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  • 特開-キャビネット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160861
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】キャビネット
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20241108BHJP
   H02B 1/38 20060101ALI20241108BHJP
   H02B 1/015 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H05K5/03 A
H05K5/03 C
H02B1/38 C
H02B1/015 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076332
(22)【出願日】2023-05-02
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】寺社下 文也
(72)【発明者】
【氏名】下岡 達矢
(72)【発明者】
【氏名】栗田 茉奈
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB18
4E360BA03
4E360BA06
4E360BA11
4E360EA18
4E360GA41
4E360GB94
4E360GC08
(57)【要約】
【課題】扉に取り付けられた機器とパネルに取り付けられた機器との間の絶縁距離を確保し、様々な機器を取付可能としたキュービクルを提供する。
【解決手段】キュービクル1は、箱体2と箱体2の開口部を開閉する扉3とを備えている。箱体2は、機器6aを設置可能なパネル4を備えている。扉3は、扉3閉塞時における後面側に、機器を取付可能な取付部を備えている。また、扉3には、取付部及び機器6bを覆う機器カバー7が設けられている。そして、機器カバー7において、機器6bの後方を覆う樹脂カバー12は、樹脂製である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口する箱体と、前記箱体の前面開口を開閉する扉とを備えており、
前記扉の後面に、機器を取付可能な取付部と、前記取付部に取り付けられた前記機器を覆う機器カバーとが設けられ、
前記機器カバーにおける前記機器の後方に位置する箇所が樹脂製であることを特徴とするキャビネット。
【請求項2】
前記機器カバーは、固定板と、樹脂製の樹脂カバ―と、上部カバーとを備えて成り、
前記固定板は、前記機器の左右位置に夫々設けられる板状の部材で、前記機器の左右を覆うように、上下方向に延びるとともに、扉の後面から後方に向かって直立して設けられ、
前記樹脂カバーは、前記機器の後方を覆うように、前記固定板の後端へ着脱可能に取り付けられる板状の部材であり、
前記上部カバーは、前記機器の上方を覆うように、前記固定板の上端へ着脱可能に取り付けられる板状の部材であり、
前記機器カバーの下部は、前記機器の配線用に開口されていることを特徴とする請求項1に記載のキャビネット。
【請求項3】
前記取付部及び前記機器カバーを取付可能なスタッドボルトが、前記扉の後面に溶接されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉に機器を取付可能であるとともに、扉に取り付けられる機器を覆う機器カバーが設けられているキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、キュービクル式高圧受電設備等に用いられるキャビネットにおいて、キャビネットの箱体に機器が取り付けられるが、箱体のみでは、機器を取付可能なスペースが限られている。そこで、箱体以外に機器を取り付けるために、キャビネットの扉側に機器を取付可能としたキャビネットが知られている。例えば、特許文献1に記載のキュービクル式高圧受電設備では、扉に絶縁監視装置が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-146395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記キャビネットでは、扉を閉める際、箱体に取り付けられた機器と、扉に取り付けられた機器とが前後方向に近接するため、電気機器の絶縁距離が安全に確保されず、扉に取付可能な機器が限られてしまう問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題に鑑み、扉に取り付けられた機器と箱体に取り付けられた機器との間の絶縁距離を確保し、扉へ様々な機器を取付可能としたキャビネットを