(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160739
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】折り畳み式ヘルメット
(51)【国際特許分類】
A42B 3/32 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A42B3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075987
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】593157736
【氏名又は名称】株式会社アーテック
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】藤原 悦
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA01
3B107BA04
3B107BA07
3B107BA08
3B107DA01
3B107DA03
3B107DA05
3B107DA18
3B107DA19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より収納スペースを節約可能な折り畳み式ヘルメットを提供する。
【解決手段】本発明の折り畳み式ヘルメット100は、使用に供する展開姿勢と収納に供する折り畳み姿勢の間で形状変更可能な折り畳み式ヘルメットである。折り畳み式ヘルメット100は、傘状をなすヘルメット本体10を備える。ヘルメット本体10は、周方向に並ぶとともに、中心から周縁に向かって延びる山折線1aと谷折線1bとを有している。ヘルメット本体10は、山折線1aが外側に突出するように谷折線1bが内側に突入するようにして折り畳まれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用に供する展開姿勢と収納に供する折り畳み姿勢の間で形状変更可能な折り畳み式ヘルメットであって、
傘状をなすヘルメット本体を備え、
前記ヘルメット本体は、周方向に並ぶとともに、中心から周縁に向かって延びる山折線と谷折線とを有し、前記山折線が外側に突出するように前記谷折線が内側に突入するようにして折り畳まれることを特徴とする折り畳み式ヘルメット。
【請求項2】
前記ヘルメット本体は、
周方向に等角度間隔で設けられた4枚の矩形板部と、
隣り合う2枚の矩形板部の間に設けられ、少なくとも2つ折りされる4枚の折代部とからなる傘状部を有する請求項1に記載の折り畳み式ヘルメット。
【請求項3】
前記ヘルメット本体は、前記傘状部の外周側に内周縁を連結される周縁部材を備え、
前記周縁部材は、前記展開姿勢において、前記傘状部の外周から垂れ下がるよう構成されている請求項2に記載の折り畳み式ヘルメット。
【請求項4】
前記ヘルメット本体は、中心に開口部を有し、
前記開口部を塞ぐ天板を備える請求項1に記載の折り畳み式ヘルメット。
【請求項5】
前記天板は、ヘルメット本体に遊動可能に連結されている請求項4に記載の折り畳み式ヘルメット。
【請求項6】
前記周縁部材、又は前記傘状部の一方から、前記周縁部材、又は前記傘状部の他方へ延出する係止片と、
前記周縁部材、又は前記傘状部の他方の内面に突設され、前記係止片の先端を係止する係止用凸部と、
を有し、前記傘状部が開いた状態で、前記係止片を前記係止用凸部に係止することで、前記ヘルメット本体が開いた状態に保持される請求項3に記載の折り畳み式ヘルメット。
【請求項7】
ヘルメット本体内部に架け渡されるとともに、端部が前記係止片に連結された頭頂部ベルトを有し、
前記頭頂部ベルトを引っ張ることで、前記係止片が前記係止用凸部から脱着する請求項6に記載の折り畳み式ヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防災用に折り畳んで保管する折り畳み式ヘルメットに関し、特に、平面状に折り畳むよりも折り畳み状態の容積を節約できる折り畳み式ヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折り畳んだ状態で保管でき、地震等の災害発生時に展開して使用する折り畳み式ヘルメットが各種提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
例えば、非特許文献1では、ヘルメットの中央を前後方向に延びる折線により幅方向に折り畳むよう構成された折り畳みヘルメットが紹介されている。非特許文献1の折り畳みヘルメットは、上下の端縁がともに湾曲線からなる略広葉形に折り畳まれるものである。
