(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160868
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】除電装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/00 20060101AFI20241108BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241108BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20241108BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20241108BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241108BHJP
B65H 5/02 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B65H5/00 A
G03G21/16 104
G03G15/16
B65H5/06 F
G03G15/00 460
B65H5/02 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076343
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】田中 大貴
(72)【発明者】
【氏名】栗田 知一
(72)【発明者】
【氏名】重崎 聡
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 宏一郎
(72)【発明者】
【氏名】桑原 諄
(72)【発明者】
【氏名】田中 勝己
【テーマコード(参考)】
2H072
2H171
2H200
3F049
3F101
【Fターム(参考)】
2H072HB03
2H072JA02
2H072JA08
2H171FA22
2H171QA03
2H171QA08
2H171QB03
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC03
2H171QC31
2H171SA11
2H171SA12
2H171SA18
2H171SA22
2H171SA28
2H171SA31
2H171XA02
2H200GA10
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA44
2H200GA47
2H200JA02
2H200JB06
2H200JB16
2H200JB17
2H200JC03
3F049AA10
3F049DA12
3F049LA01
3F049LB03
3F101AA02
3F101AA09
3F101LA01
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】シート状物を一対の除電ロールの間に挟むように通過させて除電する除電装置等において、シート状物として層と層の間に粘着層を有するシート状物を通過させるときであっても、かかるシート状物の幅方向の全域に対して互いに接触し合う一対の除電ロールが一定の接触圧で接触する場合に比べて、そのシート状物の両端からはみ出る粘着層の粘着成分が除電ロールに付着することを抑制する。
【解決手段】除電装置1Aは、シート状物9を挟むように通過させて除電する一対の除電ロール20と、一対の除電ロール20の少なくとも一方の除電ロールに除電用の電圧を供給する給電手段(電源装置23)と、を備え、一対の除電ロール20として、その軸方向Jの端部202d,202eの接触圧が当該端部以外の部分202cの接触圧よりも低い一対の除電ロール20Aを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物を挟むように通過させて除電する一対の除電ロールと、
前記一対の除電ロールの少なくとも一方の除電ロールに除電用の電圧を供給する給電手段と、
を備え、
前記一対の除電ロールとして、その軸方向の端部の接触圧が当該端部以外の部分の接触圧よりも低い一対の除電ロールを有する除電装置。
【請求項2】
シート状物を挟むように通過させて除電する一対の除電ロールと、
前記一対の除電ロールの少なくとも一方の除電ロールに除電用の電圧を供給する給電手段と、
を備え、
前記一対の除電ロールとして、前記シート状物の幅方向の端部と接触しない一対の除電ロールを有する除電装置。
【請求項3】
シート状物を挟むように通過させて除電する一対の除電ロールと、
前記一対の除電ロールの少なくとも一方の除電ロールに除電用の電圧を供給する給電手段と、
を備え、
前記一対の除電ロールとして、双方の除電ロールが互いに接触しない非接触の状態で配置された一対の除電ロールを有し、
前記非接触の状態で配置された一対の除電ロールの前記シート状物が通過する方向の上流側および下流側に配置され、当該シート状物を当該一対の除電ロールを通過させるように搬送する上流側の搬送ロール対および下流側の搬送ロール対を備える除電装置。
【請求項4】
前記端部の接触圧が低い一対の除電ロールは、少なくとも一方の除電ロールの軸方向の端部の外径が当該端部以外の部分の外径よりも小さい形状からなるロールとして構成されている請求項1に記載の除電装置。
【請求項5】
前記端部の接触圧が低い一対の除電ロールの前記シート状物が通過する方向の上流側および下流側に配置されて当該シート状物を当該一対の除電ロールを通過させるように搬送する上流側の搬送ロール対および下流側の搬送ロール対を備え、
前記端部の接触圧が低い一対の除電ロールの軸方向全域における接触圧が、前記上流側の搬送ロール対の接触圧よりも低い請求項1に記載の除電装置。
【請求項6】
前記シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールは、その軸方向の長さが前記シート状物の搬送時の幅よりも短いロールとして構成されている請求項2に記載の除電装置。
【請求項7】
前記シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールの前記シート状物が通過する方向の上流側および下流側に配置されて当該シート状物を当該一対の除電ロールを通過させるように搬送する上流側の搬送ロール対および下流側の搬送ロール対を備え、
前記シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールの軸方向全域における接触圧が、前記上流側の搬送ロール対の接触圧よりも低い請求項2に記載の除電装置。
【請求項8】
前記非接触の状態で配置された一対の除電ロールは、その双方の除電ロールの間隙を保持する間隙保持部材により非接触の状態に保たれている請求項3に記載の除電装置。
【請求項9】
前記端部の接触圧が低い一対の除電ロールは、前記端部以外の部分の外径が一定である請求項4に記載の除電装置。
【請求項10】
前記シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールは、その双方の除電ロールの軸方向の両端部に、外径が相対的に小さい小径の端部ロール体を配置したロールとして構成されている請求項6に記載の除電装置。
【請求項11】
前記非接触の状態で配置された一対の除電ロールは、前記シート状物が少なくとも一方の除電ロールに接触しない間隙に保持されている請求項8に記載の除電装置。
【請求項12】
前記非接触の状態で配置された一対の除電ロールは、通過する前記シート状物が双方の除電ロールに接触する間隙に保持されている請求項8に記載の除電装置。
【請求項13】
前記給電手段は、定電圧制御により給電を行う請求項1に記載の除電装置。
【請求項14】
前記シート状物を挟むように通過させて除電する一対の除電ロールを有する第一除電手段と、
前記第一除電手段にて除電された後の前記シート状物を接触しない状態で除電する第二除電手段と、
を備え、
前記第一除電手段が請求項1乃至13のいずれか1項に記載の除電装置にて構成されている除電装置。
【請求項15】
前記シート状物として、多層構造のシートであって層と層の間に粘着層を有するシート状物が通過させられる請求項1乃至13のいずれか1項に記載の除電装置。
【請求項16】
前記シート状物として、多層構造のシートであって層と層の間に粘着層を有するシート状物が通過させられる請求項14に記載の除電装置。
【請求項17】
シート状物に画像を形成する像形成部と、
前記像形成部で画像が形成された後の前記シート状物を除電する除電装置と、
を備え、
前記除電装置が請求項1乃至13のいずれか1項に記載の除電装置で構成されている画像形成装置。
【請求項18】
シート状物に画像を形成する像形成部と、
前記像形成部で画像が形成された後の前記シート状物を除電する除電装置と、
を備え、
前記除電装置が請求項14に記載の除電装置で構成されている画像形成装置。
【請求項19】
前記シート状物として、多層構造のシートであって層と層の間に粘着層を有するシート状物が通過させられる請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記シート状物として、多層構造のシートであって層と層の間に粘着層を有するシート状物が通過させられる請求項18に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除電装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、それぞれ異なる電位の電圧が印加され、記録媒体が通過することにより当該記録媒体の帯電量を減少させて除電する2本の除電ロールと、その2本の除電ロールのうちの一方の除電ロールの表面に当接して設けられ、当該除電ロールの回転に伴って当該除電ロールに付着して記録媒体を剥離する剥離部材と、を備えた除電装置等が記載されている。
【0003】
下記特許文献2には、搬送される媒体に接触する第1の除電部材と、その第1の除電部材との間で前記媒体を挟み込む第2の除電部材と、その第1の除電部材又は第2の除電部材の少なくとも一方に電圧を印加する電源と、を備え、前記第1の除電部材および第2の除電部材の少なくとも一方は弾性体を有する除電装置等が記載されている。
【0004】
下記特許文献3には、帯状台紙に仮着されているラベルに印字する印字ヘッドと、その印字ヘッドを通過した前記帯状台紙を第1の方向に送り出すプラテンローラと、前記ラベルを前記帯状台紙から剥離させる剥離ユニットと、を備えたラベルプリンタが記載されている。
また、特許文献3には、前記剥離ユニットが、前記帯状台紙を前記プラテンローラとの間で挟持しながら前記第1の方向とは異なる第2の方向に送り出し、その帯状台紙からラベルを剥離して発行させる剥離ローラと、その剥離ローラを回転自在に支持する回転軸を含む剥離ローラ支持部と、その剥離ローラの回転軸方向の両側に設けられ、前記回転軸上で回転自在に支持された補助ローラと、を含むものであることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-161567号公報(請求項1、
図4,
図6)
【特許文献2】特開2021-111526号公報(請求項1、
図11)
【特許文献3】特開2013-220871号公報(請求項1、
図5,
図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、シート状物を一対の除電ロールの間に挟むように通過させて除電する除電装置等において、シート状物として層と層の間に粘着層を有するシート状物を通過させるときであっても、かかるシート状物の幅方向の全域に対して互いに接触し合う一対の除電ロールが一定の接触圧で接触する場合に比べて、そのシート状物の両端からはみ出る粘着層の粘着成分が除電ロールに付着することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の手段は、
シート状物を挟むように通過させて除電する一対の除電ロールと、
前記一対の除電ロールの少なくとも一方の除電ロールに除電用の電圧を供給する給電手段と、
を備え、
前記一対の除電ロールとして、その軸方向の端部の接触圧が当該端部以外の部分の接触圧よりも低い一対の除電ロールを有する除電装置である。
【0008】
本発明の第2の手段は、
シート状物を挟むように通過させて除電する一対の除電ロールと、
前記一対の除電ロールの少なくとも一方の除電ロールに除電用の電圧を供給する給電手段と、
を備え、
