(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160777
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】横引き排水管
(51)【国際特許分類】
E03C 1/122 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
E03C1/122
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076124
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】522264939
【氏名又は名称】株式会社カワトT.P.C.
(74)【代理人】
【識別番号】100161285
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 正彦
(72)【発明者】
【氏名】川戸 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 聡
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061AA05
2D061AB10
2D061AC10
2D061AD10
(57)【要約】
【課題】
従来の横引き排水管のエルボ管の部分については、直管の切断時におけるバリによる突起や、直管の切断面が直角かつ平面でないことにより溝が生じるおそれがある。このため、横引き排水管の内部の突起や溝があることにより、前述の雑排水や汚水が付着し易くなり、微生物の繁殖がし易くなり、所謂ヌメリが発生することになった。そのため、定期的に、排水管の掃除が必要になるという問題があった。
【解決手段】
横引き配管1は、管の呼び径の8倍から12倍の曲げ半径で曲げられた曲げ箇所を1か所以上有し、排水が必要な排水付器具の器具排水口側接続孔9から、立て管の立て管側接続孔8までを、1本の熱可塑性樹脂管で接続するように形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の呼び径の8倍から12倍の曲げ半径で曲げられた曲げ箇所を1か所以上有し、排水が必要な排水付器具の器具排水口側接続孔から、立て管の立て管側接続孔までを、1本の熱可塑性樹脂管で接続するように形成された横引き排水管。
【請求項2】
管の呼び径の8倍から12倍の曲げ半径で曲げられた曲げ箇所を1か所以上有し、排水が必要な排水付器具の器具排水口側接続孔から、複数の排水管を集めた組立集合横引き排水管の集合管接続孔までを、1本の熱可塑性樹脂管で接続するように形成された横引き排水管。
【請求項3】
前記1本の熱可塑性樹脂管で形成された横引き排水管は三次元的形状に形成されている請求項1から請求項2の何れか1項記載の横引き排水管。
【請求項4】
前記1本の熱可塑性樹脂管で形成された横引き排水管は積層集合住宅の一戸単位での床下空間に合わせて共通の形状に形成されている請求項1から請求項2の何れか1項記載の横引き排水管。
【請求項5】
前記1本の熱可塑性樹脂管で形成された横引き排水管のうち、積層集合住宅の一戸単位の組み合わせにおける最も長い横引き排水管には、該最も長い横引き排水管と同じ管の呼び径の該最も長い横引き排水管以外が含まれている請求項1から請求項2の何れか1項記載の横引き排水管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅の床下に敷設されている横引き排水管に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、戸建てや、複数の世帯単位の居住スペース(以下、一戸単位の区画と略す。)により形成された集合住宅に係わらず、新築する場合には、一戸単位の区画には、台所の流し台(シンク)、洗面所の洗面台、洗濯機を置く洗濯機パン(皿状の洗濯機置台)、浴室の浴槽や洗い場、トイレの便器を設けることが一般的になっている。
【0003】
このため、一戸単位の区画の床下には、前記の流し台、洗面台、洗濯機パン、浴槽、洗い場、便器等の排水が必要な器具(以下、排水付器具と略して総称する。)の夫々の器具排水口から、所定の排水集合管に接続するための排水用の管を設けて連通させる必要があった。
【0004】
複数の一戸単位の区画を上下に配置して積層させて構成されている集合住宅(以下、積層集合住宅と略す。なお、階数によっては高層住宅と呼ばれる場合があるが、この高層住宅も積層集合住宅に含まれる。)の、特に2階以上については、階上の一戸単位の区画と階下の一戸単位の区画を貫通する立て(堅)管が設けられており、これが、前記の排水集合管との機能を果たす構造が一般的であった。立て管については、前記の流し台、洗面台、洗濯機パン、浴槽、洗い場からの雑排水用と、便器からの汚水用に分ける構造又は、前記雑排水と汚水を1本の立て管にまとめて流す方式が、積層集合住宅の間取りや積層集合住宅全体の構造によって選択されていた。
【0005】
積層集合住宅の構造としては、各階の上下を仕切る鉄筋コンクリート製の構造躯体(スラブ)の上に一戸単位の区画の床を形成させる構造が一般的であり、この鉄筋コンクリート製の構造躯体と床部材(床材、根太等の木製材料や、金属やコンクリートなどで形成されたもの。)との間に形成された空間(以下、床下空間と略す。)に、排水付器具の器具排水口と立て管の接続口を設ける構造が一般的であった。そのため、前記の複数の排水付器具の器具排水口から前記の立て管の接続口までを、接続するための管(以下、横引き排水管と略す。なお、立て管側から見て枝管とも呼ばれている。)が設けられていた。
【0006】
床下空間に設ける横引き排水管については、複数の排水付器具の器具排水口から前記の立て管の接続口に向かって雑排水や汚水が滞留しないように、所定の勾配を付ける必要があった。勾配については、大きいほど良いが、設計の基準では、最小1/50(管径が大きくなるとこれより小さくても良いが、目安としてはこの程度が好ましい。)の勾配が必要とされていた。
【0007】
積層集合住宅の床下空間は、一戸単位の区画の居住空間を広く取る方が居住者にとって好ましいことや、積層集合住宅の高さ制限の関係でできるだけ、高さ方向が低いことが良いことになり、一般的な一戸建て住宅の床下空間の高さよりも低い構造になっていた。
なお、積層集合住宅の床下空間においても、構造躯体から床部材を支えるため、居住空間の間取りに合わせた床部材の支持部材が適当な個所に配置されているため、横引き排水管については、これを避けて敷設する必要があった。
【0008】
排水管、本出願については横引き排水管には、前述のように、雑排水や汚水が流される。
水道水についても、水道水にカルシウムやマグネシウムなどが溶けている。雑排水は、通常排水付器具側にフィルターや粗い網が設けられ、大きな固形物は流されないようになっているが、フィルターや粗い網を通過する微細な固形物や水道水に溶け込んだ煮汁・油脂・洗剤・石鹸・皮脂が流されることになる。また、汚水については、固形物が含まれることになる。
