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特開2024-160850半導体装置および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160850
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20241108BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20241108BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241108BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20241108BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01L29/78 652M
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 653C
H01L29/78 652P
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
H01L29/78 652Q
H01L29/78 658F
H01L29/78 652T
H01L29/78 655A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076310
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】西村 武義
(57)【要約】
【課題】半導体素子の表面電極抵抗を低減できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置70は、第1導電型の半導体基板1と、第1導電型のドリフト層2と、第2導電型のベース層5と、第1導電型のソース領域6と、ゲート絶縁膜7と、ゲート電極8と、層間絶縁膜9と、コンタクトホール16と、おもて面電極10と、を備える。おもて面電極10は、層間絶縁膜9上の下部電極10aと、下部電極10a上の上部電極10bとから構成され、上部電極10bは第1方向と垂直な第2方向に凹部19を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の第1主面上に設けられた第1導電型のドリフト層と、
前記ドリフト層の表面層に設けられた第2導電型のベース層と、
前記ベース層の表面層に選択的に設けられた第1導電型のソース領域と、
前記ベース層および前記ソース領域の表面にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記ソース領域および前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、
前記ソース領域の表面上の前記層間絶縁膜に設けられた、第1方向に長手方向をもつコンタクトホールと、
前記層間絶縁膜上に設けられたおもて面電極と、
を備え、
前記おもて面電極は、前記層間絶縁膜上の下部電極と、前記下部電極上の上部電極とから構成され、前記上部電極は前記第1方向と垂直な第2方向に延在する凹部を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記上部電極は、前記第2方向に長手方向をもつストライプ状であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記コンタクトホールは、前記第1方向に長手方向をもつストライプ状であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記おもて面電極と接続される導電性のワイヤをさらに備え、
前記ワイヤの接続方向は、前記第1方向であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記凹部の短辺方向の幅が、前記ワイヤの径よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記下部電極の、前記上部電極と接する面は、前記層間絶縁膜の表面よりも平坦であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記下部電極は、Al-SiまたはAl-Si-Cu、Al-Cuで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記上部電極は、Al、Al-SiまたはAl-Si-Cu、Al-Cu、Al、Cuで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記凹部は、前記上部電極の、前記下部電極と接する面に設けられており、
前記凹部は、絶縁膜で埋められていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記絶縁膜上の前記上部電極の厚さは、隣り合う前記絶縁膜間の距離の0.5倍以上5倍以下であることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記絶縁膜は、無機SiO2、SiNまたは有機ポリイミド樹脂で形成されていることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項12】
第1導電型の半導体基板の第1主面上に第1導電型のドリフト層を形成する第1工程と、
前記ドリフト層の表面層に第2導電型のベース層を形成する第2工程と、
前記ベース層の表面層に選択的に第1導電型のソース領域を形成する第3工程と、
前記ベース層および前記ソース領域の表面にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する第4工程と、
前記ソース領域および前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜を形成する第5工程と、
前記ソース領域の表面上の前記層間絶縁膜に、第1方向に長手方向をもつコンタクトホールを形成する第6工程と、
前記層間絶縁膜上におもて面電極を形成する第7工程と、
を含み、
前記第7工程は、
前記層間絶縁膜上に下部電極を形成する工程と、
前記下部電極上に、前記第1方向と垂直な第2方向に延在する凹部を有する上部電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第7工程は、
