(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160771
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20241108BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241108BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076104
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】大槻 将久
(72)【発明者】
【氏名】武島 健太
(72)【発明者】
【氏名】山下 大地
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 英男
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
5L049CC60
5L050CC60
(57)【要約】
【課題】製品またはサービスを評価する評価者を適切に選択する。
【解決手段】提供者が提供する製品またはサービスを評価する評価者を、複数の評価者の候補の中から決定する情報処理装置。前記提供者に関する第一のデータと、前記提供者が提供する製品またはサービスを過去に評価した前記評価者に関する第二のデータを入力データ、前記評価者が過去に行った評価の有益度を示す第三のデータを出力データとして、ユーザモデルを学習することと、前記ユーザモデルを用いて、前記複数の評価者の中から、前記提供者に適合する前記評価者を選択することと、を実行する制御部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
提供者が提供する製品またはサービスを評価する評価者を、複数の評価者の候補の中から決定する情報処理装置であって、
前記提供者に関する第一のデータと、前記提供者が提供する製品またはサービスを過去に評価した前記評価者に関する第二のデータを入力データ、前記評価者が過去に行った評価の有益度を示す第三のデータを出力データとして、ユーザモデルを学習することと、
前記ユーザモデルを用いて、前記複数の評価者の中から、前記提供者に適合する前記評価者を選択することと、
を実行する制御部を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記有益度は、前記評価者が過去に行った評価に基づいて、前記提供者が、自己が提供する製品またはサービスの改善を過去に試みた結果に基づいて算出された値である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記有益度は、前記評価者が過去に行った評価に対して前記提供者が付与したスコアである、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第二のデータは、前記評価者が持っている複数の属性の集合である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ユーザモデルは、前記第一のデータおよび前記第二のデータを入力すると、前記評価者が行う評価の、前記提供者に対する有益度の予測値を出力するモデルである、
請求項1に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製品またはサービスに対する評価に関する。
【背景技術】
【0002】
人材を評価するためのシステムが知られている。例えば、特許文献1には、技術習熟度に基づいて人材リストを管理し、顧客の要求に応じた技能を持つ人材を抽出するためのシステムに関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-099652号公報
【特許文献2】特開2004-046564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、製品またはサービスを評価する評価者を適切に選択することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態の一態様は、
提供者が提供する製品またはサービスを評価する評価者を、複数の評価者の候補の中から決定する情報処理装置であって、前記提供者に関する第一のデータと、前記提供者が提供する製品またはサービスを過去に評価した前記評価者に関する第二のデータを入力データ、前記評価者が過去に行った評価の有益度を示す第三のデータを出力データとして、ユーザモデルを学習することと、前記ユーザモデルを用いて、前記複数の評価者の中から、前記提供者に適合する前記評価者を選択することと、を実行する制御部を有する、情報処理装置である。
【0006】
