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特開2024-160720洗面ボウルの取付構造、取付キットおよび取付方法
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  • 特開-洗面ボウルの取付構造、取付キットおよび取付方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160720
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】洗面ボウルの取付構造、取付キットおよび取付方法
(51)【国際特許分類】
   A47K 1/00 20060101AFI20241108BHJP
   E03C 1/14 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A47K1/00 Q
E03C1/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075925
(22)【出願日】2023-05-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】501254597
【氏名又は名称】株式会社インクコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】入江 尚之
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061BA01
2D061BB10
2D061BC01
2D061BC02
2D061BC03
2D061BD02
2D061BE10
2D061BG01
2D061BG04
(57)【要約】
【課題】洗面カウンターの天板の表側からの作業によって洗面ボウルを天板に簡単に取り付けたり取り外したりすることができるようにする。
【解決手段】表側排水管10と裏側排水管20とにより洗面ボウル100の取付構造を構成する。表側排水管10は、ボウル貫通孔103および天板貫通孔201に挿通される筒状部11を有し、当該筒状部11の外周面に雄ネジ部13を形成するとともに、筒状部11の一端にフランジ14を形成する。裏側排水管20は、天板200の裏面に固定される排水管であり、雄ネジ部13と螺合する雌ネジ部を内周面に形成する。そして、雄ネジ部13を雌ネジ部と螺合させることにより、天板200を挟んだ状態で表側排水管10を裏側排水管20に締結させることにより、天板200の表側からの作業によって洗面ボウル100の取り付けや取り外を簡単に行うことができるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面カウンターの天板に置き型の洗面ボウルを取り付けるための取付構造であって、
上記洗面ボウルに形成されたボウル貫通孔および上記天板に形成された天板貫通孔に挿通される円筒状の筒状部を有し、上記筒状部の外周面に雄ネジ部が形成されるとともに、上記筒状部の一端にフランジが形成された表側排水管と、
上記天板の裏面に固定される円筒状の裏側排水管であって、上記表側排水管の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が内周面に形成された裏側排水管とを備え、
上記表側排水管は、上記洗面ボウルの内側から上記ボウル貫通孔および上記天板貫通孔を貫通し、上記フランジが上記洗面ボウルの内側で係止状態となるまで上記雄ネジ部が上記雌ネジ部と螺合することによって上記裏側排水管に締結される構造である
ことを特徴とする洗面ボウルの取付構造。
【請求項2】
上記表側排水管の上記筒状部は、弾性部材で構成された円柱部を有するレンチの上記円柱部の直径よりわずかに小さい内径を有する円筒形状により構成されることを特徴とする請求項1に記載の洗面ボウルの取付構造。
【請求項3】
洗面カウンターの天板に置き型の洗面ボウルを取り付けるための取付キットであって、
上記洗面ボウルに形成されたボウル貫通孔および上記天板に形成された天板貫通孔に挿通される円筒状の筒状部を有し、上記筒状部の外周面に雄ネジ部が形成されるとともに、上記筒状部の一端にフランジが形成された表側排水管と、
上記天板の裏面に固定される円筒状の裏側排水管であって、上記表側排水管の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が内周面に形成された裏側排水管と、
