(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160894
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】自転車用荷物台
(51)【国際特許分類】
B62K 13/00 20060101AFI20241108BHJP
B62K 15/00 20060101ALI20241108BHJP
B62J 1/00 20060101ALI20241108BHJP
B62J 1/16 20060101ALI20241108BHJP
B62J 7/00 20060101ALI20241108BHJP
B62J 9/20 20200101ALI20241108BHJP
B62K 19/46 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B62K13/00
B62K15/00
B62J1/00 D
B62J1/16
B62J7/00
B62J9/20
B62K19/46
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076402
(22)【出願日】2023-05-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】307014371
【氏名又は名称】誠 忠元
(74)【代理人】
【識別番号】100136146
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 明生
(72)【発明者】
【氏名】誠 忠元
【テーマコード(参考)】
3D212
【Fターム(参考)】
3D212BA06
(57)【要約】
【課題】搬送物を保持した状態で自転車の上と地面(又は床)の上のいずれにも置くことができる荷物台を提供する。
【解決手段】自転車用荷物台1は、子どもが座るチャイルドシートである本体11と、本体11に対し軸X周りに回転し、自転車の上に置かれる状態(車上載置状態)において本体11に沿うように縮小され、地面(又は床)に置かれる状態(地上載置状態)において展開される展開脚13を備える。ユーザは、車上載置状態の自転車用荷物台1を自転車のハンドルに取り付けて、子どもを乗せて自転車9を運転する。また、ユーザは、自転車を駐輪した後、展開脚13を展開させ、自転車用荷物台1を自転車から取り外し、地上に置いて、椅子となった自転車用荷物台1に子どもを座らせることができる。自転車用荷物台1によれば、駐輪中に自転車が倒れ、チャイルドシートに座っている子どもが怪我を負う、といった危険が回避される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を保持する本体と、
前記本体及び前記本体に保持されている搬送物の重量の全てが自転車の上にかかった状態で前記自転車の走行を妨げないように、搬送物を保持可能な姿勢で前記本体を前記自転車に取り付ける取付部と、
前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態の前記本体を、前記本体及び前記本体に保持されている搬送物の重量の少なくとも一部が地面又は床の上にかかった状態で下方から支持する支持部とを備え、
前記支持部の少なくとも一部は、前記本体が前記取付部により前記自転車に取り付けられている状態と、前記本体の前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態とで、前記本体に対する位置が変更される
自転車用荷物台。
【請求項2】
前記支持部は、前記本体に対する展開と縮小、伸張と短縮、又は、取り付けと取り外しにより、前記本体に対する位置が変更される
請求項1に記載の自転車用荷物台。
【請求項3】
前記支持部は車輪を有する
請求項1に記載の自転車用荷物台。
【請求項4】
前記本体が前記取付部により前記自転車に取り付けられている状態において、自転車用チャイルドシートであり、
前記本体の前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態において、地面又は床に置かれる椅子である
請求項1に記載の自転車用荷物台。
【請求項5】
前記支持部は、前記本体の前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態において、地面又は床に対し凸の円弧を描くように湾曲する部分を有する
請求項4に記載の自転車用荷物台。
【請求項6】
前記本体の前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態において、変形されて手押し車となった前記自転車のシートである
請求項4に記載の自転車用荷物台。
【請求項7】
前記本体が前記取付部により前記自転車に取り付けられている状態において、前記自転車の荷台であり、
前記本体の前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態において、前記自転車に牽かれて走行するリヤカーである
請求項1に記載の自転車用荷物台。
