IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-空気清浄機 図1
  • 特開-空気清浄機 図2
  • 特開-空気清浄機 図3
  • 特開-空気清浄機 図4
  • 特開-空気清浄機 図5
  • 特開-空気清浄機 図6
  • 特開-空気清浄機 図7
  • 特開-空気清浄機 図8
  • 特開-空気清浄機 図9
  • 特開-空気清浄機 図10
  • 特開-空気清浄機 図11
  • 特開-空気清浄機 図12
  • 特開-空気清浄機 図13
  • 特開-空気清浄機 図14
  • 特開-空気清浄機 図15
  • 特開-空気清浄機 図16
  • 特開-空気清浄機 図17
  • 特開-空気清浄機 図18
  • 特開-空気清浄機 図19
  • 特開-空気清浄機 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160809
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/80 20210101AFI20241108BHJP
   B03C 3/82 20060101ALI20241108BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20241108BHJP
   F24F 8/192 20210101ALI20241108BHJP
   H05F 3/04 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F24F8/80 300
B03C3/82
A61L9/00 Z
F24F8/192
H05F3/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076205
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】曽根 文彦
(72)【発明者】
【氏名】酒井 翔太
(72)【発明者】
【氏名】中谷 馨
(72)【発明者】
【氏名】袴田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】大石 晋也
【テーマコード(参考)】
4C180
4D054
5G067
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA16
4C180CC01
4C180CC04
4C180CC17
4C180DD09
4C180DD11
4C180HH05
4C180KK01
4C180LL15
4D054AA13
4D054BA01
4D054EA08
4D054EA11
5G067AA70
5G067DA18
(57)【要約】
【課題】コストを抑制しつつ設置面の帯電を防止して、設置面への埃の付着による設置面の汚れを防止することができる空気清浄機を得ることを目的とする。
【解決手段】空気清浄機は、室内の据付面に据付けられ、室内の空気を清浄化する空気清浄機である。空気清浄機は、空気を吸い込む吸込口と、空気を吹き出す吹出口とが設けられた非導電性の筐体10と、筐体10に収納され、吸込口から空気を吸込み吹出口から空気を吹き出す空気流を生成する送風機200と、筐体10に収納されて空気流中の不純物を除去する放電式の電気集塵機と、を備える。筐体10の内部における吸込口から吹出口に至る風路において、送風機200が電気集塵機よりも風下側に配置される。送風機200は、ファンケーシング201の内部にファン202とモータ203とが収納され、ファンケーシング201の内面201aに、導電性を有する導電部22を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の据付面に据付けられ、前記室内の空気を清浄化する空気清浄機であって、
空気を吸い込む吸込口と、前記空気を吹き出す吹出口とが設けられた非導電性の筐体と、
前記筐体に収納され、前記吸込口から前記空気を吸込み前記吹出口から前記空気を吹き出す空気流を生成する送風機と、
前記筐体に収納されて前記空気流中の不純物を除去する放電式の電気集塵機と、
を備え、
前記筐体の内部における前記吸込口から前記吹出口に至る風路において、前記送風機が前記電気集塵機よりも風下側に配置され、
前記送風機は、ファンケーシングの内部にファンとモータとが収納され、
前記ファンケーシングの内面に、導電性を有する導電部を有すること、
を特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記導電部が接地されること、
を特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記筐体は、前記筐体を前記据付面に据付けるための据付部品である金属製の据付金具を介して前記据付面に据え付けられ、
前記据付金具は、アース線が接続されており、
前記モータは、前記モータを前記筐体に取り付ける取付部品である金属製のモータ取付板により前記筐体に取り付けられており、
前記導電部は、前記モータ取付板に接続され、前記モータ取付板と前記据付金具とを介して前記アース線に電気的に接続されることにより接地されること、
を特徴とする請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記導電部が、凸形状部を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記送風機は、遠心送風機であり、
前記ファンは、複数のブレードが環状に配列された多翼ファンであり、
前記導電部は、ライン状の前記凸形状部を有し、
前記導電部のライン状の前記凸形状部の数と、前記ファンの前記ブレードの数とが互いに素であること、
を特徴とする請求項4に記載の空気清浄機。
【請求項6】
前記導電部のライン状の前記凸形状部の長手方向が、前記ファンの前記ブレードの長手方向と異なる方向であること、
を特徴とする請求項5に記載の空気清浄機。
【請求項7】
前記ファンケーシングは、空気が吸い込まれるファンケーシング吸込口と、吸い込まれた空気が前記吹出口に向けて吹き出されるファンケーシング吹出口とを有し、
前記導電部のライン状の前記凸形状部は、前記ファンケーシングの内面において、前記ファンケーシング吹出口側の半分の領域に設けられていること、
を特徴とする請求項4から6のいずれか1つに記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内の空気清浄を目的とする空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放電により発生させたイオンを利用して空気中の不純物を集塵する方法が用いられている。特許文献1には、高電圧を印加される予備荷電部と、予備荷電部の下流側に設けた集塵部と、予備荷電部および集塵部を内蔵する本体ケースとを有する空気清浄機が開示されている。特許文献1に開示された空気清浄機では、本体ケースの表面の全体を導電性塗料にて塗装することにより、空気清浄機が設置された壁面の帯電を防止して、壁面への埃の付着による壁面の汚れを防止することが開示されている。また、特許文献1には、導電性樹脂を含有させた合成樹脂により本体ケース全体を構成することにより、空気清浄機が設置された壁面の帯電を防止して、壁面への埃の付着による壁面の汚れを防止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-254439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された空気清浄機では、本体ケースの表面の全体を導電性塗料にて塗装する場合には、高価な導電性樹脂材料の使用量が多くなり、空気清浄機のコストが高くなるという問題があった。また、導電性樹脂を含有させた合成樹脂により本体ケース全体を構成する場合も、高価な導電性樹脂材料の使用量が多くなり、空気清浄機のコストが高くなるという問題があった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、コストを抑制しつつ設置面の帯電を防止して、設置面への埃の付着による設置面の汚れを防止することができる空気清浄機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる空気清浄機は、室内の据付面に据付けられ、室内の空気を清浄化する空気清浄機である。空気清浄機は、空気を吸い込む吸込口と、空気を吹き出す吹出口とが設けられた非導電性の筐体と、筐体に収納され、吸込口から空気を吸込み吹出口から空気を吹き出す空気流を生成する送風機と、筐体に収納されて空気流中の不純物を除去する放電式の電気集塵機と、を備える。筐体の内部における吸込口から吹出口に至る風路において、送風機が電気集塵機よりも風下側に配置される。送風機は、ファンケーシングの内部にファンとモータとが収納され、ファンケーシングの内面に、導電性を有する導電部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる空気清浄機によれば、コストを抑制しつつ設置面の帯電を防止して、設置面への埃の付着による設置面の汚れを防止することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1にかかる空気清浄機の外観を示す図であり、空気清浄機を下方から見た斜視図
図2】実施の形態1にかかる空気清浄機の外観を示す図であり、空気清浄機を上方から見た斜視図
図3】実施の形態1にかかる空気清浄機の構成の概略を示す構成図であり、図1におけるIII-III線に沿った断面に対応する図
図4】実施の形態1にかかる空気清浄機が備える電気集塵機における電気集塵の原理を説明する模式図
図5】実施の形態1にかかる空気清浄機の外観を示す図であり、吹出口にルーバーが設けられた状態の空気清浄機を下方から見た斜視図
図6】実施の形態1にかかる空気清浄機の吹出口に設けられたルーバーを説明する第1の模式図
図7】実施の形態1にかかる空気清浄機の吹出口に設けられたルーバーを説明する第2の模式図
図8】実施の形態1にかかる空気清浄機が備える導電部の放電経路の一例を説明する図
図9】実施の形態1にかかる空気清浄機が備えるルーバーを示す図
図10】実施の形態1にかかる空気清浄機が備えるファンケーシングに設けられた導電部を示す図
図11】実施の形態1にかかる空気清浄機の送風機の構成を説明する斜視図
図12】実施の形態1にかかる空気清浄機が備えるファンケーシングに設けられた導電部のライン状の凸形状部とファンのブレードとを説明する図
図13】実施の形態1にかかる空気清浄機が備えるファンに設けられた導電部を示す図
図14】実施の形態1にかかる空気清浄機における電気集塵機の一時停止制御に関わる機能構成を示す図
図15】実施の形態1にかかる空気清浄機における電気集塵機の一時停止制御の手順の一例を示すフローチャート
図16】実施の形態1にかかる空気清浄機における電気集塵機の一時停止制御の手順の他の例を示すフローチャート
図17】実施の形態1にかかる空気清浄機が備える導電部の一例を説明する図
図18】実施の形態1にかかる空気清浄機が備える導電部の一例を説明する図
図19】実施の形態1にかかる制御部のそれぞれの機能をハードウェアで実現した構成を示す図
図20】実施の形態1にかかる制御部のそれぞれの機能をソフトウェアで実現した構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態にかかる空気清浄機を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。
【0010】
実施の形態1.