【0004】
非特許文献2では、ヘルメットの中央を左右方向に延びる折線により前後方向に折り畳むよう構成された折り畳みヘルメットが紹介されている。非特許文献2の折り畳みヘルメットも、特許文献1の折り畳みヘルメット同様、上下の端縁がともに湾曲線からなる略広葉形に折り畳まれる。
【0005】
また、非特許文献3では、ヘルメットを、上下3段に切断し、下側の部分の内側に上側の部分を順に収容するよう構成した折り畳みヘルメットが紹介されている。非特許文献3の折り畳みヘルメットは、周縁が折たたみ前のヘルメットの周縁形状のままの楕円状に折り畳まれるものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「ミドリ安全.com」の「折りたたみ防災ヘルメット TSC-10N Flatmet2 ホワイト」のページ(令和5年4月7日検索)<https://ec.midori-anzen.com/shop/g/g4001900006/>
【非特許文献2】「ミドリ安全.com」のウエブサイトにおける「防災用 折りたたみ式ヘルメット タタメットBCP」のページ(令和5年4月7日検索)<https://ec.midori-anzen.com/shop/g/g4082120606/>
【非特許文献3】「KAGAヘルメット(加賀産業株式会社)」のウエブサイトにおける「オサメット」のページ<http://www.kagahelmet.com/products/osamet/osamet-1.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、非特許文献1、乃至非特許文献3の折り畳みヘルメットは、周縁が曲線状をなすことから、直方体の箱に収容すると隙間が生じるため、収容に要する容積はヘルメットの体積より無駄に大きくなるという問題が有る。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、収容に要する容積を抑制可能な折り畳みヘルメットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、使用に供する展開姿勢と収納に供する折り畳み姿勢の間で形状変更可能な折り畳み式ヘルメットであって、傘状をなすヘルメット本体を備え、前記ヘルメット本体は、周方向に並ぶとともに、中心から周縁に向かって延びる山折線と谷折線とを有し、前記山折線が外側に突出するように前記谷折線が内側に突入するようにして折り畳まれることを特徴とする。
【0009】
本発明の折り畳み式ヘルメットは、傘状をなすヘルメット本体を、その中心から周縁に向かって延びる山折線と谷折線に沿って折り曲げることで、傘の様に折り畳むことができるので、柱状に折り畳むことが出来る。
【0010】
本発明の折り畳み式ヘルメットは、前記ヘルメット本体が、周方向に等角度間隔で設けられた4枚の矩形板部と、隣り合う2枚の矩形板部の間に設けられ、少なくとも2つ折りされる4枚の折代部とからなる傘状部を有することが好ましい。こうすることで、ヘルメット本体を直方体状に折り畳むことができる。
【0011】
本発明の折り畳み式ヘルメットは、前記ヘルメット本体が、前記傘状部の外周側に内周縁を連結される周縁部材を備え、前記周縁部材は、前記展開姿勢において、前記傘状部の外周から垂れ下がるよう構成されていることが好ましい。こうすることで、当該ヘルメットをより使用者の頭にフィットさせることができる。
【0012】
前記ヘルメット本体は、中心に開口部を有し、前記開口部を塞ぐ天板を備えることが好ましい。こうすることで、ヘルメット本体が折り畳みやすくなる。
【0013】
前記天板は、ヘルメット本体に遊動可能に連結されていることが好ましい。こうすることで、さらにヘルメット本体が折り畳みやすくなる。
【0014】
本発明の折り畳み式ヘルメットは、前記周縁部材、又は前記傘状部の一方から、前記周縁部材、又は前記傘状部の他方へ延出する係止片と、前記周縁部材、又は前記傘状部の他方の内面に突設され、前記係止片の先端を係止する係止用凸部とを有し、前記傘状部が開いた状態で、前記係止片を前記係止用凸部に係止することで、前記ヘルメット本体が開いた状態に保持されることが好ましい。傘状部、及び周縁部材は、山折線や谷折線の折り癖によって、折り畳み姿勢に戻ろうとする。このような係止片と係止用凸部を設けることで、この折り癖を利用して、簡単にヘルメット本体を展開状態に保持できる。
【0015】