【請求項8】
前記本体の前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態において、変形されて手押し車となった前記自転車のコンテナ又はシートである
請求項7に記載の自転車用荷物台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用の荷物台に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車の運転者とは異なる人又は物を載せて自転車でそれらを搬送したい場合、自転車の走行中に搬送対象の人又は物(以下、それらを「搬送物」という)が自転車から落下しないように、搬送物を保持するための荷物台が必要となる。
【0003】
自転車用の荷物台を記載している特許文献として、例えば特許文献1がある。特許文献1には、乳幼児(搬送物の一例)を後ろ向きに安定した姿勢で容易に乗せることができる自転車用チャイルドシート(荷物台の一例)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自転車の上に載置された状態で使用される荷物台を、自転車から地面の上に移動したい場合がある。
【0006】
例えば、通常は自転車の前輪又は後輪の上に取り付けて、子どもを乗せて搬送するためのチャイルドシートを、例えば子どもが乗ったままの状態で自転車から取り外して、地面の上に置くことができれば、自転車を駐輪している間に子どもの動き等により自転車が倒れて、チャイルドシートに乗っていた子どもが怪我を負う等の危険性がなく、望ましい。
【0007】
また、通常は自転車の後輪の上に取り付けて、搬送物を収容して搬送するためのコンテナを、自転車の後輪の後ろに取り付けた状態で地面の上に置き、自転車で牽きながら搬送できれば、後輪の上では自転車の強度が不足する程に重量が大きい搬送物であっても自転車で搬送でき、望ましい。
【0008】
上記の事情に鑑み、本発明は、搬送物を保持した状態で自転車の上と地面又は床の上のいずれにも置くことができる荷物台を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は、搬送物を保持する本体と、前記本体及び前記本体に保持されている搬送物の重量の全てが自転車の上にかかった状態で前記自転車の走行を妨げないように、搬送物を保持可能な姿勢で前記本体を前記自転車に取り付ける取付部と、前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態の前記本体を、前記本体及び前記本体に保持されている搬送物の重量の少なくとも一部が地面又は床の上にかかった状態で下方から支持する支持部とを備え、前記支持部の少なくとも一部は、前記本体が前記取付部により前記自転車に取り付けられている状態と、前記本体の前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態とで、前記本体に対する位置が変更される自転車用荷物台を提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、搬送物を保持した状態で自転車の上と地面又は床の上のいずれにも置くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかる車上載置状態の自転車用荷物台を示した図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態にかかる自転車用荷物台を示した図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態にかかる自転車用荷物台が変形する様子を示した図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の一変形例にかかる自転車用荷物台が変形する様子を示した図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の一変形例にかかる手押し車用シート状態の自転車用荷物台を示した図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態にかかる車上載置状態の自転車用荷物台を示した図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態にかかる地上載置状態の自転車用荷物台を示した図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態の一変形例にかかる手押し車用コンテナ状態の自転車用荷物台を示した図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態の一変形例にかかる車上載置状態の自転車用荷物台を示した図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態の一変形例にかかる手押し車用シート状態の自転車用荷物台を示した図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態の一変形例にかかる自転車用荷物台が変形する様子を示した図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態の一変形例にかかる自転車用荷物台が変形する様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下に、本発明の第1実施形態に係る自転車用荷物台1を説明する。