また、他の態様として、上記の情報処理装置が実行する方法、当該方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、製品またはサービスを評価する評価者を適切に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るシステムの概要を説明するための図。
【
図2】サーバ装置1のモジュール構成を説明する図。
【
図3】記憶部12に記憶されるデータを説明するための図。
【
図4】制御部11における処理の流れを説明するための図。
【
図5】サーバ装置100が実行する処理のフローチャート。
【
図6】サーバ装置100が実行する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
提供者が提供する製品やサービスを、第三者が評価するシステムが知られている。例えば、提供者が新しい製品やサービスの提供を開始する場合、当該製品やサービスを第三者に事前に利用させ、評価をフィードバックすることで、製品やサービスの完成度を向上さ
せることができる。
なお、以下の説明においては、製品またはサービスを提供する者を「サービサー」または「提供者」、当該製品またはサービスを評価する者を「テスター」または「評価者」と称する。
【0010】
テスターによって製品やサービスを評価する場合、適切なテスターを選定する必要がある。
従来では、本人の嗜好や得意分野といった、テスターの属性に基づいてテスターを選択するといった方法が利用されていた。しかし、対象の製品やサービスの属性によっては、適切なテスターが選定できないケースが生じうる。
例えば、評価対象の製品が食材であった場合、「料理が得意」という属性を持つ人の中からテスターを選出することが考えられる。しかし、評価対象の製品が昆布であった場合、料理が得意なテスターであっても、普段から出汁を取る習慣のないテスターは選出すべきではない。
このように、従来行われていたような、単一の属性(例えば、得意分野)に基づいてテスターを選定する方法では、有効なテスターが選定できないケースが生じうる。
本実施形態に係る情報処理装置は、斯様な問題を解決する。
【0011】
一実施形態に係る情報処理装置は、提供者が提供する製品またはサービスを評価する評価者を、複数の評価者の候補の中から決定する情報処理装置である。
具体的には、前記提供者に関する第一のデータと、前記提供者が提供する製品またはサービスを過去に評価した前記評価者に関する第二のデータを入力データ、前記評価者が過去に行った評価の有益度を示す第三のデータを出力データとして、ユーザモデルを学習することと、前記ユーザモデルを用いて、前記複数の評価者の中から、前記提供者に適合する前記評価者を選択することと、を実行する制御部を有する。
【0012】
提供者とは、対象の製品やサービスを提供する者である。提供者は、典型的には製品の開発者や発明者であるが、提供者は事業体であってもよい。
第一のデータは、提供者(サービサー)に関するデータであり、第二のデータは、評価者(テスター)に関するデータである。
【0013】
第一のデータは、例えば、提供者が持っている複数の属性の集合である。提供者が持っている属性として、例えば、提供者の業種、提供する製品やサービスのカテゴリ等が例示できる。
第二のデータは、例えば、評価者が持っている複数の属性の集合である。評価者が持っている属性として、例えば、評価者の学歴、職業、専門分野、趣味、嗜好、および過去の行動履歴(訪問したスポット等)等が例示できる。
【0014】
第三のデータは、評価者が過去に行った評価の有益度を示すデータである。例えば、ある評価者が、ある製品またはサービスを過去に評価した結果、提供者にとって有益な情報が残せたとする。この場合、第三のデータは、「有益度が高い評価を残せた」旨を記述するものとなる。
【0015】
第三のデータが示す有益度は、所定のデータに基づいて算出されてもよい。例えば、評価者が行った評価に従って、提供者が、自己が提供する製品またはサービスの改善を試みたとする。また、その結果、売上げや利益が変化したとする。この場合、売上げや利益の変化量が、評価の有益度となりうる。
なお、有益度は、所定の基準(例えば、前述した売上げや利益額)によって算出された値であってもよいし、評価者が行った評価に対して提供者が付与したスコアであってもよい。
【0016】
制御部は、第一ないし第三のデータを学習データとしてユーザモデルを生成する。例えば、ユーザモデルは、提供者と評価者のそれぞれが持つ属性に関するデータを入力した場合に、予想される評価の有益度を出力するモデルである。
評価者が有効な評価を残せるか否かは、評価者が持つ属性(例えば、専門分野)と、提供者が期待する評価者の属性が適合するかによって変わりうる。そこで、ユーザモデルは、特定の提供者について、評価者が持つ属性と、当該評価者が過去に行った評価の有益度との関係を学習する。ユーザモデルは、評価者が行う評価の、提供者に対する有益度(いわば、提供者と評価者の相性)を出力するモデルであると言い換えることもできる。
