(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160869
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】取付治具及びこれを利用した監視センサの取付方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/12 20060101AFI20241108BHJP
G08C 19/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G01D5/12 Q
G08C19/00 301G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076346
(22)【出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】391014550
【氏名又は名称】丸藤シートパイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】内山 喜章
(72)【発明者】
【氏名】竹井 涼介
(72)【発明者】
【氏名】吉見 佳央
【テーマコード(参考)】
2F073
2F077
【Fターム(参考)】
2F073AA03
2F073AA12
2F073AA19
2F073AA25
2F073AB01
2F073AB02
2F073AB11
2F073AB12
2F073BB04
2F073BC01
2F073CC03
2F073CC12
2F073CD11
2F073FF12
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG09
2F073GG04
2F073GG05
2F077AA46
2F077JJ01
2F077JJ07
2F077JJ23
2F077VV14
2F077VV23
2F077VV31
2F077VV33
(57)【要約】
【課題】アナログゲージをゲージケースに収納したままの状態でも、監視センサをアナログゲージに取り付けやすくする。
【解決手段】取付治具10は、アナログゲージ20の透明カバー23上に指針21の回転角度を検出するための監視センサ30を取り付けるために用いられる。取付治具10は、アナログゲージ20の文字盤上の特定の指標22と対応する部位に形成された位置合わせ用開口部11~13と、位置合わせ用開口部11~13と指標22の位置が揃うように取付治具10をアナログゲージ20の透明カバー23上に配置したときに監視センサ30の適正な取付位置に対応する部位に形成されたセンサ用開口部14とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログゲージ(20)の透明カバー(23)上に指針(21)の回転角度を検出するための監視センサ(30)を取り付けるために用いられる取付治具(10)であって、
前記取付治具は、
前記アナログゲージの文字盤上の特定の指標と対応する部位に形成された一又は複数の位置合わせ用開口部(11,12,13…)と、
前記位置合わせ用開口部と前記指標の位置が揃うように前記取付治具を前記アナログゲージの前記透明カバー上に配置したときに、前記監視センサの適正な取付位置に対応する部位に形成されたセンサ用開口部(14)とを有する
取付治具。
【請求項2】
前記センサ用開口部(14)は、前記監視センサ(30)のセンサヘッド(31)と合同形又は相似形に形成されている
請求項1に記載の取付治具。
【請求項3】
前記取付治具(10)は、可撓性材料によって構成されている
請求項1に記載の取付治具。
【請求項4】
前記特定の指標は、前記アナログゲージの文字盤上に設けられた目盛線(22)であり、
前記位置合わせ用開口部(11,12,13…)は、前記目盛線(22)のうちのいくつかにそれぞれ対応するように複数箇所に形成されている
請求項1に記載の取付治具。
【請求項5】
前記取付治具(10)は、前記監視センサ(30)のケーブル(32)と対応する部位に形成されたケーブル用開口部(15)をさらに有する
請求項1に記載の取付治具。
【請求項6】
取付治具(10)を用いて、ゲージケース(40)内に収容されているアナログゲージ(20)の透明カバー(23)上に、前記アナログゲージの指針(21)の回転角度を検出するための監視センサ(30)を取り付ける方法であって、
前記取付治具は、
前記アナログゲージの文字盤上の特定の指標と対応する部位に形成された一又は複数の位置合わせ用開口部(11,12,13…)と、
前記位置合わせ用開口部と前記指標の位置が揃うように前記取付治具を前記アナログゲージの前記透明カバー上に配置したときに、前記監視センサの適正な取付位置に対応する部位に形成されたセンサ用開口部(14)とを有し、
前記方法は、
