(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160729
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ラジカル重合性組成物及び電気電子部品
(51)【国際特許分類】
C08F 299/06 20060101AFI20241108BHJP
B29C 45/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C08F299/06
B29C45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075952
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000230364
【氏名又は名称】日本ユピカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻庭 悠朔
(72)【発明者】
【氏名】小澤 雄一
(72)【発明者】
【氏名】松岡 直弥
【テーマコード(参考)】
4F206
4J127
【Fターム(参考)】
4F206AD07
4F206AH33
4F206AH37
4F206JA02
4F206JA07
4F206JB12
4F206JB17
4F206JL02
4J127AA03
4J127AA04
4J127BA051
4J127BB031
4J127BB051
4J127BB091
4J127BB111
4J127BB221
4J127BD421
4J127BD481
4J127BE241
4J127BE24Y
4J127BF141
4J127BF14X
4J127BF211
4J127BF21X
4J127BF381
4J127BF38X
4J127BF411
4J127BF41X
4J127BF621
4J127BF62Y
4J127BG041
4J127BG04X
4J127BG051
4J127BG05X
4J127BG181
4J127BG18X
4J127BG271
4J127BG27Y
4J127DA12
4J127DA28
4J127DA66
4J127DA70
4J127EA05
4J127FA14
4J127FA15
4J127FA41
(57)【要約】
【課題】金属密着性に優れるラジカル重合性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物、無機充填材、シランカップリング剤及びラジカル重合開始剤を含み、前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物のアクリル当量が300g/当量以上であり、前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物の4級炭素濃度が3.0mmol/g以上である、ラジカル重合性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物、無機充填材、シランカップリング剤及びラジカル重合開始剤を含み、
前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物のアクリル当量が300g/当量以上であり、前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物の4級炭素濃度が3.0mmol/g以上である、ラジカル重合性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物が、ポリエステルポリオールからなる成分を含む、請求項1に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物の含有量が、前記ラジカル重合性樹脂組成物の全量に対して、5~20質量%である、請求項1又は2に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
【請求項4】
前記ラジカル重合性樹脂組成物の4級炭素濃度が0.4mmol/g以上である、請求項1又は2に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
【請求項5】
前記ラジカル重合性樹脂組成物が、23℃で固体である、請求項1又は2に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
【請求項6】
電気電子部品の封止用、成形用又は固定用である、請求項1又は2に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のラジカル重合性樹脂組成物により封止、成形又は固定されている電気電子部品。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のラジカル重合性樹脂組成物からなる粒状物。
【請求項9】
請求項8に記載の粒状物を射出成形法、トランスファー成形法によるインサート成形法により電気電子部品を封止、成形、又は固定する工程を有する電気電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジカル重合性組成物及び電気電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、電化製品に使用されている電気電子部品は、埃、水分、衝撃等の外的要因から守るために金属製材料等で保護されている。金属製材料は、電気電子部品の封止、成形、固定には高い信頼性を有するが、高価である。そのため、安価で生産性が良好な樹脂製材料に置き換えられつつある。また、樹脂製材料は、電気絶縁性を有することから電気電子部品を小さくすることが可能となり、搭載される自動車、電化製品の設計自由度が向上する。また、電気電子部品は、部品からの発熱や高温高湿環境下での使用に耐える必要があるため、耐熱性に優れた熱硬化性樹脂が多く使用されている。
【0003】
自動車の電子制御化、更にはモバイル機器、情報家電の普及により半導体の使用量も大幅に増加しており、電気電子部品封止、成形、若しくは固定体の一つである半導体封止、成形、若しくは固定の重要性も高まっている。半導体の封止、成形、若しくは固定に使用される半導体封止、成形、若しくは固定材はタブレット状のエポキシモールディングコンパウンド(EMC)が多くを占めている。EMCは高い生産性を有するトランスファー成形法で使用され、密着性や線膨張率等の物理的特性に優れていることから高い信頼性を確立しているが、冷凍保管、後硬化工程が必要であることから、使用方法の簡素化が求められている。
【0004】
