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特開2024-160946非常に妨害的な回折効果をフィルタリングするための超低NA屈折率プロファイリングシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160946
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】非常に妨害的な回折効果をフィルタリングするための超低NA屈折率プロファイリングシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/02 20060101AFI20241108BHJP
   G01N 21/41 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G01M11/02 H
G01N21/41 Z
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065826
(22)【出願日】2024-04-16
(31)【優先権主張番号】63/463621
(32)【優先日】2023-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515174489
【氏名又は名称】ヘレーウス クオーツ ノース アメリカ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Quartz North America LLC
【住所又は居所原語表記】100 Heraeus Boulevard, Buford, GA 30518, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,マクシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,イーブン ピー.
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA02
2G059AA05
2G059BB08
2G059EE01
2G059GG01
2G059JJ11
2G059JJ17
2G059MM09
2G059MM10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】円筒面を有する光学物体の屈折率プロファイルを決定する方法を提供する。
【解決手段】屈折率プロファイルを決定する方法は、(a)第1の複数の走査位置において表面を走査することであって、1つ以上の光ビームの経路内にピンホール開口がある、走査することと、(b)第1の複数の走査位置の各々について、光学物体による偏向後に光ビームを検出したことに基づいて第1の偏向関数を測定することと、(c)第2の複数の走査位置において表面を走査することであって、光ビームの経路内にピンホール開口がない、走査することと、(d)第2の複数の走査位置の各々について、光学物体による偏向後の光ビームの検出に基づいて、第2の偏向関数を測定することと、(e)第1の偏向関数及び第2の偏向関数の少なくとも一部分をマージして、複合偏向関数求めることと、(f)複合偏向関数を使用して屈折率プロファイルを計算する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒面及び長手方向円筒軸を有する光学物体の屈折率プロファイルを決定するための方法であって、前記方法は、
(a)前記長手方向円筒軸に対して垂直に衝突する1つ以上の光ビームによって第1の複数の走査位置において前記光学物体の前記円筒面を走査することであって、前記円筒面の上流の前記1つ以上の光ビームの経路内にピンホール開口が配置される、走査することと、
(b)前記第1の複数の走査位置の各々について、前記光学物体による偏向後の前記1つ以上の光ビームの検出に基づいて、前記光学物体の第1の偏向関数を測定することと、
(c)前記長手方向円筒軸に対して垂直に衝突する1つ以上の光ビームによって第2の複数の走査位置において前記光学物体の前記円筒面を走査することであって、前記1つ以上の光ビームの前記経路内に前記ピンホール開口がない、走査することと、
(d)前記第2の複数の走査位置の各々について、前記光学物体による偏向後の前記1つ以上の光ビームの検出に基づいて、前記光学物体の第2の偏向関数を測定することと、
(e)前記第1の偏向関数の少なくとも一部分を前記第2の偏向関数の少なくとも一部分とマージして、複合偏向関数を求めることと、
(f)前記複合偏向関数を使用して前記光学物体の前記屈折率プロファイルを計算することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の偏向関数の前記少なくとも一部分は、前記第1の複数の走査位置のうちの1つ以上についての偏向データを含み、前記第2の偏向関数の前記少なくとも一部分は、前記第2の複数の走査位置のうちの1つ以上についての偏向データを含み、前記第1の複数の走査位置のうちの前記1つ以上は、前記第2の複数の走査位置のうちの前記1つ以上とは異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複合偏向関数は、前記偏向された1つ以上の光ビームが前記光学物体内のマイクロ層構造屈折率変動によって引き起こされる回折を受ける、第1の走査位置に対応する前記第1の偏向関数の部分と、前記光学物