本発明の折り畳み式ヘルメットは、ヘルメット本体内部に架け渡されるとともに、端部が前記係止片に連結された頭頂部ベルトを有し、前記頭頂部ベルトを引っ張ることで、前記係止片が前記係止用凸部から脱着することが好ましい。こうすることで、余計な部品を設けることなく頭頂部ベルトを利用して係止片を脱着できる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の折り畳み式ヘルメットによれば、柱状に折り畳むことが出来るので、周縁が曲線の平板状に折り畳むヘルメットに比べて、収容する箱の容積を節約できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一の実施形態に係る折り畳み式ヘルメットの使用状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1の畳み式ヘルメットを下方から見た斜視図である。
【
図3】
図1の折り畳み式ヘルメットを折り畳んだ状態の斜視図である。
【
図4】
図1の折り畳み式ヘルメットのヘルメット本体、及び周縁部材の折り畳んだ状態を模式的に示した概略底面図である。
【
図5】
図1の折り畳み式ヘルメットの係止片が係止用凸条に係合した様子を示す要部拡大斜視図である。
【
図6】1の折り畳み式ヘルメットの係止片が係止用凸条から脱着した様子を示す要部拡大斜視図である。
【
図7】
図1の折り畳み式ヘルメットの展開姿勢を顎紐を省略して示した正面図であり、背面図は正面図と対象に表れる。
【
図8】
図7の折り畳み式ヘルメットの平面図である。
【
図9】
図7の折り畳み式ヘルメットの底面図である。
【
図10】
図7の折り畳み式ヘルメットの右側面図である。
【
図11】
図7の折り畳み式ヘルメットの左側面図である。
【
図12】
図7の折り畳み式ヘルメットを折り畳む途中の斜視図である。
【
図13】
図7に示したヘルメット本体のブランクの表面を示す平面図である。
【
図14】
図7に示したヘルメット本体のブランクの裏面を示す底面図である。
【
図15】
図14のブランクを組み立てて形成したヘルメット本体の平面図である。
【
図16】
図7に示した周縁部材のブランクを示す平面図である。
【
図17】
図1に示した天板を示したの底面図である。
【
図18】
図2に示した天裏板を、天板に対向する面を上側にして示した斜視図である。
【
図19】
図2に示した頭頂部ベルトの斜視図である。
【
図20】
図2に示した頭保持ベルトの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面を用いながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1、乃至
図3は、本発明の一の実施形態にかかる折り畳み式ヘルメット100を示している。折り畳み式ヘルメット100は、ヘルメット本体10と、頭頂部ベルト4と、頭囲ベルト5と、顎紐6とを備え、平時には折り畳んで収納し、地震等の災害時に展開して使用するよう構成されている。ヘルメット本体10は、径方向の中間に位置する傘状部1と、周縁に位置する周縁部材2と、頭頂に位置する天板3とを有している。
【0020】
傘状部1は、
図13、
図14に示すような、樹脂により形成された扇状の板状材からなるブランク1Aの周方向の一端に設けた係止片1cを同他端に設けた係合受け部1dに差し込んで、
図15に示すような傘状に形成される。傘状部1は、中心から周縁に向かって延びる複数(
図1の例では8本)の山折線1a,1a,…、複数(
図1の例では4本)の谷折線1b,1b,…とを有し、これらは、周方向に山折線1a、山折線1a、谷折線1bの順に並べられている。
【0021】
傘状部1は、2本の隣接する山折線1a,1aの間に設けられる4枚の硬板状の長方形の矩形板部11と、隣接する2枚の矩形板部11,11の間に設けられる折代部12とを有している。折代部12は、2枚の硬板状の三角板121,121からなる。隣接する2枚の三角板121,121は、谷折線1bを挟んで対称に設けられている。
【0022】
山折線1a、谷折線1bは、共に矩形板部11や、三角板121と同じ樹脂により、これらと一体に、かつ薄肉に形成されたいわゆるリビングヒンジ(薄肉ヒンジ)からなる。矩形板部11は、外面の上側4分の3ほどに、傘状部1の中心から周縁に向かう方向に延びる補強リブ11cが全幅に亘って列設されている。
【0023】
傘状部1は、
図15に示すように、中心に正方形状の開口部13を有している。開口部13の周縁は、4枚の矩形板部11の内側の端辺により形成されている。傘状部1は、開口部13の周縁から内方に向かって延出する4枚の天板固定片16,16,…を備えている。天板固定片16は、直角台形状をなし、リビングヒンジにより矩形板部11に揺動可能に連結されている。天板固定片16は、天板3を天裏板31に固定するビスを通すためのビス挿通孔16aを備えている。ビス挿通孔16aは、天板固定片16の外形と略相似形をなす直角台形状に設けられている。
