(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160748
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】配設体装置
(51)【国際特許分類】
H02G 3/12 20060101AFI20241108BHJP
H02G 3/06 20060101ALI20241108BHJP
F16L 33/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H02G3/12
H02G3/06 016
F16L33/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076034
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健太郎
【テーマコード(参考)】
3H017
5G361
【Fターム(参考)】
3H017CA03
5G361AA02
5G361AC02
5G361AC09
(57)【要約】
【課題】配設体本体の導入部とは異なる箇所から配線・配管材を配設体本体内部に追加で導入することを可能とする配設体装置を提供する。
【解決手段】配設体装置は、配線・配管材を内部空間に配設する配設体本体と、配設体本体に取着される取着体と、を備える。配設体本体の側壁には、配線・配管材に側壁を内外方向に貫通させて内部空間に配線・配管材を導入するための導入部が設けられる。配設体本体の底壁には、導入部の導入開口よりも大きい面積で開口する通孔部が底壁の内外方向に貫通形成されている。取着体は、底壁の後方から通孔部の少なくとも一部を覆うとともに、配線・配管材が通過する通過路を内側に形成する覆い部と、通過路を底壁よりも後方に維持した状態で取着体を配設体本体に取着する取着部と、通孔部を介して通過路と内部空間とを連通させる本体側連通口と、通過路を外部と連通させる外部側連通口と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線・配管材を配設するための配設体装置であって、
底壁と、前記底壁から前方に延在し、前記底壁と対向する前面開口部を形成する環状の側壁とを備え、配線・配管材を内部空間に配設する配設体本体と、
前記配設体本体に取着される取着体と、を備え、
前記配設体本体の前記側壁には、配線・配管材に前記側壁を内外方向に貫通させて前記内部空間に配線・配管材を導入するための導入部が設けられ、
前記配設体本体の前記底壁には、前記導入部の導入開口よりも大きい面積で開口する通孔部が前記底壁の内外方向に貫通形成されており、
前記取着体は、
前記底壁の後方から前記通孔部の少なくとも一部を覆うとともに、配線・配管材が通過する通過路を内側に形成する覆い部と、
前記通過路を前記底壁よりも後方に維持した状態で前記取着体を前記配設体本体に取着する取着部と、
前記通孔部を介して前記通過路と前記内部空間とを連通させる本体側連通口と、
前記通過路を外部と連通させる外部側連通口と、を備えることを特徴とする配設体装置。
【請求項2】
前記外部側連通口は、配線・配管材の配設経路を内部に形成する第1の保護管を接続するための管接続部を備えることを特徴とする請求項1に記載の配設体装置。
【請求項3】
前記導入部は、配線・配管材の配設経路を内部に形成する第2の保護管を接続するための本体側管接続部を備えることを特徴とする請求項2に記載の配設体装置。
【請求項4】
前記管接続部は、前記本体側管接続部に接続できない保護管を接続可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の配設体装置。
【請求項5】
前記本体側管接続部は、前記配設体本体および前記取着体が互いに組み付けられた状態で、前記第2の保護管を接続可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の配設体装置。
【請求項6】
前記管接続部に接続される前記第1の保護管の端部の軸心と、前記本体側管接続部に接続される前記第2の保護管の端部の軸心とが平行であることを特徴とする請求項3に記載の配設体装置。
【請求項7】
前記管接続部に接続される前記第1の保護管の端部の軸心と、前記本体側管接続部に接続される前記第2の保護管の端部の軸心とが互いに交差する方向に延伸していることを特徴とする請求項3に記載の配設体装置。
【請求項8】
前記取着部は、前記通孔部を介して前記内部空間に入り込み、前記底壁の前方から前記通孔部の周縁に掛け止められる掛止手段からなることを特徴とする請求項1から7に記載の配設体装置。
【請求項9】
前記通孔部の貫通孔は、前記取着体が前記配設体本体に取り付けられる前の状態で、および/または、前記取着体が前記配設体本体に取り付けられた状態で、除去可能な閉塞部材によって少なくとも一部が閉塞されており、
前記覆い部は、前記通孔部の外周全体を覆い、前記覆い部の前記通孔部と対向する内面が、前記底壁の外面よりも後方に位置し、前記内部空間と連通する後方拡張空間が形成されることを特徴とする請求項1から7に記載の配設体装置。
【請求項10】
前記配設体本体には、配線・配管材が接続されるとともに前記配設体本体の前側に設置される配線器具を固定するための一対で一組をなす配線器具取付部が少なくとも1組設けられ、前記一対の配線器具取付部は、前記前面開口部を隔てて対向するように対向方向に沿って配置され、
前記通孔部は、前記一対の配線器具取付部の間で前記対向方向に沿って延びる長孔であり、
前記外部側連通口は、前記対向方向を向いて開口していることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の配設体装置。
【請求項11】
前記配設体本体には、配線・配管材が接続されるとともに前記配設体本体の前側に設置される配線器具を固定するための一対で一組をなす配線器具取付部が複数組設けられ、前記一対の配線器具取付部は、前記前面開口部を隔てて対向するように対向方向に沿って配置され、複数組の前記一対の配線器具取付部が並設されており、
複数組の前記一対の配線器具取付部のそれぞれの前記一対の配線器具取付部の間には、前記通孔部が形成されており、前記複数の通孔部のそれぞれに対して前記取着体を互いに干渉させずに同時に取着可能であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の配設体装置。
【請求項12】
配線・配管材を配設するための配設体装置であって、
前方に前面開口部を形成する矩形環状の側壁を備え、配線・配管材を前記側壁の内側の内部空間に配設する配設体本体と、
前記配設体本体に取着される取着体と、を備え、
前記配設体本体の前記側壁の第1側面には、配線・配管材に前記側壁を内外方向に貫通させて前記内部空間に配線・配管材を導入するための導入部が設けられ、
前記配設体本体の前記第1側面と隣接する第2側面には、および/または、前記第1側面における前記導入部と異なる位置には、前記導入部の導入開口よりも大きい面積で開口する通孔部が前記側壁の内外方向に貫通形成されており、
前記取着体は、
前記側壁の外方から前記通孔部の少なくとも一部を覆うとともに、配線・配管材が通過する通過路を内側に形成する覆い部と、
前記通過路を前記側壁よりも外方に維持した状態で前記取着体を前記配設体本体に取着する取着部と、
前記通孔部を介して前記通過路と前記内部空間とを連通させる本体側連通口と、
前記通過路を外部と連通させる外部側連通口と、
を備えることを特徴とする配設体装置。
【請求項13】
前記覆い部は、前記通孔部の外周全体を覆い、前記覆い部の前記通孔部と対向する内面が、前記側壁の外面よりも外方に位置し、前記内部空間と連通する側方拡張空間が形成されることを特徴とする請求項12に記載の配設体装置。
【請求項14】
前記配設体本体および前記取着体が取着された状態で、前記外部側連通口の内外連通方向と、前記導入部の前記側壁を貫通する方向と平行であることを特徴とする請求項1、12または13に記載の配設体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線・配管材を配設するための配設体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁材などの構造体に対して、配線・配管材を配設するために種々の配設体装置が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1は、ケーブルなどの配線・配管材を保護する波付管(保護管)を接続する接続部を備えた配線ボックスを開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。特許文献1において、配線ボックス(11)は、一面(前面)に開口を有する四角箱状をなし、配線ボックス(11)内にスイッチ等の配線器具を収容して使用されるものである。配線ボックス(11)は、矩形板状をなす壁部としての底壁(12と、その底壁(12)の四側周縁から立設された壁部としての四側壁(12a)~(12d)とから四角箱状に形成されている。左側壁(12c)の外面には、一定の厚みを有し、配線ボックス(11)を柱(16)に固定する際に該柱(16)に当接される当接座部(14)が外方へ突出形成されている。配線ボックス(11)の壁部たる上側壁(12a)及び下側壁(12b)には、管接続部(20)が設けられている。管接続部(20)の管接続構造は、管挿入部(30)を備えており、さらに、各管挿入部(30)に挿通孔(18)及び係止突部(18a)と、係止爪(35)を備えている。このため、管接続部(20)の管接続構造によれば、係止突部(18a)によって管接続部(20)に小径波付管(10A)を接続可能とし、係止爪(35)によって管接続部(20)に大径波付管(10B)を接続可能とする。