(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160940
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/17 20160101AFI20241108BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20241108BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20241108BHJP
A61K 36/23 20060101ALI20241108BHJP
A61K 36/254 20060101ALI20241108BHJP
A61K 36/21 20060101ALI20241108BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241108BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20241108BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20241108BHJP
A23L 2/66 20060101ALI20241108BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A23L33/17
A61P3/00
A61K38/02
A61K36/23
A61K36/254
A61K36/21
A61P43/00 121
A23L33/105
A23L5/00 A
A23L5/00 M
A23L2/66
A23L2/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060778
(22)【出願日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2023076336
(32)【優先日】2023-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】野村 道康
(72)【発明者】
【氏名】山下 繭香
(72)【発明者】
【氏名】小松沢 里帆
(72)【発明者】
【氏名】田中夏子
(72)【発明者】
【氏名】白川未築
(72)【発明者】
【氏名】本岡香奈
(72)【発明者】
【氏名】友澤 寛
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】神谷 智康
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4B117
4C084
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
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4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】
本発明は、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上に、優れた効果を有する組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
タンパク質と特定の植物素材を含有する組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質と、ブラッククミン、パフィア及びエゾウコギから選ばれる少なくとも1種の特定の植物素材を含有することを特徴とする組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質と、ブラッククミン、パフィア及びエゾウコギから選ばれる少なくとも1種の特定の植物素材を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンパク質を粉末化して水などとともに摂取する栄養補助食品は、一部のアスリートが摂取するものであり、一般の人々にはあまり馴染みのないものであったが、近年は、健康に対する関心の高まり等を背景に、一般の人々も摂取する機会が増えてきている。
【0003】
近年においては、タンパク質を主成分とする栄養補助食品は、体重増加を目的として摂取されることが多く、効果的に体重を増加できる栄養補助食品として、低分子化したプロテインと、果糖と、黒胡椒抽出物とを含有する栄養補助食品が知られている(特許文献1)。しかしながら、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上等の効果に優れるタンパク質と特定成分との組み合わせに関しては十分に研究がなされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、タンパク質と、ブラッククミン、パフィア及びエゾウコギから選ばれる少なくとも1種の植物素材を含有する組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願人は、上記課題を解決するために、種々の物質について鋭意検討を積み重ねたところ、驚くべきことに、タンパク質と、ブラッククミン、パフィア及びエゾウコギから選ばれる少なくとも1種の植物素材を含有することにより、筋肉量維持及び/又は増加、筋力維持及び/又は向上や嗜好性向上の効果に優れた組成物が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき、完成された発明である。
【0007】
本発明の概要は、以下の通りである。
<1>タンパク質と、ブラッククミン、パフィア及びエゾウコギから選ばれる少なくとも1種の植物素材を含有することを特徴とする組成物。
<2>タンパク質と、ブラッククミン、パフィア及びエゾウコギから選ばれる少なくとも1種の植物素材を有効成分とすることを特徴とする組成物。
<3>タンパク質を有効成分とし、さらにブラッククミン、パフィア及びエゾウコギから選ばれる少なくとも1種の植物素材を含有することを特徴とする組成物。
<4>組成物中のタンパク質含有量が20質量%以上である、<1>~<3>のいずれかに記載の組成物。
<5>筋肉量維持及び/又は増加用である、<1>~<3>のいずれかに記載の組成物。
<6>筋力維持及び/又は向上筋力維持用である、<1>~<3>のいずれかに記載の組成物。
<7>タンパク質とブラッククミンを含有する組成物であって、チモキノンを組成物中に0.0001~20質量%含有することを特徴とする組成物。