【0024】
周縁部材2は、
図16に示した短冊状のブランク2Aを2枚連結して、
図2に示すような輪状に形成されている。ブランク2Aは、横長の長方形からなる外硬板251,252と、直角台形状の4枚の内硬板26,26,27,27と、を備え、長手方向の一端側(
図16の左側)から他端側に向かって外硬板251,内硬板26,内硬板27,外硬板252,内硬板27,内硬板26の順に、リビングヒンジ(薄肉ヒンジ)からなる山折線2a、又は谷折線2bにより連結されている。外硬板251,252の両端は山折線2aからなり、隣接する内硬板26と内硬板27は、谷折線2bを挟んで対称形に設けられている。
【0025】
周縁部材2の2枚のブランク2A,2Aは、幅方向に延出する2つの係入片23,23を、傘状部1内面の係受枠151に係入することにより、傘状部1の外周に連結されるとともに、長手方向の端縁に設けられる係入片24を、互いの係受枠251aに係入して輪状に形成する。内硬板26、及び内硬板27は、それぞれ傘状部1側へ延出する台形状の係止片21,22を有している。係止片21,22,係入片23は、リビングヒンジ2cにより外硬板251,252や内硬板26,27に対し揺動可能に連結されている。
【0026】
傘状部1の三角板121の内面には、周縁部材2の係止片21の先端を支持する係止用凸部14が設けられており、周縁部材2は、係止片21を係止用凸部14に係止することで、傘状部1、及び周縁部材2が、山折線1a,2a、谷折線1b,2bの折り癖に沿って変形するのを防止する。尚、図示の例では、頭頂部ベルト4に連結されない係止片22を係止する係止用凸部は特に設けていないが、これを設けることもできる。係止片21,22は、傘状部1の折り畳み時に折代部12に外側から押されることで、折代部12に倣って、かつ谷折線2bに沿って2つ折りされて内側に折り込まれる。
【0027】
天板3は、
図1、
図17に示すように、正方形の天壁3aと、天壁3aの端辺から斜め下方に広がる4つの裾部3b,3b,…とにより扁平の天蓋状を有している。天壁3aは、
図1に示すように、前後方向に延び、側面視で台形状をなす多数の補強リブ3cが、上面の全面にわたり列設されている。天板3は、
図17に示すように、裏面側に4つの円錐台上のビス用突起3d,3d,…を有している。4つのビス用突起3d,3d,…は、天板3の4つの端辺に対し周方向に対し傾いた正方形の頂点をなす位置に設けられている。
【0028】
天板3は、裏面側に設けられる天裏板31にビス(木ねじ)で固定されることで、ヘルメット本体10に固定される。天裏板31は、
図18に示すように、4隅を面取りした正方形の板状をなし、上面に、円環状突起とその中心の貫通孔からなる4つのビス用突起固定部31a,31a,…を備えている。天板3と天裏板31は、ビス用突起固定部31aにビス用突起3dを収容した状態でビス用突起固定部31a側からビス用突起3dにビスをねじ込んで固定する。ビス用突起3d、及びビス用突起固定部31aは、傘状部1の天板固定片16のビス挿通孔16aを貫通するように連結される。ビス用突起3d、及びビス用突起固定部31aは、ビス挿通孔16aよりもかなり外径が小さく、ビス挿通孔16a内を遊動可能にビス挿通孔16aに挿通される。これにより、ヘルメット本体10が天板3に拘束されることなく、展開・折り畳み可能となる。尚、天板3の天裏板31への固定は、ビスに限らず、鋲やボルト・ナットその他の公知の方法を用いることができる。
【0029】
天裏板31の下面には、
図2に示すように発泡樹脂製のクッション材32が貼設されている。
【0030】
頭頂部ベルト4は、
図19に示すように可撓性の樹脂から2本のベルト41,41を一体にX字状に設けた形状をなし、4つの端部にそれぞれ穿設された瓢箪型の係止孔4aと、その内側に設けられた4つの係止凸条4bとを備えている。
【0031】
頭囲ベルト5は、
図20に示すように、可撓性樹脂により角丸の短冊状に形成され、両端にゴム紐挿通孔5a,5aと、円筒状の係止用突起5b,5bが設けられ、中央に顎紐挿通用スリット5dが設けられている。係止用突起5b,5bの突出方向の中間には、頭頂部ベルト4の係止孔4aを係止する凹条5cが設けられている。頭囲ベルト5は、
図2に示すように、ゴム紐7により2本が連結されて円形に形成される。ゴム紐7は、スプリングコードストッパー71により両端が連結されて長さの調節が容易である。
【0032】