図1は、自転車9の上に取り付けられた状態(以下、「車上載置状態」という)の自転車用荷物台1を示した図である。
【0013】
自転車9は、市販されている一般的なシティサイクルである。車上載置状態の自転車用荷物台1は、自転車用荷物台1が備えるフックが自転車9のハンドルに引っ掛けられた状態で自転車9の前輪の上に配置される、ハンドル吊り下げ型の前乗せチャイルドシート(自転車用チャイルドシートの一例)である。
【0014】
図2は、自転車用荷物台1を示した図である。自転車用荷物台1は、本体11と、フック12と、展開脚13と、取付脚14を備える。
【0015】
図3は、自転車用荷物台1の本体11に対する展開脚13の位置が変化する様子を示した図である。なお、
図3においては、取付脚14の図示が省略されている。
【0016】
本体11は、座った姿勢の子ども(搬送物の一例)を収容した状態でその子どもを保持するシートである。本体11は、座面の右前部分から前下方に湾曲するように延伸する脚111Rと、座面の左前部分から前下方に湾曲するように延伸する脚111Lを有する。以下、脚111Rと脚111Lを互いに区別しない場合、それらを脚111と総称する。
【0017】
本体11は、脚111Rと脚111Lの間に架け渡されるように配置された足置台112を有する。車上載置状態において、脚111は足置台112に置かれた子どもの足を支持する役割を果たす。
【0018】
フック12(取付部の一例)は、本体11の前方部分に取り付けられた鉤形状をした1又は複数の部材で構成され、自転車9のハンドルに引っ掛けられることで、本体11を自転車9に取り付ける役割を果たす部分である。フック12は、本体11及び本体11に保持される子どもの重量の全てが自転車9の上にかかった状態で自転車9に対し本体11を取り付ける。
【0019】
フック12により本体11が取り付けられた状態の自転車9は、本体11によって、その走行が妨げられることはない。
【0020】
車上載置状態において、自転車9に取り付けられた自転車用荷物台1には、本体11に子どもが保持された状態において、子どもの重量により、自転車9のハンドルの延伸方向(左右方向)を軸として、
図2における反時計回りに回転しようとする力が加わる。ただし、本体11の座面の前方中央部分が自転車9のハンドルポストに当たるので、自転車用荷物台1は
図1に示した姿勢、すなわち、座面が概ね水平となる姿勢で安定する。
【0021】
本体11の座面の前方中央部分が自転車9のハンドルポストに当たるためには、自転車用荷物台1を自転車9に取り付ける際、脚111Rと脚111Lの間を自転車9のハンドルポストが通過できる必要がある。そのため、足置台112は着脱可能、もしくは、開閉可能となっている。もしくは、足置台112が、脚111Rから左方向に延伸する部材と、脚111Lから右方向に延伸する部材とで構成され、それらの部材の間に自転車9のハンドルポストが通過できる隙間が設けられていてもよい。
【0022】
自転車用荷物台1が、本体11の座面の前方中央部分に押し当てられた状態の自転車9のハンドルポストに対し、本体11を取り付ける部材を備えてもよい。その場合、その部材とフック12が、自転車9に本体11を取り付ける取付部を構成する。
【0023】
展開脚13は、後述する地上載置状態において、脚111とともに本体11を下方から支持する役割を果たす部材である。展開脚13は、右側の脚131Rと、左側の脚131Lと、それらの脚の間に架け渡されるように配置された連結棒132を備える。以下、脚131Rと脚131Lを互いに区別しない場合、それらを脚131と総称する。
【0024】
展開脚13は、車上載置状態においては、本体11の右外側面上に脚131Rが沿い、本体11の左外側面上に脚131Lが沿った状態、すなわち、本体11に対し縮小した状態となっており、脚としての役割は果たさない。
【0025】
自転車用荷物台1は、上述した車上載置状態に加え、自転車9から取り外されて、地面又は床の上に置かれた状態(以下、「地上載置状態」という)でも使用可能である。
【0026】
図3(A)は車上載置状態の自転車用荷物台1を示している。車上載置状態において、展開脚13は本体11に対し沿うように縮小した状態である。ユーザは、車上載置状態で自転車9に取り付けられている自転車用荷物台1に座っている子どもを地上に降ろし、展開脚13を
図3(A)の状態から、軸Xを軸として右側面から見て時計回りに回転して展開し、
図3(B)の状態、すなわち、地上載置状態とする。
【0027】
その後、ユーザは、自転車用荷物台1を自転車9から取り外し、自転車用荷物台1を地面(又は床)に置く。地上載置状態の自転車用荷物台1は、地面に置かれると、脚131が脚111とともに本体11を下方から支持する状態で安定する。なお、展開脚13が