<8>タンパク質とパフィアを含有する組成物であって、20―ヒドロキシエクジゾンを組成物中に0.00001~10質量%含有することを特徴とする組成物。
<9>タンパク質とエゾウコギを含有する組成物であって、エレウテロシドを組成物中に0.00001~10質量%含有することを特徴とする組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の組成物は、筋肉量維持及び/又は増加、筋力維持及び/又は向上や嗜好性向上の効果に優れるものである。また、本発明の組成物はミトコンドリア活性化作用およびアミノ酸吸収促進作用を有することから、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の優れた効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
[1.タンパク質]
本発明は、タンパク質を必須成分とする。本発明で用いられるタンパク質としては、動物性タンパク質、植物性タンパク質、微生物由来タンパク質又はこれらの組み合わせを使用することができる。動物性タンパク質としては、例えば、ホエイタンパク質(乳清)、カゼインタンパク質などの乳由来タンパク質、鶏卵、卵黄、卵白などの卵由来タンパク質、シルクプロテイン、昆虫タンパク質が挙げられる。植物性タンパク質としては、例えば、小麦由来タンパク質、大豆由来タンパク質、米由来タンパク質、はと麦由来タンパク質、カラス麦由来タンパク質、とうもろこし由来タンパク質、エンドウ豆由来タンパク質、そら豆由来タンパク質等の穀類由来タンパク質、アーモンド由来タンパク質、ジャガイモ由来タンパク質、芋カス等の芋類由来タンパク質、麻の実由来タンパク質、クランベリー由来タンパク質、藻類由来タンパク質が挙げられる。微生物由来タンパク質としては酵母由来タンパク質、麹由来タンパク質、キノコ由来タンパク質などの真菌由来タンパク質、納豆菌由来タンパク質、乳酸菌由来タンパク質などの細菌由来タンパク質が挙げられる。本発明においては、ホエイタンパク質、カゼインタンパク質などの乳由来タンパク質、鶏卵、卵黄、卵白などの卵由来タンパク質、小麦由来タンパク質、大豆由来タンパク質、米由来タンパク質、エンドウ豆由来タンパク質、真菌由来タンパク質、細菌由来タンパク質が好ましく、ホエイタンパク質、カゼインタンパク質などの乳由来タンパク質、鶏卵、卵黄、卵白などの卵由来タンパク質、大豆由来タンパク質、エンドウ豆由来タンパク質、真菌由来タンパク質、細菌由来タンパク質がより好ましく、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の効果の観点から、ホエイタンパク質、カゼインタンパク質、鶏卵、卵黄、卵白などの卵由来タンパク質、大豆由来タンパク質、エンドウ豆由来タンパク質、真菌由来タンパク質、細菌由来タンパク質が特に好ましい。なお、本発明に用いるタンパク質は加水分解されたもの(ペプチド)や濃縮物(コンセントレート)、高純度物(アイソレート)である。また、本発明においては賦形剤等のタンパク質以外の成分を含むタンパク質含有原料を使用することもできる。タンパク質の平均分子量(重量平均分子量)としては、特に制限されるものではないが、例えば、300~100000であることが好ましく、500~80000であることがより好ましい。
【0011】
本発明の組成物におけるタンパク質の含有量は特に制限はないが、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の優れた効果をもたらす点から、タンパク質含有原料として乾燥重量で20~95質量%が好ましく、30~93質量%がより好ましく、40~91質量%が特に好ましく、50~90質量%がとりわけ好ましい。また、使用する原料中のタンパク質含有量は乾燥重量で40質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上であり、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の効果を発揮する観点から、特に好ましくは60質量%以上である。
【0012】
[2.植物素材]
本発明の組成物は、タンパク質と、ブラッククミン、パフィア及びエゾウコギから選ばれる少なくとも1種の植物素材を必須成分とする。以下、各植物素材について詳述する。
【0013】
(ブラッククミン)
ブラッククミンは、キンポウゲ科クロタネソウ属に属する花をつける一年草であり、学名が「Nigella sativa」、和名が「ニオイクロタネソウ」の植物である。ブラッククミンには、チモキノン等の成分が含まれている。
【0014】
本発明において用いる部位としては、チモキノンが多く含まれ、ブラッククミンが有する効果をより享受できる観点から、種子(ブラッククミンシード)が好ましい。ブラッククミンは、通常知られるブラッククミンの加工物であれば特に限定されず、例えば、粉砕物及びその乾燥粉末(粉砕末とも言う)、細片化物、搾汁及びその乾燥粉末(搾汁末とも言う)並びに抽出物及びその乾燥粉末(抽出末とも言う)等を用いることができる。本発明においては、ブラッククミンの有する効果をより享受できる観点から、抽出末が好ましい。
【0015】
抽出方法としては、超臨界抽出、溶媒抽出、水蒸留、水蒸気蒸留、マイクロウエーブ抽出法、圧搾法(コールドプレス法)等が挙げられ、チモキノンをより多く抽出でき、本発明の効果をより享受できる点から、超臨界抽出が好ましい。超臨界抽出に用いられる溶媒としては、臨界温度が600K以下の溶媒が好ましく、例えば、二酸化炭素、飽和炭化水素、アルコール等が挙げられ、二酸化炭素、炭素数1~4の飽和炭化水素、炭素数1~4の1価のアルコールが好ましく、二酸化炭素が特に好ましい。これらの溶媒は、1種単独で用いても、2種以上併用してもよい。なお、2種以上の溶媒を併用する場合、少なくとも1種の溶媒を超臨界状態とすればよい。
【0016】
二酸化炭素を用いた超臨界抽出では、例えば、ブラッククミンを抽出容器に充填し、必要圧に昇圧した二酸化炭素を所定速度で容器内に流通させた後、減圧することにより抽出物を回収することができる。なお、ブラッククミン抽出物は、抽出処理に加えて、加熱、乾燥、粉砕等の加工処理を施したものも包含される。
【0017】
また、溶媒抽出に用いられる溶媒としては、ブラッククミンが有する効果をより享受できる観点から水、エタノール、含水エタノール、1,3-ブチレングリコール(BG)、含水BG等の親水性溶媒が好ましく、水、含水エタノールが特に好ましい。また、各溶媒の温度は、常温~沸点以下で適宜設定することができる。
