(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160816
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】保守装置、実装装置及び実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20241108BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20241108BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/02 Z
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076215
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小坂井 康貴
(72)【発明者】
【氏名】内藤 真治
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 光孝
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353AA02
5E353CC01
5E353CC04
5E353EE31
5E353EE32
5E353EE35
5E353GG02
5E353HH01
5E353HH13
5E353HH26
5E353HH30
5E353HH32
5E353HH40
5E353HH71
5E353HH80
5E353JJ21
5E353JJ48
5E353JJ52
5E353JJ60
5E353KK01
5E353LL04
5E353NN18
5E353NN20
5E353QQ08
5E353QQ09
(57)【要約】
【課題】部品を供給するフィーダの保守作業をより効率的に実行する。
【解決手段】本開示の保守装置は、装着部に接続及び接続解除可能である接続部を備え部品を供給するフィーダと、接続部と接続可能な装着部を複数有し装着部に装着されたフィーダにより供給された部品を採取し対象物に実装処理する実装部を備えた実装装置に用いられる装置である。この保守装置は、装着部に接続及び接続解除可能である接続部と、装着部に装着されたフィーダが有する実装処理に関係する所定部位を保守する1種以上の保守部材を実装部が取り出し可能な状態で保持する保持部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着部に接続及び接続解除可能である接続部を備え部品を供給するフィーダと、前記接続部と接続可能な前記装着部を複数有し前記装着部に装着されたフィーダにより供給された部品を採取し対象物に実装処理する実装部を備えた実装装置に用いられる保守装置であって、
前記装着部に接続及び接続解除可能である接続部と、
前記装着部に装着されたフィーダが有する前記実装処理に関係する所定部位を保守する1種以上の保守部材を前記実装部が取り出し可能な状態で保持する保持部と、
を備えた保守装置。
【請求項2】
前記保守部材には、前記フィーダの所定部位にエアブローを行う1種以上のエアブロー用ノズル、及び前記フィーダの所定部位に当接し異物除去を行うフィーダ清掃用部材のうち1以上を含む、請求項1に記載の保守装置。
【請求項3】
前記所定部位には、前記フィーダの基準座標を示す基準部、前記フィーダの高さ方向の基準となる高さ測定部、部品を保持したベーステープを覆うカバーテープを剥離するテープガイドカッタのうち1以上を含む、請求項1又は2に記載の保守装置。
【請求項4】
前記保守装置は、前記フィーダと同様の外形を有する、請求項1又は2に記載の保守装置。
【請求項5】
前記保持部は、該保守装置の筐体の上面であって前記フィーダにおける部品採取位置を含む採取領域に該当する領域に配設されている、請求項1又は2に記載の保守装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の保守装置であって、
前記実装装置の実装部に装着され前記部品を採取する採取部材を保守する採取部材清掃用ブラシ、を備える保守装置。
【請求項7】
部品を供給するフィーダが備える接続部に接続及び接続解除可能である装着部と、
前記装着部に装着されたフィーダにより供給された部品を採取し対象物に実装処理する実装部と、
請求項1に記載の保守装置と、前記部品を供給するフィーダと、が前記装着部に装着されており、前記実装処理を実行する生産と生産との間に所定の隙間時間があるときには、前記保守装置に保持された前記保守部材を前記実装部に装着させ、該保守部材を用いて前記フィーダが有する実装処理に関係する所定部位に対して保守作業を実行させる制御部と、
を備えた実装装置。
【請求項8】
前記保守装置は、前記フィーダの所定部位にエアブローを行う1種以上のエアブロー用ノズル、及び前記フィーダの所定部位に当接し異物除去を行うフィーダ清掃用部材のうち1以上を前記保守部材として含み、
前記制御部は、以下に示す(1)~(6)の作業のいずれか1以上を実行させる、請求項7に記載の実装装置。
(1)前記エアブロー用ノズルを前記実装部に装着し、前記フィーダが有する前記フィーダの基準座標を示す基準部を前記所定部位としてエアブローさせる。
(2)前記フィーダ清掃用部材を前記実装部に装着し、前記フィーダが有する前記フィーダの基準座標を示す基準部を前記所定部位として異物除去させる。
(3)前記エアブロー用ノズルを前記実装部に装着し、前記フィーダが有する前記フィーダの高さ方向の基準となる高さ測定部を前記所定部位としてエアブローさせる。
(4)前記フィーダ清掃用部材を前記実装部に装着し、前記フィーダが有する前記フィーダの高さ方向の基準となる高さ測定部を前記所定部位として異物除去させる。
(5)前記エアブロー用ノズルを前記実装部に装着し、前記フィーダが有する部品を保持したベーステープを覆うカバーテープを剥離するテープガイドカッタを前記所定部位としてエアブローさせる。
(6)前記フィーダ清掃用部材を前記実装部に装着し、前記フィーダが有する部品を保持したベーステープを覆うカバーテープを剥離するテープガイドカッタを前記所定部位として異物除去させる。
【請求項9】
前記保守装置は、前記実装装置の実装部に装着され前記部品を採取する採取部材を保守する採取部材清掃用ブラシ、を備え、
前記制御部は、前記実装部に装着された採取部材を前記採取部材清掃用ブラシに当接させて該採取部材に付着した異物を除去させる、請求項7又は8に記載の実装装置。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の実装装置であって、
保守作業した前記フィーダの識別情報と保守作業内容とを保守作業情報として記憶する記憶部、を備え、
前記制御部は、前記保守作業を行ったあと、前記保守作業情報を前記記憶部に記憶させる、実装装置。
【請求項11】
装着部に接続及び接続解除可能である接続部を備え部品を供給するフィーダと、前記接続部と接続可能な前記装着部を複数有し前記装着部に装着されたフィーダにより供給された部品を採取し対象物に実装処理する実装部を備えた実装装置と、
