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特開2024-160778制御装置、放射線撮影システム、制御装置の制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160778
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】制御装置、放射線撮影システム、制御装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20241108BHJP
【FI】
A61B6/00 320M
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076125
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】新部 祐輔
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093CA33
4C093CA35
4C093EB12
4C093EB13
4C093FA18
4C093FA44
4C093FB12
(57)【要約】
【課題】自動露出制御を行う場合にも、適切な放射線量管理を促進させることができる制御装置を提供する。
【解決手段】放射線の自動露出制御を用いて放射線撮影を制御可能な制御装置であって、 放射線発生装置から放射線が照射されるよりも前に、照射される放射線量を推定する推定部と、推定部からの出力に基づいて、推定放射線量に関する情報を出力する出力部とを備え、推定放射線量に関する情報は、自動露出制御が用いられる場合には、自動露出制御が用いられることを示す情報を含み、自動露出制御が用いられない場合には、推定放射線量及び放射線に関する警告のうち少なくとも一方を含む、制御装置。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線の自動露出制御を用いて放射線撮影を制御可能な制御装置であって、
放射線発生装置から前記放射線が照射されるよりも前に、照射される放射線量を推定する推定部と、
前記推定部からの出力に基づいて、推定放射線量に関する情報を出力する出力部と、
を備え、
前記推定放射線量に関する情報は、
前記自動露出制御が用いられる場合には、前記自動露出制御が用いられることを示す情報を含み、
前記自動露出制御が用いられない場合には、前記推定放射線量及び前記放射線に関する警告のうち少なくとも一方を含む、制御装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記推定放射線量に関する情報を表示部に表示させる、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記推定放射線量として、面積線量、吸収線量、照射線量、空気カーマ、及び皮膚線量のうち少なくとも一つを出力する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記自動露出制御が用いられる場合には前記放射線量を推定しない、請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記自動露出制御が用いられる場合にも前記放射線量を推定し、
前記自動露出制御が用いられる場合には、前記推定放射線量に関する情報は前記推定放射線量を更に含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記自動露出制御の目標線量に基づいて前記放射線量を推定する、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記推定部は、前記放射線発生装置から照射される前記放射線の、管電流、管電圧、照射時間、管電流時間積、焦点被写体間距離、焦点検出器間距離、撮影部位、線質フィルタ、及び照射面積のうち少なくとも一つを含む撮影条件に基づいて前記放射線量を推定する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記推定放射線量に関する情報は、放射線が照射される被写体の、撮影部位、体重、体格、年齢、及び性別のうち少なくとも一つに基づいて決定される基準線量を更に含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記推定放射線量が、放射線が照射される被写体の、撮影部位、体重、体格、年齢及び性別のうち少なくとも一つに基づいて決定される基準線量を超えている場合には、前記推定放射線量に関する情報は、前記推定放射線量が該基準線量を超えていることを強調する表現及び前記放射線に関する警告のうち少なくとも一方を含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
前記自動露出制御は、前記放射線発生装置から照射される放射線量と目標線量とを比較することで前記放射線発生装置を制御することを含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の制御装置と、
放射線を照射する放射線発生装置と、
前記照射された放射線を検出し、放射線画像を生成する放射線撮像装置と、
を備える、放射線撮影システム。
【請求項12】
前記自動露出制御は、前記放射線発生装置から照射された放射線量を検出するセンサにより検出された放射線量と目標線量との比較に基づいて実施され、
前記センサは前記放射線撮像装置に内蔵される、請求項11に記載の放射線撮影システム。
【請求項13】
放射線の自動露出制御を用いて放射線撮影を制御可能な制御装置の制御方法であって、
放射線発生装置から前記放射線が照射されるよりも前に、照射される放射線量を推定することと、
前記推定することの出力に基づいて、推定放射線量に関する情報を出力することと、
を含み、
前記推定放射線量に関する情報は、
前記自動露出制御が用いられる場合には、前記自動露出制御が用いられることを示す情報を含み、