前記層間絶縁膜上に前記下部電極を形成する工程と、
前記下部電極上にレジストを形成する工程と、
前記レジストに前記下部電極に達する開口部を形成する工程と、
前記レジストおよび前記開口部に金属膜を形成する工程と、
前記レジスト上の金属膜および前記レジストを除去することで、前記下部電極上に前記上部電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第7工程は、
前記層間絶縁膜上に前記下部電極を形成する工程と、
前記下部電極上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜に前記下部電極に達する開口部を形成する工程と、
前記絶縁膜および前記開口部に金属膜を形成することで、前記下部電極上に前記上部電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電極層の特定部分に応力が集中して亀裂が生じることを抑制するため、複数の凹部を電極層に形成した半導体装置が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。また、リードとの接着強度を増加させるため、ソース電極の凹部にSOG膜を埋め込み、電極表面を平坦化した半導体装置が公知である(例えば、下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-266935号公報
【特許文献2】特開2003-101024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体装置では、半導体素子自体のオン抵抗は微細化等により低下しているが、半導体素子の表面電極抵抗が無視できなくなっているという課題があった。この発明は、半導体素子の表面電極抵抗を低減できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。半導体装置は、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の第1主面上に設けられた第1導電型のドリフト層と、前記ドリフト層の表面層に設けられた第2導電型のベース層と、前記ベース層の表面層に選択的に設けられた第1導電型のソース領域と、前記ベース層および前記ソース領域の表面にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、前記ソース領域および前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、前記ソース領域の表面上の前記層間絶縁膜に設けられた、第1方向に長手方向をもつコンタクトホールと、前記層間絶縁膜上に設けられたおもて面電極と、を備える。前記おもて面電極は、前記層間絶縁膜上の下部電極と、前記下部電極上の上部電極とから構成され、前記上部電極は前記第1方向と垂直な第2方向に延在する凹部を有する。
【0006】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記上部電極は、前記第2方向に長手方向をもつストライプ状であることを特徴とする。
【0007】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記コンタクトホールは、前記第1方向に長手方向をもつストライプ状であることを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記おもて面電極と接続される導電性のワイヤをさらに備え、前記ワイヤの接続方向は、前記第1方向であることを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記凹部の短辺方向の幅が、前記ワイヤの径よりも小さいことを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記下部電極の、前記上部電極と接する面は、前記層間絶縁膜の表面よりも平坦であることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記下部電極は、Al-SiまたはAl-Si-Cu、Al-Cuで形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記上部電極は、Al、Al-SiまたはAl-Si-Cu、Al-Cu、Al、Cuで形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記凹部は、前記上部電極の、前記下部電極と接する面に設けられており、前記凹部は、絶縁膜で埋められていることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記絶縁膜上の前記上部電極の厚さは、隣り合う前記絶縁膜間の距離の0.5倍以上5倍以下であることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記絶縁膜は、無機SiO2、SiNまたは有機ポリイミド樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、まず、電型の半導体基板の第1主面上に第1導電型のドリフト層を形成する第1工程を行う。次に、前記ドリフト層の表面層に第2導電型のベース層を形成する第2工程を行う。次に、前記ベース層の表面層に選択的に第1導電型のソース領域を形成する第3工程を行う。次に、前記ベース層および前記ソース領域の表面にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する第4工程を行う。次に、前記ソース領域および前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜を形成する第5工程を行う。次に、前記ソース領域の表面上の前記層間絶縁膜に、第1方向に長手方向をもつコンタクトホールを形成する第6工程を行う。次に、前記層間絶縁膜上におもて面電極を形成する第7工程を行う。前記第7工程は、前記層間絶縁膜上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に、前記第1方向と垂直な第2方向に延在する凹部を有する上部電極を形成する工程と、を含む。