上記表側排水管の上記筒状部の内径よりわずかに大きい直径で弾性部材により構成された円柱部を有し、上記円柱部を上記筒状部の内部に挿入して使用するレンチとを備え、
上記表側排水管は、上記洗面ボウルの内側から上記ボウル貫通孔および上記天板貫通孔を貫通し、上記フランジが上記洗面ボウルの内側で係止状態となるまで上記雄ネジ部が上記雌ネジ部と螺合することによって上記裏側排水管に締結される構造である
ことを特徴とする洗面ボウルの取付キット。
【請求項4】
洗面カウンターの天板に置き型の洗面ボウルを取り付けるための取付方法であって、
円筒状の筒状部の外周面に雄ネジ部が形成されるとともに上記筒状部の一端にフランジが形成された表側排水管を、上記洗面ボウルに形成されたボウル貫通孔および上記天板に形成された天板貫通孔に挿通し、
上記天板の裏面に固定された円筒状の裏側排水管の内周面に形成されている雌ネジ部に上記表側排水管の雄ネジ部を螺合させ、
上記表側排水管の上記筒状部の内径よりわずかに大きい直径で弾性部材により構成された円柱部を有するレンチを用いて、上記円柱部を上記筒状部の内部に挿入した状態にして上記レンチを回すことによって上記表側排水管を回転させ、上記フランジが上記洗面ボウルの内側で係止状態となるまで上記雄ネジ部と上記雌ネジ部とを螺合させることによって上記表側排水管を上記裏側排水管に締結させる
ことを特徴とする洗面ボウルの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面ボウルの取付構造、取付キットおよび取付方法に関し、特に、置き型の洗面ボウルを洗面カウンターの天板に取り付けるための取付構造、取付キットおよび取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面台(洗面カウンターともいう)に使われる洗面ボウルには、カウンターに埋め込んで使用する埋め込み型と、カウンターの上に置いて使用する置き型とが存在する。また、洗面ボウルには、陶器製、金属製、ガラス製、樹脂製などの種々の材料タイプが存在する。本出願人は、置き型の洗面ボウルとして、陶器製、金属製、ガラス製のほか、アクリル製やPET(ポリエチレンテレフタラート)製の洗面ボウルを提供している(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
この非特許文献1に記載されているように、置き型の洗面ボウルを洗面カウンターの天板の上に取り付ける場合、洗面ボウルの内側から洗面ボウルの貫通孔およびその下にある天板の貫通孔に筒状の排水栓を挿通し、天板の裏面から下方に突出した排水栓に洗浄管を取り付けて、洗浄管を天板の裏側でナットにより固定する。
【0004】
このような取付構造の場合、洗面ボウルの取り付け作業および取り外し作業を洗面カウンターの天板より下側の狭いスペースで行う必要があり、作業の困難性が伴う。また、置き型の洗面ボウルはいくつかのタイプを交換して使うことも可能であるが、上記のような取付構造の場合、洗面ボウルのみならず洗浄管も取り外すことになるため、こうした作業に慣れない一般利用者は、水漏れ等の不安から交換にためらいや抵抗感を覚える場合もあった。
【0005】
なお、ネジを用いて浴室の壁の表側に部品を取り付ける取付構造であって、部品に形成された貫通孔の表側から浴室の壁に形成された貫通孔の裏側までネジを挿通し、壁の裏側に接着した補強部材に対して部品の表側からネジを締め付けることによって部品を壁に取り付けることができるようにした取付構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-70947号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】出願人の商品紹介ページ[令和5年4月21日検索],インターネット<URL:https://gigaplus.makeshop.jp/inkc/images/washbasin/haisuisentoritsukezu_1.jpg>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載された取付構造であれば、壁の裏側からネジを締め付ける作業は不要となる。しかしながら、この取付構造を置き型の洗面ボウルの洗面カウンターへの固定にそのまま適用することはできない。洗面ボウルの場合は、洗面カウンターの天板の表側から裏側まで配管を通し、天板の裏側に取り付けた排水管に洗面ボウルから排水できるようにする必要があるためである。