前記一対の除電ロールとして、前記シート状物の幅方向の端部と接触しない一対の除電ロールを有する除電装置である。
【0009】
本発明の第3の手段は、
シート状物を挟むように通過させて除電する一対の除電ロールと、
前記一対の除電ロールの少なくとも一方の除電ロールに除電用の電圧を供給する給電手段と、
を備え、
前記一対の除電ロールとして、双方の除電ロールが互いに接触しない非接触の状態で配置された一対の除電ロールを有し、
前記非接触の状態で配置された一対の除電ロールの前記シート状物が通過する方向の上流側および下流側に配置され、当該シート状物を当該一対の除電ロールを通過させるように搬送する上流側の搬送ロール対および下流側の搬送ロール対を備える除電装置である。
【0010】
本発明の第4の手段は、上記第1の手段の除電装置において、
前記端部の接触圧が低い一対の除電ロールは、少なくとも一方の除電ロールの軸方向の端部の外径が当該端部以外の部分の外径よりも小さい形状からなるロールとして構成されている除電装置である。
【0011】
本発明の第5の手段は、上記第1の手段の除電装置において、
前記端部の接触圧が低い一対の除電ロールの前記シート状物が通過する方向の上流側および下流側に配置されて当該シート状物を当該一対の除電ロールを通過させるように搬送する上流側の搬送ロール対および下流側の搬送ロール対を備え、
前記端部の接触圧が低い一対の除電ロールの軸方向全域における接触圧が、前記上流側の搬送ロール対の接触圧よりも低い除電装置である。
【0012】
本発明の第6の手段は、上記第2の手段の除電装置において、
前記シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールは、その軸方向の長さが前記シート状物の搬送時の幅よりも短いロールとして構成されている除電装置である。
【0013】
本発明の第7の手段は、上記第2の手段の除電装置において、
前記シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールの前記シート状物が通過する方向の上流側および下流側に配置されて当該シート状物を当該一対の除電ロールを通過させるように搬送する上流側の搬送ロール対および下流側の搬送ロール対を備え、
前記シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールの軸方向全域における接触圧が、前記上流側の搬送ロール対の接触圧よりも低い除電装置である。
【0014】
本発明の第8の手段は、上記第3の手段の除電装置において、
前記非接触の状態で配置された一対の除電ロールは、その双方の除電ロールの間隙を保持する間隙保持部材により非接触の状態に保たれている除電装置である。
【0015】
本発明の第9の手段は、上記第4の手段の除電装置において、
前記端部の接触圧が低い一対の除電ロールは、前記端部以外の部分の外径が一定である除電装置である。
【0016】
本発明の第10の手段は、上記第6の手段の除電装置において、
前記シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールは、その双方の除電ロールの軸方向の両端部に、外径が相対的に小さい小径の端部ロール体を配置したロールとして構成されている除電装置である。
【0017】
本発明の第11の手段は、上記第8の手段の除電装置において、
前記非接触の状態で配置された一対の除電ロールは、前記シート状物が少なくとも一方の除電ロールに接触しない間隙に保持されている除電装置である。
【0018】
本発明の第12の手段は、上記第8の手段の除電装置において、
前記非接触の状態で配置された一対の除電ロールは、通過する前記シート状物が双方の除電ロールに接触する間隙に保持されている除電装置である。
【0019】
本発明の第13の手段は、上記第1の手段の除電装置において、
前記給電手段は、定電圧制御により給電を行う除電装置である。
【0020】
本発明の第14の手段は、
前記シート状物を挟むように通過させて除電する一対の除電ロールを有する第一除電手段と、
前記第一除電手段にて除電された後の前記シート状物を接触しない状態で除電する第二除電手段と、
を備え、
前記第一除電手段が上記第1の手段から第13の手段のいずれかの除電装置にて構成されている除電装置である。
【0021】
本発明の第15の手段は、上記第1の手段から第13の手段のいずれかの除電装置において、
前記シート状物として、多層構造のシートであって層と層の間に粘着層を有するシート状物が通過させられる除電装置である。
【0022】
本発明の第16の手段は、上記第14の手段の除電装置において、
前記シート状物として、多層構造のシートであって層と層の間に粘着層を有するシート状物が通過させられる除電装置である。
【0023】
本発明の第17の手段は、
シート状物に画像を形成する像形成部と、
前記像形成部で画像が形成された後の前記シート状物を除電する除電装置と、
を備え、
前記除電装置が上記第1の手段から第13の手段のいずれかの除電装置で構成されている画像形成装置である。
【0024】
本発明の第18の手段は、
シート状物に画像を形成する像形成部と、
前記像形成部で画像が形成された後の前記シート状物を除電する除電装置と、
を備え、
前記除電装置が上記第14の手段の除電装置で構成されている画像形成装置である。
【0025】
本発明の第19の手段は、上記第17の手段の画像形成装置において、
前記シート状物として、多層構造のシートであって層と層の間に粘着層を有するシート状物が通過させられる画像形成装置である。
【0026】
本発明の第20の手段は、上記第18の手段の画像形成装置において、
前記シート状物として、多層構造のシートであって層と層の間に粘着層を有するシート状物が通過させられる画像形成装置である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の上記第1の手段、第2の手段および第3の手段によれば、シート状物として層と層の間に粘着層を有するシート状物を通過させるときであっても、かかるシート状物の幅方向の全域に対して互いに接触し合う一対の除電ロールが一定の接触圧で接触する場合に比べて、そのシート状物の両端からはみ出る粘着層の粘着成分が除電ロールに付着することを抑制できる。
【0028】
本発明の上記第4の手段によれば、シート状物として層と層の間に粘着層を有するシート状物を通過させるときであっても、一対の除電ロールとしてその軸方向全域における外径が同じものを採用する場合に比べて、端部の接触圧の低い除電ロールにシート状物の粘着層の粘着成分が付着することを抑制できる。
【0029】
本発明の上記第5の手段によれば、端部の接触圧が低い一対の除電ロールの軸方向全域における接触圧が上流側の搬送ロール対の接触圧と同じか又はそれよりも大きい場合に比べて、端部の接触圧が低い一対の除電ロールにシート状物における粘着層の粘着成分が付着することを抑制しやすくなる。
【0030】
本発明の上記第6の手段によれば、シート状物として層と層の間に粘着層を有するシート状物を通過させるときであっても、一対の除電ロールとしてその軸方向の長さがシート状物の幅方向の長さよりも長いロール全域における外径が同じものを採用する場合に比べて、シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールにシート状物における粘着層の粘着成分が付着することを抑制できる。
【0031】
本発明の上記第7の手段によれば、シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールの軸方向全域における接触圧が、上流側の搬送ロール対の接触圧と同じか又はそれよりも大きい場合に比べて、シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールのシート状物に対する搬送能力が維持されつつ、その一対の除電ロールにシート状物における粘着層の粘着成分が付着することを抑制しやすくなる。
【0032】
本発明の上記第8の手段によれば、シート状物として層と層の間に粘着層を有するシート状物を通過させるときであっても、一対の除電ロールとしてその軸方向全域で所要の接触圧で接触した状態で配置されているものを採用する場合に比べて、非接触の状態で配置された一対の除電ロールにシート状物における粘着層の粘着成分が付着することを抑制できる。
【0033】
本発明の上記第9の手段によれば、端部の接触圧が低い一対の除電ロールとしてその端部以外の部分の外径が漸増するものを採用する場合に比べて、シート状物の幅方向の端部以外の部分における除電を均一に行いやすくなる。
【0034】
本発明の上記第10の手段によれば、シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールとしてその端部に小径の端部ロール体が配置されないものを採用する場合に比べて、シート状物の幅方向の端部がわずかに除電される可能性がある。
【0035】
本発明の上記第11の手段によれば、一対の除電ロールとして互いに接触して配置される一対の除電ロールを採用する場合に比べて、非接触の状態で配置される一対の除電ロールにシート状物における粘着層の粘着成分が付着することをより抑制できる。
【0036】
本発明の上記第12の手段によれば、一対の除電ロールとして互いに接触して配置される一対の除電ロールを採用する場合に比べて、非接触の状態で配置された一対の除電ロールにシート状物における粘着層の粘着成分が付着することを抑制できる。
【0037】
本発明の上記第13の手段によれば、給電手段が定電流制御により給電を行う場合に比べて、端部の接触圧が低い一対の除電ロールにおいて接触圧の異なる部分が併存するにもかかわらずシート状物に対して除電むらが発生すること又は過剰な除電や逆極性への帯電が発生することを抑制できる。
【0038】
本発明の上記第14の手段によれば、除電装置が第二除電手段を備えず第一除電手段のみを備える構成である場合に比べて、第一除電手段による除電後にシート状物上に電荷が不均一に残る場合でも、その不均一な電荷を除電することができる。
【0039】
本発明の上記第15の手段によれば、層と層の間に粘着層を有するシート状物に対して互いに接触し合う一対の除電ロールどうしが一定の接触圧で接触する場合に比べて、一対の除電ロールにシート状物の両端からはみ出る粘着層の粘着成分が付着することを抑制できる。
【0040】
本発明の上記第16の手段によれば、層と層の間に粘着層を有するシート状物に対して接触型帯電手段における互いに接触し合う一対の除電ロールどうしが一定の接触圧で接触する場合に比べて、一対の除電ロールにシート状物の両端からはみ出る粘着層の粘着成分が付着することを抑制できる。
【0041】
本発明の上記第17の手段によれば、除電装置において層と層の間に粘着層を有するシート状物を一対の除電ロールの間を通過させるときであっても、かかるシート状物の幅方向の全域に対して互いに接触し合う一対の除電ロールが一定の接触圧で接触する場合に比べて、そのシート状物の両端からはみ出る粘着層の粘着成分が除電ロールに付着することを抑制でき、最終的に、シート状物に不要な電荷が存在することによる不具合の発生が回避される。
【0042】
本発明の上記第18の手段によれば、除電装置が接触型除電手段のみで構成されている場合に比べて、接触型除電手段による除電で生じたシート状物上の不均一な電荷を除電することができ、最終的に、シート状物に不要な電荷が存在することによる不具合の発生が回避される。
【0043】
本発明の上記第19および第20の手段によれば、シート状物として層と層の間に粘着層を有するシート状物を一対の除電ロールの間を通過させるときであっても、かかるシート状物の幅方向の全域に対して互いに接触し合う一対の除電ロールが一定の接触圧で接触する場合に比べて、そのシート状物の両端からはみ出る粘着層の粘着成分が除電ロールに付着することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】(A)は実施の形態1に係る除電装置の全体の概念図、(B)は(A)の除電装置の一部である一対の除電ロールの概念図である。
【
図2】(A)は
図1(B)の除電ロールにおけるQ1-Q1線に沿う概略断面図、(B)はシート状物の概略断面図である。
【
図3】
図1の除電装置の動作の状態を示す説明図である。
【
図4】(A)は
図1の除電装置における一対の除電ロールの変形例1の概念図、(B)は
図1の除電装置における一対の除電ロールの変形例2の概念図である。
【
図5】(A)は実施の形態2に係る除電装置の全体の概念図、(B)は(A)の除電装置の一部である一対の除電ロールの概念図である。
【
図6】
