(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160764
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】雨水利用システム
(51)【国際特許分類】
E04B 1/76 20060101AFI20241108BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20241108BHJP
A47K 3/28 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
E04B1/76 300
F24F5/00 Z
A47K3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076075
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003915
【氏名又は名称】弁理士法人岡田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆寛
【テーマコード(参考)】
2D132
2E001
3L054
【Fターム(参考)】
2D132FA15
2D132FB04
2D132FC01
2D132FF02
2E001DD04
2E001FA14
2E001GA08
3L054BE03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】雨水を有効活用することができる雨水利用システムを提供する。
【解決手段】雨水利用システム100は、雨水を含む水を貯めるための少なくとも1つの雨水貯液槽10と、雨水貯液槽10内の水を送水する給水ポンプ20と、給水ポンプ20から給水を受けて、人P及び建築物70を含む対象物に水を散水するための散水部30と、外気温及び室温の少なくともいずれかの気温を測定するための少なくとも1つの第1気温計T1と、第1気温計T1が測定した気温が第1時間のあいだ第1気温以上と判定すると、給水ポンプ20を作動状態に制御する制御部40と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水を含む水を貯めるための少なくとも1つの雨水貯液槽と、
前記雨水貯液槽内の水を送水する給水ポンプと、
前記給水ポンプから給水を受けて、人及び建築物を含む対象物に水を散水するための散水部と、
外気温及び室温の少なくともいずれかの気温を測定するための少なくとも1つの気温計と、
前記気温計が測定した気温が第1時間のあいだ第1気温以上と判定すると、前記給水ポンプを作動状態に制御する制御部と、
を備える雨水利用システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記気温計が測定した気温が第2時間のあいだ第2気温以下と判定すると、前記給水ポンプを停止状態に制御し、
前記第2気温は前記第1気温よりも低い、請求項1に記載の雨水利用システム。
【請求項3】
前記雨水貯液槽内の水の水位を検出する液面計と、
前記雨水貯液槽への水の供給を停止するための遮断バルブと、をさらに備え、
前記制御部は、前記液面計が検出した水位が第1水位以上と判定すると、前記遮断バルブを閉状態とすることにより前記雨水貯液槽への水の供給を停止させる、請求項1又は2に記載の雨水利用システム。
【請求項4】
前記雨水貯液槽内の水の水位を検出する液面計と、
前記雨水貯液槽に水道水を供給する水道水供給部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記液面計が検出した水位が第2水位以下と判定すると、前記水道水供給部から前記雨水貯液槽に水道水を供給させる、請求項1又は2に記載の雨水利用システム。
【請求項5】
前記雨水貯液槽内の水の水温を測定するための水温計と、
前記制御部は、前記水温計が検出した水温が第1水温以上と判定すると、前記給水ポンプを停止状態に制御する、請求項1又は2に記載の雨水利用システム。
【請求項6】
前記雨水貯液槽内の水の水温を測定するための水温計と、
前記雨水貯液槽内の水を排出するための排出部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記水温計が検出した水温が第2水温以下と判定すると、前記排出部から前記雨水貯液槽内の水を排出する、請求項1又は2に記載の雨水利用システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの気温計は、異なる場所に配置された2つの気温計を含み、
前記制御部は、前記2つの気温計のいずれか1つが測定した気温が前記第1時間のあいだ前記第1気温以上と判定すると、前記給水ポンプを前記作動状態に制御する、請求項1又は2に記載の雨水利用システム。
【請求項8】
