(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160754
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】巻回電極体の製造方法、該巻回電極体を備える蓄電デバイスの製造方法、および該巻回電極体の製造装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20241108BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20241108BHJP
H01G 11/86 20130101ALI20241108BHJP
H01G 13/02 20060101ALI20241108BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20241108BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01G11/86
H01G13/02 301B
H01G13/02 F
H01M10/052
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076057
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 功一
【テーマコード(参考)】
5E078
5E082
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AB02
5E078AB13
5E082AB04
5E082LL07
5H028AA05
5H028BB04
5H028BB08
5H028BB17
5H028CC13
5H028HH00
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ03
5H029CJ07
5H029CJ30
5H029HJ00
(57)【要約】
【課題】スプリングバックが好適に抑制された巻回電極体を備える蓄電デバイスを得ることができる技術を提供すること。
【解決手段】ここで開示される巻回電極体の製造方法の好適な一態様では、正極シート、負極シート、およびセパレータシートを用意する、用意工程(S1);上記正極シートと上記負極シートとを、上記セパレータシートを介して巻回し、巻取体を作製する、巻回工程(S2);および、上記巻取体の巻き終わり領域に存在するセパレータシートを所定の強度で引き延ばし、該巻取体に巻きつける、巻き付け工程(S3);を包含する。また、ここでは、上記巻き付け工程後に、上記巻取体をプレスして扁平状に成形するプレス工程(S4)をさらに含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極シートおよび負極シートが、セパレータシートを介して積層され、巻回された巻回電極体の製造方法であって、以下の工程:
前記正極シート、前記負極シート、および前記セパレータシートを用意する、用意工程;
前記正極シートと前記負極シートとを、前記セパレータシートを介して巻回し、巻取体を作製する、巻回工程;および
前記巻取体の巻き終わり領域に存在するセパレータシートを所定の強度で引き延ばし、該巻取体に巻きつける、巻き付け工程;
を包含する、巻回電極体の製造方法。
【請求項2】
前記所定の強度は、40N以上である、請求項1に記載の巻回電極体の製造方法。
【請求項3】
前記巻き付け工程後に、前記巻取体をプレスして扁平状に成形するプレス工程をさらに含む、請求項1または2に記載の巻回電極体の製造方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の巻回電極体の製造方法によって得られた巻回電極体を用いて蓄電デバイスを構築する、蓄電デバイスの製造方法。
【請求項5】
正極シートおよび負極シートが、セパレータシートを介して積層され、巻回された巻回電極体の製造装置であって、
前記正極シートと前記負極シートとを、前記セパレータシートを介して巻回し、巻取体を作製する、巻き芯と、
前記巻取体の巻き終わり領域に存在するセパレータシート以外のシートに張力がかからないように、前記巻取体を保持する、保持部材と、
前記巻取体の巻き終わり領域に存在するセパレータシートを、所定の強度で引き延ばす、引き延ばし部材と、
を備える、巻回電極体の製造装置。
【請求項6】
前記所定の強度は、40N以上である、請求項5に記載の巻回電極体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、巻回電極体の製造方法、該巻回電極体を備える蓄電デバイスの製造方法、および該巻回電極体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、巻回電極体を備えた二次電池の製造方法であって、耐熱層が形成されたセパレータシートを正負の電極シートの間に配置して巻回することにより巻回電極体を作製する工程を包含する二次電池の製造方法が開示されている。かかる二次電池の製造方法によって、巻回電極体の巻き緩み(以下、「スプリングバック」ともいう)を抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者の検討によると、上述したような二次電池の製造方法は、巻回電極体のスプリングバックを抑制するという観点から、まだまだ改善の余地があることがわかった。また、上述したようなスプリングバックが生じた巻回電極体によると、電池ケースに挿入する際に、該巻回電極体と封口板との接合部(例えば、巻回電極体と封口板との間に存在する電極集電端子)に負荷がかかり易いことがわかった。即ち、スプリングバックが好適に抑制された巻回電極体を備える蓄電デバイスを得ることができる技術のさらなる開発が要求されている。