前記実装装置を少なくとも1台含む生産ラインに配設され前記フィーダの接続部と接続及び接続解除可能な装着部を複数備え1以上の前記フィーダを保管する保管装置と、
前記実装装置と前記実装装置との間及び/又は前記実装装置と前記保管装置との間を移動し前記フィーダを収容すると共に、前記実装装置及び/又は前記保管装置の装着部に自動着脱する移動型作業装置と、を備え、
請求項1に記載の保守装置が前記実装装置、前記保管装置及び前記移動型作業装置のうち1以上に装着又は収容されている、実装システム。
【請求項12】
前記実装装置が前記保守装置を用いて保守作業しているときに、前記移動型作業装置は、該実装装置の前にて保守作業対象の前記フィーダに対して接続解除及び接続確認作業を保守作業として実行する、請求項11に記載の実装システム。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の実装システムであって、
保守作業した前記フィーダの識別情報と保守作業内容とを保守作業情報として記憶する記憶部と、前記生産ラインの情報を管理する情報管理装置と、を備え、
前記情報管理装置は、前記実装部が前記保守作業を行ったあと、前記保守作業情報を前記記憶部に記憶させる、請求項11又は12に記載の実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、保守装置、実装装置及び実装システムを開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、基板などの対象物に対して部品を実装する実装システムでは、実装装置の吸着ノズルを清掃するノズル清掃ユニットを移動型作業装置(ローダ)によって自動交換し、フィーダを装着する装着部にこのユニットをセットし、実装ヘッドに装着された吸着ノズルをこのユニットを用いて清掃するものが提案されている(例えば、特許文献1など参照)。この実装装置では、フィーダの自動交換に加えて、ノズル清掃ユニットを自動交換し、吸着ノズルの保守作業を実行できるから、吸着ノズルの保守作業をより効率よく実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1では、吸着ノズルの清掃は考慮されていたが、他の実装処理に関する部材については十分考慮されているとはいえなかった。例えば、フィーダは、部品供給装置であるが、可動部分に異物が付着することや、この異物などが更に電気的接続に影響がある場合があるなど、フィーダに対しても保守作業の更なる効率化が求められていた。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、部品を供給するフィーダの保守作業をより効率的に実行することができる保守装置、実装装置及び実装システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する保守装置、実装装置及び実装システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の保守装置は、
装着部に接続及び接続解除可能である接続部を備え部品を供給するフィーダと、前記接続部と接続可能な前記装着部を複数有し前記装着部に装着されたフィーダにより供給された部品を採取し対象物に実装処理する実装部を備えた実装装置に用いられる保守装置であって、
前記装着部に接続及び接続解除可能である接続部と、
前記装着部に装着されたフィーダが有する前記実装処理に関係する所定部位を保守する1種以上の保守部材を前記実装部が取り出し可能な状態で保持する保持部と、
を備えたものである。
【0008】
この保守装置は、実装装置において、フィーダが装着される複数ある装着部のいずれかにまず装着される。また、この保守装置は、フィーダが有する実装処理に関係する所定部位を保守する1種以上の保守部材を実装部によって取り出し可能な状態で保持している。このため、実装装置の実装部は、例えば、空き時間などに保守部材を取り出してフィーダの保守作業を実行することができる。したがって、この保守装置では、部品を供給するフィーダの保守作業をより効率的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実装装置15及びローダ18の構成の概略を示す説明図。
【
図4】フィーダ60のテープガイド65の一例を示す説明図。
【
図6】記憶部23に記憶された保守作業情報25の一例を示す説明図。
【
図7】保守作業処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【
図8】実装ヘッド32に保守部材83を取り付けて保守作業を行う説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1は、本開示である実装システム10の一例を示す概略説明図である。
図2は、実装装置15及び移動型作業装置であるローダ18の構成の概略を示す説明図である。
図3は、フィーダ60の一例を示す説明図である。
図4は、フィーダ60の上面に配設されたテープガイド65の一例を示す説明図である。
図5は、保守装置80の一例を示す説明図である。
図6は、実装装置15の記憶部23に記憶された保守作業情報25の一例を示す説明図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図1~5に示した通りとする。なお、
図3~5に示すように、フィーダ60及び保守装置80では、便宜的に接続部64,84側を前側とした。
【0011】
実装システム10は、例えば、処理対象物としての基板Sに部品Pを実装処理する実装装置15が基板Sの搬送方向に配列された生産ラインとして構成されている。ここでは、処理対象物を基板Sとして説明するが、部品を実装するものであれば特に限定されず、3次元形状の基材としてもよい。この実装システム10は、
図1に示すように、印刷装置11と、印刷検査装置12と、保管装置13と、管理装置14と、実装装置15と、自動搬送車16と、ローダ18と、統括装置19などを含んで構成されている。印刷装置11は、基板Sにはんだペーストなどの粘性流体を印刷する装置である。印刷検査装置12は、印刷されたはんだや基板Sの状態を検査する装置である。
【0012】
実装装置15は、部品を採取して基板Sへ実装させる装置である。実装装置15は、実装制御部20と、記憶部23と、基板処理部26と、供給部27と、実装部30と、撮像部34と、通信部35と、ノズルステーション36とを備える。実装制御部20は、