【0009】
そして、前述の雑排水や汚水が排水管に流されると、排水管の管内部に雑排水や汚水の一部が付着して堆積することになる。さらに、堆積物の煮汁や油脂等を栄養として微生物が繁殖することになる。これは、雑排水や汚水の流速が遅くなる横引き排水管に発生し易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に示されているように排水管は直管と90度エルボ管を組み合わせて形成されていた。このため、特許文献1に示されてはいないが、積層集合住宅の床下空間において横引き排水管を敷設する場合においても、直管と90度エルボ管の組み合わせにより勾配を考慮して敷設することになる。
【0012】
横引き排水管については、上部から流された雑排水や汚水が落下することを利用して下方に流すだけであるので、大きな正圧・負圧の圧力や温度は、横引き排水管の内部に加わらないので、熱可塑性の硬質合成樹脂管(以下、熱可塑性樹脂管と呼ぶ。)、例えば、硬質ポリ塩化ビニル管(VU・VP)が使用されている。この硬質ポリ塩化ビニル管については、軽量であり施工性が良く、安価であるという特徴がある。
【0013】
熱可塑性樹脂管は、切断や接着は容易である。しかしながら、熱可塑性樹脂管に熱を加えれば曲げることは可能であるが、熱の加え方が難しいことや、熱可塑性樹脂管の肉厚を保ちながら均等に曲げることは、排水管を設置する現場で行うことは難しいため、曲げについては、特許文献1に示されているように、直管を適当な長さに切断しエルボ管に接着することで曲げ加工が行われていた。
【0014】
横引き排水管にエルボ管を利用して曲げ加工を行った場合には、横引き排水管が接続されて支持される両端ではなく、両端以外の中央部に1以上設けることになる。そのため、使用したエルボ管の重量が少なくとも重くなることになった。このため、横引き排水管の中央部が垂れ下がり易くなるという問題があった。
【0015】
。
また、横引き排水管のエルボ管の部分については、直管の切断時におけるバリによる突起や、直管の切断面が直角かつ平面でないことにより溝が生じるおそれがある。
【0016】
このため、横引き排水管の内部の突起や溝があることにより、前述の雑排水や汚水が付着し易くなり、微生物の繁殖がし易くなり、所謂ヌメリ(バイオフィルム:野菜のくずや料理の残りカスをエサにして繁殖する細菌やバクテリアやカビなどの微生物とその排泄物がかたまったもの)が発生することになった。そのため、定期的に、排水管の掃除が必要になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0018】
第1発明の横引き排水管は、管の呼び径の8倍から12倍の曲げ半径で曲げられた曲げ箇所を1か所以上有し、排水が必要な排水付器具の器具排水口側接続孔から、立て管の立て管側接続孔までを、1本の熱可塑性樹脂管で接続するように形成されている。
第2発明の横引き排水管は、管の呼び径の8倍から12倍の曲げ半径で曲げられた曲げ箇所を1か所以上有し、排水が必要な排水付器具の器具排水口側接続孔から、複数の排水管を集めた組立集合横引き排水管の集合管接続孔までを、1本の熱可塑性樹脂管で接続するように形成されている。
第3発明の横引き排水管は、請求項1から請求項2の何れか1項記載の発明において、前記1本の熱可塑性樹脂管で形成された横引き排水管は三次元的形状に形成されている。
第4発明の横引き排水管は、請求項1から請求項2の何れか1項記載の発明において、前記1本の熱可塑性樹脂管で形成された横引き排水管は積層集合住宅の一戸単位での床下空間に合わせて共通の形状に形成されている。
第5発明の横引き排水管は、請求項1から請求項2の何れか1項記載の発明において、前記1本の熱可塑性樹脂管で形成された横引き排水管のうち、積層集合住宅の一戸単位の組み合わせにおける最も長い横引き排水管には、該最も長い横引き排水管と同じ管の呼び径の該最も長い横引き排水管以外が含まれている。
構成されている。
【発明の効果】
【0019】
以上のような、技術的手段を有することにより、以下の効果を有する。
【0020】
横引き排水管のエルボ管をなくすことができ、雑排水や汚水に含まれる微細な固形物や水道水に溶け込んだ煮汁・油脂・洗剤・石鹸・皮脂の付着を少なくすることができる。さらには、横引き排水管のエルボ管がないことで、付着物の掃除も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明を説明するための従来の実施形態の横引き排水管の説明図である。
【
図2】本発明に係る第1の実施形態の横引き排水管の説明図である。
【
図3】本発明に係る第1の実施形態の横引き排水管の勾配を変更した説明図である。
【
図4】本発明に係る第1の実施形態の横引き排水管と他の横引き排水管との関係説明図である。
【
図5】本発明に係る第1の実施形態の横引き排水管を他の横引き排水管に使用する場合の説明図である。
【
図6】本発明に係る第2の実施形態の横引き排水管と他の横引き排水管との関係説明図である。の組立説明図である。
【
図7】本発明に係る第3の実施形態の横引き排水管と他の横引き排水管との関係説明図である。
【
図8】本発明に係る第4の実施形態の横引き排水管と他の横引き排水管との関係説明図である。
【
図9】本発明に係る第5の実施形態の横引き排水管と他の横引き排水管との関係説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る横引き排水管の実施の形態について
図1乃至
図9に基づき説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0023】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について、
図1乃至
図5に基づき説明する。まず、
図1の説明図を用いて、特許文献1で説明される方法により、横引き排水管を敷設する方法について説明する。
【0024】
図1において、二点鎖線の高さ方向に低い立方体で図示された空間が、横引き排水管を敷設する床下空間7である。この床下空間7には、積層集合住宅の構造や、居住空間に設けられる予定の各種の排水付器具の配置から敷設された立て管側接続孔8が設けられている。また、床下空間7には、居住空間の設計によって決定される排水付器具の器具排水口側接続孔9が設けられている。
【0025】
ここでは、説明を容易にするため、立て管側接続孔8から、器具排水口側接続孔9までの距離を、図中のx軸方向に2メートル、図中のy軸方向に1.5メートル離れているものとする。なお、図中のz軸方向については、立て管が鉄筋コンクリート製の構造躯体(スラブ)に固定されているので、立て管側接続孔8の位置を基準として説明し、器具排水口側接続孔9については、立て管側接続孔8よりも高いが、z軸方向で調節が可能なものとして説明する。また、床下空間7の高さ方向は、約20センチメートル以上はあるものとして図示している。
