(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160802
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】欠陥検出装置
(51)【国際特許分類】
G01N 25/72 20060101AFI20241108BHJP
G01N 21/892 20060101ALI20241108BHJP
G01J 5/48 20220101ALI20241108BHJP
D21F 7/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G01N25/72 A
G01N21/892 A
G01J5/48 A
D21F7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076181
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】上野 裕之
【テーマコード(参考)】
2G040
2G051
2G066
4L055
【Fターム(参考)】
2G040AA05
2G040AB08
2G040BA01
2G040BA25
2G040CA02
2G040DA06
2G040GA01
2G040GA07
2G051AA34
2G051AB02
2G051CA04
2G051DA06
2G051EA23
2G066AC16
2G066BB02
2G066CA02
2G066CA04
4L055DA10
4L055DA16
4L055DA17
4L055FA09
(57)【要約】
【課題】光の照射をすることなく紙の表面の欠陥を検出できる欠陥検出装置を提供する。
【解決手段】実施形態は、抄紙機のいずれかのパートに設置されて搬送される紙の表面を撮像するように設けられた赤外線カメラによって取得された赤外線画像データにもとづいて、欠陥の候補を検出する画像処理部と、前記欠陥の候補から欠陥を抽出する欠陥判定部と、前記欠陥を抽出した場合に欠陥検出信号を生成して制御装置に出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抄紙機のいずれかのパートに設置されて搬送される紙の表面を撮像するように設けられた赤外線カメラによって取得された前記紙の温度分布を表す赤外線画像データにもとづいて、欠陥の候補を検出する画像処理部と、
前記画像処理部によって検出された前記欠陥の候補から外乱を除去して欠陥を抽出する欠陥判定部と、
前記欠陥判定部によって前記欠陥が抽出された場合に、欠陥検出信号を生成して、前記抄紙機を制御する制御装置に出力する出力部と、
を備えた欠陥検出装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記欠陥の候補を検出した前記赤外線画像データに前記欠陥の候補に関する情報を関連付けて出力し、
前記欠陥の候補に関するデータは、前記赤外線画像データを取得した時刻、前記欠陥の候補の大きさおよび前記欠陥の候補の形状のうち、少なくとも1つを含む請求項1記載の欠陥検出装置。
【請求項3】
前記欠陥判定部は、前記紙の温度分布から人間の体温に相当する温度を除去することによって、外乱を除去する請求項1記載の欠陥検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、抄紙機で搬送される紙の欠陥を検出する欠陥検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、欠陥検査装置は、ラインセンサを用いて、紙の欠陥の有無を検査する。このような欠陥検査装置では、検査対象に光を照射して、その反射光や透過光の有無をラインセンサでとらえることによって、欠陥の有無を判定する。
【0003】
ラインセンサを用いた欠陥検査装置の具体例として、複数のラインセンサを紙の搬送方向に離して配置し、欠陥の発生工程の特定を容易にする技術が知られている。(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、エリアセンサを搭載した可視光カメラを産業用途に利用することが容易になり、対象物の2次元画像を撮像し、画像解析することによって、検査対象物の欠陥を検出することが可能になってきている。
