(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160857
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】頂部検査装置及び充填装置
(51)【国際特許分類】
B65B 57/00 20060101AFI20241108BHJP
B65B 51/10 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B65B57/00 D
B65B51/10 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076321
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 雅次
(72)【発明者】
【氏名】柴西 翼
(72)【発明者】
【氏名】江間 賢一
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA03
3E094BA01
3E094BA04
3E094CA02
3E094CA06
3E094CA12
3E094DA01
3E094EA02
3E094FA02
3E094FA05
3E094GA01
3E094GA13
3E094GA15
3E094GA22
3E094HA08
(57)【要約】
【課題】紙容器の頂部のシール状態を検査する。
【解決手段】紙容器の頂部のシール状態を検査する頂部検査装置は、前記筒状体の上部の開口の内面を加熱可能に配置された加熱ヒータよりも前段に配置され、前記開口を検査する形状検査部を有する。前記形状検査部は、前記開口の形状を取得し、少なくとも前記開口の形状に基づき前記加熱ヒータで前記開口を正確に加熱できるか否か判定し前記加熱ヒータで正確に加熱が可能であると判定した場合に前記頂部のシール状態が良好になると判定する。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に搬送される筒状体の上端を熱接着して形成される紙容器の頂部のシール状態を検査する頂部検査装置であって、
前記筒状体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部の上部に設定された加熱位置に配置された前記筒状体の上部に形成された開口に挿入されるとともに前記開口の内面を加熱する加熱ヒータと、
前記加熱位置よりも前記搬送方向の上流側に設定された検査位置に配置された前記筒状体の前記開口の撮像データを取得し、前記撮像データに基づいて前記開口を熱接着して形成される頂部のシール状態を検査する形状検査部と、を有し、
前記形状検査部は、前記開口の撮像データから前記開口の形状情報を取得し、前記開口の形状情報に基づいて、前記筒状体が前記検査位置から前記加熱位置に移動したとき、前記開口の適切な位置に前記加熱ヒータを挿入可能か否か判定し、前記開口の適切な位置に前記加熱ヒータを挿入可能であるとき前記頂部のシール状態が良好になると判定する頂部検査装置。
【請求項2】
前記加熱ヒータで開口の内面を加熱する部分では、前記筒状体の搬送方向に延びるとともに搬送方向と交差する方向に対向する面と接触して前記筒状体の前記搬送方向の移動を支持するガイド部材が配置されており、
前記ガイド部材は、少なくとも前記検査位置に配置された前記筒状体の前記搬送方向と交差する方向の面を支持可能である請求項1に記載の頂部検査装置。
【請求項3】
前記形状検査部は、前記検査位置で停止している前記筒状体の前記開口の撮像データを取得する請求項1に記載の頂部検査装置。
【請求項4】
前記加熱位置に配置された前記筒状体の前記開口に対し、前記加熱ヒータを所定範囲の隙間が形成される状態で挿入可能な前記開口の取り得る領域を基準領域とし、基準領域に対して搬送方向に前記加熱位置と前記検査位置との距離だけ離れた位置に形成される検査領域に前記開口が配置されるときに、前記頂部のシール状態が良好になると判定する請求項1に記載の頂部検査装置。
【請求項5】
前記形状検査部は、前記開口の形状を取得したときの前記開口の位置の情報を前記開口の形状情報に含み、
前記開口が前記検査領域に対して搬送方向にだけずれている場合、前記開口の前記検査領域に対するずれ量を取得するとともに、前記検査位置から前記加熱位置までの前記筒状体の移動距離を前記ずれ量で補正する請求項4に記載の頂部検査装置。
【請求項6】
前記形状検査部は、前記搬送部の撮像データを取得し、前記搬送部の撮像データから前記搬送部の変形量を取得し、
前記前記変形量に基づいて前記筒状体の位置を修正する請求項1に記載の頂部検査装置。
【請求項7】
前記形状検査部は、前記開口の形状を線図として抽出し、前記線図が前記検査領域に収まるときに前記頂部のシール状態が良好になると判定する請求項4に記載の頂部検査装置。
【請求項8】
前記形状検査部は前記開口の特徴点を複数個抽出し、複数個の前記特徴点のすべてが前記検査領域に収まるときに前記頂部のシール状態が良好になると判定する請求項4に記載の頂部検査装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の頂部検査装置を有し、底部が閉じされた前記筒状体に収容物を充填して頂部を封止する充填装置であって、
前記筒状体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部の上方に配置され、前記搬送部によって搬送された前記筒状体の上部の開口の内面を加熱する加熱ヒータと、を有し、
前記搬送方向において、前記頂部検査装置は前記加熱ヒータよりも前段に配置される充填装置。
【請求項10】
前記筒状体の上部の前記開口を予め決められた折り線で折り曲げる型付け部を有し、
前記搬送方向において、前記型付け部は前記頂部検査装置よりも前段に配置される請求項9に記載の充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙容器の頂部の接着状態を検査する検査装置及び収容物を紙容器に充填する充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙容器に液体の内容物を充填した後、開口をヒートシールする紙容器の製造装置が知られている。紙容器の製造装置ではヒータ装置を用いて開口を加熱した後、加圧することで接着している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この手の紙容器の製造装置では、開口を加熱した後、撮像部で開口を撮像し、開口の撮像データに基づいて、紙容器の状態を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の紙容器の製造装置では、加熱後の紙容器を撮像する構成であるため、開口の形状が安定しにくく、開口の状態から頂部のシール状態を判定することは困難である。
【0006】
本発明は、紙容器の頂部のシール状態を精度よく検査可能な頂部検査装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、不良品を精度よく排除できる充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、搬送方向に搬送される筒状体の上端を熱接着して形成される紙容器の頂部のシール状態を検査する頂部検査装置である。前記頂部検査装置は、前記筒状体の上部の開口の内面を加熱可能に配置された加熱ヒータよりも前段に配置され、前記開口を検査する形状検査部を有する。前記形状検査部は、前記開口の形状を取得し、少なくとも前記開口の形状に基づき前記加熱ヒータで前記開口を正確に加熱できるか否か判定し前記加熱ヒータで正確に加熱が可能であると判定した場合に前記頂部のシール状態が良好になると判定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の頂部検査装置によると、紙容器の頂部のシール状態を精度よく検査できる。
【0010】
また、本発明の充填装置によると、不良品を精度よく排除できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】紙容器を展開したブランク板を示す図である。
【
図4】ブランク板を筒状に貼り合せた筒状体の前上方から見た斜視図である。
【
図10】加熱ヒータで筒状体の下端部を加熱する状態を示す概略斜視図である。
【
図11】型付けされた筒状体の底部の下方から見た概略斜視図である。
【
図12】底部の折曲状態を下方から見た概略斜視図である。
【
図13】底部を押圧している状態を示す概略斜視図である。
【
図14】筒状体への注出部材の取り付けを行っている状態の斜視図である。
【
図15】筒状体に注出部材を熱接着にて取り付けている状態の斜視図である。
【
図16】型付けされた筒状体の上端部を示す斜視図である。
【
図17】充填部で筒状体に内容物を充填している状態を示す斜視図である。
【
図18】加熱ヒータで筒状体の上端部を加熱する状態を示す拡大斜視図である。
【