【0005】
本開示は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、スプリングバックが好適に抑制された巻回電極体を備える蓄電デバイスを得ることができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を実現すべく、本開示は、正極シートおよび負極シートが、セパレータシートを介して積層され、巻回された巻回電極体の製造方法を提供する。かかる巻回電極体の製造方法は、好ましくは、上記正極シート、上記負極シート、および上記セパレータシートを用意する、用意工程を包含する。また、かかる巻回電極体の製造方法は、好ましくは、上記正極シートと上記負極シートとを、上記セパレータシートを介して巻回し、巻取体を作製する、巻回工程;を包含する。かかる巻回電極体の製造方法は、好ましくは、上記巻取体の巻き終わり領域に存在するセパレータシートを所定の強度で引き延ばし、該巻取体に巻きつける、巻き付け工程;を包含する。詳細については後述するが、かかる構成の巻回電極体の製造方法によると、スプリングバックが好適に抑制された巻回電極体を得ることができる。したがって、スプリングバックが好適に抑制された巻回電極体を備える蓄電デバイスを得ることができる。
【0007】
また、他の側面から、本開示は、ここで開示されるいずれかの巻回電極体の製造方法によって得られた巻回電極体を用いて蓄電デバイスを構築する、蓄電デバイスの製造方法を提供する。かかる構成の蓄電デバイスの製造方法によると、スプリングバックが好適に抑制された巻回電極体を備える蓄電デバイスを得ることができる。
【0008】
また、他の側面から、本開示は、正極シートおよび負極シートが、セパレータシートを介して積層され、巻回された巻回電極体の製造装置を提供する。かかる巻回電極体の製造装置は、好ましくは、上記正極シートと上記負極シートとを、上記セパレータシートを介して巻回し、巻取体を作製する、巻き芯とを備える。また、かかる巻回電極体の製造装置は、好ましくは、上記巻取体の巻き終わり領域に存在するセパレータシート以外のシートに張力がかからないように、上記巻取体を保持する、保持部材を備える。そして、かかる巻回電極体の製造装置は、好ましくは、上記巻取体の巻き終わり領域に存在するセパレータシートを、所定の強度で引き延ばす、引き延ばし部材を備える。詳細については後述するが、かかる構成の巻回電極体の製造装置によると、スプリングバックが好適に抑制された巻回電極体を得ることができる。したがって、スプリングバックが好適に抑制された巻回電極体を備える蓄電デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る電池の内部構造を模式的に示す正面図である。
【
図2】一実施形態に係る巻回電極体を模式的に示す斜視図である。
【
図3】一実施形態に係る電池の製造方法の各工程を示すフローチャートである。
【
図4】一実施形態に係る巻回電極体製造装置の構成を示す模式図である。
【
図5】一実施形態に係る巻取体の作製について説明するための模式図である。
【
図6】一実施形態に係るセパレータシートの位置の調整について説明するための模式図である。
【
図7】一実施形態に係るセパレータシートの位置の調整について説明するための模式図である。
【
図8】一実施形態に係るセパレータシートの切断について説明するための模式図である。
【
図9】一実施形態に係る巻取体の巻き終わり領域に存在するセパレータシートの引き延ばしについて説明するための模式図である。
【
図10】一実施形態に係る巻取体の巻き終わり領域に存在するセパレータシートを引き延ばしながら巻回することについて説明するための模式図である。
【
図11】一実施形態に係る巻取体に対するテープの付与について説明するための模式図である。
【
図12】一実施形態に係る巻取体の構成を示す模式図である。
【
図13】一実施形態に係るプレス前の巻取体の態様を示す模式図である。
【
図14】一実施形態に係るプレス後の巻取体の態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、ここで開示される技術のいくつかの実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここで開示される技術の実施に必要な事柄(例えば、本開示を特徴付けない蓄電デバイスの一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の説明は、本開示を以下の形態に限定することを意図したものではない。なお、ここで開示される電池の製造方法は、任意の段階でさらに他の工程を含んでもよいし、その工程が必須なものとして説明されていなければ適宜削除することも可能である。また、ここで開示される技術の効果が発揮される限りにおいて、工程の順序を入れ替えることもできる。
【0011】
