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  • 特開-蓄電池付き照明装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160718
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】蓄電池付き照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 9/02 20060101AFI20241108BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20241108BHJP
   F21S 6/00 20060101ALI20241108BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20241108BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20241108BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241108BHJP
【FI】
F21S9/02 100
H02J9/06 150
F21S9/02 200
F21S6/00 110
F21S2/00 390
F21V23/00 160
F21V23/00 140
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075917
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】盛山 翔太郎
【テーマコード(参考)】
3K014
5G015
【Fターム(参考)】
3K014AA01
5G015JA04
5G015JA32
5G015JA52
5G015KA01
(57)【要約】
【課題】費用や製作期間を抑えつつ、商用電源を使用して連続点灯しながら蓄電池を商用電源で充電可能な、蓄電池付き照明装置を提供する。
【解決手段】 三脚2に配設された第1のライト3および第2のライト4と、第1のライト3に接続され、商用電源から第1のライト3に給電するための第1の給電プラグ33と、第2のライト4に給電する蓄電池5と、蓄電池5に接続され、商用電源からの給電によって蓄電池5を充電するための第2の給電プラグ51と、を備え、第1のライト3および第2のライト4は、一方の点灯のみで所望の照度を満たし、かつ、同じ方向を照らすように配設されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三脚に配設された第1のライトおよび第2のライトと、
前記第1のライトに接続され、商用電源から前記第1のライトに給電するための第1の給電プラグと、
前記第2のライトに給電する蓄電池と、
前記蓄電池に接続され、商用電源からの給電によって前記蓄電池を充電するための第2の給電プラグと、
を備え、前記第1のライトおよび第2のライトは、一方の点灯のみで所望の照度を満たし、かつ、同じ方向を照らすように配設されている、
ことを特徴とする蓄電池付き照明装置。
【請求項2】
前記第1のライトは、前記第1の給電プラグを商用電源に接続するだけで点灯するようになっている、
ことを特徴とする請求項1に記載の蓄電池付き照明装置。
【請求項3】
商用電源が停電して前記蓄電池からの給電によって前記第2のライトが点灯している状態で、商用電源が復旧した際に、前記蓄電池を充電するための制御手段を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の蓄電池付き照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源が停電しても点灯可能な蓄電池付き照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子力発電所では、重大事故等の発生時に運転員が原子炉制御室などに長時間とどまって作業・制御を行うことが想定され、その際には、任意の場所に配置可能で、商用電源が停電しても点灯可能な照明装置が必要となる。一方、従来から、蓄電池からの給電によって点灯する照明装置が使用され、蓄電池の電圧の急激な低下を抑えて長時間点灯できる、という照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この照明装置は、発光体と、蓄えた電力を発光体に供給する蓄電池と、蓄電池を制御する制御部と、を備える。そして、制御部は、発光体の照度が徐々に低下するように、発光体に印可する蓄電池の電圧を低下させるとともに、蓄電池の電圧が所定値に達した場合に発光体への電力供給を停止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3223887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、原子力発電所では、重大事故等の発生時に照明装置を長時間使用する場合、停電に備えて蓄電池で点灯するだけではなく、停電が復旧した後に商用電源を使用できることが求められる。