(空気清浄機の全体構成)
図1は、実施の形態1にかかる空気清浄機1の外観を示す図であり、空気清浄機1を下方から見た斜視図である。図2は、実施の形態1にかかる空気清浄機1の外観を示す図であり、空気清浄機1を上方から見た斜視図である。図3は、実施の形態1にかかる空気清浄機1の構成の概略を示す構成図であり、図1におけるIII-III線に沿った断面に対応する図である。なお、図3においては、理解の容易のために一部を側面図とし、また一部のハッチングを省略している。
【0011】
まず、実施の形態1にかかる空気清浄機1の基本的な構造について説明する。空気清浄機1は、壁501の壁面500および天井面に据え付け可能であり、室内空気の汚染を除去して室内の空気環境を清浄化する空気清浄機である。壁面500および天井面は、空気清浄機1が据え付けられる据付面である。空気清浄機1は、空気清浄機1の外郭を構成する筐体10を有する。筐体10は、筐体本体11と、前面パネル12とにより構成されて直方体形状を有する。筐体10は、導電性を有さない樹脂により構成されて非導電性を有し、奥行き方向の寸法が幅方向の寸法および高さ方向の寸法よりも小さい直方体形状を有する。
【0012】
空気清浄機1の幅方向は、筐体10の幅方向に対応し、図1から図3におけるX軸方向に対応する。空気清浄機1の幅方向は、左右方向と換言できる。空気清浄機1の奥行き方向は、筐体10の奥行き方向に対応し、図1から図3におけるY軸方向に対応する。空気清浄機1の奥行き方向は、空気清浄機1の厚さ方向または筐体10の厚さ方向と換言できる。空気清浄機1の高さ方向は、筐体10の高さ方向に対応し、図1から図3におけるZ軸方向に対応する。空気清浄機1が壁面500に据え付けられる場合、空気清浄機1の高さ方向は、上下方向であり、鉛直方向に平行な方向である。空気清浄機1が天井面に据え付けられる場合、空気清浄機1の高さ方向は、水平方向に平行な方向に対応する。また、空気清浄機1では、奥行き方向において前面パネル12が位置する側が前面側であり、奥行き方向において前面パネル12が位置する側と反対側が背面側である。左右方向は、空気清浄機1を前面側から見た場合の左右方向とする。
【0013】
筐体本体11は、一面が開口された直方体形状を有する、筐体10を構成する第1の部品である。図1および図2に示すように、筐体10は、上面10a、下面10b、第1側面10c、第2側面10d、前面10e、および背面10fを有する。第1側面10cは、前面側から見て左側の側面である。第2側面10dは、前面側から見て右側の側面である。第1側面10cと第2側面10dとは、筐体10の幅方向において対向する一対の側面である。前面10eは、前面パネル12によって構成されている。筐体本体11は、前面側の一面、すなわち筐体10における前面10eに対応する側の面が開口されている。なお、上面10a、下面10b、第1側面10c、第2側面10dおよび背面10fのそれぞれは、筐体本体11の上面、筐体本体11の下面、筐体本体11の第1側面、筐体本体11の第2側面および筐体本体11の背面ととらえることもできる。
【0014】
空気清浄機1は、背面10fが壁面500に対向した状態で、壁面500に据え付けられる。具体的に、空気清浄機1は、上面10aが鉛直方向上側を向き、下面10bが鉛直方向下側を向き、前面10eおよび背面10fが鉛直方向に平行であり、背面10fが壁面500に対向した状態で、壁面500に据え付けられる。したがって、空気清浄機1が壁面500に設置される場合に、筐体10における前面パネル12と対向する背面10fが、壁面500と対向する対向面とされる。
【0015】
筐体10は、筐体10の内部に室内の空気を取り込むための開口部である吸込口13が第1側面10cに形成されている。すなわち、筐体本体11は、開口された一面に左側に隣り合う側面である筐体本体11の第1面に吸込口13が形成されている。また、筐体10は、筐体10の内部の空気を筐体10の外部に吹き出すための開口部である吹出口14が下面10bに形成されている。すなわち、筐体本体11は、開口された一面に下側に隣り合う側面である筐体本体11の第2面に吹出口14が形成されており、壁面500に据え付けられた状態で鉛直方向下側に向かって開口された吹出口14が形成されている。
【0016】
前面パネル12は、筐体本体11における開口された一面を覆う蓋であり、筐体10を構成する第2の部品である。すなわち、空気清浄機1の前面および筐体10の前面10eは、前面パネル12により構成されている。空気清浄機1は、前面パネル12が前面側に開くことにより、筐体10の内部に収納された各構成部にアクセス可能とされており、筐体10の内部に収納された各構成部の定期的な清掃および故障時の保全が可能となっている。
【0017】
空気清浄機1は、筐体10を据付面である壁面500に据付けるための据付部品である金属製の据付金具400を介して壁面500に据え付けられる。壁面500への空気清浄機1の据え付けに据付金具400が必要な理由は、以下の理由が挙げられる。第1の理由は、背面10fと壁面500との固定範囲を幅広くすることにより、背面10fに加わる荷重を分散し、締結部に加わる応力を低くして、空気清浄機1を安全に据え付けるためである。第2の理由は、空気清浄機1を傾きなく適正な姿勢で壁面500に据え付けるためには精度良く空気清浄機1をねじ固定する必要があるが、据え付け作業時に空気清浄機1の質量を支えながらねじ固定位置を定めることが困難なため、軽量な部品で精度良く空気清浄機1の固定位置を定めるためである。すなわち、壁面500への空気清浄機1の据え付けに据付金具400が必要な理由は、ガタつきまたは外れなどの不安なく、据え付け位置のずれおよび据え付け角度のずれが無い、安全で精度良い空気清浄機1の設置が容易にできるようにするためである。
【0018】
(空気清浄機の内部構成)
空気清浄機1は、筐体10の内部に、集塵部100と、送風機200と、回路部300と、を備える。集塵部100と送風機200と回路部300とは、筐体10の幅方向において、吸込口13が形成された第1側面10c側からこの順で収納されている。すなわち、集塵部100と送風機200と回路部300とは、第1側面10cから第2側面10dに向かう方向において、この順で収納されている。
【0019】
空気清浄機1は、筐体10の内部に、表示発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)、操作スイッチ、運転オンオフ切替タイマー、リモコン受光部、センサ、電気集塵機電源といった複数の電気部品を備える。上記の電気部品のそれぞれは、後述する回路部300の弱電回路基板302と、電気配線によって接続されている。
【0020】
表示LEDは、空気清浄機1の運転風量の表示、および室内空気の汚染度の状態の表示など、空気清浄機1の運転に関わる各種情報を表示する表示部として機能する。操作スイッチは、空気清浄機1の電源のオンあるいはオフ、空気清浄機1の運転風量、および空気清浄機1の自動運転モードと手動運転モードとの切替などの操作を行うための操作部である。
【0021】
運転オンオフ切替タイマーは、電気集塵機120を一時的に停止させる期間である一時停止期間の時間帯を計時する。運転オンオフ切替タイマーの詳細については、後述する。
【0022】
センサは、室内の状態を検知する検知部である。センサには、室内空気の湿度、室内空気中の塵埃、室内空気中の臭気および室内空気の二酸化炭素(CO)の濃度といった、室内空気の空気質を検知するセンサが含まれる。また、センサには、その他のセンサとして、赤外線を用いて室内に在室する人を検知する人感センサが含まれる。電気集塵機電源は、集塵部100の後述する電気集塵機120に放電するための高圧電源を供給する電源部である。
【0023】
集塵部100は、筐体10の内部において、筐体10の幅方向における第1側面10c側に配置されている。すなわち、集塵部100は、筐体10の内部において、筐体10の幅方向における吸込口13側に収納されている。集塵部100は、メッシュフィルタ110と、電気集塵機120と、脱臭フィルタ130と、を備える。メッシュフィルタ110と電気集塵機120と脱臭フィルタ130とは、筐体10の幅方向において、吸込口13が形成された第1側面10c側からこの順で収納されている。すなわち、メッシュフィルタ110と電気集塵機120と脱臭フィルタ130とは、第1側面10cから第2側面10dに向かう方向において、この順で収納されている。そして、メッシュフィルタ110と電気集塵機120と脱臭フィルタ130とは、空気清浄機1の内部に吸い込まれる気流の風上側からこの順で収納されているといえる。
【0024】
メッシュフィルタ110は、空気清浄機1の内部に吸い込まれる空気内の塵埃または埃などの不純物を取り除き、空気清浄機1の内部に吸い込まれる空気を濾過して清浄化する。メッシュフィルタ110は、メッシュフィルタ110の圧力損失を考慮した場合にはメッシュが粗い素材が用いられることが好ましい。一方、メッシュフィルタ110は、後段の電気集塵機120の定期メンテナンスを考慮すると、電気集塵機120の異極電極間での塵埃による橋渡しに起因した電気的な短絡を防ぐために、目開き寸法は0.5mm程度が好ましい。
【0025】
電気集塵機120は、筐体10の内部に吸い込まれる空気内の塵埃または埃などの不純物を取り除き、筐体10の内部に吸い込まれる空気を清浄化する。電気集塵機120は、筐体10の内部に吸い込まれる空気の中に含まれる各種の微粒子に電荷を与え、集塵極に引き寄せることで微粒子を捕集し、筐体10の内部に吸い込まれる空気を清浄化する。すなわち、電気集塵機120は、放電極と集塵極との電極間に高電圧を印加することにより放電によってイオンを発生させて、電極間を通過する微粒子を帯電させる。そして、電気集塵機120は、電極間の電界により微粒子をクーロン力により集塵極に引き寄せて集塵する。
【0026】
図4は、実施の形態1にかかる空気清浄機1が備える電気集塵機120における電気集塵の原理を説明する模式図である。電気集塵機120は、放電極である放電部正極121と、集塵極である放電部負極122と、不図示の電気集塵機電源と、を有する。集塵デバイス電源は、一例では、筐体本体11の内部における回路部300の配置領域に配置され、放電部正極121および放電部負極122と不図示の配線を介して接続される。電気集塵機120では、電気集塵機電源部から放電部正極121と放電部負極122との間に高電圧がかけられると、放電部正極121と放電部負極122との間の領域である放電領域123においてコロナ放電によってプラス(+)の電荷を持つイオンが発生する。このプラス(+)の電荷を持つイオンと結合してプラス(+)の電荷を持つようになって周囲に漂う塵埃124などの微粒子が、低電位側の放電部負極122へ引き寄せられて付着および堆積することで、空気が清浄化される。したがって、実施の形態1にかかる電気集塵機120は、プラス放電式の電気集塵機である。
【0027】
脱臭フィルタ130は、空気清浄機1の内部に吸い込まれる空気の臭いの吸着および分解を行い、空気中に含まれる臭い成分の濃度低減、および空気中に含まれる臭い成分の低臭気物質への化学変化により、脱臭を行う。
【0028】