【0018】
本発明においては、ブラッククミンが有する効果をより享受できる観点から、チモキノンを含有することが好ましい。ブラッククミンに含まれるチモキノンの含有量が0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることがさらに好ましい。日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、ブラッククミンに含まれるチモキノンの含有量が70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
【0019】
本発明において、ブラッククミンに含まれるチモキノンの含有量、及び、組成物におけるチモキノンの含有量は、例えばHPLCにて分析することができる。
【0020】
本発明の組成物におけるブラッククミンの含有量は特に制限はないが、本発明の効果を高める観点から、固形分中、0.001~50質量%が好ましく、0.01~40質量%がより好ましく、0.1~30質量%が特に好ましい。特に、顆粒剤および粉末剤においては、0.1~50質量%が好ましく、1~40質量%がより好ましく、2~30質量%が特に好ましい。バー状の食品においては、本発明の効果を高める観点から、0.01~10質量%が好ましく、0.1~5質量%が好ましく、0.1~2.5質量%が特に好ましい。また、水等の溶媒を含有する液体飲料においては、本発明の効果を高める観点から、0.001~5質量%が好ましく、0.01~2.5質量%がより好ましく、0.05~1質量%が特に好ましい。
【0021】
本発明の組成物におけるチモキノンの含有量は限定されず、チモキノンを含有していなくても良いが、ブラッククミンが有する効果を享受しやすい観点から、乾燥質量換算で、0.0001質量%以上含有させることが好ましく、0.001質量%以上含有させることがより好ましく、0.01質量%以上含有させることがよりさらに好ましく、0.1質量%以上含有させることが特に好ましい。また、得られる組成物を日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、チモキノンを乾燥質量換算で、20質量%以下含有させることがより好ましく、15質量%以下含有させることが好ましく、10質量%以下含有させることがよりさらに好ましく、5質量%以下含有させることが特に好ましい。
【0022】
本発明におけるブラッククミンの摂取量としては特に制限はないが、ブラッククミンが有する効果を享受しやすい観点から、ブラッククミンの摂取量が、成人の1日当たり10mg以上となるように摂取することが好ましく、50mg以上となるように摂取することがより好ましく、100mg以上となるように摂取することが特に好ましい。また、日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、1日当たり2000mg以下となるように摂取することが好ましく、1000mg以下となるように摂取することがより好ましく、500mg以下となるように摂取することが特に好ましい。
【0023】
(パフィア)
パフィアとは、ヒユ科パフィア属の植物である。南米に自生しており、ブラジルニンジン、アマゾンニンジン、ナンベイニンジンとも呼ばれる。本発明で使用できるパフィアとしては、例えばパフィア・グロメラータ(Pfaffia glomerate)、パフィア・イレジノイデス(P.iresinoides)、パフィア・パニキュラータ(P.paniculata)、パフィア・ジュバータ(P.jubata)、パフィア・プルベルレンタ(P.pulverulenta)、パフィア・スピカータ(P.spicata)、パフィア・アクティフォリア(P.actifolia)、パフィア・アフィラ(P.aphylla)、パフィア・シネレア(P.cinerea)、パフィア・デヌダタ(P.denudata)、パフィア・エラタ(P.elata)、パフィア・エクイセティフォルミス(P.equisetiformis)、パフィア・エリアンサ(P.eriantha)、パフィア・グラブラタ(P.glabrata)、パフィア・グラブラトイデス(P.glabratoides)、パフィア・グナファロイデス(P.gnaphaloides)、パフィア・ヘリクリソイデス(P.helichrysoides)、パフィア・ヒルテュラ(P.hirtula)、パフィア・ラナタ(P.lanata)、パフィア・レティキュラータ(P.reticulata)、パフィア・ステノフィーラ(P.stenophyla)、パフィア・テュベローザ(P.tuberosa)およびパフィア・ヴェルティナ(P.velutina)等が挙げられ、これら1種または2種以上を使用することができる。中でもパフィア・グロメラータ(P.glomerate)、パフィア・イレジノイデス(P.iresinoides)を使用するのが好ましい。
【0024】
本発明において用いる部位としては、20―ヒドロキシエクジゾンが多く含まれ、パフィアが有する効果をより享受できる観点から、根が好ましい。パフィアは、通常知られるパフィアの加工物であれば特に限定されず、例えば、粉砕物及びその乾燥粉末(粉砕末とも言う)、細片化物、搾汁及びその乾燥粉末(搾汁末とも言う)並びに抽出物及びその乾燥粉末(抽出末とも言う)等を用いることができる。本発明においては、パフィアの有する効果をより享受できる観点から、抽出末が好ましい
【0025】
抽出方法としては、超臨界抽出、溶媒抽出等が挙げられ、20―ヒドロキシエクジゾンをより多く抽出でき、パフィアが有する効果をより享受できる点から、溶媒抽出が好ましい。溶媒抽出に用いられる溶媒としては、本発明の効果をより享受できる点及び組成物への配合し易さから、水、エタノール、含水エタノール、1,3-ブチレングリコール(BG)、含水BG等の親水性溶媒が好ましく、水、含水エタノールが特に好ましい。また、各溶媒の温度は、常温~沸点以下で適宜設定することができる。含水エタノールを用いた溶媒抽出では、例えば、パフィアを抽出容器に秤量し、含水エタノールで抽出後、ろ過、濃縮することにより抽出物を回収することができる。なお、パフィア抽出物には、抽出処理に加えて、加熱、乾燥、粉砕等の加工処理を施したものも包含される。
【0026】
