(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160722
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】液体循環装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
B41J2/01 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075933
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】田坂 梓紋
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056FA04
2C056FA13
2C056HA15
2C056KD10
(57)【要約】
【課題】循環する液体内に空気が混入することを抑制可能な液体循環装置、及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置は、冷却液を収容する収容空間91Aを有する収容部81と、収容部81を経由する循環経路に沿って前記冷却液を流動させるポンプと、収容空間91Aに収容された前記冷却液の水面F1よりも上側に設けられ、前記ポンプによって流動する前記冷却液が収容空間91Aへ排出される排出口94Aと、収容空間91Aに収容された前記冷却液の水面F1と排出口94Aとの間で排出口94Aから排出される前記冷却液と接触する接触面96Aを形成する接触部96と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する収容空間を有し、前記収容空間の一部に前記液体が収容される収容部と、
前記収容部を経由する循環経路に沿って前記液体を流動させるポンプと、
前記収容空間に収容された前記液体の水面よりも上側に設けられ、前記ポンプによって流動する前記液体が前記収容空間へ排出される排出口と、
前記収容空間に収容された前記液体の水面と前記排出口との間で前記排出口から排出される前記液体と接触する接触面を形成する接触部と、
を備える液体循環装置。
【請求項2】
前記接触部は、前記排出口から排出される前記液体の移動方向と直交する前記接触面を形成する、
請求項1に記載の液体循環装置。
【請求項3】
前記排出口は、鉛直下方へ向けて開口し、
前記接触部は、水平面に沿った前記接触面を形成する、
請求項2に記載の液体循環装置。
【請求項4】
前記接触部は、平板状に形成されており、前記接触面における前記排出口から排出される前記液体との接触領域の外側に形成された複数の貫通孔を有する、
請求項3に記載の液体循環装置。
【請求項5】
前記収容空間に収容された前記液体の水面上を浮遊する浮遊部を有し、前記浮遊部を用いて前記液体の水位を検出するセンサーと、
前記収容部の上部及び底部のいずれか一方から他方へ向けて延出して前記浮遊部の周囲を覆う筒状部と、
を備える請求項1~4のいずれかに記載の液体循環装置。
【請求項6】
前記液体は、冷却対象の冷却に用いられる冷却液である、
請求項1~4のいずれかに記載の液体循環装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に含まれる前記冷却対象を冷却する請求項6に記載の液体循環装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体循環装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却対象が冷却される冷却位置を経由する循環経路に沿って冷却液を循環させる液体循環装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的に、前記液体循環装置は、収容部と、ラジエーターと、ポンプとを備える。前記収容部は、前記冷却液を収容する。前記ラジエーターは、前記冷却対象からの吸熱によって昇温した前記冷却液を放熱させることにより、当該冷却液を冷却する。前記ポンプは、前記収容部、前記冷却位置、及び前記ラジエーターを経由する前記循環経路に沿って前記冷却液を流動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記液体循環装置では、循環する前記冷却液に空気が混入することがある。前記冷却液に空気が混入すると、前記ラジエーター、及び前記冷却位置における熱交換効率が低下する。
【0005】