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、前面に開口する箱体と、箱体の前面開口を開閉する扉とを備えており、扉の後面に、機器を取付可能な取付部と、取付部に取り付けられた機器を覆う機器カバーとが設けられ、機器カバーにおける機器の後方に位置する箇所が樹脂製であることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、機器カバーは、固定板と、樹脂製の樹脂カバ―と、上部カバーとを備えて成り、固定板は、機器の左右位置に夫々設けられる板状の部材で、機器の左右を覆うように、上下方向に延びるとともに、扉の後面から後方に向かって直立して設けられ、樹脂カバーは、機器の後方を覆うように、固定板の後端へ着脱可能に取り付けられる板状の部材であり、上部カバーは、機器の上方を覆うように、固定板の上端へ着脱可能に取り付けられる板状の部材であり、機器カバーの下部は、機器の配線用に開口されていることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、取付部及び機器カバーを取付可能なスタッドボルトが、扉の後面に溶接されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キャビネットは、前面に開口する箱体と、箱体の前面開口を開閉する扉とを備え、扉の後面に機器を取付可能な取付部と、取付部に取り付けられた機器を覆う機器カバーとが、設けられる構成である。そして、機器カバーにおいて、機器の後方を覆う箇所が樹脂製である。したがって、取付部に取り付けられる機器と、箱体に取り付けられる機器との間の絶縁距離を充分に取ることが可能となるとともに、取付部に取り付けられる機器の電波が機器カバーによって遮られることがない。よって、絶縁距離を気にすることなく、様々な機器を箱体及び取付部に取付可能であるとともに、例えば、無線機器等の電波を発する機器を取付部に取付可能である。また、日常的に操作・点検を行う必要がある機器を取付部に取り付けることで、日常的な操作・点検を容易に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るキュービクルを示す正面図(扉は開放状態)である。
図2図1において機器カバーの樹脂カバー及び上部カバーを省略した図である。
図3】機器カバーを示す上方斜視図である。
図4】機器カバーを示す下方斜視図である。
図5図3において樹脂カバー及び上部カバーを省略した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係るキュービクル1を示す正面図である。図2は、図1において機器カバー7の樹脂カバー12及び上部カバー13を省略した図である。図3は、上方から機器カバー7を見た斜視図、図4は下方から機器カバー7を見た斜視図である。図5は、図3において樹脂カバー12及び上部カバー13を省略した図である。
【0010】
キュービクル1は、電力会社等から供給される高圧の商用電力を、需要家の負荷設備の仕様に適合した電圧や周波数を有する電力に変換するための高圧受電設備の機器一式を収容可能なキャビネットである。図1及び2に示すように、キュービクル1は、直方体状に形成され前面に開口する箱体2と、箱体2の前面開口を開閉する扉3とを備えている。
【0011】
箱体2は、高圧受電設備の機器を設置可能なパネル4を備えている。扉3は、扉3の閉塞時における後面側に、高圧受電設備の機器を取付可能な取付部5を備えている。尚、パネル4に取り付けられる高圧受電設備の機器を機器6a、取付部5に取り付けられる高圧受電設備の機器を機器6bとする。また、扉3には、扉3の閉塞時における機器6bの後方、左右、及び上方を覆う機器カバー7が設けられている。取付部5は、機器6bに合わせた形状及び構造を持つ部材である。また、取付部5の材質は、適宜決められるものであって、例えば、剛性を高めるために金属製である。また、取付部5の前端部は、後述するスタッドボルト17を介して扉3に取り付けるために外側へ折り曲げ形成されている。
【0012】
図3に示すように、機器カバー7は、固定板11,11と、樹脂カバー12と、上部カバー13とによって構成される。尚、図4に示すように、機器カバー7の下部は、開口部14として、機器6bの配線用に開口されている。
【0013】
図5に示すように、固定板11,11は、機器6bの左右位置に夫々設けられる板状の部材であって、機器6bの左右を覆うように、上下方向に延びるとともに、扉3の後面から後方に向かって直立して設けられる。固定板11,11の後端部、及び上端部は、内側へ折り曲げ形成されるとともに、当該折り曲げ形成された箇所にネジ孔15が複数設けられる。また、固定板11,11は、絶縁性を高めるために樹脂製であっても良いし、剛性を高めるために金属製であっても良い。また、固定板11,11の前端部は、後述するスタッドボルト17を介して扉3に取り付けるために外側へ折り曲げ形成されている。
