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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160950
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】自己較正電流センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20241108BHJP
   G01R 35/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G01R19/00 P
G01R35/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024067170
(22)【出願日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】202310495339.2
(32)【優先日】2023-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】リュー ジー
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウー
(72)【発明者】
【氏名】ソン ティン
(72)【発明者】
【氏名】ハン リエンション
(72)【発明者】
【氏名】グー ジンシー
(72)【発明者】
【氏名】スン ジュン
【テーマコード(参考)】
2G035
【Fターム(参考)】
2G035AA06
2G035AA17
2G035AB01
2G035AC02
2G035AC08
2G035AC14
2G035AD22
2G035AD28
2G035AD65
2G035AD66
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自己較正のための電流センサ構成要素、装置、及び方法にを提供する。
【解決手段】自己較正電流測定装置300であって、第1の電圧信号を生成するように構成された低レンジ電流センサ302と、第2の電圧信号を生成するように構成された高レンジ電流センサ304と、自己較正電流測定回路320と、を備え、自己較正電流測定回路は、第1の電圧信号及び第2の電圧信号を受信し、第1の電圧信号及び第2の電圧信号をそれぞれの第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号に変換し、第1のデジタル信号を第2のデジタル信号と比較し、比較に基づいて、第1のデジタル信号と第2のデジタル信号との間の差が再較正閾値を超えると判定し、判定に基づいて較正データを生成し、較正データの第2のデジタル信号への適用に基づいて、電流読み取り値を表すデジタル出力信号を生成するように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己較正電流測定装置であって、
第1の電圧信号を生成するように構成された低レンジ電流センサと、
第2の電圧信号を生成するように構成された高レンジ電流センサと、
自己較正電流測定回路と、を備え、前記自己較正電流測定回路は、
前記第1の電圧信号及び前記第2の電圧信号を受信し、
前記第1の電圧信号及び前記第2の電圧信号をそれぞれの第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号に変換し、
前記第1のデジタル信号を前記第2のデジタル信号と比較し、
前記比較に基づいて、前記第1のデジタル信号と前記第2のデジタル信号との間の差が再較正閾値を超えると判定し、
前記判定に基づいて較正データを生成し、
前記較正データの前記第2のデジタル信号への適用に基づいて、電流読み取り値を表すデジタル出力信号を生成するように構成されている、自己較正電流測定装置。
【請求項2】
電流センサ性能を評価するための方法であって、前記方法は、
コンピューティングデバイスによって、第1の電流センサ信号及び第2の電流センサ信号を受信することと、
前記コンピューティングデバイスによって、電流読み取り値に関連して前記第1の電流センサ信号と前記第2の電流センサ信号との間の差を判定することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記差を再較正閾値と比較することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記差が前記再較正閾値よりも大きいとの判定に基づいて電流センサを再較正することと、を含む、方法。
【請求項3】
電流センサ自己較正を行うための方法であって、前記方法は、
コンピューティングデバイスによって、第1のチャネルデータ及び第2のチャネルデータを受信することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記第1のチャネルデータと前記第2のチャネルデータとの間の差を再較正閾値と比較することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記差が前記再較正閾値よりも大きいとの判定に基づいて新しい較正データを生成することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記新しい較正データを前記第2のチャネルデータに適用することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記第2のチャネルデータと前記新しい較正データの前記適用とに基づいて電流読み取り値を生成することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的な実施形態は、概して電流センサに関し、具体的には、電流センサ装置及びその自己較正のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電流センサは、バッテリ管理システムなどの多くの産業用途及び自動車用途で用いられている。バッテリの健康状態及び充電状態に関する詳細な情報を取得するために、正確なセンサをバッテリ監視システムに組み込むことが重要である。電流センサは、バッテリに流入する(充電時)電流及びバッテリから流出する(放電時)電流を測定するために用いられてもよい。出願人は、従来の電流センサに関連付けられた多くの技術的課題及び困難を認識している。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載される様々な実施形態は、自己較正のための電流センサ構成要素、装置、及び方法に関する。
【0004】
