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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160740
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】撮像装置および撮像素子
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/56 20230101AFI20241108BHJP
   H04N 25/53 20230101ALI20241108BHJP
   H04N 23/73 20230101ALI20241108BHJP
   H04N 23/54 20230101ALI20241108BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241108BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20241108BHJP
   G02B 7/32 20210101ALI20241108BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20241108BHJP
   G01S 7/4863 20200101ALI20241108BHJP
【FI】
H04N23/56
H04N25/53
H04N23/73
H04N23/54
G03B15/00 Q
G03B15/02
G02B7/32
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
G01S7/4863
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075991
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】米持 元
【テーマコード(参考)】
2F112
2H151
5C024
5C122
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AA09
2F112AD01
2F112BA06
2F112CA12
2F112DA24
2F112DA28
2F112EA05
2F112FA45
2F112GA01
2H151CC05
5C024AX02
5C024CX65
5C024CY17
5C024GX03
5C024GX16
5C024GX18
5C024GY31
5C024HX50
5C122DA13
5C122EA59
5C122EA68
5C122FA06
5C122FC06
5C122FC07
5C122GG01
5C122GG28
5C122HB02
5C122HB05
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA01
5J084BA13
5J084BA36
5J084BA40
5J084CA03
5J084CA20
5J084CA67
5J084EA04
(57)【要約】
【課題】測距精度の向上と演算コストおよび処理時間の低減化を図ること。
【解決手段】撮像装置は、第1期間と前記第1期間よりも短い第2期間とで発光パターンが異なる複数のパターン光を含む構造光を照射する光源と、前記光源から前記構造光が照射された結果入射されてくる入射光を電荷に変換する光電変換部を含む1以上の画素を有する画素部と、前記画素から読み出された画素信号に基づいて、前記光電変換部で電荷を蓄積する蓄積時間を前記第1期間または前記第2期間に制御する露光制御部と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1期間と前記第1期間よりも短い第2期間とで発光パターンが異なる複数のパターン光を含む構造光を照射する光源と、
前記光源から前記構造光が照射された結果入射されてくる入射光を電荷に変換する光電変換部を含む1以上の画素を有する画素部と、
前記画素から読み出された画素信号に基づいて、前記光電変換部で電荷を蓄積する蓄積時間を前記第1期間または前記第2期間に制御する露光制御部と、
を有する撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記画素部の前記光電変換部は、前記露光制御部によって制御された蓄積時間で、前記光源から前記構造光が照射された結果入射されてくる入射光を電荷に変換する、
撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記画素部および前記露光制御部を含む撮像素子を有する、
撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記構造光は、第1発光パターンを有する第1パターン光と、第2発光パターンを有する第2パターン光と、第3発光パターンを有する第3パターン光と、第4発光パターンを有する第4パターン光と、を含み、
前記第1期間では、前記第1パターン光および前記第2パターン光は、前記第3パターン光および前記第4パターン光よりも暗い光になり、
前記第2期間では、前記第1パターン光および前記第3パターン光は、前記第2パターン光および前記第4パターン光よりも暗い光になる、
撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記第1期間における前記複数のパターン光の空間分布と前記第2期間における前記複数のパターン光の空間分布とは相似形である、
撮像装置。
【請求項6】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記構造光の照射タイミングと前記画素での前記入射光の受光タイミングとに基づいて、特定の被写体を検出する検出部を有し、
前記露光制御部は、前記検出部によって検出された前記特定の被写体の領域内の前記画素による前記蓄積時間を前記第2期間に設定し、前記特定の被写体の領域外の前記画素による前記蓄積時間を前記第1期間に設定する、
撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置であって、
前記画素部は、前記第1期間で光電変換を行った画素群の各々からの画素信号の一部を間引きして出力する、
撮像装置。
【請求項8】
第1期間と前記第1期間よりも短い第2期間とで発光パターンが異なる複数のパターン光を含む構造光を照射する光源から前記構造光が照射された結果入射されてくる入射光を電荷に変換する光電変換部を含む1以上の画素を有する画素部と、
前記画素から読み出された画素信号に基づいて、前記光電変換部で電荷を蓄積する蓄積時間を前記第1期間または前記第2期間に制御する露光制御部と、
を有する撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のカメラモジュールを備えた撮像装置が知られている(例えば、特許文献1)。従来より、測距性能の精度向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-295113号公報
【発明の概要】
【0004】
第1開示技術の撮像装置は、第1期間と前記第1期間よりも短い第2期間とで発光パターンが異なる複数のパターン光を含む構造光を照射する光源と、前記光源から前記構造光が照射された結果入射されてくる入射光を電荷に変換する光電変換部を含む1以上の画素を有する画素部と、前記画素から読み出された画素信号に基づいて、前記光電変換部で電荷を蓄積する蓄積時間を前記第1期間または前記第2期間に制御する露光制御部と、を有する。
【0005】
第2開示技術の撮像素子は、第1期間と前記第1期間よりも短い第2期間とで発光パターンが異なる複数のパターン光を含む構造光を照射する光源から前記構造光が照射された結果入射されてくる入射光を電荷に変換する光電変換部を含む1以上の画素を有する画素部と、前記画素から読み出された画素信号に基づいて、前記光電変換部で電荷を蓄積する蓄積時間を前記第1期間または前記第2期間に制御する露光制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、構造光測距例を示す説明図である。
図2図2は、構造光の投影パターンの分離例を示す説明図である。
図3図3は、露光時間が1msecである場合の構造光の投影パターンの時間変調による分離例を示す説明図である。
図4図4は、露光時間が1/2msecである場合の構造光の投影パターンの時間変調による分離例を示す説明図である。