体内の異なる材料又はドーピング間の境界を取り囲む、第2の走査位置に対応する前記第2の偏向関数の部分と、を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複合偏向関数は、前記光学物体の半径方向縁部位置からステッチング位置に延びる、前記第2の偏向関数の部分によって、及び前記ステッチング位置から前記光学物体の半径方向中心に向かって延びる、前記第1の偏向関数の部分によって形成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記ピンホール開口は、約25マイクロメートル~約500マイクロメートルの直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ピンホール開口は、約50マイクロメートル~約250マイクロメートルの直径を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ピンホール開口は、回転可能ホイール上に設けられ、前記回転可能ホイールの1つの配向において、前記ピンホール開口は前記1つ以上の光ビームの経路内にあり、少なくとも1つの他の配向において、前記ピンホール開口は前記1つ以上の光ビームの経路外にある、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記回転可能ホイールは、複数のピンホール開口を含み、前記複数のピンホール開口の各々は、他とは異なる直径を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
円筒面及び長手方向円筒軸を有する光学物体の屈折率プロファイルを決定するためのシステムであって、前記システムは、
(a)光入射面と、光出射面と、それらの間に配置された空洞とを有する、前記光学物体を受容するように構成された測定セルと、
(b)前記測定セルに向かって1つ以上の光ビームを放射するように構成された1つ以上の光源と、
(c)前記測定セルを支持するように構成されたステージと、
(d)前記測定セルの前記光出射面の下流の前記1つ以上の光ビームの経路に配置されるように構成された光学センサと、
(e)前記測定セルの前記光入射面の上流の前記1つ以上の光ビームの経路の内外へと選択的に移動可能なピンホール開口と、
(f)コントローラであって、
(i)前記1つ以上の光ビームを第1の複数の走査位置において前記長手方向円筒軸に対して垂直に前記光学物体の前記円筒面に衝突させるために、前記1つ以上の光ビームの経路内に前記ピンホール開口がある状態で、前記ステージと前記1つ以上の光源及び前記光学センサとの間で相対移動を開始し、
(ii)前記第1の複数の走査位置の各々について、前記光学物体による偏向後の前記1つ以上の光ビームの前記光学センサによる検出に基づいて、前記光学物体の第1の偏向関数を測定し、
(iii)前記1つ以上の光ビームを第2の複数の走査位置において前記長手方向円筒軸に対して垂直に前記光学物体の前記円筒面に衝突させるために、前記1つ以上の光ビームの経路外に前記ピンホール開口がある状態で、前記ステージと前記1つ以上の光源及び前記光学センサとの間で相対移動を開始し、
(iv)前記第2の複数の走査位置の各々について、前記光学物体による偏向後の前記1つ以上の光ビームの前記光学センサによる検出に基づいて、前記光学物体の第2の偏向関数を測定し、
(v)前記第1の偏向関数の少なくとも一部分を前記第2の偏向関数の少なくとも一部分とマージして、複合偏向関数を得、
(vi)前記複合偏向関数を使用して前記光学物体の前記屈折率プロファイルを計算する、ように構成される、コントローラと、
を備える、システム。
【請求項10】
前記第1の偏向関数の前記少なくとも一部分は、前記第1の複数の走査位置のうちの1つ以上についての偏向データを含み、前記第2の偏向関数の前記少なくとも一部分は、前記第2の複数の走査位置のうちの1つ以上についての偏向データを含み、前記第1の複数の走査位置のうちの前記1つ以上は、前記第2の複数の走査位置のうちの前記1つ以上とは異なる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記偏向された1つ以上の光ビームが前記光学物体内のマイクロ層構造屈折率変動によって引き起こされる回折を受ける、第1の走査位置に対応する前記第1の偏向関数の部分と、前記光学物体内の異なる材料又はドーピング間の境界を取り囲む、第2の走査位置に対応する前記第2の偏向関数の部分とをマージすることによって、前記複合偏向関数を得るように構成される、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記光学物体の半径方向縁部位置からステッチング位置に延びる、前記第2の偏向関数の部分と、前記ステッチング位置から前記光学物体の半径方向中心に向かって延びる、前記第1の偏向関数の前記部分とをマージすることによって、前記複合偏向関数を得るように構成される、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項13】
前記ピンホール開口は、約25マイクロメートル~約500マイクロメートルの直径を有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記ピンホール開口は、約50マイクロメートル~約250マイクロメートルの直径を有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