送風機200は、吸込口13から筐体10の内部に吸い込まれて、集塵部100を通って吹出口14から筐体10の外部に吹き出される空気流45を生成する。送風機200には、遠心送風機が用いられる。送風機200は、ファンケーシング201の内部に、ファン202とモータ203とが収納されている。ファン202は、厚みが薄い薄型の空気清浄機1の製品形状を実現するために、吸込口13から集塵部100を経由して吹出口14までの風路を形成するために適した遠心ファンが用いられる。
【0029】
送風機200は、筐体10の内部における吸込口13から吹出口14に至る風路において、電気集塵機120よりも風下側に配置されている。送風機200は、ファンケーシング201においてファン202側に設けられた吸込口から空気が吸い込まれる。ファンケーシング201における前面パネル12に対向する面には、送風機200の吸込口であるファンケーシング吸込口205を構成し、集塵部100を通って送風機200のファン202に向かう気流を案内するベルマウス204が設けられている。そして、集塵部100における送風機200側には、集塵部100側からベルマウス204に向かう気流を案内する風路壁150が、ファンケーシング201における集塵部100側の面に接続して設けられている。ベルマウス204は、吸込口13から吸い込まれて集塵部100を通って流れてくる空気流45の送風機200への吸込みを案内する導風路といえる。空気清浄機では、吸込口13から筐体10の内部に空気が流入する。筐体10の内部に流入した空気は、送風機200の吸込口からファン202に吸い込まれ、吹出口14に向かって吹き出される。
【0030】
回路部300は、空気清浄機1の動作を制御するための構成部である。回路部300は、筐体10の内部において、筐体10の幅方向における第2側面10d側に配置されている。すなわち、回路部300は、筐体10の内部において、筐体10の幅方向における送風機200を挟んで吸込口13と反対側に収納されている。回路部300は、空気清浄機1に実装された電気部品の動作を制御する。回路部300は、空気清浄機1の動作を制御する制御回路、すなわち空気清浄機1に実装された電気部品である、送風機200のモータ203および後述する他の電気部品を制御するための制御回路を備える。回路部300は、強電回路基板301と、弱電回路基板302と、板金ケース303と、制御部310と、を有する。
【0031】
強電回路基板301は、強電回路が実装された基板である。実施の形態1にかかる強電回路基板301は、電源接続部に接続され、外部電源から電源が供給される。電源接続部とは、空気清浄機1の外部の外部電源から空気清浄機1の電源を取り込むケーブルが接続される部位である。電源接続部と外部電源とは、VVF(Vinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type)ケーブルなどのケーブルを用いて接続される。
【0032】
強電回路基板301は、空気清浄機1に実装された電気部品のうち駆動電流の電流値が相対的に大きい送風機200のモータ203を駆動するための駆動電源を、外部電源から供給される電源を用いて生成する電源生成装置としての機能を有する。強電回路基板301は、生成した駆動電源をモータ203に供給する。
【0033】
弱電回路基板302は、弱電回路が実装された基板である。実施の形態1にかかる弱電回路基板302は、不図示のトランスを介して電源接続部に接続され、外部電源から電源が供給される。弱電回路基板302は、空気清浄機1に実装された電気部品のうち駆動電流の電流値が相対的に小さい、表示LED、操作スイッチ、運転オンオフ切替タイマー、センサ、電気集塵機120といった電気部品を駆動するための駆動電源を、外部電源から供給される電源を用いて生成する電源生成装置としての機能を有する。すなわち、弱電回路基板302は、モータ203よりも駆動電流が小さい電気部品を駆動するための駆動電源を、外部電源から供給される電源を用いて生成する電源生成装置としての機能を有する。弱電回路基板302は、生成した駆動電源を、表示LED、操作スイッチ、運転オンオフ切替タイマー、センサ、電気集塵機120といった電子部品に供給する。
【0034】
強電回路とは、国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission:IEC)のIEC-60335規格において定められている、42.4Vを超える電圧の回路のことである。弱電回路は、IEC-60335規格において定められている、42.4V以下の電圧の回路のことである。
【0035】
板金ケース303は、金属板により構成され、強電回路基板301の前面側および側面側を覆い、強電回路基板301を保護する。なお、板金ケース303を前面側、背面側および側面側から覆うことも可能である。
【0036】
制御部310は、制御回路に設けられ、表示LED、操作スイッチ、運転オンオフ切替タイマー、センサ、電気集塵機120といった、空気清浄機1に実装された電気部品の動作を制御する。
【0037】
つぎに、上記のように構成される実施の形態1にかかる空気清浄機1の特徴について説明する。空気清浄機1は、筐体10の内部において電気集塵機120から吹出口14に至る風路に導電性を有する導電部を設けることで、導電部でのイオンの放電により、空気清浄機1の帯電に起因した空気清浄機1の表面の汚れおよび壁面500の汚れを防止することができる。また、筐体10の内部において電気集塵機120から吹出口14に至る風路内に導電部が設けられた空気清浄機1は、当該空気清浄機1の運転時において電気集塵機120の運転を一時的に停止させることで、空気清浄機1の帯電に起因した空気清浄機1の表面の汚れおよび壁面500の汚れを防止することができる。
【0038】
(ルーバーに形成される導電部)
まず、空気清浄機1における風路構成について説明する。図5は、実施の形態1にかかる空気清浄機1の外観を示す図であり、吹出口14にルーバー15が設けられた状態の空気清浄機1を下方から見た斜視図である。図5は、図1に対応する図である。図6は、実施の形態1にかかる空気清浄機1の吹出口14に設けられたルーバー15を説明する第1の模式図である。図7は、実施の形態1にかかる空気清浄機1の吹出口14に設けられたルーバー15を説明する第2の模式図である。図6においては、筐体10と、吹出口14と、吹出口14に設けられたルーバー15とに注目して示しており、空気清浄機1の他の構成部については図示を省略している。
【0039】
上述したように、空気清浄機1においては、筐体10の内部の空気を筐体10の外部に吹き出すための開口部である吹出口14が筐体10の下面10bに形成されている。そして、吹出口14には、図5および図6に示すように、筐体10の内部から室内に吹き出す気流の風向を変更するルーバー15を設けることができる。ルーバー15は、空気清浄機1の奥行き方向において、筐体10の内部から室内に吹き出す気流の風向を変更する。
【0040】
ルーバー15は、平板状を有し、導電性を有さない樹脂により構成され、長手方向が空気清浄機1の幅方向と平行な状態で配置されている。ルーバー15は、長手方向に沿って設けられた図示しない回転軸を支点にして、図示しないモータといったルーバー駆動部によって回転される。ルーバー駆動部は、制御部310からの指令に従ってルーバー15を駆動する。
【0041】
空気清浄機1は、筐体10の内部において電気集塵機120から吹出口14に至る風路に導電性を有する導電部を設けることで、導電部でのイオンの放電により、空気清浄機1の帯電に起因した空気清浄機1の表面の汚れおよび壁面500の汚れを防止することができる。ルーバー15は、当該ルーバー15において吹出口14から室内に吹き出される吹出風が当たる面である当たり面に、導電性を有する導電部である導電部21を有する。
【0042】
上述したように、空気清浄機1は、放電により発生させたイオンを利用して空気中の不純物を集塵する電気集塵機120を、筐体10の内部に備える。電気集塵機120を備える空気清浄機1が壁面500に据え付けられる場合には、空気清浄機1の筐体10が導電性を有さない一般的な樹脂製の筐体であれば筐体10の表面が帯電し、筐体10が据え付けられた壁面500と筐体10との間に電界が生じることによって、筐体10の周辺の壁面500に塵埃が吸い寄せられて付着し、壁面500が汚れてしまう、という問題が生じる。
【0043】
筐体10が帯電する原因の1つとして、電気集塵機120におけるコロナ放電によって発生したイオンの一部が空気流45によって筐体10内を流れ、吹出口14から筐体10の外部に吹き出されることがある。吹出口14から筐体10の外部に吹き出されるイオンは、筐体10の外表面に付着することがある。筐体10の外部に吹き出されたイオンが、筐体10の外表面に付着することにより、筐体10が帯電する。
【0044】
室内の空気は、吸込口13から筐体10の内部に取り込まれ、集塵部100において塵埃または埃などの不純物が除去される。空気中の不純物のうち粒径が相対的に大きいものはメッシュフィルタ110で除去され、空気中の不純物のうち粒径が相対的に小さいものは電気集塵機120で除去される。集塵部100を通過して清浄された空気は、送風機200が生成する空気流45の流れに乗って吹出口14から室内に戻される。このような室内空気の清浄過程の中で、電気集塵機120では、放電部正極121と放電部負極122との間の領域である放電領域123を空気が流れる際に塵埃が帯電し、放電部負極122と電気集塵機電源との間の電界により、帯電した塵埃に発生する電気クーロン力によって、塵埃が電極に捕捉される。
【0045】
空気流45の流れは、放電部正極121と放電部負極122との間の領域である放電領域123を横切る方向であり、一部の放電電荷が空気流45の流れに乗ったまま電気集塵機120の外部に放出されることがある。そして、電気集塵機120の外部に放出された電荷は、筐体10の外表面に付着することにより筐体10を帯電させて空気清浄機1を帯電させる。空気清浄機1が帯電すると、逆の電荷を帯びた屋内を漂う塵埃を引き寄せて、長時間の使用の間に空気清浄機1の表面を塵埃が覆い汚すこととなる。また、帯電した空気清浄機1が、当該空気清浄機1が固定された壁を分極させることにより、空気清浄機1の表面と同様に壁を汚すこともある。
【0046】
ここで、電気集塵機120におけるコロナ放電によって発生するイオンがプラス(+)の電荷を持つプラスイオンであれば、筐体10がプラス(+)に帯電する。空気清浄機1が据え付けられた壁面500は、大地と繋がっている低電位側であるが、筐体10が導電性を有さない一般的な樹脂製の筐体であれば、筐体10からグラウンドである壁面500に電荷が放電されにくく、筐体10の帯電が維持される。よって、プラス(+)に帯電した筐体10から壁面500に向かう電界が生じ、コロナ放電により発生したプラスイオンで帯電した塵埃などの不純物がクーロン力によって壁面500に付着し、壁面500の汚れが発生する。
【0047】
そこで、導電性を有さない樹脂により構成された非導電性の筐体10を有する空気清浄機1においては、導電性を有さない樹脂により構成されて吹出口14に設けられたルーバー15の当たり面に、導電性を有する導電部21が形成されている。空気清浄機1は、ルーバー15の当たり面に導電部21が設けられることにより、筐体10に付着したプラスイオンを導電部21から空中に放電し、筐体10から壁面500に及ぶ電界の発生を防止する。これにより、空気清浄機1の帯電に起因した空気清浄機1の表面の汚れおよび壁面500の汚れを防止することができる。
