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特開2024-160929画像認識システム及び画像認識プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160929
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】画像認識システム及び画像認識プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241108BHJP
   G06T 3/40 20240101ALI20241108BHJP
【FI】
G06T7/00 300
G06T3/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024008671
(22)【出願日】2024-01-24
(62)【分割の表示】P 2023076282の分割
【原出願日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】523173782
【氏名又は名称】株式会社ビバリー
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】バンドゥリン アルセニー
(72)【発明者】
【氏名】イワノフ ボリス
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆志
【テーマコード(参考)】
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
5B057BA02
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC03
5B057CD05
5B057CE17
5B057DA06
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC01
5B057DC31
5L096AA02
5L096AA06
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA69
5L096GA51
5L096JA03
5L096KA09
(57)【要約】
【課題】高速かつ高精度の画像検出処理を行うことが可能な画像認識システムを提供する

【解決手段】検索対象画像S及びオブジェクト画像Oのデータサイズ削減部111と、デ
ータサイズが削減された検索対象画像Sに含まれる削減後構成要素と、データサイズが削
減されたオブジェクト画像Oとの第1一致率を算出する第1算出部112と、第1閾値を
超える削減後構成要素について暫定同一画像であると判定する第1判定部113と、暫定
同一画像に対応する当初構成要素を検索対象画像から抽出する抽出部114と、当初構成
要素とオブジェクト画像との第2一致率を算出する第2算出部115と、第2閾値を超え
る当初構成要素を同一画像であると判定する第2判定部116と、を備える画像認識シス
テム1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索対象である検索対象画像及び検出したい画像であるオブジェクト画像のデータサイ
ズを削減するデータサイズ削減部と、
データサイズが削減された前記検索対象画像に含まれる画像構成要素である削減後構成
要素と、データサイズが削減された前記オブジェクト画像との一致率である第1一致率を
算出する第1算出部と、
第1閾値を超える前記第1一致率になった前記削減後構成要素について前記オブジェク
ト画像と暫定的に一致する暫定同一画像であると判定する第1判定部と、
前記暫定同一画像に対応する当初構成要素を前記検索対象画像から抽出する抽出部と、
前記当初構成要素と前記オブジェクト画像との一致率である第2一致率を算出する第2
算出部と、
第2閾値を超える前記第2一致率になった前記当初構成要素を、前記オブジェクト画像
と一致する同一画像であると判定する第2判定部と、
を備えることを特徴とする画像認識システム。
【請求項2】
前記データサイズ削減部は、前記検索対象画像及び前記オブジェクト画像の、減色処理
及びダウンスケール処理の少なくとも1つを行う請求項1に記載の画像認識システム。
【請求項3】
前記第1判定部は、データサイズが削減された前記検索対象画像における前記暫定同一
画像の座標範囲である第1座標範囲を判定結果として出力し、
前記抽出部は、前記検索対象画像において前記第1座標範囲に対応する座標範囲である