前記雨水貯液槽に送水される前記雨水を浄化する浄化装置をさらに備える、請求項1又は2に記載の雨水利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、雨水利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、家屋で居住する人が高温によって不快感を感じたり、熱中症にならないための散水システムが開示されている。具体的に、特許文献1には、家屋の屋根部及び側壁部に取り付けられ、家庭の水道管から水道水が給水される給水管と、家屋の外側の全方位にミストを噴出する複数の噴射ノズルと、を備えた散水システムが開示されている。これにより、噴射ノズルから家屋の外側の全方位にミストが噴出されるため、家屋の外側にミストの層が形成される。このミストの層の気化熱によって家屋が冷却され、家屋内を快適な温度に維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、水道管から給水された水道水を用いて家屋の冷却を行っているため、雨水が有効活用されていない点で改善の余地がある。
【0005】
したがって、本発明では、雨水を有効活用することができる雨水利用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る雨水利用システムは、雨水を含む水を貯めるための少なくとも1つの雨水貯液槽と、雨水貯液槽内の水を送水する給水ポンプと、給水ポンプから給水を受けて、人及び建築物を含む対象物に水を散水するための散水部と、外気温及び室温の少なくともいずれかの気温を測定するための少なくとも1つの気温計と、気温計が測定した気温が第1時間のあいだ第1気温以上と判定すると、給水ポンプを作動状態に制御する制御部と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、外気温及び室温の少なくともいずれかの気温が第1時間のあいだ第1気温以上であると給水ポンプが作動状態となり、散水部から人及び建築物を含む対象物に水の散水が行われる。散水された水の気化熱による冷却によって対象物を冷却することができる。散水部から散水される水は雨水を含む水を貯めている雨水貯液槽から供給されるため、雨水を有効活用しつつ、人等が熱中症を発症することを抑制すること、及び、高温となった家屋、ビル、道路等の建築物を冷却すること等の少なくともいずれかを達成することができる。
【0008】
制御部は、気温計が測定した気温が第2時間のあいだ第2気温以下と判定すると、給水ポンプを停止状態に制御し、第2気温は第1気温よりも低いことが好ましい。
【0009】
雨水貯液槽内の水の水位を検出する液面計と、雨水貯液槽への水の供給を停止するための遮断バルブと、をさらに備え、制御部は、液面計が検出した水位が第1水位以上と判定すると、遮断バルブを閉状態とすることにより雨水貯液槽への水の供給を停止させることが好ましい。
【0010】
雨水貯液槽内の水の水位を検出する液面計と、雨水貯液槽に水道水を供給する水道水供給部と、をさらに備え、制御部は、液面計が検出した水位が第2水位以下と判定すると、水道水供給部から雨水貯液槽に水道水を供給させることが好ましい。
【0011】
雨水貯液槽内の水の水温を測定するための水温計と、制御部は、水温計が検出した水温が第1水温以上と判定すると、給水ポンプを停止状態に制御することが好ましい。
【0012】
雨水貯液槽内の水の水温を測定するための水温計と、雨水貯液槽内の水を排出するための排出部と、をさらに備え、制御部は、水温計が検出した水温が第2水温以下と判定すると、排出部から雨水貯液槽内の水を排出することが好ましい。
【0013】
少なくとも1つの気温計は、異なる場所に配置された2つの気温計を含み、制御部は、2つの気温計のいずれか1つが測定した気温が第1時間のあいだ第1気温以上と判定すると、給水ポンプを作動状態に制御することが好ましい。
【0014】
雨水貯液槽に送水される雨水を浄化する浄化装置をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、雨水を有効活用することができる雨水利用システムを提供することができる。
【0016】
この発明の上記の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の実施の形態に係る雨水利用システムを模式的に表した全体模式図である。
【
図2】
図1に係る雨水利用システムにおける気温に基づいた制御処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【
図3】変形例に係る雨水利用システムを模式的に表した全体模式図である。
【
図4】
図3に係る雨水利用システムにおける水位に基づいた制御処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図3に係る雨水利用システムにおける水温に基づいた制御処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【
図6】バイパス経路を有する構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施の形態>
1.雨水利用システム
この発明の実施の形態にかかる雨水利用システムについて説明する。