【0048】
また、空気清浄機1では、導電部21が吹出口14に設けられたルーバー15の当たり面に限定して形成することができる。導電性材料は、空気清浄機1を構成する材料の中で価格が相対的に高く高価な材料である。空気清浄機1では、導電部21の形成箇所をルーバー15の当たり面に限定することにより、高価な材料である導電性材料の使用量を低減することができ、且つ導電部21の形成箇所を筐体10の内部から吹出口14から室内に吹き出される空気流45である吹出し風との接触の多い部位とすることができ、空気清浄機1に付着したプラスイオンを効率的に放電することができる。
【0049】
すなわち、空気清浄機1は、ルーバー15の当たり面に導電部21が設けられることにより、導電部21を形成するために用いられる導電性材料の使用量を抑制して、低コストで壁面500への埃の付着に起因した壁面500の汚れを防止することができる。例えば筐体10の外表面の全面に導電性材料を塗装して導電部を形成する場合には、導電性材料の使用量が多くなり、空気清浄機1のコストが高くなる。一方、空気清浄機1では、ルーバー15の当たり面に限定して導電部21が形成することにより、導電部21に用いられる導電性材料の使用量を抑制することができる。
【0050】
また、導電部21は、凸形状を有することが好ましい。図6および図7においては、平坦部21bから突出した凸形状部21aを有して凸形状を有する導電部21を示している。導電部21が凸形状を有することにより、導電部21の表面積を大きくすることができる。導電部21の表面積が大きくなることにより、吹出口14から室内に吹き出される空気流45である吹出し風と、導電部21とが接触する面積が広くなるため、導電部21と吹出し風との接触効率が高くなり、吹出し風に乗って流れてきたプラスイオンが導電部21に付着する確率が高まる。これにより、導電部21は、吹出し風に乗って流れてきたプラスイオンをより効率的に放電することができ、空気清浄機1の帯電に起因した空気清浄機1の表面の汚れの防止および壁面500の汚れの防止の長期信頼性が向上する。
【0051】
ここで、凸形状の高さが高いほど導電部21と吹出し風との接触効率が高くなる。一方で、凸形状の高さが高すぎる場合には、吹き出し風の圧力損失の増大にもつながる。このため、凸形状は、導電部21の表面積が大きくなるように、例えば小腸の内壁のように突起が複数並んだ形状が好ましい。すなわち、凸形状部21aは、導電部21の表面積が大きくなるように、例えば小腸の内壁のように突起が複数並んだ形状が好ましい。
【0052】
図8は、実施の形態1にかかる空気清浄機1が備える導電部21の放電経路の一例を説明する図である。ルーバー15の当たり面に設けられた導電部21は、電気集塵機120の集塵極である放電部負極122と電気的に接続されることが好ましい。すなわち、電気集塵機120の低電位側の電極である放電部負極122と電気的に接続されることが好ましい。これにより、導電部21でのプラスイオンの放電が、導電部21から放電部負極122、電気集塵機120の電源、空気清浄機1のアースを通る経路で大地へと常に行われるため、筐体10に付着したプラスイオンの導電部21での放電が効率的に行われ、空気清浄機1の表面の汚れおよび壁面500の汚れの防止の信頼性が向上する。この場合の電気集塵機120の電源は、回路部300の弱電回路基板302に対応する。
【0053】
また、ルーバー15の当たり面に設けられた導電部21は、空気清浄機1のアースと直接、電気的に接続されてもよい。これにより、導電部21でのプラスイオンの放電が、導電部21からアースを通る経路で大地へと常に行われるため、筐体10に付着したプラスイオンの導電部21での放電が効率的に行われ、空気清浄機1の表面の汚れおよび壁面500の汚れの防止の信頼性が向上する。この場合、ルーバー15の当たり面に設けられた導電部21と、電気集塵機120のアースとの間が配線により接続されればよい。
【0054】
また、導電部21は、ルーバー15の当たり面において、筐体10の内部側の位置のみに形成されることが好ましい。導電部21がルーバー15の当たり面における筐体10の内部側の位置のみに形成されることにより、導電部21が空気清浄機1の外観を損なうことが無い。また、導電部21がルーバー15の当たり面における筐体10の内部側の位置のみに形成されることにより、ユーザが導電部21に触れることが無く、人体の油脂分等が導電部21に付着しにくくなる。これにより、空気清浄機1の長時間使用における導電部21の機能の信頼性が高くなり、空気清浄機1の帯電に起因した空気清浄機1の表面の汚れの防止および壁面500の汚れの防止の長期信頼性が向上する。
【0055】
図9は、実施の形態1にかかる空気清浄機1が備えるルーバー15を示す図である。ルーバー15は、回転軸16を有し、当該回転軸16を支点にして回動する。空気清浄機1においては、ルーバー15の回転軸16が、導電性を有する導電部21とされてもよい。図9では、導電性を有する回転軸16を備えたルーバー15を示している。すなわち、図9では、回転軸16により導電部21の凸形状の構成されている。
【0056】
ルーバー15の回転軸16が導電部21とされることにより、新たな部品の追加およびルーバー15の形状の変更などを伴うことなく、吹出し風と導電部21との接触効率が高くなる。これにより、導電部21は、吹出し風に乗って流れてきたプラスイオンをより効率的に放電することができ、空気清浄機1の帯電に起因した空気清浄機1の表面の汚れおよび壁面500の汚れを防止することができる。
【0057】
空気清浄機1から室内に吹き出される吹出し風の風向きは、空気清浄機1の設置位置と室内の清浄させたい空間の方向との設計に依存し、また室内における人の有無等の条件によってその時々で変更したい場合もある。このため、ルーバー15が可動式となっていると、ユーザにとっての使い勝手が良い。ルーバー15の可動構造は回転軸によるものが一般的であり、また棒状の金属であれば入手性も良い。したがって、ルーバー15の回転軸16が導電部21とされることにより、安価で導電部21を構成することができる。
【0058】
(ファンケーシングに形成される導電部)
つぎに、導電部が送風機200のスクロールケーシングであるファンケーシング201に設けられる場合について説明する。図10は、実施の形態1にかかる空気清浄機1が備えるファンケーシング201に設けられた導電部22を示す図である。図10は、図3におけるファンケーシング201の一部に導電部22が設けられた状態を示している。なお、図10においては、理解の容易のために一部を側面図とし、また一部のハッチングを省略している。空気清浄機1においては、図10に示すように、導電部22を送風機200のスクロールケーシングであるファンケーシング201の内面201aに設けることができる。ファンケーシング201は、導電性を有さない樹脂成型品である。
【0059】
空気清浄機1では、導電部である導電部22を送風機200のファンケーシング201の内面201aに設けることにより、導電部22の形成箇所を、電気集塵機120を通過して空気清浄機1の内部の風路を吹出口14に向かって流れる空気流45である吹出し風との接触の多い部位とすることができる。これにより、空気清浄機1では、当該空気流45に含まれるプラスイオンを導電部22に付着させて、当該導電部22からプラスイオンを効率的に放電することができる。
【0060】
具体的に、導電部22は、導電性を有さない樹脂成型品であるファンケーシング201の内面201aである、ファンケーシング201の内側面201bおよびファンケーシング201の内底面201cに設けられる。
【0061】
また、導電性材料は、空気清浄機1を構成する材料の中で価格が相対的に高く高価な材料である。空気清浄機1では、導電部22を送風機200のファンケーシング201の内面201aに限定して設けることにより、導電部22に用いられる導電性材料の使用量を抑制することができる。
【0062】
したがって、空気清浄機1では、ファンケーシング201の内面201aに限定して導電部22を設けることにより、導電部22を形成するために用いられる導電性材料の使用量を抑制しつつ、筐体10の内部において電気集塵機120から風下側に流れる空気流45に含まれるプラスイオンが筐体10の表面を含む空気清浄機1の構成部品の表面に付着して生じる空気清浄機1の帯電に起因した空気清浄機1の表面の汚れおよび壁面500の汚れを、低コストで防止することができる。
【0063】
また、図10に示すように、導電部22をアース線17と電気的に接続することが好ましい。図10においては、空気清浄機1のアース線17と導電部22とを電気的に接続する電気接続経路を、中太の2点鎖線で示している。導電部22をアース線17と電気的に接続することにより、導電部22が接地され、導電部22で放電されたプラスイオンがアース線17を通じて大地へと放電されるため、空気清浄機1に帯電したプラスイオンの放電が効率的に行われる。これにより、空気清浄機1における、空気清浄機1の帯電に起因した空気清浄機1の表面の汚れおよび壁面500の汚れの防止効果の信頼性が向上する。
【0064】
導電部22の接地は、金属製のモータ取付板210を介して、金属製の据付金具400に接続されたアース線17に導電部22を電気的に接続することにより行うことができる。すなわち、導電部22は、モータ取付板210に接続され、モータ取付板210と据付金具400とを介してアース線17に電気的に接続されることにより、接地される。
【0065】
モータ取付板210は、モータ203を筐体10に取り付けるために用いられている、金属製の取付部品である。モータ取付板210は、図10に示すように、筐体10の背面10fを貫通して、壁面500と背面10fとの間に位置する据付金具400に電気的に接続している。また、据付金具400には、アース線17が接続されている。モータ取付板210は、モータ203の振動に耐え得る強度を有するように、また空気清浄機1の重量を支持する機能を兼ねるために、材料の中で相対的に機械的強度が高い金属材料が用いられる。また、モータ取付板210は、ユーザが触れる可能性があるため、アース線17が接続され、当該アース線17によって大地へ接地されている。
【0066】
導電部22が金属製のモータ取付板210および金属製の据付金具400を介してアース線17に電気的に接続されることにより、導電部22の接地のために専用の導電性材料部品を追加で設ける必要が無いため、空気清浄機1の製造コストを抑制することができる。したがって、ファンケーシング201に形成された導電部22をモータ取付板210と接触させることにより、専用の導電性材料部品を追加で設けることなく導電部22を接地することができる。
【0067】
なお、ここでは、導電部22がファンケーシング201の内側面201bおよびファンケーシング201の内底面201cに設けられる場合について説明したが、導電部22は、ファンケーシング201の内側面201bおよびファンケーシング201の内底面201cのうちいずれか一方に設けられてもよい。この場合も、導電部22が金属製のモータ取付板210に電気的に接続する構成とされればよい。
【0068】