【0017】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第7工程は、前記層間絶縁膜上に前記下部電極を形成する工程と、前記下部電極上にレジストを形成する工程と、前記レジストに前記下部電極に達する開口部を形成する工程と、前記レジストおよび前記開口部に金属膜を形成する工程と、前記レジスト上の金属膜および前記レジストを除去することで、前記下部電極上に前記上部電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第7工程は、前記層間絶縁膜上に前記下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に前記下部電極に達する開口部を形成する工程と、前記絶縁膜および前記開口部に金属膜を形成することで、前記下部電極上に前記上部電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、半導体素子の表面電極抵抗を低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す平面拡大図である。
図2】実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図1のX1-X1断面図である。
図3】実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図1のX2-X2断面図である。
図3a】実施の形態1にかかる半導体装置のソース電極での電流の流れを示す断面図である。
図3b】凹部の延在する方向とコンタクトホールの長手方向とを平行にした場合のソース電極での電流の流れを示す断面図である。
図4】実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図1のY1-Y1断面図である。
図5】実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す平面図である(その1)。
図6】実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す平面図である(その2)。
図7】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
図8】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
図9】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その3)。
図10】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その4)。
図11】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その5)。
図12】実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す図1のX1-X1断面図である。
図13】実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す図1のX2-X2断面図である。
図14】実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す図1のY1-Y1断面図である。
図15】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
図16】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
図17】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その3)。
図18】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その4)。
図19】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その5)。
図20】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その6)。
図21】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その7)。
図22】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その8)。
図23】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その9)。
図24】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その10)。
図25】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その11)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。+および-を含めたnやpの表記が同じ場合は近い濃度であることを示し濃度が同じとは限らない。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。そして、同じまたは同等との記載は製造におけるばらつきを考慮して±5%以内まで含むとするのがよい。
【0022】
(実施の形態1)
最初に、従来の半導体装置について説明する。上述したように、従来の半導体装置では、半導体素子(半導体チップ)自体のオン抵抗(オン電圧)は、微細化などによる設計・加工精度向上に伴い低下している。これにより、半導体素子の基板と外部電極を繋ぐ半導体素子の表面電極の抵抗が無視できなくなってきている。特に、表面電極の横方向(面内方向)の抵抗が大きくなっている。表面電極の金属膜の厚さを厚くすることで表面電極の抵抗が低減し、電流集中が緩和され、耐量向上も可能となる。ただし、金属膜を、厚くすることで設備能力低下、加工精度低下、設計変更などが必要となるため、金属膜の膜厚はある程度までしか厚くできない。このため、表面電極に接続されるワイヤのワイヤ径やワイヤ本数を増やす、金属膜の表面にめっき電極を形成することなどが行われている。
【0023】
ワイヤ径やワイヤ本数を増やした場合、ワイヤ抵抗成分が低下するだけでなく、半導体素子の金属膜に比べ圧倒的に厚いワイヤ径が接合することで接合した部分の金属膜が厚くなったことと同じとなり、金属膜の薄い領域を減らし、金属膜の抵抗を低減すると共に電流集中を抑制し耐量の向上も図れる。また金属膜が厚くなることでワイヤボンディングによるダメージを低減し、半導体素子の信頼性向上も図れる。
【0024】