図1は、この発明の実施の形態に係る雨水利用システムを模式的に表した全体模式図である。雨水利用システム100は、雨水を含む水を貯めておき、気温に応じて散水する。雨水利用システム100は、雨水貯液槽10と、給水ポンプ20と、散水部30と、第1気温計T1と、制御部40と、を備える。雨水貯液槽10は、雨水を含む水を貯める。給水ポンプ20は、雨水貯液槽10内の水を送水する。散水部30は、給水ポンプ20から給水を受けて、人P及び建築物70を含む対象物に水を散水する。対象物には人P以外に犬等の生物が含まれていてもよい。また、建築物70には例えば家屋、ビル、道路等が含まれ、具体的にはこれに限定されないが、家屋の屋根、窓及び壁等と、ビルの屋上、窓及び壁等と、道路の路面上等と、が含まれる。第1気温計T1は、外気温を測定する。制御部40は、第1気温計T1が測定した外気温に応じて給水ポンプ20の状態を制御する。さらに、雨水利用システム100は、第1~第3配管Pi1~Pi3と、給水バルブV1と、を備える。また、雨水利用システム100は、後述の通り第1気温計T1以外に第2気温計T2及び第3気温計T3等を備えることができる。
【0019】
第1配管Pi1の一端には樋等が連結されており、樋等から第1配管Pi1の一端に雨水を含む水が供給される。第1配管Pi1の他端は雨水貯液槽10に接続されており、第1配管Pi1の他端を介して雨水貯液槽10に雨水を含む水が供給され貯められる。雨水貯液槽10には第2配管Pi2の一端が接続されている。第2配管Pi2の他端には給水ポンプ20の吸込口が接続されている。給水ポンプ20には、給水ポンプ20を作動させるための給水用モータM1が取り付けられている。また、第2配管Pi2には雨水貯液槽10と給水ポンプ20との間において給水バルブV1が取り付けられている。給水ポンプ20の吐出口には第3配管Pi3の一端が接続されている。第3配管Pi3の他端には散水部30が接続されている。本実施の形態では、第1気温計T1は建築物70において直射日光が当たらない日陰70aに配置されており、日陰70aにおける外気温を測定する。
【0020】
第1気温計T1が測定した外気温に応じて制御部40が給水ポンプ20の状態を制御することにより、給水ポンプ20が作動状態又は停止状態となる。給水ポンプ20が作動状態の場合は散水部30から水が散水され、一方、給水ポンプ20が停止状態の場合は散水部30からの水の散水が停止される。散水部30は、水を散水できればよく構成は限定されないが、例えば水をミスト状及びシャワー状等にして散水するように構成されていてもよい。また、散水の対象物は限定されないが、
図1に示すように人Pに散水部30からミストを提供することができる。
【0021】
2.雨水利用システムにおける気温に基づいた制御処理
以下に雨水利用システム100における気温に基づいた制御処理の流れについて説明する。
図2は、
図1に係る雨水利用システムにおける気温に基づいた制御処理のフローの一例を示すフローチャートである。本実施の形態では、気温は第1気温計T1が測定した外気温である。
【0022】
ステップS1:制御部40は、気温として第1気温計T1が測定した外気温を取得する。制御部40は、第1気温計T1が測定した外気温が第1気温OT1以上であると判定するとステップS2に処理を進行し、一方、外気温が第1気温OT1未満であると判定するとステップS4に処理を進行する。第1気温OT1は、例えば人P及び建築物70を含む対象物の冷却が必要であると考えられる温度である。具体的に、第1気温OT1は、例えば屋外又は屋内にいる人Pが熱中症を発症する可能性が高いと考えられる程度の外気温である。
【0023】
ステップS2:制御部40は、外気温が第1気温OT1以上である時間が第1時間t1以上継続していると判定するとステップS3に処理を進行し、一方、第1時間t1未満であると判定するとステップS1に処理を進行する。
【0024】
ステップS3:制御部40は、外気温が第1気温OT1以上である時間が第1時間t1以上継続しているため、給水用モータM1を制御して給水ポンプ20を作動状態に制御する。この場合、制御部40は、給水バルブV1を開状態に設定する。給水ポンプ20が作動状態となることにより、雨水貯液槽10内の水が第2配管Pi2を介して第3配管Pi3に送水され、散水部30に至る。これにより、散水部30から雨水貯液槽10内の水が人P等の対象物に散水される。なお、人Pに散水する場合には、水が直接的に人Pにかからないように人Pの周囲等に散水されるのが好ましい。これにより、雨水貯液槽10内の水が直接的に肌にかかることによる人Pの嫌悪感を抑制することができる。
【0025】
ステップS4:制御部40は、第1気温計T1が測定した外気温が第2気温OT2以下であると判定するとステップS5に処理を進行し、一方、外気温が第2気温OT2未満であると判定するとステップS1に処理を進行する。第2気温OT2は、第1気温OT1よりも低い。第2気温OT2は、例えば人P及び建築物70を含む対象物の冷却が不要であると考えられる温度である。具体的に、第2気温OT2は、例えば屋外又は屋内にいる人Pが熱中症を発症する可能性が低いと考えられる程度の外気温である。
【0026】
ステップS5:制御部40は、外気温が第2気温OT2以下である時間が第2時間t2以上継続していると判定するとステップS6に処理を進行し、一方、第2時間t2未満であると判定するとステップS4に処理を進行する。
【0027】
ステップS6:制御部40は、外気温が第2気温OT2以下である時間が第2時間t2以上継続しているため、給水用モータM1を制御して給水ポンプ20を停止状態に制御する。この場合、制御部40は、給水バルブV1を閉状態に設定する。制御部40は、ステップS6の後にステップS1に処理を進行する。
