(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160952
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
H01L25/08 E
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067612
(22)【出願日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】18/311,561
(32)【優先日】2023-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中柴 康隆
(72)【発明者】
【氏名】波多 俊幸
(57)【要約】
【課題】半導体装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】半導体装置は、チップ搭載部上に接合材を介して搭載された半導体チップCP1と、半導体チップCP1上に接合材BD2を介して搭載された半導体チップCP2と、を含む。半導体チップCP1は、保護膜PA1と、その保護膜PA1の開口部OPS内において保護膜PA1から露出するパッドPD1bとを有する。半導体チップCP2は、パッドPD1b上に接合材BD2を介して搭載されている。接合材BD2は、パッドPD1bに接する接合材BD2bと、接合材BD2bと半導体チップCP2との間に介在する接合材BD2aとを有する。接合材BD2bは、フィルム状、かつ、導電性の接合材である。接合材BD2aは、フィルム状、かつ、絶縁性の接合材である。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む半導体装置:
チップ搭載部;
前記チップ搭載部上に第1接合材を介して搭載された第1半導体チップ;
前記第1半導体チップ上に第2接合材を介して搭載された第2半導体チップ、
ここで、
前記第1半導体チップは、保護膜と、前記保護膜の第1開口部内において前記保護膜から露出する第1パッド電極と、を有し、
前記第2半導体チップは、前記第1半導体チップの前記第1パッド電極上に前記第2接合材を介して搭載され、
前記第2接合材は、前記第1パッド電極に接する第1部材と、前記第1部材と前記第2半導体チップとの間に介在する第2部材と、を有し、
前記第1部材は、フィルム状、かつ、導電性の接合材であり、
前記第2部材は、フィルム状、かつ、絶縁性の接合材である。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1部材の厚さは、前記第2部材の厚さよりも厚い、半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップは、前記第2半導体チップが前記保護膜と重ならないように、かつ、前記第1部材が前記保護膜に接しないよう、前記第1半導体チップ上に搭載されている、半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップは、第1半導体基板と、前記第1半導体基板に形成されたMOSFETと、前記MOSFETのソースと電気的に接続されたソース電極である前記第1パッド電極と、を有する、半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップは、前記第1半導体チップの裏面に形成され、前記MOSFETのドレインと電気的に接続されたドレイン電極を更に有し、
前記第1半導体チップは、前記ドレイン電極が前記チップ搭載部と対向するように、前記チップ搭載部上に前記第1接合材を介して搭載されており、
前記第1接合材は、導電性の接合材であり、
前記第1半導体チップの前記ドレイン電極は、前記第1接合材を介して、前記チップ搭載部と電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記MOSFETは、前記第1半導体基板に形成され、かつ、互いに並列に接続された複数の単位トランジスタセルからなる、半導体装置。
【請求項7】
請求項4に記載の半導体装置において、
第1リードと、
第2リードと、
前記第1パッド電極と前記第1リードとを電気的に接続する第1ワイヤと、
前記第1パッド電極と前記第2リードとを電気的に接続する第2ワイヤと、
を更に含む、半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置において、
平面視において、前記第1ワイヤと前記第1パッド電極との接続位置と、前記第2ワイヤと前記第1パッド電極との接続位置との間に、前記第2半導体チップが配置されている、半導体装置。
【請求項9】
請求項7に記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップは、前記保護膜の第2開口部内において前記保護膜から露出し、前記第1パッド電極と接続され、かつ、前記ソース電極の一部である第2パッド電極と、前記保護膜の第3開口部内において前記保護膜から露出し、前記第1パッド電極と接続され、かつ、前記ソース電極の一部である第3パッド電極と、を更に有し、
前記第1ワイヤは、前記第2パッド電極に接続され、
前記第2ワイヤは、前記第3パッド電極に接続されている、半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置において、
平面視において、前記第2パッド電極と前記第3パッド電極との間に前記第1パッド電極が配置されている、半導体装置。
【請求項11】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップは、前記第2半導体チップが前記保護膜と重ならないように、かつ、前記第1部材が前記保護膜に接しないよう、前記第1半導体チップ上に搭載されている、半導体装置。
【請求項12】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップは、前記第2半導体チップの一部が前記保護膜と重なるよう、かつ、前記第1部材が前記保護膜に接するよう、前記第1半導体チップ上に搭載されている、半導体装置。
【請求項13】
請求項7に記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップは、複数の第4パッド電極を更に有し、
前記第2半導体チップは、複数の第5パッド電極を有し、
前記第1半導体チップの前記複数の第4パッド電極と前記第2半導体チップの前記複数の第5パッド電極とは、複数の第3ワイヤを介してそれぞれ電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項14】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記チップ搭載部、前記第1半導体チップ、および前記第2半導体チップを封止する封止部を更に含む、半導体装置。
【請求項15】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップは、前記第1半導体チップを制御するための半導体チップである、半導体装置。
【請求項16】
以下を含む半導体装置の製造方法:
(a)チップ搭載部上に第1接合材を介して第1半導体チップを搭載する工程、
(b)複数のチップ形成領域、および前記複数のチップ形成領域の間のスクライブ領域を備えた半導体基板を準備する工程;
(c)導電性の第2接合材層と、前記第2接合材層上の絶縁性の第3接合材層と、を有するダイシングテープを準備する工程;
(d)前記(b)工程および前記(c)工程の後、前記第3接合材層が前記半導体基板の裏面に接するように、前記ダイシングテープを前記半導体基板の前記裏面に貼り付ける工程;
(e)前記(d)工程の後、前記スクライブ領域に沿って、前記半導体基板、前記第3接合材層および前記第2接合材層を切断する工程;
(f)前記(a)工程および前記(e)工程の後、前記(e)工程で個片化された前記複数のチップ形成領域のうちの一つからなる第2半導体チップを、前記第2半導体チップに貼り付けられた前記第3接合材層と前記第2接合材層との積層体を介して、前記第1半導体チップ上に搭載する工程、
ここで、
前記第1半導体チップは、保護膜と、前記保護膜の第1開口部内において前記保護膜から露出する第1パッド電極と、を有し、
前記(f)工程では、前記第2半導体チップは、前記積層体の前記第2接合材層が前記第1パッド電極と接するように、前記第1パッド電極上に前記積層体を介して搭載される。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程において準備する前記ダイシングテープは、さらに、前記第3接合材層上に設けられた保護層を有し、
前記(c)工程の後、かつ、前記(d)工程の前に、前記ダイシングテープから前記保護層を剥がす工程、
を更に含む、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程において準備する前記ダイシングテープは、さらに、基材層と、前記基材層上の紫外線硬化型の粘着材層と、前記粘着材層上の前記第2接合材層と、前記第3接合材層と、を有し、
前記(e)工程の後、かつ、前記(f)工程の前に、紫外線照射処理により、前記ダイシングテープの前記粘着材層を硬化させる工程、
を更に含む、半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
(g)前記(f)工程の後、前記第2接合材層および前記第3接合材層を熱処理により硬化させる工程、
を更に含む、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、積層した2つの半導体チップを有する半導体装置およびその製造方法に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
ダイパッド上に半導体チップを搭載し、半導体チップのパッドとリードとをワイヤで電気的に接続し、それらを樹脂封止することにより、半導体パッケージが製造される。
【0003】
特開2014-93431号公報には、ダイパッド上に搭載されている半導体チップ上に他の半導体チップが搭載された半導体パッケージが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