第2座標範囲にある画像構成要素を前記当初構成要素として抽出する請求項1に記載の画
像認識システム。
【請求項4】
前記第1判定部は、前記第1座標範囲の少なくとも一部が重複する前記暫定同一画像に
ついて単一の前記暫定同一画像であると判定して、代表座標範囲を判定結果として出力す
る請求項3に記載の画像認識システム。
【請求項5】
前記代表座標範囲は、前記第1座標範囲の少なくとも一部が重複する前記暫定同一画像
のうち、前記第1一致率が第3閾値以上の前記暫定同一画像の前記第1座標範囲である請
求項4に記載の画像認識システム。
【請求項6】
前記抽出部は、前記第2座標範囲の少なくとも一部が重複する前記当初構成要素につい
て単一の前記当初構成要素と判定して、代表当初構成要素を抽出結果として出力する請求
項3に記載の画像認識システム。
【請求項7】
前記代表当初構成要素は、前記第2座標範囲の少なくとも一部が重複する前記当初構成
要素のうち、前記第1一致率が第4閾値以上の前記暫定同一画像に対応する前記当初構成
要素である請求項6に記載の画像認識システム。
【請求項8】
前記抽出部は、前記第2座標範囲について、前記第1座標範囲よりも狭い範囲になるよ
うに設定する請求項3に記載の画像認識システム。
【請求項9】
検索対象画像からのオブジェクト画像の検出をコンピュータに実行させる画像認識プロ
グラムであって、
前記検索対象画像及び前記オブジェクト画像のデータサイズを削減するデータサイズ削
減工程と、
データサイズが削減された前記検索対象画像に含まれる画像構成要素である削減後構成
要素と、データサイズが削減された前記オブジェクト画像との一致率である第1一致率を
算出する第1算出工程と、
第1閾値を超える前記第1一致率になった前記削減後構成要素について前記オブジェク
ト画像と暫定的に一致する暫定同一画像であると判定する第1判定工程と、
前記暫定同一画像に対応する当初構成要素を前記検索対象画像から抽出する抽出工程と

前記当初構成要素と前記オブジェクト画像との一致率である第2一致率を算出する第2
算出工程と、
第2閾値を超える前記第2一致率になった前記当初構成要素を、前記オブジェクト画像
と一致する同一画像であると判定する第2判定工程と、
を含むことを特徴とする画像認識プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検索対象である画像から所定の画像を検出することができる画像認識システ
ム及び画像認識プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一の画像と同一又は関連する他の画像を抽出する種々の画像認識技術が、様々な
用途で用いられている。このような画像認識技術の一例として、特許文献1には、モバイ
ル機器が所定の画像を撮影すると共に当該撮影された画像に所定の処理を施し高速通信が
可能なクエリー画像としてリモートサーバに送信し、リモートサーバが当該サーバ内に格
納されている画像データの中から当該クエリー画像に対応する画像を抽出すると共に当該
画像に関連付けられた情報コンテンツを抽出し、抽出された当該情報コンテンツをモバイ
ル機器に送信することが記載されている。
【0003】
また、画像認識技術の他の例として、検索対象である画像(検索対象画像)を構成する
画像要素の中から、所定の画像要素(オブジェクト画像)を検出する画像認識技術が挙げ
られる。このような画像認識技術は、ゲームの制作時に行われる、一連のプレイ画面中に
バグがあるか否かを検出し、検出されたバグを修正するデバッグ作業等、様々な用途で用
いられている。
【0004】
従来、このようなデバッグ作業等に用いられる画像認識技術では、例えば検索対象画像
中に含まれている構成要素とオブジェクト画像がどの程度一致するかを示す一致率を所定
のアルゴリズムを用いて算出し、所定の閾値を超える一致率である構成要素をオブジェク
ト画像と同一の画像であると判定することで、オブジェクト画像を検出することが行われ
ていた。
【0005】
そして、このような画像認識技術をゲーム制作時のデバッグ作業に用いる場合には、ゲ
ームの進行に伴い刻々と変化する一連のゲーム画面について逐次検索対象画像中の各構成
要素とオブジェクト画像との一致率の算出と同一性の判定が行われているが、この刻々と
変化するゲーム画面について逐次一致率の算出と同一性の判定を行うためには高速演算処
理が必要であり、従来は例えばGPU(Graphics Processing Unit)を用いた画像認識シ