回転可能ホイールを更に備え、前記ピンホール開口は、前記回転可能ホイール上に設けられ、前記回転可能ホイールの1つの配向において、前記ピンホール開口は前記1つ以上の光ビームの経路内にあり、少なくとも1つの他の配向において、前記ピンホール開口は前記1つ以上の光ビームの経路外にある、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記回転可能ホイールは、複数のピンホール開口を含み、前記複数のピンホール開口の各々は、他とは異なる直径を有する、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、屈折率測定に関し、より詳細には、材料効果によって引き起こされる回折の影響を低減する、光学物体の屈折率プロファイルを決定するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファイバプリフォーム、光ファイバ、光パイプ、光チューブなどの透明な円筒状物体は、様々な光学用途で使用される。多くの場合、屈折率プロファイル(RIP)は、例えば、物体の導波特性又は他の特性を決定することができるので、そのような物体のRIPを知ることが望ましい。円筒状物体の半径方向RIPを決定する1つの方法は、物体の長手方向円筒軸に対して垂直に衝突する1つ以上の光ビームを使用して、複数の走査位置において表面を走査することである。光学物体はビーム(単数又は複数)を偏向させ、走査位置の各々における偏向を測定して、偏向角分布を規定することができる。物体のRIPは、偏向角分布から再構築され得る。
【0003】
残念ながら、このプロセスは、円筒状物体の機械的特徴によって引き起こされる誤差を受ける可能性がある。例えば、光ファイバを製造する1つの方法は、コア又は他の基材の周りにファイバの層が堆積される外部蒸着(OVD)として知られている。得られた材料におけるマイクロ層変動は、偏向関数を測定するときの著しい回折につながる。図8に見られるように、回折は、偏向データの正確な測定を阻害し、最終的な再構築されたRIPに対するノイズ及び不正確な値を引き起こす。
【0004】
米国特許第9,989,458(B2)号は、偏向測定のためにゼロ次ビームを識別し、より高次の回折次数をフィルタリングすることによって、円筒状ガラス体のためのRIPのより高精度の測定を行うことを追求している。しかしながら、そのようなフィルタリングを達成するために追加の情報が必要とされ、フィルタリングが実行された後であっても、正確な判定を行うにはデータ中にノイズが多すぎる場合がある。
【0005】
欧州特許公開第3,889,581(A1)号は、円筒状物体を通る異なる波長で偏向データを測定することによってRIP計算の精度を改善しようと試みている。しかしながら、回折次数間の分離が非常に小さい場合、必要とされるより高次のフィルタリングは非常に困難であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、RIP再構築のための偏向データを正確に測定するための方法及びシステムであって、より容易且つ再現可能に、より良好な回折分離を可能にして、RIP決定に対する材料効果の影響を著しく低減することができる方法及びシステムが必要とされている。
【0007】
これら及び他の必要性を満たすために、本開示は、円筒面及び長手方向円筒軸を有する光学物体の屈折率プロファイルを決定するための方法を提供する。本方法は、(a)長手方向円筒軸に対して垂直に衝突する1つ以上の光ビームによって第1の複数の走査位置において光学物体の円筒面を走査することであって、円筒面の上流の1つ以上の光ビームの経路内にピンホール開口が配置される、走査することと、(b)第1の複数の走査位置の各々について、光学物体による偏向後の1つ以上の光ビームの検出に基づいて、光学物体の第1の偏向関数を測定することと、(c)長手方向円筒軸に対して垂直に衝突する1つ以上の光ビームによって第2の複数の走査位置において光学物体の円筒面を走査することであって、1つ以上の光ビームの経路内にピンホール開口がない、走査することと、(d)第2の複数の走査位置の各々について、光学物体による偏向後の1つ以上の光ビームの検出に基づいて、光学物体の第2の偏向関数を測定することと、(e)第1の偏向関数の少なくとも一部分を第2の偏向関数の少なくとも一部分とマージして、複合偏向関数を求めることと、(f)複合偏向関数を使用して光学物体の屈折率プロファイルを計算することと、を含む。
【0008】
別の態様において、本開示は、円筒面及び長手方向円筒軸を有する光学物体の屈折率プロファイルを決定するためのシステムを提供する。システムは、光入射面と、光出射面と、それらの間に配置された空洞とを有する、光学物体を受容するように構成された測定セルと、測定セルに向かって1つ以上の光ビームを放射するように構成された1つ以上の光源と、測定セルを支持するように構成されたステージと、(d)測定セルの光出射面の下流の1つ以上の光ビームの経路内に配置されるように構成された光学センサと、測定セルの光入射面の上流の1つ以上の光ビームの経路の内外へと選択的に移動可能なピンホール開口と、コントローラと、を含む。