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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160746
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】超音波プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076031
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】大澤 栄治
(72)【発明者】
【氏名】泉尾 誠治
(72)【発明者】
【氏名】狭山 朋裕
(72)【発明者】
【氏名】岩井 光
(72)【発明者】
【氏名】村山 平
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE14
4C601EE21
4C601GA01
4C601GA07
4C601GA17
4C601GB06
4C601GB18
4C601GB20
4C601HH01
4C601HH21
(57)【要約】
【課題】メンテナンスに係るコストを低減可能な超音波プローブを提供する。
【解決手段】超音波プローブ1は、ヘッド部10と、本体部50とを有し、ヘッド部10は、超音波デバイス30と、超音波デバイス30から送信される超音波を通過させる窓部211が設けられる第一筐体20と、超音波デバイス30と電気的に接続された第一コネクター部40と、本体部50に係合可能な第一係合部24と、を含み、本体部50は、超音波デバイス30の駆動を制御する制御基板70と、制御基板70を収納する第二筐体60と、制御基板70と電気的に接続される第二コネクター部62と、第一係合部40に係合可能な第二係合部63とを含み、第一コネクター部40と前記第二コネクター部62とを接続し、第一係合部24を前記第二係合部63に係合することで、ヘッド部10が本体部50に着脱可能に装着される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部と、本体部とを有する超音波プローブであって、
前記ヘッド部は、
超音波の送信処理、及び超音波の受信処理の少なくともいずれかの処理を実施する超音波デバイスと、
前記超音波デバイスを収納し、前記超音波デバイスから送信される超音波または前記超音波デバイスに受信させる超音波を通過させる窓部が設けられる第一筐体と、
前記超音波デバイスと電気的に接続された第一コネクター部と、
前記本体部に係合可能な第一係合部と、を含み、
前記本体部は、
前記超音波デバイスの駆動を制御する回路部と、
前記回路部を収納する第二筐体と、
前記回路部と電気的に接続される第二コネクター部と、
前記第一係合部に係合可能な第二係合部と、を含み、
前記第一コネクター部と前記第二コネクター部とを接続し、前記第一係合部を前記第二係合部に係合することで、前記ヘッド部が前記本体部に着脱可能に装着される、超音波プローブ。
【請求項2】
前記本体部は、装着された前記ヘッド部の種別を識別する識別部を備える、
請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記本体部は、前記第二コネクター部が前記第一コネクター部に接続されたときに、前記超音波デバイスの静電容量を検出する容量検出回路を備え、
前記識別部は、前記容量検出回路により測定された前記静電容量に基づいて、前記ヘッド部の種別を識別する、
請求項2に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記本体部は、前記第二コネクター部が前記第一コネクター部に接続されたときに、前記超音波デバイスのインピーダンスを測定するインピーダンス測定回路を備え、
前記識別部は、前記インピーダンス測定回路により測定された前記インピーダンスに基づいて、前記ヘッド部の種別を識別する、
請求項2に記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記ヘッド部は、前記ヘッド部の種別を記憶する情報記憶部を備え、
前記識別部は、前記ヘッド部が前記本体部に接続されたときに、前記情報記憶部に記録された情報を取得することで前記ヘッド部の種別を識別する、
請求項2に記載の超音波プローブ。
【請求項6】
前記回路部は、前記識別部により識別された前記ヘッド部の種別に応じて、前記超音波デバイスの駆動方法を変更する、
請求項2に記載の超音波プローブ。
【請求項7】
前記本体部は、前記ヘッド部が接続されたときの前記第一コネクター部と前記第二コネクター部との接続の良否を判定する判定部を備える、
請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項8】
前記本体部は、前記第二コネクター部が前記第一コネクター部に接続されたときに、前記超音波デバイスの静電容量を検出する容量検出回路を備え、
前記判定部は、前記容量検出回路により測定された前記静電容量に基づいて、前記接続の良否を判定する、
請求項7に記載の超音波プローブ。
【請求項9】
前記本体部は、前記第二コネクター部が前記第一コネクター部に接続されたときに、前記超音波デバイスのインピーダンスを測定するインピーダンス測定回路を備え、
前記判定部は、前記インピーダンス測定回路により測定された前記インピーダンスに基づいて、前記接続の良否を判定する、
請求項7に記載の超音波プローブ。
【請求項10】
前記超音波デバイスは、複数の振動部を備える振動板と、各前記振動部に配置されて当該振動部を振動させる圧電素子と、を備える、
請求項1に記載の超音波プローブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体に対する超音波診断や超音波治療を行う超音波プローブが知られている。
例えば、特許文献1に記載の超音波診断装置は、端末装置と、端末装置に有線等により接続される超音波プローブとを備える。この超音波プローブは、振動膜上に圧電素子部を配置した素子部を有する素子チップが収納された筐体を有し、素子チップの超音波の送受信面が筐体の一端部から露出する。このような超音波プローブでは、筐体を把持し送受信面を生体に当接させることで、生体に対する超音波の送受信を実施して超音波診断を行うことができる。そして、特許文献1に記載の超音波プローブでは、筐体は、素子チップが配置されるプローブヘッドと、操作者が把持するプローブ本体とが一体に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-211604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波プローブは、一般に、プローブヘッドが露出した状態で保管されるが、プローブヘッドの超音波の送受信面に対して他の部材が衝突したり、異物が付着したりすることで、プローブヘッドが故障したり、劣化が早まったりする。また、超音波プローブを繰り返し使用する場合では、プローブヘッドの衛生面での問題も生じやすい。上記特許文献1に記載にように、プローブ本体と、プローブヘッドとが一体に設けられる超音波プローブでは、プローブヘッドのみの交換ができない。したがって、上記のようなプローブヘッドの故障や劣化が生じた場合に、超音波プローブの全体を交換する必要があり、超音波プローブのメンテナンスに係るコストが増大するとの課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る超音波プローブは、ヘッド部と、本体部とを有する超音波プローブであって、前記ヘッド部は、超音波の送信処理、及び超音波の受信処理の少なくともいずれかの処理を実施する超音波デバイスと、前記超音波デバイスを収納し、前記超音波デバイスから送信される超音波または前記超音波デバイスに受信させる超音波を通過させる窓部が設けられる第一筐体と、前記超音波デバイスと電気的に接続された第一コネクター部と、前記本体部に係合可能な第一係合部と、を含み、前記本体部は、前記超音波デバイスの駆動を制御する回路部と、前記回路部を収納する第二筐体と、前記回路部と電気的に接続される第二コネクター部と、前記第一係合部に係合可能な第二係合部と、を含み、前記第一コネクター部と前記第二コネクター部とを接続し、前記第一係合部を前記第二係合部に係合することで、前記ヘッド部が前記本体部に着脱可能に装着される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第一実施形態に係る超音波プローブの概略構成を模式的に示した断面図。
図2】第一実施形態に係る超音波プローブのブロック図。
図3】第一実施形態における超音波デバイスの一例を示す平面図。
図4図3の超音波デバイスをB-B線で切断した際の概略断面図。
図5】第一実施形態における超音波測定方法を示すフローチャート。
図6】第二実施形態に係る超音波プローブのブロック図。
図7】送信超音波の中心周波数が2MHzの超音波トランスデューサー列(チャンネル)に対して、測定電圧信号の周波数を変化させた際のインピーダンスの変化を示す図。
図8】送信超音波の中心周波数が7MHzの超音波トランスデューサー列(チャンネル)に対して、測定電圧信号の周波数を変化させた際のインピーダンスの変化を示す図。
図9】第二実施形態において、本体部にヘッド部を装着する際の接続良否判定、及びヘッド部の識別処理のフローチャート。
図10】第三実施形態に係る超音波プローブのブロック図。