ステムによりこのような高速演算処理が実現されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2012-524343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の画像認識システムによる画像認識ではオブジェクト画像の検出に長時間
を要していたため、例えば高速で画面が遷移していくアプリケーションを使用しつつ当該
アプリケーションの遷移画面についての画像認識処理をリアルタイムで行うことは困難で
あった。そのため、より高速かつ高精度の画像検出処理を行うことができる画像認識シス
テムが望まれていた。
【0008】
そこで、本発明は上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、高速かつ高精度の画
像検出処理を行うことができる画像認識システム及び画像認識プログラムを提供すること
を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像認識システムは、検索対象である検索対象
画像及び検出したい画像であるオブジェクト画像のデータサイズを削減するデータサイズ
削減部と、データサイズが削減された前記検索対象画像に含まれる画像構成要素である削
減後構成要素と、データサイズが削減された前記オブジェクト画像との一致率である第1
一致率を算出する第1算出部と、第1閾値を超える前記第1一致率になった前記削減後構
成要素について前記オブジェクト画像と暫定的に一致する暫定同一画像であると判定する
第1判定部と、前記暫定同一画像に対応する当初構成要素を前記検索対象画像から抽出す
る抽出部と、前記当初構成要素と前記オブジェクト画像との一致率である第2一致率を算
出する第2算出部と、第2閾値を超える前記第2一致率になった前記当初構成要素を、前
記オブジェクト画像と一致する同一画像であると判定する第2判定部と、を備えることを
特徴とする。
【0010】
上記画像認識システムにおいて、前記データサイズ削減部は、前記検索対象画像及び前
記オブジェクト画像の、減色処理及びダウンスケール処理の少なくとも1つを行うことが
好ましい。
【0011】
また、上記画像認識システムにおいて、前記第1判定部は、前記データサイズが削減さ
れた検索対象画像における前記暫定同一画像の座標範囲である第1座標範囲を判定結果と
して出力し、前記抽出部は、前記検索対象画像において前記第1座標範囲に対応する座標
範囲である第2座標範囲にある画像構成要素を前記当初構成要素として抽出することが好
ましい。
【0012】
また、上記画像認識システムにおいて、前記第1判定部は、前記第1座標範囲の少なく
とも一部が重複する前記暫定同一画像について単一の前記暫定同一画像であると判定して
、代表座標範囲を判定結果として出力することが好ましい。
【0013】
また、上記画像認識システムにおいて、前記代表座標範囲は、前記第1座標範囲の少な
くとも一部が重複する前記暫定同一画像のうち、前記第1一致率が第3閾値以上の前記暫
定同一画像の前記第1座標範囲であることが好ましい。
【0014】
また、上記画像認識システムにおいて、前記抽出部は、前記第2座標範囲の少なくとも
一部が重複する前記当初構成要素について単一の前記当初構成要素と判定して、代表当初
構成要素を抽出結果として出力することが好ましい。
【0015】
また、上記画像認識システムにおいて、前記代表当初構成要素は、前記第2座標範囲の
少なくとも一部が重複する前記当初構成要素のうち、前記第1一致率が第4閾値以上の前
記暫定同一画像に対応する前記当初構成要素であることが好ましい。
【0016】
また、上記画像認識システムにおいて、前記抽出部は、前記第2座標範囲について、前
記第1座標範囲よりも狭い範囲になるように設定することが好ましい。
【0017】
また、本発明は、検索対象画像からのオブジェクト画像の検出をコンピュータに実行さ
せる画像認識プログラムであって、前記検索対象画像及び前記オブジェクト画像のデータ
サイズを削減するデータサイズ削減工程と、データサイズが削減された前記検索対象画像
に含まれる画像構成要素である削減後構成要素と、データサイズが削減された前記オブジ
ェクト画像との一致率である第1一致率を算出する第1算出工程と、第1閾値を超える前
記第1一致率になった前記削減後構成要素について前記オブジェクト画像と暫定的に一致
する暫定同一画像であると判定する第1判定工程と、前記暫定同一画像に対応する当初構
成要素を前記検索対象画像から抽出する抽出工程と、前記当初構成要素と前記オブジェク