【0028】
上記構成によれば、外気温が第1時間t1のあいだ第1気温OT1以上であると給水ポンプ20が作動状態となり、散水部30から人P及び建築物70を含む対象物に水の散水が行われる。散水された水の気化熱による冷却によって対象物を冷却することができる。散水部30から散水される水は雨水を含む水を貯めている雨水貯液槽10から供給されるため、雨水を有効活用しつつ、人P等が熱中症を発症することを抑制すること、及び、高温となった家屋、ビル、道路等の建築物70を冷却すること等の少なくともいずれかを達成することができる。
【0029】
また、上記構成によれば、外気温が第2時間t2のあいだ第2気温OT2以下であると給水ポンプ20が停止状態となり、散水部30から水の散水が停止する。よって、外気温がある程度低下して人P及び建築物70を含む対象物の冷却が不要になった場合には、雨水を含む水の散水を停止することにより雨水を無駄に利用することを抑制することができる。
【0030】
また、上記構成によれば、雨水貯液槽10内の水を出しっ放しにするのではなく、必要な時に散水部30から散水する。よって、雨水貯液槽10内の水の無駄な散水を抑制し、必要な時に十分に散水できるように雨水貯液槽10に水を貯めることができる。
【0031】
上記のような雨水利用システム100は、例えば屋外での催し会場、屋外でのマラソン大会及び海水浴場等に設置することができる。よって、屋外における熱中症の発生を抑制するのに役立つ。ただし、雨水利用システム100は、屋内における熱中症対策として屋内において利用されてもよい。
【0032】
<変形例>
以下、本実施の形態の変形例について説明する。なお、以下の変形例において、本実施の形態の構成要素に相当するものについては、同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略する。
【0033】
<変形例1>
1.雨水利用システム
上記の実施の形態では、雨水利用システム100は、雨水貯液槽10と、給水ポンプ20と、散水部30と、第1気温計T1と、制御部40と、を備える。
図3は、変形例に係る雨水利用システムを模式的に表した全体模式図である。本変形例に係る雨水利用システム100Aは、雨水貯液槽10、給水ポンプ20、散水部30、第1気温計T1及び制御部40に加えて、浄化装置50と、水道水供給部60及び水道水バルブV3と、熱交換器65、循環ポンプ80、循環バルブV5及び冷媒バルブV6と、遮断バルブV2と、排出バルブ(排出部)V4と、水温計WTと、液面計Lと、を備える。さらに、雨水利用システム100Aは、第1~第3配管Pi1~Pi3に加えて、第4~第8配管Pi4~Pi8を備える。
【0034】
第1配管Pi1において、桶等に連結された一端と雨水貯液槽10に連結された他端との間に浄化装置50が配置されている。浄化装置50は、第1配管Pi1に供給される雨水を含む水を浄化する。浄化装置50は、例えば水に含まれるゴミ及び汚れ等を除去する。浄化装置50は、例えば活性炭及び膜等のフィルターにより構成されている。活性炭は、例えば、微小な粒子、分子、臭気、ウィルス等を吸着することができる。活性炭は、例えば、主に植物材料を炭化させ、場合によっては、賦活処理を行うことにより表面をより多孔質化させたものであることが望ましい。膜として、例えばイオン交換膜を用いることができ、イオン交換膜によれば吐出水に含まれるイオン、細菌類を吸着することができる。また、浄化装置50は、紫外線等により水を殺菌することもできる。この場合、浄化装置50として例えば紫外線を発光することができる発光ダイオードを用いることができる。なお、紫外線は深紫外線であってもよい。深紫外線は紫外線の中でも波長が短く、より高い殺菌能力を有する。
【0035】
浄化装置50を設けることにより、雨水貯液槽10に貯められる雨水を含む水を浄化することができるため、散水部30から浄化された水を散水することができる。よって、雨水を再利用した水を人P等の対象物に散水した場合でも、人P等が嫌悪感を感じたり、人体等への悪影響を及ぼしたりするのを抑制することができる。
【0036】
液面計Lは雨水貯液槽10に設けられており、雨水貯液槽10の水の水位を検出する。また、水温計WTは雨水貯液槽10に設けられており、雨水貯液槽10の水の水温を検出する。
【0037】
水道水供給部60は第4配管Pi4の一端に接続されており、第4配管Pi4の他端には雨水貯液槽10が接続されている。第4配管Pi4において水道水供給部60と雨水貯液槽10との間には水道水バルブV3が設けられている。水道水供給部60は、液面計Lが検出した雨水貯液槽10の水位が低下すると、制御部40の制御に基づいて雨水貯液槽10に水道水を供給する。このとき、水道水バルブV3は開状態に設定される。
【0038】
