(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160814
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20241108BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20241108BHJP
H04N 23/90 20230101ALN20241108BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
H04W64/00
H04N23/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076211
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】中村 将大
【テーマコード(参考)】
5C122
5J062
5K067
【Fターム(参考)】
5C122DA11
5C122EA01
5C122FH11
5C122FH14
5C122HB01
5J062CC18
5K067JJ51
(57)【要約】
【課題】電波が障害物によって減衰することを抑制できるようにして、無線通信装置の位置の推定精度を向上させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】追跡対象ビーコン400(第1の無線通信装置)の位置を検出するための所定のエリア410を撮像装置300で撮像することで得られた画像に基づいて、所定のエリア410に存在する障害物411の位置情報を取得する障害物位置情報取得部118と、追跡対象ビーコン400から電波401を受信する複数の測距ビーコン510~530(第2の無線通信装置)の位置情報と障害物411の位置情報とに基づいて、複数の測距ビーコン510~530のうち、位置を変更すべき測距ビーコン530における変更先の位置を示す情報を出力する出力部122を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信装置の位置を検出するための所定のエリアを撮像装置で撮像することで得られた画像に基づいて、前記所定のエリアに存在する障害物の位置情報を取得する取得手段と、
前記第1の無線通信装置から電波を受信する複数の第2の無線通信装置の位置情報と、前記障害物の位置情報とに基づいて、前記複数の第2の無線通信装置のうち、位置を変更すべき第2の無線通信装置における変更先の位置を示す情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記出力手段は、前記位置を変更すべき第2の無線通信装置における変更先の位置として、当該第2の無線通信装置が前記障害物を含む所定の範囲の範囲内に位置している場合に前記所定の範囲の範囲外の位置を示す情報を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出力手段は、前記位置を変更すべき第2の無線通信装置における変更先の位置として、当該第2の無線通信装置が他の第2の無線通信装置との間に前記障害物が存在している場合に前記他の第2の無線通信装置との間に前記障害物が存在しない位置を示す情報を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複数の第2の無線通信装置で受信した前記電波の電波強度に基づいて、前記第1の無線通信装置の位置を検出する検出手段を更に備え、
前記出力手段は、前記位置を変更すべき第2の無線通信装置における変更先の位置として、当該第2の無線通信装置が前記第1の無線通信装置との間に前記障害物が存在している場合に前記第1の無線通信装置との間に前記障害物が存在しない位置を示す情報を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記位置を変更すべき第2の無線通信装置における変更先の位置として、候補となる複数の位置がある場合に、前記複数の位置のうち、当該第2の無線通信装置と他の第2の無線通信装置との距離の合計値が最大となる位置を示す情報を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記出力手段は、前記位置を変更すべき第2の無線通信装置における変更先の位置として、候補となる複数の位置がある場合に、前記複数の位置のうち、当該第2の無線通信装置の移動距離が最小となる位置を示す情報を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記出力手段は、前記障害物の位置情報を更に出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記出力手段は、前記撮像装置で前記所定のエリアを撮像する際に前記障害物による死角の範囲が閾値を超える場合に、前記撮像装置の追加または前記撮像装置の位置の変更を示す情報を更に出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
第1の無線通信装置の位置を検出するための所定のエリアを撮像装置で撮像することで得られた画像に基づいて、前記所定のエリアに存在する障害物の位置情報を取得する取得ステップと、
前記第1の無線通信装置から電波を受信する複数の第2の無線通信装置の位置情報と、前記障害物の位置情報とに基づいて、前記複数の第2の無線通信装置のうち、位置を変更すべき第2の無線通信装置における変更先の位置を示す情報を出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信装置が送信する電波の電波情報を用いて、当該無線通信装置の位置を推定する技術が普及してきた。例えば、屋外環境におけるGPS(Global Positioning System)を利用した位置推定技術や、屋内環境における無線LANやBluetooth(登録商標)を利用した位置推定技術は、広く普及している。
【0003】