図19】頂部検査装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図20】形状検査部で撮像した良品の筒状体の開口の撮像データを示す画像である。
【
図21】撮像データを画像処理して得られた処理データを示す画像である。
【
図22】検査領域から外れた線図の例が含まれる処理データを示す図である。
【
図23】頂部検査装置による筒状体の頂部のシール状態を判定する手順を示すフローチャートである。
【
図25】充填装置の動作を示すフローチャートである。
【
図26】変形例の頂部検査装置の処理部により検出された開口の形状情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、紙容器1の前上方から見た斜視図である。
図2は、
図1に示す紙容器1の後上方から見た斜視図である。
図3は、
図1、
図2に示す紙容器1を展開したブランク板100を示す図である。
図4は、
図3に示すブランク板100を筒状に貼り合せた筒状体101の前上方から見た斜視図である。
図5は、底部30を内部から見た図である。なお、本実施形態において、紙容器1及び筒状体101の方向を示す「前」、「後」、「上」、「下」、「右」、「左」は、
図1に示す紙容器1及び
図4に示す筒状体101を基準とする。
【0013】
図1に示すように、紙容器1は、ゲーベルトップ型である。紙容器1は、酒類(日本酒、ワイン、焼酎等)、飲料類(コーヒー、乳飲料、ジュース、お茶等)、調味料(醤油、ドレッシング等)及び衛生用品(シャンプー、ボディーソープ等)等の液状の内容物が充填された後、封止される。なお、紙容器1は、ゲーベルトップ型に限定されない。
【0014】
<紙容器1>
紙容器1は、本体部2と、注出部材3とを備える。本体部2は、例えば、紙製のブランク板100(
図3参照)を箱型に折曲して形成される。より詳しくは、本体部2は、ブランク板100を筒状に貼り合せて筒状体101(
図4参照)を形成し、筒状体101の上端及び下端を折曲して形成される。注出部材3は、樹脂の成型体であり、本体部2に取り付けられる。注出部材3は、後述の蓋部33を備える。蓋部33は、開閉可能であり、蓋部33を開いた時に注出部材3は内容物を注出する注出口を形成する。なお、以下の説明では、ブランク板100を筒状に貼り合せたものを筒状体101とし、筒状体101であって、注出部材3を取り付け、後述の傾斜屋根部20及び底部40を形成したものを紙容器1とする。
【0015】
<本体部2>
図1等に示すように、本体部2は、胴部10と、傾斜屋根部20と、底部40とを備える。胴部10は、対向する前面板13と背面板11の両側端を一対の側面板12、14により連結した筒体である。胴部10は、水平断面が矩形(ここでは、正方形)である。胴部10の上端部は、傾斜屋根部20によって塞がれる。また、胴部10の下端部は、底部40によって塞がれる。
【0016】
<傾斜屋根部20>
図1、
図2に示すように、傾斜屋根部20は、傾斜して対向する一対の傾斜天板部21、23と、傾斜天板部21、23の間に配置されるとともに内側に折り込まれた一対の側面天板部22、24と、傾斜天板部21、23の上端部に配されて上方に延びる頂部25と、を備える。
【0017】
なお、以下の説明において、説明の便宜上、傾斜天板部21を後傾斜天板部21、傾斜天板部23を前傾斜天板部23とする。また、側面天板部22を右側面天板部22とし、側面天板部24を左側面天板部24とする。後傾斜天板部21は、前面板13の上端に連設され前方に傾斜する。前傾斜天板部23は、背面板11の上端に連設され後方に傾斜する。また、右側面天板部22及び左側面天板部24は、それぞれ、側面板12、14の上端に連結され、内側に向かって傾斜するとともに、前傾斜天板部23と後傾斜天板部21との間に配置される。
【0018】
<底部40>
図4及び後述の
図11に示すように、底部40は、筒状体101の前後に対向して配置される一対の底壁板部41、43と、底壁板部41、43の左右を連結する一対の底連結板部42、44を平坦に折り曲げることで形成される。なお、以下の説明において、説明の便宜上、底壁板部41を後底壁板部41、底壁板部43を前底壁板部43とする。また、底連結板部42を右底連結板部42とし、底連結板部44を左底連結板部44とする。底部40は、筒状体101から見たとき、内側に頂点を有する三角パネル部46、47が形成されている(
図5参照)。
【0019】
<注出部材3>
注出部材3は、傾斜屋根部20の前傾斜天板部23に形成された挿通孔232に挿入されて、固定されている。
図1及び後述の
図14に示すように、注出部材3は、管部31と、フランジ部32と、蓋部33とを備える。管部31は、筒状である。そして、フランジ部32は、管部31の軸方向の一端側から径方向外側に拡がる円板状である。注出部材3は、前傾斜天板部23の内面にフランジ部32を熱接着して固定されている。
【0020】
管部31の外周面には雄ねじ(不図示)が形成されている。蓋部33は有蓋円筒状であり、内面に雌ねじ(不図示)が形成されている。蓋部33の雌ねじを管部31の雄ねじに螺合させることで、蓋部33が管部31を開閉する。すなわち、注出部材3は、蓋部33によって、開閉可能である。なお、蓋部33の内面にパッキンを設けてもよい。このように構成することで、注出部材3を高いシール状態で閉鎖できる。
【0021】
<ブランク板100>
次に、紙容器1の本体部2を構成するブランク板100について説明する。
図3に示すように、本体部2を展開したブランク板100には、所定位置に折り線90(
図3中、破線で示す)が設けられる。そして、折り線90によって、背面板11、側面板12、前面板13、側面板14及び糊代片15が一方向(
図3において右から左)に順に連設される。
【0022】
背面板11の上端には第1上板部111が連設され、下端には後底壁板部41が連設される。第1上板部111は、後傾斜天板部21と、後上端部211とを含む。同様に、前面板13の上端には第1上板部131が連設され、下端には前底壁板部43が連設される。第1上板部131は、前傾斜天板部23と、前上端部231とを含む。また、前傾斜天板部23の中央部には、貫通孔である挿通孔232が形成されている。
【0023】
側面板12の上端には第2上板部121が連設され、下端には右底連結板部42が連設される。第2上板部121は、右側面天板部22と、右上端部221とを含む。同様に、側面板14の上端には第2上板部141が連設され、下端には左底連結板部44が連設される。第2上板部141は、左側面天板部24と、左上端部241とを含む。
【0024】
また、糊代片15の上端には糊代片151が連設され、下端には糊代片152が連設される。右底連結板部42及び左底連結板部44には、上辺の両端から下方に向かって接近する折り線90が形成されている。折り線90にて囲まれる部分が、それぞれ、三角パネル部46、47を構成する。
【0025】
ブランク板100の糊代片15、151、152の外面を、背面板11、第1上板部111、後底壁板部41の内面に貼着することで、筒状体101が形成される(
図4参照)。筒状体101において、第1上板部111と第1上板部131とは前後に対向する。また、第2上板部121、141は、左右に対向する。そして、筒状体101において、第2上板部121及び141は、第1上板部111及び131を連結するように配置される。
【0026】
次にブランク板100の構成について図面を参照して説明する。
図6は、ブランク板100の構成を示す断面図である。
【0027】
図6に示すように、ブランク板100は外面接着層71、紙基材層72、中間層74、内面接着層76が順に積層されており、中間層74と紙基材層72とは層間接着層73を介して接着されている。また、中間層74と内面接着層76とは層間接着層75を介して接着されている。また、中間層74はバリア基材層74aの一面にガスバリア性を有するバリア層74bを配して形成される。
【0028】
紙基材層72の外面には外面接着層71が積層されている。外面接着層71は熱可塑性を有する低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン等の熱接着可能な樹脂が使用され、押出しラミネーション法により紙基材層72の上に積層される。外面接着層71の外面には、所定位置にグラビア印刷又はオフセット印刷による印刷層77が形成されている。
【0029】
層間接着層73は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-αオレフイン共重合体、アイオノマー、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体等のポリオレフィン系樹脂が用いられ、押出しラミネーション法により紙基材層72と中間層74を積層する。
【0030】
中間層74は、バリア基材層74aとバリア層74bとからなり、バリア基材層74aには蒸着加工適性やラミネーション加工適性の観点から加工適性の優れた二軸延伸されたポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が用いられる。