ト画像との一致率である第2一致率を算出する第2算出工程と、第2閾値を超える前記第
2一致率になった前記当初構成要素を、前記オブジェクト画像と一致する同一画像である
と判定する第2判定工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上述した構成からなる本発明によれば、高速かつ高精度の画像検出処理を行うことが可
能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る画像認識システムにより行われる画像検出処理の概念図である。
図2】本発明の実施形態に係る画像認識システムの構成ブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る画像認識システムに用いられるプロセッサの機能ブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る画像認識システムによる処理の例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る画像認識システムと従来の画像認識システムの画像検出速度を比較した表である。
図6】本発明の実施形態に係る画像認識システムにより検索対象画像からオブジェクト画像が検出される様子を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像認識システムについて説明す
る。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る画像認識システムにより行われる画像検出の様子を例
示する模式図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る画像認識システムは、
検索対象である検索対象画像Sから、検出したい画像である(すなわち、画像認識を行い
たい画像のテンプレートになる画像である)オブジェクト画像Oを検出するためのシステ
ムである。
【0022】
具体的には、本発明の実施形態に係る画像認識システムは、検索対象画像Sに含まれる
様々な画像構成要素の中から、オブジェクト画像Oと一致する画像構成要素を同一画像と
して検出する処理を行う。この検出処理は、例えば検索対象画像Sがゲーム画面等、画像
が刻々と変化していくものである場合には、検索対象画像S中の各構成要素とオブジェク
ト画像Oとの一致率の算出、および当該一致率に基づく同一性の判定を逐次行うことで行
われる。この一致率の算出と同一性の判定の詳細については後述する。
【0023】
図2は、本発明の実施形態に係る画像認識システム1の構成ブロック図である。図2
示すように、本発明の実施形態に係る画像認識システム1は、例えばサーバ内に実現され
るシステムであり、プロセッサ11と、1つ以上のコンピュータ可読媒体を含むメモリ1
2を備えて構成されている。画像認識システム1は、ディスプレイやキーボード等の各種
外部機器(不図示)と接続可能になっていて、画像認識処理に際して外部機器からの入力
を受付可能であると共に、画像認識処理の結果を外部機器に送信してこれに表示可能にな
っている。画像認識システム1と外部機器との接続は、ケーブルを用いて有線により行わ
れてもよく、又はワイヤレス通信を用いて無線により行われてもよい。
【0024】
プロセッサ11は、外部機器から入力された画像データに基づき画像認識処理を行うこ
とが可能であると共に、画像認識処理の結果を外部機器に送信してこれに表示することが
可能である。プロセッサ11は、任意のオペレーティングシステム(OS)に基づき動作
する。
【0025】
メモリ12は、1つ以上のコンピュータ可読媒体を含み、プロセッサ11に実行される
画像認識ソフトウェア121と、外部機器から入力された画像データ等を記憶する画像デ
ータ記憶部122を備えている。
【0026】
図3は、本発明の実施形態に係る画像認識システム1に用いられるプロセッサ11の機
能ブロック図である。図3に示すように、プロセッサ11は、画像認識ソフトウェア12
1を実行することにより、データサイズ削減部111、第1算出部112、第1判定部1
13、抽出部114、第2算出部115及び第2判定部116として機能する。
【0027】
データサイズ削減部111は、検索対象画像S及びオブジェクト画像Oのデータサイズ
を削減する。具体的には、データサイズ削減部111は、検索対象画像S及びオブジェク
ト画像Oについて、画像中の色数を減らす減色処理と、画像のピクセル数を減らすダウン
スケール処理とのうち、少なくとも一方を行う。