このような技術では、例えば、電波を送信する第1の無線通信装置と、第1の無線通信装置から送信された電波を受信する複数の第2の無線通信装置を備えたシステムを用いる。具体的には、複数の第2の無線通信装置で受信した電波の電波強度から、第1の無線通信装置とそれぞれの第2の無線通信装置との間の距離を算出し、算出した距離に基づいて第1の無線通信装置の位置を推定する。この際、第1の無線通信装置と第2の無線通信装置との間に電波を遮蔽しうる物体(障害物)が存在する場合、当該第2の無線通信装置が受信する電波が減衰し、障害物が存在しない場合よりも当該第2の無線通信装置が受信する電波の電波強度が低下する。そして、この場合、低下した電波強度から算出される、第1の無線通信装置と第2の無線通信装置との間の距離は、実際の距離よりも大きくなり、第1の無線通信装置の位置推定の誤差が増大するという問題がある。このような問題に対して、特許文献1には、電波を遮蔽しうる物体(障害物)の存在を考慮した無線通信装置の位置推定技術が提案されている。具体的に、特許文献1には、障害物により生じる電波の減衰を考慮した電波シミュレーションを行うことで、異なる複数の位置に配置された第2の無線通信装置の中から、第1の無線通信装置の位置推定に使用するものを選択する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載の技術では、位置が固定された第2の無線通信装置の中から、第1の無線通信装置の位置推定に使用するものを選択する。このため、特許文献1に記載の技術では、第1の無線通信装置の位置推定に適した場所に第2の無線通信装置が配置されていない場合、障害物による電波の減衰を回避することができず、第1の無線通信装置の位置の推定精度が低下するという課題がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、電波が障害物によって減衰することを抑制できるようにして、無線通信装置の位置の推定精度を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報処理装置は、第1の無線通信装置の位置を検出するための所定のエリアを撮像装置で撮像することで得られた画像に基づいて、前記所定のエリアに存在する障害物の位置情報を取得する取得手段と、前記第1の無線通信装置から電波を受信する複数の第2の無線通信装置の位置情報と、前記障害物の位置情報とに基づいて、前記複数の第2の無線通信装置のうち、位置を変更すべき第2の無線通信装置における変更先の位置を示す情報を出力する出力手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電波が障害物によって減衰することを抑制することができ、無線通信装置の位置の推定精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る情報処理システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る情報処理システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る情報処理システムの情報処理方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】第1の実施形態を示し、
図4のステップS403で取得された障害物の位置情報と、
図4のステップS404で取得された測距ビーコンの位置情報の一例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態を示し、
図4のステップS405及びステップS406における位置を変更すべき測距ビーコンに係る処理の一例を説明するための図である。
【
図7】第1の実施形態を示し、
図4のステップS407における位置を変更すべき測距ビーコンの推奨位置(変更先の位置)の出力例を示す図である。
【
図8】第1の実施形態を示し、
図4のステップS410における追跡対象ビーコンの位置の出力例を示す図である。
【
図9】第2の実施形態を示し、
図4のステップS405及びステップS406における位置を変更すべき測距ビーコンに係る処理の一例を説明するための図である。
【
図10】第3の実施形態を示し、
図4のステップS406における位置を変更すべき測距ビーコンの推奨位置(変更先の位置)の決定処理例を説明するための図である。
【
図11】第4の実施形態を示し、現在配置されている撮像装置で所定のエリアを撮像する際に障害物による死角の範囲の一例を示す図である。
【
図12】第4の実施形態を示し、現在配置されている撮像装置で所定のエリアを撮像する際に障害物による死角の範囲が閾値を超える場合の警告出力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。なお、以下に記載する実施形態は、特許請求の範囲に記載の本発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明に必須のものとは限らない。
【0011】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システム10の概略構成の一例を示す図である。情報処理システム10は、
図1に示すように、情報処理装置100、ネットワーク210、ネットワーク220、無線ネットワーク230、撮像装置300、追跡対象ビーコン400、及び、測距ビーコン510~530を備える。
【0013】
情報処理装置100は、ネットワーク210を介して撮像装置300と通信接続され、また、ネットワーク220を介して測距ビーコン510~530と通信接続されている。情報処理装置100は、撮像装置300が所定のエリアを撮像することで得られた撮影画像の画像データを、ネットワーク210を介して撮像装置300から受信する。また、情報処理装置100は、測距ビーコン510~530が追跡対象ビーコン400から無線ネットワーク230を介して受信した電波の電波強度を受信電波情報として、ネットワーク220を介して測距ビーコン510~530から受信する。そして、情報処理装置100は、受信した撮影画像の画像データや受信電波情報を処理する。また、ユーザー20は、情報処理装置100に対して、追跡対象ビーコン400の位置推定に必要な情報を入力することができる。
【0014】
ネットワーク210は、情報処理装置100と撮像装置300とを通信接続する。ネットワーク220は、情報処理装置100と測距ビーコン510~530とを通信接続する。
なお、ネットワーク210及びネットワーク220は、情報処理装置100との通信が可能であれば、通信方式は特に限定されない。無線ネットワーク230は、追跡対象ビーコン400と測距ビーコン510~530とを無線通信接続する。
【0015】
撮像装置300は、追跡対象ビーコン400の位置を検出するための所定のエリアを撮像し、撮影画像の画像データを生成する。
【0016】
追跡対象ビーコン400は、全方位に所定の時間間隔で電波を送信する第1の無線通信装置である。測距ビーコン510~530は、追跡対象ビーコン400が送信する電波を受信する複数の第2の無線通信装置である。
