(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160852
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、その制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
G06F3/12 356
G06F3/12 332
G06F3/12 328
G06F3/12 325
G06F3/12 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076314
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大夢
(57)【要約】
【課題】本発明は、例えば用紙不足に関する情報を好適に通知し、用紙不足による印刷処理の停止を低減させる仕組みを提供する。
【解決手段】本情報処理装置は、オペレーティングシステムが提供する標準ドライバを介して複数の仕様の異なる印刷装置へ印刷ジョブを投入可能な装置として実現される。本情報処理装置は、受け付けた印刷ジョブを投入する先の印刷装置から記録媒体に関する情報を取得し、印刷ジョブの情報から得られる必要な記録媒体の量と、記録媒体に関する情報から得られる印刷対象の記録媒体の残量とを比較する。また、本情報処理装置は、印刷対象の記録媒体の残量が印刷ジョブを実行するために必要な記録媒体の量よりも少ない場合に、警告画面を出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレーティングシステムが提供する標準ドライバを介して複数の仕様の異なる印刷装置へ印刷ジョブを投入可能な情報処理装置であって、
受け付けた印刷ジョブを投入する先の印刷装置から記録媒体に関する情報を取得する取得手段と、
前記印刷ジョブの情報から得られる必要な記録媒体の量と、前記記録媒体に関する情報から得られる印刷対象の記録媒体の残量とを比較する比較手段と、
前記印刷対象の記録媒体の残量が前記印刷ジョブを実行するために前記必要な記録媒体の量よりも少ない場合に、警告画面を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記必要な記録媒体とは、所定のサイズにカットされた記録媒体であるか、又は、カットされていない記録媒体であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定のサイズにカットされた記録媒体である場合において、前記必要な記録媒体の量と前記記録媒体の残量とは、それぞれの枚数で扱われることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記カットされていない記録媒体である場合において、前記必要な記録媒体の量と前記記録媒体の残量とは、それぞれの長さで扱われることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記警告画面には、印刷設定を変更して印刷ジョブを実施する制御オブジェクトと、印刷設定を変更することなく印刷ジョブを実施する制御オブジェクトと、印刷ジョブの実施を中止する制御オブジェクトとの少なくとも1つの制御オブジェクトが選択可能に表示されることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記印刷設定を変更して印刷ジョブを実施する制御オブジェクトには、印刷装置で印刷可能な部数に制限して印刷ジョブを実施する制御オブジェクトと、印刷設定に関わるパラメータを設定可能な設定画面を表示するための制御オブジェクトとの少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記印刷設定に関わるパラメータには、記録媒体の種類、記録媒体のサイズ、記録媒体を供給する給紙口、印刷の向き、両面印刷の設定、及びとじ方向の設定の少なくとも1つのパラメータが含まれることを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記印刷装置と前記情報処理装置との通信形態を判断する判断手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記判断手段によって前記印刷装置と前記情報処理装置との通信形態においてベンダが独自に定義する所定の通信プロトコルが使用可能であると判断された場合に、前記印刷装置から記録媒体に関する情報を該所定の通信プロトコルを用いて取得することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記判断手段は、前記標準ドライバがUP Class Driverである、又はIPP Class Driverであり且つ通信インタフェースがUSBであり前記印刷装置の機種固有の識別情報が無い場合には、前記情報処理装置と前記印刷装置との通信において前記所定の通信プロトコルが使用不可能であると判断し、前記標準ドライバが前記IPP Class Driverであり且つ前記通信インタフェースがネットワーク接続を示す場合には、前記所定の通信プロトコルが使用可能であると判断することを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記取得手段は、前記記録媒体に関する情報として、前記印刷装置から前記記録媒体の種類とその残量とを取得することを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記印刷ジョブにおいて前記必要な記録媒体の量は、該印刷ジョブの中間データから得られることを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記警告画面を介して印刷設定が変更されると、変更された内容を前記中間データに反映して印刷データを生成する生成手段をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
オペレーティングシステムが提供する標準ドライバを介して複数の仕様の異なる印刷装置へ印刷ジョブを投入可能な情報処理装置の制御方法であって、
取得手段が、受け付けた印刷ジョブを投入する先の印刷装置から記録媒体に関する情報を取得する取得工程と、
比較手段が、前記印刷ジョブの情報から得られる必要な記録媒体の量と、前記記録媒体に関する情報から得られる印刷対象の記録媒体の残量とを比較する比較工程と、
出力手段が、前記印刷対象の記録媒体の残量が前記印刷ジョブを実行するために前記必要な記録媒体の量よりも少ない場合に、警告画面を出力する出力工程と
を含むことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項14】
オペレーティングシステムが提供する標準ドライバを介して複数の仕様の異なる印刷装置へ印刷ジョブを投入可能な情報処理装置を、