【0028】
減色処理は、R、G、Bのそれぞれの情報を平均化して、明度だけのグレースケール2
56階調の画像に変換することにより行われる。減色処理を行うことで検索対象画像S及
びオブジェクト画像Oのサイズを減らし、画像検出を迅速に行うことが可能になる。画像
認識システム1では、ユーザが設定操作をすることにより、減色処理の要否や、行う減色
処理の種類を任意に選択することができる。
【0029】
ダウンスケール処理は、検索対象画像S及びオブジェクト画像Oのピクセル数を減らし
荒い画像とすることにより検索対象画像S及びオブジェクト画像Oのサイズを減らす処理
である。画像認識システム1では、ユーザが設定操作をすることにより、ダウンスケール
処理の要否や、どの程度ピクセル数を減らすかを、任意に選択することができる。なお、
ダウンスケール処理ではピクセル数が少ない方が画像のデータサイズをより小さくするこ
とができ、より迅速に画像検出を行うことが可能になるが、所定のピクセル数より少なく
してしまうと画像検出精度が低下し適切な画像検出を行えなくなるおそれがあるため、検
索対象画像S及びオブジェクト画像Oの態様や要求される画像検出の制度や速度に応じて
、適切な範囲でダウンスケール処理を行うことが必要である。
【0030】
第1算出部112は、データサイズ削減部111によりデータサイズが削減された検索
対象画像Sに含まれる画像構成要素である削減後構成要素と、同じくデータサイズ削減部
111によりデータサイズが削減されたオブジェクト画像Oとの一致率である第1一致率
を算出する。第1算出部112による第1一致率の算出は、任意の画像検出アルゴリズム
を用いて行うことができる。
【0031】
第1判定部113は、所定の閾値(第1閾値)を超える第1一致率になった削減後構成
要素について、オブジェクト画像Oと暫定的に一致する暫定同一画像であると判定する。
そして、第1判定部113は、データサイズが削減された検索対象画像Sにおける暫定同
一画像の座標範囲である第1座標範囲を、判定結果として出力する。なお、座標範囲とは
、画像について設定された横方向(X軸方向)及び縦方向(Y軸方向)の座標に基づき、
横方向について例えばX=300~340、Y=100~150というように、画像の横
方向及び縦方向の座標に基づく所定の範囲をいう。
【0032】
抽出部114は、暫定同一画像に対応する当初構成要素を検索対象画像Sから抽出する
。暫定同一画像に対応する当初構成要素の抽出は、それぞれの画像中の座標範囲に基づい
て行われる。具体的には、抽出部114は、検索対象画像Sにおいて、第1判定部113
により出力された第1座標範囲に対応する座標範囲である第2座標範囲にある画像構成要
素を、当初構成要素として抽出する。ここで、抽出部114は、第2座標範囲について、
第1座標範囲よりも狭い範囲になるように設定する。第2座標範囲を第1座標範囲よりも
狭い範囲とする、すなわちトリミングをすることにより、当初構成要素のファイルサイズ
を小さくして画像検出をより高速で行うことが可能になると共に、当初構成要素の周囲に
例えばゲームにおいてよく用いられる光や炎等の視覚的効果が発生している場合にこれら
の視覚的効果を取り除き、より高精度に画像検出を行うことが可能になる。
【0033】
第2算出部115は、抽出部114により抽出された当初構成要素と、オブジェクト画
像Oとの一致率である第2一致率を算出する。この第2一致率の算出も、第1一致率の算
出と同様に、任意の画像検出アルゴリズムを用いて行うことができる。
【0034】
第2判定部116は、所定の閾値(第2閾値)を超える第2一致率になった当初構成要
素を、オブジェクト画像Oと一致する同一画像であると判定する。そして、第2判定部1
16は、オブジェクト画像Oと一致する同一画像であると判定された当初構成要素につい
て、検索対象画像S中の位置情報(X座標、Y座標)と、検索対象画像Sが刻々と変化す
るゲーム画面等である場合には、検索対象となる時間の範囲において当該当初構成要素が
検出された時間に関する時間情報を抽出する。第2判定部116により抽出された位置情
報および時間情報は、他のアプリケーションにより使用可能になっていて、例えば自動的
にゲームをプレイするアプリケーションにおいて、特定の動作を行う指標になるオブジェ
クト画像Oを検出するために用いられ、当該検出されたオブジェクト画像Oに基づきゲー
ムのプレイを行うことが可能になる。
【0035】
次に、上述した構成を備える画像認識システム1の動作について説明する。ここでは、