図3(B)の状態よりも更に後方に回転しないように、本体11又は展開脚13にはストッパが設けられている。子どもは、地上(又は床)に置かれた地上載置状態の自転車用荷物台1を椅子として用いることができる。
【0028】
なお、ユーザは、再び自転車9を運転して移動したい場合、上述した手順の逆の手順により、自転車用荷物台1を地上載置状態から車上載置状態に戻せばよい。
【0029】
上述のように、自転車用荷物台1によれば、ユーザは、自転車用荷物台1を、自転車9に子どもを乗せて走行するためのチャイルドシートとして使用できるとともに、例えば自転車9の駐輪中に子どもが座るための椅子として使用できる。その結果、自転車9が駐輪中にチャイルドシートに座っている子どもが動いて自転車9が倒れ、子どもが怪我を負う、といった危険が回避される。
【0030】
[第1実施形態の変形例]
上述した自転車用荷物台1は本発明の一実施形態であり、本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形され得る。以下にそれらの変形の例を示す。なお、以下の変形例の2以上が適宜、組み合わされてもよい。
【0031】
(1)
図3に示した自転車用荷物台1の形状は地上載置状態の自転車用荷物台1の形状の一例であって、他の形状が地上載置状態として採用されてもよい。
図4は、
図3とは異なる形状の地上載置状態の自転車用荷物台1を例示した図である。
【0032】
この変形例において、左右の脚131の各々は、脚1311、脚1312、及び、脚1313で構成される。脚1312と脚1313は、
図4に示すように、下に対し凸の円弧を描くように湾曲している。
【0033】
脚1311は、本体11に対し、軸X周りに回転可能である。また、脚1312は、脚1311に対し、軸Y周りに回転可能である。また、脚1313は、脚1312に対し、前後方向にスライド可能である。
【0034】
ユーザは、
図3(B)の状態の自転車用荷物台1の脚1312を脚1311に対しY軸の時計回りに回転させて、
図4(A)の状態とする。これにより、脚1311に対し脚1312と脚1313が展開された状態となる。
【0035】
続いて、ユーザは、脚1312に対し脚1313を前方向にスライドさせる。これにより、脚1312と脚1313が伸張した状態となる。ユーザは、脚1313の前方端部と脚111を、ネジ等で固定する。なお、脚1313の前方端部と脚111の連結方法は、ネジ等で固定する方法に限られず、例えば、脚1313に設けられた溝に、脚111に設けられた突起部を嵌め込む方法等が採用されてもよい。これにより、自転車用荷物台1が
図4(B)の形状となる。
【0036】
図4(B)の形状の自転車用荷物台1も、
図3の形状の自転車用荷物台1と同様に、脚111及び脚131により地面(又は床)の上に置かれた状態で安定する。そして、
図4(B)の形状の自転車用荷物台1は、揺り椅子の役割を果たす。
【0037】
(2)上述した自転車用荷物台1は前乗せのチャイルドシートであるが、自転車用荷物台1が後乗せのチャイルドシートであってもよい。
【0038】
(3)自転車9が手押し車に変形可能な自転車である場合、自転車用荷物台1が、手押し車となった自転車9のシートとして用いられてもよい。
【0039】
図5は、手押し車に変形した自転車9に対し、シートとして取り付けられた状態(以下、「手押し車用シート状態」という)の自転車用荷物台1を示した図である。手押し車用シート状態の自転車用荷物台1が取り付けられた自転車9は、ベビーカーとして機能する。
【0040】
図5に示されるように手押し車に変形する自転車9は、国際公開第2022/239782号、又は、特許第7215796号公報により公開されているため、その説明を省略する。
【0041】
手押し車用シート状態の自転車用荷物台1においては、本体11の背面の左右に設けられた脚受部113L及び脚受部113Rに対し、取付脚14が取り付けられている。取付脚14は、脚141L及び脚141Rで構成される。そして、脚141Lは脚受部113Lに着脱され、脚141Rが脚受部113Rに着脱される。なお、脚141Lと脚141Rの形状は同じであるため、それらが左右逆に用いられてもよい。以下、脚141Lと脚141Rを脚141と総称する。また、以下、脚受部113Lと脚受部113Rを脚受部113と総称する。
【0042】
脚141は、
図5に示されるように、伸張短縮が可能な棒状部と、その棒状部の一方の先端に取り付けられた車輪を有している。脚141は、不使用時には、
図2に示されるように、棒状部が短縮された状態で、本体11の下面に取り付けられている。そして、手押し車用シート状態においては、棒状部が伸張された状態の脚141が脚受部113に取り付けられる。なお、棒状部には、伸張した状態を維持するためのストッパが設けられており、手押し車用シート状態において車輪が地面から受ける力によって棒状部が短縮することはない。
【0043】
[第2実施形態]
以下に、本発明の第2実施形態に係る自転車用荷物台2を説明する。
図6は、車上載置状態の自転車用荷物台2を示した図である。また、