図5図5は、実施例1にかかる撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図6図6は、画素ブロックおよび制御ブロックの一例を示す説明図である。
図7図7は、画素の回路構成の一例を示す回路図である。
図8図8は、撮像素子の撮像動作例を示すタイミングチャートである。
図9図9は、画素ブロックの動作例を示すブロック図である。
図10図10は、撮像装置の動作例を示す説明図である。
図11図11は、実施例2にかかる撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図12図12は、撮像装置の動作例を示す説明図である。
図13図13は、デジタル信号処理部での露光時間マップの更新例1を示す説明図である。
図14図14は、デジタル信号処理部での露光時間マップの更新例2を示す説明図である。
図15図15は、構造光の空間パターン例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0007】
<構造光測距>
図1は、構造光測距例を示す説明図である。構造光測距とは、構造光を被写体OBに照射し、その反射光を撮像素子で受光することにより、被写体OBを測距する技術である。構造光とは、空間的な光強度の分布が異なるパターン光である。
【0008】
(A)~(C)は、被写体OBへの構造光の投影パターン例を示す。(A)の投影パターンPaは、(B)の投影パターンPbよりも粒度が細かい構造光パターンである。
【0009】
(A)の投影パターンPaの粒度は投影パターンPbよりも細かいため、撮像素子101で画素信号を読み出す画素数が(B)の場合よりも多くなる。この場合、撮像素子101で画素信号の全画素読み出しを行うと、(A)は、パターンマッチング時の演算コストおよび処理時間が(B)よりも増加する。一方、撮像素子101で画素信号の間引き読み出しを行うと、パターンマッチング時の演算コストおよび処理時間は低下するが、撮像素子101で画素信号を読み出す画素数が少なくなるため、全画素読み出しに比べて測距精度が低下する。
【0010】
(B)の投影パターンPbの粒度は投影パターンPaよりも粗いため、撮像素子101で画素信号を読み出す画素数が(A)の場合よりも少なくてもよい。この場合、(B)は、パターンマッチング時の演算コストおよび処理時間が(A)よりも低下するが、撮像素子101で画素信号を読み出す画素数が少なくなるため、(A)よりも測距精度が低下する。
【0011】
これに対し、(C)では、被写体OBを囲む被写体領域では投影パターンPaとし、投影パターンPaの周囲の背景領域では投影パターンPbとする。この投影パターンPa、Pbを組み合わせた投影パターンPcで、構造光が照射される。そして、撮像素子101は、被写体領域の投影パターンPaに対応する領域Raを全画素読み出し領域として画素信号を読み出し、背景領域の投影パターンPbに対応する領域Rbを間引き読み出し領域として画素信号を読み出す。
【0012】
これにより、被写体領域では高解像度な投影パターンPaとなり、背景領域は低解像度な投影パターンPbとなるため、被写体OBの測距精度が向上するとともに、演算コストおよび処理時間の低下を図ることができる。
【0013】
また、撮像素子101は、投影パターンPaに対応する領域Raを全画素読み出し領域として画素信号を読み出し、投影パターンPbに対応する領域Rbを間引き読出し領域として画素信号を読み出す。これにより、読出しデータ量および消費電力の低減化を図ることができる。
【0014】
以下、上記(C)の投影パターンの最適化および画素信号読出しの最適化を実現する構造光および撮像素子101の制御について具体的に説明する。
【0015】
<構造光の投影パターンの分離>
図2は、構造光の投影パターンの分離例を示す説明図である。構造光200は、照射方向に直交する空間方向に複数種類の大局的パターンがランダムに配置されたパターン光である。図2では、一例として、2種類の大局的パターンPA、PB(図では、「A」、「B」と表記)が2行2列でランダムに配置されている。
【0016】
大局的パターンPAは、局所的パターンp0,p1(図では、「0」、「1」と表記)を含む。大局的パターンPBは、局所的パターンp2,p3(図では、「2」、「3」と表記)を含む。すなわち、構造光200の投影パターンは、局所的パターンp0~p4で構成される。局所的パターンp0~p4は、発光周期が異なるパターンである。
【0017】
構造光200のうち右上の2行2列のパターン領域201に着目すると、露光時間長によってパターン領域201における光の空間分布が異なる。空間分布211は、撮像素子101の1msecの露光時間での露光中における構造光200の空間分布例であり、空間分布212は、撮像素子101の1/2msecの露光時間での露光中における構造光200の光の空間分布例である。
【0018】
図3は、露光時間が1msecである場合の構造光200の投影パターンの時間変調による分離例を示す説明図である。1msecを1周期とし、1/4secを発光単位期間とし、1msecを4等分した期間をそれぞれ発光期間LT1~LT4とする(図4も同様)。局所的パターンp0~p3の明るさは発光期間の数に依存し、発光期間の数が多いほど明るく、少ないほど暗い。
【0019】
局所的パターンp0,p1は、大局的パターンPAであり、1msec露光時間のうち1/4msecの発光期間LT2,LT3で発光する。局所的パターンp0,p1の発光期間は異なる。局所的パターンp2,p3は、大局的パターンPBであり、1msec露光時間のうち1/2msecの発光期間[LT1,LT2],[LT1,LT3]で発光する。局所的パターンp2,p3の発光期間は異なるが、一部重複してもよい(本例の場合、LT1で重複。)。
【0020】
撮像素子101が1msec露光する場合、構造光200の空間分布は、空間分布211のようになる。具体的には、たとえば、局所的パターンp0,p1が受光される撮像素子101の画素は、局所的パターンp2,p3が受光される画素よりも暗くなる。一方、局所的パターンp2,p3が受光される撮像素子101の画素は、局所的パターンp0,p1が受光される画素よりも明るくなる。なお、この場合、局所的パターンp0,p1は、大局的パターンPAであり、同じ明るさであるため、区別されない。局所的パターンp2,p3も、大局的パターンPBであり、同じ明るさであるため、区別されない。
【0021】
図4は、露光時間が1/2msecである場合の構造光200の投影パターンの時間変調による分離例を示す説明図である。1/2msecの露光時間は、発光期間LT3,LT4に対応する。局所的パターンp0~p3の発光周期は、図3と同じである。
【0022】
局所的パターンp0は、大局的パターンPAであり、1/2msec露光時間内に発光しないが、局所的パターンp1は、発光期間LT3で発光する。局所的パターンp2は、大局的パターンPBであり、1/2msec露光時間内に発光しないが、局所的パターンp3は、発光期間LT3で発光する。
【0023】
撮像素子101が1/2msec露光する場合、構造光200の空間分布は、空間分布212のようになる。具体的には、たとえば、局所的パターンp0,p2が受光される撮像素子101の画素は、局所的パターンp1,p3が受光される画素よりも暗くなる。一方、局所的パターンp1,p3が受光される撮像素子101の画素は、局所的パターンp0,p2が受光される画素よりも明るくなる。なお、この場合、局所的パターンp0,p1は、大局的パターンPAであるが、それらの明るさは異なるため、区別される。局所的パターンp2,p3も、大局的パターンPBであるが、それらの明るさは異なるため、区別される。
【0024】
<撮像装置の構成例>
図5は、実施例1にかかる撮像装置の構成例を示すブロック図である。撮像装置500は、光源510と、撮像素子101と、外部処理装置520と、を有する。
【0025】
光源510は、外部処理装置520からの同期信号により、構造光200を被写体に出射する。
【0026】
撮像素子101は、画素ブロックアレイ501と、周辺回路部502と、を有する。画素ブロックアレイ501は、行列方向に配列された複数の画素ブロックの集合であり、被写体で反射される構造光200を受光する画素部である。行方向の画素ブロックの数をN(Nは1以上の整数)とし、列方向の画素ブロックの数をM(Mは1以上の整数)とする。画素ブロックの各々は、行列方向に配列された複数の画素を含む。撮像装置500は、画素ブロックごとに露光時間の制御が可能である。なお、画素ブロックは1画素で構成されてもよい。
【0027】
画素ブロックアレイ501は、周辺回路部502からのRESETパルスおよびREADパルスの駆動トリガと露光時間マップとに基づいて、被写体で反射される構造光200を光電変換し、画素信号を周辺回路部502に出力する。画素ブロックの詳細については図6で後述する。