前記自動露出制御が用いられない場合には、前記推定放射線量及び前記放射線に関する警告のうち少なくとも一方を含む、制御装置の制御方法。
【請求項14】
コンピュータによって実行されると、請求項13に記載の制御装置の制御方法の各工程を実行する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、放射線撮影システム、制御装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場では患者への被曝量を抑えつつ適正な画質の放射線画像を得るために、自動露出制御(AEC:Auto Exposure Control)が行われることがある。AECとは、放射線の照射中に、放射線の線量を線量検出センサで検出し、検出した線量の積算値(累積線量)が予め設定した目標線量に達した時点で放射線源による放射線の照射を停止させる制御である。放射線の照射の停止に伴い、放射線撮影装置はフラットパネルディテクタ(FPD)の動作を蓄積動作から読み出し動作に移行させ、放射線画像を取得する。AECの目標線量を適正化することで、患者に対して適正な被曝量で放射線画像を得ることができる。
【0003】
また、患者の被曝量を正当化、適正化するための取り組みとして、診断参考レベル(DRL:Diagnostic Reference Level)が策定され、公表されている。DRLには、放射線撮影システム、手技、及び撮影部位などの条件ごとに標準的な体重や体格の患者に対する被曝線量(DRL値)が定められている。医療施設での典型的な線量の中央値が、臨床的に正当な理由なくDRL値を超えている場合、線量が最適化されているか見直しを行うことで患者への被曝量適正化を推進させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-100437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、放射線の照射前に放射線の撮影条件から放射線量を推定し出力することにより、操作者に対し患者が被曝する放射線量をあらかじめ認識させることで、被爆線量を適正化する放射線撮影システムが開示されている。該放射線撮影システムは、操作者によって、適切でない被曝が想定される撮影条件が設定されたとしても、放射線を照射する前に操作者が放射線量を把握することで適正な撮影条件に修正することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、AECで放射線撮影を制御しない場合に操作者が撮影条件を適正化する技術であり、AECで放射線撮影を制御する場合については考慮されていない。AECによって放射線撮影を制御する場合、患者の体重や体格が想定と異なる、又はAECで放射線照射が停止するように撮影条件には適正な値よりも長い照射時間が設定されるなどの理由のために、AECが撮影条件通りに放射線照射を終了しないことがある。そのため、AECを用いた放射線撮影に対して特許文献1に記載の技術を適用する場合、AECによる実際の放射線照射の制御とは乖離した撮影条件に基づいて推定された放射線量を操作者へ認識させてしまう可能性がある。
【0007】
そこで、本開示の一実施態様は、自動露出制御を行う場合にも、適切な放射線量管理を促進させることができる制御装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施態様に係る制御装置は、放射線の自動露出制御を用いて放射線撮影を制御可能な制御装置であって、放射線発生装置から前記放射線が照射されるよりも前に、照射される放射線量を推定する推定部と、前記推定部からの出力に基づいて、推定放射線量に関する情報を出力する出力部とを備え、前記推定放射線量に関する情報は、前記自動露出制御が用いられる場合には、前記自動露出制御が用いられることを示す情報を含み、前記自動露出制御が用いられない場合には、前記推定放射線量及び前記放射線に関する警告のうち少なくとも一方を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施態様によれば、自動露出制御を行う場合にも、適切な放射線量管理を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態による放射線撮影システムの機能構成例を示すブロック図である。
図2】第1実施形態による放射線撮影システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3】放射線撮影システムによる放射線画像の撮影動作を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態によるAECがオフである場合の放射線量の出力例を示す。
図5】第1実施形態によるAECがオンである場合の放射線量の出力例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態]
以下、添付図面を参照して本開示を実施するための例示的な実施形態を詳しく説明する。ただし、以下の実施形態で説明する寸法、材料、形状、及び構成要素の相対的な位置等は任意であり、本開示が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴のすべてが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
以下の実施形態において説明する放射線撮影システムは、放射線を放射する放射線発生装置と放射線画像を形成する放射線センサ(放射線検出装置)とを含む一つの装置であってもよいし、少なくとも一部が別の装置として独立して存在する構成であってもよい。また、放射線は、X線であってもよいし、ほかの放射線であってもよい。以下の実施形態において、放射線という用語は、X線のほか、例えば、α線、β線、γ線、粒子線、及び宇宙線などを含みうる。
【0013】
<第1実施形態>