【0006】
一方で、可視光カメラの場合には、検査対象物に光を照射して、反射光や透過光を検出する必要があることには変わりがない。このような可視光カメラを紙の欠陥検出に利用しようとする場合には、カメラの設置場所を確保するとともに、欠陥検出専用の照明の設置が必要である。実際の抄紙機では、各工程の機械が入り組んでいるため、カメラや照明の設置場所を確保できる位置には限りがある。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、光の照射をすることなく紙の表面の欠陥を検出できる欠陥検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、抄紙機のいずれかのパートに設置されて搬送される紙の表面を撮像するように設けられた赤外線カメラによって取得された前記紙の温度分布を表す赤外線画像データにもとづいて、欠陥の候補を検出する画像処理部と、前記画像処理部によって検出された前記欠陥の候補から外乱を除去して欠陥を抽出する欠陥判定部と、前記欠陥判定部によって前記欠陥が抽出された場合に、欠陥検出信号を生成して、前記抄紙機を制御する制御装置に出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
実施形態によれば、光の照射をすることなく紙の表面の欠陥を検出できる欠陥検出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る欠陥検出装置を例示する模式的なブロック線図である。
【
図2】実施形態に係る欠陥検出装置の動作を説明するための模式図である。
【
図3】実施形態に係る欠陥検出装置の動作を説明するための模式図である。
【
図4】実施形態に係る欠陥検出装置の動作を説明するための模式図である。
【
図5】実施形態に係る欠陥検出装置の動作を説明するための模式図である。
【
図6】実施形態に係る欠陥検出装置の動作を説明するためのフローチャートの例である。
【
図7】可視光と赤外線との関係を表す模式図である。
【
図8】赤外線カメラをドライパートのフード内に配置した状態を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る欠陥検出装置を例示する模式的なブロック線図である。
図1に示すように、欠陥検出装置8は、抄紙機100のいずれかのパートに設けられた赤外線カメラ1の出力に接続される。
図1の例では、紙5は、紙面の右から左に搬送され、赤外線カメラ1は、ドライパート101の出側に設けられている。赤外線カメラ1は、ドライパート101から排出された紙5の表面の赤外線画像を撮像し、赤外線画像データに変換して、欠陥検出装置8に出力する。なお、赤外線カメラ1は、
図1の例に限らず、抄紙機100の任意の位置に配置することができる。
【0013】
欠陥検出装置8は、速度制御システム20に接続されている。速度制御システム20は、抄紙機100中の紙5を搬送するための各ロールを駆動するモータの速度を制御する。速度制御システム20では、各モータの速度を適切に制御することによって、各パート内の紙5を、所望の張力に制御しつつ抄紙機100内を搬送する。欠陥検出装置8は、紙5の欠陥を検出した場合には、欠陥検出信号を生成して、速度制御システム20に出力する。欠陥検出信号を受信した速度制御システム20は、たとえば、欠陥を検出した旨の警告をモニターの画面に表示する。速度制御システム20を操作するオペレータは、画面を確認して、表示された警告に応じた適切な処置を行うことができる。
【0014】
実施形態に係る欠陥検出装置8の構成について説明する。
欠陥検出装置8は、画像処理部2と、欠陥判定部3と、出力部4と、を備える。画像処理部2は、赤外線カメラ1の出力に接続される。画像処理部2は、赤外線カメラ1によって取得された赤外線画像データを入力し、赤外線画像の画像処理によって、欠陥の候補を検出して欠陥判定部3に出力する。欠陥判定部3は、外乱を除去して欠陥の候補から欠陥を判定し、その欠陥に関する情報を出力部4に出力する。出力部4は、欠陥の情報にもとづいて、欠陥検出信号を生成して、速度制御システム20に出力する。
