(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160730
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】教師データ生成方法、異物検査装置、異物検査方法、および異物検出プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/85 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
G01N21/85 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075954
(22)【出願日】2023-05-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】594169215
【氏名又は名称】株式会社カナヤ食品
(74)【代理人】
【識別番号】100141106
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 清志
(72)【発明者】
【氏名】▲座▼古 裕久
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA01
2G051AB01
2G051BA06
2G051BA20
2G051CA03
2G051CB01
2G051EA17
2G051EB05
(57)【要約】
【課題】適切に異物を検出する。
【解決手段】予め複数の異物サンプルを可視光で撮像し、撮像された異物サンプルの可視光画像を学習させる教師データ生成方法であり、学習させる異物サンプルを撮像し、撮像された異物サンプルの可視光画像を記憶部に記憶する記憶ステップと、記憶された異物サンプルの可視光画像の中から、異物サンプルの画像を異物として指定する異物指定ステップとを有し、異物指定ステップは、可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、分割された領域のうち被検査物8の領域以外であって、RGB色空間における被検査物8との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め複数の異物サンプルを可視光で撮像し、撮像された異物サンプルの可視光画像を学習させる教師データ生成方法であり、
学習させる異物サンプルを撮像し、前記撮像された異物サンプルの可視光画像を記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記記憶された異物サンプルの可視光画像の中から、異物サンプルの画像を異物として指定する異物指定ステップとを有し、
前記異物指定ステップは、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定する
ことを特徴とする教師データ生成方法。
【請求項2】
前記異物指定ステップは、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3N(N≧1)の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定する
ことを特徴する請求項1記載の教師データ生成方法。
【請求項3】
前記色差閾値は、前記被検査物の色空間における色のバラツキの幅が広いほど高くなるように設定された
ことを特徴する請求項1記載の教師データ生成方法。
【請求項4】
搬送路上に載置されて搬送される被検査物中に混入している異物を光学的に検出する異物検出装置であって、
可視光を前記被検査物に照射する光照射手段により照射された前記被検査物を可視光で撮像する可視光カメラと、前記可視光カメラで撮像した前記被検査物の可視光画像に基づいて前記被検査物に異物が混入しているかを判定する異物判定手段を備え、
前記異物判定手段は学習手段で予め学習した異物の可視光画像の教師データを参照して前記被検査物の異物判定を行う手段であって、
前記教師データは、その学習過程で、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定して学習した
ことを特徴とする異物検査装置。
【請求項5】
前記異物判定手段は、
前記教師データに基づいて学習した学習モデルにより前記被検査物に混入した異物か否かの判定を行う第1異物判定手段と、
前記可視光カメラで撮像した可視光画像に含まれる判定対象物の色および大きさが所定の範囲外である場合に、前記被検査物に混入した異物であると判定する第2異物判定手段と、
前記第1異物判定手段または前記第2異物判定手段のうちいずれか一方が異物と判定した場合に、異物の混入を報知する報知手段と、
を有することを特徴とする請求項4記載の異物検査装置。
【請求項6】
予め複数の異物サンプルを可視光および近赤外光で撮像し、撮像された異物サンプルの可視光画像および近赤外画像を学習させる教師データ生成方法であり、
学習させる異物サンプルを撮像し、前記撮像された異物サンプルの可視光画像および近赤外画像を記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記記憶された異物サンプルの可視光画像および近赤外画像の中から、異物サンプルの画像を異物として指定する異物指定ステップとを有し、
前記異物指定ステップは、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定し、
前記分割された領域のうち被検査物と前記RGB色空間における色差が色差閾値以下である領域にある異物サンプルに対しては、可視光画像では異物として指定せずに、可視光画像上において異物として認識される位置に対応する、近赤外画像上の位置の画像において、異物の形状を確認できる場合は、近赤外画像上の画像を異物として指定する
ことを特徴とする教師データ生成方法。
【請求項7】
搬送路上に載置されて搬送される被検査物中に混入している異物を光学的に検出する異物検出装置であって、
可視光を前記被検査物に照射する第1光照射手段により照射された前記被検査物を可視光で撮像する可視光カメラと、
近赤外光を前記被検査物に照射する第2光照射手段により照射された前記被検査物を近赤外光で撮像する近赤外カメラと、
前記可視光カメラで撮像した前記被検査物の可視光画像と前記近赤外カメラで撮像した前記被検査物の近赤外画像と、に基づいて前記被検査物に異物が混入しているかを判定する異物判定手段を備え、
前記異物判定手段は学習手段で予め学習した異物の可視光画像および近赤外光画像の教師データを参照して前記被検査物の異物判定を行う手段であって、
前記教師データは、その学習過程で、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定し、
前記分割された領域のうち被検査物と前記RGB色空間における色差が色差閾値以下である領域にある異物サンプルに対しては、可視光画像では異物として指定せずに、可視光画像上において異物として認識される位置に対応する、近赤外画像上の位置の画像において、異物の形状を確認できる場合は、近赤外画像上の画像を異物として指定して学習した
ことを特徴とする異物検査装置。
【請求項8】
前記異物判定手段は、
可視光画像に基づいて生成された教師データに基づいて学習した学習モデルにより前記被検査物に混入した異物か否かの判定を行う第1異物判定手段と、
前記可視光カメラで撮像した可視光画像に含まれる判定対象物の色および大きさが所定の範囲外である場合に、前記被検査物に混入した異物であると判定する第2異物判定手段と、
近赤外光に基づいて生成された前記教師データに基づいて学習した学習モデルにより前記被検査物に混入した異物か否かの判定を行う第3異物判定手段と、
