(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160926
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】プローブカードの定位環および保護ケース
(51)【国際特許分類】
G01R 1/06 20060101AFI20241108BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20241108BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G01R1/06 Z
G01R1/073 E
H01L21/66 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023203352
(22)【出願日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】63/463,427
(32)【優先日】2023-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506017182
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUDENG PRECISION INDUSTRIAL CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】邱 銘乾
(72)【発明者】
【氏名】潘 詠晉
(72)【発明者】
【氏名】▲チュウ▼ 育辰
(72)【発明者】
【氏名】黄 啓專
【テーマコード(参考)】
2G011
4M106
【Fターム(参考)】
2G011AF06
4M106AA01
4M106DD03
4M106DD10
(57)【要約】
【課題】プローブカードの定位環および保護ケースを提供する。
【解決手段】保護ケースは定位環、ケース体、上蓋及びスイッチ材を含む。定位環は、複数のクイックリリース材を有し、ケース体に複数の配置溝が設けられ、クイックリリース材に対応して配置され、且つクイックリリース材と嵌合して当接し、定位環をケース体内に取り外し可能に係合することに用いられる。定位環は複数の斜溝を含み、プローブカード上に保護蓋が接続され、保護蓋はプローブカードに係止するための複数のスナップ材を含む。保護蓋及びそれに接続されるプローブカードが共に定位環上に配置される時、斜溝はスナップ材を作動させプローブカードの係止状態を解除し、プローブカード及び保護蓋を分離可能な状態にする。スイッチ材はケース体上に設置され、上蓋に複数のほぞが設けられ、スイッチ材の位置に対応し、スイッチ材はほぞに係止することに用いられ、それにより上蓋及びケース体をロックする。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブカードの保護ケースであって、定位環と、ケース体を含み、
前記定位環は、前記プローブカードを載置及び定位することに用いられ、前記定位環は複数のクイックリリース材を有することと、及び、
前記ケース体は、複数の配置溝が設けられ、前記複数のクイックリリース材に対応して配置され、且つ前記複数のクイックリリースと嵌合して当接することに用いられ、
ここで、前記複数のクイックリリース材は前記複数の配置溝に取り外し可能に当接し、前記定位環を前記ケース体内に取り外し可能に係合することに用いられること、を特徴とする保護ケース。
【請求項2】
そのうち、前記複数のクイックリリース材は弾力係合構造であり、各前記クイックリリース材は当接材及び一対の肩部を含み、前記当接材は前記ケース体の内側壁に当接され、前記一対の肩部は前記当接材の両側に接続され、前記ケース体にさらに複数のボタンロック材が設けられ、前記複数の配置溝に位置し、各前記ボタンロック材は前記一対の肩部に嵌合され、それにより前記定位環を固定すること、を特徴とする請求項1に記載の保護ケース。
【請求項3】
そのうち、前記当接材が力を受けて前記内側壁から一定の距離を離れると、前記一対の肩部は前記ボタンロック材から離脱し、前記定位環を取り外し可能な状態にすること、を特徴とする請求項2に記載の保護ケース。
【請求項4】
プローブカードの定位環であって、前記プローブカードを載置及び定位することに用いられ、且つ保護ケース内に取り外し可能に設置され、前記定位環に複数の斜溝が設置され、前記プローブカード上に保護蓋が接続され、前記保護蓋は前記プローブカードに係止するための複数のスナップ材を含むことと、
そのうち、前記保護蓋及びそれに接続される前記プローブカードが共に前記定位環上に配置される時、前記斜溝は前記複数のスナップ材を作動させ前記プローブカードの係止状態を解除し、前記プローブカード及び前記保護蓋を分離可能な状態にすることと、