ユーザモデルを利用することで、複数の評価者のそれぞれについて、どの程度有効な評価を得られるかを予測することができる。また、より有効な評価が期待できる評価者をスクリーニングすることが可能になる。
【0017】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0018】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係るサーバ装置の概要について説明する。本実施形態に係るサーバ装置は、製品またはサービスを提供する提供者について、当該製品またはサービスを評価する評価者を選定する装置である。
【0019】
図1を参照して、サーバ装置が行う処理の概要について説明する。
まず、提供者は、第一の製品またはサービスを評価者に対して提供し、評価者が、これを評価する。評価者は、評価結果を提供者にフィードバックする。評価結果には、第一の製品やサービスを利用した所感や改善提案などが含まれる。
【0020】
評価結果を受領した提供者は、当該評価の内容に従って、第一の製品またはサービスに対する改善を実施する。
評価者が行った評価が提供者にとって有益なものであるか否かは、当該評価の内容に従って製品やサービスを改善した結果によって知ることができる。例えば、評価に含まれる改善提案に従って製品やサービスを改善した結果、当該製品やサービスの売り上げが増加した場合、当該評価は提供者にとって有益なものであったということができる。
【0021】
本実施形態では、提供者は、改善の結果(すなわち、評価の有益度を求めるための情報)をサーバ装置に送信し、サーバ装置が、これに基づいて、評価の有益度を学習する。サーバ装置は、例えば、提供者が有している複数の属性と、評価者が有している複数の属性と、評価の有益度の関係を、機械学習モデルによって学習する。
【0022】
ここで、提供者が、第一の製品またはサービスに続いて、第二の製品またはサービスをリリースする場合を考える。この場合、提供者は、第二の製品またはサービスに対して、より有益な評価を与えてくれる評価者を選定することが好ましい。本実施形態では、サーバ装置が、学習済みの機械学習モデルを利用することで、提供者に対して有益な評価を残すことができると予測される評価者を選定する。これにより、提供者に、「どの評価者に評価を依頼すれば、より有益な評価が得られるか」といった情報を提供することが可能になる。
【0023】
[装置構成]
図2は、サーバ装置1の構成の一例を示した図である。
サーバ装置1は、例えば、サーバ装置、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話、タブレットコンピュータ、個人情報端末といったコンピュータである。サーバ装
置1は、制御部11、記憶部12、および入出力部13を含んで構成される。
【0024】
サーバ装置1は、提供者に関するデータ、評価者に関するデータ、および評価者が過去に行った評価の有益度を学習データとして、機械学習モデルの学習を行う。また、学習済みの機械学習モデルを利用して、ある提供者に対して、有益な評価を行うことができる評価者を選定する。
【0025】
サーバ装置1は、プロセッサ(CPU、GPU等)、主記憶装置(RAM、ROM等)、補助記憶装置(EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等)を有するコンピュータとして構成することができる。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを実行することによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能(ソフトウェアモジュール)を実現することができる。ただし、一部または全部の機能は、例えば、ASIC、FPGA等のハードウェア回路によってハードウェアモジュールとして実現されてもよい。
【0026】
制御部11は、所定のプログラムを実行することで、サーバ装置1の各種機能を実現する演算ユニットである。制御部11は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサによって実現することができる。また、制御部11は、RAM、ROM(Read Only Memory)、キャッシュメモリ等を含んで構成されてもよい。
【0027】
制御部11は、データ取得部111、学習部112、および評価部113の3つのソフトウェアモジュールを有して構成される。各ソフトウェアモジュールは、後述する記憶部12に記憶されたプログラムを制御部11(CPU)によって実行することで実現されてもよい。
【0028】