前記近赤外カメラで撮像した近赤外画像に含まれる、判定対象物に対する波長の異なる近赤外線の反射率が所定の範囲外である場合に、前記被検査物に混入した異物であると判定する第4異物判定手段と、
前記第1異物判定手段、前記第2異物判定手段、前記第3異物判定手段、前記第4異物判定手段による判定結果に基づいて異物の混入を報知する報知手段と、
を有することを特徴とする請求項7記載の異物検査装置。
【請求項9】
搬送路上に載置されて搬送される被検査物中に混入している異物を光学的に検出する異物検出方法であって、
可視光を前記被検査物に照射する光照射手段により照射された前記被検査物を可視光カメラにより可視光で撮像した前記被検査物の可視光画像に基づいて前記被検査物に異物が混入しているかを判定する異物判定ステップを有し、
前記異物判定ステップは学習ステップで予め学習した異物の可視光画像の教師データを参照して前記被検査物の異物判定を行うステップであって、
前記教師データは、その学習過程で、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定して学習した
ことを特徴とする異物検査方法。
【請求項10】
搬送路上に載置されて搬送される被検査物中に混入している異物を光学的に検出する異物検査装置が実行するための異物検出プログラムであって、
可視光を前記被検査物に照射する光照射手段により照射された前記被検査物を可視光カメラにより可視光で撮像した前記被検査物の可視光画像に基づいて前記被検査物に異物が混入しているかを判定する異物判定ステップをコンピュータに実行させ、
前記異物判定ステップは学習ステップで予め学習した異物の可視光画像の教師データを参照して前記被検査物の異物判定を行うステップであって、
前記教師データは、その学習過程で、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定して学習した
ことを特徴とする異物検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切に異物を検出する教師データ生成方法、異物検査装置、異物検査方法、および異物検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品加工の分野においては、食品安全等のため、食品材料に混入した異物を検出して取り除くことが求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、可視光カメラおよび近赤外カメラで食品材料を撮像し、可視光画像及び近赤外画像それぞれに含まれる可視光波長成分及び近赤外波長成分毎の撮像画像である周波数成分画像を作成し、生成した複数の周波数成分画像から互いの関係性を考慮して画像特徴量を抽出し、画像特徴量に基づき被検査物の品質及び被検査物とは異なる物体の存在等を解析する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、可視光カメラで食品材料を撮像し、画像特徴量に基づき被検査物の品質及び被検査物とは異なる物体の存在等を解析するが、異物自体を撮像し、除外すべき異物を指定し学習していないので、適切に異物を検出することが困難であった。
【0006】
ここで、異物は毛髪、樹脂、ビニール、ゴム、紙など様々なものが想定でき、このような異物は様々な色を有している。特に検査対象物と異なる色を有する異物を適切に除去する必要があるが、特許文献1の技術では、検査対象物と異なる色を有する異物を学習していないので、異物を検出する精度を向上させることが困難であった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、適切に異物を検出する教師データ生成方法、異物検査装置、異物検査方法、および異物検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するため、本発明に係る教師データ生成方法の第1の特徴は、
予め複数の異物サンプルを可視光で撮像し、撮像された異物サンプルの可視光画像を学習させる教師データ生成方法であり、
学習させる異物サンプルを撮像し、前記撮像された異物サンプルの可視光画像を記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記記憶された異物サンプルの可視光画像の中から、異物サンプルの画像を異物として指定する異物指定ステップとを有し、
前記異物指定ステップは、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る教師データ生成方法、異物検査装置、異物検査方法、および異物検出プログラムによれば、適切に異物を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1に係る異物検査装置の一例を示す構成図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る異物検査装置の処理装置における設定処理の処理内容を示したフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例1に係る異物検査装置の処理装置における可視光画像の学習処理の処理内容を示したフローチャートである。
【
図5】
図4に示したRGB色空間を説明のために、模式的に平面で示した図である。
【
図7】本発明の実施例1に係る異物検査装置の処理装置における可視光画像の異物判定処理の処理内容を示したフローチャートである。
【
図8】本発明の実施例2に係る異物検査装置の処理装置における可視光画像の学習処理の処理内容を示したフローチャートである。
【
図9】本発明の実施例2に係る異物検査装置の処理装置における可視光画像および近赤外画像の異物判定処理の処理内容を示したフローチャートである。
【
図10】本発明の実施例3に係る異物検査装置の処理装置における可視光画像および近赤外画像の異物判定処理の処理内容を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0012】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
<実施例1>
図1は、本発明の実施例1に係る異物検査装置の一例を示す構成図である。
異物検査装置1は、被検査物8を搬送する搬送装置2と、近赤外光照射装置3と、近赤外カメラ4と、可視光照明装置5と、可視光カメラ6と、コンピュータとを備えた処理装置10とを備える。処理装置10はディスプレイ13や図示しない入力装置、記憶装置、CPUを備えている。処理装置10は、機能構成として、異物の学習を行う学習手段11、異物の判定を行う異物判定手段12を備えている。
【0014】
搬送装置2は、被検査物8を特定方向に搬送する。
図1では、
図1中の矢印で示す方向に被検査物8を搬送する。
搬送装置2としては、ベルトコンベア、パレットコンベア等を適用することができる。
図1では、搬送装置2として、互いに平行な二つのローラ2a間に無端ベルト2bをかけ渡し、被検査物8を無端ベルト2bの上面に載置して搬送するベルトコンベアを用いている。
図1は、この無端ベルト2bの上面(搬送面)上に、被検査物として、食品材料である乾燥野菜を搬送する例を示している。
【0015】
近赤外光照射装置3は、無端ベルト2bの上方に配置され、無端ベルト2bの上面に向けて近赤外光を出射する。近赤外光照射装置3は、近赤外光により照射された領域が、被検査物8の搬送方向と平面視で直交する方向(以下、幅方向ともいう。)に延びる直線状の領域(以下、照射領域3aという。)となるように、近赤外光を出射する。近赤外光照射装置3としては、ハロゲン照明装置やLEDを適用することができる。照射領域3aは、無端ベルト2bの幅方向の一端から他端まで延びている。これにより、搬送装置2で搬送される被検査物8全てが照射領域3aを通過することになり、その結果、搬送中の全ての被検査物8に対して近赤外光が照射されるようになっている。また、近赤外光照射装置3は、処理装置10からの制御信号で指定されるタイミングで近赤外光の照射を行う。