そのうち、第一手段を用いて前記定位環上に配置された前記プローブカードを取り出す時、前記プローブカードは前記保護蓋と分離し、それにより前記保護蓋が前記定位環に留まることと、
そのうち、第二手段を用いて前記定位環上に配置された前記保護蓋及び前記プローブカードを取り出す時、前記複数のスナップ材は前記複数の斜溝から離脱し且つ前記プローブカードの前記係止状態を回復することと、を特徴とする定位環。
【請求項5】
前記第二手段を使用して前記保護蓋及び前記プローブカードを取り出した後、前記保護蓋はさらに治具に接続され、それにより前記プローブカード及び前記保護蓋を分離することに用いられ、そのうち、前記治具は本体を有し、前記本体の両側はそれぞれ傾斜面であり、前記複数のスナップ材を作動させてさらに前記プローブカードとの前記係止状態から離脱させること、を特徴とする請求項4に記載の定位環。
【請求項6】
そのうち、前記保護蓋は、蓋体と、側壁及び前記側壁に設置される第一ハンドルと、を含み、前記第一ハンドルは前記プローブカードの第二ハンドルに対応し、前記第二手段は前記第二ハンドルと前記第一ハンドルを経由して前記保護蓋と前記プローブカードを同時に取り出すこと、を特徴とする請求項4に記載の定位環。
【請求項7】
そのうち、各前記スナップ材は斜柄部を有し、各前記斜溝は前記斜柄部と相互作用することに用いられ、各前記斜溝はガイド斜面を有し、前記ガイド斜面と水平面との間に第一夾角を有し、各前記斜柄部と前記水平面との間に前記第一夾角より小さい第二夾角を有すること、を特徴とする請求項4に記載の定位環。
【請求項8】
プローブカードの保護ケースであって、定位環と、ケース体と、上蓋と、スイッチ材と、を含み、
前記定位環は、前記プローブカードを載置及び定位することに用いられ、前記定位環は複数のクイックリリース材を有することと、
前記ケース体は、複数の配置溝が設けられ、前記複数のクイックリリース材に対応して配置され、且つ前記複数のクイックリリース材と嵌合して当接することに用いられ、ここで前記複数のクイックリリース材は前記複数の配置溝と取り外し可能に当接し、前記定位環を前記ケース体内に取り外し可能に係合することに用いられることと、
前記上蓋は、前記ケース体と嵌合して前記定位環及び前記プローブカードを収容する収容空間を画定することと、及び、
前記スイッチ材は、前記ケース体上に設置され、前記上蓋にほぞが設けられ、前記スイッチ材の位置に対応し、ここで前記スイッチ材は前記ほぞに係止され、それにより前記上蓋と前記ケース体をロックすることに用いられることと、を特徴とする保護ケース。
【請求項9】
そのうち、前記スイッチ材は回転式の弾性ロック材であり、第一手段で押圧した後に回転し、前記スイッチ材を前記ほぞとのロックから離脱させ、それにより前記上蓋を取り出し可能な状態にすることに用いられること、を特徴とする請求項8に記載の保護ケース。
【請求項10】
そのうち、前記スイッチ材は押圧式の弾性ロック材であり、第二手段で押圧した後に、前記スイッチ材を前記ほぞとのロックから離脱させ、それにより前記上蓋を取り出し可能な状態にすることに用いられること、を特徴とする請求項8に記載の保護ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプローブカード保護ケースに関し、且つ特にプローブカードの定位環及びクイックリリース式保護ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩に伴い、半導体デバイスは既に様々な電子装置中に広く見られるようになった。半導体デバイスに関連するプロセスにおいて、ウェハがパッケージングプロセスに入る前にまずテストを行う。プローブカード(probe card)はウェハとテストシステムとのインターフェースであり、テスト対象のウェハとテストシステムとの間に接続され、プローブカードに複数のプローブ(probe)が設けられ、プローブ(probe)はウェハ上のパッド(pad)又はバンプ(bump)に電気的に接触することができ、ウェハはプローブカードを介してテストシステムに電気的に接続され、測定の目的を達成する。
【0003】
プローブカードをテストして使用する前又はメンテナンスする前に、その上のプローブを保護するために、従来の方法は保護蓋をプローブカード上に提供することである。しかしながら現在プローブカードの保管、テスト又はメンテナンスの過程において、依然として以下の欠点を有する。いずれも手動で搬送してプローブカードを取るため、出し入れ過程においてプローブに触れて損傷を引き起こしやすい。