受け付けた印刷ジョブを投入する先の印刷装置から記録媒体に関する情報を取得する取得手段と、
前記印刷ジョブの情報から得られる必要な記録媒体の量と、前記記録媒体に関する情報から得られる印刷対象の記録媒体の残量とを比較する比較手段と、
前記印刷対象の記録媒体の残量が前記印刷ジョブを実行するために前記必要な記録媒体の量よりも少ない場合に、警告画面を出力する出力手段と
して機能させるプログラム。
【請求項15】
前記プログラムは、前記標準ドライバの機能を拡張するための拡張アプリケーションとして前記情報処理装置にインストールされることを特徴とする請求項14に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、その制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置の制御用ソフトウェアとしてホストコンピュータにインストールされたプリンタドライバを利用し、ホストコンピュータに接続された印刷装置に対して印刷指示を行う構成が知られている。ホストコンピュータには、基本ソフトウェアであるオペレーティングシステム(OS)がインストールされている。プリンタドライバはOSの規定する仕様に従って構成され、OSから呼び出されて動作する。印刷装置を提供するベンダは、OSの仕様に適合するプリンタドライバを提供することにより、ユーザが印刷装置の状態を確認する機能や印刷装置に印刷を指示する機能を提供することができる。プリンタドライバはOSを介して印刷装置の状態に関する情報(以下、「ステータス情報」とも称する。)を取得し、取得した情報に応じた操作画面をホストコンピュータの画面上に表示することにより、上記機能を提供する。
【0003】
近年、Windows(登録商標)において、複数のベンダの提供する印刷装置で共通して利用可能な標準的なクラスドライバ(以下、「標準ドライバ」とも称する。)が提供されている。このような標準ドライバは、OSのパッケージの中に同梱されており、ホストコンピュータに任意の印刷装置を接続することにより容易に利用することができる。よって、印刷装置に適した固有のプリンタドライバを別途インストールする必要が無く、利便性が高い。また、標準ドライバは、接続した印刷装置から取得した情報に基づき生成されたPrintDeviceCapabilities(以下、「PDC」と略記する。)に応じて印刷機能を指定可能に構成される。これにより、標準ドライバを利用するユーザは、1つの標準ドライバを利用しているにも関わらず、接続した印刷装置の能力に応じた印刷機能を指定することができる。
【0004】
標準ドライバには機能拡張用のアプリケーション(以下、「拡張アプリケーション」とも称する。)を関連付けることができる。拡張アプリケーションは、印刷装置を提供するベンダが提供することができる。拡張アプリケーションは標準ドライバが生成したPDCを編集することにより、標準ドライバのみでは実現できない機能(拡張機能)を提供することができる。特許文献1には、拡張アプリケーションにより、スタンプ機能等の機能を拡張する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術には以下に記載する課題がある。例えば、拡張アプリケーションは、スプールファイルを参照、編集することで、拡張機能を実現することができる。しかし、標準ドライバの機能を拡張する拡張アプリケーションがより良い機能を提供するためには、さらなる工夫を要する。例えば、印刷実行中に用紙が不足すると途中で印刷処理が停止し、ユーザが状況に気づき用紙を補充して印刷を再開するか、印刷を中止しなければならない。
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一つに鑑みて成されたものであり、用紙不足に関する情報を好適に通知し、用紙不足による印刷処理の停止を低減させる仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば、オペレーティングシステムが提供する標準ドライバを介して複数の仕様の異なる印刷装置へ印刷ジョブを投入可能な情報処理装置であって、受け付けた印刷ジョブを投入する先の印刷装置から記録媒体に関する情報を取得する取得手段と、前記印刷ジョブの情報から得られる必要な記録媒体の量と、前記記録媒体に関する情報から得られる印刷対象の記録媒体の残量とを比較する比較手段と、前記印刷対象の記録媒体の残量が前記印刷ジョブを実行するために前記必要な記録媒体の量よりも少ない場合に、警告画面を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用紙不足に関する情報を好適に通知し、用紙不足による印刷処理の停止を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る印刷システムのハードウェア構成を示すブロック図。
【
図3】一実施形態に係る画面拡張ユニット205が表示する印刷設定画面の一例を示す図。
【
図4】一実施形態に係る編集ユニット208の印刷データ生成を示すフローチャート。
【
図5】一実施形態に係る編集ユニット208のベンダプロトコル使用可否判断処理を示すフローチャート。
【
図6】一実施形態に係る編集ユニット208が表示する警告画面の一例を示す図。
【
図7】一実施形態に係る編集ユニット208の印刷データ生成を示すフローチャート。
【
図8】一実施形態に係る編集ユニット208が表示する警告画面の一例を示す図。
【
図9】一実施形態に係る編集ユニット208が表示するロール紙セット方法案内画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
<第1の実施形態>
<システムのハードウェア構成>
まず
図1を参照して、本実施形態に係る印刷システムのハードウェア構成を説明する。本実施形態においてホストコンピュータ101は、情報処理装置の一例である。
【0013】
ホストコンピュータ101は、入力インタフェース110、CPU111、ROM112、RAM113、外部記憶装置114、出力インタフェース115、及び入出力インタフェース116を有する。また、入力インタフェース110には、キーボード118、ポインティングデバイス117などの入力デバイスが接続される。出力インタフェース115には、表示部119などの表示デバイスが接続される。NETIF120は、ネットワークインタフェースであり、ネットワークを介して外部機器との間でデータ転送を行うための制御を行う。
【0014】
ROM112には、初期化プログラムが格納されている。外部記憶装置114には、アプリケーションプログラム群、オペレーティングシステム(OS)、印刷データ生成ソフトウェア、及びその他の各種のデータが格納されている。RAM113は、外部記憶装置114に格納される各種プログラムの実行の際のワークメモリ等として使用され、各種プログラムがホストコンピュータ101内で動作可能となっている。なお、本実施形態では、CPU111が、ROM112に格納されたプログラムの手順に従って処理を行うことによって、ホストコンピュータ101における後述の機能及び後述するフローチャートに係る処理を実行する。
