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特開2024-160815空気入りタイヤ用ゴム組成物および空気入りタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160815
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ用ゴム組成物および空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20241108BHJP
   C08K 5/1515 20060101ALI20241108BHJP
   C08K 5/06 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C08L9/00
C08K5/1515
C08K5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076214
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中路 洋輔
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC081
4J002ED036
4J002EL026
4J002FD010
4J002FD030
4J002FD140
4J002FD150
4J002GN01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】植物由来のオイルを使用する場合であっても、ムーニー粘度およびゴム硬度が過度に上昇することを抑制した空気入りタイヤ用ゴム組成物を提供すること。
【解決手段】ジエン系ゴムおよび下記式(1)に記載のカシューナッツシェルリキッド由来化合物のフェノール性水酸基を変性した変性化合物A

(式(1)中、R1は主鎖または側鎖に二重結合を有してもよい炭素数10~20の有機基であり、R2およびR3は水素原子、水酸基またはカルボキシル基である)を含有することを特徴とする空気入りタイヤ用ゴム組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴムおよび下記式(1)に記載のカシューナッツシェルリキッド由来化合物のフェノール性水酸基を変性した変性化合物A
【化1】
(式(1)中、R1は主鎖または側鎖に二重結合を有してもよい炭素数10~20の有機基であり、R2およびR3は水素原子、水酸基またはカルボキシル基である)を含有することを特徴とする空気入りタイヤ用ゴム組成物。
【請求項2】
前記変性化合物Aが、前記式(1)に記載のカシューナッツシェルリキッド由来化合物のフェノール性水酸基をエポキシ化したエポキシ化物またはアルキレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド付加物である請求項1に記載の空気入りタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
前記変性化合物Aが、下記式(2)に記載の化合物、
【化2】
下記式(3)に記載の化合物、
【化3】
および下記式(4)に記載の化合物
【化4】
からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の空気入りタイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
前記ジエン系ゴムの全量を100質量部としたとき、前記変性化合物Aを3~15質量部含有する請求項1に記載の空気入りタイヤ用ゴム組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の空気入りタイヤ用ゴム組成物の加硫ゴムを少なくとも備える空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤ用ゴム組成物および空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、空気入りタイヤ用ゴム組成物に可塑剤としてアロマオイルを配合することが一般的であった。しかしながら、近年はSDGsを意識した社会構築に向けて、石油由来資源であるアロマオイルを代替する要求が高まっており、空気入りタイヤを製造する際に植物由来のオイルを使用することが望まれている。
【0003】
下記特許文献1には、ゴム成分と、カシューオイルおよび液化木材から選択される少なくとも1種を含む液状芳香族含有化合物と、フィラーとを含むゴム組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-53282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、液状芳香族含有化合物の数平均分子量を規定しつつ、液状芳香族含有化合物の反応性を利用して高分子化させることで、得られる加硫ゴムの高剛性化や低転がり抵抗化を図っている。ただし、本発明者が鋭意検討したところ、カシューナッツシェルリキッド由来化合物をゴム中で混練すると、特にムーニー粘度が上昇し、かつゴム硬度が過度に上昇するため、カシューナッツシェルリキッド由来化合物を可塑剤として利用することに限界があることが判明した。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、植物由来のオイルを使用する場合であっても、ムーニー粘度およびゴム硬度が過度に上昇することを抑制した空気入りタイヤ用ゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は下記構成により解決し得る。すなわち本発明は、ジエン系ゴムおよび下記式(1)に記載のカシューナッツシェルリキッド由来化合物のフェノール性水酸基を変性した変性化合物A
