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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160853
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】光電変換装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/77 20230101AFI20241108BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20241108BHJP
【FI】
H04N25/77
H04N25/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076315
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀央
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆典
(72)【発明者】
【氏名】中島 雄二
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CX03
5C024CX43
5C024EX43
5C024GX03
5C024GX14
5C024GX16
5C024GX18
5C024GY31
5C024GY39
5C024HX13
5C024HX17
5C024HX23
5C024HX31
5C024HX35
5C024JX46
(57)【要約】
【課題】
画素からの信号をアナログデジタル変換して出力するときに、アナログデジタル変換の変換精度の低下を抑制できる光電変換装置を提供すること。
【解決手段】
光電変換装置は、光電変換素子を有する画素が行列状に配置された画素部と、前記画素部の2つの画素のそれぞれから出力される2つの異なる信号を第一信号及び第二信号としてそれぞれサンプルホールドするサンプルホールド回路と、前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換した後に前記2つの画素からの前記第二信号をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換回路とを備える。前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換するために設定された各期間の間隔よりも、前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換するために設定された期間と前記2つの画素からの前記第二信号をアナログデジタル変換するために設定された期間との間隔が長く設定される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子を有する画素が行列状に配置された画素部と、
前記画素部の2つの画素のそれぞれから出力される2つの異なる信号を第一信号及び第二信号としてそれぞれサンプルホールドするサンプルホールド回路と、
前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換した後に前記2つの画素からの前記第二信号をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換回路と、を備えた光電変換装置であって、
前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換するために設定された各期間の間隔よりも、前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換するために設定された期間と前記2つの画素からの前記第二信号をアナログデジタル変換するために設定された期間との間隔が長く設定されていることを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
光電変換素子を有する画素が行列状に配置された画素部と、
前記画素部の2つの画素のそれぞれから出力される2つの信号を第一信号及び前記第一信号より露光時間の長い第二信号としてそれぞれサンプルホールドするサンプルホールド回路と、
前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換した後に前記2つの画素からの前記第二信号をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換回路と、を備えた光電変換装置であって、
前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換するために設定された各期間の間隔よりも、前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換するために設定された期間と前記2つの画素からの前記第二信号をアナログデジタル変換するために設定された期間との間隔が長く設定されていることを特徴とする光電変換装置。
【請求項3】
前記2つの画素は前記画素部に並んで配置されていることを特徴とする
請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記第一信号がアナログデジタル変換され、その後に前記第二信号がアナログデジタル変換されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記画素は第一光電変換素子と第二光電変換素子とを備え、前記第一信号は前記第一光電変換素子からの信号であり、前記第二信号は前記第一光電変換素子及び前記第二光電変換素子からの信号であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記第一信号は焦点検出用の信号であり、前記第二信号は画像信号であることを特徴とする請求項5に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第一信号はリセットレベルの信号であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記サンプルホールド回路はリセットレベルの信号をサンプルホールドするサンプルホールド回路を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記リセットレベルの信号と前記第一信号および前記第二信号とのそれぞれの差分を前記アナログデジタル変換回路へ出力することを特徴とする請求項8に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記サンプルホールド回路の出力は抵抗を介して前記アナログデジタル変換回路へ入力されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記抵抗は可変抵抗であることを特徴とする請求項10に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記サンプルホールド回路は増幅器を有し、前記第一信号及び前記第二信号は前記増幅器から出力されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記第一信号及び前記第二信号は前記増幅器の入力部に設けられた2つの容量により保持されることを特徴とする請求項12に記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記アナログデジタル変換回路はデルタシグマ(ΔΣ)型アナログデジタル変換回路であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項15】
前記アナログデジタル変換回路の入力には積分器が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項16】
前記アナログデジタル変換回路には電圧電流変換回路が設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項17】
前記画素には光電変換素子からの出力を変更する利得変更部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項18】
前記2つの画素からの前記第二信号をアナログデジタル変換するために設定された各期間の間隔よりも、前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換するために設定された期間と前記2つの画素からの前記第二信号をアナログデジタル変換するために設定された期間との間隔が長く設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項19】
請求項1又は2に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置からの出力信号を処理する処理装置と、
を備えることを特徴とする機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デルタシグマ(ΔΣ)型のアナログデジタル変換回路を有する固体撮像素子がある。特許文献1には画素からの信号を記憶する2つの容量素子を設け、2つの容量素子に記憶された電圧の加重平均を出力とすることにより、広い入力電圧レンジに対応可能な固体撮像素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2019/069614号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの画素から信号を2回に分けて読み出し、アナログデジタル変換して出力することがある。この場合に1回目と2回目の信号の電圧範囲が異なるとき、アナログデジタル変換をしたときにデジタル信号の変換精度の低下が問題となることがあった。本発明の目的は、画素からの信号をアナログデジタル変換して出力するときに、アナログデジタル変換の変換精度の低下を抑制できる光電変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る光電変換装置は、光電変換素子を有する画素が行列状に配置された画素部と、前記画素部の2つの画素のそれぞれから出力される2つの異なる信号を第一信号及び第二信号としてそれぞれサンプルホールドするサンプルホールド回路と、前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換した後に前記2つの画素からの前記第二信号をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換回路と、を備えた光電変換装置であって、前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換するために設定された各期間の間隔よりも、前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換するために設定された期間と前記2つの画素からの前記第二信号をアナログデジタル変換するために設定された期間との間隔が長く設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
画素からの信号をアナログデジタル変換して出力するときに、アナログデジタル変換の変換精度の低下を抑制できる光電変換装置を提供すること。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る光電変換装置の模式図。
図2】実施形態1に係る画素の構成例。
図3】実施形態1に係る光電変換装置の模式図。
図4】実施形態1に係る光電変換装置のタイミング図。
図5】画素の構成例。
図6】実施形態2に係る画素の構成例。
図7】実施形態2に係る光電変換装置のタイミング図。
図8】実施形態に係る光電変換装置の適用例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
(実施形態1)
実施形態1に関わる光電変換装置について図1~5により説明する。図1に画素基板1、回路基板2、画素部5、画素10、垂直信号線30,31、電流源40,41、サンプルホールド回路50、51、変換部60、マルチプレクサ70、データ処理部90、出力回路100を示す。
【0010】
画素部5には、光電変換素子をそれぞれ含む複数の画素10が行列状に配置されている。ここで、行方向は、垂直信号線30、31が延びる方向と交差する方向である。図1において左右の方向を指す。列方向は、垂直信号線30が延びる方向であり、図1において上下の方向を指す。画素10は光電変換素子を有し、入射した光に応じた信号電荷を生成する。
【0011】
画素部5には、画素10が配置されている画素の列(画素列)に対応して、垂直信号線30、31が列方向に沿って配置される。垂直信号線30、31は、画素10の光電変換素子によって生成された信号電荷に応じた信号を画素10からサンプルホールド回路50、51に転送する。電流源40、41は、垂直信号線30、31のそれぞれに対応して配置される。電流源40、41は、信号を読み出すために選択された画素10に対して、垂直信号線30、31を介してバイアス電流を供給する。
