(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160848
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】人力駆動車用の疲労度判定装置、および、人力駆動車の制御装置
(51)【国際特許分類】
B62J 45/00 20200101AFI20241108BHJP
B62M 6/45 20100101ALI20241108BHJP
B62M 25/08 20060101ALI20241108BHJP
B62M 9/122 20100101ALI20241108BHJP
B62M 9/123 20100101ALI20241108BHJP
B62M 9/132 20100101ALI20241108BHJP
B62M 9/133 20100101ALI20241108BHJP
A63B 69/16 20060101ALI20241108BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B62J45/00
B62M6/45
B62M25/08
B62M9/122
B62M9/123
B62M9/132
B62M9/133
A63B69/16
A63B71/06 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076287
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】増田 慎子
(72)【発明者】
【氏名】村岡 勉
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(72)【発明者】
【氏名】森井 浩二郎
(72)【発明者】
【氏名】大石 利成
(57)【要約】
【課題】ユーザビリティに貢献できる人力駆動車用の疲労度判定装置および人力駆動車の制御装置を提供する。
【解決手段】人人力駆動車用の疲労度判定装置は、前記人力駆動車のライダの疲労度を判定するように構成される判定部を備え、前記判定部は、前記人力駆動車の走行状態および前記ライダの生体情報の少なくとも1つに関するパラメータの第1変化率に応じて前記疲労度を判定するように構成され、前記第1変化率は、予め定める時期における前記パラメータに対する前記予め定める時期よりも後の時期における前記パラメータの割合である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の疲労度判定装置であって、
前記人力駆動車のライダの疲労度を判定するように構成される判定部を備え、
前記判定部は、前記人力駆動車の走行状態および前記ライダの生体情報の少なくとも1つに関するパラメータの第1変化率に応じて前記疲労度を判定するように構成され、
前記第1変化率は、予め定める時期における前記パラメータに対する前記予め定める時期よりも後の時期における前記パラメータの割合である、疲労度判定装置。
【請求項2】
前記パラメータは、前記人力駆動車のクランク軸の回転速度、前記人力駆動車に入力される人力駆動力、前記人力駆動車のハンドルに加えられる力、前記人力駆動車のペダル角度、前記ライダの心拍数、前記人力駆動車の車体に対する前記ライダの上半身の傾き、および、前記ライダの足首の角度、の少なくとも1つに関する、請求項1に記載の疲労度判定装置。
【請求項3】
前記パラメータは、前記クランク軸の回転速度の予め定める第1期間における標準偏差である、請求項2に記載の疲労度判定装置。
【請求項4】
前記パラメータは、前記クランク軸が半回転または1回転する期間における、前記人力駆動力の最大値と最小値との差分である、請求項2に記載の疲労度判定装置。
【請求項5】
前記パラメータは、前記ハンドルに加えられる前記人力駆動車のピッチ軸方向、ロール軸方向、および、ヨー軸方向の反力の合力である、請求項2に記載の疲労度判定装置。
【請求項6】
前記パラメータは、前記クランク軸が半回転または1回転する期間における、前記ペダル角度の最大値と最小値との差分である、請求項2に記載の疲労度判定装置。
【請求項7】
前記パラメータは、前記心拍数の予め定める第2期間における平均値である、請求項2に記載の疲労度判定装置。
【請求項8】
前記パラメータは、前記クランク軸の回転角度が第1角度である場合の前記傾きである、請求項2に記載の疲労度判定装置。
【請求項9】
前記パラメータは、前記クランク軸の回転角度が第2角度である場合の前記足首の角度である、請求項2に記載の疲労度判定装置。
【請求項10】
人力駆動車用の疲労度判定装置であって、
前記人力駆動車のライダの疲労度を判定するように構成される判定部を備え、
前記判定部は、前記人力駆動車の走行状態および前記ライダの生体情報の少なくとも1つに関する2つ以上のパラメータを用いた演算値に応じて前記疲労度を判定するように構成される、疲労度判定装置。
【請求項11】
前記2つ以上のパラメータは、第1パラメータおよび第2パラメータを含み、
前記演算値は、前記第1パラメータと前記第2パラメータとの比率である、請求項10に記載の疲労度判定装置。
【請求項12】
前記第1パラメータは、前記人力駆動車のライダの心拍数であり、
前記第2パラメータは、前記人力駆動車のクランク軸の回転速度である、請求項11に記載の疲労度判定装置。
【請求項13】
前記演算値は、前記2つ以上のパラメータを用いた重回帰モデルによって演算される、請求項11に記載の疲労度判定装置。
【請求項14】
前記2つ以上のパラメータは、4つのパラメータを含み、
前記4つのパラメータは、前記人力駆動車のクランク軸の回転速度、前記人力駆動車のハンドルに加えられる反力、前記人力駆動車に入力される人力駆動力、および、前記人力駆動車の車体に対する前記ライダの上半身の傾きである、請求項13に記載の疲労度判定装置。
【請求項15】
前記判定部は、3段階以上の前記疲労度を判定可能に構成される、請求項13に記載の疲労度判定装置。
【請求項16】
前記予め定める時期は、人力駆動車の走行開始時期である、請求項1から9のいずれか一項に記載の疲労度判定装置。
【請求項17】
人力駆動車用の制御装置であって、
請求項1から15のいずれか一項に記載の人力駆動車用の疲労度判定装置と、
人力駆動車用のコンポーネントを制御するように構成される制御部と、を備え、
前記制御部は、前記疲労度判定装置によって判定される疲労度に応じて、前記コンポーネントを制御するように構成される、制御装置。
【請求項18】
前記コンポーネントは、前記人力駆動車に推進力を付与するモータ、電動変速機、表示装置、電動サスペンション、電動シートポスト、および、電動ブレーキの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の疲労度判定装置、および、人力駆動車の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、人力駆動力、または、クランクの回転速度をライダの疲労度の指標としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の1つは、ユーザビリティに貢献できる人力駆動車用の疲労度判定装置および人力駆動車の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う疲労度判定装置は、人力駆動車用の疲労度判定装置であって、前記人力駆動車のライダの疲労度を判定するように構成される判定部を備え、前記判定部は、前記人力駆動車の走行状態および前記ライダの生体情報の少なくとも1つに関するパラメータの第1変化率に応じて前記疲労度を判定するように構成され、前記第1変化率は、予め定める時期における前記パラメータに対する前記予め定める時期よりも後の時期における前記パラメータの割合である。
第1側面の疲労度判定装置によれば、第1変化率に応じて疲労度を判定できるため、精度よく疲労度を判定できる。したがって、精度よく判定できた疲労度を用いた制御が実行できるため、ユーザビリティに貢献できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の判定装置において、前記パラメータは、前記人力駆動車のクランク軸の回転速度、前記人力駆動車に入力される人力駆動力、前記人力駆動車のハンドルに加えられる力、前記人力駆動車のペダル角度、前記ライダの心拍数、前記人力駆動車の車体に対する前記ライダの上半身の傾き、および、前記ライダの足首の角度、の少なくとも1つに関する。
第2側面の疲労度判定装置によれば、クランク軸の回転速度、人力駆動力、ハンドルに加えられる力、ペダル角度、ライダの心拍数、車体に対するライダの上半身の傾き、および、ライダの足首の角度、の少なくとも1つの第1変化率に応じて疲労度を判定できるため、精度よく疲労度を判定できる。
【0007】
本開示の第2側面に従う第3側面の判定装置において、前記パラメータは、前記クランク軸の回転速度の予め定める第1期間における標準偏差である。
第3側面の疲労度判定装置によれば、予め定める第1期間における標準偏差の第1変化率に応じて疲労度を判定できるため、精度よく疲労度を判定できる。
【0008】
本開示の第2側面に従う第4側面の判定装置において、前記パラメータは、前記クランク軸が半回転または1回転する期間における、前記人力駆動力の最大値と最小値との差分である。
第4側面の疲労度判定装置によれば、クランク軸が半回転または1回転する期間における、人力駆動力の最大値と最小値との差分の第1変化率に応じて疲労度を判定できるため、精度よく疲労度を判定できる。
【0009】
本開示の第2側面に従う第5側面の判定装置において、前記パラメータは、前記ハンドルに加えられる前記人力駆動車のピッチ軸方向、ロール軸方向、および、ヨー軸方向の反力の合力である。
第5側面の疲労度判定装置によれば、ハンドルに加えられる人力駆動車のピッチ軸方向、ロール軸方向、および、ヨー軸方向の反力の合力の第1変化率に応じて疲労度を判定できるため、精度よく疲労度を判定できる。
【0010】
本開示の第2側面に従う第6側面の判定装置において、前記パラメータは、前記クランク軸が半回転または1回転する期間における、前記ペダル角度の最大値と最小値との差分である。
第6側面の疲労度判定装置によれば、クランク軸が半回転または1回転する期間における、ペダル角度の最大値と最小値との差分の第1変化率に応じて疲労度を判定できるため、精度よく疲労度を判定できる。
【0011】
本開示の第2側面に従う第7側面の判定装置において、前記パラメータは、前記心拍数の予め定める第2期間における平均値である。
第7側面の疲労度判定装置によれば、心拍数の予め定める第2期間における平均値の第1変化率に応じて疲労度を判定できるため、精度よく疲労度を判定できる。
【0012】
本開示の第2側面に従う第8側面の判定装置において、前記パラメータは、前記クランク軸の回転角度が第1角度である場合の前記傾きである。
第8側面の疲労度判定装置によれば、クランク軸の回転角度が第1角度である場合の傾きの第1変化率に応じて疲労度を判定できるため、精度よく疲労度を判定できる。
【0013】
本開示の第2側面に従う第9側面の判定装置において、前記パラメータは、前記クランク軸の回転角度が第2角度である場合の前記足首の角度である。
第9側面の疲労度判定装置によれば、クランク軸の回転角度が第2角度である場合の足首の角度の第1変化率に応じて疲労度を判定できるため、精度よく疲労度を判定できる。
【0014】
本開示の第10側面に従う疲労度判定装置は、人力駆動車用の疲労度判定装置であって、前記人力駆動車のライダの疲労度を判定するように構成される判定部を備え、前記判定部は、前記人力駆動車の走行状態および前記ライダの生体情報の少なくとも1つに関する2つ以上のパラメータを用いた演算値に応じて前記疲労度を判定するように構成される、疲労度判定装置。
第10側面の疲労度判定装置によれば、人力駆動車の走行状態およびライダの生体情報の少なくとも1つに関する2つ以上のパラメータを用いた演算値に応じて疲労度を判定できるため、精度よく疲労度を判定できる。したがって、精度よく判定できた疲労度を用いた制御が実行できるため、ユーザビリティに貢献できる。
【0015】
本開示の第10側面に従う第11側面の判定装置において、前記2つ以上のパラメータは、第1パラメータおよび第2パラメータを含み、前記演算値は、前記第1パラメータと前記第2パラメータとの比率である。
第11側面の疲労度判定装置によれば、第1パラメータと第2パラメータとの比率に応じて、精度よく疲労度を判定できる。
【0016】
本開示の第11側面に従う第12側面の判定装置において、前記第1パラメータは、前記人力駆動車のライダの心拍数であり、前記第2パラメータは、前記人力駆動車のクランク軸の回転速度である。
第12側面の疲労度判定装置によれば、ライダの心拍数とクランク軸の回転速度との比率に応じて、精度よく疲労度を判定できる。
【0017】
本開示の第11側面に従う第13側面の判定装置において、前記演算値は、前記2つ以上のパラメータを用いた重回帰モデルによって演算される。
第13側面の疲労度判定装置によれば、2つ以上のパラメータを用いた重回帰モデルによって演算される演算値によって、精度よく疲労度を判定できる。
【0018】
本開示の第13側面に従う第14側面の判定装置において、前記2つ以上のパラメータは、4つのパラメータを含み、前記4つのパラメータは、前記人力駆動車のクランク軸の回転速度、前記人力駆動車のハンドルに加えられる反力、前記人力駆動車に入力される人力駆動力、および、前記人力駆動車の車体に対する前記ライダの上半身の傾きである。
第14側面の疲労度判定装置によれば、人力駆動車のクランク軸の回転速度、人力駆動車のハンドルに加えられる反力、人力駆動車に入力される人力駆動力、および、人力駆動車の車体に対するライダの上半身の傾きに応じて、精度よく疲労度を判定できる。
【0019】
本開示の第1から第14側面のいずれか1つに従う第15側面の判定装置において、前記判定部は、3段階以上の前記疲労度を判定可能に構成される。
第15側面の疲労度判定装置によれば、判定部が3段階以上の疲労度を判定できる。
【0020】
本開示の第1から第9側面のいずれか1つに従う第16側面の判定装置において、前記予め定める時期は、人力駆動車の走行開始時期である。