【化1】
(式(1)中、R1は主鎖または側鎖に二重結合を有してもよい炭素数10~20の有機基であり、R2およびR3は水素原子、水酸基またはカルボキシル基である)を含有することを特徴とする空気入りタイヤ用ゴム組成物(1)に関する。
【0008】
上記空気入りタイヤ用ゴム組成物(1)において、前記変性化合物Aが、前記式(1)に記載のカシューナッツシェルリキッド由来化合物のフェノール性水酸基をエポキシ化したエポキシ化物またはアルキレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド付加物である空気入りタイヤ用ゴム組成物(2)が好ましい。
【0009】
上記空気入りタイヤ用ゴム組成物(1)または(2)において、前記変性化合物Aが、下記式(2)に記載の化合物、
【化2】
下記式(3)に記載の化合物、
【化3】
および下記式(4)に記載の化合物
【化4】
からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である空気入りタイヤ用ゴム組成物(3)が好ましい。
【0010】
上記空気入りタイヤ用ゴム組成物(1)~(3)のいずれかにおいて、前記ジエン系ゴムの全量を100質量部としたとき、前記変性化合物Aを3~15質量部含有する空気入りタイヤ用ゴム組成物(4)が好ましい。
【0011】
また、本発明は上記空気入りタイヤ用ゴム組成物(1)~(4)のいずれかの空気入りタイヤ用ゴム組成物の加硫ゴムを少なくとも備える空気入りタイヤに関する。
【発明の効果】
【0012】
上記式(1)に記載のカシューナッツシェルリキッド由来化合物は植物由来のオイルであって、フェノール性水酸基を有し、かかるフェノール性水酸基は反応性が高い。したがって、空気入りタイヤ用ゴム組成物中に配合し、混練すると、フェノール性水酸基の高い反応性に起因して、式(1)に記載のカシューナッツシェルリキッド由来化合物が高分子化することで、ムーニー粘度およびゴム硬度が過度に上昇する傾向があった。一方、本発明に係る空気入りタイヤ用ゴム組成物は、下記式(1)に記載のカシューナッツシェルリキッド由来化合物のフェノール性水酸基を変性した変性化合物Aを含有する。かかる変性化合物Aは、変性前の化合物に比して反応性が低下しているため、空気入りタイヤ用ゴム組成物中に配合され、混練されても、高分子化が抑制される。その結果、空気入りタイヤ用ゴム組成物のムーニー粘度および加硫後のゴム硬度がそれぞれ過度に上昇することを抑制することができる。特に、上記式(1)に記載のカシューナッツシェルリキッド由来化合物のフェノール性水酸基をエポキシ化したエポキシ化物またはアルキレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド付加物を配合した場合、空気入りタイヤ用ゴム組成物のムーニー粘度および加硫後のゴム硬度がそれぞれ過度に上昇することをさらに抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る空気入りタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴムおよび下記式(1)に記載のカシューナッツシェルリキッド由来化合物のフェノール性水酸基を変性した変性化合物A
【化5】
を含有する。式(1)中、R1は主鎖または側鎖に二重結合を有してもよい炭素数10~20の有機基であり、R2およびR3は水素原子、水酸基またはカルボキシル基である。カシューナッツシェルリキッド由来化合物のフェノール性水酸基は反応性が高いため、カシューナッツシェルリキッド由来化合物を未変性の状態で空気入りタイヤ用ゴム組成物に配合すると、カシューナッツシェルリキッド由来化合物の高分子化に起因して、ムーニー粘度およびゴム硬度が過度に上昇する傾向があった。しかしながら、本発明ではカシューナッツシェルリキッド由来化合物のフェノール性水酸基を変性した変性化合物Aを配合するため、空気入りタイヤ用ゴム組成物のムーニー粘度および加硫後のゴム硬度がそれぞれ過度に上昇することを抑制することができる。
【0014】
本発明においては、上記変性化合物Aとして、上記式(1)に記載のカシューナッツシェルリキッド由来化合物のフェノール性水酸基をエポキシ化したエポキシ化物またはアルキレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド付加物を使用する場合、空気入りタイヤ用ゴム組成物のムーニー粘度の上昇および加硫後のゴム硬度が過度に上昇することをさらに抑制することができるため好ましい。式(1)に記載のカシューナッツシェルリキッド由来化合物のフェノール性水酸基をエポキシ化したエポキシ化物またはアルキレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド付加物の具体例としては、例えば下記式(2)に記載の化合物、
【化6】
下記式(3)に記載の化合物、
【化7】
および下記式(4)に記載の化合物
【化8】
が挙げられる。上記式(2)に記載の化合物、式(3)に記載の化合物および式(4)に記載の化合物は、空気入りタイヤ用ゴム組成物中に単独で配合してもよく、2種以上を混合して配合してもよい。
【0015】
空気入りタイヤ用ゴム組成物のムーニー粘度および加硫後のゴム硬度がそれぞれ過度に上昇することを抑制するために、空気入りタイヤ用ゴム組成物中に配合する変性化合物Aの配合量は、ジエン系ゴムの全量を100質量部としたとき、3~15質量部であることが好ましい。