【0012】
サンプルホールド回路50、51は、それぞれの画素10の光電変換素子で生成された信号を、画素部5から垂直信号線30、31を介してサンプリングし保持する。サンプルホールド回路50、51は光電変換素子をリセットした際の信号をサンプリングするサンプルホールド回路と光電変換素子で光電変換動作を行った際の信号をサンプリングするサンプルホールド回路との2つのサンプルホールド回路を持つ。それぞれのサンプルホールド回路50、51は垂直信号線30、31の各々に接続されている。
【0013】
マルチプレクサ70は、サンプルホールド回路50、51のいずれか一方を後段の変換部60へ接続する。
【0014】
変換部60は、サンプルホールド回路50、51から出力される信号をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換回路(A/D変換回路)である。A/D変換回路としては、スロープ型A/D変換回路、逐次比較型A/D変換回路、デルタシグマ(ΔΣ)型A/D変換回路などが用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
データ処理部90は、変換部60から出力されるデジタル信号を処理するデジタル信号処理部である。例えば、変換部60から出力されたデジタル信号に対して、補正処理や補完処理などを行ってもよい。出力回路100は、データ処理部90で処理された信号を外部へ出力する。
【0016】
図2は、画素10の構成例を示す回路図である。画素10は、光電変換素子400、転送トランジスタ410、リセットトランジスタ455、増幅トランジスタ430、選択トランジスタ440を含む。光電変換素子400は、例えば、フォトダイオードである。光電変換素子400は、主電極のうち一方が、グランド電位450に接続されており、受光した光をその光量に応じた電荷量の信号電荷(例えば、光電子)に光電変換し蓄積する。
【0017】
光電変換素子400の主電極のうち他方は、転送トランジスタ410を介して増幅トランジスタ430のゲート電極に電気的に接続されている。増幅トランジスタ430のゲート電極が電気的に繋がったノードは、フローティングディフュージョン420として機能する。フローティングディフュージョン420は光電変換素子400で生成された信号電荷を信号電圧に変換する電荷電圧変換部である。
【0018】
転送トランジスタ410のゲート電極には、転送信号TXが供給される。転送トランジスタ410が転送信号TXに応じて導通状態になることによって、光電変換素子400で光電変換され、光電変換素子400に蓄積された信号電荷が、フローティングディフュージョン420に転送される。
【0019】
リセットトランジスタ455は、電源電位460とフローティングディフュージョン420との間に接続されている。ここで、トランジスタが、AとBとの間に接続されている、と表現した場合、トランジスタの主電極(ソースおよびドレイン)のうち一方がAに接続され、主電極のうち他方がBに接続されていることを示す。また、トランジスタのゲート電極はAまたはBに接続されていない。
【0020】
リセットトランジスタ455のゲート電極には、リセット信号RESが供給される。リセットトランジスタ455がリセット信号RESに応じて導通状態になることによって、フローティングディフュージョン420の電位が、電源電位460にリセットされ、フローティングディフュージョン420に保持された電荷を掃き出すことができる。
【0021】
増幅トランジスタ430は、ゲート電極がフローティングディフュージョン420に、主電極のうち一方が電源電位460に、主電極のうち他方が選択トランジスタ440に、それぞれ接続されている。増幅トランジスタ430のゲート電極は、光電変換素子400の光電変換によって得られた信号を読み出すソースフォロワの入力部になる。つまり、増幅トランジスタ430は、主電極のうち他方が、選択トランジスタ440を介して垂直信号線30ないし31に接続される。増幅トランジスタ430と垂直信号線30ないし31に接続された上述の電流源40ないし41とは、フローティングディフュージョン420の電圧を垂直信号線30ないし31の電位に変換するソースフォロワを構成している。
【0022】
選択トランジスタ440は、増幅トランジスタ430と垂直信号線30ないし31との間に接続されている。選択トランジスタ440のゲート電極には、選択信号SELが供給される。選択トランジスタ440が選択信号SELに応じて導通状態になることによって、画素10を選択状態とし、増幅トランジスタ430から、垂直信号線30ないし31に信号が出力される。
【0023】
画素10の回路構成は、図2に示される構成に限定されるものではない。例えば、選択トランジスタ440は電源電位460と増幅トランジスタ430との間に接続されていてもよい。図2に示される構成では、画素10には転送トランジスタ410、リセットトランジスタ455、増幅トランジスタ430、選択トランジスタ440が備えられる所謂4トランジスタ(4Tr.)型の構成を示したが、これに限られるものではない。例えば、選択トランジスタ440を省略し、増幅トランジスタ430が選択トランジスタとしても機能する3Tr.型の構成としてもよい。また、トランジスタの数を増やして5トランジスタ以上による構成にしてもよい。画素10からは、リセットトランジスタ455によってフローティングディフュージョン420の電位をリセットし、光電変換素子400をリセットした際のリセット信号が出力される。また、光電変換素子400で光電変換を行った際の信号レベルであるデータ信号が出力される。リセット信号とデータ信号とは順に出力されうる。
【0024】
図3は、サンプルホールド回路50、51および変換部60およびマルチプレクサ70に着目した回路の構成例を示す図である。図3は、垂直信号線30、31に対応して配置されているサンプルホールド回路50、51および変換部60が示されている。1つの垂直信号線30に、サンプルホールド回路50のうちリセット信号をサンプリングし保持するサンプルホールド回路210およびデータ信号をサンプリングし保持するサンプルホールド回路211が接続されている。
【0025】
また、1つの垂直信号線31に、サンプルホールド回路51のうちリセット信号をサンプリングし保持するサンプルホールド回路212およびデータ信号をサンプリングし保持するサンプルホールド回路213が接続されている。また、2つのサンプルホールド回路50、51に対応して、1つのマルチプレクサ70および1つの変換部60が設けられている。
【0026】