本発明においては、パフィアが有する効果をより享受できる観点から、20―ヒドロキシエクジゾンを含有することが好ましい。パフィアに含まれる20―ヒドロキシエクジゾンの含有量が0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましい。日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、パフィアに含まれる20―ヒドロキシエクジゾンの含有量が70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
【0027】
本発明において、パフィアに含まれる20―ヒドロキシエクジゾンの含有量、及び、組成物における20―ヒドロキシエクジゾンの含有量は、例えば、HPLCにて分析することができる。
【0028】
本発明の組成物におけるパフィアの含有量は特に制限はないが、本発明の効果を高める観点から、固形分中、0.0001~40質量%が好ましく、0.001~30質量%がより好ましく、0.01~20質量%が特に好ましい。特に、顆粒剤および粉末剤においては、0.001~40質量%が好ましく、0.01~30質量%がより好ましく、0.1~20質量%が特に好ましい。バー状の食品においては、本発明の効果を高める観点から、0.001~5質量%が好ましく、0.01~2.5質量%が好ましく、0.1~1質量%が特に好ましい。また、水等の溶媒を含有する液体飲料においては、本発明の効果を高める観点から、0.0001~5質量%が好ましく、0.001~2.5質量%がより好ましく、0.01~1質量%が特に好ましい。
【0029】
本発明の組成物における20―ヒドロキシエクジゾンの含有量は限定されず、20―ヒドロキシエクジゾンを含有していなくても良いが、パフィアが有する効果を享受しやすい観点から、乾燥質量換算で、0.00001質量%以上含有させることが好ましく、0.0001質量%以上含有させることがより好ましく、0.001質量%以上含有させることがよりさらに好ましく、0.01質量%以上含有させることが特に好ましい。また、得られる組成物を日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、20―ヒドロキシエクジゾンを乾燥質量換算で、10質量%以下含有させることが好ましく、8質量%以下含有させることがより好ましく、5質量%以下含有させることがよりさらに好ましく、1質量%以下含有させることが特に好ましい。
【0030】
本発明におけるパフィアの摂取量としては特に制限はないが、パフィアが有する効果を享受しやすい観点から、パフィアの摂取量が、成人の1日当たり0.1mg以上となるように摂取することが好ましく、1mg以上となるように摂取することがより好ましく、10mg以上となるように摂取することが特に好ましい。また、得られる組成物を日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、1日当たり1000mg以下となるように摂取することが好ましく、500mg以下となるように摂取することがより好ましく、200mg以下となるように摂取することが特に好ましい。
【0031】
(エゾウコギ)
エゾウコギとは、ウコギ科に属する落葉潅木であり、学名が「Eleutherococcus senticosus」であり、シゴカ(刺五加)とも称される。
【0032】
本発明において用いる部位としては、エレウテロシドが多く含まれ、エゾウコギが有する効果をより享受できる観点から、根が好ましい。エゾウコギは、通常知られるエゾウコギの加工物であれば特に限定されず、例えば、粉砕物及びその乾燥粉末(粉砕末とも言う)、細片化物、搾汁及びその乾燥粉末(搾汁末とも言う)並びに抽出物及びその乾燥粉末(抽出末とも言う)等を用いることができる。本発明においては、エゾウコギの有する効果をより享受できる観点から、抽出末が好ましい。
【0033】
抽出方法としては、超臨界抽出、溶媒抽出等が挙げられ、エレウテロシドをより多く抽出でき、エゾウコギの有する効果をより享受できる点から、溶媒抽出が好ましい。溶媒抽出に用いられる溶媒としては、本発明の効果をより享受できる点及び組成物への配合し易さから、水、エタノール、含水エタノール、1,3-ブチレングリコール(BG)、含水BG等の親水性溶媒が好ましく、水、含水エタノールが特に好ましい。また、各溶媒の温度は、常温~沸点以下で適宜設定することができる。含水エタノールを用いた溶媒抽出では、例えば、エゾウコギを抽出容器に秤量し、含水エタノールで抽出後、ろ過、濃縮することにより抽出物を回収することができる。なお、上記「エゾウコギの抽出物」には、抽出処理に加えて、加熱、乾燥、粉砕等の加工処理を施したものも包含される。具体的には、エゾウコギを必要に応じて適当な大きさとした後に、適当な浸出液(抽出溶媒)を加えて浸出した液や、当該浸出液を濃縮した液(軟エキス、流エキス、チンキ等)、さらにこれらを乾燥させたもの(乾燥エキス等)等も本発明のエゾウコギ抽出物に包含される。
【0034】
本発明においては、エゾウコギが有する効果をより享受できる観点から、エレウテロシドを含有することが好ましい。エレウテロシドの種類は限定されないが、エレウテロシドA、エレウテロシドB、エレウテロシドC、エレウテロシドD、エレウテロシドEなどが挙げられる。エゾウコギが有する効果をより享受できる観点から、エレウテロシドB及びエレウテロシドEを含有することが好ましい。
【0035】
本発明においては、エゾウコギが有する効果をより享受できる観点から、エゾウコギに含まれるエレウテロシドの含有量が0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましい。日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、エゾウコギに含まれるエレウテロシドの含有量が70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
【0036】
本発明において、エゾウコギに含まれるエレウテロシドの含有量、及び、組成物におけるエレウテロシドの含有量は、例えばHPLCにて分析することができる。
【0037】
本発明の組成物におけるエゾウコギの含有量は特に制限はないが、本発明の効果を高める観点から、固形分中、0.001~40質量%が好ましく、0.01~30質量%がより好ましく、0.1~20質量%が特に好ましい。特に、顆粒剤および粉末剤においては、0.001~40質量%が好ましく、0.01~30質量%がより好ましく、0.1~20質量%が特に好ましい。バー状の食品においては、本発明の効果を高める観点から、0.001~5質量%が好ましく、0.01~2.5質量%が好ましく、0.1~1質量%が特に好ましい。また、水等の溶媒を含有する液体飲料においては、本発明の効果を高める観点から、0.0001~5質量%が好ましく、0.001~2.5質量%がより好ましく、0.01~1質量%が特に好ましい。