前記ゲージケースの開口部分を介して前記アナログゲージの透明カバー上に前記取付治具を配置する工程と、
前記取付治具の位置合わせ用開口部(11,12,13…)と前記指標の位置が揃うように前記取付治具の配置位置を調整する工程と、
前記取付治具の前記センサ用開口部に合わせて前記透明カバー上に監視センサ(30)を取り付ける工程を含む
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付治具と、この取付治具を利用してアナログゲージに監視センサを適正に取り付けるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アナログゲージの指針の回転中心にマグネットを取り付けておき、この指針に伴って回転するマグネットの回転角度をセンサで検出する監視センサシステムが知られている(例えば特許文献1)。このシステムによれば、アナログゲージの指針の回転角度をデジタル情報に変換することができるため、例えばアナログゲージによって測定した値をコンピュータに保存したり、無線通信によってリアルタイムに遠隔のコンピュータに伝達することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図5は、公知のアナログゲージ(圧力計)の監視センサシステムの一例を示している。
図5に示されるように、アナログゲージ20は、文字盤上に、測定した圧力等の物理量に応じて回転する指針21と、この指針21の回転角度に対応する物理量を示す目盛線22を有しており、これらの指針21と目盛線22が外部から視認可能なように透明カバー23によって覆われている。また、このアナログゲージ20は、その指針21にマグネットホルダ24が取り付けられている。マグネットホルダ24は、指針21の回転中心と同軸に設けられたマグネット24aと、指針21に固定されたアーム24bを有しており、指針21が回転するとマグネットホルダ24全体も共に回転することとなる。また、アナログゲージ20の透明カバー23上には、センサヘッド31とこれに接続されたケーブル32を備えた監視センサ30が取り付けられる。このとき、監視センサ30は、センサヘッド31がマグネット24aの直上に位置し、かつ、例えばセンサヘッド31がゼロであると検出する角度とアナログゲージ20の指針21がゼロを示す角度が厳密に一致するように、透明カバー23上に正確に取り付けることが必要となる。このような監視センサ30を人手によってアナログゲージ20の適正な位置に適正な角度で取り付けることができるように、専用の治具を用いることも知られている。
【0005】
ところで、例えば出願人の業界では、建設の基礎工事の現場にて油圧ジャッキに負荷されている圧力をアナログゲージ(圧力計)にて測定することがある。このとき、アナログゲージ20を保護するために
図6に示すようなゲージケース40に収納して、アナログゲージ20を現場に設置することとなる。ゲージケース40は、例えばアナログゲージ20を収容する空間を持つケース本体41と、このケース本体41に設けられた覗き窓42と、覗き窓42を開閉するための蓋43と、ゲージケース40全体を所定の場所に固定するための固定具44を含む。また、ケース本体41内のアナログゲージ20の指針21を、前述した監視センサ30を用いて検出することが必要になる場合がある。このため、ケース本体41は、アナログゲージ20とこれに取り付けられた監視センサ30を収容可能な十分な空間を有している。
【0006】
ここで、アナログゲージ20をゲージケース40に収納する前に、このアナログゲージ20に監視センサ30を取り付けることは容易である。一方で、アナログゲージ20をゲージケース40に収納して工事現場に設置した後になって、監視センサ30をアナログゲージ20に取り付けたいという要望があがってくることがある。本願明細書では、アナログゲージ20をゲージケース40に収納した後に、監視センサ30をアナログゲージ20に取り付ける作業を「後付け」という。このように監視センサ30をアナログゲージ20に後付けするためには、一般的に、ゲージケース40からアナログゲージ20を一度取り出して、専用の治具を用いてアナログゲージ20に監視センサ30を適正に取り付けた後に、これらのアナログゲージ20と監視センサ30を再度ゲージケース40に収納し直すという作業が行われている。しかしながら、このような作業には手間が掛かるとともに、アナログゲージ20が設置された現場によっては危険が伴うことから、アナログゲージ20に監視センサ30を後付けすることは忌避されることが多く、監視センサ30の普及の妨げとなっていった。このように監視センサ30を後付けすることが困難である理由は、主に監視センサ30と共に販売される専用の治具が、監視センサ30を後付けすることを想定していないことにある。
【0007】