積層した2つの半導体チップを有する半導体装置において、性能を向上させることが望まれる。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置は、チップ搭載部上に第1接合材を介して搭載された第1半導体チップと、前記第1半導体チップ上に第2接合材を介して搭載された第2半導体チップと、を含む。前記第1半導体チップは、保護膜と、前記保護膜の第1開口部内において前記保護膜から露出する第1パッド電極とを有する。前記第2半導体チップは、前記第1パッド電極上に前記第2接合材を介して搭載されている。前記第2接合材は、前記第1パッド電極に接する第1部材と、前記第1部材と前記第2半導体チップとの間に介在する第2部材とを有する。前記第1部材は、フィルム状、かつ、導電性の接合材である。前記第2部材は、フィルム状、かつ、絶縁性の接合材である。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】実施の形態1の半導体装置の平面透視図である。
【
図7】実施の形態1の半導体装置に用いられている半導体チップの上面図である。
【
図8】実施の形態1の半導体装置に用いられている半導体チップの下面図である。
【
図9】実施の形態1の半導体装置に用いられている半導体チップの上面図である。
【
図10】実施の形態1の半導体装置に用いられている半導体チップの要部断面図である。
【
図11】実施の形態1の半導体装置内の2つの半導体チップを透視して示す平面図である。
【
図12】実施の形態1の半導体装置で用いられる半導体チップの断面図である。
【
図13】実施の形態1の半導体装置で用いられる半導体チップの断面図である。
【
図14】実施の形態1の半導体装置内における2つの半導体チップの断面図である。
【
図15】実施の形態1の半導体装置内における2つの半導体チップの断面図である。
【
図16】半導体チップを製造するための半導体基板の平面図である。
【
図17】ウエハプロセスが施された半導体基板の要部断面図である。
【
図18】実施の形態1で用いられるダイシングテープの要部断面図である。
【
図19】ダイシング工程とダイボンディング工程の説明図である。
【
図20】ダイシング工程とダイボンディング工程の説明図である。
【
図21】ダイシング工程とダイボンディング工程の説明図である。
【
図22】ダイシング工程とダイボンディング工程の説明図である。
【
図23】検討例の半導体装置に用いられている半導体チップの上面図である。
【
図24】検討例の半導体装置内の2つの半導体チップを透視して示す平面図である。
【
図25】検討例の半導体装置に用いられている半導体チップの断面図である。
【
図26】検討例の半導体装置内における2つの半導体チップの断面図である。
【
図27】実施の形態2の半導体装置で用いられる半導体チップの上面図である。
【
図28】実施の形態2の半導体装置内の2つの半導体チップを透視して示す平面図である。
【
図29】実施の形態2の半導体装置で用いられる半導体チップの断面図である。
【
図30】実施の形態2の半導体装置で用いられる半導体チップの断面図である。
【
図31】実施の形態2の半導体装置内における2つの半導体チップの断面図である。
【
図32】実施の形態2の半導体装置内における2つの半導体チップの断面図である。
【
図33】実施の形態3の半導体装置で用いられる半導体チップの上面図である。
【
図34】実施の形態3の半導体装置内の2つの半導体チップを透視して示す平面図である。
【
図35】実施の形態3の半導体装置で用いられる半導体チップの断面図である。
【
図36】実施の形態3の半導体装置で用いられる半導体チップの断面図である。
【
図37】実施の形態3の半導体装置内における2つの半導体チップの断面図である。
【
図38】実施の形態3の半導体装置内における2つの半導体チップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0011】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0012】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0013】
また、本願においては、電界効果トランジスタをMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)と記載するが、ゲート絶縁膜として酸化膜を用いる場合だけでなく、ゲート絶縁膜として酸化膜以外の絶縁膜を用いる場合も含むものとする。
【0014】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造について>
本実施の形態の半導体装置の構造を、
図1から
図9を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の半導体装置PKGの上面図であり、
図2は、本実施の形態の半導体装置PKGの下面図(裏面図)である。
図3は、本実施の形態の半導体装置PKGの平面透視図であり、封止部MRを透視したときの半導体装置PKGの上面側の平面透視図が示されている。
図4から
図6は、本実施の形態の半導体装置1の断面図である。
図1から
図3におけるA1-A1線の位置での断面図が
図4に対応し、
図1から
図3におけるA2-A2線の位置での断面図が
図5に対応し、
図1から
図3におけるA3-A3線の位置での断面図が
図6に対応している。
図7は、本実施の形態の半導体装置PKGに用いられている半導体チップCP1の上面図であり、
図8は、本実施の形態の半導体装置PKGに用いられている半導体チップCP1の下面図(裏面図)であり、
図9は、本実施の形態の半導体装置PKGに用いられている半導体チップCP2の上面図である。
【0015】
図1から
図6に示される半導体装置PKGは、スイッチング用のパワーMOSFETを内蔵する半導体チップCP1と、半導体チップCP1を制御するための半導体チップCP2とを含む半導体パッケージである。
【0016】
半導体装置PKGは、ダイパッド(チップ搭載部)DPと、そのダイパッドDPの上面(主面)上に搭載された半導体チップCP1と、半導体チップCP1上に搭載された半導体チップCP2と、複数のリードLDと、複数のボンディングワイヤ(以下、単にワイヤと称す)BWと、これらを封止する封止部(封止樹脂部、封止体)MRと、を有している。
【0017】
封止部MRは、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料などからなり、フィラーなどを含むこともできる。例えば、フィラーを含むエポキシ樹脂などを用いて封止部MRを形成することができる。
【0018】
ダイパッドDPおよび複数のリードLDは、導電体で構成されており、好ましくは銅(Cu)または銅合金などの金属材料からなる。複数のリードLDのそれぞれは、一部が封止部MR内に封止され、他の一部が封止部MRの側面から封止部MRの外部に突出している。以下では、リードLDのうちの封止部MR内に位置する部分をインナリード部と呼び、リードLDのうちの封止部MR外に位置する部分をアウタリード部と呼ぶものとする。
【0019】
なお、本実施の形態の半導体装置PKGは、各リードLDの一部(アウタリード部)が封止部MRの側面から突出した構造であり、以下ではこの構造に基づいて説明するが、この構造に限定されるものではなく、例えば、封止部MRの側面から各リードLDがほとんど突出せず、かつ封止部MRの下面で各リードLDの一部が露出した構成などを採用することもできる。
【0020】
半導体チップCP1の表面には、複数のパッド電極(以下、単にパッドと称す)PD1a,PD1bが形成され、半導体チップCP1の裏面には、裏面電極BEが形成されている。半導体チップCP1は、表面を上方に向け、裏面電極BEがダイパッドDPの上面に対向する向きで、ダイパッドDPの上面上に導電性の接合材BD1を介して搭載されて接合されている。すなわち、半導体チップCP1の裏面電極BEが、ダイパッドDPの上面に導電性の接合材BD1を介して接合されている。このため、半導体チップCP1の裏面電極BEは、導電性の接合材BD1を介して、ダイパッドDPと電気的に接続されている。
【0021】
半導体チップCP2は、半導体チップCP2の表面を上方に向け、半導体チップCP2の裏面が半導体チップCP1の表面に対向する向きで、半導体チップCP1上(具体的には半導体チップCP1のパッドPD1b上)に接合材BD2を介して搭載されて接合されている。半導体チップCP2の表面には、複数のパッドPD2a,PD2bが形成されている。半導体チップCP2の裏面には、裏面電極は形成されていない。接合材BD2については、後でより詳細に説明する。
【0022】
半導体装置PKGが有する複数のリードLDは、リードLD1,LD2,LD3を含んでいる。半導体装置PKGが有する複数のワイヤBWは、ワイヤBW1,BW2,BW3,BW4を含んでいる。各ワイヤBW3,BW4の直径は、各ワイヤBW1,BW2の直径よりも大きい。すなわち、ワイヤBW3,BW4は、ワイヤBW1,BW2よりも太い。ワイヤBW1,BW2,BW3,BW4は、それぞれ金属からなるが、例えば、ワイヤBW1,BW2は金(Au)からなり、ワイヤBW3,BW4はアルミニウム(Al)またはアルミニウム合金からなる。
【0023】
半導体チップCP1の複数のパッドPD1aと半導体チップCP2の複数のパッドPD2aとが、複数のワイヤBW1を介してそれぞれ電気的に接続されている。
【0024】
半導体チップCP2のパッドPD2bと複数のリードLD3とが、複数のワイヤBW2を介してそれぞれ電気的に接続されている。すなわち、各ワイヤBW2の両方の端部のうち、一方の端部は、半導体チップCP2の各パッドPD2bに接続され、他方の端部は、各リードLD3(のインナリード部)に接続されている。
【0025】
半導体チップCP1のパッドPD1bとリードLD1とが、ワイヤBW3を介して電気的に接続され、また、半導体チップCP1のパッドPD1bとリードLD2とが、ワイヤBW4を介して電気的に接続されている。
【0026】
封止部MRの平面形状は、略矩形であり、4つの辺を有しており、
図1から
図3の場合はそのうちの一辺に複数のリードLD(LD1,LD2,LD3)が配置されている。ダイパッドDPおよび複数のリードLDは、互いに分離されており、間に封止部MRの一部が介在している。
【0027】
半導体チップCP1,CP2および複数のワイヤBW(BW1,BW2,BW3,BW4)は、封止部MR内に封止されており、封止部MRから露出されない。一方、ダイパッドDPは、下面以外は封止部MR内に封止されているが、ダイパッドDPの下面は、封止部MRの下面から露出されている。