図11】第三実施形態において、本体部にヘッド部を装着する際の接続良否判定、及びヘッド部の識別処理のフローチャート。
図12】第四実施形態に係る超音波プローブの概略構成を模式的に示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第一実施形態]
以下、本開示の第一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る超音波プローブ1の概略構成を模式的に示した断面図である。図2は、本実施形態の超音波プローブ1のブロック図である。
本実施形態の超音波プローブ1は、生体に対して超音波を送信し、生体内で反射された超音波を受信する。この超音波プローブ1は、図示略の端末装置に通信可能に接続され、超音波の送受信結果を端末装置に送信する。これにより、端末装置は、例えば、生体の内部断層像を形成したり、生体内の所定の器官の状態を測定(例えば、脈拍、血圧、血流、筋肉厚、脂肪厚等の測定)を実施したりする。超音波プローブ1と、端末装置との接続は、有線であってもよく、無線であってもよい。
そして、本実施形態の超音波プローブ1は、図1に示すように、ヘッド部10と、本体部50とを備え、本体部50に対してヘッド部10が着脱自在に設けられている。
【0008】
[ヘッド部10の構成]
ヘッド部10は、生体に対して超音波診断を実施する際に、生体の表面に当接する部分である。ヘッド部10は、第一筐体20と、第一筐体20に収納される超音波デバイス30と、を備える。
【0009】
ヘッド部10の第一筐体20に超音波デバイス30は、超音波の送信処理、及び超音波の受信処理の少なくとも一方の処理を実施する装置であり、本実施形態では、生体に超音波を送信し、かつ、生体で反射された超音波を受信する超音波デバイス30を例示する。
本実施形態の超音波プローブ1は、本体部50に対してヘッド部10が着脱自在に設けられ、ヘッド部10の交換が可能となる。このようなヘッド部10は、本体部50に比べて小型(薄型)かつ軽量に形成されることが好ましく、このために、第一筐体20に収納される超音波デバイス30も小型(薄型)かつ軽量なデバイスであることが好ましい。このような超音波デバイス30としては、PMUT(Piezoelectric Micromachined Ultrasonic Transducer)や、CMUT(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer)等、メンブレンの振動によって、超音波の送信や、受信超音波の検出を行うデバイスを用いることができる。
【0010】
まず、ヘッド部10の第一筐体20に収納される超音波デバイス30について説明する。
図3は、本実施形態における超音波デバイス30の一例を示す平面図であり、図4は、超音波デバイス30を図3のB-B線で切断した際の概略断面図である。
超音波デバイス30には、X方向及びY方向に沿って、複数の超音波トランスデューサーTrが2次元アレイ状に配置されている。ここで、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とし、Z方向は、超音波が送信される本開示の超音波の送信方向に相当する。
なお、図3は、説明の便宜上、超音波トランスデューサーTrの配置数を減らしているが、実際には、より多くの超音波トランスデューサーTrが配置されていてもよい。
【0011】
超音波デバイス30は、素子基板31と、素子基板31上に設けられた振動板32と、振動板32上に設けられた圧電素子33と、配線基板34と、を備えて構成されている。
素子基板31は、例えばSi等の半導体基板により構成されている。この素子基板31には、各々の超音波トランスデューサーTrに対応した基板開口部31Aが設けられている。本実施形態では、各基板開口部31Aは、素子基板31の基板厚み方向(Z方向)を貫通した貫通孔であり、当該貫通孔の-Z側に振動板32が設けられる。
【0012】
また、基板開口部31Aの振動板32が設けられない側(+Z側)には、測定対象である生体に近い音響インピーダンスを有する音響整合材を充填してもよく、音響整合材としては、例えば、シリコーン等の樹脂材を用いることができる。
【0013】
振動板32は、例えばSiO及びZrOの積層体等より構成され、素子基板31の-Z側全体を覆って設けられている。すなわち、振動板32は、基板開口部31Aを構成する隔壁31Bにより支持され、基板開口部31Aの-Z側を閉塞する。この振動板32の厚み寸法は、素子基板31に対して十分小さい厚み寸法となる。
【0014】
圧電素子33は、各基板開口部31Aを閉塞する振動板32上にそれぞれ設けられている。この圧電素子33は、例えば、振動板32から-Z側に向かって下部電極33A、圧電膜33B、及び上部電極33Cを積層した積層体により構成されている。
ここで、振動板32のうち、基板開口部31Aを閉塞する部分は振動部32Aを構成し、この振動部32Aと、圧電素子33とにより、1つの超音波トランスデューサーTrが構成される。
このような超音波トランスデューサーTrでは、下部電極33A及び上部電極33Cの間に所定周波数の矩形波電圧(駆動信号)が印加されることで、圧電膜33Bが撓んで振動部32Aが振動して+Z側に超音波が送出される。また、生体から反射された超音波(反射波)により振動部32Aが振動されると、圧電膜33Bの上下で電位差が発生する。これにより、下部電極33A及び上部電極33Cの間に発生する電位差を検出することで、受信した超音波を検出することが可能となる。
【0015】
本実施形態では、図3に示すように、Y方向に並ぶ超音波トランスデューサーTrの下部電極33Aが互いに結線されて、±Y側端部において駆動端子33Dに接続される。各駆動端子33Dは、例えばフレキシブルプリント基板等を介して図示略の制御基板に電気接続されている。
また、X方向に並ぶ超音波トランスデューサーTrの上部電極33Cが互いに結線される。これらの上部電極33Cは、共通端子33Eに接続され、この共通端子33Eは、例えば、フレキシブルプリント基板等を介して制御基板に電気接続されている。
本実施形態では、各Y方向に並ぶ超音波トランスデューサーTrにより1つのチャンネルが構成され、各チャンネルがそれぞれ個別に駆動可能となる。
【0016】
このような超音波デバイス30には、基板強度を向上させるために、さらに補強板が設けられる構成としてもよい。補強板を設ける場合、振動板32の素子基板31とは反対側の面に補強板を接合する。この際、各振動部32Aの振動スペースを確保できるように、振動部32A以外の領域にスペーサー(接合層)を設け、当該スペーサーを介して補強板を接合する。
【0017】
ところで、図4に示す例では、素子基板31に基板開口部31Aを設けることで、振動板32を各振動部32Aに分割する例であるが、補強板と振動板32との間に、例えば樹脂材等により形成される壁部を形成し、当該壁部によって振動板32を各振動部32Aに分割する構成としてもよい。この場合、素子基板31が設けられていなくてもよい。
【0018】
振動板32の+Z側の面は、圧電素子33の駆動により超音波が+Z側に送信される送受信面30Aとなる。
【0019】
配線基板34は、素子基板31や振動板32の-Z側、つまり、送受信面30Aとは反対側に配置される。配線基板34は、駆動端子33D及び共通端子33Eと電気的に接続される配線回路(図示略)を有する。各端子(駆動端子33D及び共通端子33E)と配線回路との接続は、例えばリード線やFPC等を用いることができる。また、振動板32に対向して配線基板34が設けられる場合、配線基板34上の端子電極と、素子基板31上の各端子とをバンプ電極(例えば半田など)により接続する構成としてもよい。振動板32と配線基板34との間に、上述したような補強板が介在する場合、補強板に対して貫通する貫通電極を設けてもよく、この場合、貫通電極により配線基板34上の端子電極と、素子基板31上の各端子とを接続できる。
【0020】
次に、ヘッド部10の第一筐体20について説明する。
第一筐体20は、図1に示すように、生体に対する超音波診断を実施する場合に生体に対向する作用面21と、作用面21とは反対側の第一接続面22と、作用面21及び第一接続面22を連結する側面23と、を含む。本実施形態では、図1に示すように、作用面21と第一接続面22とが第一筐体20の表裏を成す構成となる。
作用面21には窓部211が設けられ、この窓部211から超音波デバイス30で送受信される超音波が通過する。本実施形態では、図1に示すように、窓部211には、生体に対して音響インピーダンスが近い素材(例えばシリコーンゴム等)の音響整合層212が配置され、窓部211を閉塞する。音響整合層212は、超音波デバイス30の送受信面30Aに接し、音響整合層212と超音波デバイス30の間に空気層は介在しない。
なお、本実施形態では、窓部211を音響整合層212で埋める構成であるが、窓部211から超音波デバイス30の超音波の送受信面30Aが露出する構成などとしてもよく、さらには窓部211に音響レンズが設けられる構成としてもよい。
【0021】
第一接続面22は、第一筐体20において、本体部50に対向する面である。
本実施形態では、超音波の送信方向を+Zとして、第一筐体20の-Z側に第一接続面22が設けられるが、第一接続面22が、第一筐体20の側面23に設けられてもよい。
【0022】
第一接続面22は、上記のように本体部50に対向し、本体部50の後述する本体側接続部61に接続される。