以下、図1乃至図5を参照して本開示の第1実施形態に係る放射線撮影システム、放射線撮影における自動露出制御のための制御装置、及びその制御方法について説明する。図1は、本実施形態における放射線撮影システムの機能構成例を示すブロック図である。放射線撮影システムには、AECパラメータ設定部102、放射線発生部103、AEC検出部104、放射線制御部105、放射線画像生成部106、画像処理部107、出力部108、及び放射線量推定部109が設けられている。
【0014】
AECパラメータ設定部102は、設定された撮影プロトコルを入力として用いて、AECに用いられる目標線量を出力する。なお、目標線量は、診断目的及び被曝線量などの観点から、撮影部位、性別、及び年齢などの被写体の条件によって決定されることができる。例えば、体幹部などを撮影する場合には、X線等の放射線は体幹部を通過しにくいため、放射線は多く照射される必要がある。その場合は、FPDに到達する線量を多くするために目標線量は高く設定されることができる。しかしながら、体幹部の撮影であっても、ノイズの多い画質を許容する診断であれば、被写体への照射線量を低減するために目標線量は低く設定されることができる。例えば、照射線量の低減のためにDRLに基づく標準的な放射線量(DRL値)を勘案して目標線量が定められてもよい。目標線量は、撮影プロトコルに対応付けてあらかじめ用意されていてもよいし、その他の条件に応じて動的に決定されてもよい。
【0015】
放射線発生部103は、放射線制御部105からの照射信号を入力として用いて、放射線を発生させる。
【0016】
AEC検出部104は、被写体を透過した放射線量と目標線量とを入力として用いて、放射線制御信号を出力する。放射線制御信号は、放射線の照射を停止するための指示を含むことができる。
【0017】
放射線制御部105は、放射線制御信号を入力として用い、照射停止信号と画像読み出し信号とを出力する。放射線発生部103は、放射線制御部105からの照射停止信号に応じて、放射線の照射を停止する。さらに放射線制御部105は、放射線発生部103から照射される放射線の撮影条件を制御し、出力する。
【0018】
放射線量推定部109は、放射線発生部103から照射される放射線量に関する情報を入力として用いて、照射されると推定される放射線量(推定放射線量)を出力する。放射線量に関する情報は、例えば設定された撮影プロトコル、AECパラメータ設定部102から出力された目標線量、及び放射線制御部105により設定された撮影条件等を含む。放射線量推定部109は、放射線量の推定のために、これらの入力された情報をすべて使用するか、又は少なくともいずれかの情報を使用するかを選択することができる。
【0019】
放射線画像生成部106は被写体を透過した放射線に応じた放射線画像を生成し、放射線制御部105からの画像読み出し信号に応じて、生成した放射線画像を出力する。
【0020】
画像処理部107は、放射線撮影によって得られた放射線画像について画像処理を行う処理部の一例である。本実施形態の画像処理部107は、放射線画像と画像処理パラメータとを入力として用いて、画像処理済みの放射線画像を出力する。
【0021】
出力部108は、画像処理部107から出力された画像処理済みの放射線画像と放射線量推定部109から出力された放射線量を、モニタ等の表示部や表示装置、ハードディスク等の記憶装置、及びPACSなどの管理システムへ出力することができる。ここで、PACSとは、医療用画像管理システム(Picture Archiving and Communication Systems)の略である。なお、出力部108は、表示部の表示を制御する表示制御部の一例としても機能することができる。
【0022】
図1に示した機能構成を実現するためのハードウェア構成の一例について図2を参照して説明する。図2は、本実施形態による放射線撮影システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。本実施形態では、放射線撮影を制御する制御装置を、パーソナルコンピュータ(コントロールPC201)を用いて実現する構成を示している。ただし、放射線撮影を制御する制御装置は、放射線撮影システムの専用のコンピュータによって構成されてもよい。
【0023】
コントロールPC201と放射線センサ202は、ギガビットイーサネット等の信号線204で繋っている。複数の放射線センサを用いた長尺撮影の場合は、複数の放射線センサが信号線204に繋げられることができる。なお、信号線204はギガビットイーサネットに限られるものでなく、例えばCAN(Controller Area Network)や光ファイバー、シリアル通信ケーブルなどでもよい。信号線204には、その他に、放射線発生装置203、表示装置205、記憶装置206、ネットワークインタフェース(I/F)207、AEC装置210、及び放射線制御装置211などが接続されている。なお、表示装置205は、任意のモニタを用いて構成されてよい。また、記憶装置206は、ハードディスクやソリッドステートドライブ等の任意の記憶媒体を用いて構成されてよい。なお、各装置の接続は有線接続に限られず、無線接続であってもよい。
【0024】
コントロールPC201において、CPU(中央演算装置)2012、RAM(Random Access Memory)2013、ROM(Read Only Memory)2014、及び記憶部2015がバス2011に接続されている。記憶部は、ハードディスクやソリッドステートドライブ等の任意の記憶媒体を用いて構成されてよい。また、USB又はPS/2などを介してコントロールPC201と入力部208とが接続され、VGA又はDVIなどを介してコントロールPC201と表示部209とが接続されている。入力部208は、例えばマウスやキーボード等の入力機器により構成され、表示部209は任意のモニタにより構成されてよい。なお、例えば、タッチパネルディスプレイ等を用いて、入力部208及び表示部209が一体的に構成されてもよい。
【0025】
コントロールPC201は、信号線204を介して、放射線センサ202、表示装置205、及び放射線制御装置211などにコマンドを送ることができる。コントロールPC201においては、各種の処理内容がソフトウェアモジュールとして記憶部2015に格納されており、CPU2012は記憶部2015から必要なソフトウェアモジュールをRAM2013に展開して、実行することができる。