【0028】
複数のリードLDの各アウタリード部は、封止部MRの側面から封止部MR外に突出している。各リードLDのアウタリード部は、アウタリード部の端部近傍の下面が封止部MRの下面とほぼ同一平面上に位置するように折り曲げ加工されている。リードLDのアウタリード部は、半導体装置PKGの外部接続用端子部(外部端子)として機能する。また、封止部MRの下面で露出するダイパッドDPの下面も、半導体装置PKGの外部端子として機能することができる。
【0029】
<半導体チップCP1の構造について>
次に、
図10を参照して、半導体チップCP1の構造について説明する。
図10は、半導体チップCP1の要部断面図である。なお、上記
図7では、
図10に示されるソース電極ES(ソース電極ESの外周位置)を二点鎖線で示してある。二点鎖線で示されるソース電極ESの外周は、保護膜PA1で覆われている。
【0030】
半導体チップCP1は、パワーMOSFETが形成された半導体チップであり、半導体チップCP1を構成する半導体基板SB1にパワーMOSFETが形成されている。半導体チップCP2内には、半導体チップCP1(半導体チップCP1内のパワーMOSFET)を制御する制御回路が形成されている。
【0031】
図10に示されるように、半導体基板SB1は、例えばヒ素(As)などのn型不純物が導入されたn型の単結晶シリコンなどからなる。半導体基板SB1として、いわゆるエピタキシャルウエハを用いることもできる。
【0032】
半導体基板SB1には、パワーMOSFETを構成する複数(多数)の単位トランジスタセルが形成されており、パワーMOSFETは、それら複数の単位トランジスタセルが並列に接続されることで形成されている。個々の単位トランジスタセルは、同じ構造を有している。各単位トランジスタセルは、例えばトレンチゲート構造のnチャネル型のMOSFETで形成されている。
【0033】
半導体基板SB1は、上記単位トランジスタセルのドレイン領域としての機能を有している。半導体基板SB1の裏面(すなわち半導体チップCP1の裏面)には、ドレイン用の裏面電極BEが形成されている。このため、裏面電極BEは、パワーMOSFETのドレインに電気的に接続されたドレイン電極として機能することができる。裏面電極BEは、半導体基板SB1の裏面全体に、従って半導体チップCP1の裏面全体に、形成されている。
【0034】
また、半導体基板SB1中に形成されたp型半導体領域(p型ボディ領域)PR1は、上記単位トランジスタセルのチャネル形成領域としての機能を有している。さらに、そのp型半導体領域PR1の上部に形成されたn+型半導体領域NRは、上記単位トランジスタセルのソース領域としての機能を有している。従って、n+型半導体領域NRはソース用の半導体領域である。
【0035】
また、半導体基板SB1には、その主面から半導体基板SB1の厚さ方向に延びる溝TRが形成されている。溝TRは、n+型半導体領域NRの上面からn+型半導体領域NRおよびp型半導体領域PR1を貫通し、半導体基板SB1中で終端するように形成されている。別の見方をすると、隣り合う溝TRの間に、p型半導体領域PR1が形成され、p型半導体領域PR1の上部で、かつ、溝TRに隣接する位置に、ソース用のn+型半導体領域NRが形成されている。
【0036】
溝TRの底面および側面には、酸化シリコンなどからなるゲート絶縁膜GFが形成されている。また、溝TR内には、上記ゲート絶縁膜GFを介してトレンチゲート電極TGが埋め込まれている。トレンチゲート電極TGは、例えばn型不純物(例えばリン)が導入された多結晶シリコン膜からなる。トレンチゲート電極TGは、上記単位トランジスタセルのゲート(ゲート電極)としての機能を有している。
【0037】
また、半導体基板SB1上に、トレンチゲート電極TGと同一層の導電性膜からなるゲート引き出し用の配線部TGLが形成されており、トレンチゲート電極TGとゲート引き出し用の配線部TGLとは、一体的に形成されて互いに電気的に接続されている。なお、トレンチゲート電極TGは、溝TRに埋め込まれており、一方、ゲート引き出し用の配線部TGLは、溝TR内ではなく、半導体基板SB1上に配置されて延在している。ゲート引き出し用の配線部TGLは、それを覆う絶縁膜ILに形成されたコンタクトホールCT1を通じてゲート配線EGWと電気的に接続されている。ゲート配線EGWは、半導体チップCP1の主面において、外周に沿うように延在している。ゲート電極EGは、パワーMOSFETのゲート用のパッドPD1aを形成するための電極部である。ゲート電極EGとゲート配線EGWとは一体的に形成されており、ゲート電極EGの幅は、ゲート配線EGWの幅よりも大きい。ゲート電極EGは、ゲート配線EGWおよびゲート引き出し用の配線部TGLを介して、半導体基板SB1に形成されている複数のトレンチゲート電極TGと電気的に接続されている。
【0038】
ソース電極ESは、半導体基板SB1上の絶縁膜ILに形成されたコンタクトホールCT2を通じて、ソース用のn+型半導体領域NRと電気的に接続されている。また、ソース電極ESは、p型半導体領域PR1の上部であってn+型半導体領域NRの隣接間に形成されたp+型半導体領域PR2に電気的に接続され、これを通じてチャネル形成用のp型半導体領域PR1と電気的に接続されている。平面視において、ソース電極ESは、パワーMOSFETを構成する複数の単位トランジスタセルが形成された領域全体にわたって形成されている。このため、平面視において、半導体チップCP1の主面の大部分にソース電極ESが形成されている。
【0039】
ゲート電極EG、ゲート配線EGWおよびソース電極ESは、コンタクトホールCT1,CT2が形成された絶縁膜IL上にコンタクトホールCT1,CT2を埋めるように導電体膜CDを形成し、この導電体膜CDをパターニングすることにより形成されている。すなわち、ゲート電極EG、ゲート配線EGWおよびソース電極ESは、パターニングされた導電体膜CDにより形成されている。導電体膜CDは、金属膜からなり、好ましくはアルミニウム膜またはアルミニウム合金膜からなる。このため、ゲート電極EG、ゲート配線EGWおよびソース電極ESは、同層の導電体膜CDからなるが、ゲート電極EGとゲート配線EGWとが一体的に形成されていることを除いて、互いに分離されている。
【0040】
導電体膜CD(ゲート電極EG、ゲート配線EGWおよびソース電極ES)は、絶縁性の保護膜(絶縁膜、パッシベーション膜)PA1により覆われている。すなわち、絶縁膜IL上に、導電体膜CD(ゲート電極EG、ゲート配線EGWおよびソース電極ES)を覆うように、保護膜PA1が形成されている。この保護膜PA1は、半導体チップCP1が有する絶縁膜のうちの最上層に位置する膜である。より詳しくは、保護膜PA1は、絶縁膜からなるが、好ましくは、ポリイミド樹脂などの樹脂膜(単層)からなる。なお、保護膜PA1の他の例として、無機絶縁膜(例えば、酸化シリコン)と、この無機絶縁膜上に形成された有機絶縁膜(例えば、ポリイミド樹脂などの樹脂膜)との積層膜(複数層)を用いてもよい。
【0041】
保護膜PA1には複数の開口部OPが形成されており、各開口部OP内において導電体膜CDの一部が露出している。開口部OP内において保護膜PA1から露出する導電体膜CDが、パッドPD1a,PD1bとなっている。すなわち、パッドPD1a,PD1bは、それぞれ、開口部OP内において露出する導電体膜CDにより形成されている。
【0042】
パッドPD1bは、保護膜PA1の開口部OP(ソース電極ES上に設けられた開口部OP)内において保護膜PA1から露出するソース電極ESにより形成されている。このため、パッドPD1bは、パワーMOSFETのソース用のパッドである。パッドPD1bは、ソース電極ESを通じて、半導体基板SB1に形成されている複数の単位トランジスタセルのソース領域(n+型半導体領域NR)と電気的に接続されている。
【0043】
ここで、パッドPD1bを露出する開口部OPを、符号OPSを付して開口部OPSと称することとする。保護膜PA1の開口部OPS内において保護膜PA1から露出するソース電極ESがパッドPD1bであるため、開口部OPSの平面形状、平面寸法(平面積)および平面位置は、パッドPD1bの平面形状、平面寸法(平面積)および平面位置とほぼ一致している。
【0044】
半導体チップCP1が有する複数のパッドPD1aは、パワーMOSFETのゲート用のパッドPD1aを含んでおり、ゲート用のパッドPD1aは、保護膜PA1の開口部OP(ゲート電極EG上に設けられた開口部OP)内において保護膜PA1から露出するゲート電極EGにより形成されている。導電体膜CDは、パッドPD1a,PD1bとなっている部分以外は、保護膜PA1で覆われている。
【0045】
また、半導体チップCP1が有する複数のパッドPD1aは、温度検知用ダイオードのアノード用のパッドおよびカソード用のパッドなどを必要に応じて含んでいる。温度検知用ダイオードは、半導体基板SB1内または半導体基板SB1上に形成され得る。また、半導体チップCP1が有する複数のパッドPD1aは、電流検知用MOSFETのソース用のパッドを必要に応じて含んでいる。電流検知用MOSFETは、半導体基板SB1に形成され得る。また、半導体チップCP1が有する複数のパッドPD1aは、電圧検出用のケルビンパッドを必要に応じて含んでいる。温度検知用ダイオードのアノード用のパッドおよびカソード用のパッド、電流検知用MOSFETのソース用のパッド、およびケルビンパッドも、保護膜PA1の開口部OP内において保護膜PA1から露出する導電体膜CDにより形成される。
【0046】
各パッドPD1a,PD1bの表面上には、めっき層を形成することも可能であるが、本実施の形態では、各パッドPD1a,PD1bの表面上に、めっき層は形成していないことが好ましい。半導体チップCP2を半導体チップCP1のパッドPD1b上に搭載する際に用いられる接合材BD2は、導電性の接合材(接合フィルム)BD2bを有している。半導体チップCP2を半導体チップCP1のパッドPD1b上に搭載すると、この導電性の接合材BD2bが、パッドPD1bを構成する導電体膜CDに接した状態となる。
【0047】
パワーMOSFETを構成する複数の単位トランジスタセルのトレンチゲート電極TGは、ゲート引き出し用の配線部TGL、ゲート配線EGWおよびゲート電極EGを通じて互いに電気的に接続されている。このため、ゲート用のパッドPD1aから、ゲート配線EGWおよび配線部TGLを通じて、パワーMOSFETのゲート(パワーMOSFETを構成する複数の単位トランジスタセルのトレンチゲート電極TG)に、ゲート電圧が供給される。