コントローラは、(i)1つ以上の光ビームを第1の複数の走査位置において長手方向円筒軸に対して垂直に光学物体の円筒面に入射させるために、1つ以上の光ビームの経路内にピンホール開口がある状態で、ステージと1つ以上の光源及び光学センサとの間で相対移動を開始し、(ii)第1の複数の走査位置の各々について、光学物体による偏向後の1つ以上の光ビームの光学センサによる検出に基づいて、光学物体の第1の偏向関数を測定し、(iii)1つ以上の光ビームを第2の複数の走査位置において長手方向円筒軸に対して垂直に光学物体の円筒面に衝突させるために、1つ以上の光ビームの経路外にピンホール開口がある状態で、ステージと1つ以上の光源及び光学センサとの間で相対移動を開始し、(iv)第2の複数の走査位置の各々について、光学物体による偏向後の1つ以上の光ビームの光学センサによる検出に基づいて、光学物体の第2の偏向関数を測定し、(v)第1の偏向関数の少なくとも一部分を第2の偏向関数の少なくとも一部分とマージして、複合偏向関数を求め、(vi)複合偏向関数を使用して光学物体の屈折率プロファイルを計算する、ように構成され得る。
【0009】
第1の偏向関数の少なくとも一部分は、第1の複数の走査位置のうちの1つ以上についての偏向データを含み得、第2の偏向関数の少なくとも一部分は、第2の複数の走査位置のうちの1つ以上についての偏向データを含む。第1の複数の走査位置のうちの1つ以上は、第2の複数の走査位置のうちの1つ以上と異なってもよい。複合偏向関数は、偏向された1つ以上の光ビームが光学物体内のマイクロ層構造屈折率変動によって引き起こされる回折を受ける、第1の走査位置に対応する第1の偏向関数の部分と、光学物体内の異なる材料又はドーピング間の境界を取り囲む、第2の走査位置に対応する第2の偏向関数の部分と、を更に含み得る。複合偏向関数は更に、光学物体の半径方向縁部位置からステッチング位置に延びる、第2の偏向関数の部分によって、及びステッチング位置から光学物体の半径方向中心に向かって延びる、第1の偏向関数の部分によって形成されてもよい。
【0010】
ピンホール開口は、約25マイクロメートル~約500マイクロメートルの直径を有してもよい。より具体的には、ピンホール開口は、約50マイクロメートル~約250マイクロメートルの直径を有してもよい。ピンホール開口は、回転可能ホイール上に設けられてもよく、回転可能ホイールの1つの配向において、ピンホール開口は1つ以上の光ビームの経路内にあり、少なくとも1つの他の配向において、ピンホール開口は1つ以上の光ビームの経路の外側にある。回転可能ホイールは、複数のピンホール開口を更に含み得、複数のピンホール開口の各々は、他とは異なる直径を有する。
【0011】
本明細書に記載される実施形態は、単独で、又は互いに組み合わせて使用され得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の実施形態の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むとより良く理解されるであろう。しかしながら、本開示は、示される正確な構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0013】
図1図1は、例示的な偏向関数測定システムの概略ブロック図である。
図2図2は、複数のピンホール開口を有する回転可能ホイールの上面図である。
図3図3は、図1の例示的なシステムの使用の結果としての著しい回折分離を示す偏向測定画像である。
図4図4は、従来の偏向測定システムによって測定されたデータから計算された屈折率分布と、ピンホールを使用して測定された偏向データから計算された屈折率分布との比較である。
図5図5は、偏向データを測定し、屈折率プロファイルを計算する方法のフロー図である。
図6図6は、ピンホール開口を使用して測定された偏向関数と、ピンホール開口なしで測定された偏向関数との比較であり、複合偏向関数を形成するための2つの間のステッチング位置を示す。
図7A図7Aは、従来の偏向測定システムによって測定されたデータから計算された屈折率分布と、図5の方法を使用して計算された屈折率分布との比較である。
図7B図7Bは、図7Aのプロットの中央部分の拡大図ある。
図8図8は、従来のシステム及び方法を使用した偏向測定画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特定の用語は、便宜上以下の説明で使用されているにすぎず、限定するものではない。「右(right)」、「左(right)」、「下側(lower)」及び「上側(upper)」という単語は、参照される図面における方向を示す。「内向きに(inwardly)」及び「外向きに(outwardly)」という単語は、それぞれ、デバイス及びその示された部分の幾何学的中心に向かう方向及びそこから離れる方向を指す。用語は、上に列挙された単語、その派生語、及び同様の意味の単語を含む。更に、特許請求の範囲及び明細書の対応する部分で使用される「a」及び「an」という語は、「少なくとも1つ」を意味する。
【0015】
構成要素の寸法又は特徴に言及するときに本明細書で使用される用語「約(about)」、「ほぼ(approximately)」、「概ね(generally)」、「実質的に(substantially)」及び同様の用語は、記載された寸法/特徴が厳密な境界又はパラメータではなく、機能的に類似するそこからの軽微な変動を除外しないことを示すことも理解されたい。少なくとも、数値パラメータを含むそのような参照は、当該技術分野で受け入れられている数学的原理及び工業的原理(例えば、丸め、測定又は他の系統誤差、製造公差など)を使用して、最下位桁を変動させない変動を含む。
【0016】