本発明の目的は、循環する液体内に空気が混入することを抑制可能な液体循環装置、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液体循環装置は、収容部と、ポンプと、排出口と、接触部とを備える。前記収容部は、液体を収容する収容空間を有し、前記収容空間の一部に前記液体が収容される。前記ポンプは、前記収容部を経由する循環経路に沿って前記液体を流動させる。前記排出口は、前記収容空間に収容された前記液体の水面よりも上側に設けられ、前記ポンプによって流動する前記液体が前記収容空間へ排出される。前記接触部は、前記収容空間に収容された前記液体の水面と前記排出口との間で前記排出口から排出される前記液体と接触する接触面を形成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、循環する液体内に空気が混入することを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の画像形成部、及び搬送ユニットの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の冷却部の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の収容部の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の収容部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
[画像形成装置100の構成]
まず、
図1~
図3を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。ここで、
図1は、画像形成装置100の構成を示す断面図である。また、
図2は、画像形成部3、及び搬送ユニット4の構成を示す平面図である。なお、
図1では、シート搬送経路R11が二点鎖線によって示されている。
【0011】
画像形成装置100は、インクジェット方式でシートに画像を形成するプリンターである。なお、本発明は、インクジェット方式でシートに画像を形成するファクス装置、コピー機、及び複合機などの画像形成装置に適用されてもよい。
【0012】
図1、及び
図3に示されるように、画像形成装置100は、筐体1、シート搬送部2、画像形成部3、搬送ユニット4、操作表示部5、記憶部6、制御部7、及び冷却部8を備える。
【0013】
筐体1は、画像形成装置100の各構成要素を収容する。筐体1には、給紙カセット11が着脱可能に設けられる。給紙カセット11には、画像が形成されるシートが収容される。筐体1の外側面には、排紙トレイ12が設けられる。排紙トレイ12には、画像形成部3によって画像が形成されたシートが排出される。筐体1の内部では、給紙カセット11に収容されたシートが、画像形成部3による画像形成位置を経由して排紙トレイ12に至るシート搬送経路R11(
図1参照)に沿って搬送される。
【0014】
シート搬送部2は、給紙カセット11に収容されたシートを、シート搬送経路R11(
図1参照)に沿って搬送する。
図1に示されるように、シート搬送部2は、ピックアップローラー21、及び複数の搬送ローラー22を備える。ピックアップローラー21は、給紙カセット11に収容されたシート束における最上層のシートを取り出して、当該シートをシート搬送経路R11に送り出す。複数の搬送ローラー22は、シート搬送経路R11に沿って並んで設けられる。搬送ローラー22各々は、シートをシート搬送経路R11に沿って搬送する。搬送ローラー22各々は、シートを給紙カセット11から排紙トレイ12へ向かう搬送方向D11(
図1参照)へ搬送する。
【0015】
画像形成部3は,シート搬送部2から供給されるシートに画像データに基づく画像を形成する。
図1に示されるように、画像形成部3は、ラインヘッド31~34、及びヘッドフレーム35を備える。
【0016】
図2に示されるように、ラインヘッド31~34各々は、搬送方向D11に直交する幅方向D12に長尺である。具体的に、ラインヘッド31~34各々は、幅方向D12において、給紙カセット11に収容可能なシートのうち最大サイズのシートの幅に対応する長さを有する。ラインヘッド31~34各々は、搬送方向D11に沿って等間隔で並んで設けられる。
【0017】
図2に示されるように、ラインヘッド31~34各々は、複数の記録ヘッド30を有する。記録ヘッド30は、搬送ユニット4によって搬送されるシートへ向けてインクを吐出する。具体的に、記録ヘッド30におけるシートとの対向面には、前記インクの吐出に用いられる多数のノズル30A(