本開示の様々な実施形態によれば、自己較正電流測定装置が提供される。いくつかの実施形態では、本構成要素は、第1の電圧信号を生成するように構成された低レンジ電流センサと、第2の電圧信号を生成するように構成された高レンジ電流センサと、自己較正電流測定回路と、を備え、自己較正電流測定回路は、第1の電圧信号及び第2の電圧信号を受信し、第1の電圧信号及び第2の電圧信号をそれぞれの第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号に変換し、第1のデジタル信号を第2のデジタル信号と比較し、比較に基づいて第1のデジタル信号と第2のデジタル信号との間の差が再較正閾値を超えると判定し、判定に基づいて較正データを生成し、較正データの第2のデジタル信号への適用に基づいて電流読み取り値を表すデジタル出力信号を生成するように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、自己較正電流測定装置は、デジタル出力を受信し、かつデジタル出力をバッテリ管理システムに送信するように構成された通信モジュールを更に備える。いくつかの実施形態では、低レンジ電流センサは、閉ループ電流センサ又はフラックスゲート電流センサを含む。いくつかの実施形態では、高レンジ電流センサは、開ループ電流センサを含む。
【0006】
別の実施形態によれば、電流センサ性能を評価するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、コンピューティングデバイスによって、第1の電流センサ信号及び第2の電流センサ信号を受信することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、コンピューティングデバイスによって、電流読み取り値に関連して第1の電流センサ信号と第2の電流センサ信号との間の差を判定することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、コンピューティングデバイスによって、差を再較正閾値と比較することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、コンピューティングデバイスによって、差が再較正閾値よりも大きいとの判定に基づいて電流センサを再較正することを更に含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、電流センサを再較正することは、差に基づいて較正データを生成することと、較正データを測定電流センサに適用することと、を更に含む。いくつかの実施形態では、電流センサは、第2の電流センサ信号に関連付けられている。いくつかの実施形態では、第1の電流センサ信号は、第1の電流センサによって生成されるデジタル化されたアナログ出力電圧信号を含む。いくつかの実施形態では、第1の電流センサは、低レンジ電流センサを含む。いくつかの実施形態では、第2の電流センサ信号は、第2の電流センサによって生成されるデジタル化されたアナログ出力電圧信号を含む。いくつかの実施形態では、第2の電流センサは、高レンジ電流センサを含む。いくつかの実施形態では、再較正閾値は、電流読み取り値のレンジに対する一定の閾値を含む。いくつかの実施形態では、再較正閾値は、電流読み取り値のレンジに対する複数の閾値を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、差を電流読み取り値に関連付けられた再較正閾値と比較することを更に含む。
【0008】
別の実施形態によれば、電流センサ自己較正を行うための方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、コンピューティングデバイスによって、第1のチャネルデータ及び第2のチャネルデータを受信することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、コンピューティングデバイスによって、第1のチャネルデータと第2のチャネルデータとの間の差を再較正閾値と比較することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、コンピューティングデバイスによって、差が再較正閾値よりも大きいとの判定に基づいて新しい較正データを生成することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、コンピューティングデバイスによって、新しい較正データを第2のチャネルデータに適用することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、コンピューティングデバイスによって、第2のチャネルデータと新しい較正データの適用とに基づいて電流読み取り値を生成することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第1のチャネルデータ及び第2のチャネルデータが、低レンジ内にある電流の測定値と関連付けられていると判定することを更に含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1のチャネルデータ及び第2のチャネルデータが、低レンジ内にある電流の測定値に関連付けられていないと判定することと、新しい較正データの生成を判定することと、新しい較正データの生成の判定に基づいて、電流較正データを取り出して第2のチャネルデータに適用することと、第2のチャネルデータと電流較正データの適用とに基づいて電流読み取り値を生成することと、を更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第1のチャネルデータ及び第2のチャネルデータが、低レンジ内にある電流の測定値に関連付けられていないと判定することと、以前の較正データを取り出して第2のチャネルデータに適用することと、第2のチャネルデータと以前の較正データの適用とに基づいて電流読み取り値を生成することと、を更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、新しい較正データを電流較正データとして割り当てることと、新しい較正データより前に生成された較正データを以前の較正データとして割り当てることと、を更に含む。いくつかの実施形態では、新しい較正データは、第1のチャネルデータ又は差に基づく線形変換又はセグメント化マッピングを含む。
【0010】
前述の実例となる概要、並びに本開示の他の例示的な目的及び/又は利点、並びにそれが達成される方法は、以下の発明を実施するための形態及びその添付図面において更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図示の実施形態の説明は、添付の図面と併せて読むことができる。特に記載がない限り、図の簡略化及び明確化のために、図面に示される要素は必ずしも縮尺どおりに描かれていないことが理解されよう。例えば、特に記載のない限り、要素のうちのいくつかの寸法は、他の要素に対して誇張されている場合がある。本開示の教示を組み込む実施形態は、本明細書に提示される図に関連して示され、説明される。