頭頂部ベルト4は、
図2、
図5に示すように、ベルト41の端部41aを周縁部材2の係止片21の内面に設けられたベルト係止桿21aを潜るようにしてベルト係止桿21aに係止される。また、頭頂部ベルト4は、係止孔4aに頭囲ベルト5の係止用突起5bが係止されて、4つの端部が頭囲ベルト5に連結される。
【0033】
顎紐6は、
図2に示すように、頭囲ベルト5の顎紐挿通用スリット5dを通し、頭頂部ベルト4の上側で両端を結んで輪状に形成されている。顎紐6は、スプリングコードストッパー61が挿通されており、長さ調節可能に設けられている。
【0034】
(ヘルメット本体の折り畳み)
図5、
図6は、頭頂部ベルト4を引っ張って、傘状部1から周縁部材2を係脱させる様子を示している。ヘルメット本体10を折り畳む際は、まず、
図5に白抜きの矢印で示すように、頭頂部ベルト4をヘルメット本体10から引き離す方向へ引っ張る。すると、
図6に示すように、周縁部材2の係止片21が、傘状部1の係止用凸部14から係脱し、これにより傘状部1、及び周縁部材2を山折線1a,2aや谷折線1b,2bの折り癖に逆らって展開状態に保持していた張力が開放されて、傘状部1、及び周縁部材2は、当該折り癖に倣って、
図12に示したような形状に向かって収縮する。
【0035】
しかるのち、
図3、
図4に示すように、傘状部1の4枚の矩形板部11,11,…、及び周縁部材2の計4枚の外硬板251,252で直方体を作るように、折代部12、及び内硬板26,27を三角板121,121の間の谷折線1b、及び内硬板26,27の間の谷折線2bで内側に折り込み、これらを当該直方体の内部に収容するようにして、ヘルメット本体10を折り畳む。頭頂部ベルト4、頭囲ベルト5、顎紐6は、当該直方体の外部へ延出させるようにしてヘルメット本体10を折り畳む。
【0036】
ヘルメット本体10は、
図4に示すように、折代部12,及び内硬板26,27が、ベルト係止桿21a、及びこれに連結された頭頂部ベルト4や頭囲ベルト5を収容するベルト収容スペース10Aを設けるために、ベルト係止桿21aを備える係止片21に隣接する内硬板26がヘルメット本体10の内側に、ベルト係止桿21aを有さない係止片22に隣接する内硬板27がヘルメット本体10の外側に向くようにして、ヘルメット本体10の内側に折り込むように構成されている。
【0037】
最後に、顎紐6を直方体状のヘルメット本体10の周囲に巻いて輪状に結束し、ヘルメット本体10が展開するのを防止する。
折り畳んだ折り畳み式ヘルメット100は、例えば、学校や会社等であれば、段ボール箱等に多数をまとめて収容したり、生徒や社員一人ひとりに配布して、机の中に収納したり、机の横のフックに下げたりして、常備することができる。
折り畳み式ヘルメット100は、直方体状に折り畳むので多数まとめて箱に収容する際に無駄な空間が生じないため、収納スペースの節約になる。また、折り畳み式ヘルメット100は、机の中や机のフックにしまう際にも嵩張ることがない。
【0038】
(ヘルメット本体の展開)
地震等の災害により、折り畳み式ヘルメット100を使用する際には、顎紐6をほどいて、ヘルメット本体10を広げ、周縁部材2の係止片21を傘状部1の係止用凸部14に係止して、ヘルメット本体10を展開状態に保持する。しかるのち、頭頂部ベルト4、頭囲ベルト5をヘルメット本体10内部に収容する。
【0039】
以上、本発明は、上述した実施形態に限らず、例えば、折り畳み形状は、直方体(四角柱)に限らず、三角柱や五角柱以上の多角柱であってもよい。周縁部材はなくてもよい。十分に強度が確保できれば天板は無くてもよいし、ヘルメット本体を容易に折り畳むことが出来ればヘルメット本体に対し遊動不能に固定されていてもよい。ヘルメットを展開状態に保持する機構として、係止片と係止用凸部を係合させる以外の機構を用いてもよい。係止片は、頭頂部ベルト以外の方法で係脱させてもよい。周縁部材は、傘状部から鉛直下方に垂下するのではなく、外側に斜めに垂れ下がるようにしてもよい。折代部は、傘状部を折り畳んだ際に、矩形板部で形成される直方体の外に出してもよく、2つ折りに限らず、3つ折り以上にしてもよい。係止片を傘状部に設け、係止用凸部を周縁部材側に設けることもできる。
本発明のヘルメットは、規格により定められたヘルメットに限らず、保護帽や安全帽と呼ばれるものを含む。
【符号の説明】
【0040】
100 ヘルメット
10 ヘルメット本体
1 傘状部
1a 山折線
1b 谷折線
11 矩形板部
12 折代部
13 開口部
14 係止用凸部
2 周縁部材
2A 周縁部材片側
2a 山折線
2b 谷折線
3 天板
2c 周縁部材の内周
21 係止片
4 頭頂部ベルト