【0026】
図1に示した放射線発生部103の機能は放射線発生装置203により、放射線画像生成部106の機能は放射線センサ202により、放射線制御部105の機能は放射線制御装置211により、それぞれ実現される。放射線発生装置203は、放射線を発生させるための管球等の線源を有することができる。放射線センサ202は、例えば、FPDによって構成されることができる。放射線センサ202は、シンチレータ等を用いて放射線を一旦可視光に変換し、光電変換素子により可視光を電気信号に変換するような間接変換型のセンサであってもよいし、入射した放射線を電気信号に直接変換する直接変換型のセンサであってもよい。放射線制御装置211は、放射線発生装置203による放射線の照射動作を制御したり、放射線センサ202による画像読み出し動作を制御したりすることができ、任意のコンピュータやドライバ等の回路を用いて構成されることができる。
【0027】
また、AEC検出部104の機能はAEC装置210により実現される。AEC装置210は、照射された放射線量を検出する線量検出センサ212を有し、線量検出センサ212により検出された放射線量と目標線量との比較に基づいてAECが行われる。線量検出センサ212は、例えば、イオンチャンバにより実現されてもよいし、放射線センサ202に内蔵された線量検出センサにより実現されてもよい。
【0028】
コントロールPC201は、放射線発生装置203から照射された放射線量と目標線量とを比較することで放射線発生装置203を制御するAECを用いて、放射線発生装置203から照射される放射線を用いた放射線撮影を制御する制御装置の一例である。図1に示したAECパラメータ設定部102、画像処理部107、出力部108、及び放射線量推定部109の各機能は、コントロールPC201により実現され得る。これらの機能は、CPU2012が記憶部2015に記憶されているソフトウェアモジュールを実行することにより実現され得るが、これらの機能のうちの少なくとも一部が、ASIC等の回路などの専用のハードウェアにより実現されてもよい。
【0029】
なお、上記では画像処理部107をコントロールPC201により実現する構成を例示したが、これに限られるものではなく、画像処理部107が専用の画像処理ボードとして実装されてもよい。また、図1に示した出力部108による放射線画像の出力先としては、例えば、信号線204を介して接続された表示装置205、記憶装置206、PACS、又はコントロールPC201に接続された表示部209が用いられる。また、コントロールPC201は、ネットワークI/F207を介して院内イントラネットやインターネット等の任意のネットワークに接続されることができる。コントロールPC201は、任意のネットワークを介して、他の管理システムや外部記憶装置、表示装置等に接続されてもよく、出力部108はこれらに放射線画像を出力してもよい。
【0030】
次に、以上のような構成を備えた本実施形態に係る放射線撮影システムによる、自動露出制御を用いた放射線撮影の動作について、図3乃至図5を参照して説明する。
【0031】
自動露出制御を用いた放射線撮影の動作が開始されると、ステップS301において、コントロールPC201は、ユーザにより設定された撮影プロトコルから撮影パラメータ情報を取得する。撮影プロトコルは複数用意されており、ユーザが撮影部位や撮影手技に応じて、例えば入力部208を用いて選択することで設定される。また、コントロールPC201は、撮影部位や撮影手技を、例えば、放射線科情報システム(RIS:Radiology Information Systems)などから取得することができる。なお、コントロールPC201は、撮影プロトコルをRISなどから自動的に取得してもよい。撮影プロトコルとは、撮影に必要な各種パラメータがパッケージされたものであり、撮影プロトコルは、放射線制御装置211が放射線発生装置203の照射を制御する際に必要なパラメータ(撮影条件)を含むことができる。撮影条件は、例えば、管電流、管電圧、照射時間、管電流時間積、焦点被写体間距離、焦点検出器間距離、線質フィルタ、照射面積、撮影部位、性別、体格、体重、及び年齢などのパラメータを含む。
【0032】
次に、ステップS302とステップS303において、AECパラメータ設定部102は、撮影プロトコルに対し適切な目標線量をAEC装置210に設定する。ステップS302とステップS303を実行するAECパラメータ設定部102は、AECで用いる目標線量を設定する設定部の一例である。
【0033】
具体的には、ステップS302において、AECパラメータ設定部102は、ステップS301で設定された撮影プロトコルから、AECに関連するパラメータ(AECパラメータ)を取得する。AECパラメータは、例えば、AEC機能のオン/オフ、AECの目標線量、使用するAEC採光野の位置や数、及び撮影条件を含む。上述したように、目標線量は、AEC装置210が放射線の照射の停止を指示するために用いられる。
【0034】
ステップS303において、AECパラメータ設定部102は、AECの目標値(目標線量)を設定する。この際、AECパラメータ設定部102は、ステップS301で取得した撮影パラメータ情報とステップS302で取得したAECパラメータとに基づいて、ステップS302で取得したAECパラメータに含まれる目標線量を必要に応じて補正することができる。
【0035】
AECパラメータ設定部102は、AEC機能がオフであるときには、AEC検出部104に対してAECの目標値として無効値を設定してもよいし、AECの目標値を設定しないことを以てAEC機能がオフであることをAEC検出部104に通知してもよい。なお、AEC機能がオフである場合には、放射線発生部103による放射線の照射は、放射線制御部105が設定する撮影条件によって制御されることになる。
【0036】