サンプルホールド回路210は、容量素子120および反転増幅器220を含む。スイッチ110は、制御信号Smp_nに従って、垂直信号線30と容量素子120との間の接続を制御する。反転増幅器220は、ソース接地回路およびソースフォロア回路の組み合わせによって構成されうる。反転増幅器220は、トランジスタ130、140、150、160、230、スイッチ170、180、190、電流源200を含む。スイッチ170は、トランジスタ130、140、150、160で構成されるソース接地回路の入出力間に接続されており、制御信号Smpa_nによって制御される。反転増幅器220からリセット信号が、制御信号Hold_nに従って出力される。サンプルホールド回路212についても同様である。
【0027】
サンプルホールド回路211は、リセット信号用のサンプルホールド回路210と似た構成を有しうるが、以下で述べるように、スイッチ112、192と容量素子122が追加になっている。サンプルホールド回路211は、容量素子121、122および反転増幅器221を含む。スイッチ111、112は、制御信号Smp_s1、Smp_s2に従って、垂直信号線30と容量素子121との間の接続を制御する。反転増幅器221は、ソース接地回路およびソースフォロア回路の組み合わせによって構成されうる。
【0028】
反転増幅器221は、トランジスタ131、141、151、161、231、スイッチ171、181、191、192、電流源201を含む。スイッチ171は、トランジスタ131、141、151、161で構成されるソース接地回路の入出力間に接続されており、制御信号Smpa_sによって制御される。反転増幅器221からデータ信号が、制御信号Hold_s1ないしHold_s2に従って出力される。サンプルホールド回路213についても同様である。
【0029】
図3に示されるように、リセット信号用のサンプルホールド回路210、212の出力端子とデータ信号用のサンプルホールド回路211、213の出力端子との間には、それぞれに抵抗素子240、241が配置されている。これによって抵抗素子240、241に流れる電流Iは次の式1のようになる。
【0030】
I=(Vn-Vs)/R (式1)
ここでサンプルホールド回路210、212の出力端子の電位、つまりリセット信号の電位をVn、サンプルホールド回路211、213の出力端子の電位、つまりデータ信号の電位をVs、抵抗素子240の抵抗値をRとする。
【0031】
この電流Iは、マルチプレクサ70を介して変換部60へと入力される。このとき、抵抗素子240、241に流れる電流Iは、画素のリセット信号の電位Vnとデータ信号の電位Vsとの差分に比例することから、電流Iが変換部60に入力される段階でCDS(相関2重サンプリング)が行われていることになる。
【0032】
マルチプレクサ70はスイッチ500、510を有しており、制御信号Mux1、Mux2に応じて、サンプルホールド回路50および51のいずれかを変換部60に接続する。
【0033】
ΔΣ型のA/D変換回路である変換部60は、第一積分器、第二積分器、量子化器370、デシメーションフィルタ380を含む。変換部60において、第一積分器は、積分容量320によって構成されている。第二積分器は、電圧を電流に変換する電圧電流変換回路Gm330および積分容量360によって構成されている。第一積分器の入力ノードには、電流源300およびスイッチ310を含むデジタルアナログ変換器305が接続されている。
【0034】
デジタルアナログ変換器305は、第二積分器および量子化器370を介したデジタル信号に応じて第一積分器への電流を制御する。第二積分器の入力ノードには、電流源340およびスイッチ350を含むデジタルアナログ変換器345が接続されている。デジタルアナログ変換器345は、第二積分器の出力を、量子化器370で量子化した結果に応じて、第二積分器への電流を制御する。尚、図3に示すように、量子化器370にはクロック信号Clkが入力されており、クロック信号Clkに同期して量子化動作を行う。
【0035】
変換部60では、量子化器370で前の量子化値を、デジタルアナログ変換器305、345を通して、第二積分器および第一積分器にフィードバックする動作が行われる。このように、前の量子化値をデジタルアナログ変換器305、345にフィードバックしながら積分器を2回通すことによって2次のノイズシェーピング特性を得ることができる。
【0036】
さらに、量子化器370の後段に配置されているデシメーションフィルタ380によって高域ノイズを除去することで、精度が高いアナログデジタル変換出力を得ることができる。尚、図3に示すように、電圧電流変換回路Gm330の反転入力端子と出力の間にはスイッチ390が接続されており、制御信号Adresで制御される。このスイッチをオンすることにより、第一積分器および第二積分器の各ノードをリセット状態とすることが可能となっている。
【0037】
図4は、サンプルホールド回路210、211の各スイッチおよびマルチプレクサ70および変換部60の動作例を示すタイミング図である。図4には、画素10の制御信号RES、TX、変換部60の入力電流が示されている。また、サンプルホールド回路210、211の各スイッチの制御信号Smp_n、Smpa_n、Hld_n、Hld_s、Smp_s1、Smp_s2、Smpa_s、Hld_s1、Hld_s2が示される。さらにマルチプレクサ70の制御信号Mux1、Mux2、変換部60の制御信号Adres、Clk、変換部60入力アナログ電流信号もそれぞれ示されている。
【0038】
図4において、制御信号がハイレベルの間、対応するスイッチがオン状態(導通状態)になり、制御信号がローレベルの間、対応するスイッチがオフ状態(非導通状態)になるとして説明する。
【0039】
時刻t1~t2において、図2の制御信号RESがハイレベルとなりリセットトランジスタ455がオンすることにより、フローティングディフュージョン420の電位がリセットされる。それに応じて垂直信号線30の電位はリセット信号のレベルとなる。また、時刻t1で、制御信号Smp_n、Smpa_nがハイレベルになり、リセット信号用のサンプルホールド回路210において、スイッチ110、170がオン状態になる。次いで、制御信号Smpa_nがハイレベルからローレベルに遷移する時刻t3で、リセット信号の電位Vnがサンプリングされ、容量素子120に蓄積される。次に、時刻t4において、制御信号Smp_nがハイレベルからローレベルへ遷移し、スイッチ110がオフ状態となり、垂直信号線30と切り離される。垂直信号線31、リセット信号用のサンプルホールド回路212においても同様の動作が行われる。
【0040】