第2配管Pi2には給水バルブV1の上流側から分岐する第5配管Pi5の一端が接続されている。第5配管Pi5の他端には熱交換器65の水が流入する水入口が接続されている。第5配管Pi5の一端と他端との間には循環バルブV5が設けられている。また、熱交換器65の水が流出する水出口には第6配管Pi6の一端が接続されており、第6配管Pi6の他端は雨水貯液槽10に接続されている。第6配管Pi6の一端と他端との間には循環ポンプ80が接続されている。循環ポンプ80には、循環ポンプ80を作動させるための循環用モータM2が取り付けられている。また、熱交換器65の水出口と同じ側に冷媒が流入する冷媒入口が設けられており、この冷媒入口には冷媒が導入される第7配管Pi7の一端が接続されている。第7配管Pi7には、冷媒を熱交換器65に通流させるための冷媒バルブV6が設けられている。また、熱交換器65の水入口と同じ側に冷媒が流出する冷媒出口が設けられており、この冷媒出口には冷媒を排出する第8配管Pi8の一端が接続されている。熱交換器65は、水温計WTが検出した雨水貯液槽10の水温が高い場合、制御部40の制御に基づいて雨水貯液槽10の水と冷媒との間で熱交換を行い、雨水貯液槽10の水を冷却する。このとき、制御部40は、熱交換器65に雨水貯液槽10の水を通流させるために循環バルブV5を開状態に設定し、循環用モータM2を制御して循環ポンプ80を作動させる。また、制御部40は、熱交換器65に冷媒を通流させるために冷媒バルブV6を開状態に設定する。熱交換器65内で雨水貯液槽10の水と冷媒とが互いに逆方向に通流することにより、水と冷媒との間で熱交換が行われる。
【0039】
遮断バルブV2は、第1配管Pi1において、桶等に連結された一端と浄化装置50との間に設けられている。遮断バルブV2は、液面計Lが検出した雨水貯液槽10の水位が高い場合、制御部40の制御に基づいて雨水貯液槽10への雨水を含む水の供給を停止させる。
【0040】
排出バルブV4は、雨水貯液槽10に設けられている。排出バルブV4は、水温計WTが検出した雨水貯液槽10の水温が低い場合、制御部40の制御に基づいて雨水貯液槽10の水を外部に排出させる。このとき、排出バルブV4は開状態に設定される。
【0041】
なお、雨水利用システム100Aにおいて、雨水利用システム100に対して追加的に設ける機能に応じて選択的に構成を追加することができる。例えば、雨水貯液槽10の水位が高い場合に雨水貯液槽10への水の供給を停止する機能を雨水利用システム100に対して追加する場合には、雨水利用システム100に液面計L及び遮断バルブV2を追加的に設ければよい。また、雨水利用システム100Aにおいて、雨水貯液槽10の水位が低下した場合に水道水を供給する機能を雨水利用システム100に対して追加する場合には、雨水利用システム100に液面計L、水道水供給部60及び水道水バルブV3を追加的に設ければよい。また、雨水利用システム100Aにおいて、水温に応じて給水ポンプ20を制御する機能を雨水利用システム100に対して追加する場合には、雨水利用システム100に水温計WTを追加的に設ければよい。また、雨水利用システム100Aにおいて、水温に応じて雨水貯液槽10内の水を排出する機能を雨水利用システム100に対して追加する場合には、雨水利用システム100に水温計WT及び排出バルブV4を追加的に設ければよい。また、雨水利用システム100Aにおいて、雨水を浄化する機能を雨水利用システム100に対して追加する場合には、雨水利用システム100に浄化装置50を追加的に設ければよい。また、雨水利用システム100Aにおいて、雨水貯液槽10内の水を冷却する機能を雨水利用システム100に対して追加する場合には、雨水利用システム100に熱交換器65、循環ポンプ80、循環バルブV5及び冷媒バルブV6を追加的に設ければよい。
【0042】
2.雨水利用システムでの処理の流れ
2.1雨水利用システムにおける気温に基づいた制御処理
雨水利用システム100Aにおける気温に基づいた制御処理は上記の実施の形態の
図2と同様である。つまり、第1気温計T1が測定した外気温に応じて制御部40が給水ポンプ20の状態を制御することにより、給水ポンプ20が作動状態又は停止状態となる。これにより、散水部30から雨水貯液槽10内の水の散水が開始又は停止される。制御処理の流れは上記の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0043】
2.2雨水利用システムにおける水位に基づいた制御処理
図4は、
図3に係る雨水利用システムにおける水位に基づいた制御処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS11:制御部40は、液面計Lが検出した水位を取得する。制御部40は、液面計Lが検出した水位が第1水位P1以上であると判定するとステップS12に処理を進行し、一方、水位が第1水位P1未満であると判定するとステップS13に処理を進行する。第1水位P1は、例えば雨水貯液槽10の水が満水状態又は満水状態に近い等の高水位となっている場合の水位である。なお、制御部40は、第1水位P1以上である状態が所定時間以上継続することに基づいて、水位が第1水位P1以上であると判定してもよい。
【0045】
ステップS12:制御部40は、液面計Lが検出した水位が第1水位P1以上であるため、遮断バルブV2を閉状態に設定する。遮断バルブV2が閉状態となることにより、第1配管Pi1からの雨水貯液槽10への水の供給が停止する。
これにより、雨水貯液槽10内の水が第1水位P1以上となり高水位となった場合には、雨水貯液槽10への水の供給を停止することができる。よって、雨水貯液槽10に水が供給され続けることにより雨水貯液槽10から水が溢れることを抑制することができる。
【0046】