【0016】
本発明に係る空気入りタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴムを含有する。ジエン系ゴムとしては、例えば水中での乳化重合法(ラジカル重合法)により得られる乳化重合ポリスチレンブタジエンゴム(以下、「E-SBR」ともいう)および溶液重合ポリスチレンブタジエンゴム(以下、「S-SBR」ともいう)などのスチレンブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴムなどが挙げられる。
【0017】
本発明に係る空気入りタイヤ用ゴム組成物は、可塑剤としてアロマオイルを含有してもよいが、SDGsの観点から配合量はできるだけ少ないことが好ましく、具体的にはジエン系ゴムの全量を100質量部としたとき、アロマオイルの配合量は50質量部以下であることが好ましい。
【0018】
本発明に係る空気入りタイヤ用ゴム組成物は、充填剤としてカーボンブラックを含有しても良い。カーボンブラックは、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなど、通常のゴム工業で使用されるカーボンブラックの他、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを使用することができる。本発明に係る空気入りタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴムの全量を100質量部としたとき、カーボンブラックを10~100質量部配合することが好ましく、20~90質量部含有することがより好ましい。
【0019】
また、充填剤としてシリカを含有することも好ましい。シリカとしては、通常のゴム補強に用いられる湿式シリカ、乾式シリカ、ゾル-ゲルシリカ、表面処理シリカなどが用いられる。なかでも、湿式シリカが好ましい。
【0020】
充填剤としてシリカを含有する場合、併せてシランカップリング剤を含有することも好ましい。シランカップリング剤としては、分子中に硫黄を含むものであれば特に限定されず、ゴム組成物においてシリカとともに配合される各種のシランカップリング剤を用いることができる。例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグサ社製「Si69」)、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグサ社製「Si75」)、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエキトシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィドシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどの保護化メルカプトシランが挙げられる。
【0021】
本発明に係る空気入りタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴムと、変性化合物Aとを必須成分として配合し、必要に応じてカーボンブラック、シリカおよびシランカップリング剤などを配合することに加え、さらに加硫系配合剤、老化防止剤、ステアリン酸、ワックスなどの軟化剤、加工助剤などを配合することができる。
【0022】
老化防止剤としては、ゴム用として通常用いられる、芳香族アミン系老化防止剤、アミン-ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤などの老化防止剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。老化防止剤の含有量は、ジエン系ゴムの全量を100質量部としたとき、1~5質量部であることが好ましい。
【0023】
加硫系配合剤としては、硫黄、有機過酸化物などの加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤などが挙げられる。
【0024】
加硫系配合剤としての硫黄は通常のゴム用硫黄であればよく、例えば粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などを用いることができる。加硫後のゴム物性や耐久性などを考慮した場合、ジエン系ゴムの全量を100質量部としたとき、硫黄の配合量は硫黄分換算で0.1~5質量部が好ましく、0.5~3.5質量部がより好ましい。
【0025】
加硫促進剤としては、ゴム加硫用として通常用いられる、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などの加硫促進剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。ジエン系ゴムの全量を100質量部としたとき、加硫促進剤の配合量は、0.5~3.5質量部が好ましい。
【0026】
本発明に係る空気入りタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴム、変性化合物A、必要に応じてカーボンブラック、シリカおよびシランカップリング剤、加硫系配合剤、老化防止剤、ステアリン酸、ワックスなどの軟化剤、加工助剤を、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの通常のゴム工業において使用される混練機を用いて混練りすることにより得られる。