図2参照)が設けられている。ラインヘッド31に設けられる記録ヘッド30各々は、ブラックの前記インクを吐出する。ラインヘッド32に設けられる記録ヘッド30各々は、シアンの前記インクを吐出する。ラインヘッド33に設けられる記録ヘッド30各々は、マゼンタの前記インクを吐出する。ラインヘッド34に設けられる記録ヘッド30各々は、イエローの前記インクを吐出する。
【0018】
本実施形態では、ラインヘッド31は、幅方向D12に沿って3つの記録ヘッド30が千鳥状に配列されている。また、他のラインヘッド32~34各々も、ラインヘッド31と同様に、幅方向D12に沿って3つの記録ヘッド30が千鳥状に配列されている。なお、
図2には、画像形成部3を
図1の上側から見た状態が示されている。
【0019】
ラインヘッド31~34各々は、制御基板36(
図4参照)を備える。制御基板36は、ノズル30A各々に対応する圧電素子の駆動を制御する。前記圧電素子は、予め定められた駆動信号の入力に応じてノズル30Aからインクを吐出させる。
【0020】
ヘッドフレーム35は、ラインヘッド31~34を支持する。ヘッドフレーム35は、筐体1によって支持されている。なお、画像形成部3の備えるラインヘッドの数は、1を含む任意の数であってよい。また、ラインヘッド31~34各々に設けられる記録ヘッド30の数は、任意の数であってよい。
【0021】
図1に示されるように、搬送ユニット4は、ラインヘッド31~34の下方に配置される。搬送ユニット4は、シートを記録ヘッド30に対向させつつ搬送する。例えば、搬送ユニット4は、記録ヘッド30によって前記インクの吐出が行われるごとに、シートを予め定められた搬送量だけ搬送する。また、搬送ユニット4は、記録ヘッド30による前記インクの吐出が行われている間は、シートの搬送を停止する。
図1に示されるように、搬送ユニット4は、シートが載置される搬送ベルト41と、搬送ベルト41を張架する第1張架ローラー42、第2張架ローラー43、及び第3張架ローラー44と、これらを支持する搬送フレーム45とを備える。なお、搬送ベルト41と記録ヘッド30との間隙は、画像形成時のシートの表面と記録ヘッド30との間隙が所定の距離(例えば1mm)となるように調整される。
【0022】
第1張架ローラー42は、不図示のモーターから供給される回転駆動力により回転駆動される。これにより、搬送ベルト41は、シートを搬送方向D11(
図1参照)へ搬送可能な方向に回動する。なお、搬送ユニット4には、シートを搬送ベルト41に吸着させるべく、搬送ベルト41に形成された多数の貫通孔から吸気を行う吸引ユニット(不図示)なども設けられている。また、第1張架ローラー42の上側には、シートを搬送ベルト41に押しつけて搬送させるための圧ローラー46が設けられている。
【0023】
操作表示部5は、画像形成装置100のユーザーインターフェイスである。操作表示部5は、表示部、及び操作部を備える。前記表示部は、制御部7からの制御指示に応じて各種の情報を表示する。例えば、前記表示部は、液晶ディスプレーである。前記操作部は、ユーザーの操作に応じて制御部7に各種の情報を入力する。例えば、前記操作部は、タッチパネルである。操作表示部5は、筐体1の上面に設けられる。
【0024】
記憶部6は、不揮発性の記憶装置である。例えば、記憶部6は、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーである。
【0025】
制御部7は、画像形成装置100を統括的に制御する。
図3に示されるように、制御部7は、CPU7A、ROM7B、及びRAM7Cを備える。CPU7Aは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROM7Bは、CPU7Aに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め格納される不揮発性の記憶装置である。RAM7Cは、CPU7Aが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性、又は不揮発性の記憶装置である。CPU7Aは、ROM7Bに予め格納された各種の制御プログラムを実行することにより、画像形成装置100を統括的に制御する。なお、制御部7は、画像形成装置100を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。また、制御部7は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものであってもよい。