そこで、本発明は、アナログゲージをゲージケースに収納したままの状態でも、監視センサをアナログゲージに取り付けやすくすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面は、取付治具10に関する。本発明に係る取付治具10は、アナログゲージ20の透明カバー23上に、アナログゲージ20の指針21の回転角度を検出するための監視センサ30を適正に取り付ける用途で用いられる。取付治具10は、一又は複数の位置合わせ用開口部11,12,13…とセンサ用開口部14が形成された形状となっている。具体的には、位置合わせ用開口部11,12,13…は、アナログゲージ20の文字盤上の特定の指標と対応する部位に形成されている。このため、取付治具10をアナログゲージ20の透明カバー23の上に設置すると、この位置合わせ用開口部11,12,13…を通じて文字盤上の特定の指標が視認できる。「特定の指標」の例は、文字盤上に設けられた目盛線22であるが、これに限定されず、位置合わせ用開口部11,12,13…に対応させるために専用的に設けられた図形や記号、突起、窪み、孔部などであってもよい。また、センサ用開口部14は、位置合わせ用開口部11,12,13…と特定の指標の位置が揃うように取付治具10をアナログゲージ20の透明カバー23上に配置したときに、監視センサ30の適正な取付位置に対応する部位に形成されている。このため、取付治具10をアナログゲージ20の透明カバー23の上に設置すると、このセンサ用開口部14を通じてアナログゲージ20の指針21、特にこの指針21に取り付けられたマグネットホルダ24が視認できる。このように、取付治具10をアナログゲージ20の透明カバー23上に配置した状態で、取付治具10のセンサ用開口部14に合わせて監視センサ30を透明カバー23上に配置することで、監視センサ30を正しい位置と向きで設置することが容易になる。特に、位置合わせ用開口部11,12,13…と特定の指標の位置が揃うように取付治具10をアナログゲージ20の透明カバー23上に配置する作業は、アナログゲージ20をゲージケース40内に収納したままの状態でも容易に行うことができる。従って、この取付治具10を利用すれば、監視センサ30をアナログゲージ20に後付けすることが可能となる。
【0009】
本発明に係る取付治具10において、センサ用開口部14は、監視センサ30のセンサヘッド31と合同形又は相似形に形成されていることが好ましい。このように、センサ用開口部14の形状がセンサヘッド31と合同又は相似であることにより、センサヘッド31を正しい向きで設置しやすくなる。具体的には、センサヘッド31がマグネット24aの直上に位置し、かつ、例えばセンサヘッド31がゼロであると検出する角度とアナログゲージ20の指針21がゼロを示す角度が厳密に一致するように、透明カバー23上に監視センサ30を正確に取り付けやすくなる。
【0010】
本発明に係る取付治具10において、取付治具10は、可撓性材料によって構成されていることが好ましい。例えば取付治具10のサイズ(直径等)がゲージケース40の覗き窓42よりも大きく形成されている場合、取付治具10は元の形状のままでは覗き窓42を通過することはできない。これに対して、取付治具10が可撓性を有することにより、これを折り曲げたり撓ませたりすることで覗き窓42を通過させることができるようになる。これにより、ゲージケース40の覗き窓42のサイズ取付治具10より小さい場合でも、取付治具10をアナログゲージ20の透明カバー23上にあてがって、監視センサ30を適正な位置に取り付けることができる。
【0011】
本発明に係る取付治具10において、特定の指標は、アナログゲージ20の文字盤上に設けられた目盛線22であることが好ましい。この目盛線22は、アナログゲージ20の指針21の先の回転軌跡に沿って等間隔で設けられた線であり、この目盛線22の付近にはアナログゲージ20によって測定された物理量に対応する数字などが付されている。このような目盛線22はアナログゲージ20の文字盤には殆ど必ず設けられていることから、取付治具10の位置合わせ用開口部11,12,13…に対応させる特定の指標には、この目盛線22を採用することが好ましい。この場合、取付治具10の位置合わせ用開口部11,12,13…は、目盛線22のうちのいくつかにそれぞれ対応するように複数箇所に形成されていることが好ましい。これにより、取付治具10をより正確にアナログゲージ20上に配置することができるようになる。
【0012】
本発明に係る取付治具10は、ケーブル用開口部15がさらに形成された形状であってもよい。このケーブル用開口部15は、監視センサ30のケーブル32と対応する部位に形成されている。これにより、取付治具10を利用して監視センサ30をアナログゲージ20に取り付けた後に、この取付治具10を監視センサ30のケーブル32と干渉させることなく取り外すことができる。
【0013】