図5の除電装置の動作の状態を示す説明図である。
【
図7】(A)は
図5の除電装置における一対の除電ロールの変形例3の概念図、(B)は
図5の除電装置における一対の除電ロールの変形例4の概念図である。
【
図8】(A)は実施の形態3に係る除電装置の全体の概念図、(B)は(A)の除電装置の一部である一対の除電ロールの概念図である。
【
図9】
図8の除電装置の一形態における動作の状態を示す説明図である。
【
図10】
図8の除電装置の別形態における動作の状態を示す説明図である。
【
図11】実施の形態4に係る除電装置を備えた画像形成装置の概念図である。
【
図12】
図11の画像形成装置における像形成部の概念図である。
【
図13】(A)は
図12の像形成部の変形例の概念図、(B)は(A)の像形成部と除電装置との関係を示す説明図である。
【
図14】(A)は実施の形態5に係る除電装置の一動作の状態を示す概念図、(B)は(A)の除電装置の他の動作の状態を示す概念図である。
【
図15】(A)は実施の形態6に係る除電装置の一動作の状態を示す概念図、(B)は(A)の除電装置の他の動作の状態を示す概念図である。
【
図16】実施の形態7に係る除電装置の一動作の状態を示す概念図である。
【
図17】比較対象の除電装置における一対の除電ロールとその除電動作の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0046】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る除電装置1Aの全体および一部を示す概念図である。
本明細書および図面においては実質的に同一の構成要素に対して同一の符号を付し、また本明細書ではその同一の構成要素の重複説明を省略する。
【0047】
(1-1)除電装置の基本構成
除電装置1Aは、シート状物9に帯電した電荷(帯電量)を減少させる除電を行う除電機能を有する装置である。
実施の形態1に係る除電装置1Aは、
図1(A)に内部を透視した状態で示されるように、筐体10内に、第一除電手段2と、第二除電手段3と、シート状物9を搬送する搬送路15等が配置されている。
【0048】
シート状物9は、除電装置1A内を搬送させることが可能な用紙等のシート状の形態からなる媒体である。シート状物9は、除電装置1Aと組み合わせて使用される装置から筐体10の内部に送り込まれるか、除電装置1Aを単独で使用する場合は図示しない供給手段により筐体10の内部に送り込まれる。
シート状物9については、実施の形態1をはじめ後述する他の実施の形態においても、除電を必要としかつ後述する粘着層(93)を有するシート状物9Aを中心にして説明する。
【0049】
筐体10は、各種の支持材、外装材等の材料を用いて組み立てられる箱状の構造体である。筐体10は、シート状物9を内部空間に導入する導入口10aと、シート状物9を外部に排出する排出口10bが形成されている。
筐体10は、除電装置1Aを単体で外部に露出させた状態で使用する場合に必要になる。このため、筐体10は、除電装置1Aを他の装置の筐体内に配置して使用する場合には省略することができる。
【0050】
(1-2)第一除電手段
第一除電手段2は、シート状物9を挟むように通過させて除電する一対の除電ロール20と、一対の除電ロール20の少なくとも一方の除電ロールに除電用の電圧を供給する給電手段の一例である電源装置23とを備えている。
【0051】
一対の除電ロール20は、2つの除電ロール21,22を組み合わせて使用されるものである。
また、一対の除電ロール20は、後述する実施の形態3における一対の除電ロール20Cの例外を除いて、2つの除電ロール21,22をその軸方向Jにほぼ揃えて接触させた状態で回転可能に支持されている。
【0052】
2つの除電ロール21,22はいずれも、
図2(A)に示されるように、軸201と、軸201の所定の部分に設けるロール本体202とで構成されている。
軸201は、導電性を有するものであり、例えば金属等の材料で形成されている。
ロール本体202は、軸201の外周に設ける弾性層203と、弾性層203の表面に設ける保護層204とで構成されている。
弾性層203は、例えば、ゴム等の基材に導電材を配合してなる層であり、電気抵抗率が10
4Ω・cmから10
10Ω・cm程度の範囲に調製されている。保護層204は、例えば、フッ素系樹脂等の材料で形成される層である。なお、保護層204は省略しても構わない。
【0053】
また、一対の除電ロール20は、その少なくとも一方の除電ロール21が電動モータから動力伝達機構を介して回転動力を受けて所要の方向に所要の速度で回転駆動する。また、その他方の除電ロール22は、例えば、回転駆動する一方の除電ロールに接して従動回転する。
【0054】
さらに、一対の除電ロール20は、2つの除電ロール21,22のロール本体202どうしが所要の接触圧P1で接触し合うように軸201どうしの距離(軸間距離)が設定されている。このため、一対の除電ロール20は、2つの除電ロール21,22のロール本体202どうしが接触し合う部分NP(
図3等を参照)が、回転する方向に対して所要の幅で弾性変形した状態になる。接触圧Pは、ロール本体202どうしが接触し合う部分NPにおける圧力である。
【0055】
電源装置23は、
図1(A)に示されるように、一対の除電ロール20における一方の除電ロール21の軸201に、除電の動作時期になると、除電用の電圧として直流の電圧、又は直流に交流を重畳してなる電圧を供給する。この場合、一対の除電ロール20における他方の除電ロール22の軸201は、アース処理されている。
また、電源装置23は、出力電圧が一定になるよう制御される定電圧制御により、除電用の電圧を給電している。
【0056】
(1-3)第二除電手段
第二除電手段3は、第一除電手段2で除電された後のシート状物9を接触しない状態(非接触の状態)で除電する手段である。このため、第二除電手段3は、
図1(A)に示されるように、シート状物9の搬送方向Eにおいて第一除電手段2よりも下流側の位置に配置される。
第二除電手段3は、非接触の状態で除電する非接触除電器30と、非接触除電器30に除電用の電圧を供給する給電手段の一例である電源装置33とを備えている。
非接触除電器30は、第一除電手段2で除電された後のシート状物9の片面に対して所要の間隔をあけて向き合うように配置される。
【0057】
非接触除電器30は、例えば、コロトロン方式又はスコロトロン方式のコロナ放電器で構成されている。非接触除電器30であるコロナ放電器は、その放電ワイヤがシート状物9の搬送時の幅方向の全域に対してほぼ平行して存在する状態になるよう配置される。シート状物9の搬送時の幅方向は、一対の除電ロール20の軸方向Jとほぼ平行する方向でもある。
【0058】
電源装置33は、除電の動作時期になると、非接触除電器30のコロナ放電器における放電ワイヤに除電用の電圧として交流の電圧を供給する。
電源装置33は、第二除電手段3の独立した給電手段として配置してもよいが、第一除電手段2における電源装置23と共通化させた1つの給電手段として構成してもよい。
【0059】
(1-4)搬送路
搬送路15は、シート状物9を筐体10の内部において第一除電手段2の一対の除電ロール20と第二除電手段3をこの順に通過させるように搬送する部分である。
また、搬送路15は、複数の搬送ロール対16,17,18と図示しない搬送ガイド等で構成されている。
【0060】
搬送ロール対16,17,18はいずれも、接触して回転する2つの搬送ロールによりシート状物9を挟むようにして搬送するものである。
また、搬送ロール対16,17,18を構成する2つの搬送ロールはいずれも、図示しない軸に間隔をあけて複数のロール本体を取り付けた構造になっている。また、その2つの搬送ロールは、一方の搬送ロールが回転動力を受けて所要の方向に所要の速度で回転駆動し、他方のロールが一方の搬送ロールに接触して従動回転するようになっている。
【0061】
実施の形態1では、搬送ロール対16が、シート状物9の搬送方向Eにおいて第一除電手段2の一対の除電ロール20よりも上流側に最初に配置される上流側の搬送ロール対16になっている。また、搬送ロール対16は、導入口10aを通して送り込まれるシート状物9を筐体10の内部に搬入する搬送ロール対にもなっている。
搬送ロール対17は、その搬送方向Eにおいて一対の除電ロール20よりも下流側に最初に配置される下流側の搬送ロール対17である。また、搬送ロール対17は、その搬送方向Eにおいて第二除電手段3よりも上流側に最初に配置される搬送ロール対にもなっている。
搬送ロール対18は、その搬送方向Eにおいて第二除電手段3よりも下流側に最初に配置されている。また、搬送ロール対18は、シート状物9を筐体10の内部から外部に排出口10bを通して搬出する搬送ロール対になっている。
【0062】
(1-5)シート状物と不具合
実施の形態1に係る除電装置1Aにおいては、シート状物9として、
図2(B)に例示されるように、多層構造であって層と層の間(層間)に粘着層93を有するシート状物9Aが適用される。一方、除電装置1Aは、シート状物9として、粘着層93を有していないシート状物9B(
図12参照)を適用することも可能である。
【0063】
図2(B)に例示するシート状物9Aは、基材91に粘着層93を介して本体層92が積層されたシート材である。基材91は、使用の最終段階で剥離される剥離層や台紙である。本体層92は、画像等の各種情報を記録することが可能な層又は各種情報が記録された層である。
このようなシート状物9Aは、例えば、ラベル用シート、シール用シート等の用途として使用されている。シート状物9Aは、4層以上の多層構造のものであってもよい。また、シート状物9Aは、規定の形状および大きさからなるものであっても、あるいは、一方向に長い長尺な連続物であって最後に裁断して所要の大きさに分割した状態で使用するものであってもよい。
【0064】
ここで、一対の除電ロール20として、
図17に示されるように、シート状物9Aの幅方向の全域に対して互いに所要の接触圧P1で接触し合う一対の除電ロール20Dを適用した除電装置においては、次の不具合がある。
一対の除電ロール20Dは、ロール本体202Dの軸方向Jの長さL1がシート状物9Aの搬送時における最大の幅W1よりも長いロール本体202Dを備えた2つの除電ロール21D,22Dを、接触圧Pが所要の接触圧P1になるように接触させて配置したものである。
【0065】
上記不具合とは、一対の除電ロール20Dにおける除電ロール21D,22Dどうしが接触する部分NPにシート状物9Aを通過させて除電した場合、そのシート状物9Aの両端9e,9eから粘着層93の粘着成分がはみ出して除電ロール21D,22Dに転移することにより付着することである。
この粘着成分が付着した一対の除電ロール20Dでは、その粘着成分が付着した部分の除電性能が他の部分の除電性能と異なってしまい、除電むらが発生しやすくなる。
【0066】
(1-6)一対の除電ロール
そこで、除電装置1Aでは、一対の除電ロール20として、
図1(B)や
図3に示されるように、その軸方向Jの端部202d,202eの接触圧P2,P3が当該端部以外の部分である内側部分202cの接触圧P1よりも低くなるよう構成された一対の除電ロール20Aを採用している。
【0067】
上記端部の接触圧が低い一対の除電ロール20Aは、
図1(B)に示されるように、2つの除電ロール21,22として、端部202d,202eの外径D2,D3,D5,D6が内側部分202cの外径D1,D4よりもそれぞれ小さい形状からなるロール本体202Aを備えた除電ロール21A,22Aにより構成されている。
【0068】
除電ロール21Aと除電ロール22Aは、例えば、そのロール本体202Aにおける各内側部分202cの外径D1,D4が互いに同じ寸法に設定されている。また、内側部分202cは、その外径D1,D4が軸方向Jにおいてそれぞれ一定になっている。なお、軸201については、そのいずれも同じ外径からなる円柱のものが適用されている。
除電ロール21Aの端部202d,202eは、その各外径D2,D3が内側部分202cから外側に離れるにつれて次第に小さくなる斜面形状になっている。また、除電ロール22Aの端部202d,202eについても、その各外径D5,D6が内側部分202cから外側に離れるにつれて次第に小さくなる斜面形状になっている。
【0069】
除電ロール21A,22Aにおけるロール本体202Aの端部202d,202eはいずれも、除電時において最大幅W1からなるシート状物9Aの両端9e,9eが接触して通過することが可能な軸方向Jの長さからなる領域である。