図1】開ループ電流センサのシステムアーキテクチャを例示する。
図2】線形性ドリフトを示す開ループ電流センサの性能における例示的な損失のグラフを例示する。
図3】本明細書で考察されるいくつかの実施形態による、自己較正電流測定装置の例示的な概略図を例示する。
図4】本明細書で考察されるいくつかの実施形態による、電流センサ性能を評価するための方法の例示的なフロー図を例示する。
図5】本明細書に記載される様々な実施形態による、第1の電流センサ信号及び第2の電流センサ信号に関連付けられた例示的な線形性のグラフを例示する。
図6A】本明細書に記載される様々な実施形態による、例示的な再較正閾値を例示する。
図6B】本明細書に記載される様々な実施形態による、例示的な再較正閾値を例示する。
図7】本明細書で考察されるいくつかの実施形態による、電流センサ自己較正を行うための方法のフローチャートを例示する。
図8A】本明細書で考察されるいくつかの実施形態による、第1のチャネルデータ及び第2のチャネルデータに関連付けられた例示的な線形性のグラフを例示する。
図8B】本明細書で考察されるいくつかの実施形態による、第1のチャネルデータと較正された第2のチャネルデータとに関連付けられた例示的な線形性のグラフを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本開示のいくつかの実施形態について添付図面を参照しながら以下により詳細に説明するが、本開示の全てではなくいくつかの実施形態を示すものである。実際に、本開示は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0013】
本明細書で使用される場合、「前部」、「後部」、「頂部」などの用語は、下で提供される実施例において、ある特定の構成要素又は構成要素の一部分の相対的位置を記述するために、説明目的で使用される。更に、本開示の観点から当業者に明らかになるように、「実質的に」及び「およそ」という用語は、参照される要素又は関連する説明が、適用可能な工学公差内の精度であることを示す。
【0014】
本明細書で使用するとき、「備える(comprising)」という用語は、限定するものではないが、含むことを意味しており、特許文脈で典型的に使用される手法で解釈されるべきである。「備える(comprises)」、「含む(includes)」、及び「有する(having)」などのより広範な用語の使用は、「からなる(consisting of)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「から実質的に構成される(comprised substantially of)」などのより狭い用語へのサポートを行うことを理解されたい。
【0015】
語句「一実施形態では」、「一実施形態によると」及び同様の語句は、その語句に続く特定の特徴、構造又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ること、及び本開示の2つ以上の実施形態に含まれ得る(重要なことに、そのような語句は必ずしも同じ実施形態に言及しない)ことを一般に意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、「例」又は「例示的な」という語は、「一例、事例、又は実例としての役割を果たすこと」を意味する。「例示的な」として本明細書に記載される任意の実装形態は、必ずしも他の実装形態よりも好ましい又は有利であると解釈されなくてよい。
【0017】
本明細書が、ある構成要素又は特徴が、「含まれてもよい」、「含むことができる」、「含み得る」、「含むべきである」、「含むであろう」、「好ましくは含む」、「場合により含む」、「典型的には含む」、「任意選択的に含む」、「例えば含む」、「多くの場合含む」又は「含むかもしれない」(又は他のそのような言語)、あるいはある特性を有することを提示する場合、その特定の構成要素又は特徴は、含まれることを必要としないか又はその特性を有することを必要としない。そのような構成要素又は特徴は、いくつかの実施形態に任意選択的に含まれてもよく、又は除外されてもよい。
【0018】
電子機器及び半導体デバイスとともに、電流センサは、電気自動車のバッテリシステムなどの電力システムにおける動作電流を測定するために広く使用されている。しかしながら、電流センサに関連付けられた多くの技術的課題及び困難が存在する。電流センサは、電気回路における電流の流れを測定するために使用されるデバイスを備え得る。電流センサは、導体を通って流れる電流を測定するために使用される開ループ回路又は閉ループ回路のいずれかを備え得る。開ループ電流センサは、低コスト、低電力消費、及び単純な構造などの様々な利点を提供する。
【0019】
ここで図1を参照すると、本開示の様々な実施形態に従って使用され得る開ループ電流センサ100のシステムアーキテクチャが提供されている。開ループ電流センサ100は、間接検知による電流の検出のために使用され得る。図1に図示するように、開ループ電流センサ100は、磁心104を備える。磁心104は、ナノ結晶及びフェロニッケル材料などの強磁性材料を含み得る。
【0020】
磁心104は、リング形状の物体と、磁心104の内周内に空所を含む開口とを備え得る。開口は、間接検知によって電流を検出するように構成され得る。例えば、電流を搬送する導体120は、開ループ電流センサ100の磁心104によって形成された開口を通して配置されてもよい。導体120は、電流を搬送又は伝送するために使用される金属バー又はストリップを備えるバスバーを備え得る。
【0021】
磁心104は、中にホール効果センサなどの磁気トランスデューサ106が配置される空隙を更に備える。磁気トランスデューサ106は、磁心104によって形成された開口内の導体120内の電流によって引き起こされた磁束に応答して出力電圧を生成し得る。導体102によって搬送される電流は、ファラデーの電磁誘導の法則に従って、電圧で測定される起電力(electromotive force、EMF)を誘導することができる磁束を生み出し得る。EMFは、磁心104上に電流フローを誘導し得る。こうして、磁気トランスデューサ106は、磁心の電流フローに比例するホール電圧を出力し得る。増幅器108は、出力電圧Vout112を生成するために、磁気トランスデューサ106からの電圧を増幅し得る。Vout112は、電流測定値を表す電圧信号を取得するために増幅器108から直接取られ得る。
【0022】