また、ステップS303において、放射線制御部105は、放射線発生部103の照射を制御するための撮影条件を設定する。放射線制御部105は、当該撮影条件を、ステップS301で取得された撮影パラメータ情報とステップS302で取得されたAECパラメータとに基づいて決定することができる。撮影条件は、放射線制御部105により、ステップS301で取得された撮影プロトコルに含まれる撮影条件から変更されることも許容される。
【0037】
次に、ステップS304において、放射線量推定部109は、放射線発生部103が照射する放射線量を推定する。放射線量推定部109は、ステップS301で取得された撮影パラメータ情報、ステップS302で取得されたAECパラメータ、並びにステップS303で設定された目標線量及び撮影条件を入力として用いて放射線量を推定することができる。推定する放射線量は、例えば、面積線量、吸収線量、照射線量、空気カーマ、及び皮膚線量のうち少なくとも一つを含む。放射線量を推定する方法としては公知の方法を用いることができる。放射線量は、例えばNDD(Numerical Dose Determination)法によって既知の物理特性値から換算されて推定されてもよいし、モンテカルロ法などによって算出する方法を用いて推定されてもよい。
【0038】
放射線量推定部109は、AEC機能がオフであるときには、撮影パラメータ情報及び撮影条件に基づいて放射線量を推定し、出力部108に出力する。
【0039】
これに対し、AEC機能がオンであるときには、放射線量推定部109は放射線量を推定しなくてよい。放射線量を推定しない場合には、放射線量推定部109は、出力部108に対して放射線量を推定しないことを出力してもよいし、何も出力しなくてもよい。また、放射線量推定部109は、AEC機能がオンであることを示す情報を出力部108に対して出力してもよい。
【0040】
一方で、放射線量推定部109は、AEC機能がオンであっても、放射線量を推定し、出力部108に出力してもよい。この場合には、放射線量推定部109は、撮影パラメータ情報、AECパラメータ、目標線量、及び撮影条件に基づいて放射線量を推定することができる。また、放射線量推定部109は、当該推定した放射線量に加えて、AEC機能がオンであることを示す情報も出力部108に対して出力する。
【0041】
ステップS305では、出力部108は、放射線量推定部109からの出力に基づいて、推定放射線量に関する情報を出力する。具体的には、出力部108は、放射線量推定部109から推定された放射線量が出力された場合には、推定放射線量又は放射線に関する警告を推定放射線量に関する情報として出力する。
【0042】
また、出力部108は、放射線量推定部109から、放射線量を推定しないことが出力された場合、AEC機能がオンであることを示す情報が出力された場合、又は何も出力されていない場合には、AEC機能がオンであることを示す情報を推定放射線量に関する情報として出力する。さらに、出力部108は、放射線量推定部109から、推定放射線量とAEC機能がオンであることを示す情報が出力された場合、推定放射線量とAEC機能がオンであることを示す情報を推定放射線量に関する情報として出力する。これにより、出力部108は、推定放射線量を出力しつつも推定確度が低いことを示すように出力することができる。
【0043】
出力部108の出力先としては、表示装置205及び表示部209のほか、例えばネットワークインタフェース207を介してコントロールPC201に接続されたPACSなどが挙げられる。なお、出力部108は、推定放射線量に関する情報に基づいて、表示装置205や表示部209の表示を制御することができる。
【0044】
ここで、AEC機能がオフである場合に、出力部108が表示部209に推定放射線量に関する情報を出力する例について説明する。図4(a)乃至図4(d)は、この場合における表示部209に表示される画面の例を示している。
【0045】
図4(a)に示される例では、放射線量推定部109によって推定された推定放射線量に加え、撮影パラメータ情報から決定される標準放射線量(DRL値)が表示されている。このように推定放射線量とDRL値の両方を表示することで、ユーザは現在の条件で放射線を照射した場合の放射線量が、臨床的に正当な理由なくDRL値を超えているかどうかを容易に確認することができる。そのため、ユーザは放射線を照射して画像を取得する前に最適な放射線量となるように放射線量を調整することができる。従って、コントロールPC201は、ユーザによる適切な放射線量管理を促進させることができる。なお、DRL値は、コントロールPC201によって、撮影パラメータ値から決定されてよい。
【0046】
また、出力部108は、放射線量推定部109が出力した推定放射線量がDRL値を一定の基準で超えている場合には、現在の撮影条件では推定放射線量がDRL値を超えていることを強調する表現を含むように表示部209の表示を制御してもよい。この場合、出力部108は、例えば、文字の色や大きさ、書体などのユーザが識別可能な要素を任意の組合せで変化させて、表示を強調させることができる。また、出力部108は、図4(b)に示されるように、推定放射線量がDRL値を超えていることを示すアイコンや表現等を放射線に関する警告として表示させ、直接DRL値を表示させなくともよい。
【0047】
また、図4(a)及び図4(b)では文字によって放射線量を表現する例を示したが、図4(c)に示されるように放射線量を、例えば、バーやゲージ等の文字以外の要素によって表現してもよい。さらに、図4(d)に示されるように推定放射線量がDRL値を超過していることを示すアイコン等を放射線に関する警告として表示させてもよい。この場合、例えば、アイコン等の色を変えて点滅させて表示させるなど、ユーザの注意を引き付ける表示上の表現を加えてもよい。
【0048】
次に、AEC機能がオンである場合に、出力部108が表示部209に推定放射線量に関する情報を出力する例について説明する。図5(a)乃至図5(d)は、この場合における表示部209に表示される画面の例を示している。
【0049】
図5(a)に示される例では、放射線量推定部109が推定放射線量を出力しない場合に、推定放射線量の代わりにAEC機能がオンである旨を表示されている。これは、AEC機能がオンであるときにユーザに対して推定放射線量を示すことが適切でない場合に有効である。