ヘッド部10において、第一筐体20の第一接続面22を含む本体部50に対向する部分は、ヘッド側接続部11を構成する。
このヘッド側接続部11には、第一コネクター部40と、第一係合部24とが設けられる。
【0023】
第一コネクター部40は、配線基板34に接続され、超音波デバイス30の各端子(駆動端子33D,共通端子33E)に接続された端子部を有する。
本実施形態では、第一筐体20の第一接続面22には、超音波デバイス30を挿入する配置孔221が設けられており、当該配置孔221から配線基板34が露出する。そして、第一コネクター部40は配線基板34の基板上に直接設けられており、配線基板34の-Z側面を含めてヘッド側接続部11において、本体部50側に露出している。
なお、第一コネクター部40としては、上記構成に限定されず、配線基板34とは別体に設けられていてもよい。例えば、第一筐体20は、配置孔221を閉塞する蓋部を備える構成としてもよく、この場合、蓋部に第一コネクター部40を設け、当該第一コネクター部40の各端子と配線基板34の配線回路とをリード線等により接続すればよい。
【0024】
第一コネクター部40が設けられる位置としては、ヘッド側接続部11における中心部であることが好ましい。これにより、ヘッド側接続部11の外周縁から最も離れた位置に第一コネクター部40を設けられることで、仮に水滴が進入した場合でも端子の損傷(ショートや酸化等)を抑制できる。
【0025】
第一コネクター部40の端子形状としては、後述の本体側接続部61に設けられた第二コネクター部62に接続可能な端子であればいかなる形状であってもよい。例えば、第一コネクター部40が雄型ピン端子を有し、第二コネクター部62に設けられた雌型ピン端子に圧入される構成としてもよい。または、第一コネクター部40が雌型ピン端子であって、第二コネクター部62に設けられた雄型ピン端子を圧入する構成としてもよい。或いは、第一コネクター部40が、雄型ピン端子及び雌型ピン端子の双方を備え、第二コネクター部62が、第一コネクター部40の雄型ピン端子に対応する雌型ピン端子、及び、第一コネクター部40の雌型ピン端子に対応する雄型ピン端子を備える構成などとしてもよい。
【0026】
第一係合部24は、第一筐体20の本体部50に対向する面に設けられ、ヘッド部10を本体部50に装着する際に、本体部50の後述する第二コネクター部62に係合される。
第一係合部24としては、例えば、本体部50側に向かって突出部241と突出部241の先端に設けられたフック部242を有する構成を例示できる。この場合、第二コネクター部62としては、突出部241及びフック部242が挿通される係合孔631と、フック部242が係止される係止段差部632が設けられていればよい。
突出部241を係合孔631に挿通させることで、本体部50に対するヘッド部10の位置決めができ、かつ、フック部242を係止段差部632に係止させることで、ヘッド部10を本体部50に装着することができる。
また、ヘッド部10を本体部50から取り外す場合は、フック部242と係止段差部632との係合状態を解除して突出部241を係合孔631から引け抜けばよい。フック部242と係止段差部632の係合状態の解除は、フック部242を係止段差部632から離れる方向に移動させる係合解除機構を設ければよい。
係合解除機構としては、例えば、本体部50に、フック部242を係止段差部632から離れる方向に押圧する押圧ピン等の係合解除部材を設け、押圧ピンをフック部242に対して移動させる構成などが例示できる。或いは、係合解除部材がヘッド部10側に設けられ、突出部241自体を係止段差部632から離れる方向に移動或いは姿勢変更させるように構成されていてもよい。
【0027】
なお、上記の第一係合部24及び第二コネクター部62は、一例であり、第一係合部24と第二コネクター部62とを係合させることで、ヘッド部10と本体部50に着脱可能となる構成であればいかなる構成であってもよい。
例えば、第二係合部63が、本体部50の周面に設けられてフック部242を係合させる係合凹溝により構成されてもよく、この場合、突出部241を係合凹溝から離れる方向に撓ませることで、容易に、フック部242及び係合凹溝の係合状態を解除できる。
さらに、上記例では、第一係合部24として、突出部241及びフック部242を有する構成としたが、これに限定されない。例えば、本体部50に設けられる第二コネクター部62が、突出部と、当該突出部の突出先端に設けられるフック部とを備える構成とし、第一係合部24が、突出部を挿通する挿通孔と、挿通孔内部でフック部を係合させる係止段差部とを備える構成等としてもよい。
【0028】
また、ヘッド部10のヘッド側接続部11には、さらに、第一シール部材12が設けられている。この第一シール部材12は、Oリング等により構成され、例えば、第一筐体20の第一係合部24よりも外側で、ヘッド側接続部11の外周縁に囲って配置される。これにより、ヘッド部10を本体部50に装着した際に、第一シール部材12によりヘッド部10とヘッド部10との隙間が閉塞され、水滴の進入を抑制できる。
【0029】
[本体部50の構成]
本体部50は、第二筐体60と、第二筐体60に収納される制御基板70(回路部)とを備える。
制御基板70は、超音波デバイス30を有するヘッド部10が装着された際に、超音波デバイス30の駆動を制御する各種回路を備える。また、超音波プローブ1と端末装置とを有線で接続する場合は、本体部50に端末装置に接続するケーブル線が接続される。超音波プローブ1と端末装置とを無線で接続する場合は、第二筐体60に無線通信装置(図示略)が第二筐体60に収納される。
【0030】
第二筐体60は、ヘッド部10を装着する際に、ヘッド部10に対向する本体側接続部61を有する。本体側接続部61には、第二コネクター部62と、第二係合部63とを備える。
第二コネクター部62は、上述したように、ヘッド部10を本体部50に接続する際に、第一コネクター部40に接続される。この第二コネクター部62は、制御基板70に接続されている。制御基板70は、第二コネクター部62、第一コネクター部40、及び配線基板34を介して、超音波デバイス30の各超音波トランスデューサーTrを制御する。
【0031】
第二係合部63は、上述したように、第一係合部24に係合することで、本体部50にヘッド部10を装着する。例えば、図1に示すように、ヘッド部10に設けられる突出部241及びフック部242が挿通される係合孔631と、フック部242が係止される係止段差部632を備える構成等が例示できる。この場合、上述したように、第二筐体60または第一筐体20に、フック部242と係止段差部632との係合状態を解除させる係合解除機構を設けることが好ましい。
【0032】
また、第二筐体60の本体側接続部61には、さらに、第二シール部材64が設けられる。この第二シール部材は、Oリング等により構成され、例えば、第二筐体60の第二係合部63よりも内側、かつ第二コネクター部62を囲うように配置される。これにより、第二シール部材64は、ヘッド部10を本体部50に装着した際に、第一シール部材12とともにヘッド部10とヘッド部10との隙間を閉塞する。よって、仮に、第一シール部材12の表面に異物が付着する等により隙間が生じ、第一シール部材12を超えて水滴が進入した場合でも、第二シール部材64によって、第二コネクター部62側への水滴の進入を抑制することができる。
【0033】
制御基板70は、ICチップ等の集積回路を含んで構成される。具体的には、制御基板70には、図2に示すように、送信回路71、受信回路72、マルチプレクサー(MUX73)、制御回路74等を備えて構成される。
送信回路71は、ヘッド部10の超音波デバイス30の各超音波トランスデューサーTrに出力する矩形波駆動信号を生成する。また、送信回路71は、矩形波駆動信号の信号電圧や周波数を変更可能であり、制御回路74から入力される送信指令に基づいた矩形波駆動信号を超音波デバイス30に出力する。
【0034】
受信回路72は、ヘッド部10の各チャンネルから出力された受信信号を処理する。すなわち、受信信号のノイズ成分の除去、信号増幅、AD変換処理等を実施する。また、受信回路72は、信号処理された受信信号を制御回路74に出力する。
MUX73は、スイッチング装置であり、制御回路74からの制御に基づいて、ヘッド部10と送信回路71とを接続する送信接続と、ヘッド部10と受信回路72とを接続する受信接続とを切り替える。
【0035】
制御回路74は、ヘッド部10の超音波トランスデューサーTrの駆動のための制御処理を実施する。制御回路74は、例えば、ビームフォーミング部741、整相加算部742、送受信制御部743、及び記憶部744を備える。ここで、本実施形態では、制御回路74は、CPU等の演算処理回路を備え、演算処理回路が記憶部744に記憶された所定のプログラムを読み込み実行することで、演算処理回路がビームフォーミング部741、整相加算部742、及び送受信制御部743として機能する例を示す。なお、これらの機能構成は、ハードウェアにより構成されていてもよい。すなわち、ビームフォーミング部741、整相加算部742、及び送受信制御部743が、それぞれ、ビームフォーミング回路、整相加算回路、及び送信制御回路等の専用回路(ICチップ)により構成されてもよい。
【0036】
ビームフォーミング部741は、超音波デバイス30の各チャンネルから送信する超音波の送信タイミングを決定し、送信回路71に出力する。これにより、超音波トランスデューサーTrから送信される超音波の送信タイミングがチャンネル毎に変化し、各チャンネルから送信される超音波を合成した合成波が所定の深度に収束するように超音波が送信される。