すなわち、商用電源による連続点灯が可能で、しかも、蓄電池による点灯が所定時間以上可能で、停電時を含めて絶え間なく点灯し続けることが求められる、と想定される。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の照明装置や市販の蓄電池付きライトでは、商用電源で蓄電池を充電している際には連続点灯ができない。すなわち、蓄電池を商用電源で充電しながら商用電源を使用して連続点灯すること、換言すると、商用電源を使用して連続点灯しながら蓄電池を商用電源で充電すること、ができない。そして、このような要求を満たす照明装置を特別に製作・発注すると、高額になるばかりでなく、製作期間・納期が長期化して重大事故等に迅速に備えることができないおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、費用や製作期間を抑えつつ、商用電源を使用して連続点灯しながら蓄電池を商用電源で充電可能な、蓄電池付き照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、三脚に配設された第1のライトおよび第2のライトと、前記第1のライトに接続され、商用電源から前記第1のライトに給電するための第1の給電プラグと、前記第2のライトに給電する蓄電池と、前記蓄電池に接続され、商用電源からの給電によって前記蓄電池を充電するための第2の給電プラグと、を備え、前記第1のライトおよび第2のライトは、一方の点灯のみで所望の照度を満たし、かつ、同じ方向を照らすように配設されている、ことを特徴とする蓄電池付き照明装置である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の蓄電池付き照明装置において、前記第1のライトは、前記第1の給電プラグを商用電源に接続するだけで点灯するようになっている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載の蓄電池付き照明装置において、商用電源が停電して前記蓄電池からの給電によって前記第2のライトが点灯している状態で、商用電源が復旧した際に、前記蓄電池を充電するための制御手段を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、第1のライトと第2のライトが、一方の点灯のみで所望の照度を満たし、かつ、同じ方向を照らすように配設されているため、一方のみが点灯していればよい。このため、第1の給電プラグと第2の給電プラグを商用電源に接続し、商用電源の正常時(非停電時)には、商用電源で第1のライトを点灯するとともに蓄電池を充電することで、商用電源を使用して連続点灯しながら蓄電池を商用電源で充電することが可能となる。
【0012】
一方、商用電源の停電時には、第1のライトは消灯するが、蓄電池からの給電で第2のライトを点灯させることで、所望の照度で同じ方向を照らし続けることが可能となる。さらに、商用電源が復旧した際には、再び商用電源で第1のライトを点灯させるとともに蓄電池を充電することで、商用電源を使用して連続点灯しながら蓄電池を商用電源で充電することが可能となる。このようにして、停電が生じても、所望の照度で同じ方向(所望の方向)を永続的に照らし続けることが可能となる。
【0013】
また、商用電源で点灯する第1のライトと、蓄電池からの給電で点灯する第2のライトは、ともに既製・既存のものを利用可能なため、費用や製作期間を抑えて、本蓄電池付き照明装置を製作することが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、第1の給電プラグを商用電源に接続したままにすることで、商用電源が停電して第1のライトが消灯し蓄電池で第2のライトが点灯している状態で、商用電源が復旧すると、第1のライトが瞬断なく自動的に点灯する。このため、停電時を含めて絶え間なく点灯し続けることが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、商用電源が停電して蓄電池で第2のライトが点灯している状態で、商用電源が復旧した際に、第1のライトが自動点灯するとともに、制御手段によって蓄電池が充電される。このため、停電復旧時に迅速に、蓄電池の電力消費を抑えて、蓄電池を再充電することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の実施の形態1に係る蓄電池付き照明装置を示す概略正面図である。
図2図1の蓄電池付き照明装置における商用電源と蓄電池と第2のライトとの接続関係を示す模式図である。