【0026】
立て管側接続孔8については、積層集合住宅の各階の上下を仕切る鉄筋コンクリート製の構造躯体(スラブ)を貫通する管であり、前記構造躯体(スラブ)に埋め込まれ床下空間7に水平方向に開口する孔を1~3か所設けられているものの、1か所の開口部がこれに当たる。
【0027】
立て管側接続孔8が複数設けられている場合の孔と孔の関係は、水平方向角度90度又は180度になるように設けられている。このため、立て管側接続孔8については、水平方向の内の、x軸方向、y軸方向の何れか1方向、x軸方向とy軸方向の両方向(90度)、x軸方向と正負のy軸方向の三方向に限られて設けられることになる。また、立て管側接続孔8については、床下空間7の下部の鉄筋コンクリート製の構造躯体の上面に近接または、上面と僅か上方に開口している。床下空間7のz軸方向の長さ(高さ方向の長さ)を低くしても横引き排水管の勾配が採れやすくするためである。
【0028】
器具排水口側接続孔9については、器具排水口側接続孔9の上部の居住空間にある排水付器具の排水を下方の床下空間7にまで、垂下させる管と、この管の下側の端部に取り付けられ床下空間7の内部に設けられているエルボ管における、水平方向の開口部がこれに当たる。このため、器具排水口側接続孔9については、前記の垂下させる管を軸として、水平方向(x軸y軸方向によって形成される面の何れかの方向)に動かすことが可能なようになっている。
【0029】
なお、浴槽、洗い場を一体として形成しているユニットバスについては、前記ユニットバス側で、浴槽、洗い場の排水管が集合され1本の排水管となっており、前記1本の排水管を前記ユニットバス外に取り出す構造にしてあるので、前記1本の排水管の取り出し口の位置が決まっている場合が多い。また、一般的な住宅を含め、積層集合住宅の間取りの特徴としては、排水付器具のうち、洗面台、洗濯機パン、浴槽、洗い場については、出来るだけ隣り合った場所(近接した場所)に設けることが一般的である。居住者の使い勝手が良いことと、給湯配管、給水配管、横引き排水管を短くすることが出来、工事が簡単になるからである。
【0030】
立て管側接続孔8から、器具排水口側接続孔9まで、横引き排水管を敷設する場合には、様々な道筋(ルート)が考えられるが、床下空間7も、居住空間の構造の影響を受けており、床を支持する構造材や、壁に連なる構造材があることや、床下空間7を他の配管や床下に収める可能性のある機器などを考慮すれば、できるだけ、床下空間7の外周に近い部分(隅)や、床下空間7を方形に区切る方向に配置する方が良いことになる。
【0031】
図1を用いて、特許文献1で説明される方法により、床下空間7において、組立横引き排水管80を敷設する方法について説明する。組立横引き排水管80は、立て管側接続孔8を起点として、立て管側接続孔8に1メートルの直管81を差し込んで、図中のx軸方向に1メートル敷設し、直管81の端にエルボ管82を取り付け、エルボ管82に1.5メートルの直管83を取り付けて図中のy軸方向に1メートル敷設し、直管83の端にエルボ管84を取り付け、エルボ管84に1メートルの直管85取り付けて図中のx軸向に1メートル敷設して立て管側接続孔8と接続させることになる。
【0032】
なお、後述する勾配を分かり易く説明するために、細い二点鎖線で立て管側接続孔8を基準として、水平に(勾配が設けられて無い状態に)に組立横引き排水管80を伸ばしたとした場合の水平基準線Lを図示している。また、水平基準線Lと組立横引き排水管80のz軸方向の間隔をHの倍数で図示している。なお、1Hは2センチメートルとしている。
【0033】
直管81、83、85については、雑排水用で、1か所からだけの場合であるとして、硬質ポリ塩化ビニル管(VP)の呼び径50、外径の直径60ミリメートルで、肉厚4.5ミリメートルであるとし、エルボ管82、84についてはこの直管81、83、85に対応するものとしている。
【0034】
前記の場合、組立横引き排水管80においては、勾配を1/50以上にする必要があるので、1メートルの1/50の2センチメートル高くなる勾配が必要となる。そのため、立て管側接続孔8からエルボ管82の位置では、1H=2センチメートル高くし、エルボ管84の位置では、立て管側接続孔8から2.5H=5センチメートル高くし、器具排水口側接続孔9の位置においては、立て管側接続孔8から3.5H=7センチメートル高くする必要があることになる。
【0035】
図1の組立横引き排水管80と同じ道筋(ルート)を床下空間7で採るとして、本実施形態の横引き排水管1について、
図2を用いて説明する。
図2は、組立横引き排水管80が前記直管81、エルボ管82、直管83、エルボ管84と直管85で形成されたものを、1本の直管を曲げ加工することによって横引き排水管1に形成したものである。なお、直管については、直管81、83、85と同様に、硬質ポリ塩化ビニル管(VP)の呼び径50、外径の直径60ミリメートルで、肉厚4.5ミリメートルである。なお、
図2中で比較し易いように、組立横引き排水管80の直管81、83、85の中心線については、一点鎖線で図示している。
なお、呼び径については、JIS K 6741及びJIS K 6742に規定されたものとする。
【0036】
1本の直管を曲げ加工する方法としては、直管は硬質ポリ塩化ビニル管(VU)曲げ加工を施す箇所を、耐熱温度(摂氏60度)以上、例えば摂氏100度の液体や熱風を加えることにより、曲げ加工を行う。なお、直管の管径の変形を防止するために、直管の内部に変形防止用の弾性体(例えば、バネ)を差し込んだ状態で曲げ加工を行う。なお、本実施形態においては、熱可塑性樹脂管について硬質ポリ塩化ビニル管(VP)を例として、説明するが、他の硬質ポリ塩化ビニル管(VU、HT、RF-VP)についても、適切な温度の加工法により実施できる。
【0037】
1本の直管を、組立横引き排水管80のエルボ管82、84に対応する箇所で曲げ加工したものが横引き排水管1である。曲げ半径については、本実施形態においては、呼び径の10倍の曲げ半径500ミリメートル(以下、曲げ半径Rの表記については、R=0.5mと記載する。)として説明する。なお、曲げの半径の選択については、熱可塑性樹脂管の材質や肉厚により、曲げ半径は異なるが、小さい曲げは、管が変形するため、最低でも、呼び径の8倍以上が好ましい。また、曲げ半径を大きくし過ぎると、積層集合住宅のような狭い床下空間で、立て管側接続孔と器具排水口側接続孔の位置が余り離れてないものには対応できなくなるので、呼び径の12倍以下としている。しかしながら、床下空間が広く、立て管側接続孔と器具排水口側接続孔の位置に余裕がある場合については、呼び径の12倍を超えても実施できる。
【0038】
直管を横引き排水管1に加工した場合の全長は、前述の条件から、
0.5+1/4π+0.5+1/4π+0.5≒3.07メートル(π≒3.14で計算)となる。
【0039】