上記特許文献1に記載された取付構造の場合、このような排水を行うことができない。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、洗面カウンターの天板の表側からの作業によって洗面ボウルを天板に簡単に取り付けたり取り外したりすることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明による洗面ボウルの取付構造は、洗面ボウルに形成されたボウル貫通孔および洗面カウンターの天板に形成された天板貫通孔に挿通される円筒状の筒状部を有し、筒状部の外周面に雄ネジ部が形成されるとともに、筒状部の一端にフランジが形成された表側排水管と、天板の裏面に固定される円筒状の裏側排水管であって、表側排水管の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が内周面に形成された裏側排水管とを備える。表側排水管は、洗面ボウルの内側からボウル貫通孔および天板貫通孔を貫通し、フランジが洗面ボウルの内側で係止状態となるまで雄ネジ部が雌ネジ部と螺合することによって裏側排水管に締結される構造となっている。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明によれば、表側排水管の筒状部の一端に形成されたフランジが洗面ボウルの内側で係止状態となるまで、洗面ボウルの表側から表側排水管を回転させて、天板の裏面に固定された円筒状の裏側排水管の内周面に形成されている雌ネジ部に表側排水管の雄ネジ部を螺合させて表側排水管を裏側排水管に締結させることにより、洗面ボウルを洗面カウンターの天板に取り付けることができる。逆に、洗面ボウルの表側から表側排水管を逆回転させて雄ネジ部と雌ネジ部との締結状態を緩めていくことにより、天板の裏面に裏側排水管が固定された状態のまま、表側排水管の雄ネジ部と裏側排水管の雌ネジ部との螺合状態を解除して洗面ボウルを洗面カウンターの天板から取り外すことができる。以上のように、本発明によれば、洗面カウンターの天板の表側からの作業によって洗面ボウルを天板に簡単に取り付けたり取り外したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態による取付構造および取付対象である置き型の洗面ボウルの構成例を示す図である。
図2】本実施形態の裏側排水管を天板の裏面に固定した状態を示す図である。
図3】本実施形態の裏側排水管が天板の裏面に固定されている状態で、さらに天板の表側に洗面ボウルを取り付けた状態を示す図である。
図4】本実施形態の表側排水管を裏側排水管に締結している途中の状態を示す図である。
図5】本実施形態によるレンチの構成例を示す図である。
図6】本実施形態のレンチを用いて表側排水管を回転させる状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、洗面カウンターの天板に置き型の洗面ボウルを取り付けるための取付構造および取付キットに関する一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による取付構造および取付対象である置き型の洗面ボウル100の構成例を示す図である。図1に示すように、洗面ボウル100は、胴体部101と、胴体部101の中心位置の下端から下向きに突出した円管状の突出部102とを備えている。
【0014】
胴体部101の形状は任意である。図1では、上面から見た上端周縁の形状が円形の略半球形状(例えば、空洞の球を平面でカットしてできる2つの形状のうち一方の形状)を示しているが、これは一例に過ぎない。例えば、胴体部101は、上面から見た上端周縁の形状が楕円形、矩形またはそれ以外の形状となるものであってもよい。また、胴体部101が凹凸を有する形状であってもよい。
【0015】
突出部102は、その内側が貫通孔(以下、ボウル貫通孔という)103となっている。ボウル貫通孔103は、取付構造の一要素である表側排水管10の筒状部11が挿通される円柱状の孔である。なお、突出部102は洗面ボウル100に必須の構成ではなく、胴体部101の中心位置の下端が円形に開口された構成としてもよい。この場合、この開口がボウル貫通孔に相当する。
【0016】