【0026】
[冷却部8の構成]
次に、
図4を参照しつつ、冷却部8の構成について説明する。なお、
図4では、ラインヘッド31が破線によって示されている。
【0027】
冷却部8は、冷却液を用いて冷却対象を冷却する。本実施形態において、前記冷却対象は、ラインヘッド31に設けられる制御基板36である。冷却部8は、本発明の液体循環装置の一例である。また、前記冷却液は、本発明の液体の一例である。
【0028】
具体的に、冷却部8は、前記冷却対象が冷却される冷却位置P1(
図4参照)を経由する循環経路に沿って、前記冷却液を循環させる。
【0029】
図4に示されるように、冷却部8は、収容部81、循環路82、ポンプ83、及びラジエーター84を備える。
【0030】
収容部81は、前記冷却液を収容する。例えば、前記冷却液は、水を主成分とし、凍結温度を低下させるためのエチレングリコール、及びプロピレングリコールなどが添加された不凍液である。
【0031】
循環路82は、前記循環経路に沿って前記冷却液を案内する。
図4に示されるように、循環路82は、第1循環路82A、第2循環路82B、及び第3循環路82Cを含む。第1循環路82Aは、収容部81とポンプ83との間に設けられる。第2循環路82Bは、ポンプ83から冷却位置P1を経由してラジエーター84に至る経路に沿って設けられる。第3循環路82Cは、ラジエーター84と収容部81との間に設けられる。例えば、第1循環路82A、第2循環路82Bの一部、及び第3循環路82Cは、それぞれ可撓性を有するチューブにより形成される。例えば、前記チューブは、ゴムにより形成される。また、第2循環路82Bにおける冷却位置P1に対応する吸熱区間は、金属などの熱伝導性の高い部材によって形成されている。
【0032】
冷却位置P1には、第2循環路82Bの前記吸熱区間、及び制御基板36の両方と接触する伝熱部材が設けられる。前記伝熱部材は、金属などの熱伝導性の高い部材によって形成されている。制御基板36で発生する熱は、前記伝熱部材、及び第2循環路82Bの前記吸熱区間を形成する部材を介して前記冷却液に吸収される。
【0033】
ポンプ83は、冷却位置P1、ラジエーター84、及び収容部81を経由する前記循環経路に沿って前記冷却液を流動させる。ポンプ83は、前記冷却液を前記循環経路に沿って
図4に示される流動方向D21へ流動させる。
【0034】
ラジエーター84は、前記冷却対象からの吸熱によって昇温した前記冷却液を放熱させることにより、当該冷却液を冷却する。ラジエーター84は、ラジエーター84の内部を流動する前記冷却液の冷却に用いられるファン84A(
図4参照)を備える。
【0035】
なお、前記冷却対象は、ラインヘッド31~34に設けられる4つの制御基板36の全部であってもよい。また、前記冷却対象は、制御基板36とは異なる構成であってもよい。例えば、前記冷却対象は、画像形成装置100の各部に動力を供給する不図示の駆動源、又は画像形成装置100の各部に給電する不図示の電源装置であってもよい。
【0036】
ところで、冷却部8では、循環する前記冷却液に空気が混入することがある。前記冷却液に空気が混入すると、ラジエーター84、及び冷却位置P1における熱交換効率が低下する。
【0037】
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置100では、以下に説明するように、循環する前記冷却液内に空気が混入することを抑制可能である。
【0038】
[収容部81の構成]
次に、
図4~
図6を参照しつつ、収容部81の構成についてより詳細に説明する。ここで、
図5は、収容部81の構成を示す断面図である。また、
図6は、収容部81の構成を示す分解図である。なお、
図5では、排出部94の排出口94Aから排出される前記冷却液の液滴、及び接触部96の貫通孔96Bから落下する前記冷却液の液滴にハッチングが付されている。また、
図5、及び
図6では、紙面の上下方向が鉛直上下方向に対応している。
【0039】
図5、及び
図6に示されるように、収容部81は、収容空間形成部91、蓋部92、仕切り壁部93、排出部94、供給部95、接触部96、及び筒状部97を備える。また、収容部81には、センサー85が設けられる。
【0040】
収容空間形成部91は、前記冷却液を収容する収容空間91A(