【0016】
近赤外カメラ4は、無端ベルト2bの上面の直線状の照射領域3aを撮影可能な位置に配置される。近赤外カメラ4は、照射領域3aを撮影し、照射領域3aを通過する被検査物8で反射された近赤外光及び、被検査物8と共に異物等が混在している場合にはこの異物等で反射された近赤外光も集光し、互いに異なる3つの波長λ0~λ2の成分(以下、波長成分λ0~λ2ともいう。)を検出し、これら3つの波長成分からなる撮像画像(以下、近赤外画像ともいう。)を処理装置10に出力する。3つの波長λ0~λ2は、例えば、搬送中の被検査物8に混在する異物や、被検査物8の成分等、検出対象物の特性に応じて、異物や、検出対象の成分等を、検出することの可能な波長に設定される。近赤外カメラ4で検出する波長成分は、例えば、1200nm以上1600nm以下程度の波長に設定される。例えば、たんぱく、脂肪を検出したい場合は、1180~1240nmを中心波長(λ0)とし、水分に関連する成分を検出したい場合には、1400~1460nmを中心波長(λ1)とし、他方、いずれにも吸収されにくい波長を、参照波長して1500~1620nmを中心波長(λ2)して設定すればよい。
近赤外カメラ4は、処理装置10からの制御信号で指定されるタイミングで撮影を行う。近赤外カメラ4として、例えば、512画素程度のラインセンサカメラを用いることもできる。
【0017】
可視光照明装置5は、可視光により照射された領域が、被検査物8の搬送方向と平面視で直交する方向に延びる直線状の領域(以下、照射領域5aという。)となるように、可視光を出射する。可視光照明装置5は、具体的には、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の3色の光を照射する。可視光照明装置5としては、例えば、白色LED照明装置を適用することができる。照射領域5aは、無端ベルト2bの幅方向の一端から他端まで延びている。これにより、搬送装置2で搬送される被検査物8全てが照射領域5aを通過することになり、その結果、搬送中の全ての被検査物8に対して可視光が照射されるようになっている。
【0018】
可視光カメラ6は、無端ベルト2bの上面の直線状の照射領域5aを撮影可能な位置であり、且つ、近赤外カメラ4よりも搬送方向上流側であって、近赤外カメラ4と干渉しない位置に配置される。可視光カメラ6は、照射領域5aを通過する被検査物8で反射された可視光及び、被検査物8と共に異物等が混在している場合にはこの異物等で反射された可視光も集光し、R、G、Bの3つの波長成分からなる撮像画像(以下、可視光画像ともいう。)を処理装置10に出力する。また、可視光カメラ6は、処理装置10からの制御信号で指定されるタイミングで撮影を行う。可視光カメラ6としては、例えば、256画素や4096画素程度のカラーラインセンサカメラを用いることもできる。
【0019】
処理装置10は、学習手段11と、異物判定手段12とを備えている。
学習手段11は、近赤外カメラ4からの近赤外波長成分としての波長成分λ0~λ2からなる近赤外画像と、可視光カメラ6からの可視光波長成分としての波長成分R、G、Bからなる可視光画像と、異物を指定した結果とが関連付けられた教師データを生成し、この教師データに基づいて学習することにより学習モデルを生成する。
なお、学習手段11は、必ずしも近赤外画像を用いる必要はなく、可視光カメラ6からの可視光波長成分としての波長成分R、G、Bからなる可視光画像と、異物を指定した結果とが関連付けられた教師データを生成し、この教師データに基づいて学習することにより学習モデルを生成するようにしてもよい。
【0020】
異物判定手段12は、近赤外カメラ4からの近赤外波長成分としての波長成分λ0~λ2からなる近赤外画像と、可視光カメラ6からの可視光波長成分としての波長成分R、G、Bからなる可視光画像とを入力し、これらに基づいて学習手段11により学習した学習モデルを用いて解析処理を実行し、異物の有無等を判定する。
なお、異物判定手段12は、必ずしも近赤外画像を用いる必要はなく、可視光カメラ6からの可視光波長成分としての波長成分R、G、Bからなる可視光画像とを入力し、可視光画像に基づき、学習手段11により学習した学習モデルを用いて解析処理を実行し、異物の有無等を判定するようにしてもよい。
【0021】
また、処理装置10は、搬送装置2の搬送速度と、照射領域3aの位置と、照射領域5aの位置等をもとに、被検査物8が照射領域3a及び照射領域5aを通過するタイミングで、照射領域3a、5a内の被検査物8を撮影するように、近赤外カメラ4及び可視光カメラ6それぞれの撮影タイミングを決定し、撮影タイミングを指定する制御信号を近赤外カメラ4及び可視光カメラ6に出力する。また、近赤外カメラ4及び可視光カメラ6の撮影タイミングで照射領域3a、5aに対して光照射を行うように、近赤外光照射装置3及び可視光照明装置5に制御信号を出力する。
【0022】
例えば、
図1の場合には、被検査物8が連続して搬送されるため、搬送中の全ての被検査物8が近赤外カメラ4及び可視光カメラ6のそれぞれによって撮影されるように定周期で撮影する。このとき、近赤外カメラ4及び可視光カメラ6による前後の撮影タイミングにおける撮像画像が重複するように撮影してもよい。このように前後の撮像画像が一部で重複するように撮影タイミングを設定することによって、前後の撮影タイミングの間で、撮影されない被検査物8が存在することを回避することが好ましい。
【0023】
(設定処理の説明)
図2は、本発明の実施例1に係る異物検査装置の処理装置10における設定処理の処理内容を示したフローチャートである。処理装置10は、被検査物8を適切に検査するため各種設定を予め入力しておく。
【0024】
図2に示すように、ステップS11において、可視光カメラ6により撮像された被検査物8の可視光画像が入力され、ユーザが入力装置から被検査物8の名称、色、形状、波長など被検査物8の属性情報を入力する。
【0025】
ステップS13において、ユーザが入力装置から色差閾値を入力する。色差閾値は、後述する異物を指定する処理において用いられる値であり、例えば、L*a*b*色空間における色差閾値として、「70」として入力することが可能である。L*a*b*色空間における色差閾値が入力された場合には、RGB色空間に変換され設定される。なお、色差閾値は、RGB色空間における値として入力されてもよい。また、色差閾値は、被検査物8の色に応じて設定するようにしてもよい。その際、色差閾値は、被検査物8のRGB色空間における色のバラツキの幅が広いほど高くなるように設定するようにしてもよい。これにより、被検査物8のRGB色空間における色のバラツキの幅が広いほど被検査物8からより離れた色の異物サンプルを異物として指定することができ、過検出を防止することができる。
【0026】
ステップS15において、ユーザが入力装置から領域の分割数Nを入力する。または、予めユーザ入力に基づいて生成された色領域の設定ファイルを読み込むようにしてもよい。後述するように、デフォルトでは、RGB色空間におけるRGBそれぞれを色基準として3つの領域に分割されている。ここでは、さらに、領域を分割するために、分割数Nを入力する。例えば、分割数Nが「1」である場合、デフォルトの3領域に色分割することになり、色領域数Mは「3」となる。また、分割数Nが「2」である場合、色領域数Mは「6」、すなわち、デフォルトの3領域に分割数Nを乗算した6つの領域に色分割することとなる。
【0027】
ステップS17において、処理装置10は、入力された可視光画像と、被検査物8の属性情報と、色差閾値と、色領域とを関連付けて、被検査体情報として記憶装置に記憶する。
【0028】