【0015】
デバイスである印刷装置102は、入出力インタフェース116を介して、ホストコンピュータ101と接続されている。ここでは、ホストコンピュータ101と印刷装置102とが分かれた構成としている。しかしながら、本発明を限定する意図はなく、これらが一つの情報処理装置として一体化して構成されてもよい。なお、印刷装置は、インクを用紙上に吐出することで印刷するインクジェットプリンタを一例に説明するが、他の方法(例えば電子写真方式)で印刷が実行されてもよい。また、ホストコンピュータ101は、デスクトップパソコン、スマートフォン、及びノートパソコン等の情報処理装置によって実現され得る。
【0016】
<ソフトウェアに関する印刷システムの構成>
次に
図2を参照して、印刷システムのソフトウェアに関する構成例について説明する。ここでは、OSとしてMicrosoft(登録商標)のWindows(登録商標)11を搭載したホストコンピュータ101を用いた印刷システムを前提として説明する。
図2(a)は、拡張アプリケーション204が、印刷データ生成ソフトウェア202及び印刷装置102と関連付けられていない場合の構成を示す図である。
【0017】
描画アプリケーション201は印刷されるコンテンツ(描画データ)を作成するソフトウェアである。例えば、文書作成アプリケーションや表計算アプリケーションが描画アプリケーション201に相当する。描画アプリケーション201は、ユーザから印刷要求を受け付けると、印刷指示をOSに発行する。印刷指示には、印刷データ生成ソフトウェア202及び印刷装置102の動作を指示するための印刷設定情報が含まれる。印刷設定情報はPrintTicket(以下、「PT」と略記する)とも称される。
【0018】
描画アプリケーション201は、印刷設定情報を出力するために、印刷データ生成ソフトウェア202、OS、及び描画アプリケーション201のうちいずれかが提供する印刷設定画面を表示させることができる。印刷設定画面は、印刷データ生成ソフトウェア202から取得する能力情報(印刷設定として設定可能な情報)に従い、設定可能な印刷機能を示す設定アイテム(以下、「制御オブジェクト」とも称する。)と、その設定値を示す制御オブジェクトを含む。能力情報は、PrintCapabilities(以下、「PC」)とも称される。
【0019】
印刷データ生成ソフトウェア202は、印刷機能情報203に基づき、能力情報(PC)を決定する。印刷機能情報203は、設定可能なすべての印刷機能とその設定値、並びに、設定値同士の排他関係が記載されている印刷機能を示すデータである。印刷機能情報203は、PDC(Print Device Capabilities)とも称される。印刷機能情報203は、印刷データ生成ソフトウェア202の構成ファイルに含まれ、変更不可能なファイルとして外部記憶装置114に配置される。或いは、印刷データ生成ソフトウェア202によって、印刷機能情報203が動的に生成されてもよい。具体的には、印刷データ生成ソフトウェア202又はOSは、印刷装置102から印刷装置の属性データを取得し、取得した属性データ内の属性情報に応じて印刷機能情報203を生成するよう構成することができる。なお、動的に印刷機能情報203が生成される場合、生成された印刷機能情報203は編集可能である。また、印刷装置102から取得される印刷装置の属性データとは、印刷装置に対してIPP(Internet Print Protocol)のGet-Printer-Attributesオペレーションを発行することにより取得するレスポンスである。レスポンスの中には、印刷装置102で指定可能な機能(印刷装置の能力)を示す属性情報とその属性情報に関連する設定値を含む。このレスポンスはRAM113に保存される。
【0020】
このように構成することで、印刷データ生成ソフトウェア202は、接続された印刷装置102に応じて、それぞれの印刷装置102で利用可能な印刷機能をユーザが指定可能に構成することができる。即ち、異なる機能を有する印刷装置や、異なるベンダが開発したそれぞれが仕様の異なる印刷装置を接続した場合であっても、印刷データ生成ソフトウェア202は、接続した印刷装置に応じて利用可能な印刷機能をユーザが指定可能に構成することができる。このように、印刷データ生成ソフトウェア202は、複数の仕様の異なる印刷装置へ印刷ジョブを投入可能である。なお、ここでは、印刷データ生成ソフトウェア202として、Windows(登録商標)10に搭載されている、IPP Class Driverを利用した構成例について説明する。IPP Class Driverは、IPP(Internet Print Protocol)と呼ばれる標準的な印刷プロトコルの仕様に従って印刷処理を実行するプリンタドライバであり、OSのパッケージの中に同梱されている。IPP Class Driverは、印刷装置102の機種に応じた固有のプリンタドライバではなく、複数の印刷装置で共通して利用可能な標準的なクラスドライバである。つまり、印刷データ生成ソフトウェア202は、OSが提供する標準的なプリンタドライバ(標準ドライバ)である。また、IPP Class Driverは、接続した印刷装置102でサポートする印刷機能をユーザが指定できるように、接続した印刷装置102の能力情報を取得し、その情報に基づいて印刷機能情報203を生成する。
【0021】
OSは、描画アプリケーション201から出力された印刷指示に基づき中間データ(入力データとも称する。)を生成して、印刷データ生成ソフトウェア202に渡す。なお、描画アプリケーション201が印刷用に出力するデータは、Graphic Device Interface形式のデータ(GDI形式データ)、又は、XML Paper Specification形式のデータ(XPS形式のデータ)である。ここで、印刷データ生成ソフトウェア202としてIPP Class Driverを利用する場合について説明する。描画アプリケーション201が出力するデータがGDI形式のデータの場合、OSは、描画アプリケーション201から出力されたGDI形式のデータをXPS形式のデータに変換する。そして、変換したXPS形式のデータを中間データとして印刷データ生成ソフトウェア202に渡す。描画アプリケーション201が出力するデータがXPS形式のデータであれば、OSはXPS形式のデータを中間データとして印刷データ生成ソフトウェア202に渡す。なお、中間データには、用紙上に形成する文字も含めた絵の情報である描画データと、ユーザにより設定された印刷設定情報とが含まれる。
【0022】