第16側面の疲労度判定装置によれば、人力駆動車の走行開始時期におけるパラメータを用いて、精度よく疲労度を判定できる。
【0021】
本開示の第17側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、第1から第15側面のいずれか1つの人力駆動車用の疲労度判定装置と、人力駆動車用のコンポーネントを制御するように構成される制御部と、を備え、前記制御部は、前記疲労度判定装置によって判定される疲労度に応じて、前記コンポーネントを制御するように構成される。
第17側面の制御装置によれば、疲労度に応じてコンポーネントを好適に制御できる。
【0022】
本開示の第17側面に従う第18側面の制御装置において、前記コンポーネントは、前記人力駆動車に推進力を付与するモータ、電動変速機、表示装置、電動サスペンション、電動シートポスト、および、電動ブレーキの少なくとも1つを含む。
第18側面の制御装置によれば、疲労度に応じて、モータ、電動変速機、表示装置、電動サスペンション、電動シートポスト、および、電動ブレーキの少なくとも1つを好適に制御できる。
【発明の効果】
【0023】
本開示の人力駆動車用の疲労度判定装置および人力駆動車の制御装置は、ユーザビリティに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車用の判定装置、および、人力駆動車用の制御装置を含む人力駆動車の側面図である。
【
図2】
図1の人力駆動車の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2の制御部によって実行され、コンポーネントを制御する処理のフローチャートである。
【
図4】第2実施形態の制御部によって実行され、第1コンポーネントおよび第2コンポーネントを制御する処理のフローチャートである。
【
図5】第3実施形態の制御部によって実行され、第1コンポーネントおよび第2コンポーネントを制御する処理のフローチャートである。
【
図6】第4実施形態の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャートである。
【
図7】第5実施形態の制御部によって実行され、変速機を制御する処理のフローチャートである。
【
図8】第6実施形態の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャートである。
【
図9】第7実施形態の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャートである。
【
図10】第8実施形態の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャートである。
【
図11】第9実施形態の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャートである。
【
図12】第10実施形態の制御部によって実行され、コンポーネントを制御する処理のフローチャートの第1部分である。
【
図13】第10実施形態の制御部によって実行され、コンポーネントを制御する処理のフローチャートの第2部分である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
図1から
図3を参照して、人力駆動車用の制御装置60、および、人力駆動車用の疲労度判定装置70が説明される。人力駆動車は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車は、例えば1輪車および2輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するE-bikeを含む。E-bikeは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、それぞれの実施形態において、人力駆動車は、自転車として説明される。
【0026】
人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪12と、車体14と、を含む。少なくとも1つの車輪12は、例えば、前輪12F、および、後輪12Rを含む。車体14は、フレーム16を含む。例えば、フレーム16にはサドル16Aが取り付けられる。
【0027】
人力駆動車10は、例えば、人力駆動力が入力されるクランク18をさらに含む。クランク18は、例えば、クランクアーム20およびクランク軸22を含む。クランク軸22は、例えば、フレーム16に対して回転可能である。クランクアーム20には、例えば、ペダル24A,24Bが連結される。クランクアーム20は、例えば、第1クランクアーム20Aおよび第2クランクアーム20Bを含む。
【0028】
第1クランクアーム20Aおよび第2クランクアーム20Bのそれぞれは、例えば、クランク軸22の軸方向の端部のそれぞれに設けられる。第1クランクアーム20Aには、例えば、第1ペダル24Aが連結される。第2クランクアーム20Bには、例えば、第2ペダル24Bが連結される。
【0029】
フレーム16には、フロントフォーク26が接続される。フロントフォーク26には、前輪12Fが取り付けられる。フロントフォーク26には、ハンドル28がステム30を介して連結される。後輪12Rは、フレーム16に支持される。本実施形態では、クランク18は、駆動機構32によって後輪12Rと連結される。後輪12Rは、クランク軸22が回転することによって駆動される。前輪12Fおよび後輪12Rの少なくとも1つが、駆動機構32によってクランク18に連結されてもよい。
【0030】
駆動機構32は、クランク軸22に連結される少なくとも1つの第1回転体34を含む。少なくとも1つの第1回転体34は、例えば、フロントスプロケットを含む。少なくとも1つの第1回転体34は、プーリ、または、ベベルギアを含んでいてもよい。クランク軸22は、フロントスプロケットと、ワンウェイクラッチを介して連結されてもよい。
【0031】
駆動機構32は、少なくとも1つの第2回転体36および伝達部材38をさらに含む。伝達部材38は、少なくとも1つの第1回転体34の回転力を少なくとも1つの第2回転体36に伝達するように構成される。伝達部材38は、例えば、チェーンを含む。伝達部材38は、ベルト、または、シャフトを含んでいてもよい。少なくとも1つの第2回転体36は、例えば、リアスプロケットを含む。少なくとも1つの第2回転体36は、プーリ、または、ベベルギアを含んでもよい。チェーンは、例えば、フロントスプロケットおよびリアスプロケットに巻き掛けられる。少なくとも1つの第2回転体36は、例えば、後輪12Rに連結される。後輪12Rは、例えば、少なくとも1つの第2回転体36の回転にともなって回転するように構成される。
【0032】
人力駆動車10は、例えば、バッテリ40をさらに備える。バッテリ40は、例えば、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、例えば、充電池を含む。バッテリ40は、例えば、フレーム16に設けられる。バッテリ40は、例えば、ドライブユニット44Aに電力を供給する。
【0033】
人力駆動車10は、例えば、コンポーネント42を含む。コンポーネント42は、人力駆動車10に推進力を付与するモータ44、電動変速機46、電動サスペンション48、電動シートポスト50、および、電動ブレーキ52の少なくとも1つを含む。
【0034】
モータ44は、例えば、ドライブユニット44Aを構成する。ドライブユニット44Aは、例えば、モータ44が設けられるハウジング44Bをさらに含む。ドライブユニット44Aは、例えば、クランク軸22に設けられる。ドライブユニット44Aは、少なくとも1つの車輪12に設けられるハブモータであってもよい。
【0035】
電動変速機46は、人力駆動車10の変速比率を変更するように構成される変速機46Aと、変速機46Aを動作させるアクチュエータ46Bと、を含む。変速機46Aは、例えば、ディレイラを含む。ディレイラは、例えば、リアディレイラを含む。ディレイラは、フロントディレイラを含んでもよい。ディレイラは、例えば、人力駆動車10における人力駆動力の伝達経路に設けられ、かつ、変速比率を変更するように構成される。変速比率は、例えば、クランク軸22の回転速度に対する少なくとも1つの車輪12の回転速度の比率である。少なくとも1つの車輪12の回転速度は、例えば、駆動輪の回転速度を含む。駆動輪は、例えば、後輪12Rを含む。駆動輪は、前輪12Fを含んでいてもよい。変速機46Aは、内装変速機を含んでもよい。
【0036】
アクチュエータ46Bは、例えば、電気モータを含む。アクチュエータ46Bは、例えば、ディレイラを動作させるように構成される。電動変速機46は、例えば、少なくとも1つの第2回転体36および伝達部材38をさらに含む。少なくとも1つの第2回転体36は、複数の第2回転体36を含む。ディレイラは、複数の第2回転体36のうちの1つから、複数の第2回転体36のうちの他の1つに伝達部材38を掛け替えることによって変速比率を変更する。変速比率と、少なくとも1つの車輪12の回転速度と、クランク軸22の回転速度との関係は、式(1)によって表される。式(1)において、Rは、変速比率を示す。式(1)において、Wは、駆動輪の回転速度を示す。式(1)において、Cは、クランク軸22の回転速度を示す。
式(1):R=W(rpm)/C(rpm)
【0037】
例えば、電動サスペンション48は、フロントサスペンション、および、リアサスペンションの少なくとも1つを含む。例えば、フロントサスペンションは、フロントフォーク26に設けられて前輪12Fに加えられた衝撃を減衰する。例えば、リアサスペンションは、フレーム16に設けられて後輪12Rに加えられた衝撃を減衰する。
【0038】
電動サスペンション48は、油圧式、空気圧式、および、油圧を含むハイブリッド式のサスペンションのいずれであってもよい。電動サスペンション48は、電動アクチュエータまたは電動モータを含む。電動サスペンション48は、油または空気の流路を開閉するバルブを含む。
【0039】
電動サスペンション48は、複数の動作状態によって動作する。複数の動作状態は、電動サスペンション48のストローク長、電動サスペンション48の反発力、および、電動サスペンション48の減衰力の少なくとも1つが異なる動作状態を含む。電動サスペンション48は、動作指令に応じて、複数の動作状態を切り替えるように構成される。例えば、電動サスペンション48の反発力は、電動サスペンション48のロック状態、アンロック状態、および、半ロック状態の場合の反発力を含む。
【0040】
電動シートポスト50は、例えば、シートポスト16Bに取り付けられる。電動シートポスト50は、シートポスト16Bをフレーム16に対して上昇および下降させる。電動シートポスト50は、電動アクチュエータまたは電動モータを含む。電動シートポスト50は、電動アクチュエータまたは電動モータを動作させることによって、シートポスト16Bの上昇と下降を制御する。
【0041】
電動シートポスト50は、シートポスト16Bの高さが異なる複数の動作状態によって動作する。電動シートポスト50は、動作指令に応じて、動作状態を切り替える。機械式シートポストの場合、電動シートポスト50は、動作指令を受け取ると、バルブを開く。機械式シートポストの場合、動作指令を受け取ると、所定時間の間バルブを開く構成としてもよい。機械式シートポストの場合、動作指令を受け取ると、次に動作指令を受け取るまでバルブを開く構成としてもよい。電気式シートポストの場合、電動シートポスト50は、動作指令を受け取ると、電動アクチュエータまたは電動モータを動作させる。
【0042】
電動ブレーキ52は、人力駆動車10を制動する。電動ブレーキ52は、例えば、前輪12Fおよび後輪12Rの少なくとも1つに設けられる。電動ブレーキ52は、油圧式ブレーキであってもよい。電動ブレーキ52が油圧式の場合、電動ブレーキ52は、例えば、電動ポンプを含む。
【0043】
人力駆動車用の制御装置60は、人力駆動車用の疲労度判定装置70と、制御部62とを、備える。疲労度判定装置70の少なくとも一部は、制御部62と一体に構成されてもよい。疲労度判定装置70は、制御部62とは各別に設けられてもよい。
【0044】
制御部62は、例えば、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部62は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部62は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。制御部62は、例えば、コンポーネント42に設けられる。
【0045】
制御装置60は、例えば、記憶部64をさらに備える。記憶部64は、例えば、制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報を記憶する。記憶部64は、例えば、不揮発性メモリおよび揮発性メモリの少なくとも1つを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。記憶部64は、例えば、コンポーネント42に設けられる。
【0046】
人力駆動車用の疲労度判定装置70は、人力駆動車10のライダの疲労度を判定するように構成される判定部72を備える。判定部72は、例えば、走行状態および生体情報の少なくとも1つに応じて、ライダの疲労度を判定するように構成される。判定部72は、例えば、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えば、CPUまたはMPUを含む。判定部72は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。判定部72は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。本実施形態では、制御部62は、判定部72をさらに含む。判定部72は、制御部62とは別体に構成されてもよい。
【0047】