ここで図1を参照すると、円筒状光学物体11の偏向角分布関数を測定するために使用され得るシステム100の例示的な実施形態の概略図が示されている。物体11は、円筒面11aと、図1において紙面内へと延びる長手方向円筒軸Aとを有する。光学物体11は、断面が円形であってもよいが、他の断面形状が同様に使用されてもよい。物体11は、光入射面9aと、光出射面9bと、それらの間に配置された空洞10とを有し得る、測定セル9内に受容され得る。光入射面9a及び光出射面9bは、1つ以上の波長の光に対して透明であってもよく、図1に示されるように互いに平行に配置されてもよいが、任意の従来の測定セルが使用されてもよい。物体11は、空洞10内に受容されてもよく、空洞の残りは、屈折率調節流体(図示せず)で充填されてもよい。例示的な実施形態では、屈折率調節流体は、少なくとも測定セル9の光入射面9a及び光出射面9bの屈折率に近いが同じではない屈折率を有する油である。
【0017】
システム100は、直接的又は間接的のいずれかで測定セル9に向かって光ビームを放射するように構成された1つ以上の光源1a~1cを更に含み得る。光源1a~1cの各々は、レーザダイオード又は同様の光エミッタであり得る。2つ以上の光源1a~1cが使用される場合、各光源1a~1cは、異なる波長の光を提供してもよいが、1つ以上の光源1a~1cが同じ波長を有する光を放射することも可能である。光源1a~1cは各々、光ビーム(単数又は複数)をビーム調整器3に送達し得る1つ以上の結合ファイバ2によって受け取られる光ビームを放射し得る。結合ファイバ2(単数又は複数)は、(例えば、単一モードの光:横モードを搬送するように設計された)単一モード光ファイバであってもよいが、放射された光ビームを送達するための他のタイプの結合ファイバ又は構成要素が同様に使用されてもよい。ビーム調整器3は、光ビーム(単数又は複数)の特性を変更し得る。
【0018】
図1に示す実施形態では、システム100は、第1の光軸15a及び第2の光軸15bを含み得る。図1の第1の光軸15aは、ビーム調整器3から放射する1つ以上の光ビームと一致する。第2の光軸15bは、動作時に測定セル9の光入射面9a及び光出射面9bを遮り得る。第1の光軸15aは、第2の光軸15bと平行であってもよい。この例では、光ビームは、最初に第1の光軸15aに沿って進み、その後、放物面鏡などとし得る一対の軸外反射器4a、4bによって第2の光軸15bに方向転換される。代替実施形態では、ビーム調整器3及び第1の反射器4aは、単一の構成要素(図示せず)であってもよい。第1の反射器4aは、第1の光軸15a及び第2の光軸15bに対して垂直に配向され得る第3の光軸15cに沿って第2の反射器4bに向かって方向付けられるコリメートされたビームを生成し得る。第2の反射器4bは、第3の光軸15cに沿って受け取られたコリメートされたビームを取り込み、第2の光軸15bに沿ってビームを集束させ得る。図1に示される例は3つの光軸15a、15b、15cを有するが、所望される場合には、単一の光軸を含む、任意の数の光軸が必要に応じて使用されてもよい。更に、反射器、レンズなどを含む任意の数の光学素子が、所望に応じて、1つ以上の光ビームを再指向する、コリメートする、又は集束させる目的で使用されてもよい。
【0019】
第2の反射器4bから反射する集束されたビームは、測定セル9に入射する前に光シャッタ6を通過し得る。動作中、シャッタ6は閉位置のままであり、パルス制御信号が印加されると開き得る。例えば、シャッタ6への制御電圧が高いままである限り、シャッタ6は開いたままであり得る。しかしながら、電圧が低くなるとすぐに、シャッタ6は閉じ、固有の「フェイルセーフ」動作、すなわちセキュリティを提供し得る。しかしながら、シャッタ6は、偏向測定のために任意の従来の様式で操作されてもよい。
【0020】
1つ以上の光ビームは、光入射面9aを通って測定セル9に入射して、長手方向円筒軸Aに対して垂直に(例えば、90°±5°)光学物体11の円筒面11aに衝突し得る。光ビームは、光学物体11によって偏向角だけ屈折され、この偏向角は、最初に入射した光ビームの経路に対する出射光ビームの経路によって規定し得る。屈折された光ビームは、光出射面9bの下流の光学センサ14による検出のために、光出射面9bを通って測定セル9を出射し得る。光学センサ14は、ライン走査カメラなどのカメラ13の一部であってもよい。光学センサ14は、CMOSセンサ、CCDセンサなどであってもよく、1行以上のアクティブ画素を含んでもよい。光学センサ14は、対応する検出器信号をコントローラ16に送信し得、これについては以下で更に詳細に説明する。フィルタ12は、測定セル9と光学センサ14との間に配置されてもよく、環境光が測定に悪影響を及ぼすのを妨げるのに役立ち得る。図1の例では、フィルタ12は赤外線ロングパスフィルタであってもよいが、他のタイプが同様に使用されてもよい。
【0021】
偏向関数を測定することは、複数の走査位置にわたって(例えば、光学物体11の中心長手方向軸Aに対して変動する高さで)偏向角を測定することに関与する。したがって、1つ以上の光源1a~1c及び光学センサ14に対する測定セル9の相対移動を可能にすることが有用である。図1では、これは、ステージ7で測定セル9を支持することによって達成され、ステージ7は、この例では、光学センサ14に対して縦方向に測定セル9を移動させるように構成された線形ステージである。ステージ7は、モータ駆動され、コントローラ16から受信したコマンドに基づいて移動可能であってもよいが、ステージ7を移動させるための他の方法が同様に使用されてもよい。