一方、前述の組立横引き排水管80の全長は、エルボ管82、84の差し込み代があることと、エルボ管82内部の長さは無視できるほど小さいことから、直管81、83、85だけの長さで考えると3.5メートルはあると考えることはてきる。
よって、本実施形態の横引き排水管1では、直管の長さが0.43メート短くすることができると伴に、エルボ管82、84が不要になる。
【0040】
組立横引き排水管80を組み立てる場合には、集合住宅の建設現場で、所定の長さの直管を切断して、直管81、83、85にし、これに、エルボ管82、84を接着することで敷設することになる。この場合に、組立横引き排水管80の前述の勾配の関係を出すためには、接着する角度を建設現場で正確に出す必要があるので、手順を間違えると、部分的に勾配の小さい箇所が発生するおそれがあり、作業者が熟練していることが必要となる。
【0041】
一方、横引き排水管1については、1本の直管を熱加工させてその形状を成形するので、立て管側接続孔8と器具排水口側接続孔9との接続だけを注意して行えれば良いので、作業が簡単になる。
【0042】
横引き排水管1の全長が短くできるということは、立て管側接続孔8と器具排水口側接続孔9の高さ関係の位置を同じにすれば、
図2のようなになり、R=0.5mで曲げられた箇所だけの1.57メートル(1/4π+1/4π)について4センチメートルの勾配(1.27/50)になる。
【0043】
また、
図3の横引き排水管1aのように、R=0.5mで曲げられた箇所についても勾配1/50にすれば、1.57メートル(1/4π+1/4π)について3.14センチメートルz軸方向の高さとなり、立て管側接続孔8を基準とした器具排水口側接続孔9までの高さは、6.14センチメートル(
図3で約3Hの高さ)になる。これにより、床下空間7がz軸方向の空間が狭い場合についても対応することができる。何れにしろ、1本の直管を曲げて横引き排水管1又は横引き排水管1aを形成するのであるから、勾配の条件を満たせれば部分的に勾配を変化させて、三次元的に変化させることも可能となる。
【0044】
以上から、横引き排水管1又は横引き排水管1aについては、エルボ管82、84を用いないことにより、エルボ管82、84と直管81、83、85を接続することにより生ずる、内部の出っ張りや溝等の段差を無くすことや、エルボ管82、84の内部で生じる急激な水流の角度変化による流速の低下(水流に対する抵抗の発生)自体の急激なかができ、エルボ管82、84によるした横引き排水管1又は横引き排水管1aにすることで、雑排水や汚水により生ずる横引き排水管の詰まり難くさせることができる。また、横引き排水管1に詰まりを発生したとしても、急激に変化するエルボ管82、84がないことから、排水管掃除用のブラシなどの掃除器具が、入り易く排水管掃除が容易となる。
【0045】
また、横引き排水管1又は横引き排水管1aの全体的な長さが短くなることと、エルボ管82、84が不要であることから、材料費が少なくなり、建設現場での接着作業が少なくなる。
また、床下空間7のz軸方向の長さ(高さ方向の長さ)が低い場合や、z軸方向に障害部がある場合でも、勾配を確保しながら三次元的に変化させて敷設することができる。
【0046】
図4と
図5を用いて、横引き排水管1と他の横引き排水管11、12について説明する。
図4と
図5は、積層集合住宅の排水付器具である流し台、洗面台、洗濯機パン、ユニットバスに対応する床下空間の平面図である。ここで、立て管には、立て管側接続孔8aと立て管側接続孔8bが設けられている。また器具排水口側接続孔9aは、台所の流し台(システムキッチンのシンク)に連通している。器具排水口側接続孔9bは、洗濯機パンの排水孔と連通している。器具排水口側接続孔9cは洗面台(洗面ボウル)の排水孔と連通している。器具排水口側接続孔9dは、ユニットバスの浴槽と洗い場の両方の排水孔をユニットバスの内部でまとめた排水孔と連通している。器具排水口側接続孔9d、器具排水口側接続孔9c、器具排水口側接続孔9bは、居住者の利便性のため一般的に、近接した箇所に設けられている。このため、器具排水口側接続孔9d、器具排水口側接続孔9c、器具排水口側接続孔9bは共に、雑排水であるため、雑排水をまとめて、立て管側接続孔8bに流すようになっている。
【0047】
雑排水をまとめて流すため、横引き排水管1と他の横引き排水管11、12よりも呼び径が大きい、例えば、呼び径60の硬質ポリ塩化ビニル管(VP)で組立集合横引き排水管90は形成されている。組立集合横引き排水管90は、集合直管91、93、95、97と、集合エルボ管94と、集合直管91、93、95、97を分岐するための、集合チーズ管(ティ継手)92、96で構成されている。集合チーズ管92には、横引き排水管11により器具排水口側接続孔9bと連通されており、集合チーズ管96には、横引き排水管12により器具排水口側接続孔9cと連通されている。横引き排水管11と12については、横引き排水管1と同じ呼び径の硬質ポリ塩化ビニル管(VP)から形成されており、何れも呼び径50の直管を、曲げの半径Rが、呼び径の10倍500ミリメートルで曲げて形成されている。この、集合チーズ管92、96が、組立集合横引き排水管90の集合管接続孔となる。
【0048】
図5については、横引き排水管1には、横引き排水管11と、横引き排水管12とが含まれていることを説明している図である。
図5における横引き排水管1は、横引き排水管11と横引き排水管12が切り取られた部分については、破線で図示されている。横引き排水管11については、横引き排水管1における切断箇所11aと切断箇所11bの箇所で切断することで形成されており、横引き排水管12については、横引き排水管1における切断箇所12aと切断箇所12bの箇所で切断することで形成されている。
【0049】
また、横引き排水管11の勾配の上流側は器具排水口側接続孔9bに接続する箇所なので、横引き排水管1の上流側になる切断箇所11aが器具排水口側接続孔9bに、下流側の切断箇所11bが集合チーズ管92に接続されている。同様に、横引き排水管12の勾配の上流側は器具排水口側接続孔9cに接続する箇所なので、横引き排水管1の上流側になる切断箇所12aが器具排水口側接続孔9cに、下流側の切断箇所12bが集合チーズ管96に接続されている。このこれにより、横引き排水管1に形成されている曲げ加工だけでなく、横引き排水管1に形成されている勾配についても、そのまま、横横引き排水管11と横引き排水管12に使用することができる。
【0050】
横引き排水管1には、横引き排水管11と、横引き排水管12とが、含まれていることにより、共通の形状の横引き排水管1と他の横引き排水管11、12が多数使用される積層集合住宅の横引き排水管の製作で、横引き排水管1の製作に曲げ金型を利用する場合には、共通の曲げ金型で横引き排水管11と、横引き排水管12を製作することができる。また、共通の形状の横引き排水管1と他の横引き排水管11、12が多数使用される積層集合住宅の建設現場において、横引き排水管1のみを余分に用意しておけば、欠品や作業ミスが発生した場合についても、対応することができる。