図1に例示する検索対象画像S中から、オブジェクト画像Oを検出する場合を説明する。
【0036】
図4は、本発明の実施形態に係る画像認識システム1による処理の例を示すフローチャ
ートである。まず、ユーザが指定した検索対象画像Sとオブジェクト画像Oについての画
像検出処理が開始されると、データサイズ削減部111が検索対象画像S及びオブジェク
ト画像Oのデータサイズを削減する(ステップS1)。データサイズ削減部111は、こ
こでは検索対象画像S及びオブジェクト画像Oについて、減色処理及びダウンスケール処
理を行い、検索対象画像S及びオブジェクト画像Oのデータサイズを削減する。
【0037】
次に、第1算出部112が、データサイズ削減部111によりデータサイズが削減され
た検索対象画像Sに含まれる画像構成要素である削減後構成要素と、同じくデータサイズ
削減部111によりデータサイズが削減されたオブジェクト画像Oとの一致率である第1
一致率を、所定の画像検出アルゴリズムに基づき算出する(ステップS2)。検索対象画
像Sとオブジェクト画像Oとのデータサイズが削減されているため、第1算出部112に
よる第1一致率の算出を迅速に行うことができる。
【0038】
次に、第1判定部113が、第1閾値を超える第1一致率になった削減後構成要素につ
いて、オブジェクト画像Oと暫定的に一致する暫定同一画像であると判定し(ステップS
3)、データサイズが削減された検索対象画像Sにおける暫定同一画像の第1座標範囲を
判定結果として抽出部114に出力する。この第1判定部113による暫定同一画像の判
定は、複数の削減後構成要素について行われてもよい。すなわち、検索対象画像S中にオ
ブジェクト画像Oとの第1一致率が第1閾値を超える削減後構成要素が複数検出された場
合には、第1判定部113は、これら複数の削減後構成要素を判定結果として抽出部11
4に出力してもよい。
【0039】
次に、抽出部114が、検索対象画像Sにおいて、第1判定部113により出力された
暫定同一画像の第1座標範囲に対応する第2座標範囲にある画像構成要素を、当初構成要
素として抽出する(ステップS4)。
【0040】
次に、第2算出部115が、抽出部114により抽出された当初構成要素と、オブジェ
クト画像Oとの一致率であって第1一致率よりも高精度な一致率である第2一致率を、所
定の画像検出アルゴリズムに基づき算出する(ステップS5)。
【0041】
次に、第2判定部116は、第2閾値を超える第2一致率になった当初構成要素を、オ
ブジェクト画像Oと一致する同一画像であると判定する(ステップS6)。こうして同一
画像の判定がされることにより、画像認識システム1による一連の画像検出処理が終了す
る。
【0042】
図5は、本発明の実施形態に係る画像認識システム1と従来の画像認識システムの画像
検出速度を比較した表である。図5に示す表では、複数の画像サイズの検索対象画像Sと
オブジェクト画像Oを用いて、従来の画像認識システムと、本発明の実施形態に係る画像
認識システム1により画像検出を行った結果が示されている。ここで、従来の画像認識シ
ステムと本発明の実施形態に係る画像認識システム1とは、同一のハードウェアを使用し
、従来の画像認識システムは画像検出アルゴリズムとしてOpenCVのパターンマッチ
ング機能が使用されている。
【0043】
図5に示すように、本発明の実施形態に係る画像認識システム1では、従来の画像認識
システムと比較して、画像検出速度が3~4倍になっていることが分かる。
【0044】
図6は、本発明の実施形態に係る画像認識システムにより検索対象画像からオブジェク
ト画像が検出される様子を示す概念図である。
【0045】
図6に示す例では、検索対象画像Sの中に4つの同一画像SIが検出されている。そし
て、画像認識システム1は、検出した同一画像SIについて、上述したように位置情報と
、必要に応じて当該同一画像SIが刻々と変化する画像中のどの時点に出現するかを示す
時間情報とを生成する。この位置情報は、それぞれの同一画像SIについて、例えば「X
座標が180~210、Y座標が15~50の範囲」というように、X座標とY座標の範
囲として生成される。また、時間情報は、例えば「検索対象画像Sの開始時から2時間4
分12秒後である」というように、スタート時から検出時までの経過時間として生成され
る。
【0046】
そして、画像認識システム1により生成された同一画像SIの位置情報と時間情報は、
例えば、ゲームを自動的にプレイするアプリケーションにおいて各種操作の用に供される
画像の検出に用いられ、当該アプリケーションによる自動プレイを実現することができる