また、半導体ウェハのテスト過程において、保護蓋が人為的なミスによってプローブカードから取り外されない場合,テストエラー及びテスト機器の損傷を引き起こす状況がさらに発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みて、本発明はプローブカードの定位環および保護ケースを提供し、保護蓋がそれに接続されるプローブカードと共に定位環に配置される時、定位環の斜溝は保護蓋におけるスナップ材を作動させ、さらにプローブカードとの係止状態から離脱し、プローブカードと保護蓋を分離可能な状態にし、これによりプローブカードが持ち上げ時に保護機能を有し、自動化装置が把持する時に保護蓋を自動的に取り外す効果を達成することができ、プローブに対する保護性を向上させ且つテストプロセスの自動化に寄与する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、プローブカードの保護ケースを提供し、定位環及びケース体を含み、定位環はプローブカードを支持及び定位することに用いられ、定位環は複数のクイックリリース材を有する。ケース体に複数の配置溝が設けられ、クイックリリース材に対応して配置され、且つクイックリリース材と嵌合して当接することに用いられる。クイックリリース材は配置溝と取り外し可能に当接し、定位環をケース体内に取り外し可能に係合することに用いられる。
【0006】
一つの実施例において、クイックリリース材は弾力係合構造であって、各クイックリリース材は当接材及び一対の肩部を含み、当接材はケース体の一つの内側壁に当接し、対の肩部は当接材の両側に接続され、ケース体にさらに複数のボタンロック材が設けられ、配置溝に位置し、各ボタンロック材は肩部に圧着され、それにより定位環を固定する。
【0007】
一つの実施例において、当接材が力を受けて内側壁から一定の距離を離れると、肩部は締結具から離脱し、定位環を取り外し可能な状態にする。
【0008】
本発明の別の態様に基づき、プローブカードの定位環を提供し、保護ケース内に取り外し可能に設置され且つ複数の斜溝を有し、定位環はプローブカードを支持し及び定位することに用いられ、プローブカードに保護蓋が接続され、保護カバーはプローブカードを係止するための複数のスナップ材を含む。ここで、保護蓋及びそれに接続されるプローブカードが共に定位環に配置される時、斜溝はスナップ材を作動させ更にプローブカードとの係止状態から離脱し、それによりプローブカード及び保護蓋を分離可能な状態にする。ここで、第一手段を使用して定位環上に配置されるプローブカードを取り出す時、プローブカードは保護蓋と分離し、それにより保護蓋が定位環に留まる。第二手段を使用して定位環上に配置される保護蓋及びプローブカードを取り出す時、スナップ材が斜溝から離脱し且つプローブカードの係止状態を回復する。
【0009】
一実施例において、保護蓋は蓋体、側壁及び側壁に設置される第一ハンドルを含む。第一ハンドルはプローブカードの第二ハンドルに対応し、第二手段は第二ハンドルと第一ハンドルを経由して保護蓋とプローブカードを同時に取り出す。
【0010】
一実施例において、各スナップ材は斜柄部を有し、各斜溝は斜柄部と相互作用することに用いられ、各斜溝はガイド斜面を有し、ガイド斜面と水平面との間に第一夾角を有し、各斜柄部と水平面との間に第一夾角より小さい第二夾角を有する。
【0011】
本発明の別の態様によれば、プローブカードの保護ケースを提供し、保護ケースは、定位環と、ケース体と、上蓋と、複数のスイッチ材と、を含む。定位環はプローブカードを支持及び定位することに用いられ、定位環は複数のクイックリリース材を有する。ケース体に複数の配置溝が設けられ、クイックリリース材に対応して配置され、且つクイックリリース材と嵌合して当接することに用いられ、ここでクイックリリース材は配置溝と取り外し可能に当接し、定位環をケース体内に取り外し可能に係合することに用いられる。上蓋はケース体と嵌合して定位環及びプローブカードのうちの1つを収容する収容空間を画定する。スイッチ材はケース体上に設置され、上蓋にほぞが設けられ、スイッチ材の位置に対応し、ここでスイッチ材はほぞに係止され、それにより上蓋及びケース体をロックすることに用いられる。
【0012】
一実施例において、スイッチ材は回転式の弾性ロック材であり、第一手段により押圧された後に回転し、スイッチ材をほぞとのロックから離脱させ、それにより上蓋を取り出し可能な状態にすることに用いられる。
【0013】
一つの実施例において、スイッチ材は押圧式の弾性ロック材であり、第二手段により押圧された後にスイッチ材をほぞとのロックから離脱させ、それにより上蓋を取り出し可能な状態にすることに用いられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施例のプローブカードの定位環および保護ケースは、定位環を利用して保護蓋とプローブカードとの間の係止を取り外し、プローブカードを迅速で容易に取り出す効果を達成することができる。異なる方式で定位環からプローブカードを取り出す時、保護蓋はプローブカードから離脱し又はプローブカードに改めて係止することができ、一方ではプローブカードを手動で出し入れする時に接触による損傷の問題を回避することができ、他方ではプロセスの自動化に寄与する。この他、定位環は保護ケース内に取り外し可能に設置され、定位環を迅速に交換して異なるタイプのプローブカードに対応することができ、応用上の柔軟性を向上させる。さらに、保護ケースにスイッチ材及びほぞが設置され、ロック及びロック解除を自動化する効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の上記及び他の特徴、利点及び実施例をより分かりやすくするために、図面の説明を以下に記す。
