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特開2024-160947力測定装置のための、特に計量装置のための、電流伝送デバイス
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  • 特開-力測定装置のための、特に計量装置のための、電流伝送デバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160947
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】力測定装置のための、特に計量装置のための、電流伝送デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01G 21/28 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
G01G21/28
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065983
(22)【出願日】2024-04-16
(31)【優先権主張番号】10 2023 111 325.9
(32)【優先日】2023-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】506186673
【氏名又は名称】ヴィポテック ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】ADAM-HOFFMANN STRASSE 26, 67657 KAISERSLAUTERN,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ゴットフリードセン
(72)【発明者】
【氏名】トビアス シュテルヴァーゲン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー シュルツキ
(72)【発明者】
【氏名】ベルント ジンケ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】力測定装置が防爆式に構成され、そのようにして爆発の危険がある雰囲気の中で使用することができ、簡易かつ低コストに具体化可能である、力測定装置のための、特に計量装置のための、電流伝送デバイスを提供すること。
【解決手段】結合部材(216)は、動作状態のときにハウジング壁(208)を無接触式かつ通弧防止式に貫通する。結合部材(216)は可動のケーブル通過部として構成され、第1のケーブル(220)をハウジング内部に通す。ハウジング固定されたケーブル挿通部(206)が、第2のケーブルをハウジング内部に通す。ハウジングの中に、両方のケーブルのための力分路の少ない電気接続部が設けられる。電流伝送デバイス(200)は、力測定装置(100)のハウジング(102)の中またはハウジング(102)の外に組付可能であるように構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
力測定装置のための、特に計量装置のための、電流伝送デバイスにおいて、前記力測定装置(100)は、ハウジング(102)と、互いに相対的に可動であるベース領域および可動領域とを有し、
(a)前記力測定装置(100)の前記ベース領域と機械式に固定的に結合可能である、ハウジング壁を有する耐圧性のハウジング(202)と、前記ハウジング(202)から突き出す外側の端部領域で動作状態のときに前記力測定装置(100)の前記可動領域と機械式に固定的に結合可能である結合部材(216)とを有し、
(b)前記結合部材(216)は動作状態のときに前記ハウジング壁を無接触式かつ通弧防止式に貫通するように構成され、
(c)前記結合部材(216)は可動のケーブル通過部として構成され、少なくとも1つの電気導線を有する第1のケーブル(220)が外側の端部領域で前記結合部材(216)に通され、これを貫通して、前記結合部材(216)の内側の端部領域で前記ハウジング(202)に通され、
(d)前記ハウジング(202)は、前記ハウジング壁を通して少なくとも1つの電気導線を有する第2のケーブルを耐圧式かつ通弧密閉式に挿通するために構成された、ハウジング固定されたケーブル挿通部(206)を有し、
(e)前記結合部材(216)の前記内側の端部領域に、これと機械式に固定的に結合された可動の接触デバイス(222)が設けられ、前記ハウジング(202)の中に、前記ハウジングと機械式に固定的に結合されたハウジング固定された接触デバイス(210)が設けられ、前記可動の接触デバイス(222)と前記ハウジング固定された接触デバイス(210)との間に少なくとも1つの柔軟な電気接触ブリッジ(226)が形成され、
(f)前記第1のケーブルの少なくとも1つの導線は機械式かつ電気式に前記可動の接触デバイス(222)と結合され、前記第2のケーブルの少なくとも1つの導線は機械式かつ電気式に前記定置の接触デバイス(210)と接続され、そのようにして少なくとも1つの前記接触ブリッジ(226)を介して前記第1のケーブルの少なくとも1つの導線と前記第2のケーブルの少なくとも1つの導線との間で電気接触が形成され、
(g)前記電流伝送デバイス(200)は前記力測定装置(100)の前記ハウジング(102)の中または前記ハウジング(102)の外に組付可能であるように構成される、
電流伝送デバイス。
【請求項2】
前記結合部材(216)は実質的に円筒状の部材として構成され、前記ハウジング壁は前記結合部材(216)のための貫通開口部(214)の領域で事前決定された厚みを有し、前記貫通開口部(214)は事前決定された断面を有し、これらは動作状態のときに前記結合部材(216)と前記貫通開口部(214)の内壁との間で通弧防止式の環状隙間が形成されるように選択されることを特徴とする、請求項1に記載の電流伝送デバイス。
【請求項3】
前記ハウジング(202)は、前記ハウジングと取外し可能に結合されたハウジングカバー(204)を有し、このハウジングカバーは、前記ハウジングカバー(204)がハウジング内部に延びる係合領域(204a)をもって、前記結合部材(216)の外側円周にある少なくとも1つのストッパ肩部と協働作用するように構成され、そのようにして、少なくとも前記ハウジング(202)から外に出る運動方向への前記結合部材(216)の運動に対して、前記結合部材(216)の運動に関する制限ストッパが惹起されることを特徴とする、請求項1または2に記載の電流伝送デバイス。
【請求項4】
前記ハウジングカバー(204)は、係合領域を形成する、前記ハウジング(202)の中に延びて好ましくは周回するフランジ(204a)を有することを特徴とする、請求項3に記載の電流伝送デバイス。