整相加算部742は、受信回路72から出力された受信信号を整相加算処理する。
【0037】
送受信制御部743は、ヘッド部10の種別に応じてヘッド部10の超音波デバイス30を制御する。
すなわち、送受信制御部743は、例えば診断対象の情報(例えば、子供、大人等の生体自体の情報、筋肉、脂肪、血管、内臓等の診断対象器官の情報)に基づいて、送信超音波を収束させる深度、駆動信号の信号強度、駆動周波数等の超音波デバイス30の駆動に係る駆動パラメーターを算出する。なお、本実施形態では、診断対象の情報は、ユーザーによる端末装置への入力操作によって端末装置から送信される。或いは、これらの駆動パラメーターが、ユーザーにより本体部50に直接入力されるものであってもよい。
送受信制御部743が診断対象の情報に基づいて駆動パラメーターを算出することで、ビームフォーミング部741が、駆動パラメーターのうちの深度に基づいて、各チャンネルの駆動時間(駆動遅延時間)を算出する。そして、送受信制御部743は、ビームフォーミング部741で算出された駆動遅延時間と、他の駆動パラメーター(信号強度や駆動周波数等)とを含む送信指令を送信回路71に出力する。これにより、送信回路71は、送信指令に基づいて駆動信号を生成し、駆動遅延時間に基づいて、各チャンネルを駆動させるようにヘッド部10の超音波デバイス30に駆動電圧信号を出力する。
【0038】
また、送受信制御部743は、MUX73を制御して所定周期で送信状態と受信状態を切り替える。これにより、超音波デバイス30での超音波を送信する送信処理と、生体で反射された超音波を超音波デバイス30で受信する処理とが交互に実施される。超音波デバイス30で超音波が受信されると、受信回路72から受信信号が制御回路74に入力される。これにより、整相加算部742は、ビームフォーミング部741により設定された遅延時間に基づいた整相加算処理を実施する。また、送受信制御部743は、整相加算処理後の受信信号を用いた超音波測定結果を、端末装置に送信する。超音波測定結果としては、例えば、超音波の送信タイミングからの受信信号の信号強度変化である。
【0039】
本実施形態では、超音波プローブ1が端末装置に接続され、超音波測定結果を受信した端末装置によって、各種診断処理が実施される。各種診断処理としては、例えば、内部断層画像の形成処理、所定の器官(例えば、筋肉や脂肪、血管、内臓等)の状態測定処理であり、状態測定処理としては、対象となる器官の厚みを算出する処理、血管を対象とした脈拍測定、血圧測定、血流測定等の処理を例示できる。
なお、本実施形態では、端末装置により、各種診断処理が実施されるが、制御回路74が、超音波測定結果に基づいて診断処理を実施し、その結果を端末装置に送信するものであってもよい。
【0040】
記憶部744は、超音波プローブ1を制御するためのプログラムや、各種データを記憶する。超音波プローブ1を制御するためのプログラムとしては、例えばビームフォーミング部741、及び整相加算部742の各機能を実施するためのプログラムを例示できる。
また、各種データとしては、送受信制御部743において、診断対象の情報に基づいて測定深度や信号強度を演算するためのデータが記録される。例えば診断対象の生体の年齢やサイズ毎に、診断対象の深度や信号強度を記録したテーブルデータが記録されていてもよい。
【0041】
[超音波測定方法]
図5は、本実施形態の超音波測定方法を示すフローチャートである。
ユーザー(例えば医療従事者)は、超音波プローブ1を使用する際に、まず、診断対象の生体、診断対象の器官に対応するヘッド部10を選択する。すなわち、本実施形態では、超音波プローブ1は、ヘッド部10と、本体部50とが着脱自在であるため、ユーザーは、複数種のヘッド部10を予め用意しておくことで、診断対象に応じたヘッド部10を選択することができる。
【0042】
この後、選択したヘッド部10を本体部50に装着する。ヘッド部10の本体部50への装着は、上述したように、第一コネクター部40を第二コネクター部62に接続し、第一係合部24を第二係合部63に係合させる。
この後、作用面21に音響ジェルを塗布して、超音波プローブ1を生体に固定する。なお、超音波プローブの固定先が、内臓等である場合は体液を利用できるため音響ジェルの塗布を不要としてもよい。
【0043】
次に、ユーザーが、例えば端末装置を操作することで、診断対象の情報(例えば、子供か大人かの情報や診断対象の器官、或いは診断対象の深度)を入力する。これにより、送受信制御部743は、超音波プローブ1で診断すべき測定対象の深度、及び超音波デバイス30に入力する駆動信号の信号強度や周波数等を含む駆動パラメーターを演算または取得する(ステップS1)。
【0044】
次に、ビームフォーミング部741が、ステップS1で得られた深度に基づいて、各チャンネルの駆動遅延時間を算出する(ステップS2)。
そして、送受信制御部743は、MUX73を送信接続に切り替え、ステップS1で算出された駆動パラメーターと、ステップS2で設定した駆動遅延時間とを含む送信指令を送信回路71に送信する(ステップS3)。これにより、超音波デバイス30から、生体に対して超音波が送信される。
【0045】
また、送受信制御部743は、所定期間経過後に、MUX73を受信接続に切り替え、受信信号を取得する(ステップS4)。つまり、MUX73を受信接続に切り替えると、超音波デバイス30で超音波を受信した際の受信信号が受信回路72から制御回路74に入力される。また、当該受信信号は、整相加算部742により整相加算処理される。これにより、送受信制御部743は、この整相加算処理された受信信号を取得する。
また、送受信制御部743は、取得した整相加算処理後の受信信号に基づいた超音波測定結果を端末装置に出力する(ステップS5)。
この後、診断処理を終了するか否かを判定する(ステップS6)。診断処理の終了は、例えば、ユーザーによる端末装置の入力操作により、終了する旨の入力があった場合や、予め設定された期間が経過した場合等が例示できる。
ステップS6でNOと判断される場合は、ステップS3に戻り、送受信制御部743は、MUX73を送信接続に切り替えて、送信指令を出力する。すなわち、ステップS6でNOと判定されて診断処理を継続する場合は、所定周期で超音波の送信と受信とが交互に実施され、その超音波測定結果が順次、端末装置に送信される。
ステップS6でYESと判断される場合は、送受信制御部743は、超音波デバイス30の駆動を停止させる。
【0046】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の超音波プローブ1は、ヘッド部10と、本体部50とを有する。ヘッド部10は、超音波の送受信処理を実施する超音波デバイス30と、超音波デバイス30を収納する第一筐体20とを有する。第一筐体20には、超音波デバイス30で送受信される超音波が通過する窓部211が設けられた作用面21を有する。また、ヘッド部10は、作用面21とは異なる面(反対側面)にヘッド側接続部11を有し、ヘッド側接続部11には、超音波デバイス30と電気的に接続された第一コネクター部40と、第一筐体20において本体部50に係合される第一係合部24とが配置される。一方、本体部50は、超音波デバイス30の駆動を制御する制御基板70(回路部)と、制御基板70を収納する第二筐体60と、を備える。本体部50の第二筐体60には、ヘッド部10に接続される本体側接続部61が設けられ、当該本体側接続部61には、制御基板70に電気的に接続される第二コネクター部62と、第一係合部24に係合可能な第二係合部63と、が配置される。そして、超音波プローブ1では、第一コネクター部40と第二コネクター部62とを電気的に接続し、第一係合部24と第二係合部63とを係合させることで、ヘッド部10が本体部50に着脱可能に装着される。
【0047】
このような超音波プローブ1では、ヘッド部10と本体部50とを取り外して、保管することができる。したがって、仮にヘッド部10が損傷した場合でも、超音波プローブ1の全体を交換したり修理したりする必要がなく、ヘッド部10の交換または修理のみでよく、超音波プローブ1の交換や修理に係るコスト高を抑制できる。
また、超音波プローブ1を繰り返し使用する場合、超音波プローブ1を滅菌、洗浄する必要がある。ここで、ヘッド部と本体部とが一体型であり分離できない超音波プローブの場合、超音波プローブ全体を滅菌洗浄する必要があるため、滅菌洗浄中は、超音波プローブを使用できないため、複数台の超音波プローブを用意しておく必要がある。また、測定深度が異なる複数種の超音波プローブが必要となる場合でも、これらの測定深度に応じた複数種の超音波プローブを用意する必要がある。ヘッド部と本体部とが一体となる超音波プローブでは、複数台の超音波プローブを用意することはコスト高となる。
これに対して、本実施形態では、ヘッド部10のみを複数台用意しておけばよく、当該ヘッド部10を滅菌洗浄中の場合でも、生体に対して接触しない本体部50をそのまま利用でき、コストを抑えることができる。また、測定深度が異なる超音波測定を実施したい場合でも、測定深度に応じた複数種のヘッド部10を用意すればよく、本体部50まで用意する必要がないため、メンテナンスに係るコストを抑えることができる。