【
図1】本発明の一実施例に係る保護ケースの概略図である。
【
図2A】定位環とケース体を組み立てる前の概略図である。
【
図2B】定位環とケース体を組み立てた後の概略図である。
【
図3A】プローブカードと保護蓋との接続前の側面断面図である。
【
図3B】プローブカードと保護蓋との接続時の側面断面図である。
【
図4A】プローブカードと保護蓋との接続時の斜視図である。
【
図4B】プローブカードと保護蓋との接続時の他の角度からの斜視図である。
【
図5A】プローブカードと保護蓋を定位環に配置する前の側面断面図である。
【
図5B】プローブカードと保護蓋を定位環に配置した時の側面断面図である。
【
図6A】第一手段を用いてプローブカードを取り出す時の側面断面図である。
【
図6B】第一手段を用いてプローブカードを取り出した後の側面断面図である。
【
図8A】第二手段を用いて保護蓋及びプローブカードを取り出す時の側面図である。
【
図8B】第二手段を用いて保護蓋及びプローブカードを取り出した後の側面図である。
【
図9A】治具を用いて保護蓋を取り外す前の概略図である。
【
図9B】治具が保護蓋に接続される時の概略図である。
【
図9C】治具を用いて保護蓋を取り外した後の概略図である。
【
図10】本発明の一実施例に係る保護ケースの斜視図である。
【
図12A】スナップロック材がロック位置にあることを示す概略図である。
【
図12B】スナップロック材が押圧された時の概略図である。
【
図12C】スナップロック材がロック解除位置にあることを示す概略図である。
【
図13】本発明の他の実施例に係る保護ケースの斜視図である。
【
図14A】スイッチ材がほぞにロックされる時の概略図である。
【
図14B】スイッチ材が押された時の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本特許は、2023年05月02日に出願された「Probe Card Supporting Device」という名称の
【特許文献1】米国仮特許出願第63/463,427号の国際優先権を主張する特許出願であり、その内容は参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する。
【実施例0017】
図1及び
図2Aから
図2Cを参照されたい。
図1は、本発明の一実施例に係る保護ケースの概略図である。
図2Aは、定位環とケース体を組み立てる前の概略図である。
図2Bは、定位環とケース体を組み立てた後の概略図である。
図2Cは、
図2BのC-C’線に沿った断面図である。保護ケース100は少なくとも定位環151及びケース体110を含む。定位環151はプローブカード200を支持し及び定位することに用いられ、定位環151は複数のクイックリリース材157を有する。ケース体110に複数の配置溝112が設けられ、クイックリリース材157に対応して配置され、且つクイックリリース材157と嵌合して当接することに用いられる。クイックリリース材157は配置溝112と取り外し可能に当接し、定位環151をケース体110内に取り外し可能に係合することに用いられる。
【0018】
本実施例において、クイックリリース材157は弾力係合構造であり、各クイックリリース材157は当接材158及び一対の肩部159を含み、当接材158はケース体110の一つの内側壁111に当接し、肩部159は当接材158の両側に接続され、ケース体110にさらに複数のボタンロック材113が設けられ、配置溝112の箇所に位置し、各ボタンロック材113は肩部159に圧着され、それにより定位環151を固定する。当接材158は弾性圧縮と解放の弾性余裕度を有し、当接材158が力を受けて内側壁111から一定の距離を離れる時、肩部159はボタンロック材113から離脱し、定位環151を取り外し可能な状態にし、定位環151を迅速に交換する効果を達成することができ、それにより異なるプローブカード200のタイプに対応する。
【0019】
本実施例において、クイックリリース材157は8つであることを例として説明する。しかし属する技術分野の通常の知識を有する者であれば、クイックリリース材157の数量はこれに限定されるものではないことを理解できるであろう。本実施例のクイックリリース材157の構造は例示的な説明であり、定位環151を取り外し可能な方式で保護ケース100内に設置することができれば、いずれも本発明に適用することができる。