印刷データ生成ソフトウェア202は、取得した中間データを印刷装置102が解釈可能な印刷データに変換し、印刷装置102に送信する。なお、印刷データには、用紙上に形成する絵の情報である描画データと、ユーザにより設定された印刷設定情報に基づき生成された印刷設定属性情報(印刷設定を指定する属性情報)とが含まれる。印刷設定属性情報は、印刷装置102で指定可能な機能(印刷装置の能力)を示す属性情報とその属性情報に関連する設定値を含む。
【0023】
印刷装置102は、印刷データ生成ソフトウェア202から送られた印刷データに基づき用紙への印刷を行う。このとき、印刷装置102は、印刷データに含まれる印刷設定属性情報に従った動作で、印刷データに含まれる描画データを用紙上に形成する。印刷設定属性情報には、印刷品位(画質優先、速度優先等)や、描画データのサイズ、描画位置(余白)の情報が含まれている。なお、本実施形態では、印刷対象を用紙として説明するが、本発明を限定する意図はなく、紙、厚紙、シート、OHPシートなどの任意の記録媒体を適用することができる。また、本実施形態ではカットされた記録媒体について説明するが、ロール紙などのカットされていない記録媒体に対しても本発明を適用することができる。カットされていない記録媒体に対応した構成や制御については第2の実施形態で説明する。
【0024】
続いて、
図2(b)を参照して、拡張アプリケーション204が印刷データ生成ソフトウェア202及び印刷装置102と関連付けられている場合の構成について説明する。なお、
図2(a)と同等の構成については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0025】
拡張アプリケーション204は、印刷データ生成ソフトウェア202の機能を拡張するためのソフトウェアであり、OSに予め含まれていない(同梱されていない)ソフトウェアである。そのためユーザがホストコンピュータ101を操作して拡張アプリケーション204を、インターネットを介してサーバからダウンロードしてインストールする必要がある。或いは、ホストコンピュータ101に印刷装置102が接続されたことに従って、自動的にインストールされてもよい。具体的には、ホストコンピュータ101に印刷装置102が接続された場合、OSは印刷装置102からデバイス識別情報を取得する。OSは、取得されたデバイス識別情報に対応する拡張アプリケーション204を、インターネットを介してサーバからダウンロードしてインストールしてもよい。つまり、印刷データ生成ソフトウェア202と、拡張アプリケーション204とは別ファイルとしてホストコンピュータ101に保持されるものである。
【0026】
なお、印刷データ生成ソフトウェア202及び拡張アプリケーション204は、更新されてバージョンアップされることもあるが、この更新処理も別々のタイミングで行われる。つまり、ホストコンピュータ101により印刷データ生成ソフトウェア202が取得されるタイミングと、拡張アプリケーション204が取得されるタイミングとは異なる。また、ホストコンピュータ101により印刷データ生成ソフトウェア202が取得されるトリガーと、拡張アプリケーション204が取得されるトリガーも異なる。なお、拡張アプリケーション204がインストールされた場合、OSが拡張アプリケーション204を、印刷データ生成ソフトウェア202及び印刷装置102に関連付ける。
【0027】
本実施形態に係る拡張アプリケーション204は、画面拡張ユニット205、スキップ制御ユニット206、機能拡張ユニット207、編集ユニット208、及び通知ユニット209を備える。また、拡張アプリケーション204は、各ユニットから共通してアクセス可能な共有情報210を含む。共有情報210は、外部記憶装置114に保存されたファイル、又はRAM113上に格納された情報である。拡張アプリケーション204は、OSが提供するAPI(Application Program Interface)を利用することで、共有情報210への情報の書き込みや読み出しを行う。
【0028】
拡張アプリケーション204は、各ユニットの処理が終わるたびに動作を終了してもよい。その場合、各ユニットを使う要求を受ける度にOSが拡張アプリケーション204を起動することになる。別の形態でもよく、例えば画面拡張ユニット205の処理が終了するとOSは拡張アプリケーション204の動作を終了させるが、スキップ制御ユニット206の処理が終了してもOSは拡張アプリケーション204を起動させたままとしてもよい。さらに、拡張アプリケーション204は、各ユニットの処理の中で、処理をキャンセルしてもよい。キャンセルした場合、印刷キュー上の処理中の印刷ジョブがOSにより削除される。
【0029】
描画アプリケーション201は、ユーザから印刷要求を受けると、印刷指示をOSに発行する。本実施形態においても、
図2(a)の構成と同様、描画アプリケーション201は、印刷設定画面を表示させることができる。本実施形態では、拡張アプリケーション204が提供する印刷設定画面が表示される。具体的には、拡張アプリケーション204が備える画面拡張ユニット205が提供する印刷設定画面が表示される。なお、画面拡張ユニット205により提供される印刷設定画面が表示されるか否かはユーザの操作に依存してもよい。
【0030】
また、描画アプリケーション201がユーザから印刷要求を受け付け、印刷指示がOSに発行されると、OSはスキップ制御ユニット206を起動する。スキップ制御ユニット206は、印刷データ生成ソフトウェア202の処理をスキップするか否かの制御を行う。スキップ制御ユニット206のスキップ制御処理の後、OSは、描画アプリケーション201から出力された印刷指示に基づき中間データを生成し、中間データが印刷データ生成ソフトウェア202に渡される。ここで、スキップ制御ユニット206でスキップ制御が行われない場合、中間データは印刷データ生成ソフトウェア202で印刷装置102が解釈可能な印刷データへ処理され、編集ユニット208へ渡される。一方、印刷データ生成ソフトウェア202のスキップが行われる場合は、中間データは印刷データ生成ソフトウェア202で処理されずに、編集ユニット208に渡される。これにより、中間データ(以下では、印刷データとも称する。)を編集ユニット208で処理することが可能となる。
【0031】
編集ユニット208は、印刷データ生成ソフトウェア202から渡される中間データ又は印刷データ生成ソフトウェア202により処理された印刷データの編集を行う。編集内容として、割り付け印刷を例にとると、編集ユニット208は、OSから受け取った割り付け印刷の印刷設定情報に基づいて、中間データ又は印刷データのレイアウトを変更する。また、編集ユニット208は表示部119にUI画面を表示することが可能であり、中間データ又は印刷データのレイアウト結果をプレビュー画面として表示することができる。なお、編集ユニット208では、画面を開いたままの状態では印刷データは印刷装置102に送信されず、画面を閉じることで印刷データの送信処理が動作する。編集ユニット208が印刷データを編集した後、印刷データは印刷装置102へ渡される。印刷装置102は、受け付けた印刷データに基づき用紙への印刷を行う。また、スキップ制御ユニット206で印刷データ生成ソフトウェア202の処理がスキップされた場合、編集ユニット208は、受け取った中間データを印刷装置102が解釈可能な印刷データへ変換してもよい。また、中間データを印刷データへ変換するために、OSが提供する機能を利用してもよい。