【0048】
また、パワーMOSFETを構成する複数の単位トランジスタセルのドレイン領域は、半導体基板SB1および裏面電極BEを通じて、互いに電気的に接続されている。このため、上記ダイパッドDPから導電性の接合材BD1を介して半導体チップCP1の裏面電極BEにドレイン電圧(例えば電源電位)が供給され、そのドレイン電圧は、裏面電極BEから、パワーMOSFETのドレイン領域(パワーMOSFETを構成する複数の単位トランジスタセルのドレイン領域)に供給される。
【0049】
また、パワーMOSFETを構成する複数の単位トランジスタセルのソース領域(n+型半導体領域NR)は、ソース電極ESに電気的に接続されるとともに、そのソース電極ESを通じて互いに電気的に接続されている。パワーMOSFETのソース用のパッドPD1bは、ワイヤBW3,BW4およびリードLD1,LD2を通じて半導体装置PKGの外部の負荷などに接続される。
【0050】
このような構成の半導体チップCP1においては、パワーMOSFETの単位トランジスタの動作電流は、ドレイン用の半導体基板SB1とソース用のn+型半導体領域NRとの間をトレンチゲート電極TGの側面(すなわち溝TRの側面)に沿って半導体基板SB1の厚さ方向に流れる。すなわち、チャネルが半導体チップCP1の厚さ方向に沿って形成される。
【0051】
このように、半導体チップCP1は、トレンチ型ゲート構造を有する縦型のMOSFETが形成された半導体チップであり、パワーMOSFETは、トレンチゲート型MOSFETによって形成されている。ここで、縦型のMOSFETとは、ソース・ドレイン間の電流が、半導体基板(SB1)の厚さ方向(半導体基板の主面に略垂直な方向)に流れるMOSFETに対応する。
【0052】
<半導体チップCP1,CP2の積層構造について>
上述のように、本実施の形態の半導体装置PKGは、半導体チップCP1と半導体チップCP1上に搭載された半導体チップCP2とを含んでいる。半導体チップCP1,CP2の積層構造について、
図11から
図15を参照して説明する。
【0053】
図11は、半導体装置PKG内の半導体チップCP1,CP2を透視して示す平面図である。
図12および
図13は、半導体チップCP1上に半導体チップCP2を搭載する前の段階における半導体チップCP1の断面図である。
図14および
図15は、半導体装置PKG内における半導体チップCP1,CP2の断面図である。
図12は、
図11のB1-B1線の位置での半導体チップCP1の断面図に対応し、
図13は、
図11のB2-B2線の位置での半導体チップCP1の断面図に対応している。また、
図14は、
図11のB1-B1線の位置での半導体チップCP1,CP2の断面図に対応し、
図15は、
図11のB2-B2線の位置での半導体チップCP1,CP2の断面図に対応している。なお、
図14および
図15では、ダイパッドDPおよび封止部MRの図示は省略している。
【0054】
図14および
図15に示されるように、半導体チップCP2は、半導体基板SB2と、その上に形成された多層配線構造MW2と、その上に形成された保護膜PA2とを有している。多層配線構造MW2は、複数の層間絶縁膜と複数の配線層とを含んでいる。保護膜PA2は、半導体チップCP2が有する絶縁膜のうちの最上層に位置する膜である。より詳しくは、保護膜PA2は、絶縁膜からなるが、好ましくは、ポリイミド樹脂などの樹脂膜(単層)からなる。なお、保護膜PA2の他の例として、無機絶縁膜(例えば、酸化シリコン)と、この無機絶縁膜上に形成された有機絶縁膜(例えば、ポリイミド樹脂などの樹脂膜)との積層膜(複数層)を用いてもよい。半導体チップCP2を構成する半導体基板SB2には、トランジスタなどの半導体素子(図示せず)が複数形成されている。半導体チップCP2のパッドPD2a,PD2bは、多層配線構造MW2を構成する複数の配線層のうちの最上層の配線層に形成されており、それぞれ保護膜PA2の開口部から露出されている。保護膜PA2の開口部から露出するパッドPD2a,PD2bに、それぞれワイヤBWが接続される。
【0055】
図10、
図12および
図13にも示されるように、半導体チップCP1の各パッドPD1a,PD1bの表面上には、めっき層は形成されていない。このため、半導体チップCP1のパッドPD1aと半導体チップCP2のパッドPD2aとを電気的に接続するためのワイヤBW1は、パッドPD1aに直接的に接続されている。すなわち、ワイヤBW1は、パッドPD1aの上面に接触している。従って、各ワイヤBW1の両方の端部のうち、一方の端部は、半導体チップCP1の各パッドPD1aに接続され、他方の端部は、半導体チップCP2の各パッドPD2aに接続されている。
【0056】
また、半導体チップCP1のパッドPD1bとリードLD1とを電気的に接続するためのワイヤBW3と、半導体チップCP1のパッドPD1bとリードLD2とを電気的に接続するためのワイヤBW4とは、パッドPD1bに直接的に接続されている。すなわち、ワイヤBW3およびワイヤBW4は、パッドPD1bの上面に接触している。従って、ワイヤBW3の両方の端部のうち、一方の端部は、半導体チップCP1のパッドPD1bに接続され、他方の端部は、リードLD3(のインナリード部)に接続されている。また、ワイヤBW4の両方の端部のうち、一方の端部は、半導体チップCP1のパッドPD1bに接続され、他方の端部は、リードLD4(のインナリード部)に接続されている。
【0057】
半導体チップCP1のパッドPD1bにおいて、半導体チップCP2で覆われていない部分に、ワイヤBW3およびワイヤBW4がそれぞれ接続されている。具体的には、平面視において、パッドPD1bにおけるワイヤBW3の接続箇所(接続位置)と、パッドPD1bにおけるワイヤBW4の接続箇所(接続位置)とは、半導体チップCP2を間に挟んで互いに反対側に位置している。すなわち、平面視において、パッドPD1bにおけるワイヤBW3の接続箇所(接続位置)と、パッドPD1bにおけるワイヤBW4の接続箇所(接続位置)との間に、半導体チップCP2が配置されている。
【0058】
半導体チップCP1上に半導体チップCP2が搭載されているが、具体的には、半導体チップCP2は、半導体チップCP1のパッドPD1b上に、接合材BD2を介して搭載されている(
図14および
図15参照)。平面視において、半導体チップCP2は、半導体チップCP1のパッドPD1bと重なっており、半導体チップCP1のパッドPD1bに内包されている(
図3および
図11参照)。別の見方をすると、平面視において、半導体チップCP2は、保護膜PA1の開口部OPSに内包されている。半導体チップCP2の平面寸法(平面積)は、パッドPD1b(開口部OPS)の平面寸法(平面積)よりも小さい。また、平面視において、半導体チップCP2は、半導体チップCP1のパッドPD1aとは重なっていない。従って、半導体チップCP1のパッドPD1aは、半導体チップCP2によって覆われていない。すなわち、接合材BD2は、保護膜PA1に接していない。
【0059】
ここで、平面視とは、半導体チップCP1の主面または半導体チップCP1を構成する半導体基板SB1の主面に略平行な平面で見た場合に対応している。
【0060】
接合材BD2は、DAF(Die Attach Film)材からなるが、積層構造を有している(
図14および
図15参照)。具体的には、接合材BD2は、導電性の接合材(接合フィルム、DAF、部材)BD2bと、接合材BD2b上の絶縁性の接合材(接合フィルム、DAF、部材)BD2aとの積層構造を有している。接合材BD2a,BD2bのそれぞれは、フィルム状の接合材(接合用フィルム材)である。導電性の接合材BD2bは、接合材BD2の最下層であり、半導体チップCP1のパッドPD1b(ソース電極ES)と接している。絶縁性の接合材BD2aは、半導体チップCP2と導電性の接合材BD2bとの間に介在しており、半導体チップCP2の裏面と接している。このため、半導体チップCP2と導電性の接合材BD2bとは、絶縁性の接合材BD2aにより、電気的に絶縁されている。
【0061】
接合材BD2が含む導電性の接合材BD2bは、半導体チップCP1のパッドPD1b(ソース電極ES)と接しているため、導電性の接合材BD2bと半導体チップCP1のパッドPD1bとは、電気的に接続されている。しかしながら、接合材BD2は絶縁性の接合材BD2aも含んでおり、この絶縁性の接合材BD2aが、半導体チップCP2の裏面と導電性の接合材BD2bとの間に介在し、従って、半導体チップCP2の裏面と半導体チップCP1のパッドPD1bとの間に介在しているため、半導体チップCP2の裏面は、半導体チップCP1のパッドPD1b(ソース電極ES)と電気的に絶縁されている。絶縁性の接合材BD2aにより、半導体チップCP2と半導体チップCP1のパッドPD1bとの間の短絡を防ぐことができる。
【0062】
接合材BD2の平面寸法(平面積)および平面形状は、半導体チップCP2の平面寸法(平面積)および平面形状とほぼ同じである。絶縁性の接合材BD2aの平面寸法(平面積)および平面形状は、導電性の接合材BD2bの平面寸法(平面積)および平面形状とほぼ同じである。
【0063】
<半導体装置の製造工程>
本実施の形態の半導体装置PKGの製造工程について説明する。
【0064】
まず、リードLD1,LD2,LD3およびダイパッドDPを有するリードフレームと、半導体チップCP1,CP2とを用意する。リードフレームを用意する工程と、半導体チップCP1を用意する工程と、半導体チップCP2を用意する工程とは、いずれの順番で行っても、あるいは同時に行ってもよい。
【0065】
次に、半導体チップCP1のダイボンディング工程を行う。半導体チップCP1のダイボンディング工程では、半導体チップCP1をダイパッドDP上に導電性の接合材BD1を介して搭載して接合する。接合材BD1は、銀ペーストまたは半田などからなる。
【0066】
次に、半導体チップCP2のダイボンディング工程を行う。半導体チップCP2のダイボンディング工程では、半導体チップCP1上に接合材BD2を介して半導体チップCP2を搭載する。この際、半導体チップCP2の裏面が半導体チップCP1と対向する向きで、半導体装置CP1のパッドPD1b上に接合材BD2を介して半導体チップCP2を搭載して接合する。半導体チップCP2のダイボンディング工程については、後でより詳細に説明する。
【0067】
