(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016081
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】乳化重合体粒子を含む消光剤、これを含む消光性高分子組成物及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 25/12 20060101AFI20240130BHJP
C08K 5/1515 20060101ALI20240130BHJP
C08K 5/42 20060101ALI20240130BHJP
C08F 283/10 20060101ALI20240130BHJP
C08F 2/24 20060101ALI20240130BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
C08L25/12
C08K5/1515
C08K5/42
C08F283/10
C08F2/24
C08F2/44 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182940
(22)【出願日】2023-10-25
(62)【分割の表示】P 2022137124の分割
【原出願日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0116562
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】515299911
【氏名又は名称】ハンナノテク カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ハ ド ハン
(72)【発明者】
【氏名】キム ス ワン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】消光効果に優れ、機械的物性の低下がなく、優れた品質の外観を示すことができる消光性添加剤を実現する乳化重合体粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】芳香族ビニル化合物及び脂環族エポキシ化合物を含む第1重合性組成物を水相で乳化重合してコア層を製造するステップと、前記コア層の存在下で芳香族ビニル化合物、不飽和ニトリル化合物及び脂環族エポキシ化合物を含む第2重合性組成物を乳化重合してシェル層を製造するステップと、を含む、乳化重合体粒子の製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ビニル化合物、不飽和ニトリル化合物及び脂環族エポキシ化合物を含む重合性組成物から製造され、前記脂環族エポキシ化合物のエポキシ基は開環したものである、乳化重合体粒子。
【請求項2】
前記脂環族エポキシ化合物は、2個以上のエポキシ基を有するものである、請求項1に記載の乳化重合体粒子。
【請求項3】
前記脂環族エポキシ化合物は、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート、ジエチレングリコールビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート)、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート)、ジエチレングリコールビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサン-カルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート)、1,5-ペンタンジオールビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート)、エチレングリコールビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート)、エチレングリコールビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサン-カルボキシレート)、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)オキサレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)スクシネート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート及び1,2,8,9-ジエポキシリモネンからなる群から選択される1つ以上である、請求項1に記載の乳化重合体粒子。
【請求項4】
前記重合性組成物は、芳香族ビニル化合物100重量部に対して、不飽和ニトリル化合物を20~45重量部及び脂環族エポキシ化合物を3~25重量部で含んで製造される、請求項1に記載の乳化重合体粒子。
【請求項5】
前記重合性組成物は、R1COOH、R2SO3H及びこれらの塩化合物からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の酸化合物をさらに含み、
前記R1及びR2は独立してC6-30アルキル、C6-30アリールまたはC6-30アルC6-30アルキルである、請求項1に記載の乳化重合体粒子。
【請求項6】
前記重合性組成物は、芳香族ビニル化合物100重量部に対して、前記酸化合物を0.05~1重量部で含む、請求項5に記載の乳化重合体粒子。
【請求項7】
前記重合性組成物は水と混合されて分散相を形成し、且つ
前記酸化合物は、分散相と水相の界面に位置して前記重合性組成物が重合されるものである、請求項5に記載の乳化重合体粒子。
【請求項8】
前記乳化重合体粒子の表面は負に荷電されたものである、請求項1に記載の乳化重合体粒子。
【請求項9】
前記乳化重合体粒子の平均粒径は90~250nmである、請求項1に記載の乳化重合体粒子。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の乳化重合体粒子を含む消光剤。
【請求項11】
請求項10に記載の消光剤を含むマスターバッチチップ。
【請求項12】
請求項10に記載の消光剤及び熱可塑性高分子を含む消光性高分子組成物。
【請求項13】
前記熱可塑性高分子は、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(polyamide)、スチレン-アクリロニトリル共重合体(SAN)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項12に記載の消光性高分子組成物を押出または射出して製造した成形品。
【請求項15】
芳香族ビニル化合物及び脂環族エポキシ化合物を含む第1重合性組成物を水相で乳化重合してコア層を製造するステップと、
前記コア層の存在下で芳香族ビニル化合物、不飽和ニトリル化合物及び脂環族エポキシ化合物を含む第2重合性組成物を乳化重合してシェル層を製造するステップと、を含む、乳化重合体粒子の製造方法。
【請求項16】
前記第1重合性組成物は、芳香族ビニル化合物100重量部に対して、脂環族エポキシ化合物を1~20重量部で含み、
前記第2重合性組成物は、前記芳香族ビニル化合物及び不飽和ニトリル化合物の総合である100重量部に対して、脂環族エポキシ化合物を2~18重量部で含むものである、請求項15に記載の乳化重合体粒子の製造方法。
【請求項17】
前記コア層を製造するステップは、
(a)反応器に、前記第1重合性組成物、脱イオン水、乳化剤及び酸化合物を添加及び撹拌してプレエマルジョンを製造するステップと、
(b)水溶性開始剤を投入して反応を開始し、乳化重合するステップと、を含むものである、請求項15に記載の乳化重合体粒子の製造方法。