【0038】
本発明の組成物におけるエレウテロシドの含有量は限定されず、エレウテロシドを含有していなくても良いが、エゾウコギが有する効果を享受しやすい観点から、乾燥質量換算で、0.00001質量%以上含有させることが好ましく、0.0001質量%以上含有させることがより好ましく、0.001質量%以上含有させることがよりさらに好ましく、0.01質量%以上含有させることが特に好ましい。また、得られる組成物を日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、エレウテロシドを乾燥質量換算で、10質量%以下含有させることが好ましく、8質量%以下含有させることがより好ましく、5質量%以下含有させることがよりさらに好ましく、1質量%以下含有させることが特に好ましい。
【0039】
本発明におけるエゾウコギの摂取量としては特に制限はないが、エゾウコギが有する効果を享受しやすい観点から、エゾウコギの摂取量が、成人の1日当たり1mg以上となるように摂取することが好ましく、10mg以上となるように摂取することがより好ましく、50mg以上となるように摂取することが特に好ましい。また、日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、1日当たり2000mg以下となるように摂取することが好ましく、1000mg以下となるように摂取することがより好ましく、500mg以下となるように摂取することが特に好ましい。
【0040】
本発明の組成物が顆粒剤である場合のメジアン径は特に制限はないが、本発明の効果を高める観点から、10~750μm以下であることが好ましく、25~500μm以下であることがより好ましく、50~250μm以下であることが特に好ましい。
【0041】
本発明の組成物は、ミトコンドリア活性化作用を有することから、筋肉量維持及び/又は増加用組成物として機能し得る。筋肉量維持及び/又は増加用組成物としては、例えば、「理想の筋肉のために」、「理想的なカラダをサポート」、「強いカラダづくりに」、「運動時のプロテイン補給のために」、「体型を維持したい方に」、「筋肉量を維持する」、「筋肉の減少を防ぐ」、「シェイプアップ」、「スタイルを維持したい方に」、「スタイルを改善したい方に」、「体づくりを支える」等を表示したいわゆる健康食品を例示することができる。
【0042】
また、本発明の組成物は、ミトコンドリア活性化作用を有することから、筋力維持及び/又は向上用組成物として機能し得る。本発明の筋力維持及び/又は向上用組成物としては、例えば、「シニア世代のたんぱく質不足に」、「アクティブに生活したい方に」、「アクティブな毎日に」、「元気に歩きたい方に」、「加齢による筋力の低下に」、「歩行能力の維持、向上」、「歩くピッチおよび歩行速度の維持、向上」、「握力の維持、改善」、「筋機能の低下のために」、「足腰の衰えのために」等を表示したいわゆる健康食品を例示することができる。
【0043】
本発明の組成物の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。例えば、経口的な使用に適した形態、具体的には、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、液状、ペースト状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ソーセージ状、カマボコ状、バー状などの各形態が挙げられる。
【0044】
本発明の組成物の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック;ストリップ包装;ヒートシール;アルミパウチ;プラスチックや合成樹脂などを用いるフィルム包装;バイアルなどのガラス容器;アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。
【0045】
本発明の組成物は、粉末状(粉末、顆粒などの粉の形態)であって、水と混合した混合物を経口的に使用する形態であると、腐敗を防ぎ長期保存に適することから好ましい。また本発明の組成物が粉末状やタブレット状などの固体の形態である場合、上述したように、これを水と混合して液状体となし、経口的に使用することができるが、使用者の好みなどに応じて、固体のまま経口的に使用してもよい。
【0046】
本発明の組成物の1日の使用量は特に限定されず、使用態様や使用者の使用内容などに応じて適宜設定され得るが、例えば、使用者の体重を基準として、1~6000mg/kgであり、好ましくは5~4000mg/kgであり、より好ましくは10~3000mg/kgであり、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の効果の観点から、さらに好ましくは10~2000mg/kgである。本発明の組成物の1回の使用量についても同様に特に限定されず、例えば、使用者の体重を基準として、0.5~3000mg/kgであり、好ましくは1~2000mg/kgであり、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の効果の観点から、より好ましくは5~1000mg/kgである。
【0047】
また、本発明の組成物の1日の使用量は特に限定されず、例えば、顆粒(粉末)剤の場合、0.1~100g、好ましくは0.5~80g、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の効果の観点から、特に好ましくは1.5~60gとすることができる。バー状の組成物の場合、15~200g、好ましくは20~150g、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の効果の観点から、特に好ましくは30~100gとすることができる。液体飲料の場合、50~1000g、好ましくは100~800g、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の効果の観点から、特に好ましくは150~600gとすることができる。本発明の組成物の1回の使用量は、例えば、顆粒(粉末)剤の場合、0.1~50g、好ましくは0.5~40g、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の効果の観点から、より好ましくは1~30gとすることができる。バー状の組成物の場合、15~150g、好ましくは20~100g、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の効果の観点から、特に好ましくは30~60gとすることができる。液体飲料の場合、50~1000g、好ましくは100~800g、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の効果の観点から、特に好ましくは150~600gとすることができる。