【0020】
図1及び
図3Aから
図5Bを併せて参照されたい。
図3Aは、プローブカードと保護蓋との接続前の側面断面図である。
図3Bは、プローブカードと保護蓋との接続時の側面断面図である。
図4Aは、プローブカードと保護蓋との接続時の斜視図である。
図4Bは、プローブカードと保護蓋との接続時の他の角度からの斜視図である。
図5Aは、プローブカードと保護蓋を定位環に配置する前の側面断面図である。
図5Bは、プローブカードと保護蓋を定位環に配置した時の側面断面図である。
【0021】
本実施例の保護ケース100はプローブカード200を収容することに用いられる。保護ケース100はケース体110、上蓋130、定位環151及び保護蓋170を含む。上蓋130はケース体110と嵌合して定位環151及びプローブカード200を収容する収容空間101を画定する。定位環151はケース体110の収容空間101内に設置され、定位環151は上蓋130の方向に向けて複数の斜溝155を有し、定位環151はプローブカード200を支持及び定位することに用いられる。保護蓋170は蓋体171及び蓋体171上に設置される複数のスナップ材175を含み、蓋体171はプローブカード200上の複数のプローブ210を被覆することに用いられ、それによりプローブ210が偶然に接触することを回避するように保護し、スナップ材175はプローブカード200に係止されることに用いられる。保護蓋170及びそれに接続されるプローブカード200が共に定位環151に配置される時、斜溝155はスナップ材175を作動させ更にプローブカード200との係止状態から離脱し、それによりプローブカード200及び保護蓋170が分離可能な状態にする。即ち
図5Bの状態である。
【0022】
次に保護蓋170、プローブカード200及び定位環151の間の相互係止構造の特徴について説明する。
【0023】
保護蓋170のスナップ材175はそれぞれ回転作動部材であり、スナップフック部176、作動軸177及び斜柄部178を有し、スナップフック部176及び斜柄部178は作動軸177の対向する両側に接続される。スナップ材175は作動軸177を介して蓋体171に回転可能に設置される。スナップフック部176はプローブカード200を係止することに用いられ、斜柄部178は定位環151の各斜溝155と相互作用することに用いられる。斜溝155が斜柄部178を押す時、スナップ材175を作動軸177に応じて一定の角度で回転させ、これによりスナップフック部176をプローブカード200との係止から離脱させる。プローブカード200は第二ハンドル220を有し、手動又はロボットアームで把持することに用いられ、第二ハンドル220はプローブカード200の側面201に設置される。本実施例において、スナップフック部176は第二ハンドル220に係止することに用いられ、それにより保護蓋170をプローブカード200に接続させる。
【0024】
さらに、スナップ材175はさらに弾性湾曲部179を含むことができ、スナップ材175と保護蓋170の蓋体171との間に位置する。スナップ材175が力を受けて回転する時、弾性湾曲部179は圧縮される。外力がスナップ材175に作用することを停止する時、弾性湾曲部179が弾性的に復位し、スナップ材175が回転前の位置に戻るように推進する。
【0025】
図3Aに示すように、保護蓋170がプローブカード200に接続されると、スナップフック部176は第二ハンドル220の内壁222に沿って押圧して移動する。弾性湾曲部179の力を受けて圧縮される程度はスナップフック部176が移動して第二ハンドル220の内壁222を通過して第二ハンドル220の上面221に移動した後、スナップフック部176は上面221で弾性湾曲部179を弾力的に解放させ、第二ハンドル220の上面221に係止される。この時、保護蓋170はプローブカード200に接続される。
図3B、
図4A及び
図4Bに示すとおりである。プローブ210が保護蓋170の蓋体171に保護されるため、プローブカード200を移動する過程において、プローブ210が接触されることによる損傷の問題を回避することができ、プローブカード200の様々な把持、移動操作に有利である。
【0026】