また、導電部22は、凸形状を有することが好ましい。図10においては、平坦部22bから突出した凸形状部22aを有して凸形状を有する導電部22を示している。導電部22が凸形状を有することにより、導電部22の表面積を大きくすることができる。導電部22の表面積が大きくなることにより、吹出口14から室内に吹き出される空気流45である吹出し風と、導電部22とが接触する面積が広くなるため、導電部22と吹出し風との接触効率が高くなり、吹出し風に乗って流れてきたプラスイオンが導電部22に付着する確率が高まる。これにより、導電部22は、吹出し風に乗って流れてきたプラスイオンをより効率的に放電することができ、空気清浄機1の帯電に起因した空気清浄機1の表面の汚れの防止および壁面500の汚れの防止の長期信頼性が向上する。
【0069】
ここで、凸形状の高さが高いほど導電部22と吹出し風との接触効率が高くなる。一方で、凸形状の高さが高すぎる場合には、吹き出し風の圧力損失の増大にもつながる。このため、凸形状は、導電部22の表面積が大きくなるように、例えば小腸の内壁のように突起が複数並んだ形状が好ましい。すなわち、凸形状部22aは、導電部22の表面積が大きくなるように、例えば小腸の内壁のように突起が複数並んだ形状が好ましい。
【0070】
図11は、実施の形態1にかかる空気清浄機1の送風機200の構成を説明する斜視図である。図11では、空気清浄機1の筐体10の前面10eを取り外した状態を示している。図12は、実施の形態1にかかる空気清浄機1が備えるファンケーシング201に設けられた導電部22のライン状の凸形状部22aとファン202のブレード202aとを説明する図である。図12では、ファンケーシング201の外面を透過して見た場合に見えるファンケーシング201の内面201aに形成された導電部22のライン状の凸形状部22aの一部を模式的に示している。図12では、ブレード202aの長手方向を一点鎖線で示している。遠心送風機である送風機200のファン202は、複数のブレード202aが環状に配列された多翼ファンである。ファン202は、モータ203のモータ回転軸203aを中心軸として、時計回りに回転する。
【0071】
図12に示すように導電部22の凸形状部22aがファンケーシング201の内面201aの内側面201bにおいてライン状に形成される場合、導電部22の凸形状部22aの本数と、ファン202のブレード202aの数と、が互いに素であると、送風機200の運転時の騒音を小さくすることができる。ファンケーシング201の内面201aの内側面201bに凸形状を有する場合には、すなわちファンケーシング201の内面201aの内側面201bに形成された導電部22が凸形状部22aを有する場合には、ファンケーシング201の内部において、回転するファン202のブレード202aがライン状の凸形状部22aに対向する空間を通過するときに圧力が発生するため、騒音が発生する。このとき、ライン状の凸形状部22aの数とファン202のブレード202aの数とが互いに素でない場合には、回転するファン202のブレード202aがライン状の凸形状部22aに対向する複数の箇所で同時に騒音が発生するため、騒音がより大きくなる。
【0072】
これに対して、ファンケーシング201の内面201aの内側面201bに形成されたライン状の凸形状部22aの数とファン202のブレード202aの数とが互いに素であれば、回転するファン202のブレード202aが凸形状部22aに対向する複数の箇所で同時に騒音が発生することを回避することができる。
【0073】
また、図12に示すように、導電部22のライン状の凸形状部22aの長手方向を、ブレード202aの長手方向と異なる方向とすることにより、回転するファン202のブレード202aが凸形状部22aに対向する箇所で発生する騒音を小さくすることができる。凸形状部22aの長手方向は、凸形状部22aの延在方向と換言できる。ブレード202aの長手方向は、ブレード202aの延在方向と換言できる。
【0074】
前述のように、回転するファン202のブレード202aが凸形状に対向する空間を通過するときに圧力が発生するため騒音が発生する。このとき、ファンケーシング201の内面201aの内側面201bに形成されたライン状の凸形状部22aの長手方向とブレード202aの長手方向とが同一方向であると、同一のタイミングでライン状の凸形状部22aとブレード202aとが対向する面積の合計が全体として大きくなり、同時に騒音が発生するため、大きな騒音が発生する。
【0075】
これに対して、ファンケーシング201の内面201aの内側面201bに形成された導電部22のライン状の凸形状部22aの長手方向をブレード202aの長手方向と異なる方向とすることにより、同一のタイミングでライン状の凸形状部22aとブレード202aとが対向する面積の合計を全体として少なくすることができ、大きな騒音が発生することを回避できる。
【0076】
また、導電部22のライン状の凸形状部22aは、ファンケーシング201の内面201aにおいて、ファンケーシング201からの空気流45の吹き出し側の半分の領域に限定して設けられることが好ましい。具体的に、導電部22の凸形状部22aは、ファンケーシング201の内面201aにおいて、ファン202の回転方向と同軸の円周方向における、吹出口14側の半分の領域に限定して設けられることが好ましい。すなわち、導電部22の凸形状部22aは、ファンケーシング201の内面201aにおいて、モータ203のモータ回転軸203aを中心軸と同軸の円周方向における、吹出口14側の半分の領域に限定して設けられることが好ましい。
【0077】
上述したように、ファン202は、モータ203のモータ回転軸203aを中心軸として、時計回りに回転する。また、ファンケーシング201の内面201aにおける、ファン202の回転方向と同軸の円周方向における吹出口14側の半分の領域は、図12における円弧状の両方向矢印で示す範囲に対応する、ファンケーシング201の内面201aの領域に対応する。
【0078】
導電部22のライン状の凸形状部22aがファンケーシング201の内面201aにおいて上記の範囲に限定して形成されることにより、ファンケーシング201の内面201aに導電部22のライン状の凸形状部22aを設けることに起因した送風機200の送風性能の悪化を抑制することができる。ファンケーシング201の内面201aに設けられた導電部22のライン状の凸形状部22aは、送風機200の送風性能を悪化させる原因となる。このため、送風機200の送風性能の悪化を抑制するためには、導電部22のライン状の凸形状部22aは、少ない方がよい。
【0079】
また、ファンケーシング201における前面パネル12に対向する面には、送風機200の吸込口、すなわちファンケーシングの吸込口であるファンケーシング吸込口205を構成し、集塵部100を通って送風機200のファン202に向かう気流を案内するベルマウス204が設けられている。電気集塵機120を通過して空気清浄機1の内部の風路を吹出口14に向かって流れる空気流45は、ファンケーシング吸込口205からファンケーシング201内に取り込まれる。ファンケーシング201内に取り込まれた空気は、ファンケーシング201におけるスクロール始点からスクロール終点までファンケーシング201内におけるファン202の外側を流れて、送風機200の吹出口、すなわちファンケーシングの吹出口であるファンケーシング吹出口206から筐体20の吹出口14に向けて吹き出される。
【0080】
このため、導電部22のライン状の凸形状部22aがファンケーシング201の内面201aにおいてスクロール始点よりもスクロール終点に近い、上記の範囲に限定して形成されることにより、より多くの空気流45の空気を導電部22のライン状の凸形状部22aに接触させることが可能である。これにより、当該空気流45に含まれるプラスイオンをより多く導電部22に付着させることができ、当該導電部22からプラスイオンを効率的に放電することができる。
【0081】
(導電部がファンに形成される場合)
つぎに、導電部が送風機200のファン202に設けられる場合について説明する。図13は、実施の形態1にかかる空気清浄機1が備えるファン202に設けられた導電部23を示す図である。図13は、図3におけるファン202の一部に導電部23が設けられた状態を示している。なお、図13においては、理解の容易のために一部を側面図とし、また一部のハッチングを省略している。空気清浄機1においては、図13に示すように、導電部23を送風機200のファン202の内面に設けることができる。ファン202は、導電性を有さない樹脂成型品である。
【0082】
空気清浄機1では、導電部である導電部23を送風機200のファン202の内面に設けることにより、導電部23の形成箇所を、電気集塵機120を通過して空気清浄機1の内部の風路を吹出口14に向かって流れる空気流45である吹出し風との接触の多い部位とすることができる。これにより、空気清浄機1では、当該空気流45に含まれるプラスイオンを導電部22に付着させて、当該導電部23からプラスイオンを効率的に放電することができる。
【0083】
具体的に、導電部23は、導電性を有さない樹脂成型品であるファン202の内面である、導電性を有さないブレード202aの内面および導電性を有さない主板202bの内面に設けられる。
【0084】
また、空気清浄機1では、導電部23を送風機200のファン202の内面に限定して設けることにより、導電部23に用いられる導電性材料の使用量を抑制することができる。
【0085】
したがって、空気清浄機1では、ファン202の内面に限定して導電部23を設けることにより、導電部23を形成するために用いられる導電性材料の使用量を抑制しつつ、筐体10の内部において電気集塵機120から風下側に流れる空気流45に含まれるプラスイオンが筐体10の表面を含む空気清浄機1の構成部品の表面に付着して生じる空気清浄機1の帯電に起因した空気清浄機1の表面の汚れおよび壁面500の汚れを、低コストで防止することができる。
【0086】
また、図13に示すように、導電部23をアース線17と電気的に接続することが好ましい。図13においては、空気清浄機1のアース線17と導電部23とを電気的に接続する電気接続経路を、中太の2点鎖線で示している。導電部22をアース線17と電気的に接続することにより、導電部23が接地され、導電部23で放電されたプラスイオンがアース線17を通じて大地へと放電されるため、空気清浄機1に帯電したプラスイオンの放電が効率的に行われる。これにより、空気清浄機1における、空気清浄機1の帯電に起因した空気清浄機1の表面の汚れおよび壁面500の汚れの防止効果の信頼性が向上する。
【0087】
導電部23の接地は、金属製の羽根ボス203b、金属製のモータ回転軸203a、金属製のベアリング203c、モータ203においてベアリング203cと取付フランジ部203dとに電気的に接続する不図示の導電性の構成部、金属製の取付フランジ部203d、金属製のモータ取付板210を介して、金属製の据付金具400に接続されたアース線17に導電部23を電気的に接続することにより行うことができる。すなわち、導電部23は、羽根ボス203bに接続され、モータ回転軸203aと、ベアリング203cと、導電性の構成部と、取付フランジ部203dと、モータ取付板210とを介してアース線17に電気的に接続されることにより、接地される。
【0088】