図2に示すように、CPU21を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、装置全体の制御を司る。この実装制御部20は、基板処理部26や供給部27、実装部30へ制御信号を出力し、部品を実装部30に採取させる一方、基板処理部26や供給部27、実装部30からの信号を入力する。記憶部23には、実装条件情報24や保守作業情報25などが記憶されている。実装条件情報24は、生産ジョブであり、部品Pの情報や部品Pを基板Sへ実装する配置順、配置位置、部品を採取するフィーダ60の装着位置、使用する採取部材33などの情報が含まれている。この実装条件情報24は、実装効率が高い採取順及び配置順などを統括装置19が作成し、統括装置19から送信されて記憶部23に記憶される。保守作業情報25は、フィーダ60に対して実行された保守作業の内容や、採取部材33に対して実行された保守作業の内容などを含む情報である。保守作業情報25は、
図6に示すように、総使用時間、前回の保守からの経過時間、保守作業内容として、エアブロー、当接清掃及び抜き差し確認の実行された日時及び経過時間などが含まれ、これらが識別情報に対応付けられている。保守作業情報25は、フィーダ60や採取部材33の保守作業が行われると、現状の内容に適宜更新される。
【0013】
基板処理部26は、基板Sの搬入、搬送、実装位置での固定、搬出を行うユニットである。基板処理部26は、前後方向に間隔を開けて設けられ左右方向に架け渡された1対のコンベアベルトを有している。基板Sはこのコンベアベルトにより搬送される。基板処理部26は、このコンベアベルトを2対備えており、同時に2つの基板Sを搬送固定することができる。
【0014】
供給部27は、実装部30へ部品を供給するユニットである。この供給部27は、部品供給装置としてのフィーダ60を1以上の装着部に装着している。供給部27は、
図2に示すように、前方にフィーダ60を装着可能な上下2つの装着部を有する。上段は実装部30が部品を採取可能な実装用装着部28であり、下段は実装部30が部品を採取できないバッファ用装着部29である。ここでは、実装用装着部28及びバッファ用装着部29を装着部と総称する。装着部は、部品Pを供給するフィーダ60が備える接続部64に接続及び接続解除可能に構成されている。実装用装着部28は、実装ヘッド32によって部品が採取されるフィーダ60が装着される。また、実装用装着部28は、空きがあるときには、次の生産に使用する段取り替え用のフィーダ60が事前に配膳される。バッファ用装着部29は、次に使用されるフィーダ60や、使用後のフィーダ60を一時的に保管するときに用いられる。このバッファ用装着部29には、部品切れで交換する補給用のフィーダ60や次の生産に使用する段取り替え用のフィーダ60などが事前に配膳される。この供給部27は、所定間隔でX方向に複数配列されフィーダ60のレール部材69が挿入されるスロット38と、フィーダ60の先端に設けられた接続部64が接続される接続部39とを備えた装着部が配設されている。
【0015】
実装部30は、フィーダ60の接続部64と接続可能な装着部を複数有する供給部27の装着部に装着されたフィーダ60により供給された部品Pを採取し、処理対象物としての基板Sに実装処理するユニットである。実装部30は、ヘッド移動部31と、実装ヘッド32と、採取部材33とを備えている。ヘッド移動部31は、ガイドレールに導かれてXY方向へ移動するスライダと、スライダを駆動するモータとを備えている。実装ヘッド32は、1以上の部品Pを採取してヘッド移動部31によりXY方向へ移動するものである。この実装ヘッド32は、スライダに取り外し可能に装着されている。実装ヘッド32の下面には、1以上の採取部材33としてのノズルが取り外し可能に取り付けられている。ノズルは、負圧を利用して部品Pを採取するものである。なお、部品Pを採取する採取部材33は、ノズルのほか、部品Pを機械的に保持するメカニカルチャックなどとしてもよい。
【0016】
撮像部34は、実装ヘッド32に採取され保持された1以上の部品Pの画像を下方から撮像する装置である。撮像部34は、部品Pを採取した実装ヘッド32が撮像部34の上方を通過する際、部品Pの画像を撮像し、撮像画像を実装制御部20へ出力する。実装制御部20は、この撮像画像を用いて、部品Pの採取状態を検出する。通信部35は、管理装置14や統括装置19などの外部機器と情報のやりとりを行うインタフェースである。ノズルステーション36は、実装部30の実装ヘッド32に取り付けられる、ノズルなどの採取部材33を収容するものである。ノズルステーション36に収容された採取部材33は、実装時など必要に応じて実装ヘッド32との間で交換される。
【0017】
フィーダ60は、部品Pを実装部30へ供給する部品供給装置として構成されている。フィーダ60は、
図3に示すように、テープ61が捲回されたリール62と、送り機構63と、接続部64と、テープガイド65と、レール部材69と、図示しないコントローラと、を備えている。このフィーダ60は、リール62を収容したカセット式のテープフィーダである。テープ61には、部品Pが保持されている。テープ61は、
図4に示すように、ベーステープ70と、カバーテープ71とを有している。ベーステープ70には、部品Pを収容する収容空間である収容部72が形成されている。部品Pは、収容部72に収容されている。また、ベーステープ70には、所定間隔で送り孔73が形成されている。この送り孔73には、送り機構63のスプロケットが挿入される。カバーテープ71は、透明な高分子フィルムなどにより構成された部材であり、部品Pが脱落しないように、ベーステープ70の上面に剥離可能に貼り付けられている。送り機構63は、スプロケットとこのスプロケットを回転駆動する駆動モータとを備える。駆動モータは例えば、ステッピングモータとしてもよい。接続部64は、実装用装着部28やバッファ用装着部29などの装着部に接続されるコネクタである。この接続部64が装着部に接続されると、フィーダ60のコントローラと外部機器の制御部とが通信可能に電気的に接続される。
【0018】
テープガイド65は、
図4に示すように、フィーダ60の筐体の上面側に配設され、テープ61の送り出しをガイドする部材である。このテープガイド65は、基準部66と、高さ測定部67と、テープガイドカッタ68と、採取領域74とを有している。この基準部66、高さ測定部67及びテープガイドカッタ68は、フィーダ60が有する実装処理に関する所定部位に含まれる。基準部66は、フィーダ60の基準座標を示す部位である。この基準部66は、記号、文字及び図形のうち1以上である基準マークとしてもよい。この基準部66は、例えば、円形の基準マークとしてもよい。高さ測定部67は、採取領域74で部品Pを採取する際のフィーダの高さ方向の基準となる部位である。高さ測定部67は、実装部30に配設されたセンサによりその高さが計測され、部品Pの採取の際の高さ方向の補正に用いられる。テープガイドカッタ68は、部品Pを保持したベーステープ70を覆うカバーテープ71を剥離する部材である。このテープガイドカッタ68は、カバーテープ71に差し込まれてベーステープ70からカバーテープ71を剥離する。テープガイドカッタ68は、先端に形成された比較的幅の狭い舌部68aと、舌部68aに接続し舌部68aよりも幅広に形成された刃部68bとを有する。テープガイドカッタ68では、舌部68aがカバーテープ71に挿入され、刃部68bがカバーテープ71を剥離させる。テープ61は、カバーテープ71がテープガイドカッタ68によって剥離された状態で、部品Pを採取部材33で採取する採取領域74へ送り機構63によって送り出される。レール部材69は、各装着部のスロットに形成された溝に差し込まれるレール状の部位である。採取領域74は、フィーダ60の筐体の上面であって、部品Pを採取する部品採取位置74aを含み、左右方向はフィーダ60の幅であって、前後方向は供給部27の装着部に装着された際に実装ヘッド32が移動することができる領域としてもよい。採取領域74は、筐体の上面且つ接続部64側にあるものとしてもよい。部品採取位置74aは、収容部72が露出するよう開口しており、部品Pを採取部材33で採取する位置である。コントローラは、フィーダ60に含まれるテープのIDや部品種別、部品残数などの情報を記憶している。フィーダ60がいずれかの装置へ接続されると、このコントローラはフィーダ60の情報をその装置の制御部へ送信する。