図5Aに示すように、保護蓋170がそれに接続されたプローブカード200を定位環151に配置しようとする場合、保護蓋170は定位環151に向かい、且つ保護蓋170のスナップ材の位置は定位環151の斜溝に対応する。まず、スナップ材175の斜柄部178を定位環151に向け且つ斜溝155の位置に合わせる。次に、保護蓋170及びプローブカード200を定位環151に接近するように移動し、斜溝155を斜柄部178に接触させ、斜柄部178は斜溝155の傾斜角度を受けて対応して押し当てられる。斜溝155はガイド斜面156を有し、ガイド斜面156と水平面Hとの間に第一夾角A1を有し、斜柄部178と水平面Hとの間に第一夾角A1より小さい第二夾角A2を有する。一実施例において、第一夾角A1は115度であり、第二夾角A2は105度である。斜溝155と斜柄部178との押し当て相互作用が発生する時、斜柄部178は力を受けて作動軸177を駆動して斜柄部178とガイド斜面156とが同じ傾斜角度になるまで回転させ、この時にスナップ材175は既に10度の角度で回転している。同時に、スナップフック部176は作動軸177の回転角度に応じて第二ハンドル220の上面221から離脱し、さらに保護蓋170とプローブカード200との間の係止状態を解除し、この時にプローブカード200と保護蓋170は分離可能な状態にあり、
図5Bに示すとおりである。なお、スナップ材175が作用を受けて回転する角度は実際の状況に応じて調整することができ、前記角度に限定されるものではない。スナップフック部176が第二ハンドル220との係止から離脱することができ、スナップフック部176と第二ハンドル220との間に一定の隙間(例えば5mmの隙間)を有する機構設計であれば、いずれも本発明に適用することができる。
【0027】
図6A及び
図6Bを参照されたい。
図6Aは、第一手段を用いてプローブカードを取り出す時の側面断面図である。
図6は、第一手段を用いてプローブカードを取り出した後の側面断面図である。本実施例において、第一手段410はロボットアームであり、プローブカード200の二つの対向する側面201でプローブカード200を把持する。プローブカード200と保護蓋170は分離可能な状態にあるため、第一手段410を用いて定位環151に配置されたプローブカード200を取り出す時、プローブカード200は保護蓋170と分離し、これにより保護蓋170は定位環151に留まる。ロボットアームによって把持した後、プローブカード200のみが定位環151から取り出され、それによりプローブ210を露出させる。次にプローブカード200を試験機台に移動して後続の試験を行うことができる。本実施例における第一手段410はロボットアームによって二つの対向する側面201を把持することを例とする。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、ロボットアームはプローブカード200の四隅を介してプローブカード200を把持してもよい。その他、第二ハンドル220以外の領域を介してプローブカード200を把持し、プローブカード200と保護蓋170を分離する技術的手段であれば、いずれも本発明に適用することができる。
【0028】
図7から
図8Bを参照されたい。
図7は、第二手段の把持方式を示す概略図である。
図8Aは、第二手段を用いて保護蓋及びプローブカードを取り出す時の側面図である。
図8Bは、第二手段を用いて保護蓋及びプローブカードを取り出した後の側面図である。
図7における矢印が示すのは第二手段が保護蓋及びプローブカードを把持する把持方式である。本実施例において、保護蓋170は蓋体171、側壁172及び側壁172に設置される第一ハンドル173を含む。第一ハンドル173はプローブカード200の第二ハンドル220に対応する。第二手段420は操作者が手動でプローブカード200の第二ハンドル220を介して保護蓋170の第一ハンドル173に伸び込み、且つ保護蓋170とプローブカード200を共に取り出すことができる。本実施例において、前記第一ハンドル173は蓋体171の側壁172から突出し、且つ第一ハンドル173はプローブカード200の第二ハンドル220と同じ形状を有し、保護蓋170がプローブカード200に接続される時、第一ハンドル173は第二ハンドル220の下に重なり(
図4A及び
図4Bに示される)、従って保護蓋170とプローブカード200を共に取り出すことができる。第二手段420を使用して定位環151上に配置された保護蓋170及びプローブカード200を取り出す時、スナップ材175は斜溝155から離脱する過程において、斜柄部178は斜溝155の傾斜角度を受けてスナップフック部176が作動軸177の回転角度に応じて第二ハンドル220の上面221上に係止されるまで徐々に小さくなり、保護蓋170をプローブカード200の係止状態に回復させる。保護蓋170はプローブカード200と共に定位環151から取り出された後、修理所等に移動して後続の操作を行うことができる。本実施例における第二手段420は第一ハンドル173及び第二ハンドル220を手動によって同時に把持することを例とする。しかしながら本発明はこれに限定されるものではなく、保護蓋170及びプローブカード200を同時に把持する技術的手段であれば、いずれも本発明に適用することができる。
【0029】
図9Aから