洗面ボウル100の材料は任意である。例えば、洗面ボウル100をPET(ポリエチレンテレフタラート)により構成することが可能であるが、材料はこれに限定さるものではない。例えば、陶器、金属、ガラスなどの他、アクリル、ポリカーボネート、塩ビまたはその他の樹脂などの材料により洗面ボウル100を構成してもよい。
【0017】
以上のように構成した洗面ボウル100を洗面カウンターの天板200に取り付けるための本実施形態による取付構造は、金属製の表側排水管10と金属製の裏側排水管20とを備えて構成される。また、洗面ボウル100を天板200に取り付ける際に使用する附属部品として、ボウル用パッキン30、台座40、台座用パッキン50、裏側パッキン60および固定金具70を備えている。
【0018】
表側排水管10は、洗面ボウル100に形成されたボウル貫通孔103および天板200に形成された貫通孔(以下、天板貫通孔という)201に挿通される円筒状の筒状部11を有している。この筒状部11の内部は円柱状の貫通孔12であり、筒状部11の外周面には雄ネジ部13が形成されている。また、筒状部11の一端には、その円周縁部から外側へと張り出したリング状のフランジ14が形成されている。
【0019】
筒状部11の外周面には、リング状に形成されたボウル用パッキン30が嵌められる。このボウル用パッキン30は、洗面ボウル100の中央位置の下端に形成された窪み104に篏合する形状および大きさに構成されている。ボウル用パッキン30は、洗面ボウル100の下端に形成された開口から筒状部11の外側に水が漏れるのを防ぐため、および洗面ボウル100の下端にフランジ14が直接当たって洗面ボウル100を傷つけるのを防ぐためのものであり、例えばシリコンなどにより構成される。なお、図1では、ボウル用パッキン30の形状として2段構造の平パッキンを示しているが、これに限定されるものではない。例えば、1段構造の平パッキンでもよい。
【0020】
洗面ボウル100を天板200に取り付ける際、天板貫通孔201の上に台座40が置かれ、台座40の上に洗面ボウル100が置かれる。台座40は、洗面ボウル100の突出部102を挿入可能に構成された円柱状の貫通孔41を有しており、この貫通孔41の内側にリング状の台座用パッキン50が嵌められる。さらに、台座用パッキン50の内側に洗面ボウル100の突出部102が嵌められる。台座40、台座用パッキン50および突出部102の高さは略同じである。台座用パッキン50は、例えばシリコンで構成され、台座40の上に洗面ボウル100を安定的に載置可能とするための役割を有している。
【0021】
なお、台座40および台座用パッキン50は、取付用の付属部品として必須の構成ではない。例えば、天板貫通孔201が洗面ボウル100の突出部102を挿入可能な大きさに構成されている場合、突出部102を天板200に直接挿入するようにしてもよい。あるいは、台座用パッキン50を突出部102に嵌めた状態で、突出部102を天板200に挿入するようにしてもよい。
【0022】
裏側排水管20は、固定金具70によって天板200の裏面に固定される円筒状の排水管である。裏側排水管20の上部側に位置する筒状部21の内周面には、表側排水管10の筒状部11の外周面に形成された雄ネジ部13と螺合する雌ネジ部(図示せず)が形成されている。裏側排水管20の上端付近には、外周面が六角形状をした雄係止部22が形成されている。この雄係止部22は、固定金具70の位置決めをするための役割を有する。
【0023】
固定金具70は、裏側排水管20の雄係止部22とちょうど篏合する大きさに形成された雌係止部71を有している。この雌係止部71は、断面が六角形状に形成された角柱状の貫通孔である。雌係止部71の周囲には、複数のネジ穴72が設けられている。このネジ穴72から先端が尖ったネジ(ビス)を通し、当該ネジを天板200の裏面に刺し込むことによって裏側排水管20を天板200の裏面に固定する。このとき、裏側排水管20と天板200との間に裏側パッキン60が挟まれる。
【0024】
なお、ここでは雄係止部22および雌係止部71を断面六角形により構成する例について説明したが、この形状に限定されない。雄係止部22が雌係止部71に嵌ることによって裏側排水管20が回転方向に動かない状態になればよく、例えば五角形や四角形、三角形その他の多角形であってもよいし、楕円形などであってもよい。また、ここでは固定金具70にネジ穴72を設け、固定金具70をネジによって固定する例について説明したが、これに限定されない。裏側排水管20が天板200の裏側に固定されればよく、その固定方法は任意である。
【0025】