尚、時刻t1~t4において、制御信号Mux1、Mux2はローレベルとなっており、サンプルホールド回路211、213はいずれも変換部60に接続されておらず、変換部60への入力電流はゼロの状態となっている。また、制御信号Adresはハイレベルでスイッチ390はオン状態となっており、変換部60において、第一積分器および第二積分器の各ノードをリセット状態となっている。また、クロック信号Clkは入力されておらず量子化器370は量子化動作を行わない状態となっている。
【0041】
時刻t5~t6において、図2の制御信号TXがハイレベルとなり転送トランジスタ410がオンすることにより、光電変換素子400からフローティングディフュージョン420へ、時刻t2~t6の間の光の照射により生じた電荷が転送される。フローティングディフュージョン420の電位は、電荷の量に応じて低下する。これにより、垂直信号線30の電位が低下し、第一データ信号のレベルとなる。また、時刻t5で、制御信号Smp_s、Smpa_s1がハイレベルになり、データ信号用のサンプルホールド回路211において、スイッチ111、171がオン状態になる。
【0042】
次いで、制御信号Smpa_sがハイレベルからローレベルに遷移する時刻t7で、第一データ信号Vs1がサンプリングされ、容量素子121に蓄積される。次に、時刻t8において、制御信号Smp_s1がハイレベルからローレベルへ遷移し、スイッチ111がオフ状態となり、容量素子121は垂直信号線30から切り離される。垂直信号線31、データ信号用のサンプルホールド回路213においても同様の動作が行われる。
【0043】
尚、時刻t7でスイッチ171をオフする際のスイッチ171の両端電圧は垂直信号線30の電位によらず常に略同一となる。このため、スイッチ171をオフすることを起因とする電荷注入による、容量素子121に蓄積されている第一データ信号Vs1に対する誤差電圧は発生しない。また、時刻t8でスイッチ111をオフする際には、容量素子121の両端ともにハイインピーダンス状態となっているため、スイッチ111のオフによる影響は生じない。このように、第一データ信号Vs1への誤差電圧の発生を抑制することができる。
【0044】
時刻t9~t10において、再び、図2の制御信号TXがハイレベルとなり転送トランジスタ410がオンする。これにより、時刻t6からt10の間の光の照射により光電変換素子400に蓄積された電荷をフローティングディフュージョン420へ追加で転送する。フローティングディフュージョン420の電位は、電荷の量に応じて更に低下する。これにより、垂直信号線30の電位が低下し、第二データ信号のレベルとなる。
【0045】
また、時刻t9で、制御信号Smp_s、Smpa_s2がハイレベルになり、データ信号用のサンプルホールド回路211において、スイッチ112、171がオン状態になる。次いで、制御信号Smpa_sがハイレベルからローレベルに遷移する時刻t11で、第二データ信号Vs2がサンプリングされ、容量素子122に蓄積される。次に、時刻t12において、制御信号Smp_s2がハイレベルからローレベルへ遷移し、スイッチ112がオフ状態となり、容量素子122は垂直信号線30から切り離される。垂直信号線31、データ信号用のサンプルホールド回路213においても同様の動作が行われる。
【0046】
尚、時刻t11でスイッチ171をオフする際のスイッチ171の両端電圧は垂直信号線30の電位によらず常に略同一となる。このため、スイッチ171をオフすることを起因とする電荷注入による、容量素子122に蓄積されている第二データ信号Vs2に対する誤差電圧は発生しない。また、時刻t12でスイッチ112をオフする際には、容量素子122の両端ともにハイインピーダンス状態となっているため、スイッチ112のオフによる影響は生じない。このように、第二データ信号Vs2への誤差電圧の発生を抑制することができる。
【0047】
時刻t13で、制御信号Hld_nがハイレベルとなり、スイッチ180、190がオン状態になることによって、サンプルホールド回路210において、容量素子120が保持するリセット信号の電位Vnを出力する。サンプルホールド回路210についても同様である。また、同時に時刻t13において、制御信号Hld_s1、Hld_sがハイレベルとなり、スイッチ181、191がオン状態になることによって、サンプルホールド回路211において、容量素子121が保持する第一データ信号の電位Vs1を出力する。サンプルホールド回路213においても同様である。また、同時に時刻t13において、制御信号Mux1がハイレベルとなり、サンプルホールド回路211が変換部60へと接続され、変換部60への入力電流が増加する。
【0048】
変換部60への入力電流は、上述したように、サンプルホールド回路210の出力端子のリセット信号の電位Vnとサンプルホールド回路211の出力端子のデータ信号の電位Vs1との差に応じた電流となる。変換部60はこの電流をアナログデジタル変換する。
【0049】
時刻t14で、制御信号Adresがローレベルとなり、スイッチ390がオフ状態となり、第一積分器および第二積分器の各ノードのリセットが解除される。そして、時刻t14~t15(期間AD1)において、クロック信号Clkが入力され、クロックサイクル毎に量子化器370で量子化動作が行われる。そして上述したように、クロックサイクル毎に、前の量子化値をデジタルアナログ変換器305、345にフィードバックしながら積分器を2回通すことによって2次のノイズシェーピング特性を得ることができる。
【0050】
さらに、量子化器370の後段に配置されているデシメーションフィルタ380によって高域ノイズを除去することで、精度が高いアナログデジタル変換出力を得ることができる。時刻t15でサンプルホールド回路211の第一データ信号Vs1に応じた信号のアナログデジタル変換を完了するとともに、制御信号Mux1がローレベル、制御信号Mux2がハイレベルとなり、サンプルホールド回路213が変換部60に接続される。そして、時刻t15~t16において、制御信号Adresがハイレベルとなり、スイッチ390がオン状態となり、第一積分器および第二積分器の各ノードのリセットがリセットされる。時刻t16~t17(期間AD1’)において、同様にして、サンプルホールド回路213の第一データ信号Vs1に応じた信号のアナログデジタル変換を行う。このようにサンプルホールド回路211からの第一データ信号とサンプルホールド回路213からの第一データ信号とが順番にアナログデジタル変換される。
【0051】