また、除電ロール21Aの端部202d,202eは、例えば、シート状物9Aの両端9e,9eが通過することを想定している部分における接触圧P2,P3が所要の低い圧力にする観点から、その外径D2,D3等の条件が選定される。
【0070】
一対の除電ロール20Aは、
図1(B)や
図3に示されるように、除電ロール21A,22Aにおける各ロール本体202Aの内側部分202cが所要の接触圧P1になるように接触させて使用される。
このとき、除電ロール21A,22Aにおける各ロール本体202Aの内側部分202cは、弾性変形して回転方向に所定の幅で接触し合った状態になり、シート状物9を通過させるための接触する部分NPを形成する。
またこのとき、除電ロール21A,22Aにおける各ロール本体202Aの端部202d,202eは、
図3に示されるように、互いに弾性変形して接触し合った状態になり、シート状物9の端部9e,9eを通過させるための接触する端部部分NPeを形成する。
【0071】
また、一対の除電ロール20Aでは、除電ロール21A,22Aの端部202d,202eが内側部分202cの外径D1,D4よりも小径の外径D2,D3,D5,D6であるため、
図3に示されるように、その端部202d,202eの接触圧P2,P3が内側部分202cの接触圧P1よりも低くなる。
つまり、端部202d,202eの接触圧P2,P3は、接触圧P1に対して「0<P2<P1」と「0<P3<P1」という不等号大小関係になる。このとき接触圧P2,P3は、ロール本体202Aの内側部分202cから離れる位置になるにつれて次第に小さくなる。またこのとき接触圧P2,P3どうしは、同じであるが、わずかに異なっていても構わない。
また、端部202d,202eの接触圧P2,P3は、例えば、その内側部分202cの接触圧P1に対して0倍を除く0.8倍以下の範囲の圧力であることが好ましい。
【0072】
さらに、一対の除電ロール20Aは、除電ロール21A,22Aのロール本体202Aの内側部分202cの接触する部分NPの接触圧P1を、上流側の搬送ロール対16の接触圧よりも低くすることが好ましい。つまり、除電ロール21A,22Aのロール本体202Aの軸方向Jの全域の接触圧(P1,P2,P3のすべて)は、上流側の搬送ロール対16の接触圧よりも低いことが好ましい。
【0073】
(1-7)除電装置の動作等
除電装置1Aは、除電動作の時期が到来すると、第一除電手段2における一対の除電ロール20Aや複数の搬送ロール対16,17,18が回転始動する。また、第一除電手段2では、一対の除電ロール20Aにおける除電ロール21Aに対して電源装置23から所要の電圧が供給される。さらに、第二除電手段3では、非接触除電器30に対して電源装置33から所要の電圧が供給される。
【0074】
続いて、除電装置1Aは、帯電して除電対象になるシート状物9Aが筐体10の内部に送り込まれると、そのシート状物9Aが搬送路15を通して第一除電手段2と第二除電手段3をこの順番で通過するように搬送されながら除電される。
【0075】
第一除電手段2では、シート状物9Aが、上流側の搬送ロール対16により一対の除電ロール20Aの接触する部分NPおよび端部部分NPeに導入されて通過させられる。この際、一対の除電ロール20Aを構成する除電ロール21A,22Aの接触する部分NPおよび端部部分NPeの各前後における微小な空隙では、除電ロール21Aとシート状物9Aとの間で放電がそれぞれ発生する。
【0076】
これにより、除電ロール21Aからは、帯電したシート状物9Aの表面における電荷の極性(例えばマイナス極性)とは逆極性の電荷が付与される。この結果、その付与された逆極性の電荷の付与量分だけシート状物9Aの表面上の電荷が減少する。また、このときシート状物9Aの裏面では、誘電分極した極性の電荷が消失して減少する。
【0077】
したがって、シート状物9Aは、第一除電手段2の一対の除電ロール20Aを挟まれるよう通過するときに除電される。
なお、一対の除電ロール20Aを通過したシート状物9Aは、下流側の搬送ロール対17により第二除電手段3にむけて搬送される。
【0078】
また、一対の除電ロール20Aは、ロール本体202Aにおける内側部分202cの外径D1,D4がそれぞれ一定である。
このため、一対の除電ロール20Aでは、端部の接触圧が低い一対の除電ロール20Aとしてそのロール本体202における内側部分の外径D1,D4が漸増するものを採用する場合に比べると、シート状物9Aの搬送時の幅方向における端部以外の内側部分における除電が均一に行われやすくなる。
【0079】
さらに、一対の除電ロール20Aは、除電ロール21A,22Aにおけるロール本体202Aどうしの接触圧Pが内側部分202cの接触圧P1と両端部202d、202eの接触圧P2,P3とが異なる関係にある。
しかし、一対の除電ロール20Aでは、その一方の除電ロール21に電源装置23から定電圧制御により除電用の電圧が給電される。
このため、一対の除電ロール20Aでは、接触圧Pが接触圧P1と接触圧P2,P3というように異なる部分が併存するが、電源装置23が定電流制御により給電を行う場合に比べると、シート状物9Aに対して除電むらが発生するか又は過剰な除電や逆極性への帯電が発生することが抑制される。
このときの除電むらは、一対の除電ロール20Aのうち接触圧P2,P3の部分のなかでも接触圧Pが異なることにより発生するおそれがある。しかし、一対の除電ロール20Aでは、この除電むらも定電流制御による給電により抑制される。
【0080】
次いで、第二除電手段3では、シート状物9Aが下流側の搬送ロール対17と搬送ロール対18により、非接触除電器30の下方を非接触の状態で通過させられる。この際、第二除電手段3の非接触除電器30においてコロナ放電により生じたイオンがシート状物9Aの表面に供給される。
【0081】
これにより、第一除電手段2を通過した後のシート状物9Aは、その表面に電荷が不均一に残る場合でも、その不均一な電荷が付与されるイオンにより除電される。この結果、そのシート状物9Aは、表面電位のばらつき量が抑制される。
したがって、このように第一除電手段2を通過した後のシート状物9Aは、第二除電手段3を通過することにより、第一除電手段2の除電のみが行われる場合に比べると、均一な除電が可能になる。
【0082】
そして、除電装置1Aにおいては、粘着層93を有するシート状物9Aを第一除電手段2による一対の除電ロール20Aを通過させて除電する場合、
図3に示されるように、そのシート状物9Aの両端9e,9eが、一対の除電ロール20Aを構成する除電ロール21A,22Aのロール本体202Aにおける端部202d、202eに接触して通過する。
この際、除電ロール21A,22Aでは、そのロール本体202Aの端部202d、202eどうしが接触圧P2,P3で接触する端部部分NPeにおいてシート状物9Aの両端9e,9eに与える圧力が、ロール本体202Aにおける内側部分202cどうしが接触圧P1で接触する部分NPにおいて当たる圧力よりも相対的に小さくなる。
【0083】
これにより、一対の除電ロール20Aでは、粘着層93を有するシート状物9Aが通過して除電される場合であっても、そのシート状物9Aの両端9e,9eやその近傍の部分が粘着層93の粘着成分がはみ出るような圧力を受けることが低減される。
この結果、除電装置1Aでは、シート状物9Aの幅方向の全域に対して互いに接触し合う一対の除電ロール20Dが一定の接触圧で接触する場合(
図17参照)に比べると、そのシート状物9Aの両端9e,9eからはみ出る粘着層93の粘着成分が除電ロール21A,22Aのロール本体202Aに付着することが抑制される。
【0084】
ちなみに、端部の接触圧が低い一対の除電ロール20Aについては、除電ロール21A,22Aのロール本体202Aの内側部分202cの接触する部分NPの接触圧P1を、上流側の搬送ロール対16の接触圧よりも低くなるように構成してもよい。この場合は、その一対の除電ロール20Aでは、シート状物9Aにおける粘着層93の粘着成分が付着することがより抑制されやすくなる。
【0085】
また、一対の除電ロール20Aについては、接触圧Pが接触圧P1よりも相対的に低い接触圧P2,P3の部分では除電むらが発生するおそれがある。この対策としては、例えば、一対の除電ロール20Aのうち接触圧P2,P3になる部分の弾性層203の電気抵抗率を接触圧P1になる部分の弾性層203の電気抵抗率よりも低くすることが有効である。また、一対の除電ロール20Aのうち接触圧P2,P3になる部分の保護層204を削除する。
一対の除電ロール20Aは、これらの対策を採用することにより、その接触圧P2,P3になる部分の電気抵抗が相対的に下がって除電性能を相対的に高めることができる。
【0086】
さらに、シート状物9Aは、最大幅W1よりも狭い幅のものであっても、一対の除電ロール20Aにおける端部202d、202eどうしが接触圧P2,P3で接触する端部部分NPeに両端9e,9eが接触する幅のものであれば、粘着層93の粘着成分が除電ロール21A,22Aに付着することが抑制される。
【0087】
(1-8)一対の除電ロールの変形例1
除電装置1Aにおける一対の除電ロール20Aとしては、
図4(A)に示されるように、接触圧P2,P3が低い端部202d、202eの軸方向Jの長さ(幅)が広めのロール本体202Eからなる除電ロール21E,22Eにより構成される変形例1の一対の除電ロール20Aを採用してもよい。
軸方向の長さが広めの端部202d、202eは、例えば、内側部分202cの軸方向Jの長さと同じか又はそれ以上の長さである。
【0088】
このような除電ロール21E,22Eからなる変形例1の一対の除電ロール20Aを適用した場合は、
図4(A)に示されるように、最大幅W1のシート状物9Aaよりも狭い幅W2(<W1)のシート状物9Abを適用したときでも、そのシート状物9Abの両端9e,9eを接触圧P2,P3が低い端部202d、202eの接触する端部部分NPeを通過させて除電することができる。つまり、除電装置1Aは、搬送時の幅Wが異なる複数種のシート状物9Aを適用しやすい除電装置になる。
【0089】
(1-9)一対の除電ロールの変形例2
除電装置1Aにおける一対の除電ロール20Aとしては、
図4(B)に示されるように、接触圧P1の内側部分202cの軸方向Jの長さがほぼなく、接触圧P2,P3が低い端部202d、202eのみを有するロール本体202Fからなる除電ロール21F,22Fにより構成される変形例2の一対の除電ロール20Aを採用してもよい。
このときのロール本体202Fは、クラウン形状のロール体になる。
【0090】
このような除電ロール21F,22Fからなる変形例2の一対の除電ロール20Aを適用した場合は、変形例1の一対の除電ロール20Aを適用した場合に比べると、搬送時の幅Wが異なる複数種のシート状物9Aを適用しやすい除電装置1Aにすることが可能になる。
【0091】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る除電装置1Bの全体および一部を示す概念図である。
(2-1)除電装置の基本構成
実施の形態2に係る除電装置1Bは、
図5(A)に示されるように、第一除電手段2における一対の除電ロール20として、実施の形態1における一対の除電ロール20Aに代えて異なる構成からなる一対の除電ロール20Bを採用して変更した以外は実施の形態1に係る除電装置1A(
図1等)と同じ構成からなるものである。
【0092】
(2-2)一対の除電ロール
一対の除電ロール20Bは、シート状物9Aの幅方向の端部9e,9eと接触しないよう構成された一対の除電ロールである。
実施の形態2における一対の除電ロール20Bは、
図5(B)に示されるように、その軸方向Jの長さがシート状物9Aの最大幅W1よりも短いロールとして構成されている。つまり、一対の除電ロール20Bは、軸方向Jの長さがシート状物9Aの最大幅W1よりも短いロール本体202Bを有する除電ロール21B,22Bを、そのロール本体202Bで接触させるものである。
短くする長さは、ロール本体202Bがシート状物9Aの幅方向の端部9e,9eと接触するおそれのない長さであればよい。
【0093】
また、上記シート状物9Aの端部と接触しない一対の除電ロール20Bは、
図5(B)や
図6に示されるように、除電ロール21B,22Bにおける各ロール本体202Bが所要の接触圧P1になるように接触させて使用される。
このとき、除電ロール21B,22Bにおける各ロール本体202Bは、弾性変形して回転方向に所定の幅で接触し合った状態になり、シート状物9を通過させるための接触する部分NPを形成する。
【0094】
さらに、シート状物9Aの端部と接触しない一対の除電ロール20Bは、除電ロール21B,22Bにおける各ロール本体202Bの接触する部分NPの接触圧P1を、上流側の搬送ロール対16の接触圧よりも低くすることが好ましい。