次に、ワイヤボンディング工程を行う。これにより、半導体チップCP1の複数のパッドPD1aと半導体チップCP2の複数のパッドPD2aとを複数のワイヤBW1を介してそれぞれ電気的に接続し、半導体チップCP2の複数のパッドPD2bと複数のリードLD3とを複数のワイヤBW2を介してそれぞれ電気的に接続する。また、半導体チップCP1のパッドPD1bとリードLD1とをワイヤBW3を介して電気的に接続し、半導体チップCP1のパッドPD1bとリードLD2とをワイヤBW4を介して電気的に接続する。
【0068】
次に、モールド工程を行って、封止部MRを形成する。
【0069】
次に、リードLD1,LD2,LD3をリードフレームのフレーム枠から切断する。
【0070】
次に、リードLD1,LD2,LD3を折り曲げ加工する。
【0071】
このようにして、本実施の形態の半導体装置PKGを製造することができる。
【0072】
<ダイシング工程およびダイボンディングについて>
半導体チップCP2のダイボンディング工程を行うには、ウエハプロセスを施した半導体基板をダイシングすることにより半導体チップCP2を取得する必要がある。このダイシング工程と半導体チップCP2のダイボンディング工程について、
図16から
図22を参照して説明する。
図16は、半導体チップCP2を製造するための半導体基板(半導体ウエハ)SB2の平面図である。
図17は、ウエハプロセスが施された半導体基板SB2の要部断面図である。
図18は、本実施の形態で用いられるダイシングテープ10の要部断面図である。
図19から
図22は、ダイシング工程とダイボンディング工程の説明図であり、
図18に対応する断面が示されている。
【0073】
図16に示されるように、単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)SB2を用意し、その半導体基板SB2にウエハプロセスを施す。この段階では、半導体基板SB2は、平面視で略円形状の半導体ウエハである。
【0074】
ここで、半導体基板SB2は、そこから半導体チップが取得される予定の領域であるチップ形成領域(半導体チップ領域)CRと、各チップ形成領域CRの間のスクライブ領域(切断領域)SRとを有しており、各チップ形成領域CRは、平面視でスクライブ領域SRに囲まれている。すなわち、半導体基板SB2においては、複数のチップ形成領域CRがアレイ状に配列しており、アレイ状に配列するチップ形成領域CRの間の領域が、スクライブ領域SRに対応している。後述するダイシング工程(切断工程)において、スクライブ領域SRに沿って半導体基板SB2を切断(ダイシング)することにより、各チップ形成領域CRが個片化されて、半導体チップCP2となる。
【0075】
図17には、ウエハプロセスが施された半導体基板SB2の要部断面図が示されている。ウエハプロセスは、半導体基板SB2にトランジスタなどの半導体素子を形成する工程と、半導体基板SB2上に多層配線構造MW2を形成する工程と、多層配線構造MW2上に保護膜PA2を形成する工程と、を含んでいる。半導体基板SB2は、主面と、この主面とは反対側の裏面とを有しており、多層配線構造MW2は、半導体基板SB2の主面上に形成される。半導体基板SB2の厚さは、例えば200μm程度とすることができ、保護膜PA2の厚さは、例えば2μm程度とすることができる。ウエハプロセスの後、必要に応じてウエハテスト(ウエハ検査)工程を行うことができる。
【0076】
図18に示されるように、本実施の形態で用いられるダイシングテープ(ダイシング用フィルム部材)10は、基材層11と、基材層11上の粘着材層(接着材層)12と、粘着材層12上の導電性DAF(Die Attach Film)13と、導電性DAF13上の絶縁性DAF(Die Attach Film)14と、絶縁性DAF14上のカバー層(保護層)15との積層構造を有している。
【0077】
基材層11は、アクリル系の樹脂材料などからなり、例えば100μm程度の厚さを有している。粘着材層12は、紫外線硬化型の粘着材(接着材)からなり、例えば30μm程度の厚さを有している。導電性DAF13は、銀フィラーなどの導電性フィラーを含有する熱硬化型の樹脂材料からなり、例えば25μmから75μm程度の厚さを有している。絶縁性DAF14は、熱硬化型の樹脂材料からなり、例えば10μmから25μm程度の厚さを有している。導電性DAF13は、導電性の接合材層とみなすことができる。絶縁性DAF14は、絶縁性の接合材層とみなすことができる。導電性DAF13の厚さは、絶縁性DAF14の厚さよりも厚いことが好ましい。カバー層15は、プラスチックフィルムなどからなり、例えば30μm程度の厚さを有している。導電性DAF13および絶縁性DAF14の硬化温度は、例えば摂氏100度から摂氏150度程度である。この段階では、導電性DAF13および絶縁性DAF14は、硬化前の状態である。
【0078】
導電性DAF13は、銀フィラーなどの導電性フィラーを含有していることにより、導電性を有している。一方、絶縁性DAF14は、導電性フィラーを含有していないか、含んでいるとしてもごく微量のため、絶縁性を有している。別の見方をすると、導電性DAF13中の導電性フィラーの含有率は、絶縁性DAF14中の導電性フィラーの含有率よりも高い。
【0079】
導電性DAF13は、例えば導電性フィラーを含有する熱硬化性のエポキシ樹脂からなる。あるいは、導電性DAF13として、2つの熱硬化性のエポキシ樹脂層(導電性フィラーを含有するエポキシ樹脂層)で熱硬化性のアクリル樹脂層(導電性フィラーを含有するアクリル樹脂層)を挟んだ積層構造を適用することもできる。また、絶縁性DAF14は、例えば熱硬化性のエポキシ樹脂(導電性フィラーを含有しないエポキシ樹脂層)からなる。あるいは、絶縁性DAF14として、2つの熱硬化性のエポキシ樹脂層(導電性フィラーを含有しないエポキシ樹脂層)で熱硬化性のアクリル樹脂層(導電性フィラーを含有しないアクリル樹脂層)を挟んだ積層構造を適用することもできる。
【0080】
ダイシング工程を行うには、まず、ダイシングテープ10からカバー層15を剥がして、絶縁性DAF14の上面を露出させる(
図19参照)。次に、半導体基板SB2(ウエハプロセスが施された半導体基板SB2)の裏面にダイシングテープ10を貼り付ける(
図20参照)。例えば、ウエハプロセスが施された半導体基板SB2をステージ(図示せず)上に配置し、半導体基板SB2の裏面にダイシングテープ10をローラなどで押し付けることにより、半導体基板SB2の裏面にダイシングテープ10を貼り付けることができる。
【0081】
この際、半導体基板SB2の裏面がダイシングテープ10の絶縁性DAF14の上面と対向する向きで、半導体基板SB2の裏面にダイシングテープ10を貼り付ける。このため、半導体基板SB2の裏面がダイシングテープ10の絶縁性DAF14の上面と接触する。絶縁性DAF14は、熱硬化型であるが、まだ熱硬化処理を行っていないので、ある程度の粘着性(接着性)を有している。
【0082】
次に、
図21に示されるように、ダイシング工程を行う。ダイシング工程は、ダイシングブレード(図示せず)を用いて半導体基板SB2のスクライブ領域SRを切断する工程である。ダイシング工程においては、回転するダイシングブレードを用いて、スクライブ領域SRに沿って半導体基板SB2を切断する。半導体基板SB2上の多層配線構造MW2および保護膜PA2も、半導体基板SB2と一緒に切断される。これにより、半導体基板SB2における各チップ形成領域CRが個片化されて、個片化されたチップ形成領域CRから半導体チップCP2が取得される。なお、本実施の形態では、スクライブ領域SRにも保護膜PA2が形成されている例について説明したが、保護膜PA2の一部、あるいは、全ては、このスクライブ領域SRには設けられていなくてもよい。より詳しくは、保護膜PA2が前述の積層膜からなる場合、スクライブ領域SRには、相対的に柔らかい材料からなる有機絶縁膜は設けずに、相対的に硬い材料からなる無機絶縁膜のみを設けておいてもよい。これにより、半導体基板SB2を保護しながら、半導体基板SB2の切断性の低下も抑制することができる。
【0083】
なお、ダイシング工程では、半導体基板SB2と一緒に、ダイシングテープ10の絶縁性DAF14および導電性DAF13も切断される。しかしながら、ダイシングテープ10の基材層11は切断されない。このため、ダイシング工程を終了した段階では、半導体基板SB2のダイシングにより取得された複数の半導体チップCP2が、ダイシングテープ10に貼り付けられた(固定された)状態となっている。
【0084】
ダイシング工程の後、以下のようにして半導体チップCP2のダイボンディング工程が行われる。
【0085】
まず、紫外線照射処理を行うことにより、ダイシングテープ10の粘着材層12に紫外線を照射して、粘着材層12を硬化させる。粘着材層12を硬化させることにより、硬化した粘着材層12から導電性DAF13が剥離可能となる。
【0086】
次に、
図22に示されるように、ピックアップツール(図示せず)により半導体チップCP2をピックアップする。例えば、ピックアップツールにより半導体チップCP2を吸着して引き上げる。半導体チップCP2をピックアップすると、硬化した粘着材層12から導電性DAF13が剥離して、導電性DAF13と絶縁性DAF14との積層体16が半導体チップCP2と一緒に移動する。すなわち、ピックアップツールによりピックアップされた半導体チップCP2は、その裏面に導電性DAF13と絶縁性DAF14との積層体16が接着された(貼り付けられた)状態となっている。なお、導電性DAF13ではなく絶縁性DAF14が半導体チップCP2の裏面に接しており、導電性DAF13と半導体チップCP2の裏面との間に絶縁性DAF14が介在している。
【0087】
ピックアップされた半導体チップCP2は、ピックアップツールにより搬送され、リードフレームのダイパッドDP上に接合材BD1を介して搭載された半導体チップCP1のパッドPD1b上に配置される。
【0088】
この際、半導体チップCP2の裏面に導電性DAF13と絶縁性DAF14との積層体16が接着された(貼り付けられた)状態で、積層体16(より特定的には積層体16の導電性DAF13)が半導体チップCP1のパッドPD1bと対向する向きで、半導体チップCP2を半導体チップCP1のパッドPD1b上に配置する。このため、半導体チップCP2は、積層体16の絶縁性DAF14がパッドPD1bと接するように、パッドPD1b上に積層体16を介して搭載される。半導体チップCP2を半導体チップCP1のパッドPD1b上に配置すると、半導体チップCP2と半導体チップCP1のパッドPD1bとの間に積層体16が介在し、導電性DAF14が半導体チップCP2の裏面と接し、絶縁性DAF13が半導体チップCP1のパッドPD1bと接し、導電性DAF13と絶縁性DAF14とが互いに接した状態となる。このため、半導体チップCP2の下には、絶縁性DAF14、導電性DAF13およびソース電極ESが、上から順に存在する。