【0019】
保守装置80は、フィーダ60や採取部材33の保守作業を行う部材を保持した装置である。保守装置80は、携帯式の簡易的な装置として構成されており、実装装置15、保管装置13及びローダ18のうちいずれかに、1以上装着又は収容されているものとしてもよい。保守装置80は、
図5に示すように、筐体81と、保持部82と、保守部材83と、接続部84と、レール部材89と、を備える。筐体81は、リール62を収容したフィーダ60の筐体と同様の外形を有する。この筐体81は、先頭側に接続部84が配設され、この上面に保持部82が配設されている以外は、その内部は空洞としてもよい。保持部82は、供給部27の装着部に装着されたフィーダ60が有する実装処理に関係する所定部位を保守する1種以上の保守部材83を実装部30が取り出し可能な状態で保持する部位である。この保持部82は、保守装置80の筐体81の上面であって、フィーダ60における部品Pを採取する部品採取位置74aを含む採取領域74に該当する領域に配設されている。この保持部82は、例えば、左右方向は保守装置80の幅であって、前後方向は供給部27の装着部に装着された保守装置80の上面に対して実装ヘッド32が移動することができる領域にあるものとしてもよい。保持部82は、実装ヘッド32がアクセス可能であれば、特に限定されないが、筐体の上面且つ接続部84側にあることが好ましく、筐体の上面且つ接続部84の反対側にあるとしてもよい。保持部82は、フィーダ60と共に保守装置80が装着部に装着された際に、採取領域74側にある方が、実装ヘッド32のアクセスがしやすく好ましい。また、保持部82は、筐体81の上面であって、供給部27の装着部に装着される接続部84に近い側の領域に配設されている。保持部82には、第1保持部77や第2保持部78が含まれる。第1保持部77は、フィーダ清掃用部材86を取り出し可能に収容する収容部である。第2保持部78は、採取部材清掃用ブラシ87を取り出し可能に収容する収容部である。なお、保持部82には、採取部材33の清掃に用いられる採取部材清掃用ブラシ87を昇降可能に保持するブラシ保持部79も配設されている。
【0020】
保守部材83には、フィーダ60の所定部位にエアブローを行う1種以上のエアブロー用ノズル85や、フィーダ60の所定部位に当接し異物除去を行うフィーダ清掃用部材86などが含まれる。エアブロー用ノズル85は、実装ヘッド32に取り付けられ、図示しない圧力供給部からの圧縮空気を吐出する部材である。このエアブロー用ノズル85は、実装ヘッド32のシリンダに取り付けられる取付部75と、取付部75を介して圧縮空気を吐出する吐出管とを備える。フィーダ清掃用部材86は、実装ヘッド32に取り付けられ、図示しない実装ヘッド32の昇降部により昇降され、フィーダ60の所定部位へ当接して異物を除去する部材である。このフィーダ清掃用部材86は、実装ヘッド32のシリンダに取り付けられる取付部76と、フィーダ60の所定部位に接触し異物を除去する当接部とを備える。当接部は、例えば、比較的柔軟性を有する部材が好ましく、スポンジなどの発泡樹脂としてもよい。採取部材清掃用ブラシ87は、実装装置15の実装部30に取り付けられた状態において、部品Pを採取する採取部材33を保守する部材である。採取部材清掃用ブラシ87は、ブラシ保持部79の内部に収容されているが、採取部材33の清掃時には上昇され外部へ突出した状態で保持される。実装部30は、保守対象の採取部材33を採取部材清掃用ブラシ87の上部へ移動させ、採取部材清掃用ブラシ87に当接させて採取部材33に付着した異物を除去させる。
【0021】
接続部84は、実装用装着部28やバッファ用装着部29などの装着部に接続されるコネクタである。接続部84は、接続部64と同様の構造を有している。この接続部84が装着部に接続されると、フィーダ60のコントローラと外部機器の制御部とが通信可能に電気的に接続される。レール部材89は、各装着部のスロットに形成された溝に差し込まれるレール状の部位である。
【0022】
保管装置13は、実装装置15を少なくとも1台含む生産ラインに配設されフィーダ60の接続部64と接続及び接続解除可能な装着部を複数備え、1以上のフィーダ60を一時的に保管する装置である。保管装置13は、印刷検査装置12と実装装置15との間の搬送装置に隣接して設けられている。保管装置13は、
図1に示すように、左右に並設された装着部と、管理装置14と、を備える。装着部は、フィーダ60の接続部64が接続されると、保管装置13を制御する管理装置14とフィーダ60とが通信可能となる。管理装置14は、フィーダ60に関する情報、例えば、フィーダ60が保持している部品Pに関する情報などを取得する。なお、保管装置13では、自動搬送車16によりフィーダ60が運ばれるほか、作業者Wによりフィーダ60が運ばれてもよい。
【0023】
管理装置14は、フィーダ60の管理を行う情報処理装置として構成されており、ローダ18が実行する実行データなどを記憶し、保管装置13やローダ18を管理する。この管理装置14は、生産ラインとしての実装システム10の情報を管理する情報処理装置として構成されているものとしてもよい。管理装置14は、
図1に示すように、管理制御部40と、記憶部42と、通信部48と、表示部と、入力装置とを備えている。表示部は、各種情報を表示する液晶画面である。入力装置は、作業者Wが各種指令を入力するキーボード及びマウス等を含む。通信部48は、外部機器との通信を行うインタフェースである。管理制御部40は、CPU41を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、装置全体の制御を司る。記憶部42には、保管装置13やローダ18を制御するために用いられる情報として、複数の実装条件情報44を含む生産計画情報43や、保守作業情報45などが記憶されている。実装条件情報44は、特定の基板Sを生産する実装処理に関する情報を含み、統括装置19から送信されて記憶部42に記憶される。保守作業情報45は、保守作業情報25と同様の情報であり、フィーダ60や採取部材33の保守に関する情報が含まれている。