図7は、地上載置状態の自転車用荷物台2を示した図である。
【0044】
自転車用荷物台2は、上面が塞がれていない箱状の部材、又は、上面が開閉可能な蓋で塞がれている箱状の部材である本体21と、
図6に示す本体21の前方側面に左右に設けられた脚受部22L及び脚受部22Rと、
図6に示す本体21の前方側面の左右方向における中央部に設けられた取付部23と、脚受部22Lに対し着脱される取付脚24Lと、脚受部22Rに対し着脱される取付脚24Rを備える。以下、脚受部22Lと脚受部22Rを脚受部22と総称し、取付脚24Lと取付脚24Rを取付脚24と総称する。
【0045】
車上載置状態の自転車用荷物台2は、取付部23により自転車9のシートポストクランプに取り付けられている。また、車上載置状態の自転車用荷物台2は、自転車9が備える左右のステー91により、自転車9のシートステー又はチェーンステーの後端部と連結されている。また、車上載置状態の自転車用荷物台2において、取付脚24は脚受部22から取り外され、本体21の下面に取り付けられている。
【0046】
地上載置状態の自転車用荷物台2は、取付部23による自転車9との連結が解除され、脚受部22に取付脚24が取り付けられ、車上載置状態とは前後方向(及び左右方向)が逆になった状態で、地上に載置されている。また、地上載置状態の自転車用荷物台2は、車上載置状態と同様に、ステー91により、自転車9のシートステー又はチェーンステーの後端部と連結されている。ただし、車上載置状態と地上載置状態では、自転車用荷物台2の左右が逆となっているため、自転車用荷物台2が車上載置状態から地上載置状態に変形する際、ステー91との連結はいったん解除され、前後方向(及び左右方向)が逆とされた後、再度、ステー91と連結される。
【0047】
取付脚24の構造は、第1実施形態における自転車用荷物台1が備える取付脚14の構造と同様である。
【0048】
地上載置状態において、取付脚24(支持部の一例)は、本体21及び本体21に保持(収容)されている搬送物の重量の少なくとも一部が地面の上にかかった状態で、本体21を下方から支持する。
【0049】
自転車9は、地上載置状態の自転車用荷物台2を牽きながら走行することができる。すなわち、自転車9の走行に伴い、取付脚24の車輪が回転し、取付脚24が自転車9の走行を妨げることはない。
【0050】
上述のように、自転車用荷物台2は、車上載置状態において自転車9の荷台となり、地上載置状態において自転車9に牽かれて走行するリヤカーとなる。
【0051】
[第2実施形態の変形例]
上述した自転車用荷物台2は本発明の一実施形態であり、本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形され得る。以下にそれらの変形の例を示す。なお、以下の変形例の2以上が適宜、組み合わされてもよい。
【0052】
(1)自転車9が手押し車に変形可能な自転車である場合、自転車用荷物台2が、手押し車となった自転車9のコンテナとして用いられてもよい。
【0053】
図8は、手押し車に変形した自転車9に対し、コンテナとして取り付けられた状態(以下、「手押し車用コンテナ状態」という)の自転車用荷物台2を示した図である。手押し車用コンテナ状態の自転車用荷物台2が取り付けられた自転車9は、例えばシルバーカーと呼ばれる高齢者の手押し車として機能する。
【0054】
なお、
図8に示されるように手押し車に変形する自転車9は、既述のように、国際公開第2022/239782号、又は、特許第7215796号公報により公開されている。
【0055】
手押し車用コンテナ状態の自転車用荷物台2においては、地上載置状態の自転車用荷物台2と同様に、取付部23に取付脚24が取り付けられている。すなわち、手押し車用コンテナ状態において、取付脚24の車輪は手押し車の後輪の役割を果たす。
【0056】
(2)自転車9が手押し車に変形可能な自転車である場合、自転車用荷物台2が、手押し車となった自転車9のシートとして用いられてもよい。
【0057】
図9は、この変形例における自転車用荷物台2の車上載置状態を示した図である。また、
図10は、この変形例における自転車用荷物台2が、手押し車に変形した自転車9に対しシートとして取り付けられた状態(以下、「手押し車用シート状態」という)を示した図である。
図10に示す手押し車用シート状態の自転車用荷物台2が取り付けられた手押し車は、車椅子の役割を果たす。
【0058】
この変形例における自転車用荷物台2は、車上載置状態と手押し車用シート状態の間で大きく変形する。
図11は、この変形例における自転車用荷物台2が車上載置状態と手押し車用コンテナ状態との間で変形する様子を示した図である。
【0059】
この変形例における自転車用荷物台2は、手押し車用シート状態(ただし、前下方に展開する足置き台は折り畳まれた状態)で、
図7の自転車用荷物台2の代わりに自転車9にステー91を介して取り付けられることで、リヤカーとしての役割も果たす。その場合、シート形状の自転車用荷物台2の座面の上に搬送物が乗せられることになる。
【0060】
[第1実施形態及び第2実施形態に共通の変形例]