図3】この発明の実施の形態2に係る蓄電池付き照明装置の蓄電池の制御部を示す概略構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、この実施の形態に係る蓄電池付き照明装置1を示す概略正面図である。この蓄電池付き照明装置1は、商用電源が停電しても点灯可能な照明装置であり、この実施の形態では、原子力発電所で重大事故等が発生した際に原子炉制御室などで使用される場合を例にして説明するが、どのようなケース、場所にも適用することが可能である。
【0019】
蓄電池付き照明装置1は、主として、三脚2と、第1のライト3と、第2のライト4と、蓄電池5と、を備える。
【0020】
三脚2は、三角錐状に配設された3つの脚21の中心部にガイドパイプ22が略垂直に延びて配設され、このガイドパイプ22に棒状のエレベータ23が上下方向に進退動自在に挿入されている。このエレベータ23の頂部には、上下左右に向き・方向を変えられる雲台25が配設されている。また、各脚21とガイドパイプ22は、ステー24で連結され、ステー24を縮めることで各脚21を畳め、三脚2を容易に移動、保管できるようになっている。
【0021】
第1のライト3は、三脚2に配設され、商用電源で発光する発光体であり、この実施の形態では、主に前方を照らすLED(Light Emitting Diode)ライトで構成されている。すなわち、第1のライト3を略垂直軸周りに回転自在に支持する略コ字状の取付具31を備え、この取付具31がC型クランプ32を介して三脚2のエレベータ23に取り付けられている。また、取付具31は、C型クランプ32つまりエレベータ23に対して略水平軸周りに回転自在となっている。そして、三脚2のエレベータ23への取り付け位置(高さ)、取付具31に対する第1のライト3の回転角度(左右の向き)、C型クランプ32に対する取付具31の回転角度(上下の向き)を調整・設定することで、第1のライト3が所望の方向(場所・エリア)を照らすように配設されている。
【0022】
この第1のライト3には、商用電源から第1のライト3に給電するための第1の給電プラグ33が接続されている。すなわち、第1のライト3に第1の電源コード34が接続され、この第1の電源コード34の自由端部に、商用電源のコンセント101に装着・接続可能な第1の給電プラグ(ACプラグ)33が取り付けられている。そして、第1のライト3は、第1のライト3の発光をオン・オフするための入切スイッチを備えず、第1の給電プラグ33を商用電源つまりコンセント101に接続するだけで点灯し、コンセント101から抜くと消灯するようになっている。
【0023】
第2のライト4は、三脚2に配設され、蓄電池5の電源で発光し、第1のライト3のバックアップライトとして機能する発光体であり、この実施の形態では、主に前方を照らすLEDライトで構成されている。すなわち、三脚2の雲台25に取り付けられ、第1のライト3と同じ所望の方向(場所・エリア)を照らすように、雲台25を介して第2のライト4の向きが調整・設定されている。そして、この第2のライト4は、給電コード41を介して蓄電池5と接続され、蓄電池5からの電力が給電コード41を介して第2のライト4に給電されるようになっている。なお、給電コード41は、蓄電池5に対して着脱自在となっている。
【0024】
このような第1のライト3と第2のライト4は、それぞれの照度が個別に所望の照度(規定照度)以上であり、一方のライト3、4が点灯していれば所望の照度を満たすようになっている。さらに、上記のように、ともに同じ方向(場所・エリア)を照らすように配設されているため、同時に点灯する必要がなく、一方のみが点灯していればよいようになっている。
【0025】
蓄電池5は、第2のライト4に給電するバッテリーであり、この実施の形態では、鉛バッテリーで構成され、満充電時の容量は、第2のライト4が所望の時間(規定時間)以上連続して点灯するように設定されている。ここで、所望の時間は、例えば、想定される商用電源の停電時間以上に設定されている。また、商用電源と蓄電池5と第2のライト4との接続関係を示す模式図を図2に示す。
【0026】
この蓄電池5には、商用電源からの給電によって蓄電池5を充電するための第2の給電プラグ51が接続されている。すなわち、蓄電池5に第2の電源コード52が接続され、この第2の電源コード52の自由端部に、商用電源のコンセント101に装着・接続可能な第2の給電プラグ(ACプラグ)51が取り付けられている。
【0027】
そして、第2の給電プラグ51を商用電源つまりコンセント101に接続し、蓄電池5に設けられた運転スイッチ50で運転モードを充電モードにすると、商用電源からの給電によって蓄電池5が充電される。この際、第2のライト4が点灯中の場合には、第2のライト4が消灯される。また、運転スイッチ50で運転モードを点灯モードにすると、蓄電池5が放電して、第2のライト4が給電され点灯する。この際、蓄電池5が充電中の場合には、充電が中止される。このように、蓄電池5の充電と第2のライト4の点灯とを同時にはできないようになっている。
【0028】