図5、及び
図6参照)を画定する。
図6に示されるように、収容空間形成部91は、上方が開放された箱形状に形成される。収容空間形成部91は、矩形状の底板部と、前記底板部の縁部に立設される4つの側壁部とを有する。収容空間91Aの一部には、前記冷却液が収容される。具体的に、収容空間91Aには、収容空間91Aの体積に満たない、予め定められた量の前記冷却液が収容される。そのため、収容空間91Aの上部には、前記冷却液が存在しない空間が広がっている。収容空間91A内の前記冷却液の液量は、センサー85が用いられて監視される。
【0041】
蓋部92は、収容空間形成部91における開放された上部を閉塞する。蓋部92は、収容空間形成部91の上部を覆う平板状に形成される。
【0042】
仕切り壁部93は、収容空間91Aを、排出空間91B(
図5、及び
図6参照)と供給空間91C(
図5、及び
図6参照)とに区分する。排出空間91Bは、ラジエーター84から収容部81へ向けて流動する前記冷却液が排出される空間である。供給空間91Cは、収容部81からポンプ83へ向けて流動する前記冷却液が収容される空間である。仕切り壁部93は、収容空間形成部91に含まれる4つの前記側壁部のうち、
図5における紙面奥側の前記側壁部から紙面手前側の前記側壁部へ向けて延出している。
図5における紙面手前の前記側壁部と仕切り壁部93との間には、排出空間91Bと供給空間91Cとを連通する連通路が形成される(
図6参照)。
【0043】
排出部94は、ラジエーター84から収容部81へ向けて流動する前記冷却液を排出空間91Bへ排出する。
図5に示されるように、排出部94は、排出空間91Bの上側に設けられる。
図6に示されるように、排出部94は、蓋部92の上面から突出する筒状に形成される。また、排出部94は、蓋部92の下面に、排出口94A(
図5参照)を形成する。排出口94Aは、収容空間91Aに収容された前記冷却液の水面F1(
図5参照)よりも上側に設けられる。排出口94Aからは、ポンプ83によって流動する前記冷却液が収容空間91Aへ排出される。排出部94には、第3循環路82Cを形成する前記チューブが接続される。
【0044】
供給部95は、供給空間91Cからポンプ83へ向けて前記冷却液を供給する。
図5に示されるように、供給部95は、供給空間91Cの下側に設けられる。
図5に示されるように、供給部95は、収容空間形成部91の前記底板部の下面から突出する筒状に形成される。また、供給部95は、収容空間形成部91の前記底板部の上面に、前記冷却液が供給される供給口95A(
図5参照)を形成する。供給部95には、第1循環路82Aを形成する前記チューブが接続される。
【0045】
接触部96は、収容空間91Aに収容された前記冷却液の水面F1(
図5参照)と排出口94Aとの間で、排出口94Aから排出される前記冷却液と接触する接触面96Aを形成する。
【0046】
具体的に、接触部96は、排出口94Aから排出される前記冷却液の移動方向と直交する接触面96Aを形成する。
【0047】
ここで、収容部81において、排出口94Aは、鉛直下方へ向けて開口する。そのため、前記冷却液の移動方向は、鉛直下方向である。また、接触部96は、水平面に沿った接触面96Aを形成する。
【0048】
図6に示されるように、接触部96は、平板状に形成されており、接触面96Aにおける排出口94Aから排出される前記冷却液の液滴との接触領域AR1(
図5、及び
図6参照)の外側に形成された複数の貫通孔96Bを有する。接触領域AR1は、接触面96Aにおける排出口94Aとの対向部である。貫通孔96B各々は、共通の形状、及びサイズを有する。例えば、貫通孔96Bは、円形に形成される。複数の貫通孔96Bは、接触面96Aにおける接触領域AR1の外側に予め定められた密度で配置される。
【0049】
図6に示されるように、接触部96は、矩形の平板状に形成されている。例えば、接触部96は、仕切り壁部93、及び収容空間形成部91の4つの前記側壁部のうち仕切り壁部93と対向する排出空間91B側の前記側壁部により、水面F1よりも上側で、水平面に沿う姿勢で支持される。例えば、仕切り壁部93、及び仕切り壁部93と対向する排出空間91B側の前記側壁部のそれぞれには、接触部96の縁部を下側から支持するための支持片(不図示)が設けられている。
【0050】