【0095】
(2-3)除電装置の動作等
除電装置1Bは、除電動作の時期が到来して除電対象になるシート状物9Aが筐体10の内部に送り込まれると、そのシート状物9Aが搬送路15を通して第一除電手段2と第二除電手段3をこの順番で通過するように搬送されながら、以下の相違する点を除いて実施の形態1に係る除電装置1Aの場合とほぼ同様にして除電される。
この際、第一除電手段2による除電が行われるのは、シート状物9Aのうち第一除電手段2における一対の除電ロール20Bの除電ロール21B,22Bのロール本体202Bに接触して通過する部分に限られる。
【0096】
そして、除電装置1Bにおいては、粘着層93を有するシート状物9Aを第一除電手段2による一対の除電ロール20Bを通過させて除電する場合、
図6に示されるように、そのシート状物9Aの両端9e,9eが、一対の除電ロール20Bを構成する除電ロール21B,22Bのロール本体202Bに接触することなく通過する。
これにより、一対の除電ロール20Bでは、粘着層93を有するシート状物9Aが通過して除電される場合であっても、そのシート状物9Aは、その両端9e,9eやその近傍の部分に対して粘着層93の粘着成分がはみ出るような圧力を受けることがない。
【0097】
この結果、除電装置1Bでは、粘着層93を有するシート状物9Aの幅方向の全域に対して互いに接触し合う一対の除電ロール20Dが一定の接触圧で接触する場合(
図17参照)に比べると、そのシート状物9Aの両端9e,9eからはみ出る粘着層93の粘着成分が除電ロール21B,22Bのロール本体202Bに付着することが抑制される。
【0098】
ちなみに、一対の除電ロール20Bについて、除電ロール21B,22Bのロール本体202Bの接触する部分NPの接触圧P1を上流側の搬送ロール対16の接触圧よりも低くなるよう構成した場合は、次のようになる。
すなわち、この場合の一対の除電ロール20Bは、接触圧P1が上流側の搬送ロール対16の接触圧よりも低いものになるが、シート状物9Aに対する搬送能力が維持されつつ、一対の除電ロール20Bにシート状物9Aにおける粘着層93の粘着成分が付着することが抑制されやすくなる。
【0099】
また、除電装置1Bでは、シート状物9A(シート状物9Bも含む)のうち一対の除電ロール20Bに接触しない端部が除電されない。この場合の対応としては、その端部が無くても問題ない部分であれば、その端部を最終的に切断して除去するという対応が可能である。また、そのように除電されない端部は、像形成部50においてトナーからなる画像が形成されないことがあって帯電されないこともあるので、その端部を除電する必要がない場合もある。
【0100】
さらに、シート状物9Aは、その搬送時における幅Wが最大幅W1よりも狭い幅からなるものであっても、一対の除電ロール20Bにおける除電ロール21B,22Bのロール本体202Bに接触しないで通過する幅のものであれば、その粘着層93の粘着成分が除電ロール21B,22Bに付着することが抑制される。
【0101】
(2-4)一対の除電ロールの変形例3
除電装置1Bにおける一対の除電ロール20Bとしては、
図7(A)に示されるように、ロール本体202Bの両側にロール本体202Bの外径D1,D4よりも小さい外径D7,D8からなる小径の端部ロール体202Nを配置した除電ロール21B,22Bにより構成する変形例3の一対の除電ロール20Bを採用してもよい。
端部ロール体202Nの外径D7,D8は、一対の除電ロール20Bを挟まれるように通過するシート状物9Aの両端9e,9eが接触しない寸法であれば特に限定されない。
【0102】
このような小径の端部ロール体202Nを配置した除電ロール21B,22Bからなる変形例3の一対の除電ロール20Bでは、
図7(A)に示されるように、第一除電手段2による除電が行われるときに、小径の端部ロール体202Nがシート状物9Aの両端9e,9eに接近した状態になる。
このため、変形例3の一対の除電ロール20Bを適用した場合は、シート状物の両端と接触しない一対の除電ロール20Bとしてその端部に小径の端部ロール体202Nが配置されないものを採用する場合に比べると、シート状物9Aの搬送時の幅方向の両端9eの近傍の端部がわずかに除電される可能性がある。
【0103】
(2-5)一対の除電ロールの変形例4
除電装置1Bにおける一対の除電ロール20Bとしては、
図7(B)に示されるように、上記ロール本体202Bからなる除電ロール21Bと軸方向Jの長さがシート状物9Aの最大幅W1よりも長い除電ロール22Bで構成される変形例4の一対の除電ロール20Bを採用してもよい。
【0104】
このような除電ロール21B,22Bからなる変形例4の一対の除電ロール20Bを採用した場合は、除電ロール22Bを適用しない一対の除電ロール20B(
図5(B)参照)を採用した場合に比べると、第一除電手段2による除電を行うとき、シート状物9Aをその両端部も含めて除電ロール22Bにより下方から支えて安定した搬送を行うことができる。
【0105】
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3に係る除電装置1Cの全体および一部を示す概念図である。
(3-1)除電装置の基本構成
実施の形態3に係る除電装置1Cは、
図8(A)に示されるように、第一除電手段2における一対の除電ロール20として、実施の形態1における一対の除電ロール20Aに代えて異なる構成からなる一対の除電ロール20Cを採用して変更した以外は実施の形態1に係る除電装置1A(
図1等)と同じ構成からなるものである。
【0106】
(3-2)一対の除電ロール
一対の除電ロール20Cは、互いに接触しない非接触の状態で配置された除電ロール21C,22Cにより構成された一対の除電ロールである。
実施の形態3における一対の除電ロール20Cは、
図8(B)に示されるように、双方の除電ロール21C,22Cの間隙Kを保持する間隙保持部材24,25により非接触の状態に保たれている。
【0107】
間隙保持部材24,25としては、例えば、除電ロール21C,22Cの外径D1,D4からなるロール本体202Cの両端に配置され、外径がロール本体202Cの外径D1,D4よりも所要の寸法だけ大きい円盤からなる部材が適用される。円盤からなる間隙保持部材24,25は、ロール本体202Cの両端に固定して配置されるとともに、互いに接触するように配置される。
一対の除電ロール20Cにおける除電ロール21C,22Cのロール本体202Cは、その軸方向Jの長さがシート状物9Aの最大幅W1よりも長い寸法になっている。
【0108】
上記非接触の状態で配置された一対の除電ロール20Cは、
図8(B)等に示されるように、円盤からなる間隙保持部材24,25により、除電ロール21C,22Cのロール本体202Cが間隙Kを形成して向き合う状態にされて使用される。
このとき、除電ロール21C,22Cにおけるロール本体202Cどうしは、接触し合うことがなく、所要の間隔Sからなる間隙Kを形成する。
【0109】
間隙Kの間隔Sは、
図9に例示されるようにシート状物9Aの厚さTよりも大きい寸法S1になる場合(S1>T)と、
図10に例示されるようにシート状物9Aの厚さT以下の小さい寸法S2になる場合(S2≦T)とがある。
この間隔Sについては、シート状物9Aを適用したときの一対の除電ロール20Cへの粘着成分の付着を抑制する観点からすると、シート状物9Aの厚さTよりも大きい寸法S1になる関係(S1>T)に設定することが好ましい。このような寸法S1に設定した場合であっても、シート状物9Aの厚さTの変動により、そのシート状物9Aの厚さTと同じか又は厚さT以下の寸法関係になることもある。
また、間隔Sについては、安定した除電性能を確保する観点からすると、シート状物9Aの厚さT以下の寸法S2になる関係(S2≦T)に設定するとよい。
【0110】
(3-3)除電装置の動作等
除電装置1Cは、除電動作の時期が到来して除電対象になるシート状物9Aが筐体10の内部に送り込まれると、そのシート状物9Aが搬送路15を通して第一除電手段2と第二除電手段3をこの順番で通過するように搬送されながら、以下の相違する点を除いて実施の形態1に係る除電装置1Aの場合とほぼ同様にして除電される。
【0111】
まず、
図9に例示されるように、間隙Kの間隔Sがシート状物9Aの厚さTよりも大きい寸法S1になる一対の除電ロール20Cを採用した除電装置1Cの動作について説明する。
【0112】
この場合の除電装置1Cにおける第一除電手段2では、シート状物9Aが一対の除電ロール20Cの除電ロール21C,22Cにおけるロール本体202Cの双方に接触しない状態で、又は一方の除電ロール21Cのロール本体202Cに接触しないが他方の除電ロール22Cのロール本体202Cに接触した状態で通過して除電が行われる。
図9は、シート状物9Aの表面9hが除電ロール21Cのロール本体202Cに接触せず、シート状物9Aの裏面9rが除電ロール22Cのロール本体202Cに接触する場合を例示している。
【0113】
この際、一対の除電ロール20Cを構成する除電ロール21C,22Cのロール本体202Cどうしが最も接近して向き合う部分(間隙Kやその前後)においてシート状物9Aとの間で形成される微小な空隙では、除電ロール21Cとシート状物9Aとの間で放電が発生する。
これにより、シート状物9Aは、第一除電手段2における一対の除電ロール20Cを挟まれるように通過するときに除電される。
【0114】
そして、
図9に例示する除電装置1Cにおいては、粘着層93を有するシート状物9Aを第一除電手段2による一対の除電ロール20Cを通過させて除電する場合、一対の除電ロール20Cを構成する除電ロール21C,22Cの双方又は一方と接触することなく通過する。
【0115】
この際、除電ロール21C,22Cは、
図9に示されるように、通過するシート状物9Aを押圧する押圧力Fがゼロ又はほぼゼロになる。
これにより、一対の除電ロール20Cでは、シート状物9Aが通過して除電を行う場合であっても、そのシート状物9Aは、その粘着層93の粘着成分がはみ出るような圧力を受けることがない。
【0116】
この結果、
図9に例示する除電装置1Cでは、シート状物9Aの幅方向の全域に対して互いに接触し合う一対の除電ロール20Dが一定の接触圧で接触する場合(
図17参照)に比べると、そのシート状物9Aの両端9e,9eからはみ出る粘着層93の粘着成分が除電ロール21C,22Cのロール本体202Cに付着することが抑制される。
【0117】
次に、
図10に例示されるように、間隙Kの間隔Sがシート状物9Aの厚さT以下の小さい寸法S2になる一対の除電ロール20Cを採用した除電装置1Cの動作について説明する。
【0118】
この場合の除電装置1Cにおける第一除電手段2では、
図10に示されるように、シート状物9Aが一対の除電ロール20Cの除電ロール21C,22Cにおけるロール本体202Cの双方に接触した状態で通過して除電が行われる。
【0119】
この際、除電ロール21C,22Cのロール本体202Cが最も接近して向き合う間隙Kの前後においてシート状物9Aとの間で形成される空隙では、除電ロール21Cとシート状物9Aとの間で放電がそれぞれ発生する。
これにより、シート状物9Aは、第一除電手段2の一対の除電ロール20Cを挟まるように通過するときに除電される。
【0120】
そして、
図10に例示する除電装置1Cにおいては、シート状物9Aを第一除電手段2による一対の除電ロール20Cを通過させて除電する場合、一対の除電ロール20Cを構成する除電ロール21C,22Cの双方に接触した状態で通過する。
【0121】
この際、除電ロール21C,22Cは、通過するシート状物9Aを押圧する押圧力Fとして、ある程度の大きさからなる押圧力F1を発生する。
一方、このときの押圧力F1は、
図10に示されるように、実施の形態1における一対の除電ロール20Aにおけるロール本体202Aで生成される接触圧P1よりも遥かに小さい圧力になる。
これにより、一対の除電ロール20Cでは、粘着層93を有するシート状物9Aが通過して除電を行う場合であっても、そのシート状物9Aは、接触圧P1に対応した圧力を受けるが、その粘着層93の粘着成分がはみ出るような強い圧力を受けることはない。
【0122】
この結果、
図10に例示する除電装置1Cでは、シート状物9Aの幅方向の全域に対して互いに接触し合う一対の除電ロール20Dが一定の接触圧で接触する場合(
図17参照)に比べると、そのシート状物9Aの両端9e,9eからはみ出る粘着層93の粘着成分が除電ロール21C,22Cのロール本体202Cに付着することが抑制される。
【0123】
実施の形態4.