判定部72は、例えば、パラメータを用いて疲労度のレベルを判定するように構成される。疲労度のレベルは、例えば、第1疲労度、および、第2疲労度を含む。第1疲労度は、例えば、ライダが疲労していない、または、ライダの疲労度が小さい状態を示す。第1疲労度は、例えば、ライダが人力駆動車10の走行を開始した時点における疲労度と対応する。第2疲労度は、例えば、第1疲労度よりもライダが疲労している状態、または、ライダの疲労度が大きい状態を示す。第2疲労度は、例えば、ライダの運動負荷を低下させる必要がある疲労度と対応する。第2疲労度は、2段階以上を含んでいてもよい。
【0048】
パラメータは、ライダの疲労度に応じて変化する値である。パラメータは、例えば、人力駆動車10のクランク軸22の回転速度、人力駆動車10に入力される人力駆動力、人力駆動車10のハンドル28に加えられる力、人力駆動車10のペダル角度、ライダの心拍数、人力駆動車10の車体14に対するライダの上半身の傾き、および、ライダの足首の角度、の少なくとも1つに関する。
【0049】
人力駆動車10は、例えば、パラメータに関する情報を検出する検出部54を含む。検出部54は、例えば、人力駆動車10の走行状態を検出する走行状態検出部54Aおよびライダの生体情報を検出する生体情報検出部54Bの少なくとも1つを含む。検出部54は、パラメータに関する情報を制御部62に出力するように構成される。検出部54は、パラメータに関する情報を、有線または無線によって制御部62に出力するように構成される。
【0050】
走行状態検出部54Aは、例えば、クランク軸22の回転速度、人力駆動力、人力駆動車10のハンドル28に加えられる力、および、ペダル角度の少なくとも1つを検出するように構成される。
【0051】
生体情報検出部54Bは、例えば、ライダの心拍数、人力駆動車10の車体14に対するライダの上半身の傾き、および、ライダの足首の角度の少なくとも1つを検出するように構成される。人力駆動車10の車体14に対するライダの上半身の傾きは、例えば、人力駆動車10の前後方向に対するライダの上半身の傾きである。傾きが大きくなるほど、ライダは前傾姿勢になる。ライダの足首の角度が大きくなるほど、つま先が膝から離れる。
【0052】
パラメータがクランク軸22の回転速度に関する場合、検出部54は、例えば、クランク回転状態検出部を含む。クランク回転状態検出部は、クランク回転状態検出部は、例えば、クランク軸22の回転速度に応じた信号、および、第1回転体34の回転速度に応じた信号の少なくとも1つを出力するように構成される。クランク回転状態検出部は、例えば、クランク軸22、および、第1回転体34が1回転する間に、クランク軸22の回転角度に対応する検出信号、および、第1回転体34の回転角度に対応する検出信号の少なくとも1つを出力するように構成される。
【0053】
クランク回転状態検出部は、例えば、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含む。クランク回転状態検出部は、例えば、周方向に複数の磁極が並ぶ環状の磁石を含む。環状の磁石は、例えば、クランク軸22に設けられる。環状の磁石は、例えば、1つのS極と、1つのN極とを含む。1つのS極と、1つのN極とは、クランク軸22の回転中心軸心の周方向に、それぞれ180°連続して延びる。クランク回転状態検出部は、磁気センサに代えて光学センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、または、トルクセンサなどを含んでいてもよい。
【0054】
クランク回転状態検出部は、第2回転体36の回転量を検出するように構成されてもよい。クランク回転状態検出部は、第2回転体36の回転速度に応じた情報を検出するように構成されてもよい。第2回転体36の回転速度に応じた情報は、例えば、第2回転体36の角加速度を含む。クランク回転状態検出部は、第2回転体36の回転速度に応じた信号を出力するように構成されてもよい。
【0055】
クランク回転状態検出部は、車速センサを含んで構成されていてもよい。クランク回転状態検出部が車速センサを含む場合、制御部62は、車速センサによって検出される車速と、変速比とに応じてクランク軸22の回転速度を算出するように構成されてもよい。
【0056】
パラメータが人力駆動力に関する場合、検出部54は、例えば、人力駆動力検出部を含む。人力駆動力検出部は、例えば、人力駆動力によってクランク軸22に与えられるトルクに応じた信号を出力するように構成される。人力駆動力によってクランク軸22に与えられるトルクに応じた信号は、人力駆動車10に入力される人力駆動力に関する情報を含む。
【0057】
人力駆動力検出部は、例えば、人力駆動力の伝達経路に含まれる部材または人力駆動力の伝達経路に含まれる部材の近傍に含まれる部材に設けられる。人力駆動力検出部は、歪センサ、磁歪センサ、または、圧力センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。人力駆動力検出部は、人力駆動力に関する情報を取得できればどのような構成であってもよい。
【0058】
人力駆動力検出部は、例えば、クランクアーム20およびペダル24A,24Bの少なくとも1つに設けられてもよい。人力駆動力検出部がペダル24A,24Bに設けられる場合、人力駆動力検出部は、ペダル24A,24Bに与えられる圧力を検出するセンサを含んでいてもよい。人力駆動力検出部は、チェーンに設けられてもよい。人力駆動力検出部がチェーンに設けられる場合、人力駆動力検出部は、チェーンの張力を検出するセンサを含んでいてもよい。
【0059】
パラメータがハンドル28に加えられる力に関する場合、検出部54は、ハンドル28に加えられる力を検出するハンドル状態検出部を含む。ハンドル状態検出部は、例えば、ハンドル28に設けられる歪センサ、磁歪センサ、または、圧力センサなどを含む。
【0060】
パラメータがペダル角度に関する場合、検出部54は、例えば、ペダル角度を検出するペダル角検出部を含む。ペダル角度検出部は、例えば、クランクアーム20に対するペダル24A,24Bの回転角度を検出する。制御装置60は、無線通信装置を含んでいてもよい。ペダル角検出部によって検出される情報は、無線通信装置を介して、制御部62に送信される。
【0061】
パラメータがライダの心拍数に関する場合、検出部54は、例えば、心拍数検出部を含む。心拍数検出部は、例えば、ハンドル28のうちのライダと接触する部分に設けられる。心拍数検出部は、ライダが着用するように構成されてもよい。制御装置60は、無線通信装置を含んでいてもよい。ライダが心拍数検出部を着用する場合、心拍数検出部によって検出される情報は、無線通信装置を介して、制御部62に送信される。
【0062】
パラメータが人力駆動車10の車体14に対するライダの上半身の傾きに関する場合、検出部54は、例えば、画像検出部を含む。画像検出部は、例えば、ライダの上半身を撮影可能な場所に設けられるカメラを含む。画像検出部は、ライダの上半身に着用される傾斜センサ、または、ライダの上半身と車体14との距離を測定可能な距離センサを含んでいてもよい。画像検出部、および、距離センサは、例えばハンドル28のハンドルバーに設けられる。例えば、人力駆動車10の車体14に対するライダの上半身の傾きと、ハンドルバーからライダまでの距離との対応テーブルが記憶部64に記憶される。制御部62は、ハンドルバーからライダまでの距離に関する情報を画像検出部または距離センサから取得することによって、記憶部64に記憶される対応テーブルに基づいて、ライダの上半身の傾きを取得する。
【0063】
パラメータがライダの足首の角度に関する場合、検出部54は、例えば、検出部54は、例えば、画像検出部を含む。画像検出部は、例えば、ライダの足首を撮影可能な場所に設けられるカメラを含む。検出部54は、ライダのつま先と膝との距離を測定可能な距離センサを含んでいてもよい。ライダの足首の角度は、クランクアーム20に対するペダル24A,24Bのペダル回転軸心まわりの角度に対応するので、検出部54は、クランクアーム20に対するペダル24A,24Bのペダル回転軸心まわりの角度を、ライダの足首の角度として検出するように構成されてもよい。
【0064】
判定部72は、例えば、パラメータを用いて算出される演算値と、判定値との比較に応じて、疲労度を判定する。演算値は、例えば、予め定める演算式にパラメータを代入することによって演算される値である。本実施形態のパラメータは、単位によって表される物理量である。予め定める演算式は、例えば、検出部54の出力から、単位によって表される物理量を求める演算式とは異なる。予め定める演算式は、1つのパラメータが代入されるものであってもよく、2つ以上のパラメータが代入されるものであってもよい。予め定める演算式は、例えば、パラメータを用いた数値を除算する項、および、パラメータを用いた数値を乗算する項の少なくとも1つを含む。記憶部64は、判定値を記憶する。記憶部64は、ユーザごとに判定値を記憶してもよい。記憶部64は、判定値を変更可能に記憶してもよい。判定部72は、例えば、ユーザが外部装置または人力駆動車10に設けられる操作装置に判定値を変更するための操作を行うことによって記憶部64に記憶される判定値を変更するように構成されてもよい。
【0065】
判定部72は、例えば、人力駆動車10の走行状態およびライダの生体情報の少なくとも1つに関するパラメータの第1変化率に応じて疲労度を判定するように構成される。第1変化率は、予め定める時期におけるパラメータに対する予め定める時期よりも後の時期におけるパラメータの割合である。判定部72が、パラメータの第1変化率に応じて疲労度を判定するように構成される場合、演算値は第1変化率である。判定部72が、パラメータの第1変化率に応じて疲労度を判定するように構成される場合、判定値は、第1変化率に応じて設定される。
【0066】
予め定める時期は、例えば、人力駆動車10の走行開始時期である。走行開始時期は、人力駆動車10が走行を開始してからの予め定める期間である。制御部62は、例えば、車速が0km/hから0km/hよりも大きくなった場合、クランク軸22の回転速度が0rpmから0rpmよりも大きくなった場合、および、人力駆動力が0Nmから0Nmよりも大きくなった場合、人力駆動車10が走行を開始したと判定する。制御部62は、ライダが走行ログをリセットするための操作を操作部に行った場合、前回の走行終了から予め定める期間以上が経過した場合、日付が変わった場合、および、予め定める時刻になった場合の少なくとも1つの場合であって、人力駆動車10が走行している場合を、人力駆動車10が走行を開始したと判定してもよい。
【0067】
判定部72は、例えば、人力駆動車10が走行を開始すると、検出部54によって検出されるパラメータを初期値として記憶部64に記憶する。判定部72は、例えば、人力駆動車10が走行を開始した後に最初に検出されたパラメータ、または、予め定める期間が経過するまでの間において算出されたパラメータを初期値として記憶部64に記憶する。予め定める時期よりも後の時期は、例えば、人力駆動車10の走行中の任意の時期である。判定部72は、初期値に対する任意の時期のパラメータの割合を、第1変化率として算出する。初期値は、例えば、人力駆動車10が走行を開始した後の初期値演算期間における平均値である。初期値は、人力駆動車10が走行を開始した後の初期値演算期間における任意の時点における値であってもよい。初期値演算期間は、例えば、1秒以上かつ5秒以下である。予め定める時期よりも後の時期におけるパラメータは、疲労度の判定を行う時期のパラメータである。以降では、予め定める時期よりも後の時期におけるパラメータを、比較値という。比較値は、例えば、予め定める時期よりも後の時期における平均値である。比較値は、例えば、予め定める時期よりも後の時期の任意の時点における値であってもよい。
【0068】
判定部72は、例えば、人力駆動車10の走行状態およびライダの生体情報の少なくとも1つに関する2つ以上のパラメータを用いた演算値に応じて疲労度を判定するように構成される。判定部72が2つ以上のパラメータを用いた演算値に応じて疲労度を判定するように構成される場合、2つ以上のパラメータは、第1パラメータおよび第2パラメータを含み、演算値は、例えば、第1パラメータと第2パラメータとの比率である。判定部72が2つ以上のパラメータを用いた演算値に応じて疲労度を判定するように構成される場合、判定値は、第1パラメータと第2パラメータとの比率に応じて設定される。判定部72が2つ以上のパラメータを用いた演算値に応じて疲労度を判定するように構成される場合、演算値は、2つ以上のパラメータを用いた重回帰モデルによって演算されてもよい。
【0069】
判定部72は、例えば、第1例、第2例、第3例、第4例、第5例、第6例、第7例、第8例、第9例、および、第10例の少なくとも1つを用いて、疲労度を判定する。判定部72は、例えば、第1例から第10例のうちの2つ以上を組み合わせて、疲労度を判定してもよい。判定部72が第1例から第10例のうちの2つ以上の例を組み合わせて、疲労度を判定する場合、判定部72は、例えば、組み合わせた例のうちの全ての例または半数よりも多い例において疲労度が第2疲労度と対応する場合、疲労度が第2疲労度であると判定する。
【0070】
第1例から第8例は、判定部72が、パラメータの第1変化率に応じて疲労度を判定するように構成される場合と対応する。第9例および第10例は、判定部72が2つ以上のパラメータを用いた演算値に応じて疲労度を判定するように構成される場合と対応する。第9例では、演算値は、2つ以上のパラメータを用いた重回帰モデルによって演算される。第9例では、2つ以上のパラメータは、4つのパラメータを含む。
【0071】
第1例では、パラメータは、クランク軸22の回転速度に関する。第1例では、パラメータは、例えば、クランク軸22の回転速度の予め定める第1期間における標準偏差である。予め定める第1期間は、例えば、クランク軸22が予め定める角度にわたり回転する期間である。予め定める角度は、例えば、180度以上かつ720度以下である。予め定める第1期間は、例えば、1秒以上かつ1分以下であってもよい。第1例では、演算値は、比較値を初期値によって除算した値である。第1例では、演算値が判定値よりも小さい場合、疲労度は第1疲労度である。第1例では、演算値が判定値以上の場合、疲労度は第2疲労度である。第1例では、判定値は、例えば、1よりも大きく、かつ、1.5よりも小さい。第1例では、判定値は、例えば、1.2である。