導電部23は、金属製の羽根ボス203bに接触しており、当該羽根ボス203bに電気的に接続している。ファン202は、当該ファン202の中心において、モータ回転軸203aを貫通する金属製の羽根ボス203bによって金属製のモータ回転軸203aに固定されている。モータ回転軸203aは、金属製のベアリング203cに接触しており、当該ベアリング203cよって支持されている。ベアリング203cは、モータ203の外郭に設けられた金属製の取付フランジ部203dに電気的に接続している。すなわち、ベアリング203cは、モータ203における導電性の構成部を介して取付フランジ部203dに電気的に接続している。取付フランジ部203dは、金属製のモータ取付板210に接触しており、当該モータ取付板210に電気的に接続している。モータ取付板210は、図13に示すように、筐体10の背面10fを貫通して、壁面500と背面10fとの間に位置する据付金具400に電気的に接続している。また、据付金具400には、アース線17が接続されている。
【0089】
導電部23が上記の導通経路によってアース線17に電気的に接続されることにより、導電部23の接地のために専用の導電性材料部品を追加で設ける必要が無いため、空気清浄機1の製造コストを抑制することができる。したがって、ファン202に形成された導電部23を羽根ボス203bと接触させることにより、専用の導電性材料部品を追加で設けることなく導電部23を接地することができる。
【0090】
なお、ここでは、導電部23がブレード202aの内面および主板202bの内面に設けられる場合について説明したが、導電部23は、ブレード202aの内面および主板202bの内面のうちいずれか一方に設けられてもよい。この場合も、導電部23が金属製の羽根ボス203bに電気的に接続する構成とされればよい。
【0091】
また、導電部23は、凸形状を有することが好ましい。図13においては、平坦部23bから突出した凸形状部23aを有して凸形状を有する導電部23を示している。導電部23が凸形状を有することにより、導電部23の表面積を大きくすることができる。導電部23の表面積が大きくなることにより、吹出口14から室内に吹き出される空気流45である吹出し風と、導電部23とが接触する面積が広くなるため、導電部23と吹出し風との接触効率が高くなり、吹出し風に乗って流れてきたプラスイオンが導電部23に付着する確率が高まる。これにより、導電部23は、吹出し風に乗って流れてきたプラスイオンをより効率的に放電することができ、空気清浄機1の帯電に起因した空気清浄機1の表面の汚れの防止および壁面500の汚れの防止の長期信頼性が向上する。
【0092】
ここで、凸形状の高さが高いほど導電部23と吹出し風との接触効率が高くなる。一方で、凸形状の高さが高すぎる場合には、吹き出し風の圧力損失の増大にもつながる。このため、凸形状は、導電部23の表面積が大きくなるように、例えば小腸の内壁のように突起が複数並んだ形状が好ましい。すなわち、凸形状部23aは、導電部23の表面積が大きくなるように、例えば小腸の内壁のように突起が複数並んだ形状が好ましい。
【0093】
(電気集塵機の一時的停止)
つぎに、空気清浄機1の運転時において電気集塵機120の運転を一時的に停止させる制御について説明する。空気清浄機1では、当該空気清浄機1の運転時において電気集塵機120の運転を一時的に停止する期間である一時停止期間を設けることにより、電気集塵機120が停止している間に導電部から空気中へのプラスイオンの放電が行われるため、空気清浄機1の帯電量を低減させることができる。そして、空気清浄機1の運転時において電気集塵機120が停止している間は、電気集塵機120を通過して空気清浄機1の内部の風路を流れる空気流45および吹出口14から吹き出される空気流45には、電気集塵機120におけるコロナ放電によって発生したプラスイオンが含まれない。このため、空気流45に含まれる新たなプラスイオンが筐体10の表面を含む空気清浄機1の構成部品の表面に付着することに起因した筐体10の帯電量の増加は生じない。
【0094】
したがって、空気清浄機1の運転時において電気集塵機120を一時的に停止する期間を設けることにより、電気集塵機120におけるコロナ放電によって発生したプラスイオンに起因した空気清浄機1の帯電量を低減させることができる。これにより、筐体10の内部において電気集塵機120から吹出口14に至る風路を流れる空気流45および吹出口14から吹き出される空気流45に含まれるプラスイオンが筐体10の表面を含む空気清浄機1の構成部品の表面に付着して生じる空気清浄機1の帯電に起因した、空気清浄機1の表面の汚れおよび壁面500の汚れを確実に防止することができる。
【0095】
空気清浄機1の運転時において電気集塵機120を一時的に停止する期間は、室内に人が不在である時間帯、在室者の活動が少ない夜間の時間帯など、室内空気の清浄を必要としない時間帯が好ましい。これにより、電気集塵機120の停止による空気清浄機1における室内空気の清浄性能の低下が問題となることが無い。
【0096】
空気清浄機1における電気集塵機120の一時的な停止は、制御部310によって制御される。また、制御部310による電気集塵機120の一時的な停止の制御は、電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯をタイマーに設定することにより実施可能である。
【0097】
また、制御部310による電気集塵機120の一時的な停止の制御は、空気清浄機1の運転時において汚染センサにより室内空気の汚染濃度を検知し、室内空気の汚染濃度があらかじめ決められた濃度基準値よりも低い場合に行われてもよい。
【0098】
また、制御部310による電気集塵機120の一時的な停止の制御は、空気清浄機1の運転時において人感センサにより室内の在室者を検知し、室内に人が不在であることが検知された場合に行われてもよい。
【0099】
また、室内空気の湿度が相対的に高いときには、導電性材料の特性として表面抵抗値は相対的に小さくなり、導電部の自然放電が相対的に大きくなるため空気清浄機1の帯電量は相対的に小さくなり、空気清浄機1の帯電に起因した塵埃の引き寄せによる空気清浄機1および壁面500の汚れは起きにくい。逆に、室内空気の湿度が相対的に低いときには、導電性材料の特性として表面抵抗値は相対的に大きくなり、導電部の自然放電が相対的に小さくなるため空気清浄機1の帯電量は相対的に大きくなり、空気清浄機1の帯電に起因した塵埃の引き寄せによる空気清浄機1および壁面500の汚れは生じ易い。
【0100】
このため、空気清浄機1が設置された室内の室内空気の湿度が相対的に低い低湿度時には、あらかじめ決められた単位時間において電気集塵機120を停止させる頻度である停止頻度を相対的に多く設定することにより、空気清浄機1の帯電量をより低減することができる。これにより、筐体10の内部において電気集塵機120から吹出口14に至る風路を流れる空気流45および吹出口14から吹き出される空気流45に含まれるプラスイオンが筐体10の表面を含む空気清浄機1の構成部品の表面に付着して生じる空気清浄機1の帯電に起因した空気清浄機1の表面の汚れおよび壁面500の汚れを防止する効果をより向上させることができる。
【0101】
また、空気清浄機1が設置された室内の室内空気の湿度が相対的に低い低湿度時には、あらかじめ決められた単位時間において電気集塵機120を停止させる時間である停止時間を長く設定することにより、空気清浄機1の帯電量をより抑制することができる。これにより、筐体10の内部において電気集塵機120から吹出口14に至る風路を流れる空気流45および吹出口14から吹き出される空気流45に含まれるプラスイオンが筐体10の表面を含む空気清浄機1の構成部品の表面に付着して生じる空気清浄機1の帯電に起因した空気清浄機1の表面の汚れおよび壁面500の汚れを防止する効果をより向上させることができる。
【0102】
つぎに、空気清浄機1における電気集塵機120の一時停止制御について説明する。図14は、実施の形態1にかかる空気清浄機1における電気集塵機120の一時停止制御に関わる機能構成を示す図である。制御部310は、空気清浄機1が備える、操作部321、運転オンオフ切替タイマー322、人感センサ323、塵埃センサ324、および湿度センサ325と接続されており、これらの動作を制御する。以下では、運転オンオフ切替タイマー322を単にタイマー322と呼ぶ場合がある。
【0103】
タイマー322は、電気集塵機120を一時的に停止させる期間である一時停止期間の時間帯を計時する。タイマー322は、電気集塵機120を一時的に停止させる期間である一時停止期間の設定時刻の情報、すなわち電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯の設定時刻の情報が操作部321によってユーザから設定される。すなわち、タイマー322には、電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯の開始時刻の情報と、電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯の終了時刻の情報とが、ユーザによって設定される。
【0104】
タイマー322は、電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯の開始時刻になると、一時停止開始時刻に到達した旨の開始時刻到達情報を制御部310に送信する。タイマー322は、電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯の終了時刻になると、一時停止終了時刻に到達した旨の終了時刻到達情報を制御部310に送信する。
【0105】
人感センサ323は、空気清浄機1が設置された室内に在室する人を検知する。人感センサ323は、検知結果である室内の在室状況の情報を制御部310に送信する。
【0106】
制御部310は、人感センサ323の検知結果に基づいて、室内における人の不在時に電気集塵機120をあらかじめ決められた時間だけ一時的に停止させる。すなわち、制御部310は、人感センサ323から受信した室内の在室状況の情報が室内における人が不在である旨の情報である場合に、電気集塵機120をあらかじめ決められた時間だけ一時的に停止させる。
【0107】
塵埃センサ324は、空気清浄機1が設置された室内の室内空気の汚染濃度を検知する汚染センサであり、室内空気における塵埃の濃度を、あらかじめ決められた周期で検知する。塵埃センサ324は、検知結果である塵埃の濃度の情報を制御部310に送信する。
【0108】
制御部310は、塵埃センサ324において検知された室内空気の塵埃の濃度があらかじめ決められた塵埃濃度閾値以下である場合に、電気集塵機120の運転をあらかじめ決められた時間だけ一時的に停止させる。塵埃濃度閾値は、あらかじめ決められて制御部310に記憶されている。
【0109】
湿度センサ325は、空気清浄機1が設置された室内の室内空気の湿度を、あらかじめ決められた周期で検知する。湿度センサ325は、検知結果である室内空気の湿度の情報を制御部310に送信する。
【0110】
制御部310は、湿度センサ325において検知された室内空気の湿度があらかじめ決められた室内湿度閾値以下である場合に、電気集塵機120を一時的に停止させる時間を長くする。
【0111】
図15は、実施の形態1にかかる空気清浄機1における電気集塵機120の一時停止制御の手順の一例を示すフローチャートである。図15では、タイマー322を用いた電気集塵機120の一時停止制御の手順の一例を示している。