【0028】
周辺回路部502は、同期信号処理部503と、デジタル信号処理部504と、出力インタフェース(IF)505と、グローバルメモリ506と、を有する。同期信号処理部503は、外部処理装置520から同期信号を受信して、RESETパルスおよびREADパルスの駆動トリガを生成して、画素ブロックアレイ501に出力する。
【0029】
デジタル信号処理部504は、画素ブロックアレイ501からの画像信号を受信して、CDS処理などの信号処理を実行する。画像信号は、画素ブロックアレイ501内の各画素からの画素信号の集合である。
【0030】
出力IF505は、デジタル信号処理部504で信号処理された画像信号を、画素ブロック単位で外部処理装置520に出力する。
【0031】
グローバルメモリ506は、外部処理装置520からの露光時間マップを記憶する。露光時間マップは、画素ブロックごとに分割して振り分けられる。
【0032】
外部処理装置520は、同期信号生成部521と、画像信号処理部522と、を有する。同期信号生成部521は、同期信号を生成して、光源510と、周辺回路部502の同期信号処理部503と、に出力する。これにより、撮像装置500は、同期信号により撮像素子101での画像信号の読出しタイミングと、光源510からの構造光200の照射タイミングと、を同期させることができる。
【0033】
画像信号処理部522は、画素ブロックごとの画像信号を処理する。画像信号処理部522は、距離画像演算523と、被写体検出/移動情報算出524と、露光時間マップ生成525と、を実行する。
【0034】
距離画像演算523は、画像信号に基づいて、画素ブロック単位(画素単位でもよい)で被写体までの距離を演算し、距離画像を生成する処理である。たとえば、距離画像演算523は、TOF(Time Of Flight)により距離画像を生成する処理である。
【0035】
被写体検出/移動情報算出524は、距離画像演算523で得られる距離画像に基づいて、被写体のうち、背景と、背景ではない主要被写体と、を検出し、かつ、主要被写体の移動方向および移動量を算出する処理である。
【0036】
具体的には、たとえば、同期信号生成部521が光源510に同期信号を出力(すなわち、構造光200の照射タイミング)してから、画像信号処理部522が撮像素子101から画像信号を取得する(すなわち、入射光の受光タイミング)までの飛行時間に基づいて、距離画像演算523および被写体検出/移動情報算出524を実行する。すなわち、画像信号処理部522は、主要被写体および背景を検出する検出部として機能する。
【0037】
露光時間マップ生成525は、各画素の画素信号である輝度値に基づいて、露光時間マップを生成する処理である。具体的には、たとえば、露光時間マップ生成525では、画像信号処理部522は、画素ブロックごとに、画素ブロックにおける各画素からの画素信号である輝度値について、平均値、中央値または最頻値といった統計値を算出する。露光時間マップ生成525では、画像信号処理部522は、画素ブロックごとに算出された輝度値の統計値を当該画素ブロックの露光値に変換する。
【0038】
たとえば、輝度値の統計値が第1しきい値以上第2しきい値未満である場合、画像信号処理部522は、当該画素ブロックについて前回の露光値を維持する。輝度値の統計値が第1しきい値未満である場合、画像信号処理部522は、当該画素ブロックについて前回の露光値よりも露光時間が長秒となるように露光値を設定する。
【0039】
輝度値の統計値が第2しきい値以上である場合、画像信号処理部522は、当該画素ブロックについて前回の露光値よりも露光時間が短秒となるように露光値を設定する。露光時間マップは、行列方向に配列された画素ブロックごとの輝度値により構成される。なお、露光時間マップの初期値は外部から設定される。
【0040】
なお、図示はしないが、画像信号処理部522は、画像信号で構成されるフレーム画像について、色補間、ホワイトバランス調整、輪郭強調、ガンマ補正、階調変換などの画像処理や符号化処理、復号処理、圧縮伸張処理などを実行してもよい。また、画像信号処理部522は、フレーム画像を表示画面に表示してもよい。
【0041】
<画素ブロックおよび制御ブロック>
図6は、画素ブロックおよび制御ブロックの一例を示す説明図である。画素ブロックアレイ501において、画素ブロック600は、M行N列に配列されている。制御ブロック601も、画素ブロック600と同様、M行N列に配列されている。たとえば、積層された第1半導体基板および第2半導体基板において、画素ブロック600は、第2半導体基板上に積層された第1半導体基板に配置され、画素ブロック600と同一領域の制御ブロック601は、画素ブロック600の直下の第2半導体基板に配置される。
【0042】
画素ブロック600は、行列方向に配列された画素610の集合である。画素ブロック600も画素部である。行方向の画素の数をn(nは1以上の整数)とし、列方向の画素の数をm(mは1以上の整数)とする。したがって、撮像素子101全体では、N×n×M×m個の画素610を有する。
【0043】
制御ブロック601は、行読出し選択回路602と、露出タイミング制御回路603と、ローカルメモリ604と、列読出し選択回路605と、ADC(Analog to Digital Converter)列606と、SRAM(Static Random Access Memory)列607と、を有する。
【0044】
行読出し選択回路602は、画素ブロック600の行を選択する回路である。行読出し選択回路602に選択された行の画素610の画素信号が読み出される。露出タイミング制御回路603は、RESETパルスおよびREADパルスの駆動トリガに基づいて、画素ブロック600の露出タイミングを制御する露光制御部である。ローカルメモリ604は、露光時間マップのうち当該画素ブロックの露光値を記憶する。
【0045】
列読出し選択回路605は、画素ブロック600の列を選択する回路である。行読出し選択回路602に選択された行で、かつ、列読出し選択回路605に選択された列の画素群の画素信号が読み出される。ADC列606は、画素ブロック600の画素列ごとに設けられたADCの集合である。
【0046】
各ADCは、その画素列の垂直信号線に接続され、その画素列の各画素610からのアナログの画素信号をデジタルの画素信号に変換する。SRAM列607は、画素ブロック600の画素列ごとに設けられたSRAMの集合である。各SRAMは、各ADCに接続され、ADCからのデジタルの画素信号を記憶する。
【0047】
<画素610>
図7は、画素610の回路構成の一例を示す回路図である。画素610は、光電変換部700と、読出部710とを備える。読出部710は、転送部701と、排出部702と、FD(フローティングディフージョン)703と、リセット部704と、画素出力部705とを有し、光電変換部700で変換された電荷に基づく画素信号を垂直信号線720に読み出す。
【0048】
画素出力部705は、増幅部751および選択部752を有する。転送部701、排出部702、FD703、リセット部704、増幅部751および選択部752を読出部710と称す。読出部710は、Nチャンネル型FETとして説明するが、トランジスタの種類はこれに限られない。
【0049】
光電変換部700は、光を電荷に変換する光電変換機能を有する。光電変換部700は、光電変換された電荷を蓄積する。光電変換部700は、たとえば、フォトダイオードにより構成される。
【0050】
転送部701は、光電変換部700の電荷をFD703に転送する。転送部701は、光電変換部700とFD703との間の電気的な接続を制御する。転送部701は、たとえば、トランジスタにより構成される。また、転送部701は、少なくともゲート端子を有し、光電変換部700の一部をソース端子、FD703の一部をドレイン端子とするトランジスタの一部を構成する素子であってもよい。転送部701のゲート端子は、転送制御信号φTXを入力するための転送制御線711に接続される。転送制御線711については後述する。
【0051】
排出部702は、光電変換部700に蓄積された電荷を電源電圧VDDが供給される電源配線に排出する。排出部702は、光電変換部700と電源配線との間の接続を制御する。排出部702は、たとえば、トランジスタにより構成される。また、排出部702は、少なくともゲート端子を有し、光電変換部700の一部をソース端子、電源配線に接続される拡散領域の一部をドレイン端子とするトランジスタの一部を構成する素子であってもよい。
【0052】