【請求項5】
少なくとも1つの前記ストッパ肩部は前記結合部材(216)の外側円周にある切欠き(218)によって形成されることを特徴とする、請求項3または4に記載の電流伝送デバイス。
【請求項6】
(a)前記結合部材(216)のための前記貫通開口部(214)は前記ハウジング(202)に関して外方を向く領域で環状の組付部材(230)のための係合領域(232)として構成され、この組付部材は前記結合部材(216)を包囲してその上で前記結合部材(216)の長軸(E)の方向へ調節位置と動作位置との間でスライド可能なように構成され、前記組付部材(230)と前記係合領域(232)は、前記係合領域(232)を例外として通弧防止式の環状隙間が前記結合部材(216)と前記貫通開口部(214)の内壁との間で形成されるように、前記結合部材(216)が前記ハウジング(202)の中で位置決めされるように構成されて、調節位置にある前記組付部材(230)のもとでそのように協働作用し、
(b)前記組付部材(230)は動作位置にあるとき前記結合部材(216)を解放することを特徴とする、請求項2から5のいずれか1項に記載の電流伝送デバイス。
【請求項7】
前記組付部材(230)は動作位置および/または調節位置にあるとき前記結合部材(216)に係止可能なように構成されることを特徴とする、請求項6に記載の電流伝送デバイス。
【請求項8】
前記組付部材(230)は、動作位置にあるときラビリンスシール(238)を共同で形成するように構成されることを特徴とする、請求項7に記載の電流伝送デバイス。
【請求項9】
前記組付部材(230)は組付位置から作業位置へと可動である環状部材(240)によって包囲され、前記環状部材(240)は前記作業位置にあるとき前記組付部材(230)に対して前記ハウジング(202)へと向かう方向でオフセットされて位置決めされて、前記組付部材(230)および前記ハウジング(202)とともにラビリンスシール(238)を形成することを特徴とする、請求項8に記載の電流伝送デバイス。
【請求項10】
前記ハウジング(202)は、好ましくは前記環状部材(240)により包囲される、前記貫通開口部(214)を取り囲む突出するフランジ(234)を、前記ラビリンスシールの共同形成のために有し、前記環状部材(240)の内壁と前記フランジ(234)の外壁との間で環状隙間が形成されることを特徴とする、請求項9に記載の電流伝送デバイス。
【請求項11】
前記可動の接触デバイス(222)と前記ハウジング固定された接触デバイス(210)とはそれぞれ配線板として構成されることを特徴とする、請求項1から10のうちいずれか1項に記載の電流伝送デバイス。
【請求項12】
少なくとも1つの前記柔軟な電気接触ブリッジ(226)は柔軟な電気導体として、特に金属導体として、たとえば金テープまたはワイヤとして、構成されることを特徴とする、請求項11に記載の電流伝送デバイス。
【請求項13】
前記可動の接触デバイス(222)を形成する配線板と前記ハウジング固定された接触デバイス(210)を形成する配線板とは組付状態にあるとき互いに機械式に結合されることを特徴とする、請求項11または12に記載の電流伝送デバイス。
【請求項14】
前記配線板は分離個所(228)を介して結合され、前記配線板は好ましくは共同で一体的に製作され、前記分離個所(228)は前記配線板の一部であることを特徴とする、請求項13に記載の電流伝送デバイス。
【請求項15】
請求項1から14のうちいずれか1項に記載の電流伝送デバイス(200)を有している力測定装置、特に計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力測定装置のための、特に計量装置のための、電流伝送デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
力測定装置の互いに相対的に可動の領域の間で電流ないし電気エネルギーが伝送されるとき、爆発の危険がある雰囲気の中で力測定装置が使用される場合には、適切な安全対策を講じることが必要となる。そのような力測定装置は、たとえば、計量装置のハウジングの中に配置された計量セルに対する予荷重として作用する、電気駆動部を有する搬送ベルトを有する計量装置であり得る。その際には、通常、たとえば計量装置のハウジングに設けられた電源部から、または別個のハウジングの中の計量装置のハウジングに配置された電源部から、搬送ベルトの電気駆動部まで通じる電気供給回線が設けられるだけでなく、計量装置のハウジングの中に設けられた制御ユニットから搬送ベルトの電気駆動部まで通じる通信回線も設けられる。
【0003】
このような種類の計量装置を防爆式に構成するために、さまざまな方式が知られている。たとえば、ハウジング全体に保護ガス雰囲気を充填することができる。計量装置では、荷重受け部またはこれとリンクされた部材が常にできる限り無接触式に、すなわち僅少な力分路をもって、ハウジングから導出されていなければならないため、荷重受け部のための挿通開口部の領域には、荷重負荷部との間でできる限り僅少な力分路をもって、全面的に密閉された封止を、たとえばベローズを、設けるか、または、ラビリンスシールによって封止することもできる、十分に小さい間隙を荷重受け部と挿通開口部との間に設けるかのいずれかが必要になる。全面的に密閉された封止の場合、ハウジングは保護ガス雰囲気で(静的に)充填されていてよい。荷重受け部と挿通開口部との間に間隙が残る場合には、時間の経過とともに爆発の危険がある雰囲気が生じる程度にまで、保護ガス雰囲気が希薄になるのを回避するために、保護ガスが継続して供給されなくてはならない(動的な保護ガス雰囲気)。それによりハウジングの中では、爆発の危険がある雰囲気がハウジングの中で形成されるのを防ぐ僅少な過圧が生じる。このケースでは、保護ガスに代えて通常の室内空気を使用することもできるが、それは、この室内空気が爆発の危険がある成分を有さないことが保証される限りにおいてである。
【0004】
このような計量装置は、計量装置が耐圧性のハウジングないし耐圧性のカプセルを有することによって防爆式に製作することができ、ハウジングないしカプセルは、場合によりハウジングの中で生じる爆発性の混合気の圧力に耐えなければならず、爆発が外部に伝わるのを防ぐ。このとき、ハウジング内部で混合気の爆発が起こった場合に、ハウジングないしカプセルの構成要素がハウジングから弾丸のように飛び出すことも回避されなくてはならない。さらに、ハウジングないしカプセルの内部で爆発が起こったとき、ハウジングないしカプセルの外部に爆発の危険がある雰囲気がある場合にハウジング外部でも爆発が引き起こされるのを回避するために、周囲への通弧が生じないことが保証されてなければならない。たとえばハウジングに開口部が、たとえば可動のコンポーネントのための挿通開口部が、設けられているときには、このような種類の開口部を通して、外部空間で存在している可能性がある爆発の危険がある雰囲気の発火を引き起こすのに十分な、爆発によって生成される高温の粒子が、外に出ることがないように構成されていなければならない。そのために、流出するガスはある程度の最高温度を上回ってはならない。このことを保証するために、開口部は、たとえばハウジング壁に挿通される部材の周りの環状隙間は、十分に僅少な断面が与えられるように(ガスの流出方向はこの断面に対して垂直に延びる)、寸法決めすることができる。さらに流出開口部は、ガスの流出温度が所定の最大値を上回らないように、(流出方向で見て)所定の最小長さを有さなくてはならない。