図11は、本発明の実施の形態4に係る除電装置を備えた画像形成装置5の全体を示す概念図である。
(4-1)画像形成装置の基本構成
画像形成装置5は、シート状物9に画像を形成する像形成部50と、像形成部50で画像が形成された後のシート状物9を除電する除電装置1と、除電装置1で除電した後のシート状物9に所要の後処理を施す後処理装置8とを備えている。
【0124】
(4-2)除電装置の基本構成
除電装置1は、像形成部50を備えた画像形成装置5とは独立した外部の装置として接続されている。
また、除電装置1は、実施の形態1~3に係る除電装置1A,1B,1Cのいずれかの除電装置(
図1,
図5,
図8等を参照)で構成されている。
【0125】
(4-3)像形成部の構成
像形成部50は、例えば、情報端末機等の外部機器から接続して入力される画像情報に対応した画像を形成することが可能な装置として構成されている。また、像形成部50は、電子写真方式を利用した像形成部として構成されている。
【0126】
実施の形態4における像形成部50は、
図12に示されるように、未定着像の一例であるトナー像を形成する作像ユニット51と、作像ユニット51で形成されたトナー像を中継してシート状物9に転写する中間転写ユニット60と、トナー像をシート状物に定着する定着ユニット68と、シート状物供給ユニット70を備えている。
【0127】
作像ユニット51は、画像情報に基づいて現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成するよう構成された装置群である。
実施の形態4における作像ユニット51は、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)からなるトナー像を単独で専用に形成する作像ユニット51Y,51M,51C,51Kにより構成されている。
【0128】
作像ユニット51Y,51M,51C,51K(以後、51(Y,M,C,K)と略称することもある。)は、現像装置55で使用する現像剤(本例ではトナー)の色が上記Y,M,C,Kとして略記する色のいずれか1色であって互いに異なる以外は、ほぼ同様の構成になっている。
すなわち、作像ユニット51(Y,M,C,K)はいずれも、感光ドラム52を有し、その感光ドラム52の周囲に、帯電装置53、露光装置54、現像装置55、一次転写装置65、ドラム清掃装置57等の機器をそれぞれ配置している。
【0129】
また、作像ユニット51(Y,M,C,K)は、画像形成装置5の正面側から見たときに、左右の方向に所要の間隔をあけて直列状に並べた状態で配置されている。正面は、画像形成装置5の前側の面として扱われる面である。
図12では、作像ユニット51Kにおいて感光ドラム52、帯電装置53、露光装置54、現像装置55、一次転写装置65およびドラム清掃装置57の各符号を記載している。また、
図12では、それ以外の作像ユニット51(Y,M,C)に対しては感光ドラム52の符号のみを記載し、それ以外の符号の記載を省略している。
【0130】
感光ドラム52は、前後方向に沿って延びる図示しない回転軸線の周りを矢印で示す方向に回転するドラム形態の感光体である。
帯電装置53は、感光ドラム52の像形成面となる外周面を所要の表面電位に帯電させる装置である。帯電装置53は、例えば感光ドラム52の外周面の像形成域に接触させるとともに帯電電流が供給される帯電ロール等の帯電部材を備えて構成されている。
露光装置54は、感光ドラム52の帯電後の外周面に画像情報に基づく露光をして静電潜像を形成する装置である。
【0131】
現像装置55は、感光ドラム52の外周面に形成された静電潜像を対応する所定の色(Y,M,C,Kのいずれかの色)の現像剤により現像して未着像の一例であるトナー像にする装置である。
一次転写装置65は、作像ユニット51(Y,M,C,K)における各感光ドラム52の外周面に形成されたトナー像を中間転写ユニット60における中間転写ベルト61に転写させる装置である。一次転写装置65は、感光ドラム52の外周面に接触するとともに一次転写電流が供給される転写ロール等の転写部材を備えている。なお、一次転写装置65は、中間転写ユニット60を採用する場合、その中間転写ユニット60を構成する一部品としても扱われる。
ドラム清掃装置57は、感光ドラム52の外周面に付着する不要なトナー、紙粉等の不要物を除去して感光ドラム52の外周面を清掃する装置である。
【0132】
中間転写ユニット60は、作像ユニット51(Y,M,C,K)で形成された各トナー像を中間転写体に転写して一時的に保持した後にシート状物9に転写するよう構成された装置群である。
中間転写ユニット60は、中間転写体の一例である中間転写ベルト61、中間転写ベルト61を内周面から回転可能に支持する支持ロール62~64、一次転写装置65、二次転写装置66、ベルト清掃装置67等を備えている。また、中間転写ユニット60は、作像ユニット51(Y,M,C,K)の下方となる位置に存在するよう配置されている。
【0133】
中間転写ベルト61は、所要の幅および長さからなる環状に成形された帯状ベルトであり、その外周面がトナー像を静電的な作用で保持できる面になっている。
支持ロール62~64は、中間転写ベルト61をほぼ逆三角形の形態になるよう支持するとともに回転可能に支持する。
【0134】
支持ロール62,63は、中間転写ベルト61を作像ユニット51(Y,M,C,K)の各感光ドラム52を通過して左右の方向に面状に延びる転写面を形成するように支持する。支持ロール62は、例えば、中間転写ベルト61を矢印で示す方向に回転させる動力を付与する駆動ロールとして構成されている。
支持ロール64は、二次転写装置66と対峙する中間転写ベルト61の内周面を支持する二次転写背面ロールとして構成されている。
【0135】
一次転写装置65は、中間転写ベルト61を作像ユニット51(Y,M,C,K)の各感光ドラム52の一次転写を行う部位(一次転写位置)にそれぞれ押し当てるよう配置されている。
二次転写装置66は、中間転写ベルト61の外周面に一次転写されたトナー像をシート状物9に転写させる装置である。二次転写装置66は、中間転写ベルト61のうち支持ロール64に支持されている外周面に接触するとともに二次転写電流が供給される転写ロール、転写搬送ベルト等の転写部材を備えている。
ベルト清掃装置67は、中間転写ベルト61の外周面に付着する不要なトナー、紙粉等の不要物を除去して中間転写ベルト61の外周面を清掃する装置である。
【0136】
定着ユニット68は、中間転写ユニット60でシート状物9に二次転写されて保持される未定着のトナー像をシート状物9に定着させるよう構成された装置群である。定着ユニット68は、例えば、中間転写ユニット60における中間転写ベルト61の片側の斜め下方となる位置に存在するよう配置されている。
また、定着ユニット68は、箱状のハウジングの内部空間に、加熱用回転体、加圧用回転体等の機器を配置して構成されている。
【0137】
シート状物供給ユニット70は、中間転写ユニット60の二次転写を行う部位(二次転写位置TP)に供給すべきシート状物9を収容して供給するように構成された装置群である。シート状物供給ユニット70は、例えば、中間転写ユニット60の下方となる位置に配置されている。
また、シート状物供給ユニット70は、シート状物9を収容する2つの収容体71A、71Bと、収容体71A、71Bからシート状物9をそれぞれ1つずつ送り出す送出装置72A,72B等を備えている。
【0138】
シート状物9は、所定のサイズに予め裁断された記録シート、ラベル用シート等のシート状物である。収容体71の数については、特に限定されない。
収容体71Aには、シート状物9として、層間に粘着層93を有するシート状物9Aが収容されている。収容体71Bには、シート状物9として、層間に粘着層93を有しないシート状物9Bが収容されている。
【0139】
像形成部50では、シート状物9(9A,9B)をシート状物供給ユニット70から中間転写ユニット60の二次転写位置TPを経由して定着ユニット68を通過させた後に外部に排出する搬送路75が設けられている。
搬送路75は、複数の搬送ロール対76や搬送ベルト装置77や図示しない搬送ガイド材等を配置して構成されている。
【0140】
(4-4)後処理装置の基本構成
後処理装置8は、像形成部50により画像が形成されたシート状物9に対する所要の後処理を行う装置である。実施の形態4では、
図11や
図12に示されるように、後処理装置8が除電装置1の下流側に配置されている。
【0141】
後処理装置8は、シート状物9に対して折り処理、裁断処理、綴じ処理、揃え処理、穿孔処理、画像検査処理等の各種後処理のうちの少なくとも1以上を行うよう構成されている。複数の後処理を行う後処理装置8においては、その各後処理を行う場所にシート状物9を順番に搬送する図示しない搬送路が設けられている。
また、後処理装置8は、
図11に示されるように、例えば、後処理した後のシート状物9を排出して収容するトレイ、スタッカ等からなる排出収容部85が設けられている。
【0142】
(4-5)画像形成装置の動作
画像形成装置5は、外部機器等から画像を形成する動作の指令を図示しない制御手段が受けると、像形成部50において以下に説明する一連の基本的な像形成動作が行われる。
【0143】
まず、像形成部50では、作像ユニット51(Y,M,C,K)のいずれか1つにおいて帯電動作、露光動作、現像動作および清掃動作が実行され、また像形成部50の中間転写ユニット60において一次転写動作および二次転写動作が実行される。その一方で、像形成部50では、シート状物供給ユニット70と搬送路75においてシート状物9の供給動作が実行される。
これにより、像形成部50では、作像ユニット51(Y,M,C,K)のいずれか1つにおける感光ドラム52上にトナー像が形成された後、そのトナー像が中間転写ユニット60の中間転写ベルト61に主に静電作用により一次転写されてから、中間転写ベルト61にシート状物9に主に静電作用により二次転写される。
【0144】
続いて、像形成部50では、中間転写ユニット60でトナー像が二次転写されたシート状物9が搬送路75の搬送動作により定着ユニット68に導入されるよう搬送され、定着ユニット68において定着動作が実行される。
これにより、未定着のトナー像がシート状物9に定着される。
この定着が終了した後のシート状物9は、搬送路75の搬送動作により搬送された後、像形成部50の外部に接続された除電装置1にむけて排出される。
【0145】
以上により、画像形成装置5では、像形成部50において1枚のシート状物9の片面にトナーからなる画像を形成する基本的な画像形成動作が完了する。
この画像形成動作のうち、例えば、作像ユニット51(Y,M,C,K)のすべてにおいて作像動作が行われた場合は、4色(Y,M,C,K)のトナー像で構成されるフルカラーと称されるカラー画像が形成される。
【0146】
続いて、像形成部50により画像が形成されたシート状物9は、像形成部50から排出されて除電装置1に送り込まれる。
除電装置1では、シート状物9が搬送路15を経由して第一除電手段2と第二除電手段3をこの順に通過するよう搬送されて除電動作が行われる。
【0147】
そして、除電装置1は、上述したように実施の形態1~3に係る除電装置1A,1B,1Cのいずれかの除電装置で構成されているので、その除電動作は実施の形態1~3において説明した通りの内容で行われる。
【0148】
続いて、除電装置1により除電された後のシート状物9は、除電装置1から排出され、後処理装置8に送り込まれる。
後処理装置8では、所要の後処理が行われる。
また、後処理装置8では、後処理が終了した後のシート状物9が排出収容部85に積み重ねた状態で順次収容される。
【0149】
以上により、画像形成装置5による各動作が終了する。
【0150】
ここで、画像形成装置5においては、像形成部50により画像が形成されたシート状物9の表面が帯電されていることが多い。例えば、シート状物9は、中間転写ユニット60の二次転写位置TPにおいて主に静電作用によりトナー像がシート状物9に二次転写されるときに帯電されやすくなる。また、特に合成樹脂等の高抵抗の誘電体を含むシート状物9は、帯電する電荷量が増える傾向にある。さらに、表面が帯電したシート状物9は、誘電分極により裏面に逆極性の電荷が誘起される。
そして、このように帯電したシート状物9は、互いに静電引力により吸着しやすくなり、重なり合った状態になってしまう等の不具合が発生する。
また、シート状物9がこのように重なり合った状態になった場合は、後処理装置8において正常な後処理が行うことができないことがある。また、後処理装置8において画像検査処理を後処理として行う場合には、画像検査処理における画像の読み取り、表面電位の検査等の検査を行うときにノイズが発生し、正常な検査結果が得られないこともある。
【0151】
この点、画像形成装置5では、除電装置1を像形成部50の下流側でかつ後処理装置8の上流側に配置しているので、像形成部50により画像が形成されたシート状物9を除電装置1により除電した後に後処理装置8に送り込むことができる。
これにより、画像形成装置5によれば、最終的に、シート状物9に不要な電荷が存在することによる不具合が発生することが回避される。
【0152】
また、画像形成装置5では、シート状物9として層間に粘着層93を有するシート状物9Aを適用した場合であっても、実施の形態1~3において説明したように、除電装置1の第一除電手段2においてシート状物9Aの両端からはみ出る粘着層93の粘着成分が一対の除電ロール20に付着することが抑制される。
これにより、画像形成装置5では、シート状物9Aを適用した場合でも、除電装置1において一対の除電ロール20に粘着成分が付着することに起因した除電性能の低下が発生することを回避することができる。
【0153】
(4-6)像形成部の変形例
像形成部50における中間転写ユニット60の二次転写装置66としては、
図13に示されるように構成の一部が異なる変形例の二次転写装置66Nを採用してもよい。
【0154】
変形例の二次転写装置66Nは、
図13に示されるように、シート状物9Aの搬送時における左右の端部9k、9kが接触して通過しないよう軸方向Jの長さを短くした二次転写ロール660を適用したものである。
シート状物9Aの端部9k、9kは、像形成部50において画像が形成されない部分、又は、最終的に(例えば後処理装置8の裁断処理により)切除される部分である。
二次転写ロール660は、軸660aと、軸660aの外周に設けられるロール本体660bとで構成されている。
変形例の二次転写装置66Nでは、二次転写ロール660のロール本体660bの長さを上記した通りの短い寸法に設定している。ただし、ロール本体660bの長さは、画像形成領域(画像となるトナー像が転写されるために確保される領域)を確保できる長さにする必要がある。
【0155】
また、変形例の二次転写装置66Nでは、
図13に示されるように、電源装置691から二次転写電流を、給電ロール69を介して、中間転写ベルト61を支持する二次転写背面ロールとしての支持ロール64に供給する構成にしている。
支持ロール64は、軸64aとロール本体64bから構成されている。また給電ロール69は、軸69aとロール本体69bから構成されている。
【0156】
この変形例の二次転写装置66Nを採用した場合は、
図13(B)に示されるように、シート状物9Aの二次転写においてシート状物9Aの端部9k、9kが二次転写ロール660に接触することなく二次転写動作が行われる。これにより、シート状物9Aの端部9k、9kには、支持ロール64および中間転写ベルト61を介して二次転写電流による転写電界が直接及ばず、帯電されにくくなる。
【0157】
この結果、変形例の二次転写装置66Nを採用した画像形成装置5によれば、像形成部50の二次転写装置66の転写ロールとしてシート状物9Aの幅方向の全域に接触する転写ロールを採用した場合に比べると、トナー像を二次転写する工程でシート状物9Aの端部9k、9kが帯電することが抑制され、除電装置1においてシート状物9Aの端部9k、9kに対する除電が不足することも抑制される。
このことは、除電装置1として特に実施の形態1,2に係る除電装置1A,1B(第一除電手段2に一対の除電ロール20A,20Bを備える装置)を採用した場合において有効になる。
【0158】
実施の形態5.