排出部702のゲート端子は、排出制御信号φPDRSTを入力するための排出制御線712に接続される。なお、排出部702は、光電変換部700の電荷を電源電圧VDDが供給される電源配線に排出するとして説明したが、電源電圧VDDとは異なる電源電圧が供給される電源配線に排出してもよい。
【0053】
FD703は、転送部701により光電変換部700から転送される。FD703は、光電変換部700から転送された電荷を蓄積する。
【0054】
リセット部704は、FD703に蓄積された電荷を電源電圧VDDが供給される電源配線に排出する。リセット部704は、FD703の電位を基準電位である電源電圧VDDにリセットする。リセット部704は、FD703と電源配線との間の電気的な接続を制御する。
【0055】
リセット部704は、たとえば、トランジスタにより構成される。また、リセット部704は、少なくともゲート端子を有し、FD703の一部をソース端子、電源配線に接続される拡散領域の一部をドレイン端子とするトランジスタの一部を構成する素子であってもよい。リセット部704のゲート端子は、リセット制御信号φRSTを入力するためのリセット制御線713に接続される。リセット制御線713については後述する。
【0056】
画素出力部705は、FD703の電位に基づく画素信号を垂直信号線720に出力する。画素出力部705は、増幅部751および選択部752を有する。増幅部751は、トランジスタにより構成される。増幅部751は、ゲート端子がFD703に接続され、ドレイン端子が電源電圧VDDの供給される電源配線に接続され、ソース端子が選択部752のドレイン端子に接続される。
【0057】
選択部752は、画素610と垂直信号線720の間の電気的な接続を制御する。選択部752により画素610と垂直信号線720が電気的に接続されると、画素610から垂直信号線720に画素信号が出力される。選択部752は、トランジスタにより構成される。
【0058】
また、選択部752は、少なくともゲート端子を有し、増幅部751の一部をソース端子、垂直信号線720に接続される拡散領域の一部をドレイン端子とするトランジスタの一部を構成する素子であってもよい。選択部752のゲート端子は、選択制御信号φSELを入力するための複数の画素ブロック600にわたる選択制御線714に接続される。選択部752のソース端子は負荷電流源706に接続されている。
【0059】
負荷電流源706は、垂直信号線720に接続され、画素610から画素信号を読み出すための電流を供給する。これにより、増幅部751の動作を安定させることができる。また、負荷電流源706は、垂直信号線720に接続されている。
【0060】
また、FD703、画素出力部705を他の画素610と共有してもよい。たとえば、行方向または列方向に並んで配置される複数の画素610においてFD703、画素出力部705を共有してもよい。また、画素610は複数の光電変換部700、転送部701で構成してもよい。また、読出部710は、排出部702および排出制御線712を有しない構成でもよい。
【0061】
図8は、撮像素子101の撮像動作例を示すタイミングチャートである。図8は、転送制御信号φTX、排出制御信号φPDRST、リセット制御信号φRSTおよび選択制御信号φSELによって、撮像素子101の駆動を制御する撮像動作例である。図8では、排出制御信号φPDRSTがローカル制御され、転送制御信号φTX、リセット制御信号φRSTおよび選択制御信号φSELがグローバル制御される。なお、左端の各信号の末尾の<1>、<2>、…、<m>は、画素ブロック内の画素610の行番号を示す。
【0062】
排出制御信号φPDRSTは、露光を開始するタイミングを制御する。露光の開始タイミングは、排出制御信号φPDRSTの立ち下りのタイミング(たとえば、時刻T1)に対応する。即ち、露光の開始時刻T1の前に、排出制御信号φPDRSTは、排出部702をオンして、光電変換部700に蓄積された電荷を排出して、排出制御信号φPDRSTの立ち下りで露光が開始する。排出制御信号φPDRSTは、ローカル制御されているので、画素ブロック600毎に露光時間を調整することができる。
【0063】
転送制御信号φTXは、露光を終了するタイミングを制御する。時刻T3において、転送制御信号φTXは、転送部701をオンすることにより、光電変換部700に蓄積された電荷をFD703に転送する。露光の終了タイミングは、転送制御信号φTXの立ち下がりのタイミング(たとえば、時刻T4)に対応する。転送制御信号φTXは、グローバル制御された信号であるので、各画素ブロック600で露光を終了するタイミングが同じである。
【0064】
リセット制御信号φRSTは、FD703に蓄積された電荷の排出のタイミングを制御する。時刻T2において、リセット制御信号φRSTは、リセット部704をオンすることにより、FD703の電荷を排出する。露光の終了のタイミングの前にFD703の電荷を排出しておくことにより、光電変換部700からの電荷の転送時に、FD703に残った電荷の影響を抑制できる。
【0065】
選択制御信号φSELは、任意の画素610を選択するための信号である。選択制御信号φSELは、選択部752のオンオフを制御する。時刻T2において、選択制御信号φSELがハイに設定される。時刻T3において、選択制御信号φSELがハイに設定された画素610は、転送制御信号φTXのオンに応じて垂直信号線720に画素信号を出力する。一方、選択制御信号φSELがハイに設定されていない画素610では、画素信号が出力されない。
【0066】
撮像素子101は、排出制御信号φPDRSTをローカル制御することにより、画素ブロック600毎に露光の開始タイミングを変更して、画素ブロック600毎に露光時間を制御することができる。また、撮像素子101は、転送制御信号φTXをローカル制御することにより、露光の終了タイミングを画素ブロック600毎に制御してもよい。そして、撮像素子101は、転送制御信号φTXと排出制御信号φPDRSTの両方をローカル制御することにより、露光の開始タイミングと終了タイミングの両方を画素ブロック600毎に制御してもよい。
【0067】
<画素ブロック600の動作例>
図9は、画素ブロック600の動作例を示すブロック図である。図9では、画素ブロック600を、例として6行6列(m=n=6)の画素の集合とする。そのため、ADC列606も、6個のADCで構成される。なお、説明の便宜上、配置領域900は、画素ブロック600が配置される第1半導体基板の領域および画素ブロック600の直下に制御ブロック601が配置される第2半導体基板の領域を示す。
【0068】
ローカルメモリ604は、周辺回路部502から当該画素ブロック600の露光値を記憶する。本例では、露光値は、一例として、1msec露光(長秒露光)または1/2msec(短秒露光)のいずれかを示す。
【0069】
露出タイミング制御回路603は、露光値を読み込む。露出タイミング制御回路603は、周辺回路部502からRESETパルスおよびREADパルスの駆動トリガを受信すると、露光値を参照して、露光時間、すなわち、RESETパルスおよびREADパルスの出力タイミングを設定する。
【0070】
RESETパルスとは、たとえば、図7および図8に示した排出制御信号φPDRSTおよびリセット制御信号φRSTであり、READパルスとは、たとえば、図7および図8に示した転送制御信号φTXである。
【0071】
たとえば、露出タイミング制御回路603は、図3および図4に示したように、1msec露光(長秒露光)または1/2msec(短秒露光)を設定する。
【0072】
ローカルメモリ604は、画素ブロック600の1行目の画素行から順次選択するためのSELパルスを行読出し選択回路602に出力する。SELパルスは、たとえば、図7および図8に示した選択制御信号φSELである。
【0073】
行読出し選択回路602は、ローカルメモリ604からのSELパルス(選択制御信号φSEL)を、画素ブロック600の読出し行の画素610における選択部752のゲート端子に出力する。選択制御信号φSELにより選択部752がONの期間中に、画素610から画素信号が読み出される。
【0074】
また、行読出し選択回路602は、露出タイミング制御回路603からの排出制御信号φPDRSTを排出部702のゲート端子に入力して、光電変換部700に蓄積された電荷を排出させる。この排出により露光時間が開始される。
【0075】
また、行読出し選択回路602は、選択制御信号φSELにより選択部752がONの期間中に、露出タイミング制御回路603からのリセット制御信号φRSTを当該画素610におけるリセット部704のゲート端子に出力し、READパルスである転送制御信号φTXを当該画素610における転送部701のゲート端子に出力する。これにより、画素610から画素信号が読み出される。
【0076】