ステップS13:制御部40は、液面計Lが検出した水位が第1水位P1未満であるため、遮断バルブV2を開状態に設定する。これにより、第1配管Pi1から雨水貯液槽10に水が供給される。
【0047】
ステップS14:制御部40は、液面計Lが検出した水位が第2水位P2以下であると判定するとステップS15に処理を進行し、一方、水位が第2水位P2を超えていると判定するとステップS11に処理を進行する。第2水位P2は、例えば雨水貯液槽10の水が残りわずかである等の低水位となっている場合の水位である。第2水位は第1水位よりも低い。なお、制御部40は、第2水位P2以下である状態が所定時間以上継続することに基づいて、水位が第2水位P2以下であると判定してもよい。
【0048】
ステップS15:制御部40は、液面計Lが検出した水位が第2水位P2以下であるため、水道水供給部60から雨水貯液槽10に水道水を供給させる。このとき、制御部40は、水道水バルブV3を開状態に設定する。
これにより、雨水貯液槽10内の水が第2水位P2以下となり低水位となった場合であっても、水道水を雨水貯液槽10に供給することにより雨水貯液槽10内の水量を確保することができる。よって、雨水貯液槽10から散水部30に供給する水が不足することを抑制し、人P及び建築物70を含む対象物の冷却を十分に行い熱中症対策等を十分に行うことができる。
【0049】
ステップS16:制御部40は、液面計Lが検出した水位が第3水位P3以下であると判定するとステップS15に処理を進行し、一方、水位が第3水位P3を超えていると判定するとステップS17に処理を進行する。第3水位P3は、第1水位P1と第2水位P2との間の水位である。
【0050】
ステップS17:制御部40は、水道水供給部60から雨水貯液槽10への水道水を供給を停止させる。このとき、制御部40は、水道水バルブV3を閉状態に設定する。制御部40は、ステップS17の後にステップS11に処理を進行する。
【0051】
2.3雨水利用システムにおける水温に基づいた制御処理
図5は、
図3に係る雨水利用システムにおける水温に基づいた制御処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【0052】
ステップS21:制御部40は、水温計WTが検出した雨水貯液槽10の水温を取得する。制御部40は、水温計WTが検出した水温が第1水温LT1以上であると判定するとステップS22に処理を進行し、一方、水温が第1水温LT1未満であると判定するとステップS27に処理を進行する。第1水温LT1は、比較的高温であり、例えば人Pに第1水温LT1の水がかかった場合に人Pが火傷等を負う場合、また、建築物70に第1水温LT1の水が散水された場合に対象物の冷却効果が低い場合等の温度である。なお、制御部40は、第1水温LT1以上である状態が所定時間以上継続することに基づいて、水温が第1水温LT1以上であると判定してもよい。
【0053】
ステップS22:制御部40は、水温計WTが検出した水温が第1水温LT1以上であるため、給水用モータM1を制御して給水ポンプ20を停止状態に制御する。この場合、制御部40は、給水バルブV1を閉状態に設定する。給水ポンプ20が停止状態となることにより、散水部30からの散水が停止される。
これにより、雨水貯液槽10内の水温が第1水温LT1以上となり高温となった場合には、散水部30から水の散水を停止させるために給水ポンプ20が停止状態に制御される。よって、高温の水を単に雨水貯液槽10から捨てるのではなく給水ポンプ20を停止させて雨水貯液槽10に貯めておくことにより、雨水を無駄にすることなく有効活用することができる。さらに、給水ポンプ20を停止させることにより、人P及び建築物70を含む対象物に高温の水が散水されてしまうのを抑制することができる。特に人Pに高温の水が散水され、火傷等を負うことを抑制することができる。
【0054】
ステップS23:制御部40は、熱交換器65を作動状態に制御するとともに、循環用モータM2を制御して循環ポンプ80を作動状態に制御する。このとき、制御部40は、循環バルブV5を開状態に設定し、冷媒バルブV6を開状態に設定する。
これにより、熱交換器65において雨水貯液槽10の高温の水と冷媒とが熱交換され、雨水貯液槽10の高温の水が冷却される。
【0055】
ステップS24:制御部40は、水温計WTが検出した水温が第1水温LT1未満であると判定するとステップS25に処理を進行する。一方、水温が第1水温LT1以上であると判定するとステップS24に処理を戻し、熱交換器65による雨水貯液槽10の高温の水の冷却が継続される。
【0056】
ステップS25:制御部40は、水温計WTが検出した水温が第1水温LT1未満であるため、熱交換器65を停止状態に制御するとともに、循環ポンプ80停止状態に制御する。このとき、制御部40は、循環バルブV5を閉状態に設定し、冷媒バルブV6を閉状態に設定する。
なお、上記のステップS23~S25において熱交換器65を作動状態又は停止状態に設定している。しかし、熱交換器65は必ずしも用いる必要はなく、ステップS23~S25は省略可能である。
【0057】
ステップS26:制御部40は、水温計WTが検出した水温が第1水温LT1未満であるため、給水用モータM1を制御して給水ポンプ20を作動状態に制御する。この場合、制御部40は、給水バルブV1を開状態に設定する。給水ポンプ20が作動状態となることにより、散水部30からの散水が再開される。制御部40は、ステップS26の後にステップS21に処理を進行する。