【請求項18】
前記酸化合物は、R1COOH、R2SO3H及びこれらの塩化合物からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせであり、
前記R1及びR2は独立してC6-30アルキル、C6-30アリールまたはC6-30アルC6-30アルキルである、請求項17に記載の乳化重合体粒子の製造方法。
【請求項19】
前記シェル層を製造するステップは、
前記コア層の存在下で前記第2重合性組成物を滴下し、乳化重合して乳化重合体粒子分散液を製造するステップを含むものである、請求項15に記載の乳化重合体粒子の製造方法。
【請求項20】
前記乳化重合体粒子は、コア層が5~60wt%及びシェル層が40~95wt%で含まれるものである、請求項15に記載の乳化重合体粒子の製造方法。
【請求項21】
前記乳化重合体粒子分散液の固形分含量(solid content)が20~45wt%である、請求項19に記載の乳化重合体粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化重合体粒子を含む消光剤、これを含む消光性高分子組成物及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の一般化に伴い、自動車産業では、軽量化イシューがますます重要となっており、このための様々な努力が試みられている。代表的には、車体の金属素材を軽くて高強度のエンジニアリングプラスチックに置き換えたり、既存のボルトナットの組み合わせで接合されていた部分を接着剤で固定するなど、金属素材を除去しようとする試み等である。
【0003】
また、自動車の内/外装材を塗装して多様な色感及び質感を表現していたことから、軽量化イシュー、環境的イシュー、塗装面の光反射による運転者の運行問題及びインテリアの高級化などにより、低光沢または無光沢の質感を有する製品に対する選好度が高まっている傾向にある。
【0004】
光沢を低下させるための方法として、樹脂を腐食面金型に射出することができるが、これは十分な消光効果を奏することができず、または無機フィラーを添加することはできるものの、過剰な量を使用した場合にのみ十分な消光効果を発揮することができ、過剰な量を使用すると、機械的強度が不十分になるため、非常に制限的に使用されている。
【0005】
米国公開特許US5580924Aでは、PCの光沢度を低下させるために、スチレン-アクリロニトリル共重合体を合成し、これを3,4-エポキシシクロヘキシル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートとブレンドして反応押出機によって架橋化されたSANを製造していたが、前記先行技術は、反応押出時に黒点などのような表面異物が発生し、色の改善が難しく、架橋点の調節が難しくて加工時に溶解することができず、外観不良が発生するなど、優れた品質の成形品を製造するには限界がある。
【0006】
したがって、消光効果に優れ、機械的物性の低下がなく、優れた品質の外観を示すことができる消光性添加剤に対する研究開発が切実に求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のような従来技術の問題点を解決すべく、本発明は、新たな乳化重合体粒子を含む消光剤及びこの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、特定の前記消光剤を含む消光性高分子組成物を提供することであり、前記組成物を押出または射出加工して、優れた消光効果、機械的物性及び優れた品質の外観を有する成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記の問題点を解決するために、従来は試みられなかった乳化重合法で芳香族ビニル化合物、不飽和ニトリル化合物及び脂環族エポキシ化合物を含む重合性組成物から乳化重合体粒子を製造した。前記乳化重合体粒子は、比較的容易に架橋度を調節することができ、これを含む消光剤及び消光性高分子組成物の場合、驚くべきことに従来の熱可塑性高分子の物性は低下させずに、少量の添加だけでも優れた消光効果を示すことができ、優れた外観品質を有する成形品を製造することができることを見出し、本発明は完成した。
【0010】
本発明は、芳香族ビニル化合物、不飽和ニトリル化合物及び脂環族エポキシ化合物を含む重合性組成物から製造され、前記脂環族エポキシ化合物のエポキシ基は開環したものである乳化重合体粒子を含む消光剤を提供する。
【0011】
本発明の一実施形態によって、前記脂環族エポキシ化合物は2つ以上のエポキシ基を有するものであってもよく、前記脂環族エポキシ化合物は3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート、ジエチレングリコールビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート)、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート)、ジエチレングリコールビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサン-カルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート)、1,5-ペンタンジオールビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート)、エチレングリコールビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート)、エチレングリコールビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサン-カルボキシレート)、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)オキサレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)スクシネート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート及び1,2,8,9-ジエポキシリモネンからなる群から選択される1つ以上であってもよい。
【0012】
本発明の一実施形態によって、前記重合性組成物は、芳香族ビニル化合物100重量部に対して、不飽和ニトリル化合物を20~45重量部及び脂環族エポキシ化合物を3~25重量部含んで製造されてもよい。
【0013】
本発明の一実施形態によって、前記重合性組成物は、R1COOH、R2SO3H及びこれらの塩化合物からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の酸化合物をさらに含み、前記R1及びR2は独立してC6-30アルキル、C6-30アリールまたはC6-30アルC6-30アルキルであってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態によって、前記重合性組成物は、芳香族ビニル化合物100重量部に対して、前記酸化合物を0.05~1重量部で含むことができる。
【0015】
本発明の一実施形態によって、前記重合性組成物は水と混合されて分散相を形成し、且つ前記酸化合物は分散相と水相の界面に位置して前記重合性組成物が重合されるものであってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態によって、前記乳化重合体粒子の表面は負に荷電したものであってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態によって、前記乳化重合体粒子の平均粒径は90~250nmであってもよい。