【0024】
自動搬送車16は、フィーダ60や、実装システム10で用いられる部材などを、生産ラインに配設された保管装置13と、図示しない準備施設との間で自動搬送するものである。自動搬送車16は、例えば、AGV(Automatic Guided Vehicle)やAMR(Autonomous Mobile Robot)として構成されている。
【0025】
ローダ18は、移動型作業装置であり、実装システム10の正面の移動領域内(
図1の点線参照)で移動し、実装装置15のフィーダ60を自動で回収及び補給する装置である。このローダ18は、
図2に示すように、移動制御部50と、記憶部53と、収容部54と、交換部55と、移動部56と、通信部57とを備えている。移動制御部50は、CPU51を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、装置全体の制御を司る。この移動制御部50は、フィーダ60を供給部27から回収し又はフィーダ60を供給部27へ補給し、フィーダ60を保管装置13との間で移動させるよう装置全体を制御する。記憶部53は、例えばHDDなど、処理プログラムなど各種データを記憶するものである。収容部54は、フィーダ60を収容する収容空間を有する。この収容部54は、例えば、4つのフィーダ60を収容可能に構成されている。交換部55は、フィーダ60を出し入れすると共に上下段に移動させる機構である(
図2参照)。交換部55は、フィーダ60をクランプするクランプ部と、クランプ部をY軸方向(前後方向)に移動させるY軸スライダと、クランプ部をZ軸方向(上下方向)に移動させるZ軸スライダとを有している。交換部55は、実装用装着部28でのフィーダ60の装着及び装着解除と、バッファ用装着部29でのフィーダ60の装着及び装着解除を実行する。移動部56は、実装装置15の正面に配設されたX軸レール17に沿ってローダ18をX軸方向(左右方向)へ移動させる機構である。通信部57は、管理装置14や実装装置15などの外部機器と情報のやりとりを行うインタフェースである。このローダ18は、現在位置や実行した作業内容を管理装置14へ出力する。
【0026】
統括装置19は、実装システム10の各装置が用いる情報、例えば、生産計画情報43などを作成、管理するサーバとして構成されている。また、統括装置19は、実装システム10を含む全生産ラインの情報を管理する情報処理装置として構成されているものとしてもよい。統括装置19は、
図1に示すように、統括制御部90と、記憶部92と、通信部93とを備えている。統括制御部90は、CPU91を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、装置全体の制御を司る。記憶部42には、実装システム10で用いられる情報として、複数の実装条件情報を含む生産計画情報などが記憶されている。また、記憶部92には、保守作業情報25と同様の、各生産ラインにおける保守作業情報などが記憶されていてもよい。通信部93は、外部機器との通信を行うインタフェースである。この実装システム10では、各装置がLANやインターネットなどのネットワーク99を介して情報のやりとりを行う。
【0027】
次に、こうして構成された本実施形態の実装システム10の動作、まず、フィーダ60や採取部材33に対して保守作業を実行する処理について説明する。
図7は、実装装置15の実装制御部20が実行する保守作業処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、実装装置15の記憶部23に記憶され、実装装置15の起動後に実行される。ここでは、1以上のフィーダ60が実装装置15の実装用装着部28に装着されていると共に、1つの保守装置80が実装用装着部28に装着されている場合を具体例として説明する。このルーチンを開始すると、まず、実装制御部20のCPU21は、生産計画情報43を管理装置14の記憶部42から読み出して取得し(S100)、現在が隙間時間であるか否かを判定する(S110)。隙間時間は、例えば、実装装置15が休止する時間であればよく、生産と生産との間の段取り替えの時間としてもよいし、例えば、作業者Wの休憩時間として設定されている時間としてもよい。
【0028】
現在が隙間時間であるときには、CPU21は、保守部材83を実装ヘッド32に取り付ける処理を行う(S120)。CPU21は、保守装置80が装着されている装着部の上に実装ヘッド32を移動させ、保守部材83のエアブロー用ノズル85の取付部75の上方に実装ヘッド32のシリンダを配置し、このシリンダを下降させて、エアブロー用ノズル85を実装ヘッド32へ取り付ける。また、CPU21は、保守部材83のフィーダ清掃用部材86の取付部76の上方に実装ヘッド32のシリンダを配置し、このシリンダを下降させて、フィーダ清掃用部材86を実装ヘッド32へ取り付ける。次に、保守作業の体層であるフィーダ60を設定する(S130)。CPU21は、実装用装着部28に装着されたフィーダ60のうち、保守作業を行っていない時間がより長いフィーダ60を保守対象に設定するものとしてもよい。あるいは、CPU21は、右端又は左端、あるいは中央から端部側に向かって、順に保守対象に設定するものとしてもよい。
【0029】
次に、CPU21は、保守対象の採取部材33を設定する(S140)。実装ヘッド32に採取部材33を取り付けるシリンダが6個や8個ある場合、保守部材83が取り付けられたシリンダ以外には、保守対象の採取部材33を取り付けて、フィーダ60と共に保守作業を実行可能である。保守対象の設定は、複数の採取部材33に対して行ってもよい。CPU21は、ノズルステーション36に保持された採取部材33のうち、保守作業を行っていない時間がより長いものを保守対象に設定するものとしてもよい。あるいは、CPU21は、ノズルステーション36の右端又は左端、あるいは中央から端部側に向かって、順に採取部材33を保守対象に設定するものとしてもよい。次に、CPU21は、保守対象の採取部材33を実装ヘッドに取るつける作業を実行する(S150)。CPU21は、ノズルステーション36へ実装ヘッド32を移動し、保守対象の採取部材33の上方にシリンダを配置し、このシリンダを下降させて、採取部材33を実装ヘッド32へ取り付ける。
【0030】
次に、CPU21は、フィーダ清掃用部材86を用いて、保守対象のフィーダ60を清掃処理する(S160)。CPU21は、フィーダ60の基準部66、高さ測定部67及びテープガイドカッタ68などの、実装処理に関する所定部位に対して、フィーダ清掃用部材86の当接部を当接させ、必要に応じて回転させて、所定部位に付着した異物の除去などを行う。次に、CPU21は、エアブロー用ノズル85を用いて、保守対象のフィーダ60を清掃処理する(S170)。CPU21は、フィーダ60の基準部66、高さ測定部67及びテープガイドカッタ68などの、実装処理に関する所定部位に対して、エアブロー用ノズル85の吐出管を配置し、圧縮空気を供給して所定部位に付着した異物をエアブローする処理を行う。更に、CPU21は、実装ヘッド32に取り付けられた採取部材33を順番に採取部材清掃用ブラシ87へ押し当てる処理を行い、採取部材33に付着した異物を除去する処理を行う(S180)。