本明細書において範囲を示す「A~B」の表記は、「A以上B以下」を意味する。また、「Aを超える」および「B未満」の意を包含するものとする。また、本明細書において「蓄電デバイス」とは、充電と放電とを行うことができるデバイスをいう。蓄電デバイスには、一次電池、二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池、ニッケル水素電池)等の電池と、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池)とが包含される。また、電解質は、液状電解質(電解液)、ゲル状電解質、固体電解質のいずれであってもよい。以下、ここで開示される蓄電デバイスの一実施形態であるリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池100」ともいう)を例に挙げて説明する。
【0012】
<電池の全体構成>
先ず、本実施形態に係る電池の製造方法によって得られる電池100の構成について簡単に説明する。ここで、
図1は、一実施形態に係る電池の内部構造を模式的に示す正面図である。
図2は、一実施形態に係る巻回電極体を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、電池100は、扁平形状の巻回電極体20と、非水電解質80と、巻回電極体20および非水電解質80とを収容する電池ケース(即ち外装容器)30とを備える。
【0013】
巻回電極体20は、
図2に示すように、長尺状の正極シート50と、長尺状の負極シート60とが、2枚の長尺状のセパレータシート70を介して積層された積層体が、長手方向に巻回された形態を有する。正極シート50は、長尺状の正極集電箔52の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って正極活物質層54が形成された構成を有する。負極シート60は、長尺状の負極集電箔62の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って負極活物質層64が形成されている構成を有する。正極活物質層非形成部分52a(すなわち、正極活物質層54が形成されずに正極集電箔52が露出した部分)および負極活物質層非形成部分62a(すなわち、負極活物質層64が形成されずに負極集電箔62が露出した部分)は、巻回電極体20の巻回軸方向(すなわち、上記長手方向に直交する幅方向)の両端から外方にはみ出すように形成されている。また、巻回軸方向における中央部には、正極活物質層54および負極活物質層64が対向するコア部20aが存在している。正極活物質層非形成部分52aが複数積層された正極集電箔積層部52Aおよび負極活物質層非形成部分62aが複数積層された負極集電箔積層部62Aには、それぞれ正極集電端子42aおよび負極集電端子44aが接合されている。なお、
図2中のWLは巻回軸を示している。
【0014】
正極シート50を構成する正極集電箔52としては、リチウムイオン二次電池に用いられる公知の正極集電箔を用いてよく、その例としては、アルミニウム箔やアルミニウム合金箔等が挙げられる。正極集電箔52の厚みは、特に限定されず、例えば3μm~35μmであり、好ましくは5μm~20μmである。
【0015】
正極活物質層54は、正極活物質を含有する。正極活物質としては、リチウムイオン二次電池に用いられる公知の正極活物質を用いてよい。具体的に例えば、正極活物質として、リチウム複合酸化物、リチウム遷移金属リン酸化合物等を用いることができる。正極活物質の結晶構造は、特に限定されず、層状構造、スピネル構造、オリビン構造等であってよい。リチウム複合酸化物の例としては、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム系複合酸化物、リチウム鉄ニッケルマンガン系複合酸化物等が挙げられる。これらの正極活物質は、1種単独で用いてよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。正極活物質として好ましくは、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物である。
【0016】
正極活物質の平均粒子径(メジアン径:D50)は、特に限定されないが、例えば、0.05μm~25μmであり、好ましくは1μm~20μmであり、より好ましくは3μm~15μmである。なお、正極活物質の平均粒子径(D50)は、例えば、レーザ回折散乱法により求めることができる。
【0017】
正極活物質層54中の正極活物質の含有量(すなわち、正極活物質層54の全質量に対する正極活物質の含有量)は、特に限定されないが、例えば80質量%以上であり、好ましくは85質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上である。
【0018】
正極活物質層54は、正極活物質以外の成分(すなわち、任意成分)を含有していてもよい。当該任意成分の例としては、導電材、バインダ等が挙げられる。導電材としては、例えば、カーボンブラック(例、アセチレンブラック)、カーボンナノチューブ(CNT)、グラファイト等の炭素材料を好適に使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用し得る。導電材としてCNTを用いる場合、正極活物質層54は、CNTの分散剤をさらに含有していてもよい。
【0019】