【0051】
さらには、横引き排水管1を余分に用意しなくても、大規模な積層集合住宅の建設工事では、複数の日程にまたがって排水管の工事する場合も多いので、後日使用予定の横引き排水管1を切断して、先に敷設する必要がある横引き排水管11と、横引き排水管12に流用して、先に完了する必要のある敷設工事をすることができるので、建設現場における作業性が向上する。
これにより、従来の組立集合横引き排水管80の利点である、建設現場における材料の調達のし易さについても解決することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の横引き排水管2について、
図6を用いて説明する。
第2の実施形態については、第1の実施形態の
図1から
図3で説明した床下空間7と同じ条件であり、立て管側接続孔8と器具排水口側接続孔9との関係は同一である。また、第1の実施形態の
図4と
図5で説明した、立て管側接続孔8a、8bと、排水付器具の器具排水口側接続孔9a、9b、9c、9dの位置関係についても同一であり、同じ符号を附して説明を省略する。
【0053】
横引き排水管2については、第1の実施形態の横引き排水管1とは違う道筋(ルート)で敷設した場合の例であり、横引き排水管1とは同様の呼び径や材質の熱可塑性樹脂管であり説明を省略する。また、第1の実施形態の
図1から
図3を用いて説明した横引き排水管おける勾配についての説明は、横引き排水管2についても横引き排水管1と同様の考え方であるので、説明については省略する。
【0054】
なお、組立集合横引き排水管90については、立て管側接続孔8bから器具排水口側接続孔9dまでの流路形状については、第1の実施形態と同様であるが、集合チーズ管92、96位置、言い換えるならば、組立集合横引き排水管90から分岐する横引き排水管21、22の取り付け箇所については、後述する横引き排水管21、22の形状に合わせて調整している。
【0055】
第2の実施形態を説明する前に、立て管側接続孔8aから器具排水口側接続孔9aまでの、最短の横引き排水管について説明する。第1の実施形態の床下空間7において、立て管側接続孔8aと器具排水口側接続孔9aを最短距離で結ぶとすれば、立て管側接続孔8aから、器具排水口側接続孔9aまでを斜め方向に直線で結ぶのが、最短の距離となり、これが、最短の横引き排水管となる。
三平方の定理で計算すると、
1.5×1.5+2×2=6.25
この6.25の平方根である√6.25=2.5メートルになる。
しかしながら、前述の立て管側接続孔8の配置の問題があるため、立て管側接続孔8はx軸方向とy軸方向の何れか又はその両方に限られる。
【0056】
また、横引き排水管を最短距離で敷設すると、横引き排水管に、引張り方向、圧縮方向、ねじれ方向に力が加わった場合(横引き排水管に対する外力)に、横引き排水管自体に曲げ加工があれば、この曲げにより力を逃がし易くなり、横引き排水管の破損や抜けが発生し易くなるおそれがある。特に、積層集合住宅の高層階では、このような、外力について考慮する必要がある。
【0057】
図6は第1の実施形態の
図5の説明と比較するための同様な説明図の形式で図示している。
図6の横引き排水管2については、立て管側接続孔8aからx軸方向に0.25メートルの箇所で、呼び径の8倍の曲げ半径400ミリメートル(以下、曲げ半径Raの表記については、Ra=0.4mと記載する。)で直線の180度から135度の曲げ(Ra=0.4mの1/8の円弧)が形成され、その後、1.5×√2≒2.12メートルの箇所まで直進させ、Ra=0.4mで直線の180度から135度の曲げ(Ra=0.4mの1/8の円弧)が形成されることで、横引き排水管2はx軸方向に直進するように戻され、器具排水口側接続孔9aに接続されるように形成されている。
【0058】
このため、Ra=0.4mの直線の180度から135度の曲げ(Ra=0.4mの1/8の円弧)を、無視して直線だけでの長さは、
0.25+1.5×√2+0.25≒2.62 メートルとなる。
2箇所のRa=0.4mの直線の180度から135度の曲げ(Ra=0.4mの1/8の円弧)を考慮すれば、約0.03メートル短くなるので、約2.59メートルとなる。
そのため、最短の距離2.5メートルと比較しても十分短くすることができると同時に、器具排水口側接続孔の条件や、曲げが設けられていることにより、外部からの力も吸収し易くなる。
【0059】
また、第1の実施形態の横引き排水管1と比較すると全体として短くできるだけではなく、2箇所のR=0.5mの90度曲げ(R=0.5mの1/4の円弧)から、2箇所のRa=0.4mの直線の180度から135度の曲げ(Ra=0.4mの1/8の円弧)になることでより、内部を通過する雑排水がさらに流れやすい形状にすることができる。
【0060】
図6については、第1の実施形態の
図5と同様に、横引き排水管2には、横引き排水管21と、横引き排水管22とが含まれていることを説明している図である。
図6における横引き排水管2は、横引き排水管21と横引き排水管22が切り取られた部分については、破線で図示されている。横引き排水管21については、横引き排水管2における切断箇所21aと切断箇所21bの箇所で切断することで形成されており、横引き排水管22については、横引き排水管2における切断箇所22aと切断箇所22bの箇所で切断することで形成されている。
【0061】
また、横引き排水管21の勾配の上流側は器具排水口側接続孔9bに接続する箇所なので、横引き排水管2の上流側になる切断箇所21aが器具排水口側接続孔9bに、下流側の切断箇所21bが集合チーズ管92に接続されている。同様に、横引き排水管22の勾配の上流側は器具排水口側接続孔9cに接続する箇所なので、横引き排水管2の上流側になる切断箇所22aが器具排水口側接続孔9cに、下流側の切断箇所22bが集合チーズ管96に接続されている。これにより、横引き排水管2に形成されている曲げ加工だけでなく、横引き排水管2には、第1の実施形態で説明した勾配についても考慮して形成されているので、横引き排水管2に形成されている勾配についても、そのまま、横横引き排水管21と横引き排水管22に使用することができる。
【0062】
横引き排水管2には、横引き排水管21と、横引き排水管22とが、含まれていることにより、同一の間取りが複数設定される積層集合住宅における共通の形状となる、横引き排水管2と他の横引き排水管21、22の組み合わせが多数使用される横引き排水管の製作で、横引き排水管2の製作に曲げ金型を利用する場合には、共通の曲げ金型で横引き排水管21と、横引き排水管22を製作することができる。また、共通の形状の横引き排水管2と他の横引き排水管21、22が多数使用される積層集合住宅の建設現場において、横引き排水管2のみを余分に用意しておけば、欠品や作業ミスが発生した場合についても、対応することができる。
【0063】