上述した自転車用荷物台1及び自転車用荷物台2は、さらに以下のように変形されてもよい。なお、以下の変形例の2以上が適宜、組み合わされてもよい。
【0061】
(1)自転車用荷物台1が備える取付脚14、又は、自転車用荷物台2が備える取付脚24は、本体11又は本体21に対し着脱可能である。それらの脚が、本体に対し着脱可能な構造に代えて、展開縮小が可能な構造であってもよい。
【0062】
図12は、例として、第2実施形態の変形例(2)における自転車用荷物台2を変形し、取付脚24に代えて、本体21に対し展開縮小が可能な展開脚25を備えるように構成した自転車用荷物台2を示した図である。展開脚25は、
図12に示す軸Zの周りを回転することによって、本体21に沿うように縮小した状態(
図12(A))と、本体21から展開した状態(
図12(C))の間で変形する。
【0063】
図13は、この変形例における手押し車用シート状態の自転車用荷物台2を示した図である。
【0064】
(2)上述した実施形態(及びそれらの変形例)において、図を用いて説明した自転車用荷物台1又は自転車用荷物台2の具体的な形状、構造等は例示であって、様々に変形され得る。例えば、第1実施形態にかかる自転車用荷物台1の脚131は軸周りに回転し、本体11に対し展開縮小するものとしたが、例えば、本体11に対し伸張短縮する構成が採用されてもよい。また、例えば、取付脚14及び取付脚24の棒状部は伸張短縮するものとしたが、必ずしも伸張短縮しなくてよい。
【符号の説明】
【0065】
1…自転車用荷物台、9…自転車、11…本体、12…フック、13…脚、111…脚、112…足置き台、131…脚、132…連結棒、1311…脚、1312…脚、1313…脚。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を保持する本体と、
前記本体及び前記本体に保持されている搬送物の重量の全てが自転車の上にかかった状態で前記自転車の走行を妨げないように、搬送物を保持可能な姿勢で前記本体を前記自転車に取り付ける取付部と、
前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態の前記本体を、前記本体及び前記本体に保持されている搬送物の重量の少なくとも一部が地面又は床の上にかかった状態で下方から支持する支持部と
を備え、
前記支持部の少なくとも一部は、前記本体が前記取付部により前記自転車に取り付けられている状態と、前記本体の前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態とで、前記本体に対する位置が変更され、
前記支持部は、右前の脚、前記本体から展開される右後の脚、左前の脚、前記本体から展開される左後の脚、前記右後の脚から展開及び伸張されて下に対し凸の円弧を描くように湾曲する右側湾曲脚、及び、前記左後の脚から展開及び伸張されて下に対し凸の円弧を描くように湾曲する左側湾曲脚を有し、
前記本体が前記取付部により前記自転車に取り付けられている状態において、前記支持部は、前記右後の脚が前記本体から展開されず、前記左後の脚が前記本体から展開されず、前記右側湾曲脚が前記右後の脚から展開及び伸張のいずれもされず、前記左側湾曲脚が前記左後の脚から展開及び伸張のいずれもされない第1の形状となり、
前記本体の前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態において、前記支持部は、前記第1の形状から、前記右後の脚が前記本体から展開され、前記左後の脚が前記本体から展開された第2の形状と、前記第2の形状から、前記右側湾曲脚が前記右後の脚から展開及び伸張されて前方端部が前記右前の脚に連結され、前記左側湾曲脚が前記左後の脚から展開及び伸張されて前方端部が前記左前の脚に連結された第3の形状との間で変形可能であり、
前記支持部は、前記第2の形状において、前記右前の脚、前記右後の脚、前記左前の脚、及び、前記左後の脚の各々の下端が地面又は床に接した状態で前記本体を下方から支持し、前記第3の形状において、前記右側湾曲脚の一部と前記左側湾曲脚の一部が地面又は床に接した状態で前記本体を下方から支持する
自転車用荷物台。
【請求項2】
搬送物を保持する本体と、
前記本体及び前記本体に保持されている搬送物の重量の全てが自転車の上にかかった状態で前記自転車の走行を妨げないように、搬送物を保持可能な姿勢で前記本体を前記自転車に取り付ける取付部と、
前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態の前記本体を、前記本体及び前記本体に保持されている搬送物の重量の少なくとも一部が地面又は床の上にかかった状態で下方から支持する支持部と、
一方の端部が前記自転車の右側のシートステー又はチェーンステーの後端部に連結され、他方の端部が前記本体の右側に連結される右側の棒状部材と、
一方の端部が前記自転車の左側のシートステー又はチェーンステーの後端部に連結され、他方の端部が前記本体の左側に連結される左側の棒状部材と
を備え、
前記支持部は右側の車輪と左側の車輪を有し、