図2は、本実施形態の裏側排水管20を天板200の裏面に固定した状態を示す図である。図2に示すように、裏側排水管20は、固定金具70を用いて天板200の裏面にビス止めされており、一度固定された後は、洗面ボウル100の取り付けの際および取り外しの際に裏側排水管20が天板200から取り外されることはない。
【0026】
図3は、図2のように裏側排水管20が天板200の裏面に固定されている状態で、さらに天板200の表側に洗面ボウル100を取り付けた状態を示す図である。図3に示すように、表側排水管10は、洗面ボウル100の内側からボウル貫通孔103および天板貫通孔201を貫通し、フランジ14が洗面ボウル100の内側で係止状態となるまで表側排水管10の雄ネジ部13が裏側排水管20の雌ネジ部と螺合することによって裏側排水管20に締結される。
【0027】
フランジ14が洗面ボウル100の内側で係止状態になるとは、ネジの螺合を進めることができる限界または限界近くまで達し、フランジ14が洗面ボウル100の底部で係止してそれ以上はボウル貫通孔103の方向に進めなくなる状態をいう。本実施形態では、図3に示すように、フランジ14が洗面ボウル100の下部にある窪み104に入る状態まで表側排水管10の雄ネジ部13が裏側排水管20の雌ネジ部に締め込まれると、係止状態に達する。このとき、ボウル用パッキン30は、フランジ14と洗面ボウル100の底部とに挟まれて、圧縮された状態で窪み104の内部に収まる。
【0028】
図3のように洗面ボウル100を天板200に取り付ける際の手順(天板200に洗面ボウル100を取り付けるための取付方法)は、以下の通りである。上述したように、洗面ボウル100を天板200に取り付ける際に、裏側排水管20はあらかじめ天板200の裏面に固定されている。
【0029】
まず、天板200の上に台座40を置き、洗面ボウル100の突出部102に台座用パッキン50を嵌めた状態で、洗面ボウル100を台座40の上に置く。この状態で、ボウル貫通孔103および天板貫通孔201に表側排水管10を挿通する。すなわち、ボウル貫通孔103の表側から天板貫通孔201の裏側まで、表側排水管10の筒状部11を挿通する。このとき、天板200の裏面には裏側排水管20が固定されているので、表側排水管10を回転させて、裏側排水管20の内周面に形成されている雌ネジ部に表側排水管10の雄ネジ部13を螺合させる。
【0030】
ここで、図4に示すように、ボウル貫通孔103の表側に表側排水管10がいくらか突出している状態のときは、表側排水管10のフランジ14を手で持って回転させることが可能である。しかし、雄ネジ部13と雌ネジ部との螺合が進んで表側排水管10がボウル貫通孔103の方に深く入り込むにつれ、表側排水管10を手で持ちにくい状態となり、表側排水管10を手で回すことが難しくなる。洗面ボウル100を天板200に安定的に取り付けるためには、表側排水管10をそれ以上回転させることができなくなる状態まで回転させて、表側排水管10を裏側排水管20に強く締結させることが望ましいが、手のみによる作業ではこれが難しい。
【0031】
そこで、表側排水管10を回転させるために用意した図5(b)のような専用のレンチ80を用いる。表側排水管10と裏側排水管20と専用のレンチ80とにより本実施形態の取付キットが構成される。図5は、本実施形態によるレンチ80の構成例を表側排水管10と共に示す図である。図5(a)は表側排水管10の構成例を示し、図5(b)はレンチ80の構成例を示す。図5(b)に示すように、本実施形態のレンチ80は、把持部81と、当該把持部81に立設された円柱部82とを備える。
【0032】
図5(b)において、把持部81は略四角柱により構成されているが、この形状に限定されるものではない。例えば円柱としてもよい。円柱部82は、表側排水管10の筒状部11の内径R1よりわずかに大きい直径R2を有する円柱体であり、弾性部材により構成されている。弾性部材として、例えばゴムを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。例えば、エラストマーまたはその他の樹脂材料を用いてもよい。把持部81の素材は任意であるが、円柱部82と一体的に弾性部材により構成すれば、製造コストを低減することができる。
【0033】