【0032】
拡張アプリケーション204は、機能拡張ユニット207を有する。機能拡張ユニット207は、印刷データ生成ソフトウェア202又はOSが生成した印刷機能情報203(PDC)を編集することができる。これにより、機能拡張ユニット207は、拡張アプリケーション204が提供する機能の追加、印刷装置102はサポートしているが印刷データ生成ソフトウェア202がサポートしていない機能の追加、印刷機能の設定値同士の排他関係の追加等を行うことができる。OSは、拡張アプリケーション204が印刷装置102と印刷データ生成ソフトウェア202に最初に関連付けられたときに、機能拡張ユニット207を起動する。さらに、OSは、OS起動時等、それ以外のタイミングで機能拡張ユニット207を起動してもよい。このようにすることで、印刷装置102に対して後からオプション装置(例えば、フィニッシャー等)が追加され、印刷に関わる機能が拡張されるようなケースにおいて、機能拡張ユニット207は、拡張機能を検知し、印刷機能情報203に追加することができる。
【0033】
また、拡張アプリケーション204は通知ユニット209を有する。通知ユニット209は、印刷装置102のエラー発生に呼応してユーザに対して通知を表示することが可能である。例えば、印刷装置102で用紙なしエラーが発生すると、それを印刷データ生成ソフトウェア202が検知し、OSは、OSの機能であるトースト通知と呼ばれる通知機能を使って、メッセージを表示部119に表示させる。ユーザがこのトースト通知の表示の一部を押下することで、拡張アプリケーション204の通知ユニット209がOSにより呼び出され、通知ユニット209のUI画面が表示される。通知ユニット209のUI画面では、例えば用紙なしエラーの詳細メッセージや用紙充填方法などの表示を行うことができる。なお、拡張アプリケーション204は一度印刷装置102へ印刷データを送信してしまうと、各ユニットの処理途中で印刷データに紐づくガイドなどの画面表示は行うことができない。
【0034】
また、本実施形態を実現するための拡張アプリケーション204の構成は、前述した機能(ユニット)を全て備えるものに限定されず、機能の一部のみを有するものや、代替的に又は追加的に他の機能を有するものであってもよい。また、拡張アプリケーション204は、単に印刷ソフトウェアと称されることもある。このように拡張アプリケーション204は、画面拡張ユニット205、スキップ制御ユニット206、編集ユニット208、機能拡張ユニット207、及び通知ユニット209が実現する機能の少なくとも1つの機能を有してもよい。
【0035】
<画面拡張ユニットの表示する画面例>
次に
図3を参照して、本実施形態に係る画面拡張ユニット205により表示される印刷設定画面について説明する。機能拡張ユニット207により編集された印刷機能情報203に基づいて能力情報(PC)が生成される。
図3(a)の印刷設定画面301は、生成された能力情報に基づき、画面拡張ユニット205が表示する画面の一例である。
【0036】
画面拡張ユニット205は、描画アプリケーション201上でユーザが印刷設定画面301の表示を指示した場合に、OSから呼び出される。画面拡張ユニット205は、OSから取得できる能力情報に基づき、印刷データ生成ソフトウェア202で指定可能な印刷機能の設定値(印刷設定に関わるパラメータ)をユーザが指定可能な複数の制御オブジェクトを含む画面を表示する。ユーザによって操作される制御オブジェクトには、以下で説明するコントロールやボタンが含まれる。
【0037】
コントロール302は印刷に使用する用紙の種類を設定可能な制御オブジェクトであり、例えば、普通紙や写真用紙といった記録媒体の種類を設定可能である。コントロール303は印刷に使用する用紙サイズを設定可能な制御オブジェクトであり、例えば、A4やレターといった記録媒体のサイズを設定可能である。
図3(b)に示すリスト320はコントロール303を展開した際の表示状態を示しており、ユーザは展開されたリストの中から用紙サイズを選択可能である。
【0038】
コントロール304は印刷装置102における印刷用紙の給紙口(カセット等)を設定可能な制御オブジェクトであり、例えば、メイントレイやリアトレイといった項目を設定可能である。コントロール305は印刷する部数を設定可能な制御オブジェクトであり、任意の数値を入力することが可能である。コントロール306は印刷の向きを設定可能な制御オブジェクトであり、縦および横の設定が可能である。コントロール307は両面印刷の有効・無効を切り替え可能な制御オブジェクトである。コントロール308は両面印刷時のとじ方向を設定可能な制御オブジェクトであり、例えば長辺とじ、短辺とじといった項目が設定可能である。コントロール309はOKボタンであり、設定を反映して画面が閉じられる。コントロール310はキャンセルボタンであり、設定を反映せずに画面が閉じられる。
【0039】
<編集ユニットによる警告画面表示処理>
次に
図4を参照して、本実施形態に係る編集ユニット208による警告画面の表示処理について説明する。インクジェットプリンタや、レーザービームプリンタにおいては、ユーザから印刷要求を受け付けて印刷を実行する前に、予め印刷用紙を複数枚給紙しておける機構が存在する。また、インクジェットプリンタやレーザービームプリンタは多様な機種が存在しており、機種に応じて前述の機構をサポートする給紙口や積載可能枚数も多岐にわたる。仮に、ロール紙に対して印刷実行中にロール紙の残量が不足する場合、印刷が停止しインクや用紙の浪費につながり、ユーザにとって印刷の利便性が損なわれてしまう。
【0040】
しかしながら、ユーザが印刷要求を実行し、描画アプリケーション201がOSへ印刷指示を行う段階では、印刷に必要な用紙量の総数は描画アプリケーション201にとって未知である。加えて、印刷データ生成ソフトウェア202は、複数の機種で使用可能な標準ドライバであるため、前述の課題を解消するための制御処理を個別に有することは困難である。本実施形態では、拡張アプリケーション204の編集ユニット208が、印刷装置102の給紙状況を取得し、印刷装置102に印刷データを送信する前に、表示部119に用紙残量に関する警告画面を表示することで、印刷が停止することを未然に防止する。
【0041】