【0048】
本発明の組成物におけるタンパク質と特定の植物素材の配合比は特に限定されないが、タンパク質:特定の植物素材=100:0.001~100が好ましく、より好ましくは100:0.01~50であり、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の効果の観点から、特に好ましくは100:0.1~20である。
【0049】
ブラッククミンがチモキノンを含む場合、タンパク質とチモキノンの含有量は特に制限されないが、タンパク質:チモキノン=10000:0.005~7000が好ましく、より好ましくは10000:0.05~3500であり、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の効果の観点から、特に好ましくは10000:0.1~1000である。
【0050】
パフィアが20―ヒドロキシエクジゾンを含む場合、タンパク質と20―ヒドロキシエクジゾンの含有量は特に制限されないが、タンパク質:20―ヒドロキシエクジゾン=10000:0.0005~700が好ましく、より好ましくは10000:0.005~350であり、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の効果の観点から、特に好ましくは10000:0.05~150である。
【0051】
エゾウコギがエレウテロシドを含む場合、タンパク質とエレウテロシドの含有量は特に制限されないが、タンパク質:エレウテロシド=10000:0.0001~3000が好ましく、より好ましくは10000:0.001~1500であり、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の効果の観点から、特に好ましくは10000:0.01~1000である。
【0052】
本発明の組成物は、タンパク質および特定の植物素材の他、必要に応じて他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。本発明の組成物は、一般食品の他、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品等のいわゆる健康食品などの経口組成物として用いることができる。また、医薬品(医薬部外品を含む)や化粧品などの外用剤として用いることができる。
【0053】
本発明の組成物は、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の効果を得ることを目的とした種々の形態で利用され得る。
【実施例0054】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
試験1.ミトコンドリア活性化能の評価
ミトコンドリアは、細胞内のエネルギー産生において中心的な役割を担う細胞小器官で、筋肉の活動や発達、維持においても不可欠であり、その活性が低下すると筋肉の急速な萎縮が進行することが知られている。よって、ミトコンドリア活性化作用を確認することで、筋肉量維持及び/又は増加作用や筋力維持及び/又は向上作用を確認することができる。
[被験物質]
被験物質として、以下の物質を使用した。
・大豆由来タンパク質:市販されている粉末状大豆タンパク質を用いた。
・ブラッククミン:市販されているNigella sativaの種子から抽出した、チモキノンを含有する粉末状の抽出物を用いた。
・パフィア:市販されているPfaffia glomerata、Pfaffia iresinoides又はその他の同属植物(Amaranthaceae)の根から抽出した、20-ヒドロキシエクジゾンを含有する粉末状の抽出物を用いた。
・エゾウコギ:市販されているEleutherococcus senticosus (Rupr. Et Maxim.) Maximの根から抽出した、エレウテロシドを含有する粉末状の抽出物を用いた。
・ロイシン:ミトコンドリア活性作用が知られている成分として市販されている粉末状のL-ロイシンを用いた。
・デキストリン:ミトコンドリア活性に影響を与えない物質である市販されているデキストリンを用いた。
【0055】
[被験物質の調製]
各被験物質は、分化誘導培地(2%HS(ウマ血清)-DMEM)を用いて調製した。下記試験に用いた被験物質の配合比は表1のとおりである。
【0056】
[ミトコンドリア活性測定]
(1)37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、75 cm2フラスコを用いて、マウス筋芽細胞 (C2C12)を増殖培地(10%FBS-DMEM)で培養した。
(2)トリプシン処理により浮遊させた細胞を、96ウェルコラーゲンコートプレートの各ウェルに8×10^3 cells/wellの細胞密度で播種し、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、24時間前培養した。
(3)各ウェルより培地を除去後、無血清DMEMで2回洗浄し、分化誘導培地(2%HS-DMEM)を200 μL/wellで添加し、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で5、6日間培養した。
(4)2、3日に1回、培地交換を行い、筋管細胞へ分化させた。
(5)各ウェルより培地を除去後、被験物質含有培地を100 μL/wellで添加し、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で24時間培養した。
(6)培地には分化誘導培地を用い、被験物質の培地中の合計濃度を100 μg/mLとした。
(7)24時間培養後、培地を除去し、無血清DMEMで各ウェルを2回洗浄後、無血清DMEMで調製した10 μM Rhodamine123(富士フィルム和光純薬製)を各ウェルに50 μLずつ添加した。
(8)37℃、5容量%CO2インキュベーター内に30分間静置させた後、試薬を除去し、PBSで各ウェルを2回洗浄した。