さらには、横引き排水管2を余分に用意しなくても、大規模な積層集合住宅の建設工事では、複数の日程にまたがって排水管の工事する場合も多いので、後日使用予定の横引き排水管2を切断して、先に敷設する必要がある横引き排水管21または/および横引き排水管22に流用して、先に完了する必要のある敷設工事をすることができるので、建設現場における作業性が向上する。
これにより、従来の組立集合横引き排水管80の利点である、建設現場における材料の調達のし易さについても解決することができる。
【0064】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の横引き排水管3について、
図7を用いて説明する。
第3の実施形態については、第1の実施形態の
図1から
図3で説明した床下空間7と同じ条件であり、立て管側接続孔8と器具排水口側接続孔9との関係は同一である。また、第1の実施形態の
図4と
図5で説明した、立て管側接続孔8a、8bと、排水付器具の器具排水口側接続孔9a、9b、9c、9dの位置関係についても同一であり、同じ符号を附して説明を省略する。
【0065】
横引き排水管3については、第1の実施形態の横引き排水管1とは違う道筋(ルート)で敷設した場合の例であり、横引き排水管1とは同様の呼び径や材質の熱可塑性樹脂管であり説明を省略する。また、第1の実施形態の
図1から
図3を用いて説明した横引き排水管おける勾配についての説明は、横引き排水管3についても横引き排水管1と同様の考え方であるので、説明については省略する。
【0066】
なお、組立集合横引き排水管90については、立て管側接続孔8bから器具排水口側接続孔9dまでの流路形状については、第1の実施形態と同様であるが、集合チーズ管92、96位置、言い換えるならば、組立集合横引き排水管90から分岐する横引き排水管31、32の取り付け箇所については、後述する横引き排水管31、32の形状に合わせて調整している。
【0067】
第3の実施形態は、第1の実施形態のR=0.5mの90度曲げ(R=0.5mの1/4の円弧)とR=0.5mの直線の180度から135度の曲げ(R=0.5mの1/8の円弧)で形成された場合の実施形態である。
図7は第1の実施形態の
図5の説明と比較するための同様な説明図の形式で図示している。
図7の横引き排水管3については、立て管側接続孔8aからx軸方向に1.53メートルの箇所で、R=0.5mで90度曲げ(R=0.5mの1/4の円弧)が形成され、その後、y軸方向に1.03メートルの箇所まで直進させ、R=0.5mで直線の180度から135度の曲げ(R=0.5mの1/8の円弧)が形成され、そのままx軸方向に45度振った方向に直進させて、x軸方向から立て管側接続孔8a方向に45度振った器具排水口側接続孔9aに接続されるように形成されている。
【0068】
このため、R=0.5mの90度曲げ(R=0.5mの1/4の円弧)とR=0.5mの直線の180度から135度の曲げ(R=0.5mの1/8の円弧)を、無視して直線だけでの長さは、
1.53+1.03+0.47×√2≒3.22 メートルとなる。
R=0.5mの90度曲げ(R=0.5mの1/4の円弧)で、0.22メートル短くなり、
R=0.5mの直線の180度から135度の曲げ(R=0.5mの1/8の円弧)で、0.02メートル短くなるので、
曲げを考慮すれば、約2.98メートルとなる。
【0069】
また、第1の実施形態の横引き排水管1と比較すると全体として短くできるだけではなく、1箇所のR=0.5mの90度曲げ(R=0.5mの1/4の円弧)を、1箇所のR=0.5mの直線の180度から135度の曲げ(R=0.5mの1/8の円弧)にすることが出来、内部を通過する雑排水がさらに流れやすい形状にすることができる。
【0070】
図7については、第1の実施形態の
図5と同様に、横引き排水管3には、横引き排水管31と、横引き排水管32とが含まれていることを説明している図である。
図7における横引き排水管3は、横引き排水管31と横引き排水管32が切り取られた部分については、破線で図示されている。横引き排水管31については、横引き排水管3における切断箇所31aと切断箇所31bの箇所で切断することで形成されており、横引き排水管32については、横引き排水管3における切断箇所32aと切断箇所32bの箇所で切断することで形成されている。
【0071】
また、横引き排水管31の勾配の上流側は器具排水口側接続孔9bに接続する箇所なので、横引き排水管3の上流側になる切断箇所31aが器具排水口側接続孔9bに、下流側の切断箇所31bが集合チーズ管92に接続されている。同様に、横引き排水管32の勾配の上流側は器具排水口側接続孔9cに接続する箇所なので、横引き排水管3の上流側になる切断箇所32aが器具排水口側接続孔9cに、下流側の切断箇所32bが集合チーズ管96に接続されている。これにより、横引き排水管3に形成されている曲げ加工だけでなく、横引き排水管3には、第1の実施形態で説明した勾配についても考慮して形成されているので、横引き排水管3に形成されている勾配についても、そのまま、横横引き排水管31と横引き排水管32に使用することができる。
【0072】
横引き排水管3には、横引き排水管31と、横引き排水管32とが、含まれていることにより、同一の間取りが複数設定される積層集合住宅における共通の形状となる、横引き排水管3と他の横引き排水管31、32の組み合わせが多数使用される横引き排水管の製作で、横引き排水管3の製作に曲げ金型を利用する場合には、共通の曲げ金型で横引き排水管31と、横引き排水管32を製作することができる。また、共通の形状の横引き排水管3と他の横引き排水管31、32が多数使用される積層集合住宅の建設現場において、横引き排水管3のみを余分に用意しておけば、欠品や作業ミスが発生した場合についても、対応することができる。
【0073】
さらには、横引き排水管3を余分に用意しなくても、大規模な積層集合住宅の建設工事では、複数の日程にまたがって排水管の工事する場合も多いので、後日使用予定の横引き排水管3を切断して、先に敷設する必要がある横引き排水管31または/および横引き排水管32に流用して、先に完了する必要のある敷設工事をすることができるので、建設現場における作業性が向上する。
これにより、従来の組立集合横引き排水管80の利点である、建設現場における材料の調達のし易さについても解決することができる。
【0074】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の横引き排水管4について、
図8を用いて説明する。
第8の実施形態については、第1の実施形態の
図1から
図3で説明した床下空間7と同じ条件であり、立て管側接続孔8と器具排水口側接続孔9との関係は同一である。また、第1の実施形態の
図4と
図5で説明した、立て管側接続孔8a、8bと、排水付器具の器具排水口側接続孔9a、9b、9c、9dの位置関係についても同一であり、同じ符号を附して説明を省略する。
【0075】