【0018】
本発明は、前記乳化重合体粒子を含む消光剤を提供することができる。
【0019】
本発明は、前記消光剤を含むマスターバッチチップを提供することができる。
【0020】
本発明は、前記消光剤及び熱可塑性高分子を含む消光性高分子組成物を提供することができる。
【0021】
本発明の一実施形態によって、前記熱可塑性高分子は、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(polyamide)、スチレン-アクリロニトリル共重合体(SAN)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上であってもよい。
【0022】
本発明は、前記消光性高分子組成物を押出または射出して製造した成形品を提供することができる。
【0023】
本発明は、芳香族ビニル化合物及び脂環族エポキシ化合物を含む第1重合性組成物を乳化重合してコア層を製造するステップと、前記コア層の存在下で芳香族ビニル化合物、不飽和ニトリル化合物及び脂環族エポキシ化合物を含む第2重合性組成物を乳化重合してシェル層を製造するステップと、を含む乳化重合体粒子の製造方法を提供することができる。
【0024】
本発明の一実施形態によって、前記第1重合性組成物は、芳香族ビニル化合物100重量部に対して、脂環族エポキシ化合物を1~20重量部で含み、前記第2重合性組成物は、前記芳香族ビニル化合物及び不飽和ニトリル化合物の総合である100重量部に対して、脂環族エポキシ化合物を2~18重量部で含むことができる。
【0025】
本発明の一実施形態によって、前記コア層を製造するステップは、
(a)反応器に、前記第1重合性組成物、脱イオン水、乳化剤及び酸化合物を添加及び撹拌してプレエマルジョンを製造するステップと、
(b)水溶性開始剤を投入して反応を開始し、乳化重合するステップと、を含むものであってもよい。
【0026】
本発明の一実施形態によって、前記酸化合物は、R1COOH、R2SO3H及びこれらの塩化合物からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせであり、前記R1及びR2は独立してC6-30アルキル、C6-30アリールまたはC6-30アルC6-30アルキルであってもよい。
【0027】
本発明の一実施形態によって、前記シェル層を製造するステップは、前記コア層の存在下で前記第2重合性組成物を滴下し、乳化重合して乳化重合体粒子分散液を製造するステップを含むものであってもよい。
【0028】
本発明の一実施形態によって、前記乳化重合体粒子は、コア層が5~60wt%及びシェル層が40~95wt%で含まれてもよい。
【0029】
本発明の一実施形態によって、前記乳化重合体粒子分散液の固形分含量(solid content)が20~45wt%であってもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る乳化重合体粒子は、乳化重合法の簡単な工程により製造することができ、比較的架橋度の調節が容易であるという利点がある。また、前記乳化重合体粒子を含む消光剤を使用して消光性高分子組成物を製造する場合、他の物性を低下させることなく効果的に消光性を発揮することができるため好ましい。
【0031】
また、前記消光性高分子組成物の場合、従来の熱可塑性高分子の衝撃強度及び引張強度のような機械的特性を低下させることなく、綺麗な外観を有しながらも、優れた消光効果を有する成形品を製造することができ、特に、従来は達成することが困難であった押出加工においても、優れた消光効果を発現することができるため、非常に好ましい。
【0032】
本発明の消光剤及びこれを含む消光性高分子組成物を用いて自動車の内/外装材用、インテリア用及び家電製品用などの様々な製品群に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を含む具体例または実施形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、下記の具体例または実施形態は、本発明を詳細に説明するための一つの参照であるだけで、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な形態で実現することができる。
【0034】
また、他に定義されない限り、全ての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する当業者のうち1つによって一般的に理解される意味と同一の意味を有する。本発明において説明に使用される用語は、特定の具体例を効果的に述べるためのものであって、本発明を制限することを意図しない。
【0035】
また、明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形は、文脈で特に指示がない限り、複数の形態も含むことを意図することができる。
【0036】
また、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは、特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0037】
本明細書の用語「消光性」は、非相溶性高分子組成物において、高分子間及び高分子と添加剤間の収縮率及び屈折率の差または表面加工による乱反射効果によって光沢を低下させる性質を意味する。
【0038】
本明細書の用語「分散相」とは、分散媒質の全体にわたって分布した不連続相を意味し、具体的に、水を媒質として重合性組成物が液滴(droplet)状に分布した不連続相を意味することができる。
【0039】
本明細書の用語「プレエマルジョン(pre-emulsion)」は、重合性組成物、乳化剤及び溶媒(脱イオン水)が均質に混合された安定な状態の組成物を意味する。
【0040】
本明細書の用語「エマルジョン(emulsion)」とは、互いに溶けない2つの液体の一方が他方に小さな粒子状態で分散した状態の分散液を意味する。
【0041】
以下、本発明の乳化重合体粒子を含む消光剤、これを含む消光性高分子組成物及びこの製造方法について、好ましい実施形態及び物性の測定方法を詳細に説明する。
【0042】
本発明は、下記の実施形態によって、より容易に理解することができ、下記の実施形態は、本発明の例示目的のためのものであり、添付の特許請求の範囲によって限定される保護範囲を制限しようとするものではない。
【0043】
以下、本発明の一実施形態についてより詳細に説明する。
【0044】
本発明は、芳香族ビニル化合物、不飽和ニトリル化合物及び脂環族エポキシ化合物を含む重合性組成物から製造され、前記脂環族エポキシ化合物のエポキシ基は開環したものである乳化重合体粒子を提供する。
【0045】
前記乳化重合体粒子に含まれる脂環族エポキシ化合物のエポキシ基は開環した状態であってもよく、具体的に、前記開環したエポキシ基は、前記重合性組成物に含まれる他の化合物と反応して開環したものであってもよい。さらに具体的に、脂環族エポキシ化合物は、重合体と化学的に結合して乳化重合体粒子内に含まれるものであってもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0046】