【0072】
第2例および第3例では、パラメータは、人力駆動力に関する。第2および第3例では、パラメータは、クランク軸22が半回転または1回転する期間における、人力駆動力の最大値と最小値との差分である。第2例および第3例では、パラメータは、例えば、人力駆動力のうちのペダル24A,24Bに作用する力である。第2例および第3例では、例えば、検出部54は、ペダル24A,24Bに設けられる人力駆動力検出部を含む。
【0073】
第2例では、パラメータは、人力駆動力のうちのペダル24A,24Bに作用する力であって、ペダル軸まわりに作用する回転トルクである。第2例では、クランク軸22が半回転または1回転する期間における、回転トルクの最大値と最小値との差分である。第2例では、演算値は、比較値を初期値によって除算した値である。第2例では、演算値が判定値よりも小さい場合、疲労度は第1疲労度である。第2例では、演算値が判定値以上の場合、疲労度は第2疲労度である。第2例では、判定値は、例えば、1よりも大きく、かつ、1.5よりも小さい。第2例では、判定値は、例えば、1.2である。
【0074】
第3例では、パラメータは、人力駆動力のうちのペダル24A,24Bに作用する力であって、ペダル軸の中心軸心に関する径方向に作用する予め定めるベクトル量である。第3例では、クランク軸22が半回転または1回転する期間における、予め定めるベクトル量の最大値と最小値との差分である。第3例では、演算値は、比較値を初期値によって除算した値である。第3例では、演算値が判定値よりも小さい場合、疲労度は第1疲労度である。第3例では、演算値が判定値以上の場合、疲労度は第2疲労度である。第3例では、判定値は、例えば、1よりも大きく、かつ、1.5よりも小さい。第2例では、判定値は、例えば、1.2である。
【0075】
第4例では、パラメータは、ハンドル28に加えられる力を含む。第4例では、パラメータは、例えば、ハンドル28に加えられる人力駆動車10のピッチ軸方向、ロール軸方向、および、ヨー軸方向の反力の合力である。第4例では、演算値は、比較値を初期値によって除算した値である。第4例では、演算値が判定値よりも大きい場合、疲労度は第1疲労度である。第4例では、演算値が判定値以下の場合、疲労度は第2疲労度である。第4例では、判定値は、例えば、1よりも小さく、かつ、1.0よりも小さい。第4例では、判定値は、例えば、0.8である。第4例において、パラメータは、例えば、ハンドル28に加えられる人力駆動車10のピッチ軸方向、ロール軸方向、および、ヨー軸方向の反力のうちの1つの力、または、2つの合力であってもよい。
【0076】
第5例では、パラメータは、ペダル角度に関する。第5例では、パラメータは、クランク軸22が半回転または1回転する期間における、ペダル角度の最大値と最小値との差分である。第5例では、演算値は、比較値を初期値によって除算した値である。第5例では、演算値が判定値よりも小さい場合、疲労度は第1疲労度である。第5例では、演算値が判定値以上の場合、疲労度は第2疲労度である。第5例では、判定値は、例えば、1よりも大きく、かつ、1.3よりも小さい。第5例では、判定値は、例えば、1.1である。
【0077】
第6例では、パラメータは、ライダの心拍数に関する。第6例では、パラメータは、心拍数の予め定める第2期間における平均値である。第2期間は、例えば、1秒以上かつ30秒以下である。第6例では、演算値は、比較値を初期値によって除算した値である。第6例では、演算値が判定値よりも小さい場合、疲労度は第1疲労度である。第6例では、演算値が判定値以上の場合、疲労度は第2疲労度である。第6例では、判定値は、例えば、2よりも大きく、かつ、2.5よりも小さい。第5例では、判定値は、例えば、2.2である。
【0078】
第7例では、パラメータは、人力駆動車10の車体14に対するライダの上半身の傾きに関する。第7例では、パラメータは、クランク軸22の回転角度が第1角度である場合の傾きである。第1角度は、例えば、クランクアーム20が上死点または下死点にある場合を0度とした場合、110度から130度までである。第7例では、演算値は、比較値を初期値によって除算した値である。第7例では、演算値が判定値よりも小さい場合、疲労度は第1疲労度である。第7例では、演算値が判定値以上の場合、疲労度は第2疲労度である。第6例では、判定値は、例えば、1よりも大きく、かつ、1.5よりも小さい。第7例では、判定値は、例えば、1.2である。
【0079】
第8例では、パラメータは、ライダの足首の角度に関する。第8例では、パラメータは、クランク軸22の回転角度が第2角度である場合の足首の角度である。第2角度は、例えば、クランクアーム20が上死点または下死点にある場合を0度とした場合、0度から20度までである。第8例では、演算値は、比較値を初期値によって除算した値である。第8例では、演算値が判定値よりも小さい場合、疲労度は第1疲労度である。第6例では、演算値が判定値以上の場合、疲労度は第2疲労度である。第8例では、判定値は、例えば、2よりも大きく、かつ、3よりも小さい。第8例では、判定値は、例えば、2.7である。
【0080】
第9例では、2つのパラメータは、ライダの心拍数およびクランク軸22の回転速度に関する。第9例では、第1パラメータは、人力駆動車10のライダの心拍数であり、第2パラメータは、人力駆動車10のクランク軸22の回転速度である。第9例では、演算値は、心拍数をクランク軸22の回転速度によって除算した値である。第9例において、心拍数は、例えば、1分間あたりの心拍数であり、かつ、クランク軸22の回転速度は、例えば、1分間あたりの回転数である。第9例では、演算値が判定値よりも小さい場合、疲労度は第1疲労度である。第9例では、演算値が判定値以上の場合、疲労度は第2疲労度である。第9例では、判定値は、例えば、2よりも大きく、かつ、3よりも小さい。第9例では、判定値は、例えば、2.4である。
【0081】
第10例では、4つのパラメータは、クランク軸22の回転速度、ハンドル28に加えられる力、人力駆動力、および、傾きに関する。第9例では、4つのパラメータは、人力駆動車10のクランク軸22の回転速度、人力駆動車10のハンドル28に加えられる反力、人力駆動車10に入力される人力駆動力、および、人力駆動車10の車体14に対するライダの上半身の傾きである。第10例において、人力駆動車10のハンドル28に加えられる反力は、例えば、ハンドル28に加えられる人力駆動車10のピッチ軸方向、ロール軸方向、および、ヨー軸方向の反力の合力であってもよく、ピッチ軸方向、ロール軸方向、および、ヨー軸方向の反力の合力のうちの1つの力、または、2つの合力であってもよい。第10例では、演算値は、4つのパラメータを用いた重回帰モデルによって演算される。第10例では、判定部72は、3段階以上の疲労度を判定可能に構成される。第10例では、例えば、以下の重回帰モデルの(2)式によって演算値Vが算出される。
【0082】
V=a×X+b×Y+c×Z+d×W+k…(2)
aは、係数であり、例えば、0.044である。
Xは、クランク軸22の回転速度であり、例えば、1分間あたりの回転数である。
bは、係数であり、例えば、-0.14である。
Yは、ハンドル28に加えられる反力である。
cは、係数であり、例えば、2.17である。
Zは、人力駆動力である。
dは、係数であり、例えば、-0.18である。
Wは、人力駆動車10の車体14に対するライダの上半身の傾きである。
kは、定数であり、例えば、14.5である。
【0083】
第10例では、演算値が判定値よりも小さい場合、疲労度は第1疲労度である。第10例では、演算値が判定値以上の場合、疲労度は第2疲労度である。第10例では、判定値は、例えば、10よりも大きく、かつ、15よりも小さい。第10例では、判定値は、例えば、13である。第10例では、例えば、7段階以上において、疲労度を判定するように構成されてもよい。第10例では、例えば、第1疲労度が、第1軽疲労度、第2軽疲労度、および、第3軽疲労度を含み、第2疲労度が、第1重疲労度、第2重疲労度、第3重疲労度、および、第4重疲労度を含む。例えば、比較値が7の場合、疲労度は第1軽疲労度である。例えば、比較値が9の場合、疲労度は第2軽疲労度である。例えば、比較値が11の場合、疲労度は第3軽疲労度である。例えば、比較値が13の場合、疲労度は第1重疲労度である。例えば、比較値が15の場合、疲労度は第2重疲労度である。例えば、比較値が17の場合、疲労度は第3重疲労度である。例えば、比較値が19の場合、疲労度は第4重疲労度である。
【0084】
表1に、第1例から第10例における、パラメータ、演算値、および、第2疲労度と対応する比較値の一例を示す。
【0085】
【0086】
第1例から第8例において、演算値は、初期値を比較値によって除算した値であってもよい。第9例において、演算値は、クランク軸22の回転速度を、心拍数によって除算した値であってもよい。第1例から第9例において、予め定める演算式は、パラメータを用いた数値を除算する項を含むが、パラメータを用いた数値を乗算する項を含んでもよい。第10において、予め定める演算式は、パラメータを用いた数値を乗算する項を含むが、パラメータを用いた数値を除算する項を含んでもよい。
【0087】
判定部72は、演算値を用いて疲労度を判定するため、判定部72が疲労度を好適に判定できる。第1例から第8例では、判定部72は、初期値を用いて疲労度を判定するため、判定部72は、パラメータと閾値との比較による疲労度の判定よりも、ユーザに適した疲労度が判定できる。第1例から第8例では、判定部72は、比較値を初期値によって除算した第1変化率に応じて疲労度を判定するため、比較値と初期値とを乗算した場合よりも演算値が小さくなる。したがって、判定部72は、疲労度を好適に判定できる。
【0088】
制御部62は、例えば、人力駆動車用のコンポーネント42を制御するように構成される。制御部62は、疲労度判定装置70によって判定される疲労度に応じて、コンポーネント42を制御するように構成される。
【0089】
判定部72は、人力駆動車10の走行状態が予め定める状態の場合、疲労度に応じてコンポーネント42を制御し、人力駆動車10の走行状態が予め定める状態ではない場合、疲労度に応じてコンポーネント42を制御しないようにしてもよい。判定部72は、人力駆動車10の走行状態が予め定める状態の場合、疲労度を判定し、人力駆動車10の走行状態が予め定める状態ではない場合、疲労度を判定しないようにしてもよい。予め定める状態は、例えば、人力駆動車10が常用使用状態である場合である。予め定める状態は、例えば、クランク軸22の回転速度が30rpm以上かつ100rpm以下であり、人力駆動力のトルクが5Nm以上かつ30Nm以下であり、かつ、人力駆動力の仕事率が40Watt以上かつ300Watt以下の状態である。
【0090】
人力駆動車用の制御装置60は、制御部62と、設定部66とを備える。制御部62は、人力駆動車10に設けられるコンポーネント42を制御するように構成される。設定部66は、制御部62の制御状態を設定するように構成される。
【0091】
設定部66は、例えば、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えば、CPUまたはMPUを含む。設定部66は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。設定部66は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。本実施形態では、設定部66は、制御部62に含まれる。設定部66は、制御部62とは別体に構成されてもよい。
【0092】
設定部66は、例えば、判定部72による判定結果に基づいて、制御状態を設定するように構成される。設定部66は、ユーザが操作可能な操作装置からの操作信号に基づいて、制御状態を設定するように構成されてもよい。制御部62は、設定部66によって制御状態が設定されると、設定された制御状態に応じて、コンポーネント42を制御する。
【0093】
制御部62は、例えば、疲労度が予め定める疲労度以上か否かに応じて、コンポーネント42を制御するように構成される。予め定める疲労度以上の場合は、例えば、第2疲労度の場合である。設定部66は、例えば、第1疲労度の場合と、第2疲労度の場合とのそれぞれにおいて、コンポーネント42の制御状態を異なる制御状態に設定する。
【0094】
本実施形態では、コンポーネント42は、モータ44を含む。制御部62は、例えば、モータ44を制御するように構成される。ドライブユニット44Aは、モータ44の駆動回路をさらに備えていてもよい。制御部62と、駆動回路とは、例えば、ドライブユニット44Aのハウジング44Bに設けられる。制御部62と、駆動回路とは、同一の回路基板に設けられてもよい。駆動回路は、例えば、制御部62と有線または無線によって通信可能に接続される。駆動回路は、例えば、制御部62からの制御信号に応じてモータ44を駆動させる。
【0095】
駆動回路は、例えば、モータ44に電気的に接続される。駆動回路は、例えば、バッテリ40からモータ44への電力の供給を制御する。駆動回路は、例えば、インバータ回路を含む。インバータ回路は、例えば、複数のトランジスタを含む。インバータ回路は、例えば、直列に接続される一対のトランジスタからなる複数のインバータ部が並列に接続される構成を含む。
【0096】
制御部62は、例えば、クランク回転状態検出部によって検出されるクランク軸22の回転速度および第1回転体34の回転速度の少なくとも1つに応じて、モータ44を制御するように構成される。制御部62は、例えば、車速検出部によって検出される人力駆動車10の車速に応じて、モータ44を制御するように構成されてもよい。
【0097】
制御部62は、例えば、モータ44によるアシストレベルが、予め定めるアシストレベルになるようにモータ44を制御するように構成される。アシストレベルは、例えば、モータ44の出力、モータ44の出力の上限値、人力駆動車10に入力される人力駆動力に対するモータ44の出力のアシスト比率、および、人力駆動力の変化に対するモータ44の出力の応答速度の少なくとも1つに関する。応答速度は、人力駆動力が増加する場合の増加時応答速度、および、人力駆動力が減少する場合の減少時応答速度の少なくとも1つを含む。制御部62は、例えば、人力駆動力に対するアシスト力の比率が予め定める比率になるように、モータ44を制御するように構成される。アシストレベルが低くなるほど、モータ44の出力、モータ44の出力の上限値、アシスト比率、および、増加時応答速度は、小さくなる。アシストレベルが低くなるほど、減少時応答速度は大きくなる。