横引き排水管4については、第1の実施形態の横引き排水管1とは違う道筋(ルート)で敷設した場合の例であり、横引き排水管1とは同様の呼び径や材質の熱可塑性樹脂管であり説明を省略する。また、第1の実施形態の
図1から
図3を用いて説明した横引き排水管おける勾配についての説明は、横引き排水管4についても横引き排水管1と同様の考え方であるので、説明については省略する。
【0076】
なお、組立集合横引き排水管90については、立て管側接続孔8bから器具排水口側接続孔9dまでの流路形状については、第1の実施形態と同様であるが、集合チーズ管92、96位置、言い換えるならば、組立集合横引き排水管90から分岐する横引き排水管41、42の取り付け箇所については、後述する横引き排水管41、42の形状に合わせて調整している。
【0077】
第4の実施形態は、第2の実施形態の2箇所のRa=0.4mの直線の180度から135度の曲げ(Ra=0.4mの1/8の円弧)の曲げについて、2箇所のR=0.5mの直線の180度から120度の曲げ(R=0.5mの1/6の円弧)の曲げで形成された場合の実施形態である。
図8は第1の実施形態の
図5の説明と比較するための同様な説明図の形式で図示している。
図8の横引き排水管4については、立て管側接続孔8aからx軸方向に0.55メートルの箇所で、R=0.5mで直線の180度から120度の曲げ(R=0.5mの1/6の円弧)が形成され、その後、x軸方向から60度傾けて、1.5×1.1547=√3≒1.73メートルの箇所まで直進させて、R=0.5mで直線の180度から120度の曲げ(R=0.5mの1/6の円弧)が形成され、直線の180度から120度の曲げからx軸方向に60度振った方向に直進させ、器具排水口側接続孔9aに接続されるように形成されている。
【0078】
このため、2箇所のR=0.5mの直線の180度から120度の曲げ(R=0.5mの1/6の円弧)を、無視して直線だけでの長さは、
0.55+1.73+(2-0.55-1.73/2)≒2.87 メートルとなる。
2箇所のR=0.5mの直線の180度から120度の曲げ(R=0.5mの1/6の円弧)で、0.11メートル短くなるので、
曲げを考慮すれば、2.76メートルとなる。
【0079】
また、第1の実施形態の横引き排水管1と比較すると全体として短くできるだけではなく、2箇所のR=0.5mの90度曲げ(R=0.5mの1/4の円弧)を、2箇所のR=0.5mの直線の180度から120度の曲げ(R=0.5mの1/6の円弧)にすることが出来、内部を通過する雑排水がさらに流れやすい形状にすることができる。
【0080】
図8については、第1の実施形態の
図5と同様に、横引き排水管4には、横引き排水管41と、横引き排水管42とが含まれていることを説明している図である。
図8における横引き排水管4は、横引き排水管41と横引き排水管42が切り取られた部分については、破線で図示されている。横引き排水管41については、横引き排水管4における切断箇所41aと切断箇所41bの箇所で切断することで形成されており、横引き排水管42については、横引き排水管4における切断箇所42aと切断箇所42bの箇所で切断することで形成されている。
【0081】
また、横引き排水管41の勾配の上流側は器具排水口側接続孔9bに接続する箇所なので、横引き排水管4の上流側になる切断箇所41aが器具排水口側接続孔9bに、下流側の切断箇所41bが集合チーズ管92に接続されている。同様に、横引き排水管42の勾配の上流側は器具排水口側接続孔9cに接続する箇所なので、横引き排水管4の上流側になる切断箇所42aが器具排水口側接続孔9cに、下流側の切断箇所42bが集合チーズ管96に接続されている。これにより、横引き排水管4に形成されている曲げ加工だけでなく、横引き排水管4には、第1の実施形態で説明した勾配についても考慮して形成されているので、横引き排水管4に形成されている勾配についても、そのまま、横横引き排水管41と横引き排水管42に使用することができる。
【0082】
横引き排水管4には、横引き排水管41と、横引き排水管42とが、含まれていることにより、同一の間取りが複数設定される積層集合住宅における共通の形状となる、横引き排水管4と他の横引き排水管41、42の組み合わせが多数使用される横引き排水管の製作で、横引き排水管4の製作に曲げ金型を利用する場合には、共通の曲げ金型で横引き排水管41と、横引き排水管42を製作することができる。また、共通の形状の横引き排水管4と他の横引き排水管41、42が多数使用される積層集合住宅の建設現場において、横引き排水管4のみを余分に用意しておけば、欠品や作業ミスが発生した場合についても、対応することができる。
【0083】
さらには、横引き排水管4を余分に用意しなくても、大規模な積層集合住宅の建設工事では、複数の日程にまたがって排水管の工事する場合も多いので、後日使用予定の横引き排水管4切断して、先に敷設する必要がある横引き排水管41または/および横引き排水管42に流用して、先に完了する必要のある敷設工事をすることができるので、建設現場における作業性が向上する。
これにより、従来の組立集合横引き排水管80の利点である、建設現場における材料の調達のし易さについても解決することができる。
【0084】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の横引き排水管5について、
図9を用いて説明する。
第5の実施形態については、第1の実施形態の
図1から
図3で説明した床下空間7と同じ条件であり、立て管側接続孔8と器具排水口側接続孔9との関係は同一である。また、第1の実施形態の
図4と
図5で説明した、立て管側接続孔8a、8bと、排水付器具の器具排水口側接続孔9a、9b、9c、9dの位置関係についても同一であり、同じ符号を附して説明を省略する。
【0085】
横引き排水管5については、第1の実施形態の横引き排水管1とは違う道筋(ルート)で敷設した場合の例であり、横引き排水管1とは同様の呼び径や材質の熱可塑性樹脂管であり説明を省略する。また、第1の実施形態の
図1から
図3を用いて説明した横引き排水管おける勾配についての説明は、横引き排水管5についても横引き排水管1と同様の考え方であるので、説明については省略する。
【0086】
なお、組立集合横引き排水管90については、立て管側接続孔8bから器具排水口側接続孔9dまでの流路形状については、第1の実施形態と同様であるが、集合チーズ管92、96位置、言い換えるならば、組立集合横引き排水管90から分岐する横引き排水管51、52の取り付け箇所については、後述する横引き排水管51、52の形状に合わせて調整している。
【0087】
第5の実施形態は、第4の実施形態のR=0.5mの直線の180度から120度の曲げ(R=0.5mの1/6の円弧)と、Ra=0.4mの直線の180度から150度の曲げ(Ra=0.4mの1/12の円弧)で形成された場合の実施形態である。
図9は第1の実施形態の
図5の説明と比較するための同様な説明図の形式で図示している。