図1に図示される開ループ電流センサ100などの開ループ電流センサは、導体(例えば、導体120)上の電流を検出するための手法を含み、低コスト、低電力消費、及び単純な構造などの利点を有する。しかしながら、開ループ電流センサの性能(例えば、線形性)は、磁気ヒステリシス、並びに湿度及び温度などの環境要因によって影響され、ゼロドリフト及び磁気トランスデューサ感度の変化を引き起こし得る。そのため、開ループ電流センサの精度は、飽和効果及び湿度/温度によって引き起こされる非線形性に起因して達成することが困難であり得る。
【0023】
図2は、線形性ドリフトを示す開ループ電流センサの性能における例示的な損失を図示するグラフである。線形性ドリフトを有する開ループ電流センサは、正確な測定値の取得を妨げるが、再較正から利益を得る場合がある。しかしながら、開ループ電流センサの別の主要な欠点は、再較正が実験室において(例えば、製造業者によって)のみ行われ得ることである。
【0024】
閉ループ電流センサなどの他のタイプのセンサが、開ループ電流センサの代替として使用され得る。例えば、開ループ電流センサとは異なり、閉ループ電流センサは、センサ感度の線形性ドリフトに耐性があり、より高い測定精度を提供する。閉ループ電流センサは、磁心の周りに巻かれたワイヤコイルを追加した開ループ電流センサと同様の構成要素を備え得る。ワイヤコイルは、反対の電流をワイヤコイルに送って、導体電流によって生成される磁束を相殺する磁束平衡を作り出すために、導体の検出電圧(例えば、Vout112)によって駆動され得る。このようにバランスをとることにより、温度/湿度及び飽和の影響を排除し得、より正確な測定が可能になる。フラックスゲート電流センサもまた、動作において閉ループ電流センサと同様であるが、代わりに、ホール効果センサではなく、空隙場を検知するために、小さく薄い磁心を使用する可飽和インダクタを用いてもよい。しかしながら、閉ループ電流センサ又はフラックスゲート電流センサのいずれかの追加された複雑さは、コスト高につながる。そのため、閉ループ電流センサ及びフラックスゲート電流センサは、典型的には、開ループ電流センサよりも正確であるが、コストが高い。
【0025】
本開示の様々な例示的な実施形態は、電流センサにおけるそのような技術的な課題及び困難を克服し、様々な技術的な進歩及び改善を提供する。具体的には、マルチセンサ電流測定装置及び自己較正方法が本明細書で開示される。マルチセンサ電流測定装置は、各電流センサによって提供される利点が単一装置内の複数の電流センサの共存によって利用されるように、相補的能力を有する複数の電流センサを備え得る。いくつかの実施形態では、マルチセンサ電流測定装置は、較正電流センサ及び測定電流センサを備え得る。測定電流センサによって取得される測定値は、主に、測定電流読み取り値として提供され得、較正電流センサによって取得される測定値は、測定電流読み取り値として提供されるとともに、測定電流センサの精度及び測定電流センサの較正が必要とされるかどうかを判定するための測定電流センサへの測定基準としての役割を果たし得る。
【0026】
図3は、本明細書に記載される様々な実施形態による自己較正電流測定装置の例示的な概略図を提示している。自己較正電流測定装置300は、低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304を備える。すなわち、自己較正電流測定装置300は、単一の装置内で電流センサの組み合わせ(例えば、相補的能力を有する)を同時に用い得る。相互干渉を防止するために、低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304は、低レンジ電流センサ302又は高レンジ電流センサ304のうちの少なくとも1つの磁気トランスデューサ/インダクタが分離され、覆われ、又は別様に遮蔽されるように構成され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、低レンジ電流センサ302は、閉ループ電流センサ又はフラックスゲート電流センサを備え得、高レンジ電流センサ304は、開ループ電流センサを備え得る。前述のように、開ループ電流センサ(例えば、高レンジ電流センサ304)は、測定精度に影響を及ぼす磁気ヒステリシス及び環境要因によって影響され得るが、閉ループ電流センサ又はフラックスゲート電流センサ(例えば、低レンジ電流センサ302)は、そのような影響に対して耐性があり得、比較的より安定した信頼性の高い電流測定値を提供することが可能であり得る。本開示の様々な実施形態によれば、自己較正電流測定装置300は、それらのデバイス能力に基づいてある特定の機能のために低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304を選択的に用い得る。例えば、高レンジ電流センサ304は、その測定レンジが低レンジ電流センサ302よりも広いため、電流読み取り値を生成するために使用されてもよく、一方、高レンジ電流センサ304よりも高い精度で電流を測定することができる低レンジ電流センサ302は、高レンジ電流センサ304の電流測定値を較正するための基準測定値を提供するために使用されてもよい。
【0028】
低レンジ電流センサ302は、第1のレンジの電流を第1の量の精度で測定することが可能な電流センサを備え得る。高レンジ電流センサ304は、第2のレンジの電流を第2の量の精度で測定することが可能な電流センサを備え得る。本開示の様々な実施形態によれば、電流の第1のレンジは、電流の第2のレンジよりも小さくし得、精度の第1の量は、精度の第2の量よりも大きくし得る。こうして、低レンジ電流センサ302は、(i)高レンジ電流センサ304の測定レンジよりも小さい電流値のレンジを測定すること、及び(ii)高レンジ電流センサ304の精度よりも高い精度で電流を測定することが可能であり得る。逆に、高レンジ電流センサ304は、(i)低レンジ電流センサ302の測定レンジよりも大きい電流値のレンジを測定すること、及び(ii)低レンジ電流センサ302の精度よりも低い精度で電流を測定することが可能であり得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、測定される電流が、低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304の両方の測定レンジ内にある場合、低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304は、電流を測定するために同時に使用され得る。例えば、低レンジ電流センサ302は、およそ0~300Aのレンジの電流を測定することが可能であってもよく、一方、高レンジ電流センサ304は、低レンジ電流センサ302の測定レンジよりも大きいレンジ(例えば、上限、下限、又はその両方)、例えば、およそ50~600Aの電流を測定することが可能であってもよい。そのため、所与の実施例によれば、低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304は、およそ50~300Aのレンジ内の電流値について電流を測定するために同時に使用され得る。いくつかの他の実施形態では、低レンジ電流センサ302は、およそ-300A~300Aのレンジの電流を測定することが可能であり得、高レンジ電流センサ304は、およそ-1500A~1500Aのレンジの電流を測定することが可能であり得る。