【0015】
画像処理部2は、欠陥の候補を検出した場合には、欠陥の候補を含む赤外線画像データの取得時刻を、欠陥の候補の情報として出力する。画像処理部2は、赤外線画像データの取得時刻に、欠陥の候補の位置の情報や、欠陥の候補の大きさ、欠陥の候補の形状の情報を関連付けて、欠陥の候補に関する情報として出力する。
【0016】
欠陥判定部3は、画像処理部2が出力した欠陥の候補に関する情報を入力し、これらの情報があらかじめ設定された条件に適合するか否かを判定する。あらかじめ設定された条件は、
図6に関連して後述するように、欠陥の候補の大きさや温度に関する条件であり、そのほか、欠陥の候補の形状や欠陥の候補の位置等を条件としてもよい。欠陥の候補の位置とは、たとえば、紙5の搬送方向に沿った端部か中央部か等である。欠陥判定部3は、欠陥の候補に関する情報が、あらかじめ設定された条件に適合する場合には、欠陥の候補を欠陥であると判定して、欠陥の候補に関する情報を欠陥に関する情報として出力部4に出力する。なお、欠陥の候補に関する情報が、あらかじめ設定された条件に適合しない場合には、欠陥判定部3は、欠陥の候補に関する情報を廃棄してもよいし、たとえば、条件に適合しない欠陥の候補に関する情報である旨のフラグを付して、別途データベースにデータとして蓄積するようにしてもよい。このようなデータは、欠陥判定部3の判定条件をより正確にしたり、より適切にしたりする場合等に利用することが可能である。
【0017】
出力部4は、欠陥判定部3で欠陥に関する情報であると判定された情報を、通信ネットワーク(図示せず)を介して、他の管理システムに送信してもよい。他の管理システムは、たとえば品質管理用サーバや生産管理用サーバ等である。たとえば、欠陥に関する情報を受信したこれらのシステムでは、欠陥を生じた製品の品質管理や生産管理のためのデータとして利用することができる。
【0018】
実施形態に係る欠陥検出装置8の動作について説明する。
まず、画像処理部2の動作について説明する。
図2~
図5は、実施形態に係る欠陥検出装置の動作を説明するための模式図である。
図2には、搬送される紙5に対する赤外線カメラ1の位置が示されている。
図2に示すように、赤外線カメラ1は、紙5の表面を撮像するように配置される。
図1および
図2の例では、赤外線カメラ1は、紙5の表面に対向する位置に配置され、紙5を紙5の上方から撮像する。赤外線カメラ1は、撮像する紙5の幅方向を撮像範囲11に含むように、紙5の表面から適切な距離を離して配置される。赤外線カメラ1は、紙5の表面の直上で、撮像範囲11のほぼ中心に配置されている。
【0019】
図2の例では、撮像範囲11は、頂点11a~11dを有する矩形であり、破線で示されている。撮像範囲11は、紙5の搬送方向に沿った紙5の一方の端部5aおよび他方の端部5bを含むように設定される。つまり、撮像範囲11は、紙5の幅方向をすべて含むように設定されている。
【0020】
図3には、赤外線カメラ1で撮像した赤外線画像データD1が模式的に示されており、赤外線画像データD1にXY座標を適用した場合の具体例が示されている。赤外線画像データD1は、実線の矩形で表されている。赤外線画像データD1の上端部D1aは、
図2に示した紙5の一方の端部5aに対応し、下端部D1bは、紙5の他方の端部5bに対応する。
【0021】
図3の例では、XY座標の原点は、撮像範囲11の1つの頂点11aとしている。紙5の搬送方向はY軸の正方向に対応する。Y軸に直交するX軸は、紙5の幅方向に対応する。撮像範囲11の頂点11bは座標(X3,0)であり、頂点11cは座標(X3,Y1)であり、頂点11dは座標(0,Y1)である。赤外線画像データD1の上端部D1aは、座標(X2,0)から座標(X2,Y1)にわたり、下端部D1bは、座標(X1,0)から座標(X1,Y1)にわたっている。
【0022】
画像処理部2は、このような赤外線画像データD1から欠陥データD12を検出する。欠陥データD12は、
