(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160892
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ゴミ集積用具
(51)【国際特許分類】
B65F 1/00 20060101AFI20241108BHJP
B65F 1/16 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B65F1/00 Z
B65F1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076400
(22)【出願日】2023-05-05
(71)【出願人】
【識別番号】501202369
【氏名又は名称】株式会社湘南総合物流
(71)【出願人】
【識別番号】523167105
【氏名又は名称】佐川 有美子
(74)【代理人】
【識別番号】100090413
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 康稔
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 剛
(72)【発明者】
【氏名】佐川 有美子
【テーマコード(参考)】
3E023
【Fターム(参考)】
3E023AA04
3E023MA04
3E023MB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】見栄えが良く、生産性の向上を図ることができるゴミ集積用具を提供する。
【解決手段】ネット200として、ラッシェル編み(ラッシェル織り)のネットを使用する。ラッシェル織に使用する糸としては、例えば、高密度ポリエチレン樹脂に、UV安定剤,色粉,蛍光剤を混合したものを使用する。ラッシェル編みとすることで、ネット200の交叉部分202に結び目による凹凸は生じない。このため、全体としてネット200の表面が滑らかとなり、質感・デザイン性・柔軟性に優れ、見栄えが向上する。また、ごわつきが低減されるとともに、軽量化されることから、取り扱いが容易になる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットをフレームに張設したパネルを複数連結したゴミ集積用具であって、
前記ネットとして、ラッシェル編みのネットを使用したことを特徴とするゴミ集積用具。
【請求項2】
前記ラッシェル編みのネットの糸として、高密度ポリエチレン樹脂に、UV安定剤,色粉,蛍光剤の少なくとも一つを混合したことを特徴とする請求項1記載のゴミ集積用具。
【請求項3】
前記ラッシェル編みのネットの開口部のうち、対向する角部の間隔WAが10mm以下であることを特徴とする請求項1記載のゴミ集積用具。
【請求項4】
前記ラッシェル編みのネットの開口部のうち、対向する角部の間隔WAが5mm以上であることを特徴とする請求項3記載のゴミ集積用具。
【請求項5】
前記ゴミ集積用具が、
正面側に設けられている正面パネル,
背面側に設けられている背面パネル,
左右側面側に設けられている側面パネル,
前記正面パネル,背面パネル,側面パネルで構成された囲い枠の上面を覆う上面パネルを備えており、
前記上面パネルが、前記囲い枠に対して開閉可能であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のゴミ集積用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ収集場所などに集められたゴミやゴミ袋を一時的に保管するためのゴミ集積用具の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴミ集積用具の背景技術としては、例えば下記特許文献1に記載の本願出願人による「ゴミ集積用具」がある。これは、蓋パネルの開閉を容易に行うとともに、簡単に折り畳んで収納できるようにすることを目的としたもので、ネットをフレームに張設したパネルを複数連結したゴミ集積用具であって、背面パネル,側面パネル,正面パネル,蓋パネルを備えており、各パネルの一辺を他のパネルの一辺に対して回転可能に取り付けることで、全体を折り畳むことができるようになっている。
【0003】
前記各パネルは全て、金属製のパイプなどの曲げ加工で形成されたフレームに、ネットを張設したもので、フレームとしては、例えば、鉄,ステンレス,アルミニウム,樹脂などを用いることができるが、軽量化を図るという観点からはアルミニウムが好適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したゴミ集積用具では、カラスや小動物の侵入を防ぐネットとして、ネットの交叉部分に結び目があるものを使用している。
図3にはその例が示されており、ネット900の交叉部分902に結び目904がある。この結び目904は、ネット900の表面の凹凸となり、見栄えが悪く設置場所の景観を損ねる恐れがある。また、重量もあり、折り畳みに手数がかかるといった課題もある。
【0006】
本発明は、以上の点に着目したもので、見栄えが良く、取り扱いの向上を図ることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のゴミ集積用具は、ネットをフレームに張設したパネルを複数連結したゴミ集積用具であって、前記ネットとして、ラッシェル編みのネットを使用したことを特徴とする。ラッシェル編みのネットを使用することで、従来のような結び目による凹凸は生じない。このため、表面が滑らかとなり、見栄えが向上するとともに、軽量化も図ることができる。
【0008】