筒状部11の内径R1と円柱部82の直径R2との差は、例えば0.5~1mm程度である。この直径差は、円柱部82を筒状部11の内部に押し込むようにして挿入することを可能とし、かつ、押し込んだ後は円柱部82の弾性力および摩擦力によってレンチ80が表側排水管10に強く固定されることを可能とするように設計されるものである。筒状部11の内壁と円柱部82との接触面積が大きくなるほど強く固定されるので、円柱部82はある程度以上の高さを有するのが好ましい。例えば、円柱部82の高さを1cm以上とする。
【0034】
図6は、図5(b)のように構成した本実施形態のレンチ80を用いて表側排水管10を回転させる状態を示す図である。図6に示すように、レンチ80の円柱部82を筒状部11の内部に挿入した状態にしてレンチ80を回すことにより、表側排水管10を回転させる。これにより、フランジ14が洗面ボウル100の内側で係止状態となるまで表側排水管10の雄ネジ部13と裏側排水管20の雌ネジ部とを螺合させ、表側排水管10を裏側排水管20に強く締結させることが可能である。
【0035】
なお、図3に示した状態となるまで表側排水管10を裏側排水管20に締結させて洗面ボウル100を天板200に取り付けた後、レンチ80を表側排水管10から取り外し、表側排水管10の内部に洗面ボウル100の表側から排水栓を取り付けることが可能である。この排水栓としては、例えば非特許文献1に開示されているように、手で押すことによって蓋を開閉することが可能なタイプのものを用いることが可能である。
【0036】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、表側排水管10と裏側排水管20とにより洗面ボウル100の取付構造を構成している。表側排水管10は、ボウル貫通孔103および天板貫通孔201に挿通される円筒状の筒状部11を有し、当該筒状部11の外周面に雄ネジ部13を形成するとともに、筒状部11の一端にフランジ14を形成している。また、裏側排水管20は、天板200の裏面に固定金具70により固定される円筒状の排水管であり、表側排水管10の雄ネジ部13と螺合する雌ネジ部を内周面に形成している。そして、表側排水管10を洗面ボウル100の内側から天板200の裏側まで貫通させ、フランジ14が洗面ボウル100の内側で係止状態となるまで雄ネジ部13を雌ネジ部と螺合させることにより、天板200を挟んだ状態で表側排水管10を裏側排水管20に締結させるようにしている。
【0037】
このように構成した本実施形態の取付構造によれば、フランジ14が洗面ボウル100の内側で係止状態となるまで、洗面ボウル100の表側から表側排水管10を回転させて、天板200の裏面に固定された裏側排水管20の内周面に形成されている雌ネジ部に表側排水管10の雄ネジ部13を螺合させて表側排水管10を裏側排水管20に締結させることにより、洗面ボウル100を洗面カウンターの天板200に取り付けることができる。
【0038】
逆に、洗面ボウル100の表側から表側排水管10を逆回転させて雄ネジ部13と雌ネジ部との締結状態を緩めていくことにより、天板200の裏面に裏側排水管20が固定金具70により固定された状態のまま、表側排水管10の雄ネジ部13と裏側排水管20の雌ネジ部との螺合状態を解除して洗面ボウル100を天板200から取り外すことができる。以上のように、本実施形態の取付構造によれば、洗面カウンターの天板200の表側からの作業によって洗面ボウル100を天板200に簡単に取り付けたり取り外したりすることが可能である。
【0039】
また、本実施形態では、表側排水管10を回転操作するための専用のレンチ80を設けている。このレンチ80を用いることにより、フランジ14が洗面ボウル100の内側で係止状態となるまで雄ネジ部13と雌ネジ部とを深く螺合させて、表側排水管10を裏側排水管20に強く締結させることが可能となる。また、弾性部材で構成された円柱部82を筒状部11の内部に嵌め込むだけで表側排水管10の回転作業を行うことができるので、作業が楽である。また、円柱部82は弾性部材なので、筒状部11の内面を傷つけることもない。また、表側排水管10を回転させるための特別な機構を表側排水管10に設けることも不要であるため、表側排水管10を、排水時の水漏れや水溜まりなどの問題が起きにくいシンプルかつ機能的な構成とすることができる。
【0040】
なお、上記実施形態では、裏側排水管20として直管を用いる例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、湾曲部または屈曲部を有する排水管であってもよい。
【0041】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 表側排水管