【0005】
しかし、計量装置を防爆式に構成するためのこれらの方策は相応に高い設計コストを必要とし、それが装置のハウジングの設計サイズとその重量を増大させ、さらには相応の製造コストと結びつく。静的または動的な保護ガス雰囲気を設けることは、ないし(爆発の危険がない)周囲空気を動的に供給することは、同じく、保護ガス供給のための相応のコストを必要とし、高い動作コストにつながる。
【0006】
このような種類の計量装置のハウジングの内部にある定置のコンポーネントと、搬送ベルトの電気駆動部との間の力分路がほぼない電気接続を、ハウジング壁に挿通される荷重受け部の内部に相応の導線を通すことによって惹起することが知られている。計量装置のハウジングの中にある荷重受け部の下側の端部領域に、荷重受け部を通る導線と接続される接点を有する電気配線板が設けられる。ハウジングの中に、定置に構成された別の配線板が設けられ、これも同じく接点を有し、これらの接点は、ハウジングの内部または外部の相応のコンポーネントから来る、相応の供給導線または制御導線と接続される。これら両方の配線板は、各々の導線についてそれぞれブリッジ接点を有しており、互いに割り当てられるそれぞれ2つのブリッジ接点が、薄い電気導体の形態の、通常は短く構成される十分に柔軟な電気ブリッジを介して接続される。これらの電気導体は通常は絶縁されず、またはそうでないケースでは、十分な柔軟性を保証するために薄い塗料層で絶縁される。このようにして、適当な測定記録部の定置の領域に対する荷重受け部の十分な運動可能性が、同時に僅少な力分路のもとで保証される。
【0007】
測定記録部は、たとえば電気力学式の力補償の原理に基づいて作動する計量センサであってよい。その場合、荷重受け部と本体との間できわめて僅少な、ないしは無限小に小さい、偏向しか必要ない。それに応じて電気ブリッジも非常に小さく構成されていてよい。
【0008】
ただしこのようなケースでは、防爆性を保証できるようにするために、計量装置のハウジング全体を防爆式に構成することが必要になる。というのも荷重受け部を通して信号伝送がなされる、ないしは電気駆動出力が伝送される、上で説明した方式は、たとえば短絡などの故障発生時に、ハウジングの中にある爆発の危険がある雰囲気に点火をすることになるアークや端子放電が、それぞれのブリッジ導体の間で発生し得るという危険を招来するからである。しかしこのことは、やはり相応のコストを結びついている。
【発明の概要】
【0009】
このような従来技術を前提としたうえで、本発明の課題は、力測定装置が防爆式に構成され、そのようにして爆発の危険がある雰囲気の中で使用することができ、簡易かつ低コストに具体化可能である、力測定装置のための、特に計量装置のための、電流伝送デバイスを提供することにある。さらに本発明の課題は、このような種類の電流伝送デバイスを有する力測定装置、特に計量装置を提供することにある。
【0010】
以下において計量装置と呼ぶのは、重量の力を検出するためのあらゆる装置である。
【0011】
本発明は、独立請求項1ないし15の構成要件によってこれらの課題を解決する。
【0012】
本発明が前提とする知見は、ハウジング全体が防爆性の要求事項を満たさなくてはならないのではなく、本発明による電流伝送デバイスが力測定装置のハウジングの中に配置されることだけにより、または力測定装置のハウジングと外部で接続されることだけにより、ハウジングを有する力測定装置のための防爆性を保証できるということにある。このような電流伝送デバイスは、電気エネルギーを有線式に伝送するための、特に任意のコンポーネント(たとえば電気駆動部)へのエネルギー供給のための、および/または有線式の通信のための(たとえば電気信号の伝送のための)、役目を果たす。
【0013】
このとき本発明による電流伝送デバイスは、ハウジング壁を有する耐圧性のハウジングを有し、このハウジングは力測定装置のベース領域と機械式に固定的に結合可能である。力測定装置のベース領域は、たとえば力測定装置のハウジングであってよい。さらに電流伝送デバイスは、ハウジングから突き出す外側の端部領域に、動作状態のときに力測定装置の可動領域と機械式に固定的に結合可能である結合部材を有する。これはたとえば力測定装置のハウジングから突き出す荷重受け部の領域であってよく、または、これと結合されたコンポーネント、たとえばハウジングの外部にある荷重プレートであってよい。ハウジングと、ハウジングの中に配置された力検知部(たとえば計量セル)に対して予荷重として作用する、ハウジングの外部にある搬送ベルトとを有する、上で説明した計量装置の例のケースでは、このような種類の荷重プレートの上に搬送ベルトが配置されていてよい。
【0014】
電流伝送デバイスのハウジングから突き出す結合部材は、動作状態にあるとき、ハウジング壁を無接触式かつ通弧防止式に貫通するように構成される。ここで「通弧防止式に」という概念は、防爆性が(場合により相応の規定および場合により防爆性の種々の等級を考慮したうえで)保証されるように、ハウジングの壁を通る結合部材の挿通が施工されることを意味する。
【0015】
このとき電流伝送デバイスの結合部材は可動のケーブル通過部として構成され、少なくとも1つの電気導線を有する第1のケーブルが外側の端部領域で(すなわち電流伝送デバイスのハウジングの外部で)結合部材に通されて、これを貫通する。ハウジングに突入する結合部材の内側の端部領域で、ケーブルがハウジングに通される。このようにケーブルは結合部材の中でハウジングに通され、結合部材へのケーブルの挿通は少なくとも通弧防止式に構成されていなくてはならない。たとえばケーブルは結合部材にある切欠きに通されて、この切欠きに貼り付けられていてよい。貼り付けに代えて、適当な設計方策により、ケーブルが結合部材のこの切欠きの中でクランプされていてもよい。さらに、ケーブルの個々の心線(以下、導線と呼ぶ)をある程度の軸方向の範囲内でケーブルの外装から露出させて、結合部材の切欠きに接着することが可能である。このようにして、ハウジングの内部で生じる過圧(爆発の場合)がハウジングの外部でケーブル外装を膨らませて、場合により爆発的な破裂につながり得ないようにすることを実現することができる。そのようなケースでは、通弧の危険さえ生じ得る。