【0098】
人力駆動力は、例えば、トルクおよび仕事率の少なくとも1つによって表される。人力駆動力がトルクによって表される場合、例えば、人力駆動力は人力トルクと記載される。人力駆動力が仕事率によって表される場合、例えば、人力駆動力は人力仕事率と記載される。人力仕事率は、例えば、クランク軸22に与えられるトルクとクランク軸22の回転速度との積である。
【0099】
アシスト力は、例えば、トルクおよび仕事率の少なくとも1つによって表される。アシスト力がトルクによって表される場合、例えば、アシスト力はアシストトルクと記載される。アシスト力が仕事率によって表される場合、例えば、アシスト力はアシスト仕事率と記載される。人力駆動力に対するアシスト力の比率は、人力トルクに対するアシストトルクの比率であってもよく、人力仕事率に対するアシスト仕事率の比率であってもよい。
【0100】
制御部62は、例えば、コンポーネント42を第1制御状態において制御している場合に、人力駆動車10のライダの疲労度が予め定める疲労度になると、第1制御状態とは異なる第2制御状態、または、第1制御状態および第2制御状態とは異なる第3制御状態において、コンポーネント42を制御するように構成される。設定部66は、第2制御状態および第3制御状態のいずれかを設定するように構成される。コンポーネント42がモータ44を含む場合、第1制御状態、第2制御状態、および、第3制御状態において、モータ44のアシストレベルが相互に異なる。
【0101】
制御部62は、例えば、モータ44による人力駆動車10への推進量の付与を開始する場合、第1制御状態においてモータ44を制御するように構成される。制御部62は、例えば、ライダの疲労度が予め定める疲労度以上になると、第1制御状態から第2制御状態または第3制御状態に切り替える。制御部62は、例えば、ライダの疲労度が予め定める疲労度以上になると、第1制御状態から第2制御状態に切り替えた後、ライダの疲労度に応じて第2制御状態から第3制御状態に切り替える。制御部62は、ライダの疲労度が予め定める疲労度以上になって、第1制御状態から第2制御状態に切り替えた後、ライダの疲労度が予め定める疲労度よりも小さくなると、第2制御状態から第3制御状態に切り替えてもよい。
【0102】
第2制御状態のアシストレベルは、例えば、第1制御状態のアシストレベルよりも高い。第2制御状態のアシストレベルは、第1制御状態のアシストレベルよりも高く、かつ、第3制御状態のアシストレベルは、第1制御状態のアシストレベルよりも低い。
【0103】
第3制御状態のアシストレベルは、例えば、第1制御状態のアシストレベルよりも高く、かつ、第2制御状態のアシストレベルよりも高くてもよい。第3制御状態のアシストレベルが第1制御状態のアシストレベルよりも高く、かつ、第2制御状態のアシストレベルよりも高い場合、制御部62は、例えば、疲労度の度合いに応じて、第2制御状態および第3制御状態のいずれかを選択するように構成されてもよい。
【0104】
図3を参照して、制御部62が疲労度に応じてコンポーネント42を制御する処理が説明される。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図3に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部62は、
図3のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期の経過後にステップS11からの処理を繰り返す。
【0105】
制御部62は、ステップS11において、人力駆動車10の走行状態、および、ライダの生体状態の少なくとも1つに応じて疲労度を判定し、ステップS12に移行する。ステップS11において、例えば、判定部72は、疲労度が第1疲労度および第2疲労度のいずれであるかを判定する。
【0106】
制御部62は、ステップS12において、疲労度が予め定める疲労度以上か否かを判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第2疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度であると判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第1疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度ではないと判定する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、ステップS13に移行する。
【0107】
制御部62は、ステップS13において、第2制御状態または第3制御状態において、コンポーネント42を制御し、処理を終了する。制御部62は、例えば、ステップS13において、第2制御状態において、コンポーネント42を制御し、処理を終了する。
【0108】
制御部62は、ステップS12において、疲労度が予め定める疲労度以上ではないと判定した場合、ステップS14に移行する。制御部62は、ステップS14において第1制御状態においてコンポーネント42を制御し、処理を終了する。例えば、ステップS14において、設定部66は、制御状態を第1制御状態に設定する。制御状態が第1制御状態である場合、第1制御状態が維持される。
【0109】
<第2実施形態>
図2および
図4を参照して、第2実施形態の人力駆動車用の制御装置60が説明される。第2実施形態の人力駆動車用の制御装置60は、
図3の処理に代えて
図4の処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0110】
本実施形態のコンポーネント42は、第1コンポーネント42Aおよび第1コンポーネント42Aとは異なる第2コンポーネント42Bを含む。第1コンポーネント42Aは、人力駆動車10に推進力を付与するモータ44、人力駆動車10の変速比を変更する電動変速機46、電動サスペンション48、電動シートポスト50、および、電動ブレーキ52のうちの1つである。第2コンポーネント42Bは、モータ44、電動変速機46、電動サスペンション48、電動シートポスト50、および、電動ブレーキ52のうちの、第1コンポーネント42Aとは異なる他の1つである。本実施形態の第1コンポーネント42Aは、モータ44である。本実施形態の第2コンポーネント42Bは、電動変速機46である。
【0111】
本実施形態の制御部62は、第1コンポーネント42A、および、第1コンポーネント42Aとは異なる第2コンポーネント42Bを制御するように構成される。本実施形態の制御部62は、人力駆動車10の走行状態および人力駆動車10のライダの生体情報の少なくとも1つに応じて、第1コンポーネント42Aを第2コンポーネント42Bよりも優先して制御する第1優先制御状態と、第2コンポーネント42Bを第1コンポーネント42Aよりも優先して制御する第2優先制御状態と、を切り替え可能に構成される。
【0112】
第1優先制御状態では、例えば、制御部62は、第1条件が満たされると、第1コンポーネント42Aを制御した後、第1条件が満たされる状態が継続すると、第2コンポーネント42Bを制御する。第1優先制御状態では、例えば、制御部62は、第1条件が満たされると、第1コンポーネント42Aを制御した後、第1条件が満たされる状態が満たされなくなると、第2コンポーネント42Bを制御しない。
【0113】
第2優先制御状態では、例えば、制御部62は、第1条件が満たされると、第2コンポーネント42Bを制御した後、第1条件が満たされる状態が継続すると、第1コンポーネント42Aを制御する。第1優先制御状態では、例えば、制御部62は、第1条件が満たされると、第2コンポーネント42Bを制御した後、第1条件が満たされる状態が満たされなくなると、第1コンポーネント42Aを制御しない。
【0114】
第1条件は、例えば、人力駆動力、車速、および、クランク軸22の回転速度の1つに関する。第1条件は、例えば、ライダの負荷に関する。
【0115】
制御部62は、例えば、疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、第1優先制御状態において第1コンポーネント42Aおよび第2コンポーネント42Bを制御するように構成される。制御部62は、例えば、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、第2優先制御状態において第1コンポーネント42Aおよび第2コンポーネント42Bを制御するように構成される。
【0116】
図4を参照して、制御部62が疲労度に応じてコンポーネント42を制御する処理が説明される。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図4に示すフローチャートのステップS21に移行する。制御部62は、
図4のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期の経過後にステップS21からの処理を繰り返す。
【0117】
制御部62は、ステップS21において、人力駆動車10の走行状態、および、ライダの生体状態の少なくとも1つに応じて疲労度を判定し、ステップS22に移行する。ステップS21において、例えば、判定部72は、疲労度が第1疲労度および第2疲労度のいずれであるかを判定する。
【0118】
制御部62は、ステップS22において、疲労度が予め定める疲労度よりも小さいか否かを判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第1疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度よりも小さいと判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第2疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度以上であると判定する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、ステップS23に移行する。
【0119】
制御部62は、ステップS23において、第1優先制御状態において第1コンポーネント42Aおよび第2コンポーネント42Bを制御し、処理を終了する。ステップS23以降において、制御部62は、例えば、第2優先制御状態に変更されるまで、第1優先制御状態において、第1コンポーネント42Aおよび第2コンポーネント42Bを制御するように構成される。
【0120】
制御部62は、ステップS22において、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、ステップS24に移行する。制御部62は、ステップS24において、第2優先制御状態において第1コンポーネント42Aおよび第2コンポーネント42Bを制御し、処理を終了する。ステップS24以降において、制御部62は、例えば、第1優先制御状態に変更されるまで、第2優先制御状態において、第1コンポーネント42Aおよび第2コンポーネント42Bを制御するように構成される。
【0121】
本実施形態では、疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、電動変速機46よりもモータ44が優先して制御され、かつ、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、モータ44よりも電動変速機46が優先して制御される。したがって、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、例えば、積極的に変速比を小さくできるため、ライダの疲労度の増加を好適に抑制できる。疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、モータ44よりも電動変速機46が優先して制御され、かつ、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、電動変速機46よりもモータ44が優先して制御されてもよい。疲労度が予め定める疲労度以上の場合、例えば、アシストレベルを大きくすることによって、変速比の変更が抑制されるため、ライダの疲労度の増加を抑制し、かつ、車速の低下を抑制できる。
【0122】
<第3実施形態>
図2および
図5を参照して、第3実施形態の人力駆動車用の制御装置60が説明される。第3実施形態の人力駆動車用の制御装置60は、
図3の処理に代えて
図5の処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0123】
本実施形態のコンポーネント42は、第1コンポーネント42Aおよび第1コンポーネント42Aとは異なる第2コンポーネント42Bを含む。第1コンポーネント42Aは、人力駆動車10に推進力を付与するモータ44、人力駆動車10の変速比を変更する電動変速機46、電動サスペンション48、電動シートポスト50、および、電動ブレーキ52のうちの1つである。第2コンポーネント42Bは、モータ44、電動変速機46、電動サスペンション48、電動シートポスト50、および、電動ブレーキ52のうちの、第1コンポーネント42Aとは異なる他の1つである。本実施形態の第1コンポーネント42Aは、モータ44である。本実施形態の第2コンポーネント42Bは、電動変速機46である。
【0124】
本実施形態の制御部62は、第1コンポーネント42A、および、第1コンポーネント42Aとは異なる第2コンポーネント42Bを制御するように構成される。本実施形態の制御部62は、人力駆動車10の走行状態に応じて、第1コンポーネント42Aを第2コンポーネント42Bよりも優先して制御する第3優先制御状態と、第2コンポーネント42Bを第1コンポーネント42Aよりも優先して制御する第4優先制御状態と、を切り替え可能に構成される。
【0125】