(9)各ウェルよりPBSを除去後、さらにウェルにPBSを添加し、蛍光強度(励起波長Ex.507nm、蛍光波長Em.529nm)を測定した。
(10)得られたデータを元に% of controlを算出した。
% of control = (Data sample - Data blank) / (Data control - Data blank) × 100
比較例1の値を100としたときの相対値を表1に示した。
【0057】
【0058】
各被験物質を単独で添加した比較例1~4においては、ミトコンドリア活性の値は98.8~101.1% of controlであるのに対し、タンパク質と特定の植物成分とを含有する実施例1~3においては、118.6~124.9%とミトコンドリア活性が顕著に増加することがわかる。また、タンパク質とミトコンドリア活性化作用が知られているロイシンとを含有した比較例6と比べて、各実施例はより優れたミトコンドリア活性化作用を示すことがわかる。以上より、本発明の組成物は、優れたミトコンドリア活性化作用を有することから、筋肉量維持及び/又は増加効果や筋力維持及び/又は向上効果を有するものであることがわかる。すなわち、本発明の組成物は筋肉量維持及び/又は増加用組成物や筋力維持及び/又は向上用組成物として有用である。
【0059】
試験2.アミノ酸吸収促進の評価
本発明の組成物を用いてヒト大腸癌由来細胞株の単層透過性によるアミノ酸吸収促進作用を確認した。ヒト大腸癌由来細胞株の単層透過性は、ヒト腸を介した化合物の吸収性を評価するために利用される一般的なインビトロモデルである。アミノ酸の透過性を確認することで、アミノ酸吸収促進による筋肉増強作用、筋力維持作用を確認することができる。
[被験物質]
被験物質として、試験1と同じもののほか、下記のものも使用した。
・ビタミンD:軟骨細胞活性化作用が知られている成分として市販されている粉末状のビタミンDを用いた。
・デキストリン:アミノ酸吸収に影響を与えない物質である市販されているデキストリンを用いた。
【0060】
[アミノ酸吸収量測定]
(1)37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、75 cm2フラスコを用いて、ヒト大腸癌由来細胞を10%FBS-1%NEAA-DMEMで培養した。
(2)トリプシン処理により浮遊させた細胞を、24ウェルプレート上のインサートウェルに4×10^4 cells/wellの細胞密度で播種し、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、24時間前培養した。
(3)24時間後培地を交換し、その後 3~4日ごとに培地交換を行いながら14~15日間培養し、単層を形成させた。
(4)電気抵抗値を測定し、 HBSSバッファーで洗浄した。
(5)被験物質は、以下の手順でペプシンおよびパンクレアチンによる酵素処理を行った。また、コントロール用に被験物質を含まない超純水も同様に酵素処理を行った。
被験物質を超純水で溶解し、37℃のブロックヒーターでプレインキュベートした。
0.5N-HClでpH2.0に調整し、10mM-HClで20 μg/mLに調整したペプシン溶液を100μL添加した。
37℃のウォーターバスで1hインキュベートした後、0.5N-NaOHでpH7.5に調整し、チューブ内の合計液量が1.5mLになるよう超純水を添加した。
超純水で8mg/mLに調製したパンクレアチン溶液を100μg/mL添加し、37℃のウォーターバスで1hインキュベートした。
インキュベート後、超純水を添加して25mg/mLに調整した。
(6)酵素処理をした被験物質を終濃度8.33mg/mLで添加し、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で2時間培養した。
(7)L-アミノ酸定量キット(Sigma-Aldrich)を用いて透過液中のアミノ酸濃度を測定した。
(8)コントロールの値を1としたときの相対値を表2に示した。
【0061】
【0062】
大豆由来タンパク質又は特定の他成分を単独で添加した比較例7~10においては、コントロールの吸収量を1とした時のアミノ酸吸収量の相対値は0.85~2.19であり、コントロールの吸収量よりも低いか、高くても増加量は1.19であった。それに対し、大豆由来タンパク質と特定の他成分とを含有する実施例4~6においては、その相対値は2.67~3.42であった。各比較例と実施例は添加した被験物質の合計量が変わらないにも関わらず、各比較例のコントロールの吸収量に対する増加(及び減少)量を合計したものよりも実施例の増加量はいずれも高くなり、アミノ酸吸収量が顕著に増加することがわかる。一方、タンパク質と、アミノ酸吸収促進作用が知られているビタミンDとを含有した比較例12のアミノ酸吸収量の増加量1.26と比べて、各実施例はより優れたアミノ酸吸収促進作用を示すことがわかる。以上より、本発明の経口組成物は、優れたアミノ酸吸収促進作用を有することから、アミノ酸吸収促進による筋肉増強効果や筋力維持効果を有するものであることがわかる。すなわち、本発明の経口組成物はアミノ酸吸収促進用経口組成物、筋肉増強用経口組成物や筋力維持用経口組成物として有用である。
【0063】
3.官能試験
本発明の組成物を用いて呈味改善作用を確認した。
[被験物質]
被験物質として、試験1と同じもののほか、下記も使用した。
・エンドウ豆タンパク質:市販されている粉末状エンドウタンパク質を用いた。
・乳清由来タンパク質:市販されている粉末状ホエイタンパク質を用いた。
・カゼインタンパク質:市販されている粉末状乳由来のカゼインタンパク質を用いた。
・卵白由来タンパク質:市販されている卵白を酵素分解して得られる粉末状卵白由来タンパク質を用いた。
・デキストリン:味に影響を与えない物質である市販されているデキストリンを用いた。
【0064】
表3に記載の配合比に従って粉末試料10gを、水100mlと混合して各サンプルを得た。これらのサンプルについて、タンパク質特有の風味の有無を評価した。官能評価は日常的にプロテイン飲料を摂取しており、かつ、官能評価経験を有するパネラーにより行った。評価結果は表3に示した。
【0065】
つぎに、表4に記載の配合比に従って粉末試料10gを、水100mlと混合して各サンプルを得た。これらのサンプルについて、各タンパク質単独の場合と比較して、タンパク質特有の風味について下記を基準にして評価した。官能評価は日常的にプロテイン飲料を摂取しており、かつ、官能評価経験を有するパネラーにより行った。評価結果は表4に示した。
<タンパク質特有の臭い>
◎:イオウのような臭みがなく、標準品よりかなりおいしく感じられる。