【0031】
バリア層74bはバリア基材層74aの上面に形成されるアルミニウム等の金属の蒸着膜や、酸化アルミニウム、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜であり、防湿性、ガスバリア性を備える。これにより、紙容器1に充填される内容物の酸化劣化、味覚低下等を防止し化学的に保護する。なお、バリア層74bはバリア基材層74aに対して紙基材層72側に積層しているが、内面接着層76側に積層してもよい。
【0032】
また、バリア層74bにアルミニウム等の金属箔を用いてバリア基材層74aとドライラミネーション法や押出しラミネーション法で積層して中間層74を形成してもよい。この場合、金属箔は紙基材層72側に積層する方が好ましい。
【0033】
層間接着層75は、層間接着層73と同じ樹脂を用いて押出しラミネーション法により中間層74と内面接着層76を積層するためのものである。また、層間接着層75としてポリエステルポリオール-イソシアネート系、ポリエーテルポリオール-イソシアネート系、ウレタン-イソシアネート系等の主剤と硬化剤とからなる2液タイプのドライラミネート用接着剤を用いてドライラミネーション法により積層することもできる。
【0034】
内面接着層76は、熱可塑性を有する熱接着性樹脂が使用され、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等の樹脂を用いたフィルムが使用される。特に環状ポリオレフィン樹脂等を用いた易引裂き性を付与したフィルムを用いることが好ましい。内面接着層76の厚さは、層間接着層75の積層方法や内容物等の条件を加味して適宜決定される。
【0035】
<充填装置5>
このような構成のブランク板100を折曲するとともに熱接着して紙容器1が製造される。ブランク板100から紙容器1の形成と紙容器1への内容物の充填とは一連の作業で実行される。ここで、ブランク板100から紙容器1に内容物を充填する充填装置について図面を参照して説明する。
図7は、充填装置5の一例の概略正面図である。
図8は、充填装置5の機能ブロック図である。
図9は、搬送部50の概略配置図である。
【0036】
図7に示すように、充填装置5では、搬送部50に沿って、筒状体供給部51、立ち起こし部52、底部組立部53、注出部材取付部54、充填部55、頂部組立部56及び選別部57が筒状体101の搬送方向に順に配置される。充填装置5では、各部(工程部と称する)にそれぞれ割り当てられた作業(工程)を筒状体101に対して実行する。また、充填装置5は、選別部57で選別された不良品を受ける受け容器58を有する。また、頂部検査装置6が、頂部組立部56の搬送方向の前段に配置される。
【0037】
充填装置5において、ブランク板100の背面板11、第1上板部111及び後底壁板部41の内面と、糊代片15、151及び152の外面とをフレームシールすることで、上下面が開かれた筒状体101が供給される。なお、本実施形態に示す充填装置5では、予め作製された筒状体101を供給する構成であるが、これに限定されず、ブランク板100から筒状体101を成形する筒状体成型部(不図示)を備えていてもよい。
【0038】
図8に示すように、充填装置5は、各部の動作を制御する主制御部80を備える。上述した、搬送部50、筒状体供給部51、立ち起こし部52、底部組立部53、注出部材取付部54、充填部55、頂部組立部56及び選別部57は、主制御部80に接続され、主制御部80からの指示に従って動作する。また、頂部検査装置6も主制御部80と接続されており、主制御部80からの指示に従って動作する。
【0039】
また、
図8に示すように、充填装置5は、入力部81、表示部82及び記憶部83をさらに備える。記憶部83、入力部81及び表示部82は主制御部80に接続されており、主制御部80に制御される。記憶部83は、ROMやRAM等の半導体メモリ、フラッシュメモリ等の可搬性を有するメモリ、ハードディスク等を備える記憶媒体を含む。記憶部83は、各種設定、動作状態のログ、画像データ等の情報を記憶する。また、記憶部83に制御プログラムを記憶させておき、主制御部80が必要に応じて必要な制御プログラムを起動させて、制御を行ってもよい。
【0040】
入力部81は、例えば、キーボード、タッチパネル、ジョイスティック等の使用者(例えば、充填装置5を操作する操作者)による入力を受け付ける入力装置(不図示)を備える。また、これ以外の入力装置を採用してもよい。また、表示部82は、充填装置5の状態、底部検査部535、注出部材検査部545及び頂部検査装置6で取得された画像、タッチパネルによる入力のための入力画像等を表示するディスプレイ装置(不図示)を備える。ディスプレイ装置としては、液晶パネル、有機ELパネル等を挙げることができるが、これに限定されない。また、表示部82は、音声、振動等で使用者に対して情報を伝達する機器を備えていてもよい。
【0041】
<搬送部50>
搬送部50は、筒状体101を搬送する。搬送部50は、筒状体供給部51から底部組立部53までの第1搬送部501と、底部組立部53以降の第2搬送部502とを含む。第1搬送部501は、例えば、平ベルトを用いたベルトコンベア、チェーンコンベヤ等の従来周知の構成の搬送装置を用いる。
【0042】
第2搬送部502は、チェーンコンベヤである。
図9に示すように、第2搬送部502は、チェーン503、押え体504、駆動スプロケット505及び従動スプロケット506と、を備える。駆動スプロケット505と従動スプロケット506とは筒状体101の搬送方向に配列される。駆動スプロケット505は、搬送方向において従動スプロケット506よりも下流側に配置される。
【0043】
図9に示すように、チェーン503は、筒状体101の下方に配置される。チェーン503は無端状に接続されている。チェーン503は、駆動スプロケット505と従動スプロケット506とに、一定以上の張力が作用した状態で巻き回されている。駆動スプロケット505には、図示を省略したモータ等の駆動装置が取り付けられている。駆動装置は主制御部80の指示に基づいて動作する。これにより、チェーン503が、回転する。
【0044】
そして、押え体504は、チェーン503に取り付けられて、上方に突出する。押え体504は、一定の周期でチェーン503に取り付けられる。押え体504は搬送方向に対をなして配置され、対をなす押え体504は、筒状体101の搬送方向の前側の面である側面板14及び後側の面である側面板12と接触する。対をなす押え体504は、筒状体101の搬送方向の前後から押えて保持する。そして、押え体504で筒状体101の搬送方向の前後の面が保持された状態で、チェーン503が回転することで、筒状体101は押え体504に保持されて搬送される。
【0045】
第2搬送部502は、選別部57の上流まで、筒状体101及び筒状体101から形成された紙容器1を搬送する。なお、チェーン503は、一定期間経過するごとに(一定周期で)、一定の回転数で回転する。すなわち、第2搬送部502は、一定の期間経過するごとに筒状体101を一定距離移動させる。
【0046】
第2搬送部502は、筒状体101を一定の期間で一定距離移動した後、所定の時間停止する。すなわち、第2搬送部502は、間欠的に筒状体101を搬送する。第2搬送部502が筒状体101を間欠的に搬送する構成とすることで、筒状体101は、各工程部に対して決められた位置で、搬送方向において所定の時間停止する。なお、所定の時間は、各工程部における工程時間のうち最も長い時間にあわせて決定される。
【0047】
<筒状体供給部51、立ち起こし部52>
筒状体供給部51は、折り畳まれた状態の筒状体101(
図1参照)がストックされている。筒状体供給部51は従来周知の構成であり、詳細な説明を省略する。筒状体供給部51は、折り畳まれた筒状体101を1つずつ搬送部50に供給する。
【0048】
搬送部50は筒状体供給部51から供給された折り畳まれた状態の筒状体101を立ち起こし部52に送る。立ち起こし部52は、搬送された折り畳まれた状態の筒状体101(
図1参照)を立ち起こし、立体形状の筒状体101(
図4等参照)とする。立ち起こし部52も従来周知の構成であるため、詳細な説明を省略する。立ち起こし部52は、筒状体101の上部が搬送方向下流側(前方側)となるように筒状体101を立ち起こし、第1搬送部501にて、底部組立部53に搬送される。
【0049】
<底部組立部53>
底部組立部53は、筒状体101の下端部を折曲するとともに、熱接着して底部40を組み立てる。
図7、
図8に示すように、底部組立部53は、6個のマンドレル530と、ターレット531と、2つの加熱ヒータ532と、型付け部533と、押圧部534と、底部検査部535と、を備える。2つの加熱ヒータ532、型付け部533及び押圧部534は、それぞれ、中心角度60度間隔で順に配置される。
【0050】
図7に示すとおり、ターレット531は、正面視において正六角形状である。