図8は、実装部30の実装ヘッド32に保守部材83としてのエアブロー用ノズル85やフィーダ清掃用部材86を取り付けてフィーダ60の保守作業を行う一例の説明図である。
図8に示すように、実装部30は、保守装置80を用いて、フィーダ60に対して、エアブロー用ノズル85によるエアブローや、フィーダ清掃用部材86による当接清掃処理、採取部材清掃用ブラシ87による採取部材33の清掃処理を実行する。
【0031】
S160~S180でフィーダ60及び採取部材33の清掃作業を実行すると、CPU21は、ローダ18がこの実装装置15で作業可能であるか否かを判定する(S190)。ローダ18がこの実装装置15で作業可能であるときには、CPU21は、ローダ18を供給部27に移動させ、保守対象のフィーダ60の抜き差し検査を実行させる(S200)。このように、実装装置15では、保守装置80を用いて保守作業しているときに、ローダ18は、実装装置15の前にて保守作業対象のフィーダ60に対して接続解除及び接続確認作業を保守作業として実行するのである。CPU21は、フィーダ60の接続解除及び再接続の確認作業において、フィーダ60のコントローラと正常に通信の接続解除及び再接続ができた場合は、この抜き差し検査により、接続部64及び接続部39が正常であるものと判定する。
【0032】
S200のあと、またはS190でローダ18が作業可能でないときには、CPU21は、次に保守作業を実行するフィーダ60や採取部材33などの保守対象があるか否かを判定する(S210)。次の保守対象があるときには、CPU21は、S110以降の処理を実行する。即ち、CPU21は、S110で、現在が隙間時間であるかを判定し、隙間時間であるときには、保守対象のフィーダ60や採取部材33を設定し、それらに対して、保守部材83や採取部材清掃用ブラシ87による清掃処理を実行する。なお、この処理において、保守対象としてフィーダ60があり、採取部材33がないときには、CPU21は、S140、150及びS180の処理を省略することができる。また、保守対象として採取部材33があり、フィーダ60がないときには、CPU21はS130、160及びS170の処理を省略することができる。このように、CPU21は、隙間時間内において、フィーダ60や採取部材33のメンテナンス処理や、フィーダ60の抜き差し検査を実行することができる。
【0033】
一方、S110で現在が隙間時間でないときには、CPU21は、直近に保守作業を実行したか否かを判定する(S220)。S220で、直近に保守作業を実行したとき、または、S210で次の保守対象がないときには、CPU21は、実行した保守作業内容に基づいて、保守作業したものの識別情報と、保守作業内容とを対応付けて、保守作業情報25に記憶する処理を実行する(S230)。CPU21は、
図6に示すように、各所定部位に対する保守作業内容や抜き差し検査の結果を保守作業情報25に記憶させる。また、CPU21は、保守作業情報25を管理装置14や統括装置19へ出力して、管理装置14の記憶部42や統括装置19の記憶部92へ保守作業情報を記憶させるものとしてもよい。そして、S230のあと、または、S220で、直近に保守作業を実行していないときには、CPU21は、実装装置15の生産処理が完了したか否かを判定し(S240)、生産処理が完了していないときには、S110以降の処理を実行する。一方、S240で生産処理が完了したときには、CPU21は、このルーチンを終了する。
【0034】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の実装装置15が実装装置の一例であり、管理装置14、統括装置19が情報処理装置の一例であり、ローダ18が移動型作業装置の一例であり、フィーダ60がフィーダの一例であり、保守装置80が保守装置の一例であり、実装システム10が実装システムの一例である。また、保持部82が保持部の一例であり、保守部材83が保守部材の一例であり、接続部84が接続部の一例であり、エアブロー用ノズル85がエアブロー用ノズルの一例であり、フィーダ清掃用部材86がフィーダ清掃用部材の一例であり、採取部材清掃用ブラシ87が採取部材清掃用ブラシの一例である。更に、基準部66が基準部の一例であり、高さ測定部67が高さ測定部の一例であり、テープガイドカッタ68がテープガイドカッタの一例であり、ベーステープ70がベーステープの一例であり、カバーテープ71がカバーテープの一例である。更にまた、実装制御部20が制御部の一例であり、記憶部23や記憶部42、記憶部92が記憶部の一例であり、保守作業情報25や保守作業情報45が保守作業情報の一例であり、実装部30が実装部の一例であり、実装用装着部28やバッファ用装着部29が装着部の一例であり、部品Pが部品の一例であり、基板Sが処理対象物の一例である。なお、本実施形態では、実装装置15の動作を説明することにより、本開示の実装システムや保守装置の一例も明らかにしている。
【0035】
以上説明した保守装置80は、装着部に接続及び接続解除可能である接続部64を備え部品Pを供給するフィーダ60と、接続部64と接続可能な装着部を複数有し装着部に装着されたフィーダ60により供給された部品Pを採取し対象物としての基板Sに実装処理する実装部30を備えた実装装置15に用いられる装置である。この保守装置80は、装着部に接続及び接続解除可能である接続部84と、装着部に装着されたフィーダ60が有する実装処理に関係する所定部位を保守する1種以上の保守部材83を実装部30が取り出し可能な状態で保持する保持部82と、を備える。この保守装置80は、実装装置15において、フィーダ60が装着される複数ある装着部のいずれかにまず装着される。また、この保守装置80は、フィーダ60が有する実装処理に関係する所定部位を保守する1種以上の保守部材83を実装部30によって取り出し可能な状態で保持している。このため、実装装置15の実装部30は、例えば、空き時間などに保守部材83を取り出してフィーダ60の保守作業を実行することができる。したがって、この保守装置80では、部品Pを供給するフィーダ60の保守作業をより効率的に実行することができる。
【0036】
また、保守装置80において、保守部材83には、フィーダ60の所定部位にエアブローを行う1種以上のエアブロー用ノズル85、及びフィーダ60の所定部位に当接し異物除去を行うフィーダ清掃用部材86のうち1以上を含む。この保守装置80では、エアブローや、部材に当接して清掃する清掃用部材によって、フィーダ60の保守作業をより効率的に実行することができる。また、フィーダ60の所定部位には、フィーダ60の基準座標を示す基準部66、フィーダ60の高さ方向の基準となる高さ測定部67、部品Pを保持したベーステープ70を覆うカバーテープ71を剥離するテープガイドカッタ68のうち1以上を含む。この保守装置80では、基準部66や、高さ測定部67、及びテープガイドカッタ68などの保守作業をより効率的に実行することができる。更に、保守装置80は、フィーダ60の筐体と同様の外形を有する筐体81を備えている。この保守装置80は、実装装置15の装着部に接続しやすく、好ましい。