【0050】
例えば、AECの目標線量に適切な範囲の放射線量が設定されている場合には、AECにより放射線の照射の停止が制御される。そのため、ユーザは推定放射線量とDRL値との大小関係を考慮しなくてもよい。また、AECによって放射線の照射の停止が制御されるため、撮影条件などの入力による推定は正しくない場合がありうる。この際、実際に照射される放射線量とは乖離した推定値をユーザに提示することで、ユーザに不要な撮影条件の変更などを強いることになってしまう場合がある。このような場合には、例えば、ユーザが放射線量を臨床に必要な量よりも下げてしまい、臨床に必要な量に満たない放射線量で放射線撮影が実施され、再撮影が必要となり、かえって放射線量を増加させてしまうことが生じうる。
【0051】
これに対し、図5(a)に示されるように、推定放射線量の代わりにAEC機能がオンである旨を表示することで、ユーザによる不要な撮影条件の変更を防止し、ユーザによる適切な放射線量管理を促進させることができる。
【0052】
また、図5(b)に示される例では、放射線量推定部109が推定放射線量とともにAEC機能がオンであることを示す情報を出力した場合における、表示部209に表示される画面の例を示す。この場合には、図5(b)に示されるように、出力部108は、推定放射線量、AECの目標線量、及び標準放射線量(DRL値)をそれぞれ表示部209に表示させてもよい。
【0053】
DRL値とAECの目標線量が近いことを提示することで、ユーザはAECの目標線量通りに撮影することで適切な放射線量に制御されることを認識できる。また、ユーザは、AECの目標線量と推定放射線量の大小関係を確認することで、AECによる放射線の照射の停止前に放射線の照射を停止させてしまうことによる放射線量不足のリスクについて認識することができる。さらに、ユーザはAECが十分に機能しなかった場合にどの程度不要な放射線が照射されるかといった放射線量過剰のリスクについても認識することができる。例えば、AECが放射線を停止することを期待して撮影条件のうち照射時間を長く設定すると推定放射線量は大きくなるが、目標線量に対してあまりに大きく超えるように設定することは上述のリスクにあたり、設定を改善することが好ましい。
【0054】
図5(c)は文字によらない表示の例を示すが、図4(c)で示されるAEC機能がオフのときの例とは異なる表現で表示する例を示している。図5(c)で示す例では、推定放射線量を示すゲージにAECによる制御である旨が示されており、このような表現でもユーザにAEC機能がオンであることが提示できる。
【0055】
図5(d)は、ユーザに対してAEC機能がオンであることを示すアイコンを表示する例である。この場合、出力部108は、アイコンの色を変えたり明滅させたりしてAEC機能がオンであることを強調させてもよいし、AEC機能がオンの場合はAECの目標線量で放射線が停止することが期待されるため、アイコンを強調させずに表示させてもよい。
【0056】
図4(a)乃至図4(d)と図5(a)乃至図5(d)ではAEC機能がオフの場合とオンの場合それぞれについて表示部209に表示させる表現について具体例を示したが、表示部209に表示させる表現はこれに限定されるものではない。また、出力部108による出力の態様は上述のものに限られず、本開示の趣旨及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。例えば、出力部108による出力先は、表示部209ではなく表示装置205であってもよいし、表示される表現は識別可能な任意の表現を組み合わせて実現してもよい。さらに、出力部108による出力は視覚表現に限定されずともよく、不図示のブザー等の音声出力装置を用いて音によってユーザへAEC機能がオンであること等の注意を促してもよい。
【0057】
次に、ステップS306において、放射線制御部105は、ユーザによる照射スイッチの押下を検出すると照射信号を放射線発生部103に出力する。放射線発生部103は照射信号を受信すると、放射線の照射を開始する。なお、照射スイッチは放射線発生装置203に直接に接続されていてもよい。
【0058】
ステップS307では、AEC検出部104は、到達した放射線の線量を積算し、累積線量を算出する。その後、ステップS308において、AEC検出部104は、ステップS307で算出した累積線量とステップS303で設定された目標線量とを比較する。ステップS308において、AEC検出部104により、累積線量が補正済み目標線量に達していないと判断された場合には、処理はステップS307に戻り、AEC検出部104が累積線量の算出を継続する。この場合、AEC検出部104は、放射線発生部103による放射線の照射を継続させるため、放射線制御部105へ制御要求信号として継続要求信号を出力する。放射線制御部105は、放射線制御部105から継続要求信号を受信した場合には、放射線発生部103による放射線の照射を継続させる。
【0059】
これに対し、ステップS308において、AEC検出部104により、累積線量が目標線量に達していると判断された場合には、処理はステップS309に移行する。ステップS309では、AEC検出部104は、放射線制御部105へ制御要求信号として停止要求信号を出力する。放射線制御部105は、AEC検出部104から停止要求信号を受信すると、放射線発生部103に照射停止信号を送信し、放射線の照射を停止させる。
【0060】
なお、ステップS307の累積線量の算出は、予め設定された時間間隔(所定の周期)で繰り返される。繰り返しの終了条件は累積線量が補正済み目標線量以上になることであるが、累積線量を計算する領域に放射線吸収率の高い金属などが写りこんでいた場合、累積線量は補正済み目標線量に中々達しない。この場合、過剰な放射線を照射することになるため、このような放射線の過剰な照射を防ぐためにタイムアウトを繰り返しの終了条件に加えてもよい。
【0061】
ステップS310では、放射線制御部105が、放射線画像生成部106に画像読み出し信号を送信する。放射線画像生成部106は、放射線制御部105から画像読み出し信号を受信すると、放射線センサ202から画像を読み取り、放射線画像を生成し、画像処理部107に送信する。