【0058】
ステップS27:制御部40は、水温計WTが検出した水温が第2水温LT2以下であると判定するとステップS28に処理を進行し、一方、水温が第2水温LT2を超えていると判定するとステップS29に処理を進行する。第2水温LT2は、比較的低温であり、例えば雨水貯液槽10内の水が氷る程度の温度である。第2水温LT2は第1水温LT1よりも低い。なお、制御部40は、第2水温LT2以下である状態が所定時間以上継続することに基づいて、水温が第2水温LT2以下であると判定してもよい。
【0059】
ステップS28:制御部40は、水温計WTが検出した水温が第2水温LT2以下であるため、排出バルブV4を開状態に設定する。これにより、雨水貯液槽10の水が外部に排出される。制御部40は、ステップS28の後にステップS21に処理を進行する。
これにより、雨水貯液槽10内に貯められている水が凍ることによる雨水貯液槽10及び第1~第8配管Pi1~Pi8等の破損を抑制するとともに、当該破損等に伴うメンテナンス等の手間を省略することができる。
【0060】
ステップS29:制御部40は、水温計WTが検出した水温が第2水温LT2を超えているため、給水用モータM1を制御して給水ポンプ20を作動状態に制御する。このとき、制御部40は、給水バルブV1を開状態に設定する。
【0061】
ステップS30:制御部40は、排出バルブV4を閉状態に設定する。制御部40は、ステップS30の後にステップS21に処理を進行する。
なお、ステップS29及びステップS30は順不同であってもよい。
【0062】
<変形例2>
上記の実施の形態では、雨水利用システム100は1つの雨水貯液槽10のみを備えている。しかし、雨水利用システム100は複数の雨水貯液槽10を備えていてもよい。複数の雨水貯液槽10を備えることにより、雨水を含む水を大量に貯めることができる。よって、雨水の有効活用をより促進することができるとともに、熱中症対策のため等に使用する雨水貯液槽10内の水不足を抑制することができる。
また、複数の雨水貯液槽10は順に接続されていてもよい。
また、複数の雨水貯液槽10の間で水を循環させてもよい。水を循環させた場合には複数の雨水貯液槽10内での水温を概ね一定にすることができる。
【0063】
<変形例3>
上記の実施の形態では、気温を測定する気温計として、日陰70aに配置された第1気温計T1が備えられている。しかし、雨水利用システム100は、複数の気温計を備えていてもよい。例えば、雨水利用システム100は、第1気温計T1に加えて、あるいは第1気温計T1に代えて、
図1及び
図3に示すようにひなた70bに配置された第2気温計T2を備えていてもよい。この場合、制御部40は、上記実施の形態の
図2において、第1気温計T1が測定した外気温及び第2気温計T2が測定した外気温の少なくともいずれかに基づいて、給水ポンプ20の状態等を制御してもよい。
よって、仮に他方の気温計が誤作動した場合でも一方の気温計で気温を測定することができるため、気温測定の誤りを抑制することができる。
【0064】
さらに、雨水利用システム100は、
図1及び
図3に示すように第1気温計T1に加えて、あるいは第1気温計T1に代えて、建築物70の室内70cの室温を測定する第3気温計T3を備えていてもよい。この場合、制御部40は、第1気温計T1が測定した外気温及び第3気温計T3が測定した室温の少なくともいずれかに基づいて、給水ポンプ20の状態を制御してもよい。なお、冬場にはストーブ及び空調機等により室内が温められることにより室温が上昇する場合がある。よって、冬場は第3気温計T3が測定した室温を制御部40が参照しないように設定することもできる。
【0065】
なお、日陰70aに複数の第1気温計T1を配置してもよいし、ひなた70bに複数の第2気温計T2を配置してもよいし、室内70cに複数の第3気温計T3を配置してもよい。
【0066】
また、雨水利用システム100が第1~第3気温計T1~T3を備えている状態において、どの気温計を参照するかを予め設定可能となっていてもよい。
【0067】
<変形例4>
上記の実施の形態では、
図2のステップS2において、制御部40は、外気温が第1気温OT1以上である時間が第1時間t1以上継続しているか否かを判定している。しかしステップS2は省略されてもよい。そして、制御部40は、ステップS1において外気温が第1気温OT1以上であると判定すると、ステップS3に処理を進行して給水用モータM1を制御して給水ポンプ20を作動状態に制御してもよい。
【0068】
また、上記の実施の形態では、
図2のステップS5において、制御部40は、外気温が第2気温OT2以下である時間が第2時間t2以上継続しているか否かを判定している。しかしステップS5は省略されてもよい。そして、制御部40は、ステップS4において外気温が第2気温OT2以下であると判定すると、ステップS6に処理を進行して給水用モータM1を制御して給水ポンプ20を停止状態に制御してもよい。
【0069】
<変形例5>