【0037】
また、保守装置80において、保持部82は、保守装置80の筐体81の上面であってフィーダ60における部品採取位置74aを含む採取領域74に該当する領域に配設されている。この保守装置80では、保守部材83を実装部30が取り出しやすい位置に配置されているから、好ましい。また、保持部82は、筐体81の上面であって、フィーダ60が装着部に装着される接続部84側に配設されているため、保守部材83を実装部30が取り出しやすく、好ましい。更に、保守装置80は、実装装置15の実装部30に装着され部品Pを採取する採取部材33を保守する採取部材清掃用ブラシ87を備える。この保守装置80では、更に実装部30に装着される採取部材33の保守作業をも、より効率的に実行することができる。
【0038】
また、実装装置15は、部品Pを供給するフィーダ60が備える接続部64に接続及び接続解除可能である装着部と、装着部に装着されたフィーダ60により供給された部品Pを採取し対象物としての基板Sに実装処理する実装部30と、を備え、上述した保守装置80と、部品Pを供給するフィーダ60と、が装着部に装着されており、実装処理を実行する生産と生産との間に所定の隙間時間があるときには、保守装置80に保持された保守部材83を実装部30に装着させ、この保守部材83を用いてフィーダ60が有する実装処理に関係する所定部位に対して保守作業を実行させる実装制御部20と、を備える。この実装装置15では、フィーダ60が装着される複数ある装着部のうちいずれかに、保守装置80が装着される。この保守装置80は、フィーダ60が有する実装処理に関係する所定部位を保守する1種以上の保守部材83を実装部30によって取り出し可能な状態で保持している。このため、実装装置15の実装部30は、例えば、空き時間などに保守部材83を取り出してフィーダ60の保守作業を実行することができる。したがって、この保守装置80では、部品Pを供給するフィーダ60の保守作業をより効率的に実行することができる。この実装装置15において、保守装置80は、フィーダ60の所定部位にエアブローを行う1種以上のエアブロー用ノズル85、及びフィーダ60の所定部位に当接し異物除去を行うフィーダ清掃用部材86のうち1以上を保守部材83として含み、実装制御部20は、以下に示す(1)~(6)の作業のいずれか1以上を実行させる。この実装装置15では、エアブローや当接して保守作業を実行する清掃用部材のいずれかを用い、基準部66や、高さ測定部67、テープガイドカッタ68などに対してより効率よく保守作業を実行することができる。
(1)エアブロー用ノズル85を実装部30に装着し、フィーダ60が有するフィーダ60の基準座標を示す基準部66を所定部位としてエアブローさせる。
(2)フィーダ清掃用部材86を実装部30に装着し、フィーダ60が有するフィーダ60の基準座標を示す基準部66を前記所定部位として異物除去させる。
(3)エアブロー用ノズル85を実装部30に装着し、フィーダ60が有するフィーダ60の高さ方向の基準となる高さ測定部67を所定部位としてエアブローさせる。
(4)フィーダ清掃用部材86を実装部30に装着し、フィーダ60が有するフィーダ60の高さ方向の基準となる高さ測定部67を所定部位として異物除去させる。
(5)エアブロー用ノズル85を実装部30に装着し、フィーダ60が有する部品Pを保持したベーステープ70を覆うカバーテープ71を剥離するテープガイドカッタ68を所定部位としてエアブローさせる。
(6)フィーダ清掃用部材86を実装部30に装着し、フィーダ60が有する部品Pを保持したベーステープ70を覆うカバーテープ71を剥離するテープガイドカッタ68を所定部位として異物除去させる。
【0039】
また、保守装置80は、実装装置15の実装部30に装着され部品Pを採取する採取部材33を保守する採取部材清掃用ブラシ87を備え、実装制御部20は、実装部30に装着された採取部材33を採取部材清掃用ブラシ87に当接させてこの採取部材33に付着した異物を除去させる。この実装装置15では、更に実装部30に装着される採取部材33の保守作業をも、より効率的に実行することができる。更に、実装装置15は、保守作業したフィーダ60の識別情報と保守作業内容とを保守作業情報25として記憶する記憶部23を備え、実装制御部20は、保守作業を行ったあと、保守作業情報25を記憶部23に記憶させる。この実装装置15では、保守作業を実行したフィーダ60の情報や、いつ保守作業を実行したかなどの情報が保守作業情報25から確認できるため、トレーサビリティをより向上することができる。
【0040】
また、実装システム10は、装着部に接続及び接続解除可能である接続部64を備え部品Pを供給するフィーダ60と、接続部64と接続可能な装着部を複数有し装着部に装着されたフィーダ60により供給された部品Pを採取し対象物としての基板Sに実装処理する実装部30を備えた実装装置15と、実装装置15を少なくとも1台含む生産ラインに配設されフィーダ60の接続部64と接続及び接続解除可能な装着部を複数備え1以上のフィーダ60を保管する保管装置13と、実装装置15と実装装置15との間及び/又は実装装置15と保管装置13との間を移動しフィーダ60を収容すると共に、実装装置15及び/又は保管装置13の装着部に自動着脱する移動型作業装置としてのローダ18を備える。この実装システム10では、上述した保守装置80が実装装置15、保管装置13及びローダ18のうち1以上に装着又は収容されている。この実装システム10は、上述した保守装置80や実装装置15を備えるため、部品Pを供給するフィーダ60の保守作業をより効率的に実行することができる。また、この実装システム10は、ローダ18を備えるため、フィーダ60の自動交換のみならず、保守装置80をも自動交換することができ、作業者Wの作業労力をより低減することができる。また、この実装システム10は、フィーダ60を保管する保管装置13を備えるため、保守作業が不要な際は保守装置80を保管するなど、より効率的な運用を図ることができる。
【0041】
また、実装システム10において、実装装置10が保守装置80を用いて保守作業しているときに、ローダ18は、この実装装置15の前にて保守作業対象のフィーダ60に対して接続解除及び接続確認作業を保守作業として実行する。この実装システム10では、更にフィーダ60の接続解除及び接続確認作業を含む抜き差し検査も保守作業として実行することができる。更に、実装システム10は、保守作業したフィーダ60の識別情報と保守作業内容とを保守作業情報として記憶する記憶部25,42,92と、生産ラインの情報を管理する情報管理装置としての管理装置14や統括装置19を備え、情報管理装置は、実装部30が保守作業を行ったあと、保守作業情報を記憶部に記憶させる。この実装システム10では、保守作業を実行したフィーダ60の情報や、いつ保守作業を実行したかなどの情報が保守作業情報から確認できるため、トレーサビリティをより向上することができる。