図4は、本実施形態における編集ユニット208が中間データを受け取って印刷データを生成する処理フローを示す。以下で説明する処理は、例えばCPU111がROM112や外部記憶装置114に格納されたプログラムをRAM113に読み出して実行することにより実現される。ユーザが描画アプリケーション201上で、拡張アプリケーション204が紐づく印刷キューに対して印刷を指示すると、印刷データ生成ソフトウェア202から編集ユニット208に中間データが送られる。また、スキップ制御ユニット206にてスキップ処理がなされた場合に、印刷データ生成ソフトウェア202を経由せずに、スキップ制御ユニット206から編集ユニット208に、直接中間データを渡してもよい。編集ユニット208は印刷データを編集するとともに表示部119にUI画面を表示することが可能であり、画面を開いたままの状態では印刷データは印刷装置102に送信されず、画面を閉じることで印刷データの送信処理が動作する。
【0042】
まずS401で編集ユニット208は、印刷装置102との通信形態を判断する。より具体的には、編集ユニット208は、印刷装置102とホストコンピュータ101との通信において、ベンダが独自に定義する通信プロトコル(以下、「ベンダプロトコル」とも称する。)が使用可能か否かを判断する。通常ベンダが提供するプリンタドライバではベンダプロトコルを用いて通信可能であるが、デバイスによらず利用できる印刷データ生成ソフトウェア202は、標準の通信プロトコルを用いる。そのため、印刷データ生成ソフトウェア202はベンダ特有又は機種固有の機能に関する情報が一部取得できない。一方、印刷データ生成ソフトウェア202の機能を拡張する拡張アプリケーション204は、接続形態や通信インタフェースによって、ベンダプロトコルを使用することができる場合と、使用できない場合があることが知られている。ベンダプロトコルが使用可能か判断する方法は、
図5を用いて具体的に後述する。また、
図5の方法によらず、ベンダプロトコルによる情報取得要求を送信した後の応答の有無により判断してもよい。ベンダプロトコルが使用できないと判断した場合、機種固有の情報が取得できないため、S409まで処理をスキップする。
【0043】
一方、ベンダプロトコルによる通信が可能と判断した場合、S402に進み、編集ユニット208は、ベンダプロトコル(所定の通信プロトコル)を用いて、印刷装置102から現在給紙されている用紙について、その残量を取得する。このとき、給紙されている複数の用紙種全てについて残量を取得してもよいし、受け取った中間データに含まれる印刷設定に関わる情報のうち、用紙種類や用紙サイズ、給紙口設定を参照して、対応する用紙の残量のみを取得してもよい。
【0044】
次にS403で編集ユニット208は、受け取った中間データを解析し、印刷ページ数、部数設定の用紙への出力に係る設定から、ユーザの印刷要求を完了するために必要な用紙総量を取得する。続いてS404で編集ユニット208は、中間データから取得した用紙必要量と印刷装置102から取得した用紙残量とを比較して、用紙必要量が用紙残量を上回っているか確認を行う。下回っている場合はS409へ進む。一方、上回っている場合はS405に進み、編集ユニット208は、用紙が不足する(必要量が残量を上回る)旨を案内する警告画面を表示部119に表示する。表示部119の代わりに、印刷装置102や他の外部装置の表示部に表示するようにしてもよい。警告画面の詳細については
図6用いて後述する。
【0045】
S406で編集ユニット208は、警告画面上のユーザ操作を受け付け、印刷設定を変更するなどして印刷処理を続行させるか、又は印刷処理の中止を行う。ユーザ操作で印刷処理の中止が選択された場合は、S407で編集ユニット208は、印刷処理を中止し、本フローチャートの処理を終了する。また、印刷処理をそのまま続行させる選択を受け付けた場合は、S409で編集ユニット208は、中間データに、ユーザが変更した印刷設定を反映させ、印刷装置102が解釈可能な印刷データに変換し、本フローチャートの処理を終了する。また、印刷設定を変更して印刷処理を続行させる選択を受け付けた場合は、S408で編集ユニット208は、変更した印刷設定を中間データに反映する。その後S409で編集ユニット208は、中間データを印刷データに変換し、本フローチャートの処理を終了する。
【0046】
<S401の判定処理の詳細>
次に
図5を参照して、本実施形態における編集ユニット208のベンダプロトコル使用可否判断処理(S401)の詳細な判定フローについて説明する。以下で説明する処理は、例えばCPU111がROM112や外部記憶装置114に格納されたプログラムをRAM113に読み出して実行することにより実現される。ベンダプロトコル(所定の通信プロトコル)が使用可能か否か、印刷データ生成ソフトウェア202の種別と通信インタフェースに基づいて決定する。
【0047】
まずS501で編集ユニット208は、印刷要求を受けた印刷データ生成ソフトウェア202(以下、標準ドライバと称する。)によってUP Class Driverか否かを判断する。拡張アプリケーション204が機能を拡張することが可能な標準ドライバは、IPP Class Driver又はUP Class Driverの何れかである。UP Class Driverは、クラウドを利用して印刷装置に印刷指示を行うために用いられる汎用的なプリンタドライバである。印刷データ生成ソフトウェア202がUP Class Driverであると判断した場合は、S502で編集ユニット208は、通信インタフェースの種別を問わず、「ベンダプロトコルは使用不可」と判断し、本フローチャートの処理を終了する。
【0048】
一方、印刷データ生成ソフトウェア202がUP Class Driverでないと判断した場合は、S503で編集ユニット208は、通信インタフェースがUSBか否かを判断する。USBではなく、WSDやTCP/IPなどのネットワーク接続であった場合は、S505で編集ユニット208は、「ベンダプロトコルは使用可能」と判断し、本フローチャートの処理を終了する。
【0049】
一方、通信インタフェースがUSBである場合、S504で編集ユニット208は、印刷装置102の機種固有情報である、USB接続時に必要な識別ID(Identification)情報が、拡張アプリケーション204に登録されているかを確認する。登録がなされている場合はS506で編集ユニット208は、「ベンダプロトコルは使用可能」と判断し、本フローチャートの処理を終了する。一方、登録されていない場合はS507で編集ユニット208は、「ベンダプロトコルは使用不可能」と判断し、本フローチャートの処理を終了する。
【0050】
<警告画面>
次に
図6を参照して、本実施形態における用紙残量不足を案内する警告画面について説明する。警告画面601は、ホストコンピュータ101の表示部119に表示されるものであるが、代替的に又は追加的に他の装置の表示部に表示されてもよい。その場合、ホストコンピュータ101はネットワークを介して当該外部装置に対して警告画面に関する画面情報を提供する。
【0051】
警告画面601は、用紙残量不足メッセージ602と、設定変更ボタン603、604と、印刷開始ボタン605と、印刷中止ボタン606とを含んで構成される。印刷中止ボタン606は、印刷要求を取り消すためのボタンである。
【0052】