図7に示す底部組立部53において、ターレット531は、反対側に向いた一組の辺が水平となるように配置される。そして、マンドレル530が、ターレット531の各辺から径方向外側に突出する。なお、第1搬送部501から搬送された筒状体101は、
図7に示す底部組立部53の右下方に延びるマンドレル530を外嵌する。
【0051】
ターレット531は、第2搬送部502の上部に配置され、搬送方向と直交する方向に延びる中心軸周りに回転可能である。ターレット531は、主制御部80からの指示に従って動作する。なお、
図7中に示す底部組立部53において、ターレット531は、一定期間経過するごとに(一定周期で)反時計回り方向に60度回転する。
【0052】
第1搬送部501で搬送された筒状体101は、
図7における底部組立部53における左下のマンドレル530に外嵌される。そして、ターレット531が回転する毎に、筒状体101が外嵌したマンドレル530の径方向外縁は、加熱ヒータ532、型付け部533及び押圧部534と順に径方向に対向する。次に、底部組立部53の各工程部について説明する。
【0053】
<加熱ヒータ532>
図10は、加熱ヒータ532で筒状体101の下端部を加熱する状態を示す概略斜視図である。底部組立部53は、2つの加熱ヒータ532を有する。また、
図10では、筒状体101の上下方向を基準として、加熱ヒータ532を示している。実際の底部組立部53において加熱ヒータ532はマンドレル530と径方向に対向するように配置される。
【0054】
図10に示すように、底部組立部53では、筒状体101の下端部を加熱ヒータ532で加熱する。底部組立部53では、2つの加熱ヒータ532で2段階に分けて筒状体101の下端部を加熱する。このように、2段階に分けて加熱する構成とすることで、内面接着層76を急激な温度変化を抑制し、内面接着層76の劣化を抑制しつつ確実に熱接着に必要な温度に昇温させる。なお、加熱ヒータ532による加熱の段階は、2段階に限定されるものではなく、温度変化が許容されるなら1段階であってもよいし、3段階以上であってもよい。内面接着層76の劣化を抑制しつつ熱接着に必要な温度に確実に昇温できる構成を広く採用することができる。
【0055】
加熱ヒータ532は、内部に熱風を通すための通気孔(不図示)を備える。そして、加熱ヒータ532の筒状体101の内部に挿入される側の先端には、外方に向かって熱風を吹出すための吹出し孔5321が複数備えられる。加熱ヒータ532に備えられる通気孔を通って供給された熱風は、吹出し孔5321から吹き出される。
【0056】
加熱を行うとき、加熱ヒータ532の先端が、筒状体101の下端部に挿入される。そして、吹出し孔5321から筒状体101の内面に熱風が吹き付けられる。これにより、筒状体101の下端部の内面が加熱される。そして、加熱が終了した後に、加熱ヒータ532を筒状体101の下端部から引き抜く。加熱ヒータ532による加熱によって、筒状体101の底部が、熱接着可能な温度に昇温される。
【0057】
<型付け部533、押圧部534>
図11は、型付けされた筒状体の底部の下方から見た概略斜視図である。
図12は、底部の折曲状態を下方から見た概略斜視図である。
図13は、底部40を押圧している状態を示す概略斜視図である。型付け部533は、筒状体101の下端部に外部から力を付与して、折り線90で折曲して、折り型をつける(
図11参照)。型付け部533は、後底壁板部41を前底壁板部43の外側に配置するとともに、前底壁板部43の下端部を折り曲げて平坦になる方向に折り曲げる(
図12参照)。このとき、右底連結板部42及び左底連結板部44が内側に折り込まれて三角パネル部46、47が内側に折り曲げられる。
【0058】
型付け部533で筒状体101の底部に型付けを行った後、ターレット531を60度回転することで、マンドレル530は押圧部534と径方向に対向する。
図13に示すように、押圧部534は、径方向に対向するマンドレル530とで折り曲げられた底部40を挟む。折り曲げられた底部40は押圧部534とマンドレル530とで押圧される。これにより、底部40の後底壁板部41、前底壁板部43、右底連結板部42及び左底連結板部44は、熱接着される。このとき、三角パネル部46、47の頂点が左右対向する(
図5参照)。
【0059】
底部40を熱接着した後に、ターレット531をさらに60度回転させることで、筒状体101を鉛直状態とすることができる。この状態で、筒状体101を下方に移動させる。これにより、筒状体101は、第2搬送部502に起立した状態で配置される。筒状体101は前面板13が前方に向くように第2搬送部502に配置される。
【0060】
なお、本実施形態の充填装置5において、底部組立部53は、上下方向に回転するターレット531にマンドレル530が放射状に取り付けられた構成を有している。しかしながら、これに限定されず、マンドレル530が水平方向に回転する構成であってもよい。マンドレル530の回転方向以外は、
図7に示す底部組立部53と同じ構成である。
【0061】
<底部検査部535>
紙容器1では熱接着により接着される部分に接着不良があると、接着不良の部分から液体の収容物が漏れる場合がある。そのため、充填装置5では、漏れが発生する虞がある部分のシール状態(密封性)を検査する構成を備えている。まず、底部組立部53にて組み立てられた底部40のシール状態を検査する底部検査部535について説明する。
【0062】
底部検査部535は、撮像部を有する。底部検査部535は、第2搬送部502の上部に配置されて、筒状体101の上部の開口から、底部40の内面を撮像し、撮像した画像に対して画像処理を施すとともに良品であるか不良品であるかを判別する。撮像部は、筒状体101が停止したときに筒状体101の直上となる位置に配置される。処理部は、画像データの処理を行うことができる演算装置を備えている。
【0063】
図5に示すように、底部組立部53で組み立てられた底部40は、左右に三角パネル部46、47が配置される。このとき、折り線90の位置がずれていたり、折り曲げ、接着が不十分であったりすると、三角パネル部46、47の形状が変化する。そこで、撮像部で、筒状体101の底部40を撮像する。そして、撮像データに対して画像処理を施し、三角パネル部46、47の形状に基づいて底部が良品であるか不良品であるか判別する。
【0064】
つまり、底部検査部535は、筒状体101の底部40の内面を撮像し、撮像データを生成する。底部検査部535は、底部40の撮像データから、三角パネル部46、47を認識する。認識された三角パネル部46、47の位置が所定の位置にあるか否かで良品又は不良品であると判別する。
【0065】
底部検査部535は、上方の開口から底部40を撮像した撮像データに基づいて、底部40のシール状態を検査している。そのため、筒状体101の内部には、内容物が充填されていない方がよく、底部検査部535は、搬送方向において充填部55よりも前に配置される。
【0066】
<注出部材取付部54>
図14は、筒状体101への注出部材3の取り付けを行っている状態の斜視図である。
図15は、筒状体101に注出部材3を熱接着にて取り付けている状態の斜視図である。
図7、
図8に示すように、注出部材取付部54は、注出部材供給部541と、超音波照射器542と、当て部材543と、リフト544と、注出部材検査部545と、を備える。
【0067】
図7に示すように、注出部材供給部541は、筒状体101の上部の開口から注出部材3を筒状体101の挿通孔232に取り付ける。注出部材3は、管部31が挿通孔232を貫通して外部に突出する。このとき、フランジ部32が筒状体101の内面に当接する。
【0068】
注出部材3が取り付けられた後、筒状体101は、リフト544によって上方に持ち上げられる。これにより、筒状体101の内部に当て部材543が挿入される。当て部材543は、板状の部材である。当て部材543が筒状体101の内部にあるとき、当て部材543は、フランジ部32の内面と当接する。超音波照射器542は、リフト544が所定の高さまで筒状体101を持ち上げた後、前側から注出部材3に接近する。
【0069】
超音波照射器542は、内部に空間を有する筒形状である。超音波照射器542は、軸方向の端部から超音波を出射する。管部31の挿通孔232から突出した部分が、超音波照射器542の内部空間に収納される。このとき、超音波照射器542の先端は、第1上板部131のフランジ部32に面した部分の外面と接触する。超音波照射器542から超音波を照射することで第1上板部131と接触している部分には超音波による振動と加圧力が作用する。超音波による振動と加圧力により、第1上板部131の内面接着層76とフランジ部32とが熱接着される。超音波を用いた熱溶着は従来周知の技術であり、詳細は省略する。
【0070】
上述のとおり、注出部材3と第1上板部131とは超音波によって加熱、加圧されて熱接着される。熱接着では、熱接着が行われたときの温度によって、接着の強度、すなわち、シール状態が変化する。注出部材検査部545は、この熱接着時の温度に基づいて、シール状態の検査を行う。
【0071】