【0016】
当然ながら、単一のケーブルに代えて、それぞれ単一の導線ないし複数の(この場合にケーブルと呼ぶ)導線を有する複数のケーブルを、結合部材を通して電流伝送デバイスのハウジングに通すことも可能である。
【0017】
このとき、結合部材への少なくとも1つのケーブルの挿通は耐圧性でもなければならず、それは、ハウジングの中で爆発により過圧が生成されたケースについて、ケーブルのために結合部材にある切欠きが開裂するのを回避するためである。そのようなケースでは、ひいては通弧が起こることがあり、ないしは、ケーブルの一部が、またはケーブルの挿通のためのコンポーネントが、外れて飛び出すことがある。
【0018】
さらに電流伝送デバイスのハウジングは、少なくとも1つの電気導線を有する第2のケーブルを耐圧式かつ通弧密閉式にハウジング壁へ挿通するために構成された、ハウジング固定されたケーブル挿通部を有する。この場合にも、やはり単一のケーブルに代えて、それぞれ単一の導線を有する複数のケーブルを使用することができる。ハウジングへの挿通については、結合部材への挿通についての上記の記載が準用される。
【0019】
結合部材の第2の端部領域に、これと機械式に固定的に結合された可動の接触デバイスが設けられ、ハウジングの中に、ハウジングと機械式に固定的に結合されたハウジング固定された接触デバイスが設けられ、可動の接触デバイスとハウジング固定された接触デバイスとの間で少なくとも1つの柔軟な電気接触ブリッジが形成される。
【0020】
第1のケーブルの少なくとも1つの導線は機械式および電気式に可動の接触デバイスと結合され、第2のケーブルの少なくとも1つの導線は機械式および電気式に定置の接触デバイスと結合され、それにより、少なくとも1つの接触ブリッジを介して第1のケーブルの少なくとも1つの導線と第2のケーブルの少なくとも1つの導線との間で電気式および機械式の接触が形成されるようになっている。
【0021】
この少なくとも1つの柔軟な電気接触ブリッジは、それによって生成される、このような種類の電流伝送デバイスを有する力測定装置のベース領域と可動領域との間で第1および第2のケーブルによって惹起される力分路が、事前決定された閾値よりも小さくなるように製作される。この閾値は、当然ながら、要求される力測定装置の測定精度に依存して選択することができる。電気接触ブリッジは、たとえば薄い柔軟な金テープとして、または多数の個々の細いワイヤから、構成されていてよい。
【0022】
本発明の1つの実施形態では、電流伝送デバイスは、結合部材が実質的に円筒状の部材として構成され、ハウジング壁は結合部材のための貫通開口部の領域で事前決定された厚みを有し、貫通開口部は事前決定された断面を有するように構成され、これらは動作状態のときに結合部材と貫通開口部の内壁との間で通弧防止式の環状隙間が形成されるように選択される。
【0023】
このとき通弧防止式の環状隙間の前提条件となるのは、その断面(結合部材の長軸の方向で見て)とその長さとが、ハウジングの内部での爆発のときでさえ、ハウジングを取り囲む空間への通弧が、たとえその中に爆発の危険がある雰囲気が存在していても、起こらないことが保証されるように決定されることである。このとき環状隙間の断面は、結合部材の長軸に沿って変化していてもよい。
【0024】
別の実施形態では、ハウジングは、ハウジングと取外し可能に結合されたハウジングカバーを有し、このハウジングカバーは、ハウジングカバーが、ハウジング内部に延びる係合領域をもって、結合部材の外側円周にある少なくとも1つのストッパ肩部と協働作用するように構成され、そのようにして、少なくともハウジングから外に出る運動方向への結合部材の運動に対して、結合部材の運動に関する制限ストッパが惹起される。
【0025】
そのためにハウジングカバーは、係合領域を形成する、ハウジングの中に延びて好ましくは周回するフランジを有することができる。
【0026】
少なくとも1つのストッパ肩部は、結合部材の外側円周にある、たとえば溝などの切欠きによって形成されていてよい。
【0027】
このような制限ストッパにより、電流伝送デバイスのハウジング内部での爆発のケースで、結合部材が収容開口部から弾丸のように投げ出されることが防止される。
【0028】
ハウジングから外に出る運動を制限するこのようなストッパ肩部に追加して、結合部材がハウジングの中へと大きく動きすぎるのを防止する別のストッパ肩部が設けられていてよい。このようにして、特に少なくとも1つの接触ブリッジの、またはさらに可動の接触デバイスもしくはハウジング固定された接触デバイスの、破損を回避することができる。
【0029】
たとえば結合部材の外側円周にある1つの溝が、両方のストッパ肩部を同時に具体化することができる。
【0030】
電流伝送デバイスのいっそう簡易な組付のために、結合部材を包囲して、その上で結合部材の長軸の方向へ調節位置と動作位置との間でスライド可能なように構成された環状の組付部材が設けられていてよい。さらにこの目的のために、結合部材のための貫通開口部は、ハウジングに関して外方を向く領域で、環状の組付部材のための係合領域として構成されていてよい。このとき組付部材と係合領域は、係合領域を例外として通弧防止式の環状隙間が結合部材と貫通開口部の内壁との間で形成されるように、結合部材がハウジングの中で位置決めされるように構成されていてよく、調節位置にある組付部材のもとでそのように協働作用することができる。この調節位置では、結合部材は力測定装置の可動領域と、および電流伝送デバイスのハウジングは力測定装置のベース領域と、それぞれ機械式に結合することができ、そのようにして、組付部材と係合領域とが係合解除された後には、結合部材の(実質的に軸方向のみの)運動が貫通開口部の中で可能となる。つまり、この動作位置では組付部材は結合部材を解放し、すなわち、結合部材は貫通開口部を無接触式に貫通する。
【0031】
このようにして、力測定装置の表面または内部で電流伝送デバイスの非常に簡易な組付を行うことができ、電流伝送デバイスのハウジングに対する結合部材の高精度の調節を保証することができる。
【0032】
本発明の1つの実施形態では、組付部材は動作位置および/または調節位置にあるとき結合部材に係止可能なように構成されていてよい。動作位置で係止されることで、組付部材は動作状態にあるとき、貫通開口部の中での結合部材の自由な運動性を妨げることなく、結合部材にとどまることができる。
【0033】
組付部材は、動作位置にあるとき、特に水、塵、またはその他の粒子の侵入に対して環状隙間を防護するラビリンスシールを共同で形成するように、すなわちラビリンスシールの一部を形成するように、構成されていてもよい。