主要な形態の一つによれば、前記ラッシェル編みのネットの糸として、高密度ポリエチレン樹脂に、UV安定剤,色粉,蛍光剤の少なくとも一つを混合したことを特徴とする。他の形態によれば、前記ラッシェル編みのネットの開口部のうち、対向する角部の間隔WAが、10mm以下ないし5mm以上であることを特徴とする。更に他の形態によれば、前記ゴミ集積用具が、正面側に設けられている正面パネル,背面側に設けられている背面パネル,左右側面側に設けられている側面パネル,前記正面パネル,背面パネル,側面パネルで構成された囲い枠の上面を覆う上面パネルを備えており、前記上面パネルが、前記囲い枠に対して開閉可能であることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ゴミ集積用具のネットとして、ラッシェル編みのネットを使用することとしたので、結び目がなく、見栄えが向上するとともに、軽量で取り扱いも用意になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例のゴミ集積用具を示す斜視図である。
【
図3】従来のゴミ集積用具のネットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例0012】
図1には、本発明のゴミ集積用具の実施例の全体構成が示されており、実用新案登録第3230473号として出願されたものである。同図において、ゴミ集積用具10は、背面パネル12,側面パネル26及び28,正面パネル30及び32からなる囲い枠に、開閉自在な蓋パネル44,46が設けられている。なお、本例では、底面パネルは設けられていないが、底面パネルを設けてもよい。ゴミ集積用具10の下端には、例えば、ゴムなどで形成された脚52が設けられている。
【0013】
前記各パネルは全て、金属製のパイプなどで形成されたフレームに、ネット200を張設したもので、必要に応じて、ネット200の縁をフレームに固定するための固定バーが利用される。フレームとしては、例えば、鉄,ステンレス,アルミニウムなどを用いることができるが、軽量化を図るという観点からはアルミニウムが好適である。鉄に樹脂コーティングを施すようにしてもよい。ネット200としては、例えば、強度の高い高密度(ないし超高密度)ポリエチレンで光反射性を有する糸を複数本,例えば15本前後を撚ったものを使用する。また、ネット200の網目の大きさは、例えばカラスなどの嘴が入り込むものの、エサをくわえた状態では網目から抜けないような大きさに設定する。
【0014】
以上のうち、背面パネル12は、横長の略長方形のフレーム14にネット200を張設したもので、前記フレーム14の長辺を概略2分する位置に、支持バー16が設けられている。該支持バー16は、フレーム14と同様の材質により構成されており、その両端が、フレーム14にそれぞれ固定されている。該支持バー16の略中間位置には、後述する正面パネル30,32の膨出を抑えるための固定バー22が、連結具20を支点として上下に回動可能に取り付けられている。この固定バー22の他端側は、略L字状ないし鉤状に折り曲げられた差込部となっている。更に、固定バー22は、背面パネル12と正面パネル30又は32間の距離,すなわち、側面パネル26の幅ないしゴミ集積用具10の奥行きとほぼ一致する長さに予め設定されている。
【0015】
このような背面パネル12の側端には、回動連結具54によって、それぞれ側面パネル26,28が回転可能に連結されており、内外側に折り畳み可能となっている。背面パネル12の上側には、同じく回動連結具54を支点として蓋パネル44,46が回動可能に連結され、側面パネル26,28の正面側の側端には、回動連結具54を支点として正面パネル30,32が回動可能に連結されている。側面パネル26,28は、背面側から正面側に向かって低くなるように傾斜を設けているが、背面側と正面側で同じ高さとしてもよい。
【0016】
正面パネル30,32の相対側ないし対向側には、ハンドル34とフック36が設けられており、図示の状態では、ハンドル34がフック36に掛けられており、ハンドル34を回転させてフック36から外すことで、正面パネル30,32を回転することができるようになっている。ハンドル34とフック36は、図示の例では、上下に2組設けられている。また、フック36の間には、上述した背面パネル12に設けられた固定バー22の差込部を係合するための受部38が設けられている。固定バー22を受部38に係合することで、前記ハンドル34とフック36による正面パネル30,32の相対部位を補強するとともに、正面パネル30,32の正面側への膨出を防ぐことができる。
【0017】
次に、蓋パネル44,46は、2枚でゴミ集積用具10の上面を覆うようなサイズに設定されており、正面側には、開閉するための取っ手48,50がそれぞれ設けられている。また、上述したように、蓋パネル44,46は、背面パネル12の上側に回動連結具54を支点として回動可能に連結されているので、取っ手48,50を持ち上げることで、図中に点線で示すように、蓋パネル44,46を開くことができる。また、ハンドル34を回転させてフック36から外すとともに、固定バー22を受部38から外すことで、正面パネル30,32を開けることができる。本実施例では、蓋パネル44,46をカラスなどが開くことがないよう、取っ手48,50の重量が重く設定されている。更に、本実施例では、正面パネル30,32の相対側下部の角100,110が、ほぼ90度となっており、隙間が低減されている。
【0018】
次に、本実施例の基本的な作用を説明すると、