前記支持部の右側の車輪と左側の車輪は、前記本体が前記取付部により前記自転車に取り付けられている状態と、前記本体の前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態とで、前記本体に対する位置が変更され、
前記本体が前記取付部により前記自転車に取り付けられている状態において、前記右側の棒状部材と前記左側の棒状部材は、前記本体を下方から支持し、
前記本体の前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態において、前記右側の車輪の一部と前記左側の車輪の一部が地面又は床に接した状態で前記本体を下方から支持し、前記自転車の走行に伴い回転する前記右側の車輪と前記左側の車輪によって下方から支持される前記本体が前記右側の棒状部材と前記左側の棒状部材とを介して前記自転車に牽かれる
自転車用荷物台。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は、搬送物を保持する本体と、前記本体及び前記本体に保持されている搬送物の重量の全てが自転車の上にかかった状態で前記自転車の走行を妨げないように、搬送物を保持可能な姿勢で前記本体を前記自転車に取り付ける取付部と、前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態の前記本体を、前記本体及び前記本体に保持されている搬送物の重量の少なくとも一部が地面又は床の上にかかった状態で下方から支持する支持部とを備え、前記支持部の少なくとも一部は、前記本体が前記取付部により前記自転車に取り付けられている状態と、前記本体の前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態とで、前記本体に対する位置が変更され、前記支持部は、右前の脚、前記本体から展開される右後の脚、左前の脚、前記本体から展開される左後の脚、前記右後の脚から展開及び伸張されて下に対し凸の円弧を描くように湾曲する右側湾曲脚、及び、前記左後の脚から展開及び伸張されて下に対し凸の円弧を描くように湾曲する左側湾曲脚を有し、前記本体が前記取付部により前記自転車に取り付けられている状態において、前記支持部は、前記右後の脚が前記本体から展開されず、前記左後の脚が前記本体から展開されず、前記右側湾曲脚が前記右後の脚から展開及び伸張のいずれもされず、前記左側湾曲脚が前記左後の脚から展開及び伸張のいずれもされない第1の形状となり、前記本体の前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態において、前記支持部は、前記第1の形状から、前記右後の脚が前記本体から展開され、前記左後の脚が前記本体から展開された第2の形状と、前記第2の形状から、前記右側湾曲脚が前記右後の脚から展開及び伸張されて前方端部が前記右前の脚に連結され、前記左側湾曲脚が前記左後の脚から展開及び伸張されて前方端部が前記左前の脚に連結された第3の形状との間で変形可能であり、前記支持部は、前記第2の形状において、前記右前の脚、前記右後の脚、前記左前の脚、及び、前記左後の脚の各々の下端が地面又は床に接した状態で前記本体を下方から支持し、前記第3の形状において、前記右側湾曲脚の一部と前記左側湾曲脚の一部が地面又は床に接した状態で前記本体を下方から支持する自転車用荷物台を提案する。
また、本発明は、搬送物を保持する本体と、前記本体及び前記本体に保持されている搬送物の重量の全てが自転車の上にかかった状態で前記自転車の走行を妨げないように、搬送物を保持可能な姿勢で前記本体を前記自転車に取り付ける取付部と、前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態の前記本体を、前記本体及び前記本体に保持されている搬送物の重量の少なくとも一部が地面又は床の上にかかった状態で下方から支持する支持部と、一方の端部が前記自転車の右側のシートステー又はチェーンステーの後端部に連結され、他方の端部が前記本体の右側に連結される右側の棒状部材と、一方の端部が前記自転車の左側のシートステー又はチェーンステーの後端部に連結され、他方の端部が前記本体の左側に連結される左側の棒状部材とを備え、前記支持部は右側の車輪と左側の車輪を有し、前記支持部の右側の車輪と左側の車輪は、前記本体が前記取付部により前記自転車に取り付けられている状態と、前記本体の前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態とで、前記本体に対する位置が変更され、前記本体が前記取付部により前記自転車に取り付けられている状態において、前記右側の棒状部材と前記左側の棒状部材は、前記本体を下方から支持し、前記本体の前記取付部による前記自転車に対する取り付けが解除された状態において、前記右側の車輪の一部と前記左側の車輪の一部が地面又は床に接した状態で前記本体を下方から支持し、前記自転車の走行に伴い回転する前記右側の車輪と前記左側の車輪によって下方から支持される前記本体が前記右側の棒状部材と前記左側の棒状部材とを介して前記自転車に牽かれる自転車用荷物台を提案する。