【0089】
その後、導電性DAF13および絶縁性DAF14を硬化するための加熱処理を行う。この熱処理により、導電性DAF13および絶縁性DAF14は硬化し、硬化した導電性DAF13および絶縁性DAF14により、半導体チップCP2が半導体チップCP1のパッドPD1bに接合されて固定される。硬化した導電性DAF13が上記の導電性の接合材BD2bに対応し、硬化した絶縁性DAF14が上記の絶縁性の接合材BD2aに対応し、硬化した積層体16が上記の接合材BD2に対応している。
【0090】
このようにして、半導体チップCP2のダイボンディング工程が行われる。ダイボンディング工程により、半導体装置CP1のパッドPD1b上に接合材BD2(硬化した積層体16)を介して半導体チップCP2が搭載されて接合される。
【0091】
図21に示されるように、ダイシング工程では、半導体基板SB2と一緒に絶縁性DAF14および導電性DAF13も切断している。このため、
図21および
図22からも分かるように、半導体チップCP2の側面と半導体チップCP2の裏面に接着された積層体16の側面(すなわち、積層体16を構成する絶縁性DAF14および導電性DAF13の各側面)とは、整合している。従って、製造された半導体装置PKGにおいては、
図14および
図15からも分かるように、半導体チップCP2の側面と絶縁性の接合材BD2aの側面と導電性の接合材BD2bの側面とは、互いに整合している。
【0092】
<検討の経緯>
本発明者は、パワーMOSFETを内蔵する半導体チップ上に制御用の半導体チップを搭載した半導体装置について検討している。パワーMOSFETを内蔵する半導体チップ上に制御用の半導体チップを搭載することにより、半導体装置の平面寸法(平面積)を縮小することが可能となる。
【0093】
半発明者が検討した検討例について、
図23から
図26を参照して説明する。
図23は、パワーMOSFETを内蔵する半導体チップCP101の上面図であり、上記
図7に対応するものである。
図24は、半導体チップCP101上に制御用の半導体チップCP2を搭載した状態を示す平面図であり、上記
図11に対応するものである。
図25は、
図23のC1-C1線の位置での半導体チップCP101の断面図であり、上記
図12に対応するものである。
図26は、
図24のC1-C1線の位置での半導体チップCP101,CP2の断面図であり、上記
図14に対応するものである。なお、上記
図14と同様に、
図26においては、ダイパッドDPおよび封止部MRの図示は省略している。
【0094】
検討例で用いられている半導体チップCP101は、上記半導体チップCP1に相当するものであるが、以下の点が上記半導体チップCP1と相違している。
【0095】
すなわち、検討例の半導体チップCP101においては、上記パッドPD1b(開口部OPS)が設けられておらず、その代わりに、ワイヤBW3を接続するためのパッドPD101cとワイヤBW4を接続するためのパッドPD101dとが設けられている。パッドPD101c,PD101dのそれぞれは、保護膜PA1の開口部内において保護膜PA1から露出するソース電極ESにより形成されている。検討例の半導体チップCP101においては、半導体チップCP2が搭載される予定領域には、保護膜PA1が存在している。すなわち、検討例の半導体チップCP101においては、半導体チップCP2が搭載される予定領域には、保護膜PA1の開口部は形成されていない。このため、検討例の場合は、半導体チップCP101上に半導体チップCP2を搭載すると、
図24および
図26からも分かるように、半導体チップCP101の保護膜PA1上に、接合材BD102を介して半導体チップCP2が搭載されることになる。従って、検討例の場合は、半導体チップCP2の下には、接合材BD102、保護膜PA1およびソース電極ESが上から順に存在する。
【0096】
本発明者の検討によれば、検討例の半導体装置においては、次のような課題が生じることが分かった。
【0097】
半導体チップCP1,CP101のそれぞれにおいて、パワーMOSFETを構成する複数の単位トランジスタセルは、かなりの面積にわたって形成されているため、半導体チップCP2が搭載される領域の直下においても複数の単位トランジスタセルが形成される。この結果、半導体チップCP2が搭載される領域の直下においても、ソース電極ESが存在することになる。
【0098】
しかしながら、ソース電極ESの抵抗が大きい場合には、ソース電極ESで生じる電位勾配が大きくなり、パワーMOSFETのオン抵抗が増大し、パワーMOSFETのオン電流が低下する。これは、半導体装置の性能の低下を招いてしまう。これを解消するためには、半導体チップCP1,CP101のそれぞれにおいて、多くの箇所でソース電極ESにワイヤを接続することが考えられる。しかしながら、半導体チップCP1,CP101のそれぞれにおいて、半導体チップCP2が搭載される領域ではソース電極ESにワイヤを接続するできないため、半導体チップCP2が搭載されていない位置でソース電極ESとワイヤを接続し、ソース電極ESを通じて、パワーMOSFETを構成する複数の単位トランジスタセルのソース領域にソース電圧を供給する必要がある。
【0099】
また、ソース電極ESの厚さを厚くすることにより、ソース電極ESの抵抗を低減することも考えられる。しかしながら、ソース電極ESの厚さを厚くし過ぎると、ソース電極ESの加工工程において、この工程において使用するフォトレジスト膜の肩削れが発生し、加工不良が生じるおそれがある。また、この加工工程によって形成(加工)されたソース電極ESを覆う保護膜PA1の段差量が大きくなり、この結果、保護膜PA1にクラックが生じるリスクが高くなる。すなわち、ソース電極ESの外周端部は保護膜PA1で覆われているため、保護膜PA1にはソース電極ESの外周端部を反映した段差が形成されるが、ソース電極ESが厚いと、保護膜PA1の段差も大きくなり、その結果、保護膜PA1の段差でクラックが発生しやすくなる。保護膜PA1のクラックは、例えば、ワイヤボンディング工程などで発生しやすい。さらに、ソース電極ESの厚さを厚くし過ぎると、ワイヤボンディング時にパッドが押しつぶされてパッド中の金属が周囲に排斥されるリスクが高くなる。これは、半導体装置の信頼性の低下につながる虞がある。このため、ソース電極ESを厚くすることだけでパワーMOSFETのオン抵抗を低減することは、得策ではない。
【0100】
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態の半導体装置PKGは、チップ搭載部であるダイパッドDPと、ダイパッドDP上に接合材BD1を介して搭載された半導体チップCP1と、半導体チップCP1上に接合材BD2を介して搭載された半導体チップCP2と、を含んでいる。
【0101】
本実施の形態の主要な特徴のうちの一つは、半導体チップCP1は、保護膜PA1と、保護膜PA1の開口部OPS内において保護膜PA1から露出するパッドPD1bとを有し、半導体チップCP2は、半導体チップCP1のパッドPD1b上に接合材BD2を介して搭載されていることである。接合材BD2は、パッドPD1bに接する導電性のフィルム状の接合材BD2bと、接合材BD2bと半導体チップCP2との間に介在する絶縁性のフィルム状の接合材BD2aとを有している。上述のように、導電性のフィルム状の接合材BD2bは、導電性DAF13からなり、絶縁性のフィルム状の接合材BD2aは、絶縁性DAF14からなる。
【0102】
本実施の形態では、半導体チップCP1において、半導体チップCP2を搭載する領域には、保護膜PA1は存在していない。半導体チップCP1において、保護膜PA1の開口部OPS内において保護膜PA1から露出するパッドPD1b上に接合材BD2を介して半導体チップCP2を搭載している。そして、この接合材BD2は、パッドPD1bに接する導電性のフィルム状の接合材BD2bと、接合材BD2bと半導体チップCP2との間に介在する絶縁性のフィルム状の接合材BD2aとを有している。半導体チップCP1のソース電極ESに電流が流れる際には、パッドPD1bに接する導電性の接合材BD2bも電流経路となり得る。このため、保護膜PA1の開口部OPS内において保護膜PA1から露出するパッドPD1b上に接合材BD2を介して半導体チップCP2を搭載し、この接合材BD2がパッドPD1bに接する導電性のフィルム状の接合材BD2bを有することで、半導体チップCP1のソース電極ESに電流が流れる際の抵抗を低減でき、ソース電極ESで生じる電位勾配を低減することができる。これにより、半導体チップCP1に内蔵されるパワーMOSFETのオン抵抗を低減し、オン電流を増大させることができる。その結果、半導体装置PKGの性能を向上させることができる。
【0103】
また、本実施の形態の半導体装置PKGにおいては、半導体チップCP2と導電性の接合材BD2bとの間に、絶縁性のフィルム状の接合材BD2aが介在している。半導体チップCP2の下方には、半導体チップCP1の保護膜PA1は存在していないが、半導体チップCP2の裏面と半導体チップCP1のパッドPD1bとの電気的な絶縁は、絶縁性の接合材BD2aによって確保することができる。
【0104】
本実施の形態では、半導体チップCP1の保護膜PA1に、半導体チップCP2の搭載予定領域を内包するように開口部OPSを設けておき、その開口部OPS内において露出するソース電極ES(すなわちパッドPD1b)上に、ソース電極ESに接する導電性の接合材BD2bを有する接合材BD2を介して半導体チップCP2を搭載している。このため、半導体チップCP1において、平面視で半導体チップCP2と重なる領域でもソース電極ES上に導電性部材(ここでは導電性の接合材BD2b)を形成することができる。このため、ソース電極ESを電流が流れる際の抵抗を効率的に低減でき、ソース電極ESで生じる電位勾配を効率的に低減することができる。これにより、半導体チップCP1に内蔵されるパワーMOSFETのオン電流を的確に増大させることができる。
【0105】