正極活物質層54中の導電材の含有量は、特に制限はないが、0.1質量%~15質量%が好ましく、0.5質量%~13質量%がより好ましい。正極活物質層54中のバインダの含有量は、特に制限はないが、1質量%~15質量%が好ましく、1.5質量%~10質量%がより好ましい。また、正極活物質層54の厚みは、特に限定されないが、例えば、10μm~300μmであり、好ましくは20μm~200μmである。そして、正極シート50は、正極活物質層非形成部分52aと正極活物質層54との境界部に絶縁層(図示せず)を含有していてもよい。当該絶縁層は、例えば、セラミック粒子等を含有する。
【0020】
負極シート60を構成する負極集電箔62としては、リチウムイオン二次電池に用いられる公知の負極集電箔を用いてよく、その例としては、銅箔が挙げられる。負極集電箔62の厚みは、特に限定されず、例えば3μm~35μmであり、好ましくは5μm~20μmである。
【0021】
負極活物質層64は負極活物質を含有する。当該負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。黒鉛は、天然黒鉛であっても人造黒鉛であってもよく、黒鉛が非晶質な炭素材料で被覆された形態の非晶質炭素被覆黒鉛であってもよい。
【0022】
負極活物質の平均粒子径(メジアン径:D50)は、特に限定されないが、例えば、0.1μm~50μmであり、好ましくは1μm~25μmであり、より好ましくは5μm~20μmである。なお、負極活物質の平均粒子径(D50)は、例えば、レーザ回折散乱法により求めることができる。
【0023】
負極活物質層64は、活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。また、負極活物質層64中の負極活物質の含有量は、90質量%以上が好ましく、95質量%~99質量%がより好ましい。負極活物質層64中のバインダの含有量は、0.1質量%~8質量%が好ましく、0.5質量%~3質量%がより好ましい。負極活物質層64中の増粘剤の含有量は、0.3質量%~3質量%が好ましく、0.5質量%~2質量%がより好ましい。そして、負極活物質層64の厚みは、特に限定されないが、例えば、10μm~300μmであり、好ましくは20μm~200μmである。
【0024】
セパレータシート70としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から構成される多孔性シート(フィルム)が挙げられる。このなかでも、後述するような引き延ばし部材216による引き延ばしに好適に用いることができるという観点から、セパレータシート70は、PEやPP等のポリオレフィン系樹脂から構成されるセパレータシートであることが好ましい。また、かかる多孔性シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。セパレータシート70の表面には、耐熱層(HRL)が設けられていてもよい。
【0025】
セパレータシート70の厚みは特に限定されないが、例えば5μm~50μmであり、好ましくは10μm~30μmである。本実施形態では、巻回電極体20はセパレータシート70を2枚含む。セパレータシート70の透気度は、例えば30sec/100cc~500sec/100ccであり、30sec/100cc~300sec/100ccや50sec/100cc~200sec/100ccであってもよい。なお、本実施形態では、2枚のセパレータを同じ構成としているが、他の実施形態では、異なる構成としてもよい。なお、他の実施形態では、セパレータシート70は1枚であってもよい。また、本実施形態のように、セパレータシート70としては、巻取体20Aの巻き終わり領域にセパレータシート70が存在するように、正極シート50および負極シート60よりも長尺なものを準備することが好ましい(
図2のセパレータシート70Aを参照)。
【0026】
特に限定されるものではないが、セパレータシート70の引張強度は、例えば0.1MPa以上であり、後述する引き延ばし部材216による引き延ばしにより好適に用いることができるという観点から、好ましくは0.5MPa以上であり、より好ましくは1MPa以上である。また、セパレータシート70の引張強度の上限は、例えば10MPa以下であり、7MPa以下であってもよい。かかる引張強度は、例えばJIS K7161に基づいて測定することができる。
【0027】
巻回電極体20(あるいは、後述する巻取体20A)の巻回数(ターン数)は、特に限定されないが、例えば10以上であり、20以上、30以上、40以上であってもよい。また、かかる巻回数の上限は、例えば60以下であり、50以下であってもよい。
【0028】
非水電解質80は、典型的には、非水溶媒と支持塩(電解質塩)とを含有する。非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。なかでも、カーボネート類とエステル類とが好ましく、その具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等が例示される。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0029】
支持塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のリチウム塩(好ましくはLiPF6)を好適に用いることができる。支持塩の濃度は、0.7mol/L~1.3mol/Lが好ましい。