走行状態は、例えば、人力駆動車10に入力される人力駆動力に関する。制御部62は、例えば、人力駆動力が予め定める駆動力よりも小さい場合、第3優先制御状態において第1コンポーネント42Aおよび第2コンポーネント42Bを制御するように構成される。制御部62は、例えば、人力駆動力が予め定める駆動力以上の場合、第4優先制御状態において第1コンポーネント42Aおよび第2コンポーネント42Bを制御するように構成される。
【0126】
第3優先制御状態では、例えば、制御部62は、第2条件が満たされると、第1コンポーネント42Aを制御した後、第2条件が満たされる状態が継続すると、第2コンポーネント42Bを制御する。第3優先制御状態では、例えば、制御部62は、第2条件が満たされると、第1コンポーネント42Aを制御した後、第2条件が満たされる状態が満たされなくなると、第2コンポーネント42Bを制御しない。
【0127】
第4優先制御状態では、例えば、制御部62は、第2条件が満たされると、第2コンポーネント42Bを制御した後、第2条件が満たされる状態が継続すると、第1コンポーネント42Aを制御する。第3優先制御状態では、例えば、制御部62は、第2条件が満たされると、第2コンポーネント42Bを制御した後、第2条件が満たされる状態が満たされなくなると、第1コンポーネント42Aを制御しない。
【0128】
第2条件は、例えば、人力駆動力、車速、および、クランク軸22の回転速度の1つに関する。第2条件は、例えば、ライダの負荷に関する。
【0129】
図5を参照して、制御部62が走行状態に応じてコンポーネント42を制御する処理が説明される。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図5に示すフローチャートのステップS31に移行する。制御部62は、
図5のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期の経過後にステップS31からの処理を繰り返す。
【0130】
制御部62は、ステップS31において、人力駆動車10の走行状態を取得し、ステップS32に移行する。本実施形態では、制御部62は、ステップS32において、人力駆動力を取得する。制御部62は、ステップS32において、人力駆動力が予め定める駆動力よりも小さいか否かを判定する。制御部62は、人力駆動力が予め定める駆動力よりも小さい場合、ステップS33に移行する。
【0131】
制御部62は、ステップS33において、第3優先制御状態において第1コンポーネント42Aおよび第2コンポーネント42Bを制御し、処理を終了する。ステップS33以降において、制御部62は、例えば、第4優先制御状態に変更されるまで、第3優先制御状態において、第1コンポーネント42Aおよび第2コンポーネント42Bを制御するように構成される。
【0132】
制御部62は、ステップS32において、人力駆動力が予め定める駆動力以上の場合、ステップS34に移行する。制御部62は、ステップS34において、第4優先制御状態において第1コンポーネント42Aおよび第2コンポーネント42Bを制御し、処理を終了する。ステップS24以降において、制御部62は、例えば、第3優先制御状態に変更されるまで、第4優先制御状態において、第1コンポーネント42Aおよび第2コンポーネント42Bを制御するように構成される。
【0133】
本実施形態では、人力駆動力が予め定める駆動力よりも小さい場合、電動変速機46よりもモータ44が優先して制御され、かつ、人力駆動力が予め定める駆動力以上の場合、モータ44よりも電動変速機46が優先して制御される。したがって、人力駆動力が予め定める駆動力以上の場合、例えば、積極的に変速比を小さくできるため、ライダの負荷の増加を好適に抑制できる。人力駆動力が予め定める駆動力よりも小さい場合、モータ44よりも電動変速機46が優先して制御され、かつ、人力駆動力が予め定める駆動力以上の場合、電動変速機46よりもモータ44が優先して制御されてもよい。人力駆動力が予め定める駆動力の場合、例えば、アシストレベルを大きくすることによって、変速比の変更が抑制されるため、ライダの負荷の増加を抑制し、かつ、車速の低下を抑制できる。
【0134】
<第4実施形態>
図2および
図6を参照して、第4実施形態の人力駆動車用の制御装置60が説明される。第4実施形態の人力駆動車用の制御装置60は、
図3の処理に代えて
図6の処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0135】
本実施形態の制御部62は、人力駆動車10に推進力を付与するモータ44を制御するように構成される。本実施形態の制御部62は、人力駆動車10のライダの疲労度が予め定める疲労度以上になると、モータ44の出力トルクが第1トルク増加するようにモータ44を制御するように構成される。第1トルクは、3Nm以上かつ8Nm以下である。第1トルクは、例えば、5Nmである。
【0136】
図6を参照して、制御部62が疲労度に応じてモータ44を制御する処理が説明される。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図6に示すフローチャートのステップS41に移行する。制御部62は、
図6のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期の経過後にステップS41からの処理を繰り返す。
【0137】
制御部62は、ステップS41において、人力駆動車10の走行状態、および、ライダの生体状態の少なくとも1つに応じて疲労度を判定し、ステップS42に移行する。ステップS41において、例えば、判定部72は、疲労度が第1疲労度および第2疲労度のいずれであるかを判定する。
【0138】
制御部62は、ステップS42において、疲労度が予め定める疲労度以上か否かを判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第1疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度よりも小さいと判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第2疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度以上であると判定する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、処理を終了する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、ステップS43に移行する。
【0139】
制御部62は、ステップS43において、モータ44の出力トルクが第1トルク増加するようにモータ44を制御し、処理を終了する。制御部62は、例えば、ステップS43以降において、疲労度が予め定める疲労度よりも小さくなるまで、モータ44の出力トルクが第1トルク増加するようにモータ44を制御する。制御部62は、例えば、ステップS43以降において、疲労度が予め定める疲労度よりも小さくなると、モータ44の出力トルクの第1トルク増加を終了するように、モータ44を制御する。
【0140】
発明者は、ライダが疲労を感じている場合、人力駆動力が3Nm以上かつ8Nm以下の範囲において減少すると、ライダの疲労感が好適に低減されることを見出した。本実施形態の制御部62は、疲労度が予め定める疲労度以上の場合には、3Nm以上かつ8Nm以下のトルクがモータ44によって増加されるため、ライダの疲労感を好適に低減できる。
【0141】
<第5実施形態>
図2および
図7を参照して、第5実施形態の人力駆動車用の制御装置60が説明される。第5実施形態の人力駆動車用の制御装置60は、
図3の処理に代えて
図7の処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0142】
本実施形態の制御部62は、人力駆動車10の変速比を変更する変速機46Aを制御するように構成される。本実施形態の制御部62は、人力駆動車10のライダの疲労度が予め定める疲労度以上になると、人力駆動車10に入力される人力駆動力が第2トルク減少するように変速比を変更するように変速機46Aを制御するように構成される。第2トルクは、3Nm以上かつ8Nm以下である。第2トルクは、例えば、5Nmである。
【0143】
図7を参照して、制御部62が疲労度に応じて変速機46Aを制御する処理が説明される。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図7に示すフローチャートのステップS51に移行する。制御部62は、
図7のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期の経過後にステップS51からの処理を繰り返す。
【0144】
制御部62は、ステップS51において、人力駆動車10の走行状態、および、ライダの生体状態の少なくとも1つに応じて疲労度を判定し、ステップS52に移行する。ステップS51において、例えば、判定部72は、疲労度が第1疲労度および第2疲労度のいずれであるかを判定する。
【0145】
制御部62は、ステップS52において、疲労度が予め定める疲労度以上か否かを判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第1疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度よりも小さいと判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第2疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度以上であると判定する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、処理を終了する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、ステップS53に移行する。
【0146】
制御部62は、ステップS53において、人力駆動車10に入力される人力駆動力が第2トルク減少するように変速比を変更するように変速機46Aを制御し、処理を終了する。制御部62は、例えば、変速機46Aによって変速比を1段階小さくした場合の人力駆動力のトルクの減少量が第2トルク以上になる場合、変速比を1段階小さくする。制御部62は、例えば、変速機46Aによって変速比を2段階小さくした場合の人力駆動力のトルクの減少量が第2トルク以上になる場合、変速比を2段階小さくする。
【0147】
制御部62は、例えば、ステップS53以降において、疲労度が予め定める疲労度よりも小さくなるまで、人力駆動車10に入力される人力駆動力が第2トルク減少するように変速比を変更するように変速機46Aを制御する。制御部62は、例えば、ステップS53以降において、疲労度が予め定める疲労度よりも小さくなると、ステップS53において変更する前の変速比になるように、変速機46Aを制御する。
【0148】
本実施形態の制御部62は、疲労度が予め定める疲労度以上の場合には、3Nm以上かつ8Nm以下のトルクが変速機46Aによって減少されるため、ライダの疲労感を好適に低減できる。
【0149】
<第6実施形態>
図2および
図8を参照して、第6実施形態の人力駆動車用の制御装置60が説明される。第6実施形態の人力駆動車用の制御装置60は、
図3の処理に代えて
図8の処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0150】
本実施形態の制御部62は、人力駆動車10に推進力を付与するモータ44を制御するように構成される。本実施形態の制御部62は、人力駆動車10に入力される人力駆動力に応じてモータ44を制御するように構成される。本実施形態の制御部62は、第4制御状態と、第5制御状態と、においてモータ44を制御するように構成される。第4制御状態では、制御部62は、モータ44の出力が、人力駆動力に対するモータ44の出力の第1比率が予め定める比率と対応するようにモータ44を制御する。第5制御状態では、制御部62は、モータ44の出力が、第4制御状態におけるモータ44の出力に予め定める値を加算した値と対応するようにモータ44を制御する。
【0151】
制御部62は、例えば、人力駆動車10のライダの疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、第4制御状態においてモータ44を制御するように構成される。制御部62は、例えば、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、第5制御状態においてモータ44を制御するように構成される。予め定める値は、例えば、3Nm以上かつ8Nm以下である。予め定める値は、例えば、5Nmである。
【0152】
図8を参照して、制御部62が疲労度に応じてモータ44を制御する処理が説明される。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図8に示すフローチャートのステップS61に移行する。制御部62は、
図8のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期の経過後にステップS61からの処理を繰り返す。
【0153】
制御部62は、ステップS61において、人力駆動車10の走行状態、および、ライダの生体状態の少なくとも1つに応じて疲労度を判定し、ステップS62に移行する。ステップS61において、例えば、判定部72は、疲労度が第1疲労度および第2疲労度のいずれであるかを判定する。
【0154】
制御部62は、ステップS62において、疲労度が予め定める疲労度以上か否かを判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第1疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度よりも小さいと判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第2疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度以上であると判定する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、ステップS63に移行する。