上側壁(12a)及び下側壁(12b)には、4つの挿通孔(18)が上側壁(12a)及び下側壁(12b)を貫通して穿設されている。各挿通孔(18)は、管接続部(20)に接続された波付管(10)内の配線・配管材(例えば、ケーブル)が挿通可能であり、配線・配管材を配線ボックス(11)内に引き込むために設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の配線ボックス(配設体本体)では、環状の側壁のうち上側壁および下側壁に、配線・配管材を導入するための挿通孔(導入部)および管接続部が予め設けられている。しかしながら、従来の配線ボックスでは、予め側壁に設けられた挿通孔および管接続部の数によって、接続可能な保護管の数が決まることから、電力用ケーブル、通信用ケーブル、AVケーブルなどの多岐に亘るケーブルを配線ボックスの管接続部ごとに仕分けして接続する場合、挿通孔および管接続部の数が不足して不便となることが特に問題であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、配線・配管材を内部に導入するための導入部を側壁に備えた配設体本体に対して、予め側壁に形成された導入部とは異なる箇所から配線・配管材を配設体本体内部に追加で導入することを可能とする配設体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の配設体装置は、配線・配管材を配設するための配設体装置であって、
底壁と、前記底壁から前方に延在し、前記底壁と対向する前面開口部を形成する環状の側壁とを備え、配線・配管材を内部空間に配設する配設体本体と、
前記配設体本体に取着される取着体と、を備え、
前記配設体本体の前記側壁には、配線・配管材に前記側壁を内外方向に貫通させて前記内部空間に配線・配管材を導入するための導入部が設けられ、
前記配設体本体の前記底壁には、前記導入部の導入開口よりも大きい面積で開口する通孔部が前記底壁の内外方向に貫通形成されており、
前記取着体は、
前記底壁の後方から前記通孔部の少なくとも一部を覆うとともに、配線・配管材が通過する通過路を内側(配設体本体側)に形成する覆い部と、
前記通過路を前記底壁よりも後方に維持した状態で前記取着体を前記配設体本体に取着する取着部と、
前記通孔部を介して前記通過路と前記内部空間とを連通させる本体側連通口と、
前記通過路を外部と連通させる外部側連通口と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の配設体装置は、請求項1に記載の配設体装置において、前記外部側連通口は、配線・配管材の配設経路を内部に形成する第1の保護管を接続するための管接続部を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の配設体装置は、請求項2に記載の配設体装置において、前記導入部は、配線・配管材の配設経路を内部に形成する第2の保護管を接続するための本体側管接続部を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の配設体装置は、請求項3に記載の配設体装置において、前記管接続部は、前記本体側管接続部に接続できない保護管を接続可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の配設体装置は、請求項3に記載の配設体装置において、前記本体側管接続部は、前記配設体本体および前記取着体が互いに組み付けられた状態で、前記第2の保護管を接続可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の配設体装置は、請求項3に記載の配設体装置において、前記管接続部に接続される前記第1の保護管の端部の軸心と、前記本体側管接続部に接続される前記第2の保護管の端部の軸心とが平行であることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の配設体装置は、請求項3に記載の配設体装置において、前記管接続部に接続される前記第1の保護管の端部の軸心と、前記本体側管接続部に接続される前記第2の保護管の端部の軸心とが互いに交差する方向に延伸していることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の配設体装置は、請求項1から7のいずれか一項に記載の配設体装置において、前記取着部は、前記通孔部を介して前記内部空間に入り込み、前記底壁の前方から前記通孔部の周縁に掛け止められる掛止手段からなることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の配設体装置は、請求項1から7のいずれか一項に記載の配設体装置において、前記通孔部の貫通孔は、前記取着体が前記配設体本体に取り付けられる前の状態で、および/または、前記取着体が前記配設体本体に取り付けられた状態で、除去可能な閉塞部材によって少なくとも一部が閉塞されており、
前記覆い部は、前記通孔部の外周全体を覆い、前記覆い部の前記通孔部と対向する内面が、前記底壁の外面よりも後方に位置し、前記内部空間と連通する後方拡張空間が形成されることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の配設体装置は、請求項1から7のいずれか一項に記載の配設体装置において、前記配設体本体には、配線・配管材が接続されるとともに前記配設体本体の前側に設置される配線器具を固定するための一対で一組をなす配線器具取付部が少なくとも1組設けられ、前記一対の配線器具取付部は、前記前面開口部を隔てて対向するように対向方向に沿って配置され、
前記通孔部は、前記一対の配線器具取付部の間で前記対向方向に沿って延びる長孔であり、
前記外部側連通口は、前記対向方向を向いて開口していることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の配設体装置は、請求項1から7のいずれか一項に記載の配設体装置において、前記配設体本体には、配線・配管材が接続されるとともに前記配設体本体の前側に設置される配線器具を固定するための一対で一組をなす配線器具取付部が複数組設けられ、前記一対の配線器具取付部は、前記前面開口部を隔てて対向するように対向方向に沿って配置され、複数組の前記一対の配線器具取付部が並設されており、
複数組の前記一対の配線器具取付部のそれぞれの前記一対の配線器具取付部の間には、前記通孔部が形成されており、前記複数の通孔部のそれぞれに対して前記取着体を互いに干渉させずに同時に取着可能であることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の配設体装置は、配線・配管材を配設するための配設体装置であって、
前方に前面開口部を形成する矩形環状の側壁を備え、配線・配管材を前記側壁の内側の内部空間に配設する配設体本体と、
前記配設体本体に取着される取着体と、を備え、
前記配設体本体の前記側壁の第1側面には、配線・配管材に前記側壁を内外方向に貫通させて前記内部空間に配線・配管材を導入するための導入部が設けられ、
前記配設体本体の前記第1側面と隣接する第2側面には、および/または、前記第1側面における前記導入部と異なる位置には、前記導入部の導入開口よりも大きい面積で開口する通孔部が前記側壁の内外方向に貫通形成されており、
前記取着体は、
前記側壁の外方から前記通孔部の少なくとも一部を覆うとともに、配線・配管材が通過する通過路を内側(配設体本体側)に形成する覆い部と、
前記通過路を前記側壁よりも外方に維持した状態で前記取着体を前記配設体本体に取着する取着部と、
前記通孔部を介して前記通過路と前記内部空間とを連通させる本体側連通口と、
前記通過路を外部と連通させる外部側連通口と、
を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の配設体装置は、請求項12に記載の配設体装置において、前記覆い部は、前記通孔部の外周全体を覆い、前記覆い部の前記通孔部と対向する内面が、前記側壁の外面よりも外方に位置し、前記内部空間と連通する側方拡張空間が形成されることを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の配設体装置は、請求項1、12または13に記載の配設体装置において、前記配設体本体および前記取着体が取着された状態で、前記外部側連通口の内外連通方向と、前記導入部の前記側壁を貫通する方向と平行であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の配設体装置によれば、覆い部によって覆われた配線・配管材の通過路を底壁よりも後方に維持した状態で、取着体が配設体本体に取着される。取着体には、配線・配管材を通過路へと導入するために、通過路を外部と連通させる外部側連通口が設けられている。そして、取着体に形成された本体側連通口が、配設体本体底壁の通孔部を介して取着体の通過路と、配設体本体の内部空間とを連通させる。すなわち、配設体装置は、外部に配設された配線・配管材を、取着体の外部側連通口から配設体本体の底壁後方の通過路に挿入し、本体側連通口および通孔部を介して配設体本体の内部空間に導入することを可能とする。これにより、配設体本体の導入部の全てが使用されている場合であっても、取着体を使用してさらなる配線・配管材を配設体本体の内部空間へと導入することが可能であり、より多数の配線・配管材に対応することができる。したがって、本発明の配設体装置は、配線・配管材を内部に導入するための導入部を側壁に備えた配設体本体に対して、予め側壁に形成された導入部とは異なる箇所から配線・配管材を配設体本体内部に追加で導入することを可能とするものである。