さらに、ヘッド部と本体部とが一体となる超音波プローブが、端末装置に対して有線で接続されるような超音波診断装置では、滅菌処理も困難となる。一般に、滅菌処理では、真空チャンバーを有する滅菌装置を用い、真空チャンバー内に超音波プローブを投入し、内部を真空にした状態で滅菌ガスを注入する。したがって、有線で接続された超音波プローブでは、真空チャンバーに投入することができず、滅菌処理が不十分となる。これに対して、本実施形態では、本体部50と端末装置とが有線で接続されている場合であっても、ヘッド部10のみを真空チャンバー内に投入して滅菌処理することができるため、適正な滅菌処理を実施でき、衛生的に有利となる。
【0048】
本実施形態では、超音波デバイス30は、複数の振動部32Aを備える振動板32と、各振動部32Aに配置されて当該振動部32Aを振動させる圧電素子33と、を備える。
このような、振動部32Aを圧電素子33により振動させて超音波を出力する超音波デバイス30は、バルク型の圧電体を直接振動させる超音波デバイスに比べて小型化及び薄型化が可能となり、ヘッド部10の小型化を促進できる。
【0049】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。
図6は、第二実施形態に係る超音波プローブ1Aの概略構成を示すブロック図である。
第二実施形態では、ヘッド部10が本体部50に装着された際に、本体部50の制御回路74が自動で装着されたヘッド部10の種別を識別する点、及びヘッド部10が適正に本体部50に装着されたか否かを判定する点で上記第一実施形態と相違する。なお、以降の説明において、既に説明した構成については同符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0050】
本実施形態の超音波プローブ1Aは、第一実施形態と同様、ヘッド部10と、本体部50とを有し、ヘッド部10が本体部50に対して、着脱自在に装着される。すなわち、ヘッド部10は、ヘッド側接続部11を有し、当該ヘッド側接続部11に、第一コネクター部40と、第一係合部24とが設けられる。また、本体部50は、本体側接続部61を有し、当該本体側接続部61に、第二コネクター部62と、第二係合部63とが設けられる。そして、第一コネクター部40を第二コネクター部62に接続し、第一係合部24を第二係合部63に係合させることで、ヘッド部10が本体部50に着脱自在に装着される。
【0051】
また、本実施形態では、本体部50の第二筐体60には、インジケーター65が設けられている。このインジケーター65は、制御基板70に接続されている。なお、ここでは、インジケーター65が設けられる例を示すが、小型のディスプレイパネル等が設けられる構成としてもよい。
インジケーター65としては、接続良否ランプ、種別ランプ等を備えることが好ましい。接続良否ランプは、ヘッド部10を本体部50に装着した際の第一コネクター部40と第二コネクター部62との接続良否を、LED等の光源の点灯させることで示す。また、種別ランプは、超音波プローブ1Aとして使用可能な複数種のヘッド部10に対応した複数のランプが設けられ、ヘッド部10の種別に対応したランプを点灯させる。
接続良否ランプは、接続不良の場合にのみ接続良否ランプを点灯させ、接続良好の場合には、接続良否ランプは点灯せず、種別ランプのいずれかが点灯するようにしてもよい。
また、接続良否ランプは、接続不良の場合に赤点灯し、接続良好の場合に緑点灯する等の構成としてもよい。
【0052】
そして、本実施形態の超音波プローブ1Aでは、本体部50の制御基板70が、さらに、インピーダンス測定回路75を備える。
例えば、図6の例では、インピーダンス測定回路75は、第二コネクター部62に接続され、送信回路71から所定のインピーダンス測定用電圧を印加した場合の超音波デバイス30の各チャンネルのインピーダンスを測定する。なお、超音波デバイス30が、それぞれ独立した複数の超音波トランスデューサーTrにより構成される場合は、各超音波トランスデューサーTrのインピーダンスを測定すればよい。
インピーダンス測定回路75によるインピーダンスの測定方法及び測定回路構成は既存技術を利用でき、例えば、自動平衡ブリッジ法やRF-IV法を利用できる。
【0053】
また、本実施形態の制御回路74の制御回路74は、本体部50に対するヘッド部10の接続の良否を判定する判定部745、及びヘッド部10の種別を識別する識別部746をさらに備える。
これらの判定部745、及び識別部746は、CPU等の演算処理回路が記憶部744に記憶された所定のプログラムを読み出し実行することで機能する。すなわち、本実施形態の演算処理回路は、ビームフォーミング部741、整相加算部742、送受信制御部743、判定部745、及び識別部746として機能する。
【0054】
判定部745は、インピーダンス測定回路75により検出された各チャンネル又は各超音波トランスデューサーTrのインピーダンスに基づいて、本体部50に対してヘッド部10が適正に装着されているか否かを判定する。例えば、判定部745は、送信回路71から、所定周波数(例えば1MHz)で、所定信号強度の測定用電圧信号を、各々のチャンネル(又は超音波トランスデューサーTr)に入力する。そして、判定部745は、インピーダンス測定回路75で測定される各チャンネルのインピーダンスが所定の第一閾値(例えば1kΩ)以下であるか否かを判定する。第一閾値を超えるインピーダンスのチャンネルがある場合、第一コネクター部40と第二コネクター部62との接続において、当該チャンネルに対するピン端子が接触不良、または非接触である可能性がある。したがって、判定部745は、全てのチャンネルにおいて、第一閾値以下のインピーダンスになっているか否かを判定し、第一閾値を超えるインピーダンスがある場合には接続不良と判定する。そして、判定部745は、接続の良否をインジケーター65に表示させる。例えば、判定部745は、接続不良である場合にインジケーター65を赤点灯させ、接続良好である場合にインジケーター65を緑点灯させる。
【0055】
識別部746は、インピーダンス測定回路75により検出された各チャンネル又は各超音波トランスデューサーTrのインピーダンスに基づいて、ヘッド部10の種別を判定(識別)する。具体的には、識別部746は、送信回路71から出力される測定用電圧信号の周波数をスイープさせ、インピーダンス測定回路75で測定されるインピーダンスの変化の極値にヘッド部10の種別を判定する。
図7は、送信超音波の中心周波数(各超音波トランスデューサーTrの固有周波数)が2MHzのチャンネル(超音波トランスデューサー列)に対して、測定電圧信号の周波数を変化させた際のインピーダンスの変化を示している。
また、図8は、送信超音波の中心周波数が7MHzのチャンネルに対して、測定電圧信号の周波数を変化させた際のインピーダンスの変化を示している。
図7及び図8に示すように、超音波トランスデューサーTrに入力する測定用電圧信号の周波数を変化させると、インピーダンス測定回路75で測定されるインピーダンスも変化する。この際、送信超音波の中心周波数がそれぞれ異なる超音波トランスデューサーTrでは、インピーダンスの極大値がそれぞれ異なる周波数で現れる。したがって、測定電圧信号の周波数をスイープさせてインピーダンスの極大値が得られる周波数を特定することで、超音波トランスデューサーTrの中心周波数を特定でき、ヘッド部10の種別を判定することができる。
なお、インピーダンスの極大値に対するヘッド部10の種別は、予め記憶部744にテーブルデータとして記憶しておけばよい。これにより、インピーダンスの極大値が検出されれば、識別部746は、ヘッド部10の種別を判定することができる。また、当該テーブルデータは、各ヘッド部10の種別に加え、そのヘッド部10を用いて所定の深度に対する超音波測定を実施する場合の駆動パラメーターを記録していることが好ましい。これにより、送受信制御部743は、テーブルデータに基づいて、識別されたヘッド部10の種別に対応した駆動パラメーターを容易に設定できる。
【0056】
[超音波測定方法]
次に、本実施形態による超音波測定方法における、接続判定方法、及びヘッド部10の識別処理について説明する。
図9は、第二実施形態において、本体部50にヘッド部10を装着する際の接続良否判定、及びヘッド部10の識別処理のフローチャートである。
本実施形態の超音波プローブ1Aを使用する場合、第一実施形態と同様に、ユーザーは、まず、診断対象に対応するヘッド部10を選択し、本体部50に装着する。ヘッド部10の本体部50への装着は、第一実施形態と同様であり、第一コネクター部40を第二コネクター部62に接続し、第一係合部24を第二係合部63に係合させる。
これにより、第一コネクター部40及び第二コネクター部62を介して、制御基板70が超音波デバイス30と電気接続される。本実施形態では、第一コネクター部40と第二コネクター部62とが接続されると、判定部745は、MUX73を送信接続に切り替え、送信回路71から所定の測定周波数(例えば1MHz)の測定用電圧信号を超音波デバイス30に入力し、インピーダンス測定回路75で、各チャンネルのインピーダンスを測定する(ステップS11)。なお、図9において、「Ch」はチャンネルを示し、Chxは、x番目のチャンネルを示すものとし、チャンネル数がM個設けられているものとする。また、インピーダンスZxは、x番目のチャンネルのインピーダンスを示す。
【0057】
次に、判定部745は、測定された各チャンネルのインピーダンスZ1~ZMが、第一閾値Zn以下であるか否かを判定する(ステップS12)。
第一閾値Znとしては、例えば配線抵抗及び各チャンネル(各超音波トランスデューサー)の抵抗の合計値に所定のマージンを加算した値等を設定でき、本実施形態では、例えば1kΩを設定する。
【0058】
ステップS12において、全チャンネルのうち1つ以上のチャンネルにおいて第一閾値Znを超えるインピーダンスが測定される場合(ステップS12;No)、判定部745は接続不良として判定する。この場合、判定部745は、インジケーター65により接続不良を報知し(ステップS13)、ステップS11に戻る。例えば、接続良否ランプを、接続不良に対応したランプを点灯させてもよく、接続不良を示す色のランプを点灯させてもよい。
【0059】
ステップS12において、各チャンネルのインピーダンスが第一閾値Zn以下である場合(ステップS12;YES)、判定部745は接続良好と判定する。
この場合、続いて識別部746によるヘッド部10の種別識別処理が実施される。
具体的には、識別部746は、複数のチャンネルのうちいずれか1つのチャンネルに対して測定用電圧信号を入力し、かつ、当該信号の周波数を所定範囲でスイープさせる(ステップS14)。測定用電圧信号を入力するチャンネルは予め設定されたチャンネルであり、例えば、超音波デバイス30の中央部に配置されたチャンネル等を指定することができる。測定周波数をスイープさせる範囲は、本実施形態の超音波プローブ1Aとして本体部50に装着可能な全てのヘッド部10の特徴に基づいて決定できる。例えば、本体部50に装着可能なヘッド部10として、インピーダンスが極大値となる周波数が2MHz,7MHz,12MHzの3つのヘッド部10がある場合、周波数のスイープ範囲を1~13MHz程度に設定すればよい。
【0060】
そして、識別部746は、ステップS13の測定結果から、インピーダンスが極大値となる周波数fdを導出する(ステップS15)。また、識別部746は、周波数fdに基づいて、本体部50に装着されたヘッド部10の種別を識別し、識別したヘッド部10の種別に応じたインジケーター65の種別ランプを点灯させる(ステップS16)。
例えば、識別部746は、周波数fdが1.5MHz≦fd<2.5MHzの場合、超音波周波数が2MHzのヘッド部10であると判定し、6.5MHz≦fd<7.5MHzの場合、超音波周波数が7MHzのヘッド部10であると判定し、11.5MHz≦fd<12.5MHzの場合、超音波周波数が12MHzのヘッド部10であると判定する。周波数fdに対応するヘッド部の種類や駆動パラメーターは、予め記憶部744に記憶しておけばよい。
【0061】
以上の後、第一実施形態と同様、超音波プローブ1Aを生体に固定して超音波測定を実施する。この際、本実施形態では、ステップS1において、ユーザーによる診断対象の情報の入力を不要にできる。
すなわち、本実施形態では、ステップS15により識別されたヘッド部10の種別に対応した駆動パラメーターを予め記憶部744に記憶しておけばよく、これにより、ステップS1における演算処理を簡略化できる。
また、駆動パラメーターとして、さらに、ヘッド部10に対応した駆動遅延時間を記憶部744に記憶しておいてもよい。この場合、ステップS2における駆動遅延時間の算出処理もさらに簡略化でき、読み込まれた駆動パラメーターを用いることで、識別部746により識別されたヘッド部の種類に応じて超音波デバイス30の駆動方法を変更することができる。
【0062】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の超音波プローブ1Aでは、本体部50は、装着されたヘッド部10の種別を識別する識別部746を備える。
このため、本実施形態では、ユーザーがヘッド部10の情報を入力することなく、自動でヘッド部10の種別を識別することが可能となる。これにより、ユーザーの入力によらず、適正にヘッド部10を駆動するための駆動パラメーターも取得することができる。
【0063】
本実施形態では、本体部50は、第二コネクター部62が第一コネクター部40に接続されたときに、超音波デバイス30のインピーダンス、つまり超音波デバイス30を構成する少なくとも1つのチャンネルのインピーダンスを測定するインピーダンス測定回路75を備える。そして、識別部746は、インピーダンス測定回路75により測定されたインピーダンスに基づいて、ヘッド部10の種別を識別する。
超音波デバイス30の各超音波トランスデューサーTr、及び複数の超音波トランスデューサーTrで構成されるチャンネルは、入力される駆動信号の周波数によってインピーダンスが異なり、そのインピーダンスの極大値は、ヘッド部10の種別、つまり、各超音波トランスデューサーTrの固有周波数により変化する。したがって、識別部746は、インピーダンス測定回路75により測定電圧信号の周波数をスイープさせ、インピーダンスが極大値を取る周波数を特定することで、容易にヘッド部10の種別を識別することができる。
【0064】
本実施形態では、本体部50は、ヘッド部10が接続されたときの第一コネクター部40と第二コネクター部62との接続の良否、つまり、第一コネクター部40と第二コネクター部62との電気接続が適正であるか否かを判定する判定部745をさらに備える。
これにより、ユーザーが手動で本体部50に対してヘッド部10を装着した際に、超音波デバイス30が正常に駆動するようにヘッド部10が装着されているかを判定部745が判定することができる。
また、その判定結果をインジケーター65で表示することで、ユーザーは超音波プローブ1Aの使用前に、ヘッド部10が適正に本体部50に装着されて正常に駆動可能か否かを確認することができる。
【0065】
本実施形態では、判定部745は、インピーダンス測定回路75により測定されたインピーダンスに基づいて、第一コネクター部40と第二コネクター部62との接続の良否を判定する。
すなわち、各チャンネルのインピーダンスが閾値を超える場合、第一コネクター部40と第二コネクター部62との接触不良や非接触の可能性があり、適正に超音波デバイス30を制御することができない。よって、判定部745は、各チャンネルのインピーダンスを測定することで、第一コネクター部40と第二コネクター部62との接続の良否を容易に判定することができる。
【0066】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態について説明する。
上記第二実施形態では、各チャンネル又は各超音波トランスデューサーTrのインピーダンスを測定し、インピーダンスに基づいて第一コネクター部40及び第二コネクター部62の接続の良否、及び、ヘッド部10の種別の識別を行った。
これに対し、第三実施形態では、各チャンネル又は各超音波トランスデューサーTrの静電容量に基づいて第一コネクター部40及び第二コネクター部62の接続の良否、及び、ヘッド部10の種別の識別を行う点で第二実施形態と相違する。
【0067】
図10は、第三実施形態に係る超音波プローブ1Bの概略構成を示すブロック図である。
本実施形態の超音波プローブ1Bは、第一実施形態と同様、ヘッド部10と、本体部50とを有し、ヘッド部10が本体部50に対して、着脱自在に装着される。すなわち、ヘッド部10は、ヘッド側接続部11を有し、当該ヘッド側接続部11に、第一コネクター部40と、第一係合部24とが設けられる。また、本体部50は、本体側接続部61を有し、当該本体側接続部61に、第二コネクター部62と、第二係合部63とが設けられる。そして、第一コネクター部40を第二コネクター部62に接続し、第一係合部24を第二係合部63に係合させることで、ヘッド部10が本体部50に着脱自在に装着される。
また、本実施形態では、第二実施形態と同様、の第二筐体60にインジケーター65が設けられている。
【0068】
そして、本実施形態の超音波プローブ1Bでは、本体部50の制御基板70が、さらに、容量検出回路76を備える。
例えば、図10では、容量検出回路76は、第二コネクター部62に接続され、送信回路71から所定の測定用電圧を印加した場合の超音波デバイス30の各チャンネルの静電容量を検出する。なお、超音波デバイス30が、それぞれ独立した複数の超音波トランスデューサーTrにより構成される場合は、各超音波トランスデューサーTrの静電容量を検出すればよい。
容量検出回路76による容量検出方法及び回路構成は既存技術を利用でき、例えば、所定の測定周波数(例えば1MHz)の容量検出用の矩形波電圧信号を、各チャンネル又は各超音波トランスデューサーと、容量の変化がない比較用コンデンサとに入力し、これらの出力電圧の差分に基づいて静電容量を検出する。
【0069】
また、本実施形態の制御回路74は、第二実施形態と同様に、判定部745、及び識別部746を備える。
ここで、本実施形態の判定部745は、容量検出回路76により検出された各チャンネル又は各超音波トランスデューサーTrの静電容量に基づいて、本体部50に対してヘッド部10が適正に装着されているか否かを判定する。例えば、判定部745は、各々のチャンネル又は超音波トランスデューサーTrの静電容量が所定の閾値(例えば1nF)以上であるか否かを判定し、閾値を下回る静電療養のチャンネルまたは超音波トランスデューサーTrがある場合に、接続不良と判定する。
【0070】
また、識別部746は、容量検出回路76により検出された各チャンネル又は各超音波トランスデューサーTrの静電容量に基づいて、ヘッド部10の種別を判定(識別)する。静電容量に基づいたヘッド部10の識別は、例えば、予め記憶部744に、ヘッド部10の各チャンネル又は各超音波トランスデューサーTrの静電容量と、当該静電容量に対応するヘッド部10の種別を記録したテーブルデータを記録しておけばよい。また、当該テーブルデータは、さらに、各ヘッド部10の種別に加え、そのヘッド部10を用いて所定の深度に対する超音波測定を実施する場合の駆動パラメーターを記録しておくことが好ましい。これにより、送受信制御部743は、テーブルデータに基づいて診断対象に対応した駆動パラメーターを容易に設定できる。
【0071】
[超音波測定方法]
次に、本実施形態による超音波測定方法における、接続判定方法、及びヘッド部10の識別処理について説明する。
図11は、第三実施形態において、本体部50にヘッド部10を装着する際の接続良否判定、及びヘッド部10の識別処理のフローチャートである。
本実施形態では、第二実施形態と略同様であるが、ユーザーが、第一コネクター部40を第二コネクター部62に接続し、第一係合部24を第二係合部63に係合させることで、ヘッド部10が本体部50に装着される。これにより、第一コネクター部40及び第二コネクター部62を介して、制御基板70が超音波デバイス30と電気接続される。
そして、本実施形態では、第一コネクター部40と第二コネクター部62とが接続されると、判定部745は、MUX73を送信接続に切り替え、送信回路71から所定の測定周波数(例えば1MHz)の測定用電圧信号を超音波デバイス30に入力し、容量検出回路76で、各チャンネルの静電容量を検出する(ステップS11A)。
【0072】
次に、判定部745は、測定された各チャンネルの静電容量Cx(C1~CM)が、第二閾値Cn以上であるか否かを判定する(ステップS12A)。なお、静電容量Cxは、x番目のチャンネルの静電容量を示す。
第二閾値Cnとしては、例えば、本体部50に装着可能なヘッド部10のうち、1チャンネルの静電容量が最小となるヘッド部10の1チャンネルの静電容量または、当該静電容量から所定のマージンを減算した値を用いることができ、本実施形態では、例えば1nFを設定する。
【0073】
ステップS12Aにおいて、全チャンネルのうち1つ以上のチャンネルにおいて第二閾値Cnを下回る静電容量が検出される場合(ステップS12A;No)、判定部745は接続不良として判定し、ステップS13を実施して、インジケーター65により接続不良を報知し、ステップS11Aに戻る。
【0074】
ステップS12Aにおいて、各チャンネルの静電容量が第二閾値Cn以上である場合(ステップS12A;YES)、判定部745は接続良好とする。
この場合、続いて識別部746によるヘッド部10の種別識別処理が実施される。
具体的には、識別部746は、所定のチャンネルで測定された静電容量、または、全てのチャンネルの静電容量の平均値に基づいて、ヘッド部10の種別を識別し、識別したヘッド部10の種別に応じたインジケーター65の種別ランプを点灯させる(ステップS15A)。
第二実施形態と略同様に、静電容量に対応するヘッド部10の種類や駆動パラメーターは、予め記憶部744に記憶しておけばよく、識別部746は、測定された静電容量やその平均値に対応するヘッド部10の種類や駆動パラメーターを読み込む。
以降は、第二実施形態と同様である。
【0075】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の超音波プローブ1Bでは、本体部50は、第二コネクター部62が第一コネクター部40に接続されたときに、超音波デバイス30の静電容量、つまり超音波デバイス30を構成する少なくとも1つのチャンネルの静電容量を検出する容量検出回路76を備える。そして、識別部746は、容量検出回路76により検出された静電容量に基づいて、ヘッド部10の種別を識別する。
超音波デバイス30の各超音波トランスデューサーTrでは、振動部32Aのサイズに応じた圧電素子33が形成される。超音波トランスデューサーTrの固有周波数の影響を与える振動部32Aのサイズが変化することで、圧電素子33のサイズも変化し、これにより、圧電素子33の下部電極33A及び上部電極33Cの面積も変動し、静電容量が変化する。したがって、識別部746は、容量検出回路76により静電容量を検出することで、容易にヘッド部10の種別を識別することができる。
【0076】
本実施形態では、判定部745は、容量検出回路76により検出された静電容量に基づいて、第一コネクター部40と第二コネクター部62との接続の良否を判定する。
すなわち、各チャンネルの静電容量が第二閾値Cnを下回る場合、第一コネクター部40と第二コネクター部62との接触不良や非接触の可能性があり、適正に静電容量が測定できていないことを意味する。よって、判定部745は、各チャンネルの静電容量が第二閾値以上であるか否かを判定することで、第一コネクター部40と第二コネクター部62との接続の良否を容易に判定することができる。
【0077】
[第四実施形態]
次に、第四実施形態について説明する。
上記第二実施形態及び第三実施形態では、識別部746は、インピーダンス測定回路75又は容量検出回路76により測定される各チャンネルのインピーダンス又は静電容量に基づいて、ヘッド部10の種別を判定した。これに対して、本実施形態では、ヘッド部10に保持された情報を読み取る点で、上記第一実施形態から第三実施形態と相違する。
【0078】
図12は、第四実施形態に係る超音波プローブ1Cの概略構成を模式的に示した断面図である。
本実施形態の超音波プローブ1Cは、第一実施形態と同様、ヘッド部10と、本体部50とを有し、ヘッド部10が本体部50に対して、着脱自在に装着される。すなわち、ヘッド部10は、ヘッド側接続部11を有し、当該ヘッド側接続部11に、第一コネクター部40と、第一係合部24とが設けられる。また、本体部50は、本体側接続部61を有し、当該本体側接続部61に、第二コネクター部62と、第二係合部63とが設けられる。そして、第一コネクター部40を第二コネクター部62に接続し、第一係合部24を第二係合部63に係合させることで、ヘッド部10が本体部50に着脱自在に装着される。
【0079】
そして、本実施形態の超音波プローブ1Cでは、ヘッド部10は情報記憶部13を備える。情報記憶部13としては、例えば、図12に示すように、ヘッド側接続部11に設けられる。情報記憶部13としては、例えばカスタムIC等のICチップにより構成されてもよく、磁気チップ等により構成されてもよい。
情報記憶部13には、ヘッド部10の種別を示す情報が記録されている。また、情報記憶部13には、その他、超音波デバイス30の駆動パラメーターが記録されていてもよい。
【0080】
また、本実施形態では、本体部50の本体側接続部61に、情報読取部66が設けられている。情報読取部66は、ヘッド部10を本体部50に装着した際に、情報記憶部13に対向する位置に設けられる。
情報読取部66は、情報記憶部13に記憶された各種情報を読み取り可能な構成を有し、読み取った情報を制御基板70に送信する。例えば、情報記憶部13が接触型のカスタムIC等のICチップにより構成される場合、情報記憶部13及び情報読取部66の双方に接触端子を設け、ヘッド部10を本体部50に装着した際に、接触端子同士を接触させる。これにより、情報読取部66は、情報記憶部13からヘッド部10の種別を含む各種情報を読み取ることができる。
【0081】
そして、本実施形態の識別部746は、情報読取部66から、情報記憶部13に記憶されたヘッド部10の種別に関する情報を読み取る。このため、本実施形態では、第二実施形態において説明したステップS14からステップS15の処理、または第三実施形態で説明したステップS15Aの処理のように、インピーダンスや静電容量の測定処理が不用となり、より簡便に正確なヘッド部10の情報を取得してその種別を識別することができる。
【0082】
また、情報記憶部13にヘッド部10を駆動させるための駆動パラメーターを記憶しておけば、送受信制御部743は、当該駆動パラメーターを読み込むことで、診断対象の深度等の駆動パラメーターを容易に取得でき、深度の算出やそれに応じた駆動周波数、駆動信号強度、駆動遅延時間の算出が不要となり、また、記憶部744に駆動パラメーターを記憶する必要がない。さらには、ヘッド部の種別が新たに追加された場合でも、情報記憶部13にヘッド部の種別と駆動パラメーターを記憶しておけばよいので、本体部50のアップデートが不要になる。
【0083】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態では、ヘッド部10は、ヘッド部の種別を記憶する情報記憶部13を備え、識別部746は、ヘッド部10が本体部50に接続されたときに、情報記憶部13に記録された情報を取得することでヘッド部10の種別を識別する。
これにより、識別部746がヘッド部10の種別を判定するときに、インピーダンスや静電容量の測定が不要となり、より簡単かつ迅速にヘッド部10の種別を識別することができる。
【0084】
[変形例]
なお、本発明は上述の各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、及び各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
【0085】
[変形例1]
第二実施形態では、インピーダンス測定回路75により測定されるインピーダンスに基づいて、判定部745による接続良否の判定処理と、識別部746によるヘッド部10の種別の識別処理とを実施した。これに対して、判定部745による接続良否の判定処理、及び識別部746によるヘッド部10の種別の識別処理のいずれか一方のみを実施する形態としてもよい。第三実施形態においても同様である。
【0086】
[変形例2]
また、第二実施形態及び第三実施形態において、インピーダンス測定回路75及び容量検出回路76の双方が設けられる構成としてもよい。
この場合、例えば、判定部745は、各チャンネルまたは各超音波トランスデューサーTrのインピーダンスに基づいて、第一コネクター部40と第二コネクター部62との接続良否の判定し、識別部746は、各チャンネルまたは各超音波トランスデューサーTrの静電容量に基づいて、ヘッド部10の種別を識別してもよい。
または、判定部745は、各チャンネルまたは各超音波トランスデューサーTrの静電容量に基づいて、第一コネクター部40と第二コネクター部62との接続良否の判定し、識別部746は、各チャンネルまたは各超音波トランスデューサーTrのインピーダンスに基づいて、ヘッド部10の種別を識別してもよい。
【0087】
さらには、判定部745は、各チャンネルまたは各超音波トランスデューサーTrの静電容量及びインピーダンスの双方に基づいて、ヘッド部10と本体部50の接続良否を判定してもよい。例えば、判定部745は、各チャンネル又は各超音波トランスデューサーTrのインピーダンスが第一閾値Zn以下であり、かつ、静電容量が第二閾値Cn以上である場合に、適正に接続されていると判定してもよい。
識別部746においても同様であり、各チャンネルまたは各超音波トランスデューサーTrの静電容量及びインピーダンスの双方に基づいて、ヘッド部10の判定を実施してもよい。
【0088】
[変形例3]
第一実施形態において、第一シール部材12と、第二シール部材64とを備える構成としたが、いずれか一方のみが設けられる構成としてもよい。
また、第一シール部材12が本体部50に設けられ、第二シール部材64がヘッド部10に設けられる構成としてもよい。
【0089】
[変形例4]
第四実施形態において、情報記憶部13がヘッド部10のヘッド側接続部11に設けられる例を示すが、これに限定されない。例えば、配線基板34に、例えばROM等により構成された情報記憶部13を設けてもよい。この場合、第一コネクター部40と第二コネクター部62とが接続された際に、これらの第一コネクター部40と第二コネクター部62を介して、情報記憶部13に記憶された各種情報が本体部50に送信されるようにしてもよい。
【0090】
[本開示のまとめ]
本開示の一態様の超音波プローブは、ヘッド部と、本体部とを有する超音波プローブであって、前記ヘッド部は、超音波の送信処理、及び超音波の受信処理の少なくともいずれかの処理を実施する超音波デバイスと、前記超音波デバイスを収納し、前記超音波デバイスから送信される超音波または前記超音波デバイスに受信させる超音波を通過させる窓部が設けられる第一筐体と、前記超音波デバイスと電気的に接続された第一コネクター部と、前記本体部に係合可能な第一係合部と、を含み、前記本体部は、前記超音波デバイスの駆動を制御する回路部と、前記回路部を収納する第二筐体と、前記回路部と電気的に接続される第二コネクター部と、前記第一係合部に係合可能な第二係合部と、を含み、前記第一コネクター部と前記第二コネクター部とを接続し、前記第一係合部を前記第二係合部に係合することで、前記ヘッド部が前記本体部に着脱可能に装着される。
【0091】
本態様では、ヘッド部と本体部とを取り外して保管できる。よって、仮にヘッド部が損傷した場合でも、超音波プローブの全体を交換、修理する必要がなく、ヘッド部の交換または修理のみでよく、コストを抑制できる。
また、超音波プローブを滅菌、洗浄する場合でもヘッド部のみを滅菌。洗浄すればよい。ヘッド部の滅菌、洗浄中でも他のヘッド部を本体部に取り付けることで、超音波プローブを用いた診断処理を行える。
さらに、測定深度が異なる複数種のヘッド部を用意すれば、目的に応じてヘッド部を取り換えて使用できる。よって、数台の超音波プローブを用意することに比べて、メンテナンスに係るコストを抑制できる。
【0092】
本態様の超音波プローブにおいて、前記本体部は、装着された前記ヘッド部の種別を識別する識別部を備える。
このため、本実施形態では、ヘッド部を本体部に装着することで、自動でヘッド部の種別を識別することができる。
【0093】
本態様の超音波プローブにおいて、前記本体部は、前記第二コネクター部が前記第一コネクター部に接続されたときに、前記超音波デバイスの静電容量を検出する容量検出回路を備え、前記識別部は、前記容量検出回路により測定された前記静電容量に基づいて、前記ヘッド部の種別を識別する。
ヘッド部に設けられる超音波デバイスは、測定深度に応じた固有周波数の超音波トランスデューサーが設けられる。よって、超音波トランスデューサーの静電容量を検出することで、ヘッド部に組み込まれる超音波デバイスの特性、つまりヘッド部の種別を識別することができる。
【0094】
本態様の超音波プローブにおいて、前記本体部は、前記第二コネクター部が前記第一コネクター部に接続されたときに、前記超音波デバイスのインピーダンスを測定するインピーダンス測定回路を備え、前記識別部は、前記インピーダンス測定回路により測定された前記インピーダンスに基づいて、前記ヘッド部の種別を識別するように構成されてもよい。
ヘッド部に設けられる超音波デバイスは、組み込まれる超音波トランスデューサーによって、インピーダンスが極大値となる周波数が異なる。よって、超音波トランスデューサーに印加する測定用電圧の周波数をスイープさせてインピーダンスの変化を測定することで、ヘッド部に組み込まれる超音波デバイスの特性、つまりヘッド部の種別を識別することができる。
【0095】
本態様の超音波プローブにおいて、前記ヘッド部は、前記ヘッド部の種別を記憶する情報記憶部を備え、前記識別部は、前記ヘッド部が前記本体部に接続されたときに、前記情報記憶部に記録された情報を取得することで前記ヘッド部の種別を識別するように構成されてもよい。
本態様では、識別部は、ヘッド部に設けられた情報記憶部に保持されたヘッド部の種別に関する情報を読み込むことで、ヘッド部の種別を識別できる。
【0096】
本態様の超音波プローブにおいて、前記回路部は、前記識別部により識別された前記ヘッド部の種別に応じて、前記超音波デバイスの駆動方法を変更することが好ましい。
本態様では、ヘッド部に応じて、超音波デバイスの駆動方法を変更することで、ヘッド部の仕様に応じた超音波の送信処理または受信処理を実施することができる。これにより、ヘッド部を変更した場合に、変更したヘッド部に応じた適正な超音波の送受信を実施することが可能となる。
【0097】
本態様の超音波プローブにおいて、前記本体部は、前記ヘッド部が接続されたときの前記第一コネクター部と前記第二コネクター部との接続の良否を判定する判定部を備えることが好ましい。
これにより、本体部に対してヘッド部を装着した際に、超音波デバイスが正常に駆動するようにヘッド部が装着されているかを判定部が判定することができる。
【0098】
本態様の超音波プローブにおいて、前記本体部は、前記第二コネクター部が前記第一コネクター部に接続されたときに、前記超音波デバイスの静電容量を検出する容量検出回路を備え、前記判定部は、前記容量検出回路により測定された前記静電容量に基づいて、前記接続の良否を判定することが好ましい。
本態様では、超音波デバイスの静電容量に基づいて接続の良否を判定する。つまり、第一コネクター部と第二コネクター部との接触不良や非接触の場合では、静電容量が小さくな。このため、静電容量を検出することで、判定部は、容易に、第一コネクター部と第二コネクター部の接続良否を判定することができる。
【0099】
本態様の超音波プローブにおいて、前記本体部は、前記第二コネクター部が前記第一コネクター部に接続されたときに、前記超音波デバイスのインピーダンスを測定するインピーダンス測定回路を備え、前記判定部は、前記インピーダンス測定回路により測定された前記インピーダンスに基づいて、前記接続の良否を判定してもよい。
本態様では、超音波デバイスのインピーダンスに基づいて接続の良否を判定する。つまり、第一コネクター部と第二コネクター部との接触不良や非接触の場合では、インピーダンスが大きくなる。このため、インピーダンスを測定することで、判定部は、容易に、第一コネクター部と第二コネクター部の接続良否を判定することができる。
【0100】
本態様の超音波プローブにおいて、前記超音波デバイスは、複数の振動部を備える振動板と、各前記振動部に配置されて当該振動部を振動させる圧電素子と、を備えることが好ましい。
本態様では、超音波デバイスは、振動部を圧電素子により振動させることで超音波の送信が可能となる。このような超音波デバイスは、圧電体自体を振動させることで超音波を送信する、いわゆるバルク型の超音波素子に比べて小型化及び薄型化が可能である。このような超音波デバイスは、本体部に対して着脱可能となるヘッド部への搭載が容易であり、かつ、ヘッド部の小型化を図れる。
【符号の説明】
【0101】
1,1A,1B,1C…超音波プローブ、10…ヘッド部、11…ヘッド側接続部、12…第一シール部材、13…情報記憶部、20…第一筐体、21…作用面、22…第一接続面、23…側面、24…第一係合部、30…超音波デバイス、30A…送受信面、34…配線基板、40…第一コネクター部、50…本体部、60…第二筐体、61…本体側接続部、62…第二コネクター部、63…第二係合部、64…第二シール部材、66…情報読取部、70…制御基板(回路部)、74…制御回路、75…インピーダンス測定回路、76…容量検出回路、211…窓部、212…音響整合層、221…配置孔、241…突出部、242…フック部、631…係合孔、632…係止段差部、745…判定部、746…識別部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12