図6に示されるように、収容部81は、屈曲部93Aを有する。屈曲部93Aは、仕切り壁部93の一部であって、仕切り壁部93の一部を排出空間91Bへ向けて屈曲することにより形成される部分である。排出口94Aの下方に配置された接触部96は、仕切り壁部93と、屈曲部93Aと、収容空間形成部91の2つの前記側壁部とによって囲まれている。接触部96は、周りを囲む仕切り壁部93、屈曲部93A、及び収容空間形成部91の2つの前記側壁部により、水平方向への移動が制限される。
【0051】
収容部81において、排出口94Aから排出される前記冷却液は、水面F1に落下する前に、接触部96の接触面96Aと接触する。これにより、前記冷却液に衝撃が加えられ、当該衝撃により前記冷却液に含まれる空気が前記冷却液から除去される。また、前記冷却液と接触面96Aとの接触により、前記冷却液の水面F1への落下の勢いが削がれ、前記冷却液の水面F1への落下による気泡の発生、及び発生した気泡の前記冷却液への混入が抑制される。
【0052】
ここで、収容部81において、接触部96は、排出口94Aから排出される前記冷却液の移動方向と直交する接触面96Aを形成する。これにより、前記冷却液と接触面96Aとの接触によって発生する衝撃を最大化することが可能である。そのため、接触部96との接触による前記冷却液の脱気効果を最大化することが可能である。
【0053】
また、収容部81において、排出口94Aは、鉛直下方へ向けて開口し、接触部96は、水平面に沿った接触面96Aを形成する。これにより、排出口94Aが斜め下方向へ向けて開口する構成と比較して、排出口94Aから排出される前記排出液の軌跡が単純なものとなるため、前記冷却液の移動方向と接触面96Aとを直交させることが可能な排出口94Aと接触部96との位置関係を容易に設定することが可能である。
【0054】
収容部81において、接触面96Aの接触領域AR1と接触した前記冷却液は、接触面96Aに沿って接触領域AR1の外側へ流れ、接触領域AR1の外側に配置された複数の貫通孔96Bから水面F1へ落下する。これにより、前記冷却液の液滴が貫通孔96Bのサイズに細分化され、前記冷却液の液滴の水面F1への落下による気泡の発生、及び発生した気泡の前記冷却液への混入がより抑制される。また、前記冷却液の液滴の細分化時に、当該液滴に含まれる空気が除去される。
【0055】
ここで、複数の貫通孔96Bによる細分化後の前記冷却液の液滴のサイズが小さいほど、前記冷却液への空気の混入の抑制効果が大きくなる。一方で、貫通孔96B各々のサイズを小さくしすぎると、複数の貫通孔96Bから落下する前記冷却液の量よりも、排出口94Aから排出される前記冷却液の量が上回り、接触部96で前記冷却液が詰まるおそれがある。そのため、貫通孔96B各々のサイズは、前記冷却液が詰まるおそれが生じない範囲で、可能な限り小さくすることが望ましい。
【0056】
なお、貫通孔96Bは、接触領域AR1の内側に形成されていてもよい。また、接触部96は、貫通孔96Bを備えていなくてもよい。また、排出口94Aは、斜め下方へ向けて開口していてもよい。この場合、接触部96は、接触面96Aが排出口94Aから排出される前記冷却液の移動方向と直交、又は交差する姿勢で配置されていればよい。また、接触面96Aは、排出口94Aから排出される前記冷却液と接触して当該接触液を水面F1まで案内する傾斜面であってもよい。
【0057】
センサー85は、収容空間91Aに収容された前記冷却液の水面F1上を浮遊する浮遊部85Aを有し、浮遊部85Aを用いて前記冷却液の水位を検出する。センサー85は、所謂フロートセンサーである。センサー85は、収容空間91Aに収容された前記冷却液の水位が予め定められた基準水位を下回った場合に、その旨を示す検出信号を出力する。
【0058】
制御部7は、センサー85から出力される前記検出信号が入力された場合に、収容空間91Aに収容された前記冷却液の水位が前記基準水位を下回った旨を報知する。例えば、制御部7は、収容空間91Aに収容された前記冷却液の水位が前記基準水位を下回った旨を示すメッセージを操作表示部5に表示させる。これにより、ユーザーに対して、前記冷却液の補充、又は交換作業を促すことが可能である。従って、前記冷却液の不足に起因する冷却部8の性能低下を回避することが可能である。
【0059】
筒状部97は、収容部81の上部から下部へ向けて延出して浮遊部85Aの周囲を覆う。
図6に示されるように、筒状部97は、蓋部92に設けられる。筒状部97は、蓋部92の下面から下方へ向けて突出して設けられる。筒状部97は、水面F1を越えて下方へ突出する。筒状部97の内側には、浮遊部85Aを含むセンサー85が設けられる。
【0060】