設定変更ボタン603、604は、印刷要求時の印刷設定を変更したうえで印刷要求を続行するためのボタンである。より詳細には、設定変更ボタン603は、部数設定など特定設定のみを変更することで印刷続行させる簡略された印刷設定変更ボタンであり、押下することで中間データに含まれる特定設定を書き換えてから、印刷装置102が解釈可能な印刷データに変換する。例えば、
図6に示す例では、設定変更ボタン603の表示オブジェクトに「X部のみ印刷」という文字列が表示されている。”X部”については、現在の用紙残量で当該印刷ジョブを受け付けた場合に印刷可能な部数が表示されるものである。
【0053】
設定変更ボタン604は、画面拡張ユニット205が表示するような各印刷設定項目について変更可能な印刷設定画面を表示させる印刷設定変更ボタンである。設定変更ボタン604を押下することで印刷設定画面を表示させ、中間データに含まれる特定設定を書き換えてから、印刷装置102が解釈可能な印刷データに変換される。
【0054】
印刷開始ボタン605は、印刷設定を変更せずに印刷要求を続行するためのボタンである。また、カット紙のような用紙が不足しても印刷要求を取り消さず給紙すれば後続のページを問題なく印刷できる場合は、印刷開始ボタン605を押下することで、印刷設定を変更せずに印刷要求を続行することも可能である。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置は、オペレーティングシステムが提供する標準ドライバを介して複数の仕様の異なる印刷装置へ印刷ジョブを投入可能な装置として実現される。本情報処理装置は、受け付けた印刷ジョブを投入する先の印刷装置から記録媒体に関する情報を取得し、印刷ジョブの情報から得られる必要な記録媒体の量と、記録媒体に関する情報から得られる印刷対象の記録媒体の残量とを比較する。また、本情報処理装置は、印刷対象の記録媒体の残量が印刷ジョブを実行するために必要な記録媒体の量よりも少ない場合に、警告画面を出力する。このように、本実施形態によれば、拡張アプリケーションによって、印刷装置に既に給紙されている用紙残量が印刷に要する用紙量に満たない場合に、ユーザに警告画面を表示し、インクや消耗品の浪費を防ぐことが可能となる。これにより、本実施形態によれば、用紙不足に関する情報を好適に通知し、用紙不足による印刷処理の停止を低減させることができる。
【0056】
<第2の実施形態>
以下では、本発明の第2の実施形態を説明する。上記第1の実施形態ではカット紙について、中間データから出力用紙サイズ、印刷ページ数、部数、余白設定などの設定を解析する例について説明した。しかし、ロール紙等においては「カット」の概念が存在し、巻物のようにページ間でカットせず1枚の印刷物として出力するバナー印刷のような独自の印刷設定を考慮する必要がある。そこで、本実施形態ではカットされていない記録媒体、例えばロール紙において、ロール紙特有のカット設定を考慮することで、上記第1の実施形態と同様の効果を実現する。具体的には、本実施形態によれば、印刷装置に既に給紙されている用紙残量が印刷に要する用紙量に満たない場合に、ユーザに警告画面を表示し、インクや消耗品の浪費を防ぐことができるようにする。なお、以下では、上記第1の実施形態と同様の構成や処理については同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0057】
まず
図7を参照して、本実施形態に係る編集ユニット208が中間データを受け取って印刷データを生成する処理フローを説明する。以下で説明する処理は、例えばCPU111がROM112や外部記憶装置114に格納されたプログラムをRAM113に読み出して実行することにより実現される。なお、S701、S705~S708、S710、S711は、それぞれS401、S404~S409に対応するため詳細な説明は省略する。
【0058】
S702で編集ユニット208は、受け取った中間データから出力用紙がロール紙であり、且つ、カット設定やバナー印刷設定、割付設定などの項目を解析して、各ページ間でロール紙をカットする印刷設定であるか否かを判断する。ロール紙をカットする印刷設定ではないと判断した場合は、S703でS402と同様に、印刷装置102からベンダプロトコルを用いて給紙されているロール紙の残量を取得する。ロール紙をカットする印刷設定であると判断した場合はS711に進み、編集ユニット208は、中間データから印刷データへの変換を行い、本フローチャートの処理を終了する。
【0059】
S707で編集ユニット208は、ロール紙が不足する(必要量が残量を上回る)旨を案内する警告画面を表示する。警告画面については
図8に具体的に例示する。編集ユニット208は、ユーザが警告画面上でロール紙を交換する選択肢を選択した場合、S709で、ロール紙のセット方法を案内し、S711に進む。
【0060】
<警告画面>
次に
図8を参照して、本実施形態における用紙残量不足を案内する警告画面について説明する。警告画面801は、用紙残量不足メッセージ802と、設定変更ボタン803、804と、印刷開始ボタン805と、印刷中止ボタン806とを含んで構成される。設定変更ボタン803、804は、印刷要求時の印刷設定を変更したうえで印刷要求を続行するためのボタンである。印刷開始ボタン805は、印刷設定を変更せずに印刷要求を続行するためのボタンである。印刷中止ボタン806は、印刷要求を取り消すためのボタンである。
【0061】
ロール紙であって、且つ「カット」しない印刷設定において用紙が不足した場合は、印刷に失敗し、印刷要求を取り消してロール紙を給紙後に再度印刷要求を行う必要があるだけでなく、インクや用紙を浪費してしまう。そのため、印刷設定を変更せずに印刷要求を続行する場合には、印刷開始ボタン805を押下することで、編集ユニット208が、ロール紙のセット方法を案内してユーザに給紙を促した後に、印刷装置102が解釈可能な印刷データに変換する。
【0062】
<案内画面>
次に
図9を参照して、本実施形態におけるロール紙セット方法を案内する案内画面について説明する。案内画面901は、具体的なロール紙セット操作を説明するメッセージ902と、ロール紙セット後に印刷を続行するための印刷開始ボタン903と、印刷要求を取り消す印刷中止ボタン904とを含んで構成される。
【0063】
印刷開始ボタン903は印刷を開始するためのボタンであるが、新たなロール紙がセットされるまで選択不可能に表示してもよい。新たなロール紙がセットされると、印刷開始ボタン903が選択可能に表示される。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置は、カットされていない記録媒体である場合において、必要な記録媒体の量と記録媒体の残量とは、それぞれの長さで扱われることを特徴とする。このように、本実施形態によれば、拡張アプリケーションによって、印刷装置に既に給紙されているロール紙残量が印刷に要する用紙量に満たない場合に、ユーザに警告画面を表示し、インクや消耗品の浪費を防ぐことが可能となる。これにより、本実施形態によれば、カットされない記録媒体、例えばロール紙を取り扱う印刷装置に対する印刷ジョブであっても、用紙不足に関する情報を好適に通知し、用紙不足による印刷処理の停止を低減させることができる。