。例えば図6がシューティングゲームである場合には、オブジェクト画像Oは攻撃対象を
示す画像であり、検索対象画像S中に4つの同一画像SIが検出されている。そして、当
該プレイ状況をモニタリングすることにより、ゲームが正常に動作しているか等の検査を
、ゲームプレイヤーを要することなく行うことができ、当該検査を迅速かつ人件費を削減
して行うことができる。
【0047】
このように、本発明の実施形態に係る画像認識システム1によると、検索対象画像Sと
オブジェクト画像Oとのデータサイズを削減した状態で迅速に1段階目の画像検出を行う
と共に、当該最初の画像検出結果により同一画像の当たりをつけて検出すべき範囲を絞っ
た状態で元の画像に基づき2段階目の高精度な画像検出を行うことにより、高速かつ高精
度の画像検出処理を行うことが可能になる。
【0048】
ところで、上述した画像認識システム1による画像検出処理においては、第1判定部1
13による判定の結果、第1座標範囲の少なくとも一部が重複する複数の暫定同一画像が
生じることがある。このような場合、何れの暫定同一画像も同一の画像構成要素を示して
いる確率が高い。これらの暫定同一画像を第2算出部115及び第2判定部116による
処理に供してしまうと、画像検出処理の速度低下を招くおそれがあるため、必要に応じて
第1座標範囲の少なくとも一部が重複した暫定同一画像について、単一の暫定同一画像で
あるとして重複した判定結果を排除して、第2算出部115及び第2判定部116による
処理に供してもよい。この際、第1判定部113は、第1座標範囲の少なくとも一部が重
複する暫定同一画像について単一の前記暫定同一画像であると判定して、代表座標範囲を
判定結果として出力する処理を行うことで、画像検出処理の速度低下を防止することがで
きる。
【0049】
具体的には、代表座標範囲として、例えば第1座標範囲の少なくとも一部が重複する暫
定同一画像のうち、第1一致率が予め設定された所定の閾値(第3閾値)以上の暫定同一
画像の第1座標範囲を用いることができる。これにより、第2算出部115及び第2判定
部116による処理を高精度に行うことが可能になる。なお、代表座標範囲として、第1
座標範囲の少なくとも一部が重複する暫定同一画像のうち、第1一致率が最も高い暫定同
一画像の第1座標範囲を用いてもよく、これによっても同様に第2算出部115及び第2
判定部116による処理を高精度に行うことが可能になる。
【0050】
また、重複した判定結果の排除を、第1判定部113ではなく、抽出部114により行
ってもよい。具体的には、抽出部114は、第2座標範囲の少なくとも一部が重複する当
初構成要素について、単一の当初構成要素と判定して、代表当初構成要素を抽出結果とし
て出力することで、画像検出処理の速度低下を防止することができる。
【0051】
このとき、代表当初構成要素として、例えば第2座標範囲の少なくとも一部が重複する
当初構成要素のうち、第1一致率が予め設定された所定の閾値(第4閾値)以上の暫定同
一画像に対応する当初構成要素を用いることができる。これによっても、第2算出部11
5及び第2判定部116による処理を高精度に行うことが可能になる。なお、代表当初構
成要素として、第2座標範囲の少なくとも一部が重複する当初構成要素のうち、第1一致
率が最も高い暫定同一画像に対応する当初構成要素を用いてもよく、これによっても同様
に第2算出部115及び第2判定部116による処理を高精度に行うことが可能になる。
【0052】
また、このような第1座標範囲の少なくとも一部が重複する暫定同一画像について、重
複した判定結果の排除を行うことなく、当該重複する暫定同一画像の全てを、第2算出部
115及び第2判定部116による処理に供してもよい。このような処理を行うことによ
り、画像検出の精度を上げることができる。
【0053】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、種々の変形を採用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1:画像認識システム
11:プロセッサ
12:メモリ
121:画像認識ソフトウェア
122:画像データ記憶部
111:データサイズ削減部
112:第1算出部
113:第1判定部
114:抽出部
115:第2算出部
116:第2判定部
O:オブジェクト画像
S:検索対象画像
SI:同一画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6