【0022】
図1に示される実施形態では、測定セル9内の物体11が移動(例えば、走査)されるが、別の実施形態では、光学物体11の異なる部分を通って光ビームを送信するために光ビーム高を変動させることができるように、他の構成要素(光源1a~1c又はビーム調整器3など)が物体11に対して同時に移動(例えば、走査)されてもよい(静止して保持されてもよい、又は反対方向に移動してもよい)。光学物体11上の走査位置を調節するための他の構成(例えば、可動ミラーなど)も使用され得る。
【0023】
コントローラ16は、例えば、動作可能に相互接続されているプロセッサユニット(例えば、CPU)、メモリユニット、及びサポート回路を含む、コンピュータであってもよい。プロセッサは、産業環境で使用することができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサであってもよく、又はそれを含んでもよい。メモリユニットは、以下で詳細に説明される方法を実行するようにプロセッサに指示する命令(例えば、ソフトウェア)を記憶することが可能なコンピュータ可読媒体を含み得る。メモリユニットは、例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フロッピー若しくはハードディスクドライブ、又は他の形態のデジタル記憶装置であってもよい。例示的な実施形態では、メモリユニットに記憶された命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサを、以下で説明する方法のうちの1つ以上を実行するようにシステム100を制御する(すなわち指示する若しくは実行させる)特定用途プロセッサに変換するソフトウェアの形態である。サポート回路は、プロセッサに動作可能に(例えば、電気的に)結合され、キャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電源、制御回路などを含んでもよい。コントローラ16は、この例では単一の構成要素として概略的に示されているが、複数の個々のデバイスを含んでもよく、制御機能は個々のデバイス間で分割されることを更に理解されたい。
【0024】
1つ以上の光源1a~1c、シャッタ6、ステージ7、光学センサ14、及び潜在的な他の構成要素は各々、複数のデータ接続17に沿ってコントローラ16に信号及びデータを送信し、コントローラ16から信号及びデータを受信するように構成され得る。データ接続17は、有線であっても、又は無線であってもよく、当業者に知られている任意の従来のデータ接続17が好適である。
【0025】
回折次数分離を支援するために、ピンホール開口5は、測定セル9の光入射面9aの上流の光ビームの経路の内外へと選択的に移動可能であってもよい。図1に示される例では、ピンホール開口5は、2つの軸外反射器4a、4bの間のビーム経路に挿入されるように配置され得る。しかしながら、ピンホール開口5は、ビーム経路に沿った他の位置にも同様に配置可能であってもよい。ピンホール開口5は、好ましくは、概ね円形の形状であり、直径は、システム100の他の考慮事項とともに、光学物体11の材料(例えば、マイクロ層構造の間隔、材料組成など)及び/又はサイズの関数として選択され得る。特に、より小さいピンホール開口は、より滑らかな偏向関数のためにより良好な回折次数分離を提供するが、ピンホール開口が小さくなるにつれて、開口自体がそれ自身の回折を生成することができる。より小さいピンホール開口はまた、位置合わせすることがより困難であり、非常に小さい直径で数マイクロメートルであっても中心からずれた開口は、「半月形状」のビームプロファイルを引き起こす可能性があり、これは更に下流で問題を引き起こす。より小さいピンホール開口はまた、より多くの光強度を吸収し、より長い露光時間、したがって、より長い測定時間を必要とする。したがって、ピンホール開口5の直径は、上述の問題を回避するのに十分な大きさであるが、材料が引き起こす回折次数を適切に分離するのに十分な小ささである(適切な公差を有する)というバランスであってもよい。一般に、ピンホール開口5の直径は、約25マイクロメートル~約500マイクロメートルであってもよい。より好ましくは、ピンホール開口5の直径は、約50マイクロメートル~約250マイクロメートルであってもよい。これらの直径範囲では、一般的に、ピンホール開口5は、より正確な偏向測定を可能にするために、材料の違いによって引き起こされる回折次数を適切に分離することができる一方で、より小さい開口サイズからの悪影響を最小限に抑えることが見出された。
【0026】
図1の例では、ピンホール開口5はトレイ8内に支持され、トレイ8はコントローラ16からのコマンドに応答して移動可能であってもよい。ピンホール開口5は、スナップイン係合、摩擦嵌合、機械的締結具などによってトレイ8内に保持されてもよい。ピンホール開口5は、異なる直径の他のピンホール開口(図示せず)と交換するために、トレイ8から取り外し可能であってもよい。トレイ8は、光ビームの従来の通過を可能にするために遮られない開口(図示せず)を有してもよく、又は必要な場合にはビーム経路の外に完全に移動してもよい。図2は、ピンホール開口5が、システム100内のビーム経路の近くに取り付けられ得る回転可能ホイール24上に設けられる代替例を示す。回転可能ホイール24の1つの回転配向において、ピンホール開口5は、光ビーム経路内に移動され得る。少なくとも1つの他の回転配向において、ピンホール開口5は、光ビーム経路の外側に配置されてもよい。図2の例では、回転可能ホイール24は、偏向測定のためのより従来的な直径(例えば、2mm以上)を有し、ピンホール開口5よりも実質的により多くの光ビーム(単数又は複数)が通過することを可能にする、開口部25を含む。図2はまた、互いに異なる直径のピンホール開口5’、5’’が回転可能ホイール24に配置されてもよく、必要に応じて使用され得ることを示す。更に別の実施形態では、機械的に調節可能な絞り(図示せず)によってピンホール開口5を形成し得るが、絞りのブレードが多角形のビーム変形及び追加の望ましくない多角形の回折を引き起こし得ることが見出された。ピンホール開口5をビーム経路の内外へと移動させることができる更に他の方法が、以下で更に詳細に説明する理由により、同様に使用されてもよい。