【0155】
制御部62は、ステップS63において、第4制御状態においてモータ44を制御し、処理を終了する。制御部62は、例えば、ステップS63以降において、疲労度が予め定める疲労度以上になるまで、第4制御状態においてモータ44を制御する。制御部62は、例えば、ステップS63以降において、疲労度が予め定める疲労度以上になると、第5制御状態において、モータ44を制御する。
【0156】
制御部62は、ステップS62において、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、ステップS64に移行する。制御部62は、ステップS64において、第5制御状態においてモータ44を制御し、処理を終了する。制御部62は、例えば、ステップS64以降において、疲労度が予め定める疲労度よりも小さくなるまで、第5制御状態においてモータ44を制御する。制御部62は、例えば、ステップS64以降において、疲労度が予め定める疲労度よりも小さくなると、第4制御状態において、モータ44を制御する。
【0157】
<第7実施形態>
図2および
図9を参照して、第7実施形態の人力駆動車用の制御装置60が説明される。第7実施形態の人力駆動車用の制御装置60は、
図3の処理に代えて
図9の処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0158】
本実施形態の制御部62は、人力駆動車10に推進力を付与するモータ44を制御するように構成される。本実施形態の制御部62は、人力駆動車10に入力される人力駆動力の変化に対するモータ44の応答速度が予め定める応答速度になるようにモータ44を制御するように構成される。本実施形態の制御部62は、人力駆動車10のライダの疲労度に応じて、予め定める応答速度を変更するように構成される。
【0159】
制御部62は、例えば、疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、人力駆動力が減少する場合の応答速度が第1応答速度になるようにモータ44を制御するように構成される。制御部62は、例えば、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、人力駆動力が減少する場合の応答速度が第2応答速度になるようにモータ44を制御するように構成される。第2応答速度は、例えば、第1応答速度よりも遅い。
【0160】
図9を参照して、制御部62が疲労度に応じてモータ44を制御する処理が説明される。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図9に示すフローチャートのステップS71に移行する。制御部62は、
図9のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期の経過後にステップS71からの処理を繰り返す。
【0161】
制御部62は、ステップS71において、人力駆動車10の走行状態、および、ライダの生体状態の少なくとも1つに応じて疲労度を判定し、ステップS72に移行する。ステップS71において、例えば、判定部72は、疲労度が第1疲労度および第2疲労度のいずれであるかを判定する。
【0162】
制御部62は、ステップS72において、疲労度が予め定める疲労度以上か否かを判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第1疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度よりも小さいと判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第2疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度以上であると判定する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、ステップS73に移行する。
【0163】
制御部62は、ステップS73において、人力駆動力が減少する場合の応答速度が第1応答速度になるようにモータ44を制御し、処理を終了する。制御部62は、例えば、ステップS73以降において、疲労度が予め定める疲労度以上になるまで、人力駆動力が減少する場合の応答速度が第1応答速度になるようにモータ44を制御する。制御部62は、例えば、ステップS73以降において、疲労度が予め定める疲労度以上になると、人力駆動力が減少する場合の応答速度が第2応答速度になるようにモータ44を制御する。
【0164】
制御部62は、ステップS72において、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、ステップS74に移行する。制御部62は、ステップS74において、人力駆動力が減少する場合の応答速度が第2応答速度になるようにモータ44を制御し、処理を終了する。制御部62は、例えば、ステップS74以降において、疲労度が予め定める疲労度よりも小さくなるまで、人力駆動力が減少する場合の応答速度が第2応答速度になるようにモータ44を制御する。制御部62は、例えば、ステップS74以降において、疲労度が予め定める疲労度よりも小さくなると、人力駆動力が減少する場合の応答速度が第1応答速度になるようにモータ44を制御する。
【0165】
<第8実施形態>
図2および
図10を参照して、第8実施形態の人力駆動車用の制御装置60が説明される。第8実施形態の人力駆動車用の制御装置60は、
図3の処理に代えて
図10の処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0166】
本実施形態の制御部62は、人力駆動車10に入力される人力駆動力に応じてモータ44を制御するように構成される。本実施形態の制御部62は、予め定める第1期間において、モータ44の出力が予め定める第1出力になるようにモータ44を制御するように構成される。本実施形態の制御部62は、予め定める第1期間とは異なる予め定める第2期間において、モータ44の出力が第1出力、または、第1出力よりも大きい第2出力になるようにモータ44を制御するように構成される。予め定める第2期間は、クランク軸22の回転角度が上死点および下死点と対応する回転角度、または、人力駆動力が最小ピーク値となる回転角度を含む期間である。第1出力は、例えば、第1比率に基づいて決定される。
【0167】
制御部62は、例えば、人力駆動車10のライダの疲労度に応じて、予め定める第2期間において、モータ44の出力が第1出力になるようにモータ44を制御するように構成される第6制御状態と、予め定める第2期間において、モータ44の出力が第2出力になるようにモータ44を制御するように構成される第7制御状態とを切り替え可能に構成される。
【0168】
制御部62は、例えば、疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、第6制御状態においてモータ44を制御するように構成される。制御部62は、例えば、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、第7制御状態においてモータ44を制御するように構成される。
【0169】
図10を参照して、制御部62が疲労度に応じてモータ44を制御する処理が説明される。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図10に示すフローチャートのステップS81に移行する。制御部62は、
図10のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期の経過後にステップS81からの処理を繰り返す。
【0170】
制御部62は、ステップS81において、人力駆動車10の走行状態、および、ライダの生体状態の少なくとも1つに応じて疲労度を判定し、ステップS82に移行する。ステップS81において、例えば、判定部72は、疲労度が第1疲労度および第2疲労度のいずれであるかを判定する。
【0171】
制御部62は、ステップS82において、疲労度が予め定める疲労度以上か否かを判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第1疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度よりも小さいと判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第2疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度以上であると判定する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、ステップS83に移行する。
【0172】
制御部62は、ステップS83において、第6制御状態においてモータ44を制御し、処理を終了する。制御部62は、例えば、ステップS83以降において、疲労度が予め定める疲労度以上になるまで、第6制御状態においてモータ44を制御する。制御部62は、例えば、ステップS83以降において、疲労度が予め定める疲労度以上になると、第7制御状態において、モータ44を制御する。
【0173】
制御部62は、ステップS82において、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、ステップS84に移行する。制御部62は、ステップS84において、第7制御状態においてモータ44を制御し、処理を終了する。制御部62は、例えば、ステップS84以降において、疲労度が予め定める疲労度よりも小さくなるまで、第7制御状態においてモータ44を制御する。制御部62は、例えば、ステップS84以降において、疲労度が予め定める疲労度よりも小さくなると、第6制御状態において、モータ44を制御する。
【0174】
<第9実施形態>
図2および
図11を参照して、第9実施形態の人力駆動車用の制御装置60が説明される。第9実施形態の人力駆動車用の制御装置60は、
図3の処理に代えて
図11の処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0175】
本実施形態の制御部62は、第7制御状態および第8制御状態のいずれかにおいてモータ44を制御するよう構成される。
【0176】
制御部62は、第7制御状態において、人力駆動車10のクランク軸22の回転位相が上死点および下死点と対応する第1角度範囲において、第6実施形態の第4制御状態におけるモータ44の出力に予め定める値を加算した値と対応するようにモータ44を制御し、かつ、クランク軸22の回転位相が第1角度範囲外において、第4制御状態におけるモータ44の出力となるようにモータ44を制御するように構成される。
【0177】
制御部62は、第8制御状態において、人力駆動力が最小ピーク値となるクランク軸22の回転位相を含む第2角度範囲において、第6実施形態の第4制御状態におけるモータ44の出力に予め定める値を加算した値と対応するようにモータ44を制御し、クランク軸22の回転位相が第2角度範囲外において、第6実施形態の第4制御状態におけるモータ44の出力となるようにモータ44を制御するように構成される。
【0178】
第1角度範囲は、例えば、上死点となるクランク軸22の回転位相を基準として+20度から-20度までの範囲、および、下死点となるクランク軸22の回転位相を基準として+20度から-20度までの範囲の範囲を含む。第2角度範囲は、最小ピーク値となるクランク軸22の回転位相を基準として、+20度から-20度までの範囲を含む。制御部62は、例えば、人力駆動力検出部の出力に基づいて、クランク軸22の回転位相が第2角度範囲にあるか否かを判定する。制御部62は、クランク回転状態検出部の出力に基づいて、クランク軸22の回転位相が第2角度範囲にあるか否かを判定してもよい。
【0179】
図11を参照して、制御部62が疲労度に応じてモータ44を制御する処理が説明される。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図11に示すフローチャートのステップS91に移行する。制御部62は、
図11のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期の経過後にステップS91からの処理を繰り返す。
【0180】
制御部62は、ステップS91において、人力駆動車10の走行状態、および、ライダの生体状態の少なくとも1つに応じて疲労度を判定し、ステップS92に移行する。ステップS91において、例えば、判定部72は、疲労度が第1疲労度および第2疲労度のいずれであるかを判定する。
【0181】
制御部62は、ステップS92において、疲労度が予め定める疲労度以上か否かを判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第1疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度よりも小さいと判定する。制御部62は、例えば、疲労度が第2疲労度であると判定部72が判定した場合、予め定める疲労度以上であると判定する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、ステップS93に移行する。
【0182】
制御部62は、ステップS93において、第8制御状態においてモータ44を制御し、処理を終了する。制御部62は、例えば、ステップS93以降において、疲労度が予め定める疲労度以上になるまで、第8制御状態においてモータ44を制御する。制御部62は、例えば、ステップS93以降において、疲労度が予め定める疲労度以上になると、第8制御状態において、モータ44を制御する。
【0183】