このようなことから、従来、半導体装置の製造方法とそれに使用される半導体封止用アクリル樹脂組成物が知られている(例えば特許文献1)。
【0005】
また、水酸基を有するアクリレート及び水酸基を有するメタクリレートの少なくとも一方と、共役ジエン系ポリマーポリオール及びその水素添加物の少なくとも一方と、ポリイソシアネートとの反応によって得られた化合物を含み、前記化合物に含まれるイソシアネート基、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計量に対するアクリロイル基及びメタクリロイル基の量が、12.5~50モル%である、重合性樹脂組成物が知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-002204号公報
【特許文献2】特開2019-011458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
樹脂製材料の課題として、金・銀・銅・アルミニウム・ニッケル・スズ等の金属との密着性がある。電気電子部品分野においては、リードフレーム(銅、金)等との密着性向上が望まれている。
樹脂製基板や金属と密着性が良好である樹脂として液状エポキシ樹脂が使用されているが、液状エポキシ樹脂を使用した封止等の成形は、圧縮成形、注型等の比較的生産性に乏しく、より生産性の高い方法によって製造でき、更により高い密着性を有する樹脂が求められている。
そこで、本発明の課題は、金属密着性に優れるラジカル重合性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物、無機充填材、シランカップリング剤、ラジカル重合開始剤を含む組成物において、当該ラジカル重合性化合物のアクリル当量と4級炭素濃度を特定の範囲とすることで上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、下記に関する。
[1]ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物、無機充填材、シランカップリング剤及びラジカル重合開始剤を含み、前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物のアクリル当量が300g/当量以上であり、前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物の4級炭素濃度が3.0mmol/g以上である、ラジカル重合性樹脂組成物。
[2]前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物が、ポリエステルポリオールからなる成分を含む、上記[1]に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[3]前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物の含有量が、前記ラジカル重合性樹脂組成物の全量に対して、5~20質量%である、上記[1]又は[2]に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[4]前記ラジカル重合性樹脂組成物の4級炭素濃度が0.4mmol/g以上である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[5]前記ラジカル重合性樹脂組成物が、23℃で固体である、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[6]電気電子部品の封止用、成形用又は固定用である、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[7]上記[1]~[6]のいずれか1つに記載のラジカル重合性樹脂組成物により封止、成形又は固定されている電気電子部品。
[8]上記[1]~[6]のいずれか一項に記載のラジカル重合性樹脂組成物からなる粒状物。
[9]上記[8]に記載の粒状物を射出成形法、トランスファー成形法によるインサート成形法により電気電子部品を封止、成形、又は固定する工程を有する電気電子部品の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、金属密着性に優れるラジカル重合性樹脂組成物を提供することができる。そのため、本発明の結晶性ラジカル重合性樹脂組成物は、自動車、通信、コンピュータ、家電用途各種のコネクター、ハーネス、半導体の封止体、成形体、固定体;あるいはプリント基板を有するスイッチ、センサー等の電気電子部品の封止体、成形体、固定体の樹脂材料として適している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[ラジカル重合性樹脂組成物]
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物、無機充填材、シランカップリング剤及びラジカル重合開始剤を含み、前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物のアクリル当量が300g/当量以上であり、前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物の4級炭素濃度が3.0mmol/g以上である、ラジカル重合性樹脂組成物である。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、金属密着性に優れ、電気電子部品の封止、成形又は固定に適している。
【0011】
<ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物>
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、アクリル当量が300g/当量以上であり、4級炭素濃度が3.0mmol/g以上であるウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物を含む。
【0012】
前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物のアクリル当量は、300g/当量以上であり、好ましくは350g/当量以上であり、より好ましくは400g/当量以上であり、更に好ましくは500g/当量以上である。上限値には制限はないが、前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物のアクリル当量は、通常1000g/当量以下である。ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物のアクリル当量が上記範囲であることによって、ラジカル重合性樹脂組成物は金属密着性に優れる。