【0017】
図2は、第1の実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置100は、
図2に示すように、CPU101、ROM102、RAM103、入力デバイス104、出力デバイス105、通信デバイス106、及び、バス107のハードウェア構成を備える。
【0018】
CPU101は、情報処理装置100の動作を統括的に制御するとともに、各種の処理を行う。CPU101は、例えば、ROM102に記憶されたプログラムや各種の情報を読み出して、各種の制御や各種の処理を実行する。ROM102は、CPU101が各種の制御や各種の処理を実行する際に用いるプログラムや各種の情報を記憶する。RAM103は、CPU101の主メモリやワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。入力デバイス104は、例えばキーボードやマウスを有し、ユーザー20による各種の操作入力を受け付ける。出力デバイス105は、各種の情報等を出力するデバイスであり、各種の情報等を表示出力する表示デバイスや各種の情報等を音声出力する音声出力デバイスを含む。通信デバイス106は、ネットワーク(
図1に示すネットワーク210やネットワーク220)を介して外部装置(
図1に示す撮像装置300や測距ビーコン510~530)との通信処理を行う。バス107は、CPU101、ROM102、RAM103、入力デバイス104、出力デバイス105及び通信デバイス106を、通信可能に接続する。
【0019】
図3は、第1の実施形態に係る情報処理システム10の機能構成の一例を示す図である。
図3において、
図1に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
【0020】
撮像装置300は、追跡対象ビーコン400の位置を検出(推定)する所定のエリア410を撮像し、撮影画像の画像データを生成する機能を有する。さらに、撮像装置300は、生成した撮影画像の画像データを、ネットワーク(
図1に示すネットワーク210)を介して情報処理装置100に送信する機能を有する。
【0021】
本実施形態においては、追跡対象ビーコン400は、物体(人物を含む)によって保持される。そして、追跡対象ビーコン400は、その物体(人物を含む)によって所定のエリア410の範囲内を移動させられる無線通信装置である。
【0022】
測距ビーコン510~530は、追跡対象ビーコン400が送信する電波401を受信する機能を有する。さらに、測距ビーコン510~530は、それぞれ、受信した電波401の電波強度を受信電波情報として、ネットワーク(
図1に示すネットワーク220)を介して情報処理装置100に送信する機能を有する。
【0023】
なお、本実施形態においては、追跡対象ビーコン400の位置を検出(推定)する所定のエリア410に、追跡対象ビーコン400が送信する電波401の電波強度を減衰させうる障害物411が存在しているものとする。
【0024】
情報処理装置100は、
図3に示すように、処理部110、入出力部120、及び、通信インターフェース部130の機能構成を備える。また、処理部110は、入出力制御部111、通信制御部112、受信電波情報処理部113、測距ビーコン位置記憶部114、追跡対象ビーコン位置検出部115の機能構成を備える。さらに、処理部110は、撮像装置位置記憶部116、障害物認識部117、障害物位置情報取得部118、推奨位置決定部119の機能構成を備える。また、入出力部120は、入力部121、及び、出力部122の機能構成を備える。
【0025】
ここで、
図3に示す情報処理装置100の機能構成と、
図2に示す情報処理装置100のハードウェア構成との対応関係の一例を説明する。
図3の処理部110は、例えば、
図2のCPU101、ROM102及びRAM103から構成されうる。例えば、
図2のCPU101がROM102に記憶されたプログラムを実行することによって、
図3の処理部110における各構成部(111~119)が実現されうる。また、
図3の入出力部120は、例えば、
図2の入力デバイス104及び出力デバイス105から構成されうる。より具体的に、
図3の入出力部120における入力部121は、例えば
図2の入力デバイス104から構成され、また、
図3の入出力部120における出力部122は、例えば
図2の出力デバイス105から構成される。また、
図3の通信インターフェース部130は、例えば、
図2の通信デバイス106から構成されうる。
【0026】
通信インターフェース部130は、撮像装置300が追跡対象ビーコン400の位置を検出するための所定のエリア410を撮像することで得られた撮影画像の画像データを、ネットワーク(
図1に示すネットワーク210)を介して受信する。また、通信インターフェース部130は、それぞれの測距ビーコン510~530で得られた電波401の電波強度を示す受信電波情報を、ネットワーク(
図1に示すネットワーク220)を介して受信する。追跡対象ビーコン400の位置を検出するための所定のエリア410は、例えば、ある建物の1つのフロアである。または、所定のエリア410は、劇場等のステージでもよい。追跡対象ビーコン400を保持する物体(人物を含む)が移動すると想定されるエリアであれば何でもよい。所定のエリア410の範囲等はユースケース等によって、任意に決めればよい。
【0027】
入出力制御部111は、入出力部120による入出力の制御を行う。
【0028】
通信制御部112は、通信インターフェース部130による通信の制御を行う。具体的に、通信制御部112は、通信インターフェース部130が撮像装置300から受信した撮影画像の画像データを障害物認識部117に出力する。また、通信制御部112は、通信インターフェース部130が測距ビーコン510~530から受信した受信電波情報を受信電波情報処理部113に出力する。
【0029】
受信電波情報処理部113は、通信インターフェース部130から出力された受信電波情報を処理して、例えば、追跡対象ビーコン400とそれぞれの測距ビーコン510~530との距離情報を生成する。そして、受信電波情報処理部113は、生成した距離情報を追跡対象ビーコン位置検出部115に出力する。
【0030】
測距ビーコン位置記憶部114は、入出力部120における入力部121から入出力制御部111を介して入力された測距ビーコン510~530の位置情報を記憶する。ここで、本実施形態においては、測距ビーコン510~530が配置される位置は、