本発明の一実施形態によって、前記芳香族ビニル化合物は、非制限的な例として、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、ρ-メチルスチレン、m-メチルスチレン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、t-ブチルスチレン、o-ブロモスチレン、ρ-ブロモスチレン、m-ブロモスチレン、o-クロロスチレン、ρ-クロロスチレン、m-クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、フルオロスチレン及びビニルナフタレンなどからなる群から選択された1つ以上であってもよく、好ましくは、スチレンを使用してもよい。
【0047】
前記不飽和ニトリル化合物は、非制限的な例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル及びα-クロロアクリロニトリルなどからなる群から選択された1つ以上であってもよく、好ましくは、アクリロニトリルを使用してもよい。
【0048】
好ましくは、前記脂環族エポキシ化合物は、2個以上のエポキシ基を有してもよく、具体的に、前記脂環族エポキシ化合物は、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート、ジエチレングリコールビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート)、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート)、ジエチレングリコールビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサン-カルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート)、1,5-ペンタンジオールビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート)、エチレングリコールビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレート)、エチレングリコールビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサン-カルボキシレート)、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)オキサレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)スクシネート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート及び1,2,8,9-ジエポキシリモネンなどからなる群から選択される1つ以上であってもよく、好ましくは、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサン-カルボキシレートを使用してもよい。市販の製品としては、ダイセルケムのCEL-2021、CEL-3000及びCEL-2081などを使用することができる。
【0049】
本発明の一実施形態によって、前記重合性組成物は、芳香族ビニル化合物100重量部に対して、不飽和ニトリル化合物を1~90重量部、好ましくは10~70重量部、さらに好ましくは20~45重量部を含むことができ、前記脂環族エポキシ化合物を0.1~50重量部、好ましくは1~40重量部、さらに好ましくは3~25重量部で含むことができる。前記範囲を満たす場合、反応安定性を保持することができ、本発明で目的とする物性を有する乳化重合体粒子を製造することができるため好ましく、これを含む消光剤を少量添加しても消光効果が効果的に発揮できるため、さらに好ましい。
【0050】
本発明の一実施形態によって、前記重合性組成物は、R1COOH、R2SO3H及びこれらの塩化合物からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の酸化合物をさらに含んでもよく、前記R1及びR2は独立してC6-30アルキル、C6-30アリールまたはC6-30アルC6-30アルキルであってもよく、且つ、前記酸化合物の塩化合物は、R1COOM及びR2SO3Mで表されてもよく、前記R1及びR2は、上述したものと同様であり、Mはカチオンであってもよい。前記Mは、アルカリ金属カチオンまたはアンモニウムカチオンであってもよく、非制限的な例として、Mはナトリウムイオン、カリウムイオン及びリチウムイオンからなる群から選択される1つ以上であってもよいが、これに制限されない。
【0051】
好ましくは、前記酸化合物はR2SO3Hであり、前記R2はC6-12アルC6-18アルキルであってもよく、一例として、ブチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸及びペンタデシルベンゼンスルホン酸などから選択されるものであってもよいが、これらに制限されない。前記酸化合物は、前記重合性組成物の芳香族ビニル化合物100重量部に対して、0.005~5重量部、好ましくは0.05~1重量部で含むことができる。
【0052】
具体的に、前記重合性組成物は、水(媒質)と混合されて分散相を形成することができ、前記酸化合物またはこの塩化合物は分散相と水相の界面に位置して前記重合性組成物が重合されるものであってもよい。具体的な説明は、下記の乳化重合体粒子の製造方法で説明したものと同様である。前記重合性組成物に前記酸化合物をさらに添加して乳化重合する場合、反応性を効果的に向上させることができ、堅固な架橋ネットワークを形成した乳化重合体粒子を製造することができるため、非常に好ましい。
【0053】
また、前記乳化重合体粒子は、二価の-SO3-または-CO3-置換基を含むことができ、具体的に-SO3-置換基を含むことができる。前記二価の置換基は、重合性組成物に含まれた酸化合物と脂環族エポキシ化合物とが反応して形成されたものであってもよく、二価の置換基はヒドロカルビル基にそれぞれ結合したものであってもよい。前記二価の置換基は、高分子鎖に結合して含まれるものであってもよい。また、前記二価の置換基は、主に乳化重合体粒子の表面に存在し、乳化重合体粒子の表面において粒子の内部方向に二価の置換基の濃度が減少する濃度勾配を有することができる。前記濃度勾配は、乳化重合メカニズムに由来したものであり得る。具体的に、酸化合物が分散相の界面に位置することにより、界面に位置する酸化合物と脂環族エポキシ化合物が界面での反応によって乳化重合体粒子の表面に前記二価の置換基が高濃度で存在することができる。前記構造を有する乳化重合体粒子は、平均粒径が均一であることができ、優れた消光効果を発揮することができるため、さらに好ましい。
【0054】
本発明の一実施形態によって、前記乳化重合体粒子の表面は負に荷電されたものであってもよい。前記乳化重合体粒子は乳化重合によって製造され、乳化剤を使用することにより媒質上に存在する重合性組成物及び粒子の分散性と乳化重合の反応安定性などを向上させることができる。例えば、前記乳化剤はアニオン乳化剤であってもよく、これは、製造された乳化重合体の表面を負に荷電させるものであってもよい。前記粒子の表面電荷が負電荷である場合、ミセル(micelle)の分散安定性がさらに向上できるため好ましい。
【0055】
本発明の一実施形態によって、前記乳化重合体粒子の平均粒径はD50を意味するものであることができ、前記D50は、レーザ散乱法による粒度分布の測定において、小さい粒径から累積体積が50%になるときの粒子直径を意味する。ここで、D50は、乳化重合体粒子についてKS A ISO 13320-1規格に従って粒子を採取し、Malvern社のMastersizer 3000を用いて粒度分布を測定することができる。具体的に、水を分散媒とし、必要な場合、超音波分散機を用いて分散させた後、Volume densityを測定することができるが、本発明がこれに限定されるものではなく、平均粒径を測定するために通常に使用されるか又は公知の方法を用いることができる。