【0013】
前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物の4級炭素濃度は、3.0mmol/g以上であり、好ましくは3.5mmol/g以上であり、より好ましくは4.0mmol/g以上であり、更に好ましくは5.0mmol/g以上であり、より更に好ましくは6.0mmol/g以上である。上限値には制限はないが、前記ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物の4級炭素濃度は、通常10.0mmol/g以下である。ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物の4級炭素濃度が上記範囲であることによって、ラジカル重合性樹脂組成物は金属密着性に優れる。
【0014】
本発明のラジカル重合性樹脂組成物に含まれるウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物のアクリル当量が300g/当量以上であり、4級炭素濃度が3.0mmol/g以上であることによって、金属密着性に優れる理由は定かではないが、次のように考えられる。
ラジカル重合性化合物のアクリル当量が300g/当量以上であるため、二重結合の濃度が小さく、4級炭素濃度が3.0mmol/g以上であるため、得られる成形体の分子骨格がバルキーに(かさ高く)なる。これらにより、金属表面に接する部分の組成物が重合する際に生じる応力を低減できると考えられる。
このように、上記2つの条件を同時に満たすことで、金属表面と得られる成形体の表面との間に生じる応力が大幅に緩和され、基材との相互作用が大きくなることから、金属密着性に優れると考えられる。
本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」からなる群より選ばれる少なくとも1つのことをいう。
【0015】
本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物には、特に制限はなく、ポリイソシアネートのヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートの付加物であればよい。
「ポリイソシアネートのヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートの付加物」とは、ポリイソシアネートのイソシアネート基と、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートのヒドロキシル基(水酸基)からウレタン結合を形成することで得られる、付加物のことである。
なお、本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物には、更にポリオール又はポリエステルポリオールからなる成分を含んでいてもよく、ポリエステルポリオールからなる成分を含むことが好ましい。
以下に本発明のラジカル重合性樹脂組成物に含有されるウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物の詳細を説明するが、以下のようなウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物を用いることで、得られるラジカル重合性樹脂組成物は、金属密着性に優れ、電気電子部品の封止、成形又は固定に適するものとなる。
【0016】
ポリイソシアネートとしては、芳香族イソシアネート化合物、脂環式イソシアネート化合物、脂肪族イソシアネート化合物等が挙げられ、脂環式イソシアネート化合物及び脂肪族イソシアネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、脂環式イソシアネート化合物及び脂肪族イソシアネート化合物の両方であることがより好ましい。また、2官能イソシアネート化合物が3量化されたイソシアヌレート環を有する3官能イソシアネート(ヌレート型ポリイソシアネート)、ポリオールで変性されたイソシアネートプレポリマー等も好適に用いられる。
【0017】
芳香族イソシアネート化合物としては、1,3-キシリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式イソシアネート化合物としては、水添キシリレンジイソシアネート(1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添メチレンビスフェニレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族イソシアネート化合物としては、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのイソシアネート化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0018】
ポリイソシアネートのうち、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート及びこれらのヌレート型ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びこれらのヌレート型ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
前記イソホロンジイソシアネートのヌレート型ポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)単量体がヌレート環を形成した前記IPDIの三量体、五量体、七量体、九量体、及び十一量体から選択される少なくとも1種、又はこれらの混合物であることが好ましい。
【0019】
ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましく、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0020】
ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物のアクリル当量が300g/当量以上である範囲であれば、ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物にはポリオール又はポリエステルポリオールからなる成分を含むことが好ましく、ポリエステルポリオールからなる成分を含むことが好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、二塩基酸とジオールを重縮合させたものが挙げられる。