図14は、本発明の実施の形態5に係る除電装置1Dの全体を示す概念図である。
除電装置1Dは、実施の形態1~3における第一除電手段2の一対の除電ロール20A,20B,20Cを構成する一方の除電ロール21A,21B,21Cを、その他方の除電ロール22A,22B,22Cに対して接触および離間する構成としたものである。
一方の除電ロール21A,21B,21Cの接触および離間する動作は、例えば、その各軸201を支持するフレーム等の部材を移動又は揺動させる機構にて行うようにする。
【0159】
そして、除電装置1Dは、例えば、シート状物9として層間に粘着層93を有するシート状物9Aを適用するときに、
図14(A)に示されるように、一方の除電ロール21A,21B,21Cを他方の除電ロール22A,22B,22Cに接触させるように移動させる。
これにより、除電装置1Dでは、第一除電手段2においてシート状物9Aを一対の除電ロール20A,20B,20Cに通過させて除電する場合、実施の形態1~3において説明した通り、シート状物9Aの両端9e,9eからはみ出る粘着層93の粘着成分が一対の除電ロール20A,20B,20Cに付着することを抑制できる。
【0160】
また、除電装置1Dは、シート状物9として、除電を必要としないシート状物9Aを適用するときや、層間に粘着層93を有することなくかつ除電を必要としないシート状物9Bを適用するときに、
図14(B)に示されるように、一方の除電ロール21A,21B,21Cを他方の除電ロール22A,22B,22Cに対して所定の距離だけ離間させるように移動させる。この際、除電ロール21A,21B,21Cと第二除電手段3の非接触除電器30とのいずれにも、除電用の電圧を給電しない。
これにより、除電装置1Dでは、上記除電を必要としないシート状物9A,9Bについては、第一除電手段2および第二除電手段3による除電を施すことなく、搬送路15を通過させて下流側の後処理装置8等に搬出することができる。
【0161】
この他、除電装置1Dは、実施の形態1、2における第一除電手段2の一対の除電ロール20A,20Bを適用する場合、除電装置1Dによる除電動作を行うときに、一方の除電ロール21A,21Bを他方の除電ロール22A,22Bに接触させるように移動させる。一方、除電装置1Dによる除電動作を行わないときに、一方の除電ロール21A,21Bを他方の除電ロール22A,22Bに対して離間させるように移動させる。
【0162】
この場合の除電装置1Dにおいては、一対の除電ロール20A,20Bによる除電が不要なときに、一方の除電ロール21A,21Bと他方の除電ロール22A,22Bとを所要の接触圧P1で接触させ続けておくことによる一方の除電ロール21A,21Bと他方の除電ロール22A,22Bとの不要な変形(ひずみ)が発生するおそれを防ぐことができる。
【0163】
実施の形態6.
図15は、本発明の実施の形態6に係る除電装置1Eの全体を示す概念図である。
除電装置1Eは、第一除電手段2として、実施の形態1~3における一対の除電ロール20A,20B,20C(いずれか1つ)を適用した第一除電手段2Aと、一対の除電ロール20Dを適用した第一除電手段2Bを備えたものである。
【0164】
第一除電手段2Bにおける一対の除電ロール20Dは、シート状物9Aの幅方向の全域に対して互いに所要の接触圧P1で接触し合う除電ロール21D,22Dからなる一対の除電ロール(
図17参照)である。
また、除電装置1Eは、第一除電手段2Aにおける一対の除電ロール20A,20B,20Cと、第一除電手段2Bにおける一対の除電ロール20Dを、搬送路15内で動作するときの動作位置と搬送路15から退避させる退避位置との間で移動するよう構成されている。
【0165】
そして、除電装置1Eは、例えば、シート状物9として層間に粘着層93を有するシート状物9Aを適用するときに、
図15(A)に示されるように、第一除電手段2Aにおける一対の除電ロール20A,20B,20Cを動作位置に移動させ、第一除電手段2Bにおける一対の除電ロール20Dを退避位置に移動させる。
これにより、除電装置1Eでは、第一除電手段2Aにおいてシート状物9Aを一対の除電ロール20A,20B,20Cに通過させて除電する動作が行われ、この際、除電装置1Eでは、実施の形態1~3において説明した通り、シート状物9Aの両端9e,9eからはみ出る粘着層93の粘着成分が一対の除電ロール20A,20B,20Cに付着することが抑制される。
【0166】
また、除電装置1Eは、例えば、シート状物9として粘着層93を有しないシート状物9Bを適用するときに、
図15(B)に示されるように、第一除電手段2Aにおける一対の除電ロール20A,20B,20Cを退避位置に移動させ、第一除電手段2Bにおける一対の除電ロール20Dを動作位置に移動させる。
これにより、除電装置1Eでは、第一除電手段2Bにおいて一対の除電ロール20Dがシート状物9Bの全域に接触した除電が行われ、この結果、シート状物9Bの全域に対してほぼ均一な除電を行うことができる。ちなみに、第一除電手段2Bにおいては、シート状物9Bが粘着層93を有していないので、シート状物9Aを適用した場合のような粘着成分が付着するおそれはない。
【0167】
実施の形態7.
図16は、本発明の実施の形態7に係る除電装置1Fの全体を示す概念図である。
除電装置1Fは、以下に説明する構成に変更した以外は実施の形態5に係る除電装置1Eと同じ構成からなるものである。
すなわち、除電装置1Fは、シート状物9を除電装置1Eにおける第一除電手段2Bの一対の除電ロール20Dを通過させるように搬送る第一搬送路15Aと、シート状物9を除電装置1Eにおける第一除電手段2Aの一対の除電ロール20A,20B,20Cを通過させるように搬送する第二搬送路15Bとを設けている。
【0168】
図16に例示する除電装置1Fは、第一搬送路15Aをほぼ水平に延びる搬送路として構成したうえで、その第一搬送路15Aの途中に第一除電手段2Bの一対の除電ロール20Dを配置している。
また、除電装置1Fは、第二搬送路15Bを、第一搬送路15Aの始端の方で分岐させて下方側に曲がるように延びた後、上方側に曲がるように延びて第一搬送路15Aの第一除電手段2Bを通過してかつ第二除電手段3の手前になる部分で合流する搬送路として構成している。また、第二搬送路15Bの下方側に曲がって延びる途上に第一除電手段2Aの一対の除電ロール20A,20B,20C(のいずれか1つ)を配置している。分岐する位置の上流側には、導入されたシート状物9を搬送する搬送ロール対19aが配置されている。
さらに、除電装置1Fは、第一搬送路15Aのうち第二搬送路15Bに分岐する位置と第二搬送路15Bが合流する位置に、シート状物9が進む進路を切り替える図示しない進路切り替え手段を配置している。合流する位置の下流側には、シート状物9を第二除電手段3に搬送する搬送ロール対19bが配置されている。
【0169】
そして、除電装置1Fは、シート状物9として、粘着層93を有しないシート状物9Bを適用するときに、そのシート状物9Bを第一搬送路15Aに送り込み、第一搬送路15Aの途中にある第一除電手段2Bにおける一方の除電ロール20Dを通過させるように搬送する。
これにより、除電装置1Fでは、第一除電手段2Bにおいて一対の除電ロール20Dがシート状物9Bの全域に接触した除電が行われ、この結果、シート状物9Bの全域に対してほぼ均一な除電を行うことができる。
【0170】
また、除電装置1Fは、シート状物9として、層間に粘着層93を有するシート状物9Aを適用するときに、そのシート状物9Aを第二搬送路15Bに送り込み、第二搬送路15Bの途中にある第一除電手段2Aにおける一方の除電ロール20A,20B,20Cを通過させるように搬送する。
これにより、除電装置1Fでは、第一除電手段2Aにおいて一対の除電ロール20A,20B,20Cのいずれかによる除電が行われ、この結果、シート状物9Aの両端9e,9eからはみ出る粘着層93の粘着成分が一対の除電ロール20A,20B,20Cに付着することが抑制される。
【0171】
変形例.