上記の実施の形態では、制御部40は気温に応じて給水ポンプ20の停止又は作動を制御している。しかし、制御部40は、温度に応じて散水部30から散水される水の水量を調整してもよい。例えば、第3気温OT3<第4気温OT4であるとする。この場合、第1気温計T1が測定した外気温が第3気温OT3未満の場合の散水部30からの水量<第1気温計T1が測定した外気温が第3気温OT3以上第4気温OT4以下の場合の散水部30からの水量<第1気温計T1が測定した外気温が第4気温OT4を超える場合の散水部30からの水量という関係になるように制御されると好ましい。
【0070】
このような水量の制御のため、散水部30に送水される水をバイパスさせるようにすることができる。
図6は、バイパス経路を有する構成を示す模式図である。
図6に示すように、上流側の第2配管Pi2と下流側の第3配管Pi3との間に給水ポンプ20が配置されている。そして、第3配管Pi3には、第3配管Pi3から分岐するバイパス配管Pi9の一端が接続されており、このバイパス配管Pi9の他端は第2配管Pi2に接続されている。バイパス配管Pi9には給水バルブV1が設けられている。給水ポンプ20には給水用モータM1が取り付けられている。
【0071】
図1の給水ポンプ20、給水用モータM1及び給水バルブV1による構成を、
図6に示す給水ポンプ20、給水用モータM1、給水バルブV1及びバイパス配管Pi9による構成により置換することにより、散水部30に送水される水をバイパスさせて散水部30から散水される水の水量を調整することができる。
【0072】
制御部40は、例えば給水用モータM1により給水ポンプ20を定常運転させておき、給水バルブV1の絞り量を変更することにより散水部30に送水される水の水量を制御する。制御部40は、例えば、外気温が第3気温OT3未満の場合、給水バルブV1の絞り量を抑制して(給水バルブV1を概ね開いた状態として)散水部30に送水される水の水量を抑制する。このとき、第3配管Pi3からバイパス配管Pi9にバイパスされる水の水量が増加する。また、制御部40は、外気温が第4気温OT4を超える場合、給水バルブV1の絞り量を大きくして(給水バルブV1を概ね閉じた状態として)散水部30に送水される水の水量を増加させる。このとき、第3配管Pi3からバイパス配管Pi9にバイパスされる水の水量は減少する。また、制御部40は、外気温が第3気温OT3以上第4気温OT4以下の場合、給水バルブV1の絞り量を中程度にして散水部30からの水量を外気温が第3気温OT3未満の場合と外気温が第4気温OT4を超える場合との中間程度とする。
【0073】
また、制御部40は、例えば給水用モータM1の駆動量そのものを制御して給水ポンプ20の動作を制御することもできる。制御部40は、外気温が第3気温OT3未満の場合、給水用モータM1の駆動量を抑制して散水部30に送水される水の水量を抑制する。また、制御部40は、外気温が第4気温OT4を超える場合、給水用モータM1の駆動量を増加させて散水部30に送水される水の水量を増加させる。また、制御部40は、外気温が第3気温OT3以上第4気温OT4以下の場合、給水用モータM1の駆動量を中程度にして散水部30からの水量を外気温が第3気温OT3未満の場合と外気温が第4気温OT4を超える場合との中間程度とする。
【0074】
上記のように気温に応じて散水量が調整されることにより、対象物に対して気温に応じた散水を行うことができる。よって、雨水貯液槽10の雨水を有効活用して熱中症対策を行いつつ、雨水貯液槽10の雨水が不足するのを抑制することができる。
【0075】
<変形例6>
上記の実施の形態では、散水部30が散水する水の向きの調整は行われていない。しかし、散水部30の向きを調整することにより散水される水の向きを調整してもよい。例えば、散水部30が水を散水する向きは、人Pに水がかからないように建築物70の壁に向けられていてもよい。
【0076】
以上のように、本発明の実施の形態は、上記した記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0077】
例えば、上記実施の形態並びに各変形例では、本発明に係る雨水利用システムは、実装する対象に応じて、また、求める性能に応じて種々の変更を行い得る。また本発明は、上記実施の形態及び変形例の構成の全部又は一部を適宜組み合わせたものも含まれる。
【0078】
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態及び各変形例に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
10 :雨水貯液槽
20 :給水ポンプ
30 :散水部
40 :制御部
50 :浄化装置
60 :水道水供給部
65 :熱交換器
70 :建築物
70a :日陰
70b :ひなた
70c :室内
80 :循環ポンプ
100 :雨水利用システム
100A :雨水利用システム
L :液面計
LT1 :第1水温
LT2 :第2水温
M1 :給水用モータ
M2 :循環用モータ
OT1~OT4 :第1~第4気温
P :人
P1 :第1水位
P2 :第2水位
P3 :第3水位
Pi1~Pi8 :第1~第8配管
Pi9 :バイパス配管
T1~T3 :第1~第3気温計
V1 :給水バルブ
V2 :遮断バルブ
V3 :水道水バルブ
V4 :遮断バルブ
V5 :循環バルブ
V6 :冷媒バルブ
WT :水温計
t1 :第1時間
t2 :第2時間