なお、ステップS15における領域の分割数Nについて、ユーザが入力する、または予めユーザ入力に基づいて生成された色領域の設定ファイルを読み込むこととしたが、これに限らない。例えば、領域の分割数Nを設定することなく、ユーザが入力装置から、RGBを色基準としてRGB色空間を3以上に分割するように色領域を入力し、入力された色領域が設定されるようにしてもよい。
【0029】
(可視光画像の学習処理)
図3は、本発明の実施例1に係る異物検査装置の処理装置10における可視光画像の学習処理の処理内容を示したフローチャートである。
図3に示すように、ステップS101において、学習手段11は、入力装置へのユーザ入力に基づいて、被検査物8を指定する。例えば、被検査物8として「キャベツ」が指定された場合、この学習処理では、キャベツに対して赤い糸や青いゴムなど異物を確実に検出するために、キャベツの色と極力異なる(RGB色空間において距離の遠い)色を有する異物サンプルを搬送装置2で搬送させる。このとき、異物サンプルは、赤い糸や青いゴムなどであってもよいし、赤や青などのカラーパターンであってもよい。
【0030】
ステップS103において、学習手段11は、カウンタiを初期化して“1”を代入する。
【0031】
ステップS105において、可視光カメラ6が、搬送装置2により搬送された異物サンプルを撮像する。
【0032】
ステップS107において、学習手段11は、ステップS101で指定された被検査物8と、ステップS103において撮像された可視光画像に含まれる異物サンプルとの、RGB色空間における色差を算出する。
【0033】
ステップS109において、学習手段11は、ディスプレイ13に、ステップS103において撮像された可視光画像を表示させる。
【0034】
ステップS123において、学習手段11は、撮像された異物サンプルの色が、色基準に基づいて分割された領域のうち、被検査物8の色領域または既に指定済みの色領域に含まれるか否かを判定する。ここで色基準とは、RGB色空間におけるR(255,0,0)、G(0,255,0)、B(0,0,255)の3色それぞれが色基準として予め設定されている。なお、ここでは、RGB色空間は、R(0~255)、G(0~255)、B(0~255)の階調で表現される空間とする。
【0035】
撮像された異物サンプルの色が、被検査物8の色領域または既に指定済みの色領域に含まれると判定された場合(ステップS123;YES)、指定されていない色領域について異物を指定する必要がある。
【0036】
そこで、ステップS125において、学習手段11は、指摘されていない色領域を推奨する。例えば、学習手段11は、ディスプレイ13に、「撮像された異物サンプルは既に指定済みです。他の異物サンプルを読み込ませてください。」などのメッセージを表示させる。なお、ここでは、指摘されていない色領域を推奨し異物として指定していないが、被検査物8の色領域以外であれば、同じ色領域に複数の異物を指定するようにしてもよいので、指摘されていない色領域を推奨した上で異物として指定するようにしてもよい。
【0037】
ステップS135において、学習手段11は、カウンタiをインクリメントし、処理をステップS105へ移行させる。
一方、撮像された異物サンプルの色が、被検査物8の色領域以外であり、かつ既に指定済みの色領域に含まれないと判定された場合(ステップS123;NO)、ステップS127において、学習手段11は、撮像された異物サンプルの色を異物として指定する。
【0038】
ステップS129において、学習手段11は、カウンタiは、色領域数M以上か否かを判定する。ここで、色領域数Mは、上述したように、デフォルトの分割数「3」に入力された分割数Nを乗算された値、またはユーザによりRGBを色基準としてRGB色空間が領域分割された領域の数となる。
【0039】
ステップS131において、学習手段11は、色差が色差閾値範囲内の異物を削除する。これにより、被検査物8と色の近い異物を異物サンプルの対象から除外することができる。
なお、ここでは、学習手段11は、ステップS127において異物として指定したうち、色差が色差閾値範囲内の異物を削除したが、これに限らない。例えば、指定されていない色領域であって、被検査物8とRGB色空間における色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定するようにしてもよい。また、ここでは、異物サンプルを1つずつ撮像し、異物指定の処理を実行するようにしたが、これに限らず、複数の異物サンプルを同時に撮像し、それぞれの画像について異物指定の処理を実行するようにしてもよい。
【0040】
図4は、色領域を説明した説明図である。ここでは、分割数Nが「1」、すなわち3つの色領域に分割した場合を示している。
【0041】
図4に示すように、P(0,0,0)を原点として、R(255,0,0)、G(0,255,0)、B(0,0,255)のRGB3次元空間として表すことができる。
【0042】
分割数Nが「1」である場合、色領域数Mは「3」となり、R(255,0,0)、G(0,255,0)、B(0,0,255)を色基準としてデフォルトの3領域に色分割することになる。
【0043】
図4に示した例では、P0(0,0,0),P1(0,255,255),P4(255,255,255),P3(255,0,255),B(0,0,255)で囲まれた色領域A101と、P0(0,0,0),P3(255,0,255),P4(255,255,255),P2(255,255,0),R(255,0,0)で囲まれた色領域A102と、P0(0,0,0),P1(0,255,255),P4(255,255,255),P2(255,255,0),G(0,255,0)で囲まれた色領域A103との3つの色領域に分割されることとなる。
【0044】
図5は、
図4に示したRGB色空間を説明のために、模式的に平面で示した図である。
図5に示すように、円の中心をP0(0,0,0)とし、R(255,0,0)、G(0,255,0)、B(0,0,255)をそれぞれ円周上に120(度)の間隔で示している。なお、ここでは、P(0,0,0)を原点として、R(255,0,0)、G(0,255,0)、B(0,0,255)のRGB3次元空間を2次元として模式的に表し説明したが、色相を順序立てて円環にして配置した色相環を用いてもよい。
【0045】
色領域は、色基準に基づいて分割されているので、B(0,0,255)を色基準としてV101,P0,V102で囲まれた色領域をA101とし、R(255,0,0)を色基準としてV102,P0,V103で囲まれた色領域をA102とし、G(0,255,0)を色基準としてV103,P0,V101で囲まれた色領域をA103として説明する。
【0046】
図5において、被検査物8の色をQ100とすると、色領域A101~A103のうち、被検査物Q100を含む色領域は、色領域A103であるので、学習手段11は、色基準G(0,255,0)に基づいた色領域A103を対象外とする。
【0047】
ここで、色差が色差閾値範囲内の色基準とは、Q100に基づいて色差閾値Th1で定められる範囲内である。色差閾値Th1は、
図2に示したフローチャートのステップS13で入力された色差閾値が用いられる。ここでは、例えば、L*a*b*色空間における色差閾値の「70」に相当する色差閾値Th1を角度と捉えて、Q100を円周方向中心に含む色差閾値Th1が示す範囲である中心P0(0,0,0)を通る直線X101と直線X102で挟まれた領域をQ100に基づいて色差閾値Th1で定められる範囲とする。
【0048】