本発明の第2の側面は、アナログゲージ20の透明カバー23上に監視センサ30を取り付ける方法に関する。本発明の第2の側面に係る取付方法では、前述した第1の側面に係る取付治具10が用いられる。より具体的には、本発明の第2の側面に係る取付方法は、取付治具10を用いて、ゲージケース40内に収容されているアナログゲージ20の透明カバー23上に、アナログゲージ20の指針21の回転角度を検出するための監視センサ30を適正に取り付ける方法である。取付治具10は、前述した第1の側面と同様に、一又は複数の位置合わせ用開口部11,12,13…とセンサ用開口部14を有する。ここで、第2の側面に係る取付方法では、まず、ゲージケース40の覗き窓42等の開口部分を介してアナログゲージ20の透明カバー23上に取付治具10を配置する(配置工程)。次に、取付治具10の位置合わせ用開口部11,12,13…とアナログゲージ20の文字盤の指標の位置が揃うように取付治具10の配置位置を調整する(調整工程)。次に、取付治具10のセンサ用開口部14に合わせてアナログゲージ20の透明カバー23上に監視センサ30を取り付ける。
【0014】
本発明の別の側面は、取付治具10、アナログゲージ20、及び監視センサ30を含むシステムである。また、本発明は、取付治具10、アナログゲージ20、監視センサ30、及びゲージケース40を含むシステムであってもよい。また、本発明を、取付治具10及び監視センサ30を含むシステムと捉えることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アナログゲージをゲージケースに収納したままの状態でも、監視センサをアナログゲージに取り付けやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る取付治具を示した斜視図である。
【
図2】
図2は、取付治具、アナログゲージ、及び監視センサの対応関係を示している。
【
図3】
図3は、取付治具を用いてゲージケース内のアナログゲージに監視センサを取り付ける方法の一例を示している。
【
図4】
図4は、
図3に引き続き、取付治具を用いてゲージケース内のアナログゲージに監視センサを取り付ける方法の一例を示している。
【
図5】
図5は、公知のアナログゲージと監視センサの例を示している。
【
図6】
図6は、公知のゲージケースの例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
【0018】
図1及び
図2(a)は、本発明の一実施形態に係る取付治具10を示している。取付治具10は、アナログゲージ20の透明カバー23上に、監視センサ30を適正な位置に適正な向きで取り付けるために用いられる。取付治具10は、基本的に、アナログゲージ20と監視センサ30の組み合わせに対する専用品として設計されている。すなわち、取付治具10は、特定のアナログゲージ20に適合し、かつ、特定の監視センサ30に適合するように設計されたものである。本実施形態では、アナログゲージ20として圧力計が用いられている。ただし、アナログゲージ20としては、その他に、例えば温度計、湿度計、水道計、電力計、ガス計など公知のアナログ方式の計測機器を用いることができる。
【0019】
図1及び
図2(a)に示されるように、取付治具10は、外縁が略円形状に形成された薄板状の部材である。この取付治具10は、例えばシリコーン、ウレタン、スチレン、合成ゴム、天然ゴムなどの可撓性材料(エラストマー)で構成されている。取付治具10の厚みは、例えば0.5~10mm程度とすればよい。なお、取付治具10の直径や形状は、アナログゲージ20に合わせて適宜調整することができる。
【0020】
取付治具10は、複数の位置合わせ用開口部11~13が形成されている。本実施形態では、取付治具10には、第1の位置合わせ用開口部11、第2の位置合わせ用開口部12、及び第3の位置合わせ用開口部13が形成されている。各位置合わせ用開口部11~13は、取付治具10の外縁から中心に向かって延びる直線状のスリット開口である。本実施形態では、アナログゲージ20の目盛線22に合わせて位置合わせ用開口部11~13をスリット状としているが、これに限定されず、位置合わせ用開口部11~13は、取付治具10にまで達していない孔状とすることもできる。
【0021】
図2(a)に示されるように、第1の位置合わせ用開口部11を基準(0°)としたときに、第2の位置合わせ用開口部12は-135°で傾いた直線状となっており、第3の位置合わせ用開口部13は+135°で傾いた直線状となっている。また、各位置合わせ用開口部11~13に沿ってそれぞれ仮想線を引くと、各仮想線は取付治具10のほぼ中心で交差する。各位置合わせ用開口部11~13をこのような形状とした理由は、
図2(b)に示したように、各位置合わせ用開口部11~13をアナログゲージ20の文字盤上の目盛線22に対応させるためである。具体的には、