【0030】
低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304は、電流搬送導体(例えば、ワイヤ、ケーブル、又はバス)によって生成された磁束を受け取り、伝導し、又は検知するように構成された測定パススルー、開口、又は検出領域を備え得る。誘導磁束は、低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304のそれぞれの磁気トランスデューサによって検出され得る。低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304は、誘導磁束に基づいて(例えば、誘導磁束に比例して)アナログ出力電圧信号を生成し得る。低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304によって生成されるアナログ出力電圧信号は、自己較正電流測定回路320に送信され得る。
【0031】
本開示の様々な実施形態によれば、自己較正電流測定回路320は、電流読み取り値を生成し、自己較正を行うために、低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304からのアナログ出力電圧信号を使用し得る。電流読み取り値は、低レンジ電流センサ302又は高レンジ電流センサ304のうちの少なくとも一方からの電圧信号に基づいて生成され得る。いくつかの実施形態では、電流読み取り値は、高レンジ電流センサ304からの電圧信号に基づき得、低レンジ電流センサ302からの電圧信号は、高レンジ電流センサ304を較正するための基準として使用され得る。例えば、高レンジ電流センサ304の線形性ドリフトを検出するために、低レンジ電流センサ302からの電圧信号を高レンジ電流センサ304からの電圧信号と比較してもよい。
【0032】
自己較正電流測定回路320は、レギュレータ回路306と、アナログデジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)308と、マイクロコントローラユニット(microcontroller unit、MCU)310と、通信モジュール312と、電源電圧レギュレータ314とを備える。低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304は、チャネルを介してレギュレータ回路306に結合される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるようなチャネルは、ワイヤ、ケーブル、又はリンクなどの物理的伝送媒体、及び特定のソースから信号を転送することに専用のインターフェースを指す。低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304からのアナログ出力電圧信号(例えば、Vout)は、それぞれのチャネルを使用してレギュレータ回路306に送信され得る。例えば、第1のチャネルは、アナログ出力電圧信号を低レンジ電流センサ302からレギュレータ回路306に送信するように指定されてもよく、第2のチャネルは、アナログ出力電圧信号を高レンジ電流センサ304からレギュレータ回路306に送信するように指定されてもよい。こうして、レギュレータ回路306によって受信される信号のソースは、信号を受信するチャネルによって識別可能である。
【0033】
レギュレータ回路306は、過電圧(例えば、自己較正電流測定回路320の限界を超える電圧)を防止するために、低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304から受け取られるアナログ電圧を調整するように構成された電子構成要素又は回路構成要素を備え得る。例えば、レギュレータ回路306は、低レンジ電流センサ302又は高レンジ電流センサ304のいずれかから受け取られる電圧が閾値電圧を超えるときに、調整された電圧を供給することによって、自己較正電流測定回路320を過電圧から保護し得る。レギュレータ回路306は、低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304に関連付けられた調整されたアナログ電圧をアナログデジタル変換器(ADC)308に渡すことができる。
【0034】
ADC308は、アナログ電圧をアナログ電圧の大きさを表すデジタル数に変換するように構成された1つ以上の回路構成要素又は電子構成要素を備え得る。例えば、ADC308は、連続時間及び連続振幅アナログ信号を離散時間及び離散振幅デジタル信号に変換してもよい。本開示の様々な実施形態によれば、自己較正電流測定回路320は、低レンジ電流センサ302及び高レンジ電流センサ304に関連付けられた調整されたアナログ出力電圧信号を、マイクロコントローラユニット(MCU)310による処理のためにそれぞれのデジタル信号に変換するために、ADC308を使用し得る。例えば、MCU310は、電流読み取り値を含むデジタル出力信号を生成するために、低レンジ電流センサ302に関連付けられたアナログ出力電圧信号を表す第1のデジタル入力信号と、高レンジ電流センサ304に関連付けられたアナログ出力電圧信号を表す第2のデジタル入力信号とを処理し得る。電流読み取り値は、低レンジ電流センサ302又は高レンジ電流センサ304のうちの少なくとも一方に関連付けられたデジタル入力信号の変換に基づいて計算され得る電流搬送導体の推定電流であり得る。いくつかの実施形態では、デジタル出力信号は、例えば、測定されている電流が低レンジ電流センサ302の測定レンジ外である場合、高レンジ電流センサ304のデジタル入力信号のみを使用して生成され得る。
【0035】