【0056】
本発明の一実施形態に係る乳化重合体粒子は、乳化重合により製造され、乳化重合反応が終結した後、粒子が媒質(水)に分散しているエマルジョン状の乳化重合体粒子を第1乳化重合体粒子、凝集ステップ後に凝集した状態の粒子を第2乳化重合体粒子と定義する。以下、特に断らない限り、乳化重合体粒子は第1乳化重合体粒子を意味することができ、場合に応じて、第1乳化重合体粒子及び第2乳化重合体粒子をいずれも含むことができる。
【0057】
前記第1乳化重合体粒子の平均粒径は50~1,000nm、好ましくは70~500nm、さらに好ましくは90~250nmであってもよい。前記範囲の平均粒径を有する乳化重合体粒子の場合、少量の添加だけで他の物性を低下させることなく、優れた消光効果を発現することができるため好ましい。また、第2乳化重合体粒子の平均粒径は1~3000μm、10~2500μm、または50~2000μmであってもよいが、これに制限されない。
【0058】
前記第1乳化重合体粒子の粒度分布は1~5であってもよく、具体的には1~3であってもよいが、これに制限されない。前記範囲を満たす乳化重合体粒子は粒度分布が均一であることができ、これは、消光効果及び外観品質を向上させることができるため好ましい。前記粒度分布(SPAN)は、光回折粒度分析装置(Malvern社のMastersizer 3000)を用いて測定されたものであって、下記式1で表される粒度分布(SPAN)値を導出した。
【0059】
[式1]粒度分布(SPAN)=(Dv90-Dv10)/Dv50
【0060】
式1において、Dv50は、重合により生成されたポリマーのうち粒度が中間値(medium)であることを示し、Dv90は、重合により生成されたポリマーのうち上位10%に該当する粒度(小粒度から大粒度への90%)を示し、Dv10は、重合により生成されたポリマーのうち上位10%に該当する粒度(小粒度から大粒度への10%)を示す。
【0061】
本発明は、上述した乳化重合体粒子を含む消光剤を提供することができる。乳化重合により製造された第1乳化重合体粒子を凝集、脱水及び乾燥ステップを経て粉末状の第2乳化重合体粒子を収得することができ、これを含んで消光剤として使用することができる。
【0062】
本発明は、前記消光剤を含むマスターバッチチップ(Master Batch Chip)を提供することができる。前記マスターバッチチップは熱可塑性高分子及び消光剤を含んでもよく、さらに酸化防止剤、UV吸収剤、UV安定剤、滑剤及びこれらの混合物などからなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の添加剤をさらに含むものであってもよい。前記添加剤は、一般的に使用されるか又は公知のものであれば、制限なく使用することができる。前記消光剤は、マスターバッチチップの全重量において0.1~50wt%、好ましくは5~30wt%で含まれるものであってもよい。前記範囲のマスターバッチチップを使用する場合、消光剤及び添加剤の分散性及び含量の均一性が向上し、高品質の製品(成形品)を製造することができるため好ましい。
【0063】
本発明は、前記消光剤及び熱可塑性高分子を含む消光性高分子組成物を提供することができる。前記消光剤は、少量の添加だけで従来の熱可塑性高分子の物性を低下させることなく効果的に消光性を発現することができ、稠密な架橋度及び均一な粒度分布を有し、前記熱可塑性高分子との分散性に優れる。これにより、従来技術の問題点を解決することができ、前記消光性高分子組成物を押出及び射出加工して機械的強度に優れた低光沢または無光沢の製品を製造することができる。
【0064】
本発明の一実施形態によって、前記熱可塑性高分子は、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(polyamide)、スチレン-アクリロニトリル共重合体(SAN)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上であってもよく、具体的に、PCとSANの混合物、PCとABSの混合物、またはPCとASAの混合物を使用することができるが、これらに制限されない。
【0065】
本発明の一実施形態によって、前記消光性高分子組成物は、前記消光剤0.1~30wt%及び前記熱可塑性高分子70~99.9wt%で含まれるものであってもよいが、これに制限されず、製造しようとする製品の表面光沢度に応じて、前記消光剤の投入量を調節することができる。
【0066】
本発明の一実施形態によって、前記消光性高分子組成物は、目的及び用途に応じて、当技術分野において一般的に使用される添加剤をさらに含むことができる。例えば、酸化防止剤、UV吸収剤、UV安定剤、滑剤などをさらに含むことができる。このとき、前記添加剤は、本発明が目的とする物性を阻害しない範囲内で適切な含量で含まれることができる。
【0067】
本発明の一実施形態によって、前記消光剤は、熱可塑性高分子を含んでマスターバッチチップとして製造された後に再び熱可塑性高分子と混合されてもよく、前記マスターバッチチップは添加剤をさらに含むものであってもよい。前記マスターバッチチップは、前記消光性高分子組成物の全重量において0.1~50wt%、好ましくは1~30wt%で含まれるものであってもよく、前記マスターバッチチップの投入量を調節して最終的に製造される製品における消光剤の含量を決定してもよい。
【0068】
本発明は、前記消光性高分子組成物を押出または射出して製造した成形品を提供することができる。従来、押出加工時に消光効果に優れた成形品を製造することが非常に困難であったが、本発明の乳化重合体粒子を含む消光剤を適用した消光性高分子組成物の場合、特に押出加工において、粒子の突出による外観不良現象を効果的に抑制することができるだけでなく、従来の高分子の機械的特性を阻害することなく優れた消光性及び優れた品質の外観を有する成形品を製造することができるため、非常に好ましい。
【0069】
以下、本発明に係る乳化重合体粒子の製造方法について詳細に説明する。
【0070】
本発明は、芳香族ビニル化合物及び脂環族エポキシ化合物を含む第1重合性組成物を乳化重合してコア層を製造するステップと、前記コア層の存在下で芳香族ビニル化合物、不飽和ニトリル化合物及び脂環族エポキシ化合物を含む第2重合性組成物を乳化重合してシェル層を製造するステップと、を含む乳化重合体粒子の製造方法を提供することができる。
【0071】
本発明の一実施形態によって、前記第1重合性組成物は、芳香族ビニル化合物100重量部に対して脂環族エポキシ化合物を1~30重量部、好ましくは1~25重量部、さらに好ましくは1~20重量部で含むことができる。前記第1重合性組成物は、不飽和ニトリル化合物をさらに含むことができるが、これに制限されず、前記芳香族ビニル化合物100重量部に対して5~70重量部、好ましくは10~50重量部で含まれてもよい。前記第1重合性組成物に不飽和ニトリル化合物をさらに含む場合、押出加工時に消光効果及び衝撃強度や引張強度のような機械的物性が向上できるため好ましい。
【0072】
本発明の一実施形態によって、前記第2重合性組成物は、前記芳香族ビニル化合物100重量部に対して、前記不飽和ニトリル化合物5~80重量部、好ましくは10~70重量部、さらに好ましくは20~60重量部で含まれてもよく、前記芳香族ビニル化合物及び不飽和ニトリル化合物の総合である100重量部に対して、脂環族エポキシ化合物を0.5~50重量部、好ましくは1~25重量部、さらに好ましくは2~18重量部で含むものであってもよい。前記範囲を満たす場合、反応安定性を保持することができ、前記コア層とシェル層の内部及び層間の稠密な架橋ネットワークが形成できるため好ましい。