【0065】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0066】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【0067】
本明細書の開示は、以下の情報処理装置、その制御方法、及びプログラムを含む。
(項目1)
オペレーティングシステムが提供する標準ドライバを介して複数の仕様の異なる印刷装置へ印刷ジョブを投入可能な情報処理装置であって、
受け付けた印刷ジョブを投入する先の印刷装置から記録媒体に関する情報を取得する取得手段と、
前記印刷ジョブの情報から得られる必要な記録媒体の量と、前記記録媒体に関する情報から得られる印刷対象の記録媒体の残量とを比較する比較手段と、
前記印刷対象の記録媒体の残量が前記印刷ジョブを実行するために前記必要な記録媒体の量よりも少ない場合に、警告画面を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
(項目2)
前記必要な記録媒体とは、所定のサイズにカットされた記録媒体であるか、又は、カットされていない記録媒体であることを特徴とする項目1に記載の情報処理装置。
(項目3)
前記所定のサイズにカットされた記録媒体である場合において、前記必要な記録媒体の量と前記記録媒体の残量とは、それぞれの枚数で扱われることを特徴とする項目2に記載の情報処理装置。
(項目4)
前記カットされていない記録媒体である場合において、前記必要な記録媒体の量と前記記録媒体の残量とは、それぞれの長さで扱われることを特徴とする項目2に記載の情報処理装置。
(項目5)
前記警告画面には、印刷設定を変更して印刷ジョブを実施する制御オブジェクトと、印刷設定を変更することなく印刷ジョブを実施する制御オブジェクトと、印刷ジョブの実施を中止する制御オブジェクトとの少なくとも1つの制御オブジェクトが選択可能に表示されることを特徴とする項目1乃至4の何れか1つに記載の情報処理装置。
(項目6)
前記印刷設定を変更して印刷ジョブを実施する制御オブジェクトには、印刷装置で印刷可能な部数に制限して印刷ジョブを実施する制御オブジェクトと、印刷設定に関わるパラメータを設定可能な設定画面を表示するための制御オブジェクトとの少なくとも1つが含まれることを特徴とする項目5に記載の情報処理装置。
(項目7)
前記印刷設定に関わるパラメータには、記録媒体の種類、記録媒体のサイズ、記録媒体を供給する給紙口、印刷の向き、両面印刷の設定、及びとじ方向の設定の少なくとも1つのパラメータが含まれることを特徴とする項目6に記載の情報処理装置。
(項目8)
前記印刷装置と前記情報処理装置との通信形態を判断する判断手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記判断手段によって前記印刷装置と前記情報処理装置との通信形態においてベンダが独自に定義する所定の通信プロトコルが使用可能であると判断された場合に、前記印刷装置から記録媒体に関する情報を該所定の通信プロトコルを用いて取得することを特徴とする項目1乃至7の何れか1項に記載の情報処理装置。
(項目9)
前記判断手段は、前記標準ドライバがUP Class Driverである、又はIPP Class Driverであり且つ通信インタフェースがUSBであり前記印刷装置の機種固有の識別情報が無い場合には、前記情報処理装置と前記印刷装置との通信において前記所定の通信プロトコルが使用不可能であると判断し、前記標準ドライバが前記IPP Class Driverであり且つ前記通信インタフェースがネットワーク接続を示す場合には、前記所定の通信プロトコルが使用可能であると判断することを特徴とする項目8に記載の情報処理装置。
(項目10)
前記取得手段は、前記記録媒体に関する情報として、前記印刷装置から前記記録媒体の種類とその残量とを取得することを特徴とする項目1乃至9の何れか1つに記載の情報処理装置。
(項目11)
前記印刷ジョブにおいて前記必要な記録媒体の量は、該印刷ジョブの中間データから得られることを特徴とする項目1乃至10の何れか1つに記載の情報処理装置。
(項目12)
前記警告画面を介して印刷設定が変更されると、変更された内容を前記中間データに反映して印刷データを生成する生成手段をさらに備えることを特徴とする項目11に記載の情報処理装置。
(項目13)
オペレーティングシステムが提供する標準ドライバを介して複数の仕様の異なる印刷装置へ印刷ジョブを投入可能な情報処理装置の制御方法であって、
取得手段が、受け付けた印刷ジョブを投入する先の印刷装置から記録媒体に関する情報を取得する取得工程と、
比較手段が、前記印刷ジョブの情報から得られる必要な記録媒体の量と、前記記録媒体に関する情報から得られる印刷対象の記録媒体の残量とを比較する比較工程と、
出力手段が、前記印刷対象の記録媒体の残量が前記印刷ジョブを実行するために前記必要な記録媒体の量よりも少ない場合に、警告画面を出力する出力工程と
を含むことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
(項目14)
オペレーティングシステムが提供する標準ドライバを介して複数の仕様の異なる印刷装置へ印刷ジョブを投入可能な情報処理装置を、
受け付けた印刷ジョブを投入する先の印刷装置から記録媒体に関する情報を取得する取得手段と、
前記印刷ジョブの情報から得られる必要な記録媒体の量と、前記記録媒体に関する情報から得られる印刷対象の記録媒体の残量とを比較する比較手段と、
前記印刷対象の記録媒体の残量が前記印刷ジョブを実行するために前記必要な記録媒体の量よりも少ない場合に、警告画面を出力する出力手段と
して機能させるプログラム。
(項目15)
前記プログラムは、前記標準ドライバの機能を拡張するための拡張アプリケーションとして前記情報処理装置にインストールされることを特徴とする項目14に記載のプログラム。
【0068】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0069】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0070】
101:ホストコンピュータ、102:印刷装置、110:入力インタフェース、111:CPU、112:ROM、113:RAM、114:外部記憶装置、115:出力インタフェース、116:入出力インタフェース、117:ポインティングデバイス、118:キーボード、119:表示部、201:描画アプリケーション、202:印刷データ生成ソフトウェア、203:印刷機能情報、204:拡張アプリケーション、205:画面拡張ユニット、206:スキップ制御ユニット、207:機能拡張ユニット、208:編集ユニット、209:通知ユニット、210:共有情報