MCU310は、更に、高レンジ電流センサ304の較正が必要かどうかを判定するために、低レンジ電流センサ302に関連付けられたアナログ出力電圧信号を表す第1のデジタル入力信号を、高レンジ電流センサ304に関連付けられたアナログ出力電圧信号を表す第2のデジタル入力信号と比較し得る。例えば、MCU310は、低レンジ電流センサ302に関連付けられたアナログ出力電圧信号を表す第1のデジタル入力信号と、高レンジ電流センサ304に関連付けられたアナログ出力電圧信号を表す第2のデジタル入力信号との間の差を監視しており、監視された差が再較正閾値を超えるときを判定し得る。いくつかの実施形態では、差が再較正閾値を超えていない場合、電流読み取り値を含むデジタル出力信号が、第1のデジタル入力信号又は第2のデジタル入力信号のうちの少なくとも一方に基づいて生成される。いくつかの追加の実施形態では、差が再較正閾値を超えている場合、自己再較正方法が、較正データを生成するために行われ、これは、図7の記載に関して更に詳細に記載される。較正データは、本明細書に開示されるように、測定電流センサからのデータを較正電流センサからのデータと整合させるために使用される変換関数又はマッピングを記述し得る。いくつかの実施形態では、較正データは、例えば、低レンジ電流センサ302に関連付けられた第1のデジタル入力信号に基づいて較正される高レンジ電流センサ304による測定値を反映するデジタル出力信号を生成するために、第2のデジタル入力信号に適用され得る。
【0036】
MCU310は、1つ以上の複合プログラマブル論理デバイス(complex programmable logic device、CPLD)、マイクロプロセッサ、マルチコアプロセッサ、コプロセッシングエンティティ、特定用途向け命令セットプロセッサ(application-specific instruction-set processor、ASIP)、マイクロコントローラ、及び/又はコントローラとして具現化される処理要素を備え得る。更に、MCU310は、1つ以上の他の処理デバイス又は処理回路として具現化され得る。回路という用語は、ハードウェア全体の実施形態、又はハードウェア及びコンピュータプログラム製品の組み合わせを指し得る。そのため、MCU310は、集積回路、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(programmable logic array、PLA)、ハードウェアアクセラレータ、他の回路、及び/又は同様のものとして具現化され得る。
【0037】
したがって、理解されるように、MCU310は、特定の使用のために構成され得るか、又は揮発性若しくは不揮発性媒体に記憶されるか、若しくは他の方法でMCU310にアクセス可能な命令を実行するように構成され得る。こうして、ハードウェア若しくはコンピュータプログラム製品によってか、又はそれらの組み合わせによって構成されるかにかかわらず、MCU310は、それに応じて構成されるとき、本発明の実施形態によるステップ又は動作を行うことが可能であり得る。
【0038】
MCU310によって生成されるデジタル出力信号は、例えば、送信すること、受信すること、動作させること、処理すること、表示すること、記憶することなどができる電流搬送導体の測定電流を表すデジタル出力信号を含むデータを通信することなどによって、デジタル出力信号を様々なコンピューティングエンティティに通信のために、通信モジュール312によって受信され得る。いくつかの実施形態では、通信モジュール312は、バッテリ管理システムなどの車両内の1つ以上の構成要素と通信するように構成されたコントローラエリアネットワーク(controller area network、CAN)トランシーバを備え得る。いくつかの他の実施形態では、通信モジュール312は、適用可能なワイヤレスシステムのエアインターフェース規格に従ってデータを送信及び受信し得る。この点に関して、自己較正電流測定装置300は、1つ以上のエアインターフェース規格、通信プロトコル、変調タイプ、及びアクセスタイプで動作することが可能であり得る。より具体的には自己較正電流測定装置300は、予測データ分析コンピューティングエンティティ106に関して上述したものなど、いくつかのワイヤレス通信規格及びプロトコルのうちのいずれかに従って動作し得る。いくつかの実施形態では、自己較正電流測定装置300は、UMTS、CDMA2000、1xRTT、WCDMA、GSM、EDGE、TD-SCDMA、LTE、E-UTRAN、EVDO、HSPA、HSDPA、Wi-Fi、Wi-Fi Direct、WiMAX、UWB、IR、NFC、Bluetooth、USB、及び/又は同様のものなどの複数のワイヤレス通信規格及びプロトコルに従って動作し得る。同様に、いくつかの代替実施形態では、自己較正電流測定装置300は、ファイバ分散データインターフェース(fiber distributed data interface、FDDI)、デジタル加入者線(digital subscriber line、DSL)、イーサネット、非同期転送モード(asynchronous transfer mode、ATM)、フレームリレー、データオーバーケーブルサービスインターフェース仕様(data over cable service interface specification、DOCSIS)、又は任意の他の有線伝送プロトコルなどの複数の有線通信規格及びプロトコルに従って動作し得る。
【0039】
電源電圧レギュレータ314は、自己較正電流測定回路320の構成要素(レギュレータ回路306、ADC308、MCU310、及び通信モジュール312)に比較的安定した供給電圧を提供するように構成された1つ以上の回路構成要素又は電子構成要素を備え得る。例えば、電源電圧レギュレータ314は、直流(direct current、DC)電源からの供給電圧を、自己較正電流測定回路320の構成要素によって使用される1つ以上の定電圧に変換してもよく、構成要素のうちの1つ以上は、DC電源によって供給される電圧レベル要件とは異なる電圧レベル要件を有してもよい。いくつかの実施形態では、電源電圧レギュレータ314は、DC-DC変換器又は低ドロップアウトレギュレータ(low-dropout regulator、LDO)を備え得る。
【0040】
ここで図4を参照すると、これは、本開示のいくつかの例示的な実施形態による、電流センサ性能を評価するための例示的な方法を例示する例示的なフロー図である。フローチャートの各ブロック、及びフローチャートの中のブロックの組み合わせは、ハードウェア、ファームウェア、回路、及び/又は1つ以上のコンピュータプログラム命令を含むソフトウェアの実行に関連付けられた他のデバイスなどの様々な手段によって実装され得ることに留意されたい。例えば、図4に記載のステップ/動作のうちの1つ以上は、コンピュータプログラム命令によって具現化されてもよく、コンピュータプログラム命令は、本開示の実施形態を採用する装置の非一時的メモリによって記憶され、装置(限定ではないが、MCU310など)の中のプロセッサ構成要素によって実行されてもよい。例えば、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読記憶メモリに記憶された命令が製品を作り出し、その実行がフローチャートブロックに指定された機能を実装するように、特定の方法で機能するようにプロセッサ構成要素に指示し得る。