なお、行読出し選択回路602で選択されなかった画素ブロック600の画素行の画素信号は読み出されず、間引かれることになる(間引き行)。図9では、m=3行目と5行目の画素行が間引き行になる。
【0077】
列読出し選択回路605は、読出し対象となる画素列に接続されるADCに、ADCの電源をONにするイネーブル信号を出力する。これにより、ADC列606のうちイネーブル信号が入力されたADCがONになる。
【0078】
ONになったADCは、その画素列の画素610の各々の画素信号をデジタル信号に変換してSRAM列607に出力する。イネーブル信号が入力されないADC(図9中、黒塗りのADC)の画素列の画素610の各々の画素信号は読み出されない。図9では、左からn=2列目の画素列が間引き列になる。
【0079】
SRAM列607に蓄積された画素信号は、画素ブロック600全体の画像信号として水平信号線910から周辺回路部502のデジタル信号処理部504に出力される。
【0080】
なお、画素ブロック600からの1回の読出し制御において、少なくとも間引き行および間引き列の一方を含む読出しを「間引き読出し」と称し、間引きをしない読出しを「全画素読出し」と称す。
【0081】
また、画素ブロックアレイ501からの1回の読出し制御においても、間引き読出しをおこなう画素ブロック600が1つでも含まれていれば、間引き読出しと称し、間引き読出しをする画素ブロック600が1つもなければ、「全画素読出し」と称す。
【0082】
<撮像装置500の動作例>
図10は、撮像装置500の動作例を示す説明図である。図10において、(1)~(4)の行は、撮像装置500での時系列な処理を示す。(1)~(4)は、処理されるフレームの番号に対応する。(A)~(C)の列は、時系列(1)~(4)ごとの撮像装置500での処理内容を示す。
【0083】
[(1)1フレーム目]
(A)読出し制御
撮像素子101は、画素ブロックアレイ501の全面を間引き読出し領域TRとして間引き読出しを実行する。具体的には、たとえば、撮像素子101は、特定の行の画素ブロック600を間引きする。すなわち、撮像素子101において、周辺回路部502は、特定の行の画素ブロック600の駆動トリガを出力しない。また、周辺回路部502は、特定の行の画素ブロック600がADC列606にイネーブル信号を出力しないように制御してもよい。
【0084】
(B)構造光パターン
(A)読出し制御時の露光時間中の構造光200の投影パターンは、低解像度の投影パターン、すなわち、局所的パターンp0,p1が区別されない大局的パターンPAおよび局所的パターンp2,p3が区別されない大局的パターンPBで構成される光の空間分布211となる。本例の場合、撮像素子101は、上述した1msecの長秒露光で駆動することにより、構造光200を、空間分布211で受光することができる。
【0085】
(C)撮像装置500の処理
撮像素子101は、低解像度での撮像を実行し、(A)読出し制御に示したように、1フレーム目の画像信号である第1フレームFa1を間引き読出しする。第1フレームFa1は、(B)構造光パターンに示したような低解像度の主要被写体1001および背景1010からなる画像となる。
【0086】
外部処理装置520は、第1フレームFa1を用いて、距離画像演算523、被写体検出/移動情報算出524、および露光時間マップ生成525を実行する。被写体検出/移動情報算出524により、背景1010から第1主要被写体1001が検出されたとする。
【0087】
大局的パターンPAの構造光200を受光した画素ブロック600は、大局的パターンPBの構造光200を受光した画素ブロック600よりも暗くなる(図2および図3を参照)。露光時間マップ生成525では、画像信号処理部522は、このような大局的パターンPA、PBの影響を受けた各画素610の輝度値の統計値を画素ブロック600ごとに算出し、第1露光時間マップMa1を生成する。
【0088】
第1露光時間マップMa1では、第1主要被写体1001が検出された画素ブロック600の露光値が、1/2msecの露光時間を示す値に設定され、第1主要被写体1001が検出されなかった背景1010の画素ブロック600の露光値が、1msecの露光時間を示す値に設定される。第1露光時間マップMa1は、周辺回路部502のグローバルメモリ506に書き込まれる。
【0089】
第1露光時間マップMa1は、画素ブロック600ごとの露光値に分割されて、画素ブロック600のローカルメモリ604に書き込まれる。
【0090】
[(2)2フレーム目]
(A)読出し制御
撮像素子101は、画素ブロック600ごとに、ローカルメモリ604に書き込まれ露光値により、2フレーム目の撮像での露光時間を設定する。すなわち、第1主要被写体1001が検出された画素ブロック600が、1/2msecの露光時間となる第1全画素読出し領域FR1に設定され、それ以外の背景1010の画素ブロック600が、1msecの露光時間となる間引き読出し領域TRに設定される。そして、撮像素子101は、間引き読出し領域TRの間引き読出しと、第1全画素読出し領域FR1の全画素読出しと、を実行する。
【0091】
(B)構造光パターン
(A)読出し制御時の露光時間中の構造光200の投影パターンは、間引き読出し領域TRでは、(1)と同様、低解像度の空間分布211である低解像度領域となるが、第1全画素読出し領域FR1では、高解像度の投影パターン、すなわち、高解像度の空間分布212である第1高解像度領域212aとなる。第1高解像度領域212aは、局所的パターンp0,p1が区別される大局的パターンPAおよび局所的パターンp2,p3が区別される大局的パターンPBで構成される光の空間分布212となる。
【0092】
撮像素子101は、間引き読出し領域TRを1msecの長秒露光で駆動することにより、低解像度領域の構造光200を、空間分布211で受光することができる。また、撮像素子101は、第1全画素読出し領域FR1を1/2msecの短秒露光で駆動することにより、第1高解像度領域212aの構造光200を、空間分布212で受光することができる。
【0093】
(C)撮像装置500の処理
撮像素子101は、間引き読出し領域TRで低解像度での撮像を実行することで2フレーム目の画像信号である第2フレームFa2のうち背景1010となる間引き読出し領域TRを間引き読出しする。
【0094】
一方、撮像素子101は、第1全画素読出し領域FR1で高解像度での撮像を実行することで、第2フレームFa2のうち第1主要被写体1001を含む第1全画素読出し領域FR1を全画素読出しする。これにより、第2フレームFa2が外部処理装置520に出力される。第2フレームFa2は、(B)構造光パターンに示したような高解像度の第1主要被写体1001および低解像度の背景1010からなる画像となる。
【0095】
外部処理装置520は、第2フレームFa2を用いて、距離画像演算523、被写体検出/移動情報算出524、および露光時間マップ生成525を実行する。被写体検出/移動情報算出524により、(1)と同様、背景1010から第1主要被写体1001が検出されたとする。
【0096】
間引き読出し領域TRにおいて、大局的パターンPAの構造光200を受光した画素ブロック600は、大局的パターンPBの構造光200を受光した画素ブロック600よりも暗くなる(図2および図3を参照)。露光時間マップ生成525では、画像信号処理部522は、このような大局的パターンPA、PBの影響を受けた各画素610の輝度値の統計値を、間引き読出し領域TRを構成する画素ブロック600ごとに算出する。
【0097】
第1全画素読出し領域FR1において、局所的パターンp0,p2の構造光200を受光した画素ブロック600は、局所的パターンp1,p3の構造光200を受光した画素ブロック600よりも暗くなる(図2および図4を参照)。露光時間マップ生成525では、画像信号処理部522は、このような局所的パターンp0~p3の影響を受けた各画素610の輝度値の統計値を、第1全画素読出し領域FR1を構成する画素ブロック600ごとに算出する。
【0098】
M行N列で構成される画素ブロック600ごとの輝度値の統計値の行列構造が第2露光時間マップMa2となる。第2露光時間マップMa2は、周辺回路部502のグローバルメモリ506に上書きされる。
【0099】
第2露光時間マップMa2は、画素ブロック600ごとの露光値に分割されて、画素ブロック600のローカルメモリ604に書き込まれる。
【0100】
[(3)3フレーム目]
(A)読出し制御
撮像素子101は、画素ブロック600ごとに、ローカルメモリ604に書き込まれ露光値により、3フレーム目の撮像での露光時間を設定する。すなわち、(2)と同様、撮像素子101は、間引き読出し領域TRの間引き読出しと、第1全画素読出し領域FR1の全画素読出しと、を実行する。