また、半導体素子の金属膜上にめっき電極を形成した場合、金属膜に比べ厚いめっき電極が積層されることで表面電極が厚くなり、表面電極の抵抗低減が可能となる。実際にはめっき電極の上にははんだ層も形成されるため、表面電極抵抗の低下は少ないがワイヤ抵抗やL(インダクタンス)成分は低下する。また、電流経路の断面積が拡大することでバラスト抵抗として作用することでも電流集中を抑制し耐量の向上も図れる。
【0025】
しかしながら、ワイヤボンディング装置やパッケージの制約によりワイヤ径やワイヤ本数には限界があり、表面電極抵抗の低減も制限される。また、前述の理由で半導体素子の金属膜の厚さには限界があり、金属膜に比べ圧倒的に厚いワイヤ径のボンディングダメージ低減は不十分である。このため、制限ある中での改善方法としてステッチボンディングやリボンワイヤ等もあるが、ボンディング数の増加やボンディング面積の増加により、コストアップだけでなくワイヤボンディングダメージが増加することで半導体素子の信頼性が低下するという課題がある。
【0026】
さらに、めっき電極とはんだ層の構成とした場合、めっき電極、はんだ層とも厚いが半導体素子の金属膜に比べ抵抗率が高く、めっき電極、はんだ層による抵抗低減の効果は低く、めっき液の中には金属イオンが多数含まれており、半導体素子に金属イオンが侵入することで半導体素子の信頼性が低下するという課題がある。
【0027】
以下に上述の課題を解決する実施の形態1にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法を説明する。図1は、実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す平面拡大図である。図2は、実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図1のX1-X1断面図である。図3は、実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図1のX2-X2断面図である。図4は、実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す図1のY1-Y1断面図である。実施の形態1にかかる半導体装置の構造について、トレンチ型MOSFET70を例に説明する。
【0028】
トレンチ型MOSFET70は、シリコン(Si)からなる半導体基体(シリコン基体:半導体チップ)のおもて面(後述するp型ベース層5側の面)側にMOS(Metal Oxide Semiconductor)ゲートを備えたMOSFETである。このトレンチ型MOSFET70は、図1図4に示すように、活性領域50と、活性領域外周部55と、活性領域50および活性領域外周部55の周囲を囲むエッジ終端領域60とを備える。活性領域50および活性領域外周部55は、オン状態のときに電流が流れる領域である。エッジ終端領域60は、ドリフト領域の半導体基体おもて面側の電界を緩和し耐圧を保持する耐圧保持領域を含む。活性領域50には、MOS構造が設けられ、活性領域外周部55にはMOS構造が設けられていない。
【0029】
なお、活性領域50と活性領域外周部55との境界は、トレンチの片側のみに後述するn+型ソース領域6が接するトレンチ18の中心である。活性領域外周部55とエッジ終端領域60との境界は、後述するソース電極10の端である。図2図3の活性領域50には、2つの単位セル(素子の機能単位)を示し、これらに隣接する他の単位セルを図示省略する。ここで、単位セルはトレンチ18の中心から隣のトレンチ18の中心までである。
【0030】
+型半導体基板(第1導電型の半導体基板)1は、例えばヒ素(As)またはリン(P)がドーピングされたシリコン単結晶基板である。n+型半導体基板1上には、n型ドリフト層(第1導電型のドリフト層)2が設けられている。n型ドリフト層2は、n+型半導体基板1よりも低不純物濃度を有し、例えばリンがドーピングされている低濃度n型層である。必ずしも半導体基板はn+型である必要はなく、n型ドリフト層2を半導体基板として、n型ドリフト層2の下面にn+型領域を設けた構成であってもよい。以下、n+型半導体基板1およびn型ドリフト層2を併せて半導体基体とする。n+型半導体基板1上には、n型バッファ層(不図示)がn+型半導体基板1よりも低不純物濃度で配置されていてもよい。n型バッファ層は、例えばリンがドーピングされている低濃度n型層である。半導体基体のおもて面側には、MOSゲート構造(素子構造)が形成されている。また、半導体基体の裏面には、ドレイン電極となる裏面電極11が設けられている。
【0031】
また、n型ドリフト層2の表面層中にp型ベース層(第2導電型のベース層)5が設けられ、p型ベース層5の表面層中には、n+型ソース領域(第1導電型のソース領域)6が選択的に設けられている。p型ベース層5の表面層中には、n+型ソース領域6と接するp++型コンタクト領域33が選択的に設けられていてもよい。
【0032】
半導体基体の第1主面側(p型ベース層5側)には、y方向に長手方向をもったトレンチ構造が形成されている。トレンチ構造は、トレンチ18と、ゲート絶縁膜7と、ゲート電極8とにより構成されている。具体的には、トレンチ18は、p型ベース層5のn+型半導体基板1側に対して反対側(半導体基体の第1主面側)の表面からp型ベース層5およびn+型ソース領域6を貫通してn型ドリフト層2に達する。トレンチ18の内壁に沿って、トレンチ18の底部および側壁にゲート絶縁膜7が形成されており、トレンチ18内のゲート絶縁膜7の内側にゲート電極8が設けられている。ゲート絶縁膜7によりゲート電極8が、p型ベース層5と絶縁されている。ゲート電極8の一部は、トレンチ18の上方(後述するソース電極10が設けられている側)からソース電極10側に突出してもよい。
【0033】
層間絶縁膜9は、半導体基体の第1主面側の全面に、トレンチ18に埋め込まれたゲート電極8を覆うように設けられている。層間絶縁膜9には、y方向に長手方向をもったコンタクトホール16が形成されている。コンタクトホール16は、例えば、y方向に伸びるストライプ形状である。ソース電極(おもて面電極)10は、コンタクトホール16を介して、n+型ソース領域6およびp型ベース層5に接する。このコンタクトホール16を介してソース電極10と接するp型ベース層5の表面側にp++型コンタクト領域33が設けられていてもよい。ソース電極10は、層間絶縁膜9によって、ゲート電極8と電気的に絶縁されている。ソース電極10と層間絶縁膜9との間に、例えばソース電極10からゲート電極8側への金属原子の拡散を防止するバリアメタル15が設けられていてもよい。
【0034】