【0112】
まず、ステップS110において、空気清浄機1の電源がオンにされる。空気清浄機1の電源がオンにされると、制御部310が電気集塵機120の運転を開始させる。その後、ステップS120に進む。
【0113】
ステップS120では、電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯の開始時刻である一時停止開始時刻になると、タイマー322が、一時停止開始時刻に到達した旨の開始時刻到達情報を制御部310に送信する。制御部310は、開始時刻到達情報を受信する。その後、ステップS130に進む。
【0114】
ステップS130では、制御部310が、電気集塵機120を一時停止させる。その後、ステップS140に進む。
【0115】
ステップS140では、電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯の終了時刻である一時停止終了時刻になると、タイマー322が、一時停止終了時刻に到達した旨の終了時刻到達情報を制御部310に送信する。制御部310は、終了時刻到達情報を受信する。その後、ステップS150に進む。
【0116】
ステップS150では、制御部310が、電気集塵機120の運転を再開させる。その後、新たな一時停止開始時刻に到達すると、ステップS120からステップS150が繰り返される。
【0117】
図16は、実施の形態1にかかる空気清浄機1における電気集塵機120の一時停止制御の手順の他の例を示すフローチャートである。図16では、低湿度時におけるタイマー322を用いた電気集塵機120の一時停止制御の手順の一例を示している。
【0118】
まず、ステップS210において、空気清浄機1の電源がオンにされる。空気清浄機1の電源がオンにされると、制御部310が電気集塵機120の運転を開始させる。また、制御部310が、湿度センサ325の運転を開始させる。湿度センサ325は、運転を開始すると、空気清浄機1が設置された室内の室内空気の湿度を、あらかじめ決められた周期で検知する。そして、湿度センサ325は、検知結果である室内空気の湿度の情報を制御部310に送信する。その後、ステップS220に進む。
【0119】
ステップS220では、電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯の開始時刻である一時停止開始時刻になると、タイマー322が、一時停止開始時刻に到達した旨の開始時刻到達情報情報を制御部310に送信する。制御部310は、開始時刻到達情報を受信する。その後、ステップS230に進む。
【0120】
ステップS230では、制御部310が、電気集塵機120を一時停止させる。その後、ステップS240に進む。
【0121】
ステップS240では、現在の室内空気の湿度が低湿度であるか否かが、判定される。具体的に、制御部310が、現在の室内空気の湿度が低湿度であるか否かを判定する。制御部310は、湿度センサ325から送信された室内空気の湿度の情報と、あらかじめ決められた室内湿度閾値とに基づいて、現在の室内空気の湿度が低湿度であるか否かを判定する。制御部310は、室内空気の湿度が室内湿度閾値以下である場合に、現在の室内空気の湿度が低湿度であると判定する。制御部310は、室内空気の湿度が室内湿度閾値より大である場合に、現在の室内空気の湿度が低湿度でないと判定する。室内湿度閾値は、例えば50%RHである。
【0122】
現在の室内空気の湿度が低湿度でないと判定された場合は、ステップS240においてNoとなり、ステップS250に進む。この場合、制御部310は、現在の室内空気の湿度が低湿度でない旨の第1湿度情報を、タイマー322に送信する。現在の室内空気の湿度が低湿度であると判定された場合は、ステップS240においてYesとなり、ステップS270に進む。この場合、制御部310は、現在の室内空気の湿度が低湿度である旨の第2湿度情報を、タイマー322に送信する。
【0123】
ステップS250では、電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯の終了時刻である第1終了時刻になると、タイマー322が、一時停止終了時刻に到達した旨の終了時刻到達情報を制御部310に送信する。すなわち、タイマー322は、第1湿度情報受信した場合には、第1終了時刻になると終了時刻到達情報を制御部310に送信する。制御部310は、終了時刻到達情報を受信する。その後、ステップS260に進む。
【0124】
ステップS270では、電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯の終了時刻である第2終了時刻になると、タイマー322が、一時停止終了時刻に到達した旨の終了時刻到達情報を制御部310に送信する。すなわち、タイマー322は、第2湿度情報受信した場合には、第2終了時刻になると終了時刻到達情報を制御部310に送信する。制御部310は、終了時刻到達情報を受信する。その後、ステップS260に進む。
【0125】
第1終了時刻は、現在の室内空気の湿度が低湿度でない場合における、電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯の終了時刻、すなわち一時停止終了時刻である。第2終了時刻は、現在の室内空気の湿度が低湿度である場合における、電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯の終了時刻、すなわち一時停止終了時刻である。第2終了時刻は、第1終了時刻よりも遅い時刻である。第1終了時刻および第2終了時刻は、ユーザによってタイマーに設定される。
【0126】
なお、電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯の開始時刻の情報のみがユーザによってタイマー322に設定されてもよい。この場合、タイマー322は、電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯の開始時刻にあらかじめ決められた第1時間を加算して第1終了時刻を算出する。また、タイマー322は、電気集塵機120を一時的に停止させる時間帯の開始時刻にあらかじめ決められた第2時間を加算して第2終了時刻を算出する。第2時間は、第1時間よりも長い時間である。
【0127】
ステップS260では、制御部310が、電気集塵機120の運転を再開させる。その後、新たな一時停止開始時刻に到達すると、ステップS220からステップS260が繰り返される。
【0128】
(導電部の導電性材料)
つぎに、上述した導電部を構成する導電性材料について説明する。図17は、実施の形態1にかかる空気清浄機1が備える導電部24の一例を説明する図である。図17においては、金属メッキ膜により構成された導電部である導電部24を示している。図17においては、電気集塵機120を通過した空気流45が流れる空気清浄機1の内部の風路に設けられて樹脂材料により構成された空気清浄機1の構成部品30の表面に、金属メッキ膜からなる導電部24が形成された状態を示している。構成部品30は、導電性を有さない樹脂製品である。導電部24は、樹脂製の構成部品30の表面に形成された凸部30aを覆って形成されることにより、凸形状部24aが形成されている。すなわち、導電部24は、当該導電部24の平坦部24bから突出した凸形状を有する形状に形成されている。
【0129】
導電部24は、樹脂製の構成部品30の表面にメッキ加工された金属の薄膜である金属メッキ膜であることが好ましい。金属メッキ膜からなる導電部24は、空気清浄機1を構成する構成部品であって樹脂材料により構成された構成部品30の表面に形成される。このような金属メッキ膜により、上述したように電気集塵機120を通過した空気流45が流れる空気清浄機1の内部の風路の一部に導電部24を構成することにより、導電部24を構成する導電性材料である金属材料の使用量が少量となる。これにより、高価な材料である導電性材料の使用量を低減することができ、空気清浄機1に導電部24を設けた場合の空気清浄機1のコストを抑制することができる。
【0130】
導電部24を金属メッキ膜により構成する場合には、導電部24を板金により構成する場合と比較して、導電部24に起因した空気清浄機1の重量の増加が少なくなり、導電部24に起因した空気清浄機1の重量の増加を抑制しつつ、帯電による空気清浄機1の表面の汚れや壁面500の汚れを防止することができる。
【0131】
また、導電部24を金属メッキ膜により構成する場合には、板金では加工が困難な複雑な形状であっても、金属メッキ膜の製造方法の特性から樹脂の表面を容易に且つ均一に覆うことができる。これにより、例えば導電部24をルーバー15に設ける場合にルーバー15が複雑な形状を有する場合であっても、当該ルーバー15の表面に導電部24を容易に且つ均一に形成することができる。
【0132】
図18は、実施の形態1にかかる空気清浄機1が備える導電部25の一例を説明する図である。図18においては、カーボン粒子練り込み樹脂材料により構成された導電部を示している。図18においては、電気集塵機120を通過した空気流45が流れる空気清浄機1の内部の風路に設けられて樹脂材料により構成された空気清浄機1の構成部品自体がカーボン粒子練り込み樹脂材料からなり、導電部の機能を有する状態を示している。導電部25は、当該導電部25の平坦部25bから突出した凸部25aが形成されることにより、凸形状を有する形状とされている。すなわち、導電部25は、構成部品の表面に凸部が形成されることにより、凸形状を有する形状とされている。
【0133】
導電部25の導電性材料には、カーボン粒子練り込み樹脂材料を用いることができる。カーボン粒子練り込み樹脂材料は、導電性を有さない樹脂25cに、導電性粒子25dが練り込まれている。導電性粒子25dには、例えばカーボン粒子を用いることができる。導電部25をカーボン粒子練り込み樹脂材料により形成する場合には、例えば導電部25をルーバー15とともに樹脂成型することができ、ルーバー15と導電部25とを一体成型品とすることができる。すなわち、この場合の導電部25は、筐体10の内部において電気集塵機120から吹出口14に至る風路内に設けられたカーボン粒子練りこみ樹脂成型品である。
【0134】
この場合には、ルーバー15の樹脂成型品に導電部を形成するための追加加工が不要となり、導電部の形成が容易になる。すなわち、導電部の導電性材料にカーボン粒子練り込み樹脂材料を用いる場合には、導電部24を金属メッキにより形成する場合のように樹脂成型品へ導電部24を形成するための追加加工の工程が不要となる。
【0135】
また、樹脂の表面に界面活性剤を配列させ空気中の水分を樹脂の表面に膜状に分布させて導電性を発揮させる界面活性剤含有材料と比較すると、カーボン粒子練り込み樹脂材料は、湿度環境に依存しないため高い信頼性を得ることができる。
【0136】
また、空気清浄機1が設置された室内の室内空気の湿度が相対的に低い低湿度時には電気集塵機120の放電電流を小さくすることにより、空気清浄機1の帯電量を抑制して、空気清浄機1および壁面500の汚れ防止の効果を大幅に向上させることができる。
【0137】