図3に示す所定のエリア410の領域内であるものとする。
【0031】
追跡対象ビーコン位置検出部115は、測距ビーコン位置記憶部114が記憶する測距ビーコン510~530の位置情報と、受信電波情報処理部113が出力した距離情報とに基づいて、所定のエリア410における追跡対象ビーコン400の位置を検出する。そして、追跡対象ビーコン位置検出部115は、検出した追跡対象ビーコン400の位置情報を、入出力制御部111を介して入出力部120における出力部122に出力する。
【0032】
撮像装置位置記憶部116は、入出力部120における入力部121から入出力制御部111を介して入力された撮像装置300の位置情報を記憶する。
【0033】
障害物認識部117は、撮像装置位置記憶部116が記憶する撮像装置300の位置情報と、通信制御部112から出力された撮影画像の画像データとに基づいて、所定のエリア410に存在する、電波401を遮蔽しうる障害物411の認識処理を行う。なお、
図3では、所定のエリア410に1つの障害物411が存在する例を図示しているが、本実施形態においては、所定のエリア410に複数の障害物411が存在していてもよい。そして、障害物認識部117は、障害物411の認識処理の結果を障害物認識情報として障害物位置情報取得部118に出力する。
【0034】
障害物位置情報取得部118は、障害物認識部117が出力した障害物認識情報に基づいて、障害物411の位置情報(所定のエリア410における位置分布)を取得する。そして、障害物位置情報取得部118は、取得した障害物411の位置情報を推奨位置決定部119に出力する。
【0035】
推奨位置決定部119は、測距ビーコン位置記憶部114が記憶する測距ビーコン510~530の位置情報と、障害物位置情報取得部118が出力した障害物411の位置情報とに基づいて、測距ビーコン510~530の推奨位置を決定する。具体的に、
図3では、推奨位置決定部119は、測距ビーコン510及び測距ビーコン520については現在配置されている位置が推奨位置であると決定し、測距ビーコン530については測距ビーコン531の位置が推奨位置であると決定した例を示している。即ち、
図3に示す例では、推奨位置決定部119は、位置を変更すべき測距ビーコン530における変更先の位置(推奨位置)を測距ビーコン531の位置であると決定した場合を示している。そして、推奨位置決定部119は、決定した測距ビーコン510~530の推奨位置情報を、入出力制御部111を介して入出力部120における出力部122に出力する。
【0036】
図4は、第1の実施形態に係る情報処理システム10の情報処理方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0037】
図4に示すフローチャートの処理が開始されると、まず、ステップS401において、撮像装置300は、測距ビーコン510~530及び追跡対象ビーコン400が配置された所定のエリア410を撮像し、撮影画像の画像データを生成する。
【0038】
続いて、ステップS402において、障害物認識部117は、撮像装置300の位置情報と、ステップS401で得られた撮影画像の画像データとに基づいて、所定のエリア410に障害物411を認識できるか否かを判断する。ここで、撮像装置300の位置情報については、障害物認識部117が撮像装置位置記憶部116から取得する。
【0039】
ステップS402の判断の結果、所定のエリア410に障害物411が認識できた場合には(S402/YES)、ステップS403に進む。
ステップS403に進むと、障害物位置情報取得部118は、障害物認識部117が出力した障害物認識情報に基づいて、障害物411の位置情報(所定のエリア410における位置分布)を取得する。
【0040】
続いて、ステップS404において、推奨位置決定部119は、測距ビーコン位置記憶部114が記憶する測距ビーコン510~530の位置情報を取得する。
【0041】
図5は、第1の実施形態を示し、
図4のステップS403で取得された障害物411の位置情報と、
図4のステップS404で取得された測距ビーコン510~530の位置情報の一例を示す図である。この
図5において、
図3に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。具体的に、
図5(a)は、
図4のステップS403で取得された障害物411の位置情報(所定のエリア410における位置分布)の一例を示す図である。ここで、
図5(a)には、障害物411の位置情報として、所定のエリア410における障害物411の位置座標情報C411が示されている。また、
図5(b)は、
図4のステップS404で取得された測距ビーコン510~530の位置情報の一例を示す図である。ここで、
図5(b)には、測距ビーコン510~530の位置情報として、それぞれ、所定のエリア410における測距ビーコン510~530の位置座標情報C510~C530が示されている。
【0042】
ここで、再び
図4の説明に戻る。
ステップS404の処理が終了すると、ステップS405に進む。ステップS405に進むと、推奨位置決定部119は、ステップS404で取得した測距ビーコン510~530の位置情報と、ステップS403で取得された障害物411の位置情報とに基づいて、位置を変更すべき測距ビーコンがあるか否かを判断する。
【0043】
図6は、第1の実施形態を示し、
図4のステップS405及びステップS406における位置を変更すべき測距ビーコンに係る処理の一例を説明するための図である。この
図6において、
図3及び
図5に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。本実施形態の第1例では、
図6(a)に示すように、障害物411を含む所定の範囲H411の範囲内に位置している測距ビーコン530を、位置を変更すべき測距ビーコンであると判断する形態を採りうる。なお、
図6(a)では、障害物411を含む所定の範囲H411を円形の範囲としているが、本実施形態においてはこれに限定されるものではなく、例えば、矩形の範囲であってもよい。また、本実施形態の第2例では、他の測距ビーコンとの間に障害物411が存在する測距ビーコンを、位置を変更すべき測距ビーコンであると判断する形態を採りうる。具体的に、本実施形態の第2例では、
図6(b)に示す測距ビーコン530は、測距ビーコン520との間K2には障害物411が存在しないが、測距ビーコン510との間K1に障害物411が存在しているため、位置を変更すべき測距ビーコンと判断される。なお、本実施形態では、位置を変更すべき測距ビーコンの判断処理は、