排出空間91Bでは、排出口94Aから排出された前記冷却液の水面F1への落下により波が生じる。前記波は、排出空間91Bと供給空間91Cとを連通する前記連通路を通って供給空間91Cに到達する。前記波により浮遊部85Aが上下方向に変位されると、センサー85が誤作動を起こす可能性がある。
【0061】
これに対し、冷却部8では、浮遊部85Aの周囲が筒状部97によって覆われている。これにより、前記波が浮遊部85Aまで到達することを抑制可能である。
【0062】
なお、筒状部97は、収容部81の下部から上部へ向けて延出して浮遊部85Aの周囲を覆うものであってもよい。具体的に、筒状部97は、収容空間形成部91の前記底板部の上面から上方へ向けて水面F1の上側まで突出して設けられてもよい。この場合、筒状部97には、内側に前記冷却液を流入させるための流入口が形成されていればよい。
【0063】
このように、画像形成装置100では、排出口94Aから排出される前記冷却液が、水面F1に落下する前に、接触部96の接触面96Aと接触する。これにより、前記冷却液に衝撃が加えられ、当該衝撃により前記冷却液に含まれる空気が前記冷却液から除去される。また、前記冷却液と接触面96Aとの接触により、前記冷却液の水面F1への落下の勢いが削がれ、前記冷却液の水面F1への落下による気泡の発生、及び発生した気泡の前記冷却液への混入が抑制される。従って、循環する前記冷却部内に空気が混入することを抑制可能である。
【0064】
なお、本発明の液体は、画像の形成に用いられる前記インクであってもよい。つまり、本発明は、前記インクを循環させるインク循環装置に適用されてもよい。
【0065】
ここで、本発明をインク循環装置に適用する場合に、接触部96に複数の貫通孔96Bを設けると、前記インクの固化により貫通孔96Bで目詰まりが発生して、前記インクの循環が阻害されるおそれがある。そのため、本発明をインク循環装置に適用する場合には、接触部96に複数の貫通孔96Bを設けないことが望ましい。
【0066】
また、本発明の冷却対象は、パーソナルコンピューターなどの情報処理装置に設けられる制御基板などであってもよい。
【0067】
[発明の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0068】
<付記1>
液体を収容する収容空間を有し、前記収容空間の一部に前記液体が収容される収容部と、前記収容部を経由する循環経路に沿って前記液体を流動させるポンプと、前記収容空間に収容された前記液体の水面よりも上側に設けられ、前記ポンプによって流動する前記液体が前記収容空間へ排出される排出口と、前記収容空間に収容された前記液体の水面と前記排出口との間で前記排出口から排出される前記液体と接触する接触面を形成する接触部と、を備える液体循環装置。
【0069】
<付記2>
前記接触部は、前記排出口から排出される前記液体の移動方向と直交する前記接触面を形成する、付記1に記載の液体循環装置。
【0070】
<付記3>
前記排出口は、鉛直下方へ向けて開口し、前記接触部は、水平面に沿った前記接触面を形成する、付記2に記載の液体循環装置。
【0071】
<付記4>
前記接触部は、平板状に形成されており、前記接触面における前記排出口から排出される前記液体との接触領域の外側に形成された複数の貫通孔を有する、付記3に記載の液体循環装置。
【0072】
<付記5>
前記収容空間に収容された前記液体の水面上を浮遊する浮遊部を有し、前記浮遊部を用いて前記液体の水位を検出するセンサーと、前記収容部の上部及び底部のいずれか一方から他方へ向けて延出して前記浮遊部の周囲を覆う筒状部と、を備える付記1~4のいずれかに記載の液体循環装置。
【0073】
<付記6>
前記液体は、冷却対象の冷却に用いられる冷却液である、付記1~5のいずれかに記載の液体循環装置。
【0074】
<付記7>
シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に含まれる前記冷却対象を冷却する付記6に記載の液体循環装置と、を備える画像形成装置。
【符号の説明】
【0075】
1 筐体
2 シート搬送部
3 画像形成部
4 搬送ユニット
5 操作表示部
6 記憶部
7 制御部
8 冷却部
31 ラインヘッド
32 ラインヘッド
33 ラインヘッド
34 ラインヘッド
36 制御基板
81 収容部
82 循環路
83 ポンプ
84 ラジエーター
85 センサー
91 収容空間形成部
92 蓋部
93 仕切り壁部
94 排出部
95 供給部
96 接触部
97 筒状部
100 画像形成装置