【0030】
なお、非水電解質80は、本開示の効果を著しく損なわない限りにおいて、上述した成分以外の成分、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、オキサラト錯体等の被膜形成剤;ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等のガス発生剤;増粘剤;等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0031】
電池ケース30は、ケース本体32と、蓋体34とを有している。電池ケース30は、例えば金属製(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼等)である。良好な導電性、熱伝導性、および強度を有し、かつ軽量であることから、電池ケース30は、好ましくはアルミニウム製である。ケース本体32は、扁平直方体形状を有し、その面の一つ(図において上面)は、開口部となっている。蓋体34は、当該開口部の形状に適合する略長方形状を有している。蓋体34には、外部接続用の正極端子42および負極端子44と、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36とが設けられている。また、蓋体には、非水電解質80を注入するための注液孔(図示せず)が設けられている。正極端子42は、正極集電端子42aと電気的に接続されている。負極端子44は、負極集電端子44aと電気的に接続されている。正極端子42や正極集電端子42aは、例えばアルミニウムやアルミニウム合金等から構成されている。負極端子44や負極集電端子44aは、例えば銅や銅合金等から構成されている。
【0032】
<巻回電極体の製造装置>
次に、本実施形態に係る巻回電極体の製造装置について説明する。ここで、
図4は、一実施形態に係る巻回電極体製造装置の構成を示す模式図である。
図5は、一実施形態に係る巻取体の作製について説明するための模式図である。
図6および
図7は、一実施形態に係るセパレータシートの位置の調整について説明するための模式図である。
図8は、一実施形態に係るセパレータシートの切断について説明するための模式図である。
図9は、一実施形態に係る巻取体の巻き終わり領域に存在するセパレータシートの引き延ばしについて説明するための模式図である。
図10は、一実施形態に係る巻取体の巻き終わり領域に存在するセパレータシートを引き延ばしながら巻回することについて説明するための模式図である。
図11は、一実施形態に係る巻取体に対するテープの付与について説明するための模式図である。
図12は、一実施形態に係る巻取体の構成を示す模式図である。なお、
図9~
図11では、説明し易くするために、第1巻き芯204のみを記載している。
【0033】
ここで、「巻き終わり領域」とは、巻取体を構成するシートのターン(周)のうち、例えば最外周(
図12では、P1~P2の領域に対応)から該最外周よりも内周5周以内の領域、4周以内の領域、3周以内の領域、2周以内の領域、1周以内の領域であってもよい。あるいは、「巻き終わり領域」とは、巻取体を構成するシートのターン(周)のうち、最外周のみであってもよいし、最外周における1/2周以内の領域であってもよい。例えば、本実施形態では、かかる巻き終わり領域を最外周のみ(即ち、
図12中のP1~P2の領域)とし、後述する巻き付け工程において該最外周に存在するセパレータシート70Aを引き延ばしている。また、後述する巻き付け工程においてセパレータシート70を引き延ばし易くするという観点から、本実施形態のように、巻取体20Aの巻き終わり領域は、正極シート50および負極シート60を含まず、2枚のセパレータシート70のみから構成されていることが好ましい。ただし、ここで開示される技術は、上記記載に限定されるものではない。
【0034】
先ず、本実施形態に係る巻回電極体製造装置200は、正極シート50および負極シート60が、セパレータシート70を介して積層され、巻回された巻回電極体20の製造装置である。巻回電極体製造装置200は、正極シート50と負極シート60とを、セパレータシート70を介して巻回し、巻取体20Aを作製する、巻き芯(ここでは、第1巻き芯204)を備える。また、巻回電極体製造装置200は、巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70A以外のシート(ここでは、巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70Aよりも内周側に存在する正極シート50,負極シート60,およびセパレータシート70)に張力がかからないように、巻取体20Aを保持する、保持部材214を備える。そして、巻回電極体製造装置200は、巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70Aを、所定の強度で引き延ばす、引き延ばし部材216を備える。
【0035】