データ取得部111は、機械学習モデルを学習させるためのデータ(学習データ)を取得する。本実施形態では、学習データは、提供者に関するデータ(提供者データ)、評価者に関するデータ(評価者データ)、および、評価者が過去に行った評価の有益度を示すデータ(評価結果データ)の3種類である。
【0029】
提供者データとは、提供者に関する複数の属性の集合である。提供者データは、提供者本人の属性のほか、提供者が提供する製品やサービスの属性等を含んでいてもよい。提供者データは、例えば、提供者のユーザ識別子、提供者が提供する製品やサービスのカテゴリ(分野)、業種などを含んでいてもよい。以降の説明において、複数の属性の集合を属性情報と称する。
提供者データは、提供者本人によって入力された、提供者の属性情報に基づいてデータ取得部111が生成してもよいし、ユーザ情報を管理する他の装置から取得してもよい。
【0030】
評価者データとは、評価者に関する複数の属性の集合である。評価者データは、評価者本人の属性を含む。評価者データは、例えば、評価者のユーザ識別子、評価者の個人情報(性別、年代、学歴等)、評価者の専門分野、専門性、嗜好、興味のある分野、評価者に対する人物評価、評価者個人のトレンドなどに関するデータを含んでいてもよい。評価者データは、評価者本人、または第三者によって入力された、評価者の属性情報に基づいてデータ取得部111が生成してもよいし、ユーザ情報を管理する他の装置から取得してもよい。第三者が入力するデータとして、評価者の専門性や人物評価などが例示できる。
【0031】
評価結果データとは、特定の評価者が、特定の提供者が提供する製品またはサービスに対して行った評価の有益度を示すデータである。例えば、ある評価者が、ある製品またはサービスを過去に評価し、提供者が、これに従って製品やサービスの改良(改善)を試み
たものとする。この結果、売上、客単価、利益などが増加した場合、当該評価は提供者にとって有益なものであるということができる。
【0032】
データ取得部111は、評価結果データを直接インポートしてもよいし、過去に行われた評価に関するデータに基づいて、評価結果データを生成してもよい。
例えば、データ取得部111は、特定の評価者が過去に行った評価に含まれる改善提案に従って、評価者が製品やサービスの改善を試みた結果に関する履歴(以下、改善履歴データ)を取得し、これに基づいて、評価の有益度を算出したうえで評価結果データを生成することができる。改善履歴データは、例えば、改善提案の前後における、製品やサービスの売上や利益の推移等を示すものであってもよい。改善履歴データは、提供者によって、入出力部13を介して入力されてもよい。
【0033】
本実施形態では、評価結果データは、評価の有益度を示す数値を含む。当該数値は、例えば、評価の有益度を所定の範囲に正規化した無次元数とすることができる。
【0034】
学習部112は、データ取得部111が取得したデータに含まれる属性(提供者の属性および評価者の属性)と、評価の有益度を学習データとして、機械学習モデル(ユーザモデルの一例。以下、提供者モデルと称する)を学習させる。提供者モデルは、後述する記憶部12に記憶されている。学習部112が学習を実行することで、提供者が有する属性と、評価者が有する属性と、評価の有益度との関係を学習した機械学習モデルを得ることができる。
【0035】
評価部113は、学習済みの提供者モデルを利用して、特定の提供者に対して有益な評価を残せると予測される評価者を選定する。具体的には、評価部113は、対象の提供者について、システムに登録された複数の評価者との組み合わせを生成し、組み合わせごとに、提供者の属性および評価者の属性を提供者モデルに入力し、出力として、評価の有益度の予測値を取得する。評価部113は、予測される評価の有益度が所定値を上回る評価者についての情報を出力する。
【0036】
記憶部12は、情報を記憶する手段であり、RAM、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体により構成される。記憶部12には、制御部11にて実行されるプログラム、当該プログラムが利用するデータ等が記憶される。
【0037】
記憶部12には、データ取得部111によって取得された、提供者データ、評価者データ、評価結果データ、および提供者モデルが記憶される。
【0038】
ここで、提供者データ、評価者データ、および評価結果データの一例について説明する。
図3(A)は、提供者データの一例である。
提供者データは、提供者に関する複数の属性の集合を含む。図示した例では、提供者データは、提供者のユーザ識別子(ユーザID)、提供者が提供する製品またはサービスが属するカテゴリ、業種、サービスの種類、フェーズ、目的等に関するデータを含む。これらのデータは、提供者によって入力されたものであってもよい。
【0039】
図3(B)は、評価者データの一例である。