【0101】
(B)構造光パターン
(A)読出し制御時の露光時間中の構造光200の投影パターンは、(2)と同様、間引き読出し領域TRでは、低解像度の空間分布211である低解像度領域となり、第1全画素読出し領域FR1では、第1高解像度領域212aとなる。
【0102】
撮像素子101は、間引き読出し領域TRを1msecの長秒露光で駆動することにより、低解像度領域の構造光200を、空間分布211で受光することができる。また、撮像素子101は、第1全画素読出し領域FR1を1/2msecの短秒露光で駆動することにより、第1高解像度領域212aの構造光200を、空間分布212で受光することができる。なお、(3)のタイミングで背景1010に第2主要被写体1002が移動してきたとする。
【0103】
(C)撮像装置500の処理
撮像素子101は、(2)と同様、間引き読出し領域TRで低解像度での撮像を実行することで3フレーム目の画像信号である第3フレームFa3のうち背景1010となる間引き読出し領域TRを間引き読出しする。
【0104】
一方、撮像素子101は、第1全画素読出し領域FR1で高解像度での撮像を実行することで、第3フレームFa3のうち第1主要被写体1001を含む第1全画素読出し領域FR1を全画素読出しする。これにより、第3フレームFa3が外部処理装置520に出力される。第3フレームFa3は、(B)構造光パターンに示したような高解像度の第1主要被写体1001と、低解像度の背景1010(第2主要被写体1002含む)と、からなる画像となる。
【0105】
外部処理装置520は、第3フレームFa3を用いて、距離画像演算523、被写体検出/移動情報算出524、および露光時間マップ生成525を実行する。被写体検出/移動情報算出524により、(2)と同様、背景1010から第1主要被写体1001が検出され、かつ、第2主要被写体1002が検出される。
【0106】
(2)と同様、背景1010および第2主要被写体1002を含む間引き読出し領域TRにおいて、露光時間マップ生成525では、画像信号処理部522は、大局的パターンPA、PBの影響を受けた各画素610の輝度値の統計値を、間引き読出し領域TRを構成する画素ブロック600ごとに算出する。
【0107】
(2)と同様、第1全画素読出し領域FR1において、露光時間マップ生成525では、画像信号処理部522は、局所的パターンp0~p3の影響を受けた各画素610の輝度値の統計値を、第1全画素読出し領域FR1を構成する画素ブロック600ごとに算出する。
【0108】
M行N列で構成される画素ブロック600ごとの輝度値の統計値の行列構造が第3露光時間マップMa3となる。第3露光時間マップMa3は、周辺回路部502のグローバルメモリ506に上書きされる。
【0109】
第3露光時間マップMa3は、画素ブロック600ごとの露光値に分割されて、画素ブロック600のローカルメモリ604に書き込まれる。
【0110】
[(4)4フレーム目]
(A)読出し制御
撮像素子101は、画素ブロック600ごとに、ローカルメモリ604に書き込まれ露光値により、4フレーム目の撮像での露光時間を設定する。すなわち、(3)と同様、撮像素子101は、間引き読出し領域TRの間引き読出しと、第1全画素読出し領域FR1の全画素読出しと、を実行する。また、第2主要被写体1002が検出された画素ブロック600が、1/2msecの露光時間となる第2全画素読出し領域FR2に設定される。したがって、撮像素子101は、第2全画素読出し領域FR2の全画素読出しも実行する。
【0111】
(B)構造光パターン
(A)読出し制御時の露光時間中の構造光200の投影パターンは、(3)と同様、間引き読出し領域TRでは、低解像度の空間分布211である低解像度領域となり、第1全画素読出し領域FR1では、第1高解像度領域212aとなる。
【0112】
また、第2全画素読出し領域FR2も、第1全画素読出し領域FR1と同様、高解像度の投影パターン、すなわち、高解像度の空間分布212である第2高解像度領域212bとなる。第2高解像度領域212bは、局所的パターンp0,p1が区別される大局的パターンPAおよび局所的パターンp2,p3が区別される大局的パターンPBで構成される光の空間分布212となる。
【0113】
撮像素子101は、間引き読出し領域TRを1msecの長秒露光で駆動することにより、低解像度領域の構造光200を、空間分布211で受光することができる。また、撮像素子101は、第1全画素読出し領域FR1および第2全画素読出し領域FR2を1/2msecの短秒露光で駆動することにより、第1高解像度領域212aおよび第2高解像度領域212bの構造光200を、空間分布212で受光することができる。
【0114】
(C)撮像装置500の処理
撮像素子101は、(3)と同様、間引き読出し領域TRで低解像度での撮像を実行することで4フレーム目の画像信号である第4フレームFa4のうち背景1010となる間引き読出し領域TRを間引き読出しする。
【0115】
一方、撮像素子101は、第1全画素読出し領域FR1および第2全画素読出し領域FR2で高解像度での撮像を実行することで、第4フレームFa4のうち第1主要被写体1001を含む第1全画素読出し領域FR1および第2主要被写体1002を含む第2全画素読出し領域FR2を全画素読出しする。これにより、第4フレームFa4が外部処理装置520に出力される。第4フレームFa4は、(B)構造光パターンに示したような高解像度の第1主要被写体1001および第2主要被写体1002と、低解像度の背景1010と、からなる画像となる。
【0116】
外部処理装置520は、第4フレームFa4を用いて、(3)と同様、距離画像演算523、被写体検出/移動情報算出524、および露光時間マップ生成525を実行する。このようにして、撮像装置500は、低解像度および高解像度を含む撮像を実行することができる。
【0117】
なお、図10の説明では、(1)の(A)読出し制御において、撮像素子101は、その全面を間引き読出しを実行したが、前面を全画素読出しとしてもよい。この場合、(C)で第1主要被写体1001が検出されると、(2)の(A)読出し制御において、撮像素子101は、第1全画素読出し領域FR1以外の領域を間引き読出し領域TRに設定することになる。
【0118】
撮像素子101は、高速化および高解像度化するほど、読み出す画素信号のデータ量の削減や低消費電力化が重要になる。撮像素子101の画素数が多いほど、パターンマッチングに必要な画素数が増加するため、画素信号の演算コストおよび処理時間が増大する。その一方、構造光200のパターン粒度が細かいほど撮像素子101が画素信号を読み出す画素数が多くなるため測距精度が向上し、構造光200のパターン粒度が粗いほど撮像素子101が画素信号を読み出す画素数が少なくなるため測距精度が低下する。
【0119】
実施例1の撮像装置500によれば、構造光200の高解像度な投影パターンについては全画素読出し領域FR1,FR2で受光して画素信号を読み出す。これにより、全画素読出し領域FR1,FR2における第1主要被写体1001,第2主要被写体1002の測距精度が向上する。
【0120】
また、構造光200の低解像度な投影パターンについては間引き読出し領域TRで受光して画素信号を読み出す。これにより、間引き読出し領域TRとなる背景1010の画像についての撮像素子101による読出しデータ量および消費電力の低減化、並びに、パターンマッチング時の演算コストおよび処理時間の低減化を図ることができる。
【実施例0121】
つぎに、実施例2について説明する。実施例1では、撮像素子101の外に外部処理装置520を設けた撮像装置500について説明した。実施例2では、撮像素子101内で露光時間マップを生成する撮像装置について説明する。なお、実施例1と同一構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0122】
<撮像装置の構成例>
図11は、実施例2にかかる撮像装置の構成例を示すブロック図である。撮像装置1100は、光源510と、撮像素子1101と、外部処理装置520と、を有する。
【0123】
撮像素子1101は、画素ブロックアレイ501と、周辺回路部1102と、を有する。周辺回路部1102は、同期信号処理部503と、デジタル信号処理部1104と、出力IF505と、グローバルメモリ506と、を有する。
【0124】
デジタル信号処理部1104は、実施例1のデジタル信号処理部504と同様、画素ブロックアレイ501からの画像信号を受信して、CDS処理などの信号処理を実行する。また、デジタル信号処理部1104は、画素ブロックアレイ501からの画像信号について、領域毎輝度統計算出541、差分処理/3値化処理542、移動情報算出543、露光時間マップ更新544を実行する。