【0034】
本発明の別の実施形態では、組付部材は、組付位置から作業位置へと可動である環状部材によって包囲され、環状部材は作業位置にあるとき組付部材に対してハウジングへと向かう方向でオフセットされて位置決めされ、組付部材およびハウジングとともにラビリンスシールを形成する。
【0035】
環状部材は作業位置にあるときでも組付部材に対して、およびこれに伴って結合部材に対しても、係止され得る。この作業位置は、環状部材の下側の端面が、すなわちハウジング外側のほうを向く環状部材の端面が、ハウジングの中に入る結合部材の運動に対するストッパを形成するように選択されていてもよい。
【0036】
さらにハウジングは、好ましくは環状部材により包囲される、貫通開口部を取り囲む突出するフランジを、ラビリンスシールの共同形成のために有することができ、環状部材の内壁とフランジの外壁との間で環状隙間が形成される。この環状隙も、ラビリンスシールの一部を形成することができる。
【0037】
別の実施形態では、可動の接触デバイスとハウジング固定された接触デバイスとはそれぞれ配線板として構成されていてよい。配線板の該当する接点の間の少なくとも1つの柔軟な電気接触ブリッジは、柔軟な電気導体として、特に金属導体として、たとえば金テープとして、構成されていてよい。
【0038】
本発明による電流伝送デバイスの組付を簡易化するために、可動の接触デバイスを形成する配線板とハウジング固定された接触デバイスを形成する配線板とは、組付状態にあるときに互いに機械式に結合されていてよい。たとえば両方の結合された配線板を、ハウジングへの結合部材の挿入後に、ハウジングと、ないしは結合部材の内側端部と、結合することができる。このとき結合部材は、組付部材が結合部材の上の調節位置でハウジングの入口領域に係合し、それによって結合部材がハウジングに対して、結合部材がハウジングを無接触式に貫通するように位置決めされる位置にあってよい。引き続いて、影響を受けやすい少なくとも1つの接触ブリッジが破損される危険なしに、両方の配線板の間の結合を解消することができる。
【0039】
このとき各配線板は、特に、分離個所を介して結合されていてよく、それにより、各配線板の一体的な製作が可能となる。分離個所は、相応に細い、ないし薄い、配線板の選択された部分によって定義される。
【0040】
それに伴って本発明による電流伝送デバイスは、簡素で低コストな構造を有する、力測定装置の互いに相対的に可動の両方の領域の間できわめて僅少な力分路しか生成しない電気導線接続が構成される、爆発の危険がある雰囲気の中で使用するための力測定装置を提供することを可能にする。このとき本発明による電流伝送デバイスはモジュール形式で構成され、既存の力測定装置への比較的簡易な後付けないし設備変更のためにも利用することができる。さらに、モジュール形式の構成によって、さまざまな型式の力測定装置のための利用が可能である。このとき本発明による電流伝送デバイスは、力測定装置のために必要である、本発明による電流伝送デバイスがなくても力測定装置のハウジングの中に配置されなくてはならないはずの、本質安全性の構成ではない他の電気コンポーネントを収容することもできる(このようなケースでは、本発明による電流伝送デバイスが使用されなければ、力測定装置のハウジング全体を防爆式に構成しなければならない)。
【0041】
本発明のその他の実施形態は従属請求項から明らかとなる。次に、図面に示されている実施例を参照しながら本発明について詳しく説明するが、この実施例は、上で説明した本発明の基本的な中心思想の限定として把握されるべきではない。図面には次のものが示されている:
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】ハウジングと、ハウジングの外部に配置された荷重プレートと、荷重導入部が配線板と機械式にリンクされる、ハウジングの中に配置された力検知部とを有する計量装置を示す斜視図である。
図2】本発明による電流伝送デバイスを有する、図1の計量装置を側方のハウジング壁なしで示す斜視図である。
図3図2に示す電流伝送デバイスの部分断面側面図である。
図4図3の電流伝送デバイスの結合部材を、これに取り付けられた可動の接触デバイスとともに示す斜視図である。
図5図3の電流伝送デバイスのハウジングの側方のハウジングカバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、底面プレート104と、周回する側壁106と、上側のハウジング壁108とを有するハウジング102を有する、計量装置100の形態の力測定装置を斜視図で示している。荷重プレート110が、上側のハウジング壁108によって案内される3つの支持部材と機械式に結合されており、これらの支持部材は上側のハウジング壁108を無接触式に貫通する。上側のハウジング壁108にある相応の破断部は、ないし、破断部の内壁と、これを貫通する支持部材の外壁とによって形成される環状隙間は、それぞれラビリンスシール112によって「封止され」、このケースにおいて封止とは、各々のラビリンスシールによって形成される、断面で見てメアンダ状に延びる環状の環状隙間が、水、塵、およびその他の粒子の侵入を防ぐことを意味する。このとき支持部材の挿通は無接触のまま保たれ、いかなる力分路も生成しない。
【0044】
図1では、ハウジング壁106の左側にブッシュデバイス114が設けられていて、これを介して計量装置100に電気エネルギーを供給することができ、およびこれを介して、計量装置100と上位のユニットとの間で、たとえば外部の制御ユニット(図示せず)との間で、単方向または双方向の通信接続を構築することができる。
【0045】
計量装置100のハウジング102は防爆式には製作されていない。それにもかかわらず計量装置100は全体として見たとき、相応の規定を考慮したうえで、爆発の危険がある雰囲気の中で作動させることができるように構成されるのがよい。
【0046】
図2は、ハウジング102の周回する側壁なしで図1の計量装置100を示している。この図面から明らかなとおり、このハウジング102の内部には、図示した実施例では電子力学式の力補償の原理に基づいて作動する力検知部116が設けられている。力検知部116は本体118を有していて、この本体は、一方ではベース部分120を含んでおり、および他方では、レバー機構を介してベース部分120と結合された荷重導入領域122を含んでいる。荷重導入領域122はその上面に支持プレート124を有していて、さらにこの支持プレートは、上側のハウジング壁108へ無接触式に挿通された、上で説明した支持部材と結合されている。支持プレート124は、たとえば荷重導入領域122とねじ止めされていてよい。
【0047】