図2に示した欠陥12に対応する。赤外線画像データD1では、XY座標ごとに温度データが関連付けられている。たとえば、赤外線画像データD1は、紙5の表面の温度のメッシュデータである。なお、言うまでもないが、
図2の欠陥12および
図3の欠陥データD12は、画像処理部2においては、欠陥の候補に関する情報の検出のために利用される。
【0023】
図4および
図5は、XY座標に関連付けられた温度データTの座標依存性を示している。
図4は、Y=Y0とした場合の温度TのX座標依存性CXであり、
図5には、X=X0とした場合の温度TのY座標依存性CYである。つまり、X座標依存性CXとY座標依存性CYとのXY座標系における交点が欠陥データD12の位置の座標(X0,Y0)である。
【0024】
図4に示すように、温度TのX座標依存性CXでは、原点0から下端部D1bの座標X1までの温度T2に対して、下端部D1bよりもX軸の正方向、つまり
図2における紙5の他方の端部5bから紙5の内側に向かって、温度T2よりも高いほぼ一定の温度T1であり、座標X0の近傍で温度Tは低下をはじめ、座標X0において、温度T1よりも低い温度T0に達する。さらにX軸の正方向、つまり、
図2における紙5の一方の端部5aに向かって座標X0の近傍では、温度T0よりも高い温度T1に達し、一方の端部5aまでほぼ一定の温度が維持される。座標X2を超えると、
図2における一方の端部5aに達し、温度T1よりも低い温度T2に達する。
【0025】
図5に示すように、温度TのY座標依存性CYでは、原点0からY軸の正方向、つまり、
図2における紙5の搬送方向に沿って、ほぼ一定の温度T1であり、座標Y0の近傍で温度が低下をはじめ、座標Y0で温度T1よりも低い温度T0に達する。さらにY軸の正方向、つまり、
図2における紙5の搬送方向に向かって座標Y0の近傍で温度T1となり、Y軸の正方向に向かってほぼ一定となる。
【0026】
画像処理部2は、たとえば、赤外線画像データD1をX軸方向およびY軸方向にそれぞれ走査して、XY座標ごとの温度データTの変化を検出する。欠陥では、紙5の表面の温度よりも低い温度となっている。たとえば、画像処理部2は、XY座標の全面走査による温度データTの平均値を算出し、あらかじめ設定された平均値に対する温度差または温度変化の割合を用いて、温度の低い座標を抽出することによって、欠陥を特定することができる。
【0027】
温度の低い座標が領域を形成している場合には、たとえば、X軸方向の最大長さおよびY軸方向の最大長さをその領域で特定される欠陥の大きさと定義することによって、欠陥の候補の判定を行い、また、欠陥の情報として利用することができる。温度が低い座標の領域を形成する外周の座標により、欠陥の候補の形状を、欠陥の情報とすることができる。
【0028】
画像処理部2は、上述のようにして、赤外線画像データD1から欠陥データD12を抽出し、欠陥データD12に赤外線画像データD1の取得時刻、欠陥の位置、大きさおよび形状等を関連付けて、欠陥判定部3に出力する。
【0029】
なお、紙の幅が広い場合や抄紙機の配置の制約がある場合等により、1台の赤外線カメラ1では、紙の幅方向をすべて含むことができない場合には、複数の赤外線カメラを紙の幅方向に配置して、たとえば同時に画像データを取得すればよい。
【0030】
次に、欠陥判定部3の動作について説明する。
図6は、実施形態に係る欠陥検出装置の動作を説明するためのフローチャートの例である。
このフローチャートは、画像処理部2が出力した欠陥データD12を欠陥の候補に設定し、欠陥データD12が
図2に示した欠陥12であるか否かを判定する欠陥判定部3の動作を説明する。
【0031】
図6に示すように、ステップS1において、欠陥判定部3は、画像処理部2から欠陥の候補に関する情報を入力する。
【0032】
ステップS2において、欠陥判定部3は、欠陥の候補に関する情報にもとづいて欠陥の大きさを判定する。欠陥判定部3には、欠陥の大きさに関するしきい値があらかじめ設定されている。欠陥判定部3は、欠陥の大きさがあらかじめ設定されたしきい値以上の場合には、処理をステップS3に遷移させる。欠陥判定部3は、欠陥の大きさがあらかじめ設定されたしきい値よりも小さい場合には、欠陥データD12は、欠陥12であると判定し、欠陥の候補に関する情報を欠陥に関する情報であるとして出力部4に出力する。