【0073】
また、前記第1重合性組成物及び第2重合性組成物に架橋剤がさらに含まれてもよい。前記架橋剤は、架橋可能な官能基が2個以上であるものであれば、大きく制限されずに使用することができ、非制限的な例として、1,2-エタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン及びトリアルキルイソシアヌレートなどを使用することができる。前記架橋剤は、前記芳香族ビニル化合物100重量部に対して0.1~10重量部、好ましくは0.1~3重量部を使用することができるが、これに制限されない。
【0074】
また、前記第1重合性組成物及び第2重合性組成物に分子量を調節するために分子量調節剤をさらに含むことができる。前記分子量調節剤としては、n-ドデシルメルカプタン、n-アミルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-ヘキシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-ノニルメルカプタンなどを使用することができ、前記芳香族ビニル化合物100重量部に対して0.001~10重量部、好ましくは0.01~5重量部を使用することができるが、これに制限されない。
【0075】
本発明の一実施形態によって、前記コア層を製造するステップは、(a)反応器に前記第1重合性組成物、脱イオン水、乳化剤及び酸化合物を添加及び撹拌してプレエマルジョンを製造するステップと、(b)水溶性開始剤を投入して反応を開始し、乳化重合するステップと、を含むことができる。
【0076】
具体的に、前記(a)ステップは、第1重合性組成物と脱イオン水、乳化剤及び酸化合物を常温で撹拌してプレエマルジョンを製造するステップであって、十分な時間及び撹拌速度で乳化させることができ、前記プレエマルジョンの乳化状態が良好であるほど、反応安定性が良好である可能性がある。これに時間及び撹拌速度は大きく制限されないが、一例として2Lの反応器サイズである場合、200rpm以上の撹拌速度で10分以上の撹拌時間を置いた方が良い。このとき、通常に使用されるか又は公知の補助乳化剤、バッファ(pH調節剤)及び分子量調節剤などをさらに含むことができる。
【0077】
前記(a)ステップでは、脱イオン水(水相)を媒質として前記第1重合性組成物が分散相を形成しており、前記分散相の液滴が小さくて均一に広がるように十分に撹拌した方が良い。また、水相と分散相の界面に前記乳化剤及び酸化合物が位置することができ、当該界面で前記重合性組成物の重合が行われることができる。
【0078】
前記(b)ステップは、反応器の内部温度を50~70℃に上昇させた後、水溶性開始剤を投入して反応を開始するステップであって、反応が進行するにつれて発熱が発生することがあり、これを冷却器を用いて反応器の温度を65~75℃に一定に保持することが好ましい。前記反応時間は10~200分であってもよく、前記(b)ステップは追加重合ステップをさらに含んでもよく、これは60℃~75℃の温度で30~120分間追加重合を行うものであってもよいが、これに制限されるものではない。前記(a)及び(b)ステップにより乳化重合体粒子のコア層を製造することができ、このときの重合転換率は70~99%であることができる。
【0079】
次いで、前記コア層の存在下で前記第2重合性組成物をゆっくり滴下し、乳化重合して乳化重合体粒子分散液を製造するステップを行うことで、前記シェル層を製造することができる。具体的に、前記第2重合性組成物を前記コア層に30分~5時間一定の流量で滴下することができ、反応温度を60~80℃に一定に保持することが好ましい。また、前記第2重合性組成物は、補助乳化剤、バッファ(pH調節剤)及び分子量調節剤などをさらに含むことができる。反応完了後、40℃以下に冷却するステップをさらに含むことができる。前記ステップにより、コア層及びシェル層を含む第1乳化重合体粒子が分散された分散液を収得することができ、最終の重合転換率が95~99.9%であり、前記分散液は第1乳化重合体粒子を20~45wt%含むことができる。また、前記第1乳化重合体粒子は、コア層が5~60wt%及びシェル層が40~95wt%で含まれるものであってもよい。前記製造された第1乳化重合体粒子に対する具体的な説明は、前述したものと同様である。
【0080】
さらに、前記第1乳化重合体粒子を含む分散液は、凝集ステップをさらに行うことができる。凝集ステップは、酸溶液または塩溶液を使用して前記第1乳化重合体粒子を凝集させて媒質(水)と分離し、昇温して粒子の表面を凝固(固化)させた後、脱水及び乾燥工程を経て水分の含有量が0.5wt%以下である白色粉末状態の第2乳化重合体粒子を収得することができる。このときの凝集剤としては、公知であるか、又は通常に使用する凝集剤を使用することができ、一例として、硫酸、リン酸、硫酸マグネシウムなどを使用することができる。前記製造された第2乳化重合体粒子に対する具体的な説明は、前述したものと同様である。
【0081】
本発明の一実施形態によって、前記乳化剤は、前記分散相である重合性組成物と脱イオン水である水性との間の界面エネルギーを下げて、さらに均一な分散相が保持できるようにし、そのため、安定した乳化重合が行われることができる。前記乳化剤は、カチオン性、アニオン性及び非イオン性界面活性剤などから選択される1つ以上であってよく、非制限的な例としては、水酸化オクチルトリメチルアンモニウム、水酸化ドデシルトリメチルアンモニウム、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、水酸化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、水酸化デシルジメチルジメチルベンジルアンモニウム、水酸化ジドデシルジメチルアンモニウム、水酸化ジオクタデシルジメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤;高脂肪酸のアルカリ金属石鹸、ナトリウムドデシルベンゼンスルホン酸塩のようなアルキルアリールスルホン酸塩、ロジン酸カリウム、脂肪酸カリウム、アルケニルジカルボキシルカリウム、ナトリウムラウリルスルフェート、ナトリウムドデシルスルフェート、ナトリウムラウリルエーテルスルフェート、ナトリウムドデシルベンゼンスルフェート、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルフェニルエーテルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルホネート及びジアルキルスルホスクシネートなどのアニオン性界面活性剤;及び酸化エチレンと長鎖脂肪アルコールまたはC12-16アルコールのような脂肪酸との縮合物、酸化エチレンとアミンまたはアミドとの縮合物、エチレンと酸化プロピレンの縮合生成物、グリセロール、スクロース(sucrose)、ソルビトール(sorbitol)、脂肪酸アルキロール(alkylol)アミド、スクロースエステル、酸化脂肪アミン、ポリオキシアルキレンソルビタン(sorbitan)エーテル、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、アルキルポリサカライド、ポリビニルアルコール(PVA)とポリビニルメチルエーテルなどの非イオン性界面活性剤などを単独または混合して使用することができる。好ましくは、ロジン酸カリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸を使用することができ、前記重合性組成物100重量部に対して0.1~5重量部、好ましくは1~3重量部で含むことができるが、これに制限されない。
【0082】