図6(a)に示す第1例のみを適用する形態、
図6(b)に示す第2例のみを適用する形態、
図6(a)に示す第1例及び
図6(b)に示す第2例の両方を適用する形態のいずれでもよい。
【0044】
ここで、再び
図4の説明に戻る。
ステップS405の判断の結果、位置を変更すべき測距ビーコンがある場合には(S405/YES)、ステップS406に進む。
ステップS406に進むと、推奨位置決定部119は、ステップS404で取得した測距ビーコン510~530の位置情報と、ステップS403で取得された障害物411の位置情報とに基づいて、位置を変更すべき測距ビーコンの推奨位置を決定する。
【0045】
ここで、
図6を用いて、ステップS406の具体例について説明する。
図6(a)に示す本実施形態の第1例では、位置を変更すべき測距ビーコン530の推奨位置(変更先の位置)として、障害物411を含む所定の範囲H411の範囲外の位置である測距ビーコン531の位置を決定する。この
図6(a)に示すように、障害物411から近い位置に配置されている測距ビーコンを、障害物411から遠い位置に配置すべく推奨位置を決定することで、当該測距ビーコンで受信する電波401が障害物411によって減衰される可能性を低減できる。また、
図6(b)に示す本実施形態の第2例では、位置を変更すべき測距ビーコン530の推奨位置(変更先の位置)として、他の測距ビーコン510及び520との間K3及びK4に障害物411が存在しない位置である測距ビーコン531の位置を決定する。この
図6(b)では、他の測距ビーコンとの間に障害物411が存在している位置に配置されている測距ビーコンを、他の測距ビーコンとの間に障害物411が存在しない位置に配置すべく推奨位置を決定している。このため、
図6(b)に示す本実施形態の第2例では、測距ビーコンで受信する電波401が障害物411によって減衰される可能性を低減することができる。
【0046】
ここで、再び
図4の説明に戻る。
ステップS406の処理が終了すると、ステップS407に進む。ステップS407に進むと、入出力制御部111は、ステップS406で決定された位置を変更すべき測距ビーコンの推奨位置(変更先の位置)を、入出力部120における出力部122から出力させる。
【0047】
図7は、第1の実施形態を示し、
図4のステップS407における位置を変更すべき測距ビーコンの推奨位置(変更先の位置)の出力例を示す図である。この
図7において、
図3、
図5及び
図6に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。具体的に、
図7(a)では、まず、位置を変更すべき測距ビーコン530を、他の測距ビーコン510及び520と識別するために、灰色を付した表示出力を行っている。その上で、
図7(a)では、位置を変更すべき測距ビーコン530の推奨位置(変更先の位置)が測距ビーコン531の位置であることを示す矢印を表示出力している。さらに、
図7(a)では、位置を変更すべき測距ビーコン530の推奨位置情報(変更先の位置情報)として、位置座標情報C531を表示出力している。なお、本実施形態においては、位置を変更すべき測距ビーコン530の推奨位置(変更先の位置)の出力例は、
図7(a)に示す形態に限定されるものではない。例えば、
図7(b)に示すように、
図7(a)に示す形態に加えて、障害物411の位置情報を更に表示出力する形態も適用可能である。具体的に、
図7(b)では、障害物411の位置情報として、所定のエリア410における障害物411の配置位置とともに位置座標情報C411を表示出力している。そして、
図7(a)または
図7(b)に示す表示出力によって、例えばユーザー20は、位置を変更すべき測距ビーコン530の推奨位置(変更先の位置)が測距ビーコン531の位置であることを把握することができる。その他にも、推奨位置情報は「北方向に10m移動させ、東方向に5m移動して下さい」等のテキスト情報であってもよい。
【0048】
ここで、再び
図4の説明に戻る。
本実施形態では、ステップS407の処理が終了した後、例えばユーザー20によって、
図7(a)及び
図7(b)に示す位置を変更すべき測距ビーコン530が、推奨位置(変更先の位置)である測距ビーコン531の位置に変更配置されたものとする。そして、入出力制御部111は、入出力部120における入力部121から入力された測距ビーコン531の位置情報を、測距ビーコン530の位置情報に替えて測距ビーコン位置記憶部114に記憶する。その後、ステップS404に戻る。
【0049】
また、ステップS402において障害物411が認識できないと判断された場合(S402/NO)、或いは、ステップS405において位置を変更すべき測距ビーコンがないと判断された場合には(S405/NO)、ステップS408に進む。
ステップS408に進むと、受信電波情報処理部113は、通信インターフェース部130から出力された受信電波情報を処理して、例えば、追跡対象ビーコン400とそれぞれの測距ビーコン510,520,531との距離情報を生成する。
【0050】
続いて、ステップS409において、追跡対象ビーコン位置検出部115は、所定のエリア410における追跡対象ビーコン400の位置を検出する。具体的に、ステップS409では、測距ビーコン位置記憶部114が記憶する測距ビーコン510,520,531の位置情報と、受信電波情報処理部113で得られた距離情報とに基づいて、追跡対象ビーコン400の位置を検出する。
【0051】
続いて、ステップS410において、入出力制御部111は、ステップS409で検出された所定のエリア410における追跡対象ビーコン400の位置を、入出力部120における出力部122から出力させる。
【0052】
図8は、第1の実施形態を示し、
図4のステップS410における追跡対象ビーコン400の位置の出力例を示す図である。この
図8において、
図3、
図5~
図7に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。具体的に、
図8では、追跡対象ビーコン400の位置情報として、所定のエリア410における追跡対象ビーコン400の配置位置とともに位置座標情報C400を表示出力している。そして、
図8に示す表示出力によって、例えばユーザー20は、所定のエリア410における追跡対象ビーコン400の位置を把握することができる。
【0053】
ここで、再び
図4の説明に戻る。
ステップS410の処理が終了すると、