【0041】
図4において、例示的な方法400は、自己較正電流測定装置(例えば、少なくとも図3に関連して図示され上述されたような)に関連付けられたコンピューティングデバイスによって実行され得る。ステップ402において、第1の電流センサ信号及び第2の電流センサ信号が受信される。第1の電流センサ信号は、第1の電流センサ(例えば、低レンジ電流センサ302)によって生成されるデジタル化アナログ出力電圧信号を含み得る。第2の電流センサ信号は、第2の電流センサ(例えば、高レンジ電流センサ304)によって生成されるデジタル化アナログ出力電圧信号を含み得る。第1の電流センサ及び第2の電流センサによって生成されるアナログ出力電圧信号は、例えば、電流搬送導体からの、電流搬送導体の電流振幅を表す(又はそれに比例する)磁束の測定値に基づき得る。こうして、第1の電流信号及び第2の電流信号は、それぞれ、第1の電流センサ及び第2の電流センサによって測定される電流振幅読み取り値を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、ステップ402に続いて、例示的な方法はステップ404に進み、第1の電流センサ信号と第2の電流センサ信号との間の差が、電流読み取り値に関連して判定される。この差は、電流センサドリフトを判定するために使用され得る。例えば、第1の電流センサ信号は、第2の電流センサ信号と比較されるベース基準として使用されてもよい。
【0043】
図5は、本明細書に記載の様々な実施形態による、第1の電流センサ信号及び第2の電流センサ信号に関連付けられた線形性の例示的なグラフを提示している。図5に図示するように、第1の電流センサ502のセンサ出力は、電流測定のレンジにわたって第2の電流センサ504のセンサ出力に対して様々な程度で異なる。センサ出力の差は、第1の電流センサ502と第2の電流センサ504との間の測定正確度又は精度の差に起因し得る。更に、センサ出力の差は、第1の電流センサ502又は第2の電流センサ504のうちの少なくとも一方の線形性ドリフトから生じ得る。例示の実施例によれば、第1の電流センサ502は、較正電流センサ(例えば、低レンジ電流センサ302などの閉ループ電流センサ又はフラックスゲート電流センサ)を含み得、第2の電流センサ504は、測定電流センサ(例えば、高レンジ電流センサ304などの開ループ電流センサ)を含み得る。こうして、第1の電流センサ502のセンサ出力は、第2の電流センサ504からのセンサ出力の線形性ドリフトをいつ補償すべきかを判定するためのベースライン基準として使用され得る。電流読み取り値506に対するセンサ出力の差が判定され、再較正閾値と比較され得る。
【0044】
図4に戻って参照すると、いくつかの実施形態では、ステップ404に続いて、例示的な方法は、ステップ406に進み、ここで差が再較正閾値と比較される。再較正閾値は、再較正を行う必要なく、所与の電流読み取り値に対する第1の電流センサ信号と第2の電流センサ信号との間の最大許容差を表す値を含み得る。再較正閾値は、電流読み取り値のレンジにわたって、一定の閾値又は複数の可変閾値のいずれかを含み得る。こうして、差を比較することは、差を電流読み取り値に関連付けられた再較正閾値と比較することを含み得る。
【0045】
図6A及び図6Bは、本明細書に記載の様々な実施形態による例示的な再較正閾値を提示している。電流読み取り値のレンジにわたって一定の閾値上限602A及び一定の閾値下限604Aを含む例示的な再較正閾値が、図6Aに図示されている。増加する閾値上限602B(絶対的な大きさの電流読み取り値に比例して)と、減少する閾値下限604B(絶対的な大きさの電流読み取り値に比例して)とを含む別の例示的な再較正閾値が、図6Bに図示されている。
【0046】
図4に戻って参照すると、いくつかの実施形態では、ステップ406に続いて、差が再較正閾値よりも大きい場合、例示的な方法はステップ408に進み、電流センサの再較正が行われる。電流センサの再較正は、差に基づいて較正データを生成することと、較正データを測定電流センサに適用することとを含み得る。例示的な実施形態では、再較正は、第2の電流センサ信号に関連付けられたセンサ(例えば、高レンジ電流センサ304)に対して行われる。電流センサの再較正は、図7の記載を参照して更に詳細に記載される。
【0047】
いくつかの実施形態では、ステップ408に続いて、例示的な方法はステップ410に進み、較正データが適用された(i)第1の電流センサ信号又は(ii)第2の電流センサ信号に基づいて出力読み取り値が生成される。
【0048】
いくつかの実施形態では、ステップ406に続いて、差が再較正閾値よりも大きくない場合、例示的な方法はステップ410に直接進み、較正データを適用することなく、第1の電流センサ信号又は第2の電流センサ信号に基づいて出力読み取り値が生成される。
【0049】
ここで図7を参照すると、これは、本開示のいくつかの例示的な実施形態による、電流センサ自己較正を行うための例示的な方法を例示する例示的なフロー図である。フローチャートの各ブロック、及びフローチャートの中のブロックの組み合わせは、ハードウェア、ファームウェア、回路、及び/又は1つ以上のコンピュータプログラム命令を含むソフトウェアの実行に関連付けられた他のデバイスなどの様々な手段によって実装され得ることに留意されたい。例えば、図7に記載のステップ/動作のうちの1つ以上は、コンピュータプログラム命令によって具現化されてもよく、コンピュータプログラム命令は、本開示の一実施形態を採用する装置の非一時的メモリによって記憶され、装置(限定ではないが、MCU310など)の中のプロセッサ構成要素によって実行されてもよい。例えば、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読記憶メモリに記憶された命令が製品を作り出し、その実行がフローチャートブロックに指定された機能を実装するように、特定の方法で機能するようにプロセッサ構成要素に指示し得る。
【0050】