図9の横引き排水管5については、立て管側接続孔8aからx軸方向に0.55メートルの箇所で、R=0.5mで直線の180度から120度の曲げ(R=0.5mの1/6の円弧)が形成され、その後、x軸方向から60度傾けて、1.15メートルの箇所まで直進させて、Ra=0.4mで直線の180度から150度の曲げ(Ra=0.4mの1/12の円弧)が形成され、直線の180度から120度の曲げからx軸方向に60度振った方向に直進させ、x軸方向から立て管側接続孔8a方向に30度振った、器具排水口側接続孔9aに接続されるように形成されている。
【0088】
このため、R=0.5mの直線の180度から120度の曲げ(R=0.5mの1/6の円弧)とRa=0.4mの直線の180度から150度の曲げ(Ra=0.4mの1/12の円弧)を、無視して直線だけでの長さは、
0.55+1.15+(2-0.55-1.15/2)×2/√3≒2.71 メートルとなる。
R=0.5mの直線の180度から120度の曲げ(R=0.5mの1/6の円弧)で、0.054メートル短くなり、
Ra=0.4mの直線の180度から150度の曲げ(Ra=0.4mの1/12の円弧)で、0.005メートル短くなるので、
曲げを考慮すれば、約2.65メートルとなる。
【0089】
また、第1の実施形態の横引き排水管1と比較すると全体として短くできるだけではなく、1箇所のR=0.5mの直線の180度から120度の曲げ(R=0.5mの1/6の円弧)を、1箇所のRa=0.4mの直線の180度から150度の曲げ(Ra=0.4mの1/12の円弧)にすることが出来、内部を通過する雑排水がさらに流れやすい形状にすることができる。
【0090】
図9については、第1の実施形態の
図5と同様に、横引き排水管5には、横引き排水管51と、横引き排水管52とが含まれていることを説明している図である。
図9における横引き排水管5は、横引き排水管51と横引き排水管52が切り取られた部分については、破線で図示されている。横引き排水管51については、横引き排水管5における切断箇所51aと切断箇所51bの箇所で切断することで形成されており、横引き排水管52については、横引き排水管5における切断箇所52aと切断箇所52bの箇所で切断することで形成されている。
【0091】
また、横引き排水管51の勾配の上流側は器具排水口側接続孔9bに接続する箇所なので、横引き排水管5の上流側になる切断箇所51aが器具排水口側接続孔9bに、下流側の切断箇所51bが集合チーズ管92に接続されている。同様に、横引き排水管52の勾配の上流側は器具排水口側接続孔9cに接続する箇所なので、横引き排水管5の上流側になる切断箇所52aが器具排水口側接続孔9cに、下流側の切断箇所52bが集合チーズ管96に接続されている。これにより、横引き排水管5に形成されている曲げ加工だけでなく、横引き排水管5には、第1の実施形態で説明した勾配についても考慮して形成されているので、横引き排水管5に形成されている勾配についても、そのまま、横横引き排水管51と横引き排水管52に使用することができる。
【0092】
横引き排水管5には、横引き排水管51と、横引き排水管52とが、含まれていることにより、同一の間取りが複数設定される積層集合住宅における共通の形状となる、横引き排水管5と他の横引き排水管51、52の組み合わせが多数使用される横引き排水管の製作で、横引き排水管5の製作に曲げ金型を利用する場合には、共通の曲げ金型で横引き排水管51と、横引き排水管52を製作することができる。また、共通の形状の横引き排水管5と他の横引き排水管51、52が多数使用される積層集合住宅の建設現場において、横引き排水管5のみを余分に用意しておけば、欠品や作業ミスが発生した場合についても、対応することができる。
【0093】
さらには、横引き排水管5を余分に用意しなくても、大規模な積層集合住宅の建設工事では、複数の日程にまたがって排水管の工事する場合も多いので、後日使用予定の横引き排水管5を切断して、先に敷設する必要がある横引き排水管51または/および横引き排水管52に流用して、先に完了する必要のある敷設工事をすることができるので、建設現場における作業性が向上する。
これにより、従来の組立集合横引き排水管80の利点である、建設現場における材料の調達のし易さについても解決することができる。
【0094】
以上、本発明について、第1~第5の実施形態に基づき説明してきたが、本発明は何らこれらの実施形態の構成に限定するものではない。例えば、第1~第5の実施形態の組み合わせについては適宜組合せを変えて実施可能である。
【0095】
さらには、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本件出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
[1]付記1は、管の呼び径の8倍から12倍の曲げ半径で曲げられた曲げ箇所を1か所以上有し、排水が必要な排水付器具の器具排水口側接続孔から、立て管の立て管側接続孔までを、1本の熱可塑性樹脂管で接続するように形成された横引き排水管である。
[2]付記2は、管の呼び径の8倍から12倍の曲げ半径で曲げられた曲げ箇所を1か所以上有し、排水が必要な排水付器具の器具排水口側接続孔から、複数の排水管を集めた組立集合横引き排水管の集合管接続孔までを、1本の熱可塑性樹脂管で接続するように形成された横引き排水管である。
[3]付記3は、前記1本の熱可塑性樹脂管で形成された横引き排水管は三次元的形状に形成されている請求項1から請求項2の何れか1項記載の横引き排水管である。
[4]付記4は、前記1本の熱可塑性樹脂管で形成された横引き排水管は積層集合住宅の一戸単位での床下空間に合わせて共通の形状に形成されている請求項1から請求項2の何れか1項記載の横引き排水管である。
[5]付記5は、前記1本の熱可塑性樹脂管で形成された横引き排水管のうち、積層集合住宅の一戸単位の組み合わせにおける最も長い横引き排水管には、該最も長い横引き排水管と同じ管の呼び径の該最も長い横引き排水管以外が含まれている請求項1から請求項2の何れか1項記載の横引き排水管である。
【産業上の利用可能性】
【0096】
住宅、特に積層集合住宅の横引き排水管に利用ができるので、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0097】
1、1a、2、3、4、5、11、12、21、22、31、32、41、42、51、52:横引き排水管
7:床下空間
8、8a、8b:立て管側接続孔
9、9a、9b、9c、9d:器具排水口側接続孔
11a、11b、12a、12b、21a、21b、22a、22b、31a、31b、32a、32b、41a、41b、42a、42b、51a、51b、52a、52b:切断箇所
80:組立横引き排水管
81、83、85:直管
82、84:エルボ管
90:組立集合横引き排水管
91、93、95、97:集合直管
92、96:集合チーズ管
94:集合エルボ管
L:水平基準線
H:水平高さ
R、Ra:曲げ半径