また、本実施の形態では、半導体チップCP2を搭載するための接合材BD2は、フィルム状の接合材であり、DAFを用いることができる。このため、導電性DAF13と絶縁性DAF14との積層体16が半導体チップCP2の裏面に貼り付けられた状態で、半導体チップCP2を半導体チップCP1のパッドPD1b上に搭載すれば、導電性DAF13により形成された導電性の接合材BD2bが半導体チップCP1のパッドPD1bと隣接し、半導体チップCP1のソース電極ESに電流が流れる際の抵抗を低減することができる。すなわち、半導体チップCP2を搭載するための接合材BD2として、最下層の導電性DAF13とその上の絶縁性DAF14とを有するDAF材を用いればよいため、半導体チップCP1のソース電極ESに電流が流れる際の抵抗を低減することと、半導体装置の製造工程数を抑制することとを、両立することができる。その結果、半導体装置の性能向上と半導体装置の製造コストの抑制とを両立することができる。
【0106】
ここで、本実施の形態とは異なり、半導体チップCP2を搭載するための接合材BD2に含まれる導電性の接合材BD2bとして、銀ペーストや半田ペーストのようなペースト型の導電性接合材を用いた場合を仮定する。この場合、ペースト型の導電性接合材は流動性を有するため、導電性の接合材BD2bの厚さを厚くしようとすると、半導体チップCP1のパッドPD1b上に接合材BD2を介して搭載された半導体チップCP2が傾きやすくなる。半導体チップCP2が傾くことは、ワイヤボンディング工程で半導体チップCP2のパッドPD2a,PD2bにワイヤBW1,BW2を的確に接続することを阻害する虞があるため、望ましくない。かといって、ペースト型の導電性接合材を用いて形成する導電性の接合材BD2bの厚さを薄くすれば、半導体チップCP2の傾きは防ぐことができるが、導電性の接合材BD2bの厚さを薄くすることは、導電性の接合材BD2bによって半導体チップCP1のソース電極ESに電流が流れる際の抵抗を低減させる効果を小さくしてしまう。
【0107】
それに対して、本実施の形態では、半導体チップCP2を搭載するための接合材BD2に含まれる導電性の接合材BD2bとして、ペースト型の導電性接合材ではなく、フィルム状の接合材を用いており、具体的には導電性DAF13を用いている。このため、導電性の接合材BD2bの厚さを厚くしても、半導体チップCP1のパッドPD1b上に接合材BD2を介して搭載された半導体チップCP2が傾くのを、抑制または防止することができる。このため、導電性の接合材BD2bの厚さを厚くしたとしても、ワイヤボンディング工程で半導体チップCP2のパッドPD2a,PD2bにワイヤBW1,BW2を的確に接続することができる。導電性の接合材BD2bとして、ペースト型の導電性接合材ではなく、フィルム状の接合材を用いたことで、導電性の接合材BD2bの厚さを厚くすることが可能となるため、導電性の接合材BD2bによって半導体チップCP1のソース電極ESに電流が流れる際の抵抗を低減させる効果を、より大きくすることができる。
【0108】
導電性の接合材BD2bの厚さは、絶縁性の接合材BD2aの厚さよりも厚いことが好ましい。すなわち、導電性DAF13の厚さは、絶縁性DAF14の厚さよりも厚いことが好ましい。その理由は、以下のようなものである。
【0109】
半導体チップCP1のソース電極ESに電流が流れる際には、パッドPD1bに接する導電性の接合材BD2bも電流経路となり得るため、導電性の接合材BD2bの厚さを厚くするほど、半導体チップCP1のソース電極ESに電流が流れる際の抵抗を小さくすることができる。このため、半導体チップCP1のソース電極ESに電流が流れる際の抵抗をできるだけ小さくするという観点では、導電性の接合材BD2bの厚さを厚くすることが望ましい。しかしながら、接合材BD2全体の厚さが厚くなると(すなわち積層体16の厚さが厚くなると)、半導体装置PKGの厚さの増加を招き、また、半導体チップCP2のダイボンディング工程が行いにくくなる虞がある。このため、接合材BD2全体の厚さ(すなわち積層体16の厚さ)を厚くしすぎることは、得策ではない。一方、絶縁性の接合材BD2aは、半導体チップCP1のパッドPD1bと半導体チップCP2との間の絶縁を確保するために用いられている。このため、絶縁性の接合材BD2aの厚さは、半導体チップCP1のパッドPD1bと半導体チップCP2との間の電気的な絶縁を確保できる厚さであればよく、絶縁性の接合材BD2aの厚さを厚くする利点は小さい。
【0110】
そこで、導電性の接合材BD2bの厚さは、絶縁性の接合材BD2aの厚さよりも厚くする。すなわち、導電性DAF13の厚さは、絶縁性DAF14の厚さよりも厚くする。これにより、接合材BD2の厚さの過半を、導電性DAF13に割り当てることができる。導電性の接合材BD2b(導電性DAF13)の厚さを、絶縁性の接合材BD2a(絶縁性DAF14)の厚さよりも厚くしたことで、導電性の接合材BD2bによって半導体チップCP1のソース電極ESに電流が流れる際の抵抗を低減させる効果を、より大きくすることができる。そして、絶縁性の接合材BD2a(絶縁性DAF14)の厚さを、導電性の接合材BD2b(導電性DAF13)の厚さよりも薄くしたことで、接合材BD2全体の厚さ(すなわち積層体16の厚さ)を抑制できるため、半導体装置PKGの厚さを抑制することができ、また、半導体チップCP2のダイボンディング工程を行いやすくなる。導電性の接合材BD2b(導電性DAF13)の厚さは、例えば25μmから75μm程度とすることができ、絶縁性の接合材BD2a(絶縁性DAF14)の厚さは、例えば10μmから25μm程度とすることができる。
【0111】
また、ワイヤBW3は、半導体チップCP1のソース電極ESとリードLD1とを電気的に接続するためのワイヤであり、ワイヤBW4は、半導体チップCP1のソース電極ESとリードLD2とを電気的に接続するためのワイヤである。本実施の形態では、半導体チップCP1のパッドPD1bにワイヤBW3およびワイヤBW4をそれぞれ接続している。このため、ワイヤBW3,BW4のそれぞれを、ソース電極ESに的確に電気的に接続することができる。
【0112】
また、本実施の形態では、平面視において、ワイヤBW3とパッドPD1bとの接続位置と、ワイヤBW4とパッドPD1bとの接続位置との間に、半導体チップCP2が配置されている。これにより、ソース電極ESに電流が流れる際にソース電極ESで生じる電位勾配を、より効率的に低減することができる。従って、半導体チップCP1に内蔵されるパワーMOSFETのオン電流をより的確に増大させることができる。
【0113】
(実施の形態2)
本実施の形態2の半導体装置PKGについて、
図27から
図32を参照して説明する。
図27は、本実施の形態2の半導体装置PKGで用いられる半導体チップCP1の上面図であり、上記
図7に対応するものである。
図28は、本実施の形態2の半導体装置PKG内の半導体チップCP1,CP2を透視して示す平面図であり、上記
図11に対応するものである。
図29および
図30は、半導体チップCP1上に半導体チップCP2を搭載する前の段階における半導体チップCP1の断面図である。
図29は、
図27のD1-D1線の位置での半導体チップCP1の断面図に対応し、
図30は、
図27のD2-D2線の位置での半導体チップCP1の断面図に対応している。
図31および
図32は、本実施の形態2の半導体装置PKG内における半導体チップCP1,CP2の断面図である。
図31は、
図28のD1-D1線の位置での半導体チップCP1,CP2の断面図に対応し、
図32は、
図28のD2-D2線の位置での半導体チップCP1,CP2の断面図に対応している。なお、
図31および
図32では、ダイパッドDPおよび封止部MRの図示は省略している。
【0114】
本実施の形態2の半導体装置PKGで用いられる半導体チップCP1が、上記実施の形態1の半導体装置PKGで用いられる半導体チップCP1と相違しているのは、以下の点である。
【0115】
すなわち、上記実施の形態1の半導体チップCP1では、半導体チップCP2搭載用のパッドPD1bが、ワイヤBW3接続用のパッドとワイヤBW4接続用のパッドとを兼ねていた。
【0116】
それに対して、本実施の形態2の半導体チップCP1では、半導体チップCP2搭載用のパッドPD1bと、ワイヤBW3接続用のパッドPD1cと、ワイヤBW4接続用のパッドPD1dとを、別々に設けている。パッドPD1b,PD1c,PD1dのそれぞれは、保護膜PA1の開口部OP内において保護膜PA1から露出するソース電極ESにより形成されている。このため、パッドPD1b,PD1c,PD1dは、ソース電極ESを通じて互いに電気的に接続されている。
【0117】
ここで、パッドPD1bを露出する開口部OPを、符号OPSを付して開口部OPSと称し、パッドPD1cを露出する開口部OPを、符号OPCを付して開口部OPCと称し、パッドPD1dを露出する開口部OPを、符号OPDを付して開口部OPDと称することとする。保護膜PA1の開口部OPS内において保護膜PA1から露出するソース電極ESがパッドPD1bであり、保護膜PA1の開口部OPC内において保護膜PA1から露出するソース電極ESがパッドPD1cであり、保護膜PA1の開口部OPD内において保護膜PA1から露出するソース電極ESがパッドPD1dである。開口部OPSの平面形状、平面寸法(平面積)および平面位置は、パッドPD1bの平面形状、平面寸法および平面位置とほぼ一致している。開口部OPCの平面形状、平面寸法および平面位置は、パッドPD1cの平面形状、平面寸法および平面位置とほぼ一致している。開口部OPDの平面形状、平面寸法および平面位置は、パッドPD1dの平面形状、平面寸法および平面位置とほぼ一致している。
【0118】
本実施の形態2の半導体チップCP1においては、保護膜PA1の開口部OPS,OPC,OPDは、互いにつながっておらず、分離されている。このため、平面視において、保護膜PA1の開口部OPS,OPC,OPDの相互間には(従ってパッドPD1b,PD101c,PD101dの相互間には)、保護膜PA1が存在している。本実施の形態2の半導体チップCP1における保護膜PA1の開口部OPSと開口部OPCと開口部OPDとをつないだものが、上記実施の形態1の半導体チップCP1における保護膜PA1の開口部OPSにほぼ対応する。本実施の形態2の半導体チップCP1では、平面視において、開口部OPCと開口部OPDの間に開口部OPSが配置されているため、パッドPD1cとパッドPD1dとの間にパッドPD1bが配置されている。
【0119】