二塩基酸としては、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、テレフタル酸及びテトラヒドロフタル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
ジオールとしては、ビスフェノール類、水素化ビスフェノール類、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ビスフェノール類、水素化ビスフェノール類、ネオペンチルグリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましく、水素化ビスフェノールA及びネオペンチルグリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
ポリエステルポリオールのなかでも、テレフタル酸とネオペンチルグリコールを重縮合させたポリエステルポリオール、テトラヒドロ無水フタル酸と水素化ビスフェノールAを重縮合させたポリエステルポリオールが更に好ましい。
ポリオールとしては、脂肪族ジオール、エーテル化ジフェノール等が挙げられる。
ポリオール又はポリエステルポリオールからなる成分は単独でも2種以上を用いてもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物が、ポリエステルポリオールからなる成分を含む場合、ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物中のポリエステルポリオールからなる成分の含有量は、ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物の全量に対して、好ましくは10~60質量%であり、より好ましくは20~60質量%であり、更に好ましくは30~50質量%である。ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物中のポリエステルポリオールからなる成分の含有量が上記範囲であることによって、ラジカル重合性樹脂組成物は金属密着性に優れる。
【0021】
本発明のラジカル重合性樹脂組成物にはウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物以外のラジカル重合性化合物を含んでいてもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物以外のラジカル重合性化合物としては、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ラジカル重合性単量体、ラジカル重合性プレポリマー等が挙げられる。
これらのなかでも、ラジカル重合性単量体が好ましい。
ラジカル重合性単量体のうち、結晶性を有するラジカル重合性単量体が好ましく、結晶性を有するラジカル重合性単量体としては、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(融点約50℃)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(融点35~53℃)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(融点33~40℃)、ベヘニルアクリレート(融点46℃)、テトラメチルピペリジルメタクリレート(融点56~60℃)、トリメタリルイソシアヌレート(融点83~87℃)、ダイアセトンアクリルアミド(融点約56℃)、イタコン酸ジメチルエステル(融点36℃)、ステアリン酸ビニル(融点36℃)、N-ビニルカルバゾール(融点67℃)、N-メチロールアクリルアミド(融点71~75℃)、アクリルアミド(融点84℃)、トリレンジアリルカルバメート(融点85~110℃)、マレイミド(融点93℃)、アセナフチレン(融点95℃)等が挙げられ、なかでもエトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレートがより好ましい。
【0022】
本発明のラジカル重合性樹脂組成物中のウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物の含有量は、ラジカル重合性樹脂組成物中、好ましくは3~30質量%であり、より好ましくは5~20質量%であり、更に好ましくは8~20質量%であり、より更に好ましくは10~20質量%であり、より更に好ましくは12~15質量%である。
また、ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物とウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物以外のラジカル重合性化合物の合計に対するウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物の比率は、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、更に好ましくは80質量%以上であり、より更に好ましくは90質量%以上であり、より更に好ましくは95質量%以上である。上限には制限はなく、100質量%以下であればよく、100質量%以下であることが好ましく、ラジカル重合性化合物として、ウレタン(メタ)アクリレート系のラジカル重合性化合物のみがラジカル重合性樹脂組成物に含有されていてもよい。
前記ラジカル重合性樹脂組成物の含有量が、上記範囲であることで、得られるラジカル重合性樹脂組成物は、金属密着性に優れるものとなる。
【0023】
<無機充填材>
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、無機充填材を含む。
無機充填材は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、マイカ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素が挙げられ、流動性の観点からシリカが好ましく、球状シリカがより好ましく、溶融球状シリカが更に好ましい。無機充填材は単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0024】
前記無機充填材の平均粒子径は、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは0.01~50μmである。上記平均粒子径を有する無機充填材を使用することにより、成形時の流動性、強度に優れたラジカル重合性樹脂組成物とすることができる。
【0025】