11 筒状部
12 貫通孔
13 雄ネジ部
14 フランジ
20 裏側排水管
21 筒状部
22 雄係止部
70 固定金具
71 雌係止部
72 ネジ穴
100 洗面ボウル
103 ボウル貫通孔
200 洗面カウンターの天板
201 天板貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面カウンターの天板に置き型の洗面ボウルを取り付けるための取付構造であって、
上記洗面ボウルに形成されたボウル貫通孔および上記天板に形成された天板貫通孔に挿通される円筒状の筒状部を有し、上記筒状部の外周面に雄ネジ部が形成されるとともに、上記筒状部の一端にフランジが形成された表側排水管と、
上記天板の裏面に固定される円筒状の裏側排水管であって、上記表側排水管の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が内周面に形成された裏側排水管とを備え、
上記表側排水管は、上記洗面ボウルの内側から上記ボウル貫通孔および上記天板貫通孔を貫通し、上記フランジが上記洗面ボウルの内側で係止状態となるまで上記雄ネジ部が上記雌ネジ部と螺合することによって上記裏側排水管に締結される構造であり、
上記表側排水管の上記筒状部は、弾性部材で構成された円柱部を有するレンチの上記円柱部の直径よりわずかに小さい内径を有する円筒形状により構成される
ことを特徴とする洗面ボウルの取付構造。
【請求項2】
洗面カウンターの天板に置き型の洗面ボウルを取り付けるための取付キットであって、
上記洗面ボウルに形成されたボウル貫通孔および上記天板に形成された天板貫通孔に挿通される円筒状の筒状部を有し、上記筒状部の外周面に雄ネジ部が形成されるとともに、上記筒状部の一端にフランジが形成された表側排水管と、
上記天板の裏面に固定される円筒状の裏側排水管であって、上記表側排水管の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が内周面に形成された裏側排水管と、
上記表側排水管の上記筒状部の内径よりわずかに大きい直径で弾性部材により構成された円柱部を有し、上記円柱部を上記筒状部の内部に挿入して使用するレンチとを備え、
上記表側排水管は、上記洗面ボウルの内側から上記ボウル貫通孔および上記天板貫通孔を貫通し、上記フランジが上記洗面ボウルの内側で係止状態となるまで上記雄ネジ部が上記雌ネジ部と螺合することによって上記裏側排水管に締結される構造である
ことを特徴とする洗面ボウルの取付キット。
【請求項3】
洗面カウンターの天板に置き型の洗面ボウルを取り付けるための取付方法であって、
円筒状の筒状部の外周面に雄ネジ部が形成されるとともに上記筒状部の一端にフランジが形成された表側排水管を、上記洗面ボウルに形成されたボウル貫通孔および上記天板に形成された天板貫通孔に挿通し、
上記天板の裏面に固定された円筒状の裏側排水管の内周面に形成されている雌ネジ部に上記表側排水管の雄ネジ部を螺合させ、
上記表側排水管の上記筒状部の内径よりわずかに大きい直径で弾性部材により構成された円柱部を有するレンチを用いて、上記円柱部を上記筒状部の内部に挿入した状態にして上記レンチを回すことによって上記表側排水管を回転させ、上記フランジが上記洗面ボウルの内側で係止状態となるまで上記雄ネジ部と上記雌ネジ部とを螺合させることによって上記表側排水管を上記裏側排水管に締結させる
ことを特徴とする洗面ボウルの取付方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明による洗面ボウルの取付構造は、洗面ボウルに形成されたボウル貫通孔および洗面カウンターの天板に形成された天板貫通孔に挿通される円筒状の筒状部を有し、筒状部の外周面に雄ネジ部が形成されるとともに、筒状部の一端にフランジが形成された表側排水管と、天板の裏面に固定される円筒状の裏側排水管であって、表側排水管の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が内周面に形成された裏側排水管とを備える。表側排水管は、洗面ボウルの内側からボウル貫通孔および天板貫通孔を貫通し、フランジが洗面ボウルの内側で係止状態となるまで雄ネジ部が雌ネジ部と螺合することによって裏側排水管に締結される構造となっており、表側排水管の筒状部は、弾性部材で構成された円柱部を有するレンチの円柱部の直径よりわずかに小さい内径を有する円筒形状により構成されている