注出部材検査部545は、第1上板部131のフランジ部32と面する部分の外面の周囲の温度を検知し、検知した温度に基づいて良品と不良品とを判別する。注出部材検査部545は、例えば、サーマルカメラを備え、フランジ部32と面する部分の外面の周囲の温度分布を画像データとして取得する。そして、その画像データに基づいて温度分布を取得し、良品であるか不良品であるかを判別する。温度分布に基づく良品と不良品との判別方法としては、例えば、所定の下限温度以上の領域の面積比率が所定値よりも大きい場合に良品とする。なお、良品と不良品との判別方法は、これ以外の従来知られた方法を用いてもよい。
【0072】
<充填部55>
充填部55は、底部40が組み立てられた筒状体101に液状の内容物を充填する。
図7に示すとおり、充填部55は、洗浄殺菌部551と、乾燥部552と、型付け部553と、注入部554と、リフト部555と、タンク556と、を備える。
【0073】
<洗浄殺菌部551、乾燥部552>
洗浄殺菌部551は、筒状体101の上部の開口から洗浄・殺菌作用を有する液剤を噴霧する。これにより、筒状体101の内面の洗浄、殺菌を行う。液剤を噴霧する構成とすることで、筒状体101の内面に液剤をいきわたらせることが可能である。なお、洗浄・殺菌作用を有する液剤は、1剤であってもよいし、複数の液剤を組み合わせたものであってもよい。乾燥部552は、洗浄殺菌部551で噴霧した液剤を取り除く。
【0074】
例えば、充填装置5が設置される場所がクリーンルーム等の清浄な環境である場合、洗浄殺菌は不要である。そのため、充填部55において、洗浄殺菌部551及び乾燥部552は、必要に応じて設けられるようにしてもよい。なお、充填装置5の汎用性を高めるため、充填部55には、線状殺菌部及び乾燥部が配置される領域が含まれる構成であってもよい。
【0075】
<型付け部553>
図16は、型付けされた筒状体101の上端部を示す斜視図である。筒状体101を折り曲げる場合、折り線90で正確に折り曲げる必要があるとともに、筒状体101にある程度強い力を作用させる必要がある。内部に内容物が充填された状態で、筒状体101の上端の折り曲げを行うと、折り曲げ時の筒状体101のずれ、折り曲げ時の力で内容物がこぼれる虞がある。そのため、型付け部553は、収容物を筒状体101に注入する注入部554の前段に配置される。
【0076】
型付け部553は、傾斜屋根部20の組み立てを容易にするために、予め折り線90に沿って、筒状体101の上部を折り曲げて、型付けを行う。
【0077】
型付け部553は、紙容器1の上部の傾斜屋根部20を形成するように筒状体101の上部を折り曲げる。型付け部553では、熱接着を実行しないため、筒状体101の上端部は、紙の弾性力で元の形に戻ろうとする。
図16~
図18等に示すように、筒状体101の開口は、搬送方向の上流側及び下流側に、中央部が互いに接近するように折れた一対の屈曲辺部103、104を有する形状となる。開口102において、搬送方向と交差する方向の辺同士が、屈曲辺部103、104でつながれた形状を有する。
【0078】
<注入部554、リフト部555、タンク556>
図17は、充填部55で筒状体101に内容物を充填している状態を示す斜視図である。型付け部553の後段には、タンク556が配置されており、タンク556に注入部554が取り付けられている。注入部554は下方に吐出部を有するノズルを有する。注入部554の吐出部には、バルブが設けられており、バルブが主制御部80によって制御される。
【0079】
そして、注入部554の下方には、リフト部555が配されている。リフト部555で筒状体101を上方に持ち上げる。これにより、注入部554の吐出部が筒状体101の開口102から筒状体101の内部に挿入される。この状態で、タンク556から内容物が筒状体101に充填される。なお、本実施形態では、リフト部555で筒状体101を持ち上げる構成としているが、これに限定されず、注入部554の先端を移動させるような構成であってもよい。
【0080】
なお、内容物の量が少ない、内容物の粘度が高い等、筒状体101が多少動いてもこぼれにくい場合、型付け部553は、注入部554よりも後に配置してもよい。この場合、型付け部553は、頂部組立部56の一部とすることも可能である。
【0081】
<頂部組立部56>
頂部組立部56は、筒状体101の上端を折曲して頂部25を熱接着し、傾斜屋根部20を形成する。
図7及び
図8に示すように、頂部組立部56は、2つの加熱ヒータ561と、第1次押圧部562と、第2次押圧部563と、を備える。
【0082】
<加熱ヒータ561>
図18は、加熱ヒータ561で筒状体101の上端部を加熱する状態を示す拡大斜視図である。
図18に示すように、頂部組立部56において、加熱位置560に位置している筒状体101の上端部の開口102の内面を加熱ヒータ561で加熱する。加熱ヒータ561は、下端部を開口102から筒状体101の内部に挿入して加熱を行う。そのため、頂部組立部56では、加熱位置560に停止した筒状体101の開口102に対し、加熱ヒータ561を接近させ、加熱ヒータ561の下端部を開口102の内部に沿う入した状態で、開口102の内面の加熱を行う。
【0083】
加熱ヒータ561は、充填部55の型付け部553で型付けされた筒状体101の上端部を加熱する。そのため、加熱ヒータ561の下端部は、筒状体101の上端部の型付け形状にあわせた形状となっている。
【0084】
さらに説明すると、加熱ヒータ561の下端部は、搬送方向と交差する方向に並んで形成された一対の側壁部5612と、側壁部5612の搬送方向の上流側同士及び下流側同士を接続する屈曲面部5613を有する。屈曲面部5613は、搬送方向と交差する方向の中央部が互いに内側に向かって折れ曲がる。
【0085】
そして、加熱ヒータ561は、内部に熱風を通すための通気孔5610を備える。加熱ヒータ561の上端側の先端には、外方に向かって熱風を吹出すための吹出し孔5611が複数備えられる。加熱ヒータ561に備えられる通気孔5610を通って供給された熱風は、吹出し孔5611から吹き出される。
【0086】
加熱ヒータ561の先端は、筒状体101の上端の開口から内部に挿入される。この状態で熱風が供給されることで、筒状体101の上端部の内面が加熱される。そして、加熱が終了した後に、加熱ヒータ561を筒状体101の上端部から引き抜く。
【0087】
頂部組立部56において、加熱ヒータ561は、2つ並んで配置されている。2つの加熱ヒータ561で開口102の内面を順次加熱することで、開口102の内面の急激な温度上昇を抑制できる。つまり、頂部組立部56では、各加熱ヒータ561の直下に、それぞれ、加熱位置560が設定されている。
【0088】
頂部組立部56では、第2搬送部502で筒状体101を搬送するときに、筒状体101の姿勢が崩れたり、搬送方向と交差する方向にずれたりすると、加熱ヒータ561を筒状体101の開口102の適正な位置に挿入することができなくなる虞がある。そのため、頂部組立部56では、搬送方向に沿って延びるとともに筒状体101の搬送方向と交差する方向に面する面(11、13)と接触する一対のガイドバー564が配置される。
【0089】
第2搬送部502で筒状体101が搬送されるとき、筒状体101は、ガイドバー564と接触して移動する。これにより、筒状体101の搬送方向と交差する方向のずれが抑制される。ガイドバー564は、搬送方向の上流側に延びており、頂部検査装置6の形状検査部61の直下の検査位置60の側部に到達する。
【0090】
<第1次押圧部562、第2次押圧部563>
頂部組立部56では、2つの加熱ヒータ561で加熱した後、第1次押圧部562及び第2次押圧部563で加圧する。加熱された後、後上端部211及び前上端部231を第1次押圧部562及び第2次押圧部563で1回ずつ押圧することで熱接着を実行する。これにより、頂部25のシール性が高められる。
【0091】
詳細は後述するが、筒状体101の開口102の形状によっては、加熱ヒータ561を開口102に挿入できず、開口102の加熱ができない場合もある。このような場合であっても、第1次押圧部562及び第2時押圧部563で頂部25を押圧することで開口102を第1次押圧部562及び第2次押圧部563を移動できる程度に変形させることができる。
【0092】
<頂部検査装置6>
頂部検査装置6は、筒状体101の搬送方向において加熱ヒータ561よりも上流側に配置される。第2搬送部502において、検査位置60から加熱位置560に移動する筒状体101は、ガイドバー564に支持される。検査位置60における筒状体101及び開口102は、形状及び姿勢を維持した状態で加熱位置560に到達できる。頂部検査装置6は、このことを利用して、検査位置60における筒状体101の開口102の形状及び位置の情報に基づいて、加熱ヒータ561で正確かつ確実に加熱できるか否か判定し、さらに、頂部25のシール状態が良好になるか否か判定する。なお、以下の説明において、頂部25のシール状態が良好になることを、筒状体101が良品であると説明する場合がある。
【0093】