評価者データは、評価者に関する複数の属性の集合を含む。図示した例では、評価者データは、評価者のユーザ識別子(ユーザID)、評価者の性別、年代、学歴、専門性、嗜好等に関するデータを含む。なお、評価者の属性に関するものであれば、例示したもの以外を評価者データに含ませてもよい。例えば、個人的な興味、トレンド、スケジュール(評価に参加できる条件)、報酬などを評価者データに含ませてもよい。また、例えば、評価者の人物に関する特徴(親しさ、人柄、人間関係、性格など)を第三者に評価させ、そ
の結果を評価者データに含ませてもよい。
【0040】
図3(C)は、評価結果データの一例である。
評価結果データは、前述したように、過去に評価者が行った評価の有益度を示すデータである。図示した例では、評価結果データは、過去に行われた評価の識別子(評価ID)、評価者のユーザID、提供者のユーザID、評価の内容、および有益度を含む。有益度は、評価の有益性を示す数値であれば、無次元数であってもよいし、評価の有益性に関連する数値であってもよい。有益度は、改善履歴データに基づいてデータ取得部111が算出したものであってもよいし、提供者自身が付与したスコアであってもよい。
図3(D)については、第二の実施形態で後述する。
【0041】
図2に戻って説明を続ける。
入出力部13は、オペレータが行った入力操作を受け付け、オペレータに対して情報を提示する手段である。具体的には、入出力部13は、マウス、キーボード等の入力を行うための装置、及びディスプレイ、スピーカ等の出力を行うための装置を含む。入出力装置は、例えば、タッチパネルディスプレイ等により一体的に構成されてもよい。
【0042】
なお、サーバ装置1の具体的なハードウェア構成は、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部11は、複数のハードウェアプロセッサを含んでもよい。ハードウェアプロセッサは、マイクロプロセッサ、FPGA、GPU等で構成されてよい。また、例示したもの以外の入出力装置(例えば、光学ドライブ等)が付加されてもよい。また、サーバ装置1は、複数台のコンピュータにより構成されてよい。この場合、各コンピュータのハードウェア構成は、一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
【0043】
次に、サーバ装置1が有する制御部11が行う処理の流れを、
図4を参照して説明する。
まず、データ取得部111が、提供者データ、評価者データ、および評価結果データを生成するために必要なデータを取得する。
【0044】
本実施形態では、データ取得部111は、対象である提供者の属性に関するデータを取得し、当該データに基づいて、
図3(A)に示した提供者データを生成する。この際、データの変換や統合を行ってもよい。データ取得部111は、入出力部13を介してデータの入力を受け付けてもよい。なお、データ取得部111は、入出力部13を介して、提供者データを直接取得してもよい。
【0045】
また、データ取得部111は、評価者の属性に関するデータを取得し、当該情報に基づいて、
図3(B)に示した評価者データを生成する。この際、データの変換や統合を行ってもよい。データ取得部111は、入出力部13を介してデータの入力を受け付けてもよい。なお、データ取得部111は、入出力部13を介して、評価者データを直接取得してもよい。さらに、データ取得部111は、評価者データを生成するためのデータの一部を、外部装置から取得してもよい。
【0046】
また、データ取得部111は、前述した改善履歴データを取得し、これに基づいて、評価の有益度を算出したうえで評価結果データを生成する。改善履歴データは、例えば、有益度を評価するために利用できる数値(例えば、改善の前後における、売上額や利益額の変動量または変動率など)を含んでいてもよい。改善履歴データは、販売管理サーバ等の外部装置から受信してもよい。なお、データ取得部111は、入出力部13を介して、提供者に有益度を直接入力させてもよい。
【0047】
なお、記憶部12に、有益度を算出するための基準となるデータを記憶させておき、データ取得部111が、これを利用して有益度の算出を行ってもよい。
当該基準の一例として、例えば、
・改善の前後で売上額が増加するほど、有益度を高く算出する
・改善の前後で利益額が増加するほど、有益度を高く算出する
・改善の前後で客数が増加するほど、有益度を高く算出する
・改善の前後で顧客満足度が増加するほど、有益度を高く算出する
といったものが挙げられる。
【0048】
なお、本実施形態では、評価の有益度を算出するためのデータとして、改善提案の前後における、製品やサービスの売上や利益の推移等を例示したが、これ以外の基準を用いて評価の有益度を算出してもよい。
評価の有益度は、提供者が当該評価を受けることで、どの程度肯定的な結果が得られたかを表すものである。よって、提供者が評価を受けることで、どの程度肯定的な結果が得られたかを算出することができれば、指標は必ずしも金額等である必要はない。