そこで、学習手段11は、色基準G(0,255,0)に基づいた色領域A103を削除し、かつ、RGB色空間における被検査物8との色差が色差閾値Th1以内の色領域にある異物を削除する。これにより、学習手段11は、可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として色領域A101~A103に分割し、分割された色領域A101~A103のうち被検査物8の領域以外である色領域A101~A102であって、RGB色空間における被検査物8との色差が色差閾値Th1を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定することができる。
【0049】
なお、色差閾値Th1は、例えば、L*a*b*色空間における色差閾値の「70」に相当する色差閾値Th1をQ100からの距離と捉えて、Q100を中心に含む色差閾値Th1を半径とする領域C101をQ100に基づいて色差閾値Th1で定められる範囲としてもよい。この場合、色領域A101~A102のうち、領域C101の外側の部分にある異物サンプルが異物として指定される。
【0050】
図3に戻り、ステップS133において、学習手段11は、指定された異物の画像の色を抽出して、教師データとして学習する。学習としては、ニューラルネットワークを用いた深層学習などを用い、この学習により学習モデルが生成される。
【0051】
図5に示した例では、学習手段11は、色領域A103に存在している異物Q101は学習の対象外とし、異物Q102は、色領域A102に存在しているので学習の対象とする。
【0052】
図6は、色領域を模式的に説明した説明図である。ここでは、分割数Nが「2」、すなわち6つの色領域に分割した場合を示している。
図6に示すように、円の中心をP0(0,0,0)とし、R(255,0,0)、P2(255,255,0)、G(0,255,0)、P1(0,255,255)、B(0,0,255)、P3(255,0,255)をそれぞれ円周上に60(度)の間隔で示している。
【0053】
色領域は、色基準に基づいて分割されているので、B(0,0,255)を色基準としてV201,P0,V202で囲まれた色領域をA201とし、P3(255,0,255)を色基準としてV202,P0,V203で囲まれた色領域をA202とし、R(255,0,0)を色基準としてV203,P0,V204で囲まれた色領域をA203とし、P2(255,255,0)を色基準としてV204,P0,V205で囲まれた色領域をA204とし、G(0,255,0)を色基準としてV205,P0,V206で囲まれた色領域をA205とし、P1(0,255,255)を色基準としてV206,P0,V201で囲まれた色領域をA206として説明する。
【0054】
図6において、
図5と同様に、被検査物8の色をQ100とすると、色領域A201~A206のうち、被検査物Q100を含む色領域は、色領域A205であるので、学習手段11は、色基準G(0,255,0)に基づいた色領域A205を対象外とする。
【0055】
ここで、色差が色差閾値範囲内の色基準とは、Q100に基づいて色差閾値Th1で定められる範囲内である。色差閾値Th1は、
図2に示したフローチャートのステップS13で入力された色差閾値が用いられる。ここでは、L*a*b*色空間における色差閾値の「70」に相当する色差閾値Th1を角度と捉えて、Q100を円周方向中心に含む色差閾値Th1が示す範囲である中心P0(0,0,0)を通る直線X101と直線X102で挟まれた領域をQ100に基づいて色差閾値Th1で定められる範囲とする。
【0056】
そこで、学習手段11は、色基準G(0,255,0)に基づいた色領域A205を削除し、かつ、RGB色空間における被検査物8との色差が色差閾値Th1以内の色領域にある異物を削除する。これにより、学習手段11は、可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として色領域A201~A106に分割し、分割された色領域A201~A206のうち被検査物8の領域以外である色領域A201~A204,A206であって、RGB色空間における被検査物8との色差が色差閾値Th1を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定することができる。
【0057】
(可視光画像の異物判定処理)
図7は、本発明の実施例1に係る異物検査装置の処理装置10における可視光画像の異物判定処理の処理内容を示したフローチャートである。
図7に示すように、ステップS201において、ユーザが入力装置から予め設定された被検査物8の中からいずれか1つを指定する。
【0058】
ステップS203において、可視光カメラ6が、搬送装置2により搬送された検査対象物を撮像する。
【0059】
ステップS207において、異物判定手段12は、予め学習手段11により学習した学習モデルを用いて取得した可視光画像に写された検査対象物が異物か否かを判定する。
異物であると判定された場合(ステップS207;YES)、ステップS209において、異物判定手段12は、ディスプレイ13に、異物である旨を報知する。
一方、異物ではないと判定された場合(ステップS207;NO)、ステップS211において、異物判定手段12は、ディスプレイ13に、異物ではない旨を報知する。
【0060】
<実施例2>
本発明の実施例1では、可視光画像の学習処理を行い、可視光画像で異物判定処理を実行したが、実施例2では、可視光画像および近赤外画像の学習処理を行い、可視光画像および近赤外画像で異物判定処理を実行する。
【0061】
(可視光画像および近赤外画像の学習処理)
図8は、本発明の実施例2に係る異物検査装置の処理装置10における可視光画像の学習処理の処理内容を示したフローチャートである。なお、本発明の実施例2に係る異物検査装置の構成は、本発明の実施例1に係る異物検査装置の構成と同一であるので、説明を省略する。また、
図8において、ステップS101~S103の処理内容は、
図3に示したステップS101~S103の処理内容と同一であるので、説明を省略する。
図8に示すように、ステップS104において、可視光カメラ6が、搬送装置2により搬送された異物サンプルを撮像するとともに、近赤外カメラ4が、搬送装置2により搬送された異物サンプルを撮像する。
【0062】
ステップS107において、学習手段11は、ステップS101で指定された被検査物8と、ステップS103において撮像された可視光画像に含まれる異物サンプルとのRGB色空間における色差を算出する。
【0063】
ステップS109において、学習手段11は、ディスプレイ13に、ステップS103において撮像された可視光画像を表示させる。
【0064】
ステップS111において、学習手段11は、RGB色空間における被検査物8との色差が色差閾値を超えたか否かを判定する。
【0065】
RGB色空間における被検査物8との色差が色差閾値を超えたと判定された場合(ステップS111;YES)、ステップS123において、学習手段11は、撮像された異物サンプルの色が、色基準に基づいて分割された領域のうち、被検査物8の色領域または既に指定済みの色領域に含まれるか否かを判定する。ステップS125~S133の処理については、
図3に示すステップS125~S133の処理と同一であるので、説明を省略する。
【0066】
一方、RGB色空間における被検査物8との色差が色差閾値以下であると判定された場合(ステップS111;NO)、ステップS141において、学習手段11は、可視光画像では異物として指定せずに、可視光画像上において異物として認識される位置を記憶手段に記憶する。
【0067】
ステップS143において、学習手段11は、取り込んだ近赤外画像と可視光画像とを、ディスプレイ13に並べて表示する。このとき、取り込まれた近赤外画像と可視光画像とは、両者の位置が対応して表示されるように、同時に並列に並べられて表示される。すなわち、ディスプレイ13の画面上、左右に近赤外画像と可視光画像の画像位置(ベルトコンベアの搬送方向の位置)が一致するように表示され、取り込まれた異物サンプルと乾燥野菜の画像が対応して作業者に見えるように表示される。作業者は、この左右の近赤外画像と可視光画像とを見ながら、近赤外画像上の異物サンプルの画像を入力装置であるマウス等のポインタを用いてマークして、異物サンプルであることを指定する。
