図4に示される盛土の上に道路を施工する場合、道路の左右から建設機械が地盤を均等に叩いて締め固める作業を行うことがある。これにより、道路の耐久性や安定性を高めることができる。このとき、設計段階モデルの精度が高すぎると、建設機械がその精度に追従できない場合がある。そのため、本発明に係る演算部が、設計段階モデルを構成する要素を間引きすることにより、建設機械が正常に動作できる。
【0077】
演算部が間引きする度合いを決定するためのデータは、演算部が自律的に演算することができる。このとき、たとえば機械学習が用いられてもよい。
【0078】
あるいは、演算部が間引きする度合いを決定するためのデータは、ユーザからの入力を受け付けることで取得してもよい。たとえば、3次元モデルを構成する点どうしの間隔(ピッチ)が1メートルであるとき、ユーザは、その間隔を3メートルに指定できる。
【0079】
<(7)その他>
その他の機能として、本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成方法では、施工段階モデルと、施工実績データと、を関連付けて記憶することができる。施工実績データの例として、たとえば、締固め回数分布図、走行軌跡図、盛土材料データなどが挙げられる。これにより、トレーサビリティが実現できる。
【0080】
あるいは、設計段階モデルまたは施工段階モデルの施工範囲、高さ、勾配などを指定して、その一部を切り出すことができる。これにより、施工対象の一部の施工を施工業者に依頼する場合に、データの共有が容易になる。
【0081】
本発明の第1の実施形態に係る3次元モデル生成方法について説明した上記の内容は、技術的な矛盾が特にない限り、本発明の他の実施形態に適用できる。
【0082】
<2.第2の実施形態(3次元モデル生成プログラムの例)>
本発明は、施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成プログラムを提供する。この3次元モデル生成プログラムは、設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得段階と、前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルである施工段階モデルを生成する生成段階と、をコンピュータに実行させる、3次元モデル生成プログラムである。
【0083】
このプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(たとえばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(たとえば光磁気ディスク)、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(たとえば、マスクROM、Programmable ROM(PROM)、Erasable PROM(EPROM)、フラッシュROM、Random Access Memory(RAM))を含む。また、上記プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、および電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線および光ファイバ等の有線通信路、または無線通信路を介して、上記プログラムをコンピュータに供給できる。
【0084】
本発明の第2の実施形態に係る3次元モデル生成プログラムについて説明した上記の内容は、技術的な矛盾が特にない限り、本発明の他の実施形態に適用できる。
【0085】
<3.第3の実施形態(3次元モデル生成装置の例)>
本発明は、施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成装置を提供する。この3次元モデル生成装置は、設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得部と、前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルである施工段階モデルを生成する生成部と、を少なくとも備えている。
【0086】
本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成装置の構成例について
図9を参照しつつ説明する。
図9は、本発明の一実施形態に係る3次元モデル生成装置100の構成例を示すブロック図である。
図9に示されるとおり、3次元モデル生成装置100は、構成要素として、演算部1、メモリ2、記憶部3、および表示部4を備えていてよい。それぞれの構成要素は、たとえばデータの伝送路としてのバスで接続されていてよい。
【0087】
演算部1は、たとえばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などで構成される。
【0088】
演算部1は、取得部11と、生成部12と、を有している。取得部11は、設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する。生成部12は、施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルである施工段階モデルを生成する。たとえば第2実施形態に係る3次元モデル生成プログラムを演算部1が読み込むことにより、これが実現できる。
【0089】
また、演算部1は、3次元モデル生成装置100が備えているそれぞれの構成要素を制御することもできる。
【0090】
メモリ2は、たとえば演算部1により実行されるプログラムなどを一時的に記憶する。メモリ2は、たとえばRAM(Random Access Memory)などを利用することにより実現される。
【0091】
記憶部3は、演算部1が使用するプログラムおよびパラメータなどを記憶する。記憶部3は、たとえば、上記のデータベースなどを記憶する。記憶部3は、たとえばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などで構成されてよい。
【0092】
表示部4は、たとえば
図5などの画面を表示する。表示部4は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)またはOLED(Organic Light-Emitting Diode)等により実現される。
【0093】
図示を省略するが、3次元モデル生成装置100は、通信部を備えていてもよい。この通信部は、たとえばWi-Fi、Bluetooth(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)などの通信技術を利用して、情報通信ネットワークを介して通信する機能を有する。
【0094】
3次元モデル生成装置100は、たとえばサーバであってもよいし、スマートフォン端末、タブレット端末、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)、PC(Personal Computer)、携帯用音楽プレーヤー、携帯用ゲーム機、またはウェアラブル端末(HMD:Head Mounted Display、メガネ型HMD、時計型端末、バンド型端末等)であってもよい。
【0095】
本発明を実現するプログラムは、3次元モデル生成装置100のほかのコンピュータ装置またはコンピュータシステムに格納されてもよい。この場合、3次元モデル生成装置100は、このプログラムが有する機能を提供するクラウドサービスを利用することができる。このクラウドサービスとして、たとえばSaaS(Software as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)等が挙げられる。
【0096】
本発明の第3の実施形態に係る3次元モデル生成装置について説明した上記の内容は、技術的な矛盾が特にない限り、本発明の他の実施形態に適用できる。
【0097】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりできる。
【0098】
なお、本発明は、以下のような構成をとることもできる。
【0099】
[1]
施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成方法であって、
コンピュータの演算部が、設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得段階と、
前記演算部が、前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルである施工段階モデルを生成する生成段階と、を少なくとも含んでいる、3次元モデル生成方法。
[2]
前記施工対象データは、施工段階における地形の変化に関するデータである地形変化データを含んでいる、
[1]に記載の3次元モデル生成方法。
[3]
前記地形変化データは、前記施工対象に対して除根を行う前後のそれぞれの地形データを含んでいる、
[2]に記載の3次元モデル生成方法。
[4]
前記施工対象データは、余盛の度合いに関するデータである余盛データを含んでいる、
[1]から[3]のいずれか一つに記載の3次元モデル生成方法。
[5]