本発明の一実施形態によって、前記酸化合物は、R1COOH、R2SO3H及びこれらの塩化合物からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせであり、前記R1及びR2は独立してC6-30アルキル、C6-30アリールまたはC6-30アルC6-30アルキルであってもよく、前記酸化合物に対する説明及び具体的な化合物の例示は、前述したものと同様である。
【0083】
また、前記第1重合性組成物において、前記脂環族エポキシ化合物及び前記酸化合物の重量比は、1:0.005~0.5、好ましくは1:0.01~0.2であってもよい。前記範囲を満たす場合、反応安定性が保持されることができ、乳化重合体粒子の粒径及び粒度分布を均一に製造することができるため好ましく、前記乳化重合剤粒子を含む消光剤を使用する場合、機械的物性の低下なしでも少量の添加のみで、消光効果及び外観品質が向上した成形品を製造することができるため好ましい。
【0084】
本発明の一実施形態によって、前記水溶性開始剤は、一般的に乳化重合に使用される開始剤であるか、又は公知の化合物であれば、特に制限なく使用することができ、非制限的な例として、カリウムパースルフェート、ナトリウムパースルフェート及びアンモニウムスルフェートなどの過酸化物などを使用することができる。前記重合性組成物100重量部に対して、0.01~5重量部、好ましくは0.01~1重量部で含むことができるが、これに制限されない。
【0085】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、下記の実施例及び比較例は、本発明をさらに詳細に説明するための一つの例示に過ぎず、本発明が下記の実施例及び比較例によって制限されるものではない。
【0086】
[物性の測定方法]
1)平均粒径:粒度分析装置(Malvern社のMastersizer 3000)を用いて測定した。
2)表面光沢度(GLOSS):ASTM D523に基づいて60°及び85°で測定した。
3)IZOD衝撃強度(Noched IZOD Impact strength):衝撃強度をASTM D256に基づいて1/4”及び1/8”で測定した。
4)引張強度(tensile strength) :引張強度をASTM D638に基づいて測定した。
5)黄色度(YI、Yellow Index):3.2mmの厚さの射出成形品を製造し、黄色度をASTM D1925に基づいて測定した。
【0087】
[実施例1]乳化重合体粒子の製造
(A)コア層の製造ステップ
スチレン23g、アクリロニトリル9g、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(CEL-2021、ダイセルケム)3g及びドデシルベンゼンスルホン酸(95wt%、SAMCHUN化学)0.35gを反応器に投入して撹拌した。その後、脱イオン水200g及びロジン酸カリウム2.0gをさらに投入した後に200rpm以上の撹拌速度で30分以上撹拌した。反応器内の組成物がミルク色のプレエマルジョン状態となったことを確認した後に60℃に昇温した。反応器にカリウムパースルフェート0.15gを投入して反応を開始し、その後に発熱反応を調節しながら反応器の内部温度を70℃に保持し、2時間乳化重合を行い、これにより乳化重合体粒子のコア層を製造した(重合転換率97%)。
【0088】
(B)シェル層の製造ステップ
前記(A)ステップに続いて、内部温度70℃の反応器にスチレン43g、アクリロニトリル16g及び3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート6gを混合した組成物を2時間連続に滴下した後、発熱反応を調節しながら温度を70℃に保持し、2時間乳化重合を行った。反応完了後、反応器の内部温度を40℃以下に冷却して乳化重合体粒子を含む分散液(エマルジョン)を収得した(重合転換率98%、固形分33%)。
【0089】
前記エマルジョンを硫酸マグネシウムを用いて凝集させた後、洗浄、脱水及び乾燥ステップを経て、白色粉末状の実施例1による乳化重合体粒子を最終的に収得した。前記乳化重合体粒子の平均粒径は195nmと測定された。
【0090】
[実施例2]
前記実施例1の(A)ステップで、アクリロニトリルを投入せずにスチレン32gを投入することを除き、実施例1と同様に行った。前記乳化重合体粒子の平均粒径は160nmと測定された。
【0091】
[実施例3]
前記実施例1の(A)ステップで、スチレン24g及び3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート2gを投入することと、(B)ステップで、スチレン44g、アクリロニトリル17g及び3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート4gを投入することを除き、実施例1と同様に行った。前記乳化重合体粒子の平均粒径は180nmと測定された。
【0092】
[実施例4]
前記実施例1の(A)ステップで、アクリロニトリル8g及び3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート4gを投入することと、(B)ステップで、スチレン42g、アクリロニトリル15g及び3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート8gを投入することを除き、実施例1と同様に行った。前記乳化重合体粒子の平均粒径は215nmと測定された。
【0093】
[実施例5]
前記実施例1の(A)ステップで、スチレンと共にジビニルベンゼン0.1gをさらに投入することと、(B)ステップで、スチレンと共にジビニルベンゼン0.3gをさらに投入することを除き、実施例1と同様に行った。前記乳化重合体粒子の平均粒径は140nmと測定された。
【0094】
[比較例1]
前記実施例1の(A)ステップで、ドデシルベンゼンスルホン酸を投入せず、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートの代わりにジビニルベンゼン3gを投入することと、(B)ステップで、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートの代わりにジビニルベンゼン6gを投入することを除き、実施例1と同様に行い、収得されたエマルジョンの重合転換率は97%以上であり、固形分は36%であった。以後の過程も実施例1と同様に行った。前記乳化重合体粒子の平均粒径は118nmと測定された。
【0095】
-射出成形品及び押出シートの製造
[実施例6~10及び比較例2~4]
PC(3020PJ)65.5wt%、ABS(IM-601)11.4wt%、SAN(92HR)18wt%及び酸化防止剤0.3wt%と前記実施例1~5及び比較例1に係る乳化重合体粒子4.7wt%を混合した後、押出機によって消光性高分子組成物ペレットを得て、前記ペレットを乾燥して射出機で横、縦及び厚さが70mm×75mm×3.0mmの試験片と、単一シート押出機で横、縦及び厚さが100mm×75mm×2.0mmのシート状の試験片を製造した。製造した射出成形品及び押出シートの物性を測定し、下記表1に示した。
【0096】
[比較例5]
前記実施例6において、前記乳化重合体粒子の代わりに米国公開特許US5580924AによるSAN Gel-1を同量投入したことを除き、実施例6と同様に行った。製造した射出成形品及び押出シートの物性を測定し、下記表1に示した。
【0097】
[実施例11~15及び比較例6~8]
前記実施例6でABS(IM-601)の代わりにASA(XC-500A)を同量投入したことを除き、実施例6と同様に行った。製造した射出成形品及び押出シートの物性を測定し、下記表2に示した。