また、有益度は、商業的な要素以外に基づいて算出されてもよい。例えば、評価を受けたことで提供者のスキルや能力が向上するなどした場合、肯定的な結果が得られたものとして、当該評価に対する有益度を高くしてもよい。
【0049】
データ取得部111によって生成された、提供者データ、評価者データ、および評価結果データは、記憶部12に記憶される。
【0050】
次に、学習部112が、記憶された3種類のデータに基づいて提供者モデルの学習を行う。学習部112は、提供者データおよび評価者データから、対応する複数の属性情報を抽出して入力データを生成し、評価結果データから有益度を抽出して出力データを生成する。また、これらを学習データとして、提供者モデルを学習させる。学習データの入力は、所定の周期で繰り返し行ってもよい。これにより、提供者が持つ複数の属性と、評価者が持つ複数の属性が入力された場合に、評価の有益度の予測値を出力する提供者モデルを得ることができる。
【0051】
評価部113は、サーバ装置1のオペレータからの指示をトリガとして、特定の提供者に適合する評価者を選定する。評価部113は、オペレータに、対象である提供者を指定させ、提供者データから、対応するレコードを抽出する。また、評価部113は、評価者データから、対象の提供者と組み合わせることができる複数の評価者(すなわち、評価者の候補)のレコードを抽出する。評価部113は、提供者と評価者の組み合わせについて、それぞれの属性情報を提供者モデルに入力し、出力として、有益度の予測値を取得する。これにより、有益度の予測値が、評価者の候補ごとに取得される。そして、評価部113は、得られた有益度が所定値を上回っている評価者について、情報を出力する。
【0052】
[フローチャート]
次に、本実施形態に係るサーバ装置1が実行する処理について説明する。
サーバ装置1が実行する処理は、提供者モデルを学習させるフェーズ(学習フェーズ)と、学習済みの提供者モデルに基づいて予測を行うフェーズ(予測フェーズ)に分類できる。
図5は、サーバ装置1が実行する学習フェーズのフローチャートである。図示した処理は、サーバ装置1のオペレータの操作によって開始される。
【0053】
まず、ステップS11で、データ取得部111が、提供者の属性に関するデータを収集する。当該データは、入出力部13を介して取得してもよいし、外部装置から取得してもよい。次に、ステップS12で、データ取得部111が、収集したデータに基づいて、図
3(A)を示して説明したような提供者データを生成する。提供者データは、属性に関するデータが収集されている全ての提供者について生成される。
【0054】
ステップS13では、データ取得部111が、評価者の属性に関するデータを収集する。当該データは、入出力部13を介して取得してもよいし、外部装置から取得してもよい。次に、ステップS14で、データ取得部111が、収集したデータに基づいて、
図3(B)を示して説明したような評価者データを生成する。評価者データは、属性に関するデータが収集されている全ての評価者について生成される。
【0055】
次に、ステップS15で、データ取得部111が、改善履歴データを取得する。改善履歴データは、前述したように、特定の評価者が過去に行った評価に含まれる改善提案に従って評価者が製品やサービスを改善した結果に関する履歴である。改善履歴データには、評価者、提供者、対象である製品またはサービスの識別子、改善提案の内容、および、改善結果(製品やサービスの売上や利益の推移等)が含まれていてもよい。改善履歴データは、複数のレコードを含んでいてもよい。
【0056】
次に、ステップS16で、データ取得部111が、改善履歴データに基づいて評価結果データを生成する。本ステップでは、データ取得部111は、例えば、取得された改善結果に基づいて、有益度を算出したうえで、
図3(C)を示して説明したような評価結果データを生成する。
【0057】
次に、ステップS17で、学習部112が、評価者データ、提供者データ、および評価結果データ(有益度)に基づいて、提供者モデルの学習を行う。例えば、学習部112は、各データに含まれる複数のフィールドに格納された値を特徴量に変換し、学習データとして提供者モデルに入力することで、提供者モデルの学習を行う。これにより、特定の提供者について、どのような属性を有する評価者が、どの程度の有益度を持つ評価を残せるかといった関係を提供者モデルに学習させることができる。
【0058】
図6は、サーバ装置1が実行する予測フェーズのフローチャートである。図示した処理は、サーバ装置1のオペレータの操作によって開始される。
【0059】
まず、ステップS21で、評価部113が、評価者と提供者の組み合わせを生成する。本ステップでは、対象の提供者を指定する情報を、入出力部13を介して取得したうえで、評価者の候補を取得する。評価者の候補は、最低限の条件(例えば、提供者が提示する条件)によってフィルタリングされたものであってもよい。
【0060】