次に、このような構成の蓄電池付き照明装置1の使用方法、蓄電池付き照明装置1による照明方法について説明する。
【0029】
まず、原子力発電所で重大事故等が発生した際に、運転員が長時間とどまって作業・制御を行う原子炉制御室など(照明を要する場所)に、第1のライト3と第2のライト4が同じ所望の方向(場所・エリア)を照らすように蓄電池付き照明装置1を設置する。この設置状態で、第1のライト3と第2のライト4が、一方の点灯のみで所望の照度を満たし、かつ、同じ方向を照らすように配設されているため、一方のみが点灯していればよい。このため、第1の給電プラグ33と第2の給電プラグ51を商用電源のコンセント101に接続したままとする。
【0030】
そして、商用電源の正常時(非停電時)には、商用電源で第1のライト3が点灯するとともに蓄電池5を充電する。一方、商用電源の停電が発生した場合には、第1のライト3は消灯するが、蓄電池5を放電させて第2のライト4を点灯させればよい。さらに、商用電源が復旧した際には、第1の給電プラグ33がコンセント101に接続したままであるため、第1のライト3が瞬断なく商用電源によって自動的に点灯し、第2のライト4を消灯して商用電源で蓄電池5を再充電すればよい。
【0031】
以上のように、この蓄電池付き照明装置1および照明方法によれば、第1のライト3または第2のライト4の一方のみが点灯していればよいため、商用電源の正常時(非停電時)には、商用電源で第1のライト3を点灯するとともに蓄電池5を充電することで、商用電源を使用して連続点灯しながら蓄電池5を商用電源で充電することが可能となる。一方、商用電源の停電時には、第1のライト3は消灯するが、蓄電池5からの給電で第2のライト4を点灯させることで、所望の照度で同じ所望の方向を照らし続けることが可能となる。
【0032】
さらに、商用電源が復旧した際には、再び商用電源で第1のライト3を点灯させるとともに蓄電池5を充電することで、商用電源を使用して連続点灯しながら蓄電池5を商用電源で充電することが可能となる。このようにして、停電が生じても、所望の照度で同じ方向(所望の方向)を永続的に照らし続けることが可能となる。
【0033】
しかも、第1の給電プラグ33を商用電源に接続したままにすることで、商用電源が停電して第1のライト3が消灯し蓄電池5で第2のライト4が点灯している状態で、商用電源が復旧すると、第1のライト3が瞬断なく自動的に点灯する。このため、停電時を含めて絶え間なく点灯し続けることが可能となる。
【0034】
また、商用電源で点灯する第1のライト3と、蓄電池5からの給電で点灯する第2のライト4は、ともに既製・既存のものを利用可能なため、費用や製作期間を抑えて、本蓄電池付き照明装置1を製作することが可能となる。
【0035】
(実施の形態2)
図3は、この実施の形態に係る蓄電池付き照明装置1の蓄電池5の制御部(制御手段)53を示す概略構成ブロック図である。この実施の形態では、商用電源の状態に応じて蓄電池5の運転モードを自動制御する点で、実施の形態1と構成が異なり、実施の形態1と同様の構成については、同一符号を付することでその説明を省略する。
【0036】
すなわち、制御部53は、主として、電圧監視部531とモード切替部532を備える。電圧監視部531は、商用電源の各相電圧を監視し、電源側の電圧異常を検知して停電の発生を検知し、その後、電源側の電圧が正常になると、商用電源の復旧を検知する。
【0037】
モード切替部532は、電圧監視部531によって商用電源の停電が検知されると、運転モードを点灯モードに切り替えて、蓄電池5を放電させて第2のライト4を点灯させる。また、この状態で電圧監視部531によって商用電源の復旧が検知されると、運転モードを充電モードに切り替えて、商用電源で蓄電池5を充電(第2のライト4は消灯)するものである。
【0038】
このように、この実施の形態によれば、商用電源が停電すると、自動的に蓄電池5が放電されて第2のライト4が点灯されるため、停電があっても絶え間なく点灯し続けることが可能となる。また、商用電源が復旧すると、第1のライト3が自動点灯するとともに蓄電池5が自動的に充電されるため、停電復旧時に迅速に、蓄電池5の電力消費を抑えて、蓄電池5を再充電することが可能となる。
【0039】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態2では、制御部53が商用電源の状態に応じて蓄電池5の運転モードを自動制御する場合について説明したが、制御手段をリモートコントローラで構成し、リモートコントローラで蓄電池5の運転モードを遠隔制御できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 蓄電池付き照明装置
2 三脚
3 第1のライト
31 取付具
32 C型クランプ
33 第1の給電プラグ
4 第2のライト
5 蓄電池
51 第2の給電プラグ
53 制御部(制御手段)
101 コンセント(商用電源)
図1
図2
図3