制御部62は、ステップS92において、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、ステップS94に移行する。制御部62は、ステップS94において、第9制御状態においてモータ44を制御し、処理を終了する。制御部62は、例えば、ステップS94以降において、疲労度が予め定める疲労度よりも小さくなるまで、第9制御状態においてモータ44を制御する。制御部62は、例えば、ステップS94以降において、疲労度が予め定める疲労度よりも小さくなると、第8制御状態において、モータ44を制御する。
【0184】
<第10実施形態>
図2、
図12、および、13を参照して、第10実施形態の人力駆動車用の制御装置60が説明される。第10実施形態の人力駆動車用の制御装置60は、
図3の処理に代えて
図12および
図13の処理を実行する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0185】
本実施形態の制御部62は、高難度走行路に応じてコンポーネント42を制御するように構成される。高難度走行路は、例えば、テクニカルコースである。制御部62は、例えば、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに基づいて、人力駆動車10が高難度走行路を走行しているか否かを判定するように構成される。制御部62は、例えば、人力駆動力、クランク軸22の回転速度、および、人力駆動車10の傾斜の少なくとも1つに基づいて、人力駆動車10が高難度走行路を走行しているか否かを判定するように構成される。
【0186】
制御部62は、例えば、人力駆動車10のヨー角速度、ロール角速度、および、ピッチ角速度の少なくとも1つが所定角速度範囲以下の場合、高難度走行路を走行していると判定する。所定角速度範囲は、例えば、-5rad/secから+5rad/secまでである。制御部62は、例えば、人力駆動力の変化量が予め定める変化量範囲以下の場合、高難度走行路を走行していると判定する。予め定める変化量範囲は、例えば、-5Nmから+5Nmまでである。制御部62は、車速または人力駆動車10の進行方向への加速度によって高難度走行路を走行しているか否かを判定してもよい。高難度走行路においては、人力駆動車10は、低速かつふらつきながら走行しているため、制御部62は、ヨー角速度、ロール角速度、ピッチ角速度、人力駆動力、車速、加速度によって、高難度走行路を走行中か否かを好適に判定できる。
【0187】
制御部62は、例えば、人力駆動車10の走行状態が安定状態の場合、疲労度に応じたコンポーネント42の制御を実行するように構成される。制御部62は、例えば、車速およびクランク軸22の回転速度の少なくとも1つに応じて安定状態を判定する。制御部62は、例えば、車速の変動量が第1変動量以下、かつ、クランク軸22の回転速度の変動量が第2変動量以下の場合、安定状態であると判定する。第1変動量は、例えば、0.1km/h以上かつ0.3km/h以下である。第1変動量は、例えば、0.15km/hである。第2変動量は、例えば、1rpm以上かつ5rpm以下である。第2変動量は、例えば、2rpmである。制御部62は、車速の変動量が第1変動量以下の場合、安定状態であると判定してもよい。制御部62は、例えば、クランク軸22の回転速度の変動量が第2変動量以下の場合、安定状態であると判定してもよい。制御部62は、例えば、車速の変動量が第1変動量以下、かつ、クランク軸22の回転速度の変動量が第2変動量以下の状態が、予め定める回数判定された場合、または、予め定める判定期間継続して判定された場合、安定状態であると判定してもよい。
【0188】
図11を参照して、制御部62が疲労度に応じてモータ44を制御する処理が説明される。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図11に示すフローチャートのステップS91に移行する。制御部62は、
図11のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期の経過後にステップS91からの処理を繰り返す。
【0189】
制御部62は、ステップS101において、走行状態を取得し、ステップS102に移行する。制御部62は、ステップS102において、ステップS101において取得した走行状態に基づいて、安定状態か否かを判定する。制御部62は、安定状態ではない場合、ステップS102の処理を繰り返す。制御部62は、安定状態の場合、ステップS103に移行する。
【0190】
制御部62は、ステップS103において、走行状態を取得し、ステップS104に移行する。制御部62は、ステップS103において取得した走行状態に基づいて、高難度走行路であるか否かを判定する。制御部62は、高難度走行路ではない場合、ステップS105に移行する。
【0191】
制御部62は、ステップS105において、疲労度が予め定める疲労度以上か否かを判定する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、処理を終了する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、ステップS106に移行する。
【0192】
制御部62は、ステップS106において、モータ44の制御状態を変更し、ステップS107に移行する。制御部62は、例えば、ステップS106において、モータ44の制御状態を、現在の制御状態よりもアシストレベルの高い制御状態に変更する。
【0193】
制御部62は、ステップS107において、疲労度が予め定める疲労度以上か否かを判定する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、処理を終了する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、ステップS108に移行する。
【0194】
制御部62は、ステップS108において、変速機46Aを制御し、ステップS109に移行する。制御部62は、例えば、ステップS108において、変速比が小さくなるように、変速機46Aを制御する。
【0195】
制御部62は、ステップS109において、疲労度が予め定める疲労度以上か否かを判定する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、処理を終了する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、ステップS110に移行する。
【0196】
制御部62は、ステップS110において、他コンポーネントを制御し、ステップS111に移行する。他コンポーネントは、例えば、電動サスペンション48、電動シートポスト50、および、電動ブレーキ52の少なくとも1つを含む。制御部62は、例えば、ステップS110において、電動サスペンション48、電動シートポスト50、および、電動ブレーキ52の少なくとも1つを制御する。制御部62は、例えば、ステップS110において、電動サスペンション48、電動シートポスト50、および、電動ブレーキ52の少なくとも1つを、ライダの負荷が小さくなるように制御する。制御部62は、例えば、電動サスペンション48をアンロック状態に設定する。制御部62は、例えば、電動シートポスト50によってシートポスト16Bの高さを下降させる。制御部62は、例えば、電動ブレーキ52によって人力駆動車10を停止させる。
【0197】
制御部62は、ステップS111において、疲労度が予め定める疲労度よりも小さいか否かを判定する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度以上の場合、ステップS106に移行する。制御部62は、疲労度が予め定める疲労度よりも小さい場合、処理を終了する。
【0198】
制御部62は、ステップS104において、高難度走行路ではない場合、ステップS112に移行する。制御部62は、ステップS112において、高難度走行路に応じたコンポーネント42の制御を実行し、ステップS113に移行する。制御部62は、ステップS113において、高難度走行路終了か否かを判定する。制御部62は、例えば、ステップS104と同様の判定を行い、人力駆動車10が高難度走行路を走行中の場合、NOと判定する。制御部62は、例えば、ステップS104と同様の判定を行い、人力駆動車10が高難度走行路を走行ではない場合、YESと判定する。制御部62が高難度走行路終了ではない場合、再びステップS113の処理を実行する。
【0199】
制御部62は、ステップS113において、高難度走行路終了の場合、ステップS114に移行する。制御部62は、ステップS114において、高難度走行路に応じたコンポーネント42の制御を終了し、処理を終了する。
【0200】
制御部62は、人力駆動車10が高難度走行路を走行中の場合は、疲労度に応じたコンポーネント42の制御を実行しない。このため、高難度走行路における人力駆動車10およびライダの挙動によって、判定部72が疲労度を誤判定することが抑制される。
【0201】
<変更例>
各実施形態に関する説明は、人力駆動車用の制御装置、および、人力駆動車用の疲労度判定装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の制御装置、および、人力駆動車用の疲労度判定装置は、例えば、以下に示される各実施形態の変更例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変更例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変更例において、各実施形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明が省略される。
【0202】
・判定部72は、人力駆動車10の走行中に検出されたパラメータを初期値として演算値を算出するようにしてもよい。判定部72は、例えば、人力駆動車10の走行開始後の予め設定されている時間が経過後に検出されたパラメータを初期値としてもよい。判定部72は、例えば、ライダが予め定める操作部に予め定める操作を行った時点において検出されたパラメータを初期値としてもよい。
【0203】
・疲労度のレベルを判定するためのパラメータは、実施形態に開示される例の少なくとも1つに代えてまたは加えて、以下のパラメータの第1例から第13例のうちの少なくとも1つに関していてもよい。疲労度のレベルを判定するためのパラメータが、パラメータの第1例から第13例のうちの少なくとも1つに関する場合、検出部54は、各パラメータを検出するように構成される。
パラメータの第1例は、ペダルトルクのベクトル量に関する。ペダルトルクのベクトル量は、例えば、クランク18の回転方向のペダルトルクに対するクランク18の半径方向のペダルトルクを含む。
パラメータの第2例は、ライダの体の関節角度に関する。ライダの体の関節角度は、例えば、内旋角度、外旋角度、内転角度、外転角度、屈曲角度、および、伸展角度の少なくとも1つを含む。パラメータの第2例では、パラメータは、1つの関節の関節角度に関するものであってもよく、複数の関節の関節角度に関するものであってもよい。パラメータが複数の関節の関節角度に関する場合、パラメータは、複数の関節の関節角度の和であってもよい。
パラメータの第3例は、サドル圧力である。サドル圧力は、例えば、ロール方向のサドル圧力、ピッチ方向のサドル圧力、および、ヨー方向のサドル圧力の少なくとも1つを含む。
パラメータの第4例は、ライダの筋電に関する。
パラメータの第5例は、ライダの呼吸量に関する。
パラメータの第6例は、ライダの血中酸素濃度に関する。
パラメータの第7例は、ライダの発汗量に関する。
パラメータの第8例は、ライダの脳波に関する。
パラメータの第9例は、ライダの血流量に関する。
パラメータの第10例は、ライダの体温に関する。
パラメータの第11例は、走行時間に関する。走行時間は、例えば、人力駆動車10が走行を開始してからの経過時間である。
パラメータの第12例は、ライダの血圧に関する。
パラメータの第13例は、ライダのエネルギー消費量に関する。
【0204】
・制御部62は、演算値を用いず判定される疲労度に応じて、コンポーネント42を制御するように構成されてもよい。本変更例では、制御部62は、パラメータと閾値との比較に応じて、コンポーネント42を制御してもよい。本変更例では、制御部62は、各実施形態および上記変更例に開示されるパラメータのいずれか1つと閾値との比較に応じてコンポーネント42を制御してもよい。制御部62が演算値を用いず、パラメータと閾値との比較に基づいて判定される疲労度に応じて、コンポーネント42を制御するように構成される場合、判定部72は省略されてもよい。
【0205】
・コンポーネント42は、例えば、人力駆動車10に推進力を付与するモータ44、電動変速機46、表示装置、電動サスペンション48、電動シートポスト50、および、電動ブレーキ52の少なくとも1つを含んでもよい。本変更例において、コンポーネント42が表示装置を含む場合、制御部62は、判定部72によって判定される疲労度に応じて、表示装置を制御するように構成されてもよい。制御部62は、例えば、疲労度に応じた表示情報が表示されるように、表示装置を制御する。
【0206】
・第6実施形態において、疲労度以外に応じてモータ44の制御状態を変更してもよい。例えば、制御部62は、人力駆動力、クランク軸22の回転速度、および、車速の少なくとも1つに応じて、第4制御状態と、第5制御状態とを切り替え可能に構成される。
【0207】
・第1から第10実施形態のうちの2つ以上は組み合わせられてもよい。制御部62は、例えば、第1から第10実施形態の各処理について、矛盾が生じない限り、並行してまたは順次実行することができる。
【0208】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0209】
本明細書において使用される「第1、第2、および、第3」などの序数については、単に同一の名称を有する複数の部材を区別するために用いられ、特別な意味を持たない。
【符号の説明】
【0210】
10…人力駆動車、14…車体、22…クランク軸、28…ハンドル、42…コンポーネント、44…モータ、46…電動変速機、48…電動サスペンション、50…電動シートポスト、52…電動ブレーキ、60…制御装置、62…制御部、70…疲労度判定装置、72…判定部。