ラジカル重合性樹脂組成物中の前記無機充填材の含有量は、ラジカル重合性樹脂組成物中、好ましくは50~95質量%であり、より好ましくは60~95質量%であり、更に好ましくは70~95質量%であり、より更に好ましくは75~90質量%であり、より更に好ましくは80~90質量%である。
前記無機充填材の含有量が、上記範囲であることで、ラジカル重合性樹脂組成物の樹脂の分離を抑制することができる。
【0026】
<シランカップリング剤>
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、シランカップリング剤を含有する。
シランカップリング剤は、エポキシシラン系シランカップリング剤、アミノシラン系シランカップリング剤、カチオニックシラン系シランカップリング剤、ビニルシラン系シランカップリング剤、(メタ)アクリルシラン系シランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、およびこれらの複合系等を用いることができる。これらのうち、強度向上の観点から(メタ)アクリルシラン系シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、ラジカル重合性樹脂組成物中、好ましくは0.02~2質量%であり、より好ましくは0.05~1質量%であり、更に好ましくは0.1~0.7質量%であり、より更に好ましくは0.1~0.5質量%である。
シランカップリング剤の含有量は、ラジカル重合性樹脂組成物に含有されるラジカル重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.15~15質量部であり、より好ましくは0.4~8質量部であり、更に好ましくは0.7~5質量部であり、より更に好ましくは1~4質量部である。
シランカップリング剤の含有量を上記範囲とすることで、樹脂の分離を抑制することができ、組成のばらつきも抑制できる。
【0027】
<ラジカル重合開始剤>
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、ラジカル重合開始剤を含有する。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物に含有されるラジカル重合開始剤は、好ましくは有機過酸化物である。
【0028】
有機過酸化物としては、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルパーオキシオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
これらの中でも、成形条件の自由度、貯蔵安定性及び金属密着性の観点から、10時間半減期温度が90℃以上の有機過酸化物が好ましく、ジクミルパーオキサイドがより好ましい。
【0029】
ラジカル重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性樹脂組成物中、好ましくは0.02~2質量%であり、より好ましくは0.05~1質量%であり、更に好ましくは0.1~0.7質量%であり、より更に好ましくは0.1~0.5質量%である。
ラジカル重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性樹脂組成物に含有されるラジカル重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.15~15質量部であり、より好ましくは0.4~8質量部であり、更に好ましくは0.7~5質量部であり、より更に好ましくは1~4質量部である。
ラジカル重合開始剤の含有量を上記範囲とすることで、電気電子部品用の樹脂材料として十分な耐熱性を有する硬化物を得ることができ、更に金属表面と得られる成形体の表面との間に生じる応力が分散されるため、密着性を有する硬化物を得ることができる。
【0030】
<その他の成分>
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分として、重合禁止剤、離型剤、着色剤、強化材、熱可塑性樹脂、難燃剤等を含有していてもよく、重合禁止剤、離型剤及び着色剤からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。
【0031】
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、モノメチルエーテルハイドロキノン、トルハイドロキノン、ジ-t-4-メチルフェノール、モノメチルエーテルハイドロキノン、フェノチアジン、t-ブチルカテコール、パラベンゾキノン、ピロガロール等のキノン類;2,6-ジーt-ブチル-p-クレゾール、2,2-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系化合物;4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-カルボキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル等のピペリジン-1-オキシル類が挙げられる。重合禁止剤を使用することにより成形時の充填途中における増粘を抑制し、溶融粘度が低いラジカル重合性樹脂組成物にすることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0032】
重合禁止剤の含有量は、ラジカル重合性樹脂組成物中、好ましくは0.001~0.05質量%であり、より好ましくは0.003~0.03質量%であり、更に好ましくは0.003~0.02質量%である。
重合禁止剤の含有量は、ラジカル重合性樹脂組成物に含有されるラジカル重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.002~0.5質量部であり、より好ましくは0.002~0.3質量部であり、更に好ましくは0.005~0.2質量部であり、より更に好ましくは0.01~0.1質量部である。
重合禁止剤の含有量を上記範囲とすることで、成形時の充填途中における増粘を抑制し、溶融粘度の低いラジカル重合性樹脂組成物にすることができる。
【0033】
着色剤としては、好ましくはカーボンブラックが挙げられる。
着色剤の含有量は、ラジカル重合性樹脂組成物中、好ましくは0.02~1質量%であり、より好ましくは0.05~0.7質量%であり、更に好ましくは0.1~0.5質量%であり、より更に好ましくは0.1~0.4質量%である。
【0034】
離型剤としては、一般に熱硬化性樹脂に用いられる脂肪酸系離型剤、脂肪酸金属塩系離型剤、鉱物系等のワックス類を用いることができ、耐熱変色性に優れた脂肪酸金属塩系離型剤が好ましい。