前記施工対象データは、前記施工対象の地質データを含んでいる、
[1]から[4]のいずれか一つに記載の3次元モデル生成方法。
[6]
前記地質データは、土の種類もしくは含水比またはその両方のデータを含んでいる、
[5]に記載の3次元モデル生成方法。
[7]
前記施工対象データは、前記施工対象における位置に関する位置データを含んでいる、
[1]から[6]のいずれか一つに記載の3次元モデル生成方法。
[8]
前記演算部が、前記生成段階において、前記建設機械の仕様に関するデータである建設機械データに基づいて前記設計段階モデルを補正する、
[1]から[7]のいずれか一つに記載の3次元モデル生成方法。
[9]
前記演算部が、前記生成段階において、前記建設機械データに基づいて、前記設計段階モデルを構成する要素を間引きする、
[8]に記載の3次元モデル生成方法。
[10]
施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成プログラムであって、
設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得段階と、
前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルである施工段階モデルを生成する生成段階と、をコンピュータに実行させる、3次元モデル生成プログラム。
[11]
施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成装置であって、
設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得部と、
前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルである施工段階モデルを生成する生成部と、を少なくとも備えている、3次元モデル生成装置。
【符号の説明】
【0100】
S1 取得段階
S2 生成段階
100 3次元モデル生成装置
1 演算部
11 取得部
12 生成部
2 メモリ
3 記憶部
4 表示部
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成方法であって、
コンピュータの演算部が、設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得段階と、
前記演算部が、前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルであり、建設機械に取り込むことができる施工段階モデルを生成する生成段階と、を少なくとも含んでいる、3次元モデル生成方法。
【請求項2】
前記施工対象データは、施工段階における地形の変化に関するデータである地形変化データを含んでいる、
請求項1に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項3】
前記地形変化データは、前記施工対象に対して除根を行う前後のそれぞれの地形データを含んでいる、
請求項2に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項4】
前記施工対象データは、余盛の度合いに関するデータである余盛データを含んでいる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項5】
前記施工対象データは、前記施工対象の地質データを含んでいる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項6】
前記地質データは、土の種類もしくは含水比またはその両方のデータを含んでいる、
請求項5に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項7】
前記施工対象データは、前記施工対象における位置に関する位置データを含んでいる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項8】
前記演算部が、前記生成段階において、前記建設機械の仕様に関するデータである建設機械データに基づいて前記設計段階モデルを補正する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項9】
前記演算部が、前記生成段階において、前記建設機械データに基づいて、前記設計段階モデルを構成する要素を間引きする、
請求項8に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項10】
施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成プログラムであって、
設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得段階と、
前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルであり、建設機械に取り込むことができる施工段階モデルを生成する生成段階と、をコンピュータに実行させる、3次元モデル生成プログラム。
【請求項11】
施工対象を施工する建設機械の動作を制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成装置であって、
設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得部と、
前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルであり、建設機械に取り込むことができる施工段階モデルを生成する生成部と、を少なくとも備えている、3次元モデル生成装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成方法であって、
コンピュータの演算部が、設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得段階と、
前記演算部が、前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルであり、建設機械に取り込むことができる施工段階モデルを生成する生成段階と、を少なくとも含んでおり、
前記施工対象データは、施工段階における地形の変化に関するデータである地形変化データ、および、余盛の度合いに関するデータである余盛データを含んでいる、3次元モデル生成方法。
【請求項2】
前記地形変化データは、前記施工対象に対して除根を行う前後のそれぞれの地形データを含んでいる、
請求項1に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項3】
前記施工対象データは、前記施工対象の地質データを含んでいる、
請求項1または2に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項4】
前記地質データは、土の種類もしくは含水比またはその両方のデータを含んでいる、
請求項3に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項5】
前記施工対象データは、前記施工対象における位置に関する位置データを含んでいる、
請求項1または2に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項6】
前記演算部が、前記生成段階において、前記建設機械の仕様に関するデータである建設機械データに基づいて前記設計段階モデルを補正する、
請求項1または2に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項7】
前記演算部が、前記生成段階において、前記建設機械データに基づいて、前記設計段階モデルを構成する要素を間引きする、
請求項6に記載の3次元モデル生成方法。
【請求項8】
施工対象を施工する建設機械の動作を支援・制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成プログラムであって、
設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得段階と、
前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルであり、建設機械に取り込むことができる施工段階モデルを生成する生成段階と、をコンピュータに実行させ、
前記施工対象データは、施工段階における地形の変化に関するデータである地形変化データ、および、余盛の度合いに関するデータである余盛データを含んでいる、3次元モデル生成プログラム。
【請求項9】
施工対象を施工する建設機械の動作を制御するための3次元モデルを生成する3次元モデル生成装置であって、
設計段階の3次元モデルである設計段階モデルを取得する取得部と、
前記施工対象に関するデータである施工対象データに基づいて前記設計段階モデルを補正することにより、施工段階の3次元モデルであり、建設機械に取り込むことができる施工段階モデルを生成する生成部と、を少なくとも備えており、
前記施工対象データは、施工段階における地形の変化に関するデータである地形変化データ、および、余盛の度合いに関するデータである余盛データを含んでいる、3次元モデル生成装置。