【0125】
領域毎輝度統計算出541は、画素ブロック600ごとに、画素ブロック600内の画素610からの画素信号が示す輝度値の統計値(平均値、中央値、最頻値など)を算出する処理である。
【0126】
差分処理/3値化処理542は、差分処理と3値化処理とを含む。差分処理は、時間的に連続する2フレーム間で、同一の画素ブロック600についての輝度値の統計値の差分であるフレーム間差分を算出する処理である。フレーム間差分は、M行N列で構成される各画素ブロック600についての輝度値の統計値の差分である。3値化処理とは、M行N列で構成されるフレーム間差分の各要素を3値化する処理である。
【0127】
移動情報算出543は、3値化処理結果に基づいて主要被写体の移動方向および移動量を算出する処理である。
【0128】
露光時間マップ更新544は、前フレームの露光時間マップをグローバルメモリ506から読み込み、3値化処理結果に基づいて前フレームの露光時間マップから次フレームの撮像での露光制御に使用する露光時間マップを生成して、グローバルメモリ506に上書き保存する処理である。なお、初期の露光時間マップは、あらかじめ、または、外部入力により、グローバルメモリ506に記憶されている。
【0129】
なお、撮像素子1101内で露光時間マップが繰り返し更新されるが、実施例1と同様、外部処理装置520の画像信号処理部522は、実施例1と同様、距離画像演算523、被写体検出/移動情報算出524、および露光時間マップ生成525を実行することにより、露光時間マップを生成してもよい。
【0130】
撮像装置1100は、外部からの設定により、外部処理装置520内の画像信号処理部522での露光時間マップの生成頻度を設定可能な構成としてもよい。
【0131】
たとえば、画像信号処理部522は、撮像素子1101内での所定回数の露光時間マップの更新ごとに、露光時間マップを生成して、グローバルメモリ506に上書き保存してもよい。画像信号処理部522は、距離画像演算523によって演算された距離画像に基づいて、露光時間マップを生成する。このため、画像信号処理部522が生成した露光時間マップは、輝度値の統計値ではなく距離画像に基づくため、露光時間マップ更新544で生成される露光時間マップよりも高精度な露光値を有する。
【0132】
画像信号処理部522での露光時間マップの生成頻度が高いほど、露光時間マップが高精度化し、画像信号処理部522での露光時間マップの生成頻度が低いほど、撮像素子1101と外部処理装置520との間のデータ通信量が低下するため、撮像装置1100の低消費電力化および撮像素子1101での撮像処理の高速化を図ることができる。
【0133】
<撮像装置1100の動作例>
図12は、撮像装置1100の動作例を示す説明図である。図12において、(1)~(3)の行は、撮像装置1100での時系列な処理を示す。(1)~(3)は、処理されるフレームの番号に対応する。
【0134】
図13は、デジタル信号処理部1104での露光時間マップの更新例1を示す説明図であり、図14は、デジタル信号処理部1104での露光時間マップの更新例2を示す説明図である。以下、図12図14を用いて、撮像装置1100の動作について説明する。なお、説明の便宜上、画素ブロックアレイ501は、8行8列の画素ブロック600の集合とする。
【0135】
[(1)1フレーム目]
図12において、撮像素子1101は、低解像度での撮像を実行する(ステップS111)。具体的には、たとえば、図13に示すように、撮像素子1101は、画素ブロックアレイ501の全面を間引き読出し領域TRとして間引き読出しして、1フレーム目の画像信号である第1フレームFb1を出力する。第1フレームFb1は、低解像度の主要被写体1301および背景1302からなる画像となる。
【0136】
図12において、撮像素子1101は、領域毎輝度統計算出541を実行し、図13に示すように、第1フレームFb1について第1輝度マップLM1を生成する(ステップS112)。第1輝度マップLM1は、画素ブロックアレイ501と同様、8行8列の行列であり、各要素は、各画素ブロック600の各画素610からの画素信号が示す輝度値の統計値である。第1輝度マップLM1は、全面、間引き読出し領域TRに対応する輝度領域1312となる。
【0137】
図12において、外部処理装置520は、第1フレームFb1に基づいて、距離画像演算523および被写体検出を実行する(ステップS121)。そして、外部処理装置520は、距離画像および被写体検出結果を用いて露光時間マップ生成525を実行し、第1露光時間マップMb1を生成する(ステップS122)。
【0138】
第1露光時間マップMb1も、画素ブロックアレイ501は、8行8列の行列である。第1露光時間マップMb1において、主要被写体1301に対応する要素の値「1」の領域が高解像度領域HR(1/2msec露光)、背景1302に対応する要素の値を「0」の領域が低解像度領域LR(1msec露光)となる。外部処理装置520は、第1露光時間マップMb1を撮像素子1101の周辺回路部1102に出力する。
【0139】
図12において、撮像素子1101は、露光時間マップ更新544を実行する(ステップS113)。具体的には、たとえば、撮像素子1101は、外部処理装置520からの第1露光時間マップMb1をグローバルメモリ506に上書き保存する。
【0140】
[(2)2フレーム目]
図12において、撮像素子1101は、領域毎露光制御による撮像を実行する(ステップS211)。具体的には、たとえば、図13に示すように、撮像素子1101は、第1露光時間マップMb1を参照して、画素ブロック600ごとの露光値を設定して撮像する。
【0141】
そして、撮像素子1101は、画素ブロックアレイ501の主要被写体1301を含む画素ブロック600を全画素読出し領域FRとして全画素読出し、かつ、背景1302を含む画素ブロック600を間引き読出し領域TRとして間引き読出しして、2フレーム目の画像信号である第2フレームFb2を出力する。第2フレームFb2は、高解像度の主要被写体1301および低解像度の背景1302からなる画像となる。
【0142】
図12において、撮像素子1101は、領域毎輝度統計算出541を実行し、図13に示すように、第2フレームFb2について第2輝度マップLM2を生成する(ステップS212)。第2輝度マップLM2は、画素ブロックアレイ501と同様、8行8列の行列であり、各要素は、各画素ブロック600の各画素610からの画素信号が示す輝度値の統計値である。第2輝度マップLM2は、全画素読出し領域FRに対応する輝度領域1321と、間引き読出し領域TRに対応する輝度領域1322と、を含む。
【0143】
図12において、撮像素子1101は、差分処理/3値化処理542および移動情報算出543を実行する(ステップS213)。具体的には、たとえば、撮像素子1101は、図13に示すように、差分処理により、第22から第1輝度マップLM1を減算することで、差分マップΔ(LM1,LM2)を出力する。
【0144】
つぎに、撮像素子1101は、差分マップΔ(LM1,LM2)に対し、3値化処理を実行し、図13に示すように、3値化処理結果3Δ(LM1,LM2)を出力する。具体的には、たとえば、撮像素子101は、差分マップΔ(LM1,LM2)の要素の各々について、値が第1しきい値Th1以上であれば「1」、第2しきい値Th2(<T1)以上第1しきい値T2未満であれば「0」、第2しきい値Th2未満であれば「-1」に変換する。
【0145】
3値化処理結果において、要素の値が「1」の領域を差分正領域Δ+、「0」の領域を差分ゼロ領域Δ0、「-1」の領域を差分負領域Δ-と表記する。なお、図13および図14では、例として、第1しきい値Th1=5、第2しきい値Th2=-5とする。
【0146】
差分正領域Δ+は、移動前の主要被写体に相当し、差分ゼロ領域Δ0は、前フレームおよび現フレームで差がない領域であるため、背景に相当し、差分負領域Δ-は、移動後の主要被写体に相当する。連続するフレーム間で、主要被写体が移動しない場合、差分負領域Δ-は3値化処理結果に存在しない。
【0147】
3値化処理結果3Δ(LM1,LM2)の場合、差分正領域Δ+が第1フレームFb1における移動前の主要被写体1301の存在領域であり、差分ゼロ領域Δ0が第1フレームFb1および第2フレームFb2における背景1302の存在領域である。差分負領域Δ-は、3値化処理結果3Δ(LM1,LM2)にない。したがって、移動情報算出543では、3値化処理結果3Δ(LM1,LM2)から主要被写体1301の移動方向および移動量は検出されない。
【0148】