【0062】
ステップS311では、画像処理部107が、放射線画像生成部106で生成された放射線画像に対し、設定された画像処理パラメータに基づく画像処理を行う。
【0063】
最後にステップS312において、出力部108が、画像処理部107により画像処理された放射線画像を出力する。出力部108の出力先としては、例えば、表示装置205及び表示部209のほか、ネットワークインタフェース207を介してコントロールPC201に接続されたPACSなどが挙げられる。このようにして、撮影された放射線画像は、画像処理が施されて医師へと提供される。
【0064】
上記のように、本実施形態に係る放射線撮影システムは、コントロールPC201と、放射線発生装置203と、放射線センサ202とを備える。コントロールPC201は、放射線の自動露出制御(AEC)を用いて放射線撮影を制御可能な制御装置の一例として機能する。放射線発生装置203は、放射線を照射する放射線発生装置の一例として機能する。放射線センサ202は、照射された放射線を検出し、放射線画像を生成する放射線撮像装置の一例として機能する。また、放射線撮影システムは、線量検出センサ212を備える。線量検出センサ212は、放射線発生装置203から照射された放射線量を検出するセンサの一例として機能する。線量検出センサ212は放射線センサ202に内蔵されることもできる。
【0065】
コントロールPC201は、放射線量推定部109と、出力部108とを備える。放射線量推定部109は、放射線発生装置203から放射線が照射されるよりも前に、照射される放射線量を推定する推定部の一例として機能することができる。出力部108は、放射線量推定部109からの出力に基づいて、推定放射線量に関する情報を出力する出力部の一例として機能することができる。ここで、推定放射線量に関する情報は、自動露出制御が用いられる場合には、自動露出制御が用いられることを示す情報を含み、自動露出制御が用いられない場合には、推定放射線量及び放射線に関する警告のうち少なくとも一方を含む。
【0066】
上記構成によれば、AEC機能がオンであるかオフであるかに基づいて出力部108が出力を変化させる。具体的には、AEC機能がオフである場合には、出力部108は、撮影パラメータ及び撮影条件などに基づき推定された推定放射線量又は放射線に関する警告を出力する。この場合には、コントロールPC201は、推定放射線量又は放射線に関する警告を出力することで、ユーザに対して臨床上不要な被曝が発生しているか否かを認識させ、最適な放射線量となるように放射線量管理の改善を促すことができる。
【0067】
さらに、AEC機能がオンである場合には、出力部108は、AECによる放射線制御を行う旨を出力する。これにより、ユーザは、実際に照射される放射線量が、AECによって異なる値になりうることを認識することができる。そのため、AECの目標線量で放射線が停止されることにより、放射線の照射前に決定される撮影条件等から推定される放射線量と実際に照射される放射線量とが異なる場合に、ユーザに対して臨床上不要な被曝が発生しうるとの誤解を与えることを回避できる。従って、ユーザが誤解に基づき臨床上必要な放射線量を下回るように撮影条件を変更することを防止して、適切な放射線量にて放射線撮影を実施することができるように、適切な放射線量管理を促進させることができる。
【0068】
また、出力部108は、推定放射線量に関する情報を表示部に表示させる。ここで、表示部209及び表示装置205は当該表示部の一例として機能することができる。このような構成によれば、ユーザは推定放射線量に関する情報を容易に確認することができるため、ユーザによる適切な放射線量管理をより促進させることができる。
【0069】
なお、放射線量推定部109は、推定放射線量として、面積線量、吸収線量、照射線量、空気カーマ、及び皮膚線量のうち少なくとも一つを出力することができる。推定放射線量の種類は所望の構成に応じて任意に設定されることができる。
【0070】
また、放射線量推定部109は、自動露出制御が用いられる場合には放射線量を推定しなくてもよい。この場合には、放射線量の推定を行わないため処理負荷を低減するとともに、処理速度を向上させることができる。
【0071】
さらに、放射線量推定部109は、自動露出制御が用いられる場合にも放射線量を推定することができる。この場合には、推定放射線量に関する情報は推定放射線量を更に含むことができる。当該構成によれば、自動露出制御が用いられる場合に、推定放射線量と自動露出制御が用いられることを示す情報とが出力される。そのため、ユーザは、推定放射線量を確認しつつも推定確度が低いことを認識することができる。従って、ユーザが誤解に基づき臨床上必要な放射線量を下回るように撮影条件を変更することを防止して、適切な放射線量にて放射線撮影を実施することができるように、適切な放射線量管理を促進させることができる。さらに、ユーザはAECが十分に機能しなかった場合にどの程度不要な放射線が照射されるかといった放射線量過剰のリスクについても認識することができる。
【0072】
なお、放射線量推定部109は、自動露出制御が用いられる場合には、自動露出制御の目標線量に基づいて放射線量を推定することができる。また、放射線量推定部109は、放射線発生装置203から照射される放射線の、管電流、管電圧、照射時間、管電流時間積、焦点被写体間距離、焦点検出器間距離、撮影部位、線質フィルタ、及び照射面積のうち少なくとも一つを含む撮影条件に基づいて放射線量を推定することもできる。
【0073】
また、推定放射線量に関する情報は、放射線が照射される被写体の、撮影部位、体重、体格、年齢、及び性別のうち少なくとも一つに基づいて決定される基準線量を更に含むことができる。また、推定放射線量が、当該基準線量を超えている場合には、推定放射線量に関する情報は、推定放射線量が当該基準線量を超えていることを強調する表現及び放射線に関する警告のうち少なくとも一方を含むことができる。この場合には、推定放射線量に関する情報を提示することにより、ユーザに対して臨床上不要な被曝が発生しているか否かを認識させ、最適な放射線量となるように改善を促すことができる。