上述したように、室内空気の湿度が相対的に高いときには、導電性材料の特性として表面抵抗値は相対的に小さくなり、導電部の自然放電が相対的に大きくなるため空気清浄機1の帯電量は相対的に小さくなり、空気清浄機1の帯電に起因した塵埃の引き寄せによる空気清浄機1および壁面500の汚れは起きにくい。逆に、室内空気の湿度が相対的に低いときには、導電性材料の特性として表面抵抗値は相対的に大きくなり、導電部の自然放電が相対的に小さくなるため空気清浄機1の帯電量は相対的に大きくなり、空気清浄機1の帯電に起因した塵埃の引き寄せによる空気清浄機1および壁面500の汚れは生じ易い。
【0138】
このため、空気清浄機1においては、湿度センサ325により室内空気の湿度を測定し、制御部310は、室内空気の湿度が低湿度時には電気集塵機120の放電電流を小さくすることが好ましい。空気清浄機1においては、室内空気の湿度があらかじめ決められた室内湿度閾値以下である場合に、電気集塵機120の放電電流をあらかじめ決められた放電電流閾値よりも相対的に小さくするとよい。具体的には、室内空気の湿度が50%RH付近で表面抵抗値が大きくなっていく導電性材料が多い。このため、空気清浄機1においては、室内空気の湿度が50%RH以下である場合に、電気集塵機120の放電電流をあらかじめ決められた放電電流閾値よりも相対的に小さくするとよい。したがって、室内湿度閾値は、50%RHとされることが好ましい。
【0139】
室内空気の湿度が低湿度時には、室内空気に含まれる塵埃も乾燥している。このため、電気集塵機120の放電領域123を通過する塵埃へのイオンの帯電効率が良いため、電気集塵機120の放電電流を小さくすることに起因して電気集塵機120の集塵性能が大きく低下することは無い。
【0140】
ここでの室内湿度閾値は、制御部310が、室内空気の湿度が低湿度であるか否かを判定するための室内湿度の基準値である。室内湿度閾値は、あらかじめ決められて制御部310に記憶されている。
【0141】
放電電流閾値は、空気清浄機1の通常運転時に対してあらかじめ設定された電気集塵機120の放電電流値である。したがって、空気清浄機1においては、室内空気の湿度が50%RH以下の場合に、電気集塵機120の放電電流が通常運転時に対して設定された放電電流閾値よりも小さくされるとよい。すなわち、制御部310は、湿度センサ325において検知された室内の空気の湿度が50%RH以下である場合に、電気集塵機120の放電電流を当該電気集塵機120の通常運転時に対して設定された放電電流閾値よりも小さくする制御を行えばよい。
【0142】
室内空気の湿度の低湿度時に制御部310が電気集塵機120の放電電流を小さくする制御を行う場合、湿度センサ325は、空気清浄機1が設置された室内の室内空気の湿度を、あらかじめ決められた周期で検知する。湿度センサ325は、検知結果である室内空気の湿度の情報を制御部310に送信する。
【0143】
制御部310は、湿度センサ325において検知された室内空気の湿度があらかじめ決められた室内湿度閾値以下である場合に、電気集塵機120の放電電流をあらかじめ決められた放電電流閾値よりも小さくする。
【0144】
上述したように、実施の形態1にかかる空気清浄機によれば、コストを抑制しつつ設置面の帯電を防止して、接地面への埃の付着による設置面の汚れを防止することができる、という効果を奏する。
【0145】
続いて、実施の形態1にかかる制御部310のハードウェア構成について説明する。実施の形態1にかかる制御部310の機能は、処理回路により実現される。処理回路は、専用のハードウェアであってもよく、記憶装置に格納されるプログラムを実行する処理装置であってもよい。
【0146】
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらを組み合わせたものが該当する。図19は、実施の形態1にかかる制御部310のそれぞれの機能をハードウェアで実現した構成を示す図である。処理回路311には、制御部310の機能を実現する論理回路311aが組み込まれている。
【0147】
処理回路311が処理装置の場合、制御部310の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0148】
図20は、実施の形態1にかかる制御部310のそれぞれの機能をソフトウェアで実現した構成を示す図である。処理回路311は、プログラム311bを実行するプロセッサ3111と、プロセッサ3111がワークエリアに用いるランダムアクセスメモリ3112と、プログラム311bを記憶する記憶装置3113とを有する。記憶装置3113に記憶されているプログラム311bをプロセッサ3111がランダムアクセスメモリ3112上に展開し、実行することにより、制御部310の機能が実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラム言語で記述され、記憶装置3113に格納される。プロセッサ3111は、中央処理装置を例示できるがこれに限定はされない。記憶装置3113は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、またはEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった半導体メモリを適用できる。半導体メモリは、不揮発性メモリでもよいし揮発性メモリでもよい。また、記憶装置3113は、半導体メモリ以外にも、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVD(Digital Versatile Disc)を適用できる。なお、プロセッサ3111は、演算結果といったデータを記憶装置3113に出力して記憶させてもよいし、ランダムアクセスメモリ3112を介して不図示の補助記憶装置に当該データを記憶させてもよい。プロセッサ3111、ランダムアクセスメモリ3112および記憶装置3113を1チップに集積することにより、制御部310の機能をマイクロコンピュータにより実現することができる。
【0149】
処理回路311は、記憶装置3113に記憶されたプログラム311bを読み出して実行することにより、制御部310の機能を実現する。プログラム311bは、制御部310の機能を実現する手順および方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。
【0150】
なお、処理回路311は、制御部310の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、制御部310の機能の一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0151】
このように、処理回路311は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0152】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態に記載の技術同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0153】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0154】
(付記1)
室内の据付面に据付けられ、前記室内の空気を清浄化する空気清浄機であって、
空気を吸い込む吸込口と、前記空気を吹き出す吹出口とが設けられた非導電性の筐体と、
前記筐体に収納され、前記吸込口から前記空気を吸込み前記吹出口から前記空気を吹き出す空気流を生成する送風機と、
前記筐体に収納されて前記空気流中の不純物を除去する放電式の電気集塵機と、
を備え、
前記筐体の内部における前記吸込口から前記吹出口に至る風路において、前記送風機が前記電気集塵機よりも風下側に配置され、
前記送風機は、ファンケーシングの内部にファンとモータとが収納され、
前記ファンケーシングの内面に、導電性を有する導電部を有すること、
を特徴とする空気清浄機。
(付記2)
前記導電部が接地されること、
を特徴とする付記1に記載の空気清浄機。
(付記3)
前記筐体は、前記筐体を前記据付面に据付けるための据付部品である金属製の据付金具を介して前記据付面に据え付けられ、
前記据付金具は、アース線が接続されており、
前記モータは、前記モータを前記筐体に取り付ける取付部品である金属製のモータ取付板により前記筐体に取り付けられており、
前記導電部は、前記モータ取付板に接続され、前記モータ取付板と前記据付金具とを介して前記アース線に電気的に接続されることにより接地されること、
を特徴とする付記2に記載の空気清浄機。
(付記4)
前記導電部が、凸形状部を有すること、
を特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の空気清浄機。
(付記5)
前記送風機は、遠心送風機であり、
前記ファンは、複数のブレードが環状に配列された多翼ファンであり、
前記導電部は、ライン状の前記凸形状部を有し、
前記導電部のライン状の前記凸形状部の数と、前記ファンの前記ブレードの数とが互いに素であること、
を特徴とする付記4に記載の空気清浄機。
(付記6)
前記導電部のライン状の前記凸形状部の長手方向が、前記ファンの前記ブレードの長手方向と異なる方向であること、
を特徴とする付記5に記載の空気清浄機。
(付記7)
前記ファンケーシングは、空気が吸い込まれるファンケーシング吸込口と、吸い込まれた空気が前記吹出口に向けて吹き出されるファンケーシング吹出口とを有し、
前記導電部のライン状の前記凸形状部は、前記ファンケーシングの内面において、前記ファンケーシング吹出口側の半分の領域に設けられていること、
を特徴とする付記4から6のいずれか1つに記載の空気清浄機。
【符号の説明】
【0155】
1 空気清浄機、10 筐体、10a 上面、10b 下面、10c 第1側面、10d 第2側面、10e 前面、10f 背面、11 筐体本体、12 前面パネル、13 吸込口、14 吹出口、15 ルーバー、16 回転軸、17 アース線、21,22,23,24,25 導電部、21a,22a,23a,24a 凸形状部、21b,22b,23b,24b,25b 平坦部、25a,30a 凸部、25c 樹脂、25d 導電性粒子、30 構成部品、45 空気流、100 集塵部、110 メッシュフィルタ、120 電気集塵機、121 放電部正極、122 放電部負極、123 放電領域、124 塵埃、130 脱臭フィルタ、150 風路壁、200 送風機、201 ファンケーシング、201a 内面、201b 内側面、201c 内底面、202 ファン、202a ブレード、202b 主板、203 モータ、203a モータ回転軸、203b 羽根ボス、203c ベアリング、203d 取付フランジ部、204 ベルマウス、205 ファンケーシング吸込口、206 ファンケーシング吹出口、210 モータ取付板、300 回路部、301 強電回路基板、302 弱電回路基板、303 板金ケース、310 制御部、311 処理回路、311a 論理回路、311b プログラム、321 操作部、322 運転オンオフ切替タイマー、323 人感センサ、324 塵埃センサ、325 湿度センサ、400 据付金具、500 壁面、501 壁、3111 プロセッサ、3112 ランダムアクセスメモリ、3113 記憶装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20