頂部検査装置6の具体的な構成及び処理について図面を参照して説明する。
図19は、頂部検査装置6の概略構成を示す斜視図である。
図8、
図19に示すように、頂部検査装置6は、形状検査部61と、処理部62とを有する。形状検査部61及び処理部62は、いずれも主制御部80と接続されており、主制御部80からの指示に基づいて動作する。
【0094】
形状検査部61は、撮像素子を含む撮像部を有し、検査位置60の直上に配置される。そして、検査位置60で停止した筒状体101の開口102を撮像する。形状検査部61は、撮像した撮像データを処理部62に送信する。形状検査部61は、例えば、第2搬送部502を保持する不図示のフレーム等に固定されており、第2搬送部502に対して、相対位置が固定されている。つまり、形状検査部61は、画角を固定した状態で、検査位置60で停止した筒状体101の開口102を撮像する。
【0095】
処理部62は、形状検査部61からの画像データの処理を行うことができる演算装置を備える。処理部62は主制御部80と接続されており、処理部62の処理結果を主制御部80に送る。なお、処理部62は処理結果のみを送信してもよいし、撮像データ及び(又は)処理後の処理データも主制御部80に送信してもよい。処理部62は、処理後の処理データに基づいて、加熱位置560で停止した筒状体101の開口102の内面を加熱ヒータ561で正確かつ確実に加熱できるか否か判定する。
【0096】
なお、頂部検査装置6の処理部62で撮像データの処理を実行するとともに、検査対象の筒状体101の頂部のシール状態が良好になるか否か判定している。しかしながら、これに限定されず、例えば、処理データを受信した主制御部80が処理データに基づいて、筒状体101の頂部の良否の判断を行うようにしてもよい。また、頂部の良否の判断を実行する判断部が別途設けられていてもよい。
【0097】
ここで、撮像データPh1及び撮像データPh1に基づいて処理した処理データPr1について図面を参照して説明する。
図20は、形状検査部61で撮像した良品の筒状体101の開口102の撮像データPh1を示す画像である。
図21は、撮像データPh1を画像処理して得られた処理データPr1を示す画像である。頂部検査装置6において、形状検査部61は、固定されており、常に一定の画角で検査位置60に停止した筒状体101の開口102を撮像する。
【0098】
図20に示すように、形状検査部61によって撮像された撮像データPh1には、筒状体101、チェーン503、押え体504及びガイドバー564が写る。処理部62では、撮像データPh1に画像処理を実行して、処理データPr1を生成する。処理部62における画像処理は、例えば、画素の輝度、色度の変化の不連続部分を検出することでエッジを検出するエッジ検出を挙げることができる。また、これ以外の画像処理を採用してもよい。
【0099】
図21に示すように、処理部62は、
図20に示す撮像データPh1から開口102を線
図Ln1として検出する。
図20に示すように、開口102は、搬送方向と直交する方向に直線が並んで配置されるとともに、この直線の搬送方向上流側及び下流側をそれぞれ、内側に折れた折れ線で接続された形状を有する。
図21に示す処理データPr1では、この開口102の形状が線
図Ln1として表示している。なお、
図21は、処理データPr1を理解しやすくするために図示しているが、実際には、数値データとして提供されてもよい。また、検査領域Ar1は、斜線で網掛けして示している。
【0100】
処理データPr1には、検査領域Ar1が設定されている。検査領域Ar1は、加熱位置560に筒状体101が停止したとき、適切な位置に加熱ヒータ561が挿入可能な開口102の取り得る位置を示す領域である基準領域を検査位置60まで移動させた領域である。
【0101】
図21に示すように、検査領域Ar1に線
図Ln1が収まっている場合、筒状体101が搬送方向に移動することで、加熱ヒータ561を開口102の適切な位置に挿入することができる。また、線
図Ln1が検査領域Ar1から外れた場合でについて説明する。
【0102】
つぎに、線図が検査領域Ar1から外れる場合について説明する。
図22は、検査領域Ar1から外れた線図の例が含まれる処理データPr2を示す図である。なお、
図22では、複数の線
図Ln2~Ln4が示されている。検査領域Ar1では、内縁と外縁とが設定されている。線
図Ln3のように、が検査領域Ar1の内縁よりも内側に存在する場合、加熱ヒータ561が開口102に接触する虞があり加熱できない(加熱不可)と判定して、その情報を主制御部80に送信する。加熱不可と判定される筒状体としては、例えば、型付け部553で型付けした後、十分に復元しなかった場合を挙げることができる。
【0103】
また、線
図Ln2のように、検査領域Ar1の外縁よりも外側に位置する部分を有する場合もある。このような筒状体101の開口102に加熱ヒータ561を挿入すると、加熱ヒータ561と開口102の内面との隙間が大きくなる。そのため、処理部62は、加熱ヒータ561による正確かつ確実な加熱が困難であると判定して、その情報を主制御部80に送信する。
【0104】
さらに、線
図Ln4のように、搬送方向に検査領域Ar1を外れてはいるが、線
図Ln4を搬送方向にずらすと検査領域Ar1に収まる場合がある。このとき、処理部62は、開口102の形状には問題はなく、筒状体101の停止位置に問題があると判断する。つまり、処理部62は、筒状体101の搬送の距離の補正が必要であるが、加熱ヒータ561で開口の内面を正確かつ確実に加熱できると判定する。
【0105】
そこで処理部62は、線
図Ln4の検査領域Ar1に対する搬送方向のずれ量を検出する。そして、処理部62は、搬送距離を修正すれば開口の内面を正確かつ確実に加熱できる情報及び線
図Ln4の検査領域Ar1に対するずれ量を主制御部80に送信する。主制御部80は、ずれ量を考慮した移動量で検査対象の筒状体101の搬送を実行するように第2搬送部502を制御する。
【0106】
さらに、本実施形態の充填装置5において、主制御部80は、駆動スプロケット505を駆動するモータの回転数に基づいて、筒状体101の位置を取得している。そのため、チェーン503が伸びたり、押え体504がずれたりすると、筒状体101を検査位置60に正確に停止させることが困難になる。
【0107】
一方で、チェーン503の伸び量及び押え体504のずれ量が明確になれば、チェーン503の伸び量又は押え体504のずれ量を考量した移動量、筒状体101を移動させることで、筒状体101は加熱ヒータ561で正確かつ確実に加熱可能な位置に停止できる。
【0108】
そこで処理部62は、線
図Ln4のような、線
図Ln4の検査領域Ar1に対するずれ量を検出したとき、撮像データPh1からチェーン503及び押え体504の形状を抽出する。そして、処理部62は、抽出したチェーン503の伸び及び(又は)押え体504のずれの有無を検出する。そして、チェーン503に伸び及び(又は)押え体504のずれがあると判定したとき、処理部62は、チェーン503の伸び量及び(又は)押え体504のずれ量を算出し、主制御部80に送信する。主制御部80は、チェーン503の伸び量及び(又は)押え体504のずれ量を考慮して筒状体101の位置を取得する。これにより、主制御部80は、筒状体101の正確な位置を取得でき、筒状体101を各工程部における停止位置に正確に停止させることができる。
【0109】
頂部検査装置6の筒状体101の頂部の良否判定について図面を参照して説明する。
図23は、頂部検査装置6による筒状体101の頂部25のシール状態を判定する手順を示すフローチャートである。
【0110】
図23に示すように、形状検査部61は、検査位置60で停止した筒状体101を上部から撮像する(ステップS101)。形状検査部61で撮像された撮像データは、処理部62に送信される(ステップS102)。処理部62は、撮像データに対して画像処理を行う(ステップS103)。処理部62の画像処理は、開口102を線図として抽出する。
【0111】
そして、処理部62は、線図が検査領域Ar1に収まっているか否か判定する(ステップS104)。
図21に示すように、線
図Ln1が検査領域Ar1に収まっている場合(ステップS104でYesの場合)、処理部62は、検査対象の筒状体101が良品であると判定する(ステップS105)。そして、処理部62は、主制御部80に対して、検査対象の筒状体101が良品であるとの情報を送信する(ステップS106)。
【0112】
また、線図が検査領域Ar1から外れる場合(ステップS104でNoの場合)、処理部62は、線図が検査領域Ar1の内縁の内側の部分を有するか否か確認する(ステップS107)。
【0113】
線図が検査領域Ar1の内縁の内側の部分を有する場合(ステップS107でYesの場合)、処理部62は、線図を搬送方向にずらしたときに検査領域Ar1の内部に収まるか否か判定する(ステップS108)。
図22の線
図Ln4のように、線
図Ln4が搬送方向にずらしたときに検査領域Ar1の内部に収まる場合(ステップS108でYesの場合)、処理部62は、線