【0074】
なお、自動露出制御は、放射線発生装置203から照射される放射線量と目標線量とを比較することで放射線発生装置203を制御することを含んでよい。より具体的には、自動露出制御は、放射線発生装置203から照射された放射線量を検出する線量検出センサ212により検出された放射線量と目標線量との比較に基づいて実施されることができる。
【0075】
なお、上記の実施形態では、静止画撮影を説明したが、これに限られるものではない。例えば、動画撮影を行う透視装置などで用いられる線量制御機構において、上述した放射線量の推定及び出力方法が適用されてもよい。例えば、透視装置について同様に適用することで、同様の効果が得られる。
【0076】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。コンピュータは、1つ又は複数のプロセッサ若しくは回路を有し、コンピュータ実行可能命令を読み出し実行するために、分離した複数のコンピュータ又は分離した複数のプロセッサ若しくは回路のネットワークを含みうる。
【0077】
プロセッサ又は回路は、中央演算処理装置(CPU)、マイクロプロセッシングユニット(MPU)、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、又はフィールドプログラマブルゲートウェイ(FPGA)を含みうる。また、プロセッサ又は回路は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、データフロープロセッサ(DFP)、又はニューラルプロセッシングユニット(NPU)を含みうる。
【0078】
上記開示は、以下の構成、方法、及びプログラムを含む。
(構成1)
放射線の自動露出制御を用いて放射線撮影を制御可能な制御装置であって、
放射線発生装置から前記放射線が照射されるよりも前に、照射される放射線量を推定する推定部と、
前記推定部からの出力に基づいて、推定放射線量に関する情報を出力する出力部と、
を備え、
前記推定放射線量に関する情報は、
前記自動露出制御が用いられる場合には、前記自動露出制御が用いられることを示す情報を含み、
前記自動露出制御が用いられない場合には、前記推定放射線量及び前記放射線に関する警告のうち少なくとも一方を含む、制御装置。
(構成2)
前記出力部は、前記推定放射線量に関する情報を表示部に表示させる、構成1に記載の制御装置。
(構成3)
前記推定部は、前記推定放射線量として、面積線量、吸収線量、照射線量、空気カーマ、及び皮膚線量のうち少なくとも一つを出力する、構成1又は2に記載の制御装置。
(構成4)
前記推定部は、前記自動露出制御が用いられる場合には前記放射線量を推定しない、構成1乃至3のいずれかに記載の制御装置。
(構成5)
前記推定部は、前記自動露出制御が用いられる場合にも前記放射線量を推定し、
前記自動露出制御が用いられる場合には、前記推定放射線量に関する情報は前記推定放射線量を更に含む、構成1乃至3のいずれかに記載の制御装置。
(構成6)
前記推定部は、前記自動露出制御の目標線量に基づいて前記放射線量を推定する、構成5に記載の制御装置。
(構成7)
前記推定部は、前記放射線発生装置から照射される前記放射線の、管電流、管電圧、照射時間、管電流時間積、焦点被写体間距離、焦点検出器間距離、撮影部位、線質フィルタ、及び照射面積のうち少なくとも一つを含む撮影条件に基づいて前記放射線量を推定する、構成1乃至5のいずれかに記載の制御装置。
(構成8)
前記推定放射線量に関する情報は、放射線が照射される被写体の、撮影部位、体重、体格、年齢、及び性別のうち少なくとも一つに基づいて決定される基準線量を更に含む、構成1乃至7のいずれかに記載の制御装置。
(構成9)
前記推定放射線量が、放射線が照射される被写体の、撮影部位、体重、体格、年齢及び性別のうち少なくとも一つに基づいて決定される基準線量を超えている場合には、前記推定放射線量に関する情報は、前記推定放射線量が該基準線量を超えていることを強調する表現及び前記放射線に関する警告のうち少なくとも一方を含む、構成1乃至8のいずれかに記載の制御装置。
(構成10)
前記自動露出制御は、前記放射線発生装置から照射される放射線量と目標線量とを比較することで前記放射線発生装置を制御することを含む、構成1乃至9のいずれかに記載の制御装置。
(構成11)
構成1乃至10のいずれかに記載の制御装置と、
放射線を照射する放射線発生装置と、
前記照射された放射線を検出し、放射線画像を生成する放射線撮像装置と、
を備える、放射線撮影システム。
(構成12)
前記自動露出制御は、前記放射線発生装置から照射された放射線量を検出するセンサにより検出された放射線量と目標線量との比較に基づいて実施され、
前記センサは前記放射線撮像装置に内蔵される、構成11に記載の放射線撮影システム。
(方法1)
放射線の自動露出制御を用いて放射線撮影を制御可能な制御装置の制御方法であって、
放射線発生装置から前記放射線が照射されるよりも前に、照射される放射線量を推定することと、
前記推定することの出力に基づいて、推定放射線量に関する情報を出力することと、
を含み、
前記推定放射線量に関する情報は、
前記自動露出制御が用いられる場合には、前記自動露出制御が用いられることを示す情報を含み、
前記自動露出制御が用いられない場合には、前記推定放射線量及び前記放射線に関する警告のうち少なくとも一方を含む、制御装置の制御方法。
(プログラム1)
コンピュータによって実行されると、方法1に記載の制御装置の制御方法の各工程を実行する、プログラム。
【0079】
以上、実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、上述の各実施形態は、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0080】
108:出力部、109:放射線量推定部(推定部)、201:コントロールPC(制御装置)
図1
図2
図3
図4
図5