上述したように、巻回電極体製造装置200は、巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70A以外のシートに張力がかからないように、巻取体20Aを保持する、保持部材214と、巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70を、所定の強度で引き延ばす、引き延ばし部材216と、を備えている。これによって、巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70Aを選択的に引き延ばし、該引き延ばされたセパレータシート70Aによって巻取体20Aを固縛することができる。そして、かかる固縛によって、巻取体20A(巻回電極体20)に荷重をかけ続けることができるため、巻回電極体20のスプリングバックを好適に抑制することができる。以下、本実施形態に係る巻回電極体製造装置200における各構成要素について説明する。
【0036】
図4に示す第1巻き芯204は、正極シート50と負極シート60とを、セパレータシート70を介して巻き取る部材である。第1巻き芯204は、側周面に巻き付けられる各々のシートを保持する機能を有する。また、
図4に示すように、本実施形態では、第1巻き芯204以外に、第2巻き芯206と第3巻き芯208とを備えている。ここで、第3巻き芯208は、後述のセパレータシート70の位置を調整する際に稼働する部材である。第1巻き芯204,第2巻き芯206,および第3巻き芯208は、インデックス202内に存在する。なお、第1巻き芯204,第2巻き芯206,および第3巻き芯208は、ここでは2つの半円状の部材であり、かつ、2分割された構造としているが、これらの巻き芯の形状は円筒状であってもよいし、扁平な形状に巻回する場合には、扁平な巻き芯が用いられてもよい。
【0037】
図7に示す調整ローラ210は、後述のセパレータシート70の切断時にセパレータシート70の位置を適切な位置に調整するローラである。また、
図8に示すカッター212は、セパレータシート70を所望の長さに切断するカッターである。
【0038】
図9に示す保持部材214は、巻取体20Aの巻き終わり領域(ここでは、
図12中のP1~P2の領域)に存在するセパレータシート70A以外のシート(ここでは、正極シート50,負極シート60,およびセパレータシート70)に張力がかからないように、巻取体20Aを保持する部材である。保持部材214によって、巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70Aを選択的に引き延ばすことができる。なお、このとき、巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70Aよりも内周側に存在する正極シート50,負極シート60,およびセパレータシート70の増し締りは抑制される。本実施形態では、保持部材214の形状を円筒状としているが、これに限定されず、他の実施形態では、矩形状、楕円形状等のその他種々の形状とすることができる。
【0039】
引き延ばし部材216は、巻取体20Aの最外周に存在するセパレータシート70Aを、所定の強度で引き延ばす部材である。
図9に示すように、引き延ばし部材216は、ここでは、セパレータシート70を保持するためのチャック216A(例えば、静電チャック)と、セパレータシート70を引き延ばすためのばね216Bを備えている。ばね216Bは、例えば図示しないシリンダ等に接続されている。ここで、引き延ばし部材216の、巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70Aを引き延ばす強度(以下、単に「引き延ばし強度」ともいう)は、例えば20N以上、30N以上であり、引き延ばされたセパレータシート70Aによって巻取体20Aを好適に固縛するという観点から、好ましくは40N以上であり、より好ましくは50N以上であり、さらに好ましくは60N以上である。また、かかる引き延ばし強度は、例えば100N以下であり、セパレータシート70Aの破断等を好適に防止するという観点から、好ましくは90N以下であり、より好ましくは80N以下であり、さらに好ましくは70N以下である。
【0040】
図11に示すテープ貼り付け部材218は、巻取体20Aのセパレータシート70の巻き終わり端部に巻き止めテープを貼りつける部材である。かかるテープとしては、この種の巻取体に用いられる巻き止めテープを特に制限なく用いることができる。
【0041】
巻回電極体製造装置200の各構成要素は、それぞれ所要のアクチュエータを適宜に有していることが好ましい。制御装置は、予め設定されたプログラムに沿って所定のタイミングで所要の動作が実行されるように、巻回電極体製造装置200の各構成要素を制御するように構成されている。制御装置は、例えば、マイクロコントローラのようなコンピュータによって具現化され得る。
【0042】
<巻回電極体の製造方法>
続いて、本実施形態に係る巻回電極体の製造方法について、巻回電極体の製造方法を具現化する巻回電極体製造装置200を交えて説明する。ここで、
図3は、一実施形態に係る電池の製造方法の各工程を示すフローチャートである。先ず、本実施形態に係る巻回電極体の製造方法は、正極シート50および負極シート60が、セパレータシート70を介して積層され、巻回された巻回電極体20の製造方法である。かかる巻回電極体の製造方法は、正極シート50、負極シート60、およびセパレータシート70を用意する、用意工程(ステップS1);を包含する。また、かかる巻回電極体の製造方法は、正極シート50と負極シート60とを、セパレータシート70を介して巻回し、巻取体20Aを作製する、巻回工程(ステップS2);を包含する。また、かかる巻回電極体の製造方法は、
巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70Aを所定の強度で引き延ばし、巻取体20Aに巻きつける、巻き付け工程(ステップS3);を包含する。また、本実施形態では、上記巻き付け工程後に、巻取体20Aをプレスして扁平状に成形するプレス工程(ステップS4)をさらに含む。
【0043】
上述したように、上記巻回電極体の製造方法では、巻回工程(ステップS2)において、巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70Aを所定の強度で引き延ばし、巻取体20Aに巻き付ける。これによって、引き延ばされたセパレータシート70Aによって巻取体20Aを固縛することができる。そして、かかる固縛によって、巻取体20A(巻回電極体20)に荷重をかけ続けることができるため、巻回電極体20のスプリングバックを好適に抑制することができる。以下、各工程について説明する。
【0044】
(用意工程:ステップS1)
本工程では、正極シート50、負極シート60、およびセパレータシート70を用意する。本実施形態では、セパレータシート70を2枚用意する。また、本実施形態のように、セパレータシート70としては、巻取体20Aの巻き終わり領域にセパレータシート70が存在するように、正極シート50および負極シート60よりも長尺なものを準備することが好ましい。
【0045】
(巻回工程:ステップS2)
本工程では、正極シート50と負極シート60とを、セパレータシート70を介して巻回し、巻取体20Aを作製する。また、本実施形態では、巻き終わり領域にセパレータシート70のみが存在するように、巻取体20Aを作製する。具体的には、先ず、
図5に示すように、正極シート50,負極シート60,およびセパレータシート70を、第1巻き芯204に巻き取る。このとき、セパレータシート70の位置調整の妨げとならないように、第3巻き芯208は奥に移動している。次に、
図6に示すように、インデックス202を矢印S方向に120°回転させる。続いて、
図7に示すように、第3巻き芯208を、セパレータシート70を挟み込めるような角度だけ回転させる。また、調整ローラ210によって、第3巻き芯208がセパレータシート70を挟み込めるように、セパレータシート70の位置を調整する。そして、第3巻き芯208をインデックス202の表面に前進させる。次に、
図8に示すように、カッター212によってセパレータシート70を所望の長さに切断する。このとき、カッター212の両側に存在するセパレータシート70は、チャック216Aによって押さえておくことが好ましい。
【0046】
(巻き付け工程:ステップS3)
本工程では、巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70Aを所定の強度で引き延ばした状態で、巻取体20Aに巻きつける。具体的には、先ず、
図9に示すように、巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70A以外のシート(ここでは、巻取体20Aの巻き終わり領域以外に存在する正極シート50,負極シート60,およびセパレータシート70)に張力がかからないように、巻取体20Aを保持部材214によって保持する。なお、このとき、巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70Aよりも内周側に存在する正極シート50,負極シート60,およびセパレータシート70の増し締りは抑制される。そして、
図9および
図10に示すように、巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70Aを、引き延ばし部材216によって矢印T方向に所定の強度で引き延ばした状態で、巻取体20Aに巻き付ける。このとき、第1巻き芯204の矢印V方向における速度と、引き延ばし部材216の矢印U方向における速度と、を同期させることによって、セパレータシート70Aを引き延ばした状態で巻取体20Aに巻き付けることができる。あるいは、かかるフィードバック制御をしない場合でも、多少の径の差であればばね216Bの長さによって吸収することもできる。なお、巻取体20Aの巻き終わり領域に存在するセパレータシート70Aを引き延ばす強度に関しては、<巻回電極体の製造装置>の欄で説明した引き延ばし強度を参照することができる。
【0047】
次に、
図11に示すように、保持部材214を矢印W方向に後退させる。そして、上記のとおり作製した巻取体20Aの巻き取り端部に対して、テープ貼り付け部材によって巻き取りテープを付与する。
【0048】
(プレス工程:ステップS4)
また、本実施形態では、上記巻き付け工程後に、巻取体20Aをプレスして扁平状に成形するプレス工程をさらに含む。ここで、
図13は、一実施形態に係る巻取体のプレス前の態様を示す模式図である。また、
図14は、一実施形態に係る巻取体のプレス後の態様を示す模式図である。かかるプレス工程は、上記のとおり作製した巻取体20Aをプレス機300によって白抜き矢印方向にプレスすることで、実施することができる。特に限定されるものではないが、かかるプレス圧は、例えば20N~200kN(好ましくは、50N~120kN)とすることができる。また、かかるプレスは、加熱プレスであってもよいし、加熱なしのプレスであってもよい。かかるプレス工程を行うことによって、作製した巻回電極体20のスプリングバックをより好適に抑制することができる。以上のようにして、巻回電極体20を作製することができる。