図4に示すフローチャートの処理が終了する。なお、本実施形態においては、ステップS410の処理が終了した後、ステップS401に戻り、ステップS401~ステップS410の処理を繰り返し行うようにしてもよい。
【0054】
以上説明した第1の実施形態に係る情報処理装置100では、以下の構成を備える。
障害物位置情報取得部118は、追跡対象ビーコン400(第1の無線通信装置)の位置を検出するための所定のエリア410を撮像装置300で撮像することで得られた画像に基づいて、所定のエリア410に存在する障害物411の位置情報を取得する。出力部122は、追跡対象ビーコン400から電波401を受信する複数の測距ビーコン510~530(第2の無線通信装置)の位置情報と、障害物411の位置情報とに基づき、位置を変更すべき測距ビーコンにおける変更先の位置を示す情報を出力する。
かかる構成によれば、測距ビーコン(第2の無線通信装置)で受信する電波が障害物によって減衰することを抑制することができ、追跡対象ビーコン(第1の無線通信装置)の位置の推定精度を向上させることが可能となる。
【0055】
具体的に、第1の実施形態では、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、位置を変更すべき測距ビーコンとして、測距ビーコン530を適用している。
図6(a)に示す本実施形態の第1例の場合には、出力部122は、測距ビーコン530における変更先の位置として、障害物411を含む所定の範囲H411の範囲外の位置である測距ビーコン531の位置を示す情報を出力する形態を採る。
図6(b)に示す本実施形態の第2例の場合には、出力部122は、測距ビーコン530における変更先の位置として、他の測距ビーコン510及び520との間に障害物411が存在しない位置である測距ビーコン531の位置を示す情報を出力する形態を採る。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第2の実施形態の説明では、上述した第1の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1の実施形態と異なる事項について説明を行う。
【0057】
第2の実施形態に係る情報処理システムの概略構成は、
図1に示す第1の実施形態に係る情報処理システム10の概略構成と同様である。第2の実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成は、
図2に示す第1の実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成と同様である。第2の実施形態に係る情報処理システム10の機能構成は、
図3に示す第1の実施形態に係る情報処理システム10の機能構成と同様である。
【0058】
第2の実施形態では、
図4に示すステップS401~ステップS410の処理を繰り返し行うことを想定した形態である。具体的に、第2の実施形態では、
図4のステップS409で検出された追跡対象ビーコン400の位置情報を、ステップS405における位置を変更すべき測距ビーコンの判断処理及びステップS406における当該測距ビーコンの推奨位置の決定処理に用いる。
【0059】
図9は、第2の実施形態を示し、
図4のステップS405及びステップS406における位置を変更すべき測距ビーコンに係る処理の一例を説明するための図である。この
図9において、
図3及び
図5~
図8に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
【0060】
第2の実施形態における
図4のステップS405では、
図9に示すように、追跡対象ビーコン400との間K5に障害物411が存在している測距ビーコン530を、位置を変更すべき測距ビーコンであると判断する形態を採る。そして、第2の実施形態における
図4のステップS406では、
図9に示すように、測距ビーコン530の推奨位置(変更先の位置)として、追跡対象ビーコン400との間K6に障害物411が存在しない位置である測距ビーコン531の位置を決定する。第2の実施形態における
図4のステップS407では、出力部122は、位置を変更すべき測距ビーコン530の推奨位置(変更先の位置)として、追跡対象ビーコン400との間K6に障害物411が存在しない測距ビーコン531の位置を示す情報を出力する。
【0061】
第2の実施形態では、位置を変更すべき測距ビーコン530(第2の無線通信装置)の推奨位置(変更先の位置)として、追跡対象ビーコン400(第1の無線通信装置)との間に障害物411が存在しない位置を示す情報を出力するようにしている。
かかる構成によれば、測距ビーコン(第2の無線通信装置)で受信する電波が障害物によって減衰することを回避することができ、第1の実施形態よりも、追跡対象ビーコン(第1の無線通信装置)の位置の推定精度を更に向上させることが可能となる。
【0062】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第3の実施形態の説明では、上述した第1及び第2の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1及び第2の実施形態と異なる事項について説明を行う。
【0063】
第3の実施形態に係る情報処理システムの概略構成は、
図1に示す第1の実施形態に係る情報処理システム10の概略構成と同様である。第3の実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成は、
図2に示す第1の実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成と同様である。第3の実施形態に係る情報処理システム10の機能構成は、
図3に示す第1の実施形態に係る情報処理システム10の機能構成と同様である。
【0064】
また、第3の実施形態に係る情報処理システム10の情報処理方法における処理手順は、
図4に示す第1の実施形態に係る情報処理システム10の情報処理方法における処理手順と同様である。第3の実施形態では、
図4のステップS406における位置を変更すべき測距ビーコンの推奨位置(変更先の位置)の決定処理の内容が、第1の実施形態とは異なる。
【0065】
図10は、第3の実施形態を示し、
図4のステップS406における位置を変更すべき測距ビーコンの推奨位置(変更先の位置)の決定処理例を説明するための図である。この
図10において、
図3及び
図5~
図9に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
【0066】