図Ln4と検査領域Ar1とのずれ量を取得しその情報を主制御部80に送信する(ステップS109)。そして、処理は、ステップS106に移動して、開口102の内面を正確かつ確実に加熱可能であるとの情報を送信する。
【0114】
図22の線
図Ln3のように、線
図Ln3が搬送方向に移動しても検査領域Ar1内に収まらない場合(ステップS110でNoの場合)、処理部62は、検査対象の筒状体101の開口102に加熱ヒータ561を挿入できないと判定する(ステップS110)。そして、処理部62は、加熱不可、つまり、検査対象の筒状体101が不良品であるとの情報を主制御部80に送信する(ステップS111)。
【0115】
図22の線
図Ln2のように、線
図Ln2が検査領域の外縁の外側の部分のみを有する場合(ステップS107でNoの場合)、処理部62は、検査対象の筒状体101に対して加熱ヒータ561を開口102に挿入可能であるが、正確かつ確実な加熱が不可であると判定する(ステップS112)。そして、処理部62は、正確かつ確実な加熱が不可であるとの情報を主制御部80に送信する(ステップS113)。
【0116】
本実施形態の頂部検査装置6では、加熱前の開口102の形状及び位置を取得するため、熱により変形していない開口102の形状を取得できる。これにより、検査対象の筒状体101の開口102の適切な位置に加熱ヒータ561が挿入されるか否か精度よく判定することができ、紙容器1の頂部25のシール状態が良好になるか否かより正確に判定することができる。
【0117】
また、形状検査部61が加熱前の開口102を撮像する構成であるため、形状検査部61を加熱ヒータ561から離すことができる。これにより、形状検査部61が熱の影響を受けにくく、開口102の形状及び位置を正確かつ確実に取得できる。また、熱による形状検査部61の不具合の発生を抑制できる。さらに、加熱ヒータ561と、第1次押圧部562との間に形状検査部61を配置しなくてもよく、開口102の加熱の終了と、加圧開始までの時間を短くできる。これにより、加圧時に必要な温度以下に下がる不具合が発生しにくく、また、加熱時に高い温度まで加熱しなくてもよい。
【0118】
<選別部57、受け容器58>
頂部組立部56で傾斜屋根部20が組み立てられた紙容器1は、選別部57に搬送される。
図24は、選別部57の概略斜視図である。
図24に示すように、選別部57は、選別バー571を備える。
【0119】
図24に示すように、選別バー571は、第2搬送部502の後側に上端が手前に回動可能なように配置される。選別バー571は、起立した退避位置P1と、搬送部50と直交した選別位置P2とに回動する。選別バー571は、搬送方向下流側に向かうほど外側に傾斜した傾斜面を有する。選別バー571が選別位置P2にあるとき、紙容器1が搬送方向に移動することで第2搬送部502から落下する。なお、選別部57は、この構成に限定されるものではなく、例えば、紙容器1自体を押す構成であってもよい。選別部57は、紙容器1を搬送部50から外部に排出することができる構成を広く採用できる。
【0120】
選別部57は、主制御部80からの指示に従って、選別バー571を動作させる。具体的には、良品の紙容器1が搬送されてきたときには、選別バー571を退避位置P1に移動させ、製品として出荷する。また、不良品の紙容器1が搬送されてきたときには、選別バー571を選別位置P2に移動させ、紙容器1を受け容器58に排出させる。受け容器58は、選別バー571によって第2搬送部502から排出された紙容器1を受ける容器である。
【0121】
なお、受け容器58に向けて落下される紙容器1は、内容物が充填されている場合がある。そのため、受け容器58は、内容物の漏れが抑制された容器が用いられる。なお、再利用が可能な内容物の場合、受け容器58に落下された紙容器1の内部の内容物を再利用するための構成を備えていてもよい。
【0122】
本実施形態の充填装置5では、底部検査部535、注出部材検査部545及び頂部検査装置6がそれぞれ処理部を備えているが、これに限定されない。例えば、主制御部80に接続された不図示の処理装置を利用して、画像処理及び良品、不良品の判定処理を行うようにしてもよい。この場合、処理部は、主制御部80と別体であってもよいし、主制御部80と少なくとも一部を共用していてもよい。また、主制御部80が、記憶部83に記憶されたプログラムの実行することで、処理部として動作する構成であってもよい。また、光学画像データを用いる底部検査部535及び頂部検査装置6は、共用の画像処理部を利用するようにしてもよい。
【0123】
<充填装置5の動作>
充填装置5は、以上のような構成を有している。次に、充填装置5による、紙容器1の良品、不良品の判別及び選別を行う手順について新たな図面を参照して説明する。
図25は、充填装置5の動作を示すフローチャートである。
図25に示すフローチャートは、搬送される筒状体101及び紙容器1の順に各工程部の動作を説明している。実際には、搬送部50は、定期的に動作しているため、各工程部は、定期的に動作している。
【0124】
図25に示すように、充填装置5の駆動が開始されると、主制御部80は、搬送部50で筒状体101を底部組立部53に搬送する。主制御部80は、底部組立部53の各工程部を動作させ、筒状体101の底部40を組み立てる(ステップS201)。その後、主制御部80は、底部検査部535で底部40の検査を行う(ステップS202)。
【0125】
底部検査部535は、底部40を検査し、筒状体101が良品であるか不良品であるか判定する(ステップS203)。筒状体101が不良品の場合(ステップS203でNoの場合)、底部検査部535は、検査対象の筒状体101が不良品であるとの情報を主制御部80に送信する(ステップS212)。
【0126】
主制御部80は、検査された筒状体101の個体識別情報と、俘虜品であるとの情報を関連付けて、記憶部83に記憶する。そして、主制御部80は、注出部材3の取り付け及び内容物の充填を行わせず、型付け部553に筒状体101の上端の型付けを実行させる指示を行う(ステップS214)。その後、処理は、頂部検査装置6による頂部25のシール状態が良好になるか否かの判定(ステップS215)に遷移する。
【0127】
筒状体101が良品の場合(ステップS203でYesの場合)、底部検査部535は、主制御部80に検査対象の筒状体101が良品であるとの情報を送信する(ステップS204)。主制御部80は、検査された筒状体101の個体識別情報と、良品であるとの情報を関連付けて、記憶部83に記憶する。その後、主制御部80は、注出部材取付部54に注出部材3の取り付けを行わせる指示を行う(ステップS205)。その後、主制御部80は、注出部材検査部545に注出部材3の検査を実行させる指示を送る(ステップS206)。
【0128】
注出部材検査部545は、検査対象の筒状体101が良品であるか不良品であるかを判定する(ステップS207)。筒状体101が不良品の場合(ステップS207でNoの場合)、注出部材検査部545は、検査対象の筒状体101が不良品であるとの情報を主制御部80に送信する(ステップS213)。
【0129】
主制御部80は、検査された筒状体101の個体識別情報と、俘虜品であるとの情報を関連付けて、記憶部83に記憶する。そして、主制御部80は、注出部材3の取り付け及び内容物の充填を行わせず、型付け部553に筒状体101の上端の型付けを実行させる指示を行う(ステップS214)。その後、処理は、頂部検査装置6による頂部25のシール状態が良好になるか否かの判定(ステップS215)に遷移する。
【0130】
筒状体101が良品の場合(ステップS207でYesの場合)、注出部材検査部545は、検査対象の筒状体101が良品であるとの情報を主制御部80に送信する(ステップS208)。主制御部80は、検査された筒状体101の個体識別情報と、良品であるとの情報を関連付けて、記憶部83に記憶する。
【0131】
主制御部80は充填部55の各部に洗浄/殺菌、乾燥、冷却等、内容物を充填するための下処理を実行させる指示を行う(ステップS209)。そして、主制御部80は、型付け部553に筒状体101の上端部の型付けをする指示を行う(ステップS210)。その後、主制御部80は、充填部55に筒状体101の上部の開口102から内容物を充填させる指示を行う(ステップS211)。
【0132】
主制御部80は、内容物が充填された筒状体101を第2搬送部502に沿って移動させ、検査位置60まで移動させる。そして、主制御部80は、頂部検査装置6に、筒状体101の上端の開口102の形状及び位置に基づいて、頂部25のシール状態を検査させる指示を行う(ステップS215)。
【0133】
頂部検査装置6は、検査対象の筒状体101が良品であるか不良品であるかを判定する(ステップS216)。頂部検査装置6は、検査対象の筒状体101が良品であると判定した場合(ステップS216でYesの場合)、頂部検査装置6は、検査対象の筒状体101が良品であるとの情報を主制御部80に送信する(ステップS217)。主制御部80は、検査された筒状体101の個体識別情報と、良品であるとの情報を関連付けて、記憶部83に記憶する。