【0027】
また、上記各成分の配合方法は特に限定されず、硫黄系加硫剤、および加硫促進剤などの加硫系配合剤以外の配合成分を予め混練してマスターバッチとし、残りの成分を添加してさらに混練する方法、各成分を任意の順序で添加し混練する方法、全成分を同時に添加して混練する方法などのいずれでもよい。
【0028】
本発明に係る空気入りタイヤ用ゴム組成物は、植物由来のオイルであるカシューナッツシェルリキッド由来化合物を使用するため、環境に優しく、かつ空気入りタイヤ用ゴム組成物のムーニー粘度および加硫後のゴム硬度がそれぞれ過度に上昇することを抑制することができる。このため、特に環境面に考慮した空気入りタイヤ用途、特には空気入りタイヤのトレッド部材用として特に有用である。
【実施例0029】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例などについて説明する。なお、実施例などにおける評価項目は、各ゴム組成物を160℃にて20分間加熱、加硫して得られたゴムサンプルを下記の評価条件に基づいて評価を行った。
【0030】
(ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4(100℃)))
JIS K6300-1:2013に準拠して測定した。表1中、比較例1の空気入りタイヤ用ゴム組成物のムーニー粘度を100とした指数で示した。なお、比較例1はアロマオイルを配合した空気入りタイヤ用ゴム組成物であって、その加硫ゴムは、空気入りタイヤ用ゴム組成物として適切なムーニー粘度を備えるものである。したがって、比較例1の空気入りタイヤ用ゴム組成物を100としたとき、±5であれば空気入りタイヤ用途として適していることを意味する。
【0031】
(加硫ゴム硬度(23°C))
JIS K6253に準拠して、デュロメーターのタイプAにより温度23°Cでの硬度を測定した。表1中、比較例1の加硫ゴム硬度を100とした指数で示した。なお、比較例1はアロマオイルを配合した空気入りタイヤ用ゴム組成物であって、その加硫ゴムは、空気入りタイヤ用途の加硫ゴムとして適切なゴム硬度を備えるものである。したがって、比較例1で製造した加硫ゴムのゴム硬度を100としたとき、±7であれば空気入りタイヤ用途として適していることを意味する。
【0032】
(ゴム組成物の調製)
表1-2の配合処方に従い、実施例1-8および比較例1-7のゴム組成物を配合し、通常のバンバリーミキサーを用いて混練し、ゴム組成物を調整した。表に記載の各配合剤を以下に示す(表1-2において、各配合剤の配合量を、ゴム成分100質量部に対する質量部数で示す)。
【0033】
・SBR;ENEOSマテリアル社製「SBR1502」
・カーボンブラック;東海カーボン社製「N339シーストKH」
・ワックス;日本精蝋社製「OZOACE0355」
・ステアリン酸;花王社製「ルナックS-20」
・老化防止剤;大内新興化学工業社製「ノクラック6C」
・酸化亜鉛;三井金属鉱業社製「酸化亜鉛2種」
・加硫促進剤1;大内新興化学工業社製「ノクセラーD」
・アロマオイル;ENEOS社製「プロセスNC-140」
・未変性カシューナッツシェルリキッド由来化合物(1);Cardolite社製「NC-360」(25000-40000cps(25℃))
・未変性カシューナッツシェルリキッド由来化合物(2);Cardolite社製「NX-5205」(32000-42000cps(25℃))
・変性化合物A-(1)(式(1)に記載のカシューナッツシェルリキッド由来化合物のフェノール性水酸基をエポキシ化したエポキシ化物であって、式(2)に記載の化合物);Cardolite社製「NC-513」(40-70cps(25℃))
・変性化合物A-(2)(式(1)に記載のカシューナッツシェルリキッド由来化合物のフェノール性水酸基に対し、アルキレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド付加物であって、式(3)に記載の化合物);Cardolite社製「LITE2020」(30-115cps(25℃))
・変性化合物A-(3)(式(1)に記載のカシューナッツシェルリキッド由来化合物のフェノール性水酸基に対し、アルキレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド付加物であって、式(4)に記載の化合物);Cardolite社製「NX-7507」(180cps(25℃))
・加硫促進剤2;住友化学社製「ソクシノールCZ」
・硫黄;鶴見化学工業社製「粉末硫黄」
【0034】
【表1】
【0035】
表1の結果から、未変性カシューナッツシェルリキッド由来化合物(1)および(2)を配合した場合、フェノール性水酸基の反応性が高く、未変性カシューナッツシェルリキッド由来化合物(1)および(2)の高分子化に起因して、ゴム組成物のムーニー粘度が上昇し、かつ加硫ゴムのゴム硬度が過度に上昇した。このような傾向は、未変性カシューナッツシェルリキッド由来化合物(1)および(2)の配合量が増加するに伴い顕著であった。
【0036】
【表2】
【0037】
表2の結果から、変性化合物A-(1)、変性化合物A-(2)および変性化合物A-(3)を配合した場合、反応性が高いフェノール性水酸基が変性(置換)されているため、ゴム組成物中で安定化すること起因して、ゴム組成物のムーニー粘度の上昇を抑制し、かつ加硫ゴムのゴム硬度の上昇も抑制できていることがわかる。このような傾向は、変性化合物A-(1)、変性化合物A-(2)および変性化合物A-(3)の配合量が増加しても同様であり、配合量如何を問わず効果を奏することがわかる。