本発明は、上記実施の形態1~7として例示した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した各発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変形や改変が可能である。このため、本発明は、例えば、以下に示す変形例も含むものである。
【0172】
実施の形態1~3、5~7に係る除電装置1A,1B,1C,1D,1E,1Fは、第二除電手段3を省略して第一除電手段2のみを備える構成にしてもよい。この構成は、実施の形態4に係る画像形成装置5における除電装置1についても同様である。
第一除電手段2のみを備える除電装置は、例えば、シート状物9の除電を少なくとも行えればよい場合や、シート状物9としてシート状物9Aを適用したときにおける粘着層93の粘着成分の付着を優先して抑制したい場合に有効になる。
【0173】
実施の形態4では、画像形成装置5として除電装置1を外部の独立した接続装置として組み合わせた構成例を示したが、画像形成装置5は除電装置1を内部に配置した内部装置として組み合わせた構成にしてもよい。
この場合、内部装置としての除電装置1は、例えば、像形成部50における定着ユニット68の下流側の位置に配置すればよい。この他、像形成部50による像形成を行う前のシート状物9の除電を行いたい場合には、内部装置としての除電装置1は、シート状物供給ユニット70と像形成部50における中間転写ユニット60の二次転写位置TPとの間の位置に配置すればよい。
【0174】
実施の形態4では、画像形成装置5として像形成部50が電子写真方式を利用した構成例を示したが、像形成部は、シート状物9に画像が形成することが可能であれば、他の画像形成方式を利用した構成のものであってもよい。他の画像形成方式は、例えば、インク滴吐出方式、感熱転写方式等が挙げられる。
【0175】
(付記)
(((1)))
シート状物を挟むように通過させて除電する一対の除電ロールと、
前記一対の除電ロールの少なくとも一方の除電ロールに除電用の電圧を供給する給電手段と、
を備え、
前記一対の除電ロールとして、その軸方向の端部の接触圧が当該端部以外の部分の接触圧よりも低い一対の除電ロールを有する除電装置。
(((2)))
シート状物を挟むように通過させて除電する一対の除電ロールと、
前記一対の除電ロールの少なくとも一方の除電ロールに除電用の電圧を供給する給電手段と、
を備え、
前記一対の除電ロールとして、前記シート状物の幅方向の端部と接触しない一対の除電ロールを有する除電装置。
(((3)))
シート状物を挟むように通過させて除電する一対の除電ロールと、
前記一対の除電ロールの少なくとも一方の除電ロールに除電用の電圧を供給する給電手段と、
を備え、
前記一対の除電ロールとして、双方の除電ロールが互いに接触しない非接触の状態で配置された一対の除電ロールを有し、
前記非接触の状態で配置された一対の除電ロールの前記シート状物が通過する方向の上流側および下流側に配置され、当該シート状物を当該一対の除電ロールを通過させるように搬送する上流側の搬送ロール対および下流側の搬送ロール対を備える除電装置。
(((4)))
前記端部の接触圧が低い一対の除電ロールは、少なくとも一方の除電ロールの軸方向の端部の外径が当該端部以外の部分の外径よりも小さい形状からなるロールとして構成されている(((1)))に記載の除電装置。
(((5)))
前記端部の接触圧が低い一対の除電ロールの前記シート状物が通過する方向の上流側および下流側に配置されて当該シート状物を当該一対の除電ロールを通過させるように搬送する上流側の搬送ロール対および下流側の搬送ロール対を備え、
前記端部の接触圧が低い一対の除電ロールの軸方向全域における接触圧が、前記上流側の搬送ロール対の接触圧よりも低い(((1)))に記載の除電装置。
(((6)))
前記シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールは、その軸方向の長さが前記シート状物の搬送時の幅よりも短いロールとして構成されている(((2)))に記載の除電装置。
(((7)))
前記シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールの前記シート状物が通過する方向の上流側および下流側に配置されて当該シート状物を当該一対の除電ロールを通過させるように搬送する上流側の搬送ロール対および下流側の搬送ロール対を備え、
前記シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールの軸方向全域における接触圧が、前記上流側の搬送ロール対の接触圧よりも低い(((2)))に記載の除電装置。
(((8)))
前記非接触の状態で配置された一対の除電ロールは、その双方の除電ロールの間隙を保持する間隙保持部材により非接触の状態に保たれている(((3)))に記載の除電装置。
(((9)))
前記端部の接触圧が低い一対の除電ロールは、前記端部以外の部分の外径が一定である(((4)))に記載の除電装置。
(((10)))
前記シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールは、その双方の除電ロールの軸方向の両端部に、外径が相対的に小さい小径の端部ロール体を配置したロールとして構成されている(((6)))に記載の除電装置。
(((11)))
前記非接触の状態で配置された一対の除電ロールは、前記シート状物が少なくとも一方の除電ロールに接触しない間隙に保持されている(((8)))に記載の除電装置。
(((12)))
前記非接触の状態で配置された一対の除電ロールは、通過する前記シート状物が双方の除電ロールに接触する間隙に保持されている(((8)))に記載の除電装置。
(((13)))
前記給電手段は、定電圧制御により給電を行う(((1)))に記載の除電装置。
(((14)))
前記シート状物を挟むように通過させて除電する一対の除電ロールを有する第一除電手段と、
前記第一除電手段にて除電された後の前記シート状物を接触しない状態で除電する第二除電手段と、
を備え、
前記第一除電手段が(((1)))乃至(((13)))のいずれかに記載の除電装置にて構成されている除電装置。
(((15)))
前記シート状物として、多層構造のシートであって層と層の間に粘着層を有するシート状物が通過させられる(((1)))乃至(((13)))のいずれかに記載の除電装置。
(((16)))
前記シート状物として、多層構造のシートであって層と層の間に粘着層を有するシート状物が通過させられる(((14)))に記載の除電装置。
(((17)))
シート状物に画像を形成する像形成部と、
前記像形成部で画像が形成された後の前記シート状物を除電する除電装置と、
を備え、
前記除電装置が(((1)))乃至(((13)))のいずれかに記載の除電装置で構成されている画像形成装置。
(((18)))
シート状物に画像を形成する像形成部と、
前記像形成部で画像が形成された後の前記シート状物を除電する除電装置と、
を備え、
前記除電装置が(((14)))に記載の除電装置で構成されている画像形成装置。
(((19)))
前記シート状物として、多層構造のシートであって層と層の間に粘着層を有するシート状物が通過させられる(((17)))に記載の画像形成装置。
(((20)))
前記シート状物として、多層構造のシートであって層と層の間に粘着層を有するシート状物が通過させられる(((18)))に記載の画像形成装置。
【0176】
(((1)))、(((2)))および(((3)))に係る除電装置によれば、シート状物として層と層の間に粘着層を有するシート状物を通過させるときであっても、かかるシート状物の幅方向の全域に対して互いに接触し合う一対の除電ロールが一定の接触圧で接触する場合に比べて、そのシート状物の両端からはみ出る粘着層の粘着成分が除電ロールに付着することを抑制できる。
(((4)))に係る除電装置によれば、シート状物として層と層の間に粘着層を有するシート状物を通過させるときであっても、一対の除電ロールとしてその軸方向全域における外径が同じものを採用する場合に比べて、端部の接触圧の低い除電ロールにシート状物の粘着層の粘着成分が付着することを抑制できる。
(((5)))に係る除電装置によれば、端部の接触圧が低い一対の除電ロールの軸方向全域における接触圧が上流側の搬送ロール対の接触圧と同じか又はそれよりも大きい場合に比べて、端部の接触圧が低い一対の除電ロールにシート状物における粘着層の粘着成分が付着することを抑制しやすくなる。
(((6)))に係る除電装置によれば、シート状物として層と層の間に粘着層を有するシート状物を通過させるときであっても、一対の除電ロールとしてその軸方向の長さがシート状物の幅方向の長さよりも長いロール全域における外径が同じものを採用する場合に比べて、シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールにシート状物における粘着層の粘着成分が付着することを抑制できる。
(((7)))に係る除電装置によれば、シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールの軸方向全域における接触圧が、上流側の搬送ロール対の接触圧と同じか又はそれよりも大きい場合に比べて、シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールのシート状物に対する搬送能力が維持されつつ、その一対の除電ロールにシート状物における粘着層の粘着成分が付着することを抑制しやすくなる。
(((8)))に係る除電装置によれば、シート状物として層と層の間に粘着層を有するシート状物を通過させるときであっても、一対の除電ロールとしてその軸方向全域で所要の接触圧で接触した状態で配置されているものを採用する場合に比べて、非接触の状態で配置された一対の除電ロールにシート状物における粘着層の粘着成分が付着することを抑制できる。
(((9)))に係る除電装置によれば、端部の接触圧が低い一対の除電ロールとしてその端部以外の部分の外径が漸増するものを採用する場合に比べて、シート状物の幅方向の端部以外の部分における除電を均一に行いやすくなる。
(((10)))に係る除電装置によれば、シート状物の両端と接触しない一対の除電ロールとしてその端部に小径の端部ロール体が配置されないものを採用する場合に比べて、シート状物の幅方向の端部がわずかに除電される可能性がある。
(((11)))に係る除電装置によれば、一対の除電ロールとして互いに接触して配置される一対の除電ロールを採用する場合に比べて、非接触の状態で配置される一対の除電ロールにシート状物における粘着層の粘着成分が付着することをより抑制できる。
(((12)))に係る除電装置によれば、一対の除電ロールとして互いに接触して配置される一対の除電ロールを採用する場合に比べて、非接触の状態で配置された一対の除電ロールにシート状物における粘着層の粘着成分が付着することを抑制できる。
(((13)))に係る除電装置によれば、給電手段が定電流制御により給電を行う場合に比べて、端部の接触圧が低い一対の除電ロールにおいて接触圧の異なる部分が併存するにもかかわらずシート状物に対して除電むらが発生すること又は過剰な除電や逆極性への帯電が発生することを抑制できる。
(((14)))に係る除電装置によれば、除電装置が第二除電手段を備えず第一除電手段のみを備える構成である場合に比べて、第一除電手段による除電後にシート状物上に電荷が不均一に残る場合でも、その不均一な電荷を除電することができる。
(((15)))に係る除電装置によれば、層と層の間に粘着層を有するシート状物に対して互いに接触し合う一対の除電ロールどうしが一定の接触圧で接触する場合に比べて、一対の除電ロールにシート状物の両端からはみ出る粘着層の粘着成分が付着することを抑制できる。
(((16)))に係る除電装置によれば、層と層の間に粘着層を有するシート状物に対して接触型帯電手段における互いに接触し合う一対の除電ロールどうしが一定の接触圧で接触する場合に比べて、一対の除電ロールにシート状物の両端からはみ出る粘着層の粘着成分が付着することを抑制できる。
(((17)))に係る画像形成装置によれば、除電装置において層と層の間に粘着層を有するシート状物を一対の除電ロールの間を通過させるときであっても、かかるシート状物の幅方向の全域に対して互いに接触し合う一対の除電ロールが一定の接触圧で接触する場合に比べて、そのシート状物の両端からはみ出る粘着層の粘着成分が除電ロールに付着することを抑制でき、最終的に、シート状物に不要な電荷が存在することによる不具合の発生が回避される。
(((18)))に係る画像形成装置によれば、除電装置が接触型除電手段のみで構成されている場合に比べて、接触型除電手段による除電で生じたシート状物上の不均一な電荷を除電することができ、最終的に、シート状物に不要な電荷が存在することによる不具合の発生が回避される。
(((19)))および(((20)))に係る画像形成装置によれば、シート状物として層と層の間に粘着層を有するシート状物を一対の除電ロールの間を通過させるときであっても、かかるシート状物の幅方向の全域に対して互いに接触し合う一対の除電ロールが一定の接触圧で接触する場合に比べて、そのシート状物の両端からはみ出る粘着層の粘着成分が除電ロールに付着することを抑制できる。
【符号の説明】
【0177】
1A,1B,1C,1D,1E,1F…除電装置
2 …第一除電手段
3 …第二除電手段
5 …画像形成装置
9 …シート状物
9A…層と層の間に粘着層を有するシート状物
16…搬送ロール対(上流側の搬送ロール対の一例)
17…搬送ロール対(下流側の搬送ロール対の一例)
20…一対の除電ロール
20A…端部の接触圧が低い一対の除電ロール
20B…シート状物の端部と接触しない一対の除電ロール
20C…非接触の状態で配置された一対の除電ロール
23…電源装置(給電手段の一例)
33…電源装置(給電手段の一例)
50…像形成部
93…粘着層
202d,202e…端部
202c…内側部分(端部以外の部分)
J …軸方向
P1…端部以外の部分の接触圧
P2,P3…端部の接触圧