【0033】
ステップS3において、欠陥判定部3は、欠陥の候補に関する情報が含んでいる欠陥の候補の温度を判定する。欠陥判定部3には、温度に関するしきいがあらかじめ設定されている。
図6の例では、温度に関するしきい値は、35℃~37℃とされている。このしきい値は、赤外線カメラ1の撮像範囲11の近傍に作業者がいて、この作業者が赤外線画像データD1に写りこんだ場合の温度として設定されている。欠陥判定部3は、欠陥の候補の温度が35℃~37℃の範囲の場合には、欠陥の候補を欠陥ない(非欠陥)と判定する。欠陥判定部3は、欠陥の候補の温度が35℃よりも低いか、37℃よりも高い場合には、欠陥の候補を欠陥であると判定する。
【0034】
このようにして、欠陥判定部3は、外乱を除去して、欠陥の候補から欠陥を判定して、出力部4に出力する。
【0035】
実施形態に係る欠陥検出装置8の効果について説明する。
図7は、可視光と赤外線との関係を表す模式図である。
実施形態に係る欠陥検出装置8は、抄紙機100を搬送される紙5の表面を赤外線カメラ1によって取得した赤外線画像データD1にもとづいて、欠陥の有無を判定し、欠陥を検出する。
図7に示すように、赤外線は、可視光よりも長い波長を有している。物体は、温度に応じた波長の電磁波(近赤外線、中赤外線、遠赤外線)を放射しているので、物体が放射する電磁波の波長を検出することによって、その物体の温度を測定することができる。赤外線カメラ1では、温度分布を表す赤外線画像データD1を取得するので、可視光によらず、対象の物体の温度分布にもとづいて、欠陥を検出することができる。
【0036】
紙5の温度分布を含む赤外線画像データD1を取得する赤外線カメラ1では、物体の温度に応じた波長の赤外線を検出するので、可視光の照明の反射光や透過光を取得する必要がない。そのため、画像データを取得するための照明を準備し、配置する必要がなく、暗所への設置も可能である。
【0037】
図8は、赤外線カメラをドライパートのフード内に配置した状態を表す模式図である。
図8に示すように、赤外線カメラ1が温度分布を表す赤外線画像データD1を取得する場合に、照明が不要であるため、ドライパート101を外部環境から遮断するフード内に配置した場合であっても、ドライパート101を搬送される紙5の表面の温度分布を表す赤外線画像データD1を取得することが可能である。
【0038】
欠陥を表す温度分布データを含む赤外線画像データD1に欠陥の形状を関連付けることも可能であり、欠陥の形状のデータを品質管理サーバに記録し、品質向上のために活用することができる。
【0039】
実施形態に係る欠陥検出装置8では、画像処理部2は、赤外線画像データD1を取得した時刻に、欠陥の位置の座標のデータを関連付けることができる。たとえば、品質管理サーバでは、欠陥の位置の情報およびその取得時刻にもとづいて、どのような条件の場合にどのような位置(端か中央か)に欠陥が生じるのかを統計的に処理することができ、製品の品質向上のための施策立案等に役立てることができる。
【0040】
また、抄紙機では、紙5の搬送速度や、巻取リールに巻き取られた紙の径の時系列データをデータ収集装置等により取得することができるので、欠陥を有する赤外線画像データD1の取得時刻、欠陥の位置の座標のデータ、搬送速度のデータおよび紙の径のデータにもとづいて、巻取後の欠陥の位置を算出することができる。巻取後の欠陥の位置を算出することによって、欠陥の位置を特定することができ、巻き直しにより欠陥を除去することが容易になる。
【0041】
このようにして、光の照射をすることなく紙の表面の欠陥を検出できる欠陥検出装置を実現することができる。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1…赤外線カメラ、2…画像処理部、3…欠陥判定部、4…出力部、5…紙、8…欠陥検出装置、11…撮像範囲、12…欠陥、100…抄紙機、101…ドライパート