また、層間絶縁膜9に形成されたコンタクトホール16にコンタクトプラグ14が埋め込まれていてもよい。コンタクトプラグ14は、例えば、埋め込み性の高いタングステン(W)を材料とする金属膜である。その際、トレンチコンタクト構造とすることが、アバランシェ動作の際にn+型ソース領域6よりも深い位置でp型ベース層5のホールを引き抜くことによって寄生バイポーラ動作を抑制でき、耐圧を向上させることができる。ここで、トレンチコンタクト構造とは、n+型ソース領域6を貫通して、p++型コンタクト領域33と接するトレンチを設け、コンタクトホール16が層間絶縁膜9およびn+型ソース領域6を貫通して、p++型コンタクト領域33と接するように設けられているコンタクト構造である。ソース電極10上には、選択的に例えばポリイミドからなるパッシベーション膜などの保護膜(不図示)が設けられている。
【0035】
また、耐圧を保持するエッジ終端領域60には、半導体基体のおもて面側に、ゲート絶縁膜7およびフィールド酸化膜20が設けられ、フィールド酸化膜20上にゲート電極8と接続される多結晶シリコン膜からなる導電膜22が設けられる。層間絶縁膜9が、半導体基体および導電膜22上に設けられている。導電膜22上には、ゲート電極パッド(不図示)と電気的に接続されるゲート金属電極13が設けられている。ゲート金属電極13は、層間絶縁膜9に形成されたコンタクトホール16を介して、導電膜22に接し、フィールド酸化膜20により、半導体基体と絶縁されている。ゲート金属電極13と層間絶縁膜9との間に、例えばゲート金属電極13からゲート電極8側への金属原子の拡散を防止するバリアメタル15が設けられていてもよい。また、層間絶縁膜9に形成されたコンタクトホール16にコンタクトプラグ14が埋め込まれていてもよい。コンタクトプラグ14は、例えば、埋め込み性の高いタングステン(W)を材料とする金属膜である。
【0036】
また、エッジ終端領域60には、p-型リサーフ(RESURF)領域24、p型のガードリング等の耐圧構造が設けられていてもよい。耐圧構造の外側にチャネルストッパ23が設けられ、n型のチャネルストッパ23上にフィールドプレート(不図示)が設けられていてもよい。p-型リサーフ領域24およびチャネルストッパ23は、チップ外周に環状に設けられていてもよい。
【0037】
実施の形態1では、ソース電極10は、層間絶縁膜9上に設けられた第1ソース電極(下部電極)10aと、第1ソース電極10a上に設けられた第2ソース電極(上部電極)10bとが積層された2層構造となっている。第1ソース電極10aおよび第2ソース電極10bは、同じ材料、例えば、Al-Si、Al-Si-Cu、Al-Cuから形成されてもよい。また、Alは、半導体基体との相互拡散性が高く合金化したスパイクが形成され特性が低下するため、第1ソース電極10aをAlで形成することは好ましくないが、半導体基体と直接接していない第2ソース電極10bはAlで形成してもよい。また、第2ソース電極10bとしてCuなどのCu系金属を用いてもよい。また、第1ソース電極10aおよび第2ソース電極10bは同じ程度の厚さで、それぞれ、通常のソース電極の厚さと同じ3μm以上7μm以下程度である。また、第1ソース電極10aは、第2ソース電極10bと接する表面は、層間絶縁膜9より平坦になり、表面凹凸が小さいことが好ましい。表面凹凸が小さいとは、n型ドリフト層2の表面から最も高い部分と最も部分との差が小さいことである。
【0038】
図5および図6は、実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す平面図である。図5に示すように、第2ソース電極10bは、コンタクトホール16の長手方向(y方向、第1方向)と垂直な方向(x方向、第2方向)に延在する凹部19を有することが好ましい。凹部19は、例えば、x方向に長手方向をもつストライプ形状である。凹部19は、例えば、図4に示すように、第1ソース電極10a上に第2ソース電極10bが存在しない部分である。また、凹部19は、例えば、第1ソース電極10a上で第2ソース電極10bの厚さが薄い部分であってもよい。
【0039】
また、ソース電極10に接続されるワイヤの太さは100μm以上500μm以下であるが、ワイヤが凹部19に入り込むとソース電極10の厚さが薄くなるため、凹部19の幅W1(図4参照)は、単位セルの幅よりも大きく、ワイヤの太さより小さいことが好ましい。更に、前記凹部の長辺方向の幅は、前記ワイヤの径よりも大きく、活性領域寸法より小さいことが好ましい。また、第2ソース電極10bの幅と前記凹部との和であらわされる短辺方向のピッチは、セルサイズの2倍より大きく、前記ワイヤの径の半分よりも小さいことが好ましい。ソース電極10に接続されるワイヤの太さは、第1ソース電極10a、第2ソース電極10bの厚さや凹部19の幅W1に比べ圧倒的に太いため、ワイヤボンディング時、凹部19の幅W1を埋めるためワイヤ下のソース電極は薄くならない。
【0040】
このように、実施の形態1では、通常のソース電極に比べて、厚さが倍程度の厚い領域が存在し、厚い領域に流れる電流が増えるため、第1ソース電極10aおよび第2ソース電極10bから構成される表面電極の抵抗を低減させることができる。
【0041】
ここで、図3aは、実施の形態1にかかる半導体装置のソース電極での電流の流れを示す断面図である。図3aは、図3の点線部分の拡大図である。図3aに示すように、実施の形態1では、凹部19の延在する方向とコンタクトホール16の長手方向とが垂直であるため、第2ソース電極10bは、第1ソース電極10aに流れる電流Iを均一に引き抜くことができる。
【0042】
これに対して、図3bは、凹部の延在する方向とコンタクトホールの長手方向とを平行にした場合のソース電極での流れを示す断面図である。図3bに示すように、この場合、電流Iの流れる方向に凹部があるため、第2ソース電極10bは、第1ソース電極10aに流れる電流Iを引き抜いても、第1ソース電極10aに戻さなければならなくなり、第1ソース電極10aに流れる電流Iを均一に引き抜くことができない。このように、凹部19の延在する方向とコンタクトホール16の長手方向とを垂直にすることで、シート抵抗の高い表面電極の薄い領域の影響を受け難くなり、凹部19の延在する方向とコンタクトホール16の長手方向とが平行の場合より、表面電極の抵抗を低減可能となる。
【0043】