図12において、撮像素子1101は、露光時間マップ更新544を実行する(ステップS213)。具体的には、たとえば、撮像素子1101は、図13に示すように、外部処理装置520からの第1露光時間マップMb1を主要被写体1301の移動方向および移動量に基づいて更新する。
【0149】
本例の場合、3値化処理結果3Δ(LM1,LM2)から主要被写体1301の移動方向および移動量は検出されないため、第1露光時間マップMb1がそのまま、グローバルメモリ506に上書き保存する。便宜的に、上書き保存された第1露光時間マップMb1を第2露光時間マップMb2とする。
【0150】
なお、図12において、外部処理装置520は、領域毎露光制御による撮像(ステップS211)で得られた第2フレームFb2に基づいて、距離画像演算523および被写体検出を実行する(ステップS221)。
【0151】
[(3)3フレーム目]
図12において、撮像素子1101は、領域毎露光制御による撮像を実行する(ステップS311)。具体的には、たとえば、図14に示すように、撮像素子1101は、第2露光時間マップMb2を参照して、画素ブロック600ごとの露光値を設定して撮像する。第2露光時間マップMb2は第1露光時間マップMb1と同一マップであるため、撮像素子1101は、第1露光時間マップMb1と位置が同じ全画素読出し領域FRおよび間引き読出し領域TRで、全画素読出しおよび間引き読出しして、3フレーム目の画像信号である第3フレームFb3を出力する。
【0152】
領域毎露光制御による撮像(ステップS311)において、主要被写体1301が左に移動したとする。この場合、第3フレームFb3は、低解像度および高解像度の領域にまたがる主要被写体1301および低解像度の背景1302からなる画像になったとする。
【0153】
図12において、撮像素子1101は、領域毎輝度統計算出541を実行し、図14に示すように、第3フレームFb3について第3輝度マップLM3を生成する(ステップS312)。第3輝度マップLM3は、画素ブロックアレイ501と同様、8行8列の行列であり、各要素は、各画素ブロック600の各画素610からの画素信号が示す輝度値の統計値である。第3輝度マップLM3は、全画素読出し領域FRに対応する輝度領域1331と、間引き読出し領域TRに対応する輝度領域1332と、を含む。
【0154】
図12において、撮像素子1101は、差分処理/3値化処理542および移動情報算出543を実行する(ステップS313)。具体的には、たとえば、撮像素子1101は、図14に示すように、差分処理により、第3輝度マップLM3から第2輝度マップLM2を減算することで、差分マップΔ(LM2,LM3)を出力する。
【0155】
つぎに、撮像素子1101は、差分マップΔ(LM2,LM3)に対し、3値化処理を実行し、図14に示すように、3値化処理結果3Δ(LM2,LM3)を出力する。
【0156】
3値化処理結果3Δ(LM2,LM3)の場合、差分正領域Δ+が第2フレームFb2における移動前の主要被写体1301の存在領域である。差分ゼロ領域Δ0が第2フレームFb2および第3フレームFb3における背景1302の存在領域である。差分負領域Δ-は、第3フレームFb3における移動後の主要被写体1301の存在領域である。
【0157】
撮像素子1101は、移動情報算出543により、3値化処理結果3Δ(LM2,LM3)において、差分正領域Δ+から差分負領域Δ-への移動方向および移動量を算出する。本例では、移動方向は左方向、移動量は「3」である。
【0158】
図12において、撮像素子1101は、露光時間マップ更新544を実行する(ステップS313)。具体的には、たとえば、撮像素子1101は、グローバルメモリ506に保存されている第2露光時間マップMb2を主要被写体1301の移動方向および移動量に基づいて更新する。本例の場合、3値化処理結果3Δ(LM2,LM3)から主要被写体1301の移動方向および移動量が検出されたため、撮像素子1101は、第2露光時間マップMb2の高解像度領域HRを左に3移動させ、第3露光時間マップMb3としてグローバルメモリ506に保存する。
【0159】
なお、3フレーム目で、外部処理装置520が第3露光時間マップMb3を生成する場合、撮像素子1101において、ステップS312、S313は実行されない。この場合、外部処理装置520は、領域毎露光制御による撮像(ステップS311)で得られた第3フレームFb3に基づいて、距離画像演算523および被写体検出を実行する(ステップS321)。
【0160】
そして、外部処理装置520は、ステップS321の距離画像および被写体検出結果を用いて露光時間マップ生成525を実行し、第3露光時間マップMb3を生成する(ステップS322)。外部処理装置520は、第3露光時間マップMb3を撮像素子1101の周辺回路部1102に出力する。これにより、周辺回路部1102内のデジタル信号処理部1104は、露光時間マップ更新544により、外部処理装置520からの第3露光時間マップMb3をグローバルメモリ506に上書き保存する(ステップS314)。
【0161】
このように、実施例2によれば、撮像素子1101が自律的に露光時間マップを繰り返し生成するため、露光時間マップの更新の高速化を実現することができる。また、撮像素子1101と外部処理装置520との間のデータ通信量の低減化を図ることができる。
【0162】
なお、上述した実施例1および実施例2において、1msec露光における局所的パターンp0~p3の空間分布211と1/2msecにおける局所的パターンp0~p3の空間分布212とを、相似形としてもよい。
【0163】
構造光測距で距離画像の生成を行うにあたっては撮像データと投影パターンの二種類の情報が必要になるが、大局的パターンと局所的パターンが異なっている場合は画像信号処理部522内部の距離画像演算部523および距離画像演算部523の内部メモリ上の投影パターンの二つを個別に用意する必要がある。この場合、投影パターンの一部でも一致する投影パターンを用いればその分の処理回路および投影パターン情報を保持するメモリ領域を流用することができ、回路規模の縮小につながる。
【0164】
図15は、構造光200の空間パターン例を示す説明図である。空間分布1501は、大局的パターンPA、PB(1msec露光における局所的パターンp0~p3)による構造光200の空間分布211である。空間分布1502は、1/2msecにおける局所的パターンp0~p3による構造光200の空間分布212である。空間分布1502のうち、太枠で示した部分空間分布1520が、空間分布1501と相似する。
【0165】
これにより、1msec露光の場合、撮像素子101,1101の間引き読出し時では、部分空間分布1520と同一パターンの部分空間分布1510の構造光200で受光され、間引き読出しが実行される。したがって、部分空間分布1510,1520に対応する撮像素子101,1101の画素ブロック600からの画像信号については、距離画像演算部523および投影パターン情報を保持する内部メモリの領域を流用することができる。したがって、回路規模の縮小化が可能になる。
【0166】
なお、本発明は上記の内容に限定されるものではなく、これらを任意に組み合わせたものであっても良い。また、本発明の技術的思想の範囲で考えられるその他の態様も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0167】
101 撮像素子、200 構造光、201 パターン領域、211,212 空間分布、500 撮像装置、501 画素ブロックアレイ、502 周辺回路部、503 同期信号処理部、504 デジタル信号処理部、506 グローバルメモリ、510 光源、520 外部処理装置、521 同期信号生成部、522 画像信号処理部、523 距離画像演算、524 移動情報算出、525 露光時間マップ生成、541 領域毎輝度統計算出、542 差分処理/3値化処理、543 移動情報算出、544 露光時間マップ更新、600 画素ブロック、601 画素アレイ、602 行読出し選択回路、603 露出タイミング制御回路、604 ローカルメモリ、605 列読出し選択回路、606 ADC列、607 SRAM列、610 画素、700 光電変換部、701 転送部、702 排出部、704 リセット部、705 画素出力部、706 負荷電流源、710 読出部、711 転送制御線、712 排出制御線、713 リセット制御線、714 選択制御線、720 垂直信号線、751 増幅部、752 選択部、900 水平信号線、1100 撮像装置、1101 撮像素子、1102 周辺回路部、1104 デジタル信号処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15