【0068】
ステップS145において、学習手段11は、ユーザ操作により近赤外画像上の異物サンプルの画像がマークされたか否かを判定する。近赤外画像上の異物サンプルの画像がマークされたと判定された場合(ステップS145;YES)、ステップS133において、学習手段11は、マークされた異物サンプルを異物として指定する。
【0069】
ステップS149において、学習手段11は、指定された異物の画像の色、形等の特徴を抽出して、教師データとして学習する。学習としては、ニューラルネットワークを用いた深層学習などを用いられ、この学習により学習モデルが生成される。
【0070】
(可視光画像および近赤外画像の異物判定処理)
図9は、本発明の実施例2に係る異物検査装置の処理装置10における可視光画像および近赤外画像の異物判定処理の処理内容を示したフローチャートである。
図9に示すように、ステップS301において、ユーザが入力装置から予め設定された被検査物8の中からいずれか1つを指定する。
【0071】
ステップS303において、可視光カメラ6が、搬送装置2により搬送された検査対象物を撮像し、ステップS305において、近赤外カメラ4が、搬送装置2により搬送された検査対象物を撮像する。
【0072】
ステップS307において、異物判定手段12は、予め学習手段11により可視光画像に基づいて学習した学習モデルを用いて、取得した可視光画像に写された検査対象物が異物か否かを判定する。
【0073】
可視光画像において異物であると判定された場合(ステップS307;YES)、ステップS317において、異物判定手段12は、ディスプレイ13に、異物である旨を報知する。
【0074】
一方、可視光画像において異物ではないと判定された場合(ステップS307;NO)、ステップS309において、異物判定手段12は、予め学習手段11により近赤外画像に基づいて学習した学習モデルを用いて、取得した近赤外画像に写された検査対象物が異物か否かを判定する。
【0075】
近赤外画像において異物であると判定された場合(ステップS309;YES)、ステップS313において、異物判定手段12は、ディスプレイ13に、異物である旨を報知する。
【0076】
一方、近赤外画像において異物ではない、すなわち、可視光画像および近赤外画像のいずれにおいても異物ではないと判定された場合(ステップS309;NO)、ステップS311において、異物判定手段12は、ディスプレイ13に、異物ではない旨を報知する。
【0077】
<実施例3>
本発明の実施例2では、可視光画像および近赤外画像の教師データで機械学習させた学習モデルを用いて可視光画像および近赤外画像で異物判定処理を実行したが、これに限らず、ユーザの直視による異物判定を組み合わせるようにしてもよい。
図10は、本発明の実施例3に係る異物検査装置の処理装置10における可視光画像および近赤外画像の異物判定処理の処理内容を示したフローチャートである。なお、後述する異物カウントは初期値として「0」が設定されている。
図10に示すように、ステップS401において、ユーザが入力装置から予め設定された被検査物8の中からいずれか1つを指定する。
【0078】
ステップS403において、可視光カメラ6が、搬送装置2により搬送された検査対象物を撮像し、ステップS405において、近赤外カメラ4が、搬送装置2により搬送された検査対象物を撮像する。
【0079】
ステップS407において、異物判定手段12は、予め学習手段11により可視光画像に基づいて機械学習した学習モデルを用いて、取得した可視光画像に写された検査対象物が異物か否かを判定する。
【0080】
可視光画像に基づいた機械学習による判定において、異物であると判定された場合(ステップS407;YES)、ステップS409において、異物判定手段12は、異物カウントCをインクリメントする。
【0081】
ステップS411において、異物判定手段12は、可視光カメラ6で撮像した可視光画像に基づいて直視にて可視光画像に含まれる検査対象物が異物か否かを判定する。具体的には、ユーザがディスプレイ13に表示された可視光画像を見ながら異物と指定する操作を行った場合、異物判定手段12は、検査対象物が異物か否かを判定するようにしてもよい。また、異物判定手段12は、可視光カメラ6で撮像した可視光画像に含まれる検査対象物の色および大きさが、予め記憶された被検査物8の属性データに含まれる色および大きさの範囲外である場合に異物であると判定するようにしてもよい。
【0082】
可視光画像に基づいた直視による判定において、異物であると判定された場合(ステップS411;YES)、ステップS413において、異物判定手段12は、異物カウントCをインクリメントする。
【0083】
ステップS415において、異物判定手段12は、予め学習手段11により近赤外画像に基づいて機械学習した学習モデルを用いて、取得した近赤外画像に写された検査対象物が異物か否かを判定する。
【0084】
近赤外画像に基づいた機械学習による判定において、異物であると判定された場合(ステップS415;YES)、ステップS417において、異物判定手段12は、異物カウントCをインクリメントする。
【0085】
ステップS419において、異物判定手段12は、近赤外カメラ4で撮像した近赤外画像に基づいて直視にて近赤外画像に含まれる検査対象物が異物か否かを判定する。具体的には、異物判定手段12は、近赤外カメラ4で撮像した近赤外画像に含まれる、検査対象物に対する波長の異なる近赤外線(ここでは、近赤外波長成分としての波長成分λ0~λ2の3波長)の反射率が全て所定の範囲外である場合に、検査対象物の素材が、被検査物8の素材とは異なるので異物であると判定するようにしてもよい。ここで、所定の範囲は、予め記憶された被検査物8の属性データに含まれる。また、ユーザがディスプレイ13に表示された近赤外画像を見ながら異物と指定する操作を行った場合、異物判定手段12は、検査対象物が異物か否かを判定するようにしてもよい。
【0086】
近赤外画像に基づいた直視による判定において、異物であると判定された場合(ステップS419;YES)、ステップS421において、異物判定手段12は、異物カウントCをインクリメントする。
【0087】
ステップS423において、異物判定手段12は、異物カウントCが、予め設定された閾値Thを超えたか否かを判定する。ここで、閾値Thは、検出精度に基づいてユーザが予め1~4の範囲で設定しておく。
【0088】
異物カウントCが閾値Thを超えたと判定された場合(ステップS423;YES)、ステップS425において、異物判定手段12は、ディスプレイ13に、異物である旨を報知する。
【0089】
一方、異物カウントCが閾値Th以下であると判定された場合(ステップS423;NO)、ステップS427において、異物判定手段12は、ディスプレイ13に、異物ではない旨を報知する。
【0090】
なお、ここでは、異物カウントCが閾値Thを超えたと判定された場合に、異物判定手段12は、ディスプレイ13に異物である旨を報知したが、これに限らない。例えば、閾値Thを1と設定しておき、可視光画像に基づいた機械学習による判定において、異物であると判定された場合(ステップS407;YES)、または、可視光画像に基づいた直視による判定において、異物であると判定された場合(ステップS411;YES)に、異物判定手段12は、ディスプレイ13に異物である旨を報知するようにしてもよい。
【0091】
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
(付記1)
【0092】