このようにして力検知部116は、荷重プレート110に対して作用する重量の力を検出することができる。荷重プレート110は別の装置と、たとえば図示しない搬送デバイスと、たとえば電気駆動式の搬送ベルトと、結合して荷重をかけることができる。このとき搬送ベルトの電気駆動部に、電気エネルギーが供給されなければならない。そのようなケースでは、計量装置100との間で、ないしはブッシュデバイス114を介して計量装置と接続された他の外部ユニットとの間で、通信接続を構築する必要性がある。そのために通常、計量装置と、これと機械式に固定的に結合される別の装置との間でケーブル接続が利用される。ここでは「ケーブル接続」という概念は、電流の伝送のために任意に構成された有線式の接続という意味で使用する(電流がどのような目的に利用されるかを問わない)。図1および2は、このような種類のケーブル接続のケーブル126を部分的に示しており、計量装置100のハウジング102の上側のハウジング壁108に挿通されるケーブル126の部分だけが図示されている。
【0048】
図2は、ハウジング102の内部空間に配置された、ハウジング202を有する電流伝送デバイス200を示している。ハウジング202は、複数のねじによってハウジング202と結合された、前側の側壁に設けられた閉止カバー204を有している。ハウジング202はその右側の側壁に、ハウジング固定されたケーブル挿通部206を有しており、図2では、ハウジングと結合された結合部品208だけが、結合部品208へ挿通されてその中で保持されるケーブルなしに図示されている。電流伝送デバイス200のハウジング202に通されるこのケーブルは、たとえばブッシュデバイス114と接続されていてよく、それにより、ブッシュデバイス114を接続することで、外部ユニット(図示せず)から電流伝送デバイス200へ、およびこれから荷重プレート110と接続されたユニットへ、たとえば搬送ベルトへ、相応の導線接続を構築することができる。
【0049】
電流伝送デバイス200は、ハウジング固定されたケーブル挿通部206を介してその側壁でハウジング202に通されるケーブル(図示せず)をケーブル126と接続し、そのようにして、力検知部116(およびこれに伴って計量装置100)の互いに相対的に可動の部分に関して、非常に僅少な力分路しか引き起こされないようにすることを可能にする。
【0050】
図3は、(図2の図面に関して)垂直の中心平面における電流伝送デバイス200の断面図を示している。この図面からまず明らかとなるのは、ハウジング202が、ハウジングの耐圧性を惹起する非常に厚い壁を有していることである。ハウジング固定されたケーブル挿通部206の結合部品208は、ハウジングの右側の側壁にねじ込まれており、当然ながら、このねじ接合も耐圧式に構成されていなくてはならず、それは、ハウジング202の内部で爆発が生じた場合に結合部品208が弾丸のようにハウジング202から飛び出すのを回避するためである。結合部品208に挿通される図示しないケーブルは、少なくとも通弧密閉式に結合部品208と結合されていなくてはならない。すでに上で説明したとおり、このことは、詳しくは図示しないクランプ機構によって、または貼り付けないし注型によって、行うことができる。ケーブルは、通常、その中にまとめられた複数の導線を有しているので、ケーブルと結合部品208との間の接続を改善するために、結合部品208の軸方向内側の領域にある材料が除去されていてもよく、それにより、たとえば接着や注型によって、個々の導線をそれ自体として結合部品208とそれぞれ接続することができる。
【0051】
ハウジング202の内部空間には、たとえば2つのねじ212(図2では左側のねじ212だけが図示されている)によってハウジングとねじ止めされていてよい、ハウジング固定された接触デバイス210がさらに配置されている。ハウジング固定された接触デバイス210は、ケーブルの中に含まれる導線の端部と接続することができる接続接点210aを有している。このことははんだ付けによって、または任意のクランプ機構によって、行うことができる。
【0052】
ハウジング202の上側の壁に貫通開口部214が形成されていて、これを通って結合部材216が延びている。結合部材216は、少なくとも、結合部材216が計量装置100の可動部分と、特に支持プレート124およびこれに伴って荷重プレート110とも、結合される動作状態にあるとき、貫通開口部214へ無接触式かつ通弧防止式に挿通される。そのために貫通開口部214の断面は、(貫通開口部214の領域における)結合部材216の断面に関して、動作状態のときに貫通開口部214の内壁と結合部材216の外壁ないし外側円周との間で通弧防止式の環状隙間が生じるように寸法決めされる。それに伴って動作状態のためには、当然ながら、ハウジング202およびこれに伴って貫通開口部214に対する結合部材216の十分に正確な位置決めが前提条件となる。
【0053】
図3から明らかなとおり、結合部材216は、少なくとも結合部材216が貫通開口部214を貫通する領域で筒状に、特に円筒状に、構成されていてよい。それによって簡易な設計的構造がもたらされる。貫通開口部214をボアとして製作することができるからである。
【0054】
結合部材216はその上側領域に、ハウジング固定された接触デバイス210の結合部品208と同一の設計的構造を有することができる別の結合部品208のための収容領域を有している。それによって簡易な設計的構造がもたらされる。ただし当然ながら、結合部材216のこの領域は、これ以外の適当な任意の方式で構成されていてもよい。そのようなケースでも、結合部品208は結合部材216の中で耐圧式に保持される。
【0055】
結合部材216は全体としてケーブル通過部として構成されており、この目的のために、結合部材216をその長さ全体で貫通する切欠き218を有しており、切欠き218の上側領域は、結合部品208を収容するために、結合部品208の雄ねじと協働作用する雌ねじを有するように構成されている。
【0056】
結合部材216の上側領域にねじ込まれる結合部品208は、ケーブル接続126(図2)のケーブル220を収容し、これを少なくとも通弧防止式に切欠き218の中に通す。当然ながらケーブル220も複数の導線を有することができ、これらも上で説明したように、結合部品208の中で個別に固定されていてよい。
【0057】
ケーブル220ないし該当する導線が切欠き218に通されて、その内側の端部をもって、ハウジング202の内部空間へと突入する。結合部材216の内側領域もハウジング202の内部空間へと突入し、それにより、図3から明らかなように、結合部品208の内側端部に可動の接触デバイス222が取り付けられていてよい。この取付も、同じくねじ224を用いて行うことができる。
【0058】