【0042】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0043】
例えば、上述した実施形態では、保守装置80は実装用装着部28に1つ装着されるものとして説明したが、特にこれに限定されず、バッファ用装着部29に装着してもよいし、保管装置13の装着部に装着してもよいし、収容部54に収容するものとしてもよい。また、装着する保守装置80は、2以上としてもよい。実装システム10のいずれかに保守装置80があり、実装装置15が隙間時間にあるときに実装部30が保守部材83を装着可能な位置にあれば、装着位置や数は特に限定されない。
【0044】
上述した実施形態では、実装システム10は、保管装置13及びローダ18を備えるものとしたが、特にこれに限定されず、実装システム10は、保管装置13及びローダ18のいずれかを備えないものとしてもよい。実装システム10において、ローダ18を省略した場合は、作業者Wが保守装置80を実装用装着部28へ装着させればよい。また、実装システム10において、保管装置13を省略した場合は、保守装置80を実装用装着部28かバッファ用装着部29に装着し、必要に応じて作業者Wが保守装置80を移動するものとしてもよい。この実装システム10においても、保守装置80を用いて、部品Pを供給するフィーダ60の保守作業をより効率的に実行することができる。
【0045】
上述した実施形態では、保守装置80は、保守部材83として、エアブロー用ノズル85及びフィーダ清掃用部材86を備えるものとしたが、特にこれに限定されず、これらのうちいずれか一方を省略してもよいし、これら以外の保守部材83を備えるものとしてもよい。この保守装置80においても、保守部材83によって、フィーダ60の保守作業をより効率的に実行することができる。
【0046】
上述した実施形態では、保守作業を行う所定部位として、基準部66、高さ測定部67及びテープガイドカッタ68などが含まれるものとしたが、特にこれに限定されず、これらのうちいずれか1以上を省略してもよいし、これら以外の所定部位を追加するものとしてもよい。この保守装置80においても、保守部材83によって、フィーダ60の保守作業をより効率的に実行することができる。
【0047】
上述した実施形態では、保守装置80の筐体81は、フィーダ60の筐体と同様の形状を有するものとして説明したが、特にこれに限定されず、フィーダ60と異なる形状を有するものとしてもよい。特に、保守装置80では、保持部82に保守部材83を収容することから、その厚さがフィーダ60と異なるものとしてもよい。
【0048】
上述した実施形態では、保持部82は、筐体81の上面であって、フィーダ60における採取領域74に該当する領域に配設されているものとしたが、特にこれに限定されず、採取領域74に該当する以外の領域に配設されていてもよい。また、保持部82は、接続部84側に配設されているものとしたが、特にこれに限定されず、接続部84の反対側に配設されているものとしてもよい。なお、保持部82の配設位置は、実装部30による取り付けが行いやすい領域であることが好ましい。
【0049】
上述した実施形態では、保守装置80は、採取部材清掃用ブラシ87を備えるものとして説明したが、特にこれに限定されず、これを省略してもよい。このとき、保守作業情報25には、採取部材33の保守作業情報も記憶するものとしたが、この採取部材33の保守作業情報を省略してもよい。この保守装置80においても、フィーダ60の保守作業をより効率的に実行することができる。
【0050】
上述した実施形態では、ローダ18が実装装置15の前にて、保守作業対象のフィーダ60に対して、接続解除、及び接続確認作業として、抜き差し検査を実行するものとしたが、特にこれに限定されず、この抜き差し検査を省略してもよい。この保守装置80においても、保守部材83を用いてフィーダ60の保守作業をより効率的に実行することはできる。
【0051】
上述した実施形態では、管理装置14や統括装置19が本開示の情報処理装置の機能を有するものとして説明したが、特にこれに限定されず、保守作業情報の記憶制御を行うものであれば、特にこれに限定されず、例えば、これらのいずれかを省略してもよいし、その他の装置に本開示の情報処理装置の機能を持たせるものとしてもよい。
【0052】
本明細書では、出願当初の請求項4において「請求項1又は2に記載の保守装置」を「請求項1~3のいずれか1項に記載の保守装置」に変更した技術思想や、出願当初の請求項5において「請求項1又は2に記載の保守装置」を「請求項1~4のいずれか1項に記載の保守装置」に変更した技術思想、出願当初の請求項6において「請求項1又は2に記載の保守装置」を「請求項1~5のいずれか1項に記載の保守装置」に変更した技術思想、出願当初の請求項7において「請求項1に記載の保守装置」を「請求項1~6のいずれか1項に記載の保守装置」に変更した技術思想、出願当初の請求項10において「請求項7又は8に記載の実装装置」を「請求項7~9のいずれか1項に記載の実装装置」に変更した技術思想も開示されている。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示は、部品を採取し実装する装置の技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 実装システム、11 印刷装置、12 印刷検査装置、13 保管装置、14 管理装置、15 実装装置、16 自動搬送車、17 X軸レール、18 ローダ(移動型作業装置)、19 統括装置、20 実装制御部、21 CPU、23 記憶部、24 実装条件情報、25 保守作業情報、26 基板処理部、27 供給部、28 実装用装着部、29 バッファ用装着部、30 実装部、31 ヘッド移動部、32 実装ヘッド、33 採取部材、34 撮像部、35 通信部、36 ノズルステーション、38 スロット、39 接続部、40 管理制御部、41 CPU、42 記憶部、43 生産計画情報、44 実装条件情報、45 保守作業情報、48 通信部、50 移動制御部、51 CPU、53 記憶部、54 収容部、55 交換部、56 移動部、57 通信部、60 フィーダ、61 テープ、62 リール、63 送り機構、64 接続部、65 テープガイド、66 基準部、67 高さ測定部、68 テープガイドカッタ、68a 舌部、68b 刃部、69 レール部材、70 ベーステープ、71 カバーテープ、72 収容部、73 送り孔、74 採取領域、74a 部品採取位置、75 取付部、76 取付部、77 第1保持部、78 第2保持部、79 ブラシ保持部、80 保守装置、81 筐体、82 保持部、83 保守部材、84 接続部、85 エアブロー用ノズル、86 フィーダ清掃用部材、87 採取部材清掃用ブラシ、89 レール部材、90 統括制御部、91 CPU、92 記憶部、93 通信部、99 ネットワーク、P 部品、S 基板、W 作業者。