時刻t17で、制御信号Mux1がハイレベル、制御信号Mux2がローレベルとなり、サンプルホールド回路211が変換部60に接続される。また、時刻t17で、制御信号Hld_s1がローレベルとなり、スイッチ191がオフ状態になる。その後、時刻t15で、制御信号Hld_s2がハイレベルとなり、スイッチ192がオン状態になることによって、サンプルホールド回路211の容量素子122から第二データ信号の電位Vs2が出力される。これにより、サンプルホールド回路210の出力端子のリセット信号の電位Vnとサンプルホールド回路211の出力端子のデータ信号の電位Vs2との差に応じた電流が、変換部60へと入力される。
【0052】
変換部60はサンプルホールド回路からの信号をアナログデジタル変換する。ここで、第一データ信号の電位Vs1と第二データ信号の電位Vs2は光電変換素子の異なる露光時間、すなわち電荷を蓄積する蓄積時間に対応した信号である。そのため、露光がされないダーク状態以外では同一電位とはならない。このため、時刻t17において、抵抗素子240の両端電圧が変化することになる。これに応じて、時刻t17において変換部60への入力電流の増加が始まる。このとき抵抗素子240の両端電圧の静定に時間を要する等の理由により、この電流の静定には、一定の時間を要することが分かった。この静定前にアナログデジタル変換を開始してしまうと誤差を生じ、リニアリティ特性を悪化させてしまう。
【0053】
そこで、図4においては、静定を待つために、時刻t17~t18の時間間隔を例えば、時刻t15~t16よりも長く設定している。つまり、同一蓄積時間の信号のアナログデジタル変換期間同士の間の時間間隔よりも長い時間が設定される。これにより、リニアリティ特性の悪化を抑制している。時刻t18~t19(期間AD2)において、上記と同様にして、サンプルホールド回路211の第二データ信号Vs2に応じた信号のアナログデジタル変換を行う。更に、時刻t20~t21(期間AD2’)において、サンプルホールド回路213の第二データ信号Vs2に応じた信号のアナログデジタル変換を行う。このようにサンプルホールド回路211からの第二データ信号とサンプルホールド回路213からの第二データ信号もが順番にアナログデジタル変換される。このとき、時刻t17~t18の時間間隔を時刻t19~t20の時間間隔よりも長く設定してもよい。
【0054】
このように、本実施形態では、2種類の信号を読み出す際に、電圧電流変換を行う抵抗素子240、241の両端電圧の静定までの時間の影響によるアナログデジタル変換の精度の低下を抑制することが可能となっている。尚、抵抗素子240、241は可変抵抗でも構わない。つまり電流を可変できる構成であっても構わない。時刻t17の電流変化は式1から分かるように抵抗が低い場合に、より大きくなり得るため、抵抗素子240、241の値が低い場合において、本実施形態の効果はより顕著となりうる。
【0055】
また、容量素子121と122とで、サンプルホールド回路211を共有することにより、動作時電力を増加することなく、2つのデータ信号Vs1、Vs2を読み出すことが可能となっている。また、上述のように、2つのデータ信号Vs1、Vs2の電圧誤差を抑制することが可能となっており、ハイダイナミックレンジ(HDR)撮像時の画質劣化の抑制が可能となっている。
【0056】
また、2つのデータ信号Vs1、Vs2を共通の抵抗素子240、241を介して電流として変換部60へ入力することにより、温度やプロセスばらつきに対する変動が連動しやすくなっている。これにより、例えば、データ信号Vs1、Vs2両者に異なるばらつきが重畳することによるHDR画像の画質劣化を抑制可能となっている。
【0057】
なお、図5のように、画素10は、フローティングディフュージョン420の容量を切り替えるトランジスタ456を有しても構わない。読み出し期間中にトランジスタ456のオンオフを切替え(例えば、図4の時刻t9)ることによりフローティングディフュージョン420の容量が変化する。このときトランジスタ456はフローティングディフュージョンの容量を変更する利得変更部として機能する。また、別の容量素子を、トランジスタを介してフローティングディフュージョンに接続して、トランジスタをオンオフ切替することにより容量を変更するようにしてもよい。利得変更部により電圧変換利得の異なる信号を容量素子121、122に出力して保持させることができる。電圧利得の異なる信号を用いてHDR撮像を行うことが可能となる。
【0058】
(実施形態2)
図6、7に実施形態2に関わる光電変換装置の模式図、タイミングチャートを示す。以下では、実施形態1の図2、4との相違点についてのみ、説明する。図6においては、画素10は光電変換素子401、転送トランジスタ411を更に有する。図6において画素10は、2つの光電変換素子400、401でフローティングディフュージョンを共有する構成となっている。図6に示す画素は、いわゆるフローティングディフュージョン共有画素となっている。光電変換素子400、401は、例えば、フォトダイオードである。図6の画素10は例えば、垂直方向の2画素分に相当する画素にできる。本実施形態においては、光電変換素子400、401の各々の信号を図3の容量素子121、122に各々保持、出力することにより、単位読み出し期間中に2行分の画素信号を読み出すことが可能となり、読み出しの高速化が可能となる。
【0059】
図7のタイミングチャートにおいて、時刻t5~t6において、図6の制御信号TXAがハイレベルとなり転送トランジスタ410がオンすることにより、光電変換素子400からフローティングディフュージョン420へ電荷が転送される。時刻t5からt8の期間に、光電変換素子400の電荷に基づく第一信号を図3の容量素子121に保持する。時刻t9~t10において、図6の制御信号TXBがハイレベルとなり転送トランジスタ411がオンすることにより、光電変換素子401からフローティングディフュージョン420へ電荷が転送される。時刻t9からt12の期間に、光電変換素子400および401の電荷に基づく第二信号を図3の容量素子122に保持する。時刻t13~t17で、第一信号とリセット信号の差信号をアナログデジタル変換し、また、時刻t18~t21で、第二信号とリセット信号の差信号をアナログデジタル変換する。後段で両者の差分をとることで、光電変換素子400、401各々に対するデジタル信号を得ることが可能となる。以上のような動作により、単位読み出し期間中に、2行分の画素信号を読み出すことが可能となり、読み出しの高速化が可能となる。
【0060】
ここでは実施形態1と同様に、時刻t17~t18の時間間隔を例えば、時刻t15~t16よりも長くしている。これにより、第二信号をアナログデジタル変換する際のアナログデジタル変換精度の低下を抑制している。
【0061】