また、図6に示すように、ワイヤ25が伸びる方向であるワイヤ25の接続方向(ワイヤボンディングの方向)は、方向であり、凹部19の延在する方向(x方向)とを垂直にすることが好ましい。この場合、ワイヤ25がソース電極10と接する領域Lの長辺Tがワイヤボンディングの方向となり、半導体装置70のy方向側の辺Sから領域Lに電流が流れる際、表面電極が薄く、抵抗の高い凹部19を通過する回数を減らしシート抵抗を低減することができる。また、ワイヤ25がソース電極10と接する領域Lが複数設けられている場合、隣り合う領域L間では、ワイヤボンディングの方向(y方向)に低抵抗の凹部19の数が少ない方が好ましい。図6の例では、領域Lが2つ設けられ、これらの間ではy方向に凹部19が1つ設けられている。
【0044】
また、第2ソース電極10bにより、ソース電極10が厚くなるため、ワイヤボンディングダメージを低減することができ、良品率や特性劣化を低減することができる。さらに、ソース電極10が厚くなるため、表面にめっき電極を形成する素子においても、めっき液中の可動イオンの侵入を低下させることができ、半導体素子の信頼性を向上させることができる。さらに、第2ソース電極10bに凹部19を設けることで、ソース電極10の表面積が大きくなり放熱性が向上する。
【0045】
(実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法)
次に、実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法について説明する。図7図11は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。半導体基体のおもて面側に、MOSゲート構造を形成する方法は既存の製造方法と同じであるため、図示を省略する。まず、シリコンからなりn+型ドレイン層となるn+型半導体基板1を用意する。次に、n+型半導体基板1のおもて面上に、n+型半導体基板1より低不純物濃度のn型ドリフト層2をエピタキシャル成長させる。
【0046】
次に、n型ドリフト層2の表面にフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により所定の箇所に酸化膜マスクを形成する。次に、形成した酸化膜マスクをマスクとしてp型不純物、例えばホウ素(B)などのイオン注入を行い、n型ドリフト層2の表面層に、p型ベース層5を形成する。同時に、n型ドリフト層2の表面側でかつエッジ終端領域60の端部側(活性領域50の反対側)に、チャネルストッパ23を形成してもよい。チャネルストッパ23は、n型でもp型でもよい。チャネルストッパ23は、n型不純物、例えばリン(P)あるいはp型不純物、例えばホウ素(B)などのイオン注入を行うことで形成してもよい。次に、n型ドリフト層2の表面側でかつエッジ終端領域60の活性領域50側に、p型不純物、例えばホウ素(B)をなどのイオン注入を行うことでp-型リサーフ領域24を形成してもよい。
【0047】
次に、p型ベース層5の表面上に、フォトリソグラフィによって、所定の開口幅を有するトレンチ用酸化膜マスク(不図示)を形成する。次に、ドライエッチングによってn型ドリフト層2に達するトレンチ18を形成する。
【0048】
次に、トレンチ18のダメージを除去するための等方性エッチングや、トレンチ18の底部およびトレンチ18の開口部の角を丸めるための犠牲酸化を行う。等方性エッチングと犠牲酸化はどちらか一方のみを行ってもよい。また、等方性エッチングを行った後に犠牲酸化を行ってもよい。
【0049】
次に、p型ベース層5の表面と、トレンチ18の底部および側壁と、に沿ってゲート絶縁膜7を形成する。このゲート絶縁膜7は、酸素雰囲気中において1000℃程度の温度の熱酸化によって形成してもよい。また、このゲート絶縁膜7は高温酸化(High Temperature Oxide:HTO)等のような化学反応によって堆積する方法で形成してもよい。
【0050】
次に、ゲート絶縁膜7上に、例えばリン原子がドーピングされた多結晶シリコン層(Poly-Si)からなるポリシリコンを形成する。次に、活性領域50の部分をエッチングすることで、トレンチ18の内部にゲート電極8となるポリシリコンを残し、エッジ終端領域60に導電膜22となるポリシリコンを残す。その際、トレンチ18に埋め込まれたポリシリコンは、エッチバックを行いn型ドリフト層2の表面より内側に残すようにエッチングしてもよく、パターニングとエッチングを施すことでn型ドリフト層2の表面より外側に突出していてもよい。これにより、エッジ終端領域60において、少なくともポリシリコンがトレンチ18内のゲート電極8と電気的に接続して、フィールド酸化膜20を覆うフィールドプレートを形成するように導電膜22が残される。
【0051】
次にp型ベース層5の表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有するマスクを、例えばレジストで形成する。そして、このレジストマスクをマスクとしてイオン注入法によってn型の不純物をイオン注入する。それによって、p型ベース層5の表面領域の一部に、n+型ソース領域6が形成される。次に、n+型ソース領域6を形成するためのイオン注入時に用いたマスクを除去する。次に、n+型ソース領域6を活性化させるための熱処理を行う。
【0052】
上記の製造方法では、p型ベース層5形成後にトレンチ18、ゲート絶縁膜7およびゲート電極8から構成されるゲート構造を形成したが、ゲート構造を形成した後に、p型ベース層5を形成してもよい。ゲート構造を形成した後に、p型ベース層5を形成することで、p型ベース層5の濃度調整を容易にすることができる。またn+型ソース領域6を形成した後に、トレンチ18、ゲート絶縁膜7およびゲート電極8から構成されるゲート構造を形成してもよい。
【0053】
次に、ゲート電極8を覆うように、例えばリンガラスよりなる1μm程度の厚さの層間絶縁膜9を成膜する。次に、層間絶縁膜9をフォトリソグラフィによりパターニングしn+型ソース領域6およびp型ベース層5を露出させたコンタクトホール16を形成する。活性領域50および活性領域外周部55では、コンタクトホール16は、n+型ソース領域6を貫通し、p型ベース層5に達し、エッジ終端領域60では、導電膜22に達する。
【0054】
次に、このコンタクトホール16によって露出するp型ベース層5の表面側に、p型の不純物をイオン注入することで、p++型コンタクト領域33を形成してもよい。p++型コンタクト領域33は、n+型ソース領域6を形成した直後に形成し、コンタクトホール16が層間絶縁膜9およびn+型ソース領域6を貫通しp++型コンタクト領域33と接するように形成してもよい。
【0055】