予め複数の異物サンプルを可視光で撮像し、撮像された異物サンプルの可視光画像を学習させる教師データ生成方法であり、
学習させる異物サンプルを撮像し、前記撮像された異物サンプルの可視光画像を記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記記憶された異物サンプルの可視光画像の中から、異物サンプルの画像を異物として指定する異物指定ステップとを有し、
前記異物指定ステップは、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定する
ことを特徴とする教師データ生成方法。
【0093】
(付記2)
前記異物指定ステップは、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3N(N≧1)の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定する
ことを特徴する付記1記載の教師データ生成方法。
【0094】
(付記3)
前記色差閾値は、前記被検査物の色空間における色のバラツキの幅が広いほど高くなるように設定された
ことを特徴する付記1記載の教師データ生成方法。
【0095】
(付記4)
搬送路上に載置されて搬送される被検査物中に混入している異物を光学的に検出する異物検出装置であって、
可視光を前記被検査物に照射する光照射手段により照射された前記被検査物を可視光で撮像する可視光カメラと、前記可視光カメラで撮像した前記被検査物の可視光画像に基づいて前記被検査物に異物が混入しているかを判定する異物判定手段を備え、
前記異物判定手段は学習手段で予め学習した異物の可視光画像の教師データを参照して前記被検査物の異物判定を行う手段であって、
前記教師データは、その学習過程で、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定して学習した
ことを特徴とする異物検査装置。
【0096】
(付記5)
前記異物判定手段は、
前記教師データに基づいて学習した学習モデルにより前記被検査物に混入した異物か否かの判定を行う第1異物判定手段と、
前記可視光カメラで撮像した可視光画像に含まれる判定対象物の色および大きさが所定の範囲外である場合に、前記被検査物に混入した異物であると判定する第2異物判定手段と、
前記第1異物判定手段または前記第2異物判定手段のうちいずれか一方が異物と判定した場合に、異物の混入を報知する報知手段と、
を有することを特徴とする付記4記載の異物検査装置。
【0097】
(付記6)
予め複数の異物サンプルを可視光および近赤外光で撮像し、撮像された異物サンプルの可視光画像および近赤外画像を学習させる教師データ生成方法であり、
学習させる異物サンプルを撮像し、前記撮像された異物サンプルの可視光画像および近赤外画像を記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記記憶された異物サンプルの可視光画像および近赤外画像の中から、異物サンプルの画像を異物として指定する異物指定ステップとを有し、
前記異物指定ステップは、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定し、
前記分割された領域のうち被検査物と前記RGB色空間における色差が色差閾値以下である領域にある異物サンプルに対しては、可視光画像では異物として指定せずに、可視光画像上において異物として認識される位置に対応する、近赤外画像上の位置の画像において、異物の形状を確認できる場合は、近赤外画像上の画像を異物として指定する
ことを特徴とする教師データ生成方法。
【0098】
(付記7)
搬送路上に載置されて搬送される被検査物中に混入している異物を光学的に検出する異物検出装置であって、
可視光を前記被検査物に照射する第1光照射手段により照射された前記被検査物を可視光で撮像する可視光カメラと、
近赤外光を前記被検査物に照射する第2光照射手段により照射された前記被検査物を近赤外光で撮像する近赤外カメラと、
前記可視光カメラで撮像した前記被検査物の可視光画像と前記近赤外カメラで撮像した前記被検査物の近赤外画像と、に基づいて前記被検査物に異物が混入しているかを判定する異物判定手段を備え、
前記異物判定手段は学習手段で予め学習した異物の可視光画像および近赤外光画像の教師データを参照して前記被検査物の異物判定を行う手段であって、
前記教師データは、その学習過程で、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定し、
前記分割された領域のうち被検査物と前記RGB色空間における色差が色差閾値以下である領域にある異物サンプルに対しては、可視光画像では異物として指定せずに、可視光画像上において異物として認識される位置に対応する、近赤外画像上の位置の画像において、異物の形状を確認できる場合は、近赤外画像上の画像を異物として指定して学習した
ことを特徴とする異物検査装置。
【0099】
(付記8)
前記異物判定手段は、
可視光画像に基づいて生成された教師データに基づいて学習した学習モデルにより前記被検査物に混入した異物か否かの判定を行う第1異物判定手段と、
前記可視光カメラで撮像した可視光画像に含まれる判定対象物の色および大きさが所定の範囲外である場合に、前記被検査物に混入した異物であると判定する第2異物判定手段と、
近赤外光に基づいて生成された前記教師データに基づいて学習した学習モデルにより前記被検査物に混入した異物か否かの判定を行う第3異物判定手段と、
前記近赤外カメラで撮像した近赤外画像に含まれる、判定対象物に対する波長の異なる近赤外線の反射率が所定の範囲外である場合に、前記被検査物に混入した異物であると判定する第4異物判定手段と、
前記第1異物判定手段、前記第2異物判定手段、前記第3異物判定手段、前記第4異物判定手段による判定結果に基づいて異物の混入を報知する報知手段と、
を有することを特徴とする請求項7記載の異物検査装置。
【0100】
(付記9)
搬送路上に載置されて搬送される被検査物中に混入している異物を光学的に検出する異物検出方法であって、
可視光を前記被検査物に照射する光照射手段により照射された前記被検査物を可視光カメラにより可視光で撮像した前記被検査物の可視光画像に基づいて前記被検査物に異物が混入しているかを判定する異物判定ステップを有し、
前記異物判定ステップは学習ステップで予め学習した異物の可視光画像の教師データを参照して前記被検査物の異物判定を行うステップであって、
前記教師データは、その学習過程で、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定して学習した
ことを特徴とする異物検査方法。
【0101】
(付記10)
搬送路上に載置されて搬送される被検査物中に混入している異物を光学的に検出する異物検査装置が実行するための異物検出プログラムであって、
可視光を前記被検査物に照射する光照射手段により照射された前記被検査物を可視光カメラにより可視光で撮像した前記被検査物の可視光画像に基づいて前記被検査物に異物が混入しているかを判定する異物判定ステップをコンピュータに実行させ、
前記異物判定ステップは学習ステップで予め学習した異物の可視光画像の教師データを参照して前記被検査物の異物判定を行うステップであって、
前記教師データは、その学習過程で、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定して学習した
ことを特徴とする異物検出プログラム。
【符号の説明】
【0102】
1 異物検査装置
2 搬送装置
2a ローラ
2b 無端ベルト
3 近赤外光照射装置
3a 照射領域
4 近赤外カメラ
5 可視光照明装置
5a 照射領域
6 可視光カメラ
8 被検査物
10 処理装置
11 学習手段
12 異物判定手段
13 ディスプレイ
【手続補正書】