第3の実施形態では、第1の実施形態における
図6(a)に示す第1例及び
図6(b)に示す第2例のうちの少なくとも1つの要件を満たした上で、推奨位置(変更先の位置)の候補となる複数の位置の中から、1つの位置を決定する際の処理例を説明する。
【0067】
第3の実施形態では、位置を変更すべき測距ビーコン530の推奨位置(変更先の位置)の決定処理例として、
図10(a)に示す第1例と
図10(b)に示す第2例を説明する。
【0068】
図10(a)に示す第1例では、測距ビーコン530の推奨位置(変更先の位置)の候補となる複数の位置のうち、他の測距ビーコン510及び520との距離の合計値(距離L1+距離L2)が最大となる位置である測距ビーコン531の位置を決定する。測距ビーコン同士が近すぎると、
図4のステップS408で得られる距離情報も同じような値となり、その結果、ステップS409において距離情報に基づき検出される追跡対象ビーコン400の位置の精度が低下するおそれがある。この点、
図10(a)に示す第1例では、他の測距ビーコンとの距離の合計値が最大となる位置を、位置を変更すべき測距ビーコンの推奨位置(変更先の位置)として決定するため、追跡対象ビーコン400の位置の推定精度を向上させることか可能となる。
【0069】
図10(b)に示す第2例では、測距ビーコン530の推奨位置(変更先の位置)の候補となる複数の位置のうち、測距ビーコン530の移動距離L3が最小となる位置である測距ビーコン531の位置を決定する。
図10(b)に示す第2例では、位置を変更すべき測距ビーコンの推奨位置(変更先の位置)として、当該測距ビーコンの移動距離が最小となる位置に決定するため、例えばユーザー20が当該測距ビーコンを推奨位置に移動させる際の負荷を軽減できる。
【0070】
なお、第3の実施形態では、第1の実施形態における
図6に示す要件を満たした上で、
図10に示す位置を変更すべき測距ビーコン530の推奨位置の決定処理を適用する形態を説明したが、本発明においてはこの形態に限定されるものではない。例えば、第2の実施形態における
図9に示す要件を満たした上で、
図10に示す位置を変更すべき測距ビーコン530の推奨位置の決定処理を適用する形態も、本発明に適用可能である。さらに、第1の実施形態における
図6に示す要件及び第2の実施形態における
図9に示す要件にかかわらずに、
図10に示す位置を変更すべき測距ビーコン530の推奨位置の決定処理を単独で適用する形態も、本発明に適用可能である。
【0071】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第4の実施形態の説明では、上述した第1~第3の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1~第3の実施形態と異なる事項について説明を行う。
【0072】
第4の実施形態に係る情報処理システムの概略構成は、
図1に示す第1の実施形態に係る情報処理システム10の概略構成と同様である。第4の実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成は、
図2に示す第1の実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成と同様である。第4の実施形態に係る情報処理システム10の機能構成は、
図3に示す第1の実施形態に係る情報処理システム10の機能構成と同様である。また、第4の実施形態に係る情報処理システム10の情報処理方法における処理手順は、
図4に示す第1の実施形態に係る情報処理システム10の情報処理方法における処理手順と同様である。
【0073】
第4の実施形態は、上述した第1~第3の実施形態に係る情報処理装置100の情報処理方法における処理に加えて、更に以下の処理を行う形態である。具体的に、第4の実施形態では、推奨位置決定部119は、上述した第1~第3の実施形態における測距ビーコン510~530の推奨位置の決定に加えて、更に撮像装置300の推奨位置の決定も行う。第4の実施形態について、以下に詳しく説明する。
【0074】
第4の実施形態では、推奨位置決定部119は、障害物位置情報取得部118が出力した障害物411の位置情報に加えて、撮像装置位置記憶部116が記憶する撮像装置300の位置情報を取得する。そして、第4の実施形態では、推奨位置決定部119は、取得した撮像装置300の位置情報と障害物411の位置情報とに基づいて、現在配置されている撮像装置300で所定のエリア410を撮像する際に障害物411による死角の範囲を検出する。
【0075】
図11は、第4の実施形態を示し、現在配置されている撮像装置300で所定のエリア410を撮像する際に障害物411による死角の範囲の一例を示す図である。この
図11において、
図3及び
図5~
図10に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
【0076】
具体的に、
図11(a)は、推奨位置決定部119によって、現在配置されている撮像装置300-0で所定のエリア410を撮像する際に障害物411による死角の範囲H0が検出された例を示している。また、
図11(b)は、推奨位置決定部119によって、現在配置されている撮像装置300-1で所定のエリア410を撮像する際に障害物411による死角の範囲H1が検出された例を示している。
【0077】
現在配置されている撮像装置300で所定のエリア410を撮像する際に、障害物411による死角の範囲が大きすぎると、例えば当該死角の範囲に更なる障害物があった場合に、障害物認識部117で当該更なる障害物を認識できない不具合が生じうる。このような不具合の発生を低減するために、第4の実施形態では、以下の処理を行う。
【0078】
具体的に、第4の実施形態では、障害物411による死角の範囲に関する閾値H
thを設定し、推奨位置決定部119で検出された死角の範囲が閾値H
thを超える場合には、撮像装置300の追加または撮像装置300の位置の変更を示す情報を出力する。ここで、第4の実施形態では、
図11(a)に示す死角の範囲H0及び
図11(b)に示す死角の範囲H1と、閾値H
thとの関係は、H0>H
th>H1であるものとする。
【0079】
図12は、第4の実施形態を示し、現在配置されている撮像装置300で所定のエリア410を撮像する際に障害物411による死角の範囲が閾値H
thを超える場合の警告出力例を示す図である。この
図12において、
図3及び
図5~
図11に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