【0049】
<電池の製造方法>
続いて、上記のとおり作製した巻回電極体20における正極集電箔積層部52Aおよび負極集電箔積層部62Aに対して、抵抗溶接、超音波溶接等によって正極集電端子42aおよび負極集電端子44aをそれぞれ取り付ける。なお、ここでは、電池ケース30の蓋体34に、正極端子42、負極端子44、正極集電端子42a、および負極集電端子44aが取り付けられているものとする。これによって、巻回電極体20が電池ケース30の蓋体34に接続される。そして、巻回電極体20を、ケース本体32の開口部から、ケース本体32の内部に挿入する。その後、ケース本体32と蓋体34をレーザ溶接等によって封止する。
【0050】
次に、公知方法に従い、非水電解質80を用意する。電池ケース30の蓋体34の注液孔から、非水電解質80を電池ケース30の内部に注液し、注液孔を封止する。このようにして、電池100を得ることができる。
【0051】
電池100は、各種用途に利用可能である。具体的な用途としては、パソコン、携帯電子機器、携帯端末等のポータブル電源;電気自動車(BEV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の車両駆動用電源;小型電力貯蔵装置の蓄電池などが挙げられ、なかでも、車両駆動用電源が好ましい。電池100は、典型的には複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態でも使用され得る。
【0052】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本開示は、他にも種々の形態にて実施することができる。本開示は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0053】
例えば、上記実施形態では、巻回電極体20の形状を扁平状としているが、これに限定されない。他の実施形態では、巻回電極体の形状は円筒状等であってもよい。
【0054】
例えば、上記実施形態では、巻回電極体の製造方法は、プレス工程(ステップS4)を包含しているが、これに限定されない。例えば、巻回電極体が円筒状の場合等は、かかるプレス工程を除くことができる。
【0055】
以上、本開示の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本開示は、他にも種々の形態にて実施することができる。本開示は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0056】
以上のとおり、ここで開示される技術の具体的な態様として、以下の各項(item)に記載のものが挙げられる。
項1:正極シートおよび負極シートが、セパレータシートを介して積層され、巻回された巻回電極体の製造方法であって、以下の工程:上記正極シート、上記負極シート、および上記セパレータシートを用意する、用意工程;上記正極シートと上記負極シートとを、上記セパレータシートを介して巻回し、巻取体を作製する、巻回工程;および、上記巻取体の巻き終わり領域に存在するセパレータシートを所定の強度で引き延ばし、該巻取体に巻きつける、巻き付け工程;を包含する、巻回電極体の製造方法。
項2:上記所定の強度は、40N以上である、項1に記載の巻回電極体の製造方法。
項3:上記巻き付け工程後に、上記巻取体をプレスして扁平状に成形するプレス工程をさらに含む、項1または項2に記載の巻回電極体の製造方法。
項4:項1~項3のいずれか一つに記載の巻回電極体の製造方法によって得られた巻回電極体を用いて蓄電デバイスを構築する、蓄電デバイスの製造方法。
項5:正極シートおよび負極シートが、セパレータシートを介して積層され、巻回された巻回電極体の製造装置であって、上記正極シートと上記負極シートとを、上記セパレータシートを介して巻回し、巻取体を作製する、巻き芯と、上記巻取体の巻き終わり領域に存在するセパレータシート以外のシートに張力がかからないように、上記巻取体を保持する、保持部材と、上記巻取体の巻き終わり領域に存在するセパレータシートを、所定の強度で引き延ばす、引き延ばし部材と、を備える、巻回電極体の製造装置。
項6:上記所定の強度は、40N以上である、項5に記載の巻回電極体の製造装置。
【符号の説明】
【0057】
20 巻回電極体
20a コア部
30 電池ケース
32 ケース本体
34 蓋体
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電端子
44 負極端子
44a 負極集電端子
50 正極シート(正極)
52 正極集電箔
52a 正極活物質層非形成部分
52A 正極集電箔積層部
54 正極活物質層
60 負極シート(正極)
62 負極集電箔
62a 負極活物質層非形成部分
62A 負極集電箔積層部
64 負極活物質層
70 セパレータシート(セパレータ)
80 非水電解質
100 電池
200 巻回電極体製造装置
202 インデックス
204 第1巻き芯
206 第2巻き芯
208 第3巻き芯
210 調整ローラ
212 カッター
214 保持部材
216 引き延ばし部材
218 テープ貼り付け部材
300 プレス機