【0098】
【0099】
【表2】
-BLENDEX BMAT:スチレン-アクリルニトリル共重合体
-XPHERE-NGR:スチレン-アクリロニトリル共重合体
【0100】
前記表1~2に示すように、本発明の乳化重合体粒子を含んで消光性高分子組成物を押出または射出加工して製造したシート(成形品)の場合、表面光沢度が効果的に減少し、具体的に、本発明の乳化重合体粒子をPC/ABSに適用した実施例6~10の場合、衝撃強度、引張強度のような機械的物性では大きく変化せず、市販の製品を適用した比較例3及び4より優れた消光効果及び低い黄色度を示していることを確認した。
【0101】
特に、比較例2~4及び比較例6~8の85°における表面光沢度が全て40以上であるのに対し、実施例6~15はいずれも30以下であることから見て、本発明に係る消光剤(乳化重合体粒子)を使用した場合、従来は実現することが困難であった押出加工における消光効果を非常に効果的に奏することができることを確認した。また、実施例6に係るシートの外観は良好であったのに対し、前記比較例5のシートは表面が非常に凹凸して均一でなく、多数の黒点が発生したため、不良と判断した。
【0102】
実施例1、3及び4の乳化重合体粒子を使用した実施例6、8及び9を比較してみると、脂環式エポキシ化合物を芳香族ビニル化合物100重量部に対して3~25重量部を適用する場合、特に、5~15重量部で適用する場合に、さらに優れた消光効果を奏することが確認できた。
【0103】
以上のように、本発明では、特定された事項と限定された実施形態及び図面により説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものであるだけで、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、このような記載から様々な修正及び変形が可能である。
【0104】
したがって、本発明の思想は、説明された実施形態に局限して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等または等価的な変形のある全てのものは、本発明の思想の範疇に属するといえる。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ビニル化合物及び脂環族エポキシ化合物を含む第1重合性組成物を水相で乳化重合してコア層を製造するステップと、
前記コア層の存在下で芳香族ビニル化合物、不飽和ニトリル化合物及び脂環族エポキシ化合物を含む第2重合性組成物を乳化重合してシェル層を製造するステップと、を含む、乳化重合体粒子の製造方法。
【請求項2】
前記第1重合性組成物は、芳香族ビニル化合物100重量部に対して、脂環族エポキシ化合物を1~20重量部で含み、
前記第2重合性組成物は、前記芳香族ビニル化合物及び不飽和ニトリル化合物の総合である100重量部に対して、脂環族エポキシ化合物を2~18重量部で含むものである、請求項1に記載の乳化重合体粒子の製造方法。
【請求項3】
前記コア層を製造するステップは、
(a)反応器に、前記第1重合性組成物、脱イオン水、乳化剤及び酸化合物を添加及び撹拌してプレエマルジョンを製造するステップと、
(b)水溶性開始剤を投入して反応を開始し、乳化重合するステップと、を含むものである、請求項1に記載の乳化重合体粒子の製造方法。
【請求項4】
前記酸化合物は、R1COOH、R2SO3H及びこれらの塩化合物からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせであり、
前記R1及びR2は独立してC
6-30
アルキル基で置換されたC
6-30
アリール基、C6-30アルキル基、またはC6-30アリール基である、請求項3に記載の乳化重合体粒子の製造方法。
【請求項5】
前記シェル層を製造するステップは、
前記コア層の存在下で前記第2重合性組成物を滴下し、乳化重合して乳化重合体粒子分散液を製造するステップを含むものである、請求項1に記載の乳化重合体粒子の製造方法。
【請求項6】
前記乳化重合体粒子は、コア層が5~60wt%及びシェル層が40~95wt%で含まれるものである、請求項1に記載の乳化重合体粒子の製造方法。
【請求項7】
前記乳化重合体粒子分散液の固形分含量(solid content)が20~45wt%である、請求項5に記載の乳化重合体粒子の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の一実施形態によって、前記重合性組成物は、R1COOH、R2SO3H及びこれらの塩化合物からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の酸化合物をさらに含み、前記R1及びR2は独立してC
6-30
アルキル基で置換されたC
6-30
アリール基、C6-30アルキル基、またはC6-30アリール基であってもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
本発明の一実施形態によって、前記酸化合物は、R1COOH、R2SO3H及びこれらの塩化合物からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせであり、前記R1及びR2は独立してC
6-30
アルキル基で置換されたC
6-30
アリール基、C6-30アルキル基、またはC6-30アリール基であってもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
本発明の一実施形態によって、前記重合性組成物は、R1COOH、R2SO3H及びこれらの塩化合物からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の酸化合物をさらに含んでもよく、前記R1及びR2は独立してC
6-30
アルキル基で置換されたC
6-30
アリール基、C6-30アルキル基、またはC6-30アリール基であってもよく、且つ、前記酸化合物の塩化合物は、R1COOM及びR2SO3Mで表されてもよく、前記R1及びR2は、上述したものと同様であり、Mはカチオンであってもよい。前記Mは、アルカリ金属カチオンまたはアンモニウムカチオンであってもよく、非制限的な例として、Mはナトリウムイオン、カリウムイオン及びリチウムイオンからなる群から選択される1つ以上であってもよいが、これに制限されない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
好ましくは、前記酸化合物はR2SO3Hであり、前記R2はC
6-18
アルキル基で置換されたC
6-12
アリール基であってもよく、一例として、ブチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸及びペンタデシルベンゼンスルホン酸などから選択されるものであってもよいが、これらに制限されない。前記酸化合物は、前記重合性組成物の芳香族ビニル化合物100重量部に対して、0.005~5重量部、好ましくは0.05~1重量部で含むことができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
本発明の一実施形態によって、前記酸化合物は、R1COOH、R2SO3H及びこれらの塩化合物からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせであり、前記R1及びR2は独立してC
6-30
アルキル基で置換されたC
6-30
アリール基、C6-30アルキル基、またはC6-30アリール基であってもよく、前記酸化合物に対する説明及び具体的な化合物の例示は、前述したものと同様である。