【0022】
請求項2に記載の配設体装置によれば、請求項1の発明の効果に加えて、配設体装置に保護管接続機能を追加し、当該外部側連通口に設けられた管接続部に、配線・配管材の配設経路を内部に形成する第1の保護管を接続して、第1の保護管によって保護された状態の配線・配管材を配設することが可能である。
【0023】
請求項3に記載の配設体装置によれば、請求項2の発明の効果に加えて、配設体装置にさらなる保護管接続機能を追加し、導入部に設けられた本体側管接続部に、配線・配管材の配設経路を内部に形成する第2の保護管を接続して、第2の保護管によって保護された状態の配線・配管材を配設することが可能である。
【0024】
請求項4に記載の配設体装置によれば、請求項3の発明の効果に加えて、管接続部を用いることにより、配設体本体に予め形成された導入部の体側管接続部で接続可能な保護管とは異なる種類の保護管を接続することが可能となる。
【0025】
請求項5に記載の配設体装置によれば、請求項3の発明の効果に加えて、配設体本体および取着体が互いに組み付けられた状態で、作業者に制限を課すことなく、第2の保護管を本体側管接続部に接続することができる。
【0026】
請求項6に記載の配設体装置によれば、請求項3の発明の効果に加えて、管接続部に接続される第1の保護管の端部の軸心と、本体側管接続部に接続される第2の保護管の端部の軸心とが平行であることにより、第1の保護管と第2の保護管とを同一方向に増設することが可能である。
【0027】
請求項7に記載の配設体装置によれば、請求項3の発明の効果に加えて、管接続部に接続される第1の保護管の端部の軸心と、本体側管接続部に接続される第2の保護管の端部の軸心とが互いに交差する方向に延伸していることにより、第1の保護管と第2の保護管とを異なる方向に増設することが可能である。
【0028】
請求項8に記載の配設体装置によれば、請求項1から7のいずれかの発明の効果に加えて、取着部に設けられた掛止手段が、通孔部を介して内部空間に入り込み、底壁の前方から通孔部の周縁に掛け止められることによって、特別な被取着手段を必要とすることなく、簡易な構成で取着体を配設体本体にしっかりと取着することが可能である。
【0029】
請求項9に記載の配設体装置によれば、請求項1から7のいずれかの発明の効果に加えて、取着体を使用して配線・配管材を導入しない場合には、通孔用閉塞部材が通孔部を閉塞しており、通孔用閉塞部材を除去することによって、内部空間から拡張された後方拡張空間を通じて配線・配管材を導入することが可能となる。そして、取着体を使用する際、覆い部が、底壁と同様に、通孔部の外周全体を覆って、内部空間および後方拡張空間の両方を保護することができる。
【0030】
請求項10に記載の配設体装置によれば、請求項1から7のいずれかの発明の効果に加えて、通孔部が一対の配線器具取付部の間で対向方向に沿って延びる長孔であり、且つ、外部側連通口が対向方向に向いて開口していることから、外部側連通口を通過する配線・配管材の延びる方向と通孔部の長手方向とが同じ方向となる。これにより、配線・配管材を通過路から本体側連通口および通孔部に通過させる際に、長孔内で余裕をもって曲げることが可能となる。また、配線器具への配線・配管材の接続位置が、一対の配線器具取付部の対向方向の異なる複数箇所であったとしても、長孔状の通孔部を介して配線・配管材をスムーズに配設することが可能である。したがって、外部側連通口から通過路を介して配設された配線・配管材を、本体側連通口および通孔部を介して配設体本体の内部空間へスムーズに配設することができる。
【0031】
請求項11に記載の配設体装置によれば、請求項1から7のいずれかの発明の効果に加えて、複数組の一対の配線器具取付部にそれぞれ設けられた複数の通孔部の全てに対して、取着体を互いに干渉させずに同時に取着することが可能であることから、配設状況に応じて、複数の通孔部(配線器具取付部)から任意に1または複数を選択して、配設体本体に複数の取着体を装着することが可能である。
【0032】
請求項12に記載の配設体装置によれば、配線・配管材が通過する通過路を側壁よりも外方に維持した状態で取着体が配設体本体に取着される。取着体には、配線・配管材を通過路へと導入するために通過路を外部と連通させる外部側連通口が設けられている。そして、取着体に形成された本体側連通口が、配設体本体側壁の通孔部を介して取着体の通過路と、配設体本体の内部空間とを連通させる。すなわち、配設体装置は、外部に配設された配線・配管材を、取着体の外部側連通口から配設体本体の側壁外方の通過路に挿入し、本体側連通口および通孔部を介して配設体本体の内部空間に導入することを可能とする。これにより、配設体本体の導入部の全てが使用されている場合であっても、取着体を使用してさらなる配線・配管材を配設体本体の内部空間へと導入することが可能であり、より多数の配線・配管材に対応することができる。したがって、本発明の配設体装置は、配線・配管材を内部に導入するための導入部を側壁の第1側面に備えた配設体本体に対して、側壁のうち第1側面に形成された導入部とは異なる(第1側面と隣接する)第2側面から配線・配管材を配設体本体内部に追加で導入することを可能とするものである。
【0033】
請求項13に記載の配設体装置によれば、請求項12の発明の効果に加えて、内部空間から拡張された側方拡張空間を通じて配線・配管材を導入することが可能となる。そして、取着体を使用する際、覆い部が、側壁と同様に、通孔部の外周全体を覆って、内部空間および側方拡張空間の両方を保護することができる。
【0034】
請求項14に記載の配設体装置によれば、請求項1、12または13の発明の効果に加えて、外部側連通口の内外連通方向と、導入部の側壁を貫通する方向と平行であることにより、配設体本体から離隔した位置で、追加の配線・配管材を同一方向に配設することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態(第1実施形態)の配設体装置の前方から見た概略斜視図。
【
図2】
図1の配設体装置の後方から見た概略斜視図。
【
図5】
図1の配設体装置の(a)平面図、および(b)底面図。
【
図10】
図9の配設体装置の配設体本体を示し、通孔用閉塞部材、導入開口用閉塞部材および隔壁を除去し、導入部に、本体側管接続部を設ける形態を示す概略斜視図。
【
図11】
図9の取着体の(a)前方から見た概略斜視図および(b)後方から見た概略斜視図。
【
図12】
図11の取着体の(a)正面図、(b)背面図、(c)平面図、(d)底面図および(e)側面図。
【
図13】
図12の取着体の(a)C-C断面図、(b)D-D断面図、および(c)E-E断面図。
【
図14】
図9の取着体の保護管接続部構造を示す概略断面図。
【
図15】
図1の配設体装置を構造体に対して設置し、配線・配管材を配設した配設構造の概略斜視図。
【
図18】本発明の一実施形態の配設体装置(第2の使用形態)を構造体に対して設置しし、配線・配管材を配設した第2の配設構造の概略正面図。
【
図20】本発明の別実施形態(第2実施形態)の配設体装置の(a)前方から見た概略斜視図、(b)後方から見た概略斜視図。
【
図21】
図20の配設体装置の(a)正面図および(b)背面図。
【
図22】
図20の配設体装置の(a)平面図(b)左側面図、および(c)右側面図。
【
図23】
図21の配設体装置の(a)H-H断面図、および(b)I-I断面図。
【
図25】
図20の配設体装置を構造体に対して設置し、配線・配管材を配設した配設構造の概略斜視図。
【
図26】本発明の別実施形態(第3実施形態)の配設体装置の(a)前方から見た概略斜視図、(b)後方から見た概略斜視図。
【
図27】
図26の配設体装置の(a)正面図および(b)背面図。
【
図28】
図26の配設体装置の(a)平面図(b)左側面図、および(c)右側面図。
【
図29】
図27の配設体装置の(a)J-J断面図、および(b)K-K断面図。
【
図31】
図26の配設体装置を構造体に対して設置し、配線・配管材を配設した配設構造の概略斜視図。
【
図32】本発明の配設体装置の取着体の変形例を示す概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、本発明における上下左右の方向は、相対的な位置を示す概念にすぎず、これらを入れ替えて適用可能であることは言うまでもない。
【0037】
本発明の一実施形態の配設体装置100は、壁材などの構造体に対して、配線・配管材を配設するために用いられるものである。本実施形態では、配設体装置100は、その前後面に壁材が形成される間柱に固定または支持され、壁裏空間から壁材の所定位置に配線・配管材を配設するように構成されている。ここで、配線・配管材はケーブルとして例示され、配設体本体は配線ボックスとして例示される。また、ケーブルは、配設ボックスに接続される保護管に内挿されて保護された状態で壁裏空間で配線される。しかしながら、本発明の配設体装置は、当該用途に限定されることなく、配線・配管材を配設するあらゆる用途に適用され得る。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態の配設体装置100を前方から見た概略斜視図である。
図2は、配設体装置100を後方から見た概略斜視図である。
図3は、配設体装置100の正面図である。
図4は、配設体装置100の背面図である。
図5(a)、(b)は、配設体装置100の平面図および底面図である。
図6は、配設体装置100の側面図である。
図7は、配設体装置100のA-A縦断面図である。