図9Cを参照されたい。
図9Aは、治具を用いて保護蓋を取り外す前の概略図である。
図9Bは、治具が保護蓋に接続される時の概略図である。
図9Cは、治具を用いて保護蓋を取り外した後の概略図である。前記第二手段420によって保護蓋170とプローブカード200を取り出した後、反転してそれを作業台面500に配置することができ、保護蓋170とプローブ210は作業台面500から離れ、次に治具600を利用して保護蓋170とプローブカード200を分離する。治具600は保護蓋170に接続することに用いられ、且つ本体610及び一対の係合ピン620を有する。本体610の両側は傾斜面611であり、スナップ材175の斜柄部178と押し付けて相互作用することに用いられ、係合ピン620は保護蓋170に係合することに用いられる。治具600が保護蓋170に接続される時、傾斜面611は斜柄部178を押し付け、スナップ材175が作動して更にスナップフック部176をプローブカード200との係止状態から離脱させ、この部分の構造及び作動メカニズムは定位環151の斜溝155と同じであり、ここでは改めて説明しない。この他、治具600が保護蓋170に接続される時、係合ピン620は保護蓋170に係扣して接続され、手動(又はロボットアーム)で治具600を持ち上げる時、保護蓋170及びプローブカード200を分離することができ、プローブカード200の洗浄、メンテナンス等の動作を容易にする。
【0030】
この他、本実施例のプローブカード200の定位環151における定位方式は、
図1を参照されたい。プローブカード200上には少なくとも1つの定位孔230を有し、定位環151における少なくとも1つの定位構造153と嵌合することに用いられる。定位構造153は例えば凸柱であり、プローブカード200が正確な方向で定位環151に配置される時、定位構造153は定位孔230に挿入され、それにより方向制限の効果を達成する。本実施例において定位孔230は対向する両側に対称に配置され、しかしながら異なる実施形態において、定位孔230はプローブカード200の対向する両側に異なる数の配置を有することができる。例えばプローブカード200の一側に1つの定位孔230を有し、他側に2つの定位孔230を有する。非対称の配置方式により、方向制限の効果をより良好に達成する。また、プローブカード200上の第二ハンドル220も定位及び方向制限の技術的手段とすることができる。一実施例において、対向する両側の第二ハンドル220は異なる大きさ、又は異なる形状を有し、これによりプローブカード200の方向を判断することができる。実際の応用において、前記定位孔230と第二ハンドル220は組み合わせて使用することができ、プローブカード200の定位及び方向制限を達成し、プローブカード200を定位環151上に正確に配置することができる。
【0031】
以上の記述は、保護蓋170、定位環151、プローブカード200及び治具600の間の相互作用メカニズムを説明するものである。
【0032】
次に
図10及び
図11を参照されたい。
図10は、本発明の一実施例に係る保護ケースの斜視図である。
図11は、スイッチ材の分解図である。本実施例において、保護ケース100の上蓋130はケース体110に係合され、両者は開閉可能な方式で当接する。保護ケース100はスイッチ材120を含み、ケース体110に設置され、上蓋130にほぞ140が設けられ、上記スイッチ材120の位置に対応する。スイッチ材120はほぞ140に係止され、それにより上蓋130とケース体110をロックすることに用いられる。スイッチ材120とほぞ140の数量配置は必要に応じて複数設置することができ、ここでは限定しない。本実施例のスイッチ材120は回転式の弾性ロック材であり、第一手段によって押圧された後に回転し、スイッチ材120をほぞ140とのロックから離脱させ、それにより上蓋130を取り出し可能な状態にする。第一手段は例えばロボットアームであり、開蓋自動化の効果を達成することができる。スイッチ材120はベース121、スナップロック材123及び複数の定位ロック127を含む。ベース121はケース体110に設置され、且つ複数の弾性構造122を有し、スナップロック材123を押すことに用いられる。スナップロック材123は定位ロック127を介してベース121の一側に組み立てられ、ベース121に対して回転することができる。スナップロック材123はディスク体124、ロックフック126及び複数の定位溝125を有し、定位溝125はディスク体124内に位置し、定位ロック127はそれぞれ定位溝125を貫通し、且つそれぞれ定位溝125の第一端及び第二端に締結することができ、それにより前記スナップロック材123をロック位置及びロック解除位置に定位する。ロックフック126はディスク体124の側縁から突出し、上蓋130のほぞ140にロックすることに用いられる。
【0033】
図11及び
図12Aから