その他は、本実施の形態2の半導体装置PKGで用いられる半導体チップCP1も、上記実施の形態1の半導体装置PKGで用いられる半導体チップCP1と同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0120】
また、本実施の形態2の半導体装置PKGと上記実施の形態1の半導体装置PKGとで、以下の点が相違している。
【0121】
上記実施の形態1の半導体装置PKGの場合は、半導体チップCP1のパッドPD1b上に接合材BD2を介して半導体チップCP2が搭載され、かつ、ワイヤBW3,BW4のそれぞれは、半導体チップCP1のパッドPD1bに接続されている。それに対して、本実施の形態2の半導体装置PKGの場合は、半導体チップCP1のパッドPD1b上に接合材BD2を介して半導体チップCP2が搭載され、ワイヤBW3は、半導体チップCP1のパッドPD1cに接続され、かつ、ワイヤBW4は、半導体チップCP1のパッドPD1dに接続されている。
【0122】
すなわち、本実施の形態2では、ワイヤBW3の両方の端部のうち、一方の端部は、半導体チップCP1のパッドPD1cに接続され、他方の端部は、上記リードLD1(のインナリード部)に接続されている。また、ワイヤBW4の両方の端部のうち、一方の端部は、半導体チップCP1のパッドPD1dに接続され、他方の端部は、上記リードLD2(のインナリード部)に接続されている。これにより、ソース電極ESと上記リードLD1とがワイヤBW3を介して電気的に接続され、また、ソース電極ESと上記リードLD2とがワイヤBW4を介して電気的に接続される。
【0123】
接合材BD2については、本実施の形態2も上記実施の形態1と同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0124】
その他は、本実施の形態2の半導体装置PKGも、上記実施の形態1の半導体装置PKGとほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0125】
本実施の形態2においても、半導体チップCP1のパッドPD1b上に半導体チップCP2を、上記実施の形態1と同様の接合材BD2を介して搭載している。このため、本実施の形態2においても、上記実施の形態1で説明した効果を得ることができる。
【0126】
更に、本実施の形態2では、上記実施の形態1に比べて、ソース電極ESのうち、保護膜PA1で覆われている領域の面積が大きい。このため、本実施の形態2では、ソース電極ESを保護膜PA1で保護する効果を高めることができる。
【0127】
また、本実施の形態2では、平面視において、パッドPD1cとパッド電極PD1dとの間にパッドPB1bが配置されている。その結果、上記実施の形態1と同様に、本実施の形態2においても、平面視において、ワイヤBW3とパッドPD1cとの接続位置と、ワイヤBW4とパッドPD1dとの接続位置との間に、半導体チップCP2が配置される。これにより、ソース電極ESに電流が流れる際にソース電極ESで生じる電位勾配を、より効率的に低減することができる。従って、半導体チップCP1に内蔵されるパワーMOSFETのオン電流をより的確に増大させることができる。
【0128】
(実施の形態3)
本実施の形態3の半導体装置PKGについて、
図33から
図38を参照して説明する。
図33は、本実施の形態3の半導体装置PKGで用いられる半導体チップCP1の上面図であり、上記
図7および
図27に対応するものである。
図33では、理解を簡単にするために、半導体チップCP1上に半導体チップCP2を搭載したときの半導体チップCP2の位置を、点線で示してある。
図34は、本実施の形態2の半導体装置PKG内の半導体チップCP1,CP2を透視して示す平面図であり、上記
図11および
図28に対応するものである。
図35および
図36は、半導体チップCP1上に半導体チップCP2を搭載する前の段階における半導体チップCP1の断面図である。
図35は、
図33のD1-D1線の位置での半導体チップCP1の断面図に対応し、
図36は、
図33のD2-D2線の位置での半導体チップCP1の断面図に対応している。
図37および
図38は、本実施の形態3の半導体装置PKG内における半導体チップCP1,CP2の断面図である。
図37は、
図34のD1-D1線の位置での半導体チップCP1,CP2の断面図に対応し、
図38は、
図34のD2-D2線の位置での半導体チップCP1,CP2の断面図に対応している。なお、
図37および
図38では、ダイパッドDPおよび封止部MRの図示は省略している。
【0129】
本実施の形態2の半導体装置PKGが、上記実施の形態2の半導体装置PKGと相違しているのは、以下の点である。
【0130】
上記実施の形態2の半導体装置PKGでは、平面視において、半導体チップCP2は、半導体チップCP1のパッドPD1bに内包されている。従って、半導体チップCP2は、半導体チップCP1の保護膜PA1の開口部OPSに内包されている。このため、上記実施の形態2では、平面視において、半導体チップCP2は保護膜PA1と重なっていない。従って、接合材BD2は、保護膜PA1と重なっていない。別の見方をすると、上記実施の形態2では、接合材BD2は、保護膜PA1に接していない。より特定的には、接合材BD2bの外周部は、保護膜PA1に接していない。
【0131】
それに対して、本実施の形態3の半導体装置PKGでは、平面視において、半導体チップCP1のパッドPD1bは、半導体チップCP2に内包されている。従って、保護膜PA1の開口部OPSは、半導体チップCP2に内包されている。すなわち、上記実施の形態2よりも本実施の形態3の方が、保護膜PA1の開口部OPSの平面寸法(平面積)は小さい。このため、本実施の形態3では、平面視において、半導体チップCP2の一部(より特定的には半導体チップCP2の外周部)は保護膜PA1と重なっている。従って、接合材BD2の一部(より特定的には接合材BD2の外周部)は、保護膜PA1と重なっている。別の見方をすると、本実施の形態3では、接合材BD2の一部(より特定的には接合材BD2bの外周部)は、保護膜PA1に接している。
【0132】
その他は、本実施の形態3の半導体装置PKGも、上記実施の形態2の半導体装置PKGとほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0133】
上記実施の形態1および実施の形態2の場合は、平面視において半導体チップCP2は保護膜PA1と重なっていないため、接合材BD2に含まれる導電性の接合材BD2bの下面全体が、半導体チップCP1のパッドPD1bと接することができる。このため、半導体チップCP1のソース電極ESに電流が流れる際には、導電性の接合材BD2bのほぼ全体が電流経路となり得る。
【0134】
それに対して、本実施の形態3の場合は、平面視において半導体チップCP2の一部が保護膜PA1と重なっているため、接合材BD2に含まれる導電性の接合材BD2bの一部は、保護膜PA1上に位置する。このため、半導体チップCP1のソース電極ESに電流が流れる際には、パッドPD1b上に位置する導電性の接合材BD2bは電流経路となり得るが、保護膜PA1上に位置する導電性の接合材BD2bは、電流経路として機能しない。
【0135】
このため、本実施の形態3よりも、上記実施の形態1および実施の形態2の方が、導電性の接合材BD2bによって半導体チップCP1のソース電極ESに電流が流れる際の抵抗を低減させる効果を、より大きくすることができる。このため、本実施の形態3よりも、上記実施の形態1および実施の形態2の方が、ソース電極ESで生じる電位勾配を、より効果的に低減することができ、半導体チップCP1に内蔵されるパワーMOSFETのオン抵抗をより低減し、オン電流をより増大させることができる。
【0136】
一方、本実施の形態3の場合は、上記実施の形態1および実施の形態2に比べて、以下のような利点を有している。
【0137】
半導体チップCP1のパッドPD1bと半導体チップCP2との間の電気的な絶縁は、接合材BD2に含まれる絶縁性の接合材BD2aにより確保している。このため、半導体チップCP1のパッドPD1bと半導体チップCP2との間の短絡経路となり得るのは、半導体チップCP2を構成する半導体基板SB2の側面から、接合材BD2の側面を経由して、半導体チップCP1のパッドPD1bに至る経路である。本実施の形態3では、接合材BD2の外周部が保護膜PA1上に位置している(乗り上げている)ことにより、半導体チップCP2を構成する半導体基板SB2の側面から、接合材BD2の側面を経由して、半導体チップCP1のパッドPD1bに至る経路が長くなる。その結果、半導体チップCP2を構成する半導体基板SB2の側面から、接合材BD2の側面を経由して、半導体チップCP1のパッドPD1bに至る経路で短絡が生じるのを、より的確に抑制または防止することができる。
【0138】
また、本実施の形態3の場合は、接合材BD2(積層体16)の厚さが保護膜PA1の厚さよりも薄いと、半導体チップCP2を接合材BD2(積層体)を介して半導体チップCP1のパッドPD1b上に搭載することが難しくなる。このため、本実施の形態3では、接合材BD2(積層体16)の厚さは、保護膜PA1の厚さよりも厚いことが好ましい。保護膜PA1の厚さは、例えば2μm程度とすることができる。導電性の接合材BD2b(導電性DAF13)と絶縁性の接合材BD2a(絶縁性DAF14)の各厚さの例は、上記実施の形態1で述べた通りである。
【0139】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0140】
10 ダイシングテープ
11 基材層
12 粘着材層
13 導電性DAF
14 絶縁性DAF
15 カバー層
16 積層体
BD1,BD2,BD2a,BD2b,BD102 接合材
BE 裏面電極
BW,BW1,BW2,BW3,BW4 ワイヤ
CD 導電体膜
CP1,CP2,CP101 半導体チップ
CR チップ形成領域
CT1,CT2 コンタクトホール
DP ダイパッド
EG ゲート電極
EGW ゲート配線
ES ソース電極
GF ゲート絶縁膜
IL 絶縁膜
LD,LD1,LD2,LD3 リード
MR 封止部
MW2 多層配線構造
NR n+型半導体領域
OP,OPC,OPD,OPS 開口部
PA1,PA2 保護膜
PD,PD1a,PD1b,PD1c,PD1d,PD2a,PD2b,PD101c,PD101d パッド
PKG 半導体装置
PR1 p型半導体領域
PR2 p+型半導体領域
SB1,SB2 半導体基板
SR スクライブ領域
TG トレンチゲート電極
TGL 配線部
TR 溝