【0080】
図12は、現在配置されている撮像装置300が、
図11(a)に示す撮像装置300-0である場合の例を示している。この場合、推奨位置決定部119は、
図11(a)に示す死角の範囲H0が閾値H
thを超えるため、現在配置されている撮像装置300-0の位置が推奨位置でないと判断する。このため、推奨位置決定部119は、撮像装置300の推奨位置情報を生成し、入出力制御部111を介して入出力部120における出力部122に出力する。具体的に、
図12は、出力部122によって、例えばユーザー20に対して撮像装置300の推奨位置情報1200が警告表示出力された例を示している。より詳細に、
図12には、撮像装置300の推奨位置情報1200として、撮像装置300の追加または現在配置されている撮像装置300の位置の変更を示す情報が警告表示出力されている。
【0081】
第4の実施形態によれば、撮像装置300で所定のエリア410を撮像する際に障害物411による死角の範囲を低減することが可能になる。これにより、測距ビーコン(第2の無線通信装置)で受信する電波401が障害物411によって減衰することを更に抑制することができ、追跡対象ビーコン(第1の無線通信装置)の位置の推定精度を更に向上させることが可能となる。
【0082】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本発明に含まれる。
【0083】
なお、上述した本発明の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0084】
本発明の実施形態の開示は、以下の構成、方法及びプログラムを含む。
[構成1]
第1の無線通信装置の位置を検出するための所定のエリアを撮像装置で撮像することで得られた画像に基づいて、前記所定のエリアに存在する障害物の位置情報を取得する取得手段と、
前記第1の無線通信装置から電波を受信する複数の第2の無線通信装置の位置情報と、前記障害物の位置情報とに基づいて、前記複数の第2の無線通信装置のうち、位置を変更すべき第2の無線通信装置における変更先の位置を示す情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
[構成2]
前記出力手段は、
前記位置を変更すべき第2の無線通信装置における変更先の位置として、当該第2の無線通信装置が前記障害物を含む所定の範囲の範囲内に位置している場合に前記所定の範囲の範囲外の位置を示す情報を出力する
ことを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
[構成3]
前記出力手段は、
前記位置を変更すべき第2の無線通信装置における変更先の位置として、当該第2の無線通信装置が他の第2の無線通信装置との間に前記障害物が存在している場合に前記他の第2の無線通信装置との間に前記障害物が存在しない位置を示す情報を出力する
ことを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
[構成4]
前記複数の第2の無線通信装置で受信した前記電波の電波強度に基づいて、前記第1の無線通信装置の位置を検出する検出手段を更に備え、
前記出力手段は、
前記位置を変更すべき第2の無線通信装置における変更先の位置として、当該第2の無線通信装置が前記第1の無線通信装置との間に前記障害物が存在している場合に前記第1の無線通信装置との間に前記障害物が存在しない位置を示す情報を出力する
ことを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
[構成5]
前記出力手段は、
前記位置を変更すべき第2の無線通信装置における変更先の位置として、候補となる複数の位置がある場合に、前記複数の位置のうち、当該第2の無線通信装置と他の第2の無線通信装置との距離の合計値が最大となる位置を示す情報を出力する
ことを特徴とする構成1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
[構成6]
前記出力手段は、
前記位置を変更すべき第2の無線通信装置における変更先の位置として、候補となる複数の位置がある場合に、前記複数の位置のうち、当該第2の無線通信装置の移動距離が最小となる位置を示す情報を出力する
ことを特徴とする構成1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
[構成7]
前記出力手段は、
前記障害物の位置情報を更に出力する
ことを特徴とする構成1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
[構成8]
前記出力手段は、
前記撮像装置で前記所定のエリアを撮像する際に前記障害物による死角の範囲が閾値を超える場合に、前記撮像装置の追加または前記撮像装置の位置の変更を示す情報を更に出力する
ことを特徴とする構成1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
[方法1]
第1の無線通信装置の位置を検出するための所定のエリアを撮像装置で撮像することで得られた画像に基づいて、前記所定のエリアに存在する障害物の位置情報を取得する取得ステップと、
前記第1の無線通信装置から電波を受信する複数の第2の無線通信装置の位置情報と、前記障害物の位置情報とに基づいて、前記複数の第2の無線通信装置のうち、位置を変更すべき第2の無線通信装置における変更先の位置を示す情報を出力する出力ステップと
を備えることを特徴とする情報処理方法。
[プログラム1]
コンピュータを、構成1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0085】
10:情報処理システム、20:ユーザー、100:情報処理装置、101:CPU、102:ROM、103:RAM、104:入力デバイス、105:出力デバイス、106:通信デバイス、107:バス、110:処理部、111:入出力制御部、112:通信制御部、113:受信電波情報処理部、114:測距ビーコン位置記憶部、115:追跡対象ビーコン位置検出部、116:撮像装置位置記憶部、117:障害物認識部、118:障害物位置情報取得部、119:推奨位置決定部、120:入出力部、121:入力部、122:出力部、130:通信インターフェース部、210:ネットワーク、220:ネットワーク、230:無線ネットワーク、300:撮像装置、400:追跡対象ビーコン、401:電波、410:所定のエリア、411:障害物、510~530:測距ビーコン