図2(c)に示されるように、取付治具10をアナログゲージ20の透明カバー23上に配置し、例えば第2の位置合わせ用開口部12を、アナログゲージ20の「0」を示す目盛線22に合わせると、第1の位置合わせ用開口部11が「2.5」を示す目盛線22にちょうど重なり、第3の位置合わせ用開口部13が「5」を示す目盛線22にちょうど重なることとなる。特に、アナログゲージ20の「0」は目盛の最小値であり、「2.5」は目盛の中央値であり、「5」は目盛の最大値となっている。このように、各位置合わせ用開口部11~13は、アナログゲージ20の目盛の最小値、中央値、及び最大値に対応する部位に形成されていることが好ましい。
【0022】
また、取付治具10は、その中央付近に、センサ用開口部14が形成されている。このセンサ用開口部14は、各位置合わせ用開口部11~13をアナログゲージ20の「0」、
「2.5」、「5」の目盛線22にそれぞれ重ねた状態において、監視センサ30のセンサヘッド31を取り付けるべき、アナログゲージ20の透明カバー23上の位置を示すための開口部である。つまり、取付治具10を
図3(c)に示すようにアナログゲージ20の透明カバー23上に正しく配置した状態とすると、監視センサ30のセンサヘッド31を取り付けるべきアナログゲージ20上の位置が、この取付治具10のセンサ用開口部14を通じて視認されることとなる。また、本実施形態において、センサ用開口部14の形状は、センサヘッド31と完全に同じ形状(合同形)ではないものの、若干(例えば0.5~2mm程度)のクリアランスを設けた相似形となっており、センサ用開口部14にセンサヘッド31の向きも揃えやすくなっている。このためセンサ用開口部14を通じてセンサヘッド31を透明カバー23上に取り付けることで、このセンサヘッド31が適正な位置及び向きで透明カバー23上に固定されることになる。
【0023】
より具体的に説明すると、
図2(b)に示されるように、アナログゲージ20は、文字盤上に、測定した圧力等の物理量に応じて回転する指針21と、この指針21の回転角度に対応する物理量を示す目盛線22が設けられている。目盛線22は、指針21の先の回転軌跡に沿って等間隔で引かれた線であり、それぞれがアナログゲージ20によって測定された物理量の数値に対応している。また、これらの指針21と目盛線22を持つ文字盤は、外部から視認可能なように透明カバー23によって覆われている。また、このアナログゲージ20は、その指針21にマグネットホルダ24が取り付けられている。マグネットホルダ24は、指針21の回転中心と同軸に設けられたマグネット24aと、指針21に固定されたアーム24bを有しており、指針21が回転するとマグネットホルダ24全体も共に回転する。また、アナログゲージ20の外周部分には、外枠25が設けられており、この外枠25は透明カバー23よりも一段高くなっている。例えば、透明カバー23から外枠25の頂部までの高さは、0.5~10mm程度とすればよい。
図2(c)に示されるように、この外枠25と透明カバー23と段差の中に取付治具10が嵌まり込むように、取付治具10のサイズが調整されている。より具体的には、透明カバー23上に取付治具10を配置した状態において、透明カバー23の外周が外枠25の内周に接することが好ましい。これにより、取付治具10をより正しく透明カバー23上に配置することが可能となる。
【0024】
また、
図2(c)に示されるように、監視センサ30は、センサヘッド31とケーブル32を備えている。ケーブル32には、センサヘッド31に電力を供給する電力線や、センサヘッド31で検出された信号を出力するための信号線などが含まれる。センサヘッド31は、マグネットホルダ24のマグネット24aの磁場の向き(磁力線)に基づいて、このマグネット24aが取り付けられた指針21の回転角度を検出する。センサヘッド31によって検出された回転角度に関する情報は、例えばケーブル32を介して記憶装置(不図示)に蓄積されたり、あるいは無線通信モジュール(不図示)を通じて遠隔のコンピュータに伝達される。監視センサ30は、センサヘッド31がマグネット24aの直上に位置し、かつ、例えばセンサヘッド31がゼロであると検出する角度とアナログゲージ20の指針21がゼロを示す角度が厳密に一致するように、透明カバー23上に正確に取り付けることが必要となる。そこで、取付治具10を用いることで、監視センサ30のセンサヘッド31を透明カバー23の適正な位置に適正な向きで取り付けることが容易になる。
【0025】
また、
図1及び
図2(a)に示されるように、取付治具10には、センサ用開口部14に繋がるようにしてケーブル用開口部15が形成されている。このケーブル用開口部15は、監視センサ30をアナログゲージ20に取り付けたときのケーブル32に対応する部位に形成されており、センサ用開口部14から取付治具10の外縁にまで達している。このケーブル用開口部15を取付治具10に形成しておくことで、取付治具10を用いて監視センサ30をアナログゲージ20に取り付けた後に、ケーブル32に干渉することなく取付治具10をアナログゲージ20から取り外すことができる。