○:イオウのような臭みが少なく、標準品よりおいしく感じられる。
△:標準品と同程度である。
×:標準品以下である。
【0066】
【0067】
【0068】
表3に示す通り、その由来によらずタンパク質には共通する特有の風味があることがわかる。そして、表4に示す通り、タンパク質から大豆由来タンパク質を選択し、本発明の植物素材と組み合わせることでタンパク質に共通する特有の風味を改善できるかを評価したところ、いずれもその呈味が改善されており、嗜好性に優れることがわかる。
【0069】
下記表5に記載の組成に従って、粉末剤を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、タンパク質とブラッククミンを配合することから、1日1回、1回あたり20gを水に懸濁して摂取することで、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の本発明の優れた効果を享受でき、また嗜好性にも優れるものであった。
【0070】
【0071】
下記表6に記載の組成に従って、粉末剤を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、タンパク質とブラッククミンを配合することから、1日1回、1回あたり20gを水に懸濁して摂取することで、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の本発明の優れた効果を享受でき、また嗜好性にも優れるものであった。
【0072】
【0073】
下記表7に記載の組成に従って、プロテインバーを製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、タンパク質とブラッククミンを配合することから、1日1回、1回あたり40gを摂取することで、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の本発明の優れた効果を享受でき、また嗜好性にも優れるものであった。
【0074】
【0075】
下記表8に記載の組成に従って、液体飲料を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、タンパク質とブラッククミンを配合することから、1日1回、1回あたり350mlを摂取することで、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の本発明の優れた効果を享受でき、また嗜好性にも優れるものであった。
【0076】
【0077】
下記表9に記載の組成に従って、顆粒剤を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、タンパク質とパフィアを配合することから、1日1回、1回あたり20gを水に懸濁して摂取することで、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の本発明の優れた効果を享受でき、また嗜好性にも優れるものであった。
【0078】
【0079】
下記表10に記載の組成に従って、粉末剤を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、タンパク質とパフィアを配合することから、1日1回、1回あたり20gを水に懸濁して摂取することで、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の本発明の優れた効果を享受でき、また嗜好性にも優れるものであった。
【0080】
【0081】
下記表11に記載の組成に従って、プロテインバーを製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、タンパク質とパフィアを配合することから、1日1回、1回あたり40gを摂取することで、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の本発明の優れた効果を享受でき、また嗜好性にも優れるものであった。
【0082】
【0083】
下記表12に記載の組成に従って、液体飲料を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、タンパク質とパフィアを配合することから、1日1回、1回あたり350mlを摂取することで、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の本発明の優れた効果を享受でき、また嗜好性にも優れるものであった。
【0084】
【0085】
下記表13に記載の組成に従って、顆粒剤を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、タンパク質とエゾウコギを配合することから、1日1回、1回あたり20gを水に懸濁して摂取することで、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の本発明の優れた効果を享受でき、また嗜好性にも優れるものであった。
【0086】
【0087】
下記表14に記載の組成に従って、粉末剤を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、タンパク質とエゾウコギを配合することから、1日1回、1回あたり20gを水に懸濁して摂取することで、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の本発明の優れた効果を享受でき、また嗜好性にも優れるものであった。
【0088】
【0089】
下記表15に記載の組成に従って、プロテインバーを製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、タンパク質とエゾウコギを配合することから、1日1回、1回あたり40gを摂取することで、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の本発明の優れた効果を享受でき、また嗜好性にも優れるものであった。
【0090】
【0091】
下記表16に記載の組成に従って、液体飲料を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、タンパク質とエゾウコギを配合することから、1日1回、1回あたり350mlを摂取することで、筋肉量維持及び/又は増加や筋力維持及び/又は向上の本発明の優れた効果を享受でき、また嗜好性にも優れるものであった。
【0092】