以下に、実施の形態1のソース電極10の製造方法について説明する。まず、層間絶縁膜9上に、スパッタ等によりアルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金等の金属膜を成膜する。次に、金属膜を活性領域50とエッジ終端領域60で電極を分離することで、第1ソース電極10aおよびゲート金属電極13を形成する。ここまでの状態が図7に記載される。図7図11では、半導体基体30と記載して内部のMOS構造の詳細な記載を省略する。
【0056】
なお、金属膜を成膜する前に、スパッタによりチタン膜(Ti)、窒化チタン膜(TiN)、またはこれらの積層膜(例えば、Ti/TiN等)からなるバリアメタル15を形成してもよい。なお、コンタクトホール16内にはバリアメタル15を介してコンタクトプラグ14を埋め込んでもよい。コンタクトプラグ14の材質はタングステン(W)であってよい。コンタクトプラグ14はタングステン膜をCVD法で形成し、その後タングステン膜をエッチバックすることで形成してよい。エッチバックの際、バリアメタル15もエッチングしてもよく、バリアメタル15をエッチングせずに残してもよい。その際、トレンチコンタクト構造を用いることが、寄生バイポーラ動作を抑制できるので好ましい。ここでトレンチコンタクト構造は、層間絶縁膜9およびn+型ソース領域6を貫通してp++型コンタクト領域33と接するコンタクトホール16をコンタクトプラグ14で埋め込むコンタクト構造である。
【0057】
次に、第1ソース電極10a、ゲート金属電極13および層間絶縁膜9上にリフトオフ用のレジスト35を塗布して、第2ソース電極10bが形成される領域に開口部を有するマスク36を形成し、露光37を行う。この開口部は、コンタクトホール16の長手方向と垂直な方向に長手方向を有するように形成する。ここまでの状態が図8に記載される。次に、リフトオフ用のレジスト35をパターニングして、第2ソース電極10bが形成される領域のレジスト35を除去する。ここまでの状態が図9に記載される。
【0058】
次に、リフトオフ用のレジスト35上に、スパッタ等によりアルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金等の金属膜34を成膜する。リフトオフ用のレジスト35の開口部では、金属膜34は第1ソース電極10a上に成膜される。ここまでの状態が図10に記載される。
【0059】
次に、リフトオフ用のレジスト35とリフトオフ用のレジスト35上に成膜された金属膜34を除去(リフトオフ)して、第2ソース電極10bを形成する。ここまでの状態が図11に記載される。これにより、活性領域50では、ソース電極10がバリアメタル15およびコンタクトプラグ14を介して、n+型ソース領域6およびp++型コンタクト領域33と接続する。活性領域外周部55では、ソース電極10がバリアメタル15およびコンタクトプラグ14を介して、p型ベース層5と接続する。エッジ終端領域60では、ゲート金属電極13がバリアメタル15およびコンタクトプラグ14を介して、導電膜22と接続する。このように、実施の形態1では、金属膜34をリフトオフすることで、第1ソース電極10a上に、コンタクトホール16の長手方向と垂直な方向に延在する凹部を有する第2ソース電極10bを形成し、通常のソース電極に比べて、厚さが倍程度の厚い領域を形成している。
【0060】
次に、n+型半導体基板1の表面(半導体基体の裏面)に、裏面電極11として、例えばニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、アルミニウムを主成分とする合金等の金属膜、またはこれらの積層膜(例えば、Ti/Ni/Au、Al/Ti/Ni/Au等)を成膜する。そして、熱処理し、n+型半導体基板1と裏面電極11とのオーミック接合を形成する。これにより、図1図4に記載されるトレンチ型MOSFET70が完成する。
【0061】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、ソース電極は、層間絶縁膜上に設けられた第1ソース電極と、第1ソース電極上に設けられた第2ソース電極とが積層された2層構造であり、第2ソース電極は、コンタクトホールの長手方向と垂直な方向に延在する凹部を有する。これにより、通常のソース電極に比べて、厚さが倍程度の厚い領域が存在し、厚い領域に流れる電流が増えるため、第1ソース電極および第2ソース電極を含む表面電極の抵抗を低減させることができる。
【0062】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す平面拡大図は、実施の形態1の図1と同様であるため、記載を省略する。図12は、実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す図1のX1-X1断面図である。図13は、実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す図1のX2-X2断面図である。図14は、実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す図1のY1-Y1断面図である。
【0063】
図14に示すように、実施の形態2は、第2ソース電極10bは、コンタクトホール16の長手方向(y方向)と垂直な方向(x方向)に延在する凹部19を、第1ソース電極10a側に有する。隣り合う第2ソース電極10b間の凹部19は絶縁膜26で埋められている。このように、ソース電極10中に絶縁層26を設けることで、第1ソース電極10aおよび第2ソース電極10bから構成される表面電極の厚い領域と、表面電極の厚さが通常の領域を均等に設けることができる。また、第1ソース電極10aおよび第2ソース電極10bの厚さ、材料等は実施の形態1と同じである。
【0064】
また、活性領域50および活性領域外周部55での絶縁膜25の厚さT1は1μm以上5μm以下であることが好ましい(図12参照)。また、絶縁膜25上の第2ソース電極10bの厚さT2は、絶縁層26のコンタクトホール17の幅W2(隣り合う絶縁層26間の距離)の0.5倍以上5倍以下であることが好ましい(図14参照)。後述するように絶縁膜26間のサイドウォールを利用して、金属膜34を埋め込む際、この範囲の値とすることで、ボイドを無くしてコンタクトホール17に金属膜34を埋め込むことができ、コンタクトホール17内に第2ソース電極10bを形成することができる。
【0065】
このように、実施の形態2では、実施の形態1と同様に、通常のソース電極に比べて、厚さが倍程度の厚い領域が存在し、厚い領域に流れる電流が増えるため、表面電極の抵抗を低減させることができる。