【0026】
また、
図1及び
図2(a)に示されるように、取付治具10には、複数の窓部16,17が形成されている。本実施形態では、第1の窓部16と第2の窓部17が取付治具10に形成されており、これらの窓部16,17を通じてアナログゲージ20の目盛線22などを視認することができる。これらの窓部16,17は任意の要素であり、必ずしも取付治具10に形成する必要はない。また、窓部16,17の数は2つに限られず、1つ又は3つ以上とすることもできる。また、図示した例では、窓部16,17は取付治具10の外縁には達していない孔状となっているが、各窓部16,17は取付治具10の外縁に達していても問題はない。ただし、取付治具10を外枠25に内接させやすくするためには、窓部16,17はは孔状に留めておくことが好ましい。
【0027】
続いて、
図3及び
図4を参照して、ゲージケース40内に収納されたアナログゲージ20に監視センサ30を後付けする方法について説明する。
図3(a)に示されるように、アナログゲージ20は、ゲージケース40に収納されている。ゲージケース40は、例えば
図6に示したような公知のものを用いればよい。また、アナログゲージ20のサイズ(直径)は、ゲージケース40の覗き窓42のサイズ(直径)よりも大きい。このため、この覗き窓42からアナログゲージ20を取り出すことはできない。なお、マグネットホルダ24をアナログゲージ20に後付けすることは困難であることから、ゲージケース40に収納する前に、アナログゲージ20の指針21にはマグネットホルダ24を予め取り付けておく必要がある。
【0028】
図3(a)に示されるように、まず、取付治具10をゲージケース40の覗き窓42を通じてアナログゲージ20上に配置する。このとき、取付治具10のサイズ(直径)もゲージケース40の覗き窓42のサイズより大きくなっているが、取付治具10はシリコーン等の可撓性材料で形成されたものであるから、取付治具10を多少変形させることで、この覗き窓42を通じてアナログゲージ20上に配置することができる。
【0029】
また、取付治具10をアナログゲージ20上に配置した後、その位置と向きを調整する。具体的には、前述した通り、取付治具10の位置合わせ用開口部11~13を、アナログゲージ20の「0」、「2.5」、及び「5」を示す目盛線22にそれぞれ合わせればよい。これにより、取付治具10の位置と向きが適正なものとなる。
【0030】
次に、
図3(b)に示されるように、ゲージケース40内に監視センサ30を差し込む。例えば、ゲージケース40は、取付治具10のケーブル用開口部15側の面(
図3の破線矢印で示した箇所)が一部又は部分的に開放されており、この面を通じてゲージケース40内に監視センサ30を差し込むことが可能となっている。なお、この開放された面を通じて、取付治具10をゲージケース40に対して出し入れすることも可能である、。
【0031】
次に、
図4(a)に示されるように、アナログゲージ20上に配置された取付治具10のセンサ用開口部14に合わせて、アナログゲージ20の透明カバー23上に監視センサ30のセンサヘッド31を固定する。透明カバー23とセンサヘッド31の固定には、接着剤や両面テープなどを用いればよく、センサヘッド31の取付位置にずれが生じないように強固に固定しておくとよい。これにより、アナログゲージ20上に監視センサ30を後付けすることが可能となり、尚且つ、監視センサ30の取付位置や向きが適正なものとなる。
【0032】
最後に、
図4(b)に示されるように、アナログゲージ20に監視センサ30を固定した後、アナログゲージ20上から取付治具10を取り外す。このとき、前述した通り、取付治具10のサイズはゲージケース40の覗き窓42よりも大きいものであるが、可撓性を有する取付治具10を変形させることで、この覗き窓42を通じてアナログゲージ20を容易にゲージケース40の外部へと取り除くことができる。
【0033】
以上、本願明細書では、本発明の内容を表現するために、図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0034】
10…取付治具 11…第1の位置合わせ用開口部
12…第2の位置合わせ用開口部 13…第3の位置合わせ用開口部
14…センサ用開口部 15…ケーブル用開口部
16…第1の窓部 17…第2の窓部
20…アナログゲージ 21…指針
22…目盛線 23…透明カバー
24…マグネットホルダ 24a…マグネット
24b…アーム 25…外枠
30…監視センサ 31…センサヘッド
32…ケーブル 40…ゲージケース
41…ケース本体 42…覗き窓
43…蓋 44…固定具