離型剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸塩、パラフィンワックス等を挙げることができ、ステアリン酸塩が好ましい。
ステアリン酸塩は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウムを挙げることができ、ステアリン酸亜鉛が好ましい。離型剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
離型剤は、必要に応じて金型に噴霧したり、塗布するタイプの離型剤、離型剤を配合した成形材料等の外部離型剤を使用することもできる。
【0035】
強化材としては、好ましくはガラス繊維が挙げられる。
ガラス繊維としては、珪酸ガラス、ホウ珪酸ガラスを原料とするEガラス(電気用無アルカリガラス)、Cガラス(化学用含アルカリガラス)、Aガラス(耐酸用ガラス)、Sガラス(高強度ガラス)等のガラス繊維を挙げることができ、これらを長繊維(ロービング)、短繊維(チョップドストランド)、ミルドファイバーとしたものを用いることができる。さらに、これらのガラス繊維は表面処理を施したものを用いることもできる。
強化材を使用することにより優れた強度特性、寸法安定性を有する硬化物を得ることができる。
【0036】
熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、スチレン-ブタジエン系ゴム等が挙げられる。
【0037】
難燃剤としては、ハロゲン系、リン系、窒素系、複合型の有機系難燃剤、及び金属水酸化物、アンチモン系、赤リン系、シリコーン系、ホウ酸塩の無機系難燃剤を使用することができる。さらに、これらの難燃剤は添加型の難燃剤や、樹脂と反応して樹脂骨格中に組み込まれる反応型の難燃剤も使用できる。これらの難燃剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0038】
<ラジカル重合性樹脂組成物の製造方法、及びラジカル重合性樹脂組成物の特性・用途>
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、いかなる方法によって得てもよいが、各成分を配合して、ミキサー、ブレンダー等を用いて十分均一に混合した後、加熱加圧可能な混練機、押し出し機等にて調製し、造粒して製造することができる。
【0039】
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、粒状物、粉末、タブレットなど、用途に応じて形状を選択することができるが、粒状物であることが好ましく、粒状物は前記ラジカル重合性樹脂組成物からなることが好ましい。また、粒状物はペレットであることがより好ましい。該粒状物は前記ラジカル重合性樹脂組成物からなることが好ましい。
【0040】
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、取扱い性という観点から、23℃で固体であることが好ましい。上記範囲であると、ラジカル重合性樹脂組成物の製造・成形・輸送環境下において組成物の形状が変化しないため、汎用の製造設備・条件で連続生産が可能となるため好ましい。なお、固体とは外力によって容易に形及び体積が変化しないものである。
【0041】
本発明のラジカル重合性樹脂組成物の4級炭素濃度は、好ましくは0.4mmol/g以上であり、より好ましくは0.5mmol/g以上であり、更に好ましくは0.6mmol/g以上であり、より更に好ましくは0.7mmol/g以上であり、より更に好ましくは0.8mmol/g以上である。上限値には制限はないが、前記本発明のラジカル重合性樹脂組成物の4級炭素濃度は、通常2.0mmol/g以下である。本発明のラジカル重合性樹脂組成物の4級炭素濃度が上記範囲であることによって、ラジカル重合性樹脂組成物は金属密着性に優れる。
【0042】
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、密着性が要求される用途に適するため、電気電子部品の封止用、成形用又は固定用であることが好ましい。本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、電気電子部品に用いることができ、例えば、電気電子部品の封止、成形又は固定に使用することができる。例えば、封止、成形又は固定等に本発明のラジカル重合性樹脂組成物を用いた場合、具体的に、電気電子部品封止体、電気電子部品成形体、又は電気電子部品固定体とすることでき、本発明のラジカル重合性樹脂組成物によって、封止、成形又は固定された電気電子部品を得ることができる。
【0043】
電気電子部品用封止体は、インサート物を含んだ封止体とすることができる。また、電気電子部品用成形体としては、機械特性や熱特性を取得するためのテストピースを例示することができる。また、電気電子部品用固定体としては、電気電子部品を筐体やユニット、モジュール、デバイス等の構成パーツへ固定したものを例示することができる。電気電子部品用封止体は、コンデンサー、集積回路等が基板に接合されており、それらを一体で覆うような成形体である。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、電気電子部品として、プリント配線基板、ワイヤーハーネス、温度センサー、半導体等にも用いることができ、各種電気電子部品に広く適用することができる。
【0044】
[電気電子部品、及び電気電子部品の製造方法]
本発明の電気電子部品は、前記ラジカル重合性樹脂組成物により封止、成形又は固定されている電気電子部品である。電気電子部品としては、プリント配線基板、ワイヤーハーネス、温度センサー、半導体等が挙げられる。
また、本発明の電気電子部品を製造する方法には、制限はなく、常法により、種々の熱硬化性組成物の成形方法により成形して得ることができる。
【0045】
前記ラジカル重合性樹脂組成物は、乾式で、かつ溶融時の熱安定性が良好なため、成形方法として、射出成形法、射出圧縮成形法、トランスファー成形法、圧縮成形法等の溶融加熱成形法を好適に用いることができる。これらのなかでも射出成形機を用いた射出成形法、トランスファー成形機を用いたトランスファー成形法が特に好適であり、射出成形法により成形時間をより短く、トランスファー成形法により一度に多くの成形体を成形することができる。
以上のように、本発明の電気電子部品は、前記ラジカル重合性樹脂組成物からなる粒状物を射出成形法、トランスファー成形法によるインサート成形法により電気電子部品を封止、成形、又は固定する工程を有する電気電子部品の製造方法によって製造することが好ましい。
【0046】