【0066】
(実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法)
次に、実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法について説明する。図15図25は、実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。実施の形態1と同様に、まず、シリコンからなりn+型ドレイン層となるn+型半導体基板1を用意して、n型ドリフト層2およびp型ベース層5を形成し、p型ベース層5にn+型ソース領域6、p++型コンタクト領域33、トレンチ18、ゲート絶縁膜7およびゲート電極8から構成されるトレンチMOS構造を形成する。次に、実施の形態1と同様に、MOS構造上に層間絶縁膜9を形成し、コンタクトプラグ14を埋め込むコンタクト構造を形成する。
【0067】
次に、スパッタ等によりアルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金、または銅を主成分とする合金等の金属膜を成膜する。次に、金属膜を活性領域50とエッジ終端領域60で電極を分離することで、第1ソース電極10aおよびゲート金属電極13を形成する。ここまでの状態が図15に記載される。図15図25では、半導体基体30と記載して内部のMOS構造の詳細な記載を省略する。
【0068】
次に、第1ソース電極10a、ゲート金属電極13および層間絶縁膜9上に絶縁膜26を形成し、絶縁膜26上にレジスト35を塗布して、第2ソース電極10bが第1ソース電極10aと接する領域に開口部を有するマスク36を形成し、露光37を行う。この開口部は、コンタクトホール16の長手方向と垂直な方向に長手方向を有するように形成する。また、絶縁層26は、例えば、無機SiO2、SiNまたは有機ポリイミド樹脂(PI)で形成する。ここまでの状態が図16に記載される。
【0069】
次に、レジスト35をパターニングして、第2ソース電極10bが第1ソース電極10aと接する領域のレジスト35を除去する。ここまでの状態が図17に記載される。次に、絶縁膜26をエッチングして、第1ソース電極10aを部分的露出させる。ここまでの状態が図18に記載される。次に、レジスト35を剥離して、絶縁膜26を露出させる。これにより、コンタクトホール16の長手方向と垂直な方向に長手方向を有する絶縁膜26が形成される。ここまでの状態が図19に記載される。
【0070】
次に、絶縁膜26および第1ソース電極10a上に、スパッタ等によりアルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金等の金属膜34を成膜する。絶縁膜26の開口部では、金属膜34は第1ソース電極10a上に成膜される。ここまでの状態が図20に記載される。
【0071】
次に、金属膜34上にレジスト35を塗布する。ここまでの状態が図21に記載される。次に、活性領域外周部55に対応する領域に開口部を有するマスク36を形成し、露光37を行う。ここまでの状態が図22に記載される。次に、レジスト35をパターニングして、活性領域外周部55に対応する領域に開口部を形成する。ここまでの状態が図23に記載される。次に、金属膜34を活性領域50とエッジ終端領域60で電極を分離することで、第2ソース電極10bおよびゲート金属電極13を形成する。ここまでの状態が図24に記載される。次に、レジスト35を剥離して、第2ソース電極10bおよびゲート金属電極13を露出させる。ここまでの状態が図25に記載される。
【0072】
このように、実施の形態2では、パターニングされた絶縁膜26を形成し、絶縁膜26内に金属膜34を埋込み、絶縁膜26間のサイドウォールを利用することで、第1ソース電極10a上に、コンタクトホール16の長手方向と垂直な方向に延在する凹部19を有する第2ソース電極10bを形成し、通常のソース電極に比べて、厚さが倍程度の厚い領域を形成している。この後、実施の形態1と同様に、裏面電極11を形成する。これにより、図12図14に記載されるトレンチ型MOSFET70が完成する。
【0073】
上述した実施の形態2の製造方法では、ゲート金属電極13もソース電極10と同じ構造に形成し、2層の電極で上部の電極に絶縁膜26を挟んだ凹部19を有しているが、ゲート金属電極13は、第1ソース電極10aと同じ厚さの1層であってもよい。ゲート金属電極13は、ソース電極10のような大電流が流れないためである。
【0074】
以上、説明したように、実施の形態2によれば、第2ソース電極は、コンタクトホールの長手方向と垂直な方向に延在する凹部を、第1ソース電極側に有し、隣り合う第2ソース電極間の凹部は絶縁膜で埋められている。このため、表面電極の厚い領域と、表面電極の厚さが通常の領域を均等に設けることができる。
【0075】
以上において本発明では、シリコン基板の第1主面上にMOSゲート構造を構成した場合を例に説明したが、これに限らず、半導体の種類(例えば、炭化珪素(SiC)など)、基板主面の面方位などを種々変更可能である。また、本発明の実施の形態では、トレンチ型MOSFETを例に説明したが、これに限らず、プレーナ型MOSFET、IGBTなどのMOS型半導体装置、ダイオードなど様々な構成の半導体装置に適用可能である。また、本発明では、各実施の形態では第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用される高耐圧半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0077】
1 n+型半導体基板
2 n型ドリフト層
5 p型ベース層
6 n+型ソース領域
7 ゲート絶縁膜
8 ゲート電極
9 層間絶縁膜
10 ソース電極
10a 第1ソース電極
10b 第2ソース電極
11 裏面電極
13 ゲート金属電極
14 コンタクトプラグ
15 バリアメタル
16 コンタクトホール
17 絶縁膜のコンタクトホール
18 トレンチ
19 凹部
20 フィールド酸化膜
22 導電膜
23 チャネルストッパ
24 p-型リサーフ領域
25 ワイヤ
26 絶縁膜
30 半導体基体
33 p++型コンタクト領域
34 金属膜
35 レジスト
36 マスク
37 露光
50 活性領域
55 活性領域外周部
60 エッジ終端領域
70 半導体装置
x 凹部の延在方向
y コンタクトホールの長手方向
I 電流
図1
図2
図3
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25