【提出日】2024-05-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め複数の異物サンプルを可視光で撮像し、撮像された異物サンプルの可視光画像を学習させる教師データ生成方法であり、
学習させる異物サンプルを撮像し、前記撮像された異物サンプルの可視光画像を記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記記憶された異物サンプルの可視光画像の中から、異物サンプルの画像を異物として指定する異物指定ステップとを有し、
前記異物指定ステップは、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定する
ことを特徴とする教師データ生成方法。
【請求項2】
前記異物指定ステップは、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3N(N≧1)の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定する
ことを特徴する請求項1記載の教師データ生成方法。
【請求項3】
前記色差閾値は、前記被検査物の色空間における色のバラツキの幅が広いほど高くなるように設定された
ことを特徴する請求項1記載の教師データ生成方法。
【請求項4】
搬送路上に載置されて搬送される被検査物中に混入している異物を光学的に検出する異物検出装置であって、
可視光を前記被検査物に照射する光照射手段により照射された前記被検査物を可視光で撮像する可視光カメラと、前記可視光カメラで撮像した前記被検査物の可視光画像に基づいて前記被検査物に異物が混入しているかを判定する異物判定手段を備え、
前記異物判定手段は、学習手段で、異物の可視光画像の教師データを参照して予め学習
した学習モデルを用いて、前記被検査物の異物判定を行う手段であって、
前記学習モデルは、その学習過程で、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定して学習した
ことを特徴とする異物検査装置。
【請求項5】
前記異物判定手段は、
前記教師データに基づいて学習した学習モデルにより前記被検査物に混入した異物か否かの判定を行う第1異物判定手段と、
前記可視光カメラで撮像した可視光画像に含まれる判定対象物の色および大きさが所定の範囲外である場合に、前記被検査物に混入した異物であると判定する第2異物判定手段と、
前記第1異物判定手段または前記第2異物判定手段のうちいずれか一方が異物と判定した場合に、異物の混入を報知する報知手段と、
を有することを特徴とする請求項4記載の異物検査装置。
【請求項6】
予め複数の異物サンプルを可視光および近赤外光で撮像し、撮像された異物サンプルの可視光画像および近赤外画像を学習させる教師データ生成方法であり、
学習させる異物サンプルを撮像し、前記撮像された異物サンプルの可視光画像および近赤外画像を記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記記憶された異物サンプルの可視光画像および近赤外画像の中から、異物サンプルの画像を異物として指定する異物指定ステップとを有し、
前記異物指定ステップは、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定し、
前記分割された領域のうち被検査物と前記RGB色空間における色差が色差閾値以下である領域にある異物サンプルに対しては、可視光画像では異物として指定せずに、可視光画像上において異物として認識される位置に対応する、近赤外画像上の位置の画像において、異物の形状を確認できる場合は、近赤外画像上の画像を異物として指定する
ことを特徴とする教師データ生成方法。
【請求項7】
搬送路上に載置されて搬送される被検査物中に混入している異物を光学的に検出する異物検出装置であって、
可視光を前記被検査物に照射する第1光照射手段により照射された前記被検査物を可視光で撮像する可視光カメラと、
近赤外光を前記被検査物に照射する第2光照射手段により照射された前記被検査物を近赤外光で撮像する近赤外カメラと、
前記可視光カメラで撮像した前記被検査物の可視光画像と前記近赤外カメラで撮像した前記被検査物の近赤外画像と、に基づいて前記被検査物に異物が混入しているかを判定する異物判定手段を備え、
前記異物判定手段は、学習手段で、異物の可視光画像および近赤外光画像の教師データを参照して予め学習した学習モデルを用いて、前記被検査物の異物判定を行う手段であって、
前記学習モデルは、その学習過程で、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定し、
前記分割された領域のうち被検査物と前記RGB色空間における色差が色差閾値以下である領域にある異物サンプルに対しては、可視光画像では異物として指定せずに、可視光画像上において異物として認識される位置に対応する、近赤外画像上の位置の画像において、異物の形状を確認できる場合は、近赤外画像上の画像を異物として指定して学習した
ことを特徴とする異物検査装置。
【請求項8】
前記異物判定手段は、
可視光画像に基づいて生成された教師データに基づいて学習した学習モデルにより前記被検査物に混入した異物か否かの判定を行う第1異物判定手段と、
前記可視光カメラで撮像した可視光画像に含まれる判定対象物の色および大きさが所定の範囲外である場合に、前記被検査物に混入した異物であると判定する第2異物判定手段と、
近赤外光に基づいて生成された前記教師データに基づいて学習した学習モデルにより前記被検査物に混入した異物か否かの判定を行う第3異物判定手段と、
前記近赤外カメラで撮像した近赤外画像に含まれる、判定対象物に対する波長の異なる近赤外線の反射率が所定の範囲外である場合に、前記被検査物に混入した異物であると判定する第4異物判定手段と、
前記第1異物判定手段、前記第2異物判定手段、前記第3異物判定手段、前記第4異物判定手段による判定結果に基づいて異物の混入を報知する報知手段と、
を有することを特徴とする請求項7記載の異物検査装置。
【請求項9】
搬送路上に載置されて搬送される被検査物中に混入している異物を光学的に検出する異物検出方法であって、
可視光を前記被検査物に照射する光照射手段により照射された前記被検査物を可視光カメラにより可視光で撮像した前記被検査物の可視光画像に基づいて前記被検査物に異物が混入しているかを判定する異物判定ステップを有し、
前記異物判定ステップは、学習ステップで、異物の可視光画像の教師データを参照して予め学習した学習モデルを用いて、前記被検査物の異物判定を行うステップであって、
前記学習モデルは、その学習過程で、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定して学習した
ことを特徴とする異物検査方法。
【請求項10】
搬送路上に載置されて搬送される被検査物中に混入している異物を光学的に検出する異物検査装置が実行するための異物検出プログラムであって、
可視光を前記被検査物に照射する光照射手段により照射された前記被検査物を可視光カメラにより可視光で撮像した前記被検査物の可視光画像に基づいて前記被検査物に異物が混入しているかを判定する異物判定ステップをコンピュータに実行させ、
前記異物判定ステップは、学習ステップで、異物の可視光画像の教師データを参照して予め学習した学習モデルを用いて、前記被検査物の異物判定を行うステップであって、
前記学習モデルは、その学習過程で、
前記可視光画像で、RGB色空間におけるRGBを色基準として3以上の領域に分割し、前記分割された領域のうち被検査物の領域以外であって、前記RGB色空間における前記被検査物との色差が色差閾値を超えた領域にある異物サンプルを異物として指定して学習した
ことを特徴とする異物検出プログラム。