図12Cを参照されたい。
図12Aは、スナップロック材がロック位置にあることを示す概略図である。
図12Bは、スナップロック材が押圧された時の概略図である。
図12Cは、スナップロック材がロック解除位置にあることを示す概略図である。
図12Aに示すように、スナップロック材123はロック位置に位置し、ベース121の弾性構造122はスナップロック材123のディスク体124を押圧し、それによりロックフック126はほぞ140にロックされる。次に、
図12Bに示すように、第一手段でケース体110の方向に力を加えてスナップロック材123を押圧し(例えば自動化装置を用いてスナップロック材123に力を加えることができる)、この時に弾性構造122が圧縮され、ロックフック126はほぞ140から離れる。さらに、
図12Cに示すように、スナップロック材123を回転させ、ディスク体124上の定位溝125を回転させ、定位溝125の第二端が定位ロック127に締結されるまで続ける。この時にスナップロック材123はロック解除位置に位置し、ロックフック126はほぞ140から完全に離脱し、自動化装置(例えば吸引装置)を利用して上蓋130を取り外すことができる。
【0034】
他方では、上蓋130を戻す時に、まず自動化装置を利用して上蓋130をケース体110に配置することができる。且つスナップロック材123がロック解除位置に位置する時(
図12Cに示す)、ケース体110の方向に力を加えてスナップロック材123を押圧し、この時に弾性構造122が圧縮される。続いて逆方向にスナップロック材123を回転させ、ディスク体124における定位溝125を回転させ、定位溝125の第一端が定位ロック127に再び接続されるまで続ける。この時にスナップロック材123はロック位置に位置する。スナップロック材123を押圧する力を停止する時、弾性構造122の弾性的復位を介して、ロックフック126は改めてほぞ140にロックされる。
【0035】
前記スイッチ材120の作動メカニズムに基づき、ロック及びロック解除を自動化する効果を達成することができる。
【0036】
図13及び
図14Aから
図14Bを参照されたい。
図13は、本発明の他の実施例に係る保護ケースの斜視図である。
図14Aは、スイッチ材がほぞにロックされる時の概略図である。
図14Bは、スイッチ材が押された時の概略図である。本実施例の保護ケース800と前記実施例との違いは、スイッチ材820の形式にある。本実施例のスイッチ材820は押圧式の弾性ロック材であり、第二手段により押圧した後にスイッチ材820がほぞ840とのロックを解除し、それにより上蓋830を取り出し可能な状態にする。第二手段は例えば手動把持であり、上蓋830を容易に開閉することができる。スイッチ材820はロックフック826を有し、上蓋830のほぞ840にロックすることに用いられる。ロックを解除しようとする時、手動でスイッチ材820を押圧してロックフック826をほぞ840から離脱させるだけで、上蓋830を取り外すことができる。一方、上蓋830を戻す時、ロックフック826はほぞ840に自動的にロックされる。
【0037】
前記スイッチ材820の作動メカニズムに基づき、迅速なロック及びロック解除の効果を達成することができ、且つロック解除ステップを簡略化するという利点を有する。
【0038】
以上のように、本発明の実施例のプローブカードの定位環および保護ケースは、保護蓋及びそれに接続されるプローブカードが共に定位環に配置される時、定位環の斜溝はスナップ材を作動させてさらにプローブカードのうちの1つとの係止状態を解除し、それによりプローブカード及び保護蓋を分離可能な状態にする。定位環によって保護蓋とプローブカードとの間の係止を解除し、プローブカードを迅速で容易に取り出す効果を達成することができる。異なる方式(例えば機械的アーム又は手動方式)で定位環からプローブカードを取り出す時、保護蓋はプローブカードから離脱し又はプローブカードに改めて係止することができ、一方でプローブカードを手動で出し入れする時に接触による損傷の問題を回避することができ、他方ではプロセスの自動化に有利である。さらに、定位環は保護ケース内に取り外し可能に設置され、定位環を迅速に交換して異なるタイプのプローブカードに対応することができ、応用上の柔軟性を向上させる。この他、保護ケースにスイッチ材及びほぞが設置され、ロック及びロック解除を自動化する効果を達成することができる。
【0039】
本発明は、複数の実施例を以って上記のように開示したが、それは本発明を限定するものではない。属する技術分野の通常の知識を有する者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができ、従って本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲に定義されたものを基準とする。