【0134】
主制御部80は第2搬送部502を動作させ、検査が完了した筒状体101を搬送方向に予め決められた距離移動させる(ステップS218)。主制御部80は、筒状体101の加熱ヒータ561に筒状体101の開口102の内面を加熱させる指示を行う(ステップS219)。ステップS216において、開口102の内面の加熱は、2つの加熱ヒータ561で実行される構成であり、1回目の加熱が完了した筒状体101は搬送方向に移動された先で2回目の加熱が実行される。
【0135】
そして、主制御部80は、第1次押圧部562に第1次加圧を実行させる指示を行う(ステップS220)。さらに、主制御部80は、第2次押圧部563に第2次加圧を実行させる指示を行う(ステップS221)。
【0136】
また、頂部検査装置6で、検査対象の筒状体101が良品と判定されない場合(ステップS216でNoの場合)、頂部検査装置6は、開口102の形状が加熱ヒータ561を挿入可能な形状であるか否か判定する(ステップS222)。なお、開口102の形状が加熱ヒータ561を挿入可能か形状であるか否かの判定は、上述した
図21、
図22に示す線図が検査領域Ar1の内縁よりも内側にある部分があるか否か(
図23のステップS107に相当)で判定する。
【0137】
頂部検査装置6が開口102の形状が加熱ヒータ561を挿入可能であると判定した場合(ステップS222でYesの場合)、頂部検査装置6は検査中の開口102を搬送方向にずらしたときに、開口102の適切な位置に加熱ヒータ561を挿入可能であるか否か判定する(ステップS223)。なお、開口102を搬送方向に移動したときに開口102の適切な位置に加熱ヒータ561を挿入可能か否かの判定は、
図22の処理データPr2の開口102の線
図Ln4のように、搬送方向に移動したときに検査領域Ar1に収まるか否か(
図23のステップS108に相当)で判定する。
【0138】
頂部検査装置6が、筒状体101を搬送方向にずらすことで開口102の適切な位置に加熱ヒータ561を挿入可能なであると判定した場合(ステップS223でYesの場合)、頂部検査装置6は、筒状体101と検査位置60とのずれ量を取得する(ステップS224)。そして、頂部検査装置6は、ずれ量及び頂部25のシール状態が良好となる旨の情報を主制御部80に送信する(ステップS225)。主制御部80は、検査された筒状体101の個体識別情報と、良品であるとの情報を関連付けて、記憶部83に記憶する。
【0139】
主制御部80は、第2搬送部502を制御し、ずれ量を考慮した移動量で筒状体101を移動させる(ステップS226)。その後、ステップS216に遷移し、筒状体101の開口102の内面を加熱させる。そして、処理は、ステップS219に遷移し、開口102の内面の加熱を実行する。なお、頂部検査装置6は、別途、チェーン503の伸び量及び(又は)押え体504のずれ量の情報を取得し、主制御部80に送信する。主制御部80は、チェーン503の伸び量及び押え体504のずれ量に基づいて、第2搬送部502上の筒状体101の位置情報を補正する。
【0140】
また、頂部検査装置6が、開口102の適切な位置に加熱ヒータ561を挿入不可と判定した場合(ステップS223でNoの場合)、頂部検査装置6は、検査対象の筒状体101が不良品であるとの情報を主制御部80に送信する(ステップS227)。主制御部80は、検査された筒状体101の個体識別情報と、不良品であるとの情報を関連付けて、記憶部83に記憶する。その後、ステップS218に遷移し、筒状体101を搬送方向に移動させる。
【0141】
また、頂部検査装置6が、開口102から加熱ヒータ561を挿入できないと判定した場合(ステップS222でNoの場合)、頂部検査装置6は、開口102の内面の加熱ができない情報を含む検査対象の筒状体S101が不良品である情報を主制御部80に送信する(ステップS228)。主制御部80は、検査された筒状体101の個体識別情報と、不良品であるとの情報を関連付けて、記憶部83に記憶する。
【0142】
その後、主制御部80は、加熱ヒータ561による開口102の内面の加熱を行わず、ステップS220に遷移して、第1次押圧部562に第1次加圧を行わせる指示を行う。
【0143】
ステップS221で、第2次加圧が完了した後、主制御部80は、選別部57に到達した紙容器1が良品か否か判断する(ステップS229)。なお、良品の紙容器1は、底部検査部535、注出部材検査部545及び頂部検査装置6のすべてで良品と判定された筒状体101から形成された紙容器である。
【0144】
紙容器1が良品の場合(ステップS229でYesの場合)、主制御部80は、選別部57の選別バー571を退避位置P1に移動させて製品として出荷する(ステップS230)。また、紙容器1が不良品の場合(ステップS229でNoの場合)、主制御部80は、選別部57の選別バー571を選別位置P2に移動させて紙容器1を受け容器58に不良品として排除する(ステップS231)。
【0145】
以上示した充填装置5では、良品と判定された紙容器1のみを出荷することが可能である。
【0146】
<変形例>
図26は、変形例の頂部検査装置6の処理部62により検出された開口の形状情報の例を示す図である。頂部検査装置6の処理部62は、撮像データPh1の画像処理を行うとき、開口102の特徴点を識別するようにしてもよい。
【0147】
特徴点としては、
図26に示すように、開口102の6個の特徴点Pt1~Pt6を挙げることができる。また、この6個の頂点のうち、2個以上の幾つかの頂点だけを取得するようにしてもよい。特徴点を識別する方法としては、例えば、
図26に示すように、処理データにおける特徴点Pt1~Pt6の座標データを取得することで実行してもよい。そして、処理部62は、取得した座標が検査領域Ar1の内部に収まるか否かを判定する。
【0148】
検査領域Ar1の外側に位置する特徴点がある場合、その特徴点が、検査領域Ar1の外縁の外側だけにあるか、検査領域Ar1の内縁の内側にもあるかによって、加熱ヒータ561による加熱処理の有無を切り替えるようにしてもよい。
【0149】
頂部検査装置6の処理部62が、特徴点の座標で検査処理を実行する構成とすることで、処理量が減るため、処理に要する時間を減らすことができる。これにより、充填装置5全体のタクトタイムを短くすることができ、紙容器1に内容物を充填した製品の生産効率を高めることが可能である。
【0150】
また、処理部62は、頂部25のシール状態が良好になる開口102を有する筒状体101が撮影されている基準の撮像データを記憶しておき、撮像データを得るごとに、基準の撮像データとのマッチング処理によって、加熱ヒータ561を開口102の適切な位置に挿入できるか否か判定するようにしてもよい。なお、良品と判定された撮像データを組み合わせることで、基準の撮像データを生成するようにしてもよい。
【0151】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明によると、紙容器に液体の内容物を充填する充填装置として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0153】
1 紙容器
2 本体部
3 注出部材
5 充填装置
6 頂部検査装置
10 胴部
100 ブランク板
101 筒状体
102 開口
103、104 屈曲辺部
11 背面板
111 第1上板部
12 側面板
121 第2上板部
13 前面板
131 第1上板部
14 側面板
141 第2上板部
15 糊代片
151 糊代片
152 糊代片
21、23 傾斜天板部
22、24 側面天板部
211 後上端部
221 右上端部
231 前上端部
232 挿通孔
241 左上端部
25 頂部
30 底部
31 管部
32 フランジ部
33 蓋部
40 底部
41、43 底壁板部
42、44 底連結板部
46、47 三角パネル部
50 搬送部
501 第1搬送部
502 第2搬送部
503 チェーン
504 押え体
505 駆動スプロケット
506 従動スプロケット
51 筒状体供給部
52 立ち起こし部
53 底部組立部
530 マンドレル
531 ターレット
532 加熱ヒータ
533 型付け部
534 押圧部
535 底部検査部
54 注出部材取付部
541 注出部材供給部
542 超音波照射器
543 部材
544 リフト
545 注出部材検査部
55 充填部
551 洗浄殺菌部
552 乾燥部
553 型付け部
554 注入部
555 リフト部
556 タンク
56 頂部組立部
560 通気孔
561 加熱ヒータ
562 第1次押圧部
563 第2次押圧部
57 選別部
571 選別バー
58 受け容器
60 検査位置
61 形状検査部
62 処理部
71 外面接着層
72 紙基材層
73 層間接着層
74 中間層
74a バリア基材層
74b バリア層
75 層間接着層
76 内面接着層
77 印刷層
80 主制御部
81 入力部
82 表示部
83 記憶部
90 折り線