まお、図7において、光電変換素子400、401は同一のマイクロレンズ下に形成した一対の光電変換素子とし、位相差検出用の画素を構成しても構わない。この場合、第一信号は焦点検出用の信号として用いることができる。焦点検出用の信号により自動焦点検出(オートフォーカス:AF)が可能である。このとき第二信号は画像信号となる。この場合、第二信号のアナログデジタル変換精度の低下を抑制することで画質の改善が可能となる。また、焦点検出用の第一信号と共に用いられる、第一信号と第二信号との差分から得られるオートフォーカス(AF)用の信号の精度も向上しうる。このためにAF精度を向上させることが可能となる。
【0062】
なお、図7においては、第一データ信号を先にアナログデジタル変換する場合を例にとって説明したが、これに限られない。第二データ信号を先にアナログデジタル変換しても構わない。この場合はAF用信号より先に画像信号を先にアナログデジタル変換することにより、画像信号をサンプルホールド回路に保持しておく時間を低減することが可能となる。これにより、リークや低周波の電源ノイズなどの影響を軽減し、画質を改善することが可能となる。
【0063】
光電変換素子であるフォトダイオード1つ分の信号である第一データ信号の信号振幅の範囲は、光電変換素子2つ分の第二データ信号の信号振幅の範囲よりも小さい。これは光電変換素子2つの方が保持できる電荷の量が大きくなるためである。
【0064】
図7において、光電変換素子400、401は面積の互いに異なるフォトダイオードでも構わない。大きなフォトダイオードと小さなフォトダイオードでは、保持できる電荷の量が異なるため、上述の位相差検出画素の例と同じように、互いに信号振幅の範囲が異なる信号を出力することになる。
【0065】
図5のように、画素10にフローティングディフュージョン容量を切り替えるためのトランジスタ456を備えることができる。この場合、読み出し期間中にトランジスタ456のオンオフを切替えて、電圧変換利得の異なる信号を読み出す場合は、互いの信号振幅の範囲は異なりうる。これは、例えば、リセットトランジスタ455とトランジスタ456との閾値の違いに起因する。リセットトランジスタ455の閾値が相対的に高い場合、トランジスタ456がオン状態の場合、電圧変換利得が低くなり、信号振幅の範囲は大きくできる。これは、フローティングディフュージョン420の電位がリセットレベルからより低いところまで低下することができるためである。
【0066】
上述の実施形態では、容量素子121、122の双方にデータ信号を保持する場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、容量素子121にリセット信号、容量素子122にデータ信号を保持しても構わない。そして、図4の時刻t13~t17で2つのリセット信号をアナログデジタル変換し、時刻t18~21で2つのデータ信号をアナログデジタル変換しても構わない。この場合、時刻t17において、変換部60への入力電流により顕著な変化が現れるため、本発明の構成による効果を得ることができる。
【0067】
撮像装置、光電変換装置の形態は上述のものに限られない。例えば、画素10は図2の構成例に限られない。垂直信号線30、31が1画素列に複数本有する場合、選択トランジスタ440を複数有する形態でも構わない。また、変換部60は、オートゼロ動作用の容量やスイッチを有する比較器を用いた構成でも構わない。
【0068】
<光電変換装置の機器への適用>
以下、図8に示される、半導体集積回路を含む半導体チップ1110が載置されたパッケージ1020を含む半導体装置1100を備える機器1000について説明する。半導体チップ1110は、パッケージ1020に収容され、機器1000に搭載される。図8に示される構成において半導体チップ1110は上述の実施形態に係る光電変換装置を含む。半導体装置1100は、半導体チップ1110が固定された基台1010と、半導体チップ1110に対向するガラスなどの光透過部材1030と、を含むパッケージ1020を備えることができる。パッケージ1020には、基台1010に設けられたインナーリードと半導体チップ1110に設けられたパッド電極などの端子とを接続するワイヤやバンプなどの接合部材が配されうる。
【0069】
機器1000は、光学装置1040、制御装置1050、処理装置1060、表示装置1070、記憶装置1080、機械装置1090の少なくともいずれかを備えることができる。光学装置1040は、例えば、レンズやシャッター、ミラーである。制御装置1050は、半導体チップ1110を制御する。制御装置1050は、例えば、ASICなどの半導体デバイスである。
【0070】
処理装置1060は、半導体チップ1110に含まれる光電変換装置からの出力信号を処理する。処理装置1060は、AFEアナログフロントエンドあるいはDFEデジタルフロントエンドを構成するための、CPUやASICなどの半導体デバイスである。例えばイベント信号Eに基づいて画像を生成してもよい。表示装置1070は、半導体チップ1110で得られた情報画像を表示する、EL表示デバイスや液晶表示デバイスである。記憶装置1080は、半導体チップ1110で得られた情報画像を記憶する、磁気デバイスや半導体デバイスである。記憶装置1080は、SRAMやDRAMなどの揮発性メモリ、あるいは、フラッシュメモリやハードディスクドライブなどの不揮発性メモリである。
【0071】
機械装置1090は、モーターやエンジンなどの可動部あるいは推進部を有する。機器1000では、半導体チップ1110から出力された信号を表示装置1070に表示したり、機器1000が備える通信装置不図示によって外部に送信したりする。そのために、機器1000は、半導体チップ1110が有する記憶回路や演算回路とは別に、記憶装置1080や処理装置1060をさらに備えていてもよい。機械装置1090は、半導体チップ1110から出力され信号に基づいて制御されてもよい。
【0072】
また、機器1000は、撮影機能を有する情報端末例えば、スマートフォンやウエアラブル端末やカメラ例えば、レンズ交換式カメラ、コンパクトカメラ、ビデオカメラ、監視カメラなどの電子機器に適する。カメラにおける機械装置1090はズーミングや合焦、シャッター動作のために光学装置1040の部品を駆動することができる。あるいは、カメラにおける機械装置1090は防振動作のために光学装置1040を移動することができる。
【0073】