【0027】
図3は、ビーム経路におけるピンホール開口5の使用が、(例えば、図8と比較して)回折のより良好な分離を生成することを示し、これは、マイクロ層変動などの材料効果を受けるエリアにおいて、より少ないノイズでより良好な偏向測定精度を可能にする。その結果、図4に示されるように、主にハードウェア中心のソリューションを使用して、これらの領域におけるRIP再構築が改善される。しかしながら、異なる材料又はドーピング間の遷移の位置などの他の領域においてピンホール開口5を使用する偏向測定は、悪影響を受ける可能性があることが見出された。再び図4を参照すると、偏向測定における鋭いスパイクは、材料遷移境界において発生し得る。ピンホール開口5測定を使用するこれらのエリアにおけるRIPは、鋭いスパイク及び比較的平坦な領域を提供する従来のアプローチと比較して、図1のセットアップを使用して計算されたRIPにおける丸みを帯びた曲線及び緩やかな低下によって表されるように、精度が低い。このため、以下に説明する方法は、ピンホール開口5がある場合とピンホール開口5がない場合の両方の偏向測定を利用する。
【0028】
図5は、光学物体11のRIPを決定するための方法500の例示的な実施形態を示しており、これは、コントローラ16及び/又は他の処理デバイス(図示せず)によって、図1に示されるシステム100又はその他の実施形態を使用して実行され得る。ステップ501において、光学物体11の表面は、長手方向円筒軸Aに対して垂直に衝突する1つ以上の光ビームによって第1の複数の走査位置において走査される。この目的のために、コントローラ16は、第1の複数の走査位置の各々を達成するために、ステージ7と1つ以上の光源1a~1c及び光学センサ14との間で相対移動を開始し得る。ピンホール開口5は、走査プロセス中、光ビーム経路内に配置され得る。ステップ502において、第1の複数の走査位置の各々について、第1の偏向関数が光学センサ14において測定される。例えば、第1の偏向関数は、第1の複数の走査位置のうちの1つ以上についての偏向データを含む。
【0029】
ステップ503において、光学物体11の表面は、長手方向円筒軸Aに対して垂直に衝突する1つ以上の光ビームによって第2の複数の走査位置において走査される。このステップでは、光ビーム経路にはピンホール開口5がない(すなわち、走査プロセス中に光ビーム(単数又は複数)の経路内にピンホール開口5がない)。再び、コントローラ16は、第2の複数の走査位置の各々を達成するために、ステージ7と1つ以上の光源1a~1c及び光学センサ14との間で相対移動を開始してもよい。ステップ504において、第2の複数の走査位置の各々について、光学センサ14において第2の偏向関数が測定される。例えば、第2の偏向関数は、第2の複数の走査位置のうちの1つ以上についての偏向データを含む。
【0030】
したがって、光学物体11について2つの偏向関数が測定され、一方は所定の位置にピンホール開口5がある場合であり、他方はピンホール開口5がない場合である。図5は、第1の偏向関数(すなわち、ピンホール開口5がある)が最初に測定されることを示すが、いくつかの実施形態では、第2の偏向関数(すなわち、ピンホール開口5がない)が最初に測定されてもよく、ピンホール開口5を使用するデータがその後に獲得されてもよい。いくつかの実施形態では、システム100は、各走査位置において第1の偏向関数及び第2の偏向関数を交互に測定し得る。例えば、特定の走査位置について第1の偏向関数を測定されてもよく、次いで、ピンホール開口5を取り外してもよく、同じ走査位置について第2の偏向関数を測定してもよく、その後、システム100は、プロセスが繰り返され得る次の走査位置まで進む。いくつかの実施形態では、複数のビーム経路(図示せず)などを使用することなどによって、第1の偏向関数及び第2の偏向関数をほぼ同時に獲得することが可能であり得る。第1の偏向関数及び第2の偏向関数が獲得される順序は、本方法にとって重要ではない。
【0031】
ステップ505において、第1の偏向関数の少なくとも一部分を第2の偏向関数の少なくとも一部分とマージすることによって、複合偏向関数が生成される。図6に一例を示す。曲線中の第2の偏向関数(「ピンホールなし」)は、光学物体11の中心の両側に鋭いスパイクを示し、これは材料又はドーピング境界に対応する。しかしながら、第2の偏向関数が中心位置に近づくにつれて、マイクロ層変動は、曲線における多数の可変ゆらぎとして示される、測定におけるノイズを引き起こす。500マイクロメートルのピンホール開口5が光ビーム経路に導入される第1の偏向関数(「500μmピンホール」)は、マイクロ層変動が存在するはるかに滑らかな曲線を示す。これは、ゼロ次回折のみを抽出し得るように回折次数が十分に離れているからである。しかしながら、材料境界における鋭い遷移は、ピンホール開口5なしで見出される値に達しない。