図1に示す組み立てた状態から、蓋パネル44,46を開くと、ゴミをゴミ集積用具10内に投入することができる。収集したゴミを取り出すときは、例えば、蓋パネル44,46を開くとともに、正面パネル30,32側においてハンドル34をフック36から外し、正面パネル32を外側に観音開きのように開く。このようにすることで、作業者は、用具内に入り込んでゴミの回収作業を行うことができる。ゴミ集積用具10が空になったら、更に固定バー22を差込部24から外し、各パネルを回動連結具54を支点として回動させて折り畳むようにする。
【0019】
この場合において、本実施例によれば、正面パネル30,32の下端が、直角の角100,110となっており、正面パネル下端における隙間が非常に狭くなっている。このため、正面パネル下端からのカラスなどの侵入が良好に抑制されるようになる。更に、本実施例によれば、蓋パネル44,46の取っ手48,50の重量が重く設定されているので、蓋パネル44,46をカラスなどが開けるといった不都合も低減されるようになる。
【0020】
ところで、本実施例では、ネット200として、ラッシェル編み(ラッシェル織り)のネットを使用している。ラッシェル織に使用する糸としては、例えば下記のものを使用する。
a,成分:高密度ポリエチレン樹脂,蛍光剤含有
b,添加剤:UV安定剤2%,色粉2%,蛍光剤1%(重量割合)
c,強度試験結果
(1)原糸380d,糸径0.21-0.22mm
破断時1.1-1.2kgf,伸延率12cm
(2)ラッシェル織,糸径0.8mm
破断時20kgf,伸延率18cm
【0021】
以上のような糸をラッシェル織りし、ネット200を得る。ネット200の交叉部分202に結び目による凹凸は生じない。このため、全体としてネット200の表面が滑らかとなり、質感・デザイン性・柔軟性に優れている。ゴミ集積用具10の見栄えが向上する。従って、ゴミ集積用具10を折りたたんで道路の隅に置いても街の景観を損なうことがない。また、ごわつきが低減されるとともに、軽量化されることから、折り畳む際の作業性が向上し、取り扱いが容易になる。
【0022】
次に、本実施例のネット200の開口部(網目)210と、上述した背景技術のネット900の開口部910とを比較する。本実施例の場合、ラッシェル編みとなっているため、交叉部分202が滑らかに曲線でつながっている。一方、背景技術の場合、交叉部分902に結び目904があることから、開口部910の角部が尖った形状となっている。このため、開口部210,910の面積が同じであったとしても、対向する角部の間隔のうちの最も大きな間隔をWA,WBとすると、WA<WBの関係となる。間隔が大きいとカラスの嘴がネット内に入り込みやすくなることからすると、本実施例のラッシェル編みのネット200のほうが被害防止の観点から優れている。
【0023】
本実施例の試作品では、ネット200の開口部210が略正方形となるように張設したとき、対向する角部の間隔WAが7mmとしている。間隔WAを大きくするとカラス等による被害が生ずるようになるので、10mm以下、好ましくは7mm以下がよい。一方、間隔WAをあまり小さくしすぎると、ネット200の柔軟性が損なわれるようになる。してみると、間隔WAは、5mm≦WA≦10mmが好ましい。
【0024】
<他の実施例> 本発明には数多くの実施例があり、以上の開示に基づいて多様に改変することが可能である。例えば、次のようなものも含まれる。
(1)上述した実施例を構成する各部の材料としては各種のものが知られており、そのいずれのものを用いてもよい。また、各部の大きさ,形状も一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、
図1のゴミ集積用具10の寸法例を示すと、以下のようになる。
横幅:1700mm~1900mm,
背面側の高さ:800mm~1000mm,
正面側の高さ:700mm~800mm,
正面から背面までの奥行き:500mm~800mm,
【0025】
(2)色彩や模様になどについても同様に適宜変更可能である。例えば、ネットの色は、糸を着色することで適宜変更可能であるが、視認性の高い緑色や黄色とすることで、通行人や車両などの注意を引いて、更に交通の安全を図るようにしてよい。更に、ネットを光反射性としたり、蓄光性,蛍光性を有する糸を使用するようにしてもよい。
(3)前記実施例では、ハンドルとフックによって留め具としたが、公知の各種の構造としてよい。例えば、チェーン,紐,面ファスナーなどを使用してよい。
(4)ネットやフレームに防カビ効果,防臭効果,消臭効果を持たせるようにしてもよい。また、フレームを構成するパイプの中に芳香剤などを入れるとともに、フレームに放香用の孔などを設けるようにしてもよいし、その香りも季節ごとに変えるようにしてもよい。
(5)上述した実施例では、ゴミ集積用具の下端にゴムなどで構成された脚を設けることとしたが、キャスタを設けて全体の移動を行うようにしてもよい。また、例えば、カラスが磁気に弱いという点を利用して、ネットやフレームの適宜箇所に磁石などを設けるようにしてもよい。
【0026】
(6)前記実施例で示した角100,110の形状は一例であり、各パネルの角部を隙間が生じないようであれば、アールのない形状,直角形状,鋭角形状,鈍角形状など、どのような形状としてもよい。また、それら形状とするための構造も、前記実施例に限定されず、例えば、接着剤や溶接によって接合するといった公知の構造としてよい。
(7)前記実施例に、上述した背景技術や、実用新案登録第3216396号のゴミ集積用具に適用ないし組み合わせてもよい。
(8)本発明の適用対象のゴミとしては、各種の廃棄物や処分品なども含まれる。
本発明によれば、ゴミ集積用具のネットとして、ラッシェル編みのネットを使用することとしたので、結び目がなく、見栄えが向上するとともに、軽量で取り扱いも容易になることから、ゴミ集積用具として好適である。