可動の接触デバイス222は、ケーブル220の中に含まれる少なくとも1つの導線(図示せず)の端部と結合される接続接点222aを同じく有している。この結合は、同じくたとえばはんだ付けや適当なクランプ機構によって行うことができる。このようにして、可動の接触デバイス222は結合部材216とともに可動であり、ハウジング202に対する相対運動を行うことができる。このとき運動経路は、力検知部116の構成に依存して決まる。ただし、電気力学式の力補償の原理に基づく力検知部である場合、せいぜいのところ無限小に小さい運動経路が行われるだけでよい。この測定原理は、荷重受け部を可能な限り事前定義された位置で保つことに依拠しており、そのために必要な電流が、検出されるべき重量の力を表す目安になるからである。
【0059】
ハウジング固定された接触デバイス210の接続接点210aと、可動の接触デバイス222の接触接点222aとは接触ブリッジ226を介して接続され、接触ブリッジ226は、それぞれ接触接点210aを付属の接触接点222aと接続する。それに応じて、ケーブル挿通部206によってハウジング202に通されるケーブルの導線が、結合部材216によってハウジング202に通されるケーブルの付属の導線と接続される。接触ブリッジ226は、力分路を可能な限り大幅に低減するために、非常に柔軟な電気導体で、たとえば金ワイヤまたは金テープで、できている。接触ブリッジは、ボンディング、はんだ付けなどによって、接触接点222aないし210aと接続されていてよい。接触ブリッジ226が比較的高い電流強さを通すように構成されるべきである場合、それぞれ2つまたはそれ以上のワイヤが、該当する接続接点と接続されていてよい。
【0060】
接触デバイス210および222は、図3に示すように配線板として構成されていてよく、接続接点210aないし222aは、相応の条導体ないし条導体領域の形態で構成されていてよい。接続接点210aおよび222aは、1つまたは複数の条導体経路を介して接続されていてよい先頭領域と終端領域とをそれぞれ有することもできる。それに伴い、接触ブリッジの各端部が接続接点と接続される領域は、ケーブルに通されている導線の対応する各端部と接続される、接続接点の領域とは別の個所に位置することができる。
【0061】
図3に示す実施形態では、接触デバイス210および222の配線板はまだ結合ウェブ228を介して互いに結合されている。というのも接触デバイスの配線板は、本実施例では、接触デバイス210を形成する第1の領域と、接触デバイス222を形成する第2の領域とを有する、単一の配線板として製作されているからである。それにより、電流伝送デバイス200の組付が簡易化される。たとえばまず最初に、接触デバイス210および222を形成するまだ一体的な基板をまずハウジング202に挿入し、ねじ212で取り付けることができる。次いで、ケーブル挿通部206によってハウジングに通されたケーブルの導線の端部を、接続接点210aと接続することができる。次いで、配線板をねじ224により結合部材216と結合できるように、結合部材216の内側の端部が配線板に対して位置決めされるまで、結合部材216を貫通開口部214に挿入することができる。この状態にあるとき、ケーブル220は結合部品208とともに、結合部材216の上側領域にまだねじ込まれていなくてよい。しかしながらそれが該当していてもよい。
【0062】
ただし結合部材216のこの組付状態では、結合部材216が貫通開口部214の中へ無接触式に突入することは保証されていない。該当する環状隙間は極端に僅少な寸法を有しており、接触デバイス210および222を形成する配線板を介しての結合部材216の取付だけでは、そのように正確な位置決めためには十分でないからである。
【0063】
そのように正確な位置決めという目的のために、結合部材を包囲して軸方向(結合部材の長軸Lの方向)へ結合部材216の上でスライド可能である、環状に形成された組付部材230が結合部材216の上に設けられる。組付部材230は、結合部材216をクリアランスなしに、ただし軸方向へスライド可能に、包囲し、それにより、固定された組付部材230のもとで、その中に通される結合部材216も該当する位置で正確に位置決めされる。
【0064】
図3から明らかなように、ハウジング202は貫通開口部214の領域で上側のハウジング壁部に係合領域232を有しており、この係合領域は、組付部材230およびこれに伴って結合部材216の正確な位置決めのために、組付部材230の下側領域と協働作用するように構成されている。そのためにたとえば係合領域232は、組付部材230の下側領域の垂直方向の外壁と協働作用する垂直方向に延びる内壁を有する、周回する環状肩部234を有することができる。組付部材230の下側領域にあるこの外壁と、環状肩部234の内壁とは、長軸Lに対して正確に同軸であってよい。このとき環状肩部は、ないし、長軸Lに対して同軸に延びるその(垂直方向の)内壁は、上側のハウジング壁の表面に対して突出するハウジング壁の領域に、および/またはこの表面に対して内方に向かってオフセットされたハウジング壁の領域に、形成されていてよい。このように、組付部材230の下側領域が係合領域232と係合することによって、結合部材216の正確な位置決めを実現することができる。
【0065】
周回する環状肩部に代えて、当然ながら、組付部材230の円周で区域的にのみ配分された部材または領域を設け、これが同様の方式で結合部材216の正確な位置決めを惹起することも可能である。
【0066】
組付部材230は、たとえば、組付部材230の壁部で内方に向かって結合部材216に向かう方向へ、長軸Lに対して垂直に延びる1つまたは複数の無頭ねじ236によって、結合部材216に対して係止可能に構成されていてもよい。
【0067】
それに伴い、上で説明した電流伝送デバイス200の組付を次のように補足することができる:接触デバイス210および222を形成する配線板が結合部材216と結合された後、組付部材230を係合領域232へと下方に向かって押し込み、その位置で係止することができる。次いで、結合ウェブ228を分割して閉止カバー204を挿入し、ハウジング202とねじ止めすることができる。このように予備組付された電流伝送デバイス200を保管し、梱包し、或いは計量装置100へ組み付けることができる。
【0068】
電流伝送デバイス200は、ハウジング102の内部のどのような適当な位置に設けられていてもよく、たとえば底面プレート104への力検知部の取付点の近傍や、荷重導入領域122の近傍や、力検知部116のレバー機構の回転ジョイントの領域などに設けられていてよい。
【0069】
粒子、水などの浸入に対する、結合部材216と貫通開口部214の内壁との間の通弧防止式の環状隙間を保証するために、組付部材230は係合領域232とともにラビリンスシール238を形成することができる。このとき特に組付部材230の下側の端面が、ラビリンスシール238のための仕切壁として作用することができる。