【0014】
樹脂カバー12は、固定板11,11の後端部のネジ孔15,15・・へ、ネジ16,16・・によってネジ止めすることで取り付けられる板状の部材である。そして、樹脂カバー12は、固定板11,11の後端部に取り付けられることで、機器6bの後方を覆う。また、樹脂カバー12は、絶縁性を有するとともに、機器6bの電波を遮ることのない樹脂製の部材である。
【0015】
上部カバー13は、固定板11,11の上端部のネジ孔15,15・・へ、ネジ16,16・・によってネジ止めすることで取り付けられる板状の部材である。そして、上部カバー13は、固定板11,11の上端部に取り付けられることで、機器6bの上部を覆う。尚、上部カバー13の材質は適宜決められるものであって、例えば、樹脂製や金属製である。
【0016】
また、取付部5及び固定板11,11は、扉3に溶接されているスタッドボルト17を介して扉3に取り付けられる。そして、スタッドボルト17は、扉3に孔をあけることなく、扉3に溶接されて取り付けられる。したがって、取付部5及び固定板11は、扉3に孔をあけることなく扉3へ取付可能であるため、例えば、扉3に直接取付部5及び固定板11,11をネジ止めする構成等と比較して、扉3の防水性を損なうことがない。
【0017】
以下、扉3に機器6bを取り付ける手順を説明する。
まず、扉3の取付部5に機器6bを取り付ける。そして、扉3に予め取り付けられている固定板11,11の後端部に樹脂カバー12を、上端部に上部カバー13を、ネジ16,16・・によってネジ孔15,15・・へ、ねじ止めすることで取り付ける。このようにして、機器6bは扉3閉塞時における後方、左右、及び上方が機器カバー7によって覆われる。
【0018】
上述したような実施形態のキュービクル1によれば、前面に開口する箱体2と、箱体2の前面開口を開閉する扉3とを備え、扉3の後面に機器6bを取付可能な取付部5と、取付部に取り付けられた機器6bの後方、左右、及び上方を覆う機器カバー7とが、設けられる構成である。そして、機器カバー7において、機器6bの後方を覆う樹脂カバー12が樹脂製である。したがって、取付部5に取り付けられる機器6bと、パネル4に取り付けられる機器6aとの間に絶縁性の樹脂カバー12が設けられるため、絶縁距離を充分に取ることが可能となる。また、樹脂カバー12が樹脂製であるため、機器6bの電波が樹脂カバー12によって遮られることがない。よって、絶縁距離を気にすることなく、様々な機器をパネル4及び取付部5に取付可能であるとともに、例えば、無線機器等の電波を発する機器を取付部5に取付可能である。また、日常的に操作・点検を行う必要がある機器を取付部5に取り付けることで、日常的な操作・点検を容易に行うことが可能である。
【0019】
なお、本発明に係るキュービクルは、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、キュービクルの全体的な構成は勿論、機器カバーの構成等についても必要に応じて適宜変更することができる。
【0020】
具体的には、機器カバー7は、機器6bの後方を樹脂製の部材によって覆う構成であれば、機器カバー7の各種部材の形状、開口部14の位置及び有無等は、適宜変更することができる。例えば、上部カバー13を取り外す構成、開口部14を別部材によって塞ぐ構成、どちらか一方の固定板11を省略した構成等があげられる。
【0021】
また、実施形態において、樹脂カバー12及び上部カバー13は、ネジ止めによって固定板11に固定されているが、取付構造は適宜変更することができる。例えば、樹脂カバー12及び上部カバー13に係止部を設けて、当該係止部が係止する被係止部を固定板11に設ける構成であっても良い。尚、樹脂カバー12の取付構造は、樹脂カバー12の絶縁性及び電波の透過性を損なわないものが好ましい。
【0022】
また、実施形態において、キュービクル1は、取付部5へ機器6bを取り付けた後に、樹脂カバー12及び上部カバー13を固定板11,11へ取り付ける構成であるが、取付部5へ機器6bを取り付けた後に、機器カバー7全体を扉3に取り付ける構成であっても良い。
【0023】
また、実施形態において、固定板11,11のネジ孔15,15・・の数は、樹脂カバー12及び上部カバー13を固定可能であれば、適宜変更することができる。
【0024】
尚、実施形態において、キュービクルとして用いられるキャビネットについて説明したが、当該キャビネットは、キュービクル以外の、例えば、通信機器等を収容する通信設備等として用いられても良い。
【符号の説明】
【0025】
1・・キュービクル(キャビネット)、2・・箱体、3・・扉、4・・パネル、5・・取付部、6a,6b・・機器、7・・機器カバー、11・・固定板、12・・樹脂カバー、13・・上部カバー、14・・開口部、15・・ネジ孔、16・・ネジ、17・・スタッドボルト。
図1
図2
図3
図4
図5