図7では、例示的な方法700は、自己較正電流測定装置(例えば、少なくとも図3に関連して例示及び上述したような)に関連付けられたコンピューティングデバイスによって実行され得る。ステップ702において、第1のチャネルデータ及び第2のチャネルデータが受信される。第1のチャネルデータは、第1の電流センサ(例えば、低レンジ電流センサ302)に関連付けられたチャネルからのデジタル入力信号のサンプリング(例えば、サンプリング期間にわたる)を含み得る。第2のチャネルデータは、第2の電流センサ(例えば、高レンジ電流センサ304)に関連付けられたチャネルからのデジタル入力信号のサンプリング(例えば、第1のチャネルデータに関連付けられたサンプリングと同じサンプリング期間にわたる)を含み得る。第1のチャネルデータ及び第2のチャネルデータは、それぞれ、第1の電流センサ及び第2の電流センサによって測定される電流(例えば、磁束に基づく電圧)を表し得る。いくつかの実施形態では、第1のチャネルデータ及び第2の電流センサは、それぞれ、第1の電流センサ及び第2の電流センサによって測定される電流振幅読み取り値に関連付けられたデジタル電圧信号を含む。いくつかの実施形態では、低レンジ電流センサは、第1のチャネルデータに関連付けられ得、高レンジ電流センサは、第2のチャネルデータと関連付けられ得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、ステップ702に続いて、例示的な方法はステップ704に進み、そこで、第1のチャネルデータ及び第2のチャネルデータが、低レンジ内にある電流の測定値に関連付けられているかどうかの判定が行われる。例えば、低レンジは、低レンジ電流センサの測定レンジを表し得る。すなわち、ステップ704は、第1のチャネルデータと第2のチャネルデータとの間の比較が、高レンジ電流センサ(例えば、高レンジ電流センサ302)に対する較正を行うために正確に行われ得るように、測定されている電流が、低レンジ電流センサ(例えば、低レンジ電流センサ304)によって測定可能な値であると判定する。
【0052】
いくつかの実施形態では、ステップ704に続いて、電流測定値が低レンジ内にある場合、例示的な方法はステップ706に進み、第1のチャネルデータと第2のチャネルデータとの間の差が判定され、再較正閾値と比較される。再較正閾値は、再較正を行う必要なく、第1のチャネルデータと第2のチャネルデータとの間の最大許容差を表す値を含み得る。本開示の様々な実施形態によれば、再較正閾値は、前述のように、全ての電流値に対する一定の閾値、又は異なる電流読み取り値にわたる可変値を含み得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、ステップ706に続いて、第1のチャネルデータと第2のチャネルデータとの間の差が再較正閾値よりも大きい場合、例示的な方法はステップ708に進み、新しい較正データが生成され、第2のチャネルデータに適用される。新しい較正データは、第1のチャネルデータに基づいて第2のチャネルデータに適用される変換関数又はマッピングを含み得る。例えば、較正データを第2のチャネルデータに適用することによって、第1のチャネルデータ又は差に関する線形変換又はセグメント化マッピングが第2のチャネルデータに対して行われてもよい。こうして、第1のチャネルデータの電流測定能力は、第2のチャネルデータよりも正確かつ信頼性があり、第1のチャネルデータが第2のチャネルデータの補正のための基礎として使用されることを可能にし得る。
【0054】
本開示の様々な実施形態によれば、新しい較正データは、第1のチャネルデータと第2のチャネルデータとの間の差に基づいて、第2のチャネルデータをスキューするために使用され得る。図8Aは、第1のチャネルデータ及び第2のチャネルデータに関連付けられた例示的な線形性を図示している。図示するように、第1のチャネルデータ802A及び第2のチャネルデータ804Aは、異なる線形性特性を示す。しかしながら、新しい較正データを第2のチャネルデータ804Aに適用することによって、図8Bに図示するように、第1のチャネルデータ802Aと整合する較正された第2のチャネルデータ804Bが生成され得る。新しい較正データが生成されるごとに、新しい較正データは、電流較正データとして割り当てられ得、新しい較正データより前に生成された較正データ(例えば、以前に電流較正データ又は元の較正データとして割り当てられた)は、以前の較正データとして割り当てられ得る。
【0055】
図7に戻って参照すると、いくつかの実施形態では、ステップ708に続いて、例示的な方法はステップ710に進み、新しい較正データが適用された第1のチャネルデータ又は第2のチャネルデータに基づいて、電流読み取り値が生成される。
【0056】
いくつかの実施形態では、ステップ706に続いて、第1のチャネルデータと第2のチャネルデータとの間の差が再較正閾値よりも大きくない場合、例示的な方法はステップ710に進み、較正データを適用することなく、第1のチャネルデータ又は第2のチャネルデータに基づいて電流読み取り値が生成される。
【0057】
いくつかの実施形態では、ステップ710に続いて、例示的な方法はステップ702に進み、別の一組の第1のチャネルデータ及び第2のチャネルデータが受信される。
【0058】
いくつかの実施形態では、ステップ704に続いて、電流測定値が低レンジ内にない場合、例示的な方法はステップ712に進み、新しい較正データが生成されたかどうかの判定が行われる。
【0059】
いくつかの実施形態では、ステップ712に続いて、新しい較正データが生成された場合、例示的な方法はステップ714に進み、電流較正データが取り出され、適用される。そうでなければ、いくつかの実施形態では、ステップ712に続いて、新しい較正データが生成されなかった場合、例示的な方法はステップ716に進み、以前の較正データが取り出され、適用される。例えば、取り出された電流較正データ又は以前の較正データは、(高レンジ電流センサ304などの第2の電流センサに関連付けられた)第2のチャネルデータに適用され得る。電流較正データは、新しい較正データを指し得、以前の較正データは、新しい較正データより前に生成された較正データを指し得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、ステップ714又は716に続いて、例示的な方法はステップ718に進み、第2のチャネルデータ及び取り出された較正データ(ステップ714からの電流較正データ又はステップ716からの以前の較正データのいずれか)の適用に基づいて、電流読み取り値が生成される。すなわち、取り出された較正データは、電流読み取り値を生成するために第2のチャネルデータに適用され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、ステップ718に続いて、例示的な方法はステップ702に進み、別の一組の第1のチャネルデータ及び第2のチャネルデータが受信される。
【0062】
本開示は、開示される特定の実施形態に限定されるものではないこと、並びに修正及び他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。特定の用語が本明細書で用いられているが、特に記載のない限り、これらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
【外国語明細書】