【0070】
図3から明らかなように、組付部材230は環状部材240で包囲されており、このことも同じくラビリンスシール238の形成のために寄与する。環状部材240は、組付部材230の外側断面に実質的に相当する内側断面を有しており、それにより、環状部材240は組付部材230を実質的に密閉して取り囲む。環状部材も同じく無頭ねじ236によって組付部材230の上に固定することができる。組付部材230の上での環状部材240の軸方向の位置決めを実現するために、組付部材230は2つの切欠き242を有することができ、これらに環状部材240の中の無頭ねじ236が係合することができる。図4に見ることができる第1の切欠き242は、上方に向かって変位した状態のときに環状部材240を組付部材230の上で係止して、組付部材230が係合領域232に係合できるようにするための役目を果たすことができる。図4に示すように、下方に向かって変位した状態では、環状部材240の中の無頭ねじ236が組付部材230にある別の切欠きに係合し、そのようにして、下方に向かって変位した位置で環状部材を結合部材216の上で係止する。この位置ではラビリンスシール238は、図3から明らかなように、係合領域232、環状肩部234、組付部材230の下側の端面、および環状部材240によって形成される。
【0071】
下方に向かって変位したこの作業位置では、上側のハウジング壁のほうを向く、環状部材240の下側の端面は、ハウジング202の中への結合部材216の軸方向運動を制限するために、制限ストッパとしても作用することができる。
【0072】
結合部材216のスライド経路のこのような制限は、閉止カバー204が、ハウジング内部へと実質的に水平方向に突入するフランジ204aを有し、このフランジが、ハウジング内部へと延びる領域の円周に設けられた、結合部材の溝244に係合することによって惹起することもできる。このとき溝244の水平方向に延びる面は、フランジ204aの厚みに関して、結合部材216が十分に大きい軸方向のスライド運動を行えるように選択された軸方向間隔を有する。
【0073】
たとえば計量装置100の形態の力測定装置への電流伝送デバイス200の取付は、以下に説明するように行うことができる:
【0074】
上で説明したように予備組付された電流伝送デバイス200が、係合領域232に係合している組付部材230とともに(調節されて、場合により係止された電流伝送デバイス200の状態で)、計量装置100の定置の領域と結合される。そのために、ハウジング202を計量装置100のハウジング102の底面プレート104と結合することができる。このことは、たとえばねじ止めなどによって行うことができる。力検知部116の荷重受け部ないし荷重導入領域と結合部材216とを結合するために、図2から明らかなように、実質的に円筒状に構成された結合部材216の上側の頭部領域は、適当な軸方向領域に、互いに平行に延びる2つの面246を有することができる。この軸方向領域をもって結合部材216の頭部領域を、支持プレート124のフォーク状に構成された領域のスリットに係合させることができる。そして結合部材の上側の頭部領域の上にナット248を押し嵌めて、結合部材216を支持プレート124と機械式に固定的に結合することができる。次いで、ハウジング102の上側のハウジング壁108を載置することができ、このとき結合部材216の上側領域と、支持プレート124から上方に向かって延びる他の3つの部材とが、上側のハウジング壁108を貫通する。次いで、上側のハウジング壁108を通る結合部材216の上側領域の貫通部の領域だけでなく他の部材の領域でも、ラビリンスシール112を製作して荷重プレート110を組み付けることができる。その次のステップで、たとえば搬送ベルトなどの別の装置を荷重プレートの上に載せて、これと結合することができる。ケーブル220を別の装置の電気デバイスと、たとえば搬送ベルトの駆動部と、接続することができる。
【0075】
このような組付プロセスの後に、組付部材230を上側の位置へと変位させて、そこで係止することができる。最後に、環状部材240を下側の位置に移して、そこで係止することができる。最後に、ハウジング固定されたケーブル挿通部206によって電流伝送デバイス200のハウジング202から引き出されたケーブルを、ブッシュデバイス114と接続することができる。ハウジング側壁を取り付けた後に、組付プロセスが完了する。
【0076】
指摘しておくと、当然ながら、上に説明した組付プロセスの1つまたは複数のステップを別の順序で実行することもできる。たとえばハウジング102は折り返しハウジングとして構成されていてもよく、すなわち、上側のハウジング壁108と側壁106が一体的に構成される。
【0077】
このようにモジュール形式で構成される電流伝送デバイス200は、既存の力測定装置においても僅少な改変措置によって簡易な方式で後付けすることができ、そのようにして、該当する力測定装置を防爆式に構成し、または防爆性を共同で惹起する。モジュール構造により、同一の電流伝送デバイス200を、さまざまに異なる型式の力測定装置に適用することもできる。
【0078】
最後に指摘しておくと、上で説明した力分路の少ない電気接続に追加して、本質安全性の構成がなされていない他の電気コンポーネントまたは電子コンポーネントをハウジング202の中に配置することもでき、それにより、計量装置100のハウジング102の中には、ハウジング102の内部の爆発の危険がある雰囲気の点火を引き起こしかねないクリティカルなコンポーネントが収容されないことになる。
【0079】
電流伝送デバイス200の全体を力測定装置のハウジングの外部に、たとえば同一の底面フレームの上に、配置することもでき、または力測定装置のハウジングと結合することもできる。
【符号の説明】
【0080】
100 計量装置
102 ハウジング
104 底面プレート
106 周回する側壁
108 上側のハウジング壁
110 荷重プレート
112 ラビリンスシール
114 ブッシュデバイス
116 力検知部
118 本体
120 ベース部分
122 荷重導入領域
124 支持プレート
126 ケーブル接続
200 電流伝送デバイス
202 ハウジング
204 閉止カバー
206 ケーブル挿通部
208 結合部品
210 ハウジング固定された接触デバイス
210a 接続接点
212 ねじ
214 貫通開口部
216 結合部材
218 切欠き
220 ケーブル
222 可動の接触デバイス
224 ねじ
226 接触ブリッジ
228 結合ウェブ
230 組付部材
232 係合領域
234 環状肩部
236 無頭ねじ
238 ラビリンスシール
240 環状部材
242 切欠き
244 溝
246 面
L 長軸
図1
図2
図3
図4
図5