次に、ステップS22で、評価部113が、評価者と提供者の組み合わせごとに、評価者および提供者に対応する属性情報を提供者モデルに入力し、出力として有益度の予測値を取得する。本ステップにより、評価者と提供者の組み合わせに対する有益度の予測値を得ることができる。
【0061】
次に、ステップS23で、評価部113が、所定値を上回る有益度の予測値が得られた評価者を選定し、当該評価者に関連する情報(例えば、ユーザID、個人情報、連絡先など)を、対象の提供者に適合する評価者として出力する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態に係るサーバ装置は、評価者が過去に行った評価の有益度を学習データとして利用して提供者モデルを学習し、当該提供者モデルを利用して、新規の製品またはサービスを評価する評価者を選定する。一般的に、ある評価者が、ある製品またはサービスに対して有益な評価を残せるか否かは、当該評価者が、提供者が期待する属性を持っているかによって変わりうる。本実施形態に係るサーバ装置は、評価者が
持っている属性を用いて学習を行うため、提供者に適合する属性を持つ評価者を選定することが可能になる。
【0063】
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、評価者の専門性や嗜好といった情報を利用して提供者モデルの学習を行った。一方、これ以外の情報を利用して提供者モデルの学習を行うこともできる。第二の実施形態は、評価者の過去の行動に関するデータをさらに用いて提供者モデルの学習を実行する実施形態である。
【0064】
例えば、評価者が過去に特定のスポット(例えば、球場)を多く訪問していた場合、当該評価者は、当該スポットに関連した属性(例えば、野球ファンという属性)を持っているとみなすことができる。第二の実施形態では、サーバ装置1が、過去における評価者の行動履歴を取得し、得られたデータに基づいて提供者モデルの学習を行う。
【0065】
第二の実施形態では、データ取得部111は、複数の評価者のそれぞれについて、過去における行動履歴に関するデータ(以下、行動履歴データ)を取得可能に構成される。
行動履歴データとは、評価者が過去に行った行動の履歴に関するデータである。斯様なデータとして、例えば、評価者が所持する携帯端末の位置情報の履歴、評価者によるウェブサイトの閲覧履歴、評価者がオンラインで購入した物品の履歴などが挙げられる。行動履歴データは、評価者に関連付いた端末(スマートフォン等)から取得してもよいし、端末のロケーション履歴、ウェブサイトのアクセスログ、物品の購買履歴などを管理する外部装置から取得してもよい。
【0066】
第二の実施形態では、データ取得部111が、取得した行動履歴データに基づいて、評価者が過去に訪問したスポット、評価者が過去にオンラインでインタラクトした対象、および評価者が過去に購入した物品などを特定する。また、特定した訪問スポット、インタラクト対象、および購入物品等に基づいて、評価者の追加属性を決定する。
【0067】
図3(D)は、第二の実施形態における評価者データの一例である。第二の実施形態では、評価者データは、訪問履歴に基づく属性、インタラクト履歴に基づく属性、購買履歴に基づく属性をさらに含む。
訪問履歴に基づく属性とは、評価者が過去に訪問したスポットに基づいて決定された属性である。インタラクト履歴に基づく属性とは、評価者が過去にオンラインでインタラクトした対象に基づいて決定された属性である。購買履歴に基づく属性とは、評価者が過去に購入した物品に基づいて決定された属性である。これらの属性は、例えば、訪問スポット、インタラクト対象、および購入物品等の集合を、機械学習モデルによってクラス分類することで得てもよい。
例えば、評価者が、自動車に関する店舗に多く訪問しており、自動車に関するウェブページに多くインタラクトしていた場合、当該評価者には、「自動車に対して造詣が深い」旨の属性が与えられうる。
【0068】
第二の実施形態では、学習部112および評価部113は、第一の実施形態で説明した属性に加え、前述した追加属性を用いて提供者モデルの学習および予測を行う。かかる構成によると、予測の精度をより向上させることが可能になる。
【0069】
(変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0070】
また、実施形態の説明では、提供者および評価者の属性情報を学習データとして利用したが、提供者および評価者に関するデータであれば、これ以外のデータを学習データとして利用してもよい。
【0071】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0072】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0073】
1・・・サーバ装置
11・・・制御部
12・・・記憶部
13・・・入出力部