【0032】
この例における複合偏向関数は、偏向された1つ以上の光ビームが光学物体11内のマイクロ層構造屈折率変動によって引き起こされる回折を受ける(例えば、第2の偏向関数がノイズを示す)第1の走査位置に対応する第1の偏向関数の部分と、光学物体11内の異なる材料又はドーピング間の境界を取り囲む(例えば、鋭いスパイクが生じる)第2の走査位置に対応する第2の偏向関数の部分とをマージすることによって生成される。2つの偏向関数は、図6において「X」でマークされた位置において一緒にステッチされ得る。すなわち、この例では、複合偏向関数は、鋭いスパイクが-40mm及び40mmの測定位置に近接して発生するまで、光学物体11の半径方向縁部分(又は代替として、光学物体11の半径方向縁部の内側又は外側の基準位置)からの第2の偏向関数データを使用する。この例では、これら2つのステッチング位置の間で、複合偏向関数は、光学物体の半径方向中心に向かって第1の偏向関数データを使用する。ステッチング位置は、2つの偏向関数が重なる又は交差する場所に配置されることができる。この例では、2つの偏向関数は短い境界スパイクのすぐ内側で重なり、ステッチング位置は、RIPを計算するための最適な複合偏向曲線を得るために、その位置に配置されることが好ましい。しかしながら、ステッチング位置は、第1の偏向関数又は第2の偏向関数からの所望のデータを求めると決定される任意の場所に配置され得る。図6は、光学物体11の中心の各側に1つのステッチング位置を示しているが、必要な場合には、任意の数のステッチング位置を使用することができる。例えば、第1の偏向関数又は第2の偏向関数の各々の複数の離散部分が使用される場合である。
【0033】
図6は、第1の偏向関数及び第2の偏向関数が各々、光学物体11上の走査位置の同じ範囲をカバーすることを示す。しかしながら、第1の複数の走査位置及び第2の複数の走査位置がその範囲にわたって同一である必要はない。例えば、ステッチング位置が一般に事前に知られている場合、第2の偏向関数は、ステッチング位置までの走査位置について、又はステッチング位置をわずかに超えた走査位置について測定し得る。第1の偏向関数は、ほぼステッチング位置からの走査位置について同様に測定されてもよい。これは、最終的な複合偏向関数において使用されない領域において偏向関数を測定する時間を費やさないことによって、測定プロセスをスピードアップすることができる。第1の複数の走査位置と第2の複数の走査位置との間の他の変動が同様に使用されてもよい。
【0034】
再び図5を参照すると、ステップ506において、複合偏向関数から、光学物体11のRIPを計算することができる。数学的には、これは、例えば、逆アーベル変換(文献において及び当業者によって知られている)、逆ラドン変換(例えば、非半径対称光学物体11の場合)、又は他の同様の技法を適用する数値積分によって達成することができる。しかしながら、計算されたRIPは、鋭いRIの段差の近くの丸みを帯びた境界、過小評価されたRIの差などの良く知られたRIプロファイリング測定アーチファクトを受ける場合があるので、測定アーチファクトに関連するこれらの誤差を克服することができる改善された評価方法を複合偏向関数に適用することが好ましい。当業者は、これらに限定されないが、特定の光学物体11及び複合偏向関数における結果として得られた特徴などの所与の状況に基づいて、特定の評価ルーチンを選択してもよい。偏向関数は、これらの方法のいずれにとっても基礎でもある。したがって、上述の方法に従って達成される改善された、より正確な複合偏向関数によって、結果として得られるRIPもより正確になることが理解される。図7A図7Bは、従来の偏向測定システム及び技法において計算されたRIPと、上述のシステム及び方法に基づいて計算されたRIPとの例示的な比較を示す。見られるように、RIPは、ノイズが少なく、特に光学物体の中心に近づくにつれて、改善された値の決定を示す。
【0035】
上記の方法は、複合偏向関数を達成するために2つの偏向機能を利用するものとして説明されたが、必要な場合には、3つ以上の偏向関数が同様に使用されてもよい。
【0036】
当業者であれば、上述した動作間の境界が単なる例示であることを認識するであろう。複数の動作は単一の動作に組み合わされてもよく、単一の動作は追加の動作に分散されてもよく、動作は少なくとも部分的に時間的に重複して実行されてもよい。更に、代替実施形態は、特定の動作の複数のインスタンスを含んでもよく、動作の順序は、様々な他の実施形態において変更されてもよい。
【0037】
特定の異なる実施形態が図面に示されているが、異なる実施形態からの様々な個々の要素又は要素の組み合わせは、本開示の趣旨及び範囲に沿って互いに組み合わせられ得る。したがって、1つの実施形態に関してのみ本明細書に記載される個々の特徴は、本明細書に記載される他の実施形態と不適合であると解釈されるべきではなく、そうでなければ、本開示によって包含される。
【0038】
本明細書に具現化された広い概念から逸脱することなく、上述の実施形態に変更を加えることができることが当業者によって理解されるであろう。したがって、本開示は、開示された特定の実施形態に限定されず、本開示の趣旨及び範囲内の修正を包含することが意図されることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8