前記インサート成形法により電気電子部品を封止、成形、又は固定する場合、前記ラジカル重合性樹脂組成物は、ラジカル重合性樹脂組成物を構成する全成分が別途あらかじめ加熱混練されたものであっても、構成成分の一部または全部が金型注入直前に混合され加熱混練されたものであってもよい。
【0047】
金型注入の際のラジカル重合性樹脂組成物温度および圧力は特に限定されないが、射出成形機を用いた場合は、ラジカル重合性樹脂組成物の温度を60~130℃とし、金型温度を130~190℃とし、かつラジカル重合性樹脂組成物の圧力を0.1~10MPaとすると電気電子部品へのダメージが少なくなり好ましい。また、トランスファー成形機を用いた場合は、金型温度を130~190℃とし、ラジカル重合性樹脂組成物の圧力を0.1~10MPaとすると電気電子部品へのダメージが少なくなり好ましい。
【実施例0048】
以下、実施例により本発明の一実施態様についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0049】
<ラジカル重合性樹脂組成物の製造>
実施例1~3及び比較例1~2
表1に記載の組成となるように下記の成分を配合し、混練機を用いて、加熱混練したのち、冷却して均一になるまで、混練して、ラジカル重合性樹脂組成物を得た。いずれのラジカル重合性樹脂組成物も23℃で固体であった。
【0050】
配合成分としては以下のものを用いた。
(1)ラジカル重合性化合物
・ウレタン(メタ)アクリレート1
ポリエステル系ウレタンメタクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネート:テレフタル酸/ネオペンチルグリコールを原料としたポリエステル:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(質量比)=35:45:20)
・ウレタン(メタ)アクリレート2
ウレタンメタクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネート:HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)ビウレット体:イソホロンジイソシアネート三量体:2-ヒドロキシエチルメタクリレート:2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=9.9:0.1:50:20:20)
・ウレタン(メタ)アクリレート3
ポリエステル系ウレタンメタクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネート:テトラヒドロ無水フタル酸/水素化ビスフェノールAを原料としたポリエステル:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(質量比)=20:45:35)
・ウレタン(メタ)アクリレート4
ウレタンメタクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネート:HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)ビウレット体:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(質量比)=39:1:60)
・ウレタン(メタ)アクリレート5
ポリエステル系ウレタンメタクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネート:テトラヒドロ無水フタル酸/水素化ビスフェノールAを原料としたポリエステル:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(質量比)=35:10:55)
・ラジカル重合性化合物6
トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート
【0051】
(2)無機充填材
・無機充填材1:溶融球状シリカ(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製 S4070 (平均粒子径24μm)
・無機充填材2:溶融球状シリカ(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製 S4060 (平均粒子径18μm)
【0052】
(3)添加剤
1.シランカップリング剤:メタクリル系シラン(信越化学工業(株)製 KBM-50
3)
2.着色剤:カーボンブラック(三菱化学(株)製 CB40)
3.ラジカル重合開始剤:ジクミルパーオキサイド(日油(株)製 パークミルD-40、純度40%)
4.重合禁止剤:パラベンゾキノン(精工化学(株)製 PBQ)
【0053】
<アクリル当量>
ラジカル重合性樹脂組成物の原料であるラジカル重合性化合物に含有される(メタ)アクリル基の二重結合あたりのラジカル重合性化合物の質量としてアクリル当量(g/当量)を算出した。表1に「化合物 アクリル当量」と示す。
【0054】
<4級炭素濃度>
ラジカル重合性樹脂組成物の原料であるラジカル重合性化合物に含有される4級炭素のモル数をラジカル重合性化合物の質量で除して4級炭素濃度(mmol/g)を算出した。表1に「化合物 4級炭素濃度」と示す。
また、ラジカル重合性樹脂組成物に含有される4級炭素のモル数をラジカル重合性樹脂組成物の質量で除して4級炭素濃度(mmol/g)を算出した。表1に「組成物 4級炭素濃度」と示す。
【0055】
<評価方法>
(1)密着性評価(密着強度)
表1に示す実施例及び比較例のラジカル重合性樹脂組成物を、基材である銅(無酸素銅、C1020)の上に、トランスファー成形機を用い、成形圧力4kN、射速19mm/秒で直径3.6mm、高さ4mmのタブレット状に賦形後、圧力を維持したまま、165℃で5分間保持して硬化させ、密着性評価用のプリンカップ試験体を得た。このプリンカップ試験体を用い、万能型ボンドテスター(シリーズ4000、ノードソン・アドバンスト・テクノロジー社製)を用い、下記条件でプリンカップ試験を行い、密着性を評価した。
プリンカップ試験で得られた数値が大きいほど、剥離するための力が必要であるため、密着性に優れる。
試験条件:ロードセルDS100kg、レンジ100N/200N、シェア速度83.0μm/秒、シェア高さ50.0μm、ツール先端幅6mm
【0056】
【0057】
表1より、実施例のラジカル重合性樹脂組成物は、銅基材に対する密着性に優れることがわかる。このことから、本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、電気電子部品の封止、成形又は固定用の樹脂材料として適している。