また、機器1000は、車両や船舶、飛行体などの輸送機器でありうる。輸送機器における機械装置1090は移動装置として用いられうる。輸送機器としての機器1000は、半導体チップ1110を輸送するものや、撮影機能により運転操縦の補助および/または自動化を行うものに適している。運転操縦の補助および/または自動化のための処理装置1060は、半導体チップ1110で得られた情報に基づいて移動装置としての機械装置1090を操作するための処理を行うことができる。あるいは、機器1000は内視鏡などの医療機器や、測距センサなどの計測機器、電子顕微鏡のような分析機器、複写機などの事務機器、ロボットなどの産業機器であってもよい。
【0074】
(その他の実施形態)
本明細書の開示は、以下の光電変換装置を含む。
(項目1)
光電変換素子を有する画素が行列状に配置された画素部と、
前記画素部の2つの画素のそれぞれから出力される2つの異なる信号を第一信号及び第二信号としてそれぞれサンプルホールドするサンプルホールド回路と、
前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換した後に前記2つの画素からの前記第二信号をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換回路と、を備えた光電変換装置であって、
前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換するために設定された各期間の間隔よりも、前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換するために設定された期間と前記2つの画素からの前記第二信号をアナログデジタル変換するために設定された期間との間隔が長く設定されていることを特徴とする光電変換装置。
(項目2)
光電変換素子を有する画素が行列状に配置された画素部と、
前記画素部の2つの画素のそれぞれから出力される2つの信号を第一信号及び前記第一信号より露光時間の長い第二信号としてそれぞれサンプルホールドするサンプルホールド回路と、
前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換した後に前記2つの画素からの前記第二信号をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換回路と、を備えた光電変換装置であって、
前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換するために設定された各期間の間隔よりも、前記2つの画素からの前記第一信号をアナログデジタル変換するために設定された期間と前記2つの画素からの前記第二信号をアナログデジタル変換するために設定された期間との間隔が長く設定されていることを特徴とする光電変換装置。
(項目3)
前記2つの画素は前記画素部に並んで配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
(項目4)
前記第一信号がアナログデジタル変換され、その後に前記第二信号がアナログデジタル変換されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(項目5)
前記画素は第一光電変換素子と第二光電変換素子とを備え、前記第一信号は前記第一光電変換素子からの信号であり、前記第二信号は前記第一光電変換素子及び前記第二光電変換素子からの信号であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(項目6)
前記第一信号は焦点検出用の信号であり、前記第二信号は画像信号であることを特徴とする請求項5に記載の光電変換装置。
(項目7)
前記第一信号はリセットレベルの信号であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(項目8)
前記サンプルホールド回路はリセットレベルの信号をサンプルホールドするサンプルホールド回路を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(項目9)
前記リセットレベルの信号と前記第一信号および前記第二信号とのそれぞれの差分を前記アナログデジタル変換回路へ出力することを特徴とする請求項8に記載の光電変換装置。
(項目10)
前記サンプルホールド回路の出力は抵抗を介して前記アナログデジタル変換回路へ入力されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(項目11)
前記抵抗は可変抵抗であることを特徴とする請求項10に記載の光電変換装置。
(項目12)
前記サンプルホールド回路は増幅器を有し、前記第一信号及び前記第二信号は前記増幅器から出力されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(項目13)
前記第一信号及び前記第二信号は前記増幅器の入力部に設けられた2つの容量により保持されることを特徴とする請求項12に記載の光電変換装置。
(項目14)
前記アナログデジタル変換回路はデルタシグマ(ΔΣ)型アナログデジタル変換回路であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(項目15)
前記アナログデジタル変換回路の入力には積分器が設けられていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(項目16)
前記アナログデジタル変換回路には電圧電流変換回路が設けられたことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(項目17)
前記画素には光電変換素子からの出力を変更する利得変更部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(項目18)
2つの前記第二信号をアナログデジタル変換するために設定された各期間の間隔よりも、前記第一信号をアナログデジタル変換するために設定された期間と前記第二信号をアナログデジタル変換するために設定された期間との間隔が長く設定されていることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(項目19)
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置からの出力信号を処理する処理装置と、
を備えることを特徴とする機器。
【符号の説明】
【0075】
1:画素基盤、2:回路基板、5:画素部、10:画素、30、31:垂直信号線、40、41:電流源、50、51:サンプルホールド回路、60:変換部、70:マルチプレクサ、80:データ処理回路、100:出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8