図8は、配設体装置100のB-B横断面図である。
図9は、配設体装置100の分解斜視図である。
【0039】
図1~
図9に示すように、配設体装置100は、配線・配管材を内部空間に配設する配設体本体110と、該配設体本体110に取着される取着体130と、を備える。配設体本体110および取着体130は、互いに着脱可能に一体的に連結されることで、配線・配管材の配設を可能とする。なお、本実施形態では、配設体本体110および取着体130は、それぞれ別体として、合成樹脂材料から形成されたものである。しかしながら、本発明は、これに限定されず、これらが金属板等の他の材料で形成されてもよいことは言うまでもない。以下、配設体装置100の各構成要素について詳細に説明し、次いで、配設体装置100全体の構成について説明する。
【0040】
図10を参照して、配設体本体110の構成について説明する。
図10は、配設体本体110の概略斜視図である。配設体本体110は、矩形板状の底壁111と、底壁111の各辺から前方に延在し、底壁111と対向する前面開口部116を形成する矩形環状の側壁113とを備える。すなわち、配設体本体110は、有底箱状の配線ボックスからなる。この配設体本体110の底壁111、側壁113および前面開口部116の内側の空間が、配線・配管材が配設される内部空間として定められる。ここで、
図3に示す配設体装置100の上下方向を縦方向とし、左右方向を横方向として定める。そして、矩形環状の側壁113の4つの側面のうち、正面視において横辺を成す側面を第1側面113aとし、縦辺を成す側面を第2側面113bとした。側壁113の第2側面113bには、配設体本体110を構造物(例えば、間柱の側面)に固定するための固定部118が設けられている。この固定部118は、ビスを貫通可能な前後方向に延びる長孔である。
【0041】
配設体本体110の前面開口部116の周縁(またはフランジ)には、配線器具(図示せず)をビスで固定するための複数の配線器具取付部117が設けられている。配線器具は、コンセントやスイッチなどであり、配線・配管材の先端が接続されるとともに配設体本体110の前側に設置される。そして、縦方向に前面開口部116を隔てて対向するように対向方向(縦方向)に配置された2つの配線器具取付部117,117が、一対で一組をなしている。本実施形態では、複数組(3組)の一対の配線器具取付部117,117が横方向に並設されている。すなわち、配設体本体110は、3組の配線器具取付部117,117対に対して、3つの配線器具を固定可能に構成されている。しかしながら、比較的大型の1または2つの配線器具が複数の配線器具取付部117の一部または全部を用いて固定されてもよい。さらに、横方向に隣接する一対の配線器具取付部117,117の組の間には、縦方向に延在する隔壁119が設けられている。この隔壁119は、配設体本体110の内部空間を横方向に任意に区分け可能であり、自在に着脱可能に構成されている。
【0042】
また、配設体本体110の側壁113には、配線・配管材に側壁113を内外方向に貫通させて内部空間に配線・配管材を導入するための導入部114、115が設けられている。より具体的には、側壁113のうち第1側面113aのみに、異なる径の保護管を接続可能な2種の導入部114、115が形成されている。2つの第1導入部114が、第1側面113aの横方向両端側に配置されている。各第1導入部114は、側壁113を内外方向に貫通するように第1の開口面積で開口する導入開口114aを有している。第1導入部114は、第1の外径を有する第1本体側管接続部121を接続可能である。そして、この第1本体側管接続部121は、第1の径の保護管の端部を着脱自在に接続するコネクタとして機能する。本実施形態では、保護管は、外面に凹部および凸部が軸方向に交互に連続する波付管である。また、2つの第2導入部115が、第1側面113aの2つの第1導入部114の間に配置されている。各第2導入部115は、側壁113を内外方向に貫通するように(第1の開口面積よりも大きい)第2の開口面積で開口する導入開口115aと、該導入開口115aを任意に(または必要に応じて開閉可能に)閉塞する閉塞板115bとを有している。第2導入部115は、(第1の外径よりも大きい)第2の外径を有する第2本体側管接続部122を接続可能である。この第2本体側管接続部122は、(第1の径よりも大きい)第2の径の保護管の端部を着脱自在に接続するコネクタとして機能する。そして、閉塞板115bは、第2導入部115を使用しない場合に導入開口115aを閉塞するものである。他方、第2導入部115を介して、配線・配管材を内部空間に導入する際、閉塞板115bが打ち抜かれて除去されることで、導入開口115aが開放される。なお、第2導入部115に第2本体側管接続部122が装着される場合、
図10に示すように、隔壁119が配設体本体110から除去される。
【0043】
配設体本体110の底壁111には、導入部114、115の導入開口114a、115aの開口面積よりも大きい面積で開口し得る通孔部112が底壁111の内外方向に貫通形成されている。底壁111には、互いに独立した3つの通孔部112が横方向に並んで設けられている。各通孔部112は、縦方向に長辺を有する矩形状を有する。また、複数の通孔部112は、複数組の一対の配線器具取付部117,117のそれぞれの一対の配線器具取付部117,117の間に設けられている。つまり、通孔部112は、一対の配線器具取付部117,117の間で対向方向に沿って延びる長孔である。そして、通孔部112は、底壁111を内外方向に貫通する貫通孔112aと、該貫通孔112aを任意に(または必要に応じて開閉可能に)閉塞する閉塞部材112bとを有している。この閉塞部材112bは、配設体本体110に取着体130を装着しない場合に、内部空間を後方から覆うように通孔部112(または貫通孔112a)を閉塞するものである。他方、配設体本体110に取着体130を装着する際、閉塞部材112bは、底壁111から打ち抜かれて除去されることで、貫通孔112aが開放される。また、これら複数の通孔部112は、それぞれに対して複数の取着体130を互いに干渉させずに同時に取着可能であるように構成されている。
【0044】
次に、
図11乃至
図13を参照して、取着体130の構成について説明する。
図11(a)、(b)は、取着体130の前方および後方から見た概略斜視図である。
図12(a)~(e)は、取着体130の正面図、背面図、平面図、底面図および側面図である。
図13(a)~(c)は、取着体130のC-C、D-D、E-E断面図である。
【0045】
図11から
図13に示すように、取着体130は、底壁111の後方から通孔部112の少なくとも一部を覆うとともに、配線・配管材が通過する通過路135を内側(底壁111側)に形成する覆い部131と、通過路135を底壁111よりも後方に維持した状態で当該取着体130を配設体本体110に取着するための取着部132と、通孔部112を介して通過路135と配設体本体110の内部空間とを連通させる本体側連通口133と、通過路135を外部と連通させる外部側連通口134と、を備える。
【0046】
覆い部131は、筒体を軸方向に半分に分割した半筒形状の壁材からなり、その軸方向の一端側(
図12(a)の下部)が閉塞され、他端側(
図12(a)の上部)が開放されている。そして、覆い部131の前面側には、前面側に開放された略矩形状の本体側連通口133が開口形成されている。
図13(a)に示すように、覆い部131と本体側連通口133の間には、配線・配管材が通過する通過路135が定められている。この本体側連通口133は、取着体130が配設体本体110に取着されたときに、配設体本体110の通孔部112を介して通過路135と内部空間とを連通させるように構成されている。本実施形態では、本体側連通口133が通孔部112の形状とほぼ同じであるか、またはそれよりも大きく、且つ、覆い部131が通孔部112の外周全体を覆うことが可能な形状で形成された。
【0047】
他方、覆い部131の一端(上端)側には、配設体本体110の外部空間と連通する外部側連通口134が開口形成されている。この外部側連通口134は、外部空間に配設された配線・配管材を通過路135へと導入可能に開口している。すなわち、通過路135は、外部側連通口134から本体側連通口133へと延びる空間である。この通過路135は、覆い部131の内側(前側)の空間として定められ、外部側連通口134の開口形状が保護管の管軸に沿った接続方向に連続して形成されたものであり、その(接続方向に直交する)断面積が外部側連通口134の開口面積とほぼ等しい。特には、通過路135の(管軸と直交する方向で切断した)断面形状は、接続可能な保護管(または管接続部141)の外径と同じか、それよりも小さいことが好ましい。より好ましくは、保護管の接続方向から見た
図12(c)の平面視において、覆い部131の外面が、接続される保護管や管接続部141(区画壁143外面)から管径方向外側および/または後方に突出しないように構成されている。
【0048】
また、覆い部131の本体側連通口133の周縁には、取着体130を配設体本体110に取着するための取着部132が形成されている。取着部132は、本体側連通口133の周縁から前面側に突出する4つで1組をなす弾性突出片132aから構成される。各弾性突出片132aの位置は、通孔部112の外周位置に対応している。そして、取着部132は、通孔部112を介して配設体本体110の内部空間に入り込み、底壁111の前方から通孔部112の周縁に掛け止められる掛止手段からなる。具体的には、
図13(b)に示すように、各弾性突出片132aの先端には、横方向外側に延び出る掛止爪132bが形成されている。弾性突出片132aは、掛止爪132bを内側に変位させるように横方向内側に撓み変形可能である。そして、
図8に示すように、複数の弾性突出片132aが配設体本体110の通孔部112を介して内部空間に入り込み、掛止爪132bが底壁111の前方から通孔部112の周縁に掛け止められることによって、取着体130と配設体本体110とがしっかりと連結される。本実施形態の掛止手段は、通孔部112の貫通孔112aの周縁を利用して掛け止めされるものであり、特別な被取着手段を必要とするものではない。しかしながら、被取着手段として、掛止手段と協働する他の部分が形成されてもよいことは言うまでもない。
【0049】
さらに、本実施形態の取着体130は、配線・配管材を内挿して保護する保護管を接続するように構成されている。すなわち、取着体130は、覆い部131の外部側連通口134に隣接して形成された保護管(波付管)を接続するための管接続部141をさらに備える。
【0050】
管接続部141は、
図13(a)、(c)に示すように、軸方向に延びる周壁を成す区画壁143と、該区画壁143の一部に形成され、保護管の外面を軸方向に係止する係止部155、158を有する弾性係止片151と、該区画壁143の一部に形成され、保護管の凹部に入り込んで保護管を軸方向に係止する突出部163を有する弾性片161とを備える。区画壁143は、その軸方向の一端に開放され、保護管を軸方向に挿入可能な挿入開口145、および、該挿入開口145から軸方向に挿入された保護管の端部が配置される挿入空間147を画定するように構成されている。なお、区画壁143は、弾性係止片151および弾性片161とは対照的に弾性変形を意図したものではなく、相対的に肉厚に形成されてなる。また、区画壁143の挿入開口145の反対側の端部には、保護管の軸方向奥側への移動を規制する規制壁149が形成されている。
【0051】
弾性係止片151は、
図13(a)に示すとおり、先端が基端よりも径方向内側に配置されるように、軸方向に対して異なる傾斜角度で傾斜して延びる2つの傾斜部152、153と、該傾斜部152、153を屈折させて連結する1つの屈折部と、屈折部よりも先端側に形成され、保護管の凹部を介して保護管を軸方向に係止する第1係止部155と、該第1係止部155よりも先端側に延びる延出部156と、該第1係止部155と軸方向に離間して位置するように延出部156に形成された第2係止部158と、弾性係止片151を径方向外側に弾性操作するための操作部159と、を備える。本実施形態では、第1傾斜部152が、先端側が基端側よりも径方向内側に配置されるように軸方向に対して第1の傾斜角度で傾斜して延びるように構成され、第2傾斜部153が、該第1傾斜部152よりも先端側に形成され、先端側が基端側よりも径方向内側に配置されるように軸方向に対して、第1の傾斜角度よりも大きい第2の傾斜角度で傾斜して延びるように構成された。また、延出部156は、先端側の第2傾斜部153の先端からさらに軸方向先端側に所定の長さで延在する部位である。第1係止部155は、第2傾斜部153の先端部位の(径方向内側を向く)内面に突出形成された爪片であり、第2係止部158は、延出部156の(径方向内側を向く)内面に突出形成された爪片である。
【0052】
図14は、本実施形態の取着体130の管接続部141に対して保護管13を接続した保護管接続部構造を模式的に示す縦断面図である。
図14に示すように、保護管13が挿入空間147の挿入方向(軸方向)の奥にまでしっかりと挿入されている。保護管13の先端が規制壁149に当接している。そして、弾性係止片151が原形状から径方向外側へと弾性変形した状態で、第1係止部155が保護管13の凹部に入り込んで、保護管13を軸方向に係止している。ここで、弾性係止片151は、その基端部分および屈折部154の2箇所を支点として径方向外側へと撓み変形している。すなわち、第1傾斜部152が基端部分に対して径方向外側へと弾性傾動し、第2傾斜部153が第1傾斜部152(または屈折部)に対して径方向外側へと弾性傾動している。このように、弾性係止片151の弾性復帰力によって、第1係止部155が保護管13の凹部内へと径方向内側へと付勢された結果、第1係止部155が保護管13を抜け止め状態に係止し得る。なお、管接続部141は、弾性係止片151の径方向内側への弾性復帰力を利用するものであることから、より小径の保護管の接続にも対応している。
【0053】
以上の説明を踏まえて、配設体本体110に取着体130が取着された状態の配設体装置100について説明する。配設体装置100は、配設体本体110と、該配設体本体110の底壁111の外面に装着された2つの取着体130とから構成されている。本実施形態では、底壁111の2つ(正面視の真ん中および右側)の通孔部112に対して、取着体130がそれぞれ取着されている。横方向に隣接する通孔部112に対して、取着体130が互いに干渉せずに同時に取着されている。一方で、複数の通孔部112のうち左側の通孔部112の貫通孔112aが、除去可能な通孔用の閉塞部材112bによって閉塞されている。
【0054】
図7および
図8に示すように、各取着体130は、取着部132を介して配設体本体110の底壁111の後面側に固定されている。このとき、取着体130の本体側連通口133と、配設体本体110の通孔部112(貫通孔112a)とが重合している。また、覆い部131は、通孔部112の全体を覆い、覆い部131の通孔部112と対向する内面が、底壁111の外面よりも後方に位置している。換言すると、覆い部131は、除去した閉塞部材112bに変えて、内部空間を後方から覆って保護する底壁111のように機能し得る。そして、通過路135の延びる方向が、管接続部141に接続される保護管の管軸方向に沿っているとともに、取着体130が取着された底壁111の外面に沿っている。
図5(a)に示すように、覆い部131の外面が管接続部141(区画壁143または接続される保護管)の外面よりも後方に張り出すことなく配置され、配設体装置100がコンパクトな形態を保っている。
【0055】
また、底壁111外面の後側かつ覆い部131内面の前側の空間には、配設体本体110の内部空間と連通する後方拡張空間が形成されている。すなわち、配設体装置100は、内部空間および後方拡張空間からなる、より大容量に拡張された配設空間を有している。そして、配設体装置100において、取着体130の通過路135(後方拡張空間)が外部側連通口134を介して外部に開放されていることから、外部に配設された配線・配管材を、外部側連通口134、通過路135、本体側連通口133、通孔部112を通して、配設体本体110の内部空間へと導入することが可能である。この前後方向に拡張された配設空間は、より多くの配線・配管材を内部に配設することを可能とするとともに、配線・配管材のより大きい曲率半径で曲げるための空間を確保することを可能とする。すなわち、配設体装置100は、追加の配線・配管材を導入するための通過路135を配設体本体110の外部に増設したことから、配設体本体110の内部空間を狭めることを抑えつつ、配線・配管材を取着体130側から導入することができる。さらに、配設体装置100は、導入部114、115が形成された側壁113よりも後方の後方拡張空間から配線・配管材を導入することを可能とし、曲げにくい配線・配管材や許容曲げ半径が大きい配線・配管材を、配設体本体110の前面開口部116から引き出す際に、より大きな曲げ半径を確保することができる。
【0056】
また、取着体130の外部側連通口134(または管接続部141)が、底壁111の後側の空間で、側壁113上の導入部114、115と同じ方向を向いて開口している。言い換えれば、配設体本体110および取着体130が取着された状態で、外部側連通口134の内外連通方向と、導入部114、115の側壁113を貫通する方向と平行である。すなわち、配設体装置100は、管接続部141に接続される第1の保護管の端部の軸心と、本体側管接続部121、122に接続される第2の保護管の端部の軸心とが平行であるように、異なる種類の保護管を接続可能に構成されている。
【0057】
そして、配設体装置100は、取着体130を配設体本体110に装着した状態で、第1導入部114に対して第1本体側管接続部121を装着し、第2導入部115に対して第2本体側管接続部122を装着することが可能である。取着体130の管接続部141は、第1本体側管接続部121および第2本体側管接続部122に接続できない異なる種類の(より大径の)保護管を接続可能である。つまり、配設体装置100は、第1導入部114および第2導入部115にそれぞれ第1本体側管接続部121および第2本体側管接続部122を装着することで、少なくとも3種類の保護管を接続することが可能である(
図18参照)。後述するとおり、第1本体側管接続部121および第2本体側管接続部122は、配設体本体110および取着体130が互いに組み付けられた状態で、保護管を接続および接続解除可能に構成されている。なお、本実施形態では、管接続部121、122を配設体本体110の別体として説明したが、配設体本体110は、保護管を導入部114、115に直接接続可能である周知の配線ボックスでもある。
【0058】
続いて、
図15から
図17を参照して、本実施形態の配設体装置100を構造体(間柱11)に対して設置し、配線・配管材(ケーブル12)を配設した第1の形態の配設構造10について説明する。本実施形態の配設構造10において、保護管13が壁裏空間に配設されているとともに、ケーブル12が壁裏で保護管13に内挿されて保護されている。
【0059】
図15および
図16に示すように、配設構造10において、配設体装置100は、配設体本体110および取着体130が組み付けられた状態で、間柱11に固定されている。具体的には、配設体本体110の第2側面113bが、固定部118を介して間柱11に複数のビスが打ち込まれることで、間柱11側面に固定されている。このとき、
図17に示すように、間柱11の前面と、配設体本体110の前面(前面開口部116)が略同一平面上となるように、配設体装置100が位置合わせされている。
【0060】
また、当該配設構造10では、間柱11の前面に壁材(図示せず)が形成され、その壁材に穿設された壁孔を介して、配設体本体110前面に配線器具15(
図17の仮想線で示す)が設置される。この配線器具15に対して、壁裏に配線されたケーブル12が接続される。具体的には、ケーブル12の先端が、配設体本体110の前面開口部116および壁孔を介して壁表側に引き出されて配線器具15に電気的に接続される。そして、配線器具15が配設体本体110の配線器具取付部117にビスで固定される。
【0061】
当該配設構造10では、配設体装置100の2つの取着体130の管接続部141にのみ保護管13が接続されている。保護管13は、壁裏空間で間柱11の延伸方向に沿って延びており、その内部にケーブル12を保護している。
図17に示すとおり、保護管13の内部保護空間、取着体130による後方拡張空間(通過路135)、および配設体本体110の内部空間が、ケーブル12の配設方向に沿って連続し、ケーブル12を壁裏の外部空間に(小さな隙間を除いて)露出させずに保護する一体的な保護空間を成している。
【0062】
より具体的には、ケーブル12は、
図17に示すように、保護管13の中を通って配線され、保護管13が接続された管接続部141を介して、取着体130の外部側連通口134から通過路135(または後方拡張空間)へと入り込んでいる。このケーブル12は、所定の曲率半径Rで前面側に屈曲しつつ、上端側の外部側連通口134から、通過路135を通って、前面側の本体側連通口133へと配線されている。また、ケーブル12は、本体側連通口133および通孔部112を介して、配設体本体110の内部空間へと進入している。そして、ケーブル12の先端が、配設体本体110の前面開口部116を覆う配線器具15へと接続されている。すなわち、当該配設構造10において、ケーブル12は、保護管13、取着体130の覆い部131、配設体本体110の底壁111および側壁113によって包囲または被覆された空間内に配線され、(前面以外に)外部に露出することなく確実に保護されている。
【0063】
図18および
図19は、本実施形態の配設体装置100を構造体(間柱11)に対して設置し、3種の保護管13-1、13-2、13-3を介して配線・配管材(ケーブル12-1、12-2、12-3)を配設した第2の形態の配設構造10-2の正面図および断面図である。
【0064】
第2の配設構造10-2では、第1の配設構造10と同様に、大径の第1の保護管13-1が取着体130の管接続部141に接続されていることに加えて、配設体本体110の第1導入部114および第2導入部115に第1本体側管接続部121および第2本体側管接続部122がそれぞれ装着され、第1本体側管接続部121および第2本体側管接続部122に小径の第2の保護管13-2および中間径の第3の保護管13-3が接続されている。第2の配設構造10-2では、管接続部141に接続された第1の保護管13-1の端部の軸心と、第1本体側管接続部121、第2本体側管接続部122にそれぞれ接続された第2の保護管13-2、第3の保護管13-3の端部の軸心とが平行である。ここで、第1の保護管13-1の径が第2の保護管13-2の径よりも大きく、第2の保護管13-2の径が第3の保護管13-3の径よりも大きい。各保護管13-1~3には、その内部保護空間にケーブル12-1~3が配線されている。全てのケーブル12-1~3が、配設体本体110の内部空間へと配線され、その先端が配線器具15に接続されている。
【0065】
図19に示すように、ケーブル12-1は、第1の保護管13-1の中を通って配線され、第1の保護管13-1が接続された管接続部141を介して、取着体130の外部側連通口134から通過路135(または後方拡張空間)へと入り込んでいる。このケーブル12-1は、第1の曲率半径R1で前面側に屈曲しつつ、上端側の外部側連通口134から、通過路135を通って、前面側の本体側連通口133へと配線されている。一方、ケーブル12-3は、第3の保護管13-3が接続された第2本体側管接続部122を介して、配設体本体110の第2導入部115から内部空間へと入り込んでいる。このケーブル12-3は、第2の曲率半径R2で屈曲しつつ、第1側面113aの第2導入部115から、内部空間を通って前面開口部116へと配線されている。なお、
図19では、第2の保護管13-2およびケーブル12-2が描写されていないが、ケーブル12-2は、ケーブル12-3と同様の第2の曲率半径R2で屈曲している。
【0066】
図19に示すように、ケーブル12-1が、配設体本体110の内部空間から拡張された後方拡張空間から余裕を持って前面側に屈曲していることから、第1の曲率半径R1の方が第2の曲率半径R2よりも大きい。本実施形態では、ケーブル12-1は、他のケーブル12-2,12-3よりも太く曲げにくい、または、許容曲げ半径が大きいケーブルが採用された。このように、より太く曲げにくいケーブルを後方の取着体130を通して導入した場合、後方拡張空間に曲げ空間が確保されているので、その配線が困難となることが抑えられる。したがって、配設構造10-2では、多種のケーブルの配線を余裕を持って行うことが可能となっている。
【0067】
また、配設構造10-2は、2本の保護管13-1を管接続部141に接続したまま(第1の配設構造10の形態)で、第1本体側管接続部121および第2本体側管接続部122(閉塞板115bを除去する)を第1導入部114および第2導入部115に装着し、そして、第1本体側管接続部121および第2本体側管接続部122に保護管13-2、13-3をそれぞれ接続することによって構築することが可能である。その反対に、配設構造10-2は、第1本体側管接続部121および第2本体側管接続部122に保護管13-2、13-3をそれぞれ接続したままで、2本の保護管13-1を管接続部141に接続することによっても構築することが可能である。あるいは、本発明の配設体装置100において、取着体130を配設体本体110に取着することにより、配設体本体110側への保護管(または本体側管接続部)の接続を不可能とし、取着体130の管接続部141が、第1本体側管接続部121および/または第2本体側管接続部122に対して、排他的に保護管を接続可能とするものであってもよい。このような構成とすることで、作業者に対して、配設体装置100に接続すべき種類の保護管を指示することが可能とする。
【0068】
以下、本発明の一実施形態の配設体装置100における作用効果について説明する。
【0069】
本実施形態の配設体装置100によれば、覆い部131によって覆われた配線・配管材の通過路135を底壁111よりも後方に維持した状態で、取着体130が配設体本体110に取着される。取着体130には、配線・配管材を通過路135へと導入するために、通過路135を外部と連通させる外部側連通口134が設けられている。そして、取着体130に形成された本体側連通口133が、配設体本体110の底壁111の通孔部112を介して取着体130の通過路135と、配設体本体110の内部空間とを連通させる。すなわち、配設体装置100は、外部に配設された配線・配管材を、取着体130の外部側連通口134から配設体本体110の底壁111後方の通過路135に挿入し、本体側連通口133および通孔部112を介して配設体本体110の内部空間に導入することを可能とする。これにより、配設体本体110の導入部114、115の全てが使用されている場合であっても、取着体130を使用してさらなる配線・配管材を配設体本体110の内部空間へと導入することが可能であり、より多数の配線・配管材に対応することができる。したがって、本実施形態の配設体装置100は、配線・配管材を内部空間に導入するための導入部114、115を側壁113に備えた配設体本体110に対して、配線・配管材のための通過路135を底壁111の後方に増設し、予め側壁113に形成された導入部114、115とは異なる箇所から配線・配管材を配設体本体110内部に追加で導入することを可能とするものである。
【0070】
また、従来の特許文献1のような配線ボックスでは、挿通孔および管接続部が配線ボックスの上側壁および下側壁に設けられ、保護管の接続方向が上下方向に定められていることから、異なる方向に配設された保護管を管接続部に接続するには、配線ボックスの側壁の近くで、座屈しないように大きく湾曲させることが必要となる。そのため、配線ボックスの側壁自体や、側壁に隣接する柱材などが、保護管を接続する際の障害物となって、保護管を管接続部に接続する作業が困難となるおそれがあることもまた問題として挙げられる。これに対して、本実施形態の配設体装置100は、通過路135を配設体本体110の外部に形成したことから、配設体本体110の内部空間を狭めることを抑えつつ、配線・配管材を取着体130側から導入することを可能とする。これにより、配設体本体110が固定される間柱などの構造物から比較的離れた位置から保護管の接続作業をすることが可能となり、その作業性を改善する。さらに、配設体装置100は、導入部114、115が形成された側壁113よりも後方の空間から配線・配管材を曲げながら配線することを可能とし、曲げにくい配線・配管材や許容曲げ半径が大きい配線・配管材を、配設体本体110の前面開口部116から引き出す際に、より大きな曲げ半径を確保することができる。
【0071】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の別実施形態および変形例を取り得る。以下、本発明の別実施形態および変形例を説明する。なお、各別実施形態および変形例において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、説明がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0072】
[第2実施形態]
図20から
図24を参照して、第2実施形態の配設体装置200について説明する。
図20(a)、(b)は、配設体装置200の前方および後方から見た概略斜視図である。
図21(a)、(b)は、配設体装置200の正面図および背面図である。
図22(a)~(c)は、配設体装置200の平面図、左側面図および右側面図である。
図23(a)、(b)は、配設体装置200のH-H断面図およびI-I断面図である。
図24は、配設体装置200の分解斜視図である。
【0073】
図20乃至
図24に示すように、配設体装置200は、配線・配管材を内部空間に配設する配設体本体210と、該配設体本体210に取着される取着体220と、を備える。
【0074】
配設体本体210は、底壁211と、該底壁211から前方に延在し、該底壁211と対向する前面開口部216を形成する環状の側壁213とを備える。すなわち、配設体本体210は、前面に配線器具取付部217を有する有底箱状の配線ボックスからなる。この配設体本体210の底壁211、側壁213および前面開口部216の内側の空間が、配線・配管材が配設される内部空間として定められる。側壁213の横方向の短辺をなす第1側面213aには、導入部214が設けられ、(第1側面213aに隣接する)縦方向の長辺をなす第2側面213bには、配設体本体210を構造物(例えば、間柱の側面)に固定するための固定部218が設けられている。底壁211には、導入部214の導入開口214aの開口面積よりも大きい面積で開口し得る通孔部212が底壁211の内外方向に貫通形成されている。本実施形態では、1つの通孔部212のみが底壁211に形成されている。
【0075】
取着体230は、底壁211の後方から通孔部212の少なくとも一部を覆うとともに、配線・配管材が通過する通過路235を内側(底壁211側)に形成する覆い部231と、通過路235を底壁211よりも後方に維持した状態で取着体230を配設体本体210に取着する取着部232と、通孔部212を介して通過路235と内部空間とを連通させる本体側連通口233と、通過路235を外部と連通させる外部側連通口234と、を備える。本実施形態では、取着体230は、同じ方向に開口する2つの外部側連通口234を有し、各外部側連通口234に管接続部241が設けられている。
【0076】
本実施形態の配設体装置200では、外部側連通口234(または管接続部141)が、底壁211の後側の空間で、側壁213上の導入部214と略直交する方向を向いて開口している。言い換えれば、配設体本体210および取着体230が取着された状態で、外部側連通口234の内外連通方向と、導入部214の側壁213を貫通する方向と異なる方向(ここでは直交する方向)を向いている。すなわち、配設体装置200は、管接続部241に接続される第1の保護管の端部の軸心と、本体側管接続部221に接続される第2の保護管の端部の軸心とが互いに交差(または直交)するように、異なる種類の保護管を接続可能に構成されている。
【0077】
また、覆い部231は、通孔部212の全体を覆い、該覆い部231の通孔部212と対向する内面が、底壁211の外面よりも後方に位置し、底壁211外面の後側かつ覆い部231内面の前側の空間に、配設体本体210の内部空間と連通する後方拡張空間が形成されている。つまり、配設体装置200は、内部空間および後方拡張空間からなる、より大容量に拡張された配設空間を有している。この前後方向に拡張された配設空間は、より多くの配線・配管材を内部に配設することを可能とするとともに、配線・配管材のより大きい曲率半径で曲げるための空間を確保することを可能とする。特には、配設体装置200は、通過路235を配設体本体210の外部に形成したことから、配設体本体210の内部空間を狭めることを抑えつつ、配設体本体210から離れて位置する取着体230側から配線・配管材を導入操作することを可能とし、その作業性を改善するものである。さらに、配設体装置200は、導入部214が形成された側壁213よりも後方の後方拡張空間から配線・配管材を導入することを可能とし、曲げにくい配線・配管材や許容曲げ半径が大きい配線・配管材を、配設体本体210の前面開口部216から引き出す際に、より大きな曲げ半径を確保することができる。
【0078】
図25は、第2実施形態の配設体装置200を構造体(間柱21)に対して設置し、配線・配管材(ケーブル22-1、22-2)を配設した配設構造20を示している。配設構造20は、配設構造10、10-2と同様に、ケーブル22-1、22-2を配線したものであるが、2つの大径の保護管23-1、23-1が取着体230の管接続部241に接続され、1つの小径の保保護管23-3が配設体本体210の導入部214(本体側管接続部221)に接続されている。当該配設構造20では、管接続部241に接続された第1の保護管23-1の端部の軸心と、本体側管接続部221に接続された第2の保護管23-2の端部の軸心とが交差する方向に延伸している。配設構造20においても、ケーブル22-1が、配設体本体210の内部空間から拡張された後方拡張空間から余裕を持って前面側に屈曲していることから、ケーブル12-1の第1の曲率半径R1の方がケーブル12-2の第2の曲率半径R2よりも大きい。
【0079】
したがって、本実施形態の配設体装置200は、配線・配管材を内部に導入するための導入部214を側壁213に備えた配設体本体210に対して、予め側壁213に形成された導入部214とは異なる箇所から配線・配管材を配設体本体200内部に追加で導入することを可能とするものである。
【0080】
[第3実施形態]
図26から
図30を参照して、第3実施形態の配設体装置300について説明する。
図26(a)、(b)は、配設体装置300の前方および後方から見た概略斜視図である。
図27(a)、(b)は、配設体装置300の正面図および背面図である。
図28(a)~(c)は、配設体装置200の平面図、左側面図および右側面図である。
図29(a)、(b)は、配設体装置300のJ-J断面図およびK-K断面図である。
図30は、配設体装置300の分解斜視図である。
【0081】
図26から
図30に示すように、配設体装置300は、配線・配管材を内部空間に配設する配設体本体310と、該配設体本体310に取着される取着体320と、を備える。
【0082】
配設体本体310は、底壁311と、該底壁311から前方に延在し、該底壁311と対向する前面開口部316を形成する矩形環状の側壁313とを備える。すなわち、配設体本体310は、前面に配線器具取付部317を有する有底箱状の配線ボックスからなる。この配設体本体310の環状の側壁313の内側の空間が、配線・配管材が配設される内部空間として定められる。側壁313の横方向の短辺をなす第1側面313aには、導入部314が設けられている。第1側面313aに隣接し、縦方向の長辺をなす第2側面313bの一方には、導入部314の導入開口314aの開口面積よりも大きい面積で開口する通孔部312が側壁313の内外方向に貫通形成されている。通孔部312は、縦長の矩形状の貫通孔312aである。また、第2側面313bの他方には、配設体本体310を構造物(例えば、間柱の側面)に固定するための第1の固定部318aが設けられている。同様に、底壁311には、配設体本体310を構造物(例えば、間柱の側面)に固定するための第2の固定部318bが設けられている。なお、本実施形態の配設体装置300は、側壁313に取着体330が取着されるように構成されていることから、配設体本体310から底壁311が省略されてもよい。
【0083】
取着体330は、側壁313の外方から通孔部312の少なくとも一部を覆うとともに、配線・配管材が通過する通過路335を内側(側壁313側)に形成する覆い部331と、通過路335を側壁313よりも外方に維持した状態で取着体330を配設体本体310に取着する取着部332と、通孔部312を介して通過路335と配設体本体310の内部空間とを連通させる本体側連通口333と、通過路335を外部と連通させる外部側連通口334と、を備える。なお、取着体330は、第1実施形態の取着体130と同様の構造を有している。
【0084】
本実施形態の配設体装置300では、当該取着体330の外部側連通口334(または管接続部341)が、側壁313の外側の空間で、側壁313上の導入部314と同じ方向を向いて開口している。すなわち、配設体装置300は、管接続部341に接続される第1の保護管の端部の軸心と、本体側管接続部321に接続される第2の保護管の端部の軸心とが互いに平行に延びるように、異なる種類の保護管を接続可能に構成されている。そして、通過路335の延びる方向が、管接続部341に接続される保護管の管軸方向に沿っているとともに、取着体330が取着された側壁313の外面に沿っている。
図28(a)に示すように、覆い部331の外面が管接続部341の外周よりも外側に張り出すことなく配置され、配設体装置300がコンパクトな形態を保っている。また、本実施形態の配設体装置300は、取着体330が後方ではなく側方に取着されていることから、壁厚(壁裏空間の奥行き)が狭くても設置可能である。
【0085】
また、覆い部331は、通孔部312の外周全体を覆い、該覆い部331の通孔部312と対向する内面が、側壁313の第2側面313bの外面よりも外方に位置し、側壁313の第2側面313bの外側かつ覆い部331の内側の空間には、配設体本体310の内部空間と連通する側方拡張空間が形成されている。すなわち、配設体装置300は、内部空間および側方拡張空間からなる、より大容量に拡張された配設空間を有している。この側方に拡張された配設空間は、より多くの配線・配管材(例えば余長など)を内部に配設することを可能とする。特には、配設体装置300は、通過路335を配設体本体310の外部に形成したことから、配設体本体310の内部空間を狭めることを抑えつつ、配設体本体210から離れて位置する取着体330側から配線・配管材を導入操作することができ、その作業性を改善するものである。
【0086】
図31は、第3実施形態の配設体装置300を構造体(間柱31および支持具31a)に対して設置し、配線・配管材(ケーブル32-1、32-2)を配設した配設構造30を示している。配設構造30では、間柱31に支持具31aが固定され、配設体本体310の底壁311が、第2の固定部318bを介して、間柱31の側方に延在する支持具31aの支持部にビスで固定され支持されている。
【0087】
配設構造30は、配設構造10、10-2と同様にケーブル32-1、32-2を配線したものであるが、1つの大径の保護管33-1が取着体330の管接続部341に接続され、1つの小径の保護管33-2が配設体本体310の導入部314(本体側管接続部321)に接続されている。当該配設構造30では、管接続部341に接続される第1の保護管33-1の端部の軸心と、本体側管接続部321に接続される第2の保護管33-2の端部の軸心とが平行する方向に延伸している。
【0088】
したがって、本実施形態の配設体装置300は、配線・配管材を内部に導入するための導入部314を側壁313に備えた配設体本体310に対して、予め側壁313に形成された導入部314とは異なる箇所から配線・配管材を配設体本体300内部に導入することを可能とするものである。特には、底壁311の固定手段を用いた場合であっても、取着体330が配設体装置300設置の邪魔になることなく、配設体本体310に対して増設された通過路335を介して、配線・配管材を配設体本体310内部に追加で導入することが可能である。なお、側壁313の固定手段を用いる場合、底壁311は必須ではなく省略されてもよい。
【0089】
[変形例]
(1)本発明の配設体装置は、上記実施形態の構成に限定されない。取着体は上記実施形態と異なり、互いに異なる方向を向いて開口する複数の外部側連通口を備えてもよい。例えば、
図32は、本発明の変形例の取着体430の概略斜視図である。取着体430は、異なる方向に開口する第1外部側連通口434aおよび第2外部側連通口434bを備える。そして、第1外部側連通口434aおよび第2外部側連通口434bには、それぞれ第1管接続部441aおよび第2管接続部441bが設けられている。なお、複数の外部側連通口および/または管接続部は、互いに交差する方向を向くように構成されてもよい。例えば、図示しないが、覆い部の通孔部と対向する部位に、さらなる外部側連通口が設けられてもよい。この場合も同様に、覆い部が、底壁の後方または側壁の外方から通孔部の一部を覆って、内部空間を保護することができる。
【0090】
(2)本発明の配設体装置において、取着体は、1つの外部側連通口および/または管接続部が、通過路の延びる方向と交差する方向を向くように構成されてもよい。つまり、通過路の延びる方向が、取着体側の管接続部に接続される保護管の管軸に沿っておらず、取着体が取着される底壁または側壁の外面にのみ沿うように構成されてもよい。例えば、外部側連通口および/または管接続部が、通孔部の内外貫通方向を向くように構成され得る。あるいは、本発明の取着体は、通過路の延びる方向が、取着体側の管接続部に接続される保護管の管軸に沿っている一方で、取着体が取着される底壁または側壁の外面にのみ沿うように構成されてもよい。例えば、通過路は、通孔部の内外貫通方向に沿って延びてもよい。すなわち、本発明において、通過路の延びる方向は、取着体側の管接続部に接続される保護管の管軸に沿っている、および/または、取着体が取着された底壁または側壁の外面に沿うように定められ得る。
【0091】
(3)本発明の配設体装置は、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、配設体本体の底壁および側壁の両方に通孔部を設け、それぞれの通孔部に取着体が装着されてもよい。また、配設体本体の第1側面と、該第1側面に隣接する第2側面の両方に導入部が設けられてもよい。
【0092】
(4)本発明の配設体装置は、上記実施形態の構成に限定されない。上記実施形態では、配設体本体および取着体は、それぞれ、本体側管接続部および(取着体側)管接続部を介して、配線・配管材を内挿する保護管を接続するように構成されたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、配設体本体および取着体は、保護管を接続することなく、配線・配管材をそのまま内部に引き込むように構成されてもよい。
【0093】
(5)本発明の配設体装置の構成は、上記実施形態の構成に限定されない。上記実施形態の取着体において、管接続部の弾性係止片には、第1傾斜部および第2傾斜部の2つの傾斜部、並びに、第1係止部および第2係止部の2つの係止部が形成されたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、管接続部は、保護管を接続可能であれば任意の形態を取り得る。
【0094】
(6)本発明の配設体装置は、上記実施形態の構成に限定されない。上記実施形態では、配設体本体は、矩形状の底壁および矩形環状の側壁を有する有底箱状に構成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、配設体本体の側壁は、矩形以外の多角形や、複数の曲面および/または平面を任意に組み合わせた形状であってもよい。また、配設体本体から底壁が省略されてもよい。さらに、本実施形態では、通孔部が、矩形状の長孔として形成されたが、正方形、円形、楕円形、長円、多角形状などの任意の形状から選択されてもよい。同様に、導入部の形状も任意の形状から選択され得る。
【0095】
(7)本発明の配設体装置は、上記実施形態の構成に限定されない。上記実施形態では、配設体本体の通孔部は、閉塞部材が除去されて開放された状態で取着体を装着可能に構成されたが本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明の配設体装置は、閉塞部材で貫通孔が閉塞された通孔部に対して、取着体が装着されるように構成されてもよい。この場合、閉塞部材は、配設体本体および取着体が組み付けられた状態で除去され得る。
【0096】
(8)本発明の配設体装置は、上記実施形態の構成に限定されない。上記実施形態では、通孔部が、配設体本体の導入部が形成された第1側面とは異なる面(第2側面または底壁)に形成されたが本発明はこれに限定されない。すなわち、側壁の第1側面に導入部が形成されるとともに、第1側面における導入部と異なる位置に、導入部の導入開口よりも大きい面積で開口する通孔部が側壁の内外方向に貫通形成されてもよい。
【0097】
(9)本発明の配設体装置は、上記実施形態の構成に限定されない。上記第1実施形態の配設体装置は、第1導入部の第1本体側管接続部、第2導入部の第2本体側管接続部および取着体の管接続部の全てについて、順番を問わずに同時に配設体本体に接続可能に構成されている。しかしながら、本発明の配設体装置は、同時に全ての異なる保護管を接続することが規制されるように構成されてもよい。例えば、第1本体側管接続部および管接続部の接続の組み合わせか、第1本体側管接続部および第2本体側管接続部の接続の組み合わせのみが可能であるように構成されてもよい。また、本発明において、接続の順番に規制があって、順番に従うことで全ての保護管を同時に接続可能となるように構成されてもよい。例えば、管接続部から第2本体側接続部の接続順だと取着体の管接続部の弾性係止片との干渉によって、保護管の第2本体側管接続部への接続ができないが、第2本体側接続部から管接続部の接続順だと接続可能であるように構成されてもよい。
【0098】
(10)本発明の配設体装置は、上記実施形態の構成に限定されない。上記実施形態では、配設体本体および取着体は、互いに着脱可能に取り付けられるように構成されたが本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明の配設体装置は、配設体本体および取着体が一体的に成形または固定されるように構成されてもよい。
【0099】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。すなわち、本発明の技術的範囲の下で、本実施形態の一部の構成が省略又は修正されてもよく、あるいは、他の構成が追加されてもよい。
【符号の説明】
【0100】
10 配設構造
11 間柱(構造体)
12 ケーブル(配線・配管材)
13 保護管
15 配線器具
100 配設体装置
110 配設体本体
111 底壁
112 通孔部
112a 貫通孔
112b 閉塞部材
113 側壁
113a 第1側面
113b 第2側面
114 第1導入部
114a 導入開口
115 第2導入部
115a 導入開口
115b 閉塞板
116 前面開口部
117 配線器具取付部
118 固定部
119 隔壁
121 第1本体側管接続部(小径)
122 第2本体側管接続部(大径)
130 取着体
131 覆い部
132 取着部
132a 弾性突出片(掛止手段)
132b 掛